TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1181/08-Jul-2013

今後一年か二年のうちに、あなたはテクノロジーを着用するようになるだろうか? はっきりした答は分からないが、そんなことはありそうもない感じが強くなっているような気もするので、今週は二つの記事でその可能性を探ってみよう。まず Jeff Porten が、目の上に着用する Glass 機器について Google が課した制約について検討し、それが及ぼしかねない影響について論じる。次により現実的な話題として、Apple の最近の行動がきっかけとなり iWatch の噂が噴出しているところだが、Josh Centers がさまざまな情報を組み合わせつつ Tim Cook が何を考えているのだろうかと考察する。悲しいニュースとしては、コンピュータの先駆者であった Douglas Engelbart が亡くなった。ぜひ、彼の Mother of All Demos ビデオで、現代的コンピューティングの起源があなたの眼前に展開されるところを目撃して頂きたい。さて現代に戻って、Google Docs をネイティブな Mac アプリに包み込んだ RocketDocs を Adam Engst がレビューし、Google Reader の終了後唯一の Mac ネイティブな RSS 同期クライアントとなった ReadKit を Josh Centers が検討する。今週号の FunBITS 記事では、クラシックな iOS アプリ Star Walk を扱う。夏の夜空を楽しむお供に最適だろう。最後にもう一つ、Jeff Carlson が執筆中の "Take Control of Your Digital Photos" の Chapter 3 を、TidBITS 会員のために提供中だ。これを読んで、あなたの必要に最も適した写真管理アプリを選んで頂きたい。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Twitter 2.3、Keyboard Maestro 6.1、LaunchBar 5.5.2、Mailplane 3.0.1、CloudPull 2.4.2、それから Mountain Lion 用、Lion 用、および Snow Leopard 用の Security Update 2013-003 だ。

記事:

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"Take Control of Your Digital Photos" 第三章 入手可能に

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst  訳: M.Sugimoto <dfbia300@kcc.zaq.ne.jp>

Jeff Carlson は彼の来るべき "Take Control of Your Digital Photos" 電子ブックの執筆作業を継続しているが、私たちはその第三章、”写真管理アプリを選択する、”を TidBITS ウェブサイトでちょうど今、発行したところだ。第二章、”より賢く撮る、”と同じように、無料で入手できるが、それは TidBITS 会員に限られる。第一章、”写真管理のための賢い方法、”はすべての人が自由に読むことができ、Jeff がどこに向かっているかが分かる。

書かれているのと同時進行でこの本を丸ごと TidBITS 会員向けに発行することは、私たちが TidBITS 会員に感謝の気持ちをあらわす手段の一つだ。私たちは、今までずっと無料で TidBITS を読んでこられた読者の皆さんが、今後も引き続き私たちが注意深く考え抜かれプロの手で書かれ編集された記事を毎週皆さんの手許にお届けできるよう、私たちを援助して下さるための動機付けにもなればと思っている。(より詳細は、2012 年 12 月 17 日の記事、"2013 年も TidBITS に皆さんの援助を: あなたも TidBITS 会員に" 参考。)

第三章、”写真管理アプリを選択する、”で、Jeff はディジタル写真の急増するコレクションを管理するために利用可能な主だったアプリに焦点を当てる。写真管理という名前のすべてのプログラムに触れることは実用的でないから、Jeffはまず、写真を効果的に管理するのに基本となる機能を検証し、その後、異なった種々の競合ソフトがいかに彼の基準を満たすかに目を向ける。そして、どうかこれらの章に関するコメントと質問をお願いします!

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コンピュータの元祖 Douglas Engelbart 逝く

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Dr. Douglas C. Engelbart が 88 才で腎不全で亡くなった。1950 年に Engelbart は世界を変えることとなった突然のひらめきを得た。彼はコンピュータを想像した。それは彼が Navy で受け持っていたレーダー操作盤に似たもので、ディスプレイを持ち、与えられたプロジェクトに関する全ての情報を彼に見せてくれる。

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当時のコンピュータは部屋全体を占める怪物で、そしてプログラムは不可解なパンチカードでなされていた。しかし 1968 年に、Engelbart は彼のひらめきを具現化する作品を披露した。後日 "The Mother of All Demos (全てのデモの母)" と名付けられた彼のデモンストレーションには、対話型のキーボードとマウス、テキスト編集、ハイパーテキスト、ビデオ会議、ウィンドウ等々が含まれていた - 我々が今日当たり前として捉えている現代コンピューティングの礎の多くがここにある。90 分ちょっとで、Douglas Engelbart は世界を変えた。

Dr. Engelbart, 我々の衷心よりの感謝をこめて。

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Google の色眼鏡を通じて見る世界

  文: Jeff Porten: [email protected]
  訳: M.Sugimoto <dfbia300@kcc.zaq.ne.jp>

あなたが Google Glass を使用する場合の Google の役割は何だろうか?Computers, Freedom, and Privacy カンファレンスでの興味ある議論は、いくつかの問題点を提起した。それは"身につけるコンピューティングの社会の未来を考察”(2013 年 5 月 29日 の記事)において Google の未来的アイウエアに関して私が主張したものを明らかにしたところもあったが、食い違うところもあった。

先の記事で、私はいかに Google Glass が一般大衆の間で受けとめられ、そして使用されるか、様々な社会的制約と影響を与えうるきっかけをながながと説明した。私が気付かなかった点は、Google は独自のメカニズムの構築によりこの議論の舵取りが可能だということ、そしてそのメカニズムはテクノロジー的手段と法的手段の双方により人々に強制可能なものだということである。

Google は Glass Terms of Sale を明確に別に作った。それは一見したところ、ほとんどすべての市販ソフトウエアに付属する End User License Agreement(EULA)とよく似たものだ。この条件には二つのパートがあり、すべての Glassデバイス(そして、おそらく次世代を考慮して記載された)に適用される一般部分と、現在はベータ版の Glass Explorer Edition のみを含むが、各 Glass リリースに対するデバイス固有の部分がある。それでも十分でないと言わんばかりに Google は、Glass の購入にはいくつかの Google サービス(例えばWallet)が必要となること、さらに、そうしたサービスやその他オプションのアプリに対するサービス条件も Glass の利用条件に加えて完全に強制されることも、はっきりと述べている。

全体の Glass 販売条件において突出しているものは転売に関する規則である。つまり、あなたは転売できない。実世界の Tamagotchi のように、一度 Glassを購入すると、Glass をだれかに あげる ことができるという例外はあるが、一生涯あなたのものである。これはおそらく Glass Explorer プログラムの一部として意味がある、そこでは Google はそのベータ版を一般大衆の手の届かないようにしておくことに強い関心がある。転売の制約に加えて、あなたが購入できる Glass デバイスの数に関する明示的な制限は利益を生むアフターマーケットの創造を抑制する一つの方法と見ているのかもしれない。

