TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1229/30-Jun-2014

今週号の TidBITS ではまず初めに OS X 10.9.4 Mavericks と iOS 7.1.2 のアップデートが出たことをお知らせする。前者には Wi-Fi の修正とスリープから目覚める際の修正があり、後者には iBeacon の改良が盛り込まれている。先週の Google I/O カンファレンスでは多数の製品やサービスの発表があったが、それらはテクノロジーの全体像を再形成するかもしれない。Google がリリースした製品には腕時計その他ウェアラブルデバイス用の Android Wear もあり、これは噂されている Apple の iWatch より現実に近いが、現在市場のトップにある Pebble スマートウォッチを Steve McCabe が手に入れてこれに何ができるかを調べてみる。Take Control 関係のニュースとしては、ちょっと特別の内容の最新刊、Joe Kissell の "Take Control of Automating Your Mac" が出た。繰り返し使う作業に、誰でも使えるショートカットを見つける方法を解説している。また、TidBITS 会員向けのストリーム本 "Take Control of OS X Server" の新しい章で、Charles Edge が Contacts、Calendar、および Messages の各サービスについて語る。今週の FunBITS 記事では、Josh が Leo's Fortune をレビューしつつこれがタッチベースのプラットフォームゲームに新たな基準を設けるものとなる理由を説明する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Final Cut Pro X 10.1.2、Compressor 4.1.2、Motion 5.1.1、Default Folder X 4.6.6、それに OmniOutliner 4.1 だ。

記事:

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OS X 10.9.4 で Wi-Fi、スリープからの目覚めを修正

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は OS X 10.9.4 Mavericks をリリースした。この 283 MB アップデートは Software Update 経由で入手可であり、Apple の Support Downloads Web サイトからも間もなく入手可となるはずである。

アップデートの目玉には、Mac によっては Wi-Fi ネットワークに自動的に接続出来なくなるバグの修正 (他の解決策に関しては Alicia Katz Pollock の "Wi-Fi 接続問題の解決法" 7 February 2014 参照)、スリープからの目覚めの信頼性改善、そして幾つかのセキュリティ修正を盛り込んだ Safari 7.0.5 が挙げられる。

10.9.4 には、恒例の大量のセキュリティ改善が含まれ、その中には、認証信任規約に対するアップデート、サンドボックス化されたアプリが規制を回避され得ることに対する修正、そして iBooks ログでローカルユーザーが Apple ID 認証情報を見る事を可能にする問題の排除が含まれる。その他の修正で、Intel グラフィックスドライバに関する問題、予期せぬ再起動の原因となる問題、任意コード実行を許すバグ、そして Unix システムユーティリティに存在する幾つかの脆弱性が解消されている。

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iOS 7.1.2、iBeacon を改善

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は iOS 7.1.2 をリリースした。これは Settings > General > Software Update 経由でダウンロードするか、或いは iTunes 経由でインストール出来る。この 23.1 MB ダウンロード (1.4 GB、iTunes 経由のダウンロードの場合) では、iBeacon の "接続性と安定性" を改善、一部のサードパーティアクセサリ (バーコードスキャナの様な) に対するデータ転送を修正、そして Mail 添付のデータ保護に関わる問題を正している。

iOS 7.1.2 では、数多くのセキュリティ改善もなされており、そこには、認証信任規則に対するアップデート、機器が不意に再起動する原因となる問題の修正、Activation Lock バイパスに対する訂正、そして任意コード実行を許す幾つかの問題に対する解が含まれる。

Apple はまた第二世代、及び第三世代 Apple TV もアップデートし、バージョン 6.1.2 とした。これには固有のセキュリティアップデートが含まれ、許可が不十分な iTunes Store 購入、不意の再起動、メモリが攻撃者に晒される、そしてユビキタス任意コード実行を阻止している。

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"Take Control of Automating Your Mac" で自分のロボットを手にしよう

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

これ迄の 50 年間での鍵となる技術的進歩は何であろうか? CPU はより高速になり、そしてドライブは遙かに大量のデータを保持するが、私は、コピー&ペースト(コピペ)に重要な概念的跳躍として一票を投じたい。何故? それはもう既にやった仕事を、手早く、正確に、そして繰り返し有効活用させてくれるからである。しかし、そんな事は十分お分かりであろうし、皆さんはコピペの有用性をもう既に理解しているだけでなく、Edit メニューから Copy を選択する代わりに、キーボードショートカットの方が速いので、恐らく Command-C を押しているのではなかろうか。

そうであれば、おめでとう。あなたは、仕事を手早く、正確に、そして繰り返しし、かつ一貫した結果が得られる基本的な方法で、自分の Mac をもう既に自動化しているからである。Joe Kissell は、彼の最新の本 "Take Control of Automating Your Mac" で、皆さんが日常的に行っていることに対するショートカットを見つけ、そして自分にしか出来ない創造的な、或いは個人的な事に焦点を当てられるようにする手助けをすることをミッションとしている。この 204 頁の本は $15 だが、$60 以上の価値のある鍵となる自動化ユーティリティに対するクーポンも付いている。

自分の Mac を自動化するのに、プログラマーである - いや、オタクであることすら - 必要はない事を認識するのは大事である。誰もがコピペを使っており、そして Joe が "Take Control of Automating Your Mac" で説明する事の多くは誰にでも、初心者から熟練者まで、使える。そのための専用ソフトウェアも要らない。OS X には、キーボードショートカット、設定可能なジェスチャー、そして鍵となるアプリの自動立ち上げといった自動化機能が山程内蔵されている。一方で、賢い Macintosh 開発者達は OS X の機能を遙かに凌駕する才気溢れるユーティリティも作り出しており、Joe は Keyboard Maestro や Hazel といった優れものの使い方を説明し、そして Microsoft Office や Nisus Writer Pro の様なアプリに内蔵された自動化能力についても掘り下げる。これら全部を盛り込んだ Joe の予告編ビデオを見るのもお忘れなく!

