TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1256/26-Jan-2015

今週はアクセシビリティ関係の記事が二つある。Steven Aquino はアクセシビリティの観点から iPhone 6 Plus をレビューし、Mariva H. Aviram は視覚障害のある人のためのシリーズ記事の続きとして、今回は視力に問題のある人にとって使い勝手の妨げとなるデザイン上の誤りについて考察する。Microsoft は先週多くの興味深い発表をしたが、中でも新バージョンの Windows、84-インチ 4K ディスプレイと、ホログラム機能付きゴーグルが注目すべきだ。これら Redmond 発のニュースを Julio Ojeda-Zapata が分析する。Macworld Expo はなくなったかもしれないが、Adam Engst はその空白を埋めるべく、Apple 関係の他のカンファレンスを世界中から 22 個紹介する。最後にもう一つ、最新の FunBITS 記事として、Chris Armstrong がリラックス用のアプリ Sunny をレビューする。今週注目すべきソフトウェアリリースは ClamXav 2.7.2 と Logic Pro X 10.1 だ。

記事:

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アクセシビリティ対決: iPhone 6 対 iPhone 6 Plus

  文: Steven Aquino: [email protected], @steven_aquino
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

振り返って考えればほとんど滑稽とさえ言えるが、Steve Jobs が 2007 年に初代の iPhone をデビューさせた際、彼はその iPhone の 3.5 インチのスクリーンを "giant" (巨大な) と形容した。そして実際それは巨大だった。あのキーノートの当時に私が持っていたフリップを開くタイプの携帯電話は、切手ほどの大きさのディスプレイしか付いておらず、私には使うのが難しかった。私は一応ものを見ることはできるけれど、法定盲人に属するからだ。(この種の視力障害について詳しくは Mariva H. Aviram のシリーズ記事“視覚障害のある人のためのコンピューティング”を参照。)私が初めて iPhone を直接手に持って見た時、その大きな、高解像度のスクリーンは驚嘆以外の何物でもなかった。他の大勢の人たちと同様、私もその後 iPhone を持つようになった。

(日本語) 視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 1 | 視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 2 | 視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 3

この初代の iPhone 以来、私は iPhone のフォームファクターが大好きになった。当初は 3.5 インチスクリーン、その後 iPhone 5s の 4 インチディスプレイを私は使った。これらのスクリーンは(当時としては)大きくて高解像度だったばかりでなく、これらの iPhone は手にも持ちやすいしポケットの中に入れて持ち運ぶのも楽だった。それは私にとってとても重要なことだ。視力障害以外に私には脳性麻痺の後遺症もあり、 指に力が入らなかったり、動かしにくかったりするからだ。類似した問題を起こす可能性のあるものとしては、関節炎、手根管症候群、多発性硬化症、骨折の後遺症などが考えられる。

Apple が二種類のもっと大きな iPhone を開発中だという噂が出始めると、私は心配になり、使い勝手と持ち運びやすさの最適のバランスが崩れるのではないかと恐れて当面買い控えておこうと心に決めた。でも、登場した 4.7 インチの iPhone 6 を手に持って試してみた結果、私は考えを変えて一台購入した。サイズは大きくなったけれども、以前の iPhone で気に入っていた見やすさと人間工学のバランスは保たれていたからだ。

この iPhone 6 には満足できたものの、さらにもっと大きな兄弟機、5.5 インチの iPhone 6 Plus にも引き続き興味をそそられた。"phablet" (より大型のスマートフォンを意味する、"phone" と "tablet" の合成語) たる iPhone 6 Plus がアクセシビリティに対してどのような影響を及ぼすのかを、どうしても知りたくなったからだ。その疑問に答を出す助けとして、Apple はレビュー用ユニットの iPhone 6 Plus を私に貸し出してくれた。そこでこの二ヵ月間、私はそれを自分の iPhone 6 と比較しながら使ってみた。

iPhone 6 Plus のアクセシビリティを評価する際に、考慮すべき主要な要因が二つある。ディスプレイの大きさと、本体自体の大きさだ。それはどんな人にも言えることだが、身体的障害を持つ私たちには双方とも重要性が大きくなる。

iPhone 6 Plus のハードウェア -- ハードウェアについて言えば、iPhone 6 Plus には良い面も悪い面もある。

まず第一に良い面だが、私のように視覚障害のある者にとっての明白な利点は iPhone 6 Plus のスクリーンが非常に大きいことだ。ディスプレイを比較してみると、iPhone 6 と 6 Plus の間にどれほど大きな(そして素晴らしい)違いがあるかに気付かされてとても驚いた。スクリーンのサイズだけで考えれば、私は直ちに iPhone 6 Plus の方が好ましいと思った。もしもあなたが何らかの視覚障害を持っているなら、一度は iPhone 6 Plus を試してみるとよい。「プラス」という単語の本当の意味が、まざまざと感じられるだろう。でも、たっぷりしたスクリーンサイズには、それ自体の代償が伴う。これについてはすぐ後で説明しよう。

そういう意味で、大きいことは本当に良いことだ。より多くのコンテクストが表示でき、インチあたり 401 ピクセル (401 ppi) のスクリーンは非常に明るく鮮明で、私自身テキストを読む際に目を細めたりする必要などめったにない。実際、スクリーンがあまりにも素晴らしいので、普通サイズの文字でさえ読みやすい。(私は普通サイズに設定しているが、もっと大きなサイズの文字に設定して一度に表示されるコンテンツを少なくすることもできる。)このような iPhone 6 Plus のスクリーンの利点のお陰で、目の疲れを感じる度合が自分の「たった 326 ppi しかない」iPhone 6 に比べてかなり減る。

けれども残念なことに、iPhone 6 Plus のハードウェアが物理的に大きいことは両極端のユーザー体験に結び付く。スクリーンが大きいのは素晴らしいけれども、iPhone 6 Plus の本体の大きさは、自分の小型の iPhone 6 の方が良いという気持ちにさせる。iPhone 6 Plus はモンスターのごとく巨大で、手に持つにもポケットに入れて持ち運ぶにも厄介だ。ポケットから出し入れするだけでも iPhone 6 に比べて余計な努力を要するし、ポケットに入った状態でも外から見てすぐ分かるようになってしまう。

これは単なる個人的好みの問題ではない。確かに私の手は小さいが、脳性麻痺のせいで iPhone 6 Plus を手に持つのは扱いづらく具合が悪いので、きちんと扱えるようにするためにひっきりなしに握り直す羽目になる。電話をかけるために耳のところに支えておくのも楽ではない。表面が非常に滑らかで握りにくいし、サイズが大きくてうまく耳に当てられないからだ。(iPhone 6 Plus を横長に使っても同じことが言える。どうやっても私にはしっくりしない。)

全体的に見て、私とこの iPhone 6 Plus の間には、いわば愛憎関係がある。そのディスプレイは私の目にとって素晴らしいが、本体の物理的な大きさが私の運動能力の必要に資さない。

iPhone 6 Plus のソフトウェア -- iPhone 6 Plus の大きなスクリーンの上で iOS 8 を使うのはなかなか興味深い。iPhone というより、むしろ iPad を使っている感じがするからだ。アクセシビリティの立場から、iPhone 6 Plus 上で iOS が提供する最大の利点は大スクリーンの上で走るという事実だ。

ハードウェアのところで言ったことについて、ここでも触れておく必要がある。スクリーン上に多くのものを入れられれば入れられるほど、私の目は楽になる。なぜなら、余計なスクロールをする必要なしに、従って目でものを追う必要なしに、情報が一目で分かるからだ。細かいことには違いないが、視覚障害を持つ身には、目が必要とするエネルギーが少なければ少ないほど視覚は良くなる。

