TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#990/10-Aug-09

今週号でまず注目して頂きたいのはセキュリティの話題だ。Rich Mogull が、iPhone 3GS のハードウェア暗号化を破るのが簡単なのはなぜかを説明する。また、Mac OS X 10.5.8 と GarageBand '09 5.1 のニュースもあるが、これらもまたセキュリティ関係の変更点や、その他のバグ修正を施したリリースだ。その他のニュースはバラエティに富んだ組み合わせで、またもや出た二つの Mac ソフトウェアバンドルのニュースを Adam が報告し、それから Glenn Fleishman が Sony Reader の電子ブックとハードウェア双方が値下げされたことを伝える。Glenn はまた App Store をめぐる最近の大騒ぎと、NewsGator が NetNewsWire の RSS 同期機能をまずいやり方で終了させたことについて考えを述べる。今週のソフトウェアアップデートは比較的静かで、Microsoft が書類を開く際のバグを修正した Office 2008 のアップデートを出した以外は、主だったところと言えば QuarkXPress 8.1 と Firefox 3.5.2 くらいだった。

記事:

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Microsoft Office 2008 12.2.1 で XML Office 書類が再度開けるようになる

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

これに関して言うことはあまりない。Microsoft Office 2008 Service Pack 2 ("Microsoft、Office 2008 Service Pack 2 をリリース" 2009-07-20 参照) にバグが一つ入り込み、Office アプリケーションの全てから Microsoft の Open XML ドキュメント、テンプレート、そしてマクロの付いたドキュメントとテンプレートを開けなくする場合がある。Service Pack 2 についての 我々の記事に対するコメントの幾つかがこの問題を指摘していた、もっとも私の Mac 上にある .docx と .xlsx ドキュメントは問題なく開けるみたいである。

Microsoft は今やこの問題を解決するため Microsoft Office 2008 for Mac 12.2.1 Update をリリースした。私の初期テストでは Open XML ドキュメントを開くことは可能であった - もしこれまでも問題がなかったのであれば、直ちにアップグレードする必要は無いと思われる。このアップデートは 23.8 MB のダウンロードで、Microsoft の Web サイトからかどの Office 2008 アプリケーションからでも Help メニューの Check for Updates を選択することで入手可能である。

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GarageBand '09 5.1、セキュリティの修正を提供

  文: Doug McLean <doug_mclean@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が GarageBand '09 5.1 をリリースし、この人気のオーディオ編集ソフトウェアにおいてセキュリティ関係のバグを一つ修正し、いくつかの新機能を追加し、またその他の問題点に対処を施した。

最も注目すべき点は、あなたのインターネット活動があなたの知らないうちに第三者に追跡される可能性のあった問題点が GarageBand '09 5.1 で修正されたことだ。従来は、GarageBand '09 が開くと、Safari の環境設定が、Cookie を常に受け入れるように変更されてしまっていた。デフォルトの環境設定は、さらなるプライバシーを提供するため、訪問中のサイトの Cookie のみ受け入れるようになっている。(サードパーティ・クッキーについて Wikipedia に説明がある。)GarageBand '09 5.1 ではもはやこの誤った挙動はしないようになったが、もしもあなたが従来のバージョンの GarageBand '09 を走らせたことがあるなら、Safari の環境設定の セキュリティ パネルで Cookie の設定があなたの希望通りになっているかどうか確認しておくべきだ。

このバグが修正された以外に、今回の GarageBand '09 5.1 アップデートでは「一般的な互換性の問題が解決され、全体的な安定性が向上し、いくつかの小さな問題が修正され」ている。いずれもマイナーな変更ながら、GarageBand トラックエフェクトと Audio Unit をギタートラックに追加できるようになり、Apogee オーディオインターフェイスのサポートが強化され、オーディオモニタ設定にアクセスしやすくなり、Magic GarageBand のフルスクリーンへの切り替えが速くなった。

Apple はこの 139.3 MB のアップデートをすべての GarageBand '09 ユーザーに推奨している。ソフトウェア・アップデートからも、Apple のサポートダウンロードサイトからも入手可能だ。

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TheMacSale と MacWeed: 新手の Mac バンドル二つ

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

一般的に言って、私たちが Mac 用ソフトウェアバンドルのことを記事にするのは全く新しいグループから出たものが登場した時だけだ。なぜなら、元来こうしたバンドルは純粋に販売戦略の活動に過ぎないからだ。もちろん、利益を受けて当然の独立ソフトウェア開発者たちがこうしたバンドルのお陰で初めて恩恵にあずかることができるかもしれないし、バンドルの収益の一部をチャリティーに寄付したり、あるいはバンドル自体が何かオンラインゲームの一部であったりすることもあるし、さらには Mac ユーザーたちに多くのことをもたらしてくれる。けれども、それが最新のバンドルであったとしてもニュース記事の題材としてはあまり大きな価値はないだろう。(時々、私たちがバンドルのベンダーと広告による関係を別途に結ぶことはある。)そういうわけで、今回は先週前後に登場した新しいバンドルグループを2つ、紹介しよう。 TheMacSaleMacWeed だ。

TheMacSale は定価の合計で $450 となる 10 個のアプリケーションを $49.99 のバンドルにまとめた。私の見たところこのバンドルは完全にまっとうなもので、iPhone のホームスクリーンを真似ようとしてあまりうまく行かなかったような、型破りなウェブサイトのデザイン以外に変な仕掛けはないようだ。含まれているアプリケーションは Flux、Scribbles、Interarchy、Iris、WriteRoom、REALbasic Personal、HoudahSpot、Stuf、TaskPaper、それに MarinerCalc だ。売り出し期間は 2009 年 8 月 18 日までとなっている。

MacWeed が組み込んだ工夫は、このバンドル販売による収益の 20 パーセントをイタリア赤十字に寄付し、イタリアの Abruzzo 州で 2009 年 4 月に起こった地震の被災者救援に役立ててもらうという点だ。この地震では 66,000 人の人々が家を失い、L'Aquila 市街では歴史地区で中世からの建物の多くが被害を受けた。

