まだ Eudora を使っている人たちのために、Adam がついに詳細な解説記事を書き上げてくれた。電子メールを Eudora から、そう、何か他のものへ移行させるにはどうすればよいかという問題だ。(何に移行させるべきかというのも大きな問題だ。)Adam はまた、書類をネットワークボリューム上に、あるいは HFS+ でフォーマットされていない USB フラッシュドライブ上に(大多数の USB フラッシュドライブは HFS+ ではフォーマットされていない)保存した場合に、Lion の「バージョン」機能が黙ったまま機能しなくなることがあるという警告を述べる。また今週号では MacBook に OWC 製のソリッドステートドライブを搭載していてハイバネーションモードで問題を経験した人のために OWC からその問題を解消するためのファームウェアアップデートが出ているというお知らせもある。今週注目すべきソフトウェアリリースは、1Password 3.9 と 3.8.5、Security Update 2011-005、Firefox 6.0.2、それに Parallels Desktop 7 だ。
記事:
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文: Adam C. Engst <[email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
去年、私の Mac Pro 用に一つと Tonya の MacBook 用に一つ、 OWC Mercury Extreme Pro ソリッドステートドライブ (SSD) を購入して以来、私は完全に SSD のファンになった。私たちの Mac はどちらも以前よりはっきり速くなり、いくつかの動作、例えば再起動などが、今やびっくりするほど素早くなった。SSD は決して安価ではないが、私たちには 240 GB の機種より大きなものは必要ないし、生産性が上がったことを考えれば値段だけの価値は十分あると思う。
けれども、SSD というのはまだ比較的新しい製品であるので、時折問題が起きることもあり、メーカー各社はファームウェアアップデートを出して対処することになる。OWC は SSD メーカー SandForce 製のドライブを使用しているが、つい最近までは、Mac に搭載した SandForce ドライブ上のファームウェアをアップデートするには、Boot Camp の下で Windows を走らせてするしかなかった。けれども今回、OWC が Windows を必要としないファームウェアアップデータを出してきた。ただし、制限事項が無い訳ではない。
でも、そもそも、いったいなぜアップデートしなければならないのか? どうやら、SandForce SSD を使っている Mac にはハイバネーションモードから正しく目覚めることができないという問題があるらしい。ハイバネーションは、普通のスリープとは違う。ハイバネーションモードは「セーフスリープ」とも呼ばれ、Mac がメモリ内容のすべてをディスクに書き込んで、万一バッテリが完全に空になってしまった場合に備える。詳しくは、2007 年 7 月 30 日の記事“安全なスリープとは何だろうか”をお読み頂きたい。ハイバネーションモードから復帰する際には、Mac が即座には目覚めず、スクリーンの幽霊のような姿が現われて、メモリがディスクから読み込み戻されている間、白いひし形が並んで示されることでそれと分かる。いずれにしてもあなたがハイバネーションモードに出会うことはあまりないだろう。これが関係するのは MacBook と MacBook Pro のみ (Mac Performance Guide の記事によれば、MacBook Air はまた違ったスタンバイモードを持っているらしい)であって、しかも手動で強制的にそうしない限り、ハイバネーションモードになるのはバッテリ残量が非常に少ない場合のみだからだ。
私たちは Tonya の MacBook に OWC Mercury Extreme Pro SSD をインストールして以来まだ一度もハイバネーションモードでの問題を経験していないが、もしあなたがハイバネーションモードで何か問題に遭遇したことがあるなら、その解消のために SSD のファームウェアをアップデートしてみるとよいだろう。OWC は、アップデートを考える必要があるのは 2011 年 3 月 18 日よりも前に OWC SSD を購入した人だけである、とはっきり明言している。(それ以後に販売されたドライブには既に修正が含まれている。)また、どうやら同社の技術サポートの人たちは、もしも問題を経験していないのならばわざわざアップデートする必要はないのかという私の問い合わせに対して、その通りだと同意してくれたようだ。
OWC は必読のブログ記事を二つ出している。アップデータが入手できることを発表した記事と、アップデートの手順を説明した記事だ。最初の記事が必読なのは、現在サポート対象となっている Mac 機種がどれか(あまり多くはない)と、どの OWC SSD が関係あるかを、具体的に説明しているからだ。 第二の記事 にはアップデートの各手順がスクリーンショットで示され、またこのアップデータが実際には Linux ソフトウェアであることが明かされている。それが理由で、このアップデータはまず DVD に書き込んでから、Mac をその DVD でブートして使わなければならない。それから、OWC は USB フラッシュドライブでは使えないと述べている。結果として、MacBook の SuperDrive を SSD に換装してしまった人には頭の痛いことになる。
状況が面倒なことになっていることは否定できないが、OWC がやっとのことで Windows を要しない SSD ファームウェアアップデータを作ってくれたことは、ハイバネーションのバグに苦しめられてきた人たちにとっては朗報だろう。
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文: Adam C. Engst <[email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
これは本当の話だ。Tonya と私がまだ Cornell 大学にいた頃、彼女は夏休みのアルバイトとして酸性雨の調査のために松の木の葉の数を数えたことがある。このアルバイトこそ、彼女が生物学をあきらめてコンピュータの世界に興味を向けたきっかけとなった。松の木の葉の数を数えるなんて、言葉に言い表わせないほど退屈な仕事だった! でも、そのことに関連して彼女が今でも覚えている印象的な出来事があった。同じアルバイトをしていた仲間の学生の一人が、WordPerfect の使い方を知っているとさんざん自慢してから... その彼が、書き上げたものすべてを印刷してからコンピュータのスイッチを切ったのだった。なぜなら、彼はファイルを保存する方法を知らなかったからだ。
保存とは、良いことだ。そして、一般的に言えば、自動保存もまた良いことだ。なぜなら、データ喪失に対する保護となるものならば何でも価値があるからだ。そして、Mac OS X 10.7 Lion のオートセーブ (自動保存) 機能のいくつかの側面に対してとやかく言うことは可能だけれど、これもやはり一般的に言えば良いものと言える。けれども、Lion のオートセーブ機能には、重大な問題点が一つある。実際、問題が存在するのは、オートセーブの仲間という位置付けの「バージョン」機能だ。この重大問題は、これまであまり注目を引いてこなかったけれども、ネットワークサーバに保存されたファイルで仕事をしている人たち、また Mac OS Extended (HFS+ という名前でも知られる) ボリュームとしてフォーマットされていないボリューム(USB フラッシュドライブやデジタルカメラのメディアカードなどがこれに該当する可能性が最も高い)に保存されたファイルをよく使う人たちにとっては、データ喪失を招く可能性が見逃せない。
問題点は次の通りだ。このことを警告してくれた読者 Joel Lingenfelter に感謝したい。まず、Pages を(あるいは Apple の他のオートセーブ対応アプリ、例えば TextEdit でもよい)を起動する。書類を作り、何かテキストを入力し、その書類をネットワークボリュームか、または HFS+ 以外でフォーマットした USB フラッシュドライブか、どちらかに保存する。その書類を閉じる。ここまではすべて順調だ。でももう少しお付き合い願いたい。
その遠隔ボリューム上の書類を開いて、さらに何か変更を加える。さて、ここで、明示的に File > Save a Version を選んだりあるいは Command-S を押したりはしないままで、File > Close (Command-W) によって書類を閉じる。すると、オートセーブはすべきことをする。つまり、書類を閉じる前に黙ってあなたが元の書類に施した変更を自動保存する。けれどもここで、そのついさっき施した変更であなたがひどい間違いをしていたことに気付いたとしよう。あなたは、これをもとに戻さなければいけない、と考える。普通ならば問題なくそれはできる。なぜなら、オートセーブ機能はバージョン機能と手に手を取って働いているので、前にあったいろいろのバージョンにも戻れるからだ。でも、今回の場合、あなたは運が悪かった。
なぜ前のバージョンに戻れないかを調べようとして、あなたはもう一度その書類を開いて、今度はそのウィンドウのタイトルバーにある書類の名前の上にポインタを持ってきて、その脇に小さな下向きの三角形を表示させる。ここから、バージョン機能にアクセスするのだ。その三角形をクリックするとメニューがドロップダウンするが、そのメニューで Browse All Versions を選ぶ。けれども残念なことに、それをしても以前のバージョンはありませんというメッセージが出るだけだ。何だって? そんな訳ないだろう! いったいなぜ以前のバージョンがないのか?!
