TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1039/09-Aug-2010

この業界が iPhone や iPad ばかりに注意を向けていることにちょっと困惑した気持ちになっている人は、今週号がウェブや Mac についての記事を集めていることで、ほっと一息つけるのではないだろうか。まず手始めに、iCal を大きく取り上げよう。Matt Neuburg は、ギーク風のフリーウェア二つの助けを借りて、Remember? から iCal への切り替えを果たす。それから Mark Anbinder が、もう一つ別の iCal 関係ユーティリティを紹介する。差し迫ったイベントをフローティングウィンドウに表示してくれる Today だ。その他の記事では、Lex Friedman が盗難品回収用ソフトウェア GadgetTrak 3 をレビューし、TidBITS が新しいスポンサーとして Mac に集中したソフトウェアメーカーの Useful Fruit Software と Econ Technologies を歓迎する。ウェブの側の話題としては Glenn Fleishman が Google Wave の閉鎖を伝え、Adam が Smith Micro の新製品、ファイル共有サービス SendStuffNow を分析する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Pear Note 2.0、ScreenFlow 2.1.2、Interarchy 10.0.1、Digital Camera Raw Compatibility Update 3.3 だ。

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Google Wave に(手を振って)さようなら

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちはもはや、Google Wave をいろいろといじり回てみることができない。Google による、ちょっとよく分からないこのウェブアプリは、何となく時間経過順のような方法で書類の共同編集作業やコメント付けができるというものだったが、習得が非常に困難だという難点があった。

Google はそのブログ記事で「Wave は私たちが思うほどにユーザーに受け入れられることがなかった」と述べた。つまり翻訳すると、Wave はどういうことをするのが得意なのか、そもそも何かが得意なのか、結局誰一人理解できる者がいなかったということだ。

Wave の一番の問題点は、あまりにも多くの異なる要素をゴチャゴチャにして、ブクブク膨れた一つのインターフェイスの中に詰め込んでしまったことだ。はたして Wave は電子メールだったのか? ノー、そうではない。でも、通知を扱うことはできる。はたして Wave は書類に修正を入れるための注釈付けシステムだったのか? イエス、それは正しいが、でもその方法は奇妙で、ついて行くのが難しかった。はたして Wave は wiki だったか、それとも同時編集用のエディタだったか? 答はイエスでもあり、ノーでもある。こんな具合だ。

私たち TidBITS でも、これまで Google Wave について冗談の種にしたり、批判したり、あるいは説明を試みたりしてきた。そのためには、数多くの要素を追跡する必要があって多数の参加者たちからのフィードバックが必要な、そんなさまざまのプロジェクトのためのツールとして Google Wave を使ってみようと、勇猛果敢な努力をしたこともある。でもそういう努力が実を結ぶことはなかったので、結局私たちは Google Docs に立ち戻り、それとともにプロジェクト管理ウェブサイト Manymoon の利用も加味することにした。Manymoon では、特定のタスクを追跡してそれにコメントすることができたからだ。

TidBITS 出版責任者の Adam Engst は、記事“なぜ Google Wave には大幅な見直しが必要か”(2010 年 3 月 11 日) の中で、Google Wave の持つさまざまの欠陥のいくつかを概観した。その後、Wave 開発者の一人からの電子メールが彼に届き、問題点について Wave の中で詳しく議論したいと言ってきたが(これこそまさに、Google Wave のどこに問題があったかをドンピシャリと言い表わしているではないか)その後それ以上の連絡はなかった。

私たちが大好きだったツールで、Google Wave や Google Docs の機能のいくらかも備えていたのが、EtherPad だった。EtherPad はウェブアプリ経由で同時進行の共同編集作業ができるようにし、私たちが遭遇した問題のいくつかはより高機能のデスクトッププログラム SubEthaEdit を使うことによって回避できた。(私が EtherPad について初めて書いた記事は“EtherPad はウェブへの同時書き込みをもたらす”(2009 年 2 月 16 日) だった。)

残念なことに、私たちがカンファレンスやその他のジョイントプロジェクトでニュースを書き上げるためのお決まりのツールとして EtherPad に慣れてきたまさにその頃、EtherPad を開発した会社 AppJet を、Google が買収した。そしてあっという間に、公開して共有する書類を作れる機能が停止されてしまったのだった。同社はその後すぐにこれを撤回し、結局 EtherPad のソースコードをオープンソースのライセンスの下にリリースすることを認めるに至った。(2009 年 12 月 4 日の記事“EtherPad が Google 買収後オープンソースとなる”参照。)その結果生まれたのが The EtherPad Foundation で、公開の EtherPad アクセスを提供する数多くのサイト.をここがリストしている。

けれども、EtherPad (と Google Wave) の燃え残った灰の中から、不死鳥のように台頭したのが Google Docs のライブ編集 だった。その移行には平坦でない道も確かに伴ってはいたが、それでもこれはウェブアプリなので、Google としては改訂後の Google Docs に起きたトラブルをすべて舞台裏で、通常のソフトウェアリリースのようなファンファーレなしに、処理することができた。

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新しい TidBITS スポンサー2社: Useful Fruit と Econ Technologies

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

本日、新たな TidBITS スポンサーとして、一社でなく 二社 もお迎えすることができて非常に嬉しい。私から見てさらに喜ばしかったのは、今回のスポンサー契約の設定に関する仕事を私がほとんどする必要のなかったことだ。それはひとえに、Macintosh ユーザグループのコミュニティーでよく知られた人物、Lorene Romero の熱心な努力のおかげだ。彼女は今、TidBITS のために広告セールスとマーケティングの仕事を担当している。今日新たにスポンサーとなった Useful Fruit Software と Econ Technologies、それから Bare Bones Software、Fetch Softworks、Mark/Space、MacSpeech、CrashPlan、SmileOnMyMac といった屈強な面々に、あなたの会社もスポンサーとして加わろうと思って下さるならば、どうぞ [email protected] にお便り頂きたい。その場合、Lorene からご連絡を差し上げることになる。

TidBITS に対する、そして Macintosh コミュニティーに対するサポートに、Useful Fruit Software ならびに Econ Technologies への感謝を捧げたい!

