TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1113/13-Feb-2012

今週は私たち自身についての大きなニュースが二つある。Mac OS X 用の EPUB リーダー Bookle をリリースしたことと、それを祝っての Take Control 電子ブック 50 パーセント割引セールだ。Apple のニュースは、それほど喜ばしいものではなかった。先週リリースされた Mac OS X 10.7.3 と、Snow Leopard 用の Security Update 2012-001 には、いずれも大きな問題が伴っていた。Apple は、セキュリティアップデートの方ではアップデートそのものをアップデートする必要があったし、10.7.3 の方は差分アップデータを取り下げてしまった。より興味深いのは AirPort Utility 6.0 のリリースで、新たにあなたのワイヤレスネットワークをグラフィカルに表示する素敵な表示モードが提供されるようになったけれど、従来のバージョンにあったいくつかの上級機能が削除されてしまった。ワイヤレスの専門家 Glenn Fleishman が詳しく紹介する。Glenn はまた Macworld | iWorld 関係のさらなる記事として、Find My Friends を使ってみた体験談と、私たちがショウでビデオ出演したもののリストをお届けする。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Audio Hijack Pro 2.10.1、Sandvox 2.5、Firefox 10.0、それに Final Cut Pro X 10.0.3 だ。

記事:

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TidBITS の仮想サーバが引越し: スパムフィルタの点検をお願いします

  文: Adam C. Engst <[email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の終わりごろ、私たちは仮想サーバを Rackspace から Linode に切り替えた。これは、トラフィックの急上昇に伴う問題を解消しようと思ってのことだ。理論的には、皆さんの側から何も変わったことは見えないはずだが、私たちはサーバのイメージを移行させるのではなく新しいサーバを一から再構成し直したので、その過程で何かがおかしくなったということも考えられる。実際、細かな問題点はたくさん生じたけれど、今のところ私たちが気付いた問題点はすべて解消済みだ。もしも、何かが正しく動いていないことに気付かれたら、問題点を追跡したいと思うので、どうか私あてにお知らせ願いたい。

けれども、皆さんに影響があるかもしれないことが一つだけある。それは、新しい仮想サーバの IP アドレスが以前のものとは変わったことで、この変更の結果としていくつかの ISP における迷惑メール判定用のホワイトリストから私たちがはじき出されてしまうかもしれないことだ。(Yahoo はこの点で特に影響が大きい。ただ、もともと以前から Yahoo の過剰に積極的な迷惑メールフィルタは多くの yahoo.com 購読者に対してバウンスの問題を起こしていた。申し訳ない!)

そういうわけで、もしもそういう問題が起これば、私たちの新しいサーバのアドレスが 173.255.250.214 であることを知っておいて頂きたい。従来のアドレスは 184.106.219.205 だった。ご不便をおかけして申し訳ない。今回の移行の結果として、私たちの記事の一つが Google News や Daring Fireball に登場した後で私たちのサーバがダウンするという最近よく起こるようになっていた事態が解消されることを願っている。

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Mac OS X 用の EPUB リーダー Bookle を紹介する

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple が EPUB を読む能力を Mac OS X 10.7 Lion の中で Preview 又は Safari に付け加えるか、或いは iBooks を Mac でも使える様にしてくれるのではないかと我々は長いこと待ち望んできたが、未だ何も起こっていない。我々も我々の Take Control 電子本の主たるフォーマットを PDF から変えようとは思っていないが、電子本の将来は EPUB フォーマットであることは明白である。しかし残念ながら、Mac 用の良く知られた EPUB リーダーには失望せざるを得ない。例えば、Calibre はクロスプラットフォームだが信じ難いほど醜い;Stanza の Mac バージョンは全てのフォーマットとグラフィックスを取り除いてしまうし、おまけに今や時代遅れとなっている;そして EPUBReader は Firefox を必要とし、Mac の感じではない。

そこで、如何に Apple が Mac ユーザーをないがしろにして来たのかについて書くのではなく、私は Mac 用の直截的な EPUB リーダーのための仕様を草稿してみた。勿論、こちらはやさしい役である。幸いに、私は EPUB リーダーをプログラムするという本当の仕事をするために Stairways Software の Peter Lewis を雇うことが出来た。Peter の最近での主だったプログラムはあの素晴らしいマクロユーティリティ Keyboard Maestro であるが、彼はインターネットの初期にInterarchy (昔の名前は Anarchie) として知られているファイル転送プログラムを書いたことで良く知られている。

Bookle の誕生である - Mac OS X のための直截的そして優雅な EPUB リーダーで、あなたの EPUB ライブラリを保持し、今や Mac App Store から $9.99 で入手可となっている。Bookle 1.0 は意図的に簡単にしてある、何故ならば Peter も私も兎に角何かを早く出してそれからユーザーからの要望に応えていきたいと思ったからである。とは言っても、DRM フリーの EPUB を読むために必要な基本となる機能は全て網羅されている。(残念ながら、これには保護主義の出版者や再販業者から購入されたタイトルは含まれず、Apple の iBookstore からの DRM 足かせの掛かったタイトルもダメである。我々は、iBookstore 上の我々の Take Control タイトルにはデジタル著作権管理暗号化は施していないが、全ての出版者がその読者を尊敬しているわけではない。)

