TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1051/01-Nov-2010

私たちはようやく Apple から発表のない週で一息つくことができ、他の話題に集中できた。Jeff Carlson が今週のメイン記事として新しい Photoshop Elements 9 をレビューし、Rich Mogull が新しい Firesheep ツールを使えば誰でも簡単にサイドジャッキング攻撃ができてしまうという憂鬱なニュースを伝える。Michael E. Cohen は新しい MobileMe Calendar を概観し、あなたがアップグレードすべきか否かを論ずる。(詳しい使い方についてはリリースされたばかりの Joe Kissell の電子ブック“Take Control of MobileMe, Second Edition”もご覧頂きたい!)また今週は、Matt Neuburg が Outlook 2011 に移行したことを後悔し、どうすれば Apple Mail に戻れるかを説明する。さらに Michael が BBEdit 9.6 の新機能を紹介する。もう一つ、今週の DealBITS 抽選では Smile の PDFpenPro ($99.95 相当) が当たる! 今週注目すべきソフトウェアリリースは、iPhoto '11 9.0.1 (ライブラリ読み込みのバグが修正された)、Camino 2.0.5、Postbox 2.0.2、Things 1.4.3 だ。

記事:

----------------- 本号の TidBITS のスポンサーは: ------------------

---- 皆さんのスポンサーへのサポートが TidBITS への力となります ----


BBEdit 9.6 リリースされるも、まだまだショボくない

  文: Michael E. Cohen <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

何か楽しいものが見たければ、十数人のプログラマーたちを集めて一つの部屋に閉じ込め、これまでで最高のテキストエディタは何かと尋ねてみるとよい。それはそれは愉快なひとときとなるだろうが、それが落ち着いてみると、まず間違いなく少なくとも数人は、BBEdit の名前を挙げているだろう。彼らプログラマーたちにとっては、BBEdit がアップデートされたというニュースを聞けば、これはもう皆で先を争って Bare Bones Software のサーバに押しくらまんじゅうをしなくちゃ、ということを意味しているのだ。

2010 年 10 月 26 日に BBEdit 9.6 がインターネットに登場したというニュースが流れた瞬間、間違いなくそういう押し合いへし合いの先陣争いが繰り広げられたに違いない。何と言っても、メジャーなポイントリリース (9.5.x から 9.6 になった) となれば、いつも通りに素敵な新機能あれこれと、期待通りのバグ修正とが山盛りのはずだからだ。そして、今回のリリースもやはり、素敵なことの山盛りだった。実際、新機能だけでも数十もあり、それ以外の変更点も百近く、さらには 150 件以上のバグ修正も、BBEdit 9.6 リリースノートに列挙されている。それから、廃止されたものもちょっぴりあった。

ウェブ開発者たちは、とりわけ今回の機能拡張や機能追加を歓迎するだろう。特に HTML5 のサポートが(シンタックステーブルを通じて)追加され、HTML5 書類を編集している際に Check Syntax、Tag Maker、Edit Tag の各コマンドが利用できるようになった。CSS のシンタックスカラーリングも改善され、また CSS プロパティでのコード補完がコロンやプレースホルダーを認識するようになった。それから、コード補完と言えば、BBEdit が編集中の HTML/XHTML 書類の種類を自動認識して、タグやアトリビュート生成の際にその doctype を使用するようになった。

さまざまの異なったプロジェクトで作業をし、それぞれのプロジェクトごとに異なった設定を必要とする開発者たちは、プロジェクトが置いてあるディレクトリに応じた設定を指定できるようになった。まず BBEdit 用の INI ファイルを正しいフォーマットで作成しておき、そのファイルに .bbeditsettings で終わる好きな名前を付けて保存する。すると、そのファイルで指定された環境設定が、その .bbeditsettings ファイルが存在するディレクトリから開いたすべてのファイル、およびファイル階層の中でそのディレクトリの下に位置するディレクトリから開いたすべてのファイルに、適用される。

BBEdit はかなり以前から Automator ワークフローを提供してきているが、今回のバージョン 9.6 から、 ~/Library/Application Support/BBEdit/Scripts/ フォルダに Automator ワークフローを置けばそれが Scripts メニューの上や Scripts パレットの中に登場するようになった。

巨大なサイズのファイルでのパフォーマンス改善や、古くから残っていた制限事項や機能についても、数多くの変更が施された。例えば、非常にサイズの大きなファイルでのパフォーマンスを改善するために、1メガバイトを超えるサイズのファイルを開いた際には行のソフト折り返しの環境設定が無視されるようになった。環境設定をどのサイズ以上で無視するかの値をユーザーが調整することもできる。普段から非常に大きなファイルを編集することが多く、行の折り返しをするためにかかる時間を待ってもよいという人は、しきい値を1メガバイトより上に設定しておくこともできる。

同じようなことだが、Find All Misspelled Words コマンドはファイルの先頭から百万文字目までのみしかチェックしないようになった。このしきい値もユーザーが変更できる。また、BBEdit は書類が 1,600 万文字より長い場合には単語カウントをしない。この挙動もまたユーザーが変更できる。

古くから残っていた機能で今回削除されたものとしては、PageMill、GoLive、Claris HomePage のコードをクリーンアップする機能がある。また Markup > Inline > Convert to Client Side Map コマンドも削除された。BBXT プラグインのサポートもまた死んだ魚の仲間入りをし、この変更によって Palettes メニューから Plug-Ins ウィンドウが消えるとともに、メニューバーからは Tools メニューも消えた。

それから、使い勝手のための調整もいくつかある。例えば、HTML フォーマッタのオプションがいくつか改名された。Gentle Hierarchical フォーマットが Pretty Print という名前になり、Hierarchical フォーマッタオプションが Strict Hierarchical と呼ばれるようになった。

ごく簡単に聞こえる修正点だが一段と使い勝手を増したものとして、ファイル比較機能に関する変更が一つある。二つのファイルを比較している最中に、片方または両方のファイルがディスク上で変更された場合、BBEdit 9.6 が自動的にファイル差異を再計算するようになった。

当然のことだが、すべての BBEdit ユーザーに影響のある変更点は一つもないだろう。けれども、どんなユーザーでも、それぞれに少なくとも一つは何らかの変更点をありがたいと思うか、文句を言うか (PageMill ファンクラブは要注意!)、あるいはただ思案に耽るかするだろう。この、最後の分類に属するものとして、リリースノートにこんな項目がある: "Iä! Iä! Birdies fhtagn!"(いや、私たちにも、何の意味かは分からない。でも、誰かに何かを意味することは確かだろう。たぶん、海底深く沈んだ都市 R'lyeh に住む誰かには。)[訳者注: ルルイエ (R'lyeh) は太平洋南部の海底に沈んだと言われる架空の都市で、クトゥルフ (Cthulhu) 神話の舞台です。]

BBEdit 9.6 は、BBEdit 9 のシリアル番号を持つすべてのユーザーに無料アップデートだ。BBEdit 2.5 から 8.7.2 までのオーナーは $30 でアップグレードできる。標準小売価格は $125 で、教育関係者は $49 で購入できる。30 日間無料の試用版 もある。

コメントリンク11698 この記事について | Tweet リンク11698


"Take Control of MobileMe" が Apple のクラウドの中を案内する

  文: Michael E. Cohen <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

もし Mac を長いことお持ちなら、Apple のクラウドベースのサービスが多くの変化を経験してきたことをご覧になって来たことであろう。それは 2000年の初め iTools としての質素なスタートから、2002年の .Mac への移行、そして現行の形のずっと能力を増した MobileMe へと変わってきた。これらの変化全てを通して、そのサービスが何をし、そしてあなたはそれを最も有効に使うやり方は何かを追いかけてくるには、種々の Apple の発表やテックサポートの掲示物に、そしてサービスとしてのソフトウェアの分野での Apple の打つ手についてのプレス説明や分析に常に注意を払う必要があった。

