TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1026/03-May-2010

今週は、いろいろな解説記事がたくさんある。Glenn Fleishman が大活躍だ。まず、AT&T による 3G iPad のサービスプランについて詳しく検討してから、次には Flash をめぐる Apple と Adobe の摩擦について全体的な立場から分析し、この騒ぎがそもそもどういうことなのかを説明する。それだけではない。彼は iPad のスクリーンが戸外で真っ暗になってしまう謎にシンプルな解答も与える。Glenn に負けじと Adam も加わり、TidBITS の Facebook ページが新設されたこと、最新刊の電子ブック“Take Control of Permissions in Snow Leopard”を発表する。Adam はまた BBEdit 9.5 を紹介するとともに、私たちの 20 周年記念抽選の当選者にインタビューする。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Fetch 5.6、TypeIt4Me 5.0、iStat Menus 3.0.1、Transmit 4.0、iTunes 9.1.1、PDFpen 4.6.2 と PDFpenPro 4.6.2、それに Digital Camera Raw Compatibility Update 3.2 だ。

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TidBITS が dlvr.it の助力を得て Facebook に登場

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

かなりの労力を要したが、このたび TidBITS Facebook ページを開設することができて嬉しく思う。さほど手の込んだページではない。そもそも、Facebook で非常に手の込んだことはできないのだから。それでも、ページの一番上にある Like (いいね!) ボタンをクリックすれば、TidBITS の見出しや記事の要約があなたの他のニュースフィード項目と並んで一覧できるようになる。見出しのリンクをクリックすれば、私たちのサイトにある記事そのもののページに行ける。シンプルだが、効果的だ。Facebook を使って世の中の動きに触れるのを楽しんでいらっしゃる方は、ぜひ Like (いいね!) ボタンで TidBITS に接続して頂きたいと思う。

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また、個々の投稿にコメントを残すこともできる。個々の投稿が気に入ればそのすぐ下にある Like (いいね!) リンクをクリックできるし、Share リンクを使えば Facebook 上のあなたの友人たちとその投稿を共有することができる。私たちの希望としてはここのコメントよりも私たちのサイトで TidBITS Commenting System を使ったコメントの方を利用して頂きたい。そちらの方が記事そのものにリンクされているので私たちも返事がしやすいからだ。それでも、できるだけこの Facebook 上の TidBITS ページもチェックしてコメントにもお答えするようにしたいと思っている。

設定に伴う試練-- この Facebook ページを開設するためにどんなことをしなければならなかったかに興味のある方のためにご説明しよう。問題は、二つの種類に分類できる。一つは私たちの RSS フィードにアクセスすることに関したもの、もう一つは相応しいグラフィックスを作ることに関したものだった。

RSS フィードを Facebook に持ち込むことができると謳った Facebook アプリはたくさん出回っているが、その多くは私がこのプロジェクトを始めようとしていた時点でファンページ(現在はビジネス用ファンページと呼ばれている)ではうまく働かなかった。Facebook アプリにアクセスし、それを適切な RSS 情報と Facebook アクセス権で設定し、それから私たちの RSS フィードがアップデートするのを待ってうまく行っているかを確かめる、そういった作業がとても遅く、厄介で、信じられないほどフラストレーションの溜まるものだった。

そうこうしているうちに私はたまたま dlvr.it を見つけた。これはウェブサイトと Facebook アプリの組み合わせで、Twitter や Facebook のようなソーシャルネットワーキングサービスに RSS フィードを出版するためにデザインされたものだった。私はそれまで Twitterfeed サービスを使っていてますます増える苦痛に苛まれていたが、その代わりにまず TidBITS Twitter アカウントを dlvr.it のサービスに切り替えてみた。それがうまく行ったので、私が新しく作った TidBITS Facebook ページに TidBITS の見出しや記事要約をフィードするために dlvr.it を試してみることにした。

すると以前より多くの問題に悩まされたのだが、トラブルだらけの分野がいくつかあったところに dlvr.it の極めて反応の早い技術サポートの人が救いの手を差し伸べてくれた。(問題の大部分は Facebook が悪いか、あるいはビジネス用ファンページを設定する際の Facebook のインターフェイスがほとんど理解不能なものだった結果であった。)そして、そうこうするうちに、ついにフィードの読み込みが正しく働くようになった。

残念ながら、見た目はとんでもなく醜いものだった。最初のうち、dlvr.it は私たちのページからランダムにグラフィックを取り込んでいた。(たいていの場合取り込まれたのは QR コードの画像だった。(2009 年 10 月 1 日の記事“タグよ、君は 2D になった!”参照。)つまり、投稿のサムネイルとしてその画像が使われ、個々の投稿項目の横にプロファイルのサムネイルと並んでそのサムネイルも表示されたのだ。幸いにも、今から数週間前、dlvr.it がアップデートされて、Facebook 上のサムネイル画像について追加のコントロールができるようになったので、記事ごとのサムネイルを表示せず、プロファイルのサムネイルのみ表示されるようにできた。(TidBITS Facebook の一番下にある Older Posts (過去の投稿) をクリックすれば、この醜いサムネイル重複の様子を見ることができる。)

けれども問題はそれだけではなかった。私はこの Facebook ページのプロファイル画像として私たちの標準の TidBITS ロゴを使うようにと試みてみたが、Facebook ではどうしても正方形の画像しかそこには使えないようだった。長方形のプロファイル画像は、サムネイルとして表示する際に正方形になるようにトリム(切り取り)加工されてしまうのだ。(画像のサイズやアスペクト比に関する仕様を探してみたが、どこにも見当たらなかった。)何度も試行錯誤を繰り返したが、結局標準の TidBITS ロゴを使うのはあきらめて、大サイズのプロファイル画像にも小さくしたサムネイル画像にも使える正方形のロゴを新たに作った。

これだけ大騒動することになったけれど、今はすべてがうまく働いているように見える。その上、dlvr.it は個々のソーシャルネットワーキングサービスごと、それから個々の項目ごとのクリックスルー統計値さえも報告してくれる。(現在のところ Facebook での数値はまだ非常に低いが、これはまだごく少数の人たちにしか知れ渡っていないからだろう。)そういうわけで、もしもあなたが Facebook でビジネス用ファンページを設定したい、その内容の少なくとも一部としてあなたの RSS フィードを流し込みたい、と思われるなら、私は dlvr.it を強くお勧めしたい。

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新刊 Take Control 電子ブックが Snow Leopard のアクセス権を解説

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X の動作の内部を覗きたいなら、あるいは奇妙な問題に遭遇してそうせざるを得ないなら、Snow Leopard 用に最新の編集が施された私たちの最新刊の電子ブック“Take Control of Permissions in Snow Leopard”をご覧あれ。Unix 導師であり Mac 愛好家でもある Brian Tanaka が著した(そして Geoff Duncan が編集した)この 91 ページの電子ブックには、実用的なハウツー形式の詳しい情報やトラブルシューティングのヒントと、ちょうど適切な分量の理論的内容とが混ぜ合わされている。アクセス権の解説が、実際的な操作の手引き、例えばファイルを自分だけのものに保つ方法、サーバとの間で効果的にファイルのコピーをやり取りする方法、外付けディスクのオプション Ignore Permissions の設定方法、デフォルトのアクセス権を修復する方法、どうしても消えないファイルを消去する方法、などと関連づけて展開される。

高度な概念も学びたいという人のために、$10 のこの電子ブックはそういった話題にも踏み込む。例えばスティッキービットについて、アクセス権を設定するためのシンボリックな方法と絶対的な方法、ビットマスクの処理方法などの話題だ。もちろん、Brian は Mac OS X 10.6 Snow Leopard でのアクセス権の新機能についても調べている。例えばアクセス制御リストの利用が増えたこと、umask の動作方法が変更されたこと、ファイルをコピーした後でどのようなアクセス権が付くか、といったことについても説明がある。

Terminal で Unix コマンドラインを使うことに慣れていない人も心配は要らない。Brian はそのための明快な使い方の説明とともに、Finder の Get Info (情報を見る) ウィンドウや Inspector (インスペクタ) ウィンドウを使って、あるいはサードパーティのユーティリティ FileXaminer を使ってアクセス権の管理をする方法も説明している。(それからもちろん、もっとコマンドラインに慣れ親しみたいと思う人のためには、Joe Kissell の“Take Control of the Mac Command Line with Terminal”を強くお薦めしたい。分かりやすい、しかも綿密な、コマンドライン入門が提供されている。)

