TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1004/16-Nov-2009

ホリデーシーズンが間近に迫ってきた。そこで、その気分に近づく第一歩として、毎年恒例の TidBITS ギフトガイドへの提案募集を開始するとともに、ホリデーの旅行中に使える無料 Wi-Fi ホットスポットアクセスの情報をお届けする。iPhone の世界では、iPhone や iPod touch をもっと使いこなすための役に立つ新刊電子ブック二冊の紹介と、iPhone 用デジタル FM チューナーのニュース、それに App Store で何件か受け入れ拒否があった話へのリンクをお知らせする。一方 Mac の側の物語としては、Matt Neuburg が Snow Leopard において Finder でコピーする際のバグを発見し、Adam は Mac OS X 10.6.2 でスクリーンセーバに導入されたバグを回避する方法のニュースを伝える。それから、Adam が USB ベースのビデオアダプタ ViBook+ をレビューするとともに、WikiReader を使って Wikipedia をいつもポケットに入れておける方法を説明し、Google Wave を包む WebKit ラッパーの Waveboard について検討する。今週注目すべきソフトウェアリリースとしては、Safari 4.0.4、Yojimbo 2.1、Wireless Keyboard Update 2.0、Freedom 0.5.1、Default Folder X 4.3.3、Microsoft Office 2008 12.2.3 Update、Firefox 3.5.5 がある。

記事:

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2009 年 TidBITS ギフトガイドにアイデア投稿お願いします

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ここ米国ではまだそれほど Thanksgiving (感謝祭) のムードが高まっているわけでもないが、でもハロウィーンが終わったとたんにあちこちの店ではクリスマスのデコレーションやディスプレイが飾られている。こんなに早くホリデーシーズンが始まることに、私たちはそれほど諸手を挙げて賛成する気持ちにもなれないのだが、そうは言っても毎年恒例のギフトガイドの準備のために読者の皆さんから提案を頂くための時間は十分に確保しておかなければならない。

エコノミストたちは消費者たちがちょっとでも財布の紐を緩めてグローバルな経済を活性化させる力になることを願っているだろう。今のご時世では経営難の投資銀行や破産した国家を特別の相手として選ぶことさえもはや可能ではないのかもしれないが、少なくともいたる所にいる Apple 愛好家たちは今でも TidBITS コミュニティーからのギフト提案をありがたいと思っている。

スケジュールは次の通りだ。11 月 27 日までの間に、読者たちがアイデアを投稿する。それから、オンラインのアンケートが開かれて 12 月 4 日まで誰でも自分のお気に入りに投票できる。そして、最も多くの投票を集めたとランク付けされたのが何だったかを、TidBITS の 12 月 7 日号で発表する。

既に、TidBITS Talk でいくつかの大まかなカテゴリーごとにスレッドが開始されている。素晴らしいプレゼントのアイデアを、ぜひここに寄せて頂きたいし、あるいはこの記事に対するコメントとして投稿して下さってもかまわない。電子メールで TidBITS Talk の購読をしている方は、該当するスレッドのメッセージに返信するだけでよい。ウェブで TidBITS Talk をお読みの方はウェブからの投稿もできる。該当するスレッドでウィンドウの一番下までスクロールすれば投稿フォームが見えるはずだ。

投稿の際には1メッセージごとに製品1つのみを紹介し、それを推薦する理由を書き、必ず URL を含めること。また、推薦するのは他の人の製品に限らせて頂く。

あなたの創造力の泉が湧き出すように、去年の“2008 年末 TidBITS ギフトガイド”(2008 年 12 月 8 日) とその前の“2007 年末 TidBITS ギフトガイド”(2007 年 12 月 10 日) に目を通してみて頂きたい。さらにもっと以前に読者たちがどんなものを推薦していたかの記憶を新たにするには、その前3年間、2006 年2005 年2004 年のギフト特集号がある。よろしくお願いします!

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ホリデー・スポンサーによる無料 Wi-Fi が多数

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ホリデーシーズンのきらめきは、もう既に私たちの頭上に来ているらしい。いろいろな会社が競い合うようにして、通常は有料のホットスポットでの Wi-Fi アクセスの勘定書を自社で引き受けようと言い出しているからだ。中でも注目すべきは普段最も料金の高いところ、つまり、飛行機の機内と、空港だ。

互いに何の関係もないのだが、eBay、Google、Microsoft、それに Yahoo が、今後数週間ないし数カ月間にわたり、さまざまのネットワークやサービスにおいて無料のアクセスを提供するスポンサーとなることを申し出ている。

その他にも、旅行者たちの中には米国内あちこちの有料ホットスポットで無料アクセスを受けられる人たちがいる。例を挙げれば、AT&T の DSL、ファイバー (U-Verse)、ラップトップ 3G サービスなど、Cablevision (サービスエリア内のみ)、Qwest (AT&T のホットスポット経由)、それに大多数の T-Mobile 携帯電話のデータ契約などを購読している人たちだ。AT&T の iPhone 購読者たちも AT&T のホットスポットで無料の Wi-Fi が使えるが、これは iPhone を使う場合のみに限られている。

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iPhone と iPod touch に関する新しい電子本

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

自分の持っている iPhone や iPod touch の使い方で混乱している人、或いは中身がもっとよく理解出来ればもっと使い道も増えるのにと感じている人のために、二冊の新しい Take Control 電子本が出され、お手伝いの準備が出来ている。

