TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1122/16-Apr-2012

TidBITS の千百二十二号が何を意味するかというと、そう、今日は TidBITS の 22 年目の誕生日だ! それを祝う意味でも、皆さんどうか TidBITS 会員になって頂けませんか? その援助によって、私たちはこれまで二十二年間毎週続けてきたこと、皆さんに重要な、興味深い Mac や Apple 関係のニュースをお届けすることを、今後も続けることができる。さて、今週の大きなニュースは引き続き Flashback マルウェアの横行だ。Glenn Fleishman と Rich Mogull が、Flashback マルウェアの除去も実行する Apple の重要な Java アップデートについて詳しく解説し、また Glenn は Firefox におけるそれと関連した厄介な問題の回避方法を説明する。さらに、これも Flashback 問題に動機付けられてのことだが、Jeff Carlson が Dropbox を使って家族の Mac をトラブルシュートした体験を語る。マルウェア以外のニュースでは、Michael Cohen が電子ブックの中でメモを取ったり引用を使ったりする際の問題点を考察し、Steve McCabe が HTML5 アニメーションや双方向性のコードを生成する Mac 用ユーティリティ Hype に傾倒する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Acrobat X Pro および Adobe Reader X 10.1.3、Microsoft Office for Mac 2011 14.2.0、Final Cut Pro X 10.0.4、KeyCue 6.1、TextWrangler 4.0 だ。

記事:

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TidBITS が 22 歳に: あなたは TidBITS 会員ですか?

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS はこの号をもって、公式に 22 年間連続的に出版を続けてきたことになる。これは、インターネット上で純粋に電子的にのみ出されるテクノロジー関係出版では最も古くから続いているという私たちの定評を保つものだ。この期間を通じ、TidBITS は時とともに進化しつつ、Apple の製品やサービスが構成する統合されたエコシステム全体を伝えるとともに、1994 年の World Wide Web から 2010 年の iOS アプリまで、常に新しい形での配布の利点を利用し続けてきた。けれども私たちはまた、この 22 年間驚くほど一貫したところもあった。毎週電子メール号を配布してきたことはもちろんだが、もっと重要なことは、読者たちがテクノロジーの入り組んだ小径を辿る手助けをしたいという一貫したテーマを持ち続けたという点だ。

しかしながら TidBITS の最近の大きな変化とは、TidBITS 会員プログラムを始めたことだ。2011 年の末に、TidBITS に継続的な財政基盤を得るためこのプログラムをスタートさせた。(2011 年 12 月 12 日の記事“TidBITS 会員になって TidBITS をサポートしよう”参照。)多くの人々が小規模農家を直接援助して、悪天候によるリスクを分け合いつつ収穫の恵みを共に享受するという、成功している地域密着型農業モデルにヒントを得て作ったものだ。私たちは自らのモデルを「コミュニティー密着型コンテンツ」と名付けているが、現在までに 1,700 名近くの TidBITS 読者の皆さんが私たちの仕事を支えるために、$20 のレベルから信じられないほど気前の良い $1,000 まで、さまざまの形で資金を援助して下さっている。

でも、これはまだ電子メールで毎週 TidBITS を受け取っている 25,000 名以上の人々のうちのたった 1,700 名に過ぎない。ましてや、私たちのウェブサイトや iOS アプリで TidBITS を読んでいる何万人もの人たちがいることは言うまでもない。もしも、あなたがまだ TidBITS 会員になっておられないなら、 今日こそあなたも会員になって、私たちが今後もあなたに TidBITS をお届けできる力となって頂けませんか? TidBITS の基本コンテンツは今後もすべての人が無料でアクセスできるけれども、会員はそれに加えて次のようなものを受けることができる:

では、TidBITS 会員プログラムから得られた資金で私たちはこれまでに何をしてきただろうか? ウェブサイトや大規模なメーリングリストを運営するに際してのホスティングやバンド幅の料金を支払ったり、私たちのインターネットにおける存在を支える何千行ものコードを開発・管理するためのコストの一部を負担したりする他に、私たちがとりわけ重視してきたのはより多くのライターたちを TidBITS に招くことだった。

私たちが直面してきた大きな問題の一つは、TidBITS スタッフの大多数が業界のエキスパートであって、本の出版や講演、コンサルタント業などを自らの主な収入源としていることだった。それは、専門知識という観点からは素晴らしいことだけれども、一つの記事を書き上げたり編集したりする時間のある人を見つけるのが困難になり得るということも意味している。そのため、私たちは他のライターたちやエディターたちを招き入れる試みを始めた。その先陣を切ったのが Agen Schmitz だ。彼は毎週の「TidBITS 監視リスト」に載せるべき製品を見つけて記事を書き上げ、また各種の Mac ソフトウェアアップデートについての記事も書く仕事を見事に引き継いでくれた。今後も、更なる新しい人材を捜し続けたいと思う。そのスキルとスケジュールとが私たちの仕事のやり方にマッチする人、そして正直に言えば、金銭面で話の合う人だ。なぜなら、金銭面では私たちは資金力豊富な大手の出版社に到底敵わないからだ。