しかし、転売禁止制約は Explorer 固有の条件の部分ではない。それは一般Glass 条件に含まれているからだ。これは Google が、地理的に地域ごとに新デバイスの販売を制限することによって、個人が購入できるデバイスの数を制限することによって、そして転売を阻むことによって、将来の Glass 販売を大変厳しく制限する強い意思があることを暗示している。

これは強制力をもつ制限である。すなわち、Google は Glass を高価なファッション哲学の代わりに興味あるオモチャとするサービスのすべてに対するゲートウエイとして振る舞う。Google の Glass、あなたの固有の Glass デバイス、あるいは Glass で提供可能な個々のどの Google サービスに対する販売条件に違反しても、全体の Glass 能力を厳しく制約されるか、あるいは停止されることになるかもしれない。これらの条件は私が理解する限り、Google は Google Play からのサードパーティーアプリや、あなたのデバイスに置かれるサイドロードアプリとともに Glass を使用する能力に必ずしも影響を与えることはできないが、Google は Google 条件や法的制限に違反する Glass サービスを技術的に抹消したり、禁止したりできるし、デバイス全体を機能させなくするための技術的能力もまたもっている。

これは Apple が悪意あるアプリをリモートで削除するために使用する iPhoneに組み込んだ "kill switch" を超える一歩だ。(Google も Android の中に同様のシステムを作り込んだ。)さらに最近 "kill switch" なる用語は来るべきiOS 7 の Activation Lock 盗難防止機能にも適用され、Apple ID とパスワードが Fine My iPhone をオフにするため、あるいは iPhone をリモートで消去するならば iPhone を再活性するために必要とされている。しかし、これら両方ともGoogle Glass の販売条件ほどのことはしていない。

デバイスを完全に不活性にする能力は、社会的視点から見れば、"すべてのあなたのソフトウエアは私たちのもの"と述べた通常の EULA を超えて、Google の条件をさらにずっとおもしろくさせている。Google は将来的にこれら販売条件を更新することを妨げられないし、おそらく寛大な代金返金方針をもつ改訂条項から生じるかもしれないどんな契約の不履行からも自分を保護するだろう。この代金返金方針はすでに販売条件に明示的に述べられている。ただし、購入者がGlass を自分のニーズに合わないものと "判断" したとしても、あくまでも代金返金は Google の側の自主的措置としておこなわれるものと書かれているのだが。

これら条件を私の先の Glass を使用する社会規範の議論に適用すると、結局Google は中央コントロールの仕組みと、どんな場合に Glass 使用が認められ、どんな場合に認められないかを決める力の両方をもっているということだ。被写体の同意もなく不適切に Glass で撮られた写真が Tumbler ブログに載ったりする事態はおそらく避け得ないだろう。そんな場合、Google がその画像を追跡して(追跡の方法を私は半ダースも想像できる)写真を撮った Glass ユーザーにたどり着き、一時的警告として、または永久的に、そのユーザーのデバイスを停止してしまうことも想像できる。

またあるいは、もっとありそうなこととして、最初は Google は自由放任主義をとり、法律に反する行動や、あるいは Google の外に別の明らかな一線を画された場合においてのみ、コントロールを行使するかもしれない。これはおそらく大部分の Glass を身につけたユーザが(あるいは少なくとも販売条件を読んだ一部が)Google から期待することだ。しかし、それはより厳格なる Glass コントロールを要求する大衆の叫び声から Google を守ることにならないだろう。今やGoogle がコントロールの仕組みを発明し、その存在を公けにしたからには。

コントロールの仕組みの存在が全体的に Glass の採用に積極的に効くのか、消極的に効くのかははっきりとはわからない。ときには、社会的、あるいは法的に圧力を受ける人が誰もいないなら、コントロールの仕組みの存在があったほうがよいこともある。Napster は停止したが、BitTorrent は閉じていない。当初私は中央集権化されたコントロールなどというものが存在し うる とは考えもしなかったし、ましてや Google が明示的にその権利を留保すると言い出すなどとは思い付きもしなかった。これは Glass と他の身につけるコンピュータの次の数年間に興味深い論点を追加する。なぜかというと、他の会社は Google の先例にならおうとするか、あるいは顧客に明示的にコントロールの権限を渡すためにそれを避けるかのどちらかだからだ。とは言うものの、Google、Apple、Microsoft、そして Amazon のようにその種のコントロールができる会社はほとんどないだろう。

例えば、 Recon Jet Pilot のヘッドアップディスプレイグラスは、Google Glassとは関係は ない が、Android のひどく分岐したバージョンの上に作られている。Recon は Jet デバイス向けの特殊なソフトウエア用に自身の開発者プログラムをコントロールすることもできただろうが、オペレーティングシステム全体へのアクセスをすることは、よほどの労力を注ぎ込んでその種のコントロール提供のためにオペレーティングシステムを改変しない限り不可能だ。これは Android の分岐版で可能だが、極めて難しい。一方、Google は Android をコントロールすることと Glass が依存する多くのウェブサービスで、"無料"で同じ能力を得ている。

もちろん問題は、これらすべての問題を Glass の初期採用者たちと将来のGlass顧客たちがいかに受けとるかだ。彼らは、極小の文字で書かれた条項に違反しただけで無効にされてしまいかねないオモチャに何百ドルもの大金を投じることを嬉しく思わないかもしれないからだ。私は、Amazon が皮肉にもOrwell の小説 1984 をオーウェル風に消去したあの大失態と同じ程度の事件をGoogle が起こす日が来るまで、Glass の初期採用者の大多数は完全にこのリスクに気がつかないだろうと見ている。でもいったんリスクが知れ渡った後は、Glass 条件を過度に気にする潮流がいわば、頭でっかちに暴走して、第三者のグループが Google に対し、Glass を身につけた人 から 一般大衆を保護するためにもっと会社の力を発揮せよと要求するようになるのかもしれない。あるいはそうでないかもしれない。Amazon が顧客の持つ電子版の本を削除してから四年経っても、Kindle の販売が大きく落ち込んだという話は聞かないのだから。

この記事を記載するに至ったのは Wollongong 大学の博士候補者であるAlexander Hayes 氏の洞察があるからで、氏に深謝したい。

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RocketDocs が Google Docs に一貫性をもたらす