June 2009 に iPhone OS 3 と iPhone 3GS がリリースされた後、我々も間をおかずにこれらの電子本をリリースしたいとは思っていたのだが、我々の考える深さと磨きをこれらの電子本に与えるのに苦労していた。そうこうしている内に、Apple が iPhone OS のアップデートを数回行い、そして Snow Leopard と iTunes 9 をリリースしたので、我々もこれらの変更を取り込むことが可能となった。と言うわけで、我々はここに本当に最新の情報を盛り込んだ二冊の電子本を発表できるのを極めて嬉しく思う:Jeff Carlson の "Take Control of Your iPhone Apps" と Ted Landau の "Take Control of iPhone OS 3" である。

これらの本は個別でも、両方をバンドル割引で買うことも出来る。

もしあなたが Ted の iPhone についてのこれまでの Take Control 電子本 - "Take Control of Your iPhone" - をお持ちなら、これはその電子本の 3 版目になることを知って欲しい。あなたはもうこれまでにこの本のアップデート情報をメールで受取っているはずである;もし受取っていない、或いはこの本の 2 版目を 1 May 2009 以降に買ったと言う人は、その電子本の PDF を開いてそして - 1 ページにある - Check for Updates ボタンをクリックして欲しい。

もしこの両方の本を買いたいと言うのであれば、値引きが適用になる;上記リンクにある本のその左側を見れば、両方を買って 20% 引き、或いは関連した話題について追加の電子本が欲しければ 30% の値引きをが目に付くはずである。

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iPhone 用の HD Radio アダプタ

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Radio Shack は外部アダプタを使ったデジタル FM を iPhone にもたらした。しかし、これは必要なのであろうか?この $79.99 の iPhone アダプタは - 深呼吸 - Gigaware In-Line Control with HD Radio for iPhone と呼ばれ、一般的には "in-band on-channel" ($79.99 の iPhone アダプタ) として知られている HD Radio を聞くことが出来る。デジタルラジオはアナログ信号と一緒に放送されており、 米国では約 2,000 局が行っており、主として主だった民間局チェーンと公共ラジオが行っている。

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HD Radio 受信機と iPhone を一緒にするのは多少奇妙な組み合わせとなる、と言うのも iPhone には、無料と有料のアップスを使って全ての形のストリーミングとダウンロードされたオーディオを聞ける本当に多くのオプションが用意されているからである。無制限データの契約を持ちながら一方で iPhone アプリ経由で選局出来る信号をストリームするだけのアクセサリを管理するというのは重複の様に思える。或いは、単純にポッドキャストを聞くと言う手だってあって、こちらでも HD Radio と同程度かそれ以上の品質は期待できるし、自分の好きな時に聞けるという利点もある。

私が思うに、このアダプタは HD Radio を携帯できる様にする;デジタル FM を聞く大抵の人はカーステレオ受信機を使って聞いている。しかしあなたは強度の強い放送信号が受けられそしてあなたの地域の数に限りのあるデジタル放送局が流しているものに依存せざるを得ない - デジタル信号を一つでも受けられる様な比較的大きな都市に住んでいればの話ではあるが。(HD Radio をカーラジオで聞くことについての更なる話は "Tag Radio Songs for Later Purchase While You Drive," 19 June 2009 を参照。)

Apple は一つの機器で内蔵のアナログ FM 受信を提供している:それは新しくなった iPod nano である。iPhone と iPod touch にはラジオの機能は無いが、セルと Wi-Fi 接続上で各種の無料又は有料のインターネットラジオアップスを使うことが出来るし、或いは単純にポッドキャストをダウンロードしてオフラインで聞くことも出来る。(nano のラジオ機能についての更なる背景については "iPod nano、ラジオのインターフェイスと機能で不満だらけ" 28 September 2009 を参照)。

Gigaware 機器の説明には AM 選局、或いはアナログ AM 又は FM 受信については何も触れられていない。AM 或いは FM 放送局のうちでデジタル放送を提供しているのは技術的そして法的理由からほんの一部でしかない。

HD Radio 選局が組み込まれている唯一の携帯メディア機器は Microsoft の Zune HD である。私は Zune HD をリリースされた後試験してみたが選局機能は劣悪であった - これは iPod nano のための Apple の選局機能と同程度に悪い - もっとも Seattle のデジタル FM 放送を選局することは出来た。

Gigaware アダプタは iTunes Tagging をサポートする。これは今聞いている曲を後で iTunes Store で買えるよう印を付けさせてくれる。しかし、曲を特定するために Apple によって要求されている放送タグフォーマットをサポートしているのは、現在は Clear Channel だけであり、これでは今のところあまり役に立たない。

Gigaware アダプタを動かすには別の無料のアプリケーションが必要であり、それは多くの点で外部ラジオの様に働く。アダプタは外部制御部を持ち、それはボリューム、プレイ/一時停止、巻き戻し、そして早送りである。一時停止機能がどう働くのかの詳細は出されていない。

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DealBITS 割引: Labels & Addresses が 30% 安くなる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の DealBITS 抽選で当選し、 Labels & Addresses 1.3.3 ($49.95 相当) を受け取ることになったのは、mac.com の Bill Gruber、pobox.com の Louis Mendelowitz、maya.com の Paul Gould の3名だ。おめでとう! 残念ながら当選しなかった皆さんもがっかりすることはない。BeLight Software では、2009 年 12 月 9 日までの期間、Labels & Addresses 1.3.3 をすべての TidBITS 読者の皆さんを対象に 30 パーセント割引の価格で提供しているからだ。今回の DealBITS 抽選に応募して下さった 698 名の皆さんに感謝するとともに、これからも多くの方々に参加して頂ければと願っている。

