TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1285/17-Aug-2015

本日より Take Control の 2015 Back to School セールが始まり、Take Control のすべてのタイトルが 2015 年 8 月 24 日まで 50 パーセント割引になる! 今週号の記事では、Adam Engst が数多くのセキュリティ脆弱性に対処を施した OS X 10.10.5 および iOS 8.4.1 アップデートについて詳しく紹介する。Josh Centers は iPhone の正確な信号強度を見る秘密の方法を明かすとともに、長い論説記事を書いて Twitter の問題点を要約し、いくつかの解決策を提案する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Safari 8.0.8, 7.1.8, および 6.2.8、PDFpen と PDFpenPro 7.3、BBEdit 11.1.2、セキュリティアップデート 2015-006、それに iTunes 12.2.2 だ。

記事:

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Take Control の 2015 新学期セール、50% 引きで

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我々の高校の 30 回目 (!) の同級会があり、技術の世界が改善を目指して常に努力することがどの様に、我々全てが柔軟であり続け、学ぶことを止めず、そして時折は我々が効率的に仕事していることを確認することを促してきたかに思いを馳せさせるよい機会となった。Take Control はまさにそのために皆さんを手助けするものであり、 24 August 2015 迄、定価から 50% 引きで我々の本何冊でもあなたの Take Control ライブラリに付け加えて貰える。我々の本は全て、DRM-free で、PDF, EPUB, そして Mobipocket (Kindle) フォーマットで入手可であるので、何処でも、何時でも、そしてどんな機器上でも読むことが出来る。

(我々は、全てが順調に働くであろうと思っているが、もし我々の新しく再デザインされたサイトが売り出しの混雑で過負荷になった場合は、少し時間をおいて物事が落ち着いてから再度試して欲しい。)

Take Control 本は、何も最初から最後まで読み通して貰う必要は無い;それぞれの本には Quick Start があり、そこからあなたの必要な情報にすぐさま跳んで貰うことが出来る。

色々な Apple 関連の技術課題やプロジェクトに関する手助けをする本には、次の様なものが含まれる:

Take Control にまだ余りなじみがなく、何か手っ取り早い解決策を求めている人達向けには、幾つかの手早く買えるバンドルを用意している、勿論 50% 引きで:

また、Yosemite, iOS 8, Apple Mail, iCloud, Audio Hijack, PDFpen, Scrivener, DEVONthink, Apple TV, 等々についての本も取り揃えてある。従って、読みたいと思っていた、或いは将来役立ちそうだと思う本を あなたの Take Control ライブラリに加える絶好の時 でもある!

皆さんからの絶えることのないサポート、そして長年にわたって寄せられた質問や親切なコメントに対して感謝申し上げる。お願いがある、どうか皆さんの友人や仲間にこのセールのことを広めて欲しい - 誰かにこのシリーズのことを知って貰う、或いは母親に Photos を使って貰うようにするのに最適である。

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OS X 10.10.5 Yosemite と iOS 8.4.1、多数のセキュリティホールに対処

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は OS X 10.10 Yosemite 及び iOS 8 の両方に対するマイナーアップデートをリリースした。その主たるリリースノートでは少数の一般的な変更しか言及していないが、載せられているセキュリティ修正の数は、OS X では 70 近くに、そして iOS では 40 以上に及ぶ。タイミングとしては Black Hat 及び DEF CON セキュリティカンファレンスを意識している様にも見える。これらのカンファレンスでは、内々で報告されていたセキュリティ脆弱性が公にされることがある。対策されているセキュリティ修正の数を考えれば、これらのアップデートをすぐにインストールすることをお勧めしたい。これらはリリースノートが示唆しているよりももっと重要かもしれないからである。

OS X -- Mac ユーザーに対しては OS X 10.10.5 で、Software Update 経由か、独立の差分 (10.10.4 から、1.02 GB) そしてコンボ (どのバージョンの 10.10 からでも、2.12 GB) アップデータとして入手可である。リリースノートには 3 項目しか取り上げられていない:

しかしながら、セキュリティ側では Apple は 69 の項目を挙げている が、それらは OS X の Unix アプリやユーティリティからカーネル自体にまで及ぶ全般に亘っている。大部分は興味を引くものでは無いが、取り上げる価値のあるものも幾つかある。 DYLD_PRINT_TO_FILE 脆弱性は、 Stefan Esserと情報セキュリティ会社 GrayHash の CEO で Twitter 上で @beistで通っている人によって発見されたものだが、阻止された。これはアプリがパスワードを求めること無しにルート許可を得ることを可能にするものなので、重要である;もっと心配なのは、これが世の中に出回り始めていることである。更に、OS X に含まれていた前のバージョンの Unix sudo ユーティリティは攻撃者に任意ファイルへのアクセスを許すことがあった - これはよくないことである。

もし App Store アプリ経由でインストールするのに手こずっているのであれば、コンボアップデータを試されたい - 私は、インストールが完了出来ないで繰り返し再試行するという報告も目にしている。

iOS 8.4.1 -- iPhone や iPad を使っている人に対して、iOS 8.4.1 は Apple Music に関する 6 つの修正に焦点を当てている。

しかし、自分は Apple Music を使わないから iOS 8.4.1 のインストールはパス出来るという印象を持たないで欲しい。OS X 10.10.5 と同様、盛り沢山のセキュリティ修正がある - 全部数えれば 43 ある。注目すべきものは特にない。

何時ものことだが、iOS 8.4.1 は機器上の Settings > General > Software Update から、或いは iTunes に接続することでインストール出来る。

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iPhone の正確な信号強度を見る方法

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

何十年もの間、携帯電話の所有者はセルラー信号の強さを判断するのに信号バーに依存してきた。iOS 7 以降、iPhone (そしてセルラー iPad) のユーザーは、同じ役目をする信号ドットに慣れてきた。しかし、どちらも正確な表示ではないし、それにドットがいくつ出れば何が起こるのか、或いは起こらないのか分かるわけでもない。