Useful Fruit Software -- とても美味しそうな名前の付いた Useful Fruit Software が作っているのは Pear Note (梨ノート)、これは Mac 用のノート取りソフトウェアで、私が大学生時代にこれがあればどんなに良かっただろうかと思えるものだ。講義やミーティングなどに出席しながら、MacBook でノートをタイプするのが手軽にできる。けれどもこの Pear Note が他と違うのは、それと同時にオーディオやビデオも記録できることだ。さらに、録音・録画したものの中に、あなたが適当と思う個所でタイプしたテキストとの同期を入れることもできる。さらに凄いのは、Pear Note の中へ PowerPoint や Keynote のプレゼンテーションをドロップすれば、自動的にそれがあなたのノートと統合されることだ。また、講義やミーティングの進行に伴って Pear Note 内部でスライドを切り替えれば、それもあなたのノートと同期される。あなたの取ったノートを事後に見つけ出すには、単に検索するだけで済む。あとで見つけやすいようにするため手間をかけてノートをファイリングしておく必要もない。

リリースされたばかりの Pear Note 2 の価格は $39.99 で、30 日間の無料試用期間もある。Mac OS X 10.5 Leopard または 10.6 Snow Leopard を必要とし、オーディオやビデオの記録のためにはマイクロフォンやビデオカメラが必要だ。教室で、講義で、ミーティングで、Mac を使ってノートを取りたいと思うなら、Pear Note を試してみることを心からお勧めする。それから、質問を頂くより先にお答えしておくと、Useful Fruit の Chad Sellers によれば、彼らは現在 iOS 版を開発作業中で、私もこれを心待ちにしている。スライドの中の写真を録音されたオーディオやテキストのノートと同期できるというのは素晴らしい機能だと思うからだ。(iPhone が Bluetooth キーボードをサポートするようになった今、なおさら強くそう思う。)

Econ Technologies -- Useful Fruit は 2008 年発足の、比較的最近に Mac の世界に登場した会社だが、Econ Technologies 社の発足は 1991 年のことだった。興味のある方のために付け加えると、この会社の名前はフロリダ州中部を流れる Econlockhatchee 川の名前を縮めたものから来ている。

現在、Econ Technologies は ChronoSync で最もよく知られている。これは非常に機能の充実したファイル同期プログラムで、複数の Mac の間でファイルを同期したり、選択したファイルだけをバックアップしたり、あなたのハードドライブから丸ごとブート可能なバックアップを作ったりできる。(これはネットワーク経由でさえも可能で、他に同じことができるのは Carbon Copy Cloner と Retrospect のみだ。)これらすべては、その場で指定してもできるし、スケジュールに従って自動的にもできる。

同期プログラムは他にも数限りなく存在するが、私は自分の Mac Pro と MacBook の間で iPhoto Library パッケージを同期させる方法をいろいろ探した結果、結局 ChronoSync に落ち着いた。(これとともにChronoAgentも使っている。パフォーマンスを改善しアクセス権の問題を避けることもできるアドオンのユーティリティだ。)iPhoto Library は通常のフォルダですらないので、またパッケージ内部に同期すべきさまざまのタイプのファイルがあるので、そういうことがちゃんとできると信頼できるプログラムは一つもないと私はそれまで思っていた。でも、ChronoSync はその仕事をきちんとこなしてくれただけでなく、Econ Technologies では iPhoto の奇妙な点を処理するために必要な具体的な設定まで説明したページを公開していた。それ以来、すべてが望み通りに動いている。

ChronoSync 4.1 の価格は $40 で、それとは別に ChronoAgent 1.1 が $10 だ。いずれも Mac OS X 10.4 Tiger かそれ以降と互換だ。複数の Mac の間でファイルを同期しておきたいと思うなら、間違いなく ChronoSync は一見の価値がある。

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GadgetTrak 3、盗まれたラップトップを見つける

  文: Lex Friedman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

車には LoJack がある。iPad や iPhone には MobileMe の Find My iPhone 機能がある。しかしあなたの MacBook や MacBook Pro が誰かに盗まれたら、どうやって見つけますか? GadgetTrak Laptop がそれに対する完璧な解かも知れない。

考え方はこうである:GadgetTrak をあなたの Mac にインストールする、そしてそれが盗まれたら、そのソフトウェアを遠隔で立ち上げる。そうすると、GadgetTrak はあなたの Mac を探すのを助けようとし、盗人自身の写真まで提供する。少なくとも、それがうたい文句である。しかしどれ程うまく働くのであろうか? 私はこれを試してみるため私のラップトップを Starbucks に置いてくる気にはちょっとならないが、 GadgetTrak のブログには全国で多くの盗難ラップトップを取り戻すのに同社のソフトウェアが役立った話へのリンクが張られていて、そこには Portland, Oregon の学校を狙った窃盗団の話も含まれている。

いずれにしても、私も自分の Mac を危険に晒すことなしに自分で出来る範囲で GadgetTrak を試してみたいと思った。最初にする事はどのライセンスにするかを決めることである、と言うのも、あなたが実際に購入するのは GadgetTrak の監視サービスだからである。GadgetTrak Laptop の値段は、一年間で $34.95 で、三年間だと $74.95 となる。Family Pack もあり、こちらは最大で五台までの Mac や PC にソフトウェアをインストール出来、一年間で $99.95 で、そして三年間で $199.95 となる。

どれにするか決めたら、ソフトウェアをダウンロードしインストールするのだが、Mac の場合だとそれは普段は System Preferences の中に住むことになる。最初に GadgetTrak をインストールした後は再起動が必要である。私が最初にこのソフトウェアをインストールしようとした時、最初の再起動後にその設定ペインが正常に現れなかった;それでアンインストールを走らせ、それからインストーラ自身を再度走らせたら、全てが完璧に働いた。同社はこの種の問題は未だ見た事が無いと言っていたが、GadgetTrak 3 は出たばかりなので、同様のインストール問題にはそのサポートシステムの中で注意を払っているだろうと思う。

インストールの後のソフトウェアの設定はとりわけ難しいものではないが、幾つかのステップをこなさなければならない。設定ペインであなたのライセンスコードを入力しあなたの Mac のための名前をつける、それから GadgetTrak Web サイト上でアカウントを設定し、あなたのメールアドレスを照合する必要がある。これをやっていく課程で沢山の確認のメールメッセージを受取る。あなたのアカウントを作成そして GadgetTrak 設定ペインをオンにすれば、準備完了である。

