TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1360/13-Mar-2017

今週号の TidBITS では、私たちの友人でもあり長年の Mac ライターでもある Tom Negrino に心をこめて別れを告げる。末期癌に直面した彼は尊厳死を選んだ。喜ばしいニュースとしては、高性能グラフィックプロセッサを使っているアプリを識別することで MacBook Pro のバッテリの保ちを延ばす方法を Jeff Carlson が解説する。Adam Engst は、Apple の AirPods よりも手に入れやすく値段がはるかに安い Bluetooth イヤーバッドを二つレビューし、また iOS の Wallet アプリを使って飛行機の搭乗券を扱う方法を説明する。今週注目すべきソフトウェアリリースは 1Password 6.6.2、Hazel 4.0.9、Lightroom CC 2015.9 と Lightroom 6.9、それに ChronoSync 4.7.4 だ。

記事:

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Tom Negrino を想う

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

27 年間近くも TidBITS を出版し続けてきた中で一番悲しいのは、仲間の人たちが消えて行くのを見送ることだ。それが職業上の理由からである場合も十分気持ちが沈む。例えば Macworld が印刷版を廃止して多くのスタッフを解雇した時もそうだった。(2014 年 9 月 10 日の記事“Macworld、スタッフを解雇し印刷版を廃止”参照。)でも、さらにもっと身をよじられるような気持ちになるのが、仲間の誰かが死ぬ時だ。

ベテランの Mac ライター Tom Negrino の場合それはまだ起こっていないが、ごく近いうちに起こる。Tom は 2010 年に腎臓がんと診断され、手術をしたにもかかわらず、2014 年にがんが再発し、がんは彼の体中に転移した。何年か前に Tom と彼の妻 Dori Smith は私や他の仲間たちにそのことを打ち明け、避けられない結末についても話してくれた。去年の 5 月、Tom はこのことをブログで公表 した。以来彼の健康状態は悪化を続け、今では一日に 20 時間も眠るようになった。そして彼は、カリフォルニア州にある医師幇助による尊厳死を定めた法律、the End of Life Option Act (終末期の選択法) を利用するつもりでいる。Healdsburg Tribune 紙の Ray Holley が、Tom と Dori について、二人がこの状況にどう対処したかについて、良い記事を書いている。

1996 年に、Tom は私に電子メールメッセージを書いて、私の記事“でも、取り上げなかったじゃないですか”(1996 年 9 月 23 日) について意見を述べ、私は彼からの反応を記事“まだお忘れですよ”(1996 年 10 月 14 日) の中で紹介した。もっと前の Macworld Expo 会場で会ったことがあるかもしれないが、とにかく彼から電子メールを受け取ったのはそれが最初だった。その後、さまざまの業界イベントで私は彼と Dori に何度も会った。中でも最高の思い出は 2002 年の Mac Mania Geek Cruise で、私も彼もクルーズ船上の講演者だった。住む町が 2400 マイル (3,800 km) も離れているので、私が最後に Tom と Dori に会ったのは 2014 年 3 月の Ink-Stained Wretches (インクの染みだらけの悪漢ども) 晩餐会の席だ。これは Macworld/iWorld が開催されていた最後の数年間、その期間中に仲間のライターたちのために私が企画したディナーだった。Tom は、堅苦しくないこの種の集まりが大好きだった。

Tom が TidBITS に記事を書いたことはなかったけれども、私が Macworld に書いていた電子メールクライアントについての記事のために彼と私が補足記事の共同作業をしたことがある。Tom は Microsoft Entourage のファンであることを臆面もなく主張し、私は Eudora を熱愛していた。そこで、私たちの編集者 Scholle McFarland の勧めに従い、二人で「電子メール怨念試合」なる記事 "E-Mail Grudge Match: Entourage Versus Eudora" を書いた。少し後になって、私は Entourage に対する私の当てこすりの一つ、つまり Microsoft がマニュアルを提供していないという事実をてこに、Tom をうまく誘い込んで "Take Control of What's New in Entourage 2004" を生まれたばかりだった私たちの Take Control シリーズのために執筆してもらった。Apple や Mac について 30 年あまりも書き続けてきた Tom は、数え切れない記事と、50 冊あまりの著書を世に出してくれた。

自らの信念に従い、自らの生涯の終わりを尊厳をもって、自分の思うままに選び取った、Tom の不屈の精神に私は感銘を受けた。そして、苦渋に満ちた数年間を通して忠実に彼を支え続けた Dori も、本当に素晴らしいと思う。

Tom よ、あなたを知る私たちは、あなたのユーモア、スキル、プロ意識、そして勇気を、恋しく思うだろう。そして、私たちの共通の友人であり仲間である Jason Snell の言葉を借りるなら、また Andy Ihnatko の心情をも映すなら、あなたのいない世界は目に見えて今より悪いところとなるだろう。

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MacBook Pro で高性能 GPU を使うアプリを識別する方法

  文: Jeff Carlson: [email protected], @jeffcarlson
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Touch Bar を搭載した 2016 年型 MacBook Pro が出荷されてから間もなく、バッテリ寿命がホットな話題となった。Apple はフル充電で最大 10 時間働くと宣伝したが、私のマシンでの結果は到底それに及ばなかった。大体 4 時間くらいというところだろうか。かなりの間にわたり、Consumer Reports はバッテリ寿命を理由に MacBook Pro の推奨を拒み続けた。ただ Consumer Reports のテスト方法には疑わしいところがあったのだが。(2017 年 1 月 12 日の記事“Consumer Reports の MacBook Pro 評価を気にすべき理由”参照。)