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今日のビジネスの世界では、共同作業こそが王道だ。だからこそ、私たちはますます Google Docs を使うようになってきている。それは、外部の人たちとともに TidBITS 記事を作り上げる際にも、また Take Control のマーケティング資料を作成する際にも、大きな位置を占めるようになった。他方、教育の分野でもグループ活動に焦点が当てられることがますます多くなり、Tristan も中学校の級友たちとともに Google Docs を使ってグループ作業をしている。さらに、私は Ithaca 市学区内で STEM (科学、テクノロジー、工学、数学) を促進するための 非営利団体の設立を手伝ってきたが、そのためのコンテンツの開発において共同作業を進めやすくするため、また組織の記録をきちんと残すようにするため、グループのすべての人たちに Google Docs を使ってもらい、各種書類やスプレッドシート、ウェブフォーム、プレゼンテーションなどをすべてそこに置いた。

これらすべての結果として、Google Docs は私にとっても、幅広い世界の多くの人たちにとっても、以前よりはるかに重要なツールとなるに至った。けれども Google Docs で多くの時間を費やすようになればなるほど、私は次第にそれをウェブブラウザの中で使わなければならないことに苛立つようになった。私は毎日何百ものウェブページをロードしていて、それらをすぐに閉じるとは限らないので(仕事中はページをいくつも参照することがよくある)結局いつも 30 個から 60 個ほどのタブが同時に開いていることになる。ゴタゴタな状態であることは十分に自覚しているつもりではいるけれども、実質的な結論としてはけっこう長い時間を費やして使うウェブアプリが、他の多数のものたちとあまりうまく混じり合わなくなってしまっている。特定の書類のためのタブが多数の他のタブに埋もれて、どこへ行ったか分からなくなってしまうことがよくあるのだ。

嬉しいことに、この問題には解決法がある。サイト特定のブラウザだ。Fluid などの提供するサイト特定ブラウザもあるし、また Google Chrome 用の巧妙なハックを用いて作ったサイト特定ブラウザもある。けれども残念なことに、私の経験から言って(そう、私は数限りなく何度も試みた - まるでフットボールを試みる Charlie Brown のように)複雑なウェブアプリというものは、その種のサイト特定ブラウザの中では、フルのブラウザの中でのようにはうまく動作しないものだ。

幸いにも、もっと良い解決法がある。ちょうど、Mac 用アプリ Mailplane が Gmail を切り離して独立動作のアプリにしたように(2011 年 3 月 16 日の記事“禅と Gmail 技術、第四部: Mailplane”参照)Tricky Duck から出ているアプリ専用のブラウザ RocketDocs を使えば、Google Docs がウェブブラウザの制約から見事に解き放たれる。いずれの場合にも、アプリは現実にはただそのウェブインターフェイスをカプセル化しているのみであり、Safari の基盤ともなっている WebKit フレームワークに強く依存して動作するので、基本的な Gmail や Google Docs の動作はすべてあなたが期待する通りのものである一方、Mac 用アプリの細々とした優雅さがそれらのまわりを固めている。アイコンは Dock にもアプリケーション切替インターフェイスにも現われるし、フルスクリーンモードにも対応しているし、概して他の普通の Mac 用アプリと同じように動作する。

RocketDocs の中でいったんあなたの Google 認証情報を設定すれば、このアプリがログインを済ませてあなたの Google Drive の内容を表示する。(技術的に言えば、Google Docs は Google Drive の中に組み込まれている。ただ、多くの人たちは依然として Google Drive の書類作成および共同作業用の機能を Google Docs と呼んでいるので、この記事でもその用法に従おうと思う。)あなたが複数の Google アカウントを持っている場合にも、RocketDocs の中で簡単にそれらの間を切り替えて使うことができる。

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新規書類の作成には Command-N または Command-T (新規タブの作成と同じ) を使い、既存のファイルを Google Drive に加えたい場合には Command-O を押すか、あるいは単にそのファイルをメインのファイルリストの上へドラッグしてもよい。アップロードの際に Open ダイアログを使う方法には一つ素敵な利点がある。それは、Google Docs の変換オプションに手軽にアクセスできることだ。

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ファイルリストの中でどの書類でもクリックすれば、それが独自のタブの中に開く。ただし、タブは(一般的なウェブブラウザのように)ウィンドウの一番上にではなく、一番下に表示される。タブの上でクリックすればその書類に切り替わるし、タブ上の X ボタンをクリックするか Command-W を押すかすればそのタブが閉じる。ファイルリストのタブには閉じるボタンがないが、それでも Command-W を押せばウィンドウが閉じ、その前に最前面にあったアプリに切り替わる。その後 RocketDocs に切り替えて戻ればウィンドウが再び開き、ファイルリストのタブが表示される。

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一つの書類の中では、すべてがほぼ期待通りに働く。ただし、マイナーだが困った点にはいくつも気付いた。中でも厄介なのがクリップボードに関連するバグだ。しばらく時間が経つと、選択したテキストをコピーしようと Command-C を押してもコピーされず、ただビープ音だけが鳴る。手早く Command-V でペーストすればクリップボードの詰まりが解消されて再びテキストのコピーができるようになるが、私たちは Google Docs でテキストを書き上げてからそれを Take Control ウェブサイトに移しているので、コピーとペーストで余計な手間がかかるのはフラストレーション以外の何物でもない。

また、RocketDocs からの印刷に関してはまだまだ改善の必要があって(公平に言えば Safari にも同じことが言える)期待するレベルには程遠い。第一に、File > Print を選ぶか Command-P を押すかしても通常の Print ダイアログは現われず、Google Cloud Print ダイアログが現われる。これは、あなたが Google Cloud Print に登録済みのさまざまのデバイスにプリントできることになっている。けれども残念ながら、私が Google Chrome を使って「クラシックな」プリンタを登録しても結果的にまともなプリントアウトは得られなかったし、私の iPhone に送ってみても私の見た限り何も起こらなかった。うまくいったのは Print From My Computer オプションを使用した場合のみで、これは PDF を出力するので、あとで改めて Preview からプリントする必要がある。Google Chrome からプリントする方が、直接 Mac のデフォルトのプリンタへ送られるのでずっと手軽にできるのに。

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他にも細かなあら探しをいくつかしておこう。フォントサイズを変更せずに大きく表示させて作業しようとする際には、普通 View > Zoom In を使おうとするだろう。確かにそれは動作するけれども、その場合カーソル位置が本来と違う場所に来てしまい、文字とオーバーラップしたり、時には本来の位置より数文字分横にずれてしまったりすることがある。また、ファイルリストで一つの書類を複数回開くと、複数個のタブが開いてしまう。RocketDocs は、既に開いている書類では既存のタブに切り替えてくれるほど賢くはない。

