TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1009/11-Jan-2010

移動特派員の Jeff Porten が、またもや TidBITS のために Consumer Electronics Show (国際家電見本市) の模様を伝えるという大仕事を担って、CES に登場した新しいテクノロジーについていくつか記事を書いてくれた。それ以外のニュースとしては、“Take Control of Easy Mac Backups”電子ブックが新刊となり、Apple を題材としたドキュメンタリー2つが無料のストリーミングで利用できるようになり、iPod に関係する聴力低下を訴えた Apple に対する訴訟が棄却され、Kindle DX が米国以外でも利用できるようになり、由緒あるマルチメディアプロジェクト“If Monks Had Macs”が無料でダウンロード入手できるようになった。それから、常時の高速インターネットアクセスを利用できない人でも Apple のソフトウェアアップデートをダウンロードできないかという問題に対して Chris Pepper がいくつか解決法を示す。今週注目すべきソフトウェアリリースとしては、Bonjour Update 2010-001、DocHaven 4.2、Firefox 3.5.7、BusyCal 1.1.2、HoudahSpot 2.6.2 と Corel Painter 11.0.1.42 がある。

記事:

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Mac ドキュメンタリーがオンラインその他で上映中

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

何か Mac 関係の映画を観てみたいと思いませんか? 去年作られたドキュメンタリー映画 "MacHEADS" と "Welcome To Macintosh" はともに 2009 年 1 月の Macworld Expo で上映されたが、どちらも小規模な独立制作フィルムだったので多くの映画館で上映されることはなかった。けれども、Macworld Expo に行かなかったし、DVD で観る機会もなかったというあなたも、まだまだ運の尽きという訳じゃない。(そう、私も2度ほど "MacHEADS" の中に登場しているし、他にも Macworld Expo でお馴染みの面々が大勢登場している。)

"MacHEADS" は CNBC で何度か放送されていて、先週も再放送があった。 "Welcome to Macintosh" も CNBC で今月放送された。

CNBC で映画を見逃した方には、ドキュメンタリー映画の無料ストリーミングアクセス提供を専門とするサイト、SnagFilms が "MacHEADS" と "Welcome to Macintosh" を両方とも取り揃えたので、いつでも好きな時に観ることができるようになった。

また、テレビサイト Hulu も "MacHEADS" を持っている し、Netflix 購読者ならば "Welcome to Macintosh" をストリーム視聴できる。

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"Take Control of Easy Mac Backups" で手早く、信頼性のあるバックアップを

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

新年をしっかりしたバックアップ戦略をもって気持ちよく始める手助けとして、我々は "Take Control of Easy Mac Backups" を出版した。これは Joe Kissell の新しい電子本で、バックアップ戦略など持っていない、不十分、或いは混乱していると言うような人達をお手伝いすることを目指している。これはきちんとしたバックアップを欲しいがそれに費やす時間はあまりないという人達のためである。Joe は、Time Machine のシステム設定ペインでスイッチを入れるという限定的なセキュリティを超えて効果的なバックアップをとるため知っておかなければならないことだけ (それ以上ではない) を説明している。

この 108 頁の電子本は、バックアップを Mac OS X 10.6 Snow Leopard か 10.5 Leopard でとることを論じているが、Joe の 196 頁の "Take Control of Mac OS X Backups" の弟分とも言える。これはまた、現在は廃版となった "Take Control of Easy Backups in Leopard" の第二版とも言えるものである。(もしあなたが "Take Control of Easy Backups in Leopard" をお持ちなら、割引販売のメールを見て欲しい - もし 1 August 2009 以降に購入されたなら - アップデートは無料である。メールを受取っていないならば、あなたの電子本の第 1 ページを開いて "Check for Updates" をクリックするか、或いは我々にコンタクトして欲しい。)

Joe は何年にもわたって Take Control のためにバックアップについて書いてきており、彼の経験はあなたを正しい道に導いてくれる;あなたのニーズと予算にあったハードウェアとソフトウェアを選ぶ、ハードドライブをバックアップのために準備する、あなたのバックアップソフトウェアを設定する - 彼は Time Machine については具体的なやり方を、ChronoSync, CrashPlan, Data Backup, QRecall, そして Retrospect についてのヒントを提供する - そして起動可能な複製を作成するである。Joe はまた予備のバックアップをオフサイトに保存する三つのやり方についても論じ、そして - 最も大事な! - バックアップからどうやって復元するのかも説明する。

この本で答えられている共通する質問の例を下記に記す:

この電子本にはまた CrashPlan オンラインバックアップサービスへの 10% 割引と Data Backup への $30 割引のクーポンが付いている。

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Kindle DX が国際版に

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Reuters の報道によれば、Amazon が大スクリーンモデル Kindle DX の国際版への予約注文受付を始めたという。これは 2010 年 1 月 19 日に $489 で出荷される予定だ。Kindle 2 の国際版が利用できるようになってから、たった3ヵ月後となる。Amazon による国際版の扱いについては 2009 年 10 月 8 日の記事“Amazon が Kindle を米国以外に拡張”をご覧頂きたい。

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Apple、iPod 聴力喪失訴訟の控訴審で勝利

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

三年以上も前になるが我々は iPod によって引き起こされる聴力障害の可能性に関する係属中の集団訴訟に対する Apple の非公式の反応について採りあげた ("iPod アップデートで最大音量設定が可能に" 3 April 2006 参照)。この訴訟、Birdsong ほか対 Apple Inc.、は最近 U.S. Court of Appeals for the Ninth Circuit によって審議された。結果は先の控訴審の 2008年の判決を支持するもので、訴えを退けそして iPod の使用が原因となる聴力喪失の如何なる可能性に対しても Apple は責任がないとするものであった。

原告、Joseph Birdsong と Bruce Waggoner、は Apple の内耳型イヤホンの設計 - 外耳の上にのる伝統的なヘッドフォンよりも外耳道により深く収まるよう意図されている - が、音量計や雑音隔離の機能の欠如と相俟って、ユーザーの聴覚に重大な危険をもたらしているとしていた。法廷はこれに同意せず、原告は iPod が危険である、或いは彼らが重大な聴力障害に陥ったと証明出来ていないと判断した。

Judge David Thompson はその意見の中でこう書いている、"原告は iPod が設計意図されたことをしていないとも主張していないし、彼らが、或いは他の誰かが、iPod の使用から聴力喪失或いはその他の怪我をしたとも、或いはそうなることが避けられないとも主張していない... たかだか、原告は、彼ら自身に対してではなく、他の特定しない iPod ユーザーに対して聴力喪失の危険性の可能性があると主張しているだけである。"

