最近明らかになった KRACK 脆弱性はほとんどの Wi-Fi 接続に関係し得るもので、Apple 世界にかなりの懸念を呼び起こしたが、Glenn Fleishman はこれが言われているほどの大事ではないと説明する。今週は Jeff Carlson が寄稿記事で、iOS 11 に新たに装備された長時間露光機能を検討する。この機能を使えば、従来は多くの作業を必要とした撮影がどんな写真家でも簡単にできる。Adam Engst は Fantastical のメーカーが出してきた Mac 用の新しいコンタクト・マネージャ Cardhop をレビューする。Julio Ojeda-Zapata は Google が最近のイベントで発表したハードウェアについて、それらがいかに Apple 製品と競合するかという観点から調べる。今週注目すべきソフトウェアリリースは GraphicConverter 10.5.1、SEE Finance 1.1.11、Merlin Project 4.3、Fantastical 2.4.3、Delicious Library 3.7、EagleFiler 1.8.1、BBEdit 12.0.1、それに DEVONthink/DEVONnote 2.9.16 だ。
記事:
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文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>
Apple は新しいリリースを全速力で出しているが、我々の Take Control の友人達も追いつくのに一生懸命で、iOS 11, High Sierra, iCloud, 等々についての本を出版したり、アップデートしたりで大忙しである。今週に限り[訳者注: 米国時間で 10 月 28 日か 29 日ごろまでと思われます。]、全ての注文は 50% 引きとなる。
これは、あなたのライブラリにまとまった数の Take Control 本を補充するのに絶好の機会でもある。品揃えは Apple アプリ (Preview, Pages, そして iTunes の様な)、クラウド、プライバシーとセキュリティ、Mac 生産性とオートメーション、それにあなたのデジタル遺産をどう守るかまで揃っている。このセールはパンプキンパイ用のスパイス製品が棚から消える前に終了する。そして将来 Take Control 本がこれ程安くなることはもう無いであろう。
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文: Jeff Carlson: [email protected], @jeffcarlson
訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>
次の写真を見て欲しい:
私は、この画像を明るい午後の光の下で Snoqualmie Falls で撮った。ここは Seattle 郊外の人気の観光地である。絹の様に滑らかな滝が目を引くが、それは違った感じを与えるからである:我々の知っている滝はこれよりももっと変化に富み、そして荒々しい。そして、これは綺麗な効果である。
このショットを撮る通常のやり方は、カメラを三脚に載せてシャッター速度を遅くして (2分の1秒かもうちょっと長く) 撮る。そうすると、画像センサーは滝から反射する光をある時間に亘って、単に一瞬の間ではなく、記録する。三脚は必須である。これはカメラが動いて画像がボケてしまうのを防ぐためである。この様な長時間露出のもう一つの挑戦は、センサーはその場面の全ての光を記録するので、単に滝だけでなく、過剰露出になりがちな、とりわけ日中には、ことである。
補正するやり方は幾つかある。絞り値を高い値に (f/16 とか f/22) 設定し、レンズから入ってくる光の量を制限する。カメラ上の画像は暗くなるであろうが、露出期間中に積み上がった光の量は最終画像をよりバランスのとれたものとする。しかしながら、非常に高い絞り値はレンズによっては歪みや明瞭さを欠く原因となり得る。
他の補正方法としては、レンズの前に減光フィルターを付け加えることである。これもセンサーに当たる光量を制限し、より長時間の露出を可能にする。しかし、必要なだけ暗いフィルターを持っていないかもしれない - とりわけ、明るい日中の状況下では。私の Fujifilm X-T1 カメラで 1/4 秒露出、絞り f/8.0 で 0.9 減光フィルター (これで 12% の光を通す) を使って撮った写真が以下である:
もし本当に X-T1 のカメラで撮りたいと思ったならば、フィルターを数枚重ねて (私は標準キットとして 0.6 と 1.2 フィルターも持っている) 撮ることも出来たであろうが、ひどいケラレ (周辺部が中心部よりも暗くなる) とある程度の不明瞭さを持ち込むことになりかねない。
では、どうやって最初の画像を撮ったのか?