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iPad の偏光効果

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私には、大宇宙が、Apple 製品の形をとって、私にひどい嫌がらせをしているのかと思えた。新しい MacBook Pro のハードドライブが故障したので、近所の Apple Store の Genius Bar に予約をしてそこへ向かう途中、カーステレオに繋いで音楽をかけようとしたら iPhone を再起動しなければならなかった。それから iPad を取り出して動かそうとしたら、何と、iPad のスクリーンが真っ黒のままだった。私が何をしても、起動も再起動もしてくれなかった。

バッテリが空になったに違いないと私は思った。そこで、Apple Store に入った私はどれかのコンピュータに繋がせてもらえないかと思い、一人の登場人物、じゃなかった係員が、ケーブルを取りに行っている間に、私はもう一度 iPad を試してみた... あれれ、今度は問題なく動き出した。

私は係員に申し訳ないと謝り、店の外に出た、すると、iPad はまた動かなくなった。それで私はピンと来た。サングラスだ! 私はサングラスを外した。すると iPad は、もちろん、すっかり正常だった。私がかけていた偏光サングラス が、素敵な手品を演じてくれたのだった。

この効果に私は驚かされるべきではなかった。かなり前に、私は iPhone 3GS でそのことに気付いていた。Macworld でレビュー記事を書くために十個以上の GPS アプリをテストしていて気付いたのだ。iPhone を縦向きにしていれば、サングラスをかけていても何の問題もなく見えた。けれども横向きにしてアプリをテストしようとすると、スクリーンはほぼ真っ黒になってしまうのだった。

詳しく調べてみると、LCD (液晶ディスプレイ) は2枚の互いに直角な方向に向いた偏光フィルタに依存して動作することが分かった。液晶(やその他のもの)はこの2枚のフィルタの間に挟まれる。液晶が光の偏光に変化を加え、それが基本的に垂直に置かれた2枚の偏光フィルタが光をブロックしていた効果を取り消すように働く。これが LCD の原理だ。

私はそれまで他の LCD モニタやスクリーンでこれに気付いたことはなかったが、おそらくそれは圧倒的大部分の時間私がサングラスなしでそういう機器を使っていたからだろう。あるいは、戸外にいる時も、おそらく一定の向きでのみ、その機器を使っていたのだろう。

iPad の表側の偏光フィルタは、明らかに iPhone で使われているものと比べて 90 度違った向きに取り付けられているようだ。縦長モードにすると、iPad のスクリーンはほとんど真っ黒になる。横長モードにすると、普通に見える。この2つの写真は、私がかけているサングラスを通して撮影したものだ。

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もしも同じことがあなたにも起こったら、自分の頭がおかしくなったと思ってはいけない。単純に、サングラスを外せばよい。未来は明るいのだから、グラサンなんて似合わんぜ。

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InterviewBITS: John Miller にインタビュー

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ご存じのように、私たちが抽選で賞品を提供する際には当選者を発表しなければならないと法律で決まっている。普段の DealBITS 抽選では、当選者の発表に花を添えるために、当選しなかった人たちにも同じ製品の値引きを提供している。けれども今回の TidBITS 20 周年記念の抽選に際しては(2010 年 4 月 19 日の記事“TidBITS がインターネット出版 20 周年を祝う”参照)いつもとちょっと違うことをしてみたい。ここで、皆さんに当選者をご紹介しようと思う。アラスカ州 Fairbanks 在住の John Miller、彼は今は退職しているが現役時代は研究所のプロジェクトマネージャーをしていた。

Adam: 私たちの賞品の当選おめでとう、John! まず最初の質問です。あなたはこの $200 でどの賞品を選びますか?

John: 私は Apple が新バージョンの iPod touch をリリースするのを待っているところです。大きく進化するらしいですからね。それとも新しい iPhone にするかもしれません。こちらも間違いなく改善するでしょうから。

Adam: それなら、賞品には汎用の Apple ギフトカード $200 分を差し上げることにしましょう。それなら、どの機器でもあなたの気に入ったものに使えます。"From TidBITS" と刻印してもらうのをお忘れなく! さて、インタビューを始めましょう... あなたはどのくらいの期間 Mac をお使いですか?

John: 私は 1984 年からずっと Mac ユーザーです。報道で Mac について聞いて、近所の Apple ディーラーで 128K Mac を触って見てみました。その秋に、仕事で使うために 512K Mac を買って、それ以来後ろを振り返ったことは一度もありませんよ。

Adam: おお、あなたは 1984 年の時点で既に仕事で Mac を使うことができたのですか? それはすごい。

John: 私は 1995 年に引退しましたが、それまでアラスカ大学 Fairbanks 校で研究所のプロジェクトマネージャーをしていました。

Adam: では、あなたの部局の他の人たちにも Mac を紹介することができたのですか?

John: ええ、その通りです。私が購入の決定権を持っていましたからね。プロジェクトのメンバーたちに、一台、また一台と私は Mac を購入していきました。長年にわたり、次々と新機種が出るにつれて、私たちは Mac Plus、SE/30、Mac II、IIcx、IIci、IIfx、それからあのやたらにでかいドックの付いた PowerBook Duo 230 も買いましたよ。

Adam: PowerBook Duo 230 があなたの最初のポータブル機だったのですか? 私たちはその前に PowerBook 100 を持っていましたが、Tonya は Duo 230 がとても気に入って、1990 年代初めごろに何年も持っていましたよ。

John: よく考えてみると、正確には違いますね。今でも思い出しますが、仕事上の遠出の旅行で、シカゴの O'Hare 空港のこちらのターミナルからあちらのターミナルまで、17 ポンド (7.7 kg) もある Mac Plus を肩掛けのハーネスで背負ってずっと歩いた覚えがあります。つまり、私たちの仕事ではそれだけ Mac が重要だったということですね。そう、機内の頭上の荷物入れにもちゃんと入ったのですよ。それからもう少し後、でもまだ Duo 230 よりは前でしたが、Outbound Laptop を使っていたこともあります。これには古い Mac から取った ROM が必要でした。Mac Plus に比べれば大きさは4分の1、重さは半分でしたが、スクリーンもバッテリ寿命もあまり良くなかったですね。

Adam: ネットワークはどうですか? 仕事場の Mac はすべてネットワークで結ばれていましたか?

John: もちろんです。それで、ネットワークに繋がった AppleTalk プリンタを何台か独自に設置して、驚異的に生産性が上がりました。それまでは、6つも下の階にあるメインフレームのラインプリンタにプリントジョブを送って、一晩待たなければならないこともあったのですから。また、原稿をワードプロセッシングセンターに提出して出力されるまで行列に並び、それから編集して、再提出して、という手間も要らなくなりました。(公平を期して言えば、ワードプロセッシングセンターの人たちはみんなとても有能で親切な人たちでした。それに、その後彼らのところもほとんどすべて Mac に切り替わったのです。)

私たちの AppleTalk ネットワークはメインフレームのネットワークとは独立に運営されていましたので、私たちは自分たちの好きな機種選定とタイミングでマシンを入れたり除いたりできるという柔軟性に恵まれていました。それに、メインフレームのネットワークに繋がっていないことで、ソフトウェアの選択やインストールも独立に、私たちの予算に合わせてすることができました。IT 部局の人たちはしばらくの期間私たちの独立 AppleTalk ネットワークの存在に気付いてもいなかったくらいです。でも、それを知っても余計な干渉をせずに済ませてくれたことはありがたかったと思っています。

Adam: あなたの部局以外にも Mac は広がっていきましたか?

John: はい。時間の経過とともに、他のプロジェクトリーダーたちにも広がって、やがてどの階にも Mac がぐんぐん増えていきました。別に私が直接関与していたわけではなかったのですけれどね。

Adam: では、自宅ではどうですか? 今お使いの Mac は何ですか? その前はどの Mac でしたか?

John: 今の私は、自分では研究と執筆と称していますが、たくさんの読み書きを 2008 Mac Pro でやっています。その前に使っていたのは Power Mac G3 で、これは処分しようと思いながらまだ自宅に置いてあります。そのもう一つ前は Quadra 660AV でした。ずっと前にさかのぼると、Mac より前の時代、私は自宅で Apple /// とその 5 MB ProFile 外付けハードディスクに、猛烈に夢中になっていました。初めてのアプリケーションスイッチャー、Catalyst を使うのもとても楽しかったし、WordJuggler という名の最初のワードプロセッサも、楽しかった。Steve が /// を打ち切りにした時、私は猛烈に頭に来ましたよ。メディアが騒いでいた緩んだチップの問題なんて、私は一度も目にしたことがなかったのですから。

Adam: 家族の皆さんはどうですか? あなたは PC ユーザーに囲まれた孤独な Mac ユーザーでしたか? それとも、結局は皆も Mac を持つことになりましたか?