Birdsong と Waggoner は Apple に対して、彼らに対する損害賠償の支払、iPod ユーザーの聴力障害に対する研究、iPod の全般的な安全性の向上、そしてヘッドフォンの設計変更を要求していた。

Apple は実際 2006年にこの懸念に対して反応し、この機器に対して最大音量をユーザーが設定できるようにするソフトウェアアップデートをリリースし、そして iPod と音のレベルに関する一連のガイドラインを発表した。

要は、音楽が大きすぎるのであれば、音量を絞ればいいではないか。

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"If Monks Had Macs" が無料で入手可

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

何かが終わりを迎えるというのにはいつも寂しさが付きまとうものだが、その創作者 Brian Thomas のお陰で、21年前に始まった画期的なマルチメディアプロジェクトである "If Monks Had Macs" は無料ダウンロードとして今後も生き続ける。

我々はこれまでも何度か我々のギフト特集号で "If Monks Had Macs" については書いてきた:書けば書くほどその中身が見え難くなりそうに思えるものについて更なる説明を試みる代わりに、これまで我々が書いてきたものを再掲したいと思う。

2003年に Matt Neuburg は "If Monks Had Macs" についてこの様に書いた:"ソフトウェア、ゲーム、マルチメディア経験、書籍、或いはノスタルジアとこれを見做すべきなのか私には定かでない。それが 'If Monks Had Macs' であり、私が HyperCard と言うものが存在することを知る前から HyperCard スタックとして生を受け、Voyager マルチメディア CD となり、そして今や Runtime Revolution のお陰でクロスプラットフォームとして入手可となっている。たとえ If Monks (我々はそう呼びたい) は説明不可能だとしても、それは真の先見性のあるハイパーリンクされた集合体で、本、音楽、美術、ゲーム、そして活動から成っており、更に個別にも使える幾つかのアプリケーションも含まれ、その中にはハイパーリンクされた雑記帳や Project Gutenberg ファイルや他の無料オンライン本とも働く電子本テキストリーダーなどがある。これは真の意味の New Media - 多次元で幅広く物事を考える人の心から生まれた奇抜なビジョンである。もしあなたが、Chesterton の Fat her Brown, Heart of Darkness, Schubert, Thoreau, そして Kennedy の暗殺がお互いに何の関係があるのか思い悩んで来たのであれば (そうでない人はいる?)、これこそがそれを解き明かす機会である。私には初代の If Monks が懐かしく思い出される、そしてこの新しいバージョンも欲しいものの一つである。"

そして 2004年に私は書いた:"ソフトウェアにはめったに適用されない言葉に '思慮深い' と言うのがあるが、この場合私は文字通り '考えに満ちている' という意味をこめている。Brian Thomas の 'If Monks Had Macs' という名前の双方向マルチメディア CD-ROM タイトルは散文的な響きを持つが、これにはこれ以上良いラベルは考えられない。そこには Henry David Thoreau や G.K. Chesterton の様な人からのオリジナルテキスト、読み易いエッセイや批評、Pieter Bruegel the Elder の Tower of Babel の絵の視覚探査、Nazi Germany での学生レジスタンスグループからの The White Rose と呼ばれる地下新聞の背後にある話の紹介、そしてさらに多くがぎっしり詰まっている。遊び心にあふれた底流が全てに渦巻いている - ソリティアゲーム用のカードを探すイラスト付きの中世テキストゲームもある (言うもでもないと思うが、あなたはモンク(僧)である)。雑記帳アプリケーションはそのアプリケーションの多くの脇道を辿っていく時の印象や 黙想を記録する手助けをしてくれる。'If Monks Had Macs' は何年も前には HyperCard スタックとしてその命を歩み始めた (今は Runtime Revolution に転換され、別の電子本リーダーにサポートされている)、そして今やそのレトロな審美感が奇抜さに追加された。"

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Brian Thomas は古いソフトウェアを単にインターネットに放り込んでいるのではない;彼はあの Killing Time ゲームを作り直す作業もした (無料のダウンロードとしても出されており、それもたったの 10 MB である)、そしてメインのプロジェクトには更なる最新の写真やエッセイも加えた。しかし私に語ったことによると、彼は写真家として自らのルーツに帰ろうとしていて、間もなくカンボジアに向けて出発する。彼は去る前に、"If Monks Had Macs" を無料のダウンロードとして出したいと願っていた。

しかし 130 MB もあるディスクイメージを配布するのは思ったほど簡単ではなく、 TidBITS Talk でやり取りを重ねた後、Brian は三つの異なる方法を選択した、どれもが無料であるが (彼にとってもダウンロードする人にとっても、これは大事なことであった)、それぞれに制限がある。それらは以下に記すが、極めて大きなファイルを公衆に配布しようと思っている他の人のためにもなると思う。これら三つのダウンロード法には Brian の Web サイトからリンクがはってある。

私は "If Monks Had Macs" のコピーをすぐに BitTorrent 経由でダウンロードするよう強くお勧めする、これは単に入手可能なことが確実なうちにコピーを一つ手に入れられるようにするためである。そして、もしあなたがバンド幅を十分にお持ちなら、他の人に対してファイルをシードするためあなたの BitTorrent クライアントを走らせたままにしておいて欲しい。そうすれば誰にとっても負荷が軽くなる。

"If Monks Had Macs" が単に消え去るのを拒絶した Brian Thomas に賛辞を送り、彼の幸運を祈るものである。

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TidBITS ナンバープレートの写真

  文: Adam C. Engst <訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちの友人 Dave Marra がこの写真を送ってくれた。彼は、ペンシルバニア州の道路でこの写真を撮ったのだ。(もちろん、助手席に彼は乗っていたはずだと思う。)さて問題は、この Volvo の持ち主は、TIDBITS というナンバープレートと Apple ステッカーから推察するに、最も忠実なるわれらが読者なのだろうか、それとも、これはもの凄い偶然に過ぎないのか?

