TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1092/05-Sep-2011

今週号には一つの決まったテーマはない。Marco Tabini の特集記事は、私たちが Lion の中で目にしている変更点の多くが実は将来 MacBook のバッテリ寿命を大幅に伸ばしデスクトップ Mac の電力消費も減らすことを狙ったものだという意見を提起する。Matt Neuburg の寄稿記事は Appalicious を概観する。これは新しいアプリケーションで、これを使って Mac App Store の内容を検索し、並べ替え、フィルタ付けすることができ、何が販売中か調べるのがぐっと楽になる。また今週号では Jeff Carlson が表示されているよりも多くのトナーがまだあるとプリンタに思わせるテクニックを披露し、Adam が新しい Shrine of Apple ウェブサイトを紹介する。ここは Apple 製品を陳列したオンライン博物館だ。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Mailplane 2.5.1、Nisus Writer Express 3.4、Boot Camp Update 3.2, 3.3 for Windows、Skype 5.3.9.1093、Default Folder X 4.4.4、Airfoil 4.5.7、SpamSieve 2.8.7、Art Text 2.4、iMac Graphic FW Update 3.0、Digital Camera Raw Compatibility Update 3.8、Firefox 6.0.1、Nisus Writer Pro 2.0.1、PDFpen と PDFpenPro 5.5、それに Simon 3.2 だ。

記事:

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新登場の Shrine of Apple サイトが Apple 製品を陳列

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple 製品に関する膨大なデータを集めた百科事典アプリ、Ian Page の Mactracker を見たことのある人は多いだろう。これは実際的で、古い Mac について調べたい際には非常に役に立つ。さて、スタートしたばかりの Shrine of Apple ウェブサイトは、Mactracker にヒントを得て作られたものではあるが、Apple 製品のデータベースという旧来の概念を、ゴージャスかつ一般参加型の、いわば現代の美術館といった趣きのあるサイトへと転化させている。

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一つ一つの製品について、この Shrine of Apple サイトにはプロの撮影による数多くの高解像度写真と、短い説明、当初の仕様、関係するリンクなどが示される。匿名アンケートによりどれだけの人数の人々がその製品を欲しいと思ったか、所有していたか、また今でも所有しているかが一覧表で示され、あなたが自分の思い出を書き込めるコメントシステムもある。大多数の製品について、そのまわりを愛情を込めて飛び回る数分間のビデオもある。(映画 "Star Trek: The Motion Picture" で Kirk と Scotty がシャトルから Enterprise を眺める、あの伝説の長いシーンを私は思い出さざるを得なかった。)

言うまでもなく、この Shrine of Apple サイトはまだ完成していない。写真を撮影し、ビデオ映像を作り、いろいろな仕様を集めるには、時間がかかる。すべてのハードウェアにアクセスを得て、それを完璧に清掃する(写真や映像を見る限り、使い込んだ兆候の見られるものは一つもなかった)のも、骨の折れる、また費用のかかる仕事に違いないだろう。でも、次に何が登場するのか はチェックできる。現時点では、Performa 6320CD が次に来るとのことだ。[訳者注: 現時点では、既に Performa 6320CD は出ていて、次に来るのは Quadra 700 だとのことです。]TwitterFacebookで Shrine of Apple をフォローすれば、新たに製品がサイトに追加された際にそれと分かる。

私が一つだけ難点だと思ったのは、このサイトにはもう少し校正の手を入れる必要があるということだ。製品の名前で大文字と小文字の使い方が間違っているところに私はいくつも気付いた。まあ、そういう文句を付けたがるのは毎日編集作業にどっぷり漬かった私のようなタイプに特有のあら探しなのかもしれない。そういうわけで、皆さんも一度 Shrine of Apple を訪れて、その昔に大好きだった Apple 製品を探すひとときを楽しんでみてはいかがだろうか。

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プリンタにトナーはまだ残っていると思わせる

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私と The Go-Go's を分け隔てている唯一のものは二枚の印刷したチケットであった。今は電子時代であるのに、何故紙が私の邪魔をしていたのか?

私のプリンタが、Brother HL-2170W なのだが、ちっとも印刷してくれないのである。確かに黄色の "トナー少なし" ランプが少し前から点灯していたが、私はそもそも何かを印刷することなど殆どないし、この前印刷した時には、トナーがもう最後であることの兆候を示す縞模様やかすれは無かったのである。

私の Mac 側には何も問題がある様には見えなかった。Print Queue (印刷中に Dock に現れるプリンタのアイコン) にはエラーは何も報告されていない - 印刷ジョブは全てが正常の様に進行した。そしてこのプリンタは私のチケットを無視してしまった。プリンタを再起動させても事情は同じであった。私の娘は階下にいて、彼女の父親が急に口汚く罵ったのが聞こえなかったのは幸いであった。

分かったことは、Brother プリンタ (そして他のものも) はトナーカートリッジがある点に達すると、トナーはまだ残っているのにも拘わらず印刷をやめてしまうのである。幸いにして、私はこの問題を回避する簡単なハックを Twitter 上で読んだのを覚えていた。

トナーカートリッジには、両側面に二つの小さな窓があり、プリンタはここを覗いてトナーの量を測れる様になっている。私は黒の電気絶縁用のテープ (多分色は何でもよく不透明でありさえすれば良いのだろうとは思うが) を引っ張り出し、そしてその窓を塞いだ。これでプリンタはカートリッジは満杯であると思い込み、私はチケットを手にすることが出来、コンサートを楽しむべく急いで家を後にしたのである。