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10.6.2 で壊れたスライドショー・スクリーンセーバを修正

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X 10.6.2 にアップグレードした後で、私は約束があって外出しなければならなかった。帰宅して Mac の前に戻ってみると、スクリーンは真っ黒で、その上にあの恐ろしい「死の回転ピザ」が回っていた。スクリーンセーバがクラッシュしたのだと分かったが、マシンを正常に戻すためには強制的に Mac 自体をシステム終了させる以外に方法がなかった。

問題の原因はすぐに分かった。Mac OS X に内蔵された Slide Show スクリーンセーバだ。(2009 年 11 月 9 日の記事“Mac OS X 10.6.2、多数のバグやセキュリティ問題に対処”参照。)これは、指定されたフォルダから、または iPhoto から、写真読み込んでスライドショーを表示する。これまでは、非常に多数の画像があっても冷静沈着に表示していた。それは必要なことだった。なぜなら、写真を表示するスクリーンセーバが退屈に陥らないためには、何千枚という写真を揃えておくしかないからだ。

ところが、10.6.2 にアップグレードして以来、この Slide Show スクリーンセーバは(テストにはシステム環境設定 Desktop & Screen Saver パネルのプレビュー画面を使ったが)従来は数秒でスキャンできていたフォルダをスキャンするのに数分間もかかるようになった。そして、写真の枚数が多過ぎれば、Slide Show スクリーンセーバがハングしてしまい、システム環境設定を強制終了しないと脱出できなくなる。フォルダの中に比較的少数の画像しかない場合には問題は起こらない。それ以上調べる時間もなかったので、私はとりあえず Slide Show スクリーンセーバが使われないように設定しておいた。

ここで Ernst Mulder の慧眼に感謝したい。彼も同じ問題に遭遇したのだが、彼は回避方法を発見してそれを Apple の Support Discussions フォーラムに投稿してくれたのだった。(そして、そのことを知らせてくれた TidBITS 読者 Judson Dunn にも感謝!)Ernst の分析によれば、新バージョンの Slide Show は Spotlight 検索を使わずにファイルを一つ一つスキャンして利用可能な画像を探すという。(おそらくランダム化のためなのだろう。)だからこそ、Spotlight インデックスを再構築しても、Combo アップデータを使って 10.6.2 を再インストールしても、クリーンなユーザアカウントでテストしても、状況は改善しなかった。

それから、Ernst は次の方法で問題が回避できることを発見した。Slide Show スクリーンセーバパッケージの中心となるコンポーネントを、10.6.1 のもので取り替えるのだ。私は彼の勧める方法を試してみたが、確かにそれでうまく行くようだった。ただしもちろん、この修正を実行するためには 10.6.1 の走る Mac にアクセスできる必要がある。置き換えるのに必要なファイルは深くネストされた場所にあり、しかもこれを新しい場所へコピーするには認証が必要だ。ファイルのパスは次の通りだ:

/System/Library/Frameworks/ScreenSaver.framework/Versions/A/Resources/Pictures Folder.saver/Contents/MacOS/Pictures Folder

なお、"Pictures Folder.saver" の中身を見るためにはそのファイルを Control-クリックして、そこで出てくるコンテクストメニューから Show Package Contents (パッケージの内容を表示) を選ばなければならない。するとその後を辿れるようになり、"Pictures Folder" ファイルに至ることができる。万一の場合に備えて、10.6.1 から持ってきたファイルで置き換える前にその 10.6.2 のファイルのバックアップを作っておくのがよいだろう。

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Waveboard で Google Wave の波に乗ろう

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は Mailplane の大ファンだ。これは Uncomplex から出ている Gmail 用の WebKit ラッパーだが、Gmail の賢いインターフェイスの技を持ったままで、同時に Mac 独特の機能、例えば添付ファイルのドラッグ&ドロップ、Growl 通知、内蔵のスクリーンショット機能なども統合しているからだ。その上、Mailplane はウェブブラウザの中に開いたタブという、どうしようもない泥沼の中から Gmail だけを取り出してくれる。これこそが鍵だ。私は電子メールとウェブブラウジングとを互いに全く異なるものと考えているので、両者は Mac の上で別々のアプリケーションで使うのが望ましい。

だから、Waveboard という新しいアプリケーションがあって、Google Wave に対してこれと同じ魔法を提供してくれると聞いた時、最近 Google Wave に招待をもらっていた私は喜んでこのチャンスに飛びつき、さっそく Waveboard の Mac 版をダウンロードしてみた。

Dirk Holtwick の書いた Waveboard 0.9 は、現時点ではごくシンプルなアプリケーションだ。実際ただ Google Wave ウェブページを表示して、さまざまのシステムリソースに結び付けてくれるだけだからだ。けれども他の多くの Mac アプリケーションと同じく、ほんのちょっとしたことがそれを成功に導く。具体的には:

私はまだ Google Wave に精通しているとはとても言えない。けれども、次第にいろいろな TidBITS スタッフたちが参加していくに従い、私たちはこれからますますこれを使いこなして、インターネットのコミュニケーションと共同作業の世界の中でこれがどのような役割を果たすのか、だんだん分かってくると思う。もし、あなたも Google Wave に何ができるのか試してみたいと首をひねっているのならば、ぜひ Waveboard を試してみて頂きたい。これがあれば、毎日の生活の中に Google Wave を溶け込ませることがぐっと易しくなるだろう。