今や、Joe Kissell と彼の新たに改訂された "Take Control of MobileMe, Second Edition" のお陰で、あなたは MobileMe が提供するものは本当に何なのか、それが適しているのは何なのか、そしてその多岐にわたる機能を最大限活用するにはどうすれば良いのかを、全て一冊の $10 の電子本の仮想ページの中から見つけ出す事が出来る。

Joe はこの本を完成させようと Red Queen のレースを走り続けてきた (懸命に走っているのだが何時も同じところにいる):彼が彼の本はリリースの準備が出来たと思う度に、Apple は新しい機能とか大きなサービスの変更を発表してゴールラインを動かしてしまうという具合だ。例えば、直近の話をすると、Apple は MobileMe カレンダーが働くやり方を変え ("新しい MobileMe Calendar: アップグレードすべきか?" 20 October 2010 参照) そして MobileMe に精通している iLife アプリケーションスイートをアップデートした ("iLife '11 がアプリを3つアップデート" 20 October 2010 参照)。真夜中の油を大量に燃やして、Joe はこれら全ての最新の変更についての情報をこの新しい版に折り込むことについに成功した。

Joe が答えている多くの質問の一部が下記である:

MobileMe がすることの多くは他の方法でも出来るが、MobileMe の利便性とその Mac 及び Apple の iOS 機器の両方との統合が Apple からのこの年間 $99 のサービスを説得力のあるオプションにしている。(だいたい、MobileMe 全部ひっくるめてもキャリアが提供している Find My iPhone に似た機能を提供するサービスよりも安い。) そして今や、Joe の "Take Control of MobileMe, Second Edition" ガイド本を使えば、あなたのお金に見合うだけのものはきちんと引き出せるのを間違いにものに出来る。

コメントリンク11704 この記事について | Tweet リンク11704


DealBITS 抽選: PDFpenPro 5 が当たる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちは Smile の PDFpen ソフトウェアについて、折に触れて何度も記事を書いてきた。これは、PDF を編集したりマーク付けしたりする際にさまざまの方法で非常に役に立つからだ。テキストを修正したり、テキストを入れ替えたり、グラフィックスを調整したり、PDF の契約書に自分の署名を加えたり、複数の PDF を一つに統合したり、ページの位置をいろいろ動かしたり、PDF の中にコメントを書き込んだり、その他多種多様なことができる。たいていの人には PDFpen で十分必要が満たせるだろう。けれども PDFpen の兄貴分である PDFpenPro ならば、さらにもっと追加の機能が提供できる:

だから、今週は PDFpenPro 5 ($99.95 相当) を3本、賞品にするのでぜひ DealBITS ページにて応募して頂きたい。その上、これをさらに魅力的なものとするため、賞品には Michael E. Cohen の電子ブック "Take Control of PDFpen 5" を一冊ずつ付けることにした。この電子ブックさえあれば、PDFpenPro の使い方について知っているべきことがすべて分かる。

寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。また、もしもあなたがこの抽選を紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

Image

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT, 7 November 2010 まで、つまり日本時間で 11 月 8 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]

コメントリンク11705 この記事について | Tweet リンク11705


Outlook 2011 から脱出する!

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

いや、まいった、いくら TidBITS 読者のために払う犠牲とはいえ!もし私が自分自身を巻き込もうとしているものが何であるか事前に知っていたならば、レビューをするためとは言え Office 2011 の Microsoft Outlook を採用すると言うような事は決してしなかったであろう ("Microsoft Outlook の展望 (outlook)" 8 October 2010 参照)。私がこのプログラムを使おうと努力すればする程、事態は更に悪化していった。引用レベルに対するフォーマット能力 (Paste As Quotation, Increase Quote Level) がゼロであるのに加えて、Resend コマンドも無いことに気付いた (と言う事は、オリジナルの返信が引用されたままで他の人や同じ人に対して、既存の返信を選んでそれを再度送信すると言う事をさせてくれない)。それやこれやの理由から、その中の幾つかはレビュー記事の中にも現れてきているが、Outlook は恐怖そのものである事が明らかになってきた。私がメールを使うやり方では、これはとても受け入れられるものではなかった。

仕方ないので苦渋の選択として、他のメールアプリケーションに自分自身を再度移行させることに決めた。私が通常のメールプログラムから求める他のものも - 私のメールボックスをエクスポートする術が、実は Outlook 2011 には無いことを発見したのはこの時なのである。あなたのメール 全て を単一の .olm ファイルとして保存する事は出来るが、これを読める他のアプリケーションは無いし、それにそうしようとした私の試みは失敗に終った (Outlook は動作の途中で壊れてしまった)。個々のメッセージを Finder にドラッグする事は出来るが、これをすると個々の .eml ファイルが作られ、これは他の多くのプログラムがインポート出来ない代物である。私が必要なのは "mbox" ファイルへエクスポートする方法であるが、これは言ってみればメールボックスとその全てのメッセージを代表する世界標準である。

成果の無いまま数時間の試行錯誤を繰り返した後で、私は既に完璧な mbox 作成ツールを手元に所有していることに気付いた。それだけではなく、これは Outlook 2011 の中に直接入り込み、私の選択したメッセージ全てを掴み取り、そしてそれらを Mail がインポート出来る mbox ファイルに纏め上げることが可能なのである。このツールは EagleFiler で、私はこれについて数ヶ月前に "EagleFiler が Finder のフォルダを情報断片キーパーと化す" (24 February 2010) の中でレビューしていた。

私のレビューの中で言ったように、私は既に EagleFiler を Entourage から不必要なメールフォルダを捨て去るのに使っていた。そもそもメールクライアントを長期に亘ったデータベースとして使うと言うのは、私にとってはどう見てもカテゴリーの混乱としか思えなかった;確かにメールクライアントの中で限られた範囲での現在の或いは頻繁に必要とされるメッセージを高速に検索する必要性はあるが、一般的に言えば、メールメッセージからどうやって探し出すのかを本当に知っているアプリケーションに私の保存されたバックログの多くをアーカイブしておくのは私にとっては至極当然のことに思えるし、それは EagleFiler がどうやってやるかを本当に知っていることでもある。

しかし EagleFiler は Outlook 2011 とどうやって会話するのかを知っているのであろうか? 結果的には、開発者の Michael Tsai は状況をきちんと把握していたことが分かった。彼はベータ版 (1.5) に取組んでいる所であり、多くの改良を進めようとしていて、そこには EagleFiler がインデックス作業で忙しい時にはメインウィンドウにより良いフィードバックを表示する、きびきびしたフォルダのナビゲーションと再配置、添付書類の索引付け、そしてその他諸々が含まれる。一番重要なのは、このバージョンは Outlook からインポートする能力を持っていることである。

そこで EagleFiler の新しいバージョンを手にして、私は Outlook の中の全ての私のメッセージを選択そして EagleFiler にそれらをインポートするよう F1 キーを押して言った、これは Outlook の中そこでの話である。私の愛用の Pavoni Napolitana でカプチーノを一杯いれる間もなく、EagleFiler は全ての私のメールメッセージを捉えそしてそれらを mbox ファイルへと纏め上げた。それぞれのファイルは Outlook メールボックスか或いはそのメッセージが所属していたメール "フォルダ" の名前を有している。(これらのファイルは文字通りの . .mbox ファイル拡張子は持っていないが、mbox ファイルであることに変わりは無い。)