私は、この正気を超えたトナーの値段やこれを押し付けてくる業界の破廉恥な慣習を気にしないで済むほど沢山は印刷しない (もっと知りたければ Farhad Manjoo の Slate の記事 "Take That, Stupid Printer!" 参照)。しかし、私をことさらムカつかせたのは、私のプリンタが - このことを除けば極めて優秀な愛らしいマシンである - 大事なものを印刷しなければならないその時にロバの様に言うことを聞かなくなってしまったことである。幸いにして、屋外での夕べのコンサートでうかれることがまさに私の気分を転換するチケットとなった。

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Appalicious があれば Mac App Store は使える

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ここに告白するが、きっと誰もその内容に驚いたりはしないだろう。私は個人的に、Mac App Store はほとんど役に立たないと思う。私にとって、ここはほとんど Apple が開発者たちから金を搾り取る手段と何も変わらず、金と引き換えに開発者たちに提供されるのは、ユーザーたる私のコンピュータの上でそのアプリに何ができるかをコントロールできるという、怪しげな「利益」だ。その上、この App Store アプリケーションときたら、まるで iTunes Store のインターフェイスから最悪の部分のみを選んで手本にしたかのように見える。つまり、ただピカピカチカチカするだけで、有用性に対するアンチテーゼ以外の何物でもない。理想的には、Mac App Store は少なくとも新規のユーザーたちに対して有り余るほどたくさんのアプリを提示し、彼らが自分の Mac の能力を拡張できるようなものを探したり使ったりできる手段を提供すべきだが、現実のこの App Store アプリケーションは、アプリを見つけるのを困難にしているので、まるで Mac App Store をアプリの墓場のごときものと化して、ほんの数個の呼び物アプリや、人気のアプリだけをプクプクと表面に浮かび上がらせ、他のすべてのアプリを暗がりの中に打ち捨てているかのように見える。

でも、インターフェイスが違うだけで、こんなに違いが出るものなのか! 新しく ProVUE (Panorama や Panorama Sheets のメーカー、2011 年 1 月 7 日の記事“ProVUE の Panorama に小さな弟が誕生: Panorama Sheets”参照)からリリースされた Appalicious アプリケーションは、Mac App Store を全く新しい観点から照らし出す。そのことを通じて、 Appalicious は私のように単にクリック一つか二つでブラウズするより以上のことを要求したい人たちにとっても Mac App Store を便利な場所とすることに成功している。

Appalicious のパワーの源は二つある。まず第一に、米国版の Mac App Store にあるすべてのアプリについての情報を記録した ProVUE のオンラインデータベースがある。このデータベースは、入手可能なアプリについて単に 現在の 事実のみならず、それらのアプリについての 歴史的 事実も含んでいる。だから、例えば個々のアプリの価格の変遷履歴も分かる。下の二つのスクリーンショットで、私の言いたいことが少しお分かりになるだろう。(これらのスクリーンショットは Appalicious のウェブサイトで撮ったもので、Appalicious 自体のものではない。)一つ目のスクリーンショットを見れば、現在米国版の Mac App Store には 6,742 個のアプリケーションが 2,940 の会社から出されていて、そのうち 933 個が無料で、1,352 個は以前よりも値引きされた価格で現在販売中であることが分かる。二つ目のスクリーンショットを見れば、それらの値引き価格についてもう少し詳しいことが分かる。

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第二に、Appalicious そのものだ。もちろんこれは、あなたの Mac 上で動くアプリケーションだ。これを走らせれば、Mac App Store にあるアプリに関するデータを上記のオンラインデータベースからダウンロードして、Panorama の定評あるメモり内稼動の超高速データベースエンジンのパワーをフルに活用しつつ、データをあなたに提示する。つまり、あなたは入手可能なアプリのリストを瞬時に検索し、並べ替え、フィルタ付けすることができ、あなたが興味あるアプリのみを的確に表示させることができる。例えば、下に示したスクリーンショットは Appalicious のメインウィンドウだが、私は現在 75 パーセント以上の値引きで販売中のアプリのみを表示するようにフィルタ付けしてから、それらをユーザーが5つ星以上を付けたものが一番上に来るように並べ替えておいた。言うまでもないことだが、この種の情報を App Store アプリケーションから拾い出すのは全くの不可能というものだろう。

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Appalicious の補助的なウィンドウ (詳細ウィンドウと呼ばれる) で、アプリについての追加情報が示される。例えば、下に示したスクリーンショットは、さきほどの Appalicious メインウィンドウで一番上に表示されていた項目を私がダブルクリックして、Accessorizer と呼ばれるそのアプリの説明を示した詳細ウィンドウを出したものだ。このウィンドウに、Mac App Store に登録されているそのアプリのスクリーンショットや説明などが表示される。スクリーンショットをクリックすればフルサイズ版を見ることができる。ウィンドウ左側にある履歴情報にも注目して頂きたい。例えば、ここを見ればこのアプリが以前 $19.99 で売られていたことがあり、その後 $9.99 に値下げされ、一度は $1.99 という低価格になってから、現在は $3.99 という価格設定になっていることが分かる。(これこそ、ProVUE のオンラインデータベースに Mac App Store のデータ履歴が保存されていることの強みだ。開発者が、どの程度の価格にすればアプリが最もよく売れつつ妥当な収入も確保できるか、その最適なバランスを求めて実験を試みている様子がまざまざと感じ取れるかのようだ。)このアプリを購入してダウンロードしたいと決めたら、このウィンドウの左上あたりにあるボタン (View in Mac App Store) を使って App Store アプリケーションに切り替えれば、そちらで購入とダウンロードができる。