私の地区のセルラー受信状態はどうしようもなく、とりわけ私の家の中では悪い。ドットが一つでも通話出来ることもあれば、三つでも途切れてしまうこともある。セルラーデータの方は、もっと予見不能である。私の iPhone のインターネット接続は、LTE の区域でないと働かないことが多い;3G は今日では信号が無いのと同じ程度にひどい。

Tech Insider の人達が、トラブルシュートのためにあなたの信号強度を数値として見る手助けとなるビデオを作成した。しかし、どういうわけか彼らは、文字で見る方を好む人達のためにそれを書き起こしてくれることはしなかった。そこで、そういうあなたのために、iPhone の正確な信号強度を見るやり方を書き出してみよう:

  1. Phone アプリを開く

  2. *3001#12345#* をダイヤルそして緑の通話ボタンをタップして、iPhone を秘密の Field Test Mode にする

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  3. Sleep/Wake ボタンを押し続け Slide to Power Off 画面が出るのを待つ

  4. Sleep/Wake ボタンを放し、Slide to Power Off の指示は無視する

  5. Home ボタンを押し続けて Home 画面に戻るのを待つ

ドットの代わりに、左上には -102 の様なマイナスの数字が見えるはずである。これが、あなたの実際の信号強度で、単位はデシベルであり、Received Signal Strength Indication (もしテックサポートの人間を感心させたければ RSSI と略す) と呼ばれている。数字は高ければ高いほどよいのだが、これらはマイナスの数字なので、-1 ならば文句なしで、-1000 ではどうにもならない。現実問題として、実際に目にする信号強度は -40 (ドット 5 つの信号) から -120 (ドット 1 つの信号) あたりである。

もし数値を解読するのが面倒になったらどうする? 数値をタップすればドット表示に戻る;もう一度タップすれば数値に再び戻る。完全にドットに戻りたい場合は? まず、Sleep/Wake ボタンを押し続け、Slide to Power Off Switch を右にスワイプして iPhone を再起動し、それから Sleep/Wake を再度押してオンにする。それからこの数値表示を消すために、Field Test Mode に再度戻り、Home ボタンを押して終了させる。

私は、私の受けている粗末なサービスについて Verizon Wireless と長年論争してきたが、いつも言い逃ればかりであった。受けた中で実際に役立つ手助けに最も近いものは、途切れてしまった通話を Verizon の記録に残すために、途切れた後に ### をダイヤルすると言われたことぐらいであった。(もし、次回通話断を経験されたら、これを試されたい!) しかし、私の場合、通常のセルラー音声通話は余りに頻繁に落ちてしまうので、代わりに Google Hangouts か FaceTime を使うので、このやり方で問題を報告する機会に巡り会っていない、ため息...

今や私はこの新しい、正確な情報をもって Verizon と相対出来るので、誰か技術志向の人が私の言い分を聞いてくれるかもしれない。まあ、余り期待はしていないが。

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Twitter はどうすれば直るか?

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Twitter が苦境を迎えている。ウォール街の金融市場はこのソーシャルネットワークがユーザー基盤を たった 3 億人程度以上に増やせないでいる(ライバルの Facebook は 15 億人のユーザー基盤を持つ)ことに不満をつのらせている。長年 CEO を務めた Dick Costolo が去り、恒久的な後継者が見えてこないこともあり、このサービスはちょっとしたアイデンティティ・クライシスに陥りつつある。

私はもう 10 年近くも Twitter を使ってきた。2007 年にサインアップし、その後 2009 年にアカウントを再開させたが、私が本気でこのサービスを使うようになったのはその二年ほど後になってからだった。iPhone 用の素晴らしいクライアント、Tweetbot のお陰だ。

Twitter はいくつか驚くべき恩恵を提供できる。私自身、Twitter が職歴を掴むための大きな力となってくれた。Twitter を使って、Apple コミュニティーの有力者たちの目を自分のブログ記事に向けさせることができたからだ。ここ TidBITS に私が初めて書いた記事の一つ(2012 年 12 月 10 日の記事“Apple が iPhone から削れる 5つのアプリ">”)も、Twitter での議論から生まれたものであった。より広い観点から見れば、Twitter はジャーナリズムのパワーの源となった。主流のメディアが伝えるよりずっと早くニュースを人々に伝え、しかも多くの場合により良く伝えている。警察と黒人社会の間に起こった事件は #BlackLivesMatter 運動のお陰で注目を得たが、この運動なしにはおそらく無視されていたことだろう。今日では、少しでも情報通でありたいならば、Twitter が必須だ。

そういう訳で、私は仕事をしている間はたいてい何らかの形で Twitter を開いている。けれども Twitter の発展を見続けてきた私の目には、その問題点もまた発展つつあるのが見える。54,000 通の tweet をして、あとで数えてみようと思う以上の時間を費やしてきた私には、どうすればこのサービスを改善できるかについてのアイデアがいくつかある。

Twitter は範囲を定めない -- Twitter は興味深い歴史を持つ。2006 年に着想された頃、twttr (元々はそう呼ばれていた) は SMS (ショートメッセージサービス) に基づくブロギング・サービスと思われていた。SMS から来ていることで、140 文字の制限も説明がつく。

けれどもその後テクノロジーの世界は劇的に変化した。最大の変化は iPhone や Android スマートフォンの興隆(Twitter トラフィックの 80 パーセントはモバイルデバイスによるものだ)と、その上で働くメッセージングアプリの発展で、結果として膨大な量のトラフィックが SMS からそちらへと移行してしまった。iMessage、WhatsApp、Google Hangouts などのサービスがあっても依然として SMS メッセージは最小公分母として存在しているかもしれないが、2010 年の時点でさえ Twitter のモバイルウェブサイトおよび iPhone アプリは SMS の三倍以上使われていた。今日では、ほとんどすべての人がアプリかウェブを使って Twitter にアクセスしている。

けれどももっと重要なこととして、Twitter はミニサイズのブログ用のプラットフォームとして作られているのであって、巨大な一枚岩のソーシャルネットワークとして作られたものではない。Twitter は、進化して仮想のパブ(酒場)となった。他の誰もが話すのを誰もが聞き、誰もが他の人の言ったことを繰り返し、気が向けば誰の会話にでも口を出す。時にはちょっと酔いが回って一線を越える人がいるかもしれないが、それは狭い近所の人間関係である限り簡単に解決できる問題だ。