John: もちろんその後者ですよ。妻は自分で 2008 21 インチ iMac を持っていますし、旅行をする時には古い 17 インチ PowerBook G4 を持って行きます。こいつはもう寿命が尽きかけていますがね。その前のわが家のラップトップは PowerBook G3 (Wallstreet) で、私の偏った意見で言わせてもらえば、これこそ Duo 230 以後で最高のデザインを持つラップトップでした。これも、まだ何とか生きながらえていて、私はまだ捨てられずにいます。

いつだったか忘れましたが、娘が Bondi Blue iMac を手に入れるのを手伝ったこともあります。その後 2007 20 インチ iMac の購入も手伝いました。それから、妹が初期の eMac や、その後 Mac mini を買うのにも力を貸しました。孫娘は大学で Performa 630 を使っていましたが、その後 Windows 使いの男と結婚しました。

Adam: TidBITS はいつごろからお読みですか?

John: 覚えている限りでは、1990 年代前半のいつごろかだったと思います。誰に教えてもらったかは思い出せませんが、たぶん初期のネット上での仲間の一人だったでしょう。読み始めて、たちまち私は夢中になってしまいました。

Adam: 当選された方が長年のファンだとわかってとても嬉しいです。私たちの記念日の記事を読んであなたが電子メールで送ってくださった言葉は特に印象的でした。あなたはこう書いてくださったのです。「あなたたちの操る言葉は素晴らしい。散文であるのに、時折その中の本質は詩的なのではないかとさえ思える。たとえ扱う話題が私の心に染まないものであっても、ただ文章を読むだけで心に喜びが溢れるので記事が読みたくなる。」

John: まったくその通りです。それだけでなく、新しいソフトウェアやハードウェアを TidBITS がレビューしてくれたり、Mac の世界に起こっていることを伝えてくれたり、それから新刊の Take Control 電子ブックのお知らせをしてもらえるのもありがたいと思っています。

Adam: こりゃ驚いた、あなたは、長年にわたって合計 79 冊もの Take Control 電子ブックを購入してくださっていますね。本当に忠実に支持してくださり、ありがとうございます。何か、こんなところをもう少し良くして欲しいというようなご要望はありませんか?

John: そうですね、TidBITS Talk で管理の手を入れてくださっていることはありがたいと思うのですが、できれば、投稿が元の話題について有益な情報を提供しなくなった時点でもう少し早く管理者の方がスレッドを切ってくださればと思います。

Adam: ご提案、確かに承りました。では、たった今頂いたばかりの助言に沿うためにも、このへんでインタビューを切り上げたいと思います。長年 TidBITS と Take Control を支持してくださって、本当にありがとうございます。もうじき手に入る iPhone か iPod touch を、どうぞお楽しみください。

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BBEdit 9.5 が検索、スクリプト添付、アーカイブブラウズ機能を拡張

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Bare Bones Software が、長年続いているテキストエディタ BBEdit の最新バージョンをリリースした。追加された新機能でユーザーの目に目立つものはほんの少数だが、細かな改良が多数盛り込まれている。

BBEdit 9.5 の変更点で最も注目すべきものは、Search > Live Search を選ぶと(あるいは Command-Option-F を押すと)編集ウィンドウの一番上に現われる Live Search バーが加わったことだ。見かけも動作も Safari でページ内検索に使われる検索フィールドによく似ていて、検索フィールドを表示するとともに、あなたが文字をタイプするに従ってすべてのマッチをハイライト表示する。また、マッチの個数と、マッチしたものの中で実際のテキスト選択を前や後に動かすための二つの矢印も表示される。(Return や Shift-Return でもマッチの中で前後に進むために使える。)このライブ検索は常に文字通りの、大文字と小文字を区別しない検索をする。従来のバージョンにあった Quick Search ウィンドウはこの Live Search によって置き換えられた。私は、あのウィンドウを便利だと思ったことは一度もなかったが、この Live Search はもっとずっと有効に使えるようになるのではないかと思っている。

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おそらくそれよりもっと重要な機能であろうけれど、興味を持つユーザーの数は比較的少ないだろうと思われるのが、大幅に拡張された BBEdit のスクリプト添付機能だ。従来から(ただしほとんどの人たちがそれを知らなかったことに賭けてもいいと思うが)BBEdit のメニュー項目としてスクリプトを付けることはできた。BBEdit 環境設定ウィンドウの Menus パネルを使ってできた。考えてみればこれは相当に素晴らしいことだ。なぜなら、ユーザーがメニュー項目を選ぶだけで標準のメニューコマンド以外にもいろいろと追加のアクションを実行させることができるからだ。今回バージョン 9.5 で新しく加わったのは、15 個のアプリケーションおよび書類イベントにスクリプトを添付させることのできる機能だ。つまり、BBEdit を以前よりたやすく他のワークフローに組み込むことができるようになった。スクリプトを ~/Library/Application Support/BBEdit/Attachment Scripts に置くだけで、アプリケーション内で起こったイベント、例えば書類を開いたり、閉じたり、保存したりといったことに連動して、BBEdit の機能を拡張できる。実際、私たちは Subversion ベースの書類共同編集作業のワークフローにこれがどううまく使えるかをいろいろ試している。

スクリプト添付についてもっと詳しいことは、Help メニューからアクセスするこのプログラムのユーザーマニュアルで読める。それから、Bare Bones が今回のバージョン 9.5 で BBEdit のオンラインヘルプをクリーンアップするために努力を注いだことも言っておくべきだろう。内容を最新のものにするとともに、書式の一貫性を高め、新機能の解説も盛り込んでいる。

BBEdit はしばらく以前から tar 書庫の内部を見ることができた。今回のバージョン 9.5 では、新たに ZIP アーカイブの内部もこのプログラムのディスクブラウザウィンドウで見られるようになった。BBEdit の読めるファイルのみが表示され、ファイルは読み出し専用だが、そこに変更を加えようとすれば BBEdit がそのファイルのコピーを別の場所へ保存するようにと促してくる。これは微妙なことだが便利な工夫だ。この機能を使って、EPUB ベースの電子ブックの中身も読める。なぜなら、EPUB フォーマットは XML や CSS のファイルを収めるため ZIP をパッケージングのフォーマットに使っているからだ。ZIP アーカイブや EPUB ファイルを BBEdit の上にドロップすれば実際にどう働くかが分かる。

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Subversion のサポートも、このプログラムのいくつかの異なった部分に組み込まれた。ディスクブラウザやプロジェクトウィンドウの一番下にメニューボタンが新設され、そこにいくつかの Subversion コマンドが含まれる。また、プロジェクトリストでのコンテクストメニューにも Subversion コマンドが含まれるようになった。それから、複数のファイルにわたる検索で、検索結果ウィンドウの中のどれかのマッチに Subversion のワーキングコピー内にあるファイルが含まれる場合、それを Control-クリックすればそれにふさわしい Subversion コマンドを含んだコンテクストメニューが出る。

これらの追加機能以外にも、BBEdit 9.5 は多数の細かい点で進化を遂げた。変更点やバグ修正は、それこそ数え切れないほどある。例として、いくつかを挙げておこう:

非常に詳細に及ぶリリースノートを詳しく読んだ人のために(本格的な BBEdit ユーザーならばぜひ読むべきだ)付け加えると、ポニーの蹄鉄が超合金で強化されたというくだりには注目すべきだ!