Tonya と私は先週の数日間、息子 Tristan の春休みもあって首都ワシントンでの休暇を過ごした。博物館を訪れたり、今自分たちは国の首都にいるのだという気分に浸るのを楽しんだりした。おそらく一番印象に残っているお出かけは、 Newseum に行ってきた日だったろう。Pennsylvania Avenue にあるここは、報道を専門に扱った博物館だ。一日の終わりに Tonya は「私みたいなタイプの人のための博物館があるなんてびっくり!」と叫んだし、Tristan も伝統的な展示のある National Air and Space Museum (スミソニアン航空宇宙博物館) よりも Newseum の方にずっと夢中になっていた。でも、Newseum の素晴らしい展示を見ていると、私たち TidBITS での編集のやり方が他の多くの出版物とどんなに違っているかということがまざまざと見えてきた。確かに私たちの記事が扱うのは私たちの分野のニュースではあるが、私たちは常に、今書いているものが読者たちにとって 有益 かどうかという点を自らに問い続けている。ただ論議を巻き起こしたり刺激を狙ったり、あるいは背景情報なしにただ事実のみを報告したり、ということはしたくない。

そういうわけで、TidBITS を読んで下さって、ありがとうございます。そして、TidBITS が今後またさらに 22 年間前進し続けられるように、どうか TidBITS 会員プログラムに参加して下さるよう、お願い致します。

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Apple、Flashback マルウェア削除ツールをリリース

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>, Rich Mogull <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple から出た二つの Java アップデートJava - OS X Lion 2012-003と、Java - Mac OS X 10.6 アップデート 8とが、それぞれ Mac OS X 10.7 Lion と 10.6 Snow Leopard の中から、Flashback マルウェアの最も一般的な変種を除去する。(2012 年 4 月 5 日の記事“最新の Flashback マルウェアに対する検出と保護の方法”参照。)また、Lion 用のアップデートは、ウェブページの中での Java アプレットの自動実行を一時的に無効にする。ソフトウェア・アップデートを使って適切なアップデートをインストールすることもできるし、また直接にダウンロードすることも可能だ。

これらの Java アップデートはその定義から Java を必要とするが、Lion においては Java はオプションなので(デフォルトではインストールされないので)Apple は Lion ユーザー用の Flashback マルウェア削除ツールを別途にもリリースして、Java を一度もインストールしたことがなくても走らせられるようにした。こちらのツールは手動でダウンロードして走らせる必要がある。

あなたが適切な Java アップデートをインストールすると、バックグラウンドで Flashback 削除ツールが自動的に走り、もしも Flashback マルウェアの変種が発見されて除去されればその旨通知が表示される。それ以外の場合には、特に何もコメントを表示せずインストールが進む。

Apple はまた、Lion においては、このアップデートにより即座に Java ブラウザプラグインと Java Web Start とが無効となり、ウェブブラウザで知らずに Java アプレットを使ってしまう危険が防止されるとも述べている。この規制は Java ブラウザプラグイン自体の内部で強制されるものなので、Safari のみならず Lion にインストールされたすべてのウェブブラウザに適用される。

ウェブページで Java の自動実行を再度有効にするには、Java Preferences プログラムを使う必要がある。これは /Applications/Utilities の中にある。けれども、あなたがウェブページでの使用を再有効化した後でさえ、Java が 35 日の間一度も使用されなかった場合には Lion が再び Java を無効化する。Apple の意図は、ウェブページで Java を有効にしておく必要のないユーザーたちの間で通過用の媒介として Java が使われマルウェアの感染が広がってしまうのを防ぎたいということなのだ。

Apple はこれらのアップデートを Java に関するものとして名付けているが、今回の唯一の目的は Flashback を除去しブラウザプラグインを無効化することだ。Java のそれ以外の部分は影響を受けていないようだ。

もしもあなたが Firefox を使っているならば、Apple のアップデートを適用した後で Java プラグインが最新かどうかをチェックさせようとするとエラーになってしまうことがある。実はこれはキャッシュに関係した見かけ上の問題に過ぎず、セキュリティには影響しない。インストールされた Java プラグインのバージョンに関し Firefox が誤ったレポートを出す問題について詳しくは、2012 年 4 月 10 日の記事“Firefox を修正して最新の Java プラグインを表示させる”をご覧頂きたい。

Flashback の感染件数に関するアンチマルウェアベンダー各社による推定は、2012 年 4 月 6 日に 600,000 台以上と発表されたのが最高値であった。その後 Symantec は 2012 年 4 月 11 日に、手動の除去手順や自動化ツールが使われたこともあり同社の測定による感染マシン数は 300,000 台以下となったと発表した。Apple は自社バージョンの Java に対して Flashback のプログラマーたちが攻撃したバグを修正するアップデートをリリースするのが遅く、それは Oracle が他のプラットフォーム用のメイン Java ツリーで同じバグをパッチしてからおよそ二ヵ月も後のことであった。

Apple は以前のいくつかのバージョンの Flashback に対する保護を Lion および Snow Leopard に内蔵されたアンチマルウェア機能を用いて提供していた。XProtect と呼ばれるこの機能は、ダウンロードされたプログラムが(Launch Services を使って)初めて起動された際に、そのプログラムの署名を Apple が管理する既知のマルウェアのリストと照合する。ところが Flashback の今回のバージョンは、直接 Java を攻撃し Launch Services を迂回するので、XProtect には今回のものの感染をくい止めることはできない。

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Firefox を修正して最新の Java プラグインを表示させる

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週私は自分の Mac が Flashback マルウェアに感染していないかチェックしていたが(2012 年 4 月 5 日の記事“最新の Flashback マルウェアに対する検出と保護の方法”参照)その際 Firefox でちょっと奇妙なことに遭遇した。 Mozilla のプラグインステータスページ が古くなったバージョンを報告していて、その結果が Safari の報告する結果と違ったのだ。いろいろと調べてみて、私はこれが Firefox におけるキャッシュの問題であって、正しいリリースがインストールされているにもかかわらず間違ったバージョンが報告されてしまうのだということを発見した。