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CrashPlan が TidBITS の長期スポンサーに加わる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS 長期スポンサーの仲間として加わって下さる Code42 Software を心から歓迎したい。同社はバックアップソフトウェア CrashPlann のメーカーだ。バックアップソフトウェアは私たちの心に最も近しい話題の一つだ。なぜなら、しっかりしたバックアップ戦略こそが私たちを過去 20 年にわたって何度も不可欠なデータの喪失から守ってきてくれたからだ。(もちろん、そのデータのために費やされた数え切れない時間を救ってくれたことも言うまでもない。)

CrashPlan が他の会社と一味違う理由は、そして Code42 Software をスポンサーに迎える私たちがとりわけ嬉しい理由は、オフサイトのインターネット・バックアップを可能にしてくれるばかりでなく、無料でそれができることだ。CrashPlan のアプローチで最も素敵な点は、同じように高速のインターネット接続を持つ友人とハードディスクを交換して、お互いが相手のバックアップをすることができることだ。私たちはそれぞれ膨大な量のデータを自分のハードディスクに貯えているが、このやり方がうまく行く理由は最初のバックアップだけを自分のところで(自分の Mac にハードディスクを直接繋いで)済ませておき、それからハードディスクを友人と交換するからだ。それ以降のバックアップでは、CrashPlan が変更されたファイルだけを監視して、現在のバージョンとバックアップ済みのバージョンとに差があるデータのみを転送するのだ。いわゆる "diff" あるいは "delta" と呼ばれるバックアップ手法だ。そればかりでなく、基本レベルの CrashPlan ソフトウェアは個人の使用が無料だ。

もしもあなたが CrashPlan を企業の環境で使いたいなら、あるいはリアルタイムの連続的バックアップをしたいなら(無料バージョンは一日一回のみバックアップ作業をする)そして優先的カスタマーサポートを受けたいなら、コンピュータ一台あたり $59.99 の料金を払って CrashPlan+ にアップグレードすればよい。それから、もしもあなたが高速インターネット接続を持つ親切な友人を持っていなくても、有料の CrashPlan Central インターネット・バックアップ・サービスをいつでも利用できる。このサービスは個人用の無制限プランで月額 $3.47 から $4.50、無制限ファミリープランなら月額 $5.33 から $8 となっている。オプションとして、別料金 $124.99 を払えば 1 TB ドライブがあなたの許に届き、それを 当初バックアップに(あるいはリストアにも!)使うことができる。

一度など、非常に不愉快な状況のクラッシュが起こって Time Machine が壊れてしまい、CrashPlan のお陰で命拾いをしたことがある。さらに凄いのは、私の経験では普段 CrashPlan が舞台裏で働き続けていることに気付いたことさえない。それとは対照的に、Time Machine はスキャン開始時などはっきりそれと分かることがある。Joe Kissell が電子ブック“Take Control of Mac OS X Backups”で、また最新刊の“Take Control of Easy Mac Backups”で、良いバックアップ戦術のツールとして CrashPlan を推薦しているのも納得できるというものだ。また、自分が技術サポートを提供している親戚たちのコンピュータをバックアップするためにも便利に使える。

今回 Code42 Software が加わった長期のスポンサーには、Apple 業界の有名会社がずらりと名を連ねている。 Bare Bones Software (BBEdit と Yojimbo)、Fetch Softworks (Fetch)、Mark/Space (The Missing Sync、SyncTogether)、MacSpeech (MacSpeech Dictate)、Microsoft の Macintosh Business Unit (Microsoft Office)、VMware (VMware Fusion) といった面々だ。本格的なインターネット出版を運営するために、私たちはハードウェア、ソフトウェア、スタッフの給料、さらには開発コストや旅費、その他さまざまのことに相当の経費を費やさねばならない。スポンサー各社によるサポートや、読者の皆さんからの直接の寄付なしに、私たちが TidBITS を出版し続けていくことはできない。皆さん、ありがとうございます!

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ソフトウェアアップデートのダウンロードをスケジュール予約

  文: Chris Pepper <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Jeff Carlson の記事“Gutenprint で大量バンド幅を使わずプリンタドライバのアップデート”(2010 年 1 月 2 日) を受けて、読者たちから彼が行き当たった根本の問題に対するいくつかの代替方法の提案が寄せられた。つまり、深夜の数時間以外は HughesNet がバンド幅に上限を設けているという問題だ。明らかな解決策は、ソフトウェア・アップデートをスケジュール予約して HughesNet が制限を課していない深夜の数時間のうちにアップデートのダウンロードを済ませるようにすることだ。ただ、Apple のソフトウェア・アップデート環境設定パネルを見ただけではこれが実行不可能であるかのように見える。そこで、あなたも彼と同じような状況に至った場合に備えて、使える可能性のある解決策をいくつかここにまとめて紹介してみよう。

Macworld の提案 -- Chris Breen が Macworld 記事の中で指摘したのは、システム環境設定 > ソフトウェア・アップデートの「今すぐ確認」ボタンをクリックすると、システムは自動的に将来のチェックをその時刻にスケジュール予約するということだ。だから、もしもあなたが 11:10 PM にそのボタンをクリックすれば、その後の自動チェックもやはり 11:10 PM に起こる。ただし、その時刻に Mac が動作していてスリープ中でなければの話だが。

ソフトウェア・アップデートにその時刻を教え込むために夜遅くまで起きている必要はない。システム環境設定の日付と時刻パネルで適切な時刻に設定し直しておいてから、スクリーンショットに示したようにソフトウェア・アップデートパネルで「今すぐ確認」ボタンをクリックすればよい。それが済んだ後は、日付と時刻パネルに戻って「日付と時刻を自動的に設定」チェックボックスを選択し直しておく。もちろん、忘れてならないのは、将来もしソフトウェア・アップデートの「今すぐ確認」ボタンを手でクリックすることがあれば、ここに書いた手順をもう一度繰り返してソフトウェア・アップデートに深夜の時刻を教え込み直さなければならないことだ。

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もう一つ、現行の Mac 機種ならばすべて、システム環境設定の省エネルギーパネルに「スケジュール...」ボタンがあって、これをクリックすれば Mac が自動的に起動またはスリープ解除する時刻を設定できるインターフェイスが開くことにも注意しておこう。

コマンドラインの解答 -- 私は Unix ユーザーなので、アップデートをダウンロードするにはターミナルで Apple の "softwareupdate" コマンドを使い、標準の Unix cron ツールを用いてそのコマンドが走る時刻をスケジュール予約している。毎分一回 cron プログラムは "cron ジョブ" のスケジュールリストをチェックして、現在時刻にマッチするものがあればそれを実行させる。Wikipedia に cron についての詳しい説明があるし、Apple も役に立つマニュアルページいくつか出しているので、この方法を使う際には参照するとよい。