そこで、MacWeed は定価の合計で $700 以上になる 14 個のプログラムを $49.99 で提供している。ただし、14 個のうち 8 個はバンドルの販売累積が一定の数を超えるまではロックが外れない。すべての購入者が入手を保証されているプログラムは、Amnesia、DEVONthink、Finance 6、Interarchy、ImageFramer、それに Media Catalog の 6 個だ。後日ロックが外される予定のプログラムは、iCalamus (500 個の販売後)、Voila (2,000 個の販売後)、SkypeCap、Optimism、ProfCast、Photo Styler、MacSnapper (以上は 5,000 個の販売後)、それに Sandvox (40,000 個の販売後) だ。

なかなか立派なことに、MacWeed の主催者たちは現時点の販売累積を表示している。けれども、この記事の執筆時点で、その数はたったの 101 であり、ロックされたアプリケーションの中で最初にロックが外される iCalamus に必要な 500 個にさえも遠く及ばない。MacWeed バンドルの売り出し期間は 2009 年 8 月 12 日までとなっている。

バンドル燃え尽き症候群? -- これら2つの登場により、時折現われるバンドル提供元は少なくとも四つか五つとなった。いずれも、10 個程度のアプリケーションを集めて、だいたい $50 くらいの値段で販売している。当初バンドル提供は非常によく売れたが、その後続いたこれらのバンドルはむしろ苦戦している。そのどれもが非常に大きな値引きを提供しているというのに。

思うに、Mac のソフトウェアを購入するユーザーのコミュニティーは、単純に疲労状態に陥りつつあるのだろう。一人の人が、いったいいくつのアプリケーションを実際に使いこなすことができるだろうか? 私は、報道に携わる人間として、欲しいものは何でも評価用コピーを手に入れることができる。けれども、私が持っているソフトウェアの圧倒的大多数は単に評価目的のためだけにそこにある。私は、比較的少数のプログラムのみで自分の仕事のほとんど全部をこなしている。もちろん人によって必要の度はさまざまだろうが、おそらくバンドルの多くは、その中のプログラムの1つか2つだけがその特定の購入者の必要に訴えたからという理由で実際には売れているのだろう。

バンドルにあまり大きく登場しない分野が1つだけある。それは、ゲームだ。ゲーマーたちなら、10 個のゲームの入ったバンドルを折に触れて買い入れることに、興味を示す人たちも多いだろう。なにしろ、ゲームというものはもともと消耗品としての性格がずっと大きいからだ。でも、ゲーム以外では、そろそろバンドルベンダーたちも何か新しいアプローチを考え出すべき時期に来ているのではないだろうか。

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Sony、電子ブックと Reader を値下げ

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

長らく鈍足状態のままであった製品カテゴリーに、ついに競争が激化してきた。電子ブックリーダーのカテゴリーだ。最新の一斉射撃は、Sony から放たれた。同社には、 Sony Readerと呼ばれる、初期の時代から好感を持たれてきた機器がある。Sony は、Kindle ストアで電子版として売られているベストセラーの本について、Amazon の $9.99 という価格に足並みを揃えると発表した。

Sony はまた、2009 年 8 月後半に Reader Pocket Edition ($199) と Reader Touch Edition ($299) をリリースするとも述べた。これら2つの新機種は、従来のリーダー 505 と 700 を置き換えるもので、価格はそれぞれ $269 と $399 となる。Amazon Kindle 2 の価格は $299 で、Kindle DX(画面の切り取りをせずにレターサイズの PDF が表示できる)は $489 となっている。

Sony からのこのニュースには、ネットワーク機能を内蔵した機器が(少なくとも今のところはまだ)含まれていない。Wi-Fi 内蔵はごく簡単なことと思われ、New York Times の記事によればあるアナリストは Sony がはっきりと今年中にもっと別の機器も出ると明言したと言っているらしい。

本の出版社たちは、ベストセラーが $9.99 というこの新価格を心配している。ただ、Sony と Amazon はいずれも電子ブック版について、ハードカバー本の小売価格のおよそ 50 パーセントを彼らに支払っている。大衆市場の関心を惹く新刊ハードカバー本の小売価格は普通 $25 から $30 程度だ。電子ブックの価格はその本がペーパーバック版に移行するまでは落ちないのが普通だ。

つまり、Amazon と Sony は新刊のベストセラー1冊ごとに $2.50 から $5 程度を補填金として支払っていることになる。国によっては、この種の補填金支払い(市場シェアを得るためにコストより安い値段で販売すること)は違法だ。けれども米国では(少なくとも今のところ)違法ではない。

出版社たちは、どんな形であれハードカバー本に対して支払われる価格が目減りすることを望まない。なぜなら、ハードカバー本こそが彼らが人気の新刊書から大きなお金を得られるところだからだ。その結果、Dan Brown の著した新刊書 "The Da Vinci Code" は、ハードカバー本が 2009 年 9 月にリリースされた以上、しばらくは電子ブックの形で登場することはない。

Amazon と Sony は、本への興味ではロングテールの部分から、不釣り合いなほどの利益が得られることを期待している。つまり、これらの会社が比較的大きな収益を得られるのは少し古い本からであって、従来型の書店に比べてそのような本の販売数がより大きくなるだろうと考えている。少なくとも、理論的にはそうなる。

今回の発表は、ある小売業者が誤って新機種の機器の写真を予定より早く掲示してしまったことから漏れ出たものだ。

紙に印刷した本を崇める人の書いた思慮深い考察が、Nicholson Baker の New Yorker 記事“A New Page”で読める。Baker は細部にまで気を配る小説家であり、またデジタル保存主義者たちが本を保存しようとしつつ実は破壊をしているというテーマの、驚くほど予言的な本“Double Fold”の著者でもある。