私はテストとして得られたファイルの幾つかを Mail にインポートさせてみたが、それは完璧に動いた。この作業をしたことの無い人のために解説しておくと、これは二つのステップのプロセスである。Mail で File > Import Mailboxes を選択する。そうするとダイアログが現れ、ここでメールボックスのソースタイプを指定する;私の場合、最後のオプションである "Files in mbox format" を選択した。これに応じて Open ダイアログが呼び出されそこで私は EagleFiler によって作られた mbox ファイルを選択そしてそれらをインポート出来る。Mail は Import フォルダを生成しそしてインポートされたメッセージをその中のメールボックスに置く、メールボックスの名前はそれらが帰属していた mbox ファイルの名前を踏襲する;これらのメールボックスを Mail の On My Mac コレクションの中の他の場所に移す事も可能であるが、取り敢えずはそのまま置いておくことにした。

私は又これを機会に私のメールの整理をすることにした、具体的には少数のメールボックスのみを Mail にインポートしたのである;残りは単純に極めて機能的な EagleFiler の元に残しておいた。もし先にいって Mail の中で他にもアクセスしたいコンテンツを持つメールボックスが出てきたら、それをインポートするのは何時でも出来る。

そしてこれでこの話はおしまいである。私は私自身を Microsoft Outlook から Apple Mail へと完全に移行する事が出来た。私は Mail が長期的な解だとは思っていないが、私が必要だと思っている基本的な機能は全て備えているし、私のワークフローのためには AppleScript を使えば最低限のスクリプトは書ける、そして - 最も大事なのは - もし私がそこから別なものへと移行したいと思ったら、私は EagleFiler が助けになってくれることを知っている。

コメントリンク11696 この記事について | Tweet リンク11696


新しい MobileMe Calendar: アップグレードすべきか?

  文: Michael E. Cohen <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

2010 年 10 月 14 日に、Apple は CalDAV ベースの新しい MobileMe カレンダーから「ベータ版」というラベルを外し、すべての MobileMe ユーザーが自由選択のアップグレードとして利用できるようにした。この新しいカレンダーには多数の新機能や便利さが満載だが、多くのユーザーが気付いた通り、アップグレードの過程は透明なものではないし、場合によっては不透明極まりないこともある。幸いにも、この新しい MobileMe カレンダーへの切り替えは完全に選択的オプションであって、切り替えたくなければ単に MobileMe Calendar ウェブインターフェイスにある Get Started ボタンやサイドバーに現われる Upgrade Now リンクをクリックしなければよいだけだ。

image

まずは機能について -- 新しいウェブベースの MobileMe カレンダーアプリの見栄えは、iPad 上の Calendar アプリのレイアウトをそのままに、ただ左側に iCal 風のサイドバーを付けただけ(サイドバーを隠すのも簡単)のように見える。カレンダーは日、週、月、リストのそれぞれの表示に切り替えることができ、ウィンドウ下部にあるコントロールバーウィジェットを使ってナビゲーションができる。これも、iPad のカレンダーアプリとよく似ている。

image

カレンダーにイベントを追加するのは簡単だ。iCal でするのと同じように、単にカレンダー表示パネルでダブルクリックすれば、イベントを作成してそれを編集できる。このイベントは現在サイドバーで選択されているカレンダーに属しているが、イベントが属するカレンダーを変更するのも簡単だ。

image

あなたが作成したイベントに他の人たちを招待することができる。MobileMe は、「参加」「欠席」「仮承諾」のボタンの付いた HTML フォーマットの電子メールを送信する。受け取った人たちが招待状に返信すれば、MobileMe はあなたにその人たちの返事の状況を通知する。

サイドバーで、どのカレンダーをメインの表示パネルに表示するかを選べる。また、個々のカレンダーの横にある「カレンダーを共有」ボタンを押せば、特定の参加者との間でのみ、または一般公開して、そのカレンダーを共有できる。一般公開されたパブリックカレンダーは誰でも見ることができる。その場合、このウェブアプリが(長くて複雑な)URL を提供し、それを使えば CalDAV 互換なプログラムを持つ誰もがその共有カレンダーを購読することができる。カレンダーを一般公開した際には、あなたが提供する電子メールアドレスのリストに宛てて MobileMe がそのカレンダー URL を送信することができる。一般公開されたカレンダーは閲覧専用だ。

image

特定の参加者と共有するプライベートカレンダーは、閲覧専用にも、あるいは共有した人たちが編集することができるようにも、設定できる。パブリックカレンダーとは違い、プライベートカレンダーの閲覧や編集は他の MobileMe メンバーのみに許される。あなたがカレンダーをプライベートあるいはパブリックに共有した際、MobileMe はあなたの MobileMe コンタクトを用いてカレンダー招待状の宛先の入力補助をする。

この MobileMe カレンダーはパフォーマンス改善のためにあなたのコンピュータ上ローカルに情報をキャッシュできる。多数のカレンダーやイベントを含む複雑なセットを使っている場合にはこの機能のお陰で MobileMe カレンダーの使用感が大幅に滑らかになるかもしれない。けれども注意すべきは、この機能がセキュリティの問題点でもあることだ。ローカルなカレンダーのキャッシュは暗号化されない。だから、あなた自身のものでないコンピュータを使っている場合にはこのキャッシュ機能をオフにしておくべきだ。

MobileMe カレンダーのサイドバーからカレンダーを削除することもできるが、注意すべきことがある。MobileMe でカレンダーを削除すれば、iCal でも、また MobileMe と同期しているすべての機器でも、そのカレンダーが削除される。

次に問題点について -- この新しい MobileMe カレンダーサービスは共有カレンダーのために CalDAV 標準を使用し、Mac OS X の Sync Services は使わないので、新しいフォーマットに切り替える際にはいろいろの問題が起こる可能性がある。

そういうことはいろいろあるけれど、もしもあなたが MobileMe カレンダーのベータ版を使ってきた幸運なユーザーの一人だったならば、あるいは既にあなたのカレンダーを MobileMe で iCal から同期しているのならば、(おそらく)あなたは何の問題もなく新しい MobileMe にアップグレードできるだろう。Apple のサポートノート“MobileMe:新しい MobileMe カレンダーを設定する”に、このカレンダー狂気をうまく切り抜けるのに役立つ関連記事へのリンクがまとめられている。

では、わざわざアップグレードすべきか? -- 新改訂された MobileMe カレンダーのウェブアプリが装備したいろいろの新機能やパフォーマンス改善は、決して些細なものではない。そして、もしもあなたが最初のハードルをうまく乗り越えることができたなら、あなたはこれが大いに気に入るかもしれない。私はとても気に入っている。(新機能についてもっと詳しいことは、リリースされたばかりの Joe Kissell の電子ブック "Take Control of MobileMe, Second Edition" を参照。)

けれども、もしもあなたが CalDAV 非対応のソフトウェアを何か使っているのなら、あるいは iCal の中や MobileMe の上で旧来のカレンダーの構成に依存したワークフローがあるのなら、それともあなたが 10.6.4 よりも前のバージョンの Mac OS X を走らせているなら、もうしばらく手を出さずに待った方が良いかもしれない。Apple はアップデートするよう勧めているけれど、あなたがそうしなければならないことはない。旧来の MobileMe カレンダーフォーマットも、ちゃんとまだ動作する。ならば、そういうあなたは Upgrade Now リンクを押さずに我慢すべきだろう。