もう一つ言っておくべきことがある。iOS 8 の Display Zoom 機能を使えば、スクリーン上に表示されるコンテンツが少なくなる一方で、すべてが大きく表示されすべてが見やすくなる。私自身は iPhone 6 でも 6 Plus でも Display Zoom を使わない。その代わりに、より多くのコンテンツを表示させておいて、読むのに十分な大きさまでテキストを指先でつまんで拡大している。違う種類の低視力ならば、Display Zoom の方を好む人もいるかもしれない。

iOS が iPhone 6 Plus 上でこれほど iPad に似て感じられるのは、iPad と同じく一部のアプリが横長の向きに表示されるからだ。(通常版の iPhone 6 ではそうはならない。)これは機能追加であって、理論的には便利なことのはずではあるが、実際にはちっとも便利でない。問題は、少なくとも私にとっては、さきほども述べたように横長の向きに iPhone 6 Plus を使うのはとても具合が悪いからだ。ずっと以前から iPhone 上で文字をタイプするのは私にとって大問題であったが、iPhone 6 Plus ではその問題がますます悪化する。私の親指は広いキーボードを行き来できるほど機敏ではないので、テキストに関係したどんなことをするにも無益な努力が伴う。(公正を期して言えば、同じ問題が iPhone 6 でも起こるけれども、困難の度合は少ない。)結果として、私は iPhone 6 Plus をほとんど常に縦長の向きにして使うようになった。縦長にしてさえも、タイプする際には奇妙な自己流のタイピング方法になる。

もう一つの問題点は、スクリーンの上の隅のあたりに届きにくいことだ。私の指は、とにかく短過ぎる。Reachability ショートカット(Touch ID をダブルタッチすれば呼び出される)を使えば少しは改善される。ただし、それを使うことを私が覚えていればの話だが。その上、確かに Reachability は遠いところにあるインターフェイス要素を親指の届くところまで持って来てくれるが、それでもなお私が片手で iPhone 6 Plus を使えるようにはならない。電話を片手で使えるかどうかは私にとって大きなことだ。私の通常版の iPhone 6 でならそれができるけれども、iPhone 6 Plus ではできない。

そして判決は -- このレビュー記事を書くために iPhone 6 Plus をテストしたりメモを書き留めたりしながら、私の脳裏には「十分良い」という言葉がひっきりなしに浮かんだ。通常版の iPhone 6 は、それ以前のどの iPhone に比べても明らかに大きいが、それでも確かに iPhone だという感じがする。アクセシビリティの観点からは、その 4.7 インチスクリーンは十分に大きくて明るいが、それと同時にこの iPhone 6 は手に持ったり持ち歩いたりするにも扱いやすい。いくつか問題点はあるけれども、それでも十分に良い。

John Gruber はこの点について、iPhone 6 と 6 Plus に関する彼の「ハイレベルの見解」の中で次のように述べている:

  単にもっと大きな iPhone が欲しいだけなら、4.7 インチの iPhone 6 を手に入れよう。そう、これは、まさに大きな iPhone という感じがする。

  iPhone より大きい何かが欲しいのなら、5.5 インチの iPhone 6 Plus を手に入れよう。これは、むしろ新しいデバイスという感じがする。より大きな iPhone という感じはせず、iPhone より大きいけれども iPad mini より小さい、ハイブリッドのデバイスという感じだ。

それでもやはり、私はどちらが自分にとって大きな意味を持つのか決めかねた。スクリーンのサイズか、それとも手に持った感触か、どちらがより重要なのかと悩んだ。私は iPhone 6 Plus の壮麗なスクリーンがあまりにも気に入ったので、少しの間 iPhone 6 Plus に買い替えようかと思案したくらいだった。けれども結局、私のように運動障害を持つ者には iPhone 6 Plus は向いていないと判断するに至った。私の状況を考えれば、視覚的なものと身体的なもののバランスを取る必要がある。言い替えれば、スクリーンサイズのみを理由に iPhone 6 Plus を選ぶというのは意味を成さないだろう。スクリーンは使用体験の 100 パーセントを占めているものではないからだ。 運動感覚の側の価値もやはり重要であり、それは支援を必要とする人たちにとって特に重要な観点と言える。

全体として、私は iPhone 6 Plus をとても気に入ったけれど、借り物を Apple に返却して、喜んで自分の iPhone 6 に戻った。視力障害のみに対処しなければならない人が iPhone 6 Plus を最高だと思うのは十分にあり得ることだと思うが、私はそういう人ではない。身体的障害を持たない人が iPhone 6 Plus の極端なところを不満に思うことだってあるのだから、私のように難問を抱えている者にとってそれはなおさら大きな厄介事だ。そして、世の中にそういう者たちは大勢いる。

少なくとも私にとっては、通常版の iPhone 6 が正しい選択だ。

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Windows ユニバーサルとなる... そしてホログラフィックにも

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は Microsoft を応援している。ええ、長年の Apple ファンである私がこんな事を言うのは奇妙に聞こえるかもしれないことは承知の上である - しかも、Apple に焦点を当てているサイト上で。

しかし、かってはパーソナルコンピュータ空間では支配的であった Microsoft は、今では Apple や Google に後れを取っていると見られているが、最近は、出来栄えは良くないかもしれないが、有望な考えを一杯持っている。Windows 8 は混乱の極みでそして酷評されているが、私が殊のほか気に入っているのは Windows ベースの Surface コンピュータである。

Microsoft の Windows Phone スマートフォンも、Google Android フォンや iPhone に対抗して大した地位を築けていない。私はこの様な機器に投資しようとは全く思わない - 私はこれを、Android 機器の中には魅力的なものがあると思っている人間の一人として、敢えて言っている。

今や Microsoft は再びやる気を見せ始めている。

未来志向のテック社会でいまだ人の関心をひく存在であることを知らせるべく、Microsoft は 21 January 2015 に、これ迄は世間の注目をひいたり、驚かせたりしたことのない大々的なソフトウェアとハードウェアの発表会を開催した。キーノートのテーマは、Windows アップデートの様な型どおりのものから、実世界上に "ホログラフィックな" 構造物を重ね合わせるゴーグルの様な予期せぬものまでと広範囲であった。

では、Microsoft が発表したものを、そしてそれが Apple のものと較べてどうかを見てみよう。

何処でも Windows 10 -- Microsoft のパーソナルコンピューティングに対する見方は、Apple ユーザーにとっては違和感があるかもしれない。何故ならば Microsoft は、伝統的な PC 上でタッチでのやり取りを強調し、そしてタブレット似の Surface PC と言った一体型機器を推進しているからである。これに対して、Apple はタッチやり取りを頑として OS X から排除し、そして Mac/iOS ハイブリッド機器も避けてきた。

Cupertino ファンよ、それだけではないぞ! Redmond のテック巨人は更にその先に行こうとしている。

Windows 10 は、これ迄未完成の "technical preview" の形でリリースされていたが、より磨きのかかった状態で、そして - 重要なことに - 全ての機器に対応する単一の汎用オペレーティングシステムとして提示された。対象となる機器には、スマートフォンやタブレットから伝統的なラップトップやデスクトップマシン迄含まれる。

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だからといって Windows 10 は全ての機器上で同じに見えるという訳ではない。インターフェースは機器の大きさ等々に合わせるよう微調整されているが、中身は同じ基本的なオペレーティングシステムである。

これはうなずけるし、それに私がキーノートから学んだことからすれば、Windows 10 は、指でのスワイプ (Mac 上では絶対にやらない) 又は、キーボードとマウスのどちらからでも使えるはずである。取り外しの出来るキーボード付きの PC 上では、Windows 10 はどの入力装置が使えるのか検知し、そして適切な入力モードを提示する。

私はとりわけ Windows フォーンプラットフォームの将来に期待したい。何故ならばこれ迄程度の良いアプリの不足に悩まされてきたが、Windows 開発者は今や Windows 10 機器ほぼ全てに対するアプリを一度に書くことが出来るからである。これで Windows ベースのスマートフォンもようやく真の iPhone ライバルになる可能性が出てきた - そして競争は常にあった方が良い。

Windows 10 の新機能の幾つかは、OS X の Notification Center に酷似した右側の Notifications ペーンの様に、全くの真似のように見えるが、この頃では全てのテック大企業は自由にお互いに借り合うのが当たり前になっている。

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そして Microsoft は鍵となる機能の改善でも成果を出している。例えば、これ迄酷評されてきたタイル並びの Start Screen は、全画面オプション付きの整頓された Start Menu へと変身した。

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Windows 10 は 2015 年後半に出る予定で、最初の一年間は Windows 7 或いはそれ以降からアップグレードする人に対しては無料となる。

これが Spartan (そして Office) である -- 1998 年以降、Microsoft の Internet Explorer は Mac 上のデフォルトブラウザであった。それが 2003 年になると、Apple 自身の Safari に置き換えられてしまった。今回 Internet Explorer は再度引退を促されることとなったが、今度は Windows からである。