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Tr.im、短縮サービスをトリム

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

tr.im は成功の代償を体験し、成功なんてもうまっぴらだと思っている。この有名なURL 短縮サービスは、長い URL を簡潔なものに変換してくれるのだが、その利用の急増を見てきた。しかし、tr.im によれば、この成功を収益に換える手段が見つからず、また名目値でもサイトの買い手が見つからないのだそうだ。tr.im の開発者、The Nambu Network は tr.im のホームページで、既存の URL 転送は少なくとも2009 年 12 月 31 日まで動作し続けると言っている。

同種の他のサービスにように、tr.im はブラウザ転送を利用し、短いURL を受け入れ、長い URL に転送している。多くのコンテンツマネージメントシステムやブログシステムは(Movable Type や WordPress などのように) 投稿や記事のタイトルをもとに、とてつもなく長い、人が読んでわかる URL を生み出す。(TidBITS では、かなり前から簡潔さを重視しており、数年前に自家製 TidBITS Publishing Systemに移った際に、現在の /article/ の後に番号という URL 様式を導入した。)

Twitter の 140 字制限は、URL 短縮サービスをさらに必要とさせた。というのも、URL の中にはそれ自体が 140 文字以上の長いものもあり、妥当な長さのURL でさえ、実際ユーザが書ける残りの文字数を制限するためだ。Twitter は twitter.com のウェブサイトを通して投稿されるつぶやき用には、URL を自動的に短縮してくれる。2009 年 5 月に、Twitter は TinyURL という初期の短縮サービスから、bit.ly というより短いドメイン名のサービスに移った。

tr.im 社の者たちは、同社のブログで Twitter に対しては苦々しい態度を示し ているようだ。ここでは、Twitter が bit.ly を専属サービスとしたことで、他に何が起ころうが、tr.im の長期的な成功は妨げられてしまった、と述べている。TechCrunch によると、bit.ly は今年初めに、 200 万ドルの資金調達をした

皮肉なことに、今や TinyURL.com は tr.im、is.gd、あるいは bit.ly に比べ _長い_ ドメイン名となった。さらに興味深いことに、私たちの記事 "摩訶不思議、縮む URL" (2006-02-06) では他の短縮サービスもいくつか列挙しているが、今までの三年間でこのうちのいずれも大きな利用数を誇るサービスにはなっていない。どうやら、この分野での早期参入は利点にはなっていないようだ。

短縮サービスは長い URL をそのリンクに対応できる最も短いコードと連合させる。そしてこれは、URL 短縮サービスのデータベースに保管される。短縮サービスからのその URL のリクエストは自動的に、最終目的地へと転送される。

大文字と小文字、そして 0 から 9 までの数字からなる 4 文字のコードには、1500 万近く (62 の4乗) のパターンがある。短縮サービスの中には、ユーザが自分の URL を管理するアカウントや実際の URL が変更する時のアップデート、統計の閲覧などの追加サービスを提供しているものもある。

サードパーティーの Twitter クライアントはすべて URL 短縮も提供している。しかし、これらはよくユーザに、どの短縮サービスを使いたいか選択させてくれる。例えば、Tweetie ではtr.im も含めて、5 つのサービスから選べるようになっている。

その他のユーティリティーも、URL 短縮サービスに結び付いている。例えば、SmileOnMyMac の TextExpander は URL を読み込み、短縮されたロケーターへ変換するために tr.im も含む、4 つのサービスのインターフェイスを使用するAppleScript のスクリプトを含んでいる。(TextExpander は前もって定義してあるグループ群の一つ、Internet Productivity Snippets にこの機能を含んでいる。同社はこれから tr.im を削除するために既にアップデートを施した。(TextExpander の環境設定ペインを開き、Internet Productivity フォルダーを選択して Update Now をクリックする。)このようなプログラムにはアップデートを必要とするか、あるいはユーザはその中にある tr.im の使用を止めなくてはならない。

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URL 短縮サービスは特殊な機能ではなく、複製するのも大したことではないので、このサービスから収益を得るのは難しいのだ。転送コンバータとデータベースを作るにはものの数分とかからないだろう。シンプルなウェブのフロントエンドを加えるにも、たいした仕事を要するわけではない。肝心なのは、素早く動作し、ユーザが過度なセキュリティのリスクにさらされぬよう、しっかりしたサービスを提供することだ。

選択できるサービスがあまりに多く存在するため、ユーザは転送過程の一部として、表示される広告にはけっして寛容ではなかった。だから、転送サービスは広告からの収入や、クリックスルーごとに入ってくるその他の収益を実現する手段が全くなかった。

追加オプションには、収益を生む可能性がいくつかある。特に、分析データ(正確なクリックスルーのトラッキング)を欲しがっている人たちがいるからだ。しかし、ほんの一部のユーザだけがそのような機能を欲しいと思うのだ。

将来、ウェブサイトや関連したウェブ投稿ソフトウェアへのアップグレードによって、単に長い URL と短い URL がすべてのページに与えられるようになるのではないか。TidBITS のような出版物はそれ自身で (tb.cz やこの種の) 極小 URL を、サードパーティ転送サービスなど全く必要なく、数行のコードだけで登録することが、しようと思えばできるだろう。

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なぜ辞書に成人指定が必要か、Apple が説明

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>, Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

Daring Fireball で、John Gruber は自らの怒りを隠そうともしていないのだが、彼が怒るのももっともと言える。というのは、Apple が、iPhone 用 Ninjawords 辞書アプリを、「不快」とされる単語を開発者が除去するまで、何度も却下したからだ。しかし、これらの単語の多くは、全く一般的な意味も持っているのだ。例えば、donkey、grab、cat、rooster、rotate などの同義語を思い浮かべてほしい。

これらの単語を取り除いた後でさえ、App Store に加えられるために、Ninjawards には「17 歳以上」の指定が与えられなくてはならなかった。最悪なことには、これらの「不快」な単語が、俗語の意味も含めて、Mac OS X 内蔵の辞書の中にあるのだ。

この記事のリリース後、Gruber には思いがけないところから反応があった。Apple で世界中におけるマーケティングを率いる Phil Schiller だ。彼は、特に Apple の企業組織において、概して率直で歯に衣をきせない人物だ。(とは言え、 MDJ の Matt Deatherage はSchiller の言葉が誠実かどうか、彼に有利に解釈する必要はないと言っている。)