Bookle で EPUB を読むには、Dock 上のこのアプリのアイコンにドロップするか、或いは File > Open を選択するだけである。EPUB 自身はメインウィンドウに表示され、目次はサイドバーに現れる。章内でナビゲートするにはキーボード又はマウスか、或いは標準の二本指のトラックパッドジェスチャーで行える。章間の移動も同様に簡単である:キーボードショートカット、二本指の左/右スワイプジェスチャー、或いはツールバーボタンが使える。

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テキストフォーマット、背景色、そしてグラフィックスの全てがあなたが期待するであろう形で現れるし、全てのリンクも EPUB 内でも外の Web 資源に対してでも生きている。簡単に言えば、Bookle は皆さんが想像される様に働くし、そして多くの EPUB ではそのフォント、サイズ、そして背景色をカスタマイズすることさえも出来る。正直言って、現時点ではこれが全てである、何故ならば我々は Bookle を皆さんの手元に出来るだけ早くお届けするため、そして本読みソフトウェアというのは可能な限り直観的で使い易いものであるべきだからである。

とは言え、Bookle には立派な文書が付いて来る:このソフトウェアには "Take Control of Bookle" が含まれる。これは無料の 32 頁からなる電子本で、Bookle で出来ること全て、何万冊にも及ぶ EPUB フォーマットでの電子本 - それらの多くは無料 - を何処で探せるかの進言、そしてクロスプラットフォームで読める自分自身の EPUB を制作するために使えるプログラムに対する進言が取り上げられている。同梱された "Take Control of Bookle" のコピーを使えば、EPUB を読む体験はその場で出来る。

勿論、Bookle に追加したい機能に対する考えは持っているが、同時に、皆さんが洗礼された、効果的な、Mac に特化した電子本読みプログラムにはどんなものが見たいのかを知ることにも大いに関心がある - 他の人がどんな進言をしているのかを見たり (そして票を投じたり)、或いは自分の考えを投稿したりするには Bookle UserVoice フォーラムに寄ってみて欲しい。

Bookle はたったの $9.99 で、Mac App Store から入手可であるが、これは皆さんには買いやすくそして我々には管理し易くするためでもある。 Bookle はどの Intel ベースの Mac 上でも Mac OS X 10.7 Lion 又は 10.6 Snow Leopard で走る。

(もしこれまでに Take Control カートから電子本を購入済みで、Bookle でその EPUB バージョンを読んでみたいというのであれば、あなたの Take Control アカウントにログインしてあなたのダウンロードしたい本の横にある緑の EPUB アイコンをクリックすればよい。或いは、電子本の表紙上で Check for Updates ボタンをクリックしてその電子本の Ebook Extras ページに行くと、そこの Downloads タブから EPUB へのリンクが探せる。我々の本当に初期のタイトルには EPUB バージョンが無いものもあるが、理解してほしい。)

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すべての Take Control 電子ブックを 50% 割引

  文: Adam C. Engst <[email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちが大きな Take Control セールをしてからしばらく時間が経ったけれど、今日 Bookle をデビューさせたのは良い機会なので、DRM フリーの EPUB をどんどん Bookle で読んで頂くためにも、ここでセールを開催することにした。(2012 年 2 月 6 日の記事“Mac OS X 用の EPUB リーダー Bookle を紹介する”参照。)

期間限定のこのセールを利用するには、クーポン埋め込みリンクを使って Take Control カタログページを訪れ、あなたの欲しい本のタイトルを選び、それから Buy Selected Ebooks ボタンをクリックすればよい。カートの最初のページに、クーポンコードと 50 パーセント引きの価格が表示されるはずだ。このセールは 2012 年 2 月 15 日まで続く。

最近刊行された Mac 関係のタイトルで、皆さんにぜひ見てみて頂きたいものとしては次のようなものがある:

それから iPad や iPhone 関係の本をお探しの方には、こんな近刊書がある:

注意して頂きたいことが一つある。Take Control カートを使ってダウンロードできるようになるのは、PDF 版を zip 圧縮したものだ。購入済みの Take Control 電子ブック(または近刊の Macworld Superguide)を Bookle で読むために EPUB 版をダウンロードするには、あなたの Take Control アカウントにログインしてから、ダウンロードしたい本の横に見える緑色の EPUB アイコンをクリックすればよい。別の方法として、お持ちの電子ブックの表紙にある Check for Updates ボタンをクリックしてその本の Ebook Extras ページに行き、そこで Downloads タブの中にある EPUB へのリンクを使うこともできる。非常に古いタイトルの中には EPUB 版のないものがあることにもご注意頂きたい。

皆さんのサポートに感謝します! 皆さんの力添えがあったからこそ、私たちも Bookle などのプロジェクトに時間とエネルギーを注ぐことができたのです。

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Security Update 2012-001 1.1 は Rosetta アプリと衝突しない

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が出した Mac OS X 10.6 Snow Leopard 用 Security Update 2012-001 の当初のリリースは、Rosetta エミュレーションレイヤーに依存して走る古い PowerPC ベースのソフトウェアが必要だという理由で 10.7 Lion にアップグレードせず Snow Leopard を使い続けてきた多くの人たちに極めて大きな問題を引き起こした。問題が起こったのは主として開く・保存のダイアログを使った際や、また印刷の際においてであったが、それ以外にもさまざまのトラブルが起こった。影響を受けたプログラムとしては Quicken 2007、Microsoft Office 2004、Eudora 6.2.4、Photoshop CS 2、FileMaker Pro 6 および 7、Freehand MX、その他がある。