そうなったのは、次のような事情だ。バージョン機能は、その書類の各バージョンを、.DocumentRevisions-V100
という名前の不可視ディレクトリ(その書類を含むディスクのルートレベルにある)の中に保存する。けれども、どんな理由からかは分からないが、Lion は非 HFS+ ボリューム上にそのディレクトリを作成することができない。ネットワークボリュームについては、何か他の問題があるはずだと思われるが、それはアクセス権に関する問題かもしれないし、あるいはネットワークマウントされたディスクが、実際にはそのディスク上のどこかにある単なる一つの共有フォルダに過ぎないという事実に関係しているのかもしれない。いずれにしても、ネットワークボリューム上、または HFS+ 以外でフォーマットされたボリューム上に保存された書類で作業する際には、実は「バージョン」機能が全く働かない。
いったいどうして Lion はそのことをユーザーに告げないのか、と不審に思えるかもしれない。いや、事実、Lion はそれをするのだが、ユーザーがそれを告げられることになるのは、_明示的に_ File > Save a Version を選ぶか Command-S を押すかした後でその書類を閉じた場合だけだ。だから、これこそ、本物のバグだ。オートセーブ対応のアプリで書類を作り、それに変更を施して、バージョン機能に対応していないボリューム上に保存して、閉じると、Lion は黙ったままだ。そのファイルを開いて、変更を施し、閉じる、ということを何度繰り返しても、あなたはバージョン機能で保護されないという警告は一度も現われない。けれども、その書類を開いて、変更を施し、Command-S を押してバージョンを保存すると、その次にその書類を開いた際に、Lion はあなたに対してこの書類がバージョン機能に非対応のボリューム上に保存されているという警告を告げる。
書類を開いたまま終了すると、どうなるだろうか。この場合は少し様子が違う。私が Pages で試してみた結果から見た限りで言えば、書類を作って非対応のボリューム上に保存し、変更を加え、それから何もせずにアプリを終了すると、オートセーブは書類の現在の状態を保存し、バージョンはその書類の当初の状態を保存する。おそらくこれは Lion の再開機能(この機能はファイルの隠しバージョンをファイル名の冒頭にピリオド文字を付けて書類のディスクのルートレベルに置く)の働きの一部なのかもしれない。その後書類を開いて、変更を加えて、終了する、という手順を何度繰り返しても、オートセーブは次々と書類のその時の現状を保存するけれども、バージョンは当初のバージョンから先に進むことはない。このことは、書類自体を開いた場合も、あるいは再開機能によって Pages が自動的にその書類を開いた場合も同じ結果になる。でも、もしも終了せずに書類を閉じ _よう_ とすれば、Lion は適切に警告する。
要するに、非対応のボリューム上に保存された書類に対してバージョン機能が警告なしに働きを止めるのは、明示的に保存せずに書類を閉じた場合か、または明示的に閉じずに終了した場合だ。この挙動に合理的な説明はつかない。なので、私としてはこれはバグだと思わざるを得ない。
Apple がこれを解決できる明らかな方法は、単純にバージョン機能を改訂してネットワークボリュームや HFS+ 以外でフォーマットされたボリュームでも働くようにすることだ。でも、その方法が簡単でないとすると、Apple としては少なくとも、オートセーブされた書類がバージョン機能で保護されない場合にはそれが閉じられるか終了するかした際にユーザーに対する警告を出すべきだろう。(警告ダイアログには既に Don't Show This Message Again チェックボックスがあるので、余計な警告が煩わしい心配はほどんどないだろう。)けれども、さらに追加の通知があればなおさら良いと思う。個人的に、私はバージョン機能の現状はあまりにも隠され過ぎていると思わざるを得ない。なので、これはちょっと細か過ぎる提案と思われるかもしれないが、書類のタイトルバーにあるバージョン機能のドロップダウンメニューの三角形の上に、小さな赤い X 印を表示するというのはどうだろうか。あるいは、メニュー自体の中で、Browse Previous Versions 項目を代わりに Disk Doesn't Support Versions といったような項目で置き換えてもよいと思う。
また、ここではいくつかワークフローに関する教訓も学べる。まず第一に、例えばあなたの会社が社内サーバに文書のテンプレートを含んだ Pages ファイルを保存して、誰でもそれを開いて、編集し、印刷し、閉じることができるようにしていたとしよう。加えられた変更は保存されるべきではない。なので、あなたはすべての関係者を教育して決して保存しないようにと教え込んでいたとする。(もちろん完全に守らせるのは困難だが、ポリシーとしては理解できる。)Lion では、Pages がそれらの変更を自動保存してしまい、テンプレートが台無しになる。そこで、ワークフローを変更することが必要となる。まず、それらの書類をロックしておく。これは、Finder でそれらの書類を選択してから、Command-Option-I を押し (あるいは Option キーを押しながら File > Show Inspector を選び)、Locked チェックボックスをチェックすればよい。その後は、誰かがその書類を開いて変更を加えようとすると、ロックを外すか書類を複製するかするように求められるようになる。それに対して、使う人は書類を複製して、変更を加え、印刷し、それから保存をせず複製を閉じるようにする。
もう一つ別のシナリオとして、人々がテンプレートを開いたら、Save As を使って書類のコピーを作り、そのコピーの方を変更して持ち続けていてもよい。さらに良い方法としてテンプレートをひな形の書類にしておくこともできる。Finder の「情報を見る」ウィンドウで「ロック」チェックボックスのすぐ上にある「ひな形」チェックボックスを使えばよい。ひな形の書類を開くと、Finder は瞬時にそのコピーを作ってコピーの方を代わりに開く。
オートセーブとバージョンへの移行によって大きく変わるワークフローがもう一つある。それは、自宅の Mac と仕事場の Windows ベースの PC の両方で使うファイルを保存するために USB フラッシュドライブを使うと問題が起こる可能性があることだ。その種のドライブは HFS+ でフォーマットされていずにバージョン機能の恩恵を受けることができないことが多いからだ。私たちは、特に USB フラッシュドライブの大ファンという訳ではない。ファイルの移動方法としては電子メールや Dropbox でファイルを共有する方が優れているという気がずっとしていたし、また TUAW からは毎日の仕事に USB フラッシュドライブを使うのが賢明とは言えない理由を列記した記事が出ている。もしもあなたが現在 USB フラッシュドライブに依存して仕事をしているのならば、一度 Dropbox を調べてみるか、あるいは少なくともそのドライブ上のファイルで直接作業をするのではない方法を考えてみるのがよいだろう。
同じように、もしもあなたがデジタルカメラのメディアカードの上で直接写真の編集作業をするのに慣れているのならば(私たちにはちょっとそのやり方は変な気がするが)その作業を Preview でするのは止めよう。Preview はオートセーブに対応しているからだ。そもそもそういう習慣はこれを機にすっかり止めることをお勧めしたい。
私たちをデータ喪失から保護するために作られたテクノロジーであるはずのオートセーブ機能とバージョン機能が、実世界のいろいろのシステムやテクノロジーと相互作用する際に、現実に良いデータが悪いデータで上書きされる危険を増してしまうようになってしまっているのは残念なことだ。Apple にはぜひとも技術的な問題に対処してもらいたいが、一方でこれらの新しいテクノロジーを最大限に使いこなせるように自分たちの挙動を修正して行くのは私たち自身の肩にかかっているとも言える。
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文: Adam C. Engst <[email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>
もう数年も前から、私は電子メールを Eudora から他へ変換する方法について記事を書くのをためらい続けてきた。その期間中ずっと、毎日の電子メールの道具として、私は Gmail を使っていた。ただし、あの素晴らしい Mailplane を通じてだが。(2011 年 3 月 16 日の記事“禅と Gmail 技術、第一部: なぜ私は切り替えたか”参照。)けれども、もう 18 年間も Eudora を使ってきた私は、単純にすっぱりと Eudora をやめる訳にはいかなかった。問題点が二つあった。私は Gmail が気に入っていたけれども、Eudora にできて Gmail にできないこともいくつかあるという事実が一つ、また、私のコンピュータ上の Eudora フォルダの中に何十万通というメッセージが貯えられていることがもう一つだ。
そこで、私は少しずつ Eudora を使い続けることにした。例えば DealBITS の当選者のお知らせなどのバルク送信(Gmail で一通のメッセージを 900 人の受取り人にあてて送信することができるとはとうてい思えない)に使ったり、毎週の TidBITS 号を Eudora ウィンドウの中でスペルチェック(Eudora のスペルチェッカーは Mac OS X のスペルチェッカーが見逃すようなスペルミスをキャッチしてくれることがあるので)したり、また時々は何年も前に遡る古いメッセージを探し出したりするのに使っている。
そこに Mac OS X 10.7 Lion が登場して、Eudora は退場することとなった。これまでは PowerPC ソフトウェアが Intel ベースの Mac でも走れるようにする Apple の巧妙なソフトウェア、Rosetta があったけれども、Lion では Rosetta がなくなったからだ。(2011 年 5 月 6 日の記事“Lion に備える: お持ちの PowerPC アプリケーションを見つけよう”参照。)バルク送信については、新しい TidBITS 出版システムに追加された機能のお陰で Eudora を使う必要がなくなった。また、スペルチェックの別方法はなくてもまあ我慢できる。(いずれ、 Spell Catcher も試してみようと思っている。)けれども、私が保存している電子メールを Eudora から何か他のプログラムへ移動させることはぜひとも必要だった。もちろん、保存されているメールボックスをそのままテキストファイルとして BBEdit で読むことは可能だろうが、それは馬鹿馬鹿しい解決法というものだ。確かに、もしも私が過去 18 年間にわたり POP でなく IMAP を使っていたとしたならば、単に別の電子メールプログラムで私の IMAP を指定するだけで何の問題もなく移行できていただろう。けれども他の多数の Eudora ユーザーたちと同じく、私は POP を使っていた。なぜなら、長い間 IMAP は比較的稀なものであったのだし、IMAP がより一般的に利用されるようになってからも、Eudora が並み以上に優れた IMAP クライアントとなることは一度もなかったからだ。[訳者注: POP は Post Office Protocol、直訳すれば「郵便局プロトコル」です。]
問題は、私の Eudora Folder の中には百万通にも近づこうかという大量のメッセージと、何千もの添付ファイルが、互いにネストした 600 以上のメールボックスの中に貯えられていることだ。私の Eudora Folder のサイズは 8 GB 近くに達し、18 年以上の年月と、数え切れないほど多数の Eudora アップデート、それに Mac から Mac へ繰り返し移動させられてきた歴史を経て、有機的に成長してきている。だから、多くのファイルのその奥には、きっと破損したファイルも隠れていることだろう。でも、私の Eudora アーカイブは他の大多数の人のものより大きいかもしれないけれど、私と同程度に長い期間にわたって Eudora を使ってきた人はきっと多いだろうし、そういう状況下ではやはりファイルの破損の可能性があり、それが読み込みツールにとって重大な障害になることは十分に考えられる。