Waveboard は Mac OS X 10.5 Leopard かそれ以降を要し、ダウンロードサイズは 915 KB だ。このプログラムは無料だ。私の知る限り、Dirk Holtwick は将来これを有料にするつもりかどうかについて何も言っていない。

Dirk はまた iPhone 版の Waveboard も $0.99 でリリースしている。これで、Safari のブラウザコントロールが画面を占めることなく Google Wave で作業ができるようになる。現在認可待ち状態の iPhone アプリもあって、こちらは push 通知を追加し、アプリが起動する度に最近の wave のリストを読み出し専用で表示するオプションも加えることになる予定だ。

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WikiReader で Wikipedia をポケットに

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は Openmoko の可愛らしい WikiReader 機器に、まだ実際に手で触れてみたことはないが、10 歳になる息子の Tristan がインターネット上で他のどんなことにもまして Wikipedia を読むのが好きという性癖を持っていることを考えれば、今度のクリスマスプレゼントにはきっとこれを候補に挙げざるを得ないと思う。

この機器のコンセプトはシンプルだ。手頃な価格のハンドヘルド機器の中に Wikipedia のすべてを埋め込もうというのだ。元 Apple デザイナーであった Thomas Meyerhoffer のデザインによるこの WikiReader は、縦横 3.9 インチ (9.9 cm) 平方で厚さ 0.8 インチ (20 mm)、重さは 4.5 オンス (127 g)、つまり iPod touch を正方形にした程度の大きさで、二倍の厚みだが重さは半分くらいだ。

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表示のために、WikiReader には 傷防止処理の施されたガラスのタッチスクリーンを備えている。グレイスケールの画面だが、解像度やグレイ階調の仕様について私はまだ知る機会がない。私の知る限りバックライトはないので、暗い所では使えない。

あなたはほとんどのことを、つまりスクロールしたり、検索語を入力したり、リンクをクリックしたりといったことをタッチスクリーンの上で行なうが、物理的なボタンも3つあって、それぞれ見た通りの働きをする。Search (検索) と History (履歴)、それから偶然の出会いを求めてのブラウジングがしたくなった時のための Random (無作為) ボタンだ。WikiReader はオープンなソフトウェアしか使っていないとのことで、Openmoko は近いうちにソースコードを公開するという。

電源には標準の AAA (単4) 電池2本を使う。これで、WikiReader を通常の使用で(よく聞いて欲しい)一年間程度も使えるという。ひっきりなしに充電しなくてもいい機器って、嬉しいじゃないか。

もちろん、電力消費がこれほど少なくて済む理由は、WikiReader には接続性が一切ないということだ。その代わりに、三百万件もある英語版の Wikipedia 記事のすべてが一枚の microSD カードに収められている。おそらくサイズは 8 GB だろう。ユーザーが microSD カードリーダーを持っている場合には無料でアップデートをダウンロードできるが、アップデートのサイズは現時点でも 4 GB 以上ある(将来も増え続けるのみ)ので、Openmoko では6ヵ月ごとに新しい microSD カードを郵送してくれる年額 $29 のアップデートサービスも提供する。

このようなアップデート方法には二つ欠点がある。まず、Wikipedia は常時進化して、誤りを修正したり新しい記事を追加したりし続けているのに、この WikiReader はある時点でのスナップショットしか表示できない。さらに、Wikipedia はインターネット上の情報元サイトへのリンクを数多く提供しているが、それを辿ることができない。

けれどももちろん、このように接続性を排除したからこそ極端に長いバッテリ寿命が実現されたのであり、WikiReader がどんな場所でも確実に働くことが保証された上に、子供たちが勝手にウェブをブラウズするのを心配する親たちの不安を解消することもできたのだ。どうやら、WikiReader にはさらに追加のペアレンタルコントロール機能も含まれているらしい。Wikipedia には、親によっては自分の子供に読ませたくないと思うような情報も確かにあるからだ。

iPhone や iPod touch で Wikipedia アプリを使えば、WikiReader で読むよりももっと最新の情報が、カラー付きで提供されることに疑いの余地はない。けれども Openmoko は WikiReader のこの価格とサイズ、そしてあえて柔軟性を排除したことによって、特定の年齢層の子供たちに最適の製品という、まさに金鉱脈を掘り当てたのかもしれない。

現時点で WikiReader は英語のみで提供されているが、もしもこれが十分な人気を博することになれば、Openmoko も他の国の言語を使ったバージョンに乗り出すかもしれない。あるいはひょっとして、さらに大容量の microSD カードを搭載することによって、言語にかかわらずすべての Wikipedia 記事を収めた国際版もあり得るかもしれない。

WikiReader は $99 で Openmoko から直接販売されている。

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Snow Leopard の Finder でコピーのバグ

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Snow Leopard にこんなバグがあることが分かった。私はこのことがどこかで報告されているのを(少なくとも同じ形のものとしては)見たことがないので、皆さんにも再現できるかどうか試してみて頂けるよう、以下に説明してみたいと思う。このバグを発生させるには2台のコンピュータが必要で、そのうち少なくとも1台は Snow Leopard を走らせている必要がある。