ね、楽しそうじゃないか? でも想像してみよう。あなたのお気に入りのパブに、3 億人の人たちがいるところを。一人の客がちょいと乱暴なことをしたら、気が付けばあっという間に暴動が起こり、近所一面狂乱の騒ぎになる。あなたは隅っこにそっとしゃがみ込んで友だちと話を続けようとするけれども、突然そこに 30 人ほどのサッカー・フーリガンたちが、叫びながらあなたに突っかかってくる。彼らは、あなたがアーセナルのことを何か悪く言ったと思っているのだ。大勢に怒鳴られながら、あなたは必死でアーセナルって何のスポーツのチームだったっけと思い巡らす。

これこそ、今日の Twitter の姿だ。無分別な tweet を一つしただけで、あなたは世界中からの批判の的となりかねない。 Justine Sacco に何が起こったか思い出してみよう。どちらかと言えば名もない人であった彼女が、信じられないほど不愉快な冗談を tweet し、それが炎上した。その運命の tweet を書いた後 11 時間、彼女は南アフリカへ飛ぶ機内にいたが、Cape Town に到着したとたんに自分が何万人もの人たちに事実上追いかけ回されていることを知ったのだった。

私たちは誰でも、個人的な会話の中で馬鹿な言葉を発したことはある。それでもあなたをよく知っている家族や友人たちならば、あなたの口が滑ったのだと理解してくれたり、そんなことを言うものじゃないよとたしなめてくれたりするだろう。けれども、あなたが書いたそのたった一つの tweet を見ただけの、何百万人もの顔の見えない Twitter ユーザーたちは、気晴らしのみを求めて見ていることが多いのだから、それほどにはあなたに親切でない。

何も間違ったことなどしていなくても、Twitter の逆鱗に触れることはあり得る。文化批評家の Anita Sarkeesian や開発者の Brianna Wu といった女性たちに尋ねてみればよい。彼女たちはいずれも、ただ単に テレビゲーム に対する意見を述べただけで嫌がらせの集中砲火を浴びたことがある。このような出来事はあまりにも手に負えない状態になってきていて、HBO の番組を持っているジャーナリスト・コメディアンの John Oliver が番組の中で 17 分間にわたる特集を組んだくらいだ。

それから、 Adria Richards の事件があった。あるカンファレンスの会場で、彼女には性的な冗談だと聞こえた会話をすぐ後の席でしていた二人の男性の写真を、彼女は tweet した。その男性の一人は職を失ったが、Richards もやはり職を失い、彼女はその後何年にもわたってレイプしてやるぞ、殺してやるぞという脅しを受け続けた。

悲しいことに Twitter によるハラスメントを受けるのは男性より女性の方が多いように見えるが、男性も受けない訳ではない。私の友人の一人は Twitter に加入して、誰か一緒に猟に行きませんかと何気なく尋ねたところ、即座にハラスメントの猛攻撃に会い、結局彼はその後二度とログインしなかった。私自身でさえオンラインの群衆の憎しみの標的になったことが何度かあった。愚かにも特定のキーワードやハッシュタグに言及してしまった結果だ。(ハラスメントをする人たちが tweet を集め標的を選び出す手段はさまざまだ。)とりわけオンラインサービスにおいては第一印象がすべてで、ほんのちょっとしたハラスメントの気配でさえ、またはその恐れだけであっても、新しいユーザーを遠ざけるに十分なこともある。

この種の挙動は、どのような理由であれ、文明社会においては容認し難いことだ。個人が自警主義的な動機から自分の責任で誰か他の人の生活を生き地獄と化すようになれば、私たちの社会は無法状態へ、混沌へと押し出されてしまう。残念なことに、そのような状況に対して法執行機関ができることは多くないし、警察も何かをしようとはしないだろう。彼らはたいてい問題の本質を理解していないからだ。ここは Twitter が、自らのプラットフォームのために責任を取って、何らかの解決策を提供すべき時期に来ているのではなかろうか。

そこには多くの社会的要因が関係しているけれども、私が思うに根本的な問題は、Twitter においてはインターネット上の誰もが同じ一つの大きな部屋に集まっているところにあるのではないだろうか。Facebook が友人同士の会話だとすれば、Twitter はメガホンでの会話であり、メガホンがどれほど大きなトラブルを起こし得るかを私たちはよく知っている。不幸なことに、例えば私の友人のような新規のユーザーたちは、きっと Facebook と似たようなものだろうと思いつつ Twitter にサインアップして、聞いたこともない大勢の人たちの否定的な声の山に押し潰されてから途方に暮れる羽目になっているのだ。

自分のプロフィールを丸ごと非公開に設定(自分の tweet を保護)して、あなたが選んだ人のみに見えるようにすることもできる。けれどもそうしてしまえば、望んだ以上に自分を孤立させることになる。あなたの tweet が保護されていれば、あなたが承認した人でなければあなたをフォローすることができず、それ以外の人は誰もあなたの tweet をリツイートすることも引用することもできなくなり、さらに悪いことには、あなたが @-返信を書いてもそれはあなたをフォローしているのでない人の目には全く見えない。たとえその人にあてて、あなたがその @-返信を書いたのだとしても。保護された tweet では、聴衆を増やしたり会話を広げたりすることなどほとんど不可能だ。

インターネット上のほとんどあらゆる存在について言えることだが、個々のグループはそれぞれウェブ上に独自の居場所を作り出すものだ。Apple ファンたちはフォーラムを持ち、美食家たちはサイトを持ち、ヒト型爬虫類が秘密裏に世界を動かしていると信じる人たちも自分独自の石の下で陰謀説を語り合ってきた。その通り、ハラスメントははるか昔からずっと存在していた。けれども小規模の、焦点の絞られたグループ (例えばここ TidBITS) でならば比較的簡単に秩序を保つことができる。その昔の西部開拓時代の Usenet においてさえ、道は決して平坦でなかったけれども、ユーザー母体は今日の Twitter よりもはるかに小規模であった。