コメントリンク11680 この記事について | Tweet リンク11680


Firesheep セキュリティツールがオープンネットワークの危険を示す

  文: Rich Mogull <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

セキュリティの世界では、長い間知られていたけれどもほとんど無視されていたような問題が、ついに誰かが劇的な実演を持ち出して皆に衝撃を与えることで、改めて思い出されるということが時々ある。2010 年 10 月 24 日のこと、フリーランスの開発者 Eric Butler が Firesheep をリリースして、事実上インターネット上にいる多くの人々に対して強烈なボディーブローを見舞うこととなった。Firesheep は Firefox プラグインで、これを使えばある種のウェブメール、ソーシャルネットワーキング、ショッピング、その他のセッションに対して、同じローカルネットワーク上にいる人ならば誰でも、テクノロジーのスキルを全然持っていない人であっても、サイドジャッキング攻撃をかけることが可能になる。ローカルルータの外部には働かない。同じローカルネットワークの中にいて Twitter、Yahoo Mail、Hotmail、Facebook などのサイトに接続している人たちは、すべて潜在的に Firesheep の攻撃を受ける可能性を持つ。(詳しいことは、以前この問題について扱った記事“開いた Gmail、その他サービスを Sidejack 攻撃がこじ開ける”(2008 年 8 月 27 日) 参照。)

Firesheep の動作方法 -- Firesheep はごく単純な前提の上に立って働く。このプラグインは、Firesheep に既知のサイトへ向けてブラウザから出されるウェブページのリクエストを探して、常時ローカルネットワークを嗅ぎ回る。そのようなリクエストが発せられると、Firesheep はそのウェブリクエストの中からブラウザのクッキーを抽出し、Firesheep のユーザーに対してそのセッションの脆弱な側から飛び込める機会を提供する。つまり、そのユーザーが、そのハイジャックされた方の人物としての挙動ができるようになる。

この攻撃は HTTP セッションハイジャッキングまたは サイドジャッキング という名前で知られている。相手のユーザーのユーザ名やパスワードを盗み出す必要はなく、その人が訪れているサイトでセッションをアクティブに保てるようにするための特別の情報断片を盗み出すだけだ。この情報断片にはウェブサーバからブラウザへと送信される固有のトークンが含まれる。サイトによっては、その他にもいくつか詳細情報が傍受されることもあり得る。

ウェブアプリケーションを作る際に問題となることの一つは、あなたのサイトにログイン中のユーザーたちをどうやって追跡するかだ。ウェブ以前のネットワークアプリケーションとは異なり、ウェブが使用するネットワークプロトコル HTTP は ステートレス だ。つまり、このプロトコル自体は、誰がページを読み出しているかについての情報をリクエストとリクエストの間で保持する方法を一切その中に持っていない。この点が、他の多くのプロトコルと HTTP プロトコルとの大きな違いだ。

HTTP では、あなたのウェブブラウザは単純に情報断片のリクエストを次から次へと、一つの HTML ページの中で指定された一つあるいは複数のウェブサーバに対して送信するが、これらのリクエストはすべて互いに独立なアクションだ。返送されてきたたくさんのデータをもとに一つのウェブページを築き上げるのは、あなたのウェブブラウザの仕事だ。(ウェブブラウザとサーバはセッションを保持するために HTTP 認証を用いることができるが、そのためのインターフェイスはポップアップダイアログであって使いづらいし、セキュリティモデルの問題もある。個人所有のサイトの中には、ウェブページのログインの代わりにこの種のログインを使っているところもある。)

これは、FTP や SSH のような通信プロトコルと対照的だ。FTP や SSH は、あなたがログインした際に接続を確立するが、この接続はそのログインに固有のものであって、手で接続が切られるか、あるいは使われなくてタイムアウトするかするまでずっと接続されたままになる。つまり電話をかけているのと同じことだ。

この問題を解決するため、インターネットの達人たちは(それは 1990 年代に遡って Netscape によるものだが)あの悪名高き クッキー を作り出した。クッキーとは単なるテキスト断片であって、あなたのブラウザのメモリの中に保管されるか、あるいはあなたのハードドライブ上のファイルとして保存される。セキュリティに欠陥がなければ(もちろん私たちは多くの欠陥を見てきたわけだが)一つのサイトが他のサイトの設定したクッキーを覗き見ることは決してない。こうして、サイトがあなたのユーザー ID またはセッション ID、あるいはその双方をクッキーとして設定し、それを用いてあなたがあちこちブラウズしている間もサイトがあなたを追跡できるようになる。また、あなたの個人的設定や環境設定を追跡するためのクッキーもある。

問題は、もしも誰かがそのクッキーのコピーを入手してしまった場合、そのサーバがさらなるセキュリティの方策を講じていない限り、アタッカーが簡単にそのサーバであなたになりすますことができてしまう点だ。そして、もしもそのクッキーが複数のセッションにわたって働くようになっていれば(そのサイトであなたが「ログインしたままにする」ボタンにチェックを入れればまさにそうなる)そうしたセキュリティの方策を実装するのも非常に困難となる。

これらのクッキーをあぶり出すために、Firesheep はそれが動作しているマシンが接続されているネットワークをただ単純に嗅ぎ回る。そして、探し出したクッキーを分かりやすいインターフェイスに表示し、Firesheep を走らせている人がどれでも好きな興味深いセッションをサイドジャックできるようにする。(ここで「サイドジャック」という用語を使ったのは、もともとのユーザーたちが依然としてそのサイトにログインしたままだからだ。Firesheep は彼らから接続を取り上げるわけではないので「ハイジャック」という言葉は当たらない。)このようなことをするツールは決して Firesheep が初めてではない。Errata Security 社の Hamster and Ferret はもう 3 年も前から存在していて似たような攻撃ができる。けれども Firesheep はそれに比べて格段にエレガントで、信じられないほど使いやすい。サイドジャック可能な 26 のサイトのプロファイルも内蔵している。

忘れるべきでないのは、あなたがアタッカーと同じネットワークにいればいつでもサイドジャッキング攻撃を受ける可能性があることだ。ただし、そのネットワークがトラフィックを隔離できるセキュリティを実装して、嗅ぎ回りができないようにしていれば話は別だ。このような問題は、あなたが Wi-Fi を用いたオープンなホットスポットネットワークにいる場合、あるいはホテルのような場所で Ethernet ネットワークにいる場合に、最も多く起こり得る。実際、どこかの場所で iTunes を起動してみて他のユーザーの共有ライブラリが見えてしまったという経験のある人も、きっと多いだろう。

Firesheep が一部のサイトのみで働く理由 -- こんな風に考える方もおられるかもしれない:「でも、私が Facebook/Twitter/その他にログインする時、私のユーザ名とパスワードは暗号化されているはずだ。それなら、どうやって誰かが私のセッションをサイドジャックできるというのか?」メジャーなサイトの大多数は、あなたのログインを SSL/TLS と呼ばれるものを使って暗号化している。(一般的に単なる SSL と縮めて呼ばれているが、それは本来誤りだ。)SSL はブラウザがサーバとの間でする通信を暗号化して、ローカルネットワーク上で嗅ぎ回る誰かからあなたを保護してくれる。

