TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1267/06-Apr-2015

今週号の TidBITS には実用的な、プライバシー関係の話題が満載だ! Josh Centers はプライバシーを保持するためのハウツー記事を二つ書いた。一つは Verizon Wireless の "supercookie" をオプトアウトする方法の説明で、もう一つは無分別な tweet 返信に付きまとわれる前に自分の Twitter 履歴を消去する方法についてだ。TidBITS 会員向けには Joe Kissell の "Take Control of Security for Mac Users" の最後から二番目の章が、OS X のプライバシー設定を解説する。プライバシーの範疇からは外れるが、Michael Cohen は新しく出た Steve Jobs の伝記本 "Becoming Steve Jobs" を Jobs 公認の伝記本 "Steve Jobs" と比較する。Julio Ojeda-Zapata が今週また記事を寄せてくれ、小規模企業向けのデバイス管理サービス Bushel を検討する。最後にもう一つ大切なお知らせがある。近く発売される Mac 用 Photos の事前展望が、Jason Snell の電子ブック "Photos for Mac: A Take Control Crash Course" の事前リリースで読める。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Evernote 6.0.8、iFlicks 2.2、Fantastical 2.0.2、TweetDeck 3.9.482、LaunchBar 6.2、それに ChronoSync 4.6 と ChronoAgent 1.5.1 だ。

記事:

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"Photos for Mac: A Take Control Crash Course" で、先駆けをしよう

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple が iPhoto と Aperture を来たるべき Photos for Mac で置き換えると発表してから 10 ヶ月も置き去りにされていた我々の地獄もようやく終わろうとしている。Photos はついにその顔を OS X 10.10.3 Yosemite で見せ、今は公開ベータの段階であるが、今後数週間内にリリースされと我々は見ている。しかし、あなたの掛け替えのない写真ライブラリを直ちに Photos に任せてしまって大丈夫であろうか? そして、もしそうした場合、使えなくなる能力は何であろうか? これらに対する早番の答えが、我々の新しい "Photos for Mac: A Take Control Crash Course" の中にある。執筆者は Jason Snell で、彼は以前 Macworld の論説員であり、今は Six Colors で同じ仕事をしている。

公開ベータに基づき、この早朝版の "Photos for Mac: A Take Control Crash Course" は、現在ベータを走らせている人、或いは Photos 1.0 が出たら乗り換えようと思っている人に対して、移行のことを考え始める手助けをし、そして助言を提供する。現時点では、この中身のぎっしり詰まった 30 頁の本は以下のことであなたのお手伝いをする。

Photos 1.0 が出荷され、そして我々側でも時間をかけてそれを完全にテストし、そしてその秘密を引き出せたら、無料のアップデートをリリースする予定で - 恐らく 5 月には - その時には、この本の厚さも倍以上になっているであろう。追加される題目は次の様なものである:

他の Crash Course と同じ様に、この本も内容は簡明に纏められているので、手早く読めるし、全ては現代の雑誌風なレイアウトの PDF に納められていて、EPUB や Mobipocket にも変換しやすい形態となっている。個々の章の最後には、討論と共有のボタンが付いており、質問をしたり (1.1 アップデートに反映させて欲しい質問をどんどん寄せて欲しい!)、或いはその章を Facebook 友人、Twitter フォロワー等々と共有するのも簡単である。

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"Take Control of Security for Mac Users" の Chapter 11、入手可に

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

セキュリティとプライバシーの間の線は良くて曖昧であり、そしてこの二つは表裏一体の関係でもある。あなたの Mac のセキュリティを良くすれば、往々にしてあなたのウライバシーも良くなり、そしてある種のデータを自分だけのものにする事は、セキュリティを維持する基本的なステップの一つでもある。と言う訳で、"Take Control of Security for Mac Users" の Chapter 11, "Keep Personal Data Private" で、Joe Kissell は以下のことに焦点を当てる:Mac を他の人と共有することの意味するもの、インターネットを使う時に直面するプライバシーのリスク、そしてどの様にしたら自分の通信を自分だけのものにしておけるかである。最後に、彼は OS X の主たるプリバシー関連の設定の概要を提供する。

"Take Control of Security for Mac Users" を読み始めたばかりの人のために言っておくと、最初の 2 つのチャプティクルは誰にでも読んで貰えるが、残りの章は TidBITS 会員限定である。これら優しい心の持ち主は、その他の特典も受けるが(我々の RSS フィードの全テキスト版の様な!)、最も重要なのは、皆さんが今日 TidBITS を読んでおられるのは TidBITS 会員のお陰であることである - 彼らの寛大な支援無しでは出版を続けることは出来なかったであろう。もし既に TidBITS の会員なのであれば、申し込んだ時のメールアドレスを使って TidBITS サイトにログインし、これらの章を読み、そしてコメントして欲しい。

これは最後から二番目の章となるので、次の章が完成しそして我々の最終校正が終了したら、"Take Control of Security for Mac Users" 電子本は、完成版として PDF, EPUB, そして Mobipocket (Kindle) フォーマットにて一般向けに売り出される。

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Verizon のスーパークッキーに "要りません" と言う方法

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Verizon Wireless のいわゆる "スーパークッキー" に係わる論議には沢山の仮想インクが費やされてきた。これはおいしそうに聞こえるかもしれないが、実際にはあなたのプライバシーに対する脅威であり、そして Verizon の顧客もようやくこれを断る選択を出来る様になった。

