TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1102/07-Nov-2011

この 11 月の National Novel Writing Month イベントを機会に小説を書いてみたい? ならば、Scrivener から無料で出た NaNoWriMo トライアル版を試してみよう。私たちの本 "Take Control of Scrivener 2" も大きく値引きされているので参考にして頂きたい。また今週は Matt Neuburg が Lion ユーザーに向けて、TinkerTool を使えば Apple の苛立たしい変更点のいくつかを元に戻せると指摘し、Rich Mogull は誤って自分の iCloud データをすべて消去してしまい、やむを得ず普通でない復旧手段を探し出さねばならなかった体験談を語る。それから今週は DealBITS 抽選で Tom Bihn の最新の Apple 用ラップトップバッグが賞品となる。最後に、Adam がさまざまのリリース日を調べ上げて、Apple がどの程度の期間にわたり Mac や iOS デバイスと新しいシステムソフトウェアとの互換性を保っているかを調査する。その結果にはきっとあなたも驚かされるだろう。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Adobe Photoshop Elements 10 Editor、Premiere Elements 10 Editor、Sandvox 2.2、それに Aperture 3.2.1 だ。

記事:

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Scrivener の NaNoWriMo '11 トライアル版登場

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

11 月 1 日は、今年の National Novel Writing Month、つまり NaNoWriMo の初日であった。今月中に 50,000 語以上の文章を書くという目標の下に(その目標に達した暁には、月末までにあなたの小説が出来上がっているかもしれないし、そうでないかもしれない、ここでは内容の品質が要件ではないのだから)世界中から集まった何万人という人たちの中に、もしもあなたも加わっているのなら、Literature & Latte 社が特別に今回のイベントのため専用に作った NaNoWriMo '11 トライアル版の Scrivener を無料で提供していることをお知らせしたい。(この NaNoWriMo について詳しくは、Macworld の Editorial Director でありこの執筆イベントを運営する非営利団体 Office of Letters and Light の取締役でもある Jason Snell の書いた記事 "Write a Novel in 30 Days with NaNoWriMo" を参照。)

他の多くのワードプロセッサとは違い、Scrivener は小説、脚本、エッセーなど、長い文章を執筆するためのものとしてデザインされている。調べものを集めて整理するための多岐にわたるツールや、文章の構成を組み立てるためのテンプレート、さらには EPUB、Word、PDF、HTML、Mobipocket を含むさまざまな書き出しオプションなどの機能を備えている。(実際これは非常に便利なものなので、私たちは Kirk McElhearn の $10 の電子ブック "Take Control of Scrivener 2" を出版している。また、この 11 月の末まで、その本と Michael Cohen の "Take Control of TextExpander" との二冊を 50 パーセント引きでセール中だ。)

Literature & Latte は通常同社の執筆用ソフトウェアの 30 日間有効トライアル版を提供しているが、今回のバージョンは特別に 2011 年 12 月 7 日に有効期限が切れるように変更されているので、NaNoWriMo に参加した人たちが文章の提出期限の 11 月末より以前にソフトウェアが機能しなくなる羽目に陥ることがない。さらに、月末までに 50,000 語以上という要件をクリアした NaNoWriMo ライターたちは、このソフトウェアを定価の $45 (Mac 版の値段、Windows 版は $40) から 50 パーセント引きで購入できるようになる。それ以外の人たちもチェックアウトの際にコードを入力すれば 20 パーセントの割引が受けられる。

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DealBITS 抽選: Tom Bihn の Cadet ラップトップバッグが当たる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

新しいラップトップバッグを探している方に朗報がある。シアトルに本社を置く Tom Bihn 社が、Apple 製のラップトップ機と iPad、さらに雑誌やファイル、用紙類、ペン、ノート、小型のアクセサリなどを、まとめて持ち運びするため専用にデザインされた新型のバッグを出した。Cadet という名のこのバッグには、二種類のサイズがある。15 インチ/13 インチ用と、11 インチ/iPad 用だ。いずれにも取り外し可能なラップトップスリーブ、Cadet Cache が付属し、前者には 15 インチ MacBook Pro、13 インチ MacBook Pro、MacBook Air、MacBook に適したスリーブが、後者には 11 インチ MacBook Pro または iPad に適したサイズのスリーブが付く。外側からアクセスできる三つのコンパートメントがあり、内部のポケットが合計六個、それ以外に外側にオープントップのポケットが一つと、ショルダーストラップが付いている。

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詳細を羅列するとまるで James Bond の映画から取ってきたかのように聞こえるが、この Cadet バッグは 1050d の 米国製 ballistic ナイロンで作られ、裏地は日本製で超軽量の Dyneema/ナイロン混紡だ。さらに、iPhone 用ポケットの裏地は Ultrasuede[訳者注: 東レ製の人工皮革のブランドで、日本でのブランド名はエクセーヌ]、ジッパーは YKK 製の防滴 Uretek だ。サイズによって、重量は 1.6 ポンド (725 g) から 2.1 ポンド (945 g) までの間だ。(もちろんあなたが中に入れるギアの重さはこれに含まれない。ラップトップバッグの重さについての考察、2011 年 5 月 21 日の記事“ラップトップバッグは、なぜそんなに重いのか”を参照。)永久保証が付いており、シアトル製だ。カラーバリエーションには Black/Steel、Black/Iberian、Steel/Solar、Forest/Steel、Navy/Solar、Cardinal/Steel などがある。これらの原色っぽい名前が実際はどんな色なのかについては、Cadet のウェブページをご覧頂きたい。