この騒動の良い面は、Apple がグラフィックスとバッテリ寿命に関係するいくつかの問題点を macOS Sierra 10.12.2 と 10.12.3 のアップデートで修正できたことであった。問題点の一つは、内蔵 Intel グラフィックプロセッサと、15 インチモデルで使えるディスクリート AMD Radeon Pro グラフィックカードとの間で macOS が切り替えるやり方に関するものだ。

(この記事は特に Touch Bar 搭載の 2016 年型 MacBook Pro について書いているけれども、以下の議論はディスクリートグラフィックカードを備えたすべての MacBook Pro にも同様に適用される。)

グラフィック的に要求度の高いアプリ、例えば Adobe Photoshop のようなものを起動すると、macOS は Radeon プロセッサに切り替えるが、こちらの方がより多くの電力を消費する。パワーに飢えたアプリを終了すると、マシンはディスクリートカードをオフにして内蔵グラフィックプロセッサに切り替えて戻すことになっている。こちらは提供できるグラフィック的なパワーが少ないが、バッテリ電力をそれほど食い尽くさない。

10.12.3 より前には、この切り替えが起こったことを macOS があまり正確に感知することができず、結果としてディスクリート GPU によるディスプレイ駆動を続けてしまうことがあった。10.12.3 へのアップデートをして以来、私のバッテリ寿命は劇的に改善した。

しかしながら、それでもまだ、している仕事の内容から予想するよりもずっと速くバッテリ残量が減ってしまうように見えることが時々ある。皆さんも似たような状況を経験したなら、以下のような手順でどのアプリがどのグラフィックプロセッサを使用しているかを知れば、それによって問題の原因を突き止めることができるかもしれない。選択肢は二つある:

まず第一に、メニューバー項目 Battery をクリックする。これで、どのアプリが「大量のエネルギーを使っている」かが分かる。

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けれどもこれは曖昧な目安に過ぎない。あなたが走らせているアプリケーションが大量のエネルギーを使っていても、それでも内蔵グラフィックプロセッサを使っていることがあり得るからだ。そこで、Activity Monitor をサッと開いて見ればもっと役に立つ。

Activity Monitor を起動 (Applications フォルダの中の Utilities フォルダにあり、Finder で Go > Utilities を選べばすぐアクセスできる) してから、Energy タブをクリックする。

ウィンドウの一番下のところで、現在どのグラフィックカードが使われているかが分かる。Integrated (内蔵 Intel GPU) か、"High Perf" (高性能 Radeon GPU) のどちらかだ。もしも後者なら、必要以上にエネルギーを浪費しているかもしれない。

どのアプリケーションがディスクリート GPU を走らせているかを見るには、リストの Requires High Perf GPU カラムをクリックして、リストの並び順をその属性に基づくものにする。正しく並べ替えるにはカラム見出しを二回クリックしなければならないかもしれない。カラムタイトルの右にあるキャレットが下を向いて、降順に並ぶ必要があるからだ。すると、リストの上の方に Yes と示されたアプリが来るが、これらが問題の原因だ。

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それらのアプリを終了しよう。たとえあなたが使っていなくても、それらのアプリが走っているだけでディスクリート GPU は活動し続けるからだ。すると、ウィンドウの一番下の Graphics Card 表示が Integrated になるはずだ。

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Activity Monitor が Time Remaining (バッテリ残り時間) 推定値も表示することに注意しよう。Apple が 10.12.2 をリリースした際、Battery メニューバー項目でこの表示を削除するという尋常でない措置がとられた。(2016 年 12 月 13 日の記事“macOS 10.12.2 Sierra、新型 MacBook Pro にフォーカス”参照。)幸いにも、Activity Monitor を開けば今もその情報が得られる。けれども推定は単なる推定に過ぎず、そのまま信じ込んではいけない。macOS はエネルギー管理機能を頻繁に調節するからだ。それでも、電源に近づきつつあるような場合には Time Remaining 推定値が目安として役立つこともある。

当然ながら、ディスクリート GPU を要求するアプリを一つでも使う必要があれば、バッテリ残量が影響を受けざるを得ない。また、ディスクリート GPU を使うアプリも、大量のエネルギーを使っているアプリも、どちらも一つもなかったとしても、他の要因のせいでバッテリが予想より速く減ってしまうこともある。特に、Touch Bar 搭載の 2016 年型 MacBook Pro では、キーボード照明をオフにして (Touch Bar 上の Control Strip を拡張すればキーボード輝度調整ボタンが出る)、スクリーン輝度も下げれば、大きな違いが出ることもある。

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AirPods の半分を十分の一の価格で

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Tim Cook はこれらを "文化的現象" と称した。現在これらは Apple オンラインストアでは6週間待ちの状態で、独立の Apple 再販店の中には全く手に入らないと私に語ってくれた所すらある。

Apple の新しい AirPods ワイヤレスイヤーバッズは疑問の余地なく技術的傑作であり、我々の Julio Ojeda-Zapata や Josh Centers の様なレビュー者は、幾つかの弱点も見出しているが、AirPods は概して好評を博している ("Apple のワイヤレス AirPods は待った甲斐あり" 20 December 2016 参照)。