一言で言えば、"Take Control of Automating Your Mac" は:

章は以下の話題に特化し、そのやり方を教える:

ずばり言って、我々は皆さんが自分の Mac をより生産的に使う手助けをしたい。我々は、誰かが退屈きわまりない手順を何度も何度も繰り返すのを見ると心が痛む。我々は、Keyboard Maestro マクロを使えばそれら全部を簡単に一つのキーストロークでやれる事を知っているからである。その手助けとして、我々は Joe がこの本で取り上げた 8 つの最も重要なアプリに対する割引券を用意した:Keyboard Maestro, LaunchBar, Hazel, Nisus Writer Pro, TextExpander, TextSoap, TypeIt4Me, そして Typinator に対する 20% から 30% の割引である - 本の後ろにあるクーポンを探して欲しい。

勿論、多くの TidBITS 読者は恐らく、もう既にある程度の Mac 自動化は使用しているであろう。もしやれるものは殆ど全て自動化していると確信しているのであれば、せめて知人に "Take Control of Automating Your Mac" のことを話して貰えないであろうか? 余りに多くの人が自動化を、難しすぎるとか或いはオタク過ぎるとかの理由で、遠ざけており、その結果もっと生産的な事に使える多くの時間を無駄にしている。人に魚をやれば、その人はもう一日生き延びられる。彼の Mac に魚を捕る事を教えれば、彼がどうやってそれを止めるかを探り出すまで、それは彼を魚で埋め尽くすであろう。(これは楽しい YouTube ビデオの題材となるであろう。)

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"Take Control of OS X Server" の Chapter 7、入手可に

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple が OS X 10.9 Mavericks で、連絡先とカレンダーの Mac と iOS 機器間でのローカル同期を取り除いた時、多くのユーザーは激怒した。何故ならば、彼らは同期を iCloud 経由でなどやりたくなかったからである。これの回避策の一つは、OS X Server の Contacts と Calendar サービスを使う事であった。これは、本格的な CardDAV 及び CalDAV サーバーである。Apple は、連絡先とカレンダーのローカル同期を半年後に戻したが ("Contact/Calendar ローカル同期、iTunes 11.2 で復活" 15 May 2014 参照)、これらの同期サービスを自前でやれるというのには、それなりの魅力がある。更にこれにはおまけとして、第三の協働サービス Messages も付いている。私が "それなりの魅力" と表現したのには訳があり、正直に言って、iCloud に哲学的な嫌悪を抱いていないのであれば、自分でやるよりそちら経由の方がずっと楽だからである。

Contacts, Calendar, そして Messages の三つを、今週 Charles Edge は "Take Control of OS X Server" のストリーミングで取り上げている。これらを Chapter 7, "Collaboration Services" として集め、Charles はこれらのサービスを有効にする主たる理由を説明、そのやり方も説明、そしてそのサーバーにアクセするために Apple の関連する Contacts, Calendar, そして Messages アプリの設定方法も段階を踏んで説明する。

彼はまた、これらのサービスを走らせることに対する警告にも触れている。例えば、Contacts サービスを使って連絡先の収納場所を作成しグループ内でそれを共有出来るのではとお思いなら (自分の機器間でというのに相対して)、失望する結果となる。これに対する唯一の実現可能な解は、グループ内全員が一つの特定アカウントを共有するというやり方であるが、Charles の経験では、彼のコンサルタント顧客に対してこれをやる度に、誰かが何かの事情で連絡先を改変したり、或いは削除したりしてしまうことがあり、その度に誰かが不愉快な思いをさせられたという。

Tonya と私は、この先数週間程家を離れるので、帰ってきて Charles の次の章の編集に手が回るようになるまで、ストリーム章の方はお休みする。それまでは...

Chapter 1, "Introducing OS X Server" と Chapter 2, "Choosing Server Hardware" は、この本の行く先を見て貰うために誰にでも見て欲しいと思うが、Chapter 3, "Preparation and Installation", Chapter 4, "Directory Services" Chapter 5, "DNS Service"そして Chapter 6, "File Sharing" はTidBITS 会員限定である - もし既に TidBITS 会員であるならば、参加した時のメールアドレスを使って TidBITS ログインして欲しい。"Take Control of OS X Server" 電子本の完成版は、完了時点に PDF, EPUB, そして Mobipocket (Kindle) フォーマットで一般向けに売り出される。

執筆進行に合わせて、この本の全容を TidBITS 会員に対して出版していくのは、我々が TidBITS 会員に対し彼らの支援に感謝の意を表す一つの方法に過ぎない。我々はまた TidBITS を長年無料で読んでこられた方々に対しても、これがきっかけで、毎週読み慣れた専門的に書かれそして編集された記事を引き続きお届け出来る手助けをする気になって頂けたらと願っている。会員プログラムが我々にとっては何を意味するかの更なる詳細については、"2014 年の TidBITS を TidBITS 会員プログラムを通して支援して" (9 December 2013)) を読んで欲しい。

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Google I/O 2014、焦点は統合に

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の Google I/O Developer Conference基調講演の中で、Google は過剰なほど多数の新製品や新サービスを発表した。以下に主なものを簡単に紹介するけれども、その多くは Apple が最近のリリースや発表でターゲット (target) としたものと同一の問題点を解決することを狙っているのではないかという印象を持たれたなら、その通り、あなたの感覚は的を得て (on target) いる。

Android L -- Google は次期バージョンの Android を発表した。コードネームは "L" で、出荷は今年の後半になる。 Material Design と呼ばれる新しいクロスプラットフォームのデザイン言語が付いていて、フラットなデザイン要素、鮮やかなカラー、三次元の深みなどを特徴とする。

Google の Material Design を、Apple が iOS 7 と OS X Yosemite で導入したソフトウェアデザイン言語と比較しない訳にはいかない。Material Design という名前でさえどこかで聞いたことがあるような気がする。今年の WWDC キーノートで、Apple の Software Engineering 担当副社長 Craig Federighi はさまざまのデザイン要素を "materials" と呼んでいる。(2014 年 6 月 2 日の記事“Apple、WWDC にて iOS 8 と OS X Yosemite をお披露目”参照。)