Schiller の許可を得て、Gruber が公開したメールの一部では、Schiller が Gruber にこう言っている。Ninjawords のケースでは App Store プログラム検討者からの予定表と指示は誤って伝えられた、と。Ninjawords はこの辞書の承認申請を、年齢制限カテゴリ付きの iPhone OS 3.0 ソフトウェアのリリース日が発表される前に提出した。そしてソフトウェアのリリース日がいつになるのか知らぬまま、辞書をリリースしようと幾つかの変更を加えた。(結果的に、iPhone OS 3.0 ソフトウェアがリリースされたのは、辞書が最初に却下されてから 2-3 週以内だった。)

Gruber は Schiller の挙げる点の幾つかに同意しており、他の点では異議を唱えている。そして、Ninjawords からもコメントをもらっている。詳細については Gruber の記事全文を読んでいただきたいが、Apple での上級の重役が検討過程についてやっと、なんらかの公言をしたことは注目に値するのではないか。彼の公言の中には次の言葉も含まれていた。「その目的を執行するにあたり、私たちはいつも完璧であるわけではないだろうが、最善の意志をもって努力している。そして、誤りをおかしたのであれば、それから学び、早急に改善して行く意向である。」

ダメージコントロールの一環として、Schiller が単に口先だけで私たちが聞きたいことを言っているのではないこと、そしてアプリのばかげた却下や指定が減少することを願おうではないか。

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Mac OS X 10.5.8 バグを修正、そしてセキュリティの穴を塞ぐ

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は Leopard に対するバグ修正アップデート Mac OS X 10.5.8 をリリースした。これはこのオペレーティングシステムの色々な所に散在する数多くのあまり頻繁には見られないバグを取り上げている。Apple は独立したダウンロードも出しているが (Mac OS X 10.5 から 10.5.8 迄のどのバージョンでも対応するコンボアップデートが有用である)、Software Update がこの新しいバージョンを手に入れるには一番容易な方法である。

いつもの様に、10.5.8 を直ちにインストールすると問題があるというわけではないが、注意深く行きたいユーザーは重大な問題がオンライン上に出てくるのかどうか見定めるため数日待つのが賢明であろう。

10.5.8 での変更点 -- リリースノートには Safari 4.0.2 が新しいものとして含まれ全履歴検索の精度が向上したとうたっているが、Safari 4.0.2 は 10.5.8 のリリース前に既に最新版として存在していた。実際の所、これ以前に個別に Safari 4.0.2 にアップグレードしていなくとも、今回は間違いなく入手できる。他のネットワーク関連の修正には、MobileMe と iDisk、AFP (AppleTalk Filing Protocol)、そして Managed Client とのコンパチ性と信頼性の向上が含まれている。最後に、リリースノートでは AirPort ネットワークに加わる時の改善がうたわれているが、アップデートした後で AirPort 接続の不具合という事例報告も挙がっている。

画像関連では、このアップデートではデジタルカメラから大きな写真やムービーファイルをインポート出来なくしてしまうバグ、そしてもう一つ Aperture 画像を Automator にドラッグする時に iPhoto アクションを引き起こしてしまうバグも修正されている。更に、raw 画像のサポートが新しいカメラにも拡大されている; サポート可能なデジタルカメラの 全リスト参照

他の修正には、System Preferences の Displays ペインに前には表示されなかったかもしれない解像度が表示されている。iCal も MobileMe Sync と CalDAV と動作する時の信頼性が向上したと報じられている、そして Sync Service バグも対応されている。ある種の USB 外部機器とのコンパチ性も改善されている。最後に、外部機器、USB ウェブカム (これはリリースノートからの直接引用で - 我々にも Bluetooth と USB ウェブカムのどんな関係なのか分からない)、そしてプリンタと動作する時の全般的な Bluetooth 信頼性が強化された。

VMware によると、Mac OS X 10.5.8 には ATI からの新しい 3D ドライバが含まれ、Mac OS X 10.5.7 下での VMware Fusion 2.0.5 で観察されたコンパチ性の問題が修正されていると言う。

Mac OS X 10.5.8 ではまたセキュリティ脆弱性も対応されている。各種のフォーマットで悪意を持って作成された画像に関する穴をふさぐことにまつわる数多くの修正もあるが、他の問題対応のもので興味を引くものも幾つかある。具体的には:

Mac OS X 10.5.8 Update は私の Mac Pro 及び MacBook 上の Software Update 経由だとただの 165 MB しかないが、Apple の Support Downloads サイトからの 10.5.7 からの独立の差分アップデートだと 274 MB もある。10.5 のどのバージョンとでも働くコンボアップデートは 759 MB である。

Leopard Server 10.5.8 -- Mac OS X 10.5.8 のデスクトップ版での変更点全てに加えて、サーバー版は更なる微調整を受けている。注目点は:

Mac OS X Server 10.5.8 Update は差分形式で 274 MB である;コンボアップデートだと 978 MB となる。

Security Update 2009-003 -- Mac OS X 10.5.8 に含まれたセキュリティ修正は Mac OS X 10.4 Tiger をいまだ走らせているユーザーのためにも入手可となっている (必要に応じて)。これまでの全てのセキュリティアップデートが Security Update 2009-003 に取り込まれているので、例えアップデートが済んでいなくとも複数回のダウンロードダンスをしなくても良いはずである。

いつもの様に、四つのバージョンがある。PowerPC-based Mac のデスクトップ用 (76 MB) と同じく Intel-based Mac 用 (166 MB)、そして PowerPC-based Mac のサーバー版用 (130 MB) と同じく Apple が Universal と称している PowerPC- 又は Intel-based Mac 用 (204 MB) がある。