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あなたが一度でも Apple の App Store インターフェイスを体験したことがあるなら、Appalicious が私に全く新しい世界を開いてくれた理由がきっとお分かりだろう。超高速の検索や、価格の履歴情報などを別にしても、Mac App Store から入手できるアプリの ブラウズ が可能だという、ただそれだけの事実が、Appalicious を比べようもないほどはるかに便利なアクセス手段としている。上で示したスクリーンショットでもお分かりの通り、メインウィンドウには複数のアプリのさまざまの情報が一覧表の形で表示され、そこには開発者によるそのアプリの詳細説明の最初の部分も含まれ、全体がコンパクトなスクロール可能インターフェイスとなっている。その上、興味を惹かれたアプリを見つければ、リストの中からその項目をダブルクリックするだけで、そのアプリについての詳細ウィンドウが開く。もちろん複数の詳細ウィンドウを同時に開いておくこともできるし、メインウィンドウもそのまま開いている。こうして、App Store の単一ウィンドウの中で違った表示の間を行ったり来たりする面倒な、フラストレーションの溜まる作業の代わりに、アプリが面白そうかそうでないかを見極めるには、Appalicious のメインウィンドウの中で複数のアプリを素早く簡単に 探索 することができ、二つをじっくり比べたくなれば、詳細ウィンドウを二つ並べて比較することもできる。それだけではない。Appalicious のメインウィンドウはコンパクトな、テキスト中心の表示なので、またリストの中から一部分だけを取り出してリストし直すこともできるので、アプリを 発見する ことも、Apple の App Store インターフェイスではとうてい考えられないほど効率的にできる。(実際、私たちエンドユーザーの役に立つだけでなく、Appalicious はアプリの開発者たちにも、自分の製品を世に知らしめる手段として間違いなく役に立つだろう。)

私が Appalicious で非常に気に入った点がもう一つある。これがユーザーの手にいろいろな力を与えているところだ。例えば、Appalicious の詳細ウィンドウの下の方に、私が自分でこのアプリについてのメモを書き込めるフィールドがあることに注目して頂きたい。それから、Appalicious のメインウィンドウに戻れば、どのカラムを表示させるかを私が選べるばかりでなく、カスタム検索を、単純なものも複雑なものも自分で作成することができるし、リストの並べ替えも、単純なものも、また複数の並べ替えを組み合わせたものもできる。それらいろいろなことを組み合わせた設定をカスタマイズして保存でき、一連のカラム、検索、並べ替えの組み合わせを「お気に入り」に保存して、いつでもメニューから選べば即座にその設定にすることもできる。実際、Appalicious にはあらかじめ設定された数多くの検索や並べ替えが内蔵されていて、例えば "On Sale 5 Stars" とか "Huge Downloads" とか "Free (Recent)" とかいった条件を満たすアプリが瞬時に見つけられる。それに加えて、Appalicious は私が最近詳細ウィンドウを表示させたアプリを追跡保存するし、私が自分で好きなアプリを wish list (欲しい物リスト) に入れておくこともできる。

以上、簡単に説明してきたことからだけでも、Appalicious の感じがお分かり頂けたと思う。実際それ以上説明すべきことはあまりないし、説明しなかったことについても、使ってみればすぐにご自分でお分かりになるだろう。素晴らしいオンラインヘルプも Appalicious には付いているし、良く出来た入門ガイドツアーも、 たくさんのスクリーンショットもある。何より、Appalicious は使いやすく、使って楽しい。これを通じて、Mac App Store が楽しく使える。実際、Mac App Store からいろいろダウンロードしたいという気持ちにさせてくれる! 白状すると、値引き履歴を見ながら一番お得な買い方を探すところに、私は一番スリルを感じた。

Appalicious の価格設定は、ちょっと普通と違う。使い始めてから一週間は、無料だ。その後は、アプリケーション自体が動かなくなることはないが、Appalicious アプリケーションとオンラインデータベースとの連携が止められてしまう。つまり、Mac App Store に何があるかの最新情報が入って来なくなる。実際には、最初に Appalicious サービスへの一週間の購読契約が無料で与えられ、一週間経てばそれが期限切れとなる。購読を延長するには、選択肢が二つある。一つの方法は料金を支払うことで、通常料金は年額 $12.95 だ。ただしクーポンコードで値引きされることもある。現時点では、INTRO というクーポンコードを使えば $7.95 で一年間の契約ができる。もう一つの方法は、Appalicious のインターフェイスを使って友人に Appalicious を推薦し、その友人がこのアプリを使えば(たとえその人が料金を払って購読しなくても)あなたの購読が一ヵ月間無料で延長され、かつその友人の購読も同じだけ延長されるというものだ。(この紹介モデルは、 Dropbox にヒントを得ている。)購入した購読と紹介による購読とを組み合わせることもでき、複数の紹介による購読延長を(最大2年分まで)累算することもできる。Mac App Store にあるアプリケーションやその価格について Appalicious が示してくれる情報をうまく使いこなせばどれだけ節約できるかを考えれば、これは至極妥当な価格だと言えるだろう。

