TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1128/04-Jun-2012

タイトルに「ゾンビ」が登場する記事を二つも今週号に入れるつもりはなかったが、なぜかそうなってしまった。まず Matt Neuburg が、Lion の Resume (再開) 機能によって要りもしない書類が開かれてしまうのを防ぐ方法を説明する。次に Glenn Fleishman が、乗っ取りを受けたコンピュータから発生したウェブのトラフィックにより私たちのサーバが押し潰されそうになった事態にどう対処したかを語る。また今週号では、Glenn が iOS アプリ Let's Sing を概観し、Jeff Carlson が iPad 用の Hammerhead Capo ケースをレビューし、Steve McCabe が Facebook に新設された "Highlight" 機能をニュージーランドで試してみるとどうなったかを語る。それから、新刊の Take Control 電子ブックが二冊ある: "Take Control of Your 802.11n AirPort Network, Third Edition" と "Take Control of iBooks Author" だ。過去二週間の注目すべきソフトウェアリリースは、QuarkXPress 9.3、OmniFocus 1.10.2、App Tamer 1.3、Fantastical 1.3、Typinator 5.1、Aperture 3.2.4、Coda 2.0、Cobook 1.0、Screenflow 3.0.6、それに Keyboard Maestro 5.3 だ。

記事:

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Let's Sing、声で人々をつなげる

  文: Glenn Fleishman: [email protected], @glennf
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は高校時代にはミュージカル劇場ファンであり、今でもシャワーの中で歌っている - そして時として嫌がる子供たちの前でも。この新しい Let's Sing アプリは私の歌い虫に場を与えてくれる。これはゲームで、私は私の相手に推測して欲しい歌のメロディーを歌う、口笛で吹く、或いはハミングしなければならない。このアプリは、広告付きの無料有料 ($4.99) のバージョンがあり、TidBITS 仲間の Lex Friedman と Marco Tabini、二人ともこの素晴らしい出版物に寄稿してくれている、から来たものである。

遊ぶには、あなたの連絡先或いは Facebook 経由で、或いはメールアドレス又はユーザー名を入力することで友人とつなげる。また無作為の敵を求めることもできる。難易度に応じたゲーム内コインと関連付けられたもっとも簡単 (殆ど子供の歌) から最も難しい (現代のポップ曲) から提供される三曲の中から選択する。30 秒迄のスニペットを録音し、あなたの相手に送る。その曲を知らなかったり或いは記憶を呼び起こす必要がある場合は、プレビューを聞いたり或いはその曲を iTunes で購入することもできる。

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あなたの相手方は、一連の四角とスペースの画面を見ることとなる。これらはその曲の題名に対応しており、相手方はそれを埋めなければならない。相手方が正しく推定すれば、あなたと相手方の両方が同じ数のコインを稼げる。ラウンド毎にプレーヤー間で役割を交代する。

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もしその曲の題名を思い出せない場合は、コインを使って歌手の名前を表示させるか或いは母音だけを見せて貰える。パスすることも許されているが、そうすると "連続" やあなたとその相手の間の交代の連続成功回数を途絶えさせることになる。(コインを買うことも出来、1,000 コインで 99 セントから始まる。これはこのゲームのビジネスモデルの一部でもある。)

TidBITS Publisher Adam Engst は、このゲームの説明に対して恐怖の表情を示した。彼は、下手に歌うことにも (人前であるかどうかに拘わらず)、或いは他の人の下手な歌を聞くことにも魅力を感じたことがない。他方で、カラオケは苦手な目立ちがり屋の私としては、Let's Sing はいけると思ったし、私自身、友人達の声を聞くことも、そして "Dream On" の高音を出そうと頑張る自分自身を見て貰うことも好きである。

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改訂版 "Take Control of Your 802.11n AirPort Network"

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が 2011 年に非常にグラフィカルな AirPort Utility を iOS 用にリリースした際、このグラフィカルなインターフェイスが Mac OS X 用の AirPort Utility 6 におけるインターフェイスのプレビューであったことに私たちは気付かなかったが、2012 年初頭に Apple はそれを出した。AirPort Utility 6 は 10.7 Lion のみで動作し、AirPort Utility 5 においてあまり使われなかった機能のいくつかが削除されてしまった。(2012 年 2 月 1 日の記事“AirPort Utility 6.0 が iCloud 対応を追加し、多くの機能を削除”参照。) このような AirPort Utility 6 における大規模な変更のため、Glenn Fleishman は "Take Control of Your 802.11n AirPort Network" の改訂を余儀なくされた。第2版は Lion と AirPort Utility 5 を対象として書かれていたからだ。

そして、私たちはやっと Apple に追い付いた。それが、187 ページから成る第3版、"Take Control of Your 802.11n AirPort Network, Third Edition" だ。これは AirPort Utility 6 に焦点を合わせ、また iOS 用の AirPort Utility も扱っている。それ以外の点で核心となる内容はあまり変わっていないけれども、AirPort Utility 5 に関する情報の記述は削除してしまったので、この第3版を購入された方には無料で第2版も提供させて頂く。さらに、該当する方々すべてに既に電子メールでお知らせしたはずだが、第2版のオーナーの方々全員に無料で第3版を提供させて頂いた。(電子メールを受け取っておられない方はご自分の Take Control アカウント をチェックしてダウンロードして頂きたい。)

$20 のこの電子ブックは PDF、EPUB、それに Mobipocket の各フォーマットで利用できるが、私たちは Pages の EPUB 書き出し機能の限界を回避しながら EPUB 版のビジュアルな見栄えを着実に改善してきた。たとえあなたが Kindle Fire をお持ちでも、Mobipocket 版より EPUB 版の方がより良い仕上がりになっていると私たちは自負している。Kindle Fire 上でのさまざまの異なるフォーマットについての詳細な分析は、私の記事“EPUB、PDF、Mobipocket を Kindle Fire にダウンロードする方法”(2012 年 4 月 22 日) でお読み頂きたい。