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iPhone 3GS ハードウェア暗号化は簡単に破れる

  文: Rich Mogull <rich@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私が iPhone 3GS のセキュリティが拡張されたことを褒めちぎった記事を書いた(2009-07-20 の記事“)iPhone 3GS、すべての人に企業クラスのセキュリティを提供”参照)そのたった三日後、セキュリティ研究者の Jonathan Zdziarski がごくシンプルな、ほんの中程度にしか専門的でないテクニックで、iPhone のパスコードロックと暗号化が完全に回避できてしまうことを明らかにした。その結果、Apple が修正をリリースするまでは、この iPhone 3GS の暗号化をコンシューマにとっても企業にとってもセキュリティ管理を担うものとみなすことはできなくなった。

暗号化というものはセキュリティのための武器として最も基本的なものの一つだが、これを正しく実装するのが難しいこともある。今回の場合は、暗号化自体に欠陥があったのではなく(そういうことも一般には起こり得るが)暗号化の _実装方法_ がアタッカーに攻撃の余地を残してしまっていた。

暗号化のセキュリティを阻害する実装の問題には、キーの生成が不適切であったり、キーの保護が貧弱であったり、キーの交換方法がセキュアでなかったり、さらにはドアが開きっぱなしになっていて暗号化自体が丸ごと回避できてしまったり、といったものがあり得る。その結果、Wi-Fi における WEP (Wired Equivalent Privacy) や、ウェブブラウザにおける初期の SSL 実装、大多数のメジャーなオペレーティングシステムにおける保存されたパスワードの問題などが実際に攻撃を許したことがある。(また Wi-Fi には暗号化そのものの欠陥もあった。)

どうやら、Apple は iPhone 3GS の暗号化において根本的な間違いを犯したようだ。この間違いが他のツールで起こるのを私たちは目撃したことがあるが、これまで Apple は他のところでは何とかこの間違いをせずに済んできた。例えば Mac OS X の FileVault にはこの問題はない。

実装の欠陥 -- 暗号化は、データを取り込んでそれを数学的アルゴリズムに通し、それによってその内容を暗号に変える。けれどもこれは料理の材料をミキサーにかけるのとは異なり、逆の解読プロセスを走らせることによって元のデータを再構築することができる。ただしそのためには、正しいキーを持っていなければならない。(対称的な暗号化法においては、暗号化の際と解読の際で同じキーを使う。非対称の方法、例えば公開鍵暗号化などにおいては、一つのキーが暗号化をし、それに関連した別のキーが解読する。)

キーが長く複雑なものになればなるほど、データはより良く保護される。アルゴリズムが違えば長さの違うキーが用いられるが、今日標準的な暗号化ツールはたいてい 128 または 256 ビットのキーを対称的暗号化に使っている。ランダムなデータが 256 ビットともなれば、平均的な錠前の組み合わせや電話番号などよりもかなり覚えにくいので、たいていの場合私たちはキー自体をパスワードで保護することになる。

もしもあなたの使うパスワードが弱いものならば、アタッカーがそれを推測してあなたのデータにアクセスできてしまう可能性がある。でも、Apple が犯した間違いはその点ではない。iPhone 3GS では、あなたのパスワードとは単にその電話機のロックを外すパスコードのことであって、もしも誰かが力任せに侵入しようとすれば暗号化キーが自動的に消去される(従ってあなたのデータにアクセスできなくなる)ようにその機器を設定することができる。

もしもあなたの iPhone が適切に設定されていれば、これは私が前回の記事で説明したことだが、アタッカーがたった 10 回以内のトライであなたのパスコードを当てられなければ、あなたのデータが永遠に失われるようになっている。その記事を書いていた時点で、私はまさにこの機能が「企業クラス」と言うに値すると考えていた。

Jonathan Zdziarski が発見したのは、もしもこのパスコードを迂回することができさえすれば、あなたのデータへの完全なアクセスが得られてしまうということだった。そして、この電話機をハックして自分のものにするために人々が従来使ってきたのと同じ jailbreak (脱獄) の方法を使えば、パスコードの迂回がきわめて簡単にできてしまうのだ。

完全な技術的詳細を私は知らないが、どうやら iPhone を jailbreak することにより、iPhone がパスコードを保存している個所に直接アクセスし、それを使うのを必須と設定している部分をオフにしたり、あるいはそこにプログラムをインストールして iPhone の保存領域にネットワークからアクセスできるようにしたりすることができてしまうようだ。どちらのテクニックを使っても、その iPhone 上にあるデータへのフルアクセスが得られてしまう。

既知の問題 -- 暗号化におけるこの種の間違いは、なにも今回が初めてではない。ユーザーとやり取りする際には暗号化キーでなくパスワードを使わなければならないので、そうしたパスワードを _どのように_ 設定するかによってアタッカーに扉を開いてしまう可能性がある。

例えば、Microsoft の Encrypted File System の初期バージョンでは、システムに物理的アクセスが可能でありさえすれば特別のツールを使ってユーザーのパスワードを消去できた。そうなれば、アタッカーは単純にパスワードなしでログインしてデータにアクセスできた。

Microsoft は二つの異なったパスワードを使い、それらをオペレーティングシステムによって同期させることによりこの問題を修正した。一つはログイン用の通常のパスワードで、もう一つが暗号化データにアクセスを許すためのものだった。

通常の方法でパスワードを変更すれば、同期された状態が保たれた。けれども何かハッキング用のツールを使ってログイン用パスワードを変更すれば、同期が崩れて、暗号化データへのアクセスが妨げられる。Apple の FileVault も、これと同様の動作をする。

これは単なる臆測に過ぎないが、iPhone 3GS も似たような間違いをしたようだ。iPhone を jailbreak すれば、パスコードそのものか、あるいはパスコードを使うための設定を保存しているメモリ位置にアクセスが可能になってしまう。その情報を取り除けば、iPhone へのフルアクセスが得られてしまうのだ。

また、iPhone を jailbreak して SSH のようなツールをインストールすることも可能らしい。SSH があれば、ネットワークからアクセスして機器のデータを引き出すことができる。その際、iPhone は通常のアクセスを回避した方法が採られていることに気付かず、パスコードを要求することなく自動的にデータを暗号解読してしまう。