準備 -- その2台のコンピュータをそれぞれ A と B と呼ぶことにしよう。マシン A は Snow Leopard を走らせていなければならない。マシン B が何を走らせているかはあまり関係ない。私はマシン B を Leopard と Snow Leopard でテストしてみたが、違いは起こらなかった。マシン B ではファイル共有がオンになっていなければならない。以上の準備が済めば、あとの作業はすべてマシン A 上で行なう。

実行 -- このバグを発生させるには(マシン A 上で)以下の作業をする:

  1. マシン A に(ファイル共有で)マシン B をマウントする。こうして、あなたはずっとマシン A 上で作業をし続けるのだが、マシン A 上の Finder にはマシン B のフォルダが見えている。
  2. The Omni Group の OmniDazzle をこのリンクを使ってダウンロードする。(このバグはおそらくそれ自体としては Omni のアプリケーションと何の関係もないが、Omni のアプリケーションの多くが実際このバグを示してくれるので、ここでは例としてその中で小さいアプリケーションを一つ挙げてみた。
  3. 自動的に開かれてマウントされているのでない場合は、そのダウンロードした .dmg ファイルを開く。法的条項に同意すれば、あなたの眼前にはマウントされた OmniDazzle ボリュームの上に OmniDazzle アプリケーションがあるはずだ。
  4. その OmniDazzle アプリケーションを、マウントされた OmniDazzle ボリュームから、マシン B のフォルダへとドラッグしてコピーを試みる。ところが、これができない。Finder から Error -36 を報告するダイアログが出るだけだ。これが、問題のバグだ。
    Finder-copy-error

さらなる詳細情報 -- このバグは、OmniDazzle アプリケーションがもともとマウントされた .dmg イメージの上にあったこととは何ら関係がない。私はただ話を単純にするためにマウントされた .dmg を使っただけだ。例えばその OmniDazzle アプリケーションをまずマシン A へ(例えばデスクトップへ)コピーして、その後でそのコピーをマシン B へとコピーしようと試みても、やはりこのバグが起こる。

このバグは一方向にしか働かない。OmniDazzle をマシン A からマシン B へとコピーすることはできないが、(あなたがマシン A で作業しているとして)マシン B からマシン A へコピーするのは問題なくできる。

このバグが起こるのはどうやらアプリケーションをコピーする場合に限られるようだが、その点私は完璧に自信があるわけではない。その上、どんなアプリケーションでもこれが起こるわけでもない。さきほども言ったように、Omni のアプリケーションではたいてい起こるので、分かりやすい例としてその一つを挙げてみただけだ。

このバグはファイル共有に関係がある。もしもマシン A とマシン B が何か他の方法で接続されている場合、例えば、マシン B が FireWire Target Mode でマシン A 上にマウントされた場合には、何も問題は起こらない。

このバグは Snow Leopard に関係がある。もしもマシン A が Leopard を走らせているならば、何も問題は起こらない。

このバグは Finder に関係がある。Terminal で Unix の cp コマンドを使ってコピーすれば、問題なくコピーできる。(サンプルとして Terminal コマンドを書いておくが、cp のことをよく分かっている人以外は実行しないで頂きたい。このシンタックスは用心が必要で、ちょっと間違えただけでも大変なことになる危険がある。)

cp -a /Volumes/OmniDazzle/OmniDazzle.app /Volumes/mattleopard/Desktop/

このような方法で cp を使う際には Terminal にいくつかエラーメッセージが出るが、それらは特に重大なものではないようだ。アプリケーションが丸ごとコピーされ、遠隔マシンでちゃんと走る。実際、これらのエラーメッセージと、問題の Finder からのエラーメッセージとの間に何か関係があるのかどうか、私にはよく分からない。どなたか、拡張アトリビュートやシンボリックリンクについて私よりも精通している読者の方ならば、どうなっているのかを説明できるかもしれない。

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ViBook+ でデスクトップにもっとピクセルを

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今年の前半に、Jeff Carlson が ViBook をレビューした。これは $129 の機器で、どんな Mac (あるいは Windows の走る PC) でも USB 経由でモニタを追加できるというものだった。(2009 年 5 月 29 日の記事“3つのスクリーンを ViBook で実現”参照。)Apple のデスクトップ Mac は今ではすべて少なくとも2台のモニタをサポートしているし、適切なビデオカードを装備した Mac Pro ならばもっとたくさん追加できるのだが、Apple のラップトップ機では追加のモニタは1台に限られる。

「ちょっと待って」とあなたは言い出すかもしれない。「いったい何のために Mac に2つもモニタを付けたいのか」と。それはね、皆さん、生産性です。生産性を向上させるためですよ。Spaces はとても素敵で役に立つけれど、スクリーンの土地面積を広々と持つことに優るものは何もない。私は 1990 年の SE/30 以来ずっと、自分の Mac をすべて複数モニタで動かしてきた。仕事のためにシングルモニタの Mac を使うなんて、私には考えられない。

「それは結構」とあなたは言うだろう。「でも、MacBook や MacBook Pro に3台もモニタが欲しいのはいったいなぜ? それは必要以上のことじゃないのか」と。そんなことはない。具体的に統計数字を挙げることはできないが、長年の私の経験から言えば、マッチしない2台のモニタよりも、サイズとスクリーン解像度の一致した(できればメーカーも同じ)2台のモニタを横に並べる方がずっと良い。