通常の Web クッキーは皆さんにもおなじみだと思う。これは、皆さんのブラウザが情報を保持することで蓄積される小さなデータの塊である。クッキーは多くの場合、Web サイトをより使い易くするために使われる。例えば、起動し直してもある Web サイトにログインしたままにするとか、買い物をする間中オンラインカートの中身を保持するとかいった類いのものである。しかしながら、クッキーはもっと非建設的な目的にも使われる。例えば、あなたに狙いを絞った広告を提供するためにあなたのオンライン行動を監視するといったものである。皆さんは、クッキーが使われるもの全てが嫌いだと思われるかもしれないが、これ無しで生きるのは結構大変である。多くの Web ブラウザは "第三者クッキー" (広告ネットワークで使われる様なもの) を阻止する手助けを提供しているし、 Disconnectの様なブラウザプラグインを使えば、より多くの望まないクッキーを阻止する一方で、有益なものは許可することが出来る。

では Verizon のスーパークッキーを違うものとしているのは何であろうか? それは、あなたが訪れた Web サイトによって作られるのではなく、Verizon 自身によって作られている。それは、あなたが Web サイトを読み込むための HTTP 要求全てに固有の認識番号を挿入する形を取っていて、その番号は Unique Identifier Header (UIDH) と呼ばれている。Verizon Wireless は 2012 年にこれらのスーパークッキーを設定し始め、そして同社はその結果のデータを広告主に売り、広告主はそれを使って広告をあなたに向けたものにする。これは、言ってみれば、あなたの電話会社があなたの通話に聞き耳を立て、折りを見て割り込んできて特別提供を案内してくるという様なものである。

スーパークッキーは、次の様な理由で、通常のクッキーよりもたちが悪い:

  1. 標的広告が増える以外の利点は提供しない。
  2. 挿入するのは Verizon であり、あなたはもう既にサービスに対する対価はそこに対して支払っている。
  3. スーパークッキーは削除出来ない、或いは、ブラウザのプライバシーモードでは回避出来ない。
  4. Verizon が UIDH を挿入するやり方のせいで、第三者はそれを傍受したり、 あなたのオンライン行動を監視するために使うことが出来る。

米国上院からの圧力もあって、Verizon は今や、顧客がスーパークッキーを止める選択をするのを許している。

やり方は次の通り:

  1. あなたの Verizon Wireless アカウントにログインする。
  2. 自動的に誘導されなければ、My Verizon をクリックする。
  3. 左のサイドバーにある Manage Privacy Settings をクリックする。
  4. Relevant Mobile Advertising の下にある "No, I don't want to participate in Relevant Mobile Advertising" と書いてあるコラムを探し、そのコラムの下にある電話回線を個別に選択するか、或いは Select All をクリックする。
  5. Save Changes をクリックする。

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もし Relevant Mobile Advertising の下に何も見えなければ、あなたの広告ブロッカーがその設定を見えなくしている可能性がある。それを不能にするか、或いはその特定の頁に対してだけそれを不能にし、そして再読み込みする。

自分のプライバシー設定を見直している間に、Verizon Wireless があなたの Customer Proprietary Network Information Settings を共有し、そしてあなたのモバイル利用情報を Business & Marketing Reports のために使うことを断る選択もすることを考えても良いかもしれない。

これを電話でやることも出来る。そのやり方は:

  1. 1-866-211-0874 に電話をする。
  2. あなたの Verizon Wireless 電話番号を入力する。
  3. あなたの請求アカウントパスワードを入力する。
  4. 3 を押して、Business & Marketing Reports と Relevant Mobile Advertising の両方に対するプライバシー設定を編集する。
  5. そのアカウント上の全ての回線に対して断る選択をするには、2 を押す。

アカウント所有者は、そのアップデートされたプライバシー設定を確認する無料のテキストメッセージを受け取るはずである。

この断り申し入れが働いているかどうかどうやったら確かめられるか? 自分のモバイル機器を手にし、Wi-Fi を不能にし、そしてセルラーインターネット経由で amibeingtracked.com に行く。Test Now をタップすると、そのサイトは、あなたの Web ブラウジングを Verizon が追跡しているかどうかを知らせてくれる。

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Verizon が私に話してくれた所によると、そのアップデートされたプライバシー設定が効力を発揮するまでに一週間程度かかることがあるというので、スーパークッキーが直ちに消え去っていないからと言って、パニックに陥らない様に。

もし他のキャリアを使っている場合でも心配すべきであろうか? 少なくとも、米国内では、心配はいらないであろう。AT&T もスーパークッキーを試験していたことがあるが、昨年止めるつもりだと発表したし、我々のテストでも確認出来た。他のメジャーキャリア、Sprint や T-Mobile と言った所も、スーパークッキーを使っているとして知られたことはない。そして Verizon Wireless が集めた悪評からして、今後これが表に出てくることはないのではなかろうか。

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Twitter で自分の跡を自動的に消す方法

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Twitter は大惨事の原因となる。140 文字までという制限が、実際上あなたに短い生煮えの考えを公表せよと働きかける。そこに組み合わさるのが Twitter の公共的性格と世界に広がるネットワーク効果だ。結果として、たった一つのまずい tweet があなたの人生を台無しにすることもあり得る。けれども時には、考えなしのコメントなどしなかったユーザーに Twitter 群衆が殺到することもあり得る。あの Gamergate 論争(アリの種類の Gamergate と混同してはいけない)で照準器を向けられた人なら、誰もが分かっているだろう。

理想的には、私たちは皆 Twitter を一切使わないようにするのが良いのだろう。Saturday Night Live の賢明なるプロデューサー Lorne Michaels も、かつて皮肉を込めて「私が tweet しない理由は単純だ、それは私が酒を飲むからだ」と言った。けれども、私たちの大多数は人から注目されることに依存して生計を立てているので Lorne Michaels と同じ贅沢はできない。一人の人を姿をくらますまでに追い込んだその同じ Twitter 群衆が、別のもう一人の人の仕事を世界中の聴衆に伝えることもある。もしも Twitter がなかったなら、私は初期のブログ記事を宣伝することもできず、新しい記事のアイデアを売り込むこともできずに、今この TidBITS で働いていることもなかったろう。