SSL は、まさにサイドジャッキングのような攻撃を予防するための方法だ。けれども問題は、多くのサイトであなたのユーザ名とパスワードは暗号化するが、セッションのそれ以外の部分については暗号化なしの状態に戻ってしまうことだ。確かにあなたのパスワードは保護されるけれど、あなたのブラウザは一つ一つのリクエストごとにクッキーを毎回送信するのであって、そのクッキーは完全にアタッカーの目に晒されていることになる。あなたの認証情報を盗み出して、あとで家に帰ってからあなたになりすましてログインするのに使おうと狙っている誰かからは保護されるかもしれないが、問題のクッキーは、それが変更されてあなたが別のネットワークにいるようになる時まで、誰かにあなたのアカウントへフルにアクセスさせてしまうかもしれない。そしてそうなれば、誰かが勝手にあなたのパスワードを変更し、あなたが自分のアカウントから締め出されてしまうこともあり得るのだ。

サイトがサイドジャッキングに対して防御できる唯一の方法は、クッキーのやり取りも含め、セッションの すべて を暗号化することだ。Google の Gmail と、Apple の MobileMe は、その通りのことを実行しているサービスの実例だ。これらのサーバとの間では、暗号化なしの接続が行なわれることは決してない。

また、サイトのオーナーは、アタッカーがあなたのブラウザを騙して暗号化なしのセッションの送信をさせることがないように、特別のクッキ−を設定しておく必要もある。この種のクッキーは暗号化接続によってのみサーバに送信され、またこの機能はすべてのメジャーなウェブブラウザに装備されている。たとえサイトが SSL を使っていても、そのサイトに SSL を使わないバージョンの接続をあなたが試みた途端(そもそもの最初にあなたが https でなく http でアドレスをタイプし始めた場合、あるいは誰かがあなたに https でないリンクを送ってきた場合、そのようなことが起こる)その瞬間にもしもこの特別の保護が施されていなければ、ブラウザはあなたのクッキーを送信してしまう。

言い替えれば、これはあなたが自分自身では防ぐことのできない問題であって、あなたが訪れるサイトを開発している人たちの手によって解決されなければならないことなのだ。

なぜすべてのサイトが SSL を使わないのか? -- 解決方法がそれほど簡単(フルセッションの SSL と保護クッキーだけ)であるならば、あらゆるサイトが、とりわけメジャーなウェブメール、小売店、ソーシャルネットワーキングのプロバイダ、などのサイトはきっとその機能を実装しているだろうと思えることだろう。問題は、それらの会社がフルセッションの SSL にかかる余分なコストを恐れていることだ。あらゆるものの暗号化をこなすために、追加の処理能力が必要となるからだ。(SSL は既にすべてのウェブサーバでオプションとなっている。)サイトが大規模になればなるほど、追加コストの恐れは膨れ上がる。

けれども Google は、ここはプライバシーに関する問題点について私が頻繁に批判している会社だが、最近になってすべての Gmail 接続についてフルセッションの SSL を実装してくれた。(2010 年 1 月 13 日の記事“Google の Gmail、暗号化セッションをデフォルトに”参照。)そして、Google の Adam Langley はブログ記事の中で「その実装のために私たちは追加のマシンも特別のハードウェアも一切配置する必要がなかった」と書いている。だから、多くの会社の持っている恐れは根拠のないもののようだし、未だにユーザーたちを保護なしの状態に放置しておくべき真の口実はもはや存在しない。

正直言って、サイドジャッキングは非常にシンプルなものだけれども、これまではセキュリティの仕事に従事したり Defcon のようなハッカーのカンファレンスに出たりするような人以外、ほとんどの人は心配する必要がない類いのものであった。従来あったツールはすべて、使いこなすためにかなりのテクノロジーの知識を要し、セキュリティの仲間うち以外ではあまり知られていないものだったからだ。ところが今や、Firesheep はごくシンプルな Firefox アドオンに過ぎないので、あなたがお祖母ちゃんの家に退屈な帰省をして、彼女の Wi-Fi ネットワークにあなたのラップトップ機を繋げば、お祖母ちゃんでさえ簡単にあなたの Facebook アカウントが乗っ取れるようになってしまったのだ。

あなた自身を守るために -- 現実を言えば、あなたの訪れるサイトが適切なセキュリティの方策を内蔵してくれるようになるまでは、あなたが自分自身を守るためにできることはあまり多くない。可能な限り、あなたのトラフィックをすべて暗号化 VPN (仮想プライベートネットワーク) の上で送信するようにするとよい。ただ、あなたの VPN が接続する場所(例えば仕事場のネットワーク)でサイドジャッキング攻撃を受ける可能性は残るが。もしも VPN を使うのならば、あなたの接続ステータスに注意深く目を配るべきだ。特に iOS 機器では、VPN 接続が頻繁に落ち、あなたのトラフィックが保護なしの状態で放置されることが多いので気を付けるべきだ。

サポート可能なサイトにおいてあなたのブラウザが SSL セッションを使うように強制する Firefox プラグインが二つある。HTTPS-Everywhere はプラグインにあらかじめ内蔵されたサイトリストを使って動作するが、Force-TLS ではあなたが自分でサイトのリストを指定することができる。これら二つのプラグイン両方ともを、 Firesheep の作者がアップデート記事の中で 紹介している。

最後にもう一言。公衆 Wi-Fi ネットワークを使うのはできるだけ避けるのがよい。そんな選択肢はないという人たちも多いのは確かだが、私自身はもう何年もの間、公衆 Wi-Fi ネットワークは使わず、モバイルアクセスには 3G ワイヤレスを使うようにしてきた。(そのために 3G カードやポータブルルータを使ったり、iPhone で Wi-Fi をオフにしたりした。)これで、私のリスクは Verizon か AT&T が私にサイドジャッキング攻撃をかけてくる場合に限られるようになったが、そんなことが起こる可能性はごく低いと思う。

いろいろな記事見出しに大袈裟に踊るセキュリティの話題と同様、Firesheep もまた、あなたが夜も眠らず心配する必要があるような類いのことではない。けれども、もしもあなたが(ワイヤレスにしろワイヤードにしろ)公衆ネットワークを頻繁に利用するのならば、できる限りフルセッション SSL を使用するサイトのみを訪れるようにするか、あるいは上で述べたような他の予防措置を講ずるのがよいだろう。

コメントリンク11701 この記事について | Tweet リンク11701


Photoshop Elements 9 でピクセルを押す

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Photoshop は、名前の認知度がその出所を超えてしまった、そんな稀な製品の一つだ。ウェブをブラウズしたり電子メールをしたりといった基本的なこと以外、コンピュータについて全然馴染みがない多くの人たちも、デジタル写真を処理するために "Photoshop" が必要だということは知っている。ただ、その人たちが気付いていないのは、自分たちが言っているのがプロフェッショナル向けの Photoshop CS5 のことだという事実だ。

このソフトウェアの名前は、一般大衆の意識の中で、動詞にさえなってきている。ニュース記事の中で、広告用の目的で 、はたまた 政治的な利益のために、写真がひどい具合に「Photoshop された」といった表現が使われることもある。(Photoshop Disasters サイトは一見の価値がある。ぜひご覧あれ。)

だから、普通の人が、手始めのツールとして、あるいは iPhoto よりはもう少し高度なツールを探して、Photoshop を買おうかとそこらを見回した時、価格は Photoshop CS5 が $699 からと書いてあるのを見てショックを受ける様子は想像に難くない。Adobe はずっと以前から同社の旗艦製品たるこの画像エディタにコンシューマ向けバージョンを作れば市場の需要に応えられることを知ってはいたが、初期のバージョンは基本的に機能削減バージョンをスキャナと組み合わせて出荷しただけのものであった。けれども現在、Photoshop Elements にはさまざまな機能が詰め込まれ、今回新しいバージョン 9 に至って、このソフトウェアはいくつか重要な機能を Photoshop CS5 から獲得しつつも、価格はずっと手頃な $99 に抑えられている。