Android 関係のもう一つ別のニュースとして、Google は Android One と呼ばれる新しい構想に取り掛かろうとしている。これは、開発途上国の市場に安価な携帯電話をもたらすことを狙っている。最初のモデルは MicroMax 製で、価格は $100 だ。このプログラムはまずインドで始められ、その後他の市場にも乗り出すことになる。

Android Auto、Google Fit、そして Android Wear -- 去年の Worldwide Developer Conference で、Apple は CarPlay (当時は "iOS in the Car" と呼ばれていた - 2013 年 6 月 10 日の記事“Apple、全面的に再設計された iOS 7 を披露”参照)をお披露目した。そして今、Google はその競合製品となるべき Android Auto を出してきた。CarPlay と同様、Android Auto もあなたの電話機に接続し、自動車用に最適化されたアプリを自動車に内蔵されたコントロールで動かせるようにする。宣伝用ビデオをご覧あれ。

Apple の来たるべき iOS 8 用 HealthKit と同様、 Google Fit は統一されたアプリケーション・プログラミング・インターフェイス (API) を健康関係のすべての Android アプリに提供することを約束するプラットフォームだ。けれども Apple が自社の Health アプリを使うのとは違って、Google はすべてのデータを一ヵ所にまとめる単一のアプリを持っていない。同社は発足の際の提携会社として Adidas、LG、Nike、RunKeeper など数社を挙げている。

Google が Apple を出し抜いた一つの分野が、 Android Wear だ。これは同社のモバイルオペレーティングシステムの、スマートウォッチ用の特別なバージョンだ。Android Wear は完璧に音声操作に対応していて、応答は Google Now により提供される。また、サポートするハードウェアさえあれば、歩数カウントや脈拍数を追跡することもできる。Android Wear はバージョン 4.3 かそれ以降の Android フォンに接続する。 予約注文受付中のデバイスが二つあって、$199.99 の Samsung Gear Live と $229 の LG G Watch のいずれも 2014 年 7 月 7 日に出荷予定だ。

リビングルームにもう一突きを -- Apple と Amazon に挑戦せずにおくのは嫌だと言うかのように、Google は Android TV でリビングルーム争奪戦を続けようとしている。これはスマートテレビとセットトップボックスのためのプラットフォームだ。Amazon の Fire TV と同様、Android TV もアプリストア、音声検索、それからゲーミングを提供する。また、Chromecast の「キャスト」とも互換なので、コンテンツを Android TV デバイスに送信することもできる。

Android TV を導入したとはいえ、Google は安価な Chromecast ドングルを見捨てた訳ではない。(2013 年 7 月 30 日の記事“Apple ユーザーのために Google の Chromecast をテストする”参照。)ここにはカスタマイズ可能なホーム画面が加わり、同じ Wi-Fi ネットワーク上にないデバイスからキャストを受けられる機能と、Android デバイス用の AirPlay にあたる、ディスプレイを Chromecast を付けたテレビにミラーリングできる機能が備わる。

Android が Chrome OS にクロスオーバー -- Chrome OS は Chromebook ラップトップ機に通常見られるブラウザベースのデスクトップオペレーティングシステムだが、これもまた今回の発表に加わった。(2014 年 2 月 24 日の記事“Google の Chromebook は立派な補助的ラップトップ”参照。)Google は Chrome OS の内部から Android アプリを走らせるやり方を開発中で、これが実現すれば Chromebook の機能性が大幅に拡張されるだろう。けれども、このプロジェクトはまだ初期の段階にあるので、出荷にこぎつけるまでには相当の時間を要するかもしれない。

低予算の仮想現実 -- おそらく今回 Google が発表したものの中で最も奇妙だったのは、 Cardboard と呼ばれる新しいプロジェクトだろう。Android フォンを、仮想現実のためのヘッドセットに変えるというものだ。プロジェクトの名前はまさに的確で、ヘッドマウント用のケーシングは厚紙 (cardboard) と、レンズ、マグネット、NFC タグ、ゴムバンド、ベルクロなどを組み合わせて作る。カンファレンスの出席者には Cardboard が無料で配られたが、野心のあるメーカーが Google の説明書に従って独自のものを製作することも可能だ。TechCrunch が、Cardboard を組み立てて使ってみる様子を示した体験記事を出している。

Gmail API と Drive for Work -- クラウド方面については、Gmail が開発者用の API を提供して、サードパーティのアプリケーションがあなたの電子メールにアクセスして処理し、代替用のユーザーインターフェイスを提供したり、そのサービス固有の機能を提供したりできるようにする。Wall Street Journal の報道とは異なり、この新しい API は IMAP 標準を置き換えるものでは ない。Google の資料に、「この Gmail API は、本格的な電子メールクライアントアクセスのために IMAP を置き換えて使うべきものではない」と書かれている。

Google は企業向けの提供を拡張するため Drive for Work を発表した。これは容量無制限の Google Drive ストレージをユーザーあたり月額 $10 で提供し、最大 5 TB までのファイルを受け入れるというものだ。価格としては個人用 Dropbox Pro アカウントでストレージ容量を 100 GB とした場合とほぼ同等だが、同じく容量無制限の Dropbox for Business および Box Business のユーザーあたり月額 $15 という価格に比べればかなり安い。

「Apple のみ」にあらず -- 今年の Google I/O キーノートの中で Google が何かに反論した点が一つあるとすれば、それは製品とサービスを横断して完全な統合を提供できるのは「Apple のみ」とした Tim Cook の主張(2014 年 6 月 16 日の記事“John Gruber の語る「新しい Apple」”参照)に対するものだろう。Google の発表は、異種のものが混在する同社の製品ラインを融合させる方向へと大きく踏み出した。一つには、これは Android と Chrome を Sundar Pichai の統率力の下に置くという Google の決断のお陰だろう。それは、Apple が iOS と OS X を Craig Federighi の下で結び付けたことを思い起こさせる。そのお陰で Apple のこの二つのオペレーティングシステムの間の統合が進んだのだった。