Twitter にはもう一つ問題がある。書き込まれる tweet はそれを考え付いた瞬間を反映したものであって、多くの場合上手に年を取ることができない。短い一つの tweet がそれに賛成して話を広げる多くの tweet に囲まれるかもしれないが、その後何年も経ってから見れば、それは全く違ったメッセージを伝えるものとなるかもしれない。

このような Twitter のもろ刃の剣をおそらく誰よりもよく理解しているのが Trevor Noah だろう。今年の後半に Jon Stewart が引退して 彼が The Daily Show の舵取りを引き継ぐ ことになっている。私たちの多くと同じく、Noah も自分の仕事を人々に知ってもらうために Twitter を使っている。彼をフォローする人の数は 2009 年 9 月は 2 千人ほどだったが、今は 2 百万人を超えている。けれどもこの Daily Show の発表があった後で、物好きな人たちが 過去に彼が書いた下品な tweet を探し出し、これが大騒ぎを引き起こしてしまった。 Comedy Central は彼を支援しているが、彼の新しいキャリアはスタートから雲行きが怪しい。

もちろん私たちの大多数はテレビのスターではないが、彼のケースに似た悪い方向で Twitter が私たちのキャリアに影響することはあり得る。危険があるにもかかわらず、多くの人々は手を切ることができない。では、どんな対策があるのだろうか?

いわゆる「tweet 削除ツール」は、指定した時間が経った tweet を自動的に削除するスクリプトやサービスを使うことで妥協策を見つけたと思っている。CBC Radio プロデューサー Matthew Lazin-Ryder が Fusion の Kevin Roose に語った通り「私はメモ帳に落書きしたものをラミネート加工して額に入れておいたりしない、いったいなぜ tweet をいつまでも保存しておきたいなどと思うだろうか」という訳だ。

もしあなたも tweet 削除がしたいなら、その役に立つツールがいくつかある。最もシンプルなものの一つが無料の iPhone アプリ Xpire だ。これはあなたの Twitter アカウントで次の四つの便利なことができる:

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しかしながら、Xpire には一つ大きな欠点がある。それは Twitter の API における制約によるもので、やり取りできるのが最近の 3,200 個の tweet のみに限られている。また、Facebook とも働くと称しているが、私がその機能を使おうとしてもうまく行かなかった。Xpire は Tumblr にも対応しているが、私は公開の Tumblr アカウントを持っていないのでテストできない。

もう一つ別の無料のアプリが、ウェブ上にある TweetDeleteだ。これも、あなたの tweet をすべて削除でき、新しい tweet は指定した時間が経てば自動的に消去されると主張する。これも、3,200 個の tweet までという制約から逃れられない。

全部ぶっ潰して一からやり直す方が好きな人には、 Twit Wipe サイトがあなたの Twitter からほとんどすべてを削除すると主張する。tweet、お気に入り、retweet は消されるが、あなたがフォローしている人と、あなたをフォローしている人のリストはそのまま残る。

たとえあなたの古い tweet を削除したとしても、それがどこか別の場所にアーカイブ保存されているかもしれないという事実を忘れてはならない。 Topsy などのサービスが、検索と分析の目的で tweet をアーカイブ保存している。ただ、Twitter 自体から tweet を削除すれば少なくとも見つかりにくくはなるかもしれない。

さて、ご自分の Twitter 履歴を丸ごと吹っ飛ばす前に、後世に残すためそれを保存しておきたいと思うかもしれない。ありがたいことに、Twitter にその機能が内蔵されている。次のようにすれば使える:

  1. あなたの Twitter アカウント設定を開く。
  2. Account の下の Request Your Archive (全ツイート履歴をリクエストする) をクリックする。

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ダウンロード用のアーカイブがコンパイルされるまでにはしばらく時間がかかるだろう。準備ができれば、Twitter が電子メールでリンクを送ってくれる。データは Zip ファイルとして届き、その中には CSV ファイル(スプレッドシートやデータベースに読み込める)と、JSON アーカイブ(ウェブブラウザの中で表示する)が両方とも含まれている。

未来は足跡を残さない -- この気まぐれなソーシャルメディアの分野で生き延びようと戦い続ける一方で、Twitter は現行の公開 API の制約を受けない独自の自動 tweet 削除機能を提供することを考慮する必要があると思う。

次世代のソーシャルメディアは、明らかにその方向に進んでいる。ティーンエイジャーたちの多くは Twitter アカウントを持たないか、持っていてもめったに使わないが、彼らの多くは Snapchatを使っている。Snapchat は、読まれた後のメッセージを削除する。Snapchat も完璧ではない(簡単にスクリーンショットを撮れてしまう)が、その自動削除機能は多くの状況で理想的だ。

Twitter も既にこのことを知っているはずだ。Twitter 独自のビデオサービス Periscope は 24 時間後にビデオを自動的に削除する。(2015 年 3 月 27 日の記事“Meerkat の天敵 Periscope、Twitter に登場”参照。)

これは単なる常識の問題だ。結局のところ、Twitter が世界の酒場であるなら、酒場での会話を常時アーカイブ保存して欲しいと思う人などいるだろうか?

同社はそのような機能を提供したがらないかもしれない。会社としてはできるだけ多くのデータを持ってそれを広告主に販売できるようにしたいだろうからだ。けれども tweet が公開のものである限り、同社がそこからどんな意味でも好きなように抽出できるのだし、そもそも広告主たちは現在のデータに興味があるに違いない。私が 5 年前に tweet したことに基づいて私に何かを売りつけようとして、何の意味があるだろうか?