それと同じ論理を実世界に当てはめれば、Twitter におけるトラブルがすぐに見えてくるだろう。実世界でディナーパーディーに 150 人の人たちを招待する気にはならないだろう。そんなことをすれば混沌が生じるのが目に見えているからだ。学校の教室に大勢の子供たちを詰め込み過ぎるのはトラブルの元だ。どの先生にでも聞いてみれば分かる! それに、小さな町の公園でコンサートをすれば、Woodstock 1999 のような大混乱に陥ることはまずないだろう。

Facebook でハラスメントがあまり蔓延していない理由の一つとして、ユーザー数で Twitter の五倍もあるにもかかわらず、Facebook では自分が投稿したものを誰が見られるか、自分が誰とやり取りするかについて、かなりのコントロールが可能となっている。確かに、Facebook は口喧嘩が起こることで悪評高いけれども、見知らぬ人たちから集中攻撃を受ける可能性は低い。

Facebook が比較的平和であるもう一つの要素は、匿名投稿とボットが認められていないことだ。ただ、私はそれは些細な点だと思う。Twitter でハラスメントをする人たちの多くは、喜んで自分の本名を使うだろう。もちろん、本名を使うという方針そのものにもそれなりの問題点が伴う。Facebook の方針のせいでトランスジェンダーの人たちがアカウントから締め出されたこともあったし、TechCrunch が Facebook コメントに関する実験をして、その中で荒らしの連中にも本名を明かさせる工夫を組み込んだところ、コミュニティー自体が閑散としてしまったこともあった。

長きにわたり、Twitter はハラスメントへの取り組みに腰を上げようとせず、犠牲者たちをそのまま放置してきた。でも、Twitter ユーザーも創意あふれる人たちでないはずがない。あるユーザーたちが団結して The Block Botを作り、これが自動化されたブラックリストを作成してユーザーたちが購読できるようにした。それからまた、Block Together もある。これは若いアカウントとフォロワー数が 15 以下のアカウントをブロックして、そのブロックリストを友人たちと共有できるようにするものだ。(現在では Twitter にブロックリストの共有機能が内蔵されているが、これについてはまた後で述べる。)これらはいずれも完璧な解決にはほど遠い(例えば The Block Bot は既知のハラスメントをする人にたまたまリンクされただけの人をブラックリストに入れてしまうことが多い)が、Twitter がより大きな問題に取り組む一方でこれらの努力が小さな手助けにはなれるはずだ。ところが残念なことに、Twitter は解決を見出す助けになるかもしれない開発者たちの多くを追い払ってしまった。

Twitter は恩をあだで返した -- 当初 Twitter がヒットした要因の一つは、それがオープンな開発者用プラットフォームであったことだ。その結果として、Twitter を素晴らしいものへと変えた多くのことが生じた。

ここに、あまり大きな声では言えない Twitter のちょっとした秘密がある。Twitter の最良の機能の大多数は、その会社自身のアイデアではなかった。例えば @# の記号はユーザーたちが発明したものだ。リツイートは、これも Twitter による発明ではなく、同社が自ら承認したものだ。また tweet という用語や、鳥のアイコン、タイプしつつ見える文字数カウント、返信、会話といったものはすべて、Twitterrific を開発した The Iconfactory が思い付いたものばかりだ。さらには Twitter 社自身のネイティブな iOS と Mac 用のクライアントも、Loren Brichter の Tweetie を買収して再ブランドしたものだ。(おもしろ情報を一つ: iOS に「引っ張って更新」という概念を導入したのも Tweetie だ。)

開発者たちが次々と際限なく自社の製品を無料で改良してくれれば、Twitter はきっと大喜びしたに違いないとお思いだろう。けれどもそうではなかった。2011 年に Twitter は開発者たちに対して勝手に独自の Twitter クライアントを開発しないようにという警告を出し、その後 Twitter はその警告通りに動いた。Twitter のユーザートークン数を 100,000 までに制限し、基本的に Twitter アプリがそれ以上の数のユーザーを同時に扱えないようにしたのだ。こうして、Tweetbot と Twitterrific、それに Twitter 自身のクライアントを除いて、Twitter クライアントにおける革新はストップしてしまった。それはまた、Mac 用 Tweetbot が 元々 $19.99 もした 理由でもあり、今や二年近くも Mac 用 Twitterrific が全くアップデートされていない理由でもある。

サードパーティの開発者たちを遠ざけたからには、きっと Twitter には何か素晴らしい製品プランがあるに違いないと思うのではないか? ところが全然そういうことはなかった。その Mac 用クライアントは壊れていて、肝心の機能が欠けており、ほとんど一年間にわたって一度もアップデートされていない。iOS 用クライアントの方はまだましだが、やはり欠けた機能があり(また同時にサードパーティの開発者による再現が許されない苛々するような独占機能もある)多くの人たちはこのアプリに魅力がないと思っている。

Twitter 自身のアイデアが素晴らしかったことは一度もない。Twitter が製品の中に革新を持ち込んだ最初のものの一つに Quick Bar があるが、これは公式の iOS 用アプリの上にペタッとバナーを貼り付けて、そこに広告やトレンドの話題を表示するというものだった。ユーザーたちはこれを 大嫌い になり、すぐに "dickbar" と呼ぶようになった。(この名前にはいろいろな意味が込められているが、当時 Twitter の新しい CEO であった Dick Costolo もそこに含まれていた。)

もっと重要なこととして、Twitter は行き詰まっていた。いくつか新しい機能はあった。例えばtweet を引用する際、引用部分を文字数制限に数えずできるようになった。けれども API が弾圧を受けるより前に比べれば、その革新の度合は見る影もなかった。

どうやら、ようやく Twitter は自らの誤りに気付いたようだ。共同創立者で取締役の Evan Williams は最近 Business Insider のインタビューに答えて 、API 弾圧は「私たちの犯した戦略的誤りで、もっと時間をかけて取り組むべきものであった。これは開発者と、ユーザーと、会社のためにウィン・ウィンの方策ではなかった」と述べた。