この問題の広がりの大きさに気付いた私は、問題を説明するためにこの記事の最初のバージョンを書いた。(その後も新たな情報が届くに応じて改訂を加えた。)記事を公表した後で、私はソーシャルメディアを使って Snow Leopard ユーザーは Security Update 2012-001 1.0 を施すべきでないという言葉をできるだけ広めるように努めた。当時判明していた修復方法は、Nebraska 高校のシステム管理者 Joseph Morris、Rob Uchtman、Jordan Bellanti が開発した「復帰者」ツール(これは部分的にしか有効でなかった)と、10.6 Snow Leopard を DVD から再インストールしてから 10.6.8 にアップデートするやり方しかなかった。

Joseph Morris の率いるチームはそのたゆみない努力にメダルを贈られるべきとは思うが、やはり真の解決は Apple から来なければならなかった。そしてそれは、2012 年 2 月 3 日遅くなってからようやく届いた。このセキュリティアップデートが当初リリースされてから二日が経っていた。言うまでもなく、Macintosh コミュニティーの広い範囲に引き起こされたこのトラブルに関して Apple から謝罪の言葉は一つもなかった。それは、この会社の流儀ではないからだ。この状況についての唯一の公式声明は、Apple Product Security メーリングリストに送られた次のような電子メールだった:

Mac OS X v10.6.8 システム用の Security Update 2012-001 v1.1 が、互換性の問題点に対処するため現在入手可能となっています。

このアップデートのバージョン 1.1 では、Security Update 2012-001 でリリースされた ImageIO に関するセキュリティ修正が削除されます。

この記事に対するコメントとして寄せられた情報や、私自身のテスト結果からも、このバージョン 1.1 リリースでは 1.0 で導入されたさまざまの問題点が実際にすべて解消されているようだ。だから、私としては以下のことをお勧めする:

(こんなことを言っても意味があるかどうか分からないけれども、今回削除されてしまった ImageIO のセキュリティ修正は、悪意を持って作られた TIFF または PNG 画像を通じて攻撃され得る脆弱性を取り除くためのものであった。ユーザーが自分でそのようなファイルを特定し回避することのできる方法はない。それらの修正を復活させつつ、クラッシュは起こさないような 1.2 バージョンを、いつか Apple がリリースしてくれるかもしれない。)

残念なことに、私たちは過去六ヶ月間の経験から、何か安心し切った感覚に陥ってしまっていた。顧みて去年の前半のことを思い出してみよう。Apple は当時、10.6.7 や 10.6.8 のリリースでもしくじりをやらかしていた。記事“OpenType PostScript フォントが 10.6.7 でトラブル”(2011 年 3 月 27 日) と“Mac OS X 10.6.8 に印刷とオーディオに関する問題”(2011 年 7 月 1 日) をご覧頂きたい。

Apple はその後最終的にはいずれの問題点にも対処したが、それには何週間もかかった。今回の最新のつまずきの場合の二日間よりも長かった。それに対して私は公開ベータこそが解答であると記事“Apple は Mac OS X の公開ベータ版を出すべきではないか”(2012 年 7 月 8 日) で論じた。それに対するコメントとして反対意見も多数寄せられたが、いずれにしても Apple による Mac OS X 新リリースのテストは、少なくとも Snow Leopard に関する限り、今のところすべきことがきちんとできていると言えないことは明らかだろう。

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Mac OS X 10.7.3 がバグを修正、Lion Server を改善

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X のアップデートに対するアップデートについて記事を書くのは、もはや繰り返しの印象ばかり強くなりつつある。一般的に 10.X.1 アップデートというのは最も重大なバグを手早く修正したものであって、おそらく 10.X.0 がリリースされたよりも前から開発が進行中であったろう。(2011 年 8 月 16 日の記事“Mac OS X 10.7.1、バグ修正は限定的”参照。)10.X.2 アップデートになると、挙動に関する実質的な変更も実際に施されており、それに加えて深刻なバグに対する修正もある。(2011 年 10 月 15 日の記事“一方、Lion の牧場に戻ると...”参照。)それからやって来るのが 10.X.3 だ。ここで Apple はようやく、比較的少数の人たちのみが遭遇したような種類の、あまり目立たないバグの退治に取り掛かる。それ以後の 10.X.Y アップデートもすべて、これと同じパターンを繰り返す。

(Mac OS X のアップデートの後ではいつも起こるようだが、今回の 10.7.3 でもインストール後に起こった問題点の報告が多数見受けられた。その解決法は、予防的にせよ事後のものにせよ、統合 (combo) アップデートを使うことのようだ。どんな種類の問題が一般的に浮かび上がったとしても、私たちはまずそのことを呼びかけたいと思っている。2012 年 2 月 6 日現在、問題となっている最も深刻なものは「CUI バグ」とそれに関係したクラッシュで、どうやらこの問題のせいで Apple は差分アップデートを取り下げて、現在はサイズの大きな統合アップデートのみを提供しているらしい。現在、ソフトウェア・アップデートが提供するのは統合アップデートのみだ。Lex Friedman が、 このバグについて Macworld 記事で解説している。)