普通は、13 インチ MacBook で、私は 1900×1200 で走る 24 インチディスプレイを1台繋いでいる。でも、それを MacBook 自身の 1280×800 ディスプレイと並べようとしても、良く言えば具合が悪く、悪く言えば人間工学的に最悪だ。欲張りと呼ばれてもかまわない。もしも MacBook か MacBook Pro が私の唯一の Mac だったとしたら、そのラップトップ機自身のディスプレイに加えて、ぜひとも2台の 24 インチディスプレイが欲しい。

一年前、2008 年の末ごろ、13 インチユニボディの MacBook を買った時に、私はそれを実現したくて必死に試みたが、どうしてもできなかった。当時の ViBook では 1680×1050 よりも大きなディスプレイを動かすことができなかったからだ。あらゆる種類のハックを研究してみたが、結局あきらめて Mac Pro を1台買い、Dell の 24 インチディスプレイ2台を動かすようにした。(Dell のディスプレイは Apple のものほど良くはないが、Mini DisplayPort でなく標準の DVI を使い、その上価格も半額だった。)当時の私は“iPhoto '09: Visual QuickStart Guide”の新版を InDesign で書き始めていて、できるだけ広いスクリーン空間が必要だったのだ。

でも、Jeff Carlson は、解像度の限界などものともせずに、ViBook を試してみた。その結果は、確かに動くけれども、いろいろと問題が起こるというものだった。まずは 3D 加速が働かず、ディスプレイのカラー補正ができない上に、パフォーマンスも比較的遅かった。そういった制限の存在は、このディスプレイでは iPhoto スライドショーや Keynote プレゼンテーション、あるいは iMovie などが全然使えないということを意味していた。ビデオやゲームは動いたが、パフォーマンスが悪く、そのため ViBook で動かしたディスプレイはそういった目的にも実際は使い物にならないことが多かった。

そういうわけで、VillageTronic の米国における販売業者である Harmonic Inversion Technology が再び私たちに連絡してきて $139 の ViBook+ が出たと伝えてきた時、私はこのチャンスに飛びついてテストしてみた。その理由は、この ViBook+ が最大 1920×1200 の解像度でモニタを動かすことができるからで、これで私の 24 インチディスプレイとも互換になる。(これは最大 28 インチのモニタで働く。)また、新しい DisplayLink チップを使っているのでパフォーマンスも向上しているとのことだ。それらの点以外では、あとで述べる例外点を除いて、これは今年の前半に Jeff がレビューしたユニットとほぼ同一だ。(だから、購入を考慮中の方にはぜひ彼のレビュー記事を読むことをお勧めする。)

この ViBook+ のインストール CD には Mac 用ドライバが付属しておらず、その代わりにダウンロードを要する。また、 Snow Leopard 用にはベータ版のドライバしかまだ出ていない。(一番下にスクロールすれば最新バージョンが見える。)けれどもインストールは問題なく済み、私の MacBook は即座にこの小さな ViBook ボックスに繋いだ 24 インチモニタを認識した。Displays システム環境設定パネルも問題なく ViBook 駆動のディスプレイを認識し、直接接続の 24 インチモニタと、MacBook の内蔵モニタとともに配列もできた。

Triple-monitor-setup

私の使ったベータ版ドライバには新しいリリースノートが何も付いていなかったが、Jeff が遭遇していた互換性の問題のいくつかが解消していることに私は気付いた。ただ、代わりに新しい問題も起こっていた。iMovie は起動し、ViBook 接続のモニタの上で動作するように見えたけれど、私はあまり iMovie を使いこなしていないのでそれ以上注意点があるのかどうか知らない。iPhoto のスライドショーは問題なく動いたが、奇妙なことに、iPhoto での編集がうまく行かなかった。

パフォーマンスは完全に満足できるものだった。ウィンドウをつかんで素早く上下に動かしてみれば ViBook が MacBook 内蔵のグラフィックコントローラに追い付いていないのが見て取れたが、通常の使用では何もトラブルとなることはなかった。YouTube ビデオは普通のウィンドウでならばまあまあうまく再生でき、ほんの時折つっかえる程度だったが、フルスクリーンに拡張した場合には惨めな結果に終わった。すぐにビデオとオーディオの同期が失われてしまうからだ。私はゲームをプレイしないが、きっとフルスクリーンのゲームには同様の問題が起こるだろうと思う。

幸運なことに、これらのパフォーマンスの難点もたいていの場合には実際上の問題とならないはずだ。なぜなら、問題が起こればただそのプログラムを内蔵のモニタか直接接続のモニタかに移動すればよいだけだからだ。

最後にもう一言。1台の Mac に最大4個の ViBook+ アダプタを接続できるが、私の経験ではよほど視力の良い人でない限り2台の 24 インチディスプレイを横に並べた状態を超えてもっと多くするのはかえって使いにくくなるだろうと思う。それより外側は、私の視力では焦点が結べないだろう。

簡単に言えば、この ViBook+ こそ私が一年前に欲しかった製品だ。あの時これがあれば、私は Mac Pro でなくこちらを買っていただろう。Harmonic Inversion Technology から $139 で出ているこの製品は、どんな Mac にも追加のモニタを増やすことのできる安価な手段となる。その機能の限界を理解した上で購入に踏み切るのならば、きっと後悔はしないだろう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2009 年 11 月 16 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Safari 4.0.4 -- Apple が Mac OS X 10.6.2、多数のバグやセキュリティ問題に対処 をリリースした。Mac OS X 10.4、10.5、10.6、または Windows 用の、メンテナンスおよびセキュリティ用のアップデートだ。主な変更点は JavaScript パフォーマンスの改善、非常に大きな履歴フォルダでのフル履歴検索の改善、サードパーティプラグインや Yahoo Mail、検索フィールドの安定性の拡張などだ。