そうは言っても、これらの制限事項は今もまだ有効のままだ。それに、たとえ Twitter がこれから撤廃するつもりであったとしても、開発者たちはいったいどうして Twitter の気まぐれな思い付きに自分たちの生計を託すことができようか? 信頼を獲得するのは容易でないが、失うのは簡単、そしていったん失ったものを取り戻すのは不可能に近い。

けれども、そうした問題を全部合わせても、Twitter のもっと根本的な真実の前には色褪せて見える。それは、Twitter が分かりにくいという問題だ。

Twitter は習得するのが難しい -- Twitter は、ある意味ソーシャルメディアにおける Unix だ。つまり、あることのためにデザインされたけれども結局は全然別のものとなり、その偉大なる機能の大多数は外部の人たちの手で作られたものだ。そしてまた、ものすごく分かりにくい。

新しくユーザーになった人は、たいてい Twitter のフォーマットに当惑する。この @ という記号はいったい何を意味するのか?(@ は別のユーザーを言及するために使われ、その人はあなたの tweet への注意を喚起される。)この # という記号はどうか?(直後に単語が来ればそれは「ハッシュタグ」と呼ばれ、あなたの tweet を同じハッシュタグを持つ他の投稿にリンクさせる。)

紛らわしい記号の意味が分かったとしても、ユーザーたちはさらにそれらを巡るいくつかの決まりを知らねばならない。多くのユーザーが知らないことの例を一つ挙げれば、tweet が @ で始まった場合、その指名された人と、それからその tweet を書いた人と指名された人の両方ともをフォローしている人のみがその tweet をタイムライン上で見ることができる。そうなることを回避するために認められた方法は @ の直前にピリオドを置いて .@ のようにすることだが、新しく Twitter を使い始めたばかりの人にとってすぐに分かるようなことではない。

多くの人が気付いていない技を一つお教えしよう。あなたの考えを表現するために 140 文字を超える文字数が必要だったらどうするか? その場合、まず連続的に次々と @-返信で tweet を書いてから、その @ とあなたのハンドル名とを削除すれば、それらが引き続きそれぞれの前の tweet に接続されたままになる。こうすると、誰か他のユーザーがその「会話」を見れば、全体が一連の tweet の流れ (たいてい tweetstorm と呼ばれる) の形として見える。

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それからまた、Twitter を巡って生まれてきた社会的通念がある。例えば、デフォルトの卵アバターのままにしていれば、誰かとやり取りしようとしても多くの人があなたをブロックするだろう。オンラインでハラスメントをする人たちの多くはわざわざアバターを設定したりしないからだ。会話の中に割り込もうとすれば、あなたは "rando" (嫌な奴) とレッテル付けされるかもしれない。また、"mansplaining" (何かを本当に体験した人よりよく知っているかのように上から目線で説明する)、"sealioning" (ただ相手を苛立たせるためだけに答の出ない質問を浴びせる)、"gaslighting" (出来事についての誰かの記憶を疑わせるように仕向ける) などをする人だと思われないように気を配る必要もある。もちろん、そういったことは何も Twitter だけに起こるものではないけれども、Twitter で長い時間を過ごしたことのない人には馴染みのない用語だろうと思うし、たとえあなたに悪意が一切無かったとしてもそういう行為をしたと非難されることがあり得ると知っているべきだと思う。

Twitter のエチケットに従わなければ、あなたがハラスメントの対象になったり、ブロックされたり、さらにはブラックリストに載せられて実際に要注意人物と見られてしまうかもしれない。

ハラスメントをするのが容易なこと、革新的な開発者たちが拒絶されたこと、そしてこのサービスを巡るさまざまな複雑さがあることを考えれば、Twitter が今日の規模に成長したこと自体が驚きとも言える。ここで、Twitter を素晴らしいものにしてきた要素を台無しにすることなく Twitter がそれらの懸念にどのように対処すればよいか、私なりのアイデアをいくつか提唱したい。

Twitter を直そう -- 最初に書いたように、Twitter はアイデンティティ・クライシスを経験しつつある。さきほど触れた Evan Williams の Business Insider インタビューの中で、彼は Twitter を「リアルタイムの情報ネットワーク」と表現して「ニュースこそ Twitter の得意分野だ」と述べた。

それは事実だ。Twitter は、主流のメディアには伝えられないニュースもしばしば伝えられるという点で秀でている。そのため、CNN が自前のレポーターを使わず Twitter を利用することも多いくらいだ。ただ、大体において Twitter ユーザーは普通の人たちでジャーナリストではないので、Twitter ジャーナリズムにできることにはおのずと限界がある。Twitter は、ニュース速報を伝えるには素晴らしい場だが、それと同時に誤った情報を伝えてしまう可能性もある。Kanye West、Jeff Goldblum、Britney Spears、その他多くの有名人たちに聞いてみるとよい。彼らは皆、自分の死去の知らせを Twitter 上で広められた経験を持っている。

実は、Twitter の指導的立場の者が明確なビジョンを持っていたことなど一度もない。Williams 自身も「初期には、私たちの誰にも Twitter が何なのかは見えていなかった」と告白している。

その点が、Twitter が何よりもまずあらゆる手段を尽くして開発者たちを迎え入れ直すべきだと私が思う最大の理由だ。開発者たちと、ユーザーたちこそが、Twitter を今日ある姿にしたのだ。会社は単にその基盤構造を提供したのみだ。けれども、開発者たちに戻ってくれるよう懇願するのは生易しいことではない。Twitter と競合する App.net も、プラットフォームに対する興味を開発者たちに持ってもらうために苦闘した。(2014 年 5 月 7 日の記事“App.net、常勤従業員を全員解雇、それでも「自立して存続中」”参照。)App.net が開発者たちに料金を支払っていた時期においてさえそうであった。(かつては有望に見えたこのソーシャルネットワークについて詳しくは、2012 年 8 月 28 日の記事“新ソーシャルネットワーク App.net、チャットと広告の上を目指す”参照。)けれども Twitter には創意を呼び起こす余地がまだまだ十分にあるので、開発者たちを呼び戻せる望みはあると思う。