Mac OS X 10.7.3 Client -- Mac OS X Lion 10.7.3 アップデートのリリースノートの中で箇条書きの最初の項目を読めばすぐに、これがまさにさきほど述べた 10.X.3 の性格を持っていることが見て取れる。いわく、「カタロニア語、クロアチア語、ギリシャ語、ヘブライ語、ルーマニア語、スロバキア語、タイ語、およびウクライナ語のサポートが追加されました。」誤解しないで頂きたい。それらの言語がサポートされるのは非常に歓迎すべきことだ。(それに、もしもあなたがそれぞれの国にいる人なら、これは長らく待ち焦がれたことであったに違いない。)けれどもこれは、既存のユーザーの大多数(ひょっとしたらほとんど)にとって Lion の挙動を何も変えない。既存のユーザーのもう少し多くに関係するのが、いつも通り新たに発売されたカメラに対応する raw イメージの互換性の追加だ。私の知る限り、盛り込まれた新機能と呼べるものは一つもない。

他の変更はすべて、バグ修正ばかりのようだ。スマートカードを使ってログインする際の問題、Microsoft Windows とのファイル共有での互換性の問題、マークアップを使用している Microsoft Word 書類をプリントする際の問題、ATI グラフィックを使用している一部の旧モデルの iMac でスリープ後に発生するグラフィックパフォーマンスの問題、スリープ解除後の Wi-Fi 接続の問題、ワイヤレスネットワークに接続する前に Safari が開けないことがあるという問題への対処、それから Active Directory に関係した多数の修正、最後に SMB DFS 共有(そう、私も用語検索して調べなければならなかった)に認証する際の潜在的な問題の解決が施された。

いつも通り、10.7.3 にもセキュリティ関係の修正がたくさんある。関係する脆弱性があったものを挙げると (さあ深呼吸して): アドレスブック、Apache、ATS、CFNetwork、CoreMedia、CoreText、CoreUI、curl、dovecot、filecmds、ImageIO、インターネット共有、Libinfo、libresolv、libsecurity、OpenGL、PHP、QuickTime、Subversion、Time Machine、WebDAV 共有、Webmail、X11 だ。それに加えて、無効にできない強度の低いキーを使用した証明書を発行したことのある DigiCert Malaysia により発行された SSL/TLS 証明書を Mac OS X が信用しないようになった。

これらのセキュリティ修正のリストをじっくりと読み通していない方々のために説明を加えると、そこに挙げられた名前からだけでも Apple が何をしたかの感じが分かる。まずはアドレスブック、QuickTime に Time Machine といった、よく知られたアプリケーションやテクノロジーに対する修正がある。それから、人気あるオープンソースのソフトウェアで Mac OS X に組み込まれているものたちに対する修正、例えば Apache、curl、PHP、Subversion といったものがある。そしてまた、あらゆる種類の Mac アプリケーションによって利用されるコードライブラリやフレームワーク (この種のものは名前に馴染みのない方も多いかもしれない)、例えば CoreMedia、ImageIO、libresolv、libsecurity といったものだ。どのコンポーネントがアップデートされたかを知ってもたいていの人には何の役にも立たないし、これほど多くのコンポーネントが修正を必要としたことを知って悲しい気持ちになるかもしれないが、それでも脆弱性が確かに修正されつつあるのは良いことだ。

OS X Lion 統合アップデート 10.7.3を入手するための最も手軽な(そして最も高速の - 私の MacBook ではたったの 730 MB だ)方法は、ソフトウェア・アップデートに任せることだが、直接に差分 (997 MB) や統合 (1.2 GB) アップデータをダウンロードすることもできる。(この記事を書いている時点では、差分アップデートへのリンクは統合アップデートのページへリダイレクトされてしまう。)

Mac OS X 10.7.3 Server -- Mac OS X Lion Server 10.7.3 アップデートのリリースノートを見る限り、10.7.3 アップデートは Lion Server を使っている人たちにずっと大きな意味を持っているように見える。

まず初めに、Server アプリが数多くのインターフェイス改善を受け、それに伴って機能性も追加された。「ファイル共有」パネルでは、AFP または SMB 経由で接続しているユーザの数を表示し、新しい「接続中のユーザ」タブに接続の詳細(AFP 接続のユーザ名と待機時間、AFP と SMB 接続のクライアント IP アドレスと接続タイプ)が表示されるようになった。このタブにはまた管理者が AFP 接続のユーザにメッセージを送ったり、メッセージ付きで、あるいはメッセージなしで接続解除したりできる機能もある。もう一つ、AFP 経由で接続するユーザに対して表示するグリーティングを管理者が作成できるオプションもある。

ファイル共有関係の他の変更点として、Lion Server 10.7.3 は Windows ユーザが Lion Server の SMB 共有上のファイルにアクセスする際の数多くの問題点を修正している。特定の拡張属性のあるファイルのコピー、Windows 7 でのファイルの保存、Microsoft Office 2003 でファイルを開く、Windows Vista で新規フォルダを作成する、といった場合の問題点だ。

Server アプリの VPN パネルでは、PPTP での VPN を有効にするオプションとクライアントに提供するために PPTP の構成プロファイルを保存するオプションが提供されるようになった。PPTP が有効になると、PPTP クライアントは L2TP クライアントと同じアドレスの範囲を共有する。Apple は、Lion Server による PPTP 対応について役に立つ情報ページを出している。それからもう一つ、管理者が VPN クライアントに DNS サーバアドレスと検索ドメイン名を設定できる機能が提供されるようになった。