ハックをテストして、新たな問題を発見 -- 念のために、これまで一度も iPhone へのアクセスを許されたことのなかったコンピュータを使って私は jailbreak のテストをしてみた。パスコードで守られた iPhone を iTunes で同期するためには、iTunes にパスコードを入力しなければならない。このプロセスはうまく行ったし、さらにもう少し努力すれば jailbreak パッケージを書き換えて、SSH をインストールし自動的に走らせるようにもできただろう。

実際、このプロセスは少々うまく行き _過ぎた_。そして、その途中で、私は iPhone の中に第二の脆弱性を発見した。こちらはマイナーな問題だが、それでも私はこれを Apple に報告したし、パッチがなされるまでの間はこれ以上詳しい情報を公開するつもりはない。

Apple がこれらの問題を解決するまでは、中程度の技術テクニックがあってその機器にアクセスできる人にとって、iPhone 上の暗号化は単なる道路上のスピードバンプ程度のものでしかない。もしもあなたが iPhone をなくしたら、できる限り早く MobileMe でリモートワイプをかけることが今やますます重要になった。リモートワイプができれば、キーが完全に破壊されてあなたのデータは守られるからだ。

この種の実装上の間違いは既知の問題なので、Apple としてはこの問題を修正するためのはっきりとしたロードマップを持っているはずだ。問題が修正されれば、iPhone 3GS はビジネス以外のユーザーにも企業にも、等しくセキュアな機器となれるだろう。

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NewsGator、同期と RSS でユーザーを Google Reader に追いやる

  文: Doug McLean <doug_mclean@tidbits.com>, Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

NewsGator が、 Google Reader を唯一の同期プラットフォームとして採用し、MobileMe 同期をやめ、長年続けてきたオンライン RSS リーダーの NewsGator Online Reader も廃止することにしたと発表した。人気ある Macintosh 用 RSS リーダー NetNewsWire はバージョン 3.2 リリース以後、料金を払ったユーザーを除いて広告を表示するようになる。これらの移行は既に進行中で、NewsGator のリーダーと同期サービスは 2009 年 8 月 31 日をもって動作を終える。

このニュースはさまざまの強い反応を呼び起こした。とりわけ、会社がこれを好ましいニュースだと宣伝しようとしたことが引き金となった。ただ、最近のこの会社の軌跡を考慮に入れれば、ショッキングなニュースというほどではなかったはずだ。

何がなくなったのか、それはなぜか -- NewsGator Online Reader と、Blackberry と Windows Mobile 用の NewsGator Go、それに NewsGator Inbox (Outlook 用) はすべて、2009 年 8 月 31 日をもって存在しなくなる。Newsgator の Browser Toolbar、Desktop Notifier、Blogroll、Ratings、それに Headlines の各機能はすべて既に削除されている。

Mac 用 NetNewsWire と Windows 専用 FeedDemon のユーザーは、Google Reader 同期を持つ新バージョンを今すぐダウンロードできる。iPhone 用のアップデートも予定されている。NewsGator では移行の手助けとなるようにと、ユーザー向けに説明書を提供し、製品内にもリマインダを表示している。現在ベータ段階の Mac 版と、登場予定の iPhone 版は、新しいアイコンを備えるとともに Instapaper のサポートを追加する。

あともう一つ、3.2 ベータ版の NetNewsWire は広告サポート付きだが、広告なし版の価格がいくらになるのか、また有料版や企業向け版と比べて無料版には何らかの機能削減がなされるのかどうか、といったことについてまだ NewsGator から何の発表もない。(3.2b6 リリースは広告が最初に表示され、しばらくすると広告が消えて、料金を払って広告を非表示にできる方法がスタートするまでは広告の表示を停止するというメッセージが出る。)

ここ数年間、NewsGator は実は企業向けのソフトウェア提供を主たる仕事としてきており、コンシューマ向け部門には名刺としての役割しかなかった。昨年同社が定評ある Mac、Windows、およびオンライン版のニュースリーダーを無料化したのは、ビジネスのこの部門から収益を得るよりも、企業ユーザーたちの眼前にこれらのソフトウェアを示して見せることの方が重要な意味を持っていたからだった。(2008-01-09 の記事“NewsGator が NetNewsWire を無料で解き放つ”参照。)

このような最近の動きは、この会社がコンシューマ向け市場から離れる移行の要となる部分なのだが、その転換の突然さと規模の大きさとから、余計ないら立ちをひき起こしてしまった。収入を一銭も生まぬ同期用サーバの運営に出費することが現在のビジネス状況の下では容認できないとする会社の判断を批判することはできない。けれども、その決断のいくつかはあまりにも腹立たしいものだった。

欠けた同期、クリッピング、それにフォルダ -- 同期とウェブアクセスではユーザーを Google Reader に切り替えさせるという決断には、別に異論がないというユーザーたちも多いかもしれない。けれども、 この移行によって機能が失われることを嘆くユーザーもいる。例えばフィードをネストされたフォルダに整理したり、またクリッピング機能や、同期ファイルの MobileMe への保存のサポート、といったものが失われた。Google Reader では1レベルのフォルダ整理しか提供されず、またサービスが Clippings そのものをサポートしていない。

この Clippings 機能というのは、一つの記事をユーザーが保存して、いくつものコピーやオンラインサイトで同期させられるというものだ。当初 3.2 ベータ版 (release 6) ではこの機能が利用できなかったが、2009 年 8 月 3 日の release 13 で登場した。ただし同期はまだできない。この機能の同期部分を今後 NewsGator がどのように復活させるのかは不明だ。

NetNewsWire 開発者の Brent Simmons は代替製品として Instapaper を推薦している。Simmons によれば、彼は現在ダッシュを使ってフォルダのネストを表現することで Google Reader との互換性を図るやり方を開発中とのことだ。

Simmons は電子メールで、MobileMe 同期は少なくとも一時的に中止となったが、これはそのままでは Mac OS X の下でしか動作せず、同じユーザーがいろいろな場面で時には iPhone を使って、あるいはウェブブラウザ経由でフィードを読みたいような場合に対応できないからだと説明した。Simmons はまた、もしも多くの人たちが興味を示すのならば少なくとも一時的に MobileMe サポートを復活させることはできるとも述べた。どうやら、今のところまだ十分多くの人たちから興味が示されていないらしい。