残る問題は、両社がこの約束をどのようにうまく実行するかだ。Apple はこの点ではっきりと優位に立っている。独自仕様のハードウェアとソフトウェアに緊密なコントロールの力が及ぼせる上に、グループの共同作業よりも個人に対してレーザーのように鋭い焦点を合わせているからだ。その上、Handoff のような機能の方が、例えば Chromebook 上の Android アプリなどに比べて、はるかに達成が早い。キーノートで発表はしたものの、Google には数限りないハードウェアメーカーと協力して働かなければならない制約と、公開の API とオープンソースのコードの提供を強調する方針とがあるため、緊密な統合を構築する際にはより多くの困難が控えているかもしれない。

そうであったとしても、この競争をゼロ・サム・ゲーム(どちらか片方が勝つ戦い)と見なしたい罠に陥らないことが大切だ。Google と Apple は、いずれも超巨大企業であって、統合に向けたそうした努力が完全に実を結ぼうと結ぶまいと、今後も気が遠くなるような巨額の収益を挙げ続けるだろう。ここでの本当の勝者は、双方の会社の努力の恩恵を受ける、ユーザーたちなのだ。

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Pebble スマートウォッチがあなたの手首に通知を出す

  文: Steve McCabe: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は Apple のスマートウォッチを手にするのを待ち切れない。でも、Apple はまだそんなものを発表してすらいない。もちろん、どこかで Apple ウォッチは開発中で、他にも Apple テレビ、Apple カー、透明の Apple 飛行機なども開発されているに違いないとは思うのだが。そこで、私は「手中の一羽」の格言に従って、まずは Pebble Steelスマートウォッチを買うことにした。 その始まりとなった Pebble の 2012 年の Kickstarter キャンペーンは史上最も成功したものであって、当初の目標額 $100,000 をたった二時間で突破し、総額は 1 千万ドル以上に達した。私が初めて現物を見たのはシドニーにある Apple ストアの店頭で案内人が手首にはめていたのを見た時だった。一目見て、私はその機能性と、抜きん出たギーク風味に強い印象を受けた。

今年になって出たアップデート版、Pebble Steelを見て、Pebble とはただスタイリッシュであるだけでなく実際に便利に使えるものだと納得できたので、私は 2014 年 2 月に注文した。(基本モデルの Pebble はカラフルで少々プラスチック風に見える。必ずしも見栄えが悪い訳ではないが、私の好みではない。)需要に追い付くために同社が苦闘しているのは明白のようだ。私が注文した Pebble Steel が到着したのは 4 月の末だった。

大体において、私は満足している。まず驚いたのは造りがしっかりしていることだった。この Pebble Steel は、ちゃんとした大人の腕時計の感じがする。出荷時に二つのバンドが付いている。革製のものが一つと、ステンレス製のものが一つだ。基本モデルの Pebble は市販のどんな 標準的 22mm 腕時計バンドでも付けられるのに、この Steel は独自仕様のネジ留めストラップコネクタを使っているので(理由の想像がつかない!)付属の二つのバンド以外は使えない。私の Pebble Steel は出荷時に革製のバンドの方が取り付けられていたが、腕にはめてみるとあまりにも軽くて手応えがなく、何だか薄っぺらな感じさえしたので、私はすぐにステンレス製のバンドに取り替えた。この方が腕時計らしい重量感があり、私の好みに合う。

筐体は、名前の通り、スチール製だ。四つの大きなボタンが付いている。右側に三つ、左側に一つだ。ボタンの取り付けは、どれも安っぽく作られた感じだ。いつも Apple 製デバイスを使っている者には、慣れ親しんだ高品質の造りとは違うという違和感がある。もちろん Pebble Steel のボタンも縁の仕上げが実際に悪い訳ではないけれども、ほんの少しだけ尖り過ぎていて、少々手厳しく「ううむ、Apple ならもうちょっとうまく作ってくれるのになあ」と思わざるを得ない。サイズ的には、Pebble Steel は私の Citizen 製ダイバー用腕時計よりほんの少し薄く、私の Seiko 製ドレスウォッチと同じくらいの横幅だ。

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でも、確かに見栄えは満足できるけれど、本当に重要なのはこれが私のために何をしてくれるかだ。使ってみて分かったのは、この Pebble Steel が効果的に使えるスマートウォッチだということだ。無料の Pebble アプリを iPhone にダウンロードしておけば、スマートウォッチと iPhone が Bluetooth 経由でペアリングされる。手続きは簡単で、iPhone はすぐにスマートウォッチを認識した。それを済ませておけば、Pebble は iPhone にテザーされた状態となり、iPhone のスクリーンに現われる通知がすべて Pebble の上にも現われるようになる。それはつまり、もしも(例えばアプリが開いている状態で電子メールメッセージが到着した場合のように)通知が iPhone のスクリーンに現われ なければ、Pebble の上にも何も現われないということだ。

これは、私にとって素晴らしく便利な機能だ。私は教師なので、生徒たちに授業中は携帯電話をしまっておくように言っている立場上、自分が iPhone を取り出してメッセージを読むのはちょっと具合が悪い。(それでも私はそうしているのだが、その度にほんの少し偽善者のような気がしてならない。)けれども今は、ポケットの中で iPhone がブーンと唸れば、Pebble も私の手首の上でブーンとするので、さりげなくパッと手首を見るだけでどこからの通知かが(Messages か、Facebook か、Twitter かが)分かるし、誰からの通知かも分かる。それに、もしも十分な余地があれば、メッセージのテキストも読める。

iPhone をわざわざポケットから取り出さなくても iPhone に何が起こっているかに気を配っていられるというのはとても便利だし、いずれこの種のスマートウォッチが普及しさえすれば、今の若い世代によく見られ、私たち旧世代には少々気に障る、会話の最中でもひっきりなしに携帯電話を取り出して見つめるというあの習慣にも、多少なりとも対処となるのではなかろうか。