一つ、特に素敵な機能がある。Cadet は、空港のセキュリティを通る際のチェックポイントでの使い勝手に考慮が払われている。Cadet Cache スリーブの下の端が Cadet に結合されているので、ラップトップ機をスリーブの中に入れたままバッグから引き出した状態で、そのまま Cadet から取り外さず X 線検査を受けることができる。

だから、今回の賞品となる Tom Bihn Cadet (定価 $170 相当) が欲しい方は、どうぞ DealBITS ページで応募して頂きたい。いつも通り当選しなかった方々への特典も用意させて頂くつもりだが、今回はすべての TidBITS 読者を対象とした特典とはならないので、ぜひ奮ってご応募を! 寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PST, 13 November 2011 まで、つまり日本時間で 11 月 14 日(月曜日)の午後 5 時頃までとなっています。]

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Lion でフラストレーション? TinkerTool をお忘れなく

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

正式に公開されていないやり方でシステムをいじることについては、私たち TidBITS ではどちらかと言えば慎重な立場をとっている。結局のところ、あなたのシステムは、そのコンピュータ全体を動作させる システム として機能している。知らずにそれを壊してしまうことをあなたは望んでいないし、私たちとしてもそんなことを起こすような可能性のある助言をあなたに示したくはない。それに、正式に公開されていないいじり方は 正式に公開されたやり方ではない ので、いつ何時 Apple がそれを無効にしてしまうかを知ることができない。(実際 Apple がそのようにしたことは何度もある。実例としては、例えば 2008 年 9 月 29 日の記事“Leopard のスクリーン共有が隠し機能を喪失”参照。)

けれども、時として Apple は私たちを抜き差しならぬ状況に追い込んでしまうこともある。つまり、あまりにも露骨に気に障るような、さらにはどうにも正気とは思えないようなことをするシステムを作り出して、それを見た私たちが、いくつかの神秘的な、しかしながら正式には公開されていない、コマンドラインの呪文を唱えて修正してはどうかと皆さんに助言したい気持ちを抑え切れなくなるのだ。例を一つ挙げれば、Mac OS X 10.5 Leopard になって半透明のメニューバーが登場した際に、私はどうにも仕事ができなくなってしまった。それを再び不透明に戻すための技を発見したとき、私は飛び上がって喜んで、その方法を皆さんにお伝えした。(2007 年 11 月 16 日の記事 "Transparent Menu Bar, Die Die Die!" 参照。)その後 Apple は自らの誤りに気付き(たまにはそんなこともある!)同じことをするための公式のインターフェイスを提供し、それが今日まで続いている。もう一つ例を挙げるなら、10.7 Lion が道を踏み外してユーザーの Library フォルダを不可視にしてしまったとき、Adam は即座にそれをもう一度見えるようにするための技を皆さんに説明した。(2011 年 7 月 20 日の記事“Lion の隠れた Library に対処”参照。)

正式に公開されていないシステム調整をしようという場合、私が思うに、多くのユーザーの望むことが二つある:

もしもあなたが上記のような感じ方をしているのならば、そんなあなたにぴったりの方法がある。Marcel Bresink のフリーウェア TinkerTool をダウンロードするのだ。TinkerTool は、見事な仕上がりのウィンドウ一つのアプリケーションで、そのウィンドウに一連のパネルを提示する。ちょうどシステム環境設定と同じ感覚だ。それぞれのパネルにはチェックボックスやその他のインターフェイスが提供され、あなたのシステムの中の、あるいは Apple が提供したいくつかのソフトウェア、例えば Finder や Safari などの中の、正式に公開されていない内部のスイッチが切り替えられるようになっている。あなたが使っている特定のシステムとそのバージョンに応じてそれらのパネルの内容が自動的にカスタマイズされるようになっているので、常にあなたの環境に応じたオプションのみが並んでいる。そして、私たち TidBITS と同じく、慎重な立場からオプションの選択がなされ、安全で便利と分かっているオプションのみが提供される。

あなたのために TinkerTool にどんなことができるかを知りたければ、オンラインに 10.6 Snow Leopard と 10.7 Lion それぞれにおける TinkerTool のオプションのリスト があるので参照して頂きたい。例えば、私の場合は「Dock の3次元ガラス効果を無効にする」というオプションを常にチェックしている。これで、Dock をスクリーンの下の端に沿って置いたままでも、スクリーンの左右の端に置いた場合に自動的に採用されるものと同じ、コンパクトで気持ちの良い見た目が確保されるようになる。Snow Leopard やそれ以前では、私は常に「すべてのスクロールバーでスクロール矢印を両方ともバーの両端にまとめる」をチェックして、スクロールバーの両方の端ともに上と下の矢印が両方表示されるようにしていた。(Lion では、スクロールバーにスクロール矢印ボタンがないので、このオプションはもはや適用できない。)それから「滑らかな文字のスタイルと範囲をコントロール (CRT や LCD に最適化)」のオプションのお陰で、多くのシステム世代を通じて私の目の疲れが癒されてきた。なぜなら、システムにあるバグのせいで私の LCD モニタが LCD と認識されず、そのため Apple 自身のシステム環境設定パネル (アピアランス または 一般) では滑らかな文字とする度合を増やしてテキストを読みやすくすることができなかったからだ。TinkerTool にはそれができる。

特に Lion については、考慮に値するいくつかの設定を皆さんにお薦めしておきたい:

このようなシステム調整の手段を提供しているのは TinkerTool だけではない。他にも、TinkerTool と同種のことをするアプリケーションはいくつかある。設定項目によっては、そちらのアプリケーションの方がより良いインターフェイスを提供することもある。例えば、アプリケーションごとに再開機能の設定を変えたい場合、私は Erica Sadun の Resuminator を使う方が好きだ。また、他のアプリケーションでグラフィカルなアクセス方法が提供されているけれども TinkerTool にはそれがない、という項目もある。例えば、Lion Tweaks を使って、AirDrop をサポート外のハードウェアでも有効にしたり (Macworld 記事で Glenn Fleishman が説明したトリックに対してグラフィカルなインターフェイスが提供される)、iCal や Address Book のレザー風アピアランスを無効にしたり (ただし、この設定はそれらのアプリケーションの内部にまで踏み込んで手を出すものなので私としてはあまりお薦めしたくない) する場合だ。

それでも、やはり私はいつも、内部をいじるためのコントロールパネルの第一候補として、自然と TinkerTool を選んでいる自分自身に気付かされる。これは、Mac OS X の初期の時代以来ずっと私が使ってきたユーティリティであり、まだ試してみたことのない方々にも積極的にお薦めできるものだと思う。こんな単純なことで、Mac の使い勝手ががらりと変わり、ずっと気持ち良く、ずっとパワフルに働くようになったと気付いて、心から驚かされるかもしれない。

TinkerTool のダウンロードサイズは 1.5 MB だ。現行バージョンは Snow Leopard または Lion を要するが、旧バージョンも名前を変えて別途のアプリケーション (TinkerTool Classic および TinkerTool Classic Generation 2) として入手できるので、Leopard やそれ以前のシステムをお持ちの方はそちらを入手されるとよい。

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どうしたら iCloud データを失い、復元出来るか?

  文: Rich Mogull <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は私のシステムの殆どを同じ日に iCloud に移行したのだが、仕事上のプロジェクトのためにたまにしか使わないラップトップ一台が遅れをとってしまった。このシステムをアップデートする時間がようやくとれた時、私は一つの重大な間違いを犯し私のカレンダー全てを、私の無くてはならない仕事用カレンダーもそこには含まれている、永久に失いそうになった。しかし多少の試行錯誤を繰り返した結果、この危機状態からどうにか抜け出すことが出来た、そしてその過程で全ての iCloud ユーザーの回復キットのための有用なやり方を発見した。

試行錯誤... そして錯誤 -- 私の最初の間違いは完全に回避出来るものであった。このラップトップを Mac OS X 10.7 Lion にアップデートした後で、私は System Preferences を開いて iCloud への移行を始めた。このコンピュータはそれまで MobileMe にリンクしていたので、私は私のデータを統合するオプションを選んだ。昔の MobileMe の時は手元のデータを MobileMe に蓄えられたデータで置き換えることを選択することが可能であったが、iCloud ではこの選択肢は与えられていない。他のコンピュータではこの同じやり方を選んでいたので、この時も重複は避けた方が良いと思い、先に進んだ。

私はこの Mac をバックグラウンドで走らせたままにして仕事に戻った、そして少ししてから状況を確かめるべく戻ってみたらカレンダー項目全てが重複していることに気付かされる羽目となった。iCal でカレンダーのリストを見てみると、MobileMe iCloud の両方に対するカレンダーが見えた。どう見ても二つのカレンダーが並行して走っている様であった。

私はこれについて、私の他のコンピュータとは違い、このコンピュータは古い MobileMe データを保持したまま iCloud にもつながっているのであろうという間違った解釈をした。これが重大な間違いを犯した時なのである... 私は MobileMe に載っているカレンダー 全て を消した。

直ちに iCal はより幸せそうに見えた、全ての重複分は消えそして他の機器のカレンダーもマッチしていた。しかし数分の内に私の間違いの影響力の大きさを実感することとなった、私の全てのカレンダーが、全ての機器から、同時に消え去ってしまったのである。会社のカレンダーサーバーを持たない身としては、これが意味することは、何年にも及ぶ過去の予定、そしてこの先何か月にも及ぶ予定、全てが消えてしまったのである。一人の同僚が Twitter に載せた様に "@rmogull は存在せず。iCloud はのたまった。"

私はバックアップはきちんと取っているので、Time Machine から復元出来るであろうと思った。数分の内に私のカレンダーは正常に戻った... そして数秒後にそれは全て再度消え去ってしまった。私は思った、"これは深刻だ" と。

iCloud は MobileMe ではない -- MobileMe の時代であれば、この問題は大事ではなかったであろう。MobileMe (そしてその前は .Mac) ではそれぞれの機器が自分固有の権威元であった。データは全ての機器にわたって同期されるが、同期の衝突を経験した人はそれが分かる様に (実質的には 誰もが)、個々の機器はそれ自身のデータは保有しそして独自の判断をした。

と言うことで、間違って一つのカレンダーを消去したとしても、そのデータをまだ保持しているどの機器からでも再同期しそしてそれをあなたの他の全ての機器にまで伝達できる。全ての機器から全てを消去したとしても、そのうちの一つの機器にデータを復元できれば、それを他の機器にも送ることが可能となる。

しかし iCloud は全く異なる仕組みを用いている。iCloud が全ての機器上の全てのデータに対する 権威元 なのである。手元のコピーは常にクラウドに存在しているものを反映している。このやり方だと劇的に同期エラーを減らしそして一貫性と確実性が向上する。しかし、これには失うものもある - 万が一 iCloud のデータを失うと、それはもう永久に戻らない。そして私には驚きだったのだが、iCloud 内でのバックアップは存在しないので、以前の状態に戻す方法は無い。これは Dropbox の様なクラウドサービスとは異なっている。これらのクラウドサービスはクラウドサーバー上に蓄積されたもの全てをバックアップしており、Web インターフェースを使って選択的に復元もさせてくれる。