言っておくべき変更点がもう一つある。今回から BBEdit は Mac OS X 10.5 かそれ以降を要するようになった。PowerPC と Intel ベース双方の Mac で動作する。Bare Bones の Rich Siegel によれば、OS バージョン間の差異が大きくなって、その後のリリースで修正された旧 OS のバグを回避する努力や、旧バージョンで必要となる極めて幅広い種類のさまざまなテスト環境の負担も大きくなったために、古いバージョンの Mac OS X のサポートを続けることがますます困難になってしまったとのことだ。

BBEdit 9.x のユーザーには無料アップグレードだ。BBEdit 9.5 の価格は新規購入で $125、アップグレード料金は 9.0 以前のどのバージョンからでも $30 だ。ダウンロードサイズは 16.7 MB で、30 日間有効の試用版としても入手で きる。

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Jobs、Adobe Flash について Apple の立場を説明

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

人前に出たがらないことで有名な Steve Jobs は、公的発言に関して Apple さえも同じ束縛の下に置いているが、最近公に声を発した。[email protected] に電子メールを送っても単語一つだけ (たいていは "No") の返事しか返ってこない状態を破り、この Apple CEO は、iPhone OS にはなぜ Adobe の Flash テクノロジーの入る余地がないのかについての判断を包み隠さず公表した。

Jobs の発表した文章 "Thoughts on Flash" は、Adobe、Apple、それにモバイル機器の機能に長い経験を持つ私たち論者の多くが指摘してきた論点をあらためて述べ直している。特に、John Gruber はこの問題について広範な議論を述べてきており、iPhone Developer Program の 合意条項について彼が書いた文章は、これについて電子メールで問われた Jobs が「非常に洞察深く、しかも否定的でない」文章だったと述べている。

Jobs は6つの論点に分けて議論を進めているが、それらをおおまかに2つの分野に分けてここで議論したいと思う。それは、オープンスタンダードの問題と、モバイル世界における Flash の適合性の問題だ。

オープンスタンダード -- Jobs は、Adobe がプロプライエタリのテクノロジーである Flash を推し進める一方で、Apple は HTML5、CSS、JavaScript などのオープンなスタンダードを後押ししていると書いた。Apple はまたオープンソースの WebKit ブラウザエンジンも開発し相当の努力を注ぎ込んだが、この WebKit は Google、Nokia、Palm によってそれぞれのスマートフォン上のブラウザの基盤として使われている。Research In Motion も、BlackBerry を WebKit に移行させる予定だ。

このことは Jobs の第2の論点にも関わってくる。Jobs はそこで iPhone OS が Flash をサポートしないことにより「フルのウェブ」を持てないと主張する Adobe に対する反論を述べている。

理想の世界においては、Jobs の挙げた3つのスタンダードを対象として作られたコンテンツならばどんな機器の上でもブラウザに関係なく全く同じように表示されるはずだ。HTML5 には、グラフィカルなアニメーション、ビデオ再生、オーディオ再生、その他かなり多岐にわたった内容についての記述が含まれる(ただし規定はない)が、それらすべてが Flash の主たる利用目的にいくばくかずつ侵入している形だ。

Jobs の文章が出てから数時間後、Adobe の CEO、Shantanu Narayen は Wall Street Journal に対して「Flash はオープンな仕様だ」と述べた。記者にそう話しながら、彼はクスクス笑っていたという。確かに、Adobe が Flash の詳細を(SWF File Format Specification として)公開しているのは事実だ。ただ、それは少なからず不誠実な言い方だと言わざるを得ない。

HTML、CSS、JavaScript がすべてのバージョンでオープンであったのとは異なり、SWF は 2008 年 5 月 1 日以前はクローズドな仕様であった。また、他のスタンダードとは異なり、多くのプラットフォームにわたって Flash 指向のアプリケーションが爆発的に急増したことはかつてなかったし、今もない。

確かに、Adobe の Flash プレイヤーは多くのプラットフォームで入手可能だし、Adobe 以外のソフトウェアで SWF ファイルを作れるものもいくつかある。Adobe は SWF コードの一部をオープンソースのライセンスの下にリリースしている。さらに、Gnash という成熟したプロジェクトもあって、これは Flash 再生を GNU/Linux と BSD の世界に持ち込んでいる。

サードパーティの Flash プレイヤーがコンテンツに埋め込まれた DRM をどう処理すべきかという問題はまだ残っている。BBC Player はその一例だ。ただ、私がオープンソース Flash コードの付属文書を読んだ限りでは、10.1 リリースの Flash においてサードパーティにも保護付きコンテンツが扱えるようになるのだという。

Wall Street Journal の記者は、Narayen に次のような質問を投げかけるべきだった:「Adobe 製以外で Flash を扱うアプリケーションやプレイヤーはどうなのか?」また「Adobe 外で Flash フォーマットの開発に現役で携わっている個人や会社はどうか?」と。

なぜなら、Flash の世界における動きで、この世に溢れるさまざまのウェブブラウザたちに匹敵できるものは何もないからだ。また、Adobe による Flash 仕様のコントロールは、W3C (World Wide Web Consortium) や、その他スタンダードの母体となっているところがブラウザの機能に対して持つ影響力に比べれば著しい対照を成しているからだ。

Flash は「オープンな仕様」かもしれない。けれども Adobe が依然として開発のコントロールをすべて掌握し、その説明として「Adobe は SWF ファイルフォーマット仕様に対するすべてのフィードバックを真剣に考慮しています」としか述べていない。特に言えることは、Adobe には他者のアイデアを組み込む必要も、Flash コミュニティーがこのテクノロジーの進化の方向として望むものが何かについて総意を汲み取る必要も、一切ないというこごだ。

それとは対照的に、HTML、CSS、JavaScript はすべて十年以上にわたる(HTML の場合は 15 年以上だ)実験と、抵抗を受け、ブラウザの違いに苦しみ、妥協し、議論し、利害のぶつかり合う者同士が少なからぬ対立を繰り返しながら生み出されてきた結果なのだ。

また、あの記者は Adobe が HTML5 の開発に際し HTML5 の動作の及ぶ範囲を巡って手続き上の問題を持ち出して開発を立ち往生させたと言われている問題についても質問すべきだった。HTML5 にはビデオタグが組み込まれ、ビデオを標準的な方法で直接組み込むことができるようになっている。(その基盤となるビデオフォーマットは、H.264 であろうと、Ogg Theora であろうと、あるいは Google の V8 であろうと、HTML5 の仕様上は明記されない公算が高い。それでも H.264 が最も広くサポートされるものとなるだろう。なぜなら、 Microsoft が Internet Explorer 9 で H.264 に傾倒しているからだ。)

HTML5 のビデオタグは、Flash にとって脅威だ。Adobe のツールが H.264 やその他のビデオフォーマットを出力できるとしても、そのことは変わらない。Adobe は HTML5 草案の進捗を停滞させているという疑いを否定したが、ウェブの父と呼ばれる Tim Berners-Lee がそこに介入して、 HTML5 のスコープに問題はないと宣言し、開発作業を進めるべきだと述べて停滞を打ち破った。

当然ながら、Jobs もやはり、ウェブベースのスタンダードについて語る際にはオープンであることに対する Apple の責任について不誠実な言い方をする。ブラウザの外では、iPhone OS は完全にクローズドなプラットフォームであり、John Gruber が議論した iPhone Developer Program License Agreement の変更はまさしくすべてのアプリが Apple が提供しコントロールするツールのみを使って書かれるように要求している。(New York Post の記事によれば、これに対し反トラスト法違反の疑いで調査が行なわれるかもしれないという。)

このライセンス条項の変更により、Adobe が開発者たちに Adobe Creative Suite 5 の中にあるツールを使って Flash プログラムを iPhone OS アプリの中へコンパイルさせることができなくなった。既に App Store の中にはそのようなプログラムが 100 個もあるというのに。

また、他の開発ツールのいくつかについても、それを iPhone アプリ作成のために使うことができなくなるかもしれない。Apple がこのルール変更を一様に強制するかどうかはまだはっきりしていない。App Store には 200,000 個ものアプリがあるので、そうした開発者たちには大きな影響があったとしても、Apple には多少のものが消えてもそれほど痛くはないのだろう。

Apple と Adobe は意図的に真っ向から食い違う議論を仕掛けている。Jobs はウェブベースのリソースのためのオープンフォーマットを支持するが、ブラウザ以外の部分はすべてクローズドな開発と配布のシステムを支持している。

Adobe はウェブページにおける Flash の半ばプロプライエタリな方法での埋め込みを擁護する。そこではすべての人が Adobe の Flash Player をインストールしていることが必要で、いろいろなブラウザメーカーが一つの会社に依存せず独自に一貫した使用体験を形作るということができない。

けれどもアプリの領域においては、Adobe は Flash 開発者たちが iPhone OS 用に特別の開発プロセス、つまり Apple が今回 iPhone Developer Program License Agreement により定めた方法を強制されるべきではないと論じている。