公平に言えば、Pebble スマートウォッチにできるのは、ほとんどそれだけだ。左上のボタンを押せば、通知が消えてスクリーンが時計に戻る。Facebook メッセージに返信することはできないし、iPhone のロック画面からテキストメッセージを消すこともできない。それでも、少なくともスマートウォッチがブルブル震えれば、緊急のメッセージが届いたことが人に知られずに分かる。残念ながら、異なるアプリごとに別々のバイブレーションのパターンを割り当てることはできない。私は未だに、iPhone のバイブレーションをカスタマイズして、その通知がテキストメッセージなのか、電話なのか、それとも電子メールなのかが区別できるようにして使っている。Android フォンと、ちょっとしたサードパーティのソフトウェアを使えば、もっと双方向のやり取りも可能になることは承知しているけれども、そこまで突っ込んで調べたくないものも私にはある... たとえ TidBITS のためだとしても。

それ以外の間はずっと、この Pebble Steel は腕時計だ。グレイの "e-paper" スクリーンはシャープで、直射日光の下でさえクリアに見える。(ただし偏光サングラスをかけていると具合が悪いこともある。)暗い場所では、ポンと手首を叩けばスマートウォッチ内蔵の加速度計がそれを探知して、数秒間だけスクリーンを明るくする。解像度は十分高く、Pebble アプリを通じてダウンロードできるいろいろな時計の画面はどれも読みやすい。

現在私はエレガントなクラシック風アナログ時計の画面を使っている。秒針もあり、曜日、日付、月、年の表示もできる。少々気分が高ぶっている時には、時刻を漢字で表記する日本語表示画面に切り替えている。数え切れないほど多種多様な画面が用意されていて、高級な感じのものから最小主義のものまで、わざとらしいもの(Apple ロゴの下に時刻のデジタル表示)から可愛らしいもの(私は時計画面にミッキーマウスが描かれているものもよく使っている)まで、ギーク風のもの(Star Trek テーマの LCARS 画面)から極めて難解なもの(時刻の Circular Gallifreyan 表示)までさまざまだ。

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Pebble Steel に新しい時計画面を入手するのも簡単だ。Pebble アプリは数え切れないほど多くの時計画面のスクリーンショットを表示できる。その一つをタップすれば、デザイナーによる説明が表示され、それをスマートウォッチに追加するオプションも出る。ただしスマートウォッチには同時に最大 8 個までの時計画面しか入れられない。スロットが全部埋まれば、それ以上の時計画面は iPhone 上に Pebble がスマートウォッチ用の "locker" と呼ぶ場所に保存しておく。新しい時計画面を追加したければ、インストール済みの 8 個のうちのどれかを削除してスロットを空けなければならない。スマートウォッチの時計画面が一杯になれば、右側の上下ボタンを使ってそれらを切り替えることができる。

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Pebble アプリはまた、時計アプリを見つけるコンジットとしても働く。ただ、私の知る限りそのようなアプリで非常に便利と思えるものは今のところあまりない。心臓をモニターすると称しているアプリもいくつかあるが、このスマートウォッチの加速度計は脈拍を探知できるほど高感度ではない。その種のアプリは、単に自分で脈拍を数える際に補助として使う一分間タイマーとして役に立つに過ぎない。睡眠を追跡するアプリもあるが、そういうアプリはこのウォッチ上に大して多くの情報を保存しないので、データ追跡アプリに睡眠時間の記録を手で入力する羽目になる。GPS アプリもあるが、そういうものは大体において交差点ごとに道案内を出すのみ、腕時計の上にそんな情報が出ても解決が余計な問題を生むだけだ。ゲームもいくつかあるが、Tetris クローンなどはあまりにも極小表示になって、当然ながらプレイするのは困難を極める。それから、もしもあなたの視力がずば抜けて良ければ、xkcd アプリまであるのでコミック本が読める。TidBITS スタッフの Agen Schmitz ほどのフットボールファンは(2014 年 6 月 13 日の記事“FunBITS: 2014 World Cup をオンラインで観る”参照)最新の World Cup 2014 アプリを入手すればリアルタイムでゲームスコアが読めるという。

もっと多くの情報が Pebble から iPhone へ戻せるようになりさえすれば、両者の間でもっとうまく相互にやり取りできるアプリも生まれるだろうし、もっと素晴らしい応用法を思い付く開発者たちも登場してくることだろう。けれども今のところ、私がスマートウォッチに入れているアプリはたった一つ、飛行機を操縦する際に使う航空用気象情報表示アプリのみだ。

このスマートフォン上のアプリの有用性を削ぐもう一つの制限が、バックグラウンド処理ができないことだ。Pebble 社は最近になって、 Misfit 社と提携してフィットネス追跡アプリを開発する計画を発表したが、現状ではそのアプリが前面にある間のみしかあなたの歩数は計測されない。言い替えれば、手首の上には時計があるか、それとも歩数計があるか、どちらか片方しかできず、同時に両方を使うことはできない。Pebble 社はこの新しい機能を「Pebble 上の活動追跡と Misfit とのシームレスな融合に向けた第一歩に過ぎない」と述べているので、私としては Pebble ウォッチのオペレーティングシステムへの将来のアップデートでバックグラウンド処理が(他のアプリにも)組み込まれるようになることを期待したい。

あともう一つだけ、このウォッチの他の機能として、iPhone 上のオーディオ再生を(部分的に)コントロールできる機能がある。現在の楽曲の再生を開始したり、停止したり、スキップしたり、繰り返したりはできるが、プレイリストを切り替えたり、さらには音量を変えたりすらできない。アイデアは素敵で、iPhone をスピーカーシステムにドッキングさせて音楽を聴く人には便利だろうが、諸手を挙げて大歓迎するほどのものでもない。

皮肉なことに、アプリ風の機能で私が最も便利だと思ったのは、Google Maps によって提供される通知だ。オークランド市内を歩き回りながら、iPhone 上の Google Maps アプリに向かって、例えば Viaduct Harbour への道順を尋ねれば、曲がり角ごとに Pebble が素早くブザーを鳴らしてくれるので、手首をパッと見ただけで角をどちらに曲がればよいのか分かる。いちいち iPhone をポケットから引っぱり出してどちらに行くか確かめる(いかにも旅行者風に見えてしまう!)必要もない。