Photoshop Elements の基本 -- 実のところ、人々がデジタル写真を扱うために Photoshop が必要だと考えるとき、多くの場合その人たちは iPhoto にあるような基本的な色修正ツールのことを頭に描いている。例えば露出不足の画像を明るくしたり、写真をトリミングしたり、カラーバランスを調整したり、といったものだ。そしてもちろん、iPhoto はその種の編集が手軽にできるように作られている。けれども iPhoto の修正ツールは広範囲、つまりその画像全体に作用するものだ。これに対して Photoshop Elements は、もっと個別の編集ができる細かさを、何層ものレイヤーに分けて(文字通りレイヤーを使って)提供できる。

Photoshop Elements の強みの一つは、さまざまのレベルのスキルを持つ人たちの要求に応えられることだ。例えば、Quick Edit 環境を使えば、画像の明暗、カラーの彩度、その他の属性をお馴染みのスライダーを使って調整できる。スライダーの右側にある開閉用三角ボタンをクリックすれば Quick Fix プレビューが表示され、そこでサムネイル画像をクリックすればどれだけの量の調整を施すかが指定できる。(ヒント: サムネイルをクリックしたままドラッグすれば量の微調整ができる。)

Image

でも、その調整を画像全体に施したくなければどうするのか? そのためには、Full Edit モードにある各種の選択ツールが素晴らしく役に立つ。Quick Selection ツールを掴んで、画像の中の特定の領域を選択する。下に示した画像で、私は人物たちの輪郭を「お絵描き」することによって空の部分を選択した。私は空を明るくしたかったが、人物たちはシルエットのままに残したかったのだ。Quick Selection ツールを使えば非常に正確に描く必要はない。大体の線をなぞれば、このツールが自動的に境界を探知してそれをスナップ描画してくれるからだ。

image

ここで明るさの調整を施すことも簡単だ (Enhance > Adjust Lighting メニューを使えばよい) が、それではこの画像の持つピクセルの値を変えてしまう。私はできる限り、あとで考えが変わってもよいように元のカラー値を保ったままにしたいと思う。その代わりに、ここで私は新規に調整レイヤーを作成する。画像の右にある Layers パネルの一番下で、Create Adjustment Layer ボタンをクリックして Levels を選ぶ。調整レイヤーは画像レイヤー(Background レイヤーと呼ぶ)の上に位置して、画像の持つピクセル値を実際に変更することなく画像の見栄えを変える。

私は調整レイヤーを作成する前に領域の選択をしたので、私が施す変更はすべてその選択された領域のみに作用する。今の場合は空の部分のみだ。さて、この調整レイヤーで、Adjustments パネルのスライダーを動かして好みの結果に調整する。あとになってこの空が明る過ぎると思ったら、この調整レイヤーを選んでもう一度スライダーの位置を変更すればよい。さらに素晴らしいことに、もしも私がこの写真で全く違ったことをしたいと思えば、単にこの調整レイヤーを削除するだけで、最初からやり直すことができる。ここでも、元のピクセル値は何も変わっていない。

image

以上のことは高度な Photoshop 作業のように聞こえるかもしれない。ある意味では確かにそうだ。けれども同時に、これは非常にとっつきやすい作業だ。(そして、破壊的な作業でないということが重要だ。)Photoshop Elements の各種ツールは、あなたの画像に何が施されているのかを理解しやすくしてくれる。

調整レイヤーは Photoshop Elements 9 での新機能ではない。けれども、それに結び付いた歓迎すべき新機能が一つある。それは、このプログラムがようやく真の意味でのレイヤーマスクをサポートしたことだ。領域を選択してマスクを作成すれば、選択されていない部分がすべて隠される。レイヤーマスクは調整を施すためにも便利だが、いくつかの画像から要素を集めて合成する際、例えばコラージュを作る際にも非常に便利だ。

コンテンツ対応の直し -- Photoshop Elements の新機能の中で最も素晴らしいものの一つは、じっくり目を凝らして見なければほとんど気付かないだろう。Spot Healing Brush は、以前からちょっとした染みや埃の汚れを取り除くようなタイプの修正に最適のブラシツールだった。今回から、このツールが Adobe の Content Aware テクノロジー(今年になって Photoshop CS5に導入されたもの)を利用するようになった。これまでに一度でも画像の修正やタッチアップの作業をしたことのある人なら、Content Aware の働きを本当に魔法のようだと実感するだろう。修正すべき領域を分析してそこを周囲と似たピクセルで埋めるにあたり、その分析が以前よりもずっと賢くなった。これで、従来このような編集作業に用いられていた Clone Stamp ツールを使う方法に比べ、ずっと速く作業が済むようになった。

例えば、下の写真で、シアトルの Space Needle を横切るように写っている電線を消したいとしよう。残念なことに、この電線は細かいものがたくさん写っている部分でタワーを横切っている。

image

この電線を取り除くには、横方向に 一回 Spot Healing Brush でドラッグするだけでよい。従来、Clone Stamp ツールを使って同じことをすればもっと時間がかかった。

image

Photoshop Elements における Spot Healing Brush の実装は、Photoshop CS5 におけるものに比べて機能が限られている。例えば、Photoshop CS5 では選択してから Delete キーを押すだけで、その領域が理にかなった画像で置き換えられる。けれども Photoshop Elements では、同程度の結果を得ようと思えば肘に油する必死の作業(いや、この場合は手首に油と言うべきだろうか)をする羽目になる。かなり広い領域を Spot Healing Brush で塗りつぶして、結果がどうなるか見てみて頂きたい。

image

image

このテクノロジーは、Photomerge Panorama 機能にも使われている。パノラマ写真の継ぎ合わせをした後は、いつも周囲の部分に死んだスペースが残る。通常は、その部分を単にトリミングで切り落としてしまう。

image

けれども今回のバージョンから、そのスペースをこのコンテンツ対応機能を利用して埋めるかどうか尋ねてくるようになった。元の題材の具合によって結果がうまく行かないこともある。空の部分はきれいに修正されるけれど、識別可能な物体が写っている部分、例えば下の写真の地上の部分のようなところでは。画像を台無しにしてしまうことがある。

image

フォトマージ -- 私が Photoshop Elements を大好きだと思う点の一つは、写真家たちがよくある問題を乗り越えることができるように Adobe が力を注いでくれているからだ。もちろん、暗い写真を補正したりおかしくなっている個所を部分的に修正したりできるツールは揃っているが、そういった作業をするにはそれなりのノウハウが必要となることが多い。Photomerge 機能は、具体的な特定の問題状況に取り組めるように提供されている。

例で説明しよう。Photomerge Scene Cleaner は、Mac では Photoshop Elements 8 で導入されたものだが、互いに似た複数の写真を元にして一つのシーンから要らない要素を取り除くことができる。(これは、バーストモードで撮影する利点の実例ともなっている。バーストモードでは3枚かそれ以上の写真を高速で連続撮影するので、ここで役に立つ。)この機能は当初、撮影に写り込んでしまった無関係の人を消せることから Tourist Remover と呼ばれていた。