一番不評な点はその $159 という価格で、これが AirPods の一つを失くしてしまったり、傷つけてしまったりする可能性をより一層気になるものにしている。この値段は高いと思われるかもしれないが、同等の本格的な競合品でも、はるかに高価ではなくとも、少なくとも同程度の値段はする ("CES 2017: CES 展示会場でのガジェット探し (3 日目と 4 日目)" 11 January 2017 参照)。

では、私が競合品を十分の一以下の値段で買えると言ったらどうであろうか? 真面目な話、AirPods と同じ様な品質ではないが、そこそこのものが $5 から $20 程度の値段で、基本的には AirPods がやることをする Bluetooth 片耳用イヤーバッドが買える - あなたの耳にスピーカーとマイクをコード無しで届けてくれる。

最初、私はこの種の製品について Cornell の走り仲間の一人である Rob Kurcoba から聞かされた。彼は自分の最初のイヤーバッドを eBay で中国の再販店から購入した。値段はたったの $6.99 で、信じられない程安かったが、遅い船便で届くため6週間待たねばならなかった。彼は音楽を再生できる Android Wear スマートウォッチの Sony Smartwatch 3 SWR50 とそれをペアリングして、一人で走る時に使い始めた。間も無く、彼は High Noon Athletic Club で一緒に走る私の様な仲間にもそれを熱狂的に薦めるようになった。

彼の熱狂ぶりに刺激を受けて、私も Amazon で見てみた。そうしたら、片耳用 Bluetooth イヤーバッドは殆ど汎用品の一つと化していて、どれも同じ様に見えるものが色々な業者から売られていることを知って驚いた。そこで、他のものより少しだけレビューの良い $15 の Nocobot モデルを選んで、数日後にそれを手にした - Amazon でだと、遅い船を待つ必要も無かった。

それは私の iPhone と Apple Watch とペアリングし、庭仕事中や数回の走りの最中にポッドキャストを聞くのには何ら支障なかった。これは全て AirPods が出る前の話で、それに、冬の訪れと共に庭仕事も終了し、これについてもすっかり忘れてしまっていた。しかし、AirPods が発表となり、ユーザーの手元にも少しずつ届き始めた頃、私は MacBreak Weekly にゲスト出演し AirPods の話題の中でこのイヤーバッドについても語った。その反響は大きく、もっと詳しい話を教えてくれという依頼が殺到した。その詳細を下に記す!

Nocobot Bluetooth Earbud -- 私が購入し MacBreak Weekly でも薦めたイヤーバッドは Nocobot という名前の会社で製造され、Duto という名前の別の会社によって売られていたものである。値段は $14.99 で、専用の 10 cm 長の USB 充電ケーブルが付いてきた。このケーブルの先端は針状でイヤーバッズの小さな穴に嵌る。私のテストでは、電池寿命はオーディオで約 3.5 時間であった;どれほど早く再充電が可能かは分からない。何故ならば、どれ程充電されているかを知る方法は無いからである。

イヤーバッド自体は黒色で、昔の補聴器の様な形をしており、右耳にぴったり嵌るべく設計されている。それが良いのか悪いのかは、あなたの耳次第であろう。私の耳にはぴったりであった - 実際、余りにぴったりで、取り出すには耳の上の方に引っ張り上げそして背面からそっと押してやる必要があるほどであった。最初は少々違和感があったが、数分後には気にならなくなった。見るからに耳に合わない人もいるであろうことも容易に想像出来る。これは右耳にしか合わない。私の単一という言葉の使い方がはっきり状況を伝えていないといけないので繰り返すと、これは一つだけで使うイヤーバッドである - あなたの左耳は塞がれていない。私は、これは走っている時とか、サイクリング時には、両耳を覆ってしまうのは危険なので長所だと思うが、外の世界を遮りたい時には、不利である。

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このイヤーバッズにはボタンが一つだけ付いており、ペアリング、電源の入切、そしてオーディオの開始と停止をつかさどる:

このボタンの気になる所は動きが結構固いことで、それを押すということは自分の耳の中に押し込むことを意味し、不快に思う人もいるかもしれない。逆に言えば、ポケットやバッグの中で偶然に押されてしまう可能性は少ない。

これのもう一つのインターフェースは録音された音声だけで、電源のオンオフ、機器が接続されたこと、ペアリング出来る状態であるかどうか、そして電話を切る時を教えてくれる。また、電池残量が少なくなってきた時にも教えてくれるが、私には "Battery high" と聞こえた時もあった。

オーディオ品質は良好だが、素晴らしいとまではいかない。私は多くの場合、外での作業時にポッドキャストを聞くのにこれを使うが、全く問題ない。走っている時に音楽を聞くために初めてこれを使った時には、音飛びや接続切れを時々経験した。これは Apple Watch を右腕に装着することで、或いは iPhone を腰ベルトに装着している時にはそれを右側か正面に位置させることで解決出来た。音量は大抵の環境に対して十分だと言えるが、もっと欲しい場合も当然ながらある。でも単刀直入に言えば、これはオーディオマニア向けの解ではない。