コマンド

softwareupdate --download --all

は、未処理のアップデートをすべてダウンロードするが、インストールはしない。毎夜 11:10 PM に HughesNet 接続で走らせるにはこのコマンドが適している。(HughesNet がバンド幅の上限を再稼動させる) 4 AM までにはダウンロードが終わっているだろうからだ。もしもダウンロードに失敗すれば、Mac が次の機会にもう一度試みるだけのことだ。

もしもあなたが Unix に慣れているならば、単純に "crontab -e" を使えばよい。(または、デフォルトの vi エディタが好みでないならば "EDITOR=nano crontab -e" とすればよい。)そうしておいて、毎夜 11:10 PM に未処理のアップデートをすべてダウンロードする(ステータス通知の電子メールを毎回送ることはしない)ためには、以下の行を入力する:

10 23 * * * /usr/sbin/softwareupdate --download --all >> /dev/null

個々のアップデートは、あなたのデフォルトのダウンロードフォルダの中に、そのパッケージと ".dist" エイリアスとを含んだフォルダとして現われる。そのフォルダを開いて .dist ファイルをダブルクリックすれば、アップデータが走る。

手動の選択肢 -- 当然ながら、アップデートを手動で Apple からダウンロードすることもできる。ある TidBITS 読者が、必要なアップデートを Apple のサポートダウンロードページからダウンロードすればよいと提案してくれた。ダウンロードにはウェブブラウザを使ってもよいし、例えば Speed Download のようなダウンロードのスケジュール予約のできるツールを使ってもよい。

この方法は、複数の Mac を管理している場合に特に便利だ。一つのインストーラをすべての Mac に使うことができるからだ。それに対してソフトウェア・アップデートに頼れば、個々の Mac ごとに独立にそれぞれのアップデータをダウンロードすることになってしまう。

また、高速接続の環境(例えば仕事場とか、友人の自宅、コーヒーショップ、公共図書館など、2009 年 12 月 23 日の記事“Find Free and Inexpensive Wi-Fi”参照)が使えてそこで手軽に CD や DVD に焼くことができ、それを限られた接続環境しかない Mac のために使うような場合にも、手動のダウンロードによるアップデートは意味がある。

結びに -- システム環境設定でソフトウェア・アップデートをスケジュールし直すにせよ、コマンドラインで一切を設定するにせよ、あるいは手動でアップデートをインストールするにせよ、方法の選択はあなたの好み次第だが、たとえダウンロードの上限がサービスプロバイダによって課されていたとしても、あなたの Mac を健康的に、最新情報に保つことができないとは限らない。

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CES 2010: 未来をブレンドする

  文: Jeff Porten <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ここ Consumer Electronics Show (国際家電見本市) で、今のところ私が見た中で最も驚くべきものは、ブレンダー(料理用ミキサー)だ。誤解しないで頂きたい - 真の意味でクールなテクノロジーは会場のあちこちに展示されていたが、それにしてもこのブレンダーは大したものだった。

火曜日と水曜日、CES は「プレス・デー」だった。つまり、木曜日にショウの展示会場が開幕するのに先立って、報道関係者用の行事が催された。話が内輪ネタに陥るのを許して頂くとして、このプレス・デー期間中どんなことがあったかにも触れておきたい。その後のショウ開催期間中には、110,000 人の観衆たちが、2,500 の出展者たちが注目を惹こうと叫び交わしているその中を歩き回った。その活気は、会場となったいくつかのコンベンションホールのどこへ行っても変わらず、その広さは合計面積にしてロサンジェルスの面積にも匹敵するかとさえ思えた。(たぶん、それは誇張が過ぎるのだろうが、でも実際にその場を歩いてみれば、きっとあなたも私と同じ感覚を持たれるだろう。)

けれどもプレス・デーの期間中は、およそ 70 ほどの出展者たちがそれぞれの製品を展示して、早めに到着した報道関係者たちに見せているだけで、報道関係者たちの方も一日中ビュッフェの料理やバーの飲み物にせっせと手を出しているという風だった。その結果として早めに展示を始めた出展者たちに対する注目が高まり、それは間違いなくショウについての報道での扱われ方にきっと影響を与えたことだろう。

だからと言って、別に私たちが無料の食べ物とアルコールの賄賂によって堕落した記事を書いたという訳ではない。無料の試供品という観点から言えば、その前の週のカリフォルニアでのイベントで報道関係者たちに無料で配られた Google Nexus One 携帯電話の方が圧倒的に印象的だったのだから。でも、私がここで言いたいのは、プレス・デーに参加しなかった会社にとっては、メディアの注目を集めるという点で非常にハードルが高くなっていたということだ。では、以下の記事で、会場で私の目に留まったいろいろな機器を紹介していこう。そして、どの機器に記者への特典が付いていたかにも。

CES を報道する者にとって皮肉なのは、現場で報道する私よりも、家庭にいて RSS リーダーの画面に釘付けになっている人たちの方が、ここに何があるかのニュースを一足先に知ることができるという事実だ。だから、製品発表の長話を復唱することはやめて、その代わりに、真の意味で素敵だと私の胸に響いたものだけを、ここに取り上げてみたい。場合によっては、ちょっと非実用的なものであっても。

素敵なものとして真っ先に私の印象に残ったのは、普通の電球の代わりにレーザーを使った、2つのハンドヘルド・プロジェクタだ。レーザーで投影された画像はどんなに遠くでも鮮明なままなので、どこからでも平らな面に向けさえすればプロジェクタとして使える。

Microvision SHOWWX はハンドヘルドのプロジェクタで、iPhone よりも小さく、デモでは iPhone と iPod nano で撮影したビデオを映写していた。(VGA アダプタ経由で Mac に接続することもできる。)壁までの距離を変えれば映写された画像を好きなように小さくも大きくもできるが、あまり大きな画像にし過ぎるといずれはぼやけて見えにくくなる。Microvision によれば最大映写サイズは対角線で 200 インチ (およそ 16.5 フィート、つまり 5.1 メートル) とのことだが、12-15 インチ (30-38 cm) 程度の小さなサイズでも普通の室内の明るさでちゃんと見える。