GadgetTrak の賢明な開発者達は、この時点であなたが何を考えているかまでお見通しである:本当に働いているのかな? と言うわけで、設定ペインには Test Tracking ボタンがあり、殆ど瞬時にあなたの Mac の居場所を示すメールメッセージを送り返してくる。GadgetTrak は Wi-Fi 位置検出を使ってあなたのラップトップが何処に居るのか見当をつける。私の試験では、このツールは私の場所を決定するのに驚くほど正確であった。

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でも明らかに、あなたの Mac が盗まれない限り、GadgetTrak の性能を本当に試す事は出来ない。もしそんな事が起こった場合は、Web サイト経由で追跡機能を起動すると、GadgetTrak が働き始める。私の試験の場合、Test Tracking ボタンは即座に動作したが、実際に追跡を起動した時は、私の "盗まれた" Mac の位置の最新情報を私に返して来るまで 25 分ほどかかった。

一旦起動されてしまえば、GadgetTrak は私のラップトップの居場所を同定するのに極めて正確であった。あなたの盗まれた Mac の位置以外にも、GadgetTrak はラップトップの内蔵の iSight カメラを使って写真を撮りそれをメールであなたの元に送ってくる。私がこのソフトウェアを盗難追跡モードで走らせていた時 - そしてそれをすっかり忘れてしまっていた - 胡散臭く見える私の薄気味悪い写真を一枚私に気付かれること無く撮っていた。

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追跡を一旦起動すれば、GadgetTrak はあなたの Mac の居所についての定期的なアップデートを、そのラップトップの電源が入ってインターネットに接続されている限りあなたの所に送り続ける。悪人はあなたの管理者パスワード無しには追跡を不能にする事は出来ないし、それが働いていることにすら気付かないでいる可能性はかなり高いであろう。プライバシーがとりわけ気になる人達のためには、追跡のメールメッセージや写真を送る時、GadgetTrak のサーバーに頼るのではなく、自分自身のカスタムメールサーバー設定を使うようソフトウェアを設定することも出来る。

GadgetTrak の追跡が Flash 無用の Web サイト経由で全て動くようにされているのは素晴らしい;あなたの MacBook Pro が行方不明であることに気付いた時、それがたまたま旅先であったとしても、あなたの iPhone や iPad からこのサイトを使う事が出来る。

競争相手の Undercover ("盗難回復ソフトウェア Undercover のアップデートであなたも詳細情報が分かる" 19 April 2010 参照) とは違って、GadgetTrak はあなたの盗まれたマシンのスクリーンショットを撮る事はしない - 泥棒の身分が分かる情報を含んでいる可能性がある。GadgetTrak の Ian Schray が私の話してくれたのは、全国の警察と話してみた結果、スクリーンショットは盗品を見つけ出す課程ではあまり役に立たないという結論に同社は至ったという。加えて、彼は、この様な機能は盗聴法に抵触する可能性もあると言うことで、GadgetTrak はこれには触らないことにしたとも語っていた。

最新の GadgetTrak 3 アップグレードには、より多くの機器を追跡しより良い記録を残すための改良が色々詰まっている。最も新しいリリースは、あなたのアカウントにある全てのラップトップを追跡するための集中した Web ベースのコンソールを含み、複数のマシンを管理するのをより容易にしてくれる。このソフトウェアは今や過去の追跡データも記録する;あなたのラップトップが今何処にあるのかを単に調べるだけでなく、最近何処にあったのかも見る事が可能である。

あなたの盗まれたラップトップの地理的な位置と、そして盗んだ人そのものである可能性のある人の写真もあれば、警察の助けを求めている多くの人よりも、あなたの幸運の方が強いのではなかろうか。我々の多くは GadgetTrak を必要とすることはまず殆ど無いであろうが、これは言ってみればその他の保険と同じ様なものである:それが必要となる場面に万が一遭遇する羽目になった時は、あなたはそれを買っておいて本当に、本当に、 本当に 良かったと思うであろう。

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Safari と Mailplane で Gmail のカーソルが消える問題を解決

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Safari 5.0.1 にアップグレードして以来、あるおかしな現象に私は気付いた。Gmail のウェブインターフェイスを改善するために作られた WebKit ベースのアプリケーション Mailplane で、テキスト挿入ポイントを示す点滅する線が、矢印キーを使う度に、働かなくなるのだ。具体的には、挿入ポイントが完全に消えてしまうので、次にタイプした文字がどこに現われるのか、全く予想がつかなくなる。Mailplane を再起動しても事態は変わらなかったし、キーボードにちょっかいを出すユーティリティ (Keyboard Maestro や TextExpander) をオフにしても直らなかった。興味深いことに、このバグが発生するのは私がプレインテキストのメールを書いている時だけで、メールのメッセージをリッチテキスト (RTF) 形式に切り替えれば、挿入ポイントが正しく働くようになる。でも残念ながら、私はメールのメッセージをプレインテキストで書く方がずっと好きなのだ。

Mailplane のサポートメーリングリストをちょっと調べてみると、理由が判明した。Mailplane の開発者 Ruben Bakker がこの問題を調べてみて、これが Safari 5.0.1 によってインストールされたバージョンの WebKit と、Flash Player の現行バージョン 10.1.53.64 との間の相互作用の結果であることを見つけ出したのだ。(Flash Player 10.1.53.64 は Apple が Mac OS X 10.6.4 に組み込んで出荷しているものよりも後のバージョンだが、セキュリティの理由からすべてのユーザーに推奨されているバージョンだ。2010 年 6 月 11 日の記事“Adobe Flash Player 10.1.53.64 が 32 個のセキュリティホールを塞ぐ”と 2010 年 6 月 15 日の記事“Mac OS X 10.6.4 が修正した特殊なバグ”参照。)この問題は WebKit と Flash Player をめぐって起こるものなので、同じ問題が Safari で Gmail を使う場合にも起こる。もちろん、ちょうど該当するバージョンのソフトウェアを組み合わせて使った場合の話だが。ただし、Google Chrome で Gmail を使った場合にはどうやら問題が起こらないようだ。このブラウザもやはり WebKit ベースのはずなのだが。でも私には正確な理由を知る由もない。