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"Take Control of iBooks Author" でマルチタッチの電子ブック制

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が無料で出している電子ブック出版用ソフトウェア iBooks Author に、興味をお持ちだろうか? もしもあなたが魅力的なビジュアルを持つ電子ブックを Mac 上で作りたいと思い、あなたが指定したレイアウトが iPad 上で iBooks を使って読む読者の目にも保たれているようにしたいのなら、きっとあなたにも iBooks Author がいろいろの点で素晴らしいと思えるだろう。あたりまえのテキストフォーマッティング以外にも、スライドショーやインタラクティブな図を挿入したり、オーディオやビデオを追加したり、小テストを作成したり、その他たくさんのことができる。iBooks Author は教科書を作成するためにデザインされているけれども、ほんの少しの創造性があれば、それ以外にもさまざまなタイプのインタラクティブな iPad 用マルチメディア出版を作るために使える。例えばカタログ、ジャーナル、パンフレット、などだ。

iBooks Author を巡る私たちの好奇心は、"Take Control of iBooks Author" という形で実を結んだ。Michael E. Cohen の執筆による新刊の電子ブックだ。著者として Michael 以上に適切な人物はいない。彼は 1990 年代に Voyager Expanded Books シリーズの一環として史上初めて作られたデジタル教科書のいくつかの制作に力を貸し、また最初の Voyager Expanded Book Toolkit のためにユーザーガイドを執筆した。私たちも苦労を重ねて iBookstore に出版してきた体験から、できる限りの寄与をさせてもらった。150 ページのこの電子ブックの価格は $15 だが、すべての iPad オーナーの方々のために今回は特別企画をしたのでこの後をお読み頂きたい。

簡潔に言えば、"Take Control of iBooks Author" はまず最初にあなたのマルチタッチ本プロジェクトのプランを iBooks Author の機能やその前提条件に合うようなものにする方法を説明するところから始める。その次に、利用可能な数多くのレイアウトをカスタマイズしあなたのテキストやメディアを配置することによって電子ブックを制作して行くための包括的なステップ・バイ・ステップの手順説明がある。そして最後に、あなたの電子ブックを出版するための方法を、Apple の iBookstore での配布についてもそれ以外の手段についても知ることができる。制作部分の議論となる各トピックは極めて詳細にわたっている。iBooks Author は、核心部分に踏み込むと、かなり風変わりな挙動をすることもあるからだ。

私たちはこの "Take Control of iBooks Author" をいつも通りの PDF と EPUB 双方のフォーマットで出版することにしたので (Mobipocket 版も近日登場予定) さまざまの異なったデバイス上でこれを読むことができる。その意味ではこれはいつも通りの Take Control 電子ブックだ。けれども、私たちはこれを実際のマルチタッチ本として出版したいと思ったので、"Take Control of iBooks Author" の中からいくつかの章 (およそ 40 ページ分) を抜粋して、"Take Control of Getting Ready for iBooks Author" と題した無料のマルチタッチ本として配布することにした。(リンクは直接の 8.5 MB ダウンロードだ。)iPad 上でこの "Take Control of Getting Ready for iBooks Author" を読めば、メディアの実例がすべてフルに機能する。つまり、ビデオファイルを再生し、画像ギャラリーを眺め、インタラクティブな図をタップし、ビジュアルなクイズに答え、Keynote ウィジェットを観たり、3D 画像を回転させたり、さらには Cheshire 猫が姿を消すところさえ目撃できる。

この "Take Control of Getting Ready for iBooks Author" を読むには、あなたの iPad にダウンロードしてから "Open in" コントロールをタップして iBooks の中へ移動させるか、あるいはあなたの Mac (または Windows PC) にダウンロードしてから iTunes 経由で iBooks に同期させるかする。私たちとしてはこの無料の電子ブックが広く共有されて、これまで Take Control 電子ブックを購入したことのなかった多くの人々(とりわけ教師たち)が "Take Control of iBooks Author" を購入してみようかと思ってくださればと期待している。あなたのご存じの人で iBooks Author を使ってマルチタッチ本を作りたいとお考えの方がおられれば、どうぞその人にこれらの新刊書について教えてあげて頂きたい。

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Lion におけるゾンビ書類のミステリーが解決

  文: Matt Neuburg: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は "Take Control of Using Lion" の著者だが、実際には Mac OS X 10.7 Lion があまり好きでない。私の偏見は本の中にはっきりと表われているわけではないが、注意深く読んで頂ければそれとお分かりになるだろう。そして、私が大嫌いな Lion 機能の一つが Resume (再開) 機能だ。個人的に、私はこれを「ゾンビ」と呼んでいる。Resume 機能には二つの部分がある:

私がこれらの挙動を嫌いなのは、私から見れば、これらがコンピュータを再起動したりアプリケーションを終了させたりすることの本来の目的に真っ向から反する挙動だからだ。私がアプリケーションを終了させたいのは、まさにそのアプリケーションがすべてのウィンドウを閉じて、それまで開いていた書類をすべて忘れ去るようにさせたいからだ。私がコンピュータを再起動させたいのは(実際、私は結構頻繁に再起動する)すべてのモヤモヤをはらい、メモリをクリアし、そのコンピュータを何もアプリケーションの走らない、フレッシュな状態にしたいからだ。アプリケーションが勝手に、自動的に起動するのは望まない。(もちろん、私がシステム環境設定の Users & Groups パネルでログイン項目として設定している少数のユーティリティを別にすればの話だ。)ましてや、起動したアプリケーションが過去から呼び戻した古びたウィンドウをたくさん開き直すなんて、冗談じゃない。

上記の私の本では、これらの機能を制御 (take control) する方法も説明している。私の場合は、それはつまりこれらの機能をすべてオフにしておく方法だ。コンピュータを再起動したりアプリケーションを起動したりする際に、私はクリーンな状態を望む。毎回、必ずだ。それには次のようにすればよい:

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しかしながら、一つミステリーがある。私が "Restore windows when quitting and re-opening apps" のチェックを外しているにもかかわらず、いくつかのアプリケーションは いまだに、起動した際にゾンビのウィンドウを死者の国から呼び戻すことがあるのだ。つい最近に至るまで、私はこのミステリーに大して注意を払わなかった。ただ肩をすくめて、また Lion が不可解な気まぐれを起こしたぞ、とやり過ごしてきた。結局のところ、ゾンビというものは死者の国から蘇るのが仕事なので、死んだままになってくれないものが一つ二つあってもしょうがないさ、というわけだ。そんな時私はただため息をついて、勝手に湧き出たウィンドウを手で閉じるのだった。

けれどもそれと同時に、Lion を制御 (take control) するやり方を読者に説明している立場の私が、自分自身いまだに Lion をフルに制御できていないらしいことが、私を苛立たせた。何しろ、Lion が世に出てからもう一年も経っているのに、まだこういう問題が解けていない。恥ずべきことだ。

でも、それから数日後、突然私はパターンを見つけた。いくつかテストをしてみると、おお、なるほど、やっぱりそうだった。ミステリーは解決した。

皆さんが手に汗握って身を乗り出しているのが目に浮かぶようなので、もったいぶらずにさっさと答を明かしてしまおう: 実は、コンピュータをシステム終了(または再起動またはログアウト)した時点で走っていたアプリケーション は、その次に起動させた際に、必ずゾンビのウィンドウを開き直すのだ。そうしないよう私が設定していたとしても。

このパターンに気付くやいなや、私はその背後にある原因も理解できた。Lion では、アプリケーションを終了する方法がいくつもある。アプリケーションを普通に あなたが([アプリケーション名] メニューから「[アプリケーション名] を終了」を選ぶか、Command-Q を押すかして)終了させると、そのアプリケーションは正常に終了するので、ゾンビのウィンドウに関するあなたの設定も適用される。けれども(そのアプリケーションが動作中に再起動やシステム終了を私がコンピュータに指示したことで)Lion が アプリケーションを終了させた場合は、それとは全く違ったやり方で事が進む。Lion は、可能な限り早く事を済ませたいと考えるので、Lion で新たに導入されたプロトコル Sudden Termination を利用する。(もちろん、問題のアプリケーションがそれに対応していればという条件付きだが。)

この Sudden Termination の目的は、Resume (再開) 機能をサポートすることにある。(ほら、もうお分かりでしょう?)Resume 機能に対応しているアプリケーションの大多数(おそらくすべて)は、Sudden Termination にも対応している。ここにトラブルの原因がある。

その狙いはこうだ。iOS においてと同じように、Sudden Termination に対応したアプリケーションはひっきりなしにその状態を保存していて、どのウィンドウが現在開いているかも覚えている。それによって、そのアプリケーションはいつでも素早く終了させることができる。なぜなら、終了時には特にしなければならない作業などないからだ。すべての作業は既に済んでいる。こうして Sudden Termination の下では、そのアプリケーションは終了せよと指示されることすらない。(技術的用語で言えば、Quit イベントが送られることはない。)その代わりに、システムが単純に電源を引っこ抜いてしまう。実際には、単純かつ即座に、そのアプリケーションがメモリから消去され、スクリーンから消されてしまうだけだ。

話の行く先が見えてきただろうか? そのアプリケーションは瞬時に吹き消されるので、終了に付随するどんなタスクも実行される機会がない。とりわけ、Resume (再開) 機能に関してあなたが指示した設定に従うことができない! そのアプリケーションはそれまでずっと状態保存を続けてきたので、Lion の再起動あるいはシステム終了プロセスによって突然終了 (sudden-terminate) させられた今、それまで状態保存されてきたデータだけがそのまま残ることになる。その次にそのアプリケーションが起動された際には、システムがその状態保存データを見つけて、その結果としてゾンビのウィンドウが死者の国から呼び戻されるというわけだ。

当然のことながら、私はこれをバグとして報告しておいた。けれどもこのバグを Apple がすぐに修正してくれるとは思えない。(永遠に修正されないかもしれない。)なぜなら、この挙動は、デスクトップをより iOS デバイスに近いものにしたいという新しい Lion の哲学に根差したものだからだ。開発者用ドキュメンテーションを読んでいると、実際 Apple がプログラマーたちに対して Sudden Termination が良いことだと説き伏せようとしているのを目撃することができる。「これはユーザー体験を改善するためにデザインされたものです」というのだ。(また、これが Automatic Termination と首尾一貫していることも分かる。Automatic Termination については 2012 年 8 月 5 日の私の記事“Lion は Quitter”で苦情を述べておいた。)幸い、この問題を Apple が修正してくれるまでの間(そんな日は決して来ないのかもしれないが)簡単だが飽き飽きする回避策がある。つまり、コンピュータを再起動あるいはシステム終了する前に、あらかじめすべてのアプリケーションを終了させておくのだ。ゆっくりと。丹念に。手動で。私が、自分で。一つ、また、一つと。

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Hammerhead Capo Case、iPad を嵩張らずに保護

  文: Jeff Carlson: [email protected], @jeffcarlson
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は、Apple の iPad 2 と第三世代 iPad 用の Smart Cover プロテクタは好きでないという人達を何人か知っているが、この折り畳める磁石付のカバーは私のニーズには十分答えてきた。iPad のスリムさを保持し、目方もあまり増やさず、そして - カバーと iPad にある磁石のお蔭で - それを開いたり閉じたりする時に iPad を目覚めさせ或いは眠らせてくれる。