この問題を解明するために私は Mozilla フォーラムでいくつかのスレッドを読んでみた。そこにはこの問題がバグとして報告されていて、Mac OS X 版の Firefox の将来のアップデートで修正されるだろうと書かれていた。それはさておき、Java プラグインに関する Firefox の表示を修正するには次の手順を踏めばよい:

  1. まず Firefox の Location フィールドの中にabout:supportと入力する。
  2. Profile Directory の隣にある Show in Finder をクリックする。
  3. Firefox を終了し、それがフリーズしておらずきちんと終了済みであることを確認する。
  4. Finder で、(何とか).default または default.(何とか) という名前のフォルダを開く。(私の場合は p9u8hadp.default という名前だった。)
  5. ファイルpluginreg.datをゴミ箱に入れ、ゴミ箱を空にする。
  6. プロファイルフォルダを閉じる。
  7. それから Firefox を起動し、もう一度プラグインステータスページをロードする。

これで、Mozilla のプラグインステータスページは Java プラグインが最新だと表示するはずだ。

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家族の Mac をトラブルシュートするのに Dropbox を使う

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

50 万台以上の Mac に感染した Flashback マルウェアは、技術にあまり詳しくない友人や家族の間に一気に混乱が広がる寸前の様な状況を作り出した。("最新の Flashback マルウェアに対する検出と保護の方法" 5 April 2012 参照) この話が主要メディアに登場し始めた時、離れた所にある Mac を管理する手伝いをしている我々の様な人の所にも助けを求める電話やメールが届き始めた。

Apple は、先週このマルウェアを取り除く Java に対するアップデートをリリースしたので、Software Update を走らせている人は誰でもこの脅威から身を守ることが出来る ("Apple、Flashback マルウェア削除ツールをリリース" 12 April 2012 参照)。しかしこのアップデートがリリースされる前には、私は私の家族の Mac も感染しているかどうかチェックして見たいと思った。これを助けてくれたのが Dropbox である。あなたが共有したいものが家族の写真であろうが或いはトラブルシュートのユーティリティであるかに拘わらず、私がこれから説明するやり方を使えば、ファイルを多くの Mac に、たとえそれがあなたのものでないとしても、配付するのが易しくなる。

私は、Marc Zeedar の Test4Flashbackアプリケーションを、これを使えば直ちに Flashback がシステムに感染しているかどうかが分かる、私の母親と義母の持っている iMac に送りたかった。私は以前に両方のシステムに Dropbox を設定してあり、それぞれに私の Dropbox アカウントと共有する "Jeff" フォルダを作ってあった。このアプリを彼女らのマシンに届けるのは、単に私の Mac 上にあるそれぞれの "Jeff" フォルダにそれをコピーするだけである。Dropbox は次にこのファイルを彼女らのコンピュータ上の "Jeff" フォルダに同期する (それに私がこれをやったのは真夜中だったので、私が彼女らの邪魔をすることは無かった - そもそもこのプログラムはとても小さい)。

次の日、私は母親に電話をしこのアプリを走らせるよう頼んだ;彼女の iMac は感染していなかった。私の義母の iMac に対しては、私が前に設定しておいた LogMeIn アカウントを使って遠隔で接続し、そしてこのアプリを自分で走らせた;こちらの iMac からも Flashback は検出されなかった。

Dropbox はこの様なファイルを家族の一員に転送するには理想的であり、メール添付で送る - メールフィルタに引っかかってしまうこともある - 或いは iChat 経由でファイル転送を試みるよりも良い方法である。もう一つ例を挙げると:私の母親を Apple のサポート頁に導いて airport utility 5.6 (これは現在の AirPort Utility 6.0 の前のバージョンであるが、最新バージョンの方は彼女の AirPort Extreme を認識できなかった) をダウンロードさせる代わりに、私はインストーラーを私自身がダウンロードしそれを我々の共有 Dropbox フォルダにコピーした。

Dropbox は 2 GB の無料スペースを提供しているので、これをやってもお金はかからない。実際、Dropbox が紹介に対して蓄積スペースを増やすという先週のニュースによれば、あなたもあなたの友人も恩恵を受けられる ("Dropbox 紹介ボーナス 500 MB へ倍加、しかも遡って" 4 April 2012 参照)。

時として、とりわけトラブルシュートしている時は、あなたが必要とするツールを相手側のコンピュータ上に魔法の様に出現させられれば、ファイルやユーティリティをダウンロードする際の細かいことに苛立つことなしに、問題解決にすぐ着手できるというものである。Dropbox はこの魔法に抜きんでいて、しばしば私の日常生活をより楽にしてくれている。

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メモ、引用、そして iBooks

  文: Michael E. Cohen <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私を知っている人なら誰でも私が本の問題を抱えているのを知っている:棚の上にも本があり、箱に入れた本もあり、ベッドの横にも本があり、テーブルの上にも本があり、床の上にも本があり、ロッカーにも本があり、車の後部座席にも、そしてトランクにも本がある。私の本は驚く程の場所を取るが、かといって手放したくもないので、時として不都合を生ずる、とりわけ我が家で他の物のために場所が必要な時に (例えば、山の様な雑誌とか新聞とか)。この本の多さは、あちこちにある本の山に深く埋もれた本の中から何かを探し出さなければならない時には極めて不便である。

これぞ私が数年前に電子本時代の幕開けを歓迎した理由である。電子本であれば、物理的な量の問題は無くなる:今や私はダイニングルームのテーブルに積める以上の本をポケットに入れて持ち運べるし、そして必要なものを少々のタップとスワイプで簡単に呼び出せる。時として愛書癖こうじて中度の蔵書家に近づいている私の様な人にとっては、電子本は天からの贈り物である。