そもそもいったいなぜ Flash なんかが関係してくるのか、と不審に思われるかもしれない。そしてそれこそが、Safari ユーザーにとってこの問題を解決できる最も手軽な方法へのヒントとなる。Gmail は「高度なファイル添付機能」を提供するために Flash を使っている。一度に複数のファイルを添付できるようにし、また添付ファイルをアップロードする際に進行状況バーを表示するための機能だ。私の知る限り、Gmail が Flash に依存するのはここだけだ。だから、Gmail の設定で「基本的なファイル添付機能」に切り替えておきさえすれば、Gmail は Flash を使わなくなり、バグが回避できる。

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Mailplane ユーザーにはもっと良い解決方法がある。 Mailplane 2.1.10 にアップデートすればよいのだ。このバージョンならば、Gmail の設定で「高度なファイル添付機能」をオンにしたままでも問題は解消される。このアップデートは無料で、21.1 MB のダウンロードだ。

Safari ユーザーには、他にもいくつか回避方法がある。

私がまだ分からないのは、このバグは主として誰に責任があるのかという点だ。Gmail なのか、Safari なのか、それとも Flash Player なのか。ただ分かっているのは、Safari 5.0.1 にアップデートしたことで問題が発現したという事実だけだ。おそらくこれら三者のいずれもそれぞれに問題を修正することができるのだろうと私は思う。Ruben Bakker は Mailplane でそれをやってのけたのだから。けれども、三者のいずれも、Ruben ほどには問題を解決しなければならないという強い動機を持っているとも思えない。

また、Gmail 以外にこの問題の影響を受けているサイトがあるのかどうかも、私は知らない。たぶん、Flash を使い、かつユーザーがテキストを入力できるフィールドを提供しているサイトは他にもあるだろう。Safari 5.0.1 でそういうサイトにアクセスした場合に同じ問題が起こるというのはあり得ることだ。もしもそういう例をご存じなら、どうかコメントでお知らせ願いたい。

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Smith Micro、SendStuffNow でファイル共有の世界に参入

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今日の世界では、あらゆることが共同作業だ。だから、多くのビジネスにおいて、従業員どうしで、あるいは顧客と、サービスプロバイダと、パートナーと、ファイルを共有する必要が生じる。Smith Micro が去年、StuffIt Deluxe 2010 のために StuffIt Connect サービスを作り出したのも、まさにこれが理由の一つだった。(2009 年 9 月 30 日の記事“StuffIt Deluxe 2010 で大きなアーカイブの共有が楽に”参照。)実際、このサービスはかなり大きな人気を得たので、Smith Micro は今回、その部分を StuffIt Deluxe から抜き出して、SendStuffNow と呼ばれる独立のサービスに転化させた。

SendStuffNow の基本は特に画期的なものではない。目的は、大きなサイズのファイルを誰かに送る際に電子メールに依存せずとも手軽にできるようにしたい、ということだ。電子メールの添付ファイルにはサイズの制限があって、送信側でも受信側でも頭痛の種となるからだ。よく使われる解決策は、ウェブベースのファイル共有サイトにそのファイルをアップロードしてから、そのファイルへのリンクを送るというものだ。そして、SendStuffNow がするのもまさにそのやり方だ。

一つのファイルでも、複数個のファイルでも、アップロードができる。複数個のファイルをアップロードした場合、SendStuffNow は自動的にそこから一つの圧縮アーカイブを作り、その際それにあなたが好きな名前を付けられるようにしてくれる。あなたはそこにファイルの説明を付けることもできるし、パスワードによってアクセス制限を付けることもできる。(その場合は暗号化アーカイブが作られる。)また受取人を追加したり、受取人のためのメッセージを入力したり、招待の有効期間が消滅する日付を設定したりもできる。これらの機能はいずれもこの種のサービスでは珍しいものでもないが、SendStuffNow のインターフェイスは特に滑らかで魅力的に感じられる。

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複数個のファイルをアップロードした場合、あるいはパスワードを設定した場合にアーカイブが作られるが、これについては若干の議論の余地がある。このアーカイブでデフォルトのフォーマットは Zip だが、圧縮率を上げセキュリティを高めたければ StuffIt フォーマットに切り替えることもできる。複数ファイルの場合は、アーカイブを Mac OS X で展開するのは問題ない。けれども、SendStuffNow がパスワード保護の付いた Zip アーカイブを作った場合、Mac OS X の Archive Utility はこれを展開することができない。だから、あなたのファイルの受取人は無料の StuffIt Expander をダウンロードしなければならない羽目になる。SendStuffNow は、ファイルダウンロードページ上にそのための便利なリンクを提供している。

私は Smith Micro の Matthew Covington に、この点を問い合わせてみた。そこで分かったのは、時代は Zip に流れているけれども、Zip は標準とは言い難いということだった。Zip の生みの親である Phil Katz は、オリジナルの Zip フォーマットをパブリックドメインに置いた。それ以来、さまざまの Zip ソフトウェア会社がそれを拡張したが、それらの拡張はいずれも、多くの会社にはサポートされても全部の会社にサポートされた訳ではなかった。こうして、SendStuffNow による AES 256-bit 暗号化の実装方法は StuffIt ExpanderTheUnarchiverBetterZipRuckSack、その他いくつかのユーティリティでサポートされているけれども、Mac OS X の Archive Utility ではサポートされない。また、WinZip、WinRAR、その他いくつかこの方法を Windows でサポートしているものもあるが、Windows 7 自体は基本的な Zip サポートを備えているのに暗号化アーカイブはサポートしない。つまり、Apple も Microsoft も、他の Zip 世界と歩調を合わせていないのだ。

SendStuffNow が他と比べて際立っているのは、グループ管理に焦点が置かれているところだ。もちろん一人のユーザーとして使うのも問題なくできるが、複数の人々が互いにファイルを送り合う必要があるような組織で働いている場合には、SendStuffNow の提供する管理機能が役に立つ。管理者は、利用状況をモニターしたり、アカウントを作って維持したり、ファイルをダウンロードしたり削除したり、連絡先リストを管理したり、その他のことができる。