また、Twitter はコミュニティーの管理にもっと力を注ぐ必要がある。この点については同社にいくらか褒めるべきところがある。最近、同社は不正使用の報告への反応が早くなり、またブ ロックリストをユーザーが共有できる機能も実装している。けれどもこういった手段は結局のところ間に合わせの解決策でしかない。

一つには、ブロックとはすべてかゼロかの解決策だ。あなたがあるユーザーをブロックすれば、そのユーザーはあなたをフォローできず、あなたにダイレクトメッセージを送ることもできず、あなたをリストに加えることもできず、そのユーザーがあなたに言及してもあなたは通知を受け取らない。そのユーザーとのあらゆる種類の接触をすべて遮断したいのならば、それは素晴らしいことだが、もしもそのユーザーがあなたをフォローできるようにしつつただあなたを悩ませないで欲しいと思っているだけだったならばどうだろうか? Twitter はこれ以外にミュート機能というものも導入した。これは他のユーザーを完全には遮断しないけれどもただそのユーザーの声が聞こえなくなるだけというものだが、そこにもまた妥協点がある。ミュートされたユーザーもあなたをリツイートすることはできるので、ハラスメントの余地が残るからだ。

これらの解決策の双方にある最大のマイナス面は、ユーザーの側で多大な手間が必要になることだ。個人をブロックしたりミュートしたりするには依然として個々に手動で設定するか、またはブロックリストを見つけてそれに加入するかしなければならない。私としては、私がフォローしていないアカウントや、私をフォローしていないアカウントからの言及をブロックできるオプションがあればいいのにと思う。そうなれば、不正使用は一挙に減るだろう。それでもハラスメントをする人は @-返信を送ることができるが、現状でさえブロックしてもそれは防げないし、彼をフォローする人たちは、私をフォローするか、あるいはわざわざ手動でそのハラスメントをする人のタイムラインを調べてすべての tweet を見るかしない限り、その言及を見ることはない。

リツイートは不正使用の媒介になり易いので、そこにもっとコントロールの余地があればいいのにと思う。例えば、誰が私をリツイートしたり引用したりできるかを私が選択できれば素晴らしいだろう。例えば、私をフォローする人たちなら分かってくれるだろうが、どこかの怒りっぽい群衆を激怒させてしまうような、そんな冗談を私が tweet したとしよう。上記の選択ができたならば、そのような tweet を削除せずロックをかけることができるだろう。もちろん、それでも回避する方法は残るだろうが、回避には現状より多くの手間が必要となるだろう。確かに完璧な解決策ではないが、そもそも Twitter に完璧な解決策などない。もしもあなたが Justine Sacco ほどの不作法をしたならば、たとえその tweet を削除したとしてもあなたは助からない。

ずっと以前から、Twitter ではユーザーたちのリストを作成することができる。このリストは代替用のタイムラインであるかのごとく挙動するので、これを使えば実際にその人たちをフォローする必要なしに特定のユーザーたちの tweet を追跡できる。(もちろん、そうしたければその人たちをフォローすることもできる。)けれどもこの機能はいつも変わらず何となく中途半端で、あまり使い易いとも言えなかった。

私が思うに、リストをコミュニティー全体に広げることもできるのではないだろうか。そのようなコミュニティーは、現在あるリストと似たようなものとして働くことになる。ユーザーの集まりを他のユーザーたちが作成し、別のユーザーたちもそれらのリストを購読できる。ただ、違うところが一つあって、あなたは自分が属するコミュニティーにいるユーザーたちからのみ言及され、リツイートされ、ダイレクトメッセージを送られるように設定できるようにする。管理者は、そのコミュニティーを一般に開かれたものとするか、リクエストに応じて開くものにするか、それとも招待された者にのみ開かれたものとするかを選べるようにするのだ。

他のコミュニティーメンバーとの間で問題が起これば、コミュニティーの管理者に頼んで問題に対処してもらう。そうすれば、ユーザーにとっては自分たちの体験を調整し易くなるだろうし、個々の管理者は Twitter のお役所仕事よりはうまく反応してくれるだろう。コミュニティーの管理者は問題のあるユーザーに対して警告を発したり、問題を起こし続ければコミュニティーから排除したりできるだろう。

このようなシステムの良い点は、あらかじめ決まった Twitter コミュニティーがある必要はなく、数多くのサブ・コミュニティーがそれぞれに独自の基準や慣行を持って存在できるところだ。そしてもちろん、あなたは好きなだけ多くの、または好きなだけ少ない数のコミュニティーに加入することができ、また今まで通りに Twitter 全体とやり取りを続けることもできる。

コミュニティーによって解決できるであろう問題がもう一つある。コンテンツの整理だ。例えば、私がフォローしている人たちの中にはアイスホッケーが大好きな人が多いが、私は全く興味がない。(今は亡きコメディアンの George Carlin が言った通り、ボールを使ってプレイするのでない以上アイスホッケーをスポーツと呼べるはずがない。)すべての tweet をフォロワー全員にばらまく代わりに、ユーザーの側でそれらの tweet をその内容に興味を持つコミュニティーのみに振り向けられるようにできれば素晴らしいではないか。でも、既に Google+ が同じことをしていているけれども、あまり大ヒット機能とはなっていない。この問題に対する理想的な解決策などないのかもしれない。

新規のユーザーにとって歓迎すべき環境を用意することについては、Twitter が一時的な「新ユーザー用ゾーン」を作り、そこで二つのことができるようにすればよいと思う。ベテランのユーザーたちを手早く作られたハラスメント用アカウントから遮断するとともに、初めてのユーザーについてはコツを身に付けるまでの間だけ広いコミュニティーから遮断するのだ。彼らは、好きなだけ人をフォローでき、他のユーザーからフォローされることもできるが、ゾーンを脱するまでは、彼らをフォローしていない人に言及したりメッセージを送ったりできず、彼らがフォローしていない人によって言及されたりメッセージを送られたりできないようにするのだ。