勿論、電子本にも生来の欠点が無いわけではない:高価なリーダーを必要とする、電池が切れると働かなくなる、良質の印刷本程には見やすくない (Retina ディスプレイをもってしても)、等々である。それでも、私は 生来の 欠点は我慢できる。

私が耐えられないのは、電子本閲覧ソフトウェアを設計開発した人達によって 意図的に 作られた恣意的な欠点である。具体的に言うと、電子本ソフトウェア開発者がその製品に組み込んだメモや引用に関する欠陥に私は愕然とさせられる。これは伝統的な教科書を電子本で置き換える動きの拡大を考えれば尚更である。

生徒たちが (そして、実際の所、熱心な読者も) 本でする二つのことがある:

電子本閲覧ソフトウェアの設計者達は、これらの読書行動を、意図的に、困難にして来た。電子本閲覧アプリの一つである Apple の iBooks が、生徒たちの前に障害物をばらまいているやり方を見てみよう。私が iBooks のあら捜しをしていると思われるといけないので言っておくが、他の殆どの電子本閲覧ソフトウェアも同じ様な欠陥を露呈している。

メモ -- 一見したところでは、iBooks は活動的な読者に対して本へのマークアップ能力に突破口を提供している。単に指でなぞるだけで各種の色でハイライト出来、そしてメモを書き込む時も自分の考えを網羅するのに余白には十分な広さがあるかどうかなど心配せずに好きな大きさでメモを添付させてくれる。もっと良いことには、iBooks の中の目次へ一発で跳んであなたの取ったメモやマークアップ全部を、しかもそれらの元の文脈付きで見ることが出来、そのうちのどれへも一回のタップで到達できる。素晴らしい。

素晴らしくない? これらのメモやマークアップを他でも使えるよう取り出すことである。Notes ページの右上隅にある Share ボタン (箱の中のあの翼っぽい矢印) をタップすると、あなたのメモを印刷するか或いはメールで送るかの興味をかきたてられるオプションを見ることになる。そして、これは本当である:これらのことは実行可能なのである。但し、印刷したりメールしたり出来ないのはそれぞれのメモが付けられた 元の文脈 である。あなたがハイライトした文節、そして iBooks の Notes ページに現れる文節は印刷されたもの或いはメールで送られたものの中には含まれていない。あなたが手にするものと言えば、あなたのメモとそれが付属する殆ど役に立たない章の名前 (教科書の場合、ページ数) だけである。もし余白に書いたメモがその本と読者の間の会話であれば、エクスポートされた iBooks のメモはこの会話の一方しか描写していない。

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引用 -- 生徒は年がら年中、本から引用する。事実、ある種の教育課題では引用はしばしば必要とされる。正しく引用する、正確に引用表現する、そして引用を効果的に論議に統合する方法を学ぶことは、生徒が学ばなければならない基本的な文章技術である。にも拘らず、iBooks はこの基礎的な行動に対してわずかな手助けしか提供していない。

確かに、もし誰かが iBooks の中で非保護の電子本を読んでいる時ならば、その本の中で選択したテキストなら何でもクリップボードにコピーすることが可能で、そこから作成している書類、メールメッセージ、或いはその他のテキスト保管庫にペーストできる。しかしこの方法は非保護の本でしか、しかも EPUB フォーマットの電子本でしか働かない。驚きは、iBooks Author (これは Apple 独自の Multi-Touch ブックフォーマットを使っている) で作成された非保護の教科書内ですら、選択したテキストに対する Copy コマンドは行方不明である。

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保護された EPUB に対しては、コピーすることを不能にするという設計判断がなされているようで、恐らくは著作権侵害の不正を避けるためなのであろう。これをやろうとする人は本の各ページを個別にコピーしなければならないとしても (iBooks ではページをまたいで選択することは出来ない)、或いは容易に (とは言ってもそう簡単ではないが) スクリーンキャプチャをとりそして OCR ソフトウェアを使って海賊版を作ることは出来るにしてもである。

でも非保護の教科書においてすらも、コピー機能を不能にする? そうすることの目的は? ひょっとすると、教師が指定した教科書から生徒が盗用するかもしれないという恐れ? そうかもしれないが、教師がまず間違いなく分かるであろう本から盗用を試みる様な生徒は相当鈍いと言わざるを得ない。もしそれが理由なら、ばかばかしい話である。

我々はこれらの問題を前に解決している -- 私の知る限り、メモや引用に関するこの様な設計制限は単に "泥棒" を阻止するために課せられている (泥棒をわざわざこの様に引用符付にしたのは、これらのソフトウェアの制限が成し遂げようとしているのは、泥棒ではなくむしろ著作権侵害と盗作を阻止しようとしているからである)。

昔の Voyager Expanded Book は、フロッピーディスクベースの電子本で 1990年代初期の電子本の夜明けの頃に作り出されたもので、著作権侵害/盗作 に異なる方法で対応していた:本のコンテンツの利用を制限することによるのではなく、正しい使い方を奨励することによってである。Expanded Book からエクスポートされたメモにはそれが付けられたテキストも含まれ、引用文も完全な形で含まれていた。クリップボードにコピーされたテキストにもそのテキストに付加された引用文も含まれていた。

この Expanded Book 設計者達は (私もその一人だった) 確信犯の海賊行為(著作権侵害)を止めるのはほぼ不可能であることを認識していた。海賊行為を阻止するため正直な読者の前に障害物を仕掛けるのは貧弱な戦略であることも知っていた:こうすることで正直な読者を怒らせはするが、海賊共はただ笑うだけである。