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現代世界の必要に応えるために、Smith Micro は iOS アプリも作った。これは iPad と iPhone のいずれにもネイティブなインターフェイスを提供する。シンプルながら効果的で、あなたがアップロードしたファイルのリストを提供するとともにそれぞれの項目についての情報も表示する。あなたが送った招待状を読んだり、その受取人がファイルをダウンロードしたかどうかや、招待の有効期間が切れたかどうかを確認したりすることもできる。さらに、個々の招待の有効期間を延長したり、招待を今すぐ期限切れにしたり、招待状を送信し直したり、もっと多くの人たちを招待したりさえできる。この iOS アプリからファイルを消去することはできるが、ファイルの内容を見ることはできない。でも、そんなことはどうでもよい。例えば、ディナーに出かけている最中にクライアントの一人がパニックになって電話をかけてきて、重要なファイルのダウンロードリンクの入った電子メールを消してしまったと言ってきたとしよう。するとあなたはすぐに「ご心配なく」と言い、あなたの iPhone を取り出して、招待状を送信し直し、パニックになっているクライアントに、電子メールで招待状を送り直しましたからご安心下さい、と言ってあげることができるのだ。

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多くのファイル共有サービスと同様、SendStuffNow もさまざまの種類の価格設定を提供する。無料のものもある。無料版では、1 GB のストレージ容量と、一月あたり最大 10 GB のバンド幅、それに基本的機能のすべてが得られる。年額 $120 を払って Premium アカウントを得れば、ストレージ容量が 2 GB、バンド幅が一月 40 GB に増え、電話サポートも付く。年額 $180 の Pro アカウントではストレージ容量が 8 GB、バンド幅が一月 80 GB に跳ね上がり、これはグラフィックスやビデオのプロなど巨大なファイルを送る人たちに向いている。

複数シートが欲しい場合は、5 シートのライセンスが年額 $999 で、これにはすべてのグループ管理機能と最大 5 名のユーザーのサポートが付く。10 シートのライセンスは年額 $1,500 となる。いずれのグループアカウントもストレージ容量は 1 シートあたり 2 GB まで、バンド幅は 1 シートあたり一月 40 GB までとなる。私の見るところ、グループ全体でのストレージ容量とバンド幅の上限設定を望む組織もあるのではないかと思う。つまり、何人かの人たちはほんの少しずつしか使わず、一人か二人だけが大幅に制限を超えてしまう、という状況だ。将来そのような設定を実装するのも Smith Micro にとっては簡単な変更に過ぎないはずだし、またそうなれば特殊な必要性を持った個々の組織にとってもありがたい変更となるだろう。

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Today ユーティリティが今日の iCal イベントやタスクだけを表示

  文: Mark H. Anbinder <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は、Mac の上で自分のスケジュールを管理するのに、iCal を使ったり使わなかったりだった。正直言って使わない方が多かった。なぜなら、私が毎日通う職場ではもう何年も前から Oracle Calendar を使っていたからだ。これは企業向けのカレンダーツールで、言ってみれば、他とは仲良くやって行けないタイプのものだ。どんなことに iCal を使ったことがあるかと言えば、一般的に言ってそれはオンラインから iCal 対応の形で入手できたスケジュール情報、例えば Apple の Worldwide Developers Conference とか、SF小説の大きなコンベンションとかいったものの予定にアクセスしたり、そういうカレンダーを私の iPhone に同期させたり、といったことだけだった。

けれども最近では、仕事で私が新たに使うことになった Microsoft Exchange カレンダーにアクセスする最高のツールとして、iCal が主役の位置を占めるようになった。なぜ私がカレンダークライアントとして Microsoft 自身の Entourage よりも iCal の方を選んだかを語り出せば長い話になるのでそれは別の機会に譲るとして、いったん決断を下したからには、自分のカレンダーが最高の光を放つようにしたいと私は思った。

そこで登場するのが Today だ。これは Second Gear Software から出ている分かりやすくて安価な Mac 用アプリケーションで、その目的は一つ、その日のあなたの予定をいつも見えるように表示しておくことだけだ。同じコンセプトを Microsoft のツール My Day も試みているが、Today の方がずっとエレガントだ。あの My Day という奴は、私が使ったことのある他のどんなソフトウェアよりも、コンピュータから取り除くのに時間がかかった。

$21.95 (5 ユーザーのファミリーパックは $34.95) の Today は、たった一個のリサイズ可能なウィンドウを提供する。このウィンドウは他のすべてのウィンドウの上にフロートするようにもそうしないようにもでき、透明にするようもそうでないようにもできる。それ以外は、ただ今日の予定やタスクを、便利な、一目で分かるフォーマットで一覧表示するだけだ。

私は、Today こそが iCal を補完するための素晴らしいツールだと思う。iCal の方は、いつも一週間ずつの表示にして次の日以降の予定も見えるようにしておき、これからやって来るイベントへの招待に応えられるようにするのが私の好みだ。これに対し Today の方は、その日だけを一覧できるとともに、その日に期限を迎えるタスクや、あるいはもうじき起こる項目も表示してくれる。

正直言って、私はタスクマネージャや to-do ツールの類いをあまりうまく使いこなせていない。Today は、四年ほど前に私の最後の Palm ハンドヘルド機から同期して取り込んだ古いタスクを律儀に取り込んでくれた。(少なくとも、Newton 時代以来の遺物は見えなかった。でも、仮にそんなものが残っていたとしても、Today はきちんと見せてくれただろう。)タスクの一覧はドロワの中に表示されるようになっていて、このドロワはクリック一つで表示したり隠したりできる。

Today のインターフェイスは楽しい気持ちになるほどにシンプルで直感的だ。左右の矢印をクリックすれば前後に一日ずつ移動できるし、その真ん中にある黒い点をクリックすれば、私がどこを彷徨っていたとしても、いつでも今日の予定に戻れる。また、カレンダーのアイコンをクリックすればお馴染みのピッカーが現われて、その中で一月単位にジャンプしながら好きな日付が選べる。その日全体にわたる項目が一番上にリストされ、それに続いて時刻の特定された項目が並ぶ。一つの項目の見出しの上にマウスをかざせば、Today が最前面のアプリケーションであろうとそうでなかろうと、ミーティングの場所などの情報が表示される。これは iCal にもぜひ付けて欲しい機能だ。