このアップデートではまた数多くのセキュリティの問題にも対処が施された。例えば libxml2 の脆弱性のために悪意を持って作られた XML コンテンツを解析する際にクラッシュする可能性のあった問題や、「イメージを新規タブで開く」オプションを使って Safari がナビゲーションを始めた場合にローカルな情報が開示されてしまうことのあった脆弱性などだ。また、WebKit 関係の脆弱性も三つ修正され、それぞれ Cross-Origin Resource Sharing の実装方法に関するもの、FTP ディレクトリのリスト処理についてのもの、それに外部リソースを指す HTML 5 Media Element に遭遇した場合の挙動に関するものだ。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページからも入手できる。(無料、28 MB)

Yojimbo 2.1 -- Bare Bones Software が、情報整理ツール Yojimbo の最新バージョンをリリースした。Yojimbo 2.1 では、Drop Dock 機能が Expose の Show Desktop モードでも利用できるようになり、Speech と Transform のコマンドが Edit メニューから利用できるようになった。また、Snow Leopard でのスペルチェックとテキスト置換、データ検出機能のサポートが追加された。バグも数多く修正され、その中には Downloads ウィンドウをクリアしたり閉じたりした場合にクラッシュしていたバグもある。 完全なリリースノートは Bare Bones のウェブサイト で読める。($39、アップデート無料、6 MB)

Wireless Keyboard Update 2.0 -- Apple がファームウェアアップデート Wireless Keyboard Update 2.0 をリリースし、ユーザーが 2009 年のワイヤレスキーボードの特殊機能を利用できるようにした。リリースノートには具体的にどんな機能かの説明はないが、Expose や Dashboard などのシステム機能にファンクションキーでワンタッチのアクセスができることが含まれているのは間違いないと思われる。このアップデートをインストールするには Mac OS X 10.5.8 かそれ以降を走らせている必要がある。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページからも入手できる。既に Mac OS X 10.6.2 をインストールしたユーザーはこのアップデートをインストールする必要はない。これは、そのオペレーティングシステムのアップデートに含まれているからだ。(無料、10.95 MB)

Freedom 0.5.1 -- 何もかもぐずぐず先延ばしにしてしまうあなた自身のインターネット習慣から逃れる方法を探していませんか? 私は以前確かにそういう気持ちになったことがあり(2008 年 12 月 4 日の記事“デスクトップで気を散らすものを最小化”参照)私の気持ちを仕事から逸らせないために作られた新しいアプリケーションがないものかと常に注目している。もしあなたも同じ気持ちなら、Fred Stutzman のインターネット・ブロック用アプリケーション、 Freedom の最新版を試してみてはいかがだろうか。この最新版での変更点は、何らかのネットワークアクセスを必要とするアプリケーションへのサポート向上、遠隔ファイルシステムのサポートの改善、安定性の拡張などだ。また、詳細は分からないが Microsoft Word に関係したバグが一つ修正されている。(無料、771 KB)

Default Folder X 4.3.3 -- St. Clair Software が 開く・保存 ダイアログ拡張ユーティリティ Default Folder X のメンテナンスおよび安定性アップデートをリリースした。バージョン 4.3.3 では旧バージョンの Mac OS X に関する互換性の問題が数多く修正された。具体的には、Leopard 下で Default Folder X が過剰に CPU を消費してしまう問題や、Tiger 下で Default Folder X が Carbon アプリケーションとともに動作できなかったバグなどがある。また、インストーラがインストール後に自動的にプログラムをスタートさせるようになり、Shift キーが Finder Windows、Disks、Favorites のメニュー項目の順序を正しく反転させるようになった。(新規購入 $34.95、アップグレード $14.95、2007 年 6 月 1 日以降にバージョン 4.x または 3.x を購入した場合は無料アップデート、10.7 MB)

Microsoft Office 2008 12.2.3 Update -- Microsoft のリリースノートによれば、この Microsoft Office 2008 12.3.3 アップデートには重大なセキュリティの修正が一つ含まれ、さらに大幅な安定性の改善も施されている。どうやら Office 2008 には欠陥があって、これを突くことによりそのコンピュータを遠隔からコントロールできてしまう攻撃の可能性があったようだ。その際、アタッカーは特別に作り上げられた Word または Excel ファイルを用いてそれをユーザーに開かせなければならなかった。この攻撃が実際に行なわれたという報告はなく、Microsoft はこれを個人的に報告されたものとしている。

サイズの大きなこのアップデートは、すべての Office 2008 アプリケーションについて安定性の改善も施している。Take Control 電子ブックの作業をしている私たちにとっては、Word 2008 で「書類の中で追跡された変更を受け取った際」の安定性が改善されたという文言は天から授かった音楽のように聞こえる。私たちは書類を編集する際に変更点の追跡を始終使っており、改訂の度にいつもクラッシュに悩まされてきたからだ。(無料アップデート、349.5 MB)

Firefox 3.5.5 -- Mozilla が人気のインターネットブラウザ Firefox にマイナーな安定性アップデートをリリースした。リリースノートはごく簡潔で、このアップデートが「いくつかの安定性の問題」を修正したとしか書いてない。バグリストを詳しく見ればいくつかのクラッシュのバグが修正されたことが分かるが、その中には GIF デコーダに関係したものが一つと、起動時のものが一つある。(無料、17.6 MB)