私は iPhone 8 Plus をポケットから取り出し、1回の露出、手持ちで Live Photos 機能をオンにして撮った。それから、Photos アプリで Apple の新しい Long Exposure 効果を適用した。それだけである。
Long Exposure を適用する前のオリジナルの画像は下記である:
何が起こっている? -- Camera アプリを iPhone や iPad で使うと、それは連続して場面を解析し、そして記録すらするが、保存はしない。シャッターボタンをタップするや否や、このアプリは場面をミリ秒のうちに評価し、そしてその瞬間に最善の露出と思うものを提供する。Live Photos を有効にすると、その静止画の辺りの3秒間のフレームを含むビデオファイルを保存する。Photos アプリでそれを見る時画像を押したままにするとそのビデオ映像を再生し、あの Harry Potter 風の動画を見せてくれる。
iOS 11 で、Apple は Live Photos ビデオ映像を生かした3つの新しい効果を付け加えた。Loop はビデオを最初から終わりまで何時迄も再生する。Bounce は、最初から最後までを再生し、次に最後から最初へと逆向きに再生、それからループとして最初に戻る。
3番目の効果が Long Exposure で、これはビデオの全てのフレームを一つの画像へと混合する。これは、比較的長時間の間カメラのシャッターを開いたままにして "実際の" 長時間露出をするのと同じ原理であるが、違いは光を次々と 吸収 していくのではなく、個々のフレームからの光を 合成 していくことにある。これはアルゴリズムに基づいてなされ、アプリが空や周辺部のトーンや詳細をバランスの取れた状態に保つこと可能にする。
この Long Exposure 効果を使うのはとても簡単である。Photos アプリで Live Photo を見る時、上方にスワイプして更なるオプションを出し、そして Effects の下の Long Exposure を選択する。
Photos でのこの効果は macOS 10.13 High Sierra でも使える。Live Photo を選び、Edit をクリック、そして Effects ポップアップメニューから Long Exposure を選ぶ (画像の右下端の下)。
これは見事だが、Long Exposure 機能は完全ではない。もし拡大して注意深く見れば、原画に比べて岩や空の細部をかなり失っているのに気づかれるであろう。これは小さな画面上では問題ないが、より大型のスクリーン上での精査には耐えられない。また Long Exposure を適用するとカメラの動きを考慮に入れて画像を切り取る;もし、写真を撮る時、Live Photo 効果のいずれかを使う積りでいるのであれば、主題の周りには十分な空間を残すようにした方が良い。
それでも、紛れもなく素晴らしい長時間露出の滝の写真を、私は iPhone を向けてスナップを1枚撮っただけで撮れた。絹の様に見える滝の写真を撮ったことのある人間の一人として、私はそれを手にするのにどれだけの努力が必要かを身を以て知っている。それが今や、iPhone 6s かそれ以降で iOS 11 が走っているものを持っている人は誰でも、それに近いものが殆ど何の努力もなしに手に出来る。
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文: Glenn Fleishman: [email protected], @glennf
訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>
最近ニュースサイトで大々的に報じられたのをご覧になられたであろうが、この新しい Wi-Fi セキュリティ問題に余り神経質になる必要はない。確かに、KRACK 攻撃は、Wi-Fi 機器 - Mac, iPhone, Windows コンピュータ, POS 端末, 或いはスマート冷蔵庫の様な - が Wi-Fi アクセスポイントに安全に接続する過程に関わる基本的な欠陥を明らかにした。これがどれだけ重要な (そして巨大な) 話かを 過小評価 するべきではないが、どれだけ影響を被りそうかを 過大評価 する必要もない (可能性はとても低い)。
この KRACK 攻撃は、WPA2 として知られている Wi-Fi Protected Access version 2 が、クライアント機器にベースステーションと暗号化キーと暗号要素をやりとりさせ、クライアントを装い、或いはデータを後で解読するために、通信を傍受しようとする如何なる輩からもそれらの要素を秘密に保つやり方に関係している。
WPA2 暗号化をサポートする Wi-Fi ネットワーク接続を始められるオペレーティングシステムや機器はどんなものでも、明らかにされている攻撃の少なくとも一つには脆弱性をもち、そして研究者たちは、未だリリースされていない他の攻撃も見つけている。Wi-Fi アクセスポイントは直接影響を受けない。
しかしながら、世界中の全ての機器はそのトラフィックを傍受 され得る からといって、全ての機器が傍受 される だろうということにはならない。Wi-Fi は局地的なネットワークであることを思い出して欲しい:攻撃者は目標のカバー範囲内に居なければならない。
この KRACK 脆弱性は、アップデート可能なハードウェアでは簡単にパッチ出来る。Apple は、私に、同社の4つのオペレーティングシステムは全て、現在のベータリリースではパッチが当てられており、このパッチは近々 macOS, iOS, watchOS, そして tvOS に対して適用されると話してくれた。他のオペレーティングシステムやより古い Apple ハードウェアはそれ程幸運ではない。幸いにして、多くの専門家がベースステーションをアップデートする方法が使えると見ているが、状況はあまり変わらない:多くのベースステーションは自動アップデートの機能を有していないので、パッチされていないクライアントが目標となることを防げない。
KRACK の概要 -- 16 October 2017 に、セキュリティ研究者 Mathy Vanhoef は、数ヶ月前に書いたがここに来て来るべきプレゼンテーションに先立ってリリースした論文の中で取り上げた攻撃について幾つかの異なる種類の概念実証を発表した。彼は、この一連の攻撃を "KRACKs" (Key Reinstallation AttaCKs) と名付けたが、これは今や重大な脆弱性全てに気の利いた名前が必要とされているからである。彼はこの脆弱性を注意深く発表し、そして US-CERT が究極的にはこの情報を広める役目を引き継いだので、公開日迄には多くの会社がパッチを出せる状態になるか、或いはそれに近い所まで準備出来るであろう。(間違って意図したよりも早く詳細が公開されてしまったと Ars Technica は説明している。)
色々な WPA2 折衝は "four-way handshake" と呼ばれるものに依存しており、そしてキーが渡される段階でクライアントがそのキーを受け損ねる (或いは受取を承認し損ねる) ことを想定している。その理由は、受信障害、オペレーティングシステムの不備、等々のせいであるかもしれない - 忘れないで欲しいのだが、WPA2 が開発されたのは 2004 年で、当時は全てが、とりわけワイヤレス機器は、より遅くそしてより信頼性に欠けていた。
その結果、Wi-Fi アクセスポイントは、クライアントが受け取っていないと思った時にはキーを再送信することが出来、そしてクライアント機器はそれをインストールしカウンターをリセットする。このカウンターは、自分自身とアクセスポイントの様な特定の相手だけが解読出来る一連の暗号化情報を作り出すのに使われる。
ここが欠陥が存在する場所である:攻撃者はこのキーの伝送を記録しそして再生出来、そしてクライアントは忠実にカウンターをリセットする。この情報を手にすると、特定のデータパケットの内容を知っている、或いはプレーンテキスト (メールや Web ページでさえ) を含んでいると想定している悪意を持った連中は、暗号化キーを入手することなく他のパケットを解読出来る。攻撃者はその Wi-Fi ネットワークに参加することは出来ないが、そこから情報を引き出すことは出来る!