Eudora から他のプログラムへメールを変換する際には、二つの側面を考慮する必要がある。どうやって変換するかという問題と、最終的にどこに落ち着かせるかという問題だ。このことが、私にこれほど長い間この記事を書くのをためらわせた原因の一部となった。変換ユーティリティにはいろいろと違ったものがたくさんあるし、また移行する先のプログラムの選択肢もさらにたくさんあるからだ。さらに悪いことに、行き先のプログラムの中には特定の変換ユーティリティしか使えないものもあって、そういうものについては両者を完全に独立に扱う訳にはいかない。
ここでお断りしておきたいが、この記事では Eudora フィルタやアドレスブックの変換については、たとえそれが可能かもしれないという状況であっても、一切触れないことにした。私としては、そこはぐっと歯を食いしばって、新しいプログラムで一から設定し直すことをお勧めする。あなたのメールボックス階層とそれに相応したフィルタをすっきりと作り直し、アドレスブックは送信者から自動的にキャプチャされるものによって新たにデータを流し込むべきだ。(私が Gmail でフィルタを扱う方法については、2011 年 3 月 16 日の記事“禅と Gmail 技術、第二部: ラベルとフィルタ”参照。)確かに手間はかかるけれど、その方がずっとクリーンな、より分かりやすいフィルタとアドレスブックで、何年分も溜まったもはや無効なアドレスが重荷となることもないようなものが出来上がることだろう。
そこで、この記事は次のような構成にしたいと思う。あなたが必要とする情報を探すには、記事の中で多少あちこちジャンプしながら読まなければならないかもしれない。まず第一に、あなたの Eudora アーカイブをどのように使うのかを決断する必要がある。あなたはそれを現在使っている電子メールクライアントに全部読み込ませたいのか? もちろん、これを判断するためにはあらかじめ Eudora から何か別のクライアントへ切り替えて、そちらのクライアントで毎日の電子メールの必要を満たせるようになっていなければならない。あるいは、あなたの Eudora アーカイブを、電子メールのアーカイブ専用のアプリケーションの中へ読み込ませておく方があなたの好みだろうか? この場合は、現在何を使って電子メールを読んでいるのかは関係ない。だから、あなたが電子メールをどのプログラムに切り替えようとも、Eudora に長年溜まった古いメッセージのことは一切気にせず、クリーンに切り替えることができる。
すべてを現在の電子メールクライアントに読み込ませたいと思う方のためには、最もふさわしいと思える選択肢を以下で詳しく紹介したいと思う。私が紹介しなかったプログラムをお使いの方も、私が説明する手順をもとに、あなたのプログラムではどうすればよいかきっと推察して頂けると思う。私が以下で紹介するのは、Apple Mail、Thunderbird (および、Thunderbird に基づいて作られた Postbox と、Eudora Open Source Edition についてもいくらか注目してみた)、MailForge (これを取り上げるのはただ、これがもっぱら Eudora に代わるものとして宣伝されていることが理由だ)、それと Gmail だ。これらのプログラムそれぞれに、変換がどの程度うまく行くかという点に、主として重点を置いて説明したい。皆さんが既にどれかをお使いならば、そのプログラムの強みと弱点については既にご存じだろうと思うからだ。(これについては後でも触れるが、たとえあなたが普段の電子メールプログラムとして Apple Mail を使うつもりがなくても、とりあえずあなたの Eudora アーカイブを Apple Mail に読み込ませておくのは有益なことだ。将来、他のプログラムとの間の媒介として役に立つこともあるだろうからだ。)
アーカイブ専用のアプリケーションについては、以下で MailSteward、Mail Archiver X、EagleFiler、それに DEVONthink Pro Office について検討する。これらのプログラムについては、変換の品質も重要ではあるが、皆さんが既にそれをお使いだと仮定することはできないので、そのプログラムの使い勝手についても触れておきたい。(もちろん、既に EagleFiler や DEVONthink Pro Office をお使いの方には、その点が選択の際に重要な考慮の材料となるだろう。)そして記事の最後に、私が試したいくつかの変換専用ユーティリティを紹介してみた。Eudora Mailbox Cleaner、Eudora OSE の EudoraExport、それに Emailchemy だ。この部分は、印刷された雑誌ならばサイドバーに入るような内容だと思って頂きたい。
私が以下に述べるテストがすべて、10.6 Snow Leopard の下で行なったものであることもお断りしておかなければならない。そうすることで、移行する前の Eudora 内のメールボックスの挙動と比較することができたからだ。また、中には Lion では動作しないものもある。一般的に言って、変換の作業は Lion にアップデートするよりも前にあらかじめ済ませておくことをお勧めしたい。ただし、もしあなたが既にアップグレード済みだったとしても、まだ選択肢は存在する。最後にもう一言。どのような方法で変換をするにしても、変換作業に時間がかかることと、少なくともあなたの Eudora Folder と同程度以上のディスクの空き容量が必要となることは、知っておいて頂きたい。だから、まずはあなたのハードディスクをクリーンアップして十分な空き容量を確保してから、必要なら夜通し変換作業を走らせよう。また、私の場合、Mac Pro に搭載の SSD を使ったことで、ハードディスクに比べて大幅に変換のパフォーマンスが良かったことに気付いた。
変換前のクリーンアップ作業 -- あなたの Eudora メールの変換作業を始める前に、あらかじめ二つのクリーンアップ作業をしておくことをお勧めする。(さらにあともう一つお勧めしたいこともあるが、それは記事の終わり近く、Eudora Mailbox Cleaner セクションで議論することにしたい。)まず第一に、Eudora はあなたのメールボックスをストレートなテキストファイルとして管理するが、個々のメールボックスからどのメッセージが削除されたかの追跡は目次によって行なう。この目次は、その個々のメールボックスファイルのリソースフォークの中か、または別個の .toc ファイルの中に置かれている。そこで、メールを変換する前に、メールボックスを圧縮する、つまり削除済みのメッセージでまだ実際のメールボックスファイルからは消去されていないものが他のメッセージと一緒に書き出されないようにする必要がある。一つのメールボックスでこれをするには、メールボックスウィンドウの右下の隅(もしもプレビューパネルが開いていれば右側の真ん中あたり)にあるボックスをクリックする。このボックスは、選択されたメッセージの数、メールボックス中のメッセージの数、メールボックスのサイズ、それから削除済みのメッセージによって浪費されている容量を示す数字を表示しているが、この最後の数字が 0 でなければ、あなたが削除したメッセージでまだメールボックスファイルから消去されていないものが存在することが分かる。もちろん、何百もあるメールボックスの一つ一つでこのボックスをクリックするのは馬鹿げている。すべての Eudora メールボックスを圧縮するには、これを Option-クリックする。(そしてしばらく Eudora に働く時間を与えよう。)
第二に、もしもあなたの Eudora Folder が私と同じくらい古いものなら、それはクラシック Mac OS の時代からあったはずだ。あの時代には、ファイル名の中に文字 "/" を用いても何の問題もなかった。もしもあなたが(私と同じように)メールボックスの名前のどこかに "/" を入れているなら、変換作業の前にあらかじめそれを改名しておくべきだ。ユーティリティによっては、この文字 "/" に気付くと新規のメールフォルダを作成してしまうものがある。Unix ディレクトリと誤認してしまうからだ。私の Eudora Folder の中にあるすべてのフォルダでこの問題を修正するために(全部をいちいち手で修正するのは避けたかったので)私は下の写真のようにすべてのスラッシュ文字をダッシュ文字で置き換える Automator ワークフローを作成して、私の Eudora Folder の中にある Mail Folder にそれを適用した。(これはあまりにも安直なワークフローだったので、私はわざわざそれを保存することもしなかった。あなたが欲しいことをするためには、もう少しワークフローの設定を調整する必要があるかもしれない。メールボックスを改名する前に、必ず Eudora を終了しておくよう注意しよう。)
Apple Mail -- Apple Mail は Eudora 読み込み機能を内蔵していて、最も分かりやすいやり方であなたの Eudora アーカイブを読み込むことができる。もしもこれが唯一の方法だったならばいちおう許容範囲にあると言えるのかもしれないが、私がテストした限りでは、少なくとも非常に古いメールボックスのいくつかは変換することができなかった。それらのメールボックスを読み込みはしたけれども、添付ファイルや、メッセージのステータス、ラベルなどは持ち込まれなかった。さらに悪いことに、多くのメールボックスで、メッセージを重複させてしまっているようで、ちょうど半数のメッセージが完全に空メッセージとなっていた。とても気に障ったが、修正するのは簡単だった。問題のメールボックスを選択してから、メールボックス > 再構築 を選ぶだけだ。以上のテスト結果は主に Snow Leopard の Apple Mail 4.5 によるものだ。Lion の Apple Mail 5 でも少量の読み込みをテストしてみたところ、こちらはどうやら正しく動作したようだったが、古いハードディスクベースの MacBook と私の SSD ベースの Mac Pro との違いのお陰で動作速度が非常に遅かった。
Apple Mail はまた Unix メールボックスファイルも読み込むことができる。だから問題は、どうすれば Eudora メールボックスファイルを Unix メールボックスファイルに変換できるかということだ。(これら二つのフォーマットはよく似ているが、同じではない。)そのためにはいろいろの選択肢がある。例えば独立動作のプログラム Emailchemy や、Eudora OSE の内部に埋め込まれているユーティリティ EudoraExport もそれができる。私は EudoraExport を使って Unix メールボックスファイルを作ってみたが、運良くうまく行った。EudoraExport は、次に説明する Eudora Mailbox Cleaner よりもずっと多数のメッセージを変換できると称しているが、Apple Mail 内蔵の Eudora 読み込みと同様に非常に古いメールボックスのいくつかでは正しく変換できなかった。EudoraExport は、添付ファイルをそれぞれのメッセージと正しく対応付けすることはできたけれども、メッセージのステータスやラベルは失われた。私が Emailchemy を使わないことに決めた理由はこの記事の終わり近くで説明する。