Smart Cover がやらないのは iPad の背面を保護しないことである。これは私にとっては大した問題ではない、何故ならば iPad は通常私の机の上かラップトップ用鞄の薄いポケットに入っているからである。背面はアルミ製なので、少々の傷がついても、私はそれは良く使われた印と思うことにしている。しかし、かなり多くの人がそれを Smart Cover を使わない理由の一つに挙げているので、興味を引く保護カバーがあるのでそれをレビューしてみないかと誘われた時、では試してみるかと思った。

ここ数週間ほど使ってみたケースは Hammerhead Capo Case である。これは新型 iPad と iPad 2 に使える。値段は $39.99 で、色は青、白、赤、黒、そして明るいオレンジ (私の選択) がある。

Capo Case は iPad 全体を覆い、必要なポートと制御部のみ (ヘッドフォン、スリープ/ウェイクボタン、ドックコネクタ、背面カメラ、そして音量と消音ボタン) を露出する。ケースはポリウレタンのシェルから出来ており、正面と背面はバスケットボールを掴んだ感じ程ではないがそれに近い掴み感のある感触を与える柔らかいパネルで覆われている。

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それはまた押されると窪みが出来やすい - 私のにもカメラやラップトップの電源アダプタの角の様な尖ったものに当たっていたと思われる凹みが数か所できた。通常使用による少々の傷など気にしない人には問題とはならならいであろうが、元のままの状態を求める人にとっては気になるかも知れない。

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プラスチックのタブが表カバーを裏へと固定しているので、バッグの中でケースが誤って開いてしまう事はないと思われる (Apple の Smart Cover では起こり得る)。私の好みから言えば、このタブはちょっと固すぎる様に思う、数百回開け閉めした後でもそうである。しかしながら、私がしっかり留めなかったとしても、カバーに付いている磁石が iPad のものとお互いに作用してちゃんと機器をスリープさせてくれる。

Smart Cover と較べて、Capo Case は動きの自由度はもっと制限されている。表側の一つしかないヒンジは 90 度折れ曲がる;左側面は二重ヒンジになっていて、裏側までカバー全体を折り畳め、邪魔にならない様にできる。私は、私の Smart Cover を二回折り畳んで読んでいる間私の左手でそこを掴む習慣がついている。

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しかし iPad を立てて置くには Capo Case の構造の方が少々ではあるがより適している。これは背面にある三つの凹みが外れ止めとなるからである。こちらのカバーのヒンジの方が Smart Cover よりも広い底面を提供しており、iPad が間違ってひっくり返りづらくしている。

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iPad をタイプする時の位置にするためにケースの向きを変えるやり方はあまりエレガントとは言えない:このケースは、カバーが平らになってしまうのを防ぐため、前面ヒンジの 90 度固定角に頼っている。この方法はきちんとその役目を果たすし、しっかりもしているので、私は文句を言うべきではないのかもしれない。でも、この機能を提供するには変なやり方の様に見える。

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私は、私の iPad を階段の上から投げ落としたり、テーブルの上からコンクリートの床に滑り落としたりする気はないので、このケースがどれ程の耐衝撃性を提供しているのかを保証することは出来ない。私はこれをデジタル一眼レフや他の用具でぎっしりのバックパックに一緒に入れるのは厭わない。(Hammerhead の Web サイトでは、このケースに入れた iPad 上にピックアップトラックをバックさせて乗り上げているビデオを載せている。もっとも表面を下にして置いて車輪は丸められた背面上を辿れるようにしている - ひっくり返したらこれ程安全でいられるのであろうか? 私は、それを自ら試してみたいとも思わない。)

勿論、機械的保護は薄さを代償にして得られる。iPad 自身は 0.37 インチ (9.4 mm) で、そして Smart Cover は更に 3 mm 程を付け加える。私が測ったところでは、Capo Case は 0.63 インチ (14 mm) であった。もし保護の手段を求めているのであれば、これは悪い取引ではない - 多くのケースを見ると、その製造業者は顧客が iPad を「戦争と平和」の単行本の様に抱えて欲しいと願っているのではないかと思いたくなってしまう。

しかし、ここが Capo Case と私が意見を異にする所でもある。私は iPad の薄さが好きであり、それをあきらめたくない。Apple Smart Cover は最も大事な部分、スクリーン、を保護し、そしてガラスを汚すことなく iPad を持つ手段を提供してくれる。

私は、私がいつも自分と一緒に持ち歩く機器に対してハードケースで覆ってしまうのはやりたくないということを認識した。しかしながら、これら二つの事はお互いに排他ではないと思う人もいるであろう:iPad が何処にでも行くのであれば、もっと保護が必要であると。

私は、iPad 用にもっとしっかりした保護が欲しいが、他のケースの様に嵩張らしたくはないという人に対しては喜んでこの Hammerhead Capo Case をお勧めする。これは丈夫であり iPad にもぴったり合うし、それに値段も適正である。私はただその様なタイプの人間ではないだけである。

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キーウィの住む国で Facebook が "Highlight" 機能をテスト

  文: Steve McCabe: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私の妻 Deborah は、フロリダ州にある非営利の医療機関のためにソーシャルメディア関係の管理を担当しているが、先週クライアントのために状況更新を投稿した。それは、全く何も特別なことではなくて、彼女が毎日数回ずつしていることだ。けれどもこの投稿に対して、現在までに、2,349 件のコメントが寄せられ、1,026 回共有され、36,634 人の人々が "like" ボタンを押した。それらは、彼女のいつもの投稿に比べて桁違いに大きな数字で、言ってみれば Lady Gaga とか Justin Bieber とかいった人々(あるいは一般大衆に向けた tweet などという世俗の活動をする任務を彼らのために引き受けたソーシャルメディアの妖精たち)の投稿において普通見られるような数字だ。Deb の上司の言葉によれば、彼女のクライアントは「ソーシャルメディアの世界で超一流になった」のだった。