Server アプリの「Web」パネルでは、管理者がサイトのドメイン名を作成後に編集したり、サイトごとに異なる SSL 証明書を選択したり、複数のドメイン名を一つのサイトにマップしたり、リダイレクトやエイリアスを構成したり、カスタムのインデックスファイルを指定したり、「すべての無効化を許可」ボックスをチェックして .htaccess ファイルを使用したりできるようになった。すべて、Lion Server でウェブサーバを運営している人たちにとってありがたい機能だ。

その他にも、iCal サービス、メールサービス、Open Directory、Podcast サービス、プロファイルマネージャ、サーバ管理、Wiki サービス、Xsan に重要な改善がある。さきほどリンクしたリリースノートに詳しい説明があり、さらなるサポート記事へのリンクもある。

ソフトウェア・アップデートを使えばカスタム版の Mac OS X Lion Server 10.7.3 アップデートが入手できるのはもちろんだが、直接に差分 (1 GB)統合 (1.34 GB) のアップデータをダウンロードすることもできる。(デスクトップ版の 10.7.3 と同様、この記事を書いている時点では差分アップデートへのリンクは統合アップデートのページへリダイレクトされてしまう。)

最後に、Lion Server 10.7.3 とともに、Apple はサーバ管理ツール 10.7.3 もリリースした。こちらは Podcast Composer、サーバ管理、サーバモニタ、システムイメージユーティリティ、ワークグループマネージャ、Xgrid 管理に対して互換性アップデートとバグ修正を提供する。

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TidBITS の編集者を Macworld | iWorld のビデオで

  文: Glenn Fleishman <[email protected]
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

TidBITS スタッフは Macworld | iWorld で、会議、挨拶、そして食事にと忙しい時間を過ごした。我々はまたショーフロアの Macworld Live Stage 上でもかなりの時間を費やした。我々の登場を見損なったり、或いは元々 San Francisco に来れなかったという方も、今や我々が色々な場面に登場したのをオンラインで見ることが出来る:

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Find My Friends の助けを得てうまくいった(便乗させてもらった)

  文: Glenn Fleishman <[email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

無料の iOS アプリ Find My Friends (日本名は「 友達を探す」) を Apple がリリースしたとき、私は律儀にそれをインストールした。このプログラムでは、他の人たちを招待して自分の位置情報を見てもらったり、その人たちにも位置情報を見せてくれるよう頼んだりできる。私は普段シアトル市内の一定の場所(自宅の地下室)でずっと仕事をしているし、旅行をすることもめったにないので、私にはあまり使い道のないユーティリティに思えた。私はけっこう多くの人たちとお互いに設定を追加し合い、試しに使ってスクリーンキャプチャを撮ったりしてから、その後はすっかり忘れてしまっていた。

ただしそれは、私が今回 Macworld | iWorld に行くために先週の水曜日サンフランシスコ国際空港 (SFO) に到着した時点までだった。私は BART に乗るつもりだった。この近郊鉄道システムは、私が子供のころこの Bay Area (湾岸地帯) に済んでいた当時に建設されたものだ。だから私はこの電車が大好きで、しかも私が泊まるホテルはこの電車の駅のすぐそばにあった。SFO に着陸して手荷物引渡所に向かって歩きながら、私は大勢の友人たちや同僚たちから Find My Friends の一時的グループに私を招待する電子メールが届いているのに気付いた。このアプリの、一時的に位置追跡をする部分の機能は素晴らしい。継続時間を指定して(しかもいつでもキャンセルできる)その間のみお互いの居場所を知ることができる。継続時間が終了すれば、また自分のプライベートな仕事に戻れる。

招待を受け入れると、たちどころにその友人たちの一人がカリフォルニア州ブリスベーンにいると表示された。(過去 50 回の SFO 利用を通じ、私はブリスベーンがこの空港のすぐそばにある町だと知っていた。)私は iMessage を使って彼女と連絡し(幸いにも彼女は運転者ではなかった)彼女がもう一人の友人と一緒に私より 10 分後に到着する予定の別の友人を迎えに空港に向かう途中だということを知った。私も車に同乗させてもらえることになり、数個先の回転式コンベヤーのところで私たち全員が顔を合わせた。

その後数日間、いつの間にか私は Find My Friends をひっきりなしに使っている自分に気付いた。カンファレンスは Moscone West コンベンションセンターの中だったが、私たちは皆、結構遠くまで足を伸ばして食事をしたり、飲んだり、特別なイベントに参加したりした。画面にパッと地図を出して、私が行こうとしている場所の近くに誰がいるかがすぐ分かるというのは、とても便利だった。一度など、知り合いが Palace Hotel の中のどこかにあるバーにいると分かっても、できる限り近いと思える場所に到着してから、建物の中の道案内を得るために彼に電話をかけなければならないこともあった。

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Find My Friends を使うためには、iPhone を持った人たちを大勢知っている必要がある。(あるいは 3G 対応の iPad でもよい。)これを読んでくださっているあなたなら、きっとその条件を満たしておられることだろう。携帯電話キャリアの多くがこれに類似したサービスを提供していることにも触れておくべきかもしれない。ただ、そういうものにはべらぼうな月額料金を払わなければならない。けれども Find My Friends は無料で、情報のアップデートや、位置を表示するための地図のダウンロードなどに使うデータ消費量もごくわずかだ。