では盗作の方はどうする? 故意の確信犯である盗作者にも、我々は著作権侵害に対して使ったのと同じ考え方を適用した。意図的でない盗作者に関しては (そして大部分の盗作をする生徒もこの範疇に入る)、我々は個々のコピーされた語句に対して引用文を付加することで生徒に対する模範そして教訓の役を演ずるであろうと思った:引用されたテキストには常に帰属表記が含まれるべきである。我々は問題の種を教育の機会にしたのである。

コピーされたそして注釈がつけられたテキストに対して同じ様な対応をすることは、iBooks やその他の電子本閲覧アップスにとっても難しい話ではないであろう。ただ、本というものは読者が受け身に吸収する言葉の単なる入れ物ではなく、読者が積極的に互いに影響し合う思考、発想、そして意見の入れ物であるということを出版者に確信させることの方が難しいであろうとは思う。しかしながら、私の家を占拠し私の居場所を無くしてしまった紙の本を全部置き換えられるものに電子本をしたいと願うのであれば、出版者はこの考え方を理解する必要がある。

彼らがそうなるまで、電子本は意図的に欠陥を植え付けられたかたわもののままで居続けるであろう。本当に残念な話である。

私がそう言ったと引用されてもいい。

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Tumult の HTML5 宣伝 (Hype) は大部分が信じられる

  文: Steve McCabe <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

1990 年代中頃以来ずっと、Adobe の Flash はウェブページにアニメーションを加えるための一番のツールであった。けれどもいたる所に存在することは必ずしも人気が高いことを意味しない。Flash は広く使われているけれども、同時にこれは広く嫌がられている。その閉じた、独自仕様の性格とともに、ブラウザプラグインとして安定性が低く、メモリ食いであることが原因だ。

Flash の優位を脅かす(さらにはいずれ生き残りさえ脅かそうとしている)テクノロジーが、HTML5 だ。これは、ウェブページの構造を定義する言語およびプロトコルの、最新の形である。Flash ほど完全にスクリプト化可能ではないものの、HTML5 は前回のバージョンの HTML に比べてはるかに豊かな範囲のアニメーションとトランジションを許容できる。Apple の iOS に基づく世界が包括的に(むしろ挑戦的にと言うべきか)Flash のない地帯となり、さらには Adobe がモバイルデバイス上での Flash の開発を断念するに至って(2011 年 11 月 9 日の記事“Adobe、モバイル版 Flash の開発を中止”参照)ウェブデザイナーたちは動的なコンテンツを作成する手段として HTML5 に目を向けつつある。

けれども、HTML5 のようなオープンスタンダードにおける問題は、一つの団体がそれを推し進めてオーサリングツールとしての利用可能性を保証するということがあり得ない点だ。Flash はクローズドな製品だが、Adobe が、その前には Macromedia が、きちんとしたオーサリングツールを提供していて、十分な程度に容易なコンテンツ開発を可能にしていた。HTML5 エディタがどのようなものになるかの実例として Adobe はEdge を提供したけれども、Edge にはそのいたる所にこれが「プレビュー版」のまま打ち捨てられていずれ静かに忘れ去られるプログラムであることを暗示するものが見られる。

さて話は変わるが、 Hype というプログラムが、HTML5 アニメーションやインタラクティブなコンテンツを作り始めるための手軽な手段を提供する。これを出している Tumult という小さな新興企業は、以前 Apple で開発を担当していた Jonathan Deutsch と Ryan Nielsen によって創立された。Hype はタイムラインベース、WYSIWYG の HTML5 エディタであって、その出力したコードを既存のウェブページの中に置くこともできる。最初にリリースされたのは 2011 年 5 月だが、Hype は最近バージョン 1.5 にアップデートされた。

基本的な使用法 -- Hype での作業にそれほど苦労は要らない。以前 Apple で働いていた開発者の手になる Mac プログラムであることから容易に推察できる通り、インターフェイスは iWork アプリケーションのそれを連想させる。カンバスの上に、テキストボックスや画像などのレイアウト項目を置いてから、それらのプロパティを標準的なプロパティ・インスペクタやカラーパレットを使って調整する。カンバスの下にはタイムラインがあり、そこでは多数ある異なったスタイル要素のうちからどれでも選んで好きな瞬間に指定できる。

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例えば、あなたのロゴを画面の左側からスライドさせて、同時に画面をフェードインしたいとする。これを実現するには数ステップの手順が要るが、どのステップも簡単だ:

  1. そのロゴを、カンバス上のスタート位置へ、Finder ウィンドウから、あるいは Hype の Media パレットから、ドラッグする。

  2. タイムライン上で、プレイヘッドをスタート位置に置く。

  3. Record ボタンをクリックする。

  4. そのロゴ用のスタート時プロパティ、例えば不透過率やシャドウなどを、Inspector パレットの Element ページで設定する。

  5. タイムライン上で、プレイヘッドをあなたがロゴの最終時点としたいところまで動かす。

  6. ロゴを最終の位置へドラッグしてから、Inspector に戻ってロゴの最終時点におけるビジュアルなプロパティを設定する。

  7. もう一度 Record ボタンをクリックして記録作業を止める。

Hype は必要なコードを自動的に生成して、最初と最後のキーフレームの間のタイムラインにおけるそれぞれの時点間の時間経過を通してのトランジションを作成する。

タイムラインを使って、カラー、サイズ、向き、フォントファミリー、文字サイズその他のプロパティをアニメーション化することもできる。また、タイムラインに沿ってキーフレームをかなりの精度をもってドラッグすることもできるので、いろいろなイベントのタイミングについてかなり緊密なコントロールが可能だ。