Appalicious は Mac OS X 10.4.11 Tiger かそれ以降で動作する。(ただし現時点ではどうやら Tiger の下でインストールに問題があるらしいが、おそらくこの問題は ProVUE が調査中だと思う。)けれどももちろん、Mac App Store からアプリを実際にダウンロードするためには 10.6.6 かそれ以降を走らせていなければならない。現在のところ、Appalicious は米国版の Mac App Store からのデータのみを表示する。おそらく将来は、他の国での Mac App Store に対応したバージョンも出るのではないかと期待したい。ダウンロードサイズは 23.8 MB だ。

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Lion が節電に向けた第一歩を提供

  文: Marco Tabini <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

いろいろな意味で、業界各誌は Mac OS X 10.7 Lion のリリースを迎え、揃って頭を掻き掻き困惑する気持ちになったようだ。

一方では、Apple が 10.5 Leopard と 10.6 Snow Leopard で取り組んできた PowerPC アーキテクチャから Intel ベースの Mac への内部的な移行をメインとした長い期間を経て、Apple がもう一度、その焦点を私たちユーザーがオペレーティングシステムとやり取りする方法に具体的な影響を持つ諸機能へと当て直すようになったのは、良いことと言える。

他方、Lion がユーザーに求めるものが多いことは疑いを入れない。場合によっては、説明らしい説明がほとんどなされないこともある。多くの人たちが、例えばスクロールの方向が逆になったこと、ユーザーインターフェイスが変更されたこと、Spaces から Mission Control になって変わったこと、その他の点について、否定的な声を挙げてきた。(2011 年 8 月 17 日の記事“Lion で微妙に苛立つこと”参照。)また、Matt Neuburg が記事“Lion は Quitter”(2011 年 8 月 5 日) で述べたように、私自身もいったいどこへ私のアプリは消えてしまったのかと首をひねったし、最新版の Pages を私が使い始めた最初の一時間の作業は File メニューの "Save As..." 項目はいったいどうなったのかと必死になって探し回ることで中断されてしまった。

つまり言い替えれば、Lion は、私たちが二十五年間以上にもわたり使い続けて形成してきたグラフィカルユーザーインターフェイスの習慣を変更するように求めているのだ。そして、例のごとく、Apple はいったい なぜ 私たちがそんなことをしなければならないのか、何も説明してくれていない。

これは、特にパワーユーザーたち(私の見るところ、業界各誌にいる人たちの中ではおそらくそれが多数派だろう)にとって辛いことだ。そういう人たちは、いたる所で Mac OS X の挙動を予期することによって生産性を最大にするやり方を身に付けてきたからだ。何十年にもわたる一貫性が体に染み込んでいるのに、Lion はいたる所でそれを混乱させる。スクロールも、保存も、アプリの間の切り替えも。

コンピューティングの歴史には、不可解なことや誤った判断が付き物だ。その中には、Apple 自身から来たものもある。けれどもここ数年間、同社は目覚ましくも成功に成功を重ね、革新に向けた系統的アプローチを示してきた。その結果として、単純に「Apple はやっちまった」と言いつつ Lion の奇妙さを Apple の能力不足のせいにするのは、また、8 百億ドルもの現金を抱えて脳に炎症でもできたのではないかと言ったりするのは、あまりにも短絡的な考えのように思える。(私たちがいかに現実的になろうとしても、私たちの脳裏にはあの 1 Infinite Loop の奥深くに Apple が Scrooge McDuck 風の金庫を持っていて金貨の山の中で重役たちが泳ぎ回るという映像が、いくら振り払っても浮かんでくる。)[訳者注: 1 Infinite Loop(「無限ループ 1 番地」)は Apple 本社の住所、Scrooge McDuck はディズニーコミックのキャラクター]

私には、Apple が Lion で下した決断を説明するためにはさらなる分析が必要となるような気がしてならない。その際には、Apple が今日どこにいるのか、Apple が自身の将来をどこに描こうとしているのか、ということに特に注意を払うべきではなかろうか。私の考えるところ、Lion の奇妙な点に対する答は、Mac と、同社のモバイル戦略との間の断絶にある。

Apple の iOS 機器には好ましい要素がたくさんあるが、その目玉機能の一つは持ち運び易さと長持ちとの組み合わせだ。iPad がラップトップ機を完全に置き換えることはないかもしれないが、iPad の良さは機能性とバッテリ寿命との絶妙のバランスだ。一回の充電でアメリカからヨーロッパまで大陸間フライトの間ずっと使える汎用のコンピュータは、未だに iPad 以外にはない。

この素晴らしい成果の背後にあるテクノロジーで興味深い点は、特にこの機器のハードウェアと関係している訳ではない。iPad の内部には、これが登場するよりも前から既に他のメーカーにも知られていなかったようなものはほとんどない。それなのに、機能面と電力消費とのバランスにおいてこれに匹敵するだけのラップトップ機を、(Apple を含めて)どのメーカーも作り出すことはできなかった。

iPad の真の功績は、そのソフトウェアにある。iOS は、ただ単に素晴らしく応答性の良いオペレーティングシステムであって私たちがモバイルアプリとやり取りする方法に革命をもたらしてくれただけでなく、独特の制約が課された環境であって、その制約のお陰で Apple が他に類を見ないバッテリ寿命を持つ機器を作り出すことが可能となったのだ。