全体的に見て最も良い結果が得られたのは、Eudora Mailbox Cleaner だった。これは、添付ファイル、メッセージのステータス、ラベル(カラーとして)など、すべてを変換することができ、読み込みは直接 Apple Mail の中へ行なわれた。最も気に障ったのは、こうして読み込まれたメールボックスの中にあるメッセージを Apple Mail が認識するためにはまずそのメールボックスを選択してから メールボックス > 再構築 を選ばなければならなかったことだ。多数のメールボックスを一度に再構築することもできる。ただし、再構築 を選んだあとは必ず別のものを選択し直しておくことを忘れてはならない。そうしないと、Mail は選択されたメールボックスすべてで常時メッセージの個数を再計算し続けるので、膨大な CPU パワーが浪費されるからだ。また、Eudora Mailbox Cleaner が正しく動作するようにするためには少々準備が必要だった。このことについては、記事の終わり近くの Eudora Mailbox Cleaner セクションを参照して頂きたい。
結局のところ、以上三つの方法のいずれも、おそらく許容範囲の結果を提供してくれるだろう。ただしそれは、あなたの Eudora アーカイブに破損した個所があってメールボックスのいくつかが読み込めないという事態が起こらないことと、添付ファイルがきちんと保持されなくてもあなたが気にしないこと、という条件付きでの話だ。もしもあなたが添付ファイルがきちんとしていて欲しいと思うのならば、EudoraExport か Eudora Mailbox Cleaner のいずれかを選ぶべきだろう。時間とディスク容量が十分にあるのならば、両方の方法で変換してみて、Apple Mail 内部で両者の結果を比較してみることをお勧めする。
Apple Mail についてはもう少し言いたいことがある。Apple Mail はすべての Mac ユーザーのハードディスクにあることが保証されているので、これをあなたが保存していた Eudora メールの収納場所と考えるのも十分妥当なことと言えるだろう。たとえあなたが別の電子メールクライアントを使うにしても、それによって古いメールと新しいメールとが切り離されてしまう訳だから、保管場所を用意しておく価値はある。
本格機能の電子メールクライアントとして、Apple Mail はあなたが古いメールをブラウズしたり検索したりするために必要なすべての基本的機能を備えている。私はずっと以前から Apple Mail の検索機能でトラブルに悩まされてきたが、どうやら Lion でその点がずいぶん改善されているようで、検索において複数の検索条件を使うためのオプションが数多く追加され、選択されたメールボックスのみでなく複数のメールボックスを含んだフォルダ全体で検索することもできるようになった。それでも、私は Apple Mail の検索は速度が比較的遅いと思う。全く使えないというほどではないが、Gmail の電光石火の検索に慣れてしまった私には苦痛に感じられる。最後に、Apple Mail の検索機能をさらに拡張したければ、スマートメールボックスを使えばよい。さらなる柔軟性がそこには提供されている。
あなたの Eudora アーカイブの移行先として Apple Mail を使うことのおそらく最も重要なポイントは、そこに電子メールを保管しておくことで将来何か他のプログラムに移行したいと思った場合に便利になる可能性が高いことだ。Apple Mail からの読み込みは、何と言っても、Unix メールボックスファイルからの読み込みよりも一般的なものだろう。その上、Apple Mail は良い IMAP クライアントでもあるので、Apple Mail 内のローカルなメールを IMAP サーバへコピーすることができ、そうすれば他のどんな互換 IMAP クライアントでもそれらのメールにアクセスできるようになる。
Thunderbird (および Postbox と Eudora OSE) -- Mozilla の Thunderbird は最も人気ある電子メールプログラムの一つだ。それはこれがオープンソースであることにもよるが、同時にまたオープンソースであるために、そのコードは他の電子メールクライアント、特に Postbox ($29.95) と、クラシックな Eudora の公式な後継者たる Eudora Open Source Edition (Eudora OSE) にも使われている。
Thunderbird と Postbox は、Eudora と Apple Mail から直接読み込みができると称している。けれども Thunderbird の Eudora 読み込みはほとんど何もできなかった。私の保存してあるメールの階層フォルダ構造に似たものを作ることはできたが、そのフォルダの中には実際のメッセージが入っていなかった。Postbox はその Eudora 読み込み機能を「実験的」なものと位置付けているが、私の場合その機能は「壊れて」いた。なぜなら、何度読み込ませようとしても Postbox は毎回即座にクラッシュしたからだ。ややこしいことに、Eudora OSE では Thunderbird の読み込みコードを独自の EudoraExport ユーティリティに分離させているが、EudoraExport は Eudora から Eudora OSE へメールの読み込みをすることができない。その代わりに、EudoraExport は私の Eudora アーカイブをもとに Unix メールボックスを作成したが、それをどうすれば Eudora OSE に持ち込めるかについては何の説明もなかった。Apple Mail からの読み込みは、別の意味でうまく行かなかった。なぜなら、Thunderbird は私のアクティブな IMAP アカウントからのメールのローカルなコピーしか読み込まず、変換した Eudora アーカイブからは何も読み込まなかったからだ。
Thunderbird が Unix メールボックスファイルから読み込めないのには驚かされた。けれども間もなく私は Kaosmos の ImportExportTools アドオンがこの難点を解消してくれることを見つけ出した。ImportExportTools は Eudora OSE の EudoraExport で作成しておいた Unix メールボックスファイルを見事に読み込んだ。添付ファイルもきちんと保持されていた。けれども残念ながら、メッセージのレベルでは正確に読み込まれたものの、ImportExportTools は階層的なフォルダ構造を EudoraExport が作成した通りに保持することができず、私の 610 個のメールボックスの内容すべてを同じレベルに置いたので、結果的にほとんど使い物にならなかった。ImportExportTools を使って私の Apple Mail 電子メールアーカイブ内にある .eml ファイルを読み込ませようとすると Thunderbird では惨めな失敗に終わったし、私は ImportExportTools を Postbox の中で動作させることができなかった。ひょっとしたら、私はただ、望むことを Postbox にさせる方法を見出す前にフラストレーションのあまり諦めてしまっただけなのかもしれないが。
最良の結果を生み出してくれたのは、ここでもまた Eudora Mailbox Cleaner だった。これは、メールを直接 Thunderbird の中へ読み込むこともできる。その結果は Apple Mail の場合と同じ程度に良く、メッセージのステータス、ラベル、添付ファイルがすべて保たれ、メールボックスやフォルダの階層構造もきちんと保持された。
結局、もしもあなたが Thunderbird、Eudora OSE、あるいは Postbox を使いたいなら、Eudora Mailbox Cleaner を使って Thunderbird に読み込ませるとよい。Eudora OSE は Thunderbird とメールボックスを共有するので、いつでも即座に切り替えることができる。Postbox については、理論的にはメールボックスを Thunderbird から Postbox へ Finder 経由で移す ことが可能なはずだが、私の場合それがうまく行かず、最後には自分の Postbox プロファイルを放り出して、Thunderbird からあらためて読み込み直させる羽目になった。それから終了して再び起動させると、クラッシュしたのでもう一度起動させると、その後は問題なく動作した。Postbox は Thunderbird に比べて表面上はずっとクリーンで現代的に見えるけれど、テストしてみると私は Postbox の方でさまざまの問題点に遭遇した。なので、使用される場合には、ちょっと慎重に扱うことをお勧めしたい。
MailForge -- $19.95 の MailForge は Infinity Data Systems の製品だが、これはクラシックな Eudora の見栄えと動作を備えた現代的な電子メールクライアントを作り出そうという独立の取り組みだ。類似のメッセージを探すために Option-クリックするという、あの驚くべき機能まで再現されている。ここでもやはり、私は電子メールプログラムとしてのレビューを書くつもりはない。(少し使ってみただけだが、ちょっともっさりしているような印象を受けた。)ただ、MailForge の Eudora 読み込みはかなりきちんとしていた。読み込みに失敗したのは Apple Mail や EudoraExport も失敗した非常に古いメールボックスだけであった。添付ファイルはきちんと持ち込まれたが、メッセージのステータスやラベルは失われた。
MailForge にはまた実験的サポートとして Apple Mail からの読み込み機能も装備されているが、これは一度に一つのメールボックスしか読み込めない。これでは私の Eudora アーカイブ全体の読み込みには使い物にならない。その上、私が読み込ませてみたメールボックスでは、すべてのメッセージの日付が同じものになっていた。(もちろん Apple Mail では正しい日付になっていた。)この Apple Mail 読み込み機能はパスしておいて、MailForge を使うのならば Eudora 読み込みのみにしておくのが賢明だろう。
Gmail -- 最後に、巡り巡って私は自分の Eudora メールを Gmail に読み込めるのかどうかという疑問に立ち戻った。このテストのために、私は自分の持っている二つ目のアカウントを使った。私のメインのアカウントには私の Eudora アーカイブ全部を保持できるほどの空き容量がなかったからだ。ただし、Google から追加のストレージ容量を購入 してもそれほど高くつかない。年額 $5 だけ払って 20 GB を確保しておけば、私の必要を十分に満たせたであろう。
私にとって残念なことに、私は通常バージョンの Gmail を使っていて、Google Apps に焼き固められたバージョンを使っていなかった。別に費用が問題だったのではない。Google Apps はそれほど高価ではないし、おそらくユーザーアカウント 10 個までという無料バージョンでの制限も私は満たすことができたろう。そうではなくて、問題は私が多数の電子メールサービスを走らせていることで、その多数の上にさらに Google Apps まで持ち込めば混乱が増すだけだろうという気がしていたのだ。今回の場合不幸なことに、 Google Email Uploader for Mac というアプリケーションがあって、聞くところによれば Eudora、Apple Mail、Thunderbird から Gmail への読み込みをかなりうまくこなせるとのことだったが、残念ながらこれは通常バージョンの Gmail では動作しない。それは、そのアプリケーションに問題があるのではなくて、ただ Google が Google Apps バージョンにあるような読み込みのためのフックを、通常バージョンでは有効にしていないことが理由だ。おそらくそれは、有効にすれば使用度が大幅に上がる(そのためさらなるテストが必要となる)からなのだろう。