誤解しないで欲しい。そういった問題点は確かに困ったことだし、とりわけコピーに関する問題は厄介だけれども、それでも RocketDocs が Google Docs を私のタブだらけのウェブブラウザから切り離して自由にしてくれたことは、それらの問題点を十分以上に上回る恩恵だと言える。RocketDocs はアプリとしてまだ Mailplane ほどには洗練されたものではないし、Google Docs を使用する際にもっと Mac 流のやり取りの手法を盛り込むよう Tricky Duck にはさらに力を注いで欲しいと思う。

例えば、最近使ったファイルに手早くアクセスしたり、新規書類の作成や既存の書類のアップロードをしたりするためのメニューバー項目があるけれども、これが RocketDocs のグラフィカルインターフェイスの中にクリーンに統合されているという感じでなく、むしろ無理矢理取って付けたような感じがする。(同じコマンドが RocketDocs の Dock アイコンメニューにも再現されているので、Dock を頻繁に使う人はそちらを使うのがよいだろう。)

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けれども、アプリ自体には、あまり緊密な統合が見られない。私の希望を言わせてもらえば、RocketDocs 内部のサイドバーに最近使った書類がリストされればもっと手軽にアクセスできるのにと思う。あるいは、Google Drive の Finder コンテンツに(それが存在している場合)RocketDocs が直結されるようになれば嬉しい。現状では、Mac 上で RocketDocs の中から Google Drive にあるファイルを開くことすらできない。Mac との統合に関しては、さらなる改良の余地がたくさん残っている。

けれどももう一度言わせてもらえば、RocketDocs はその基本的動作をきちんと実行できる。私がさらなる統合機能を望んでいる唯一の理由は、私の Mac の上で常時走り続けているアプリケーションたちの中に、RocketDocs が既に確固とした位置を占めているからに他ならない。

RocketDocs の Mac App Store での通常価格は $9.99 だが、現在 $2.99 でセール中だ。このプログラムのバージョン 1.3 のダウンロードサイズは 3.3 MB で、Mac OS X 10.6 Snow Leopard かそれ以降で動作する。

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iWatch を立証する

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は腕時計を作っている。それだけは明らかである。それ以上は、Tim Cook が Empire State Building のてっぺんに上半身裸で立ち、1.6 百万人の Manhattan 住人に対し拡声器を手にして "iWatch が出ます!" とでも叫ばない限り分からない。Apple のメディアイベントに対するより謹厳実直な好みを考えると、そんなことは起こりそうもないから、証拠調べをしてみよう。

最初に、Apple は地球上の殆どありとあらゆる国で "iWatch" という言葉に対する商標を登録 しようとしており、これには Mexico, Taiwan, Turkey, Colombia, Russia, そして日本が含まれている。だからといって、これは何の 証拠 にもならない。Apple はありとあらゆる種類の使わない特許や商標を持っている。例を挙げれば、 AirMac って一体全体何なの? と思われる方もおられであろうし、そもそも Apple は "iPhone" という名前を前もって確保していたわけでもない。

もし私がこの予測記事を商標登録出願や同様のものにだけ頼って書いているのであれば、それは単なる突拍子もない推測であろうが、Apple が Saint Laurent CEO Paul Deneve を "特別プロジェクト" 担当の副社長として雇ったのはどうお考えであろうか? もしSaint Laurent が何者か良くご存じなければ、それは Wikipedia によれば、伝説的ファッションデザイナー Yves Saint Laurent (イブサンローラン) によって創始された "高級ファッションハウス" である。もし Deneve の経歴に少しでも目をやれば、事態は益々興味深くなってくる。彼はファッションの大御所となる前、1990 年代ほぼ全般にわたり営業マンとして Apple で働いていた。Apple を辞めた後、彼は Courreges, Nina Ricci, そして Lanvin といったファッションハウスでの重役を歴任した。彼はまた Alber Elbaz の様な世界で最も尊敬されているデザイナーとも働いたことがあり、そして French Federation of Fashion と Ready-to-Wear of Couturiers and Fashion Designers の執行委員会の委員も務め、ファッション業界との深いつながりを持っている。彼は ANDAM Fashion Awards の審査員でもあり、フランスの高級品協会 Comite Colbert のボードメンバーでもある - コメディアンでニュースキャスターの Stephen Colbert と混同しないように。ファッションと高級品に関しては、Deneve は本物であり、彼はまた時間を割いては Silicon Valley の起業家たちにも助言を与えている。実に多忙な人である。

Deneve は Apple に大いに役立つ、というのも同社は長いこと技術とファッションをブレンドしてきたからである。しかし、今彼を再雇用するのは何故なのか? Mac, iPod, iPhone, そして iPad は全て、ファッション業界からの入力なしでも十分にファッショナブルである。違いは、Deneve は身に着けるものを売ることに精通していることである。そしてもし Tim Cook の発言のいくつかに着目すると、これがまさに Apple が必要とするものなのかもしれない。

今年の D11 で、Cook はウェアラブルの質問に答えて Walt Mossberg と Kara Swisher に次の様に言った、"世の中に出ている一つ以上のことをやるもので私が素晴らしいと思えるものは何もない。眼鏡や、ヘアバンドや、腕時計をこれまで一度も身に着けたことない子供たちに身に着けてみたいと思わせるようなものは何も出ていない、少なくとも私自身は見たことがない。" その上で、彼はウェアラブルコンピューティングは、"技術にとっては奥深い分野である可能性を秘めている" と言い、そしてそれを "木のもう一本の鍵となる枝" と表現した。彼は彼が身に着けている Nike FuelBand を指し示すことすらしたが、後に次の様に言った、"腕は面白い。私はこれを腕に巻いている。その方が自然な感じがする。" 後に彼は更に付け加えて、"センサーの分野は爆発しそうだ。" どの CEO が爆発する分野を見過ごすというのか?

Cook の発言を分析してみれば、腕を基準にしたコンピュータに興味を持つ CEO がいて、その様なものをどう売るかに苦闘しているという姿を思い浮かべるのは誇張ではないであろう。Cook が言ったように、"もし部屋一杯の 10 から 20 才の若者に、腕時計を身に着けている人は立ってと言っても、立ち上がる人がいるかどうか私には確信がない。" これは意味深長な発言である。Apple はウェアラブルを 10 代の若者に売りたい。続き:Cook が Glass を大衆受けしないとして軽く扱った時、彼が言ったのは、人々が眼鏡を欲しがるのは "自分のファッションを反映させる" ためだということである。これがキーワードである:ファッション。

多分、Apple は Tim Cook が D11 に出た 5 月下旬に Paul Deneve と話をしていたのであろう。今やバラバラのパズルを組み合わせて彼が何を考えていたのかを推測出来る。ファッション、スタイル、これこそが 10 代の若者に腕時計をはめさせる気にさせるものだ。私が思うに、これこそが Deneve の仕事であろう、少なくとも最初は:腕時計をもう一度格好いいものにする、そして iWatch をその中で一番格好いいものにすることである。大手のファッションハウスの CEO の地位を捨て Apple に副社長として戻る理由が他にあるであろうか?