Microsoft は、現在の Windows バージョンの Internet Explorer をコードネームが Spartan という新しいブラウザに置き換えようとしているように見える (Internet Explorer も当分の間はレガシーサポートとして存続すると思われる)。Spartan はすっきりした外見のブラウザで、沢山の有用な、革新的とはとても言えない、機能を有している。例を挙げると、Web ページを共有のためマークアップするオプション、読みやすくするためのページテキストを簡単化するコントロール、そしてリーディングリストサイトを使いする、そしてサイトをリーディングリストに追加する、と言ったものである。これらは Safari での Reader View や Reading List に相当する。

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Spartan には全く新しいレンダリングエンジンが搭載されるが、その恩恵はこのアプリがリリースされる迄は十分には分からないであろう。

Microsoft からのその他の大きなソフトウェア発表は、タッチ対応バージョンの Office であるが、これはより小型の Windows 10 機器では無料となるであろう。何百万という Windows ユーザーは、この話を聞いて間違いなく大きな安堵のため息をつくであろう。何故ならば、これらの人は iOS や Android ユーザーが彼らの機器のためのバージョンの Office を手に出来ていたのに、中途半端な状態に放置されてきたからである。時折 Surface を使う者として、私にも彼らの痛みが分かる。

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非タッチバージョンの Office for Windows、これは Office 2016 と呼ばれる、も登場すると Microsoft は言っている。そして、Mac 用の新バージョンの Office も出ると報じられているが、Microsoft からはそれについて何ら新しい情報はない。

ヘイ Siri, 失礼、Cortana だった -- 前の Apple CEO John Sculley のキーノートスピーチのために作成された Knowledge Navigator コンセプトビデオの "執事" を覚えていますか? 私は Microsoft の Joe Belfiori が似たようなデモをするのを見ながらあのシーンを思い出した。もっとも、今回の Cortana と呼ばれる技術は本物であった。

Cortana は、Microsoft の Siri に対する答えでもあるが、Windows Phone 装置上にはしばらく前から存在しており、そして Windows 10 では Windows PC にも移行する。一方で、Siri の Mac OS X への登場は、未だ噂の領域にある。

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Belfiori はデモの間に Cortana にレストランのメニューのようなもの調べさせて、冗談半分に論戦を仕掛けた。結果はまだら模様であったが - Cortana は時には殆ど人間の様に見えたが、時には堅苦しくそしてコンピュータであった - いずれにしてもとても有用である。

私の Siri や Google Voice Search の一貫性のない経験からして、もし最近 Amazon の Echo 音声ガイドハードウェア助手の実演を見ていなかったら、私は Cortana についても懐疑的であったろうと思う。この円筒形の装置は、ユーザーの競りを実にうまく演じていた。もし PC 上の Cortana も実際の使用で同じ様に優秀であったら、私は感銘すると思う。

Apple よ、次はおまえの番だ!

Xbox ゲームを楽しむ -- Mac 上のゲームはしばしば付け足しのような感じだが、Microsoft は Windows 上でそんなことを許しはしない - それに強力な武器も持っている:Xbox One ゲームコンソールである。

Windows と Xbox は、今までは、殆ど完全に別であった。と言うのも、その聴衆は大きく異なっていたからである。しかし Windows 10 では、Microsoft はこれらの領域をこれ迄よりも大幅に重なるようにしている。実際に、 Xbox は Windows 10 の一つの機器となるであろう。

この結果、興味深い可能性が開ける。PC と Xbox ユーザーは、それぞれのバージョンの同じゲームを使って一緒に遊べるようになるであろう。Xbox のゲームプレーは PC にストリーム出来るであろうから、コンピュータのディスプレイが Xbox の画面へと変身出来る。DVR 機能を使えば、Xbox や PC ゲームプレーの最後の 30 秒間を記録出来るであろう。Windows 10 には、ゲーム、友達、成績、等々を表示する洗練された Xbox アプリがバンドルされるであろう。

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iOS のカジュアルゲームは Apple に大成功をもたらしたが、Microsoft の PC/Xbox 統合に太刀打ちするのは困難であろう。Game Center は足下にも及ばないし、同社はゲームを Apple TV に載せる気配すら見せてきていない。それはとても理にかなっていると思われるのにである ("FunBITS: Apple がゲーミング市場で勝てる理由" 4 October 2013 参照)。

しかしながら、もしあなたが Xbox ゲーム狂であるならば、PC 購入は益々魅力的に見えるであろう。私は、Xbox 狂であるうちの息子が最近 MacBook Pro Retina ディスプレイモデルを購入したことを悔やむようになるのではと思ったりしている。勿論 Apple の Boot Camp を使う事で救いにはなると思われるが。

Microsoft テレビが登場 -- Apple ブランドの大画面 TV の噂は今や広く疑問視されるようになったが、Microsoft は似たようなものをお披露目した:Surface Hub で Windows ベースの 4K タッチディスプレイからなり、オフィスの壁に設置しビデオ会議、ホワイトボード、等々に使う。

Surface Hub には 55- と 84-inch (!) モデルがあり、機能リストには Wi-Fi, Bluetooth,そしてマイク付きの二つのビデオカメラ、更に Skype や OneNote のカスタムバージョン等が載っている。Surface Hub の発売は今年後半とされている;価格は明らかにされていない。

Surface Hub はまた娯楽機器としても使われ得ると思われる。例えば Xbox One と共に、或いは Apple TV を HDMI ポート経由でつないで、というのも考えられる。しかし、これは Surface Hub の意図した目的ではない;Microsoft は真っ正面から企業集団を狙っており、そして共同作業と情報のやり取りのためのテックツールとして位置づけている。娯楽用ではない。

これは Apple とは好対照で、Apple は家庭により焦点を当てている。私も Surface Hub を私のホームオフィスの壁にぶら下げたいが、仕事がはかどるとは思えない。Microsoft の意図は分かるが。

助けて、Obi-Wan Kenobi -- このキーノートでの最大の驚きは HoloLens であった。これは仮想現実ヘッドセットで、あなたの周りの現実の世界を見る - Facebook の Oculus Rift とは違って - と同時に三次元のデジタル構造物をあなたの周囲に対しての強調或いは補足として付け加えさせてくれる。この技術はWindows Holographic と呼ばれる。価格もリリース時期も発表されていないが、HoloLens は "Windows 10 の時期" にと約束されている。

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Microsoft は、例えば、ユーザーがどの様に火星上の NASA ローバーを見たり、周りを歩き回ったり、人間大の Minecraft ゲームプレーに参加したり、一式の仮想部品と HoloStudio と呼ばれるアプリを使って小さなドローンを作ったり、そして実際の自転車のフレーム上に仮想の部品を付け加えて自転車を形作っていくのを見たり出来るかを示した。宣伝ビデオを見て欲しい。

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Microsoft は、HoloLens はラボやその他の専門的な職業環境での利用から、家庭での VR ゲームや他の娯楽活動にまで及ぶ広範囲なアプリケーションに使えると言っている。

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それは General Kenobi の助けを求める Princess Leia が R2-D2 で投影されている様な感じに見える。もっともこの話ではゴーグルは必要ではなかったが。他方、このホロ Leia は Microsoft 投影ほどにはきれいに見えなかった。

私はこれには極めて懐疑的である。何と言ったって、Microsoft の動作検知の Kinect 装置はとてもヒットしたとは言えない。ハイテックのヘッドギアそのものだってあまり良い実績は残していない。Google の Glass は支持されていない。3D HDTV だって不発に終わっている。主な原因は、消費者は 3D 作品を見るのに必要な嵩張る、馬鹿げたアイギアを身につけたがっていないことにある。

奇妙なヘッドギアに対する消費者の毛嫌いに対抗するには、この HoloLens 技術は本当にすごいものである必要があるであろう... しかし、プロトタイプを試したテック記者達は 全般に 気に入ったようではある。私の判断は自分で実際に試せるまで下さないでおこうと思うが、それは実際に製品が出荷されるようになるまで待たねばならないであろう。その時までお楽しみに。

Microsoft の最大の挑戦は、開発者に Windows Holographic アプリを作ってみようと思わせることであろう。結局のところ、その Kinect 技術は殆どがそこそこのゲームしか生み出さなかった。

Microsoft、波に乗れるか? -- この破壊力たっぷりのキーノートで、私は Microsoft についてここ数年よりもずっと楽観的になった。勿論、これらの発表の成功が保証されたわけではない。

Windows フォーンの現状は極めて深刻で、Apple や Google というライバル達と市場で共存していける可能性は低いと思われる。伝統的な PC の方がまだましな状態にあると言えるが、かっては支配的だったマシンも今や非伝統的なコンピューティング機器からの猛攻の中では劣勢である。Xbox プラットフォームでさえ Microsoft にとっては高価な賭けであり続け、現在では Sony の PlayStation 4 に売り負けている。

しかし、何と言ったって Redmond は素晴らしいショーを展開した。そしてどんな所からであれ、革新が見られるのは良いことである。Microsoft よ、頑張れ!