私はこの記事を書くまで Nocobot イヤーバッドのマイクをどんな形であれ音声通話に使ったことがなかった。理由は簡単で、私は iPhone を通話には滅多に使わないからである。私が Josh に電話してみた時、彼は私の声はまずまずに聞こえたが、良くはなかったと言っていた。私の方からいえば、彼の音声は良くかつ明瞭に聞こえたが、欲を言えばもうちょっと音量が欲しかった。iPhone 内蔵のスピーカーとマイクの方が、我々両者にとって明らかに良く働いた。我々の Skype テストはあまりうまくいかなかったが、これは私が使っていたホテルでの遅い Wi-Fi ネットワークのせいだと思われる。残念ながら、このイヤーバッドは Siri を呼んだり、使ったり出来ない。

皆さんは、私がこのイヤーバッドに対するリンクをまだ示していないことにお気づきかもしれない。これは、私が買ったものはもう Amazon では売っていないからである。また、Nocobot と Duto が今でも商売しているという気配すらも見つけられないでいる。我々が取り上げたのはあまり当てにならない中国の会社なのであろう - それがこの安さの理由でもある。しかしながら、こちらの $14.99 の G-Cord Ultra Lightweight Wireless Bluetooth Hands-Free Earbud も同じ様なものに見える。それもボタン上のロゴに至るまでなので、もしこの様なものをお探しなら、この G-Cord を試されたい。

QCY Q26 Bluetooth Earbud -- Nocobot イヤーバッドのことを MacBreak Weekly で語った後、視聴者の一人が QCY からの競合品を薦めてきた。Google 検索から判断すると、こちらの方がより目に止まるブランドのようである。基本的な所では、この QCY Q26 は Nocobot のものと極めて良く似ており、片耳の Bluetooth イヤーバッドで、単一ボタンの押し下げで制御し、音声フィードバックで反応を返すというものである。値段は Amazon では $13.59 で、様々な色がある。

この QCY Q26 のデザインは茎型の形状で、これには長所と短所がある。長所としては、これは誰の耳にも合うはずで、しかも3つのサイズの異なるゴム製の先端が付いているので自分の耳に一番合うものが選べる。このデザインの方が、Nocobot イヤーバッズよりも遮音はしやすくなる。また、これは右耳に嵌るよう意図されており、その場合ボタンは上部に来るが、これをひっくり返して左耳に嵌めることも可能で、その場合ボタンは下向きとなる。この向きだと、通話ではうまく働かないかもしれない。何れにしても、このボタンは Nocobot のボタンよりも押しやすい。何故ならば、ボタンを押す時 QCY Q26 を指の間で摘まめるからである。

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全てが良いわけではない。この茎型のデザインでは Nocobot のものの様に耳にぴったり嵌ることにはならず、私はこれがふとしたことで外れてしまうのではないか心配である。それに、私の経験ではこのゴム製の先端はあまりに外部雑音を遮蔽するのでまるで耳に水が入ってしまった様に感じた - それは不安を覚えるのと心地悪いの間という感じである。(Nocobot のものは外耳道を完全には塞がないので、この様な状況にはならない。) この QCY Q26 のボタンは、ポケットやバッグの中でも簡単に押されやすく、意図せずにオンとなり電池を消耗させたり、或いは何らかの弾みで、二回続けて押されたりするとポケットから電話がかけられることにすらなりかねない。

電池寿命は Nocobot のもの程良くなく、私のテストでは 3 時間ほどであった。QCY Q26 には充電用に micro USB ケーブルが付いており、イヤーバッドの底にある反対側のポートに差し込める様になっている。このポートにはカバーが付いているのだが、開けるのは恐ろしく困難である;私は、安全ピンの尖った方を使って漸く開けることが出来た。

QCY Q26 の制御はほぼ Nocobot と同じで、長押しでペアリングモード、それより短い長押しでオンオフ、ちょい押しでオーディオ制御と電話の通話/切り、そして二回押しで最後の番号へ再ダイヤルとなる。音声フィードバックも似ているが、中国語では話さない様に見受けられる。

Nocobot とのオーディオ品質の比較では、良くもあり悪くもある。QCY Q26 の方が少し活力があり、そして Josh と私でマイクの品質テストをした時、彼はこちらの方が少し良いが、それでも AM ラジオの様だと言った。ゴム製の先端は確かに周囲雑音を遮断する。しかしながら、音楽はもっと濁って聞こえ、そして私の試験ユニットでは、間違いなく静かな背景ヒス雑音が聞こえた。これはある程度の音量でオーディオを流している時には聞こえないが、音量が極めて低い時やオフの状態では感知可能である。加えて、iPhone を腰ベルトに入れて走っている時に使おうとしたら、オーディオは入ったり切れたりし、走るのを止めて Nocobot のものと入れ替えをせざるを得ないほど酷かった。しかしながら、机の所で立ち上がって音楽を聞くのに使った時は問題なかった。

選択する -- 私は、これらのイヤーバッドのいずれかが Apple の AirPods と同程度の近い所まで来ているなどと装うつもりは全くない。これらの Bluetooth ペアリングにはイライラさせられこともあるし、オーディオ品質はそれ程良くないし、電池寿命は短く、充電ケーブルを差し込むのはより大変だし、マイクの品質は弱いし、そしてどちらも Siri や音声コマンドをサポートしない。それに、届くのは一つだけで、これは AirPods も許してはいるが、必要とはしていないことである。