ツールについて言えば、Adobe は唯一の豊かな Flash デザイン・開発ソフトウェアを作り、Apple は唯一使用可能な iPhone OS 開発環境を作っている。開発者の側から見れば Adobe の覇権の方がその課された制限にもかかわらずより好ましいと思えるのではないか。なにしろ、Flash の到達範囲の方が iPhone OS のそれよりもはるかに広いのだから。

(Adobe のパッケージ化ツールが Flash コンテンツをアプリにする際にそれがネイティブなアプリと同程度に良いユーザー体験を提供できるかどうかというのはまた別の問題だ。文章の別のセクションで、Jobs はこの点に強い反対意見を述べている。)

けれども、この二社が本当に論争しているのはコントロールの問題だ。 Apple は iPhone OS プラットフォームにおいてほぼ全面的なコントロールを望んでいるけれども、ブラウザの領域ではオープンなスタンダードを喜んで受け入れようとしている。なぜなら、どんなに優れたウェブアプリであっても同等な立場で iPhone OS アプリに挑むことはできないからだ。ブラウザにできることは、せいぜいウェブページを開いて、他のブラウザと同じことをするだけのことだ。Microsoft は十年かけてその事実を受け入れたのだ。

逆の見方をすれば、Adobe は埋め込まれたウェブコンテンツにおいてコントロールを望んでおり、自分自身を開発者たちが一つの製品で何十もの異種の環境にわたって動作できるものを作れるようにするコンジットだと見なしている。

どちらの会社も、自分を開発者たちの友人だと見なしていることは明らかだ。Apple は開発者たちがオープンスタンダードに依存することでどこでもうまくレンダリングされるようにしたいと考えており、Adobe は Flash がサポートされている場ならばどこでもうまくレンダリングされるような豊かなコンテンツを作り出せるツールを開発者たちに提供したいと考えている。

モバイルパフォーマンスと適合性 -- Jobs は別の2つの論点で、Flash が現行の状況下の携帯電話においてさえ理に適っているのかどうかと議論する。

iPhone、iPod touch、iPad では議論の焦点となっているが、他のモバイルプラットフォームで Flash が広範囲に利用されているものは一つもない。Nokia は N900 に Flash 9.4 を搭載しているが、これは携帯電話とは言えない。Android、Windows Mobile、BlackBerry、webOS、あるいは Symbian の携帯電話で Flash コンテンツを扱えるものはない。(多くのベーシックな携帯電話で走る Flash Light プレイヤーはあるが、これは Flash Light 専用にデザインされ最適化された Flash コンテンツを必要とする。Flash Light サイトが最後にアップデートされたのは 2008 年のようだ。)

Adobe は iPhone にそもそもの初めから Flash サポートが欠けていると苦情を言い立ててきたが、同社が Android 上の Flash 10.1 ベータ版である程度まともなモバイルパフォーマンスを実証できたのはごく最近のことだった。

Jobs はこう書いている。「私たちは Adobe に対して Flash がモバイル機器の上で、どんなモバイル機器でもよいから、うまく動作するところを示すようにともう何年も前からずっと要求し続けてきたが、一度も見せてもらったことはなかった。」

Adobe は現在、今年の後半には Flash 10.1 を Android 2.2 上に登場させると約束している。そして、2010 年内の予定はそれで終わりだ。HP に買収されたばかりの Palm は何も予定を発表していないし、RIM も Flash については一言も発していない。Symbian 機器用の Flash 10.1 は出る可能性があると思われるが、プリインストールのサポートがあるという話は聞いたことがない。

Microsoft は以前、2010 年末ホリデー期間までに出す予定の Windows Phone 7 システムには Flash が含まれるだろうと述べたことがある。けれどもその後同社はその予定表を後退させた。将来、いつか出るリリースでは Flash がサポートされるのだろう。

Adobe の苦情は、他に誰もサポートしていない、しかも、18ヵ月も遅れた結果早くとも 2010 年中頃にならなければ現実のモバイル使用に耐えるものとはならない、そんなテクノロジーを、Apple がサポートしないという苦情のようだ。Jobs はこうも書いている。「いずれいつの日かは出荷されるのだろうが、私たちはそれを今か今かと待ち望んでいなくてよかったと思う。実際どんな風に動くようになるのか分かったものじゃないだろう。」

Jobs は、Apple 社内で内輪に伝えられていたいくつかの報告の内容も明かしている。まず第一に、Flash は「Mac がクラッシュする原因の中で一番だ。」これに対して Wall Street Journal で Adobe CEO が答えた言葉は、それは何らかの「Apple オペレーティングシステムの問題だろう」というものだった。

私たちにはどちらが正しいか判断することはできない。多くのユーザーが普段最も依存して使っているブラウザプラグインは Flash のみなので、ブラウザ自体のバグによらないブラウザのクラッシュの原因は必然的に Flash によるものとなる。Apple は以前にもこれを Adobe の名を出さずに公表したことがあり、それは自動生成のクラッシュ報告から直接に集められた情報によるものであった。

第二に、Jobs は Flash が必要以上にバッテリを消費すると主張する。これは、モバイル機器において必要なローレベルでのハードウェアのサポートを Flash が持っていないからだという。Jobs によればプレインな H.264 ビデオならば Flash ビデオの半分の比率の電力消費で済むという。Adobe の CEO はこれを「あきらかな嘘だ」と切り捨てた。

これも、私たちが判断するのは難しい。Mac 上では、Flash がプロセッサのパワーを食い尽くすことはよくある。けれども Flash 10.1 リリースでは大幅な効率化がなされているように見える。Android 携帯電話の上で H.264 再生と 10.1 ベータ版による Flash ビデオを誰かがベンチマーク比較してくれれば、現時点での状況がテストできるだろう。

未来は -- Jobs の文章と、Adobe の Wall Street Journal インタビュー記事とにより、埋め込まれた Flash ウェブコンテンツも、アプリとしての Flash も、いずれも iPhone OS の未来に属していないことが明らかとなった。Adobe は他のプラットフォーム上では強く押し進めているが、これを Apple 相手の戦いとした時点で、Adobe に勝ち目はなくなった。

Adobe の CEO は同社が「何十もの」タブレット用プロジェクトを他の会社との間で進めていると述べた。けれどもそうしたプロジェクトはまだ市場の中にはない。そして、その市場では、Apple が既に 8 千 5 百万台の iPhone や iPod touch と、それから 2010 年 5 月 3 日の時点で百万台の iPad を販売しているのだ。

そして、つい先週のこと、Microsoft は タブレット用のコンセプトプロジェクト Courier を封印した。これは、2枚のスクリーンを持つ石板サイズのコンピュータ用に新しいいくつものアイデアを組み合わせて評判が良かったというのに。それから、TechCrunch の報道によれば HP は、Palm 買収の後になって、Microsoft の CEO が 2010 年 1 月の CES でデモ実演した Windows 7 ベースのタブレット機をリリースしないことに決めたという。

Adobe は、戦略的な誤りを犯した。同社の顧客はウェブユーザーではなくて、同社の顧客は開発者たちやデザイナーたちだ。Adobe は、もっと時間と努力を注ぎ込んで、すべてのスマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップに登場することのできるコンテンツを作り出せる、優れたクリエイティブな制作環境を作り出すべきだった。同社の顧客たちの関心は、Mobile Safari やその他のモバイルプラットフォームで動くものを作り出せるかどうかということに集中しているのであって、なぜ Adobe が未だにたった一つのスマートフォンのプラットフォームで Flash を動かすことができないのかの理由を聞くことなどに彼らはこれっぽっちも関心を持っていないのだ。

Adobe は、長年にわたって Flash を開発し続け、それを大多数のブラウザに埋め込ませるに至ったことについては、計り知れないほどの称賛に値する。Flash がなければ、ここ最近数年間のウェブがこれほどにインタラクティブで、楽しく、便利に使えるという状況は実現しなかっただろう。ウェブ上のビデオも始まっていなかったかもしれない。YouTube、Vimeo、Hulu 等々も、おそらく実際生まれたこのタイミングでは生まれていなかっただろう。

それは Adobe の功績として認めよう。けれどもそれと同時に明らかなのは、ウェブ上で豊かなメディアと豊かな相互交流をもたらす唯一のテクノロジーとして Flash が必要であった時代は終わったということだ。HTML5 がアニメーションとビデオとオーディオをサポートし、それに JavaScript のレンダリングエンジンが改良されたことを組み合わせれば、従来は Flash が絶対に必要であったことの大部分が、今や特定の会社のテクノロジーやツールを購入する必要なしに入手できるようになった。Adobe の諸ツールは、この新しい現実に合うよう進化しなければならない。