Hype はまたウェブコンテンツのインタラクティブなコントロールもできるようにする。カンバス上に置かれたどんなレイアウト項目でも、マウスの動きに基づいたアクションを付随させることができる。(これらの効果はコンピュータのウェブブラウザで実行した方がうまく働く。iOS デバイスにはマウスがないので、ポインタを乗せて動かすアクションには問題がある。)マウスをボタンの上へ、あるいはボタンの外へ動かすことでアクションを引き起こすことができ、例えば「シーン」を変えたり(Hype は背景も含めカンバス全体に表示されているものを「シーン」と呼んでいる)あるいは JavaScript スクリプトを実行したりもできる。

カンバス上の要素に対する作業は明快で、ことにバージョン 1.5 ではその点が大きく改善されている。これは、開発者たちがユーザーからの懸念に応えた結果だ。Hype はオブジェクトをクループ化してそれらをカンバス上でロックすることもできるようになった。最初のリリースではこの機能がなくこれを希望する声が多かった。またコンテクストメニューも追加されて、レイアウト関係、また構成関係の諸機能にカンバスからマウスを外さないままで手早くアクセスできるようになった。ツールバーには zoom ポップアップメニューも追加された。

Hype 書類のプレビューをするには二つの方法がある。タイムラインで Play ボタンをクリックすれば、その書類のアニメーションがプレビューできる。けれども、マウスに基づくアクションには Safari の中でのプレビューが必要となる。そのためには、ツールバー上の Safari アイコンをクリックする。すると Safari がそれに応えて新規のウィンドウを開き、あなたが作業中のコンテンツをそれがあなたのウェブサイト上に登場する際の状態そのままに表示する。

コンテンツを Hype から書き出す作業もやはり明快だ。Hype は HTML 書類と、そのページを動かすために必要なサポートファイルを含むフォルダとを生成する。このフォルダには通常そのページが含むグラフィックスファイルや、ページ上のアニメーションのために必要なスクリプトを含んだ JavaScript (.js) 書類などが入っている。

Hype の HTML コードは自己完結しているので、そのままの形で出版することができる。けれども普通は、それを他の書類の中へ挿入したいことの方が多いだろう。その目的のために、このコードはどの行が実際に JavaScript を呼び出してそれを走らせるかを表示したコメントによって明快にマーキングされている。それらの該当する行をコピーして、別の HTML ページの中へペーストすることもできる。そのページと、サポート用のファイルを含んだフォルダとをアップロードすれば、あなたの新しいピカピカのウェブページはもうスクリーン上で飛び出す準備が出来ている。私のウェブサイトで、Hype による出力の手早いサンプル がご覧頂ける。

事後にウェブページを変更するには、元々の Hype 書類が必要となる。Hype の生成する HTML は読みやすいけれども、圧倒的大多数のアクションが付属の JavaScript ファイルの中で実行されるので、読んで分かることには限界がある。もちろん JavaScript ファイルを編集することも可能だが、それは簡単な作業ではない。例えば、フォントを変更するだけというような単純なことも、元々の Hype 書類を編集した方がずっと賢明だ。なぜなら、その程度のレベルの情報でさえ、CSS ファイルの中ではなく、生成される JavaScript ファイルの中に保存されているからだ。

奇妙な点と欠点 -- Hype はバージョン 1.5 で著しく改善されたけれども、使っていると一瞬考え込んでしまうような奇妙な点もまだまだ残っている。例えば Insert メニューにはキーボードショートカットが一つも含まれていないので、テキスト、ボタン、画像、その他 Hype 書類の中で 必須たる 要素を挿入しようとする度に、いつもちょっとイライラしてしまう。カンバスの一番上のツールバーにある Insert Elements ポップアップメニューを使っても挿入ができるけれど、内蔵のキーボードショートカットがあればもっとありがたいと思う。(もちろん、システム環境設定の「キーボード」パネルや、例えば Keyboard Maestro のようなユーティリティを使って自分で割り当てることはできる。)

もっと問題なのは次のことだ: Hype は HTML5 コンテンツをデザインして開発するための手軽な方法を提供しているけれども、HTML5 のアニメーション機能のうち一部にしかアクセスを提供しない。例えば、HTML5 のアニメーションオプションでは一つのオブジェクトの動きについて多岐にわたるコントロールが許されるのに、Hype はたった一つのオプション、すなわち時間のトークンを、タイムラインでのキーフレームのドラッグのお陰で提供できているのみだ。オブジェクトは加速し、運動し、減速し、停止するものだ。スクリーン上でオブジェクトを動き回らせようとすれば、そういったことがとても魅力的なものになるのは明白だろう。たいていのユーザーは、多くの場合そういうスタイルを選びたいと思うはずだ。それなのに、Hype が速度とか加速とかいったことに一切コントロールの手段を提供しないのは、やはり苛立たしい。

同様に、Hype のシーンとシーンの間の Keynote 風のトランジションは HTML5 アニメーションのあらゆる種類のスタイル、例えばワイプ、クロスフェード、スワップなどを使って実行させられるけれども、HTML5 タイミング、例えばトランジションにかかる時間などに Hype から直接アクセスすることはできない。確かに目に見えるものがそのまま実現されているのかもしれないけれど、あなたには与えられたものしか使えない。このことは、二律背反の結果避け得ないことなのかもしれない。つまり、HTML5 は要素の動きの可能性を微調整するための広範な機能を提供しているけれども、Hype が手軽なコンテンツ作成に焦点を絞っていることの代償として、それらのオプションすべてにアクセスできないのは仕方がないのかもしれない。