Deb が指摘した通り、彼女がこれをできたのは、ただニュージーランドにいるお陰だった。ここ二週間ほどの期間、Facebook は "Highlight" という新しい機能を同社のサイトにこっそりと導入していた。私の状況更新が Facebook のニュースフィードに現われる際、今はその下に四番目のオプションが現われる。これまでの "Like"、"Comment" と "Share" に加えて、今は "Highlight" というリンクをクリックすることができる。これをクリックすれば、Facebook が「重要な投稿を Highlight しますか」と尋ねてくる。US$2 の料金と引き換えに、「重要なニュースをハイライト表示して友だちが見逃さないようにする」のだという。

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この新しい機能は現在ニュージーランドで予備実験中の段階だ。キーウィの国の住人たちが時折目立たせてもらえるのは,何はともあれ公平なことだ。この国にいるとインターネットの接続性があまりにも頼りないので、たまには他の人たちより有利な立場に置かれるのも悪くない。(2010 年 1 月 15 日の記事“ビットに支払う: ニュージーランドでのインターネットアクセス”参照。)

どうやら Facebook はこの新機能を選択的にテストしているらしい。私がニュージーランドで尋ねた人たちの中には、まだこの機能にアクセスできていない人もいた。それに、私たちのように自分の投稿をハイライトできる人たちの中でも、同社は二つの違ったモデルを試しているようだ。おそらく、どちらのモデルの方がより強い牽引力を発揮するかを見ているのだろう。Facebook は投稿あたり 2 ドルの料金を課金したがっているが、Deb は彼女のクライアントの状況更新をその友人たちのニュースフィードの一番上に持ってくるために一銭も支払っていない。きっと Facebook はこの機能のために料金を支払うつもりのある人たちがどのくらいいるかを見極めたいと思っているのだろう。そして、その収入とそれに付随するトラフィックの増加とを天秤にかけようとしているのだろう。

では、それだけのお金と引き換えにあなたは何を得られるのだろうか? 一見したところでは、それほど大したことではない。ハイライトされた投稿は背景色が黄色になってニュースフィードの中で目立って見える。いや必ずしもそうとは限らない。何人かの Facebook ユーザーたちによれば、ハイライトされた投稿はニュースフィードの一番上に固定されるのだという。でも私のニュースフィードでは、ハイライトされた投稿は "Highlighted" という単語が見える以外は特に他と区別できるところがない。それに私の見る限り、Facebook の iPhone 用アプリではまだハイライトされた投稿が識別できていない。けれども、もしも Deb の体験が仮に一般的なものだとすれば(そしてもちろん、投稿をハイライトすることが、多少なりとも、人気に火をつける役割を果たしたとしての話だが)きっとお金を払っただけのことはあるのだろう。それにもちろん、もしもハイライトされた投稿がいたる所にあふれるようになったならば、それらもまたソーシャルなお喋りのノイズの中に溶け込んで目立たなくなってしまうのはほぼ確実だろう。

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Facebook は現在のところ、この新しい機能がいつ世界中にデビューを果たすのかについても、それが有料になるのか無料になるのかについても、何も発表していない。どうやら今は、ニュージーランドの IP アドレスをモルモットにしていろいろ実験しているだけの段階らしい。けれども興味深いことに、それでも同社は、私たちの通貨の選択を尊重している。つまり、Facebook は私がイギリス人だということを知っていて、私に 1.29 ポンドを請求してきた。はてさて、いったいなぜ Facebook がニュージーランドを実験場に選んだのかははっきりしない。ひょっとすると Mark Zuckerberg は Lord of the Rings の大ファンなのかもしれないし、あるいはただ私たちが英語を話す市場であってテストにちょうど良い規模だからというだけの理由なのかもしれない。

でも現時点では、ほんの 2 ドルほど払うだけで、Deb の上司の感謝雨あられの言葉によれば、一日だけソーシャルメディアの女王となれるのなら、それはとってもお買い得と言わざるを得ない。

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人食いゾンビの攻撃が Google News 経由でやって来た

  文: Glenn Fleishman: [email protected], @glennf
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

最近 TidBITS は、サーバを押し潰そうとする攻撃を受ける悲痛を何度も経験してきた。けれども、いろいろの恐怖体験を乗り越えて、Adam Engst と私はその原因を突き止めることができた。

ミステリーの発端は Google News だ。最近になって数度、TidBITS 記事が Google News の Sci/Tech セクション のトップにブクブクと湧き上がったことがあった。これらの記事は大体において少し以前に起こった出来事を扱ったものだが、単に状況を巡る事実だけを述べたものではなく、いつも通りに私たちが熟考して練り上げた分析と背景を解説したものばかりであった。(私たちは速報ニュースをお届けするタイプの情報源ではないし、皆さんも私たちにそれを期待してはおられないだろうと思う。)

記事が Google News で紹介されるやいなや、私たちのサイトは膨大な数のページ・リクエストで身動きできなくなり始めた。私たちの仮想ホスト Linode のグラフには、膨大な内向きトラフィックがはっきりと示されていた。実際ある時点では、サポート担当者がこれは分散された denial of service (DDoS) 攻撃ではないかと言い出し、もしもこれが他の顧客に影響を及ぼすようならば他の人たち全員の通信を走らせ続けるために私たちの IP アドレスをブロックしなければならないかもしれないとさえ言い始めた。ただ、このトラフィックは Google Analytics でページビューのカウントに記録されておらず、それでいてサーバを再起動しても一分も経たずにまたサーバが死んでしまうという状態が続いていた。これは全く意味を成さない。

私たちは途方に暮れた。当初私たちはこれは大勢の人たちが Google News の見出しをクリックしていることによるロード増加だろうと思っていた。これは、以前私たちが Google のメイン検索結果のトップに躍り出たことがあって、その際トラフィックの集中を経験していたからだ。あれは 2011 年 12 月のこと、特別の大雪効果だった。Google で "Let It Snow" を検索すると、私たちの記事がニュース検索結果のトップに来たばかりでなく、Google がこのニュース検索結果をウェブページ検索結果よりもさらに上に置いてくれたからだった。私たちのサイトではかなり長い時間にわたりこの "Let It Snow" 検索の結果による訪問者が同時に 1,200 人もいる状態が続き、サーバは実際何度も落ちた。その後私は設定を調整して、今後は同様の事態が発生しないようにした。