ソーシャルメディアのビジネスモデルは、そのすべてが信頼に依存する。ユーザーたちは、一つには害を及ぼしかねないやり方で自分のデータが販売されたりしないことを信頼しつつ、もう一つにはまずい発言をしてもそれがはね返って来て自分の人生を台無しにしたりしないことを信頼しなければならない。

それはそれとして、tweet する前によく考えること(tweet するなら飲むな)を心に刻もう。私の tweet をフォローしたければ @jcenters へどうぞ。それらの tweet が、煙のごとくパッと消え失せるまでの間は。

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対決! 二冊の Jobs 本

  文: Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

「真理とは何か? 冗談のごとくピラトは尋ねたまま、答を待とうとしなかった。」-Francis Bacon, 1601, "Of Truth"

2015 年 3 月 24 日に、Brent Schlender と Rick Tetzeli の書いた新刊書 "Becoming Steve Jobs" が米国で発売され、Apple 関係の他のありとあらゆるものと同様、ビジネス関係とテクノロジー関係の報道で大いなる注目を浴びた。でもそれはそうだろう。この本には人の気を引く仕掛けがいくつもある。秘密主義の Apple、気まぐれな Steve Jobs、真理への戦い、といったことだ。

戦線からの特報 -- Stephen Levy はこの本を「Steve Jobs が誰であったかをめぐる戦い」と表現した。2011 年に Walter Isaacson が出版したもう一つの伝記本 "Steve Jobs" について、Steve Jobs に最も近い友人、家族、同僚たちは「Apple CEO として最悪の言動のみに焦点を当て過ぎているし、彼らが知る人物の全方向からの眺めを提供していない」とずっと感じてきたと Levy は説明する。

そして今、彼らは反撃に出た。Apple の重役たちや、(Apple の Tim Cook と Jony Ives、Pixar の Ed Catmull、Jobs 未亡人 Laurene Powell Jobs など) Jobs に親しかった人たちは、Schlender と Tetzeli のインタビューに応じて Jobs について語ったのみならず、他の人たちにもそうするよう積極的に勧めた。そこに会社としての Apple も加わって、この本に関する公式声明を New York Times に掲載し「私たちも参加することができて嬉しく思う」と述べた。Schlender-Tetzeli の本の宣伝広告ページ冒頭では、Ed Catmull の発言抜粋が「こちらの方が決定的な歴史として認められることを期待したい」と挑戦的に語っている。

どうやら、歴史が争点のようだ。Isaacson は Jobs 本人から伝記を書くよう依頼されたのであって、Jobs は何十回も個人的なインタビューに応じ、まさに彼が死につつあるその時にもそれは続いていたのだったが、今の Isaacson が少々窮地に悩んでいたとしてもそれを責めることはできないだろう。

一つは伝記 -- 誤解のないように言っておくと、Isaacson は決して汚れ仕事の暴露本を書くつもりもなかったし、そんな本を出版した訳でもなかった。彼は、 Albert EinsteinBenjamin Franklin について書いたのと同様に、標準的な伝記、つまり、できる限り裏付けのある事実を元にしつつ歴史的人物の生涯の詳細な説明を書いたのだった。

その上、これは公認された伝記、つまり Jobs 本人に依頼されて書かれたものであり、彼に与えられた要約の中には(あとになって完成した本を批判した)Laurene Powell Jobs さえも次のように語った内容が含まれていた:

彼の生涯と人柄の中には、極めて厄介な部分もあります。[中略] それを見て見ぬふりすべきではありません。彼はものを一ひねりすることに秀でていましたが、その一方で彼には驚くべき話もあります。私は、そういうことも含めてすべてがありのままに語られることを願います。

だから、この本には、対象者の生涯における事実をできる限り客観的に表現する(成功した伝記はすべてそうでなければならない)こと以外に明確な意図はない。しかしながら、Isaacson の本は単なる報道記事ではない。彼は、これが「革新についての本」であると述べている。それは彼にとって大きな興味のある話題であり、彼はこの本が「革新、人柄、リーダーシップ、価値についての教訓」を提供するとも述べている。けれどもそれらの教訓は、大体において、呈示された事実をもとに読者が自分で引き出すべきものだ。

伝記を書く者は、伝説を切り分けて、その伝説を生じさせた基盤となる事実を掘り起こし、しかもその際に加える論説は最小限にしなければならない。とりわけ、Steve Jobs のように論争の的となり多くの伝説を生んだ人物の伝記を書く場合はなおさらだ。Isaacson の名誉のために言っておくと、彼はまさにそのことをしようと試み、そして、大体において彼はそれに成功している。

この本がまさに完成しようとしているところで Jobs が死んだのは Isaacson にとって運が悪かった。そしてさらに運が悪かったのは、Jobs の周辺の人たちが初めて原稿を目にしたのが葬儀のほんの数日後で、Jobs を愛した人たちの誰一人として、彼の美点も欠点も丸見えにして書かれた明敏な評価など見たくもなければ見る必要もなかったという事実だ。彼の死が、その人たち自身の生活の中でまだ生々しく傷口を開いていたのだから。

一つは教養小説 -- それとは対照的に、Brent Schlender と Rick Tetzeli には権威ある伝記を書こうという意図はない。彼らが目指したのはどちらかと言えば小説風の意義だ。例えば、この本は共同執筆によるものではあるけれども、Schlender の一人称視点で書かれている。そしてそこには、はっきりとした意図が伴っている。それは、Steve Jobs がいかにして「人生を転換させてビジョンを持つ現代の最も偉大な指導者となったか」を説明するという目的だ。もしもこれが実際の小説であったならば、それは 教養小説 と呼ぶべきもの、時代の到来と、主人公の教育と人格形成とを描いた小説となっていただろう。