(想像するに Apple はサーバーハードウェアの故障に備え iCloud データを何らかの方法でバックアップ又は複製しているのであろう; ただユーザーがそのバックアップデータにアクセスする方法は存在していない。)もし私がやった様な方法でデータを復元しようとすると、iCloud はそれをクラウドにある権威を持つバージョンとは合っていないと見做し、それを戻してやる度に除去してしまう。その理由は、データを復元する時 Time Machine の様なツールを使うと、通常我々自身は直接関わらないファイルメタデータ全ても復元するので、このメタデータが iCloud に対してそれはクラウドバージョンよりも古いものであると言い、結果として手元のデータは次々と消し去られるのであろう。

どうやって取り戻したか -- 更にもっと試行錯誤を続けた後、私はより複雑な過程を試みたのだが、正直言えば、少々神経質にもなった。データを直接復元するのは成功しなかったが、古いカレンダーは間違いなく持っていた。iCloud から切り離し、データを復元、そして再接続してもダメだった、何故ならば iCloud は相変わらず復元されたデータを新しくないと見做し取り除いてしまうからであった。

鍵は iCloud から切り離し、カレンダーを復元し、_iCloud からは切り離したままにし_、カレンダーをエクスポート、iCloud に再接続、それからエクスポートしたばかりのカレンダーをインポートする事であった。より詳しく説明すると:

  1. System Preferences > iCloud に行き iCloud からサインアウトする、これによって 全ての iCloud データはその機器からは削除される (ドキュメント、連絡先、メールも含まれる)。しかし心配ご無用、全ては Apple のデータセンタに安全に残っている。

  2. Time Machine (又は好みのバックアッププログラム) を用いて失ったデータを復元する。私の場合、これは ~/Library/Calendars であった。(Lion では Library フォルダはデフォルトでは隠れている;Time Machine を立ち上げる前に Finder で Option を押したまま Go > Library を選択する。或いは、サードパーティツール又はコマンドラインを使って見えるようにも出来る;"Lion の隠れた Library に対処" 20 July 2011 参照)。

  3. そのデータを使用するアプリケーションを開く(私の場合は iCal)。次にデータをエクスポートする。カレンダーの場合、カレンダー全体を .ics ファイルとして iCal File > Export > Export を使ってエクスポート出来る;私は私のカレンダーを Desktop に保存した。(iCal はまた iCal Archive をエクスポートするのもサポートしているが、私はそれを試していない。) 他のアプリケーションは - Address Book から連絡先をエクスポートする様な - 別のやり方を必要とするであろう。

  4. System Preferences に戻り iCloud に再度サインインする。

  5. あなたのデータが再度消えていくのを眺める。クラクラする、悪い意味で。

  6. 新しい iCloud カレンダーをあなたの古いものと同じ名前で作る (私は一つの名前を持っていたが iCloud が勝手に変え続けてくるので、殆ど同じな新しい名前を選んだ。これはどれ程性急に私がこれらの変更をしていたかを示しているのかもしれない)。これから後のステップについては、iCal に焦点をあてて行くが、他のアプリケーションについても似た様なやり方で大丈夫なはずである。

  7. あなたの Desktop 上にあるカレンダーファイルを 新しい、空っぽの iCloud カレンダー にインポートする。もしこのカレンダーをそのための iCloud ホームを生成すること無しにインポートしようとすると、手元にだけインポート出来るが、iCloud までは届かない。

  8. 共有カレンダーは再共有し招待状を送出する。私は仕事のカレンダーは同僚と、家庭の方は妻と共有している。私が最初に私のカレンダーを消した時、私は彼らのシステムから消えていた (これで同僚のつぶやきが起動された)。

  9. 皆にあなたに招待状を再度送る様依頼する、そうすればあなたからも彼らのカレンダーが見えるようになる。ええ、確かに私は私の共有カレンダーは消去したが、幸いなことに (私は書き込みアクセスは持っていたが) これは 私の アクセスだけを消したのであり、同僚の未来の予定までは消していない。

この全過程はそれ程時間を必要とするものではなかったが、これらのカレンダーにどれだけ大事な情報を私が貯めていたのかを考えると神経がすり減るようであった。私がこの苦労話を載せた後、仲間の TidBITS スタッフ Michael Cohen は書いてよこした:

私が私のカレンダー設定に大きな変更を加える時、何時もすることはまず iCal データをエクスポートする事である。こうしておけば、私が思考停止に陥ったり或いは他の不幸な出来事に遭遇しても iCal (しかして iCloud) を私のデータで満たすのはずっと易しくなる。

なんと素晴らしい考えだろう! 私はこのやり方を AppleScript を使って自動化し私のカレンダーの非 iCloud バックアップを作成出来ればと願ったが、残念ながら iCal エクスポート機能は AppleScript からはアクセス出来ない。私は、今回のことを教訓に、将来 iCloud で何かを大幅にいじる前には大事なデータのバックアップコピーを手動でエクスポートするのを忘れないようにしようと思う。

iCloud データは MobileMe の時よりもリスクが大きくなっているわけではないが、一旦 iCloud から消してしまえば、それは元の所からも消えることであり、復元は昔よりもずっと困難であるのは間違いない。そしてあるべき姿よりもである。

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Apple が予定するオブソリート化スケジュール

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

熱心な Mac ファンたちの間で長年来の定説であったのは、Mac は同レベルの Windows ベース PC に比べて価格が高いかもしれないけれども(他のいろいろな利点に加えて)長い年月にわたって実用に使える、という主張だった。私も確かにそのような主張を口にしたことを白状するし、その根拠として私は自分の SE/30 (1991 年に SE からアップグレードしたもの) を 2001 年までずっと現役マシンとして使い続けたことを挙げていた。2001 年に至り、当時既に 5 年間使っていた Performa 6400 がその SE/30 の役割を引き継いだ。