例えば、iPhone が初めて登場した時、そこに「マルチタスク」機能が欠落していることで Apple をあざ笑う声が広く満ち満ちたことを覚えておられる方も多いだろう。マルチタスクは事実上他のすべてのオペレーティングシステムで(もちろん Mac OS X でも)長年提供され続けてきたのだから。

当然ながら、iOS の最初のバージョンですら、同時に複数のアプリを走らせることは完璧に可能であった。そして実際、Apple 自身のアプリのいくつかはそれを実行していた。Apple はただ、ユーザーが複数のアプリを同時にアクティブにし続けることを許さない道を選んだだけであって、その理由は同時に一つずつのアプリしか走らせないことで iPhone の使用する RAM の量が少なくて済み、その結果製造コストを抑えるとともにバッテリのパフォーマンスを良くすることができたからだった。

それから数年後に話を進めよう。その頃にはハードウェアも進化して、Apple も複数のアプリが並行して走ることを許す決断をできるようになった。けれどもその時でさえ、Apple はそれを高度にコントロールされた方法でのみ許した。それは、個々のアプリがバックグラウンドにいる間は公式に認められたほんの数種類のアクションのうちどれか一つを実行することしか許されない、というものだった。それ以外の活動はすべて、ユーザーがそのアプリから他へ切り替えた途端に、iOS の監視プロセスによってストップされてしまう。

だからこそ、もうお分かりだろう。iPad、iPhone、そして iPod touch をこれほどまでに驚くべき旅行の友とした真の突破力は、新しいチップでもなければ、新種のバッテリでもなかった。それは、ソフトウェアそのものにあった。

さて、ここで Apple の 他の モバイルプラットフォーム、つまりラップトップ機を考えてみよう。Cupertino 発の最新の統計数字によれば(2011 年 7 月 19 日の記事“Apple、史上最高となる Q3 2011 業績を発表”参照)MacBook は現在同社のデスクトップ機の三倍近くも売れており、iOS 以外の製品では Apple の最重要製品となっている。

それは別に驚くべきことではない。私たちのライフスタイルがますますモバイル化するにつれて、MacBook も大きく進化を遂げた。より高速のプロセッサ、より良いスクリーン、そして製造過程の目覚ましい新技術によって、今や MacBook は市場にある最高のポータブルコンピュータとなっている。

けれども、あまり劇的には改善しなかったものが一つある。バッテリ寿命だ。バッテリをラップトップ機の筐体の中に内蔵したユニボディモデルが登場した時でさえも、広告されていたバッテリ寿命は「最大 7 時間」に過ぎなかった。(11 インチの MacBook Air ではさらに少なく「最大 5 時間」だった。)その上、広告された iPad のバッテリ寿命が実際のテストで出た結果よりも 短かった ことで Apple は報道陣を驚かせたけれども、MacBook は実行したテストの種類によって大きく違った結果を示していた。

バッテリのテクノロジーに思いがけない技術革新が起こらないのを見て、おそらく Apple は、iPad の人気をこれほどに高めるのに役立ったのと同レベルのバッテリ寿命を MacBook に実現するためにはどうしてもソフトウェアに頼らざるを得ないことに気付いたのであろう。そしてそれこそが、Lion の新機能の多くが関与してくるところとなったのだ。また、バッテリ寿命が改善すればどんな MacBook ユーザーも歓迎するに違いないけれど、デスクトップ Mac で電力消費が減れば、少なくとも社会的な面で言えば歓迎すべきこととなる。たとえ、個々のユーザーの電気料金の額にはそれほど大きな違いを生まなかったとしても。

Lion で導入された内部的な変更点の多くは、アプリに対するコントロールをユーザーの手からオペレーティングシステムへと移すという意味を持っている。自動終了、オートセーブ (自動保存)、(自動) 再開などの機能のお陰で、アプリがいつ、どのように走り出すのかということに関して Lion がますます権威者の地位を握りつつある。

確かに、まだ完全にそれが実現されるまでには至っていない。けれども、いつかこれらすべてのテクノロジーが一緒に働き、今よりも大きく改善されたバッテリ寿命をユーザーのために実現できる、そんな将来を想像してみることはできる。例えば、もしも Mac OS X が、あのアプリケーションがただアイドル状態で何もしていないことを探知できれば、そのアプリケーションにそのすべてのデータを自動的に保存させ、静かにそのアプリケーションを終了させ、それからリクエストがあればユーザーが気付かないうちにすべてを元に戻す、ということも可能だろう。それは今日 iOS で既に動作している。Mac OS X で動作することも、近いうちに可能となるだろう。

同じように、現在バックグラウンドのスレッドを使ってさまざまのことをしているアプリ、例えばメールをチェックしたりインターネットチャットを進めたりしているアプリは、push 通知を利用することによってその作業負荷の多くをオペレーティングシステムに委託することができる。それによって、そのアプリの CPU 使用量も所要電力も減るだろう。

さらに良いこともある。コンピューティングの世界すべてが、その昔私たちが毎日仕事を終える時間になれば Mac の電源を落としていた、その時代に立ち戻れる。Lion の再開機能と高速の SSD のお陰で、コールドブートにかかる時間と、マシンがスリープから目覚めるのにかかる時間との差は、問題にならない程度にまで少なくなるだろう。それに、電力消費の差はあまり大きく見えないかもしれないが、最近の調査結果によれば電化製品を待機モードにしていることにより毎年数十万トンもの炭酸ガス放出に繋がっているという。