ウェブ開発におけるこの潮流の変化とは別にもう一つ、正面から Steve Jobs と直接対決して成功を収めた人はいない。Adobe が Flash を iPhone に搭載させることができたであろう唯一の道は、Apple の顧客たち、つまり私たちエンドユーザーが、Flash 開発者たちの手からのみ入手できるコンテンツを、心から欲しがっていると Jobs に納得させることだった。でも結局そういうことは起こらなかった。

Apple は、テクノロジー上の変化を、喜んで業界に強制する。そして、もしも HTML5 が業界の必要を満たすことができるのならば、iPhone OS を使う自社の顧客たちの利益のために HTML5 のサポートを加えることに抵抗したいと思う会社は、ほとんどなくなるであろう。

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3G iPad の AT&T サービスプランの裏表

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

3G iPad が消費者の手に渡った、これには私のものと TidBITS Managing Editor である Jeff Carlson のものも含まれる。これらを使って AT&T が提供している単純明快な二つのモバイルブロードバンドサービスの詳細に分け入る機会が得られた。米国の外のキャリアの条件は今の時点では分からない。

この二つのプランは 30日の請求期間内に 3G 経由で出入りするデータの消費量に基づいている。$14.99 だと 250 MB が得られる;$29.99 で使用量が計測されないデータが得られる - 真の無制限プランである。両方のプラン共 AT&T の 21,000 ある米国内の Wi-Fi ホットスポットへの無制限のアクセスを含む。どちらのプランもキャンセルしない限り自動的に更新されるが、長期間の契約は必要とされない。

最初のプランで、もし 30日の期間中に 250 MB 全部を使わなかった場合、未使用の分は単純に期限切れとなる;次月へ繰り越される事は無い。キャンセルに伴う課徴金は課せられないし、どの 30日期間でも始まった日からあなたのクレジットカードに課金される瞬間までの間何時でもキャンセル出来る。(事実 AT&T は、あなたのカードが課金されてからでもキャンセルまで 2時間の猶予期間があると言っている。)

Settings アプリ - これは 3G iPad モデルにのみ現れる - の中の Cellular Data タブがあなたの 3G データ設定の全てを管理する所である。3G データからより古い 2G EDGE 標準に切替えるスイッチはない。これは iPhone 3G 及び iPhone 3GS には含まれている機能で、電池寿命を改善するため或いはより信頼性の高いセル接続を確立するために使われている。iPad も 3G が無い所では EDGE に落として接続する (そして EDGE が無ければ GPRS へと、必要があればの話だが) - ただ自分で切替えるマニュアルの制御が無いだけである。私はこれについて Apple に質問を入れたが、考えてみれば極めてありそうな話ではある、何故ならば音声のために iPhone を使う場合、データパケットに分割されるとは言っても、電話は継続しているので 2G 上よりも 3G 上での方がずっと大きな電池負荷を必要とするからである。純粋のデータを 3G 上で送るのは音声よりも少ない負荷で済む。

セルラープランに申し込むためには Wi-Fi 経由のネットワーク接続は必要でなく、これは結構都合が良い;必要なのは米国内の AT&T ネットワークのカバー範囲内に居ることである。セルラーデータ接続がオンになっていれば、信号強度バーとネットワークのオペレータが左上に現れるが、これはサービスプランに既に申し込んでいるいないに拘わらずに現れる。(上のリンクは AT&T のサービスが得られる時の動作中の Wi-Fi 接続を示す;下のリンクは私が 3G プランを有効化し Wi-Fi を手でオフにした後のネットワーク状態を示す。)

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(但し次の様なコメントも寄せられている:それは Montana での前の Alltel のテリトリ内での話だが、彼の iPad はその左上隅に AT&T が表示されているにも拘らず、プランに申し込むことが出来なかったと言う。Alltel は地域 CDMA キャリアであったが顧客取り込みのため Verizon に買収された。しかし幾つもの辺境市場は AT&T へ衣替えし、同社は GSM サービスを提供するためそのライセンスを使っている。)

データプランを設定するには、View Account ボタンをタップする。長いスクリーンが出てきて、あなたの名前、連絡が取れる電話番号 (それは携帯電話の番号であったり、或いは AT&T アカウントである必要は無い)、メールアドレスとアカウントに対するパスワード、そしてクレジットカードの請求情報を入力する。それから二つのプランのうちどちらにするのかの選択もする。支払はクレジットカードでしか行えない;Visa, MasterCard, American Express, そして Discover が使える。

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あなたの作成したアカウントは新しいものである:AT&T は既存の Apple ID も或いは AT&T アカウントですら認識しない。あなたのメールアドレスはあなたの領収書やサービスの最新情報、或いは 250 MB プランではデータの使用量に関する警告などを送るのに利用される。

必要とされる情報を全て入力したら Next をクリックする、あなたは AT&T のサービスの条件を受け入れなければならない。Agree をクリックする、すると次のスクリーンでサービスの要約、そして正気とは思えない程高い国際サービスを購入するオプションも表示される。Submit をクリックする、そして最後のスクリーンが 3G サービスを有効にするのに数分かかると言ってくる。私の場合、有効化する人が殺到していると思われる日でもあったが、約 5 分かかった。完了した時プッシュの通知が現れる。

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p>iPhone でと同じ様に、メーンの Settings レベルで Airplane Mode を、そして 3G 無線の使用を不能にするため Cellular Data 設定で Cellular Data スイッチを利用する事も出来る。Airplane Mode は GPS, 3G, Bluetooth, そして Wi-Fi 無線を不能にするが、Wi-Fi をマニュアルで入れ直すことが出来る - インターネットアクセスのため Wi-Fi が提供されている機内では有用である。

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この 3G iPad がリリースされる前は、私にはこれがキャリアの本国のテリトリの外のネットワーク上ではどの様に働くのであろうかはっきりしていなかった。国際プランがありそして Cellular Data 設定の領域には Data Roaming スイッチ (本国外でのネットワークローミングを不能にするための) があるのを見ると、iPad は AT&T が世界中で関係を持つ使用可能なネットワークなら何でも利用しようとするのは明らかな様である。

Jeff と私は、最初 250 MB プランに申し込んで、その限度に近づいたらどうなるのか、そしてそのデータ量はどのぐらい現実的なのか見ようと思った。私が "あなたは毎月 250 MB のデータ量でやって行ける?" (2 February 2010) でも書いた様に、私の iPhone 3GS では、最初の数ヶ月の利用で毎月平均ほぼ 300 MB の 3G データを使っていることが分かった。

Jeff は Netflix ストリーミングを試験したが、これは 3G 上でも許されている。映画をストリームして 250 MB をこなすのに約 1 時間かかったが、これにはちょっと驚かされた。AT&T のネットワーク上で 1.5 Mbps 程度までのストリーム速度が得られることを考えると、Netflix は 700 MB 近くまで送り出せたはずである。(幾つかの帯域幅試験サイトを使ってやってみたら、約 5 分間で 25 MB を取り込めた。)

他のストリーミングビデオは 3G ネットワークを使う事は許されていない。Jeff は ABC のアプリを試してみたが、iPad は予期したエラーを返してきた。私には Netflix のアプリも一旦引き上げられ、そして Wi-Fi のみの制限付きで再登場となるのではと思える。AT&T のデータネットワークに巨大な影響を与えるのにそう多くの Netflix ユーザーは要らないであろう。

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一旦データプランに対する支払を済ませれば、Cellular Data 設定に戻って View Account をタップすることでそれに対する変更をする事が可能になる。でも本当に頭にくる決定のお陰で、AT&T はアカウント情報にアクセスする或いは変更をしたいという度にログインをすることを要求する。パスワードをキャッシュする事は出来ず、数秒間という短い間でもダメで、パスワードを保存する方法も無い。

再度ログインすると、色々なデータが見られる、例えば請求期間、そして消費したデータ量 (AT&T の記録による) といったものである。Jeff は、データ消費量についての AT&T の情報には 30 から 60 分の遅れがあることに気付いた (これは勿論 3G iPad の有効化をしようとする何万人という人のトラフィックが集中した最初の日というせいでもあるかもしれない);General 設定スクリーンでの Usage ペインでは iPad がその時点で測定しているものを表示する。