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2015 年の Mac および iOS のプロ向けカンファレンス 22 選

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

歴史的に見れば、Macworld Expo はもうそろそろバックミラーの中で遠ざかり消えて行く頃だ。でも正直言って、1 月初旬は冬の旅行シーズンでもあり、ホリデーにも近過ぎて、カンファレンスの開催に向いた時期ではなかった。けれども Macworld Expo がなくなってしまった今、Apple の領域の中で生計を立てている私たちは、もっと小規模の、より親密な集まりの中から出席すべきカンファレンスを選ばなければならない。幸いにも、Apple の WWDC の前にも後にも独立のカンファレンスはたくさんある。通常 6 月に開催される WWDC は出席を希望する開発者の人数よりずっと少ない定員枠しか設けていない。

現時点で、Tonya と私はとりあえず 11 月の MacTech Conference で講演することを予定している。私たち、あるいは他の TidBITS/Take Control ライターたちが下記のイベントのどれかで講演することになった場合には、その都度皆さんにお伝えしたいと思っている。

CreateWorld: February 12-13, 2015 -- オーストラリアにいる人、あるいはオーストラリアへ旅行してみたい人のためにもう間もなく開催されるのが、CreateWorld だ。主催は Apple University Consortium、会場は Brisbane にある Griffith 大学だ。二日間開催される CreateWorld カンファレンスは、デジタルアートの分野で働く大学の研究者や技術スタッフを対象としている。今年の基調講演は、Edith Cowan 大学の Cat Hope 教授による "Is There No Digital Art?" と、Adobe の Dr. Tim Kitchen と Richard Turner-Jones による "Creative Candidate: What Industry Is Looking For" だ。

登録料金は A$545 (US$430)、学生料金は A$195 (US$155) で、ホテルの部屋代は A$199 (US$158) だ。

MacTech Pro: March-September 2015 -- MacTech Conference の背後にいる人たちが新たに始めた地域イベントシリーズの MacTech Pro は、プロフェッショナルの Apple 技術者やコンサルタントを対象としている。イベントはシングルトラック、ホテルベースのセミナーで、丸一日のスケジュールには昼食も含まれる。主な話題としては、iCloud Drive 解剖、Time Machine に深く潜行、プロフェッショナル Apple 技術者のツールボックス、OS リソースを使ったトラブル診断、その他が予想される。

早期割引料金は $299、通常予約料金は $399、正規料金は $499 だ。教育関係者料金は $199 となる。MacTech Pro イベントは米国国内の以下の 9 都市で順次開催される:

CocoaConf: March-May 2015 -- iOS および Mac の開発者に焦点を当てた CocoaConf は、米国国内を旅行して回る巡業カンファレンスだ。見たところ、他のカンファレンスに比べて技術的な傾向の強いセッションが多いようだ。

現時点で決まっているスケジュールは以下の通り:

巡業カンファレンスで予想される通り講演者 は開催地によって異なるが、開発トレーニングの分野のスターたちが数多く名を連ねている。Daniel Sternberg、James Dempsey、Mark Dalrymple、Rob Napier や、他にも大勢いる。

早期登録料金は CocoaConf イベントについて $550 だが、前日開催のカンファレンス前ワークショップにも参加したい場合は $700 となる。(ワークショップのみの参加も $300 で可能だ。)

NSConference: March 16-18, 2015 -- ヨーロッパ在住の iOS および Mac の開発者のため、あるいは遠く離れた地でのカンファレンスに参加してみたい人のために、第 7 回の NSConference が 3 月 16 日から 18 日まで英国の Leicester にて開催される。会場は Athena カンファレンスセンターで、周囲の徒歩圏内にさまざまな宿泊施設がある。

主な講演者としては、Overcast の開発者 Marco Arment、デザイナー兼コンサルタントの Jessie Char、MarsEdit の開発者 Daniel Jalkut、Rogue Amoeba の CEO Paul Kafasis、Khan Academy の Laura Savino、その他多くの著名な開発者たちやデザイナーたちがいる。とりわけ、Daniel Steinberg が Apple の新しいプログラミング言語 Swift についての一日ワークショップを提供することになっている。

カンファレンスのチケット価格は 549 ポンド (US$825) で、三日分の昼食と二晩分の夕食が含まれる。追加の懇親会のチケットも 33.33 ポンド ($50) で販売される。Swift ワークショップは別料金で 99 ポンド ($150) だ。学生への奨学金もある。

Ull: March 30-31, 2015 -- こちらもヨーロッパでの開催だが、二日間開催される Ull カンファレンスはアイルランドの Killarny にある The Europe ホテルおよびリゾートが会場だ。カンファレンス自体は 3 月 30 日と 31 日の二日間だが、開始の前日に到着して終了の翌日に出発できるように予定が組まれている。Ull は「Apple の形をしたレンズを通して提示された、素晴らしい製品を築き愛する人たち」を対象としている。率直に言って、非常に楽しいのではないかと思う。

講演者のリスト を見ると、ライターたちやポッドキャスターたちにかなり重点が置かれているようだ。有名どころでは、Six Colors の Jason Snell、The Loop の Jim Dalrymple、Asymco のアナリスト Horace Dediu、iMore の Serenity Caldwell と Georgia Dow と Rene Ritchie、Re/Code の Lauren Goode、Medium 相談役の Anil Dash、Daring Fireball の John Gruber という面々が並ぶ。同じく著名な開発者やデザイナーとしては、PCalc で有名な James Thomson、Vesper の開発者 Dave Wiskus、それから Napkin の開発者 Guy English もいる。

Ull のチケット は 2015 年 1 月 27 日から発売され、価格はカンファレンス入場料のみならば 645 ユーロ (およそ US$735、宿泊料金は別途で一泊あたり 250 ユーロ、$285)、Ull の「スーパーファン」向けの Eagran チケットならば 1,999 ユーロ ($2,275) で、こちらにはカンファレンス入場料、Dublin からの交通費、ホテル 4 泊の宿泊料、それに前日と翌日のディナーが含まれる。いずれの価格も VAT (付加価値税) は別だ。

NSNorth: April 10-12, 2015 -- もう少し近場になるかとは思うが、カナダで開催される NSNorth カンファレンスは、今年もまた Mac と iOS プラットフォーム専門の開発者たちやデザイナーたちに焦点を当てている。今年の NSNorth は田園風エレガンスを誇る Chateau Montebello で開催される。ここは Ottawa と Montreal の中間にある Ottawa River 沿いの五つ星リゾートだ。三日間のカンファレンスは 4 月 10 日の開会レセプションと基調講演で始まり、4 月 12 日に閉会する。

講演者として The Loop のカナダ人ジャーナリスト Jim Dalrymple と iMore の Georgia Dow がいるが、より重要なのは数多くの開発者たちやデザイナーたちが講演することだ。主だったところでは thoughtbot の Gordon Fontenot、Infofission の Matt Klosterman、Storybird の Ash Lindquist、SuperMegaUltraGroovy の Chris Liscio、Sago Mini の Vanessa Logan、それから Rogue Amoeba の Christa Mrgan、Dropbox の Ashley Nelson-Hornstein、Flixel Photos の Mark Pavlidis、Realm の JP Simard もいる。

チケット価格 は C$699 (およそ US$565) で、週末を通してのすべての食べ物と飲み物が料金に含まれる。グループ活動に参加し食事もしたい配偶者や子供たち (6 歳から 12 歳まで) の同伴者チケットは大人が C$299/US$240、子供が C$149/US$120 だ。ホテルの料金は一泊あたり一部屋 C$179/US$145 からで、二晩連泊することが条件だ。予算に限りはあるが入場料が無料になる学生向け奨学金もある。