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さらに口をあんぐりさせられたのが、Light Blue Optics の Light Touch だった。これは、どんな平らな面であってもそこに 10 インチ (25 cm) ディスプレイを映写し、_その上_ それをタッチスクリーンに変えるというのだ。壁にでも、テーブルの上にでもこの Light Touch を置けば、たちまちそこにあなたが実際に使いこなせる Microsoft Surface が出現する。Light Blue Optics はこれを店内ディスプレイや酒場のゲームなどにインタラクティブな基盤構造を提供するものと位置づけている。正直言って、これが既に確立したタッチスクリーンのテクノロジーから市場を奪い取るものとなれるかどうかは疑問だと思うが、いずれにしてもこれだけのものを生み出した革新的アイデアに報いるためにもぜひ成功して欲しいものだと思う。[編集者注: 同じ会社の製品である Light Speed もまた非常にクールだ。こちらは、自動車のフロントガラスに役に立つ情報を映写して、運転者が路面から目を離さずに済むようにするというものだ。 -Adam]

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プロジェクタ以外のものに移ろう。 Datawind Ubisurfer も、また同じくらい革新的な製品だ。ただ、パッと見ただけではそうとは見えないかもしれない。一見すると、Linux の走る小さくて安っぽいネットブックのように見える。革新的なのはその価格プランだ。英国では、159 ポンドで、ハードウェアが手に入った上に、毎月 30 時間まで追加料金なしでセルラーネットワークの GPRS サーフィンができる。例えて言えば、インターネット全体を扱える Kindle のようなものだ。ハードウェア圧縮のお陰で、旧式の GPRS ワイヤレステクノロジーもずっと高速に感じられる。もちろん 3G ほどの感覚は得られないが、耐えられないほどひどいという印象はなかった。Datawind は米国での提携先を探しており、Ubisurfer を同じ価格モデルで私たちアメリカ人にも売りたいと考えている。

さらにいくつかのテーブルを過ぎると、Compulab が fit-PC2 をデモ実演していた。このコンピュータが私の目を捉えたのは、これが Mac mini 風の各種製品の間に減量戦争を引き起こすのではないかと思えたからだ。サイズはたったの 4 × 4.5 × 1 インチ (10.1 × 11.4 × 2.5 cm) で、この fit-PC2 は私の 4 ポート Ethernet ルータよりも小さい。こんなに小さいにもかかわらず、そのモデルの一つには USB ポート 2 基、ギガビット Ethernet ポート 2 基、それから DVI ビデオ出力まで付く。(箱から取り出すところを示したビデオを見ればどれほど小さいかが分かるだろう。)その上、中にはコンピュータが丸ごととハードドライブまで収められているのに、たった 7 ワットの電力で動作する。スペックはモデルによって異なる。この機器が Hackintosh コミュニティーに加わることになるのかどうか、楽しみに見届けたい。

他を大きく引き離して「最も常軌を逸したテクノロジー」賞を獲得したのが、Parrot AR Drone, だ。こいつは、実際に大きな距離を飛行することができる。これはおもちゃのホバークラフトで、iPhone または iPod touch から Wi-Fi を利用してコントロールする。カメラも搭載していて、飛行中の映像をライブで iPhone に送ってくる。( 実演のビデオを見なければ とうてい信じられないだろう。)さらにもう一歩常軌を逸しようと、Parrot 社では API をリリースして、サードパーティの開発者がこれに乗っかったリアリティーゲームを作れるようにした。公園で Parrot 機を飛ばして、まるで "Return of the Jedi" の中の Han Solo みたいに木々に隠れた突撃隊員たちを撃ちまくる、といったことも理論的には可能な訳だ。この AR Drone は 2010 年の末にリリースされる予定で、価格はまだ未定だ。これが出たら、すぐに買っておこう。なぜなら、私の予想では赤ん坊の後頭部に激しく衝突するとかいう事件がきっと起こって、あの芝生ダーツよりも早くあっという間に市場から締め出されてしまうだろうと思うからだ。それに、ACLU (アメリカ自由人権協会) も、リモコンで飛行する空撮カメラなんてものにはきっと黙っていないだろうから。

最後に、お約束のブレンダーだ。それは、黒い箱の上に乗った、何の変哲もない、ただのブレンダー(料理用ミキサー)だった。普通のブレンダーと同じく、ビューンという音を立てる。けれども、私が気付いたのは、このブレンダーには _どこにも電源コードが付いていない_ ことだった。実は、これも、その隣にあったトースターも、どちらも誘導電源で動いていた。誘導電源装置というものはしばらく前から存在していて、携帯電話のような低電力の機器を充電するために使われてきたが、ブレンダーやトースターはそういったものに比べて桁違いに大きな電力を食う。

この黒い箱に収められた魔術は、Fulton Innovation のeCoupled テクノロジーによるものだ。これは、電磁誘導によって受信機器内に電流を発声させる。この eCoupled を利用する電子機器は、その黒い箱と通信して、どれだけの電力を必要とするかを伝達する。箱と通信していない電子機器が到達範囲内にあっても、それはある意味電磁誘導の対象から外される。このようなワイヤレスの電力が飛び交えば他の機器が炎上してしまうおそれがあるんじゃないかと尋ねてみたところ、デモの担当者はまずブレンダーのスイッチを入れてから、彼の携帯電話をそのすぐ隣に置き、それから私に電話してみないかと言ってくれた。

私にはこの電磁気学を専門家のように理解する力がないことを白状しておこう。それでも、今まで私は電磁誘導というものはいわばオール・オア・ナッシング的なものだという印象を持っていた。どうやってかは知らないが、Fulton は制御対象の機器には何キロワットもの電力を供給しつつ、到達範囲内のその他の電子機器には影響を与えないようにする方法を作り出したらしい。思うに、Fulton が映画“The Prestige”の中の Nikola Tesla 風に猫のクローンを作り出してみせたとしても、その驚きはこのデモを超えなかっただろう。

ワイヤレスの電源がいたる所で利用できるようになれば、我々とテクノロジーとの関係は完全に変貌することだろう。ラップトップ機のバッテリが切れることはなくなる。常時ワイヤレスで充電され続けるからだ。このテクノロジーの恩恵を受けない電子機器は一つもないだろう。さらに、大きく変化を遂げる機器も多いだろう。

誘導充電を大衆市場に持ち込むことに成功する会社がはたして Fulton なのかどうか、私にはわからない。けれども、これこそ未来のテクノロジーだ、という確信だけは即座に明らかとなった。