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AT&T はあなたの iPad に割当てられた電話番号も表示する - ええ、間違いではなく、電話番号である。これはきっと AT&T のデータベースで請求処理に伴う何かが必要なことと関係しているのであろうと思われる。私は Jeff の iPad 番号に電話をかけてみたが、AT&T は私がかけている相手は現在この電話を受けられないことを説明する録音メッセージを流してきた。これは現在だけでなくきっと永久にであろう。

あなたのプランに対する変更は Add Data 或いは Change Plan スクリーンからも出来る。その項目をタップすると、あなたの現在のプランによって何がしか違うものが見えて来る。私は最初に 250 MB を選択したので、更に追加の 250 MB のデータを購入する、無制限に変更する、或いはプランをキャンセルする機会が与えられた。

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上記のスクリーンショットにある両方のプランは少々誤解を招きやすいが、AT&T や Apple の有利になる形ではない;もし変更した後どうなるのかがもっと良く説明されていれば、ユーザーは売上げを増やすかも知れない選択肢を選ぶ可能性がもっと増えるのではなかろうか。ボタンはあることを言っているが、その上にあるテキストはより明快である:"選択されたプランは現在のプランが終了した後有効になります。" これにはキャンセルも含まれる。

例えば、あなたが "250 MB のデータを追加" してもあなたが既に 250 MB プラン上にいるのであれば、30日以内に 250 MB のデータを使い切らないうちは何も変更されない。あなたを同じプランに保つ。しかしながら、もし 30日以内にデータを使い切ると、次の 250 MB の塊があなたのアカウントに追加され、そして請求期間がリセットされ新しいデータプールに切り替わった瞬間から新たな 30日のカウントが始まる。

同様に、無制限プランも 30日の期限が来る前に 250 MB プランのデータが切れてしまうか、或いは次の 30日のサイクルが始まるか、どちらか先に来た日から始まる。

プランをキャンセルするオプションの方も同じ様な仕組みで有効となる;"プランをキャンセル" とするよりも "自動更新をキャンセル" と書くべきであろう。私が私のサービスをキャンセルするテストをした時、AT&T は数時間後に確認のメールを送ってきて、そこにはその通りの事が書いてあった:"あなたは 30日間 250 MB のデータ で $14.99 のプランを自動更新するのをキャンセルする選択をされました。もしサービスを再開されることをお望みなら、あなたの iPad の Settings に行き、新しいプランを選択して下さい。"

Cancel Plan をタップする時、先に進むには二つのやり方がある。そのプランを設定する時に使ったアカウントを直ちに消去するか、或いはそれを後で消去するかのどちらかである。"後で" は必ずしも正確な言葉ではない:AT&T の文書には、休眠アカウントは 60日後に消去されると説明してある。

自動更新をキャンセルするのにどちらの方法を選択しても、現在のサービスは、あなたがそのプラン上の 250 MB データを或いは 30日期間の残りを使い切るまで生きている。

アカウントを除去するのに二つの方法があることに対して、私が考えられる唯一の理由は、3G iPad を売る時とか或いは子供を大学に送り出す時とかに iPad 上でで取りあえず 3G プランが引き続き使える様にしておきたいということぐらいであろう。

もし一つの iPad 上で 3G サービスを時折使うのであれば (使用の間が 60日以上空いてしまう)、一つのアカウントを何回も作成してしまうことになるように見える。毎回使われる同じメールアドレスに AT&T は気付いてくれることを望みたいと思う。

iPad に対する国際データプランの料金は AT&T が他の電話パッケージに提供しているものと全く同じであり、引っ掛けではない - これらのオプションは一回限りで、30日単位の購入で更新されない。始まる日を翌日の Eastern Time の真夜中に (他の時間帯にいたとしても) 選ぶ事も出来る。この高料金は $24.99 で 20 MB から - 良く聞いて - $199.99 で 200 MB まで行く。よその国を旅する時、安価な前払いの MicroSIM を買う事は出来るのかは現時点では不明である。(公平を期すと AT&T もまたその国際パートナーに対して巨大な料金を支払っているのである、違いはそれ程巨大ではないことである。)

この国際データプランを除けば、AT&T の 3G サービスオプションはきわめて良心的であり、価格、延長サービス、アップグレード、そしてキャンセルに関するあまりお目にかからない要素を考慮すれば、時折の使用にも使える程柔軟であるし定期的に使っても手ごろ感があると言える。しかしストリーミングビデオにはお気をつけを。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 5 月 3 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Fetch 5.6 -- Fetch Softworks がファイル転送クライアント Fetch をバージョン 5.6 にアップデートした。Fetch 5.6 での新機能は中断あるいは失敗したダウンロードの自動再開が主なものだが、その他にも数多くの微調整が加えられて Fetch のダウンロード再開機能が改善されている。他の変更点としては、大きなフォルダでのスクロールのパフォーマンス改善、Fetch Transcript における追加の詳細情報、ファイルを BBEdit や TextWrangler で編集する際のエンコーディング処理の改良があり、また多数のバグ修正がフルリリースノートに記載されている。(新規購入 $29、2009 年 1 月 28 日以降に購入した場合は無料アップデート、それ以外のアップグレードは $10、17.4 MB)

Fetch 5.6 へのコメントリンク:

TypeIt4Me 5.0 -- 大量にタイプをする人に朗報! Ettore Software が長年来のテキスト拡張ユーティリティ TypeIt4Me に大幅なアップデートをリリースした。バージョン 5.0 ではシステム環境設定パネルをやめて独立のアプリケーションとなり、Edit Clippings や Preferences のウィンドウがより素早く開くようになった。また、この最新バージョンから 64-bit フル互換となり、Edit Clippings ウィンドウをユーザーがリサイズできるようになり、テキスト拡張の反応性も増した。さらに、ピリオドを使って拡張の前に第二のトリガーを要することもできるようになり、Sparkle を使った自動アップデート機能も装備された。TypeIt4Me 5.0 は Mac OS X 10.5 かそれ以降を必要とする。(新規購入 $27、アップグレード $9、5.2 MB)

TypeIt4Me 5.0 へのコメントリンク:

iStat Menus 3.0.1 -- Bjango Software が包括的 Mac OS X 監視ユーティリティ iStat Menus の最新バージョンをリリースし、ユーザーの選んだメーターをメニューバーに置けるようにした。バージョン 3.0.1 はマイナーなバグ修正アップデートに過ぎないが、大きな 3.0 アップデートにすぐ続いて出たものだ。バージョン 3.0 では、環境設定が独立のアプリケーションとなり (従来は環境設定パネルの中に含まれていた)、ドラッグ&ドロップで手軽にインストールできるようになり、ファン速度の制御が追加され、Mac のパブリック IP の表示、バッテリモニタ、時刻表示セパレータの点滅表示も追加された。また、CPU 使用量が減り、SMART ドライブの温度モニタが改善され、7ヵ国語への翻訳版が追加され、クラッシュのバグも多数修正された。変更点のフルリストは Bjango のウェブサイトにある。バージョン 3.0 をもって iStat Menus は無料でなく商用ソフトウェアとなった。(新規購入 $10、3.0 からのアップデートは無料、6.4 MB)

iStat Menus 3.0.1 へのコメントリンク:

Transmit 4.0 -- Panic Inc. がTransmit 4 をリリースした。同社の人気の FTP、SFTP、Amazon S3、WebDAV クライアントのメジャーなアップデートで、45 個以上の新機能が盛り込まれている。Transmit 4 でインターフェイスが完全にデザインし直され、より Mac らしい感覚、引き離しできるタブ、現行と全体の双方の状況を示す同時表示の進行バー、画像のサムネイル表示、ラベル機能、Quick Look と Cover Flow のサポートなどが加わった。また、このアップデートで新設のステップ・バイ・ステップ同期アシスタントを使って同期の作業が簡単にできるようになり、新しい Places 機能でユーザーが最もよく使うフォルダに手早くアクセスできるようになり、マルチタッチのナビゲーションのサポートが加わり、このプログラムの AppleScript サポートが徹底的に見直された。さらに、File Skipping が同期に限らず使えるようになり、Advanced Server Preferences の下にあるオプションが拡張され、Send SSH コマンドが新たに設けられた。Transmit 4 ではパフォーマンスも劇的に改善され、特にアップロード速度が最大 25 倍、ダウンロード速度が最大 18 倍速くなったという。変更点のフルリストは Transmit のウェブページにあり、これは Features セクションにある "See All New Features Button" ボタンをクリックすれば見られる。(新規購入 $34、アップグレード $19、22.6 MB)