Yosemite by CocoaConf: April 20-23, 2015 -- 巡業する CocoaConf イベントの主催者と同じ人たちが開催する Yosemite は「眺めの良い Apple カンファレンス」と宣伝されている。その主たる理由は、カリフォルニア州にある Yosemite 国立公園のど真ん中で開催されるからだ。セッションのリストはまだ発表されていないが、対象となるのは Apple 開発者、デザイナー、それに Apple ファンたちで、通常の CocoaConf カンファレンスに比べて技術的な色合いは薄くなるはずだ。(気になる人は、主催者に確認してみるのがよいだろう。)また、ガイド付きハイキングや、TED 写真家 James Duncan Davidson と一緒の撮影散歩、James Dempsey と一緒の Breakpoint Jam もある。四日間のカンファレンスは 4 月 20 日から 23 日まで開催される。

講演者のリストには 17 人の巡回カンファレンス屈強者が並び、かの比類なき Andy Ihnatko、The Omni Group の Brent Simmons、iMore の Serenity Caldwell、The Loop の Jim Dalrymple、Panic の Neven Mrgan、Rogue Amoeba の Christa Mrgan、Khan Academy の Laura Savino、Six Colors の Jason Snell、Stone Design の Andrew Stone、その他大勢の有名人たちがいる。

当然のことながら、観光地で開催され日数も長いので、登録料金は他の多くのカンファレンスよりかなり高い。料金は一人あたり $1,299 で、グループ活動と食事のみの同伴者チケットは $599 だ。Yosemite Lodge の部屋は一泊あたり $230 ほどだが、一晩たった $134 で暖房付きテントに泊まることもできる。

UIKonf: May 17-20, 2015 -- 「Berlin で開催される本格的 iOS 開発者のための独立カンファレンス」と宣伝されている UIKonfは、まだ 講演者の手配中だが、現在決まっている講演者の中には Facebook テスターの Graham Lee、独立の開発者 Mike Lee (Delicious Monster、Tapulous、Black Pixel で働いたことがある)、iOS キーボード SwiftKey の開発者 Maxim Cramer、それに Swift ファン兼 iOS エンジニアの Natasha (the Robot) Murashev もいる。このカンファレンスの最終日にはハッカーソンもある。

早期登録料金は 400 ユーロ (US$455) で、これにはカンファレンス初日のソーシャルイベントと期間を通じての飲み物と昼食が含まれるが、19 パーセントの VAT (付加価値税) は含まれない。数に限りはあるが無料の奨学金もある。

ACEs Conference: May 20-21, 2015 -- Apple コンサルタント兼専門技術者の Justin Esgar と Luis Giraldo が主催する完全に新しいカンファレンスの ACEs Conferenceは「コンサルタントによる、コンサルタントのための」ものだとしている。Apple コンサルタントにとって興味ある話題に焦点を当てているので、扱われる話題としてはブランド指導、ビジネスワークショップ、さらにはこの職業に付き物のストレスの多い状況に対処するための瞑想というものもある。5 月 20 日から 21 日まで、New Orleans, LA の Hilton Riverside で開催される。

基調講演をするのは The Mac Observer 編集主幹 Jeff Gamet と GetMomentum の Jason Womack だ。 その他の講演者としては、BackgroundBackup の Sean Costello や Watchman Monitoring の Allen Hancock など Apple IT および企業コミュニティーの有名人や、BestMacs の Brian Best、Mid-Atlantic Computer Solutions の Will O'Neal、Key The City Concierge の Nathan Toups、Mike's Tech Shop の Michael Volchok など評判の良い Apple コンサルタント会社の創設者たちがいる。ビジネス開発の側では、IP 弁護士 David Postolski、Worstofall Design のブランド戦略家 Pia Silva、Semper Avanti の製品開発専門家 Tony Ubertaccio が講演をする。

2015 年 1 月 31 日までの早期登録料金は $399 だが、それ以後の予約登録料金は $499 となる。当日の登録ならば $699 だ。すべての食事と活動の費用が含まれており、Hilton Riverside での宿泊はカンファレンス特別割引で一泊 $189 となる。

WWDC: June 2015 -- Apple はサンフランシスコでの Worldwide Developers Conference の今年の開催日をまだ発表していないが、Mac および iOS の開発者向けのこの極めて重要なカンファレンスは通常 6 月上旬に開催されている。5,000 人の開発者たちと 1,000 人の Apple エンジニアたちが出席する WWDC では、現在および未来の Apple テクノロジーに関するセッションが丸一週間続く。昨年は 4 月初旬に Apple が開催日を発表し、登録の際の混乱を避けるとともにすべての人たちの出席のチャンスを公平にするため、$1,599 のチケットを抽選によって販売した。(その前の回の WWDC では、チケットが 90 秒で売り切れた。)

iOSCon: June 15-17, 2015 -- 初開催の 2014 年に続いて、 iOSCon は今年も英国の London で三日間開催される。初めの二日間に iOS と Swift の話題で二つのトラックが提供され、三日目にはハッカーソンがある。講演者やセッションのリストはまだ発表されていないが、主催者は次のように述べている:

  個々のトラックでは、iOS と Swift のテクノロジーや実践を進化させるための助けとなって働いている、世界でもトップクラスの専門家、開発者、制作者が講演をする。それに加えて、個々のトラックごとに Park Bench Panel 討論があり、私たちのコミュニティーにいて iOS テクノロジーと実践を毎日使いこなしている素晴らしいエンジニアリングチームの人たちが 5 つの電光石火講演をするとともに、彼らのアプリやプロジェクトの実演もする。

2015 年 3 月 6 日までの早期登録料金は 250 ポンド (US$375) で、それ以後は毎月価格が 100 ポンドずつ上がり、「遅起き鳥」の最高価格は 750 ポンド ($1,125) となる。価格には VAT (付加価値税) は含まれない。

X World: July 2015 -- サポート担当者、ラボ管理者、ネットワーク技術者、あるいはシステム管理者として Mac と iOS のインストールを管理している人たちのために、オーストラリアの Apple University Consortium が X World カンファレンスを開催する。2015 年の日程その他はまだ発表されていないが、2014 年のカンファレンスはオーストラリアの Sydney で 7 月に開催されたので、一応今年もカレンダーのそのあたりに印をつけておくべきかもしれない。

MacAdmins: July 7-10, 2015 -- University Park, PA の Penn State (ペンシルバニア州立大学) が開催する MacAdmins カンファレンスは、Mac および iOS 配備に関する 50 以上の技術セッションに加えて、400 名以上の Apple メインの管理者たちのためにネットワーキングの機会も提供する。カンファレンス直前のワークショップが 7 月 7 日にあり、カンファレンス自体は 7 月 8 日から 10 日までというスケジュールだ。セッション、講演者、カンファレンス料金などの詳細はまだ発表されていないが、 推奨ホテルの部屋は一泊あたり $100 のものが見つかる。

iOSDevCamp: July 10-12, 2015 -- iOS 開発者のための非営利イベントである iOSDevCamp は、参加者たちがワークショップの内容を決める iOSDevCamp is a BarCamp 風のカンファレンスだ。7 月 10 日から 12 日まで、San Jose, CA の eBay で開催される。詳細は未発表だが、ウェアラブル機器と Apple Watch に焦点が当てられる予定だ。早期登録料金はたったの $75 で、通常予約料金は $100、遅い登録は $125 となる。

MacIT: July 14-16, 2015 -- 企業内で iOS と OS X を配備している人々を対象とした MacIT は、最後の数年間の Macworld Expo の背後にいた会社 IDG World Expo の手によるものだ。従来 MacIT は Macworld Expo と連動して開催されていたが、今は単独でするしかなく、カンファレンスは 7 月 14 日から 16 日まで Santa Clara, CA の新しい会場で行なわれる。

カンファレンス FAQ によれば、講演者、セッション、登録などの詳細は 4 月に発表されるという。

360|iDev: August 16-19, 2015 -- iOS 開発者を対象としているけれども、360|iDev の主催者 John および Nicole Walker はむしろ iOS コミュニティーが一つに集まれる場所を提供するところに焦点を置いている。2015 年のイベントの詳細はまだ少ししか決まっていないが、Denver, CO にて 8 月 16 日から 19 日まで開催される予定だ。カンファレンス登録料金は $799 で、これは日曜日のカンファレンス前の実地研修と、毎日の昼食、それと月曜日と火曜日のレセプションの費用も含んでいる。360|iDev の会場は Sheraton Denver Downtown ホテル、宿泊はカンファレンス特別割引で一泊 $169 となる。