そして、それこそが CES に来た理由なのだ。

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CES 2010: さらに人目を引く製品いろいろ

  文: Jeff Porten <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

インターネットのトラブルのせいで私は CES 会場のフロアに到着するのが遅れた。(2010 年 1 月 8 日の記事“CES 2010: Living in the Past”参照。)そこで、特集記事の二番目となるこの記事では、ShowStoppers の企画したイベント「ワインと食事でメディアをもてなそう」を紹介しよう。ShowStoppers は直接 CES と提携している訳ではない(彼らは来たるべき Macworld 2010 でもイベントを企画している)が、およそ 100 くらいの CES 出展者たちがここにも出展して、記事“CES 2010: 未来をブレンドする”(2010 年 1 月 7 日) で私が述べた出展者対報道関係者の高比率の利点を享受しようとしていた。

ShowStoppers で展示されていた機器は、すべてが新しいものとは限らなかった。私が見たものの多くは二・三ヵ月前に発表されていたものだった。ここには MagicJack のブースさえあった。あの、午前 2 時のインフォマーシャルで馬鹿馬鹿しいほど安価な VoIP 電話サービスを売り出している会社だ。「これほどニュースにならない話が他にあるだろうか?」いやいや、ちょっと記事の初めに、彼らを犠牲に冗談を言ってみたかっただけだ。

そういう訳で、彼らが実際ニュースとなる製品を持って _いる_ という発表を目にした時、私はちょっぴりばつの悪い思いをした。MagicJack の新製品は、あなたの GSM 携帯電話(例えば AT&T や T-Mobile のもの)と通信して、あなたが MagicJack ホーム機器からの到達範囲内にいる限り通話時間無制限のサービスを提供するというものだ。その際通話は MagicJack を通してなされるので、あなたの携帯電話の通話時間には何も課されない。そこで面白いのはこうだ: 携帯電話はライセンスを受けた無線周波数帯を使っているが、ライセンスを受けていない会社がこれを使うことは許されない。 MagicJack は、個人の自宅の内部なら他社にライセンスされている周波数帯を使用しても違法ではないと主張している。一方携帯電話各社はこれと反対意見で、完全武装の 1,000 人の弁護士たちが迫ってくる足音が聞こえてきそうな雲行きだ。さて、この先どうなるのだろうか。

その夜一番の「口あんぐり」賞は、 Shapeways に贈呈しよう。オランダに本社を持つ 3D プリントサービスだ。あなたが何でも好きなものを Shapeways のサービスにアップロードすれば、それを 3D モデル(立体模型)に仕上げてくれるのだ。実体化のための題材は 9 種類の材料の中から選べる。金属、砂岩、プラスチックなどだ。あるいは、既存のモデルに独自のデザインやカラー印刷などを加えてカスタマイズすることもできる。展示されていたものの広範囲さは圧倒的だった。壷の表面を底に向かって螺旋を描くテキストが埋め尽くしていたり、異様な形をした金属製の生き物や、説明書きで埋め尽くされた額縁などもあった。Shapeways の価格はモデルによってさまざまで、送料は無料だという。また、他の人が作った立体製品を販売する店も運営している。

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[編集者注: 3D プリンタというものの将来性に興味を持たれた方は、Cory Doctorow の最新刊の小説“Makers”を読まれるとよい。この小説は Creative Commons ライセンスのお陰で 無料でダウンロードして読めるwayner.org には iPhone/iPod touch 専用の素敵なサイトさえある。 -Adam]

Plastic Logic は QUE ProReader: をデモ実演していた。これは、Kindle のディスプレイを対角 11 インチ近くの大きなものに取り替えたと思えばよい。私にはこの QUE の軽量総プラスチック製構造が印象的だった。Plastic Logic によれば、他の電子ブックリーダーで使われているガラスのスクリーンと違い、これはまず壊れないという。最上級モデルには 8 GB のメモリと Wi-Fi が付き、AT&T の 3G サービスが価格に含まれる。この名前 QUE は「キュー」と発音するが、値段が $799 もすると聞けば思わず「クゥエ?」(スペイン語で "What?" の意味) と読んでしまうかもしれない。

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あなたの家族に運転を始めたばかりのティーンエイジャーがいれば、確かなことが二つある。あなたは彼の安全を心配するだろうし、彼を思うあなたの心痛の結果として何か受動攻撃的な方法で彼の生活を束縛しようと思うだろう。そのための一石二鳥の手段となるのが、$299 の Tiwiだ。これは彼の運転のしかたをモニターし、彼が速度超過をしたり、強引な運転をしたり、何か彼がホルモン分泌を過剰にするようなことをした場合には音声で彼に警告を与える。あなたも SMS による警告やその他の方法で情報を受け取れる。傑作なのは、悪い挙動をしても一定時間内は両親に通知が行かない猶予期間が設けられていることだ。私が大いに気に入ったのは、このテクノロジーが基本的にこう言っていることだ:「おい、そこのガキ、お前が我々をからかおうとしていることは分かってるぞ、だから、_ここまで_ ならば見逃してやろう」と。

私はここ CES の会場で新しい Twitter クライアントを探していろいろ物色中だ。そして、Seesmic Desktop のブースで出会った一人の熱狂的なファンのお陰で、今私は試してみているものがある。ブースの Community Evangelist 担当と話しながら、1,000 もある他の Twitter クライアントと比べて Seesmic がどう違うのかと私が思案していると、誰か知らないが一人の販売担当風の男がブースにいた CEO に歩み寄って、「ねえ、あなたのソフトウェアは私の人生を変えましたよ!」と話しかけたのだ。(後になって彼は私にも「本当に、私はサクラじゃないんですよ。普段、私は自分の売っている製品以外にこんな言い方はしないんですが」と言っていた。)Seesmic は Mac 上では Adobe AIR アプリケーションとして動作するが、へんてこなフォントを使っている以外は、たいていの AIR アプリよりもずっと Mac らしく見える。

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私は L5 Remote のユーザーインターフェイスに感銘を受けた。これはあなたの iPhone または iPod touch に赤外線リモコンの機能を追加するハードウェアドングルだ。普通に市販されているユニバーサルリモコンと同じように設定できるのだが、リモコンで実際に使うボタンだけをドラッグしてカスタマイズした画面に入れることができる。リモコンのインターフェイスはメニューから選ぶのだが、そのメニュー自体があなたの家の部屋を示したメニューから出るので、必要とする機器のインターフェイスだけを配置できる直感的なやり方になっている。この L5 リモコンの価格は $50 で、2010 年 2 月に出荷される予定だ。