その目的のために、この本は歴史的な細かな事実を軽く扱い、本が意図するものを裏付けるのに相応しい事実や出来事のみを選び適切に配置している。その典型的な例が、若い Jobs が初期の Apple Computer のためにどのように支援を得たかの説明に見られる。Schlender と Tetzeli の本では、Jobs はずうずうしさと粘り強さを発揮して「疲れを知らぬかのように」Silicon Valley の専門家たちに「一度に電話一回と面会一回ずつ」尋ね歩き、ついにあの「マーケティングの達人」Regis McKenna と知り合いになることができて、彼を通じて他の Silicon Valley の面々とも繋がりができ、その人たちが Jobs のまだ生まれたての事業を育てる援助をしてくれた、と書かれている。それに対して Isaacson が綴ったもっとはるかに詳細な物語では、McKenna が登場するのは比較的後になってからで、Schlender と Tetzeli が語るよりずっと遠回りをして出会っている。けれども そちらの 語り口では Jobs の英雄的な粘り強さは際立たないし、Jobs の物語であるのと同程度に当時の Silicon Valley の文化に関する物語になってしまう。

同様に本の後半では、iPod の発表がまぎれもない成功であり「テクノロジーライターも、レビュー筆者やその他の専門家たちも、Apple が宣伝していないような機能さえ絶賛する記事を書いた」という風に描いている。確かに、このデバイスは大体において好評を得たけれども、感銘を受けた人たちでさえ(例えば、2001 年 10 月 29 日の記事“iPodで音楽をもっと魅力的に”を書いた Jeff Carlson でさえ)この初代のデバイスの持ついろいろの制約や高過ぎる価格に触れていたし、懐疑的であった人たちも大勢いた。しかしながら、そのようなことを盛り込めば、本のその時点で構築されつつあった英雄的な物語の流れには合わなかっただろう。

実際、この本は正確な情報には全く関心がない。細かな点で事実と異なるところがあるのも、それが理由かもしれない。例えば、初代の Apple 1 に搭載されたのは 6502 プロセッサであって、Schlender と Tetzeli が言う "6800" ではない。また初代の Macintosh の色は「アイボリー」ではなくベージュ色(正確に言えば Pantone 453)であったし、iPad 2 には背面カメラにフラッシュが搭載されていなかった。

でも、その種のささいな間違いは重要でない。Schendler は、記者ではあるが、Jobs が友人と思っていた人物であり、頻繁に Jobs の家を訪問して彼と彼の家族に会っていた。Isaacson と違って、彼は Jobs の人生の後半で公的にも私的にも大きなイベントの多くを直接目撃してきた。Jobs を親しく知っていて、人間としての彼の人となりを理解していた。なので、多少小説化された語り手 Schendler の言葉で綴られるこの本は、伝記であると同時に親密な思い出であり、自らのよく知る男の内面を描き説明しようと試みた回想録なのだ。

そして、Isaacson のプロジェクトに言えるのと全く同じように、Schlender と Tetzeli のプロジェクトもまた、大体においてそれに成功している。

いくつもあってよい -- Steve Jobs が誰であったかをめぐる戦いがあるのだとすれば、ここは停戦を呼びかけるべきところだろう。どちらの本にもそれぞれ独自の価値があり、またそれぞれに足りないところもある。

Isaacson の本は、Steve Jobs について、彼の人生と時代について、そして彼自身による後年の回顧について、十分な調査と、注釈付きの詳細情報を豊かに網羅したものを読みたい人にとっては必須の読み物だ。もちろん完璧な本ではないかもしれないが、誠実に作られており、手始めとして良い本だ。

一方、思いの込められた文章で、ある意味推測的な点も多いが、最も近しい人たちから不滅の尊敬と愛情を得るに至った Jobs の人柄を描き出し、(実際かなり意図的に) Hero's Journey になぞらえて語ったものとしては、Schlender と Tetzeli の本こそ現在入手できるものの中でベストだろう。Apple や Jobs に近しい人たちがこちらの本を宣伝したいと思うのも無理からぬことだ。

(ちなみに、原型的なヒーロー伝説は Schlender と Tetzeli の側のみの思い付きではない。Isaacson もまた、Jobs の人生が奇妙なほどヒーロー伝説の構造に一致していることを認めている。Isaacson の本の序章で Shakespeare のヘンリー V 世に言及しているところを読めばそれと分かる。)

いずれにしても、Jobs をめぐる事柄は、これら二冊の本の両方を含み、それでもまだ含み足りない。どちらの本も「真なる唯一の Jobs」を完全には捉え切れていない。彼は私たち人間一人一人と同様に、たった一冊の本よりもっと複雑で、ずっと多くの様相を含んでいる。

「ここは、西部ですぜ、旦那。伝説は、事実となった時に、書き記すものですぜ」-映画 "The Man Who Shot Liberty Valance"[邦題:リバティ・バランスを射った男]より

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ITbits: Bushel が小さな会社の Apple デバイス管理を援助

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

正気な IT 管理者ならば、個別に Mac や iOS デバイスをセットアップして、個々のデバイスごとに一つ一つソフトウェアをインストールしたり、各種設定を組んだり、ユーザーを組織のサービスにログインさせたりすることなどあり得ない。まさにその目的のために、パワフルなデバイス管理ツールが存在するのだから。その種のツールがあれば、多くの Apple デバイスを効率良く一斉に設定し、監視し、維持することができる。

大規模な組織の多くは、JAMF Software の Casper Suite を使っている。これは企業グレードのツールキットで、会社や政府機関、あるいは学区などで多数の Mac や iOS デバイスが管理できるように作られている。

けれども JAMF は最近になって、もっと少数の Apple デバイスしか管理する必要のない小規模の組織にとって Casper Suite では行き過ぎだと気付いた。JAMF 共同創立者の Chip Pearson によれば、混乱した小企業のオーナーからの電話にサポート担当者が何時間も費やしているのを見てそのことに気付いたのだという。そういう人たちにとって、IT は専門職でなく単なる一つの職務に過ぎないのだと、彼は理解したのだ。