よく言われることではあるが、個々の節電機能だけを取り出せば一台の Mac の全体的な電力消費に与える結果はごく小さなものに過ぎないかもしれないが、さまざまな節電機能を寄せ集めればバッテリ寿命を伸ばす結果に繋がることもあり得る。バッテリの交換が必要になるまでに今より長持ちする結果にもなり得る。それは、ハイブリッド自動車が信号で止まっている間エンジンを止めたり、回生ブレーキを使ってバッテリを充電したりすることにちょっと似ている。いずれもそれ自体では大きなものではないが、累積的な影響は意味あるものとなるのだ。

もちろん、現時点ではまだすべてのピースが揃っている訳ではない。ソフトウェア開発者たちの大多数は、まだどうすれば Lion の新機能のすべてを統合させられるのかを見つけ出していない。また、ハードウェアの変更、例えばソリッドステートドライブ (SSD) への切り替えや、Apple の A5 などさらにもっと高効率のプロセッサへの切り替えも、全 MacBook シリーズに実現されるのはまだこれからだ。その上、Lion に対する初期の反応から判断すると、Apple 自身もまだこれから、自らが iOS で学んだ教訓をどうすればデスクトップ環境にも適用させられるのかを見出す必要があるようだ。

例えば、Lion にアップグレードしてバッテリ寿命が向上したという人たちもいるけれども、ある非常に長い Apple 討論スレッドでは Lion によってバッテリ寿命がはっきりと悪くなったと苦情を述べ立てている人たちが大勢いる。基本的な修正策はいくつかある。例えば SMC (システム管理コントローラ) のリセットや、Cody Krieger の gfxCardStatus を使うことによって MacBook Pro に可能な限りより効率的な統合グラフィックス使用をさせるなどの方法もある。けれどもハードウェアサイト AnandTech によれば、SSD 搭載の early-2011 15-inch MacBook Pro では Lion の方が Snow Leopard よりもバッテリ寿命の面で少しだけ良い結果を出したけれども、early-2008 15-inch MacBook Pro では 20 パーセントほども悪い結果が出たという。将来は節電に繋がる可能性のある Lion 機能の中にも、現在はまだ適切に動作していないものがある。例えば、Lion は使われていないアプリケーションと判断したものを自動的に終了させて、そのアイコンを Dock からもアプリケーション切替からも削除するが、そのアプリのプロセスはまだ生き続けている。そのことは Activity Monitor を使えば確認できる。Apple は、このことによってユーザーインターフェイスの面からも節電の見地からもあべこべの状態を作り出している。自動終了されたプロセスは終了するべきであり、一方 Dock やアプリケーション切替にはそのまま残るべきだ。

とはいえ、Apple が Lion の壊れている部分を修正して、ソフトウェアによる節電というこの概念を今後も進化させ続けたとしても、私たちユーザーの側にもまた、やはり適応の努力が必要となる。私の推測では、そのことこそがまさに Apple が Lion で設定した目標なのではなかろうか。つまり、自ら保存する書類、走っているけれども実は走っていないアプリ、私たちの使用パターンを予測しようと試みるオペレーティングシステム、そういった概念に Mac ユーザーたちが慣れ親しんで行けるようにしたい、そう Apple は考えているのだ。Apple の節電戦略が実際に効果を生むまでにはもっと後の Lion リリースを、あるいはその次に来る大猫を、待つ必要があるかもしれない。それでもそれはいずれやって来る。私たち長年のユーザーにとっては節電に向けたこの新しいアプローチを理解するまでにいろいろ困難があるかもしれないが、同じように多くの人たちにとって Mac に慣れ親しみ、グラフィカルインターフェイスのパラダイムに慣れ親しむまでには時間がかかったのだ。人生は変化だ。そして、手段とは、必ずしも目的を達成するための最も快適な方法とは限らないのだ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 9 月 5 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mailplane 2.5.1 -- 私たちは数週間前、うっかり Uncomplex の Mailplane 2.5 のリリースを見逃していた。この Gmail 専用電子メールクライアントは、バージョン 2.5 で Mac OS X 10.7 Lion のフルスクリーンモードに対応するとともに、Gmail Labs の新機能であるプレビューパネルにも対応した。その他にも、Mailplane 2.5 リリースは Boomerang や Rapportive に関係したバグを修正し、いくつか Lion 固有のバグに対処し、Evernote アプリケーションがインストールされている場合には自動的に Evernote ツールバーボタンを追加するようになった。今回新たにリリースされたばかりの Mailplane 2.5.1 では、Lion ユーザーのためにメニュー項目 Window > Enter Full Screen とそのキーボードショートカットを追加し、Mail > Forward にあった衝突するキーボードショートカットを削除するとともに、メッセージの送信や添付ファイルのアップロード、Lion における二本指スワイプなどに関係する問題点を修正した。(新規購入 $24.95、無料アップデート、22.5 MB)

Mailplane 2.5.1 へのコメントリンク:

Nisus Writer Express 3.4 -- Nisus Software が Nisus Writer Express 3.4をリリースした。同社の (Nisus Writer Pro と比べて)「ライト版」Mac OS X 用ワードプロセッサへのメジャーなアップグレードだ。今回の新バージョンには文字通り何百もの改善やバグ修正が施されており、また Mac OS X 10.7 Lion の新しいフルスクリーンモードにも対応した。主な点を挙げれば、画像の扱いの向上、数多くの新しい環境設定項目、テキスト編集および分析のための新しい機能、ユーザーインターフェイスの多くのコンポーネントへの改善などがある。その他の改善点としては、ファイルフォーマットの処理、書式、スペルおよび自動修正機能、画像操作、リスト、表、検索と置換、脚注と末尾注、多数のパフォーマンス改善やバグ修正がある。(新規購入 $45、無料アップデート、50 MB、リリースノート)