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一方、iPhone を娯楽機器として使うのが好みの方には、Slacker Radio が良いのではないか。ここのブースの男は、私に自社の紹介としてこう言った:「Pandora をご存じかな? うちはあそこと競争中ですよ。」まあ、それはそれでよしとしよう。Slacker は iPhone に素敵な機能を一つ追加する。ここは、ラジオ局の番組をあらかじめあなたの iPhone や iPod touch にバッファ保存するライセンスを持っているので、セルラーや Wi-Fi でインターネットに繋がっていない時にもラジオ番組を聴くことができる。

私は JayBird's の BlueBuds ヘッドフォンで Slacker を聴きたくなった。これは、彼らがこう説明した通りのものだ: Bluetooth のイヤーバッドで、頭のサイズのワイヤーで両耳が接続される。(今のところ PDF のカタログに記されているのみだ。)イヤーバッドに添えられた部分を耳のまわりに曲げることでしっかりと装着でき、Bluetooth を使うので耳から iPod へと線が垂れ下がることもない。BlueBuds は 2010 年 4 月に $129 で出る予定だ。あなたの iPod nano あるいは touch がまだ Bluetooth 対応でないなら、JayBird から 2010 年 2 月に $69 のアダプタが出る。

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これはクールなのか気味悪いのかが微妙なところだ(どちらかと言えば気味が悪い印象が強い)が、Intelius の DateCheck も iPhone 用の製品だ。売り文句は格好良く「つながる (hookup) 前にしらべて (lookup) おこう」とのことだが、DateCheck はあなたが酒場で、あるいはオンラインで出会った見知らぬ人に対する身元調査をするためのオール・イン・ワンのインターフェイスを提供する。(もちろん、実際にその人と名前の交換を済ませた後の話だ。)私はブースの人が私の調査をすることを承諾した。DateCheck によれば私は 46 歳で、両親と叔母一人と一緒に住んでいるという。実際の私はそれより若く、両親ともに既に亡くなっており、叔母などいない。それに、示された住所に住んでいたのは Reagan が大統領だった時代だ。でもまあ、少なくとも私は悟った。もしも私のデート相手が iPhone をそっと取り出したら、たぶん私はそれだけでアウトだということを。

最後に、これは全然大事なことなんかじゃないが、長年の Apple ファンにとっては残酷な冗談以外の何物でもない。私は Newton Peripheralsという会社の名前に惹き付けられた。残念ながら、ひょっとしたら私の Newton MessagePad 120 の上で Google の Chrome OS が走るようなメモリカードアダプタな何かじゃないかという私の期待は見事に裏切られた。実際にこの会社が作っているのは BlackBerry 用の Bluetooth 周辺機器に過ぎなかった。何だそりゃ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 1 月 11 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Bonjour Update 2010-001 -- Apple が Bonjour Update 2010-001 をソフトウェア・アップデート経由でひっそりとリリースした。「このアップデートは iTunes と Apple TV 間の接続の信頼性を改善」するとだけ書いてある。以前 Rendezvous という名で知られていた Bonjour は、ネットワークサービスを見つけ出すための Zeroconf プロトコルを Apple が実装したものだ。奇妙なことに、Bonjour Update 2010-001 はまだ Apple サポートダウンロードページに登場していない。(無料、959K)

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DocHaven 4.2 -- Holy Mackerel Software のクロスプラットフォーム書類管理用ソフトウェア DocHaven について TidBITS で取り上げたのはずいぶん前のことだったが、このプログラムは今も元気一杯で、最近大きなアップデートがなされた。バージョン 4.2 ではユーザーがファイルを Zip アーカイブに圧縮でき、User や Client の写真が追加でき、個々の Group に別々の項目説明を付けられるようになり、Ubuntu 9 のサポートも拡張された。また、個々の Group それぞれに Administrator が指定され、Find メニューが View オプションを追加し、Transfer ウィンドウが現在進行中の転送の残り時間予測を表示するようになった。この最新バージョンは Mac OS X 10.5 かそれ以降を必要とする。 フルのリリースノートは Holy Mackerel Software ウェブサイトで読める。(新規購入ユーザーあたり $40、アップデート無料、18.3 MB)

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Firefox 3.5.7 -- これこそ私たちがこの「監視リスト」を出している理由だ。Mozilla の Firefox 3.5.7 は、この人気のウェブブラウザで大きなアップデートがあった際にユーザーに通知が届かなくなることのあったバグを修正している。また、DNS 検索の微妙な問題点と、Windows ユーザーのみに起こったクラッシュのバグも、このアップデートで修正されている。(無料、17.6 MB)

Firefox 3.5.7 へのコメントリンク

BusyCal 1.1.2 -- BusyMac の BusyCalでずっと以前から誕生日イベントを使っている人たちはバージョン 1.1.2 を歓迎するはずだ。このバージョンで 32-bit モードでも 1940 年以前の誕生日を正しく計算できるようになったからだ。微妙な点がもう一つある。リスト表示での Decade 期間が 2001-2010 に変更されたのだ。より歓迎すべき点としては、週表示でイベントをリサイズするとクラッシュすることのあったバグが修正された。このバグは編集と衝突が同時に起こり、かつそのカレンダーに名前が付いていなかった場合に起こっていた。また、Google カレンダーのフィードを消去した際の BusyCal の処理方法も改善された。

今回のリリースは BusyCal 1.1.1 が出された後間もなく出た。1.1.1 では Google 同期との数多くの問題点に対処が施された。例えば「項目を消去できない」エラーや、カレンダーがオーファン化するエラー、カレンダーのタイトルが UID として表示されてしまうエラーなどがあった。修正されたバグは他にもあり、クラッシュを起こした二つのバグや、フォントが壊れるバグ、スタックの undo に関係したバグなどだ。Bonjour および Google のネットワーク効率も改善された。変更点のフルリストは BusyMac ウェブサイトにある。(新規購入 $40、アップデート無料、6 MB)

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HoudahSpot 2.6.2 -- Houdah Software がHoudahSpot へのメンテナンス・アップデートをリリースした。Spotlight に対するフロントエンドの代替手段を提供する、ファイル検索ツールだ。バージョン 2.6.2 はメジャーな 2.6 リリースの後にすぐ続いて出された。バージョン 2.6 では Add Group ツールバー項目と、Search Location サービス、検索範囲を限定できる機能、グリッド表示でのアイコンサイズ調整機能、グリッド表示でのコンテクストメニューが新設され、Mac OS X のサービスとの統合が改善された。今回の最新バージョンでは Help ブックの更新と、ファイルサイズの表示の単純化が施され、カラムの幅に関係したいくつかのバグが修正された。 フルのリリースノートは Houdah Software ウェブサイトで読める。(新規購入 $30、アップデート無料、2.3 MB)