そこで、JAMF はもう一度設計図面に戻り、それほど規模の大きくない組織のためのデバイス管理サービスを作った。その名を Bushel といい、これはウェブベースのツールキットで、(数百個、数千個ではなく)数十個の Apple デバイスの配備を管理するためのものだ。

Bushel は Casper Suite に比べればはるかに単純で、JAMF はアカウントあたり 3 台までの Apple デバイスについては Bushel を永久に無料で使えるようにしている。これなら、デバイス管理の手始めとしては十分だろう。それより多いデバイスには 1 台あたり月額 $2 がかかる。長期契約の要件はない。

昨年後半にリリースされて以来、私は Bushel を広範囲にわたりテストしてきた。自分が小規模ビジネスのオーナーになったつもりで、このサービスを使って少数の Mac と iOS デバイスを管理してきた。楽しい経験ではあったが、その過程で一つのことが明らかとなった。Bushel は(たとえどんなオタクであろうとも)コンシューマ向けのものではない。誰でも使ってみることは可能だけれども、これは個人ではなく組織のために作られている。

まず手始めに -- Bushel の主要な強みの一つはウェブベースであることだ。その点、通常は会社のサーバにソフトウェアをインストールすることを必要とする Casper と違う。基本的に Bushel はウェブアプリで、現代のコンピュータやモバイルデバイスのほとんどすべてでブラウザ経由のアクセスができる。

Bushel を使うには、Apple デバイスを最初に「登録」しておかなければならない。会社の IT 管理者がこれをすることもできるし、オープン登録プログラムを通じて許可を得さえすれば従業員たちが登録することもできる。登録するには、ただログインしてから、その Mac または iOS デバイス上に Bushel 証明書を作成するためのソフトウェアを少しインストールするだけでよい。

いったんデバイスが登録されれば、それが Bushel のウェブコンソールに現われる。これもまた、このサービスの強みだ。このコンソールはシンプルで、遊び心のあるデザインになっているからだ。(当初このコンソールはシンプル過ぎたが、JAMF はその後着実に改善を加えた。)登録された個々のデバイスは、そのハードウェアタイプを示すアイコンの付いたカードで示される。ここにはよく目立つ Enroll This Device ボタンもある。

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ドーナツ型の記号で、それぞれのデバイスが適切に登録されているかどうか、ストレージボリュームが適切に暗号化されているかどうかなどが一目で管理者に分かる。ドーナツ全面が緑色ならば、すべてがうまく行っているということだ。ドーナツに赤い部分が少しでもあれば、デバイスのどれかに問題があると分かる。その場合、管理者はデバイスのカードにさっと目を通して、緑の「すべて正常」を示していないのがどれか調べることができる。

機器カードの一つをクリックすれば、それに対応する Mac、iPhone、あるいは iPad についてのデータがたくさん表示される。例えば私の MacBook Pro では、どのバージョンの Mac OS X がインストールされているか、このコンピュータの保証の状況、FileVault が有効になっているかどうか、ストレージの空き容量、その他が示される。このデータは、管理者たちが組織の全デバイスを掌握しているために非常に大きな役割を果たす。

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その IT 管理者がセキュリティ方針を実装することもできる。例えばパスワードやパスコードを要求したり、iOS デバイス上で iCloud 機能を制限したり、Wi-Fi 設定を測定したりなどができる。

アプリと電子メール -- Bushel は、小さな会社の悩める IT 管理者の(おそらくそれを他の多くの職務と兼任している)仕事を楽にするためにデザインされている。私が見る限り、その点でなかなかうまく働くようだ。

まず第一に、Bushel は Mac と iOS のアプリのインストールを自動化する。マウスを一度クリックするだけで、私が Bushel に登録したすべての iOS デバイスに、さまざまのアプリをインストールできた。すべてを一度にだ。後になってさらなる iOS デバイスを登録した際には、私の Bushel インストールリストにあるアプリがすべて自動的にそれらのデバイスにインストールされた。

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私はいろいろな種類の Apple 機器(Mac 3 台、iPhone 3 台、iPad 1 台)を使っているので、数多くのアプリインストールを自動化できるのは非常に大きな時間の節約になる。

けれども、私がこのアプリインストール機能をフルに使いこなせるためには、Apple のビジネス向け Volume Purchase Program教育向けプログラムもある)にアクセスできる必要がある。組織がアプリを一度に購入して、異なるアカウントに結び付いた複数の Mac や iOS デバイスにそれらのアプリをインストールするサービスだ。この制約が、Bushel が個人での使用に向いていない理由の一つだ。

ただ、Bushel には iOS の App Store と Mac App Store へのアクセスが内蔵されているので、管理者が必要とするものを探す助けにはなる。

また、Bushel はデバイス上の電子メールアカウントの設定も自動化できる。管理者が電子メールサービスを Exchange、Google、Yahoo、汎用の IMAP および/または POP アカウントのいずれかを選ぶ。すると、従業員たちのデバイスにそれぞれのユーザ名と雇用主のドメイン名を組み合わせた電子メールアドレスが自動的に設定される。

例えば私の Mac や iOS デバイスでは、私の Google Apps for Work アカウントに付随して [email protected] という電子メールアドレスが Mail アプリにすぐ出現した。

高度な機能 -- IT 管理者たちは、オープン登録プログラムを通じて従業員たちにほとんどの作業をさせることによりデバイスの登録を自動化できる。

ユーザーたちにはある URL が与えられ、それを使えば Bushel サインアップページが開く。彼らがそれぞれのユーザ名と電子メールアドレスを入力すれば(さらにオプションとして管理者が提供するコードを入力させることもできる)彼らのデバイスが迎え入れられる。