私にとって今回の旅行で最も悲しかったのは、サンフランシスコを離れた時ではなかった。ビジネスを進め親しく人と交わる四日間を終えて、妻と子供たちの待つシアトルに戻った私は、いつも通りに地下の仕事場で過ごす静かな生活に戻った。いや、最も悲しかった瞬間とは、日曜日に Find My Friends を開いてみると、友だちが皆、それぞれの自宅に戻って散り散りになっているのが見えた、その時だった。

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AirPort Utility 6.0 が iCloud 対応を追加し、多くの機能を削除

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の AirPort Utility (日本での名前は AirMac ユーティリティ) は年老いた力持ちだ。その歴史は 1999 年、これが AirPort Admin Utility と呼ばれていた頃に遡る。2007 年に、Apple が初めての 802.11n ベースステーションをリリースした際、名前から "Admin" という部分が引退し、新しくてちょっぴりキビキビしたユーティリティに生まれ変わったが、まだ初代の持っていた特色の大部分は引き継がれていた。ところがその最新の改訂版、Mac OS X Lion 用の AirPort Utility 6.0 は、過去とはきっぱりと決別し、2011 年 10 月に追加されたこのユーティリティの iOS 版の要素をいくつかそこに取り入れた。(この iOS アプリについての詳しい紹介記事を私は Macworld に書いた。)

新しい AirPort Utility と同時に、すべての 802.11n Wi-Fi ベースステーション、つまり AirPort Extreme、Time Capsule、および AirPort Express を対象とするファームウェアアップデートもリリースされた。このファームウェアは iCloud のサポート(あとで説明する)を追加するとともに、「ワイヤレスパフォーマンスの問題を解決」しているという。けれども一方で、AirPort Utility 6.0 は過去を切り捨てた。この新バージョンは Mac OS X 10.7 Lion のみで動作し、また 2007 年の 802.11g よりも以前の Wi-Fi ハードウェアを設定することができない。ただし、Apple は旧バージョンの AirPort Utility も引き続き入手できるようにしている。この点についてもあとで説明する。

バージョン 6.0 に残った機能の一つ一つがどのように動作するようになったかをただ羅列するのは止めて、誰もが気に入るであろうことがらと、人によっては気に入らないであろう(特に 802.11g と 802.11n のハードウェアを混在させている人に当てはまる)ことがら、それから既に悲嘆のあまり顔色を変えつつあるネットワーク管理者たちが叫び声を上げている具体的ないくつかの点、に分類しつつ一つずつ見て行くことにしよう。私はまだベースステーションを一から設定して新しいアシスタントがどんな風に見えるかをチェックしていないので、ステップ・バイ・ステップで操作の手引きを皆さんに紹介することはできない。それを試してみれば、また新たに気に入るものと気に入らないものとが増えるかもしれない。

(それから、そう、私の本 "Take Control of Your 802.11n AirPort Network" は、iOS アプリに関する記述と今回の AirPort Utility 6.0 の内容とを反映してアップデートする必要がある。けれども、バージョン 5.5.3 の AirPort Utility は引き続き入手可能で、今でも問題なく動作するので、今後も手近なところに置いておかれることをお勧めする。それは私の本を使うためでもあり、また 6.0 で消えてしまった機能にアクセスするためでもある。旧バージョンをダウンロードする方法についてはあとで述べる。)

あなたがきっと気に入る点 -- Lion 用の AirPort Utility 6.0 が開くと、まずグラフィカルな驚きが待っている。あなたのネットワーク(のトポロジー)をビジュアルに表現した画面が開くのだ。そこにはいろいろな構成要素の階層的な相互関係が示されている。もしもあなたが私と同じように、ブロードバンドモデムに繋がったベースステーション一台を持っていて、それがネットワーク上の他のベースステーションに DHCP 経由で NAT アドレスを割り当てているならば、それら他のベースステーションがメインのものの下に図示される。

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グラフィカルな詳細のいくつかは、あなたがベースステーションを選択してそこにログインした後で初めて見えるようになる。AirPort Utility は構成の詳細情報を読み取って、さまざまな構成要素がどのように接続されているかを見分ける。

このビジュアルなレイアウト表示には機能的な面もある。好きな要素をクリックすれば、ポップオーバーが現われて(図を参照)その要素についての詳細情報が表示される。Internet 項目に対しては、ルータのアドレス、DNS サーバ情報、それにデフォルトのドメイン名が表示される。ベースステーションあるいは Internet 項目の横にある状況表示のドットは緑、橙、あるいは赤を表示して、何か問題が起これば一目で分かるようになっている。

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ベースステーションの情報もずっと簡単にここからアクセスできる。ベースステーション項目をクリックすると、AirPort Utility 6.0 がお決まりの IP 情報を表示するが、それ以外にもシリアル番号、エラー (あなたが無視するよう設定したものも含む)、それから接続されたワイヤレスクライアントのリストがそれぞれの Bonjour 名も表示する。ベースステーションの名前の上にポインタを持ってくると、それぞれのワイヤードおよびワイヤレスのインターフェイス一つ一つに対する MAC (Media Access Control) アドレスが分かる。クライアントの名前の上にポインタを持ってくると、現在の接続情報のすべて(例えば生のデータレートなど)がポップアップする。