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Corel Painter 11.0.1.42 -- Corel から、 Corel Painter 11 のメンテナンス・アップデートが出た。プロフェッショナル向けの絵描き・イラストレーション作成ソフトウェアの最新版だ。変更点の主なものとしては、変換ツールを使用する際のスクリーン上の変換の改善、変換を適用する際のレンダリングの改良、コピーとペーストの機能の拡張、消しゴムツールとブラシツールの切り替えの際のサイズ一貫化、第二モニタを使う際のカラー管理の正確化などがある。また、カラープロファイルがクローンやユーザーフォルダにユーザーが保存したプロファイルにも正しく引き継がれるようになり、アイドル中の CPU ロードが減り、スマートストローク自動絵描きシステムが拡張された。変更点のフルリストは Corel のウェブサイトにある。(新規購入 $369、従来バージョンの Corel Painter からのアップグレード $169、アップデート無料、103 MB)

Corel Painter 11.0.1.42 へのコメントリンク


ExtraBITS、2010 年 1 月 11 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

インタビューが二つある。Adam が OWC Radio ポッドキャストに出演したものと、Joe Kissell が Tech Night Owl Live で右クリックについて語ったものだ。それから、私たちはカメラをなくしても親切な人にきっと返してもらえるようになるうまいアイデアの話を聞いたし、長年にわたり Steve Jobs が雑誌の表紙を飾ってきたのを眺めたり、iTunes Preview ウェブサイトで iTunes Store トラックのサンプルが試聴できるようになったのを確かめたり、Apple がモバイル広告会社を買収したニュースに考え込んだりもした。

なくしたカメラを取り戻す巧みな方法 -- これを見つけて知らせてくれた Photojojo に感謝したい。Andrew McDonald が、カメラをなくしても取り戻せる確率を高められる方法を示した、楽しい写真付きガイドを出している。どうするかって? ユーモアたっぷりの一連の写真で、どうぞカメラを返してくださいとお願いするのだ。写真の中に電子メールアドレスを入れておくのを忘れずに。そして、メディアカードから消去されないようにそれらの写真をロックしておけばよい。(たいていのカメラにはこの機能が付いている。)

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右クリック再び -- Joe Kissell が、Tech Night Owl Live で Gene Steinberg と対談した。話題になったことの一つが、マウスの第二ボタンをどう使うか、どう呼ぶか、という Joe の記事で、この記事に対して寄せられた相当数の(しかもさまざまに異なった)フィードバックにも話は及んだ。

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歴代の雑誌の表紙を飾る Steve Jobs -- Kuo Design が、Steve Jobs を登場させた雑誌の表紙を集めた膨大なコレクションを完成させた。1981 年から 2009 年までの 28 年間にわたる 87 の表紙を眺めれば、Jobs が職業的にどんな登り坂と下り坂を経験してきたか、彼のファッションの当たり外れはどうか、いろいろな思いがあなたの胸をよぎるはずだ。

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Apple、サンプルを iTunes Preview サイトに追加 -- Apple は iTunes Store で販売される楽曲のウェブベースのサンプルを iTunes Preview ウェブサイトで試聴できるようにした。以前は、楽曲のサンプルは iTunes 自体の内部からの利用に限られていた。とは言うものの、全体的な目的はウェブの検索エンジンでより多くの iTunes 楽曲が見つかるようにしたいということのようだ。ウェブ検索がすべて iTunes Preview ウェブサイトを索引付けするようになるからだ。サンプルの再生はあなたのブラウザの中でできるが、この iTunes Preview サイトは可能な限りあなたを iTunes へ追いやろうとするだろう。

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Adam、OWC Radio でインタビュー -- Mac の世界にはまだ他にもポッドキャストがある。OWC Radio はハードウェア販売業者 Other World Computing の提供するものだ。MyMac.com の創設者 Tim Robertson がホストを務めるこのインタビューはとてもリラックスした雰囲気の会話となり、TidBITS や Take Control の初期の歴史について、今年の Macworld Expo がどうなるのか、といった話題の他に、Tim はデスクトップ対ラップトップ、Safari 対 Firefox、などで意見を引き出そうと Adam を質問攻めにした。コーヒー対紅茶、という質問もあったかも?

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Apple、モバイル広告会社 Quattro Wireless を買収 -- 報道によればモバイル広告会社 AdMob の買収で Google との競争に敗れた後、Apple は今回 AdMob と競合する会社 Quattro Wireless を買い取った。従来 Apple のビジネスモデルの中に広告が大きな位置を占めたことは一度もなかったが、どうやら近い将来風向きが変わるのかもしれない。

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TidBITS Talk、2010 年 1 月 11 日のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の議論で読者たちが助言を求めたのは、iMovie からのムービーの書き出し、自分のデータすべてを新しい Mac に転送する方法、それから歴史の古い(今は無料となった)“If Monks had Macs”プロジェクトの BitTorrent シードをホストする方法などだ。また、今週出た質問は、コンテクストメニューを出すためのアクションを「右クリック」と呼ぶのが適切な言い方なのかどうか、それから、バージニア州北部で iPhone の受信状態が良くないのは何が原因か、といったものだった。

助言求む: iMovie HD と 08 書き出しの問題 -- ビデオエディタ iMovie の2つの異なるバージョンで作った iMovie プロジェクトが、書き出しの際にクラッシュしたり奇妙なファイルサイズを報告したりする。(メッセージ数 2)

Mac のクローン作成 -- PowerPC Mac から Intel ベースの機種に移行する際も、Migration Assistant はきちんと働いてくれるのか? それとも、他にもっと良いデータ転送の方法があるか? (メッセージ数 12)

「右の」ボタンを、さあクリックしよう -- Mac にコンテクストメニューを表示させるアクションを言い表わすのに「右クリック」という言葉が適切かどうか、読者たちが議論する。(メッセージ数 16)

If Monks had Macs 無料 CD-ROM の torrent SEEDer 求む) -- "If Monks had Macs" を無料で配布することに決めたので、開発者本人が BitTorrent ダウンロード版をホストしてもらう方法を探している。(メッセージ数 9)

北部 VA での iPhone? -- 新品の iPhone で電話の通信状態が悪い、とある読者が報告する。これは AT&T の問題か、それとも場所が悪いのか、それとも何か他に原因があるのか? (メッセージ数 5)


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