全てのオペレーティングシステムがあらゆる種類のやりとりに対してこの問題に悩まされる訳ではない。例えば、Windows や iOS は、幾つかの型の攻撃には脆弱ではないが、他のものには脆弱である。少なくとも1種類のハンドシェークが KRACK を使って攻撃され得ると、途上のデータは脆弱となる。偽造されたデータもまたネットワークに挿入可能で、これにより、ランサムウェアや他のマルウェアが脆弱な機器に届けられることも可能となる。
この欠陥自体よりももっと恐ろしいのは、これが 2004 年に WPA2 が現れて以来存在していたことであり、かつ、それが一人の人 - 大学院生によって、侵入阻止ソフトウェア会社の熟練した研究者のチームによってではなく、発見されたことである - それも関連した話題についての論文を書いた後、何らかのテストをしてみようという細い糸を辿った結果として。(Vanhoef は、彼の研究管理者にこの論文は彼の指導によるものであるとして謝意を述べている。)
これ迄の所、KRACKs が広範に使われたという証拠はない。しかしながら、Vanhoef が容易に見つけたことからすると、政府の諜報機関は既に見つけ出していて、目標の偵察にこの弱点を使って来た可能性はあるということである。何故ならば、これは彼らが探し求めている類のものそのものだからである。
全てが悪い話に聞こえるかもしれないが、Vanhoef が KRACKs を暴いたというのは良い知らせである:責任ある公開に専念している一人の研究者は、解読ツールがアップデートされる前に、企業にはパッチを当てる時間があったことを請け合ってくれた。加えて、例え悪者がこれらの脆弱点を突こうとしてきているとしても、彼らのチャンスはこの先あまり長くは存在しない。その理由を次に説明する。
パッチを当てられ得るものは全て当てられるであろう -- Apple は既にアップデートの流れの中で、各種の KRACKs を正すパッチを全てのオペレーティングシステムに当てている ("Apple、OS ベータ版で WPA2 KRACK 脆弱性をパッチ済み" 16 October 2017 参照)。(Apple は AirPort ベースステーションについては何も言っていないが、希望は持っていたい。) 10 October 2017 に、Microsoft はアッップデートを Windows 7 とそれ以降、そして Server 2012 とそれ以降に対して出した。Verge によれば、 Google はもっと漠然と Android アップデートを数週間中に出すことを約束しているというが、個々の Android ハードウェアは独自の計画によって対策される。他のオペレーティングシステムやハードウェアメーカーはアップデートを現在出しているか、或いはもうすぐ出すであろう。機器に Wi-Fi ラベルを表示するのを承認する Wi-Fi Alliance も、その試験方法をアップデートする。これらの対応により、最新のハードウェア、とりわけモバイル機器を持つ人々に対する、最も大きなそして最も儲かる攻撃の機会は、急速に閉じられていくであろう。
多くのセキュリティ攻撃に共通するのだが、最大の問題は3つの関連する分野から派生する: Google の Android OS, Linux, そして Internet of Things (IoT) 機器で、これらは多くの場合 Linux の一形式を使っている。この場合、WPA2 折衝を扱うよく使われるソフトウェアモジュールの中に重大な欠陥が存在するからでもある。この欠陥は深刻である:このモデュールを走らせるハードウェアにある暗号化キーは、攻撃者が捕捉した暗号化キーを再生しようとすると、全てゼロにリセットされてしまう - その通り:全てゼロだ!こうなると、攻撃者はキーを知っていて、クライアントから送られたデータ全てを直ちに解読出来る。他のオペレーティングシステムでは、侵入者はもっと努力が必要で、通信の一部を解読する前に、沢山のデータを捕捉しそしてもっと多くの KRACK 攻撃を仕掛けなければならない。この目につくバグは古いものではない - それは Android 6.0 や他のより新しいハードウェアに組み込まれた比較的最近のアップデートで持ち込まれたのもので、使われている全ての Android 機器の凡そ 50% が影響される。
Android は昔からアップデート放棄問題に悩まされて来た。これは Google とそのパートナーがより古いリリースに対するサポートをさっさと止めてしまうことから来ている。沢山のより古い Android ハードウェアがシステムの次のメジャーリリースにすらアップグレード出来ない - もっと言えば、漸進的な改善にすら対応出来ない。この放棄問題は、数億台に達するより古い Android 機器に影響を及ぼし、これらの機器はセキュリティアップデートを全く受けることが出来ない。MasterKey, Stagefright, そして Broadpwn には3つの例が挙げられている。(Apple は通常 Mac を少なくとも 7 年間はサポートし、時折、もっと古い Mac に対するサポートサイクルの極めて遅い段階でのセキュリティアップデートをリリースすることすらある。iOS に関しては、5 年に近い。)
もっと悪いのは Internet of Things 機器で、こちらは組み込みのオペレーティングシステムを使っており、ユーザーがそれと直接やりとりすることは出来ず、多くの場合、アップデートすら全く出来ない。製品がアップデート可能な場合でも、怪しげな製造者と安売り価格のせいで、特定のモデルに対するサポートは市場に出て数ヶ月で打ち切られてしまう結果となる。アップデートは、しばしばインストールするのが難しく、そして製造者は顧客に知らせることもしないので (或いは、そうする手段すら持たない)、平均的なユーザーが、セキュリティ修正の存在を知ったり、それを見つけ出したり、インストール出来る可能性は低くなる。KRACK は、DVR や子供見守りカメラの様な機器を捕捉しボットネットに加える攻撃者用の補足機器の新たな道具となり得る。
何人かのセキュリティ専門家と話した所、この構図において Wi-Fi アクセスポイント側は、これらの折衝欠陥に対して責任はないが、消費者向けアクセスポイントでさえ KRACKs を阻止し、抵抗し、或いは報告するべくアップデートが可能であることが明らかとなった。(一つだけ例外がある:企業規模のアクセスポイントで "fast handoff" をサポートするものは、そのモードでは少なからずクライアントの様に振る舞うので、この機能を持つルーターはパッチを当てる必要がある。)