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iCal と同様、Today でも、どのカレンダーからのイベントを表示するかが選べる。これは私にとっては重要な機能だ。時によって私は仕事用と個人用のカレンダー項目に加えて自分の Facebook イベントも見たいことがあるし、時によって仕事上の同僚のカレンダーと自分のとを一緒に見たいこともあり、もちろんそういうものを見たくないこともある。ただしここで一つだけ問題がある。これは Today の開発者がどうこうできる問題ではないのだが、iCal の中で Microsoft Exchange 接続を経由して見える個人用のメインカレンダーが(あるいはカンファレンスの部屋割りなども)すべて "Calendar" という名前で呼ばれるのだ。私のものと、同僚のもの、別の同僚のもの、これらを区別するためには、それらが登場する順序と、マッチする色とに、細心の注意を払わなければならない。ただ、嬉しいことに、iCal と Today とで、これらは同じ順序、同じ色で登場する。だから、注意深くしてさえいれば正しく見分けられる。それにもちろん、大勢の他の人たちの Exchange カレンダーから選ぶなどという必要のない普通のユーザーには、これは全然縁のない話だ。

あなたが iCal でなく BusyMac の BusyCalアプリケーションを使っているとしても、Today はやはり同じように働く。iCal と BusyCal は Mac OS X 内在のカレンダー機能とやり取りすることで動作しているので、BusyCal と Today の組み合わせも何の問題もない。

もちろん、Today と BusyCal は iCal サンドボックスの中で働く数多くのサードパーティツールのうちたった二つに過ぎない。Matt Neuburg も最近、他のツールについて記事を書いている。(2010 年 8 月 4 日の記事“フリーウェアのすばらしさが、iCal の欠点を粉々にする”参照。)

Second Gear のウェブサイトに最近載った情報によれば、近々リリース予定の Today 2.5 では個人用ライセンスが $24.95、ファミリーパックが $39.95 と値上げされるという。このソフトウェアには 14 日間、フル機能の試用期間が付いているが、私が購入を決断するのに二週間もかからなかった。

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フリーウェアのすばらしさが、iCal の欠点を粉々にする

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: 柳下 知昭 <tyagishi@gmail.com>

Apple の人たちは自社製品を使っているはずなのだが、iCal を開発している人々は、明らかに iCal を使っていないように私には思える。いずれにしても、私がお気に入りで長年使ってきたカレンダーソフト、Dave Warker の Remember ? (詳細は、"Remember? は健在" 2010 年 6 月 30 日を参照のこと) から乗り換えようかと思っていたとき、私の頭にその考えが思い浮かんだのだった。

Remember? をやめることは、簡単にいかなかったが、このユーティリティは、ここ数年は私の期待したような進化をとげてはいなかった。それは、いまだに、Snow Leopard 下でも、Rosetta 配下で動作する PowerPC アプリケーションであり、選べる年の選択肢が 2018 年までしかない。(信じようと信じまいと、私には、その日付以降に予定しているスケジュールがある。)私の Cocoa へのポーティング支援の申し出にもかかわらず、最後のアップデートが、3 年前であることから、このプログラムからは、古く置き去りにされたソフトウェアのにおいがする、そこで、私は、代替ソフトウェアを捜し始めた。しかし、(私は、悪名高いけちなので)もし費用がかかるならば、やめるつもりだった。そこで、Mac OS X と一緒に入手できる iCal から見ていくことにした。

驚いたことに、iCal は、いくつもの点で、目覚しい利点があるとわかった。アプリケーションを動作させることなく画面上に、リマインダー(アラート)を表示することができ、それらを一時的に"スヌーズ"させることもできる。この機能は、Remember? の機能のうちのお気に入りの 1 つだ。そして、iCal はなかなか良い繰り返しイベントの概念を持ち合わせている。ただ、インターフェースは相当にひどい - Remember? でイベントを設定するのはこの上なく流麗で素早くできるのに、iCal ではもたもたとあちこちクリックして回らなければならない。それに、Remember? のコンパクトなカレンダー表示を打ち負かすことのできるものは、ありそうもないが、私はそれでもやっていけそうだ。

しかし、本当にすべてを台無しにしてしまう恐れのあることが、1 つある。iCal は、暦上の最小単位に分解して管理している。例えば、今日が、2010 年7 月 30 日(金)だとして、iCal を立ち上げると、週/月の境界(8 月との境界)を越えて存在する大切な何かを表示してくれるビュー - 週表示でもなく月表示でもない- はないということである。言い替えると、iCal は、つぎに何がやってくるのかを見せてはくれない:あなたは、ページをめくり、来週以降や来月以降をくまなく捜さなければいけない。このようなことは、特に Mac を使い始めてからずっと毎朝使ってきた Remember? の今後 40 日間のスケジュールを表示してくれる素敵なビューと比較するとまったく受け入れることができない。

どうやらこれではお話にならないと思えてきたが、そこで私は気が付いた。iCal には、1 つ大きな利点がある。非常に検索しやすいことである。iCal が動作することが必要となる AppleScript 経由でのことを言っているのではない。iCal の保存データ(カレンダーデータ)は、iCal を起動することなく、 それ自身を検索 することができる。したがって、理論上は、ちょうど Remember? がするように今後の予定を表示してくれるような小さなアプリケーションを作成することができる。

この時点で、しかし、私の最も重要な長所が邪魔をした - 怠惰である。どうして私が何かしなくてはいけないのか?きっと、誰かがこの問題は既に解決しているだろう。すこし Google で検索したところ、Ali Rantakari のウェブページに辿りついた。彼こそが、本当にこの問題を解決していて、それ以上であった。彼の素敵なコマンドラインツール、icalBuddy が、解決策へつながっているように見えた。

「春分の日以後の最初の満月の後の最初の日曜日」と言い終わるよりも早く私は icalBuddy をダウンロードし、ReadMe ファイルを読み、install.command をダブルクリックし、ターミナルを開いて、ちょっとしたおなじないを入力した:"icalBuddy eventsToday+40" 。