さらに、Hype には画像に対する処理のツールがまだまだ大いに欠けている。画像のリサイズは簡単に管理でき、タイムライン内部から自動化することさえできるが、マスクツールや編集ツールはまだ存在していない。Hype の中で画像を動き回らせることはできるけれど、その画像を Hype 書類の中に置くよりも前に、あらかじめ外部の画像エディタでその画像に対する準備を整えておく必要がある。

でも、あまり否定的なことを強調したくはない。確かに Hype はまだ HTML5 のアニメーションツールのすべてにフルアクセスを提供していないかもしれないし、ウェブデザイナーが望む機能のすべてを一つのプログラムの中に取り揃えてはいないかもしれない。けれどもこれは、デザイナーたちが規格に準拠したサイトを構築する過程で採用することのできる便利なツールの一つに過ぎないものと見るべきだろう。(技術的には、Hype は自己完結したウェブページを作成することもできる。けれども、これを十分に機能を備えた独立のウェブオーサリングツールと見なす人はそう多くないだろう。)アニメーションの付いたインタラクティブなコンテンツを作成するために Hype がしていることについて言えば、それは使いやすいと同時にとても便利だし、これまであまり HTML5 と JavaScript のコードで手を汚したくないと思っていたデザイナーたちにとっては魅力的なものとなるだろう。 Mac App Store から購入する価格は $49.99 だが、これまで静止していたページにちょっとした動くコンテンツを追加したいと思っているウェブデザイナーにとって、Hype にはきっと投資しただけの価値はあるだろう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 4 月 16 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Adobe Acrobat X Pro および Reader X 10.1.3 -- Adobe が Acrobat X ProAdobe Reader Xをバージョン 10.1.3 にアップデートした。いずれも、付属する PDF ブラウザプラグインが Safari 5.1 と(64-bit モードで走る場合)互換でなかった問題を解消している。また、このプラグインは 32-bit モードで走る Firefox にも対応するようになった。さらに、Adobe の EchoSign 電子署名サービスがこれら二つのアプリにより良く統合され、電子署名の新たなタイプを追加するとともに EchoSign を通じて書類を送信する機能も装備した。今回のアップデートではまた前回のリリースで知られていた問題点に関係するバグも多数修正され、例えばプリント環境設定で両面印刷がデフォルトになっていた問題や Protected Mode でプリントしようとした際のクラッシュなどが解決した。10.1.3 における改善点や修正点の完全なリストが読みたければ、 Adobe のサポートページから PDF のリリースノートをダウンロードすればよい。(Acrobat X Pro の新規購入 $449、無料アップデート、Adobe Reader X は無料、それぞれ 137.4 MB と 69.6 MB)

Adobe Acrobat X Pro および Reader X 10.1.3 へのコメントリンク:

Microsoft Office for Mac 2011 14.2.0 -- Microsoft が Office for Mac 2011 をバージョン 14.2.0 (Service Pack 2 とも名付けられている) にアップデートした。Microsoft の SharePoint 共同作業サービスに接続する際の改善や、Outlook、PowerPoint、Word に対するさまざまの調整や修正が施されている。Office for Mac 2011 スイート全体については、今回のアップデートで Mac OS X 10.7 Lion ユーザーがファイルを Document Connection アプリ(ファイルを SharePoint サイトにアップロードするために使う)へドラッグ&ドロップできるようになり、また SkyDrive フォルダのルートレベルに保存されている書類にもアクセスできるようになった。さらに、イタリア語とドイツ語の文法チェッカーが改善された。Outlook では、データベース破損の原因となる可能性のあった問題点を修正し、Gmail との IMAP 電子メール同期機能を改善し、Exchange に対しては電子メールメッセージを部分に分割してダウンロードする新しい同期モデルを導入した。(ただし、あらかじめあなたの Outlook データを必ずバックアップしておくべきだ。何人かのユーザーは今回のアップデートで問題に遭遇している!)PowerPoint では、Lion のフルスクリーンモードに対応し、特別なハイパーリンクをこのアプリに貼り付けする機能が追加された。Word は、今回のアップデートで PDF のファックス印刷を改善し、ユーザー情報が Word テンプレートに保存されていなかった問題を修正した。変更点の完全なリストは Microsoft のサポートページで読める。(ダウンロードまたは Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、110 MB)

Microsoft Office for Mac 2011 14.2.0 へのコメントリンク:

Final Cut Pro X 10.0.4 -- Apple が Final Cut Pro X 10.0.4 をリリースした。このプロフェッショナル向けビデオエディタへのマイナーなアップデートだが、多種多様な調整や修正が施されている。このリリースで、互換なサードパーティ PCIe や Thunderbolt I/O を使って放送モニタリングをする際や、マルチカムの同期や編集をする際の反応性と画質とが改善された。修正点の主なものとしては、Viewer の中で処理前と処理後で異なったレンダリングをするアルファチャンネルを持つ背景上にビデオの重ね合わせをする際の問題が修正されたほか、アプリケーションの起動後にタイトルの再レンダリングをする際の問題も解決した。今回のアップデートではまた互換な iOS デバイス上で 1080p ビデオを共有するオプションが追加され、XML プロジェクトの書き出しにマルチカムのメタデータが含まれるようになり、新規プロジェクトのオーディオチャンネル設定でステレオをデフォルトとするようになった。( Mac App Store での新規購入 $299.99、無料アップデート、1.38 GB、リリースノート)

Apple Final Cut Pro X 10.0.4 へのコメントリンク:

KeyCue 6.1 -- Ergonis が KeyCue 6.1 をリリースした。文字列をトリガーとする項目を表示する際の Keyboard Maestro のサポートを改善している。キーボードショートカットを一覧できるこのユーティリティでは、またこのソフトウェアの新しいベータ版をチェックするオプションを追加し、動作中のアプリケーションのバージョン番号をチェックする際のメモリに関する問題を修正し、日付と時刻を (GMT でなく) 現在のタイムゾーンで正しく表示するようになった。さらに、OS X 10.8 Mountain Lion の Gatekeeper セキュリティ機能に対応するため署名付き開発者 ID を含むようになった。(新規購入 19.99 ユーロ、無料アップデート、2.1 MB、リリースノート)

KeyCue 6.1 へのコメントリンク:

TextWrangler 4.0 -- Bare Bones Software が TextWrangler のバージョン 4.0 をリリースした。同社の旗艦製品、テキストおよび HTML エディタ BBEdit の弟分たる無料の汎用テキストエディタの、メジャーなアップデートだ。今回のリリースで、TextWrangler も多くの面で BBEdit 10.1 と同等の水準を誇るようになった。例えば、新しい編集ウィンドウインターフェイス(Currently Open Documents パネルや Recent Documents パネル)の採用や、再起動の際に前回開いていた書類を(保存されたものでなくても)復旧できる機能などがある。TextWrangler は今回から Mac OS X 10.6 かそれ以降を必要とするようになり、10.7 Lion のフルスクリーンモードとも互換になった。その他の変更点としては、スクリプトの扱いの(AppleScript スクリプト、Automator アクション、さらには Unix スクリプトも)改善、アプリ内でのライブ検索および Zip アーカイブ内のテキストを検索する機能の追加、それに Find Differences ダイアログボックスの「現代化」などがある。今回のバージョンでの膨大な量の機能追加や調整点のフルリストを含む長いリリースノートをぜひご一読頂きたい。(Bare Bones Software からも Mac App Store からも無料、5.2 MB)

TextWrangler 4.0 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2012 年 4 月 16 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

米国司法省 (Department of Justice) が独占禁止法違反の疑いで Apple と六つの大手出版社を提訴した問題が、今週私たちの読み物の話題の中心となった。中でも注目すべき二つは、Charlie Stross が Amazon の電子ブック戦略を脱構築した記事と、Nilay Patel が実際の訴訟について概観した記事だ。今週はまた、Facebook が Instagram を 10 億ドルで買収し、TomTom のいくつかの GPS 機器が道に迷う。

独占、需要独占、そして司法省の電子ブック固定価格訴訟 -- 作家 Charles Stross が、Amazon の電子ブック戦略を脱構築する。そのついでに、彼は独占 (monopoly) と需要独占 (monopsony) の違いについて有益な背景情報を提供するとともに、司法省が Apple と六つの大手出版社に対して起こした独占禁止法訴訟の結果として将来のデジタル著作権管理がどのようなものになるかについての興味深い推測を述べる。

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The Verge、司法省の Apple に対する電子ブック固定価格訴訟を分析 -- 米国司法省が、Apple および、出版社 Hachette、Simon & Schuster、Harper Collins、Pearson、Penguin、Macmillan を独占禁止法違反の疑いで提訴した。訴状によれば、これらの出版社は、Apple から大きな支援を受けつつ、価格を上げるべく共謀し、出版各社がそれぞれ独自の価格を設定して Apple が個々の売上げから 30 パーセントの取り分を得るという「エージェンシー・モデル」を業界が採用するよう強要したという。(出版社のうち Hachette、Simon & Schuster、Harper Collins の三社は既に司法省との和解を成立させたが、Macmillan と Penguin は法廷で争う道を選んだ。Apple は Macworld とのインタビューの場で司法省の告訴理由は「全く事実に反している」と述べた。)The Verge の Nilay Patel は法律家としての経歴も持つ人物だが、この政府訴訟の数多くの具体的な側面について検討するとともに、出版各社のとった行動がオープンな談合にあたる(また実際の裏取引や共謀も含む)と司法省が考える理由を指摘する。

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Facebook が Instagram を 10 億ドルで買収 -- ブログ記事の中で、写真共有サービス Instagram の CEO である Kevin Systrom が、8 人のスタッフから成る彼の会社が Facebook に買収されることになると発表した。Facebook の CEO Mark Zuckerberg も自身の発言をタイムラインに載せて「長年、わが社は友人や家族の間で写真を共有するための最高の体験を築くために力を注いできましたが、今回、Instagram チームと以前にも増して緊密に協力することで、美しいモバイル写真をあなたの興味に基づいて人々と共有できるための最高の体験を提供できることとなりました」と述べた。Facebook によればこの取引は 10 億ドルの価値があるという。私たちとしては、Instagram を持っている人たちもまた、このごく少人数の、しかし有能なスタッフたちと同じ果実のいくらかを享受できるようになれれば嬉しい。

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今は夜の 10 時、君の TomTom は自分の居場所を分かっているか? -- GPS 機器メーカーの TomTom が、同社の多くの機種で「うるう年」に関係するバグの結果としてユニットがその位置情報を検出できなくなることがあると明かした。2012 年 4 月 1 日 (エイプリルフールの日じゃないか!) 以後、このバグのために見知らぬ土地でナビゲーションを得られず迷ってしまったユーザーたちがいるという。TomTom のサポートページにバグの影響を受けた機種(Go、Via、Start 各機種のいくつかも含まれる)の一覧表があり、デスクトップ用ソフトウェア MyTomTom を使って問題の修正をインストールする手順の説明も載っている。

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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2012年 4月 21日 土曜日, S. HOSOKAWA