この Pebble の充電は、ウォッチの左側面に磁石で取り付けるカスタム USB ケーブルを使ってする。接続中は左下隅の小さな LED が赤く光って充電中であることを示し、充電が終われば緑色に変わる。現時点では、それ以外にこの LED は使われていないが、Pebble は将来のバージョンのPebble SDK でこれを開発者たちに開放して自由に使わせる予定だという話だ。フルに充電するにはおよそ 5 時間ほどかかる。私は、20 パーセントと 10 パーセントの警告が出た後に一晩かけて充電するようにしている。他のユーザーたちの話を聞くと一回の充電で 5 日から 7 日使えるとのことだが、私の場合は 3 日から 4 日というのが現実的な実態だと思う。どうやら、時計画面のプロセッサ要求が高ければ高いほどバッテリの消耗度も激しくなるらしい。秒針が動くアニメーションを使ったりすると最もバッテリを消耗するようだ。

では、この Pebble は買う価値があるだろうか? 私の場合、Pebble Steel を手首に付け始めてから一月ほど経ったが、もしもこれを取り上げられたらもの凄く不自由に思うだろうという気がする。人に気付かれずサッと手首を見て新情報を得ることに私はすっかり慣れてしまったので、なくなればとても悲しいだろう。基本モデルの Pebble (機能は全く同じだ) ならば価格は $150 で、Steel モデルの価格は $249 だ。

Apple がもうじき iWatch をリリースするだろうという噂は盛んに飛び交っている。だから、疑いもなく驚くべきデバイスとなるはずのそれ(今のところ現実にはなっていないが)を待って他には手を出さないという気になるのももっともなことだ。けれども、盛んに飛び交う噂をそのまま信じるとすれば、もうとっくに Apple テレビが各家庭のリビングルームに普及しているはずだろう。幸いにも私は二つほどフリーランスの仕事に恵まれて自由に使える現金を少々手にしたので、自分へのご褒美として Pebble Steel ウォッチを買う余裕ができた。これは決して必須の道具などではないが、とても素晴らしいギーク向けのおもちゃではある。

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FunBITS: Leo's Fortune がプラットフォームをタッチで完璧に

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

プラットフォーム型ゲームは、1981 年 7 月に初代の Donkey Kong がアーケードヒットとなって以来、ビデオゲームの主要ジャンルであった。今日の標準からすれば Donkey Kong は原始的なものに見えるけれども、レベルを走り抜けて障害物をジャンプして超えるという基本は、その後このジャンルが進化しても変わらず残っている。(Donkey Kong のヒーローはその後 Mario と名付けられ、さらにはこのジャンルを定義付けるゲームタイトル、すなわち Super Mario Bros.、Super Mario World、Super Mario 64 に名を残している。)

タッチスクリーン上でのゲーミングが出現すると、開発者たちには難問が突き付けられた。良いプラットフォーム型ゲームでは、ボタン、D-pad (十字キー)、ジョイスティックなど正確なメカニカル制御が重要だ。タッチスクリーン上でその問題を回避するのは大きな課題となった。

初期に試みられた当然の回避策の一つは、スクリーン上に仮想の十字キーやアクションボタンを上書きすることだった。けれどもその方法はいくつかの理由から具合が悪かった。ゲームの視野の妨げとなる上に、手触りのフィードバックが一切無く、また正確度もはなはだ低いからだ。

もっと良いアイデアが、「エンドレス・ランナー」という形で生まれた。つまり、ゲームの中でキャラクターの動きをあなたがコントロールするのではなく、あなたはただタップしてジャンプのタイミングを指示したり、時には武器の使用を指示したりするだけ、というものだ。このサブジャンルに属する初期の実例としてはモノクロの Canabalt があって、そのお陰でこのプレイスタイルが世に広まった。けれどもエンドレス・ランナーは元々底が浅く、せいぜいアーケードのゲームセンターで使える程度の簡単なものであった。

こうしたタッチスクリーンの制約を打ち破ったのが、Badland だ。それまでの標準であった「走ったりジャンプしたりする男」の代わりに、毛むくじゃらで足のない塊がゆらゆらと浮かび、個々のレベルのパズルや落とし穴を通り抜ける。このユニークなやり方は高く評価され、Apple Design Award を受賞するとともに、FunBITS 記事によるお墨付きまで得た。(2013 年 6 月 21 日の記事“FunBITS: iOS 用 Badland”参照。)

さて、ここにもう一つの Apple Design Award 受賞作品(2014 年 6 月 6 日の記事“FunBITS: WWDC 2014 の新テクノロジーと Apple Design Awards”参照)があって、Badland のやり方を引き継ぎつつ、それをさらに拡張してみせた。Badland では定番のプラットフォーム型ゲーム Super Mario Bros. と同様にキャラクターが一つの方向に常時進み続けるだけだったけれども、開発者 1337 & Senri の作品 Leo's Fortune (App Store で $4.99) は、iPhone や iPad などタッチスクリーンのデバイス上で多方向に進むプラットフォームをどのように作るかの方法をしっかりと確立したように見える。

スクリーンに手を触れる前に、あなたもきっとこのゲームのグラフィックスの素晴らしさに圧倒されることだろう。Leo's Fortune には豊かな、フルにレンダリングされた環境が描かれ、心地良い照明効果と、豊かできめ細かい質感がある。主人公 Leopold は海緑色の、口ひげを蓄えた毛玉で、全財産を盗んだ盗人を捜している。財産を取り戻すには、あなたが Leo を導いて、罠の満ち満ちた 24 個のレベルを通り抜けさせなければならない。