お分かりの通り、この機能に関する状況はかなり流動的で、会社も Simmons も、今後どのようなことが起こるのか、まだ心を決めかねている。だからこそ NetNewsWire 3.2 はいまだにベータ版のままであって、今の時点では同期機能を変更させるべきタイミングとしては最悪のようだ。

NewsGator が Mac ユーザーたちに対して、同社が 最新リリースの NetNewsWire と呼んでいるものに切り替えるよう勧めているのは賢明なこととは言えない。実際それはベータ版であって、ダウンロードページにははっきりと次のように書いてある:「けれどもこれはまだベータ版です。つまりこれはまだ完成していないソフトウェアで、バグが(既知のものも未知のものも)存在し、不完全な機能もあります。皆さんを怖がらせる意図はありませんが、お知らせはしておきます。」

テスト用に公開ベータ版をリリースする会社は他にも多くあって、Simmons の書いた上記のような警告を付けているところも多いが、私たち TidBITS スタッフの経験の範囲内で、会社として現役のユーザーたちに対しメインのツールをベータ版に切り替えるように言う、ということは、少なくとも何かが決定的に壊れてユーザーが基本的機能にアクセスするために切り替えざるを得ないという場合を除けば、いまだかつて一度もなかったと思う。今回のケースは、そのような切り替えざるを得ない場合ではない。

その上、基本的にこのベータ版は NewsGator 同期を Google Reader に移行させるものとして宣伝されているにもかかわらず、既に以前から Google Reader を使っていたユーザーたちの一部に、Google でのフィードと構成が破壊されて、同期をした後にはもはや回復不可能の事態に陥ったという人たちがいた。New York Times のデザイナーで Subtraction ブログの著者でもある Khoi Vinh は、Google Reader で既存のフィードが一掃されてしまうかもしれないという説明がないことに 怒りをぶちまけている。ここにも、ベータ版のソフトウェアを一般に入手可能なリリースとして宣伝することの問題点が見て取れる。

また、同期機能には Google Reader を唯一の選択肢として切り替えることにも懸念の声が挙がっている。NewsGator は Google Reader に対する要望が最も多かったと言うが、オンラインの物事をすべて一つの容れ物に託すことへの不安は次第に多くの人たちの間に広がっている。Google があれば検索、電子メール、書類、その他の機能が無料で使えるが、そのすべてはこの会社の考え次第なのだ。

最後にもう一言。既存の 3.x リリースの有料版ユーザーがどうなるのか、価格がどうなるのか、無料版と有料版にどのような違いがあるのか、そういったことを一切説明せずに、ただ将来 NetNewsWire に無料版と有料版ができると説明する、そのことにも非常な違和感を感じる。

千の RSS リーダーが再び咲き誇るように -- ここ TidBITS では、何千人もの読者たちが NewsGator Online や NetNewsWire を使っている。(RSS 購読者数のおよそ 15 パーセントにあたる。)だから、NetNewsWire とその対となる製品が、多くの人たちが技術サポートなしに依存している Google の、そのまた新たな一員と化して行くのを見るのはやはり心配だ。

けれども願わくは、このことによって RSS リーダーの市場に新たな息が吹き込まれ、NetNewsWire が無料でリリースされた結果大きな痛手を受けたこの分野にも変化が訪れることを期待したい。他にも現在開発中の RSS リーダーはあるが、全体的な沈滞の空気はあったからだ。

誰もがあまり物事に注意を注いでもいられないこの時代、RSS リーダーには新たな地平を開く方向がいくつか期待できるのではないか。注目度データを利用して、例えば私たちが何をどんなやり方で(そのリーダーの中で、あるいはクリックしてウェブページを開くことで)読んでいるかを追跡することによって、より重要度の高い項目をそのように提示することもできるだろう。現在既に、Cynical Peak Software の Cyndicate がこの機能を提供している。また、ブログやその他で人気のあるキーワードや語句を表示する、タグクラウドを組み合わせることもできるだろうし、すべての見出しを読まずとも何が重要かを手軽に見分けられるようなツールは他にもいろいろある。

さらにわずかな注意しか払えないとなれば、Twitter や Facebook との統合も、ユーザーによって、あるいは結果の種類によっては、完璧な情報補完ツールとなる可能性を秘めているだろう。

NewsGator は、人気あるソフトウェアの分野を取り上げて、そこに商用アプリケーションが生き残れないようにしてしまった際、ある種の約束を述べた。それは、会社として長期にわたってきちんとこれに取り組むということだ。ビジネス上の緊急事態がその誓約を反古にしたのかもしれないが、この会社が状況についてはっきりと伝え、ユーザーたちがスムーズに移行できるようにする、そういう面でもやり方がまずかったのではないだろうか。

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ExtraBITS、10-Aug-09 版

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

噂の Apple Tablet の推測モックアップ -- 開発者 Rainer Brockerhoff が、Apple Tablet の願いの泉に、自分の願いを込めたコインを最近投げ入れた。その後ブラジルのウェブサイト、Mac+ が、彼の瞑想をイラストレータ― Mario Amaya によるすばらしいモックアップとともに再掲載した。もちろんこれは空想にすぎないが、Rainer が iChat で私たちに言ったように、「人は夢を持つことができる」のだ。(リンク投稿 2009-08-10)

Macworld 表紙制作のコマ落とし撮影ビデオ -- インターネットで出版するのは簡単だが、紙上では難しい。私たちの言うことが信じられないのなら、iPhone 3GS で飾られた最近の Macworld 雑誌の表紙に、どれだけの労力が費やされているかを見ていただきたい。これは、Peter Belanger がコマ落とし撮影によって制作したビデオだ。(リンク投稿 2009-08-07)