企業レベルでは、業者は既にこの問題を掌握している。更に、企業規模の侵入検知システムは長いこと、KRACKs が必要とする認可されていない或いは偽のアクセスポイントを監視している。例えば、Cisco は、顧客に対して KRACK 風の侵入者を検知する正しいオプションを有効化してることを確認させる手引書を既に提供している。
公共 Wi-Fi ネットワークは KRACK 攻撃によって影響され難い。多くの場合、安全化されていないネットワークに対するアクセスの管理には、WPA2 ではなくポータルページに依存しているからである。アクセスのために WPA2 を使っている場合、通常は顧客に対する利用を制限するためである。と言うのも、同じネットワーク上の他のユーザーからの真の意味でのセキュリティは提供しないからである。いずれの場合でも、公共ホットスポットは信頼出来ないものとして扱うべきである。
あなたが出来ること -- 皆さんも、KRACKs に対抗する手立てを取ることが出来るし、取るべきである。やり方は次の通り:
所有している Wi-Fi 対応機器全てに対して、KRACK 関連のアップデートが出次第インストールする。
自分の Wi-Fi ベースステーションを調べ、Apple ベースステーションでは混合の WPA/WPA2 Personal モードを、他のメーカーのハードウェアでは TKIP 暗号化や TKIP/AES を使っていないことを確認する。これらのモードは一般的により破りやすく、そして KRACKs に対してもより危険性が増す。使うべきは、WPA2 Personal (或いは、使えるのであれば WPA2 Enterprise) か AES-CCMP, 時として単に AES として示されている、のみである。
メールクライアントを調べ、メールホストに対しては暗号化接続を使っていること、そして暗号化されない接続へ引き下げを許す如何なる詳細オプションも不能になっていることを確認する。
Safari 以外の macOS Web ブラウザに対しては、EFF からの HTTPS Everywhere をインストールする。(Apple は Web セッションを始める所で安全確保されていない接続を防止するため https 転送をその段階で許さない。)
信頼出来ないネットワーク上で作業する場合は VPN を使う。これには、あなたのハードウェア機器に対するアップデートがリリースされていない場合のあなたのホームネットワークも対象となり得る。VPN は KRACKs を阻止することは出来ないが、VPN クライアントとサーバーによって暗号されたデータはトラフィックを傍受している者からは保護されている。
KRACKs が消え去ることはないであろう。何故ならば、何億と言うパッチの当てられていない機器が Internet 上には残り、これらの攻撃は間違いなく研究目的のハッキングソフトウェアや悪意のある解読ツールには追加されるであろうし、そして政府や犯罪組織によって、旧式の Android 電話機や時代遅れの監視カメラを使う個人を目標に使われるであろう。
しかし、KRACKs が全体的な Internet セキュリティに対して重大なインパクトを与える可能性は低い。
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文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
私は Apple の Contacts (連絡先) アプリが嫌いで、このアプリが Address Book (アドレスブック) と呼ばれていた時代からずっとそうだった。とにかくこれは出来の悪いアプリだ。画面スペースの扱い方も酷いし、ユーザーの使い勝手も基本的にモーダルで具合が悪い。数年前、BusyMac が良い仕事をして、より良い一枚岩の連絡先アプリ BusyContacts を作り上げた。(2015 年 3 月 17 日の記事“BusyContacts、Mac の連絡先管理をターボブースト”参照。) けれども今回 Fantastical のメーカー Flexibits が、全く違った観点から新しい連絡先管理のツールを出してきた。それが Cardhop だ。
連絡先管理における問題点の一つは、それが基本的にデータベースの作業であることだ。レコードを作成し、フィールドを編集し、検索を実行し、といったものだ。もちろんそれはどんなデータベースでもできることだが、Cardhop が登場するより以前には、結局のところどのコンタクト・マネージャ (連絡先管理ツール) でもそれとやり取りする手順は FileMaker を使っているのとそう変わらなかった。これに対して今回登場した Cardhop は、従来の Contacts や BusyContacts が使っているものと全く同じシステムレベルのコンタクト・データベースに依存して動作するのだが、あなたが連絡先を追加したり、編集したり、利用したりする手順がかなり違ったものとなっている。
まず第一に、Cardhop はメニューバー上にある魅力的なアプリで、明・暗双方のモードを持つ。デフォルトでは、メニューバーから呼び出すとポップオーバーとして開き、他所へ切り替えれば消える。けれども、開いたポップオーバーをドラッグしてメニューバーから切り離せば、独立のウィンドウとなってあなたが他のアプリへ移ってもそのままそこに見えている。
当初の設定では、誕生日が近づいている人たちのリストを Cardhop が表示し (私は View > Show Birthdays を非選択に切り替えてこれをオフにした) その後にあなたが最近 Cardhop を使って何かの作業をした連絡先の人々が並ぶ。一番下にある All Contacts をクリックすれば全員を見られるが、現実的にはたいていの場合そんなことをする必要はないだろう。また、ウィンドウを拡張してコンタクトグループを表示させ、グループの一つをクリックして検索結果をそのグループに属する人たちのみに制限することもできるが、こちらもそんなことをたびたびする気にはならない。
その大きな理由は、Flexibits が Cardhop を構築する際に自然言語構文解析ツールを中心に据えたからだ。だから、ボタンをクリックしたりメニュー項目を選んだりして Cardhop を走らせることも可能だけれども、本来これは文字をタイプして使うことを中心にデザインされている。まるでコマンドラインのツールに逆戻りしたかのように聞こえるかもしれないが、実際に使ってみるとコマンドラインなんかよりもずっと滑らかで直感的だ。