Nisus Writer Express 3.4 へのコメントリンク:

Boot Camp Update 3.2, 3.3 for Windows -- Apple が Boot Camp 仮想化ソフトウェアへのアップデートをリリースした。Boot Camp Software Update 3.2 for Windows 64-bit は 64-bit 版の Windows 用で、ATI Radeon HD 5870 グラフィックカード、Apple 自身の USB Ethernet Adapter、および MacBook Air SuperDrive へのサポートが追加された。これは Boot Camp 3.1 を必要とする。次に、Boot Camp 更新プログラム 3.3 - For Windows は Boot Camp 3.2 を必要とし、詳細は不明だが重大なバグ修正およびハードウェアサポートが含まれるという。Apple はすべてのユーザーが最新バージョンの Boot Camp にアップグレードして Windows の最大限の安定性を確保することを推奨している。(Boot Camp Update 3.2: 無料、121.25 MB; Boot Camp Update 3.3: 無料、199.75 MB)

Boot Camp Update 3.2, 3.3 for Windows へのコメントリンク:

Skype 5.3.0.1093 -- Skype が、同社の人気の Mac OS X 用ビデオおよびオーディオ電話クライアントにバージョン 5.3.0.1093 をリリースした。前回のバージョン番号 5.3.0.1074 から 非常に マイナーな増加となっていることが示す通り、今回はビデオ通話の最中に時折起こったクラッシュと、ノルウェー語ローカライズ版でアプリがフリーズすることのあった問題とに対処する修正を施しただけの "Hotfix" 版だ。もしも Skype 内蔵の自動アップデート機能がこのアップデートを認識しなければ、 同社のブログ経由でダウンロードすることもできる。(無料、22.3 MB)

Skype 5.3.9.1093 へのコメントリンク:

Default Folder X 4.4.4 -- St. Clair Software が Default Folder X 4.4.4 をリリースした。開く・保存のダイアログを拡張する同社のユーティリティへの、マイナーなアップデートだ。今回のリリースでは Safari 5.1 で Gmail やその他のプラグインによるファイルダイアログへのサポートを追加し、Mac OS X 10.7 Lion で Safari、Firefox、Chrome、Word、Handbrake、TextSoap などのアプリに起こっていたいくつかのクラッシュを修正した。また、Default Folder のメニューバーメニューがマウスの左ボタンだけでなく右ボタンでも働くようになった。(新規購入 $34.95、無料アップデート、10.7 MB、リリースノート)

Default Folder X 4.4.4 へのコメントリンク:

Airfoil 4.5.7 -- Rogue Amoeba が Airfoil 4.5.7, をリリースした。同社の人気ある Mac 用ネットワークオーディオストリーミングアプリのマイナーなアップデートだ。最も注目すべき点は、今回の新バージョンで Instant On コンポーネントが Mac OS X 10.7 Lion に対応したことだ。これで、システムオーディオからも、また既にアクティブであるアプリケーションからのオーディオもキャプチャできる。バグやメモリリークの修正個所も数件あり、その原因で System Audio 機器を使う AppleScript スクリプトが動作しなかった問題も解消された。(新規購入 $25、無料アップデート、11.4 MB、リリースノート)

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SpamSieve 2.8.7 -- C-Command Software の開発者 Michael Tsai が SpamSieve 2.8.7をリリースした。受賞に輝く彼のスパムフィルタリングソフトウェアへのアップデートだ。今回の新バージョンでは Mac OS X のプレリリース版との互換性を改善し、また 64-bit アプリとして動作するようになって、より良いリソース最適化とパフォーマンスを得られるようになった。さらに、SpamSieve はいくつかのバグ修正とクラッシュ予防テクニックを施して最大限の安定性を目指すとともに、SpamSieve マニュアルをいくつかの分野で書き増すことで,特に Mac OS X 10.7 Lion の下でセットアップ手順の単純化を図った。(新規購入 $30、無料アップデート、8.5 MB、リリースノート)

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Art Text 2.4 -- BeLight Software が Art Text 2.4 を出した。文字グラフィックス、見出し、ロゴ、アイコン、その他を作成するためのアプリケーションだ。今回の新リリースでは Mac OS X 10.7 Lion 互換性を提供し、60 個以上の新しいテンプレートやシェーディング素材を追加するとともに、二つの新しい遷移タイプを登場させている。BeLight はまた Art Text がシェーディングを処理する方法を改善するとともに、このアプリのアシスタント、シェイプエディタ、レイヤー管理機能などに関係するバグを修正している。(新規購入 $39.95、1.x からのアップグレードは $19.95、無料アップデート、61.9 MB、リリースノート)