けれども今回の Google News 効果は何かが違っていた。これはまるで、私たちの記事が Google News に登場する度に何らかの自動化されたボットが動き出し、その記事が Google News で古くなるやいなや(通常二時間程度が経過すると)嵐が治まる、というような感じだった。トラフィックは通常のウェブ訪問によるものには見えなかった。なぜなら、Google News サイトからという参照情報を一切示さずあまりにも大量に一斉に押し寄せたからだ。また、これらの訪問は、JavaScript で動く Google Analytics にも反映されなかった。目で見ることのできるライブのレポートとしても、また過去に遡った分析結果の中にも。

これはサーバの設定を間違えていることによる問題ではないかという考えが私の頭から離れず、私は結構な時間をかけて設定をいろいろと調整してみたが、無駄だった。問題が発生する度に、Adam と私は必死に知恵を絞って、サーバが走り続けるようにするための手段を見つけようと試みた。

記事が Google News に登場しては打ちのめされることが四回か五回続いた後、ついに私はあるパターンを発見した。いったん分かってみれば、それはもっと早くに気付くべきことだった。私たちのアクセスログは、ほんの数秒間のうちに繰り返し同じページを要求する、数多くの異なる IP アドレスからのリクエストで溢れかえっていた。そのこと自体は Google News により発生するトラフィックで珍しいことではないけれども、より奇妙な事実は user-agent 識別子だった。これは、ブラウザがサーバに送信するデータの一部のちょっとしたテキストで、そのブラウザのメーカー名と、ブラウザのバージョンを示したものだ。私たちのところに届いたリクエストには、"Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US; rv: 1.9.0.10) Gecko/2009042316 Firefox/3.0.10 (.NET CLR 3.5.30729)" とあった。

Mozilla というのは Firefox の識別子であり、ややこしいことに Windows XP の最初の 64-bit リリースはそれ自身のことを Windows NT 5.1 と称している。(Windows XP はオペレーティングシステムの Windows NT 分岐の上に築かれており、それ以前の Windows 95、98、および Me プラットフォームとは別の分岐となる。)Windows XP 上で走る古いバージョンの Firefox と名乗る膨大な数のトラフィックによって Mac 向けの出版が溢れかえるというのは、今もまだ XP が広く使われているとしても、考えるまでもなく馬鹿げたことだ。

それが、問題を解明する鍵となった。何らかのウェブ対応ソフトウェアが、おそらく悪意を持ち、そして間違いなく不完全なプログラミングで作られたものが、Google News に記事リンクが登場する度に、何千もの(あるいはおそらく何万もの)コンピュータ上で走り出していたのだ。それが何故かは今もまだ分からないが、人道主義的な理由からでないことは確かだ。セキュリティの専門用語では、マルウェアに乗っ取られて遠隔にあるコントロールシステムの命令を実行させられるコンピュータのことを「ゾンビ」と呼ぶ。

いったん悪者のユーザーエージェントを割り出した後は、この問題についてより多くのことを知ることができた。とりわけ、他のシステム管理者たちから聞いた Stack Overflow に関する活発かつ興味深い議論 が役に立った。

改善方法は単純だった。現在私たちは、該当するユーザーエージェント名の付いた内向きトラフィックをすべてブロックしている。私が当初試したブロックパターンは該当する範囲が広過ぎて、Windows XP を使っていたり、その人の会社の proxy ゲートウェイがこのユーザーエージェント名を書き込んでいたりしていた何人かの TidBITS 読者たちをもブロックしてしまった。当然ながら、マルウェア側がその気になればランダムなエージェント名を使うようアップデートすることも簡単で、その場合は私たちの側でももっと精密なパターン認識とブロック方法を工夫しなければならなくなるだろう。

これらの膨大なトラフィック急増がゾンビによるものだと気付くより前に、私はこの機会を利用してキャッシュのシステムを配置し、私たちのサイトからのデータベース参照を減らすことで問題が解消しないかどうかも試してみた。それで問題が解消されることはなかったが、結果として全体的なパフォーマンスがはっきり分かる程度に改善された。今では、あなたが TidBITS アカウントにログインせずに記事ページを取り寄せようとすると、あなたのところには別途保存されたそのページのスナップショットが届く。このスナップショットは 5 分ごとか、あるいは記事にコメントが投稿されたり記事内容が変更されたりするかした場合にアップデートされる。ログインしているユーザーは、今まで通り、ログインによりカスタマイズを受けたフレッシュなページを常に受け取れる。こうすることによって、今後は "Let It Snow" 状況が起きても少しの努力で私たちが対処できるようにもなるはずだ。

インターネットは、奇妙かつ邪悪な獣たちで満ち満ちている。そして、一匹の獣の尻尾を捕まえたと思っても、たちまちそれが獣の口と化して、あなたに炎を吹きかけてくるかもしれない。今回の問題は何とか封じることができたけれども、私たちとしては今後もデーモンの出現に警戒を怠らずにいたいと思う。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 6 月 4 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

QuarkXPress 9.3 -- Quark は引き続き電子ブック出版に力を注いで、 QuarkXPress 9.3をリリースした。今回は、追加のプラグインを必要とせず直接にコンテンツを Amazon の Kindle フォーマットで書き出せるようになった。今回のアップデートではまた EPUB ファイルでインラインの目次のサポートを提供し、EPUB および Reflow 表示に詳細は不明ながらさまざまの修正や機能拡張を施し、一部の MacBook Pro 機種で書類の保存と Time Machine バックアップの作業が同時に進んだ場合に時折起こることのあったクラッシュを修正している。このリリースではさらに、向かい合うページの順序替え、EPS/PDF プレビュー、PDF ボックスサイズその他に関する問題点も解消している。(新規購入 $849、無料アップデート、1.1 GB、リリースノート)