追加、検索、編集 -- 例えば、新しい友人の Tim Cook の連絡先を追加したかったとしてみよう。Cardhop を呼び出すように設定しておいたホットキーを押してから、そのままタイプを始める。"Tim Cook Apple [email protected] @tim_cook 408-555-1212" と入力すれば、Cardhop が即座に新規カードを作成し、そのカードに氏名、会社名、電子メールアドレス、Twitter ハンドル名、電話番号を書き込んでくれる。これらの情報を丸ごとコピーして Cardhop にペーストしても同じ結果が得られる。Return を押すか、または Add Contact をクリックするかすれば作業は完了だ。
住所を追加したければどうするのか? まず、Tim Cook の連絡先カードを見つける必要がある。そこで Cardhop を呼び出し、彼の名前の一部をタイプし始める。(ファーストネームでもラストネームでも構わない。) それだけで検索が始まる。だからこそ、すべての連絡先をブラウズしたり検索をグループに制限したりする必要はまずないと言ったのだ。何文字か打つだけでその人が見つかるのはあっけないほどだ。連絡先の中に Tim という名前の人が複数人いる場合は、"tim co" と打って初めて正しいカードが開くこともあるし、または最初からただ "cook" と打ってもよいだろう。
いったん Cardhop が正しい連絡先を見つければ、タイプするだけで Tim Cook の住所を追加できる。ここで "work 1 Infinite Loop Cupertino CA 95014" と入力すれば、あなたが Return を押すとすぐに Cardhop が住所欄を追加する。最初に "work" を入れたのは、これが仕事場の住所だと示すためだ。代わりに "home" や "other" を使うこともできるし、何も入れなければデフォルトとして自宅の住所になる。
データのどれか、例えば電話番号を削除したければどうするのか? Cardhop を呼び出して、"cook delete phone" とタイプすればよい。Cardhop が即座にと "delete" いう単語を色付けするので、それがデータでなくコマンドとして解釈されたことが分かる。
細かな情報を Cardhop の構文解析ツールで変更することはできないようだが、いったん連絡先カードが開いてその情報が見えていれば、どのフィールドでもクリックすれば直ちにそれを編集できる。Apple の Contacts アプリのように特別の編集モードに移ったりはしない。また、フィールド名も同じようにして変更できるので、例えば仕事場の電話番号という指定を iPhone の電話番号という指定に変えることもできる。
それ以外のアクションにも、より伝統的な形式のインターフェイスが必要になる。フィールドを追加したければ、画面の一番下にある Add Field ボタンをクリックする。その連絡先にメモを追加したければ、カードの一番下に常に存在しているメモフィールドのどこかをクリックして、そのままメモをタイプすればよい。Apple の Contacts アプリと違って、このメモフィールドは常時見えているので使いやすい。
連絡先とのやり取り -- 連絡先管理は、単なるデータベースの管理だけには留まらない。連絡先情報を使いこなすことこそ重要だ。ここでも、Cardhop は構文解析ツールを活用する。数多くのコマンドを理解でき、コマンドの入力は連絡先を選択する前でも後でも構わない。
例えば、Tim Cook に電子メールを送りたいと思えば、単に "email tim cook" とタイプしてから Return を押せば、Cardhop があなたのデフォルトの電子メールクライアントの中でメッセージを作成する。十中八九、Cardhop はあなたが文字を一つか二つ打っただけで、あなたが最近使ったものの中から正しい連絡先情報を見つけてくれるだろう。つまり、Tim という名前の他の人でなく、正しく Tim Cook を推測できるだろうということだ。その上、名前の後にタイプしたものを、Subject 行の内容として追加することもできる。例えば "email tim cook Feedback about iTunes" とタイプできる。
Cardhop は、連絡先との日常的なやり取りのために、数多くのコマンドを理解できる:
"call Tim" で、Continuity または Wi-Fi Calling を通じて iPhone からその連絡先に電話をかける。または、Mac から Bluetooth でペアリングされた電話機に電話をかけさせる。Cardhop の環境設定でデフォルトの挙動を選べるし、タイプしてから Option-Return を押せばその場限りで挙動を切り替えられる。"call" の代わりに "dial" や "phone" も使える。
"copy Tim" で、連絡先情報をコピーする。どれだけの情報をデフォルトでコピーするか (その範囲は連絡先により異なる) が表示されるが、例えば "copy Tim work email" のようにして具体的に指定することもできる。
"email Tim" で、上記と同様に電子メールを作成できる。"email" の代わりに "mail" も使える。
"facetime Tim" で、その連絡先との FaceTime 通話を開始する。省略形の "ft" も使えるし、FaceTime Audio 通話を指定した形の "facetimeaudio", "audio", "facetime audio" または単に "fta" も使える。
"message Tim" で、Messages アプリの中でその連絡先との会話を開始できる。"message" の同義語は多く "imessage", "text", "txt", "im", "ping" も使える。残念ながら、送信すべきメッセージを入力することはできない。
"skype Tim" で、その連絡先との Skype 通話を開始する。
"search Tim" はその連絡先の Spotlight 検索を開始するはずだが、現時点ではこれも、その同義語の "spotlight" や "find" も、まだ動作しない。
"tweet Tim" で、その連絡先に宛てた tweet を送る。"twitter Tim" とタイプすることもできる。
"web Tim" で、その連絡先に付随した URL を開く。"website", "webpage", "url" も使える。
"map Tim" で、その連絡先の住所の地図を表示する。"maps", "directions", "route" も使える。
"show Tim" で、電話番号や住所の情報が大きな文字で表示され、一目で読めるようになる。たいていの場合、どの情報かを指定する方が使いやすいだろう。例えば "show Tim address" や "show Tim mobile" といった具合だ。このコマンドの変種として "large", "banner", "big" も使える。