そういう訳で、通常バージョンの Gmail を使っている私たちにとって、選択肢は三つある。まず第一に、理論的には無料の Google Apps アカウントにサインアップしてから、Google Email Uploader for Mac を使ってすべての電子メールを Eudora から読み込み、それから何か IMAP クライアントを使ってそれを通常の Gmail アカウントに移す、ということができる。やってみればうまく行くかもしれないが、私は感覚的に、正確度あるいはパフォーマンスの面でどこかで破綻するような気がして手を出すことができなかった。
第二の選択肢は、かなり込み入った方法なので、電子メールシステム管理者の経験を積んだような人にしか適さない気がする。Gmail 内蔵の Mail Fetcher が、標準的な POP アカウントならばどんなものからでも電子メールを取り込むことができるのだ。通常は、これを使って Gmail がリアルタイムで他のアカウントからメールを取り寄せるようにする。けれども、あなたの Mac 上に POP サーバをセットアップして、EudoraExport で作った Unix メールボックスファイルをその POP サーバに読み込み、それから Gmail の Mail Fetcher でそれを取り込む、ということも可能かもしれない。もしもあなたがこの方法を選ぶならば、まず Cutedge Software の MailServe for Snow Leopard から始めることをお勧めする。Apple Mail の On My Mac フォルダから Dovecot の IMAP フォルダに転送するか、あるいはファイルを正しい場所へコピーするかして、あなたのメッセージを同社の Dovecot サーバに移すことができるかもしれない。いったんメッセージが Dovecot サーバに納まれば、あとはそこへ Mail Fetcher を向けるだけでよいだろう。
最も現実的なのは第三の選択肢だ。Apple Mail から IMAP 経由で、Gmail へ直接のコピーをするのだ。この記事の前の方で、Apple Mail が媒介として役に立つと説明したことを思い出して頂きたい。この方法は簡単にできる。単に、Apple Mail で一連のメールボックスか、またはフォルダを選択して、それをサイドバーにあるあなたの Gmail アカウントへドラッグするだけだ。ただ、この方法には一つ大きな問題がある。動作があまりにも遅くて、まるでモデム経由で Gmail にアクセスしているのではないかと思えるほどなのだ。私は今ここに座って、私のメッセージが転送されるのを眺めているが、どうやら毎秒メッセージ一通ずつ程度の速度で運ばれているようだ。全部で 900,000 通ほどのメッセージがあるので、ただぶっ通しで転送するだけで 10 日間以上かかる計算になる。何かエラーが起こっても必ずしも私がそこにいて作業を再開させられる訳ではない(最初にテストを始めた際には 15,000 通目あたりで黙って作業が停止していた)ので、まあ少なくとも一ヵ月はかかると覚悟しておいた方がよいだろう。もちろん、電子メールアーカイブのサイズが小さければもっと早く転送が終わるが、それでもやはり骨の折れる作業であることに変わりはない。
Thunderbird から Gmail への IMAP 転送でもっとうまく出来たという話を、何人かの人たちから聞いた。けれども私がテストした限りでは、Thunderbird は特に Apple Mail より速いとも思えなかった。ということはボトルネックは Gmail の側にあるのだ。結局、私は自分の Eudora アーカイブを Gmail に移すのはあきらめた。
最後にもう一言。もしもあなたがメールボックスを IMAP 経由で Gmail にコピーして、あとになってそれが間違いだった(例えばメールボックスの途中で転送が終わってしまった)と気付いても、そのメールボックスを Apple Mail や Thunderbird の中から削除しようとしては _いけない_。そんなことをしても、Gmail の中ではそれらのメッセージからラベルが消去されるだけで、ただ検索にかからなくなるに過ぎない。代わりに、Gmail のウェブインターフェイスでフィルタを作成して、そのラベルに合致するメッセージをすべて見つけてゴミ箱に移動するようにフィルタを定義してから、それを既存のメッセージに対して走らせればよい。
MailSteward -- さて、ここからは電子メールをそれ専用のアーカイブプログラムで管理する話に移ろう。そのようなプログラムは、電子メールをデータとして扱うが、メッセージの送信や受信に必要なさまざまの機能を提供するようには作られていない。私はまず、MailSteward (バージョンにより $24.95、$49.95、$99.95 のいずれか) を試してみた。これは専用の電子メールアーカイブ用プログラムで、独自の Eudora 読み込みツールを含んでいる。デモ用のモードでは、MailSteward は 15,000 通までのメッセージしか読み込めない。そこで私はいくつか代表的なメールボックスのみを選んでこれを試してみた。
MailSteward の動作は許容範囲内と言えた。メッセージは SQL データベースの中に読み込まれる。メッセージのステータスやラベルが失われるのは当然だが、MailSteward が添付ファイルのリンクを保持すると称しているにもかかわらず、確かに添付ファイルへのリンクは存在していたのに開こうとしてみると添付ファイル自体すべて壊れていて使い物にならなかった。これはちょっとひどいけれど、少なくとも私にとってはそれだけで直ちに論外と捨て去る動機にはならなかった。(それにもちろん、Eudora の Attachments フォルダを別途に管理していた場合は、いつでも必要に応じて手動で添付ファイルを見つけることができる。)
MailSteward は、保存された電子メールを扱うために、かなり充実した一連の機能を提供している。選択されたいくつかのメッセージを印刷、保存、削除、または書き出しできる。MailSteward はまた多岐にわたる書き出しオプションも提供する。例えば、選択されたいくつかのメッセージの中から電子メールアドレスだけを抽出することもできる。また、メッセージに返信したりメッセージを転送したりもできる。その際 MailSteward は送信すべきものを(あなたのデフォルトの電子メールプログラムに関係なく)Apple Mail へ送る。
アーカイブ用プログラムにおいては、検索が最重要の機能だ。MailSteward は、パワフルな検索機能を提供する。検索条件を保存することも、SQL 検索を走らせることもできる。さらに MailSteward ではメッセージにタグ付けしてタグを検索することさえできる。ただ一つの問題は、検索結果に多数のヒットが出た場合、その表示にかなり時間がかかることがある点だ。幸いにも、絞り込んだ検索でヒットが数個しかないような場合は瞬時に表示される。
私にとって MailSteward がまずかったのは、階層的ブラウザを表示する機能がない点だった。私のように何百もの Eudora メールボックスを互いにきちんとネストさせて使っている場合は、ナビゲートする際に階層構造が非常に重要となる。たとえ検索機能の方がもっと重要だとしても、階層構造が全くないのは困る。
添付ファイルの読み込みの問題と、ブラウズの際に機能が欠けている点、それから全体的に何となく古臭くて不体裁な感じの見栄えがするところを除けば、MailSteward を使って間違いはないと思う。私の印象では動作は安定していて高速で、既に長年存在しているのであなたのメールを長期間保存しておく場所としておそらく妥当なものと言えるだろう。それはそれとして、私自身の好みのツールとはとても言えない気がした。
Mail Archiver X -- もう一つの電子メール専用アーカイブプログラムが、Moth Software の製品、$34.95 の Mail Archiver X だ。これは、Eudora を含むさまざまの電子メールから直接読み込むことができ、個々のメールボックスを読み込むことも、すべてを一挙に読み込むこともできる。現行バージョン 2.6 を使ってみて、私は Eudora からの読み込みでは階層構造を保つけれども添付ファイルが追跡されず、Unix メールボックスの読み込みでは添付ファイルを保つけれども階層構造が失われることに気付いた。この件について Moth Software の Beatrix Willius に問い合わせてみると、彼女は私に 2.7 のベータ版を送ってくれた。すると、Eudora 読み込みで添付ファイルが正しく持ち込まれるようになっていた。さらに彼女は、いくつか Lion 関係のバグの処理を終えた後で Unix メールボックスで階層構造が保たれない問題も解消するつもりだと言ってくれた。
Mail Archiver X 2.7 のベータ版ではより良く動作するようになり、Eudora メールボックスが正しく添付ファイルを含んで読み込まれるようになった。ただ、これがベータ版だという感じははっきりと見えた。Eudora 読み込みの際にもいくつかエラーを報告したし、スクロールホイールでのスクロールは非常に遅いし、矢印キーを押しても反応しないし、ちょっと変わった HTML メッセージでレンダリングが正しくないこともあった。(これら私が気付いたバグはすべて報告しておいた。その後のベータ版で Willius は既にそのいくつかを修正してくれている。)
検索について言えば、検索条件を From 行、To 行、Subject 行、本文、それから添付ファイルに制限することができるが、それらは一度に一つずつしか指定できない。だから、例えば「この人からのメールであって添付ファイルの名前にこの単語を含むもの」という検索はできない。検索は高速だが、どうやら一度に一つずつのメールボックスについてしか検索できないようだ。
プラスの面を言えば、Mail Archiver X にはいくつか独特の機能がある。まず、読み込みの際に、日付の範囲を指定して、読み込むべきメッセージをフィルタ分けすることができる。また、読み込みに際して到着メッセージに対するいくつかのクリーンアップ操作を施すこともできる。あなたのメールボックスにたくさんの重複メッセージが出来てしまっている場合は、Mail Archiver X がそれらを見つけ出して重複分を削除することもできる。さらに、さまざまのフォーマット、例えば Unix メールボックス、FileMaker、MySQL、それに XML などでメッセージの書き出しができる。メールを何かのカスタムデータベースに移したい場合など、これらのフォーマットがそのための媒介として役に立つかもしれない。
現在のところ、頻繁にアクセスしたい大きな Eudora アーカイブを扱うために Mail Archiver X をお勧めすることはできない。けれどもこれは現在活発に開発中であり、開発者も積極的に反応をしてくれているので、将来有力な候補となるかもしれない。
EagleFiler -- もっと汎用の書類管理アプリケーションで、電子メールを読み込んで保管しておく場所として使えるものもある。その一例が、C-Command の製品、$40 の EagleFiler だ。 EagleFiler は理論的には Eudora から直接メールを読み込めるはずだが、C-Command の Michael Tsai は説明書の中で、別のユーティリティを使った方がより良い結果が出るかもしれないと勧めている。EagleFiler は Unix メールボックスファイルと .eml ファイル (Apple Mail や、その他いくつかの電子メールプログラムで個々のメッセージを保存するために使われる) の両方を読み込むことができるので、私は Eudora OSE の EudoraExport で作っておいた Unix メールボックスファイルが入っているフォルダをドラッグする方法を選んだ。
読み込みは完璧に動作した。EagleFiler はメールボックスの取り込みもかなり素早く、フォルダ構造をすべて保つことでブラウジングもし易くしてくれた。それから EagleFiler は読み込んだもの全部を索引付けする作業にかかり、これには相当時間がかかったが、それは驚くことではないし、Activity ウィンドウに残り時間の概数が表示されたのも良かった。いったん索引付けが終われば、比較的焦点を絞った検索ができる。From、To/Cc、Subject (それから EagleFiler 内部で適用されたメモやタグ) での検索もできるが、私の知る限り、日付や、添付ファイル名、その他電子メールに特有のフィールドについて検索することはできない。