Edit をクリックすると、複数のタブを持つモーダルなシートが開く。これは従来のバージョンの AirPort Utility にあったものと似ている。ただしタブは若干並べ替えられている。もしも以前のスタイルの独立ウィンドウの方が好みならば、ベースステーションに対する Edit ボタンを Option-クリックすればモーダルでないダイアログが開く。

ネットワークに関するほとんどの用途について、バージョン 6 のシンプルさをあなたは気に入るかもしれない。私の印象では、ネストされたダイアログボックスやその他の場所に散らばっていたさまざまのオプションのうち少なくとも半数を Apple は削り落としてしまったように見える。(その理由でバージョン 6 が嫌いになる人もいるかもしれない。)平均的なユーザーにとっては、より良いプレゼンテーションの中で選択肢の数が減れば、それは良いことだ。けれどもネットワーク管理者や,上級ユーザーならば、Apple に悪態をつきながら旧バージョンのダウンロードを始めるのかもしれない。

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変更点の一つは、従来一つのページのあちこちに散らばっていたさまざまのローカルなネットワーキング要素をまとめた Network タブだ。ここには、DHCP と NAT の設定、DHCP リザベーション、NAT ポートマッピングプロトコル、ポートマッピングの諸機能、それに Timed Access Control 用のオプションがある。

Apple はちょっとした情報や機能をいたる所に隠した。ある機能がなくなってしまったかと思っていると、それがどこか別の場所にポップアップしたりする。例えば、この記事の以前のバージョンで私はベースステーションを古いファームウェアリリースに復帰させることができなくなってしまったと書いた。でもそれは事実ではなかった! ベースステーションの情報がポップアップしている状態で、ファームウェアのバージョン番号を Option-クリックすると、復帰させることのできる選択肢が提供される。

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この新バージョンでは、Back to My Mac による遠隔アクセスのサポートが、iCloud で作成または iCloud へ移行されたものに対して ようやく 追加された。そのお陰で、コンピュータとベースステーションの間のセキュア接続によるトンネルを通したベースステーションの設定が可能になった。また、接続されたハードドライブや、内蔵 Time Capsule ドライブにも同様にアクセスできる。(MobileMe アカウントを利用するには、古い 5.x ソフトウェアを使わなければならない。)

あなたがきっと気に入らない点 -- 802.11g と 802.11n の混在したネットワークを使っている人や、Lion の走っていない Mac を使っている人のために、問題となる変更点のリストがある。

最新のファームウェアと、旧バージョンの AirPort Utility を使えば、今でもベースステーションの設定はできるので、AirPort Utility 6.0 が古いベースステーションに対応していないことや、静的な WDS がなくなったことは、802.11g と 802.11n のベースステーションを混在させたいと思っている人にしか実質的な影響はないだろう。

ネットワーク管理者が間違いなく嫌うこと -- もしもあなたが企業、学校、あるいは何らかの法人の機構の中で Apple の Wi-Fi 機器を使っているのならば、いずれあなたも怒り狂うことになるだろう。Apple Support Communities の AirPort フォーラム を見れば、どれほど多くの管理者たちが怒り狂っているかが見て取れる。

忘れないで頂きたいが、これらの機能は AirPort ハードウェアからなくなった訳ではない。単に、AirPort Utility 6.0 を使って設定することができないだけだ。これらの機能にアクセスするには、バージョン 5.5.3 または 5.6 を使うことになる。

この先どうなる? -- 以上のような大きな変更が指し示す結論は、二つのうち一つだ。Apple は、管理されたネットワークの市場を丸ごと捨て去ろうとしているのであろうか。以前から既に、一つの中心的な場所から複数の AirPort ベースステーションを管理し設定することの難しさにより、この市場は先の見えない感じがしていた。あるいは Apple は、いずれ同社の AirPort Management Utility のアップデートを出してくるのであろうか。このユーティリティは、もう何年も前から時代遅れとなっていたけれども、ちょうど現在の iPhone 構成ユーティリティ 3.4 - Mac OS X(これはすべての iOS デバイスと共に働くので、誤った名称と言える) と同じように、他の手段ではアクセスできない設定を見えるようにするとともに、たった一つのプロファイルから多数のベースステーションを設定することができるようにしていた。

もしも Apple が管理用ツールを別途提供するつもりであるのなら、今回ファームウェアと AirPort Utility 6.0 をリリースしながらそのようなツールをも一緒に用意しなかったのは奇妙な選択に思える。けれども、差し当たりは古い 5.x ソフトウェアを利用できるようにしているということは、いずれ AirPort Utility が必要なものすべてを網羅するようになるのだということを暗示しているのかもしれない。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 2 月 6 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Audio Hijack Pro 2.10.1 -- 数字上の進み具合は小さいが、Rogue Amoeba からの Audio Hijack Pro 2.10.1には幾つかの歓迎すべき新機能が追加されている。このオーディオ録音プログラムの最新リリースには、最新版の Instant On コンポーネント (5.0) が含まれ、これで Mac App Store から購入したサンドボックス化されたアプリケーションからのオーディオを録音することが出来る。Multi-Process モードは、これまでは幾つかの Web ブラウザからオーディオを引き出す時に連携して使われていたが、今や他のアプリケーションにも使われてオーディオ録音が改善した。最後に、入力機器から取り込まれたオーディオは、いつもチャネル 1 と 2 を使う代わりに、Audio MIDI Setup の中で構成することが出来る。(新規購入 $32、無料アップデート、5.2 MB、リリースノート)