MacSysAdmin: September 2015 -- ヨーロッパにおける Mac および iOS システム管理者のための重要なイベント MacSysAdmin は、9 月頃にスウェーデンの Goteborg で開催される予定だ。講演の対象は企業や学校、その他の団体のシステム管理者、さらには技術コンサルタント、コンサルタント会社、販売業者なども含む。2015 年のイベントの詳細はまだ決まっていないが、過去の講演者名を見渡すと "Take Control of OS X Server" の著者 Charles Edge、Arek Dreyer、Andrina Kelly、Ed Marczak、Greg Neagle、その他 Apple システム管理者の世界の有名人たちが並ぶ。

/dev/world: September 2015 -- オーストラリア在住で Apple のコンピュータやデバイスのための開発を学びたいと思っている人たちのために、Apple University Consortium が /dev/world を開催する。このカンファレンスのセッションが扱う話題は幅広く、iOS SDK、OS X フレームワーク、Apple およびサードパーティの開発ツール、オープンソースソフトウェアなどを含む。2015 年のイベントの詳細はまだ決まっていないが、2014 年のカンファレンスはオーストラリアの Melbourne で 9 月に開催された。

iOSDevUK: September 7-10, 2015 -- iOS 開発の話題に焦点を絞ったものだが、第 5 回の iOSDevUK カンファレンスが 9 月 7 日から 10 日までウェールズの Aberystwyth で開催される。それ以外の情報はまだ発表されていないが、主催者たちによればチケットは 4 月上旬の発売となるという。

CocoaLove: October 2015 -- 詳細はまだ未発表だが、iOS および Mac 開発者向けの CocoaLove カンファレンスは 2015 年 10 月の Philadelphia, PA での開催を目指して準備中だという。2015 年後半のカンファレンスを物色中の人は(残念ながら Cingleton カンファレンスはもうない!)サインアップしておけば CocoaLove の主催者たちが 2015 年のイベントの日程と開催場所を決定し次第通知してくれる。

Release Notes: October 21-23, 2015 -- Mac や iOS の開発者向けのカンファレンスにはビジネス関係の問題を扱うセッションを含むものも多いが、この Release Notes カンファレンスはまさにその話題を正面から狙うとともに、重要な人脈作りの時間もたっぷり組み込んでいる。10 月 21 日から 23 日まで Indianapolis, IN で開催される Release Notes カンファレンスの会場は、旧 Union 駅の電車庫の内部に作られた Crowne Plaza Hotel だ。カンファレンスのセッション会場となるのはこのホテルの Grand Ballroom (大舞踏室)、ここは旧 Union 駅の駅舎があったところで、そのロマネスク様式建築に特徴的な壮大なアーチや巨大な円花窓がそのまま残っている。講演者、セッション、登録料金などの詳細はまだ発表されていないが、サインアップしておけば詳細が決まり次第通知してもらえる。

MacTech Conference: November 4-6, 2015 -- MacTech Pro イベントの方はたった一日におさまるスケジュールで国中を巡業して回るようになっているが、Los Angeles で開かれる MacTech Conference の方は三日間のスケジュールで、さまざまのセッション、セミナー、ベンダーとの交流などがあり、その上二晩にわたって極上の夕べの行事がある。私たちは何度もこのカンファレンスに参加したし(2012 年 10 月 22 日の記事“MacTech Conference 2012 が心の扉を開く”と 2013 年 11 月 11 日の記事“MacTech Conference 2013、つながりと楽しさが満杯”参照)Apple 開発者にも IT プロフェッショナルにもお薦めしたい。まだ講演者やセッションのリストが決まるには時期が早過ぎるが、いずれにしてもカレンダーの 11 月 4 日から 6 日のところに印を付けておくのも悪くないだろう。

他には? -- もしも何か重要な Apple に集中したカンファレンスで、一般の入場が許されていて、広い地理的領域から参加者を集められるようなものが、ここに抜けていることにお気付きなら、どうぞ記事へのコメントでお知らせ願いたい。それを記事に追加すべきかどうか、調べさせて頂きたいと思う。

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視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 3

  文: Mariva H. Aviram: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

目の生理学を学ぶことで、視覚障害の原因をある程度(いわば)見抜くことができるようになった。前回の記事“視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 2”(2015 年 1 月 19 日) では、二人の目のケアの専門医たちから涙液膜を健康に保つことの重要性を教わり、習慣的にまばたきをするというありふれた行為に真剣に心を配るのが大切なことだと分かった。コンピュータ作業は目の健康に悪い習慣を生みやすいので、集中してコンピュータを使う際にはこれがとりわけ重要となる。さて、今回は、視覚障害のある人たちがコンピュータのオペレーティングシステムやソフトウェアのインターフェイスの中で直面するさまざまの障害について考えてみたい。

私が陥った一時的な視覚障害は、以前から私がコンピュータやスマートフォンを使って経験していた毎日のフラストレーションを悪化させた。視覚障害がない時には、それら低レベルのフラストレーションは何も考えず無視できる程度のものであった。普段のコンピュータ使用でひっきりなしに起こる苛立たしさへの対処を手でブヨを追い払うことに例えるとすれば、障害を持つ身で同じシステムをナビゲートするのは、まるでハチの大群を相手にするようなものだ。私の持つ苦情は大量にあった(今でもある)が、思い付くままに並べてみれば以下のようなものだ:

心に留めて頂きたいのは、これらの問題がコンピュータの軽度な使用の際にも起こったことだ。私は複雑なソフトウェア(例えばグラフィックデザインやオーディオ制作アプリなど)を使っていなかったし、何ら特別なことを成し遂げようともしていなかった。単に Mac OS のインターフェイスをナビゲートしたり、テキスト中心のウェブサイトを読んだりといったシンプルな作業だけでも、努力を正当化できないほどあまりにも困難でフラストレーションの溜まるものとなることが多かった。

ウェブフォーム -- 私の兄はまずいデザインのウェブフォームでのフラストレーションを語ってくれた。ウェブフォームは、他のどんなインターフェイスでも同じだが、キーボードからフルにアクセスできるものであるべきだ。彼は言う。「良いデザインのフォームなら、フィールドから次のフィールドへ Tab キーで移動できるようになっているべきだし、Shift-Tab を押せば前のフィールドへ次々と移れるようになっているべきだ。でも残念ながら、Safari のデフォルト挙動も、他のいくつかのブラウザでも、Tab キーではテキストフィールドにしか移れない。チェックボックス、ドロップダウンメニュー、ラジオボタン、その他にはマウスを使う羽目になる。」(幸いにも、それぞれのブラウザの高度設定を使えばブラウザの Tab 挙動を制御することができる。)

彼はさらに続けて言う:

あまりにもしばしば、フォームを提出しようとしても、一度目はアプリケーションに提出を拒否されることがある。私がどこかの項目を埋め忘れているからだ。そのフォームがあまりうまく作られていなくて次のフィールドがどれか予期しにくいような場合にこれがよく起こる。最悪の場合には、エラーメッセージを見つけることができなかったり、あるいはエラーメッセージが単に「すべてのフィールドを埋める必要があります」程度のことしか言わなかったりして、結局そのフォームを何度も何度も、埋め忘れたフィールドはどこかと探し回らなければならない。ひょっとしたらもの凄く小さな赤い文字で示してあるのかもしれないが。もしもエラーメッセージが一番上のところに太字で示され、できれば特殊な背景色を使って目立つようにされて、しかもどのフィールドに必要なデータが欠けているかを明確に書いてくれるようになったとしたら、とても役に立つだろうに。

この種のウェブフォームの問題に関しては、ブラウザが解決法を提供できるのかもしれない。Safari ではテキストの多いウェブページに対して簡易化された Reader 表示が提供されるが、願わくはブラウザの開発者たちがこれに倣って簡易化されたウェブフォーム表示を提供し、そこでは一つのフォームの中のすべてのフィールドが縦一列にレイアウトされ、Submit ボタンは一番下に拡大して表示され、さきほど述べたように太字のエラーメッセージを表示するとともに、問題のあるフィールドをハイライト表示するようになればと思う。

オプションの欠如 - Accessibility のオプションは多数あるけれども、もっと多くあればあるほどありがたい。例えば、オペレーティングシステムやアプリ開発者の提供するカラー反転のオプションが、テキストのみ、テキストとダイアログボックス、またはすべて(テキスト、ダイアログボックス、画像、メニュー、Dock、および背景も)のうちから選べるようになれば、適応体験が大いに変わることだろう。それと、色覚異常に優しいカラーパレットを提供してもらえないだろうか?