Transmit 4.0 へのコメントリンク:

iTunes 9.1.1 -- iTunes 9.1.1 では、全体的な安定性とパフォーマンスが改善されるとともに、VoiceOver と Genius Mix に関係した安定性とユーザビリティについての(詳細は不明だが)数多くの問題点に対処が施されたという。また、同期中に曲を 128 Kbps AAC フォーマットに変換する際に生じる問題もこのアップデートで修正された。どうやら Apple はひっそりと何度か追加のリリースを繰り返したようなので、もしも iTunes 9.1.1 で問題が起こったならば、もう一度新たにダウンロードし直して再インストールし本当の最新バージョンにしておこう。(無料、93 MB)

iTunes 9.1.1 へのコメントリンク:

PDFpen 4.6.2 と PDFpenPro 4.6.2 -- SmileOnMyMac が、PDF 編集ユーティリティ PDFpenPDFpenPro にマイナーなメンテナンス・アップデートをリリースした。今回のアップデートは主に Correct Text Tool が必要以上のテキストを消去してしまっていた問題に対処している。その他にも詳細は不明だがいくつかの改善や修正が施されている。(新規購入 $49.95/$99.95、アップデート無料、43.8 MB/44.0 MB)

PDFpen 4.6.2 と PDFpenPro 4.6.2 へのコメントリンク:

Digital Camera Raw Compatibility Update 3.2 -- Apple が最新の デジタルカメラ RAW 互換性アップデートをリリースした。いくつかの機種のカメラに、Aperture 3 と iPhoto '09 のサポートを拡張するものだ。新たにサポートされたカメラおよびファイルフォーマットとしては、Canon EOS Rebel T2i (550D/Kiss X4)、Leica S2、Olympus E-450、Olympus E-600、Olympus E-620、Sony Alpha DSLR-A230、Sony Alpha DSLR-A330、Sony Alpha DSLR-A380、Sony Alpha DSLR-A450 がある。また、詳細は不明だが Canon EOS 30D、Pentax K-x、Pentax K-7 の各カメラで RAW 画像処理の問題も解決しているという。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、また Apple サポートダウンロードページからも入手できる。(無料、5.28 MB)

Digital Camera Raw Compatibility Update 3.2 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2010 年 5 月 3 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週はどっさりと読み物をご紹介したい。Apple がフランスとアイルランドで iTunes 経由の映画取扱いを開始し、HP が Palm を買収し、母の日向け iPhoto ブック印刷の受付締め切りが迫り、Apple が音声検索会社を買収し、WWDC の日程が発表され、Princeton 大学が iPad の DHCP バグの回避方法を提案し、Sony がフロッピーディスクの販売を中止し、Gizmodo と盗難 iPhone の話を全体的に振り返りつつ、試作機を拾った人物も判明する。やれやれ!

iTunes Store、フランスとアイルランドで映画の提供を開始 -- Apple が、メジャーな映画会社の映画がフランスとアイルランドの iTunes Store でもレンタルおよび販売されるようになったと発表した。価格は旧作で 7.99 ユーロから、新作で 9.99 ユーロ、最新リリースならば 13.99 ユーロとなる。レンタル料金は旧作 2.99 ユーロ、新作 3.99 ユーロだ。ただし高解像度版についてはそれぞれ 1 ユーロ増しとなる。これで(米国以外で)iTunes で映画が扱われる国は英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドにフランスとアイルランドが加わることになる。他の国での開始が遅れているのがメジャーな映画会社によるコンテンツのライセンス制限によるものであることは疑いない。

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HP、12 億ドルで Palm を買収 -- IDG News Service の Nancy Gohring の記事によれば、HP が 12 億ドルで Palm を買収することを予定しているという。これで、Palm の webOS が消滅の危機から救われる可能性がある。Palm Pre および Pixi スマートフォンはいずれも webOS を走らせるが、iPhone や、Google の Android オペレーティングシステムを使ったスマートフォンなどに太刀打ちできず、Palm はずっと買い主を探していた。HP は、Palm のテクノロジーを利用してスマートフォンの、また新世代のタブレットサイズ機器の、機能強化が図れることを期待している。会社の規模は大きいものの、HP はいずれの市場でも大きな影響力を持つことができておらず、また webOS がいくら良いものだとしても、それだけでは iPhone OS や Android をベースにした機器の優勢を押さえる力にはなってこなかった。

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Wired、iPhone 試作機の拾い主を特定 -- 紛失した iPhone 試作機が Gizmodo に購入された物語の続編として、Wired がこの試作機を拾った人物を特定した。その人物の弁護士によれば、彼は 21 歳で「自分の誤った行動を後悔している」という。

コメントリンク: 11249

母の日 iPhoto ブックの締め切り迫る -- 母の日の贈り物に iPhoto ブックを作りませんか? Apple が、ブックの配達(急送便)が母の日に間に合うよう印刷するための締め切りが本日 5 月 3 日だと発表している。今までの経験から言えば、ブックの中に入れるたくさんの写真を選んでレイアウトするにはかなり時間がかかるものなので、さあ、急いで仕上げましょう!

コメントリンク: 11247

Apple、音声ベース検索会社 Siri を買収 -- New York Times の記事によると、Apple が最近 Siri を買収したという。モバイル検索専門の新興企業だ。同社の製品である iPhone アプリ Siri Assistant で、ユーザーはレストランの予約や、映画のチケット購入、タクシー予約などが音声ベースのコマンドでできる。このテクノロジーを使って Apple が具体的に何をしようとしているのかははっきりしないが、すぐに頭に浮かぶのは iPhone 上で Google に代わるネイティブな検索機能提供に応用することだろう。また、今回の Siri 買収は Apple が小さな会社を買収することによってモバイル業界で一歩先んじようとする大きな流れにも合致している。チップメーカー Intrinsity やモバイル広告会社 Quattro Wireless を買収したのも最近のことであった。

コメントリンク: 11239

Apple、WWDC 2010 の日程を発表 -- Apple が、Worldwide Developers Conference (WWDC) を 2010 年 6 月 7 日から 2010 年 6 月 11 日までサンフランシスコで開催すると発表した。間際になっての発表であり $1,599 と料金が高いにもかかわらず、Apple は自信に溢れているように見える。それは、iPhone OS 4 と新型 iPhone のデビューが多くの出席者を集めるだろうと思われるからだ。Mac のみで開発をしている人たちの中には、Apple が iPhone OS での開発に重点を置いていること(例えば、Apple Design Awards は現在 App Store で販売中のアプリのみが対象だ)に、少々不満の声も挙がっている。

コメントリンク: 11234

Princeton、iPad の DHCP 欠陥への回避策を提案 -- Princeton 大学の Office of Information Technology が、iPad の DHCP リース更新問題の原因が iPad のスクリーンをロックすることに関係しており、手動のロックも自動ロックもともに問題になると述べた。どうやら最良の回避策は、スクリーンの自動ロックを無効にし、手動のスクリーンロックもしないようにすることらしい。もちろん、そうすることでバッテリ寿命は減る。(最良とは言えないが)他の回避策として、各セッションの終わりごとに Wi-Fi をオフにするか iPad 全体をオフにする方法もある。

コメントリンク: 11233

Sony、フロッピーディスクを販売中止に -- 一つの時代の終わりが近づいている。2011 年 3 月に、Sony は日本において 3.5-inch フロッピーディスクの販売を中止する。一部のニッチ市場を除き、2010 年 3 月に世界中でフロッピーディスクの販売は停止された。特に驚くようなことではない。ある友人は Twitter で、Sony が今になってもまだフロッピーを作っていたと知ってかえって興味をそそられたと言っていた。(他のメーカーは既に市場から撤退している。)フロッピードライブをサポートする最後の Mac、メディアベイを使った PowerBook (FireWire) は、2000 年 2 月にデビューし、2001 年 1 月に製造中止となっている。

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CNET、Gizmodo の盗難 iPhone 報道を継続 -- この iPhone 試作機の物語はさらに奇妙に発展して行くのだろうか? 警察が Gizmodo 編集者の自宅を捜索する令状を取り、報道記者シールド法によって Gizmodo が保護されるべきか、それとも遺失物に関するカリフォルニア州法が優先されるべきかについて、法律的な予想がさまざまに行き交う。Declan McCullagh と Greg Sandoval が、最近の進展について CNET で報告する。

コメントリンク: 11227


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