とは言うものの、ハードウェアの寿命、すなわち実際のハードウェアがその当時のソフトウェアを使ってどれだけ長期間にわたり機能し続けられるかは、ソフトウェアの互換性を保たなければならない必要からその意味を弱めつつある。特にネットワークされたソフトウェアがある場合、それが無視できなくなる。長年の間、古くなった Mac は新しくて非互換なシステムアップデートが出た後も引き続き役に立っていた。なぜなら、コンピュータが他のコンピュータから比較的孤立していたからだ。ファイルフォーマットが互換であり続ける限り、古いマシンを使い続けても不都合はなかった。ネットワークで結ばれたソフトウェアが重要となる最初の前兆が見え始めたのは、ウェブブラウザであった。古いバージョンのウェブブラウザでは、最新のウェブデザインテクニックを用いたウェブサイトが必ずしもロードできるとは限らなかったからだ。

けれどもウェブブラウザの互換性など、Apple が iCloud で引き起こした互換性の問題に比べれば何でもない。iCloud は Mac OS X 10.7.2 Lion と iOS 5 でしか動作しないというのだ。唐突に、古い Mac や iOS デバイスで Lion や iOS 5 と互換でないものがすべて、クラウドの中での生命線を断ち切られてしまった。それらがいかに他のソフトウェアをきちんと走らせていようと、たとえ最新のウェブブラウザを走らせていようとお構いなしに。要するに、ハードウェアの有効期間が今や Apple という企業の恣意的判断によって決められてしまい、かつてのように Macintosh 業界がゆるやかに古いマシンのサポートから撤退するに応じて有機的に決められていたのとは違ってきている。

そのことで私は考え込んでしまった。Mac OS X や iOS の新バージョンが出る度に、私たちは常にそれと互換なハードウェアが何かについて記事に書いているが、いろいろの異なるオペレーティングシステムすべてを組み合わせて扱ったことはなかった。今回それを調べるために、私は各ハードウェアごとの登場と廃止の日付を記録している MacTracker を引っ張り出し、さらに EveryMac の Ultimate Mac Sort Tool を使ってどの Mac が Mac OS X のどのバージョンによりオブソリート(サービス対象外となること)となったかを調べた。

ここでの目標は、Mac なり iOS デバイスなりを購入した後、どれくらいの期間にわたってオペレーティングシステムのアップグレードを(また、それらの OS バージョンを要するソフトウェアを)インストールし続けられるかという問題に対する答を見つけることだ。特に、私は最短寿命に興味がある。つまり、特定のデバイスをその機種の寿命の終わり近くに購入した場合に、その後どの程度の期間 Apple がサポートしてくれるのか、という点だ。

けれどもその前に、記事を書いてすぐに寄せられたコメントにお答えしておこう。つまり、Apple は以前のバージョンの Mac OS X に対しても (ただし iOS はこれに該当しない) セキュリティアップデートのサポートは続けるのではないか、という質問だ。確かに、Mac OS X 10.7 Lion の時代になっても Apple は 10.6 Snow Leopard 用のセキュリティアップデートを出し続けるだろう。(ただし 10.5 Leopard やそれ以前については出ない。)もちろんこれは歓迎すべきポリシーではあるが、そのことで Mac の機能的寿命が変わるとは私には思えない。なぜなら、あなたが仕事をこなすのはセキュリティアップデートによるのではなくて、機能するオペレーティングシステムと、それに対応するアプリケーションによってするのだから。

Mac OS X -- 調べてみた結果は次のようになった。まずは 10.4 Tiger、これは 2005 年 4 月にリリースされた。Tiger はすべての PowerPC G3、G4、および G5 ベースの Mac に対応し、さらには Intel ベースの Mac で動作する初めてのバージョンの Mac OS X であった。これより前に遡るのはあまり意味がない。なぜなら、それより前のバージョンの Mac OS X も (2001 年 3 月にリリースされた 10.0 も含めて) 初代の PowerBook G3 のみを例外としてすべての PowerPC G3 ベースの Mac に対応していたからだ。

2007 年 10 月に、Tiger は 10.5 Leopard に取って代わられた。この時点で、Apple はいくつか古い機種の Mac を新しいオペレーティングシステムアップデートのインストール対象から外し始めた。特に、Leopard は PowerPC G3 ベースのすべての Mac と、クロック速度が 867 MHz 未満の遅い PowerPC G4 ベース Mac とを棚から一掃してしまった。そのような Mac の大多数は 2003 年 10 月までに製造中止となっていたが、ただ一つの例外は 800 MHz iBook G4 で、これは 2004 年 4 月まで残っていた。というわけで、Leopard は 7 年前にまで遡ってそれ以後デビューしたすべての Mac 機種をサポートしていたけれども、Leopard を走らせることのできない Mac で販売時期が最後のものは Leopard 出荷のたった 3 年半前まで市場を去っていなかった。

次に登場したのが 10.6 Snow Leopard だ。Apple はこれを 2009 年 8 月にリリースした。Snow Leopard において、Apple は砂の上に線引きをして Intel への移行をはっきりと示し、すべての PowerPC ベースの Mac を一掃した。その時点から時を遡ると、iMac が初めての Intel ベース Mac として 2006 年 1 月に登場し、Apple の製品ラインで最後まで Intel へのジャンプを果たさず残っていた Power Mac G5 は 2006 年 8 月まで新製品として販売されていた。(PowerPC ベースの Xserve は 2006 年 11 月まで販売されていたが、これはコンシューマ向け市場を狙った製品ではなかった。)ということは、Snow Leopard の後方互換性はたった 3 年となり、Leopard より一年短い。これは、アーキテクチャー上の変更が巨大であったことを考えれば理解できることとも言える。