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足のない生き物なので、Leo は地面の上を素早く移動する。スクリーン左側で左手の親指を左右に動かせば Leo がその方向に動き、しかもあなたの親指のところに速度を表示するゲージが出るので便利だ。Badland の毛むくじゃらの生き物と同様、Leo もジャンプはせず、ただフワフワと浮き上がる。そのためにはスクリーン右側で右手の親指を上へスワイプする。Leo が空中にいる間に右手の親指を下へスワイプすれば、Leo が地面にドシンと落ちる。この動作は、ゲームの中のパズルの多くで必要となる。また、本当に必要と思う人のために、スクリーン上のコントロールを使うオプションも用意されている。

このゲームでコントロールを容易にしている巧妙なデザイン要素にお気付きでない方もおられるだろう。多くのプラットフォーム型ゲームではプレイヤーのキャラクターがスクリーンの下部に近いところを接地して歩くが、Leo は、ほとんど常時スクリーンのほぼ中央にいる。地面の方が持ち上げられているので、指を動かす余地がたっぷりある。これはとても賢いやり方で、他の開発者たちも見習うべきだと思う。

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Leo's Fortune では敵と戦ったりはしない。その代わりに、落とし穴の上を浮かんで飛んだり、罠を避けたり、パズルを解いたりしなければならない。モバイルゲームのものにしては、驚くほど難解なパズルもある。例えば、初めの方のあるレベルでは、メカニズムを操作してボールを台の上へ転がすと、その台がボールを次々とバスケットに向けて飛ばし、その重みで最後にはドアが開くようになっている。

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Leo's Fortune に深みを与えているのは難解なパズルだけではない。3D Mario ゲームと同様、Leo's Fortune もただ単に終わりに到達したいだけならば簡単に通り抜けることができる。本当に挑戦しがいがあるのは、一つ一つのレベルで与えられた難問に合格することだ。コインをすべて集めたり、一度も死なずに通過したり、足早にそのレベルを通り抜けたり、といったことだ。難問に合格すれば星が与えられ、それを使ってボーナスレベルのロックを外せる。

もしもあなたがプラットフォーム型ゲームのファンなら、Leo's Fortune こそ App Store に出ている中のベストだ。個々のレベルは十分短いので、ほんの少しだけ時間をつぶしたいようなときにも達成できるし、難問に取り組めば繰り返し楽しめる上に、深みも加わる。

プラットフォーム型ゲームは 30 年間にわたって進化を続け、一つの画面だけで遊ぶごく単純な 2D のものから、グラフィカルに豊かな世界を横断して歩く本格的な 3D アドベンチャーへと変貌を遂げた。iPhone や iPad などタッチスクリーンのデバイスの時代に入って、ゲームデザイナーたちは一からやり直すことを余儀なくされ、このジャンルのありとあらゆるしきたりを考え直すこととなった。そして Leo's Fortune は、タッチスクリーンを使ったプラットフォーム型ゲームに新たな基準を設けるものとなり、先行した Badland と同じく、この新しいサブジャンルのしきたりとなるべきものの青写真を描く役割を果たしている。私としては、他のゲーム開発者たちが Leo の転がる足跡を辿るようになるのか、それとも全く違ったやり方を思い付くことで比較的小さなタッチスクリーンの制約に対処するようになるのか、楽しみに見守って行きたいと思っている。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2014 年 6 月 30 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Final Cut Pro X 10.1.2、Compressor 4.1.2、Motion 5.1.1 -- Apple が同社のプロフェッショナル向けビデオ編集アプリのシリーズをアップデートして、Final Cut Pro X 10.1.2Compressor 4.1.2Motion 5.1.1 をリリースした。Final Cut Pro X は最適化されたメディア、プロキシメディア、およびレンダリング済みのメディアをライブラリ外の任意の場所に保存できるようになり、メディアをこのビデオエディタの中から削除できるようになった。今回のアップデートではまた、ARRI、Blackmagic Design、Canon、および Sony カメラのハイダイナミックレンジで広色域なビデオへ Rec. 709 高精細標準をリアルタイムに適用できるようになった。その他の変更点としては、クリップを同期するときの速度と精度の向上、カウントダウンや、複数のオーディオ録音テイクからの自動 Audition 作成機能の追加、4K ビデオを Vimeo に共有できる機能、などがある。

Final Cut Pro、Compressor、Motion のいずれも、新しい Apple ProRes 4444 XQ コーデックのサポートを追加して、編集中に Rec. 709 標準よりも効率的にダイナミックレンジを保持できるようになった。(ProRes 4444 XQ について詳しくはこのホワイトペーパーを参照。)Motion 5.1.1 は文字、単語、行をアニメートする際の Sequence Text 挙動を向上させるとともに、Contrast フィルタのパラメータを改善して微調整を可能にした。Compressor 4.1.2 は Final Cut Pro X や Motion からビデオを送信する際の状況表示と応答性を改善するとともに、GoPro カメラの H.264 ソースファイルをエンコーディングする際のパフォーマンスとカラー精度を向上させた。(Final Cut Pro は新規購入 $299.99、2.28 GB、 リリースノート、10.9.2+; Compressor は新規購入 $49.99、304 MB、リリースノート、10.9.2+; Motion は新規購入 $49.99、1.68 GB、リリースノート、10.9.2+。三つのいずれも Mac App Store から入手可能、以前に購入した場合は無料アップデート)

Final Cut Pro X 10.1.2、Compressor 4.1.2、Motion 5.1.1 へのコメントリンク:

Default Folder X 4.6.6 -- St. Clair Software が Default Folder X 4.6.6 をリリースし、Command-D ショートカットを複製 (Duplicate) コマンドでなく Desktop へジャンプするコマンドに割り当て直した。この Open および Save ダイアログ拡張ユーティリティではまた、Rebound 機能(最近使ったフォルダに素早く戻れる機能)がカラム表示でも使えるようになり、一部のアプリ (Monosnap など) でファイルが間違ったファイル名で保存されてしまったバグを修正し、オーディオプレビューをデフォルトでオフに設定することによって一部の Mac で OS X がハイパフォーマンスのグラフィックプロセッサに切り替わることがないようにした。(新規購入 $34.95、 TidBITS 会員には $10 値引、無料アップデート、10.7 MB、リリースノート、10.6+)