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OmniFocus 1.10.2 -- 一時代の終わりが来るのに備えて、Omni Group のタスク管理アプリOmniFocus のバージョン 1.10.2 は 2012 年 6 月 30 日に閉鎖される MobileMe を通じた同期に対する直接サポートを削除する。Omni の発表によれば、現在 MobileMe で同期をしている人には同期設定が Advanced (WebDAV) の方式のところに現われるようになり、今後は無料の Omni Sync Server あるいはその他の WebDAV サービスに切り替えることを推奨するという。OmniFocus 1.10.2 ではまた Inbox ワークフローを改良してグループの内容をバッジカウントで表示するようになり、グループの内容が Context モードで除外されていたバグを修正し、Next Action フィルタが正しく動作するようになった。(新規購入 $79.99、無料アップデート、22 MB、リリースノート)

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App Tamer 1.3 -- St. Clair Software が CPU 節約ユーティリティのアップデート App Tamer 1.3 を出し、AutoStop 機能がいつ有効になるかについてのコントロールを増やした。今回のアップデートで、ラップトップ機のバッテリ残量が指定されたレベル以下になった場合のみ AutoStop がその魔術を発揮し始めるよう設定できるようになった。バッテリの減りを抑え、再充電をスピードアップできるようにするためだ。今回のリリースでは AppleScript コマンドもいくつか加えられ、スクリプトを使って AutoStop のオン・オフを切り替えたり、停止されたアプリケーションを目覚めさせたりできるようになった。さらに、このバージョンではウェブブラウザのヘルパーアプリケーションがブラウザをフリーズさせていた問題を修正するとともに、AutoStop を無効にしても一部のマシンで実際には無効にならなかったバグも解消した。(新規購入 $14.95、無料アップデート、3.8 MB、リリースノート)

App Tamer 1.3 へのコメントリンク:

Fantastical 1.3 -- 最もリクエストの多かった機能の一つを追加して、Flexibits が Fantastical 1.3 をリリースし、iCal と iOS 双方のリマインダに対応した。今回から、このカレンダーユーティリティに to-do 項目を追加して、それを iCloud のリマインダリスト(iOS デバイス上の Reminders アプリとも iCal とも同期する)に送信することも、iCal のリマインダリスト(iCloud と同期しない)のみに送信することもできるようになった。リマインダを作成するには、Fantastical のウィンドウの右上隅にあるスライダーをカレンダーからリマインダへ切り替えるか、項目の冒頭に "reminder"、"todo"、"task" または平方根記号 (Option-V) をタイプして Fantastical にカレンダー項目でなくリマインダ項目を作らせるか、いずれかをすればよい。また、1個から3個までの感嘆符をタイプすればリマインダの優先度が設定できる。Outlook ユーザーのための改善点として、イベントが編集または削除されると招待者に通知が送られるようになった。以前 Fantastical の試用版を使っていてその期限が切れていても、今回また新たに試用し直すことができる。Flexibits が今回のバージョン用に2週間の試用期間をリセットしてくれたからだ。(Flexibits からも Mac App Store からも新規購入 $19.99、無料アップデート、9.0 MB、リリースノート)

Fantastical 1.3 へのコメントリンク:

Typinator 5.1 -- Ergonis が人気のタイピング拡張ユーティリティに磨きをかけた Typinator 5.1 をリリースした。今回は、拡張後のテキストに動的なコンテンツを挿入できるインタラクティブな入力フィールドが装備された。これで、短縮語がダイアログを開いて、指定されたフィールドに値をタイプして入力することができるようになり、単にテキスト断片をタイプすることも、あるいはスクリプトをタイプしてさらなる動的な展開を作り出すことも可能だ。Ergonis Extras ページからいくつかの入力フィールドサンプルがダウンロードでき、インタラクティブな日付の計算や、通過の換算などを試してみることができる。Typinator 5.1 にはまた 25 以上の新たな拡張が含まれていて、短縮語とその展開との間のタブによるナビゲーションの改善、繰り返し実行される AppleScript の高速化、複数モニタの環境で Quick Search の結果が見えなくなっていた問題の修正、Coda 2 における展開やカーソル位置の問題に対する回避策などが盛り込まれた。このリリースには OS X 10.8 Mountain Lion の Gatekeeper セキュリティ機能で用いられる開発者 ID の署名も組み込まれている。(新規購入 24.99 ユーロ、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、4.7 MB、リリースノート)

Typinator 5.1 へのコメントリンク:

Aperture 3.2.4 -- Apple が Aperture 3.2.4をリリースした。同社のプロフェッショナル向け写真オーガナイザおよびエディタに、Mac OS X 10.6 Snow Leopard で走らせた場合の安定性の向上を約束している。このメンテナンス・リリースで他に注目すべき点は一つだけで、外部エディタを使用して写真を編集した後に Viewer が正しく更新されなかった問題に修正を施している。(新規購入は Mac App Store から $79.99、無料アップデート、635.54 MB)

Aperture 3.2.4 へのコメントリンク:

Coda 2.0 -- Panic が Coda 2.0 をリリースした。同社のウェブサイト開発ツールのメジャーなアップデートで、ユーザーインターフェイスを一新するとともに 100 以上の新機能を備えている。今回から Coda にはビジュアルなタブバーが組み込まれて多くのファイルをより高速にナビゲーションできるようになり、このタブバーは動的なサムネイルの付いた大アイコンで表示することも、最小限のテキストのみの小さなサイズにすることもできる。今回の新バージョンではカスタマイズ可能なサイドバーも登場し、最もよく使うツールをドラッグしてツールバーのヘッダに置くこともできる。その他の新機能としては、コードエディタを改良してカスタム変数やカスタム関数、賢いタグ閉じなどにも自動補完が使えるようになり、ファイル管理の改良により git バージョンコントロールシステムにも対応し、clips 関数を改善して入力の必要なプレースホルダの間をタブで移動できるようになった。Coda 2.0 はまた iCloud を利用したサイトの同期にも対応した。ただしこの機能は Mac App Store から購入したバージョンのみで利用できる。Coda 2.0 は現在期間限定で $75 で購入できるが、間もなく定価の $99 に値上げされる予定だ。Coda 1.x を直接 Panic から購入した顧客は、この値引き期間が終了した後も $75 で Coda 2.0 にアップグレードできる。(新規購入 $99、アップグレード $75、41.8 MB)