10.7 Lion は 2011 年 7 月に登場したが、ここで Apple は初期の Intel ベース Mac のいくつかを歴史の処分場へと追いやった。具体的には、Lion は Intel Core 2 Duo かそれより高速のプロセッサを必要とするので、Intel Core Solo または Core Duo のプロセッサに依存する数多くの機種が蚊帳の外に置かれた。それらの中で最後まで発売されていたのは Core Duo ベースの Mac mini で、販売時期は 2007 年 8 月まで、つまり Lion の後方互換性は 4 年を少し切ることになる。最初に Core 2 Duo システムが発売されたのは 2006 年 9 月で、それらの Mac のアップグレード可能寿命はそれより一年近く長いものとなる。

iOS -- では、iOS はどうだろうか? 古い機種のサポートを切り捨てた最初のバージョンの iOS は iOS 4 であった。これは 2010 年 6 月に登場したが、2007 年にデビューした初代の iPhone や iPod touch では動作しなかった。これらのデバイスを Apple が生産したのは一年間だけで、それぞれ 2008 年 6 月と 2008 年 9 月に生産中止となり、iOS 4 の後方互換性は 24 ヵ月から 27 ヵ月ということになる。

iOS 5 は 2011 年 10 月にリリースされたが、やはり iPhone と iPod touch を振り捨てた。具体的には、iPhone 3G と第二世代の iPod touch だ。(完璧な正確を期して言えば、これらのデバイスはまず 2011 年 3 月の iOS 4.3 リリースで駄目になった。ただ、これは比較的マイナーなアップデートであったので、それを考慮に含めても分析が混乱するだけだろう。)iPhone 3G の生存期間は 2 年間で、2009 年 6 月に Apple が iPhone 3GS をデビューさせた後も低価格版として販売され続けた。その後 iPhone 3G が販売中止となったのは 2010 年 6 月、iPhone 4 が登場した際だ。

同様に、第二世代の iPod touch がデビューしたのは 2008 年 9 月であったけれども、その一年後 2009 年に 16 GB 版と 32 GB 版が中止となった後にも 8 GB 版は販売され続け、2010 年 9 月に Apple が販売を中止するまで 2 年間生き残った。

技術的に言えば、iPhone 3G が新製品として販売されていた最後の日付から数えて、iOS 5 の後方互換性はたった 15 ヵ月か 16 ヵ月ということになる。けれどもこれは Apple の歴史上初めて、新製品をデビューさせつつ同時に直接その前身である製品も販売し続けることとなった。そのことを基に考え直せば、iOS 5 の実際の後方互換性は、iPhone と iPod touch でそれぞれ 27 ヵ月と 28 ヵ月だと言うこともできる。

(Michael DeGusta が、いろいろな携帯電話の機種ごとに iOS と Android OS のアップグレード可能性を 2010 年 6 月まで比較した 素晴らしいチャートを作っている 。彼は、個々の電話機がデビューしてからその三年後までの期間に注目することにした。もちろん最近三年以内にリリースされた電話機については比較期間が短くなるのは言うまでもない。その期間内に、どれだけ長くその電話機が販売され続けたか、アップデートはどれだけの期間入手可能であったか、その電話機が最新バージョンのオペレーティングシステムと比較してどれだけ後れを取っていたか、といったことを彼はチャートで示している。)

サポートのまとめ -- すると、要約すれば次のようになる。もしも今、あなたが新しい Mac を購入した場合、それがその機種の寿命の中でどのあたりに位置しているかにもよるが、おそらく 4 年か 5 年程度の間は Apple が新たなソフトウェアリリースでもその Mac をサポートしてくれると考えて差し支えないであろう。Snow Leopard だけは一部の機種についてその期間が 3 年という短いものとなっているが、Intel ベースの Mac に集中したい欲求という理由でこの件は容易く説明できる。

iOS については状況がもっと複雑だ。もしもあなたが現行の世代の iPhone を購入しようとしているなら、道端に振り捨てられてしまう前に 2 年か 3 年の間は Apple からサポートが受けられるだろう。もちろん新機種が出てすぐに購入すればその期間はもっと長くなる。この期間の最短部分が、たいていの携帯電話の契約期間とちょうど合致する。

けれども、iPhone 3GS をこれから新たに購入する場合には話が合わない。現在、Apple は AT&T と二年契約をする人に無料で iPhone 3GS を提供しているからだ。この iPhone 3GS が次回の iOS 改訂で生き残ることができないのはほぼ確実と思われるので、iOS 6 がリリースされる直前に販売されていた携帯電話で iOS 6 が動作しないということも十分あり得る。(Apple としては、購入者の気持ちをある程度考慮して、あらかじめ数ヵ月前に iPhone 3GS を販売中止にすることで iOS 6 登場の前兆とするようにしてくるかもしれない。)

iPod touch は、最初の数世代については iPhone と同じパターンに従ったように見えるけれども、Apple が iPhone 4S をリリースした際には、それに相応すべき第五世代の iPod touch が出なかった。つまり、2010 年 9 月に登場した第四世代の iPod touch が今もまだ現行機種だ。(ただし今はブラック版とホワイト版の両方が出ている。)これは、iPhone 4 と並べて考えられるとすれば、現行の iPod touch の方がずっと長い寿命を持つことを意味しているのかもしれない。ひょっとすると、大多数の Mac について言えた 4 年間というアップグレード可能期間に近づくものになるのかもしれない。