まだ信じがたい? では、もう一つのパズル片がある:iOS 7 である。多くの人が、肥大した、漫画っぽいアイコンを非難したが、アプリディレクター Chris Harris は、iOS 7 が前の世代の iPod nano 上でどの様に見えるかを描き出して見せた。この世代の iPod nano は腕時計に似ていたし、 それ用に作られたリストバンドすらあった。明瞭度の改善は驚く程である。iWatch を想像してみれば、iOS 7 でなされた多くの設計判断が突如として意味を成してくる。(彼のコンセプト画像を再掲することを許諾してくれた @_ChrisHarris に感謝したい。)

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私の iWatch に対する立証は終わったので、次はそれで何が出来るのか、そしてそれがウェアラブル分野の他のものとどう違うのかを見てみよう。

iWatch が出来るであろうことの多くは自明である。身に纏うフィットネス監視は既に一つの大きな市場を形成している、そしてセンサーについての Cook のコメントも iWatch に沢山のセンサーを載せて、脈拍、動き、そして睡眠パターンといったものを測れるようにする後押しとなるであろう。勿論、音楽再生能力を内蔵したフィットネス監視機はジョギング愛好者にとっては一つのキラー製品であろう。

しかし、フィットネスとファッションは必ずしも素晴らしい組み合わせとは言えない。加えて、Apple が愛する生活スタイルの角度からの強烈な売り込みもあるであろう。何を意味するかといえば、家族の写真、そして恐らくビデオも見たい、それもきっと Photo Stream 経由で、といったものであろう。FaceTime カメラだって可能性の蚊帳の外ではなく、 Dick Tracy の双方向無線の腕時計.の一歩先を行く話となろう。そして、Apple が WWDC でデモした様に、同社は機器間で通知を知的に送ったり共有したりすることに取り組んでいるので、Apple 機器通知の目的地としての iWatch というのは十分あり得る話であろう。

私は iWatch 上でタイプするのは実用的ではないと思っているが、Siri は登場した時と比べれば遥かに良くなったので (ちょっと、笑うのは止めてほしい!)、音声電話、iMessage、スケジュール管理、地図と道案内、そして映画チケットの購入といった可能性は広がる。しかしながら、私が思うに iWatch は単独型機器ではなく - 消費電力に対する要求が高すぎる - iPhone や iPad の付属品という位置付けであろう。エネルギー効率の良い Bluetooth 4.0 接続を使っての iOS 機器との、いや Mac ですら、ペアリングの実現は目の前のように見える。

パワーと言えば、iWatch の充電はどうする、前提は Apple が復古調を採りねじ巻き用リューズなど付けないということだが? Lightning コネクタは小型で時計にも十分使えるであろうし、最も明白な解であろうが、充電するために時計を外すというのは魅力に欠ける、とりわけ iWatch を睡眠モニターとして使う人には問題であろう。しかしながら、やり方は色々ありそうである、というのも現在の iPod nano でも最大 30 時間の電池寿命があるからである。これは Apple が競争相手を置き去りに出来る分野であろう。自動巻きの腕時計、これは身に着けた人の動きからパワーを得ていて、世に出てからもう何年にもなる。そして 15 才の Ann Makosinski はあなたの手の熱で動作する懐中電灯を発明した。この懐中電灯は Peltier タイルを使っていて、片面が熱せられ反対側が冷やされた時電気を発生する。これを腕時計に当て嵌めるのは難しいと思われるが、iPhone を補助する機器で再充電を必要としないものが出てくれば Apple にとっては大革命であろう。

では iWatch アプリのための App Store というのはどうであろうか? 私はありそうもない思う、少なくとも最初は。Apple はそのモバイル機器をサードパーティ開発者に開放しなければならないやむを得ない理由が出てくるまでは、鍵をかけて閉じておくのを好む - App Store がオープンしたのは iPhone が出た後一年経ってからであり、Apple TV に関しては今でもすべての開発者に開かれてはいない。だからと言って、Apple が開発者を完全にシャットアウトするとは限らない。Mac や iOS 用の API が現れ iWatch との間で情報のやり取りが出来る様になるのは間違いないであろう。しかしながら、私は iPod nano 上でみられる Nike+ アプリが iWatch 上に何らかの形で現れることに疑いを持たない、なぜならばそれは Apple が大事にしているパートナーシップの一つである様に見えるからである。

iWatch の値段はどの程度になるであろうか? 私の推測では通常の腕時計よりも高価であり、大衆にとっては "高級" 品を意味するが、他の Apple のモバイル機器よりも安いであろう。ということでズバリ $199 - iPod nano よりは高いが iPod touch よりは安い。

勿論、これら全てが全くの推測である。しかし、諺にある通り、火のない所に煙は立たぬで、しかも煙は数え切れないほど立っている。iWatch は Apple 製品群にうまく溶け込むし、既存の製品を補完する、そして未征服の新しい市場を提供する。私は iWatch を考えれば考えるほど興奮してくる。唯一の残った質問は:後は時間の問題か?

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Mac 用 ReadKit はほぼ完璧なリーダーアプリ

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Google Reader の終了によって(2013 年 6 月 27 日の記事“Google Reader 代替製品の現況”参照)私はこれまで気に入って使ってきた Mac 用ニュースリーダー、Reeder から他のものへ移ることを余儀なくされた。Reeder はまだ新しい RSS 同期サービスのどれにも対応できるようなアップデートがされていないし、開発者の Silvio Rizzi は「Reeder の開発は 7 月 1 日以後に再開します」という言葉だけを残して Reeder を Mac App Store から取り下げてしまったからだ。幸いにも、Webin 社の開発者 Balazs Varkonyi が私の悩みを解決してくれた。Google Reader 終了の直前に、彼の ReadKit アプリをアップデートして多数の RSS サービスに対応してくれたのだ。

もともとこの ReadKit アプリは InstapaperPocketReadability など「あとで読む」サービスのためのビューワーとして作られたものだったが、今はブックマーキングサービスの PinboardDelicious、それから RSS 同期サービスの FeverNewsBlurFeed WranglerFeedbin もサポートし、さらには独自の内部的 RSS サポートまで付け加えている。こうした彼の努力は見事に報われた。この記事を書いている時点で、ReadKit は Mac App Store において有料アプリのトップ 10 リストに登り詰めている。小売価格は $4.99 だ。

今のところ、Mac ネイティブな RSS リーダーであって他のプラットフォームと同期できるものが欲しければ、あなたの選択肢は ReadKit しかない。さきほど触れた Reeder は Google Reader に依存するが Google Reader はもはや機能しておらず、また最新版の NetNewsWire には同期の機能が全く無い。