このコマンドは、今後 40 日のすべてのイベントを iCal を起動することなくテキストのリストにする - まさに私が欲しかったものである。問題は解決した。私がすべきことは、毎朝ターミナルを起動し、コマンドをタイプし、ターミナルを一日中開っきぱなしにするということを覚えることである...ありえない。そんなことは受け入れられない。毎日、自動的に表示される方法が私には必要だ。

Ali Rantakari のウェブサイトに戻り、要約すると、「もし、icalBuddy が気に入ってくれたら、おそらく GeekTool を使って動作するようにしたくなるでしょう」と書いていることを見つけた。GeekTool というのは聞いたことがなかったが、パズルのなくした一片を見つけたことにすぐに気付いた。

GeekTool Yann Bizeul 作, はシステム環境設定アプリケーションである。システム環境設定を使用して、デスクトップ上の矩形領域を設定することができる- 効果的な縁なしのウィンドウで、(デフォルトでは)デスクトップ壁紙の前、アプリケーションアイコンよりも後ろに表示される - そして、シェルコマンドの出力を表示することができる。さらに、シェルコマンドは、一定の間隔で繰り返すように設定することもできる。

そこで、私は、デスクトップの左下コーナーに次のコマンドの出力が表示されるように設定した。

date; echo; /usr/local/bin/icalBuddy -nrd -nc eventsToday+80

コマンドの意味は、まず、今日の日付と時間を表示する。このようにすることで、このウィンドウがいつ更新されたかと表示されている最初のイベントまでにどのくらいあるかを判断することができる。次に、今日の日付や時間とイベントとを分けるための空行を挿入する。最後に、icalBuddy を使って、今後 80 日間の全てのイベントを相対的な期間や暦名の表示なしに、表示する。結果は、以下のスクリーンショットのようになる。

image

80日間という仕様は、すこし誤解を招くかもしれない。なぜならその本当の意味は、"たくさんあるならば、ウィンドウが十分一杯になるくらいのイベント"ということであり、それ以上あったとしても、私は気にかけないからである。ポイントは、今後の予定をいつも見ていたいということであり、状況に応じて、iCal を開いて直接見るということのリマインダーになれば十分であるということである。この GeekTool ウィンドウは、設定することで一時間毎に更新させることができるため、いつでも最新にしておくことができる。わずかな透過性(デスクトップ中央の写真の一部が透けて見えている)とフォントとサイズは私が選択したものだ。

この全体工程に関して一番に思い浮ぶのは、私が自分自身を作業がうまくできるように調整したとしても、使っているツールを提供してくれた人達が本当に気前の良いことである。言いたいことは、単にソフトウェアが無料であるということだけではなく、このソフトウェアが私が喜ぶようなことをするための力をくれたということである。GeekTool は、1 つのウィンドウを作るだけではない、複数のウィンドウを作ることもできるし、スクリプトを動作させることもでき、ウィンドウは、ファイルをモニターしたり、画像を表示することもできる。そして、icalBuddy も数え切れないほどのオプション項目を持っている。この 2 つのフリーツールが多くのユーザーが抱えるであろう実際の問題を解決してくれ、そして、その動作をカスタマイズできるようにもしてくれている。

我々は、偉大な時代に生きている - すてきなフリーウェアツールの時代に。iCal への乗り換えに伴なうであろう苦痛の多くを和らげてくれた 2 つのツールに感謝したい。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 8 月 9 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Pear Note 2.0 -- Useful Fruit Software が StuffIt Deluxe 2010 で大きなアーカイブの共有が楽に をリリースした。同社のマルチメディアノート取りアプリケーションの大幅なアップデートだ。このソフトウェアで、伝統的なテキストのノートを取りつつ、それと同時にオーディオとビデオの記録もできる。今回の新バージョンではインターフェイスが完全に書き直され、いくつか新機能も加わっている。このソフトウェア内部からウェブ上でノートの共有ができるようになり、オーディオ再生の速度調整が(早口でしゃべる人の話を書き取ったり、ダラダラした話を早めたり)できるようになり、一つのノートの中で複数のスライドが作れたりするようになった。また、検索の速度や正確さも今回のアップグレードで向上した。 変更点のフルノートにはその他の改善点も挙げられている。30 日間有効の無料試用版もあり、すべての Pear Note 1 ユーザーが無料でアップグレードできる。(新規購入 $39.99、アップグレード無料、5.0 MB)

Pear Note 2.0 へのコメントリンク:

ScreenFlow 2.1.2 -- Telestream が、パワフルなスクリーンキャスト作成アプリケーション ScreenFlowのアップデートをリリースした。この新バージョンでは YouTube ビデオの時間制限が(従来の 10 分間から)15 分間までに拡張され、ビデオの書き出しに関するいくつかの問題点が修正された。他にもいくつかバグ修正の施された今回のバージョンは、ScreenFlow のバージョン 2.1 リリースからほんの数ヵ月で出たものだ。バージョン 2.1 ではオールインワンの Flash ビデオ(ビデオ自体と、Flash プレイヤー、それに必要な HTML まで内包したもの)を作れる機能が加わり、64-bit のオーディオキャプチャのサポートと、自動書類保存機能も追加された。このソフトウェアは無料で試用できる が、その場合書き出されたムービーにウォーターマークが入る。(新規購入 $99、アップグレード無料、8.2 MB)

ScreenFlow 2.1.2 へのコメントリンク:

Interarchy 10.0.1 -- Nolobe の古参の Mac ファイル転送クライアント Interarchy がバージョン 10 にアップグレードされた。その昔の 1993 年に Anarchie として最初にデビューしたこのソフトウェアは、今回 perl ベースのプラグインをサポートするようになった。プラグインには、遠隔サーバ上で直接実行されるコマンドを含めることができる。例えばファイルを圧縮したり伸長したり、マシンを再起動したりもできる。このプラグインサポートは新しい Interarchy の iFTP テクノロジーの上に構築されるが、iFTP テクノロジーは SSH の上に構築され、FTP、SFTP、WebDAV は不要となる。また、新しいクラウドベースのストレージサービスが二つ、Google Storage と Rackspace Cloud Files もこの Interarchy 10 で新たにサポートされた。(Amazon S3 は以前からサポート済みだ。)さらに、今回のアップグレードで Quick Look と Cover Flow も実装され、いずれもサーバ上の遠隔ファイルをいちいちダウンロードせずに手早くプレビューする役に立つ。バージョン 10.0 からほんの数日後にリリースされた 10.0.1 アップデートは、混雑したネットワークで起動時のクラッシュが起こった問題を修正するとともに、従来のバージョンからのブックマークの読み込みを改善し、外部エディタでファイルを編集している最中に変更点のアップロードをした場合のバグを修正し、Preferences ウィンドウから Install Contextual Menu Plug-in ボタンを削除した。コンテクストメニュープラグインは Mac OS X 10.6 Snow Leopard で非推奨となり、代わりにサービスが使われるようになったからだ。(新規購入 $49.95、アップグレード $29.95、7.7 MB)