管理者はオープン登録プログラムが続く期間を指定でき、指定された IP アドレスのみに登録を制限することもできる。

IT 管理者たちはまた、Apple の Device Enrollment Program (DEP) にサインアップすることもできる。このプログラムに入れば、その組織が購入した Mac や iOS デバイスはすべて、アクティベートされれば自動的に Bushel に登録される。ユーザーたちが素早くデバイスを使えるようにするため、いくつかの基本的なセットアップ手順が省かれるようになっている。この部分もまた、私が Bushel でテストすることができなかったところだ。理由は明らかだろう。

大量 (bushel) の Apple デバイス -- 私は JAMF の Casper Suite を理解しようと試みたことが一度もない。極めて複雑なものだし、個人ユーザーの私にとって無意味なものであることも言うまでもない。

現実的には、Bushel もやはり、私には不要だ。でも、将来必要になるかもしれないとは思う。もしも私が何人かの人たちのグループの責任者になって、彼らの Apple デバイスをすべて管理しなければならないとなれば、必要だろう。もしも私が小さなビジネスを始めるとなれば、真っ先に Bushel を活用したい。

既にそのような立場にいる人たちには、Bushel は素晴らしい恵みとなるのではないかと思う。重要なデバイス管理機能を提供しつつ、機能があまり多くなり過ぎないようにするため、JAMF が懸命の努力を注ぎ込んだことは明らかだ。新規の Bushel ユーザーでさえ、ほんの二時間ほどでこのサービスをマスターできるからだ。全体的に見て、これはシンプルで、理解しやすく、安価だ。それこそ、パートタイムの IT 管理者が自分の他の仕事に戻れることを意味する、絶妙の組み合わせではないか。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 4 月 6 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Evernote 6.0.8 -- Evernote が、社名と同じ名前の情報管理アプリのバージョン 6.0.8 をリリースして、前回のバージョン(2015 年 3 月 14 日の記事“Evernote 6.0.7”参照)以後ユーザーから Evernote フォーラムに報告されたいくつかのバグを修正した。今回のアップデートでは表の上下方向の揃え方が中央合わせでなく一番上に合わせるようになり、添付ファイルをドラッグした際に(移動でなく)コピーしていたバグを修正し、ノートの切り替え後も書式ツールバーが情報ツールバーに切り替わらずそのまま残ってしまった問題に対処し、また同期の最中に起こったクラッシュを修正している。(Evernote からも Mac App Store からも無料、64.6 MB、リリースノート、10.7.5+)

Evernote 6.0.8 へのコメントリンク:

iFlicks 2.2 -- Jendrik Bertram が iFlicks 2.2 をリリースして、数多くのインターフェイス改善を加えた。(2013 年 1 月 10 日の記事“iFlicks、iTunes インポートを改善”参照。)このビデオエンコーディングおよびメタデータ管理アプリはまた、iFlicks が走っていない間にもフォルダを監視する Watch Folder エージェントを追加し、より正確なメタデータ探索を提供するようにし、ビデオ処理を改善(それと同時に同期も改善)し、字幕のフォーマッティング対応を改良し、ローカライズ版を更新している。通常価格は $24.99 だが、iFlicks はこの 4 月中のみ 25 パーセント割引での販売となっている。(Mac App Store から新規購入 $18.99、無料アップデート、17.0 MB、10.8.3+)

iFlicks 2.2 へのコメントリンク:

Fantastical 2.0.2 -- Flexibits が Fantastical 2.0.2 をリリースした。この人気のカレンダーアプリに最近出されたメジャーアップデート(2015 年 3 月 27 日の記事“Fantastical 2、Apple の Calendar の座を狙う”参照)へのメンテナンスアップデートだ。今回のアップデートでは、不正なパスワードを入力した際の iCloud アカウントセットアップを改善し、Exchange ならびにローカルのカレンダー読み込みを高速化し、Google アカウントの追加によるクラッシュを修正し、Today ウィジェットを調整してスケジュール全体を表示する余地がない場合はすぐ起こるイベントのみを表示するようにし、入力フィールドにタイプしている最中に TextExpander が呼び出された際の問題を修正し、CalendarServer と OS X Server に接続する際のアカウントセットアップを改良している。Fantastical 2 には 14 日間無料の試用版があり、現在の定価は Flexibits Store からでも Mac App Store からでも $39.99 だ。当初の値引期間が終わった後は $49.99 となる。(新規購入 $39.99、 Flexibits Store からも Mac App Store からも無料アップデート、12.1 MB、 リリースノート)

Fantastical 2.0.2 へのコメントリンク:

TweetDeck 3.9.482 -- Twitter が Mac 用の TweetDeck 3.9.482 をリリースして、今年ブラウザベースの TweetDeck に盛り込まれた新機能のいくつかを追加した。この Twitter 追跡および仲介アプリは、新しい Teams 機能を利用してアカウントへのアクセスを共有する機能を追加し、グループの中でプライベートに会話するためのダイレクトメッセージ作成のオプションを提供する Group Messaging 機能を追加し、一個の tweet ごとに最大 4 個の画像を追加できるようになり、ビデオやアニメーション GIF のインライン再生に対応した。また、最近 TweetDeck にサインインしていなかった人は元の TweetDeck 認証情報でなく Twitter アカウントを使って TweetDeck にログインしなければならなくなった。( Mac App Storeから無料、3.8 MB、10.6+)

TweetDeck 3.9.482 へのコメントリンク:

LaunchBar 6.2 -- Objective Development が LaunchBar 6.2 をリリースし、多数のバグ修正や改良を加えた。注目すべきは新しい切り分け (staging) 機能だ。このキーボードベースのランチャーで、結果のリストからいくつかの項目をドラッグ&ドロップで選択し、そうやって切り分けられた (staged) 複数の項目を LaunchBar から他のアプリケーションへドラッグできる。今回のアップデートではまた、最近リリースされたカレンダーアプリ Fantastical 2 に対応し (2015 年 3 月 27 日の記事“Fantastical 2、Apple の Calendar の座を狙う”参照)、iCloud Documents や iCloud Drive の索引付けを改良し、Instant Calculate を調整して電話番号と演算式の識別を改善し、Safari のフォームフィールドにクリップボード項目がペーストできなかったバグを修正し、AppleScripts のバックグラウンド実行を改良し、Clipboard History が働かなくなった問題を修正している。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、9.8 MB、 リリースノート、10.9+)