あなたが初めて ReadKit を起動すると、さきほど挙げたサービスの中からいくつでも追加できる機会が与えられる。その手順は簡単だ。しかしながらここには一つ問題があって、Instapaper のサポートを使うためには月額 1 ドルの有料 Instapaper 購読が必要となる。これはなかなか厄介な問題で、この点についてはあとで説明する。Instapaper は無料のサービスだけれども、サードパーティのアプリから見るには有料の購読が必要だ。ただし、Instapaper へ共有するのはどんなアプリからでも通常は無料だ。

ReadKit のインターフェイスはシンプルかつクリーン、まさに Mac のアプリがこうあるべき姿だ。コンテンツの情報源が左側のサイドバーに並び、個々の項目が真ん中のカラムに、コンテンツが右側のカラムに表示される。サービスのリストの並べ替えは環境設定枠の中でできる。私がお勧めするやり方は、もしもあなたが Feed Wrangler を購読しているなら、そのサービスをリストの一番下に置くことだ。なぜならこのサービスはあなたが購読しているフィードのすべてを頑固に表示しようとするのでリストが渋滞してしまうからだ。

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たくさんのサービスを追加することが可能だからといって、必ずしもあなたがそうすべきだとは限らない。私の経験では、Feed Wrangler、NewsBlur、それに Feedbin を同時に追加すると CPU 使用量が極めて高くなり、結果として私の MacBook Pro は離陸直前のプロペラ機のような音がする。RSS サービスは一つだけを選んでそれだけを使うのが賢明だろう。

あなたが勇敢にもどれだけ多数のサービスを追加したとしても、ReadKit はすべてのコンテンツを簡単に追跡できるようにしてくれる。Smart Folder と呼ばれる機能のお陰だ。iTunes の Smart Playlist 機能と同様、Smart Folder ではコンテンツをフィルター分けするための基準をあなたが指定できる。デフォルトで、ReadKit には二つの Smart Folder が含まれている。Instapaper や Pocket のようなサービスからすべてのコンテンツを集める Read Later と、あなたのさまざまの RSS 購読からすべての項目を集める RSS News だ。この RSS News Smart Folder は、複数のサービスから届いた重複項目をなかなか賢く重複表示しないようにしてくれるが、時々は判定を失敗することもある。

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有料の Pinboard アカウントを持っている場合(ブックマークをたくさん溜め込んでいる人は持つべきだと思うが)ReadKit があなたのすべてのタグをスクリーンの一番下に別途置かれている Tags タブでフルにサポートしているのが嬉しいだろう。また、フィードのタブの中からあなたのアーカイブや、個人的ブックマークや、共有ブックマークにアクセスできるのも役に立つだろう。この Tags タブにはあなたのスター付き Pocket 項目もすべて並ぶ。

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コンテンツをどのサービスに追加するのも簡単だが、それでも問題はある。ブックマークであれ新たな購読であれ、何か新しいものを追加するには、ウィンドウの一番下にあるプラス印のアイコンをクリックして、ポップアップメニューから好きなサービスを選べばよい。あなたがどのサービスを選んだかによって、オプションの選択肢が変わる。新規の Pinboard ブックマークにはウェブサイトのアドレスが必須で、タイトルと説明を加えることもできる。しかしながら ReadKit はタグを受け入れることはできず、この点は奇妙な機能欠落だと思う。なぜなら、タグは Pinboard の核心的部分だからだ。

RSS フィードの購読は、あなたがどの同期サービスを使っているかにもよるが、うまく行くかどうか運任せだ。RSS 購読を追加するには、サービスを選んでから feed URL をペーストする。フィードの一覧などは内蔵されていない。けれども、もしもあなたがさまざまの RSS 購読をいくつものフォルダに分けて管理しているのなら(そうしている人が多いと思うが)フィードの追加はかなり面倒な作業になるかもしれない。フィードをフォルダに追加できる機能を持つのは、ReadKit にサポートされた最初の RSS サービスであった NewsBlur のみだからだ。フィードを Feed Wrangler に追加することはできるが、フィードを Smart Stream に追加することはできない。一方、フィードを Feedbin に追加する機能は完全に壊れているように見えて、私がどんなフィードを追加しようとしても有効なフィードでないというエラーが出る。ただ、そのようなフィードもあとになって私の Feedbin アカウントに出現したので、どうやら何か修正すべき欠陥があると見える。

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あなたが読みたいコンテンツを追加できたとして、それに対して ReadKit はあなたがそのコンテンツをどのように読みたいかに関する広範なカスタマイズのオプションを提供してくれる。デフォルトで、ReadKit は記事を Optima 書体の 18 point で表示する。私はこれを最善だとは思わないが、とにかくどんなフォントでも好きなように選ぶことができる。そればかりではない。コンテンツの表示は行の左揃えでも、両端揃えでもでき、記事の表示幅を調整したり、さらには行の高さを設定することさえできる。また、テーマもいくつか内蔵されているが、私はカスタマイズしたテーマを設定できるようになればもっとよいのにと思う。それに、最大限の読みやすさを追求するために作られた人気の Solarized カラースキームが、どんな変種も含まれていないのは少し意外だ。ただ、Corporation と Dark のテーマはいずれもそれにかなり近い。

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コンテンツを Readability のテキスト構文解析ツールにかけて明快さを増すようにすることも可能だが、私の見た限り内蔵のエンジンとそれほど違うとは思えなかった。もちろん、どの記事もあなたのデフォルトのブラウザに開かせることができる。共有メニューもあって、コンテンツを電子メール、Messages、Twitter、Facebook、Evernote に送ることができる。

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リストから二つほど項目が抜けているのにお気付きかもしれない。Instapaper と Pocket だ。他のサービスから項目をドラッグすれば、これらのサービスに記事を追加することはできる。例えば、Feed Wrangler から Instapaper へ記事をドラッグすれば、あとで読むために保存しておける。また、記事を読み終えたけれどもあとで参照するためにリンクを保存しておきたいなら、それを Pocket から Pinboard へドラッグすればよい。けれども、Instapaper が好みの人にとってそこには問題があって、Instapaper アカウントを ReadKit に追加するためには有料の購読が必要なのだ。いつもならば、私としてはそのサービスを支えるようお勧めしたいところなのだが、Instapaper が最近買収されたこと(2013 年 4 月 25 日の記事“Betaworks が Instapaper を引き継ぐ”参照)や、まもなくデザイン改訂が行なわれるであろうことを考えれば、有料購読の将来性に疑問符を付けざるを得ない。たとえあなたが Instapaper でなく Pocket を使っていて何の問題もないとしても、ドラッグしてドロップというのは単にボタンをクリックするだけに比べれば面倒だ。このあたりのことは開発者に見過ごされているようで、将来のアップデートで改善されて欲しいものだと思う。