具合の悪いところもまたいくつかあるが、Tsai は現在その是正のために作業中だという。まず第一に、メールボックスをいくつか含むフォルダを選択してそこに検索を走らせると、何も見つからない。その代わりに、そのフォルダの中のメールボックスをすべて選択しておいてから検索を走らせなければならない。第二に、一つのメールボックスで検索すれば、EagleFiler はヒット数をウィンドウのタイトルバーに表示するけれども、複数のメールボックスで検索すると、選択されたメールボックスの名前をリストする(当然タイトルバーには収まらない、下のスクリーンショット参照)ので、ヒット数が見えなくなってしまう。私が読み込んだメールの量が膨大なので、私には EagleFiler の検索が少々遅く感じられた。使い物にならないというほどではないが、一瞬で結果が出るとは到底言い難い。それに、メールボックスを切り替えても検索作業はそのまま続くので、検索を削除したくてもその検索が終わるまで長時間待たなければならないこともある。
メッセージは EagleFiler のプレビューパネルでプレインテキストとして読むことができる。けれどもメッセージをダブルクリックしてそれを開こうとすると、EagleFiler はそれをあなたのデフォルトの .eml ビューワーに開かせようとする。通常それは Apple Mail だ。(私の Mac ではそのファイル名拡張子を Sparrow が引き継ごうとしたが。)最初私はこのやり方にちょっと当惑させられたが、おそらくこれが妥当な方法なのだろう。なぜなら、こうすることでそのメッセージに手軽に返信したり転送したりできるからだ。もしもそのメッセージに添付ファイルがあれば、それもそのまま保たれる。しかしここでも、EagleFiler 自体の中からその添付ファイルにアクセスすることはできない。いったんそのメッセージを Apple Mail で開けば、そちらからその添付ファイルにアクセスできる。
私は正直なところ EagleFiler についてどう結論づけてよいのかよく分からない。確かにこれは使いやすく、見た目も良くて、きちんと機能する。これが Michael Tsai の作品であるという点も好ましい。彼の作った SpamSieve を私は長年称賛してきたし、彼は思慮深くて注意の行き届いたプログラマーだ。けれどもまた、EagleFiler は私の膨大な電子メール保管庫を検索するには私の期待よりも遅過ぎるし、その結果として私の使用パターンがぎこちなくなってしまう。もしもあなたが EagleFiler を既に他の目的に使っているなら(あるいはこの種のものを必要としているなら)良い選択になり得ると思う。ただ、私としては Eudora から読み込んだ電子メールを保管することを唯一の目的としてこれを選ぶことをお勧めできるかどうか、あまり自信がない。
DEVONthink Pro Office -- 他の目的でも使えるユーティリティと言えば、私自身ある種の書類を DEVONthink Pro Office を使って保存している。そしてこれも、Unix メールボックス、Apple Mail、そして Microsoft Entourage から電子メールを読み込むことができる。私が初めに一つだけのメールボックスでテストした際は、いちおううまく動作して、メールボックスを個々のメッセージに切り分けてくれた。
けれども Eudora からメールの集合体全部を読み込むには、もう少し努力が必要だった。DEVONthink Pro Office は Unix メールボックスファイルを読み込むことができるけれども、そこには二つ問題点がある。第一に、それがメールボックスファイルだと認識できるためには .mbx またが .mbox のファイル名拡張子が使われていなければならない。おそらく、その条件が満たされるには Eudora ユーザーの大多数が自分のすべてのメールボックスを改名しなければならないのだろうと思う。ただ、Automator ワークフローを一つ使うだけで手早くそのようにはできるのだが。第二に、そしてこちらの方が大きな問題だが、DEVONthink Pro Office は一度にメールボックスを一つずつしか読み込むことができない。すべてを読み込むことも、フォルダ一つを読み込むことさえできない。Import ダイアログで Shift-選択して複数のメールボックスを指定することすらできない。
ここでもやはり、解決法は Apple Mail を媒介として使うことだ。DEVONthink Pro Office では、File > Import > Email を選んでから Mail Source ポップアップメニューで Apple Mail を選ぶことによって、Apple Mail から直接読み込むことができる。けれどもその際注意すべきことがある。あらかじめ、DEVONthink Pro Office > Install Add-ons メニューを使って DEVONthink Pro の Apple Mail プラグインをインストールしておかなければならないのだ。これをインストールしておかないと、DEVONthink Pro Office は AppleScript に頼らざるを得なくなり、これはあまりにも速度が遅くて私が Apple Mail で持っていた 1,800 個のメールボックスをリストすることすらできなかった。Apple Mail プラグインをインストールしておけば、メールボックスはすべて即座にリストされた。(また、このプラグインがあれば、Apple Mail 内部で Mailbox > Add to DEVONthink Pro Office を選ぶだけでメールボックスを DEVONthink Pro Office に追加できるようになる。ただし、メールボックスのフォルダを追加することはできない。)
そういう訳で、Apple Mail からクリーンに読み込むには、File > Import > Email を選び、Mail Source ポップアップメニューから Apple Mail を選び、読み込みたいメールが含まれているフォルダを選択して、Archive Mailbox ボタンをクリックする。(Import Mail ボタンは個別のメールボックスにしか使えない。)私のテストでは、DEVONthink Pro Office は非常に素早く Apple Mail からの読み込みを済ませたが、ただし私の Eudora Folder を一挙に読み込ませようとすると、途中のどこかの時点で黙って作業をやめてしまった。そこで第二レベルのフォルダを読み込ませてみたところ今度は動くようになったが、それでもいくつか作業に失敗した部分もあって、DEVONthink のログの中で接続失敗と記されていることによってのみ見分けることができた。そうこうするうちに、私は問題の所在を突き止めた。30,000 通程度以上のメッセージを含むフォルダを読み込もうとすると、タイムアウトしてしまうらしい。そのような大きなメールボックスを読み込ませたい場合は、あらかじめ Eudora でメールボックスを分割しておくか、あるいは下に記す二つの Terminal コマンドを両方とも使うことで DEVONthink のタイムアウト値を増やしておけばよい。それでもやはりフォルダ読み込みに失敗することはあったが、そういうフォルダに対しては大きなメールボックスを個別に一つずつ読み込ませることでうまく行った。ただし、パフォーマンスを保つために、メールボックスが一つ済む度ごとに終了して再び起動するという手間をかけなければならなかった。残念ながら、添付ファイルはすべて失われた。
defaults write com.devon-technologies.thinkpro2 MailImport.FetchTimeout -float 120
defaults write com.devon-technologies.thinkpro2 MailImport.Timeout -float 120
電子メールをブラウズする際には、DEVONthink のデフォルトのカラム設定ではあまり使いやすいとは言えない。けれども、カラムは簡単にカスタマイズできるので、From、Subject、Date の個々のメッセージでの内容を示したカラムを調整して DEVONthink が電子メール風の表示をするように直すことができる。
DEVONthink の検索機能は非常に優れている。データベース全体に対する単純な検索はほとんど瞬時だ。間違いなく、私が見たことのある中で最速だ。名前、コンテンツ、URL、コメント、あるいはメタデータによって検索に制限を付けることもできるが、From、To、Subject,その他での検索をしたい場合には少し紛らわしい。けれども DEVONthink のスピードの速さは、その欠点を補って十分に余りあるし、特定のフォルダやメールボックスの中で複雑なクエリーや検索をする必要がある場合は別に用意されている Search ウィンドウを使えばあなたの必要とするパワーがすべてそこにある。
そうは言っても、一つ大きな問題があって、そのために私自身は当分の間 DEVONthink Pro Office を使うことができなくなる。DEVONtechnologies が私に述べたところによれば、データベースが 200,000 個か 300,000 個程度を超える項目を含むようになればパフォーマンスが低下し始める可能性があるとのことだった。(読み込みのタイムアウトの問題のせいで、私は今のところまだ 125,000 通程度のメッセージしか読み込んでいない。)将来のバージョンで DEVONthink が 64-bit アプリになれば、この制限は消滅するとのことだ。あまり遠くない将来にそのアップデートが出ることを期待したい。
私が DEVONthink Pro Office を推薦するのをためらってしまう理由がもう一つある。これは他の候補に比べて断然高い、$149.95 という価格だ。(廉価版の DEVONthink でも AppleScript によるメールの読み込みはできるが、十分高速に読み込める Apple Mail 統合機能はない。)もちろん、あなたがもしも既に DEVONthink Pro Office を使っているのならばこれは何の問題にもならないし、それにあなたがもしも私のように巨大な量のメールを持っているのでないならば、おそらくあなたには読み込みのタイムアウトの問題も、また大き過ぎるデータベースによるパフォーマンスの問題も起こらないだろう。
さて、次に、私が使ったいくつかの変換プログラムについて見てみよう。
Eudora Mailbox Cleaner -- 私が最初に選んだ変換ユーティリティは、Andreas Amann のドネーションウェア Eudora Mailbox Cleaner だった。以前、2008 年に Tonya が Eudora から Apple Mail に移行した際に、彼女がこれを使ってうまく行ったからだ。(2008 年 4 月 13 日の記事“Eudora から Apple Mail へ、しぶしぶ切り替え”参照。ただ、彼女はその後一年ほど Apple Mail と格闘した末に、見切りをつけて Gmail に切り替えた。)Eudora Mailbox Cleaner は Apple Mail の中へも、また Thunderbird の中へも読み込ませることができる。