しかし、これらのイヤーバッドは余りに安価で気にもかけない程かもしれない。私はこの記事を、独立の Apple 再販者のカンファレンスである ASMC Summit に参加している間に書いたのだが、私がこれらの小さなイヤーバッドを参加者の一人に見せた所、彼は自分の AirPods を失くすといけないので会場には持って来てすらいないと言っていた。最善のデジタルカメラは今あなたのポケットに入っているものと言うのに倣えば、最善のイヤーバッドは今あなたが持っているものである。

また、私がここで取り上げているカテゴリーに属するのは、何もこれら二つのものに限らない。Amazon で "Bluetooth earbud" を検索すれば、色々な同じ様な製品が見つかるし、デザインも様々なので気にいる形のものが見つかるかもしれない。安いものだと $5 ぐらいからあるが、どれを見てもそう変わらなく見えることもあり、私なら $20 以上払うことはしないであろう。これらのものが長いこと持つとは私には思えないし、それに失くしやすいことも変わらないが、この安さでは少々の罪は許されるであろう。

一年前に私にこれらのイヤーバッドを薦めた友人の Rob は、あれ以来更に8つ買い増しして、その内4つは家族や友人にあげたと言っていた。自分用にしたものの中では、失くしたのは2つで、1つは壊れたと言うが、1つ $7 では、それ程悪い気はしていない。

もし片耳用の安価なワイヤレスオーディオの解をお求めなら、これらのイヤーバッドの一つを試されては如何であろうか? 例え期待通りではなくとも大した投資ではないし、予想外の良い結果に驚かされるかもしれない。

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Wallet で飛行機の搭乗券を設定し、使用する方法

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

遡ること 1990 年代初頭に、Tonya と私が、旅行に飛行機を最初に使い始めた時、それがほとんど途方もないくらい、ストレスに満ちたものであることに、私は気付いた。それは、私たちにとって、飛行機がとても値段が高いという事実に端を発していたが、航空券を購入し、再三にわたって搭乗手続きを行い、そして、セキュリティに対処するという込み入ったプロセスを、私は恐れてもいた。非常に多くの事が、航空券、搭乗券、そして身分証明書を失くさないということにかかっているように思われた。私たちは、失敗は一度もしたことはないが、今にして思えば、航空券や搭乗券を置き忘れたりすることは、おそらく大したことではなかったのだろう。(同時多発テロ以前に、私が Canada に最初に飛行機で行った時、私は、パスポートを忘れたが、それでも、厳しいお小言だけで、税関を通してもらった。今日であれば、いったいどんな事が起きるか、分かったものではない。)

私は、未だに飛行機の旅を楽しむことはないが、十分経験を積んできたので、侵襲的で不快なセキュリティの要求に対処することが、以前より、はるかにひどいことになってきているとしても、もはや、昔ほどにはイライラすることはない。加えて、Internet と iPhone のおかげで、各種の手配が大幅に単純化された。航空券を購入し、搭乗手続きを行い、そして、オンラインで搭乗券を印刷することができるようになったのが最初のステップで、次の重要な改善が、Apple が Passbook アプリをリリースした時にやって来た。その後、Passbook は、Wallet という名前になった。

私は、Passbook や Wallet を、可能である限り、常に使ってきた。Ithacaのような小さな空港では、必須であるスキャナが導入されるまで、少々時間がかかったのだ。だが、紙の航空券や搭乗券がいらなくなるのは良かったが、始めの頃は多くの問題があった。航空会社のとんでもないアプリのせいで、搭乗券を Passbook に入れるのは難しかった。そして、搭乗券を素早く、確実に提示することも難しかった。2016 年 11 月に、Los Angeles で開催された MacTech Conference に向かう旅の途中ですら、iOS 10 を走らせている iPhone 7 を私が使っていた時に、問題が発生した。搭乗の列に並んでいる間、iPhone を下に下げる度に、Raise to Wake オプションによって、搭乗券がロック画面に入れ替わり続けるということに、私はようやく気付いたのであった。

だが、私の最も最近の旅行、すなわち、独立系の Apple 再販売業者のためのASMC Summit に行く Austin への旅行では、全てがうまく機能した。Unitedのアプリは、一度ログインしたら、私の旅程を覚えていて、Delta のアプリは、一度、航空券の番号を入力したら、私の旅程を把握してくれた。どちらのアプリも、搭乗手続きができるようになったら、私に通知してくれたし、搭乗手続きを行うことや、搭乗券を Wallet に加えることを容易にしてくれた。iOS 10 と Wallet は十分スマートで、私が必要とする間、ロック画面上に、常に通知を表示してくれたし、1 回のスワイプで搭乗券を提示し、そして、Raise to Wake とは無関係に、私が列に並んでいる間、搭乗券は画面上にずっと表示されていた。

私は、読者の多くが、同意して頷いているか、あるいは、なぜ私がこうしたこと全てを読者に語っているのか不思議に思っているかのどちらかだと思う。私は飛行機に頻繁に乗るわけではないが、出張の多いビジネスマンにとっては、こうした改善は、最近では当たり前になってきていると思う。だが、私は、こうしたこと全てを行う方法を文書化してみたかったのだ。と言うのは、この間の旅行で、いまだに多くの人が紙の搭乗券を頼りにしているのを、私は見たからだ。iPhone が頼りになるという経験はとても良いものであり、紙の搭乗券を扱うよりも断然良いので、もし、読者がこれまでそうすることを避けていたのであれば、次の機会に試しにやってみることを、私は強くお勧めする。とは言え、代わりに iPhone が容易に使いこなせるようになるまでは、バックアップとして、紙の搭乗券を印刷するのも、もちろんかまわない。