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iMac Graphic FW Update 3.0 -- Apple が iMac グラフィックス・ファームウェア・アップデート 3.0 を静かにリリースし、ただ「一定の条件下で iMac が停止 (「ハング」) する原因となるグラフィックスの問題が修正」されるとだけ発表した。新しい iMac のオーナーが Mac OS X 10.7.0 Lion の下で経験していたビデオ関係のクラッシュ(2011 年 8 月 4 日の記事“Lion でビデオを見ると新型 iMac がフリーズ”参照)を解決するためにこれが何らかの役割を果たすとも考えられるが、このクラッシュの大部分は 10.7.1 で既に解消されているようにも見える。Apple はこの最新のファームウェアアップデートが Lion を必要とするとしているが、どの機種の iMac に問題が起こっていたのかについては一切述べていない。率直に言って、このアップデートを Apple のウェブサイトからダウンロードすることは可能だけれども、入手はソフトウェア・アップデートに任せることをお勧めしたい。それならば、あなたの iMac がその問題に関係している場合にのみダウンロードされるからだ。すべてのファームウェアアップデートに言えることだが、アップデートの最中は決して Mac の電源を落とさないように注意しよう。(無料、482 KB)

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Digital Camera Raw Compatibility Update 3.8 -- Apple のデジタルカメラ RAW 互換性アップデート v3.8 は、八つの新しい機種のカメラへのサポートを Aperture 3 と iPhoto '11 に追加する。対象となるカメラは Konica Minolta DiMAGE A200、Olympus PEN E-P3、Panasonic LUMIX DMC-G3、Panasonic LUMIX DMC-GF3、Samsung NX11、Samsung NX100、Sony Alpha NEX-C3、それに Sony Alpha SLT-A35 だ。Apple はサポート対象のカメラのフルリストも出している。(無料、6.91 MB)

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Firefox 6.0.1 -- 不正な SSL 証明書が、認証機関 DigiNotar から Google のいくつかの公共ウェブサイトに発行されていた。現在はもう DigiNotar が不正な証明書を破棄しているので、大多数のユーザーは守られているはずだが、影響を受けたネットワーク上のユーザーが騙されて Google サービスになりすました不正なウェブサイトを使ってしまうのもあり得ないことではない。この問題がどこまで広がっていたのかが明らかでないので、Mozilla は Firefox 6.0.1 (および現在サポート対象となっている他のすべての Mozilla ソフトウェアへのアップデート) をリリースして、DigiNotar のルート証明書を無効化した。この無効化は手動で施すこともできる。他には何も変更点がないが、この不正な証明書に関係した問題に巻き込まれることのないように、このアップデートを入手しておくべき価値はあるだろう。(無料、28.1 MB、 リリースノート)

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Nisus Writer Pro 2.0.1 -- Nisus Writer Pro 2.0 における数え切れない変更点について Joe Kissell が詳しく書いている(2011 年 6 月 8 日の記事“Nisus Writer Pro 2.0 レビュー”参照)のを見れば、それら多くのメジャーな新機能に関係した問題点への修正を多数含んだNisus Writer Pro 2.0.1 が出ても何も驚くことはないはずだ。今回、そのアップデートが出た。 リリースノートは実際かなり長いものとなっている。Joe が議論した問題点に対する重要な修正点としては、Word 書類の読み込みの改善、EPUB における書類内ハイパーリンクが働くようにすること、ルーラをドラッグ&ドロップすると誤って文字 "a" が挿入されてしまう問題の解消、似たシェーディングを持つけれども異なったパッド量を持つ隣り合ったパラグラフの表示の適正化などがある。もちろん予期される通り Mac OS X 10.7 Lion 互換性のための変更点もあり、Lion のフルスクリーンモードにも対応した。その他の重要な改善点としては、Bookends や MathType との互換性の改善、"Link to a file on disk" オプションによる画像挿入が働くようになったこと、Compare Duplicate Text マクロ、など多数ある。それから、Nisus が Nisus Writer Pro 1.4.2 をリリースしたことも言っておくべきだろう。これは、旧来のバージョンのユーザーのために Lion 互換性を追加し、Word 読み込みを改善し、その他全般的な修正を加えたものだ。(新規購入 $79、1.x からのアップグレードは $49、無料アップデート、165 MB)

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PDFpen と PDFpenPro 5.5 -- 既存の PDF にページ番号を追加したい人たちのために、Smile が同社の PDF 処理用ソフトウェア PDFpenPDFpenPro に新バージョンをリリースした。バージョン 5.5 ではページのヘッダまたはフッタにページ番号を入れられるようになり、そのページ番号はどのページからでも始めることができる。見た目には、ページ番号は左揃え、右揃え、または中央揃えができ、向かい合うページでは内側や外側に向かい合わせることさえできる。また、数字はローマ数字、文字、さらには Bates 番号でフォーマットすることさえできる。今回のアップデートではまた、Mac OS X 10.7 Lion のフルスクリーンモードにも一応対応し、詳細は不明だがバグ修正も施されている。(新規購入 $59.95/$99.95、無料アップデート、41.5 MB)

PDFpen と PDFpenPro 5.5 へのコメントリンク:

Simon 3.2 -- Dejal が Simon 3.2 をリリースした。同社の遠隔システム監視および報告用アプリへの今回のアップデートは、Mac OS X 10.7 Lion への対応を改善し、Lion の新しいフルスクリーンモードとの互換性を追加した。Simon 3.2 ではまた、遠隔ウェブサイトをテストするための新たな変数を追加するとともに、ログ作成機能を改善し、数多くのバグも修正している。(新規購入 $49-$499、無料アップデート、16.6 MB、リリースノート)

Simon 3.2 へのコメントリンク:


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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2011 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2011年 9月 10日 土曜日, S. HOSOKAWA