今はもうアクティブに開発されていないし、Lion の下では動作しないけれども、Eudora Mailbox Cleaner はテスト用のメールボックス一つを Eudora から Apple Mail へ移す作業を素晴らしく見事にやってのけた。添付ファイルも正しく持ち込まれ、メッセージのステータスやラベル(カラーのついたメッセージとして)も保持されていた。ただ、複数のメールボックスを扱わせてみたところ、問題が発生した。メールボックスを二つ読み込んだ後に、ハングしてしまったのだ。いろいろ調べてみると、トラブルを起こしたメッセージには添付ファイルが付いていて、その添付ファイルの名前が 32 文字を超えていることが分かった。ある時点以後の Mac OS で、ファイル名の長さの 32 文字制限が撤廃されていたのだ。そのような添付ファイルに対して、Eudora は file ID を使って処理し、それを Attachments フォルダの中のファイルのフルパス名と対応付けていた。(Eudora Mailbox Cleaner の最も新しいバグ修正リリースが出されたのは 2009 年 4 月で、その際長い名前の添付ファイルの処理に対する修正が施されたことになっている。どうやら、その時の修正は完全ではなかったようだ。)
私にとってメッセージの添付ファイルを管理するのはそれほど重要なことではない。たいていの場合、もしも添付ファイルが重要ならば、私はそれを別途に保存している。けれども、私は Eudora Mailbox Cleaner が私のメールすべてを処理できるのかどうか確かめたいと思った。そこで、私は BBEdit の text factory を使って、ファイルのフルパス名を判定できるメッセージについてはそれを修正し、判定できないものについては添付ファイル指定行を削除する、という操作を施してみた。つまり、以下の grep ベースの検索置換二つを順に走らせるのだ。最初に走らせるのが次のもの:
Search For: (filename=")(.+?)("\r\r^Attachment converted: .+?:)(.+#.+?)( \(.+)
Replace With: \1\2\3\2\5
で、その後で走らせるのが次のものだ:
Search For: ^Attachment converted.+#.+
Replace With: <nothing>
そのような text factory を作成してから、私の Eudora Folder 全体を対象にそれを施した。(当然ながら、あらかじめ別のディスク上にバックアップを作成しておいた。)エラーが起こったのは三つのメールボックスのみで、それらはなぜか UTF-8 でなく Western (ASCII) でエンコードされていた。結局、Eudora 内部で新しいメールボックスにメッセージ転送することによってそれらも修正することができた。
いったんこうして私の Eudora Folder がクリーンアップされた後は、Eudora Mailbox Cleaner はスラスラと非常に調子良く Apple Mail へも Thunderbird へも読み込みを済ませてくれた。
Eudora OSE と EudoraExport -- 成功は思わぬところから来た、 Eudora Open Source Edition である。これは Thunderbird ベースの古典的な Eudora 代替品で、元々の Eudora 開発者も何人か入ったオープンソースチームから出されている。私はこれなら旧 Eudora メールボックスも新しいプログラムに取り込んでくれるのではないかと思ったが、そうではなく、そのインポート機能は EudoraExport と呼ばれる他のプログラムを走らせる。このプログラムは私の全 Eudora Folder を、メッセージ単位で横断的に見て行き、そして別個のフォルダに、正当なUnix メールボックスファイルを作成する。変換に際してメールボックスの一部を選択するというオプションは無い。EudoraExport はまたある程度のクリーンナップをしエラー報告も行うが、だからと言って私が何か手を下せる種類のものではない。
これはメッセージ単位で、メールボックス単位ではなく、動作するので Eudora Mailbox Cleaner とは比較にならない程遅いが、変換されたメッセージ数という観点から言うとその成績は良かった様に見える、何故ならば変換されたメッセージ数は 970,283 と表示されたが、Mailbox Cleaner の場合は 849,206 メッセージであった。勿論、このプログラムは数字を多少異なる観点から報告しているという可能性も否定できない、と言うのも Eudora Mailbox Cleaner 変換ではどのメールボックスから 120,000 のメッセージが失われたのか私には推測出来ないからである。EudoraExport は極めて古いメールボックスの幾つかをミスった - 1992 と 1993年に送ったメール (それぞれ 12 メールボックス)、そして 1994年の 7 つのメールボックスである。これは辛い話ではあるが、Eudora Mailbox Cleaner はこれらを正常に変換してくれているので、私としては両方の強さを一緒にすることは可能である。
EudoraExport が行ったと言っていることが本当になされたのか確かめるため、私は Unix メールボックスファイルのフォルダを Apple Mail にインポートしてみた。そこでわかったことは、メッセージのステータスやラベルは保持されなかったが、添付書類はメッセージと正しく関連付けられていることである。私はまたその Unix メールボックスファイルを他のプログラムにも成功裏にインポートすることが出来た。この結果から、もしあなたが Unix メールボックスファイルを希望なら、EudoraExport を最善のオプションに挙げたい。勿論、Eudora Mailbox Cleaner も試して、その結果を比較するというのは悪い話ではない。
Emailchemy -- 次は Weird Kid Software の Emailchemy である。これは未だ開発中のものである。市販アプリケーションとしては $29.95 の値段であるが、無料のデモもある。但し変換されたメールでは Sender と Subject のフィールドが変えられてしまう。
私があまり多くない数のメールボックスを投じた時、Emailchemy はそれらを Unix メールボックスファイルに変換はしたが、添付書類 (保持すると言っているのに)、メッセージステータス、或いはラベルも保持しなかった、Eudora Mailbox Cleaner はしたのにである。これは理想的とは言えないが、かといって致命的という程でもない。しかし、私が全部の Eudora Folder を投じたら、途中まで行って止まってしまった。
Weird Kid Software の Matt Hovey は二つの役に立つ示唆を提供してくれ、その一つはこのクラッシュの問題を解決した。最初のは、もし Emailchemy の Logging 設定で Write Conversion Log を Shift を押しながらクリックすると、それはデバッグモードに入りそしてもっと詳細なログを書き出すので、場合によってはどこでクラッシュするのかを見つけ出す手助けになる可能性もある。けれどもこれは、二つ目の示唆のおかげで結果的には必要がない事となった、と言うのも個々の Eudora メールボックスのための見出しを無視するための設定が Emailchemy の Eudora 設定にはオプションとしてあったからである。デフォルトでは、Emailchemy は見出しに注意を払うので、メールボックスを圧縮する際に除去されていない削除されたメールをとばすことが可能となる。しかし一方ではより破損しやすくなるという短所もあって、事実、私が Emailchemy に目次を無視するように言った後には、私の Eudora アーカイブ全部を成功裏に変換出来た。
興味深いことには、このうまく行った場合は、Emailchemy は添付書類も正当に変換しただけでなく、より多くのメッセージを変換したと言ってきた - 971,705 - EudoraExport や Eudora Mailbox Cleaner よりも多い。この違いがどこから来ているのかを知る術は無い、とりわけこのデモ版での曖昧にされた Sender と Subject フィールドをもってしては、その結果を他のユーティリティと十分に比較することは殆ど不可能である、と言うのも異なる変換を通ったものの中で同じメッセージを見つけ出すのは困難だからである。Hovey は私にライセンスを提供してくれることは無かったので、私はデモ版でテストするしかなかった。
Emailchemy は、単に Eudora から Unix メールボックスファイルに変換することに留まらない。多くの異なるメールプログラムからの選択されたメールボックスを色々なフォーマットへと変換することが出来、私が取り上げた変換プログラムの中では群を抜いて最も柔軟性に富むものとなっている。これらのフォーマットの一つを使えば、ローカル専用、読み取り専用の IMAP サーバーのためのソースとすることが可能となるので、変換メールを如何なる IMAP 対応のメールプログラムにインポートすることも出来る。もし Google Apps の Gmail をお使いなら、Emailchemy は独自の Google Apps アップローダーも持っている;私はこれをGoogle Email Uploader for Mac と比較するための Google Apps アカウントを持っていない。最後に、Emailchemy は三つのメール関連のユーティリティを提供している:大きな Unix メールボックスファイルをより小さな塊に分けるもの、あなたのメールボックスファイルからメールアドレスを取り込んでくるもの、そして Mac OS X 10.5 Tiger で導入された Apple Mail 1.0 から Apple Mail 2.0 へのアップグレードで取り残された不必要なファイルを整理するものである。
Hovey は、Eudora からのメール変換にはまず無料のオプションを試す - Eudora Mailbox Cleaner, EudoraExport, そして Apple Mail に内蔵されたインポーターすらも - そしてそれらでは満足が得られない場合にのみ Emailchemy を考えてみることを勧めると私に語った。彼が言うには、Emailchemy は、破損したメールボックス、非英語のメッセージを含むメールボックス、複数のバージョンの Eudora からのメールボックス、そして正常さからかけ離れている何かを持っている場合には他のものより良い結果を出せるかも知れないという。更に、そしてこれは重要である、Emailchemy は 10.7 Lion で動作する、一方 Eudora Mailbox Cleaner と EudoraExport は両方とも 10.6 Snow Leopard に限定される。従って、もうすでにアップグレードしてしまっていて、そして Apple Mail の Eudora インポーターは使いたくないというのであれば、Emailchemy を検討されたい。
Aid4Mail -- 最後に、異なるオペレーティングシステムの事で、何人かの人が私に Aid4Mailを推薦してきたが、これは Windows でしか走らないし、私はこのことのために仮想化プログラムを立ち上げる程にまで絶望的ではない。私がここでこれを取り上げるのは念のために過ぎない。また、私にはここで取り上げた他のプログラムが Eudora の Windows バージョンからのメールではどうなのかは全く分からない; 行の終わりを変換するのはそう難しいことではないので Windows Eudora ファイルは Mac Eudora ファイルと同じであるが、もし Windows をもう既に使っているのであれば、Aid4Mail は検討に値するかもしれない。
選ぶ -- 正直言って、私はこれを書いていてその可能性の多さに身がすくむ思いをした。結論を言えば、いったん私の全 Eudora アーカイブを扱える様になれば、DEVONthink Pro Office が電撃的速さの検索を提供するやり方が私には最もありがたかったと思える、添付書類を取り戻すのには失敗したにも拘らずである。メール蓄積だけのために心底からお勧めするには価格が高すぎるが、色々な他の種類の情報も蓄積するのであれば、これは良好なそして強力なプログラムであり、私としては広範囲な利用のためになら喜んでお勧めしたい。