それからまた記事“視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 1”(2015 年 1 月 9 日) に書いたような「縮小鏡」にあまり需要がないとすれば、テキストを現在提供されている最小の文字サイズよりもっと小さくできるような機能があれば効果的だと思う。例えば、Safari は 9-point より小さな文字サイズに対応していない。

どうして好きなだけ小さな文字にさせてくれないのか? Safari が 8-point、6-point、または Retina ディスプレイでなら 4-point の文字を表示できない理由はないはずだ。いっそのこと、ユーザーが好きなテキストサイズを入力できるフィールドを作ってはどうだろうか。

他のユーザーたちに聞いてみれば、もっと幅広いコントラスト制御や、もっと違ったテキストサイズやフォント、全範囲にわたる(単なるカラー反転でない)カラー調整などを望む人もいるだろう。

iOS の苛立たしさ -- モバイルデバイスにはそれなりの難問がある。例えば、iOS アプリはひっきりなしに不愉快なタイミングで私を遮ってアプリをランク付けしてレビューせよと求めてくる。これは、General 環境設定のトグル設定でオフにできるようにすべきだ。私は自分のしたい時に iOS アプリのランク付けをする。わざわざ「思い出させられて」したいとは思わない。

もっと一般的に起こることを言えば、キーを押す感触のあるキーボードなしに文章を打つのは誰にとっても楽なことではない。ただ、私たちの多くは既に慣れてしまっているとも言えるが。(あの高名な Andy Ihnatko は、iPhone のキーボードと拡大鏡が嫌になって Android に乗り換えたほどだ。)けれども視力障害のあるユーザーにとっては、どこまで打ったかを見失うことなくキーボードとテキストフィールドとの間を行き来するのは、まるで正気を失わないための訓練かと思えるほどだ。(物理的なキーボードケースがあれば、とりわけテキストの中をナビゲートする際の問題に関して非常に有益だ。)

カーソルと拡大鏡の無駄手順を回避するため、Apple は iOS 8 で左右の矢印キーを追加した。(上下の矢印キーはまだない。)ただし、左右の矢印キーが現われるのは iPhone 6 か 6 Plus を横長にした場合のみだ。それに加えて、いくつかのサードパーティ製キーボード には矢印キーがある。また、いくつかのテキストエディタは独自にカスタマイズしたカーソルキーを提供している。

そうは言っても、iOS 8 で改善された QuickType キーボードや、他社製キーボードをインストールできるオプションが加わったこと(2014 年 10 月 2 日の記事“iOS 8 用他社製キーボード、説明とレビュー”参照)はとてもありがたいと思う。(ちなみに、Yosemite には新しい QuickType 風の機能 があって、Mac で文章を書く際に役に立つ。)

目の不自由なユーザーを対象とした調査 -- Towson University が実施した調査 "What Frustrates Screen Reader Users on the Web: A Study of 100 Blind Users" によれば、視力障害のあるユーザーにとって大きなフラストレーションの原因は次のようなものだという。[訳者注: スクリーンリーダーとはコンピュータ上のテキストを音声で読み上げるソフトウェアのこと]

  1. ページレイアウトがスクリーンリーダーのフィードバックを混乱させる

  2. スクリーンリーダーとアプリケーションの間のコンフリクト

  3. デザインのまずい、あるいはラベルの付いていないフォーム

  4. 代替 ("alt") テキストの付いていない写真

  5. 同率 5 位で、誤解をまねくリンク、アクセスできない PDF、スクリーンリーダーのクラッシュ

この調査ではまた、混乱をまねくラベルや説明、画像の曖昧過ぎる代替テキスト、全般的に時間の浪費から来るフラストレーション、といったものも挙げている。そして、ウェブデザイナーたちへの助言として、ウェブサイトの基盤構造にもっと明確な言葉遣いを用いること、プラグインやポップアップの使用を控えること、ウェブページのユーザー体験 (UX) を直線的な、視覚障害者が体験する通りのフォーマットでテストすること、を提言している。これらの提言を読みながら、あまりにもまずいデザインがいたる所に氾濫していることを思いつつ、私は思わず「幸運を祈る!」とつぶやいた。

ユーザー体験 (UX) をテストする -- 身体障害に関する条件は多岐にわたり、その中のさまざまの段階に幅広くユーザーたちが位置しているので、そこには技術的な難問がある。けれども一方で開発者たちには総体としての能力があり、そこに現代的なコンピューティングのテクノロジーが組み合わされば、まずいデザインやオプションの欠如、環境設定やユーティリティの欠落、その他回避可能な問題点には対処ができるだろう。(「もしも人を月面に立たせることができれば...」ってことだ。)

問題の根本は技術的なことではなく、経済的な、さらには文化的なものだとも言える。一般大衆は(まだ)これを修正することができない。結局のところ、すべてはアクセシビリティの設定や機能に関する十分な有用性テストがなされていないことに帰着する。それで思い出すのは、歩行が困難な人たちが指摘する、一つの建築要素が車椅子アクセス可能に 見える からといって、さらには Americans with Disabilities Act (米国障害者法) に定められた建築基準に合致しているからといって、実際には必ずしも車椅子でアクセスできるとは限らないという事実だ。建築家もデザイナーも、多くの場合、車椅子に乗る人たちに依頼して自分のデザインをテストしてもらうことまではしない。

開発サイクルの中でインタラクティブな有用性テストをするには多大な時間と費用がかかる。なので、大多数の開発者はそれを全くしない。私の兄はそこに経済的な難問があると指摘する。「製品の開発は多くの労力と費用を要するが、時間の経過とともにその価値を増す。例えば、私が今開発中のツールは、私が来月開発する同じツールにとって自動的にその基盤となる。それとは対照的に、インタラクティブな有用性テストに参加する人たちはその意味での価値を積み重ねることがない。」

加えて、アプリの開発者たちは一般的にアクセシビリティはオペレーティングシステムとウェブブラウザが解決すべき問題だと思っている。なので、障害を持つユーザーたちが働きかけるべき相手は、実際には Apple と Microsoft と Google なのだ。

技術的に不適切な点を調べ上げて総合的なリストを作るのは重要なことだ。私もここでそれをした訳だ。けれどもそれは、すべてのユーザーにとってのアクセシビリティを増すための小さな最初の一歩に過ぎない。コンピュータのインターフェイスの問題点についてこのように並べ立てて自分のフラストレーションを発散しようとするのは気休めにはなるかもしれないが、低視力のユーザーたちが本当に必要としているのは、個人ごとの必要に応じた支援と、効果的な解決策だ。このシリーズ記事の次回では、現在の市場の中でどのようなものが入手できるのかを調べてみたい。

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FunBITS: Sunny で自分のプライベートビーチでリラックス

  文: Chris Armstrong: [email protected], @cgarmstrong
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我々はしばしば仕事を済ませたり、ゲームをしたりするために iOS 機器を使うが、Apple 機器が、仕事、睡眠、或いは瞑想のための 1 時間程のリラックスしたプライベートな時間を与えてくれたことはどれ程あったろうか? 慌ただしい現代生活から時折休憩を取るのはしばしば医者が命ずることでもある - そして iOS 開発ハウス Taptanium のお陰で、iOS にはまさにそれをしてくれる素晴らしいアプリがある。

私は、Taptanium からの最初の iOS リラクセーションアプリである Thunderspace を 2013 年に取り上げた ("FunBITS: Thunderspace であなただけの嵐を体験する" 16 August 2013 参照)。2014 年には、Taptanium は Windy, を出したが、これは美しい白色雑音発生器であり、同時にグラフィックスでも Thunderspace からの大きな跳躍を見せた。登場したのは、驚愕的なカスタムイラスト、そして同じオーディオファン品質の 3D オーディオである。