興味深いことに、これらのコマンドの多くはどの連絡先にも属していない自由形式の情報と共に使うこともできる。例えば "call 408-555-1212" とか "email [email protected]" とか入力することができて、そうすれば Cardhop が喜んでそのコマンドを適切なアプリに送ってくれる。
タスクの種類によっては短いコマンドであっても入力が面倒なことがあるので、Cardhop は 4 つの Quick Action をボタンの形で提供しており、リスト上のどれかの連絡先の上で、あるいは個々の連絡先の上で、ポインタをかざせばボタンが現われる。さらに、Command-1 から Command-4 までで呼び出すこともできる。デフォルトで、Cardhop は Message, Email, Call, Video の 4 つを Quick Action としているが、これらは Cardhop の環境設定でグローバルに変更することができ、また個々の連絡先ごとに変更することもできる。(Quick Action ボタンの一つを Control-クリックすれば変更できる。)
Cardhop の使い方に慣れる -- Cardhop は素敵なアプリだし、連絡先情報とやり取りするための方法を考え直したものとして魅力的だが、受け入れられるためにはまだまだ困難な戦いが控えている。問題は、私たちは皆自分の習慣を作り上げてしまっていてそれを打ち破るのが難しいという点にある。例えば、誰かに電子メールを送ろうと思えば、私は Mailplane に切り替え、新規メッセージを書き始め、相手の名前を入力する。誰かに電話をかけようと思えば、私は iPhone を取り出し、Phone アプリをタップし、Favorites か Contacts をタップし、リストの中の適切な項目をタップする。これらのテクニックが効率的だとは言わないが、これらは私が長年使い続けてきた方法だ。
今のところ私はほんの数日間しか Cardhop を使っていない。できる限りこれを使うようにしようと自らに言い聞かせているが、まだ身に付いた習慣になったとは言えない。思うに、その理由の一つは私がするコミュニケーションの大部分が状況対応のもの (誰かが私に電子メールを送り、私が返信する) か、あるいは持続的なもの (Messages か Slack での既存の会話から始める) かのいずれかだからだろう。それでもなお、私は Flexibits が採用したこの構文解析ツールに基づくやり方に非常に興味をそそられているので、ぜひとも試し続けようと思っている。
今のところ Cardhop は純粋に Mac 用のアプリだが、もしも Mac で成功すれば Flexibits はきっとこれを iOS にも適応させてくるだろうと思う。少なくとも、あなたが Mac 上でのこの連絡先中心の考え方に馴染んだなら、iPhone 上には既存のアプリ中心の考え方しかないことにかなりの戸惑いを覚えることだろう。
では、あなたも Cardhop を試してみるべきか? もしあなたが Contacts (連絡先) アプリが嫌いで、より良い方法を見つけられないでいるのならば、答はイエス、ぜひとも試してみるべきだ。また、もしあなたがもともと連絡先中心の考え方をする人で、アプリ中心の考え方に違和感を覚えるならば、Cardhop があなたのコミュニケーションの出発点となるダッシュボードとして使えるかもしれない。いずれにしても、Flexibits は 21 日間無料の Cardhop 試用版を提供しているので、現実世界での利用を試してみることができる。
Cardhop は OS X 10.11 El Capitan またはそれ以降を要し、Flexibits からも Mac App Store からも新発売特別価格の $14.99 で入手できる。その後の通常価格は $19.99 となる。
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文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
ここ一年ほどの間に、Google は立て続けにハードウェア製品を、そしてそれに関連するソフトウェアやサービスを、世に放ってきた。いずれも、Apple 製品と直接に競合するものたちだ。
最近の二回のプレスイベントも、紛れもなくこのパターンに従ったものであった。(2017 年 5 月 22 日の記事“Google I/O の発表で Google は Apple ユーザーを取り込む狙い”と 2016 年 10 月 11 日の記事“Google がスマートフォン、Wi-Fi、VR、ストリーミング機器を製品発表”参照。)
そして 2017 年 10 月 4 日に、Google はまたもやそれをした。一年間で三度目となるこのメジャーなプレスイベントは、これまでで最も広範囲に及ぶ同社の新ハードウェアの数々を誇った。そして、その機能はしばしば Apple ユーザーにとってお馴染みに感じられるものであった。
発表された主な製品を挙げれば:
また、Google は他の競合相手のことも考えている。例えば Amazon の Alexa 駆動の Echo デバイスや、Microsoft のノートブックとタブレットの性格を兼ね備えた Surface マシンなども意識している。
今回の発表はかつてなかったほど挑戦的に Google がコンシューマ向けハードウェアにおける競争者となる意思を示しており、その挑戦の場はモバイルコンピュータやホームセキュリティデバイスから、家庭用娯楽機器や、新たに開発されつつある拡張 (および仮想) 現実の世界にまで及んでいる。また、Google は機器の知力が成長しつつあると大きく宣伝し、Siri 風の Google Assistant がその駆動力となって同社の製品のますます多くに組み込まれつつある。
Pixel 2 スマートフォン -- Apple による最近の iPhone 8 および X の発表 (2017 年 9 月 12 日の記事“Apple、iPhone 8、iPhone 8 Plus、ならびに iPhone X を発表”参照) のすぐ後に続いて、Google も第二世代の Pixel スマートフォンを出してきた。
見た目では、今回の 5 インチ Pixel 2 と 6 インチ Pixel 2 XL はそれぞれ前代のものとよく似ている。つまり、iPhone X よりも iPhone 8 の方に近いということだ。