航空会社のアプリを入手する -- 最初の段階が、たぶん一番難しい。航空会社のアプリを見つけたり、ダウンロードしたりするのが難しいとか、お金がかかるとかいうことではない。こうしたアプリは全て無料で、その他のアプリと同様に、App Store からダウンロードすることができる。以下、アメリカの主要な航空会社、すなわち、Alaska Airlines, Allegiant Air, American Airlines, Delta Air Lines, Frontier Airlines, Hawaiian Airlines, JetBlue, Southwest Airlines, United Airlinesそして、Virgin America のリンクを示す。

私の経験では、とりわけ、何年もの間旅行してきた私たちのような者にとっては、用心しなければならない部分はログインだ。私は、あなたが使うかもしれない航空会社のアプリを、次のフライトのずっと前に、時間を取ってセットアップすることを強くお勧めする。セットアップは一度にそろって行うこと。と言うのは、もし、あなたが古いアカウントを持っていたり、あるいは、航空会社の合併によって、物事が混乱したりしていたならば、設定は、面倒で厄介なプロセスになる可能性があるからだ。家で、Macで静かに作業しながら、航空会社の Web サイトを通じて、あなたのログイン情報を見つけ出すのは、はるかに容易だ。普通、ログイン情報は、フリークエント・フライヤーの番号、電子メール・アドレス、あるいは、ユーザー名に、パスワードや PIN を加えたものだ。

場合によっては、新しいパスワードを請求する必要があるかもしれない。そして、とにかく、パスワードをランダムな 20 文字のパスワードに変更し、それを、1PasswordLastPass のようなパスワード・マネージャーに保存することを、私はお勧めしたい。航空会社が保存している情報の価値を考えると、航空会社の Web サイトは、常に攻撃に晒されていると見なさなければならない。そして、飛行機での旅行の周辺で起こる個人情報の盗難は、苦痛に満ちた世界を引き起こす可能性があると思う。したがって、強力なパスワードを設定して、あなたの iPhone でもアクセスできるパスワード・マネージャーを必ず使うことだ。

搭乗手続きを行なって、搭乗券を加える -- いったんあなたが航空会社のアプリにログインしたら、フライトの搭乗手続きがどうやったらできるかは、比較的明らかなはずだ。搭乗手続きは、通常、出発前の 24 時間のうちに行うことができる。もし、同じ航空会社を通じてフライトを予約したなら、アプリは、あなたの旅程について、既に知っているかもしれない。もしそうでなければ、予約番号か、あるいは、航空券番号を入力しなければならないかもしれない。私は、前回の旅行の帰りの便の搭乗手続きを行うために、Delta のアプリを使った時に、そうしなければならなかった。この帰りの便は、Unitedからの乗り継ぎだったのだ。

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搭乗手続きのプロセスの最後に、私が使っているアプリでは、比較的明瞭なAdd to Wallet のリンク、または、ボタンを表示する。それをタップして、Wallet に移動したら、搭乗券の記載事項が全て正しいことを確認し、右上の隅にある Add リンクをタップする。搭乗券の一枚一枚について、これを行う必要があるかもしれないし、ないかもしれない。最初の搭乗券が済んだら、Wallet に何があるか、確認してみてほしい。空港に行く時には、今や、あなたは、準備が整っていることになる。

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搭乗券を呼び出す -- セキュリティの列に並びながら、最初にセキュリティ・チェックを行う人に対して、搭乗券を示すために、iPhoneの準備をしたいと思うだろう。Wallet は、あなたのフライトの時刻を知っているので、搭乗の数時間前になると、Wallet は、iPhone のロック画面に通知を表示し始める。

この通知は、あなたが iPhone をオンにする度に現れる。そして、通知を右にスワイプすれば、搭乗券が表示される。iPhone 6, 6s, あるいは 7 を持っている人は、通知を 3D Touch して、Show Pass ボタンを押すということでもよい。だが、この方法よりも、スワイプの方が気が利いている。搭乗券は、Settings > Display & Brightness > Auto-Lock で設定した時間を過ぎても、引き続き画面に表示されるだろう。だが、列の先頭に近づくにつれて、iPhone の Sleep/Wake ボタンをうっかり押さなかったか、確認すること。

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もし、あなたが Apple Watch を持っているのであれば、代わりに、Walletアプリをそこで表示させることができる。帰りのフライトのために、容易にアプリに行けるように、Keep in Dock ボタンをタップしたくなるかもしれない。Apple Watch の Wallet アプリは、iPhone の Wallet にあるものと同じ搭乗券を表示する。そして、搭乗券をタップすると、同じ情報が表示される。だが、スキャナで要求される QR コードにたどり着くには、下にスクロールしなければならない (あるいは、デジタル・クラウンを回さなければならない)。Apple Watch 上に Wallet アプリがあるうちは、画面はオフにならないので、手続きカウンターに着いた時に、Apple Watchの操作で、必死でもがく必要はない。