共有メニューの中にもう一つ欠けているのが、リンクをコピーするオプションだ。それが無いので、Item メニューから Copy Link を選ばねばならない。

けれども一番困るのが、RSS フィードの読み込みがが時々完全にストップして、アプリをいったん終了して再起動しなければ直らないことだ。おそらくそれは個々のサービスの API に問題があるのだろうが、それでも他の RSS アプリはいずれも問題なく同期できているように見える。開発者 Balazs Varkonyi の名誉のために言い添えると、彼は必死に働いてこれほど多くの新しいサービスを厳しい締め切りに間に合わせて追加してくれたのだから、細かいところが完全でなくとも十分理解できるし、いずれ時間が経てば間違いなく改善されるだろうと思う。

全体的に見て、ReadKit は数多くの機能を魅力的なパッケージにまとめ上げ、安い価格で提供している。確かに、現時点ではバグがたくさんある。けれども私としてはその大多数を大目に見ることができる。なぜなら致命的と言えるようなバグは一つもなく、バグはあってもこのアプリは十分に役に立ち、開発者の Varkonyi は Google Reader 避難民たちのために急いで救いの手を差し伸べてくれ、また彼はユーザーたちとのコミュニケーションにも積極的だからだ。それに最も重要な点として、Mac の上には RSS 同期のための選択肢が事実上これしかない。プロのテクノロジーライターとして、Apple コミュニティーの最新情報を常に把握するためこれら数多くのサービスに依存して仕事をする私にとって、ReadKit は不可欠の存在だ。

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FunBITS: iPhone、iPad 用 Star Walk

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters  訳: M.Sugimoto <dfbia300@kcc.zaq.ne.jp>

米国では独立記念日が早くも終わってしまい、大多数の人たちは来年までもう一年、花火を見ることはないだろう。しかし夜空にはきれいな光の全宇宙がある。もし家族を外に連れ出し、暗闇に見入る理由を探しているなら、Vito Technology の iPhone 用の Star Walk のコピーを App Store で $2.99 で手に入れてみよう。iPad 用 Star Walk は別購入が必要で、これもまた $2.99 だ。

Star Walk は決して新しいものではない、オリジナルは 2008 年に iPhone 用が、2010 年に iPad 用 がリリースされ、6.2.1 まで版が上がっている。しかし、Star Walk を今まで聞いたことがないなら、あるいは何年も前に購入し、忘れてしまったというならば、まさに今が試してみるときだ。

Star Walk を開くと、恒星、惑星、衛星さえも含む夜空全体が描画される。星座に近づくと星座が表すもの、例えば、双子座の外観が見える。スワイプして動き回ったり、ピンチして興味ある対象の天体を拡大したりできる。対象をタップすることで、写真と雑学知識を含む、たくさんの情報を表示する。カレンダに天文学上の出来事をセットすることさえできるので、何も見逃すことはない。

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宇宙をブラウズしている間、スクリーンの左のバーは紫外線や赤外線といった種々の光のスペクトルを表す。スクリーン上方右手の時計はタイムマシーンとして機能し、いつでも、つまり過去、あるいは未来に空がどのように見えるかを教えてくれる。

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それだけでも十分印象的であるが、あなたのデバイスを空に向けたなら、そのとき魔法が起こる。デバイスに組み込まれたジャイロスコープに制御され、Star Walk は突然あなたのデバイスを宇宙への窓に変える。居間に居ようと、Star Walk は向けた宇宙の部分が決められた時間にどのように見えるかをあなたに見せてくれる。それは本当に素晴らしい。

Star Walk は、上方右隅の二つのボタンで動作する拡張現実モードの機能ももっている。一つのボタンはカメラをオンにし、あなたが見ているものがなんであろうと恒星と惑星を重ね合わせして見せる。もう一つのボタンはスクリーン上にあるものと、あなたが見ているもの、例えば太陽や月などとを一致させるので、Star Walk が空とぴったり合っているのを確認できる。

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Star Walk は決して新登場のアプリではないかもしれないが、成熟し、機能で満たされ、大変おもしろいアプリだ。夏の暑い夜に外で過ごすいかした理由になり、子供たちを天文学に誘う素晴らしい方法だ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2013 年 7 月 8 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Twitter 2.3 -- Twitter が、同名の Mac 用アプリをバージョン 2.3 にアップデートし(Mac App Store から無料で入手できる)Twitter アプリを使ってダイレクトメッセージをすべての Twitter アカウントおよびデバイスで同期できる機能を追加した。メインの Mac 用アプリをアップデートしたのに加えて、同社は TweetDeck (同社の Mac ベースの代替アプリ) と iOS 用の汎用 Twitter アプリに対するアップデートもリリースし、また同社のウェブサイトのデスクトップ版およびモバイル版、さらに Android 用アプリもアップデートした。Twitter ブログの記事によれば、iPhone 上でダイレクトメッセージを読んでからそれを同期させれば Twitter の Mac 用アプリでも既読とマークされるようになり、またその逆もできるという。しかしながら、MacStories の記事によればこの同期機能はサードパーティの Twitter アプリには適用されず、またその API が今後開発者たちに公開されるかどうかも定かでないとのことだ。

Mac 用の Twitter 2.3 における Connect タブにはやり取りの状況が含まれるようになり、あなたの tweet がリツイートされたり、お気に入りに加えられたり、新たなフォロワーができたり、あなたがリストに加えられたりすれば表示されるようになった。さらに、リアルタイムで通知の設定が調整できるようになった。今回のアップデートではまた、アプリのすべての部分において本名と @ユーザ名とが一緒に表示されるようになり、tweet をお気に入りから外す際のいくつかの問題点の修正と、詳細不明だが Growl 通知に関する問題への修正、および tweet 作成画面における文字数カウントのバグの修正が施され、デンマーク語、スウェーデン語、フィンランド語、ノルウェー語、タイ語、フィリピン語のローカライズ版への対応が追加された。(無料、5.3 MB)

Twitter 2.3 へのコメントリンク:

Keyboard Maestro 6.1 -- Stairways Software が Keyboard Maestro 6.1 をリリースし、最近メジャーなアップデートを施されたこのマクロユーティリティに数多くの改善と修正を加えた。(2013 年 5 月 21 日の記事“Keyboard Maestro 6、ウェブページを自動化しマクロ同期を追加”参照。)今回の新リリースでは、Keyboard Maestro ステータスメニューを開くアクションを追加し、Safari と Google Chrome でチェックボックスやラジオボタンの挙動を設定できるようにし、クリップボード履歴の中でパスワードの可能性のある文字列を隠し、OS X 10.9 Mavericks の下でアクセシビリティの探知を改善し、クリップボード内容をプレインテキストとして読み取れる機能を追加した。今回のアップデートではまた Chrome アクション用のアイコン(従来 Safari アイコンとして認識されていた)を修正し、Safari の作った「出来の悪いウェブアーカイブ」を扱う際にクリップボードからのコード読み取りを調整するようにし、ワイヤレストリガーの表示、show menu アクション、Set Variable to Calculation アクションでの問題点を修正している。(新規購入 $36、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、バージョン 6 のライセンスがあれば無料アップデート、旧バージョンからのアップグレード $25、24 MB、リリースノート)

Keyboard Maestro 6.1 へのコメントリンク:

LaunchBar 5.5.2 -- Objective Development が LaunchBar 5.5.2 をリリースし、このキーボードベースのランチャーに最近追加されたスニペット機能にさらなる改善を加えた。(2013 年 6 月 9 日の記事“LaunchBar 5.5”参照。)今回から LaunchBar は Snippets リストを開く際に最後に使用されたスニペットをあらかじめ選択するようになり、Snippets ホットキーを繰り返し押すことによりリストの中で次のスニペットを選択できるようになった。今回のアップデートではまた、Instant Send 経由でスニペットを作成する際、起動時に Clipboard History をリストアする際、および修飾キーを押しながらのタップの際に問題を起こしていたバグが修正された。(新規購入 $35、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、5.3 MB、 リリースノート)

LaunchBar 5.5.2 へのコメントリンク:

Mailplane 3.0.1 -- Uncomplex が Mailplane 3.0.1 をリリースした。同社の Gmail 専用電子メールクライアントに対するメンテナンスリリースで、返信モードでもショートカットが働くようになった変更に対応するため、メールを開くキーボードショートカットを変更した。従来の Mail > Open オプションが Mail > Open Conversation (Command-]) と改訂され、Mail > Open In New Window (Command-O) というオプションが新設された。今回のアップデートではまた、タブバーが隠せるようになり、メール本文に複数個の段落がある場合の AppleScript の問題点を修正し、ダウンロードした添付ファイルのファイル名に特殊文字が含まれた場合のバグを修正し、Mac OS X 10.7 Lion の下でファイルダイアログを開いてもクラッシュしないようにした。(新規購入 $24.95、無料アップデート、2012 年 10 月 1 日以降の購入の場合は 20 パーセント割引または無料のアップグレード、3.6 MB、 リリースノート)

Mailplane 3.0.1 へのコメントリンク:

CloudPull 2.4.2 -- Google Reader が閉鎖されたことに対応して、Golden Hill Software が CloudPull 2.4.2 をリリースし、既存の Google Reader バックアップへのアクセスは提供しつつ Google の RSS サービスのバックアップを無効にした。(Google Reader の終了を知らなかった方は、RSS を扱う代替方法を概観した Josh Centers の 2013 年 6 月 27 日の記事“Google Reader 代替製品の現況”をぜひお読み頂きたい。)今回のアップデートではまた、Gmail ラベルで "[Gmail]/" または "[Google Mail]/" で始まるものもバックアップするようになり、個々の項目または(ブックマークや Google Reader 購読を選択している場合)リンクをコンテクストメニューを使ってコピーできるようになった。(新規購入 $9.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、12.8 MB、リリースノート)

CloudPull 2.4.2 へのコメントリンク:

セキュリティアップデート 2013-003 (Mountain Lion, Lion, Snow Leopard) -- Apple が OS X 10.8 Mountain Lion 用 (20.4 MB) と、Lion 用 および 10.6 Snow Leopard 用それぞれにセキュリティアップデート 2013-003 をリリースした。Lion および Snow Leopard 用には二つずつのバージョンがあり、それぞれ Lion 用 (61 MB) と Lion Server 用 (111.3 MB)、10.6 Snow Leopard 用 (349.5 MB) と Snow Leopard Server 用 (424.5 MB) となっている。今回のセキュリティアップデートはいずれのバージョンも、QuickTime の中でバッファオーバーフローを起こして「アプリケーションが予期せず終了したり、任意のコードが実行されてしまったりする」可能性のある脆弱性を閉じるものだ。具体的には、今回のアップデートで Sorenson および H.264 エンコードのムービーファイルにおけるバッファオーバーフローに対処が施され、また "mvhd" ムービーのヘッダアトムの処理における問題にも対処がなされた。(無料)

セキュリティアップデート 2013-003 (Mountain Lion, Lion, Snow Leopard) へのコメントリンク:


ExtraBITS、2013 年 7 月 8 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

うだるように暑い夏の日が続いているが、私たちの ExtraBITS も同じムードだ。Apple は Back to School セール(新学期向けセール)を始めたが、これは教師たちにとっても学生たちにとっても Apple ハードウェアを安く手に入れるための素晴らしいチャンスだ。米国の独立記念日 (Independence Day) が過ぎたばかりだが、あなたの家の近所でも花火が上がっているのなら、花火の最高の写真を撮るためのガイドがある。それから、Christa Mrgan がデザイナーとして iOS 7 に対し痛烈な批判を述べている。

Christa Mrgan が iOS 7 を批判 -- Christa Mrgan は Rogue Amoeba のデザイナーだが、iOS 7 を徹底的に批評した記事を Macworld に載せた。彼女は Apple が大胆にデザインの選択をしたことを称賛しつつ、デザインに関するいくつかの懸念も指摘する。記事へのコメント部分をずっと下の方へスクロールして、Hamranhansenhansen による長いコメントをぜひお読み頂きたい。(Show More をクリックする必要があるかもしれない。) 彼は、従来の iOS におけるスキューモーフィズム(異素材模倣)のデザインを擁護する立場から見事に論じている。

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花火を写真に撮るためのガイド -- 先週は米国の独立記念日があった。つまり、花火の季節だ! 花火は美しいけれども、写真に撮るのは難しい。Digital Photography School の Darren Rowse が、可能な限り美しい花火の写真を撮るためのヒントをリストしている。

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Apple が Back to School セールを開始 -- まだ今年度の学期が終わっていない学校も多いというのに、Apple は毎年恒例の新学期向けセールを開始した。Mac を購入すれば $100 の App Store ギフトカードが、iPad や iPhone を購入すれば $50 のカードが付いてくる。資格があるのは、大学の学生、この新年度に入学予定の学生、大学生の子供のために購入する親、あるいは教師だ。また、Mac の購入の際には教育関係者向け割引も適用され、最大で $200 安くなることもある。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2013 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2013年 7月 12日 金曜日, S. HOSOKAWA