Default Folder X 4.6.6 へのコメントリンク:

OmniOutliner 4.1 -- The Omni Group が OmniOutliner 4.1 をリリースして、Standard 版と Pro 版双方にいくつかの改善や新機能を加えるとともに、Pro 版の Microsoft Word 書き出し機能を改善した。(私たちのレビュー記事“OmniOutliner 4、より洗練されたアウトライン操作”(2014 年 1 月 31 日) を参照。)このアウトライン作成および情報整理アプリは、行詰めのコントロールを追加し、ツールバーのアイコンをカラーにできる(Preferences でモノクロに戻すこともできる)ようになり、リンクされた添付ファイルへの対応を改善し、兄弟のスタイルを使って行を追加する機能が正しく動作するようにし、折り畳んだセクションに移動させた行が選択された状態のままになっていた問題点を修正している。OmniOutliner Pro では Microsoft Word への書き出しに(従来からあるアウトライン書き出しに加えて)個々の行にインデントを付けることでアウトライン構造を保持する、第二の書き出し方法を追加し、Word に書き出す際の行番号への対応を改善し、行へのリンクを作成できる機能を追加してナビゲーションを改善するとともに他のセクションを参照することもできるようにした。(新規購入 $49.99、無料アップデート、46.4 MB、 リリースノート、10.9+)

OmniOutliner 4.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2014 年 6 月 30 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Apple が iPhoto と Aperture にサヨナラを告げようとしているというショッキングな、けれど驚くほどでもないニュースをお届けする。同社はまた、iPod touch シリーズの価格を下げるとともに 16 GB モデルをアップデートし、Apple TV を ABC News や PBS Kids などいくつか新しいアプリを追加して強化した。Rich Mogull は Apple があなたのプライバシーを大切にする理由を説明し、また最高裁判所もどうやら同じ気持ちらしく携帯電話の捜索に令状が必要であるとの判断を下した。(一方、テレビ放送ストリーミングサービスの Aereo には敗訴の判断を下した。)

iPhoto と Aperture にサヨナラを -- 新しい Mac 用 Photos アプリを発表(来年に出荷予定)した Apple が、The Loop の Jim Dalrymple の質問に答えて同社が iPhoto と Aperture の開発を中止することを明かした。Apple は The Loop に対し次のように述べた:「新しい Photos アプリと iCloud Photo Library が導入されることにより、写真はすべて iCloud の中に安全に保存できどこからでもアクセスできるようになるので、Aperture に新たな開発を続ける必要がなくなった。来年 OS X 用の Photos が出荷されれば、ユーザーは既存の Aperture ライブラリを OS X 用 Photos へ移行できるようになる。」他のプロフェッショナル用アプリ、例えば Logic Pro や Final Cut Pro などについては開発が続けられることを同社は強調した。

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Apple、16 GB iPod touch を更新し、価格を下げる -- 2013 年 5 月に静かに 16 GB iPod touch を $229 で登場させていた Apple は、このローエンドモデルにも後面 iSight カメラと本体カラーのフル選択肢を付けると同時に、価格を $199 に下げた。新しい 16 GB モデルと既存の 32 GB および 64 GB モデルとの他の違いは、別売のストラップ (iPod touch loop) が付かないことだけになった。大容量モデルの方が値下げ幅が大きくなっており、それぞれ ($299 から) $249 と ($399 から) $299 に下がった。

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Apple があなたのプライバシーを大切にする本当の理由 -- Macworld 記事で、私たちスタッフの一員 Rich Mogull が Apple によるプライバシー保護について概説するとともに、なぜそのように実施されているのかについても分析している。要約すれば、Apple はユーザーのプライバシーに関しては Google や Facebook を凌いでいるが、それは Apple が広告からでなくハードウェアから収入を得ているからだ。つまり、プライバシー保護こそが Apple のハードウェアビジネスの中で重要なセールスポイントとなるからだ。

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最高裁判所、Aereo 敗訴の判決を下す -- 6 対 3 の裁定により、連邦最高裁判所はテレビ放送局各社が Aereo を訴えていた裁判で放送局側勝訴の判決を下した。Aereo のサービスはテレビ放送をストリーミングし、個々のアンテナを月額 $8 でレンタルすることにより料金を徴収していた。法廷は Aereo のサービスがテレビ放送コンテンツの録画を再生している点が著作権法違反にあたるとした。Aereo が立ち直ることもあり得るだろうが、判決の前に CEO の Chet Kanojia は「もしも完全敗訴の判決が出たら、私たちは終わりだ」と語っていた。判決後の公式声明で、Kanojia は「私たちは結果に落胆してはいるけれども、私たちの仕事はまだ終わりではない。私たちは引き続き顧客たちのために戦い、この世界に肯定的かつ意味あるインパクトを生む革新的なテクノロジーを作り出すための戦いを続けるつもりだ」と述べた。

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最高裁判所、携帯電話捜索に令状が必要と裁定 -- 珍しく満場一致の裁定により、連邦最高裁判所は警察が逮捕者の携帯電話を捜索するためには令状が必要であるという判断を下した。裁判長 John Roberts は判決文の中で「現代の携帯電話は単なる便利なテクノロジーというだけのものではない。それはあらゆるものを含み、あらゆるものを暴露する可能性があって、多くのアメリカ人にとって“生活のプライバシー”を蓄えていると言える」と述べた。

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Apple TV が ABC News、PBS Kids、新デザインの Flickr その他を追加 -- Apple TV が四つの新しいチャンネルを加えた: ABC News、PBS Kids、AOL On、それに Willow TV だ。ケーブルまたは衛星放送の契約購読が必要な Watch ABC アプリと違って、ABC News アプリは誰でも無料で使える。PBS Kids も無料だが、オンラインでのアクティベーションが必要だ。AOL On も無料だが、クリケットをライブ放送している Willow TV アプリは月額 $15 の購読が必要だ。それからもう一つ、Flickr アプリのデザインが変わり、アカウントのログインが可能になるとともに写真が以前よりもはるかに楽に見つかるようになった。

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