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私には、これが意味を持つという状況を想像することができないのだが、搭乗券がロック画面に現れないようにすることもできる。通知を右にスワイプして、右下の隅にある i ボタンをタップし、次の画面でSuggest on Lock Screen を無効にする。ここでは、自動アップデートをオフにすることもできる。だが、これについても、搭乗券を自動的にアップデートさせないことが役に立つ時というのを、思いつくことができない。

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最後に、注意点を一つ。フライトの多くは複数の区間に分かれていて、それぞれ、搭乗券が異なっている。Wallet は、それらを一緒にまとめておこうとするようだ。もし、搭乗券を表示する画面の下部において、複数の点があったら、点の間で、試しに左右にスワイプして移動してみてほしい。同じことが家族と旅行している場合や、iPhone に複数の人の搭乗券を持っている場合にも当てはまる。

そう言えば、もし、あなたや、あなたの旅行の同行者が、全員、iPhone と航空会社のアカウントを持っているのであれば、通常は、各自で自分の搭乗券を管理することが可能だ。だが、そうでない場合は、あなたの方で複数の旅行者の搭乗手続きを行うことができ、その人たちの搭乗券を全て、あなたのiPhone に加えることができる。搭乗券を示す必要がある時は常に、何回かスワイプして行ったり来たりしなければならないだろうが。

搭乗券の消去 -- ずっと昔、フリークエント・フライヤー・プログラム用に、マイルを飛んだということを証明するため、搭乗券を保持しておきたいと、時々思ったであろう。今日の世界では、Wallet がどのように動作するかを文書化するため、搭乗券を数枚、手元に置いておきたいと思うような技術系のライターでなければ、それらを保持しておく理由はほとんどない。

いったん、もはや搭乗券が不要になって、それを消去するには、Wallet を開いて、搭乗券をタップし、右下の隅にある i ボタンをタップし、そして、Remove Pass オプションをタップすればよい。このオプションは、いったん搭乗券の有効期限が切れたら現れる。

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他に何か? -- こうしたことが全て、どのように動作するかを文書化するのは難しかった。なぜなら、荷物の世話をしつつ、最終的に、自分が正しいフライトの正しい席に着いているということを確認しながら、私はこれをライブで行わなければならなかったからだ。異なる状況をシミュレートしたり、何かをもう一度テストしたりする方法はない。なので、Walletで搭乗券を使うことに関するこの記事で、私が何か見落としていたなら、コメントで、どうか私に教えていただきたい。

最後に、あなたの旅行に関わる文書が全て入っている iPhone を、旅行中に失くしたり、壊したりしたらどうなるのだろうか? もし、空港に行く途中でそうしたことが私に起きたとしたら、私なら、航空会社の最寄りの搭乗手続きカウンターに行って、新しい搭乗券を印刷してもらえるかどうか確認するだろう。そして、もし、そうしたことが、旅行中に起きたとしたら (こちらの方が、もっとありそうに思われる)、私は、出発に備えて空港に早く着くようにして、フライトの搭乗手続きをして、印刷された搭乗券を入手するための余分な時間があるようにするだろう。もし、あなたがこうした iPhoneの災難を既に経験していて、そのために、搭乗券や旅程に関する情報を失った状態になったとしたら、どのようにして、その問題に対処したのか、コメントで私たちに教えてほしい。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 3 月 13 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

1Password 6.6.2 -- AgileBits が 1Password 6.6.2 をリリースして、1Password Watchtower をデフォルトで有効にするとともに、最初のセットアップの際に表示される同期オプションを明確化した。今回のアップデートではまた、Trash がサイドバーの中途に浮かんで見えるレイアウトの問題点を修正し、Watchtower データベースが自動アップデートされなくなるバグを解消し、ウェブブラウザを使ってサインインすることにより 1Password.com アカウントを追加する際のクラッシュをなくしている。AgileBits はまた、Mac App Store の Volume Purchase Program を使って 1Password を購入した人が読み出し専用モードに陥らないように対策を施した。

バージョン 6.6 から Mac App Store 版の 1Password が無料でダウンロードできるようになり、30 日間のみ試用モードで働くようになった。その期間が過ぎれば、1Password を購読するよう求められる。詳しくは AgileBits のブログ記事を参照。(AgileBits から新規購入 $64.99、無料または月額 $2.99 か $4.99 の購読、無料アップデート、47.4 MB、リリースノート、10.10+)

1Password 6.6.2 へのコメントリンク:

Hazel 4.0.9 -- Noodlesoft が Hazel 4.0.9 をリリースして、このファイルクリーンアップユーティリティにバグ修正を施した。今回のアップデートでは、ルールを編集または保存する際に、あるいはサポート外のアトリビュートを使ってルールを編集した際に起こり得たクラッシュをなくし、Pattern エディタウィンドウが画面左下隅に現われないようにし、パターンフィールドの上に項目をドラッグしてもフィールドが展開しなかった問題を解消している。(新規購入 $32、5 名のファミリーパックは $49、無料アップデート、7.9 MB、リリースノート、10.10+)

Hazel 4.0.9 へのコメントリンク:

Lightroom CC 2015.9 と Lightroom 6.9 -- Adobe が、独立動作の Lightroom 6.9 と Lightroom CC 2015.9 (Adobe の Creative Cloud Photography プランの一部として入手可能) をリリースして、バグ修正を施し、新しいカメラやレンズへの対応を追加した。これら二つのプロフェッショナル向け写真カタログ・編集アプリケーションは、Point Curves でのカーソルの動きが不安定であったのを修正し、macOS 10.12 Sierra で Lightroom が不意に Full Screen モードを脱する問題を解消し、書き出しの速度を向上させ、読み込み後に iPhone Capture Time がずれてしまったバグを修正し、またメモリリーク一件をパッチしている。(月額 $9.99 の購読、または $149 の独立動作アプリ、無料アップデート、リリースノート、Lightroom CC 2015.9 は 10.8+、独立動作の Lightroom 6.9 は 10.9+)

Lightroom CC 2015.9 と Lightroom 6.9 へのコメントリンク:

ChronoSync 4.7.4 -- Econ Technologies が ChronoSync 4.7.4 をリリースして、クラウド同期のパフォーマンスを改善(複数オブジェクトのコピーと破壊のための並列操作による、その重要性については 2016 年 12 月 22 日の記事“クラウドバックアップ用 ChronoSync 4.7 を検討する”参照)するとともに、Analyze パネルの反応性を向上させた。この同期およびバックアップ用アプリはまた、メモリ利用と同期書類の保存パフォーマンスを改善し、移動したボリュームの認識とマウント能力を拡張し、メモリ管理のオプションを再調整して Amazon S3 に同期する際のメモリ消費を減らし、push 通知発送手続きにおけるメモリリークをなくし、リソースフォークを含むファイルを Amazon S3 や Google Cloud へ同期する際に誤ったエラーを起こしていたバグを修正している。(無料アップデート、ChronoSync は新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、41.2 MB、リリースノート、10.8+)

ChronoSync 4.7.4 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2017 年 3 月 13 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Jamf の企業アンケートが macOS と iOS の増加を示し、Apple が最近の WikiLeaks 暴露で明かされた脆弱性の大半を既にパッチ済みだと述べ、判事がデバイスの Touch ID アンロックを強制することはできないという判決を出し、Steve Jobs が当初 Genius Bar が馬鹿げた考えだと思っていたことが判明する。

Apple、企業に足掛かりを得る -- Apple は教育市場で勢いを失いつつあるかもしれないが、企業での成績は向上している。大企業で働く IT プロフェッショナルや経営者、重役たち 300 人を対象とした調査の結果、Apple デバイス管理会社 Jamf は応答者の 91 パーセントが macOS を使い、99 パーセントが iOS を使っていると発表した。Jamf によれば「Apple が企業に足掛かりを得つつあるのは従業員たちが普段個人用に使っているデバイスの方を好むから」だという。巨大な多国籍企業の中のたった一つの部門が Mac に依存しているからといって必ずしもその会社が macOS を「使って」いるとはっきり断言できる訳ではないので、今回の Jamf の調査結果をどう判断すべきかは定かではないが、Apple が最近になって IBM やその他の企業戦略と提携関係を結んでいることも考えれば、成長の兆候が見えるのは嬉しい。

コメントリンク: 17105

Apple、WikiLeaks 脆弱性の大半がパッチ済みと発表 -- WikiLeaks が、米国 Central Intelligence Agency (CIA, 中央情報局) が iOS を含む複数のコンピュータシステムに侵入するために使っていたとされる脆弱性を示す大量の文書を公開した。しかしながら、Apple によれば同社はそれらのセキュリティホールの大半を既にパッチしており、TechCrunch に対し「当社の初期分析ではリーク文書の中で言及された問題の多くが既に最新 iOS で解決されているが、当社は今後確認される脆弱性についても引き続き迅速に対応する」と語った。このような話を聞けば、たとえすべてのアップデートを即座にインストールしないとしても、デバイスを最新のものに保っておくのが良いと分かる。

コメントリンク: 17098

判事いわく: FBI は Touch ID アンロックを強制できない -- 現在進行中の FBI とのいざこざの中で、間接的ながら Apple が一つの勝利を得た。合衆国判事の出した判決が、FBI は Touch ID 装備のデバイスのロックを外す目的で潜在的ターゲットに指紋の提出を強制することはできないとしたのだ。セキュリティの世界にずっと以前からある経験則では、指をスキャナの上に置くよう強制されることはあってもパスコードを明かすよう強制されることはないのでパスコードの方が指紋認証よりセキュアだという。これはぎりぎりの判断だが、それでも司法制度がテクノロジー世界に追い付きつつあるのは良いことだ。

コメントリンク: 17095

Steve Jobs、当初 Genius Bar を馬鹿げたものと退ける -- Recode Decode ポッドキャストで、元 Apple の Retail Operations 担当上席副社長であった Ron Johnson (Apple Store の先駆者) が、当初 Steve Jobs は Genius Bar を「馬鹿げたもの」としていたことを明かした。Jobs は、テクノロジーを知っている人たちは人との付き合い方を知らないと論じたが、次の日には Apple Legal に命じて "Genius Bar" の商標登録を申請させたという。Apple の良いアイデアを Jobs がすべて思い付いた訳でないばかりでなく、彼が当初そういうアイデアの多くを拒絶したこともあるという、これは良い実例となっている。けれどもこれはまた、信頼できる意見を持った人たちの意見にならば Jobs は進んで納得していたことも示している。

コメントリンク: 17094


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日本語版最終更新: 2017年 03月 17日 金曜日 , S. HOSOKAWA