Mac 版の Coda に加えて、Panic は iOS 用の Diet Coda もリリースした。価格は $19.99 だ。Diet Coda を使えば Mac から離れていても iPad でコードを編集してあなたのウェブサイトをアップデートできるほか、あなたの iPad を専用のプレビュースクリーンと化することもできる。この AirPreview 機能を使うにはあなたの iPad と Mac が同一の Wi-Fi ネットワーク上にあることが必要だ。

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Cobook 1.0 -- 模造革表紙の Apple の Address Book は、そろそろ引き出しの奥にしまい込むべき頃じゃないか? 開発者 Kaspars Dancis と Janis Dancis が、 Cobook 1.0 をリリースした。Address Book の非力で分かりにくいインターフェイスで苦労する必要なく連絡先情報にアクセスできる、Mac 用の無料のアプリケーションだ。私たちが初めて Cobook のベータ版を目にしたのは Macworld | iWorld 2012 の会場においてだった。(2012 年 1 月 30 日の記事“Macworld | iWorld 2012 のクールな製品”参照。)これが私たちの目に留まったのは、ただ単にこれが悪評高い Address Book の代わりとなるからというだけでなく、これが Facebook、Twitter、LinkedIn から(もちろんあなたの承諾を得た上で)情報を引き出すことができて、手作業の必要なしに連絡先情報の肉付けができるようになるからだった。また Cobook は新しい情報を追加する際に賢い挙動をする。例えば、住所をフルにタイプするだけでいくつものフィールドが適切に埋められる。何よりも素晴らしいことに、これは無料だ。( Mac App Store から無料、1.5 MB)

Cobook 1.0 へのコメントリンク:

Screenflow 3.0.6 -- Telestream が Screenflow 3.0.6 をリリースした。マイナーな修正が山盛りのバグ修正版で、このスクリーンキャスト録画ソフトウェアでさまざまの不具合や頭痛の種に対処を施している。修正点の大多数はあまりにもマイナーでここに挙げることはできないが、今回のリリースで実際メモリ使用量が削減されてアプリのクラッシュ予防に役立つとともに、OS X 10.8 Mountain Lion の Gatekeeper セキュリティ機能機能で用いられる署名付き開発者 ID が組み込まれた。膨大な数にのぼる修正点や改善点のリストは、 Telestream のサポートページから PDF のリリースノートをダウンロードすれば読める。(Telestream または Mac App Store から新規購入 $99、無料アップデート、2.x や 1.x からの アップグレードは $29、14.1 MB)

Screenflow 3.0.6 へのコメントリンク:

Keyboard Maestro 5.3 -- Apple が Mac App Store をサンドボックス化できるアプリのみに制限する前にあと一つだけ最後に大きなアップデートを滑り込ませようと、Stairways Software が Keyboard Maestro 5.3 をリリースした。このパワフルな自動化ユーティリティに、画像処理やマウスクリック関係の数多くのアクションが追加されている。画像に関係した機能では、Keyboard Maestro 5.3 は新規の画像を作成したり、画像を反転・回転・リサイズ・トリミングしたり、画像やスタイル付きテキストや図形などを合成して画像を作成したり、スクリーン上で画像を見つけたり、一つまたはすべてのスクリーンあるいは選択したウィンドウを画像としてキャプチャしたりできるようになった。マウスクリックを拡張するアクションとしては、ダブルクリックとトリプルクリック、好きなボタンを押しながらのドラッグ、ウィンドウやスクリーンまたは画像の中心点からの相対位置でのクリックなどがサポートされた。また、メニュー選択のアクションの中で APPLICATION という単語 (すべて大文字) をタイプすれば、それが現在のアプリケーションのエイリアスとして使われる。その他の追加機能としては、Highlight Location アクションの新設や、アクションエディタでの条件テスト結果のライブレポート機能などがある。さらに、数多くの込み入ったバグ修正も今回のアップデートに含まれている。(新規購入 $36、無料アップデート、5.0 より前のバージョンからのアップグレードは $25、17.5 MB、リリースノート)

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ExtraBITS、2012 年 6 月 4 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は手早く二つだけ紹介しよう。ある NPR ラジオのホストが iTunes Match を信用してすべて (25,000 の楽曲) を任せようとし、多くの人たちに愛された HyperCard を回顧した記事が出た。

NPR 音楽ホストが意図的にすべての楽曲を削除 -- NPR (National Public Radio) の番組 All Songs Considered のホスト Bob Boilen がブログ記事の中で、自らの iTunes ライブラリにあった 25,000 曲を削除して 200 GB を取り戻したと述べている。その代わりに、彼は今後 iTunes Match に依存することにしたという。彼が万一に備えてバックアップを一つか二つ作っていることを願いたいものだ。

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HyperCard を思い出す -- Ars Technica の Matthew Lasar が、「その他の私たち」のために Apple が作ったソフトウェア構築キット HyperCard の驚嘆と栄光の日々を振り返る。当時、HyperCard のお陰で開発が可能となったソフトウェアとしては、アドベンチャーゲームの Myst、インタラクティブな Whole Earth Catalog、それに Voyager の電子ブック Expanded Books などがある。それからもちろん TidBITS も忘れてはならない。私たちの最初の 99 週分の号は、HyperCard スタックの形で出版したのだ。

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