LaunchBar 6.2 へのコメントリンク:

ChronoSync 4.6 と ChronoAgent 1.5.1 -- Econ Technologies が、ChronoSync 4.6ChronoAgent 1.5.1 をリリースして数多くの拡張や修正を加えるとともに、前者には十数個の新機能を追加した。ChronoSync での最も大きな追加は SmartScan 機能だ。これは、ボリュームを分析して変更を見つけ出すための高度なアルゴリズムだ。ファイルのコピー自体は速くなっていないが、Chronosync によればどのファイルをコピーすべきかを SmartScan がうまく探知できるので大幅な速度向上が期待できるという。この同期およびバックアップ用アプリではまた、チェックサムデータ検証が追加されて(特に低速接続での)パフォーマンスが向上し、スケジュールの新たなオプションが加わり、OS X 10.10 Yosemite でのユーザーインターフェイスが改善され、Finder タグに基づいてファイルを含めたり除外したりするルール、ローカルに付属するドライブをマウントしたりアンマウントしたりする機能、さらには $2.99 の ChronoMonitor アプリ(バージョン 1.1 で登場予定)を通じて iOS デバイスに push 通知を送る機能も追加された。ChronoSync は今回から 10.8 Mountain Lion かそれ以降を要するようになった。

ChronoAgent 1.5.1 は、ChronoSync 4.6 との SmartScan 比較可能性を改良し、VoiceOver 対応を改善し、また日本語ローカライズ版を追加している。(いずれのアプリも無料アップデート。ChronoSync は新規購入 $40、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、28.4 MB、リリースノート、10.8+。ChronoAgent は新規購入 $10、10.3 MB、リリースノート、10.8+)

ChronoSync 4.6 と ChronoAgent 1.5.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 4 月 6 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS 外部リンクコレクションでは、Adam Engst が MacBreak Weekly に出演し、Comcast のインターネット速度が間もなく大幅に高速化し、Apple の Lisa Jackson が同社の環境に関する努力について語り、iPhone が盗まれ人生が大転換した人の話と、Apple Watch 開発の裏話が聞こえてきた。

Adam Engst、MacBreak Weekly でノームコアに -- TidBITS 出版者 Adam Engst は Leo Laporte、Andy Ihnatko、Alex Lindsay と MacBreak Weekly に出演して、とても楽しい時を過ごした。ファッション業界が Apple Watch を "normcore"(ノームコア、究極の普通という意味)と見ていること、最近出された二冊の Steve Jobs 伝記本の違い、Periscope の興隆と Meerkat の衰退、その他さまざまのことが話題となった。

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Comcast、2 Gbps のインターネットサービスを導入 -- Google Fiber その他からの圧力を感じつつ、Comcast は新しい 2 Gbps 光ファイバーインターネットサービスを Atlanta にて来月開始すると発表した。Comcast によれば、同社はこのサービスをできる限り早く拡張する予定で、2015 年の終わりまでにはアメリカの 1,800 万世帯がカバーされるという。また、同社は 2016 年には 1 Gbps サービスも予定しており、こちらは同社によれば Comcast のサービス地域にいる顧客のほとんど全員が利用できるようになるという。

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Lisa Jackson、Apple と再生可能エネルギーについて語る -- 元 U.S. Environmental Protection Agency (米国環境保護庁) の局長であり現在 Apple の Environmental Initiatives グループ担当副社長である Lisa Jackson が Wall Street Journal のインタビューに応えて Apple の再生可能エネルギーへの努力を語った。Apple は米国国内においてはすべてを再生可能電力で動かすことを目指しているけれども、Apple 製品の大部分が製造されている海外においてはまだまだすべきことが残されている。

コメントリンク: 15547

盗まれた iPhone のお陰で BuzzFeed ライターが中国の有名人に -- Matt Stopera の iPhone がニューヨーク市内のバーで盗まれた。まあそれはどうでもいいとして、その一年後、彼の iCloud フォトストリームに中国にいる男の写真が現われ始める。うん、そりゃ変だ。そこで彼は BuzzFeed にこのことについて記事を書く。すると、彼の記事が口コミで猛烈に広がる... 中国で。ここからすべてが分刻みでどんどん奇妙になる。結局、彼は中国に旅行して彼の電話機を手にした男に会う。そこで話はとんでもないことになるのだが、同時にまたそれは言語と文化の壁を乗り越えた素敵な友情物語ともなる。とにかく今すぐこの記事を読んでみよう。今は忙し過ぎるというなら、映画になるまで待つこともできる。そう、映画だ。

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Apple Watch の舞台裏 -- Wired の David Pierce が、Apple Watch 開発の内幕を語る独占記事を書いた。もともとこの腕時計は Apple のデザイン担当上席副社長 Jony Ive の構想から生まれたものであったが、製品化をしたのは Kevin Lynch、Flash を巡り Steve Jobs と公開の激論を交わしたことで有名な元 Adobe CTO だ。Apple Watch の背後にある考え方は興味深い。いわく、iPhone が人生を台無しにしつつあるので、あなたとあなたの iPhone とを引き離す役割を Apple Watch に担わせようというのだ。Pierce は Apple Watch の荒削りであった第一歩を垣間見せる。それは iPhone アプリで、ベルクロのストラップと、下に差し込んで使うドングルのデジタルクラウンまで付いていた。サウンドもタップも Jony Ive が満足するレベルにまで引き上げるため、Apple Watch チームは一年以上を要したという。

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