また、iPad についても、やはり今後どうなるかを予想するのは難しい。初代の iPad がリリースされたのは 2010 年 1 月で、その後 2011 年 3 月に現行の iPad 2 に取って代わられたが、双方とも iOS 5 を走らせることができる。初代の iPad と iPhone 4 は同じプロセッサを使う(下記を参照)けれども、iPad 2 と iPhone 4S はそれより後のバージョンのプロセッサを使っている。この、プロセッサの差異こそが、最後にどのアップデートが可能となるかを示す時計の針を動かすのかもしれない。初代の iPad と iPhone 4 は、デビューの時期こそ数ヵ月ずれているけれども、いずれも iOS 7 によって同じ運命を辿らされるのではないか。もちろんそれは、今から 2 年以上先のことだろう。もしもこの大胆な推測が的を得ていたとすれば、iPad には Mac と似たおよそ 4 年の寿命があることになる。

暗雲たちこめる -- これらすべての話の中で予測不能な特例として位置しているのが、iCloud だ。iCloud を使うには、iOS 5 と、Lion の 10.7.2 リリースとが必要だ。これは別に、iCloud 自体が過去に興味を示そうとしないということではない。なぜなら、Lion は過去 4 年程度の間に販売されたすべての Mac で動作するからだ。問題は iOS 5 と、それから Apple が古くなった製品も価格を下げて販売し続けているという点だ。iPhone 3G は iOS 5 を走らせることができず、従って iCloud に参加することはできない。けれどもあなたが iPhone 3G を購入したのは最近、ほんの 15 ヵ月前かもしれない。つまり、購入してから 4 年経った Mac を iCloud に接続することは可能かもしれないけれども、まだ 2 年経っていないし当初の契約も切れていない iPhone では接続できないということがあり得る。そもそも iCloud というのは自分の持つ複数の機器の間でデータを送り合うためのものなのだから、この種の食い違いは多くの人々を困らせるものだろう。

どうやら iCloud (と iOS 5) は、ちょっと Snow Leopard と似たところがあるのかもしれない。つまり、誰が仲間に入り誰が仲間外れかについて、専断的な切り分けをしようとしている。けれども Snow Leopard においては、その決断は誰もが見て明らかな、技術的な違いに基づいていた。つまり、プロセッサが PowerPC か Intel かという違いだ。ところが iOS 5 では、そのような明白な区別がない。iOS 5 は iPhone 3GS でも第三世代の iPod touch でも動作し、これらは両者とも Samsung S5L8920 CPU を使っていると言われている。一方 iPhone 4 と初代の iPad は共に Apple の A4 チップを使い、iPhone 4S と iPad 2 は A5 チップに依存する。iOS 5 のシステム要件が純粋に全体的なパフォーマンスのみに基づいているということもあるのかもしれないが、それはユーザーたちの目に見えるものでもないし、私たちが既知のスペックに基づいて判断できるものでもない。確かに、iPhone 3G 上で iOS 4 を走らせるのはしばらくの期間使い物にならない状態であった。その後 Apple がパフォーマンスの調整を施したアップデートを出して状況は改善されたが、それを施してもてきぱき動くと言えるには程遠かった。

もしも幸運に恵まれさえすれば、iCloud の真の恵みとは Apple が余分の計算処理をネットワーク上に移動させられる点となるであろう。まさに Siri が今していることと同じように。そうなれば、iOS デバイスが過去よりも長く有用性を保てるようになるだろう。Apple は、iPad や iPod touch の寿命を Mac と同等の 4 年レベルへ引き上げようと努めているのかもしれない。iPhone 3GS と 4S を iPhone の中間的バージョンと考えるのなら、iPhone もやはりもう少し長く保たれていると見なせるかもしれない。

Apple がこのまま大量の iOS デバイスを新規の顧客に販売し続ける限り、誰もが幸せだ。けれどももし Apple がどこかの時点でアップグレードの収益をもっと増やさざるを得ないと判断したとしたら、あらゆる世代のデバイスの中から専断的に好きなものを選んでそれをオブソリートと宣言し、何らかの種類のネットワーク化されたサービスを最も最近のデバイスのみで働くようにすることによってそのオブソリート状態を現実的に押し付ける、そのような手段に出ることも会社としては当然可能な一手となるのではないかと思える。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 11 月 7 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Adobe Photoshop Elements 10 Editor と Premiere Elements 10 Editor -- Adobe が、コンシューマ向けの写真およびビデオ編集ソフトウェアのそれぞれ最新版を Mac App Store でリリースした。 Photoshop Elements 10 Editor はその多彩な Guided Edits をさらに拡張して、被写界深度を浅くする効果や、夢見るような Orton 効果、その他ができるようにした。また、道筋に沿ってテキストを整列させたり、新しい Smart Brush デザインを使って色を塗ったり、トリミングガイドを使って写真の構図を変えたりする機能も追加された。 Premiere Elements 10 Editor はこのビデオエディタが初めて Mac App Store に登場したバージョンとなるが、クリック一つでビデオのカラー修正をする機能や、新しい InstantMovie テーマ、簡単にできるパンやズームのモーションなどを備えている。注意すべきはいずれのアプリにも Elements Organizer が含まれていないことで、ボックス版にはこのソフトウェアがメディアライブラリの管理用にバンドルされている。(新規購入はそれぞれ $79.99、Photoshop Elements は 1.21 GB、Premiere Elements は 924 MB)

Adobe Photoshop Elements 10 Editor と Premiere Elements 10 Editor へのコメントリンク:

Sandvox 2.2 -- Karelia Software が Sandvox 2.2 をリリースした。同社の人気あるウェブサイト作成ソフトウェアの新バージョンだ。今回のアップデートにはいくつか新機能が含まれているが、主なものとしては地図のサポートがあり、位置情報または住所を提供するだけでウェブページに地図を追加することができるようになった。リストや、取り消し線付きのテキストなど、新しいフォーマッティングのオプションもいくつかある。また、今回のリリースでは SFTP や WebDAV を使ったサーバへの接続性が向上し、メディア処理ツールが拡張され、HTML 5 のサポートも改善した。(Karelia から、または Mac App Store から新規購入 $79.99、無料アップデート、32 MB)

Sandvox 2.2 へのコメントリンク:

Aperture 3.2.1 -- Apple のプロ向け写真エディタに、小さなバグ修正アップデートが出た。どうやら多くのユーザーが安堵の吐息を漏らすようだ。今回の Aperture 3.2.1 では、Intel Core Duo プロセッサを持つ Mac 上で起動時にアプリケーションがクラッシュすることのあった問題が解消され、“トリミング”ツールに関係する二つの問題点に対処が施されている。トリミングの向きが間違って切り替わったり間違ったサイズに変更されたりする問題と、“オンスクリーンプルーフ”を有効にした状態でイメージをトリミングする際のレンダリングの問題だ。このバージョンではまた“ライブラリインスペクタ”で“写真”が選択されている場合に“撮影地”表示の地図で場所メニューが正しく表示されるようになった。(Mac App Store から新規購入 $79.99、無料アップデート、635.76 MB)

Aperture 3.2.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2011 年 11 月 7 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週もテクノロジー関係の読み物として、たくさんの興味深いリンクをご紹介しよう。Mac App Store におけるサンドボックスの問題についての考察、Macworld Expo の名称変更、MacTech による Parallels Desktop 7 と VMware Fusion 4 のベンチマークテスト、来たるべき iOS 5.0.1 における修正について、それから Amazon が同社の Prime プログラムで Kindle デバイスのオーナーに対する電子ブックの貸し出しを追加したこと、などの記事がある。

Sandbox なのか Catbox なのか? -- Apple が、Mac App Store ですべてのアプリケーションにサンドボックス化を必須とする期限を、以前に発表されていた 2011 年 11 月から 2012 年 3 月に延期した。これはおそらく、Apple か開発者たちかのいずれかにおいてサンドボックス化がうまく機能していないところがあるからではないだろうか。開発者の Wil Shipley が、アプリケーションにサンドボックス化を必須とすることが Apple にとって誤った戦略であると思える理由を考察する。

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Macworld Expo が Macworld|iWorld に -- Macworld (カンファレンスでなく雑誌の方) が、Macworld (雑誌でなくカンファレンスの方) の名前が変更されたことを Macworld|iWorld の副社長兼総支配人 Paul Kent との対談記事として伝えている。名称変更以外にもいくつかフォーマットの変更があり、音楽やアート、映画などに以前よりも大きな重点が置かれるという。トレーニングセッションは Tech Talks と呼ばれるようになり、以前より安い $75 で参加できる。全体的に、これは数年前に Apple が撤退した時以後最大の変化であるように見える。

コメントリンク: 12614

MacTech が仮想化ベンチマークを更新 -- 仮想化ソフトウェアを選択する際にパフォーマンスは数多くある判断基準の一つに過ぎないが、MacTech による最新の仮想化ベンチマークによれば、明らかに Parallels Desktop 7 が VMware Fusion 4 を上回る結果を出している。特にゲーマーたちや、Windows で CPU を酷使するタスクを実行している人たちには注目すべき事実だろう。ただし、Joe Kissell が最近述べた言葉も忘れるべきではない:「Porsche が軽トラックより速く走れるからといって、必ずしも Porsche の方が良いとは限らない。それは、あなたが軽トラックの最高速より速くドライブしたいと思っていて、荷物を運べるかどうかよりスピードを重視したい場合に、良いだけのことだ。」

コメントリンク: 12613

iOS 5.0.1 がキャッシュのバグとバッテリ寿命のバグを修正 -- 以前ここで、Marco Arment がブログ記事において iOS 5 がアプリのキャッシュフォルダと一時フォルダの内容をアプリが知らないうちに消去することがあり、そのためアプリにとってデータを保存できる安全な場所がなくなってしまったと書いている、と紹介したことがある。今回、MacRumors の記事によれば、iOS 5.0.1 のベータ版のリリースノートの中に「ストレージ不足の状況下にもデバイス上に残しておくべきファイルを開発者が指定できる新たな方法を導入した」という記述があるという。ならば、Marco が説明した問題は修正されることになる。また、iOS 5 では初代の iPad でマルチタスク関係のジェスチャーが使えるようになり、それからバッテリ寿命の問題にも対処が施されるという。

コメントリンク: 12609

Amazon、Prime 契約の Kindle オーナーに無料の電子ブック貸し出し -- Amazon が、Prime 契約への特典追加を続けている。この契約は一年前に登場した時点では年額 $79 の会費で米国内では二日以内配達の送料がすべて無料となるというものだったが、その後 Amazon の映画およびテレビ番組カタログの一部でのビデオストリーミングが追加されていた。今回の最新のアップデートでは、精選された数千冊のカタログの中から無料で電子ブックの借り出しができるようになり、借り出しは毎月一冊まで、返却期限なし、というものだ。ただし提供の対象となるのは Kindle ハードウェアのオーナーのみで、Kindle アプリではこのサービスが受けられない。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2011 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

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