ここでの誘因力は見た目ではなくて、新型 Pixel を iPhone の競争相手として価値あるものにした機能の数々だ。Pixel 2 の注目すべき機能を挙げよう:
OLED ディスプレイは、iPhone X にあるが iPhone 8 と iPhone 8 Plus にはない。
Active Edge は、スマートフォンの左右の縁を握ることによって Google Assistant を呼び出す方法だ。どうやら、Pixel デバイスをケースの中に入れた状態でも働くらしい。
Shazam 風の Now Playing 機能は、そのユーザーのまわりで再生される楽曲を、デバイスにインストール済みの音楽データベースで識別する。
Ambient Services は、環境の変化に応じてハンドセットの設定を調節するソフトウェア機能だ。とりわけこれは、iOS 11 に新装備された Do Not Disturb While Driving 機能の Google 版に当たるものも含んでいる。
Pixel 2 の背面カメラ (両モデルともカメラは同じだ) はおそらく最も重大なアップグレードだろう。独立のカメラサイト DxOMark による評価で完璧に近い 98 点を得ている。(iPhone 8 Plus のカメラは第二位で 94 点を得た。)
カメラの機能で注目すべきものを挙げれば:
Apple の Portrait Mode の Google 版に当たるもの。違いは大型モデルの iPhone がデュアルカメラを搭載する (2016 年 9 月 24 日の記事“iPhone 7 Plus の Portrait モードの舞台裏”参照) のに対し、こちらは一つのカメラだけでこの機能を達成していることだ。結果として、いずれのモデルの Pixel 2 でもユーザーがボケを使って遊ぶことができる。小型モデルでシングルカメラの iPhone のユーザーにはできないことだ。前面カメラもポートレートモードが使え、この点はどの iPhone にもない。けれども、Google は iPhone 8 Plus や iPhone X が提供する Portrait Lighting に似たものは何も提供しない。
Live Photos に類似のもの。Google はこれを "motion photos" と呼んでいる。実行方法は同様で、写真を撮影する際に Pixel 2 は「その撮影の周囲の数秒間のビデオも撮影することで写真の瞬間の前後での運動を蘇らせられるようにする。」
Google Lens は、名所、本の表紙、映画のポスター、美術作品その他を識別して、識別したものに関連する有用な情報を返すことができるカメラ機能だ。また URL や、名刺に書かれた連絡先情報その他を識別することもできる。これは、Apple が iOS 11 になってようやく組み込んだ QR コードのスキャンよりもずっと素晴らしい。Apple ユーザーは、iPhone 上で動く Google Assistant アプリが Google Lens 機能を備えることを期待してはいけない。現時点では Pixel 2 フォン専用の機能となっている。
Augmented Reality Stickers は、Apple の新しい ARKit を組み込んだアプリ (2017 年 7 月 28 日の記事“ARKit: 拡張現実、ゲームを超えて”参照) を使ったことがある iPhone ユーザーにはお馴染みのものかもしれない。絵文字やその他の仮想文字を Pixel の写真やビデオの中に書き込んでそれらが物理的な世界の一部分に見えるようにでき、しかもそれらのものと相互作用できる。Google は近日中に Stickers を入手できるようにするという。
これらの Pixel 2 フォンには注目すべき欠落点もある。Google はユーザー認証のための顔認識を組み込んでおらず、その代わりに背面マウントの指紋センサーを使い続けている。また Pixel には最新の iPhone (や多くの Android フォン) にあるワイヤレス充電機能もない。
もう一つ欠落したものとして注目すべきは、Google が Apple の真似をして標準の 3.5mm ヘッドフォンジャックをなくしたことだ。ユーザーは $9 払って別売のアダプタを購入し、それを USB-C ポートに繋ぐか (Apple は有線のイヤフォンを提供するが、Google は提供しない)、またはワイヤレスの方法を使うかしなければならない。
Google Pixel Buds -- そのヘッドフォンジャックがなくなったことで注目が向くのが、同社のもう一つの製品発表、Google Pixel Buds と呼ばれるワイヤレスのイヤーバッドだ。
Apple の AirPods (2016 年 12 月 20 日の記事“Apple のワイヤレス AirPods は待った甲斐あり”参照) と同様にこの Pixel Buds も、ヘッドフォンジャックがなくなった打撃を和らげるとともに、クールさを高め、いくつかの高度な機能も提供することを意図して作られている。
物理的なデザインとしては、この Pixel Buds は Apple が所有する Beats 社のワイヤレスイヤーバッド Beats X の方によく似ている。両者とも、二つのイヤーピースがオーディオコードで結ばれ、頭の後側にコードを垂らすようになっている。両端でコードの一部がループになり、そのループとイヤーピースがそれぞれの耳にフィットして容易に外れないようになる。オーディオのコントロールには右側のイヤーピース上に組み込まれたタッチパッドを使う。前後方向のスワイプで音量を調節し、タップは再生/一時停止だ。
また、AirPods と同様に、Pixel Buds には使っていない状態のイヤーバッドを再充電するためのバッテリー内蔵ケースが付属する。このケースで最大 24 時間の聴取時間が提供される。さらには、AirPod ケースを真似したかのように、ケースの蓋が開ければ Pixel (あるいは他の Android フォン) とペアリングできるようになっている。
AirPods も Beats X イヤーバッドも、Siri へのアクセスを提供する。それに対応するかのように、Pixel Buds は Google Assistant に対応する。けれどもここで非常に興味深いのは、Pixel Buds の Google Assistant 対応がその場で使える翻訳機能を含むことだ。ある意味、Star Trek の万能翻訳機や、かの "The Hitchhiker's Guide to the Galaxy" に出てくる Babel fish みたいなものだ。この機能をオンにすると、外国語を話す人と会話ができるようになる。イヤーバッドを装着したユーザーには相手の言葉の翻訳が聞こえ、相手の人は Pixel のスピーカーから翻訳が聞ける。その仲立ちとなるのが Google Assistant だ。