下の例では、3枚の写真を Photomerge Scene Cleaner エディタの中に開いた。その中で一番良い Final 画像として右側のものを選んだ。オレンジ色のパンツを着た小さな女の子は写真に入れたくなかったので、女の子が同じ場所を占めていない写真(左側)を Source 画像と指定した。

image

女の子を画像から消すために、私は右側の写真で女の子の上に線を引く。すると Photoshop Elements はその部分に対応するピクセルを、Source 画像から読み込む。その結果はさきほど紹介した Spot Healing Brush によるものと同じ効果だが、こちらの場合はその部分に対応する現存のピクセルによって置き換えているのであって、その領域をアルゴリズム的に合成しているのではない。

image

image

Photoshop Elements 9 で新設された Photomerge モジュールは Style Match だ。これは、一つの画像のスタイル(様式)を別の画像に適用するというものだ。理論的には、これを使ってあなたの写真を、例えば Ansel Adams の写真の様式に似たものに変えることができる。[訳者注: アンセル・アダムスはアメリカの写真家で、ヨセミテ渓谷のモノクロ写真で有名。]Adobe は様式化されたいくつかのソース画像を提供しているが、あなた自身の写真でも、あるいは他のどんな写真でもソースとして使うことができる。

image

実際にやってみると、結果の写真は荒っぽくて、いつも明るい部分が飛んでしまい、Style Intensity スライダーを戻さなければならない羽目になる。ただ単にカメラと三脚を Yosemite に持ち込んだだけでは Ansel Adams の作品のような素晴らしい写真が必ずしも撮れないのと同じことで、Photomerge Style Match を使っただけであなたの写真が魔法のように名人の作品に化けるわけではない。けれども、どちらの状況においても、写真を手にして楽しいことだけは間違いないだろう。

オーガナイザ -- さて、最大の変更点を私はあえて最後に残しておいた。その理由は、Mac ユーザーたちがこの変更点を喜んで受け入れるか単に無視するかのいずれかだと思われるからだ。Photoshop Elements 9 は、Organizer (正式名称は Adobe Elements 9 Organizer) が含まれるようになった。これは別途に動かすアプリケーションで、写真やビデオからなる自分のライブラリを管理するために使う。この Organizer は Windows 下の Photoshop Elements では過去数バージョンにわたって主要な要素の一つであったが、Mac 上では今回から Adobe Bridge の代わりに登場することとなった。

image

iPhoto と同様、Organizer もデジタル写真やビデオを読み込んで管理し、メディアをアルバムの中に整理し、項目を1から5までの段階でレーティングさせてくれる。私が特に気に入っているのはフルスクリーンモードで手早く写真の並べ替えやレーティング、タグ付けができることだ。

(けれども、Photo Downloader は、これもまた別途のユーティリティだが、iPhone 4 あるいは iPhone 3GS に接続するとクラッシュする。私がテストできる機種はこの二つだけだ。この問題については Adobe が現在調査中だ。)

この Organizer にはまた、写真を Photoshop Elements アプリケーションで開き直さなくても基本的な調整ならば施せる quick-fix オプションも付いている。また、画像を Flickr、Facebook、SmugMug、電子メール、その他で共有できるオプションもある。

さらに、キーワードタグがここでは幅広く活用される。キーワードタグは時によって役に立つことも、腹の立つこともある。ライブラリに読み込まれた際に自動的にメディアを解析するオプションがあって、その際スマートタグが付けられ、それを使えばぼやけたり、露出オーバーだったり、その他良くないクリップを手軽に取り除くことができる。この機能はデフォルトでオンになっているが、私はこれをオフにしてしまった。処理の最中コンピュータの動作を遅くしてしまうからだ。(この Auto-Analyzer 機能はいつでも手でオンに戻すことができる。)この解析機能は写真の中にある人物の顔が見分けられるので、個人別に写真を識別してグループ分けするのにも使える。

けれども、一般的に言って、キーワードタグは扱いにくい。タグはリストとして Keyword Tags パネルに並び、それぞれに対応するアイコンが付いて、例えば Places とか Events とかいったカテゴリーに分けて階層的にグループ分けされる。本来ただのテキスト要素だけのもののはずなのに、結局これらを管理するにはあちこちドラッグしたり、スクロールしたり、カテゴリーの展開を開閉したり、という羽目になる。このキーワードタグには何か エンジニア 風の奇妙な感じが付きまとう。確かにこれらの構造や処理の意味は分かる。すべてを説明するフローチャートが目の前に浮かぶくらいだ。けれども、これは人々が実際にタグを利用するやり方を反映したものではない。タグが正しい方法で実装されているところを見たければ、Adobe の Photoshop Lightroom や Apple の Aperture を見てみるとよい。そこでは、いくつかのタグを、コンマで挟んで、ただタイプするだけで、該当するものがリストになって登場する。

image

どんな写真プログラムでも、それが提供されている限り私が必ず利用する機能が一つある。スマートアルバムのサポートだ。例えば、新規にアルバムを作成してからこの前の休暇旅行で撮った中からお気に入りの写真をそこへドラッグするのではなく、私はまずスマートアルバムを作り、その休暇旅行をしていた範囲内の日付であって3以上のレーティングが付いている写真を自動的にすべて集めさせる。新たな写真を追加したり、レーティングを変更したりしても、スマートアルバムは自動的にその内容を動的に更新してくれる。

問題は、Organizer の中でスマートアルバムの編集が簡単にはできないことだ。アルバムを作成後に、その設定を変更することはできる(オプションバーで、Options ボタンをクリックしてから Modify Search Criteria を選べばよい)が、それは実際にスマートアルバムを編集していることにならない。スマートアルバムとしての設定を変更するには、新規のスマートアルバムとして新たな設定を保存し直さなければならないのだ。この挙動は、Windows 下でいくつかのバージョンの Organizer で続いていたものだ。ひょっとしたら普通の人々はスマートアルバムを編集したりしない(あるいは全く使わない)のかもしれないが、私としてはこの機能がこれほど不格好なこと、そしてそれがこんなに長い間そのままになっていたことに、驚かざるを得ない。

Organizer の機能で Windows から Mac へ引き継がれなかったものが二つある。まず、地理的位置情報を割り当てるための Map 機能がない。それから、写真のスライドショーを作成できる機能がない。

ライブラリ管理のために Organizer を使いたくないのならば、Adobe Bridge (過去のバージョンの Photoshop Elements でインストールされたものか、あるいは Adobe Creative Suite の一部としてインストールされたもの) を使うことも、また iPhoto を使うこともできる。Bridge では、写真を右クリックまたは Control-クリックして Open With (このアプリケーションで開く) サブメニューから Photoshop Elements を選べばよい。iPhoto では、環境設定を開き、General (一般) アイコンをクリックし、Edit Photo (写真の編集) ポップアップメニューから In application (アプリケーションで編集) を選んで、そこで開くダイアログで Photoshop Elements を選んでおけばよい。

Photoshop.com との統合 -- Photoshop Elements 9 は、今回から Adobe の Photoshop.com サービスをサポートするようになった。これにより、写真をこのサービスに出版したり、それをオンラインで編集したり、Organizer の中のライブラリに同期して戻したりできる。私はもう長年 Flickr アカウント を持っているので、私にとって興味あるのは写真をオフサイトでバックアップできるということだけだ。

Photoshop Elements の購入には Photoshop.com で 2 GB のオンラインストレージ容量が含まれる。これでは自分の写真ライブラリ全体をカバーするには足りない(桁違いに少な過ぎる)だろうが、例えば自分の最高ランクの写真だけをオフサイトでバックアップしておく方法にはなる。

価格と入手方法 -- Photoshop Elements 9 の価格は $99 で、メール・インの返金を差し引けば $79 となる。このプログラムは Premiere Elements 9 と合わせた $149.99 のバンドルでも販売されている。(こちらはメール・インの返金を差し引けば $119.99 となる。)