また、この新米用ゾーンは Twitter がユーザーに Twitter における慣行を教育できる良い機会となるだろう。さまざまの記号は混乱を招きやすいが、それと同時にこのサービスの核心的な部分でもあるので、変更したり削除したりしてベテランたちを遠ざけるべきではないと思う。ならば、最良の手段は新しいユーザーがルールを学ぶ手助けをすることではないだろうか。

けれども問題は、新しいユーザーをどのようにこのゾーンから卒業させてフルの Twitter に招き入れるべきかという点だ。そこにはある程度の承諾手続があるべきだろうが、かと言ってそのユーザーが自分一人で決められるようにすべきではないと思う。ハラスメント目的のにわか作りのアカウントを阻止することも、目的の一つだからだ。タイムリミットを設けるのも一つのやり方だが、何となく専制的な感じがするし、新しいユーザーが不満を感じがちになるかもしれない。思うに、最良のやり方は、積極的なやり取り(お気に入りや、リツイートで算出する)が一定の数を超えた後にそのユーザーに対してアカウントのロックを外す選択肢を提供することかもしれない。(もちろん、誰でもフォロワーやお気に入り、リツイートを買い取ることは可能だが、ハラスメントの実行をより困難にすることが狙いなのだ。)

当然ながら、そうしたアイデアにもそれぞれ欠陥はある。一つには、そのようにすることで Twitter が今より閉じたものになってしまう。初期の Twitter の呼び物の一つは、他の方法では手の届かない人たち、例えばミュージシャンや、テレビに出ている人たち、あるいは映画スターたちとも親しく話ができるという点であった。(私が Twitter でとてもワクワクした瞬間の一つは、かの有名な俳優兼プロレスラーの Dwayne "The Rock" Johnson 本人から返信をもらった時だった。)

けれども、このモデルもまた、うまく範囲を定められていない。その上、知らない人たちの注目を得ることができなくなるということを皆が理解する必要もある。そもそも、今は多くの有名人たちが自分の Twitter アカウントの管理をさせるために人を雇っているのだから、もともと彼らに手が届いてはいないのだ。仮にもしも有名なユーザーたちが自分のタイムラインをより良くコントロールし管理できるようになったとすれば、中に入ることを許した人々に対してもっとオープンになれるかもしれない。その場合には、取り組むべき雑音が今より少なくなるだろうから。

Twitter は現在、サービスの全面的な見直しを実験しているところだ。けれどもいつものごとく、間違った問題に集中しているように見える。Twitter の Project Lightning は、タイムラインのデザインを一新してユーザーが会話のど真ん中に入り込んだりしないようにするという。つまり、まずログインしてから皆はなぜ Taylor Swift の話をしているのだろうかと思案する代わりに、新しいデザインにおいては人の手で整理された一連の tweet を呈示することで、何が起こっているのかがすぐに分かるようになるという。でも、そもそもTaylor Swift に興味のない人はどうなるのか? そうは言っても、時系列のタイムラインがこれまで通りに利用できるのである限り、ホットな話題に何らかの内容が追加されるのは良いことかもしれない。(ちなみに、今はもう使われていない Twitter クライアントの Brizzly が、遡ること 2010 年の時点で、ユーザーがトレンドの話題に説明を書き込むことができるようにして この問題を既に解決済みだ。)

私は Twitter の苦難に解決法を見つけたなどと主張するつもりはない。ただ、さらなる議論のきっかけになればと思っていくつかのアイデアを披露してみただけだ。ソーシャルメディアというのは扱いにくく、きちんとやって行くためには多様な入力と実験とが必要だが、その一方であまりにも大きな変更は忠実なユーザーたちを追い払うことになりかねない。そこで、私は問いかけたい。あなたは、Twitter を改善するために、どんなことをすればよいと思うか?

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 8 月 17 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Safari 8.0.8, 7.1.8, 6.2.8 -- Apple が Safari 7.1.8 を OS X 10.9 Mavericks 用に、Safari 6.2.8 を 10.8 Mountain Lion 用に、Safari 8.0.8 を 10.10 Yosemite 用に、それぞれリリースした。(Safari 8.0.8 はリリースされたばかりの 10.10.5 アップデートの一部、2015 年 8 月 14 日の記事“OS X 10.10.5 Yosemite と iOS 8.4.1、多数のセキュリティホールに対処”参照。)これら三つの版のいずれも数多くのセキュリティ修正,を受けており、例えばユーザー情報を求めるプロンプトにその出所を表示する方法を改善したり、WebKit で複数個のメモリ破壊に対するパッチを当てたり、クッキーの処理を改善したり、HTTP 認証をキャッシュする際の問題(プライベートブラウズで入力された認証情報が通常のブラウズに持ち越されることがあり得た)を修正したりしている。Safari 7.1.8 と Safari 6.2.8 はそれぞれ Software Update から独立のダウンロードとして入手でき、Safari 8.0.8 は 10.10.5 Yosemite アップデートの一部としてのみ入手可能だ。(無料)

Safari 8.0.8, 7.1.8, 6.2.8 へのコメントリンク:

PDFpen と PDFpenPro 7.3 -- Smile がバージョン 7.3 の PDFpenPDFpenPro をリリースし、スキャンの速度と信頼性を改善するとともに、ベータ版の OS X 10.11 El Capitan との互換性を高めた。これらの PDF 編集アプリではまた、書類を開き直すとフォームフィールドの名前がデフォルトに戻ってしまったバグを修正し、Table of Contents を空に見せていた問題を解消し、いくつかのクラッシュの問題を修正している。(新規購入 $74.95/$124.95、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、52.6/53.2 MB、リリースノート、10.10+)

PDFpen と PDFpenPro 7.3 へのコメントリンク:

BBEdit 11.1.2 -- Bare Bones Software が BBEdit 11.1.2 をリリースして、この古参のテキストエディタにさまざまのバグ修正や改善を盛り込んだ。今回のアップデートではデフォルトのワークシート・ステイショナリーを現行の機能や挙動に合うように改良し、Process Duplicate Lines が選択域末尾の改行文字を正しく含めるようにし、スクリプティング辞書をアップデートして Zap Gremlins での新しいオプションを扱うようにし、CSS 言語モジュールのバグのせいで HTML 書類のスキャンが<style>..</style> の組で止まることなく "unexpected effects" を出していた問題を修正し、各種のテキスト変換の後や改行の差異計算の際にメモリリークが起こっていた問題を修正している。($49.99、無料アップデート、11.5 MB、リリースノート、10.8.5+)

BBEdit 11.1.2 へのコメントリンク:

セキュリティアップデート 2015-006 -- Apple が OS X 10.8 Mountain Lion および 10.9 Mavericks 用にセキュリティアップデート 2015-006 をリリースし、同時にリリースされた 10.10.5 Yosemite におけるセキュリティ修正の多くをこちらにも施した。(2015 年 8 月 14 日の記事“OS X 10.10.5 Yosemite と iOS 8.4.1、多数のセキュリティホールに対処”参照。)すべての OS リリースに関係するパッチとしては、フォントファイルを処理する際のメモリ破壊により任意のコードが実行される可能性のあった問題、libxml2 の 2.9.2 より前のバージョンにあった複数の脆弱性、QuickTime 7 におけるメモリ破壊などがある。セキュリティアップデート 2015-006 は Software Update 経由で、また Apple の Support Downloads ウェブサイトからの直接ダウンロードでも入手できる。(無料、10.8 Mountain Lion 用 206 MB、10.9 Mavericks 用 257.2 MB)

セキュリティアップデート 2015-006 へのコメントリンク:

iTunes 12.2.2 -- Apple が iTunes 12.2.2 をリリースして Apple Music サービス関係のいくつかの改善と修正を盛り込んだ。Radio タブの Beats 1 バナーをクリックすれば現在視聴している番組を表示するページが開き、以前の番組で使われたプレイリストへのリンクや、すべての放送スケジュールも表示されるようになった。また、Apple Music でフォローしているアーティストの一覧を表示できるようになったが、(最近リリースされた "Take Control of iTunes 12: The FAQ" の著者でもある) Kirk McElhearn はこの一覧が分かりやすい場所にないと指摘している。まずツールバーであなたの名前をクリックし、次にポップオーバーの中で Following をクリックすればアーティストの一覧が開く。Following ボタンをクリックすれば、アーティストのフォローを外せる。(するとボタンが Follow に変わる。)さらに、Apple Music が推薦した楽曲であなたが気に入らないものを指定できるようになった。それに加えて、今回のアップデートでは Apple Music で前のページに戻ると iTunes が元の場所を失うバグが修正され、アーティストが My Music に正しい順序で表示されない問題が解決し、アクションメニューに表示されるプレイリストがライブラリ内のプレイリストに一致しない問題が修正されている。(無料、直接ダウンロードでも Software Update 経由でも 222 MB、10.7.5+)

iTunes 12.2.2 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 8 月 17 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Apple が最近の Apple TV モデルをいくつかリコールし、Marco Arment は人々がウェブ広告をブロックする理由を説明し、Rite Aid が Apple Pay に対応することを決断し、Google が大規模な再編をする。

Apple、いくつかの Apple TV ユニットをリコール -- Apple が、第三世代の Apple TV を最近購入した何人かの人たちに連絡して、それらのユニットが欠陥のある部品を含んで出荷されてしまったので無料で交換したいと申し出、トラブルに対するお詫びとして iTunes ギフトカードまで添えた。この件について Apple は公式声明を出していない。それはつまり、影響を受けた顧客がほんの少数しかいないからではないかと思われる。Apple からの連絡が届かなければ、何も心配する必要はない。

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Marco Arment、人々が広告をブロックする理由を語る -- iOS 9 と OS X 10.11 El Capitan で Apple が開発者たちにウェブ広告をブロックする機能を与えて以来、広告ブロックは注目の話題となっている。コンテンツ・クリエイターの多くは自分たちの収入が減ると苦情を述べている。けれどもブロガーであり開発者でもある Marco Arment は、彼自身広告から収入を得ているにもかかわらず、広告をブロックすることに決めた。広告追跡はますます侵略的な性格を強め、ユーザーからオンラインのプライバシーを奪いつつある、というのが彼の理由だ。ユーザーはウェブ上のどこへ行っても自動追跡に同意を与えることすらできない、と Arment は言う。Arment は出版者たちに対し「たとえそれがクリーンかつ容易な移行でなかったとしても」プライバシーを侵害する広告を拒むよう呼びかけている。

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Rite Aid が Apple Pay に降参 -- ドラッグストアのチェーン Rite Aid は昨年、店内のレジで Apple Pay を使わせないことに決めた。(2014 年 10 月 26 日の記事“Apple Pay を拒否する店がある本当の理由... 今のところは”参照。)けれども Rite Aid は今回公式に Apple Pay と Google の Android Pay の双方を受け入れる決断をした。Rite Aid が Apple Pay をブロックしていたのは Merchant Customer Exchange (MCX) とその CurrentC 決済システムに忠誠を尽くそうとしたからであったが、Best Buy をはじめとする MCX 内の多くの小売業者たちがその後 Apple Pay を受け入れていた。CurrentC は未だスタートしていない。

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Google は死んだ、Google 永遠なれ! -- いや、これはエイプリルフールの冗談ではない。株式公開企業である Google は間もなくそうでなくなる。今年の後半に Alphabet として再編が行なわれ、私たちが Google として認識しているものはその子会社となる。Google の共同創立者であり現在の CEO である Larry Page が Alphabet の CEO となり、現在の Senior Vice President of Products である Sundar Pichai が Google の CEO となる。Google は広告、Android、アプリ、地図、検索、および YouTube に集中し、その他の取り組み、例えば Google Fiber、Google Ventures、謎めいた Google X、それに Nest といったものは Google の外部で管理されるようになる。Google の目標は同社の検索ビジネスがどれほどうまく行っているかを強調することにあり、同社の他の長期プロジェクトによって財務成績が引き下げられることは望ましくないのであろう。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2014 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

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