最初の Apple ロゴデザイナーが、りんごのかじりを説明 -- あの有名な Apple のロゴの本当にあった裏話を知りたいと思わないかい。現在では肖像的といえるかじられたりんごを、1977 年にデザインした Rob Janoff を Creativebits がインタビューしている。彼は、リンゴがいったい何を意味するべきなのか、なぜリンゴが一口かじられているのかについての事実を正している。 (リンク投稿 2009-08-07)

Apple、開発者を追放し、アプリ多数を一掃 -- Ars Technica は Apple が最近、開発者 Khalid Shaikh の iPhone 開発者免許を剥奪し、彼の 900 以上のアプリを App Store から削除する決定をしたと報告した。Apple によると、Shaikh のアプリはニュースのコンテンツを集めて、表面的にすこし手を加えただけのもので、知的所有権を侵害していると、サードパーティーから頻繁に反対されてきた。App Store には 65000 以上のアプリがあると Apple は主張しているが、これをふまえて、このようながらくたアプリのニュースが耳に入るということは、良いアプリを見つけるのは大変ということの顕示なのだ。(もう一人の開発者は、Shaikh のそれと似たようなアプリを 2000 ほど持っているのだそうだ。) (リンク投稿 2009-08-06)

噂の Apple Tablet について Adam が Shawn King と対談 -- いやいや、私たちはこれについて本当のことはなにも知らないのだ。誰も知らないのだ。けれども、聞かれれば推測するというのが、批評家の仕事というものだ。だから、Adam は Your Mac Life のこのポッドキャストでホスト、Shawn King と噂で持切りの Apple Tablet についてあれこれ意見を述べ合っている。(リンク投稿 2009-08-06)

David Pogue、Amazon と Barnes & Noble の電子ブック提供を比較 -- 彼のNew York Times のコラムで、David Pogue は Amazon の Kindle 市場と Barnes & Noble の新しい多機器電子ブック提供を詳細に比較している。B&N が提供する著作数はあまりに少なく、検索結果では Google の古い、著作権のないパブリックドメインのものがごたごたしている。Mac と iPhone 用初版は、複雑なナビゲーションも必要としている。(リンク投稿 2009-08-05)

App Store にアプリ検索キーワード登場 -- iPhone 開発者達に喜ばれている、Apple のさりげない心使いを The Loop が報道している。アプリをキーワードで検索する機能だ。App Store では、現在 65000 ものアプリが入手可能であるのだが、アプリを見つけやすくしてくれるものは、何でも歓迎だ。(リンク投稿 2009-08-05)


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、10-Aug-09

  文: Doug McLean <doug_mclean@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Quark の QuarkXPress 8.1 はプロフェッショナル用デスクトップ出版ソフトウェアのメンテナンス・アップデートだ。この最新バージョンでは PDF 出力サポートを増やし PDF ワークフローをより良く制御できるようにした Native Transparency モードが加わった。また、スペルチェッカーを更新し、フォーマットなしにテキストをペーストできる機能、Scale 機能、まもなく登場する Mac OS X 10.6 Snow Leopard との互換性、Usability および Item Styles 機能の拡張なども盛り込まれた。このアップデートは Quark のウェブサイトから入手できる。(新規購入 $799、アップデート無料、662 MB)

Mozilla の Firefox 3.5.2 は人気のウェブブラウザへのセキュリティおよび安定性のためのアップデートだ。この最新バージョンはいくつかのセキュリティの問題に対処しており、アタッカーが任意の JavaScript をアクセス権昇格を伴って実行したり、任意のコードを実行したり、一見暗号化された通信に見えるものを傍受してなりすましに利用したりできてしまう問題点が修正された。また、今回のアップデートについてのセキュリティノートにはメモリ破壊につながるクラッシュのバグについても触れられているが、Mozilla は現時点でこれに対する修正を済ませておらず、心配なユーザーは修正版へ更新するまで JavaScript を無効にするよう勧めている。(私たちの解釈を言わせてもらえば、怪しげなサイトに入り浸るのでない限りたぶん危険はないと思ってよいのではないだろうか。)それからもう一つ、このアップデートでは ICC カラープロファイルを含む画像が、すべてのモニタで正しく表示されるようになった。(無料アップデート、17.6 MB)

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TidBITS Talk/10-Aug-09 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

常軌を逸した予想が外れた - いくぶん -- どうやら、Ford は自動車のダッシュボードソフトウェアに Windows の一バージョンを埋め込むようになったらしい。別の読者が実際に試してみて、その感想を語る。(メッセージ数 2)

AppleScript でイライラ -- ある読者が TidBITS Talk で助言を得るが、彼の問題はやはり解決されなかった。(メッセージ数 3)

Time Capsule が 2 TB に増える -- Apple 技術サポートの人によれば、最新の Time Capsule は新しいファイルシステムを使っているので、従来の Time Capsule に貯えられたデータとは互換でないそうだ。これって大嘘か? (メッセージ数 8)

Google Voice と外国の iPhone -- Google Voice アプリが App Store から排除されたことについて、この Apple の行動が外国で iPhone を販売する他のキャリアに与える影響について、読者たちが議論する。(メッセージ数 6)

NewsGator、同期と RSS でユーザを Google Reader に追いやる -- 同期サービスの終了を、NewsGator は急ぎ過ぎたのではないか? 読者たちがその影響と、これが RSS の将来に意味するものについて議論する。(メッセージ数 4)

プリンタのお薦めは? -- どれくらい古くなったら、もうプリンタを修理する価値はないと言えるのか? 読者たちのお薦めは新製品の、概ね安価なレーザープリンタだ。(メッセージ数 17)

ウェブホスティング会社 - どうやって善し悪しを見分ける? -- どの会社がお金を払う価値があるか、どの会社が頭痛の種となるか、どうすれば見分けられるのか? (メッセージ数 12)

Mac OS X 10.5.8 バグを修正、そしてセキュリティの穴を塞ぐ_ -- 最新の Leopard アップデートが Safari 4.0.2 をインストールすることに戸惑う読者たちがいる。これは既に以前から現行バージョンなのだから。また、AirPort ネットワークに問題が起こったと報告する読者たちもいる。(メッセージ数 6)


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