Google Pixelbook -- Google はこれまでに Apple や Microsoft の製品と競合できるよう意図されたノートブックコンピュータをいくつか作ってきたが、独自の捻りをそれぞれの製品に加えてきた。
数年前、Google は Chromebook Pixel をリリースした。独自のブラウザ風の Chrome OS を走らせる洒落たノートブック (いや "Chromebook") であったが、価格 ($999 かそれ以上) が高かった。このラップトップ機はその後廃止となった。最近になって Google は Pixel C を出した。これは取り外し可能なキーボードと、もう少し手の届きやすい値札 (キーボードを含まずに $600 ほど) の付いた Android タブレット機だ。けれどもその使用感には問題があった。スマートフォン中心の Android オペレーティングシステムが、Apple の iOS ほどには大サイズのスクリーンにうまく順応できないからだ。
そこで今回 Google はもう一つ別の道を選択して、12.3 インチの Google Pixelbook を出した。これは Chrome OS を走らせる「コンバーチブル型」のコンピュータで、ラップトップ、タブレット、独立動作のビデオターミナルなど、いくつもの異なる構成で使える。これは、360 度回転できるディスプレイのお陰で、マシンのさまざまの置き方ができるからだ。
その意味で、これは多くの Windows ベースのコンバーチブルコンピュータに似ており、アドオンのキーボードを使ってラップトップ風にも使えるタブレットである Microsoft の Surface マシンとも共通点がある。
伝統的なノートブック機のやり方を踏襲している Apple の MacBook シリーズとは違うが、Smart Keyboard カバーを使えばノートブック機としても使えるタブレットである iPad Pro の方にむしろ近い。Google は Pixelbook Pen さえ出している。iPad Pro と共に使う Apple Pencil (あるいは Microsoft の Surface Pen) のライバルとなるスタイラスペンで、Pixelbook のタッチ対応ディスプレイと共に使う。
この Pixelbook のスペックは頑丈だ。Intel Core i5 および i7 プロセッサ、最大 512 GB のオンボード・ストレージ、10 時間のバッテリ寿命その他を誇る。最新型の MacBook と同様、この Pixelbook も充電と周辺機器接続のために USB-C を使う。
Pixelbook は、この種のマシンで初めて Google Assistant を内蔵している。また、手軽に Pixel フォンでテザリングできてインターネットへのセルラーアクセスができる。macOS が手軽に iPhone またはセルラー対応 iPad をオンラインホットスポットとして使えるようにしているのと同様だ。
けれども価格が $999 からと高いので、この Pixelbook には再び厄介な疑問が起こる。基本的にウェブへの窓口でしかない Chrome OS マシンに、いったいどれだけの人がラップトップ並の価格を払うのかという疑問だ。大多数のいわゆる Chromebook はこれよりずっと安価で、それを一つの理由として学校で非常な人気を博した。けれどもこの Pixelbook はそれとは全く違った価格帯を占めている。
Max と Mini をご紹介 -- 数年前に Amazon の Echo スピーカーが Alexa アシスタントを内蔵してテクノロジー世界に旋風を巻き起こしたとき、Google は Google Assistant を内蔵した Google Home スピーカーを出して反応した。
Amazon がつい最近たくさんの新しい Echo デバイスを発表し (2017 年 9 月 28 日の記事“Amazon、新しい Fire TV と Echo スマートスピーカーを公開”参照) Apple が今後数ヵ月以内に HomePod をデビューさせる (2017 年 6 月 5 日の記事“Apple、12 月に HomePod でスマートスピーカー市場に参入”参照) ことを受けて、Google は同社の Home シリーズを拡張しようとしている。
Apple 世界から見て特に興味深いのが Google Home Max だ。これはコンパクトだがパワフルなホームスピーカーで、Google Assistant を組み込んでいる点は初代の Home と同じだ。$399 の Home Max は明らかに HomePod に狙いを定めている。双方とも頑丈なスペックを持ち、物理環境に合わせてオーディオを調整できる賢さを備える。
Home Max のデザインの方が少し融通が利く。長方形なので、平らな面の上に縦にしても横にしても置ける。他方、円筒形の HomePod は立てて置く以外の置き方ができない。
この Home Max は、iHeartRadio、Pandora、Spotify、TuneIn、さらには自社の Google Play Music に YouTube Music と、複数の音楽サービスに対応しているという点で HomePod に比べて優位にあるかもしれない。報道によれば HomePod はスタート当初 Apple Music のみに対応するようだから。
それよりもずっと小型の Home Mini と呼ばれる機器で、Google は Amazon の Echo Dot に狙いを定める。Echo Dot は Echo のミニチュア版だ。Home Mini の丸くて小石のような、布で覆われたデザインは、Echo Dot が実用一辺倒の見栄えであるのに比べれば少しだけ魅力的だ。サウンドもこの Google デバイスの方がちょっと優れていると言われる。
その他の Google 関連ニュース -- Google は今回のプレスイベントで他にもいくつか発表をした。主なものを挙げれば:
Google Clips は、コンパクトで独立動作の、写真とビデオが撮影できるカメラで、自動的に正しい瞬間を選んで自らを動かせるだけの賢さを備えているという。例えば特定の家族の誰かが視界に入れば撮影するといった具合だ。また、その賢さは時間の経過とともに向上するという。Google はこれと対になる iOS アプリと Android アプリを提供してそれぞれのデバイスにワイヤレス同期できるようにする