丁度 Taptanium の次の iOS アプリが出た:Sunny ($2.99) で、あなたをあなただけのプライベートビーチに連れだし、天候が何であれ、仮想光線を浴びるよう誘う。もちろん、Taptanium ならではの素晴らしい音もそこにはあり、更に新しい驚愕の視差イラストと、あなたのリラックス経験をカスタマイズする新しいやり方も提供する。

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Sunny のイラストはショーの花形である。そのユーザーインターフェースそのものが心地良くそして遊び心に溢れており、その芸術的細部は精密で、そしてカスタムグラフィックスによって加えられている気まぐれさの量もぴったりである。設定画面ですら、評価を示す星は笑みを浮かべそしてあなたを見つめるという可愛らしいアニメーションがあしらわれている。

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下記に示されているのは、このアプリにある 6 つの "Sunny bay" のうちの一つである。デフォルトでは、1 つしか解錠されていないが、このアプリを使いそして探求していくことで更に多くのものへのアクセスが得られる。詳細は後述。

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Sunny で新しく追加された多くのものの一つが HealthKit 統合である。Apple Watch の "2015 年早期" のリリースに丁度間に合って、Sunny はこのアプリを使ってリラックスに使った日毎の分数に重ねてあなたの日毎の平均脈拍数のグラフも示すことが出来るようになる。もしリラックスの効用を証明するデータが必要な、この機能がそれである!

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リラックスの習慣を追跡するだけでなく、Sunny はその習慣を続ける事に対する見返りも与えてくれる。このアプリ使って過ごした時間と心拍数を追跡することに加えて、Sunny はユーザーインターフェース探索とリラクセーションに "太陽光線" と呼ばれる仮想通貨で払い戻しをする。慌てないで! 多くの遊ぶのは無料ゲームと違って、アプリ内購入を強要する圧力はない - 毎日数分やるだけで、全てのベイへのアクセスが与えられる。このアプリをダウンロードして数分の間に 2 つ目のベイへのアクセスを得ることだって可能である - 色々な画面を探索するだけで。

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より自分好みにするため、Sunny 内で聞く音をカスタマイズすることも可能である。取り巻く音楽をもっとしゃれたものにし、そして鳥の鳴き声を少し押さえたい? ただスライダーをドラッグすれば良い。これは Thunderspace や Windy に慣れ親しんだ人にとっては嬉しい新機能である - 深さと個人化の自由度が上がったことで、私がヘッドフォンを付けてくつろぎたいと思った時には自然と Sunny が私の第一の選択肢となる。

どうでしたか? 仕事で大変だった一日の後で静かにリラックスの時間を過ごしたいなら、Sunny の静かな音と美しいインターフェースがあなたを癒やしてくれるでしょう。またこのアプリの Web サイト を見るのをお忘れなく、Taptanium の努力の成果が一杯詰まっている。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 1 月 26 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ClamXav 2.7.2 -- Mark Allan が ClamXav 2.7.2 をリリースして、Sentry ファイルモニタのスタート・ストップを ClamXav メニューからできるようにした。この無料のウイルススキャンツールは、Mac OS X 10.6 Snow Leopard、10.7 Lion、および 10.8 Mountain Lion で起こっていたスケジューラ関係のクラッシュを修正するとともに、アニメーション付き Dock アイコンが Mac のプロセッサを「過度に」使用していた問題も修正している。Sentry は今回から Fast User Switching に対応し、ログの中で正しいタイムゾーンの日付と時刻を表示するようになり、Snow Leopard での安定性を改善し、ClamXav の環境設定で指定されている除外設定と電子メールスキャン設定に正しく従うようになった。現在 Mac App Store 版がバージョン 2.6.4 のままであることに注意したい。(無料、21 MB、リリースノート、10.6+)

ClamXav 2.7.2 へのコメントリンク:

Logic Pro X 10.1 -- このプロフェッショナル向けオーディオアプリにさらなるファンク(と EDM とヒップホップ)の風味を付け加えて、新しい Drummer および Drum Machine Designer プラグインを装備した Logic Pro X 10.1 を Apple がリリースした。新しい 10 個の Drummer は Techno、House、Trap、Dubstep などさまざまのスタイルでビートを作ることができ、Drum Machine Designer はドラムキットのいろいろなピースをミックス・マッチ・スワップしつつ、カスタマイズした電子的キットを組み立てることができる。(新機能ページで、新しいビートのサンプルがいくつか聴ける。)今回の大幅なアップデートではまた、拡張された波形テーブルオシレータを使ってカスタマイズした波形を作れる Retro Synth を追加し、Compressor プラグインをプロ用スタジオのコンソール風 VCA フェーダー(およびスケール可能で Retina 対応のインターフェイス)を付けて再デザインし、Note Repeat および Spot Erase のモードを改良してクラシックなドラムマシン風のテクニックでリアルタイムのビートを作れるようにし、Piano Roll エディタに Brush ツールを追加してマウスのジェスチャー一つで一連の音符を作成または削除できるようにしている。また、Logic Pro X 10.1 では OS X 10.10 Yosemite 上で Mail Drop と AirDrop に対応し、ムービーへオーディオを書き出す際に最近使った設定を記憶するようになり、別プロジェクトからトラックを読み込む際に Track Stack 内の個々のトラックを表示するようになった。(Mac App Store から新規購入 $199.99、無料アップデート、1.05 GB、リリースノート、10.8.4+)

Logic Pro X 10.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 1 月 26 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Super Bowl を無料視聴できる方法、長年にわたって iOS がどのように進化してきたか、Dropbox を使っている人がなぜ Leopard からアップグレードすべきか、MacKeeper を避けるべき理由、どのハードドライブに最も信頼性があるかの調査結果、といったことが分かる。

ケーブルテレビ契約を解除した人も Super Bowl が無料視聴できる -- 嬉しいニュースだ。NBC が、Super Bowl Sunday に 11 時間分のコンテンツを無料で視聴できるようにする。有料テレビの購読は必要ない。この "Super Stream Sunday" と呼ばれる催しは 2015 年 2 月 1 日の東部標準時の正午に始まり、Super Bowl のゲーム中継、ハーフタイムショウ、ゲーム前およびゲーム後の番組、それに "The Blacklist" のエピソードも含む。NBCSports.com を通じて、または NBC Sports Live Extra アプリを使って視聴できる。[訳者注: 米国在住のユーザーのみが対象です。]

コメントリンク: 15357

インフォグラフィックで iOS の進化を語る -- 英国のオンライン小売店 7dayshop が、iPhone OS 1 から (iOS と呼ばれるようになるまでにはその後数年を要した) iOS 8 に至る iOS の進化をビジュアルに表現した長大なインフォグラフィックを作った。最も注目すべきは、個々のバージョンにおけるデフォルトのホーム画面の画像があること、また Apple の主要な iOS アプリのデザインが時とともにどう変化してきたかが示されていることだ。このリンクを教えてくれた Khoi Vinh に感謝したい!

コメントリンク:15360

Dropbox が Leopard を捨てる -- Dropbox をとても古い Mac との間の同期に使っている人には悪いニュースだ。2015 年 5 月 18 日をもって、Dropbox は Mac OS X 10.5 Leopard に対応しなくなる。Dropbox のウェブインターフェイスは引き続き使えるが、Dropbox アプリ(従って Finder との統合)は働かなくなる。

コメントリンク: 15358

なぜ MacKeeperを避けるべきか -- システムメンテナンスユーティリティの MacKeeper について聞いたことがあるだろうか。これは、あなたの Mac をスムーズに走らせるためのユーティリティと称している。独立の Apple リテール店でも働く iMore の Peter Cohen によれば、MacKeeper は避けた方が良いという。Cohen が指摘するのはこの会社が使っている怪しげなマーケティング戦略と、Mac に不安定な挙動を引き起こすことがある点、それからアンインストールが非常に困難だという点だ。

コメントリンク:15356

ハードドライブの信頼性、その一年後 -- 去年、オンラインバックアップサービスの Backblaze がハードドライブの信頼性に関する内部的データを公表した。今回、同社は新たな調査結果を加えてそのデータを更新したが、そこには驚くような結果も含まれている。彼らの新たなテストでは、3 TB ドライブ、とりわけ Seagate 製のものは、他の容量のものに比べて著しく信頼性が劣るという結果が出た。価格に比べて最も信頼性の高いドライブは Seagate 製の 4 TB ドライブであった。

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