Audio Hijack Pro 2.10.1 へのコメントリンク:

Sandvox 2.5 -- Karelia は Sandvox 2.5 をリリースした。これは同社の人気の Web サイト作成ソフトウェアのメジャーアップデートである。この新バージョンでは、画像間を巡らせてくれるドラッグ&ドロップの Slide Show オブジェクトが導入され、そしてタイミング、トランジション、そして字幕といったものに対する種々の制御手段を提供している。更に、 Facebook, Twitter, LinkedIn, そしてメール経由での強化された共有能力も提供している。そして、Mac OS X Lion の機能を活用するためのアップデートもされ、そこには Resume, Auto Save, Versions, そして全スクリーンビューが含まれる。このアップデートは、.m4v ファイルに対するコンパチ性の改良、Quick Look サポート、テキストレイアウトと位置合わせに対する改良、そして Italian, Spanish, そして Chinese 言語に対する現地化で締めくくられている。(新規購入は Karelia 或いは Mac App Store から $79.99、無料アップデート、31.5 MB、 リリースブログポスト)

Sandvox 2.5 へのコメントリンク:

Firefox 10.0 -- バージョンの番号付に対する無意味なやり方を継続して、Mozilla は Firefox 10.0 をリリースし、この Web ブラウザに対して幾つかのマイナーな機能を追加、そしてバグ修正を少々盛り込んだ。(Firefox 8.0 と 9.0 は取り上げる価値もない程マイナーであった - 現実世界ではこの 10.0 は実質 4.6 と考えるのが妥当である。) 皆さんがお気付きになりそうな唯一の機能は、Forward ボタンが隠れていて、履歴に遡るまで現れない事であろう。Firefox はまた殆どのアドオンがデフォルトで Firefox の新しい版とコンパチであるようにしてあるので、Mozilla が新バージョンをリリースする 6 週間毎に、各種 アドオンの更新にあくせするにはおよばない。Firefox 10.0 は今や WebGL のアンチエイリアス処理、CSS3 の 3D-Transform、双方向テキスト分離のための HTML5 エレメント、そして HTML5 全スクリーン API もサポートしている。修正されたバグには Java アプレットを含むタブを閉じる時にクラッシュを起こす原因となり得るもの、ブックマークを移動する時に突然出現するものが含まれる。注目に値するまだ未対応のバグには、Gmail 主ウィンドウでのスクロールの遅さ、Growl 1.3 とのコンパチ性のなさ、動きの悪いスクロールとテキスト入力、そしてある種の Mac 上で Silverlight ビデオを再生出来ないことが含まれる。(無料、31.4 MB、 リリースノート)

Firefox 10.0 へのコメントリンク:

Final Cut Pro X 10.0.3 -- Apple は Final Cut Pro X をバージョン 10.0. 3 にアップデートしたが、このマイナーなバージョン番号の変更はこのプロ向けビデオ編集ソフトウェアに対するかなり大きな変更の度合を表していない。昨年論争を引き起こすこととなったのだが、Final Cut Pro 10.0 は一から書き直しされたもので Final Cut Pro 7 にはあった能力の幾つかが削られていた。しかし、この 3 版となるマイナーアップデートで、これらの機能の幾つかが戻ってきた。そのリストの最初に挙げられるのは Multicam 編集で、最大 64 迄のカメラアングルをサポートする (Apple の Top Features ページではマルチカムがどの様に働くのかの印象的なビデオが紹介されていて、トラックのオーディオを使って自動同期することも含まれている)。また新しくなったものには、進化したクロマキー制御、プロジェクトやイベントを新しいメディアに再接続するためのメディア再リンク機能、レイヤー化された Photoshop ファイルを直接開く能力、ベータ版だがサードパーティの PCIe や Thunderbolt 機器で放送をモニタする、等々がある。と言うことで、最初 Final Cut Pro X を避けたプロ達が将来のプロジェクトのためにこのアプリを再考するかどうかが間もなく分かるであろう。(新規購入 $299. 99、無料アップデート、1.37 GB、リリースノート)

Final Cut Pro X 10.0.3 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2012 年 2 月 6 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

この一週間はとても忙しかったが、一つだけ目についた記事があった。綴りの標準化がなぜ重要かを論じた記事で、これだけはどうしても紹介しておきたいと思った。

正しい綴りを守る -- 私たちが「正しい」綴り方についての記事を書くなどという状況はとても思い描けないが、スペリングの標準化に 反対する 記事が最近 Wired に載ったのに対し、Wired の原稿整理編集者たる Lee Simmons が、素敵な反論を書き上げた。Simmons が指摘するのは、確かにテキストメッセージや tweet などにおいては崩れたテキストも許されるかもしれないけれど、スペリングの標準化がコミュニケーションの助けとなり明瞭さを高めているプロフェッショナルな文章においてはそのようなものの入り込む余地はないという論旨だ。まさにその通り!

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2012 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2012年 2月 14日 火曜日, S. HOSOKAWA