Interarchy 10.0.1 へのコメントリンク:

デジタルカメラ RAW 互換性アップデート 3.2 -- Apple の最新のデジタルカメラ RAW 互換性アップデートは、Aperture 3 および iPhoto '09 で新たに八つのカメラにサポートを拡張する。新たに対象となったカメラは、Canon PowerShot SX1 IS、Olympus E-PL1、Panasonic Lumix DMC-G2、Panasonic Lumix DMC-G10、Samsung NX10、Sony Alpha DSLR-A390、Sony Alpha NEX-3、それに Sony Alpha NEX-5 だ。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページからも入手できる。Apple はサポート対象となるカメラのフルリストも公開している。(無料、5.68 MB)

Digital Camera Raw Compatibility Update 3.3 へのコメントリンク:

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ExtraBITS、2010 年 8 月 9 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhone のエンジニアリングを担当していた人物が Apple を退社した。彼は自らジャンプしたのか、それとも背中を押されたのか? また今週は、Apple が Smart Bicycle の特許を申請し、Microsoft が Office 2011 をめぐる詳細を発表し、旅行中に携帯電話料金を節約するさまざまの方法の話題もあった。それから、Glenn Fleishman が MacVoices ポッドキャストで iPhone GPS アプリについて語った。

iPhone 担当幹部が Apple を退社 -- Wall Street Journal の記事によれば、Apple 社のモバイル機器担当上級幹部であった Mark Papermaster が同社を去ったという。iPhone 4 のアンテナ問題の結果として Papermaster は会社を追われたのだという臆測が盛んに言われたが、彼は iPhone 4 の公開そのものには参加していなかったし、IBM に長年在職した Papermaster が Steve Jobs の下で働く Apple の社風に親しむことができなかったのが原因だとささやく人たちもいる。彼の後任には Apple のコンピュータエンジニアリング担当上級幹部 Bob Mansfield が着任する。

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Patently Apple、Apple の「スマート自転車」申請のペダルを踏む -- 注意深い Patently Apple の人たちが、Apple が U.S. Patent & Trademark Office (米国特許商標庁) に Smart Bicycle System の特許を申請した事実を明るみに出した。Patently Apple では、そこから予想される機器と、自転車乗りの代わりにランナーを対象にした Nike+iPod キットとを比較している。この自転車システムは、速度、走行距離、標高、等々さまざまのデータを集計する。これらのデータは、iPhone、あるいは自転車本体、あるいは双方に備え付けられたセンサーによって測定される。この特許の内容、それから Patently Apple による分析は極めて詳細にわたっており、サイクリングの愛好家にも、 Apple ファンにも、一見の価値があるだろう。

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Microsoft、Office for Mac 2011 の詳細を発表 -- Microsoft の Macintosh Business Unit が、来たるべき Office for Mac 2011 スイートに関する詳細情報を公開した。同社によればリリース予定は今年の 10 月後半だという。Office 2011 は、よく似た名前の二つの版で提供される。"Home and Student 2011" と、"Home and Business 2011" だ。Home and Student 版の価格は $119 で、Word、PowerPoint、Excel、Messenger が含まれる。($50 追加して払えば Messenger がインストールされなくなる、というのは冗談だ。)(Entourage を置き換える) Outlook が必要な人は、Home and Business バンドルを買えば手に入る。こちらの価格は $199 だ。複数インストールのライセンスもある。そうそう、Microsoft はたった二つの版しかないと言っているけれど、同社は三つ目のバージョンも発表している。"The Academic Edition" にはすべての Office アプリ、つまり Word、PowerPoint、Excel、Messenger、Outlook が含まれるが、価格はたったの $99 だ。これが入手できるのは高等教育機関にいる学生、スタッフ、教員、それから、自分をそういう人物だと偽ることのできる人たちだけだ。

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Glenn Fleishman が iPhone ナビゲーションアプリを語る -- Glenn Fleishman が Chuck Joiner とともに MacVoices ポッドキャストに出演し、ナビゲーションするための iPhone アプリをどう選ぶか、どう使いこなすかについて表から裏から語り尽くす。

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携帯電話を持って旅行する... どうすれば破産せずに済むか -- New York Times の Practical Traveler コラムに、真の意味で役に立つ記事が載った。海外を旅行する際、携帯電話を使う最も賢い方法は何か、という点に焦点を絞った記事だ。できれば、不当に高い料金は払いたくないからだ。米国内の iPhone オーナーたちは、基本的に AT&T とその GSM ネットワークに組み込まれている。つまり、海外を旅行中にも iPhone を使い続けることは可能だが、そのためには臨時の国際プランを AT&T に (相当高額の) 料金を払って購入しなければならない。この記事ではその際に役立つ実用的なヒント、例えばとんでもなく高いデータ料金を負担させられないよう 3G とローミングをオフにして,その代わりに Wi-Fi だけを使うようにすることなどの説明がある。(AT&T の国際データプランの料金はたった 20 MB で $24.99 もする。20 MB なんて休暇の初日に電子メールをチェックしただけで使い切ってしまうかもしれない。)また、この記事では他の選択肢もいくつか紹介される。例えば Telestial や Planet Omni といった会社から国際用の携帯電話を購入したり、旅行先でその土地の SIM カードを購入(ただしこれはあなたの電話のロックが外されている場合の話で、しかもその土地の国内通話しかできない)したり、また Skype などの VoIP 通話を使ったり、などの方法がある。

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