年額 $49.99 の追加料金を払って Plus 会員となれば、Photoshop.com の最大容量が 20 GB になるとともに、会員専用の季刊テンプレートやアートワークが受け取れ、カレンダーや本の作成、あるいはハウツーレッスンなど、創造的なプロジェクトに使いこなせる。また、Photoshop Elements 9 Plus を $10 値引の $139.99 で、 Photoshop Elements 9 & Adobe Premiere Elements Plus を $30 値引の $149.99 で、それぞれ購入できる。

(Mac でデビューを飾ったPremiere Elements 9を使ってビデオの編集をすることに興味ある方には、私が Macworld に書いたレビュー記事をどうぞ。)

お分かりの通り、私は Photoshop Elements の大ファンだ。それは単にこれが手頃な価格でプロ並みの写真編集機能を提供しているからだけでなく、生計を立てるためにピクセルを押す作業を続けるプロたちではない私たちのような写真家のために、どうすれば手助けの力になれるかを Adobe がよく考え抜いてくれているからだ。ちょうど私は Peachpit Press から出している "Photoshop Elements 9: Visual QuickStart Guide" (Mac OS X 版Windows版がある) のアップデート版を仕上げたばかりで、このプログラムを過去数ヵ月間にわたって使ってきた経験から、私はこれを強く推薦したい。たとえ、さきほど触れた Organizer (使わないのは簡単) の奇妙な挙動があったとしても。

コメントリンク11668 この記事について | Tweet リンク11668


TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 11 月 1 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhoto '11 9.0.1 -- iPhoto '11 にアップグレードしている最中に自分の写真がすべて消えてしまったというユーザーの悲痛な叫びが挙がっていたが、今回 Apple は iPhoto '11 9.0.1 をリリースした。(その通り、iPhoto '11 のバージョン番号は現在 9.x という範囲にある。Apple が製品の名前に年を入れているからこういうことになる。)iPhoto 9.0.1 は「ごくまれなケースとして、以前のバージョンの iPhoto からライブラリをアップグレードする際にデータの損失が起こる問題を解決」している。アップグレードをするよりも前に iPhoto 9.0.1 にアップグレードすることが重要なので、まず iLife '11 をインストールしてから、初めて iPhoto '11 を起動するよりも先に、ソフトウェア・アップデートを開いて iPhoto 9.0.1 アップデートをダウンロードしなければならない。いったんそのインストールが済めば、iPhoto を起動してあなたのライブラリをアップグレードさせてもよい。Apple はこの作業手順を説明したサポートノートを出しているが、その中で最初にバックアップを作ることを勧めてから(それはどんな場合でもやっておくべきことだ)その上で、アップグレードの動作が非常に遅いように見えたとしてもそれが完了するまで待つように勧めている。とは言うものの、もしもあなたがこの年末のホリデーシーズン用にカレンダーを作りたいと思っているのならば、やはり iPhoto '11 はインストールせずに待った方が良い。Apple は依然としてカレンダー作成機能がいつ復活するのかについて何も発表していないのだから。(iLife '11 の新規購入は $49、無料アップデート、33.87 MB)

iPhoto '11 9.0.1 へのコメントリンク:

Camino 2.0.5 -- オープンソースのウェブブラウザ Camino がバージョン 2.0.5 となり、これは The Camino Project の用語で「安定性とセキュリティのアップデート」だという。それらの分野での改善以外にも、このアップデートは Google Calendar の印刷機能との互換性を追加し、バンドルされた Java Embedding Plugin をバージョン 0.9.7.4 にアップグレードし、広告遮断機能を改善している。また、Mac OS X の Spaces 機能を使っているユーザーが修飾キーを押してもプラグインがそれを認識できないことのあった問題も修正された。Bloglines (今後二週間以内に閉鎖される) のサポートも削除された。(無料、15.8 MB)

Camino 2.0.5 へのコメントリンク:

Postbox 2.0.2 -- Thunderbird ベースの電子メールソフトウェア Postbox 2.0.2 にはさまざまの修正が盛り込まれた。この新バージョンでは Apple Mail からメッセージを読み込んだ場合にメッセージ本文の表示が正しくないことのあった問題が修正された。また、QuickText Add-on、キーボードランチャーの Alfred、それから OmniFocus など、いくつかのサードパーティのツールのサポートも改善または追加された。さらに、Subscribe メニューオプションが有効となるべきでない時にそうなっていた問題や、Quick Reply 機能に関係した問題も、このアップデートで修正された。($39.95、無料アップデート、12 MB)

Postbox 2.0.2 へのコメントリンク:

Things 1.4.3 -- Cultured Code が、同社のタスク管理ソフトウェア Things をバージョン 1.4.3 にアップデートした。今回の漸次リリースで新たに加わったのは、新規に入力されたタスクのデフォルトの保存先を Inbox と Today のいずれかから選べる Quick Entry 環境設定だ。その他にもさまざまな改善が施されたが、主なものを挙げれば、個々のタスクがその作成日と変更日を表示するようになり、Projects や Areas をアルファベット順に並べ替えることができるようになり、フォントサイズの変更が Tags ウィンドウにも働くようになり、電子メールの件名で ASCII 外の文字の処理が改善された。

今回の Things アップデートではバグ修正もいくつかある。Mac OS X Spaces と組み合わせて Quick Entry を使った場合の問題点、ゴミ箱を空にするキーボードショートカットが誤って現在選択されたタスクも消去してしまっていた問題、Logbook に関するさまざまな問題などに対処が施された。(新規購入 $49.95、無料アップデート、8 MB)

Things 1.4.3 へのコメントリンク:

コメントリンク11709 この記事について | Tweet リンク11709


ExtraBITS、2010 年 11 月 1 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は手早く二つだけリンクをご紹介しよう。Amazon が Kindle 電子ブックの貸し出しを計画しているというニュースと、Jeff Carlson が Macworld で iMovie をレビューした記事へのリンクだ。

Amazon、Kindle で貸し出しと定期刊行物をアプリ内でデビュー -- Amazon.com の発表によれば、Kindle を使って今後数週間以内に新聞や雑誌が Kindle アプリ内部から利用できるようになるという。また、さらに興味深いことに、Kindle 電子ブックの貸し借りが、年内に可能になるという。これは、Barnes & Noble が Nook でしたことを後追いするものだ。個々の本を、他の Kindle 機器に 14 日間貸し出すことができ、貸し出し中はあなたがその本を読むことはできない。どの本を貸し出し可能とするかは出版社が決定する権利を持つ。さて、Apple も同様のことを iBookstore でするようになるのだろうか? 今のところ、そうは思えないが。

コメントリンク: 11711

Jeff Carlson、Macworld で iMovie '11 をレビュー -- iMovie '11 は、iLife '11 を構成するこのビデオエディタへの大幅なアップデートだが、はたしてアップデートする価値があるのか? Jeff Carlson がこの新バージョンを詳しく掘り下げて、Apple の "Back to the Mac" イベントでも同社のウェブサイトでも取り上げられなかった機能も明らかにしつつ、ネズミ 4.5 匹の評価ができると思う理由を説明する。また、依然として残る欠陥も指摘する。

コメントリンク: 11706

コメントリンク11708 この記事について | Tweet リンク11708


tb_badge_trans-jp2

TidBITS は、タイムリーなニュース、洞察溢れる解説、奥の深いレビューを Macintosh とインターネット共同体にお届けする無料の週刊ニュースレターです。ご友人には自由にご転送ください。できれば購読をお薦めください。
非営利、非商用の出版物、Web サイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載または記事へのリンクができます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありません。告示:書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

©Copyright 2010 TidBITS: 再使用は Creative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2010年 11月 6日 土曜日, S. HOSOKAWA