ExtraBITS、2009 年 11 月 16 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Jeff Carlson が MacVoices で iPhone アプリを Take Control -- すべての人の iPhone アプリをコントロールするなんてとても難しいことだが、もしも MacVoices の Chuck Joiner が私に向かって、あなたの iPhone アプリを私がコントロールしていると言ってくれるのなら、私も彼の言葉に従わなくてはなるまい。真面目な話、私の新刊電子ブック“Take Control of Your iPhone Apps”について Chuck と対談しつつ、私は充実した時を過ごせた。サードパーティのアプリが 100,000 個も iTunes App Store で利用できるともてはやされながら内蔵のアプリが軽視されているのはどうしたことか、iPhone を持っている人も iPod touch を持っている人もどうすればたくさんのアプリをより良く使いこなせるようになるか、といった話題が出た。

Rogue Amoeba が App Store 最新の愚かさに苦しむ -- iPhone App Store で長らく続いている一連の困った事件の最新の発生を、長年の Mac 開発者 Rogue Amoeba が物語る。一言で言えば、既に認可済みであった Airfoil Speakers Touch アプリのバージョン 1.0.1 アップデートが認可されるまでに何と 100 日以上もかかり、その理由が「Apple の所有するグラフィックシンボル」がこのアプリに表示されるからだという。けれどもこのシンボルはまさにその目的で、Mac OS X の中の公共の機能によって提供されているものなのだ。何と恥ずべきことか。

Macworld が App Store の認可「プロセス」に苦しむ -- Macworld にいる私たちの友人諸氏が、Apple の App Store の認可プロセスという超現実的世界にズッポリとはまり込む。それが「認可プロセス」と呼んでよいものならばだが。彼らは、電子ブック“Macworld iPhone & iPod touch Superguide”の iPhone アプリ版を出版しようとしていただけだった。ここでもやはり、最終的に解決にたどり着けたのは悪い評判が立ったからだった。Apple は、いつになったら分かるのか?

脱獄後の iPhone、ワームに攻撃されるおそれあり -- TUAW の報告によれば、脱獄 (jailbreak) を施された iPhone でユーザーが SSH をインストール後にデフォルトのパスワードを変更しないでいた場合に背景の壁紙を変更してしまうというワームが出回っている。これはそれほど大きなセキュリティホールとは言えない。なぜなら、iPhone に脱獄を施しているユーザーの数は少ないし、それをしている人の多くはデフォルトの SSH パスワードを変更するだけの注意力があると信じたいからだ。けれどもこれは少なくとも注意喚起の警告にはなるだろう。もしもあなたがドアを開いたままにしておけば、誰かが入り込んできて何か不愉快なことをして行くかもしれないのだ。

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TidBITS Talk、2009 年 11 月 16 日 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の TidBITS Talk の議論には、新しい話題がいくつか登場した。トラブルシューティング関係では、Microsoft AutoUpdate が繰り返し変換ユーティリティを推し続けるのはなぜか、Magic Mouse を Mac Pro に繋いだ場合にトラッキングが必ずしも良くないのはなぜか、iMac の FireWire バスに問題が起こっているのは何が原因か、読者たちが診断する。また、学校で Mac ヘルプデスクを作る方法、仮想の壁面で写真をプレビューする方法、旧バージョンの Mac OS を入手する方法についても提案が寄せられる。さらに、Apple 対 Psystar の裁判に判決が出たこと、オフィスで Mac を使う場合と Windows PC を使う場合での継続的コストなどの話題も出る。

Open XML File Format Converter for Mac 1.1.3 -- Microsoft の Mac AutoUpdater アプリケーションにはバグがあって、そのため新しいアップデートの通知が繰り返し出ることがある。(メッセージ数 5)

Magic Mouse のトラッキング -- 新しい Magic Mouse を Mac Pro で使うと、トラッキングに問題が起こるようだ。でも他の Mac には影響はない。(メッセージ数 7)

より良い IT ヘルプデスクを作る -- ある読者が学校で 1,000 台の Mac をサポートする IT ヘルプデスクを新たに作ろうとしていて、最もうまく行くようにするにはどうすべきか、提案を求めている。(メッセージ数 9)

仮想の部屋に写真を吊るす -- 写真を展示する壁をデザインする助けとなるように、実際に作る前に見栄えがどうなるかプレビューできるようなソフトウェアを、ある読者が探している。(メッセージ数 3)

Apple 対 Psystar - Apple が勝訴 -- 誰も驚きもしなかったが、Psystar が Apple に対する裁判で敗訴した。この会社がどこでつまずいたのか、読者たちが議論する。(メッセージ数 4)

SheepShaver -- Classic Mac OS をエミュレートするこのアプリケーションについて書いた Matt Neuburg の記事を読んで、ある読者がそれを実行するためには Mac OS 9.1 よりも古いシステムのインストールディスクが必要なことに気付く。(メッセージ数 2)

iMac FireWire の難問 -- iMac の FireWire バスのリソースを食い尽くしているのは、EyeTV なのだろうか? (メッセージ数 3)

オフィスのマシン -- 企業がビジネス用のマシンとして Mac を考慮しないことが多いのは、安売りの Windows PC に比べて初期コストが高いからだ。けれども、企業が購入決定をする際には他にも数多くの要因がある、と読者たちが指摘する。アンチウイルスソフトウェアの購入や、サービス通話の料金なども要因に含まれる。(メッセージ数 7)


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