しかしながら、今では私の全ての Eudora アーカイブが Apple Mail の中にあるので、とりあえずそれはそのままにしておこうと思う、万が一どこか他の所に移動したいと思う時に備えて。私は Eudora Mailbox Cleaner (こちらは添付書類とある程度のメールステータスを保持した) か或いは Eudora OSE の EudoraExport (こちらはメールステータスは保持しなかったが、添付書類とどうも約 120,000 も多くのメッセージを余分に取り込んだらしい) のどちらかから作成された Eudora アーカイブを使うつもりである。私は Apple Mail のファンではないが、その将来は保障されているし、それにこれを使うのはこのメールアーカイブにアクセスする必要がある時だけである。
しかしながら、あなたの場合は私の元々の質問に戻ってみることをお勧めする - あなたのメールを現在のメールクライアントの中に取り込みたいのか、或いはメールアーカイブプログラムの中にか? もし前者であれば、あなたの仕事はその変換を実現することに絞られる;もし後者であれば、どのアーカイブプログラムがあなたのニーズに最も合うのかを決めなければならない。
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文: TidBITS Staff <[email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
1Password 3.9 と 3.8.5 -- AgileBits が 1Password 3.9 をリリースした。(バージョン番号では小さいジャンプだが)このパスワード管理ソフトウェアにいくつかの新機能を追加した大きなアップグレードだ。このバージョンは、Mac App Store からしか入手できず、Mac OS X 10.7 Lion の上でしか走らない。Mac App Store における Apple のルールに従い、AgileBits は従来の独立動作バージョンからバージョン 3.9 へ直接アップグレードする方法を提供できない。つまり、既存の顧客も新しいバージョンをそのまま購入する以外にない。この不都合を埋め合わせるため、AgileBits では現在バージョン 3.9 を $19.99 というセール価格で販売している。(これは 50 パーセント割引で、従来のアップグレード価格よりも安い。)これを購入すれば、現在開発中のメジャーな新バージョン、バージョン 4.0 にも無料でアップグレードできる。バージョン 3.9 におけるその他の注目すべき機能としては、Lion のフルスクリーンモード、Launchpad、アプリケーションのサンドボックス化に対応したこと、64-bit 対応、よりセキュリティの高い PBKDF2 Calibration、それからログインやその他の 1Password 機能へシステムワイドに手早くアクセスできるメニューバーアイコンの新設などがある。Mac App Store への移行により数多くの質問がユーザーから寄せられたので、AgileBits はブログ記事 と フォーラム上の FAQ によりそれらの質問に答えている。これと並行して、同社はまだ 10.6 Snow Leopard を走らせているユーザーや、Mac App Store に移行したくない既存のユーザーのために、1Password 3.8.5 というマイナーアップデート版もリリースした。バージョン 3.8.5 には WebKit 互換性(これは現在のところバージョン 3.9 にはまだない)が追加されるとともに、1Password がアプリケーション自体とは別途にブラウザ拡張のみをアップデートできるようになって、今後 3.8.x に留まるユーザーも将来のブラウザ版との互換性を保てるようになった。(バージョン 3.9 は半額の $19.99 セール価格、バージョン 3.8.5 は無料アップデート、9 MB)
1Password 3.9 と3.8.5 へのコメントリンク:
Security Update 2011-005 -- 認証機関 DigiNotar における最近のセキュリティ漏洩を踏まえ、Security Update 2011-005 が出た。信用できるルート証明書の一覧および EV 証明書 (Extended Validation Certificate) 認証局の一覧から DigiNotar を削除し、DigiNotar の証明書 (その他の認証局から発行された証明書も含む) を信用しないようデフォルトのシステムの信頼設定を変更している。(詳しくは次の項目 "Firefox 6.0.2" (2011 年 9 月 8 日) の中にあるリンクを参照。)今回のリリースには Mac OS X 10.6 Snow Leopard 用と 10.7 Lion 用の双方があり、Mac OS X と Mac OS X Server の双方をアップデートする。(無料、Snow Leopard 用 869 KB、Lion 用 15.59 MB、リリースノート)
Mac OS X Security Update 2011-005 へのコメントリンク:
Firefox 6.0.2 -- Mozilla が Firefox 6.0.2 をリリースして、DigiNotar の発行した新たな SSL 証明書を無効化した。Mozilla のブログ記事によれば、オランダの認証機関 DigiNotar がイラン人のハッカーによって不正な SSL 証明書を発行するために利用されたが、ここはオランダ政府の用いるいくつかの証明書も発行していた。オランダ政府は当初の調査の結果それらの証明書が以前と同様信頼できると述べたので、Mozilla は Firefox 6.0.1 で DigiNotar のルート証明書を無効化した際にそれらを無効化から除外していた。けれども DigiNotar を監査した結果、オランダ政府は当初の信頼できるという判断を撤回したので、Mozilla は今回 Firefox ですべての DigiNotar 証明書を無効化した。Google は Chrome をアップデート(これは自動的に適用される)したし、Apple も Security Update 2011-005 を出して Safari ユーザーを保護した。(あなたがまだ Apple のアップデートを適用できない状況にいる場合、あなたの基本キーチェーンから DigiNotar 証明書を削除することも可能だ。)Firefox ユーザーは、必ず 6.0.2 にアップデートして、これらの不正な証明書に基づいた実在の攻撃を受けないようにしておくべきだ。(無料、28.1 MB、Firefox 6.0.2 リリースノート)
Parallels Desktop 7 -- Apple から Mac OS X 10.7 Lion の最初のリリースがあってから一月半遅れて、Parallels Inc. から仮想化ソフトウェア Parallels Desktop のバージョン 7 がリリースされた。90 以上の新機能を謳っている今回のアップデートには、Windows アプリケーションを Launchpad や Mission Control で扱えるようにし、Windows アプリケーションもフルスクリーン対応にするなど、Lion 対応機能が盛り込まれている。また、このアップデートには新しいルック&フィールの採用、仮想プリンタの改良、Mac OS X 仮想セッションと Windows セッションの双方での iSight および FaceTime カメラ対応、7.1 サラウンドサウンドと新しい 5.1 サウンドドライバへの対応、より高速のネットワークアクセス、グラフィックスのパフォーマンス改善、電源管理の向上 (ラップトップユーザーにとってはバッテリ寿命の向上)、それから新たにリリースされた Parallels Mobile アプリからの仮想 Windows および Mac OS X セッションへのアクセスなどもある。(新規購入 $79.99、アップグレード $49.99、student 版 $39.99、2011 年 8 月 1 日以降に購入した場合は無料アップデート、275 MB)
Parallels Desktop 7 へのコメントリンク:
文: TidBITS Staff <[email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
今週はまたいくつか重要なニュースを紹介しよう。Project Gutenberg の創始者が亡くなったという悲しい知らせがあり、Preview であなたの署名を取り込めるテクニック(PDF 書類に署名を入れられる)の解説と、PR 担当者のためのガイド、未だに説明のつかない iTunes のセキュリティ漏洩、それから最新の AirPort ベースステーションではパフォーマンスが改善されているという報告もある。
Project Gutenberg 創始者 Michael S. Hart 逝去 -- 2011 年 9 月 6 日の火曜日に、Michael S. Hart が 64 歳で亡くなった。Hart は多くの人たちから電子ブックを発明した人として知られ、評価も高く有名なオンライン図書館 Project Gutenberg の創始者でもある。電子的出版の多くの先駆者たちにとって、Hart の生み出したものこそが創造的駆動力となったと言っても過言ではないだろう。私たちは皆、彼にこの上なく大きな恩義がある。
あなたの署名を Preview で取り込もう -- Mac OS X の Preview アプリは、一見ごくシンプルな PDF ビューワーに過ぎないようにも見えるが、あなたの署名をスキャンして書類の中にそれを追加できることをご存じだろうか? 新しく「注釈」バーに追加されたツールを使えば、あなたの署名を Mac 内蔵の iSight または FaceTime カメラで写真に撮ることができる。TUAW の Chris Rawson が手順を説明する。
Chris Breen が PR の失敗例を語る -- 私たちと同様に、Macworld Senior Editor の Chris Breen も普段から大勢の PR (public relations, 広報活動) 担当者たちとやり取りしているが、彼らの多くはどうすればジャーナリストたちと効率的につき合えるかという点に関して非常にずれた感覚を持っている。今回 Chris は、PR 担当者たちに向けて手軽なガイド記事を書いた。彼の思慮深いアドバイスは、誤った行動に陥ることの多い点を鋭く突いている。例えば数分間調べてみれば役に立つとか、私たちは別にあなたの CEO と話したい訳じゃないとか、Windows 専用の製品を Mac 出版の人に宣伝しても無視されるだけだよ、とかいった具合だ。
iTunes アカウントへのハックを追跡する -- Macworld の Lex Friedman が、iTunes アカウントを持つ何人かの人たちが自分のアカウントの中でギフトカードやその他のクレジット残高から少額が引き出され、それでいてパスワードはセキュアのままであるのはいったいどういう訳か、調べようと試みる。これは確かにミステリーで、Lex によればまだ答は見つかっていない。
新型 AirPort Extreme と Time Capsule がスループットを改善 -- ハードウェアサイトの AnandTech が、第5世代 AirPort Extreme ベースステーションと第4世代 Time Capsule について詳細なレビュー記事を出した。9 ページにもわたるこのレビューを全部読む気にはならないかもしれないが、最後の部分は特に読む価値がある。著者の Brian Klug は内蔵ハードウェアが (Marvell から Broadcom に) 変わったことによってこれらの新機種ではスループットと電波到達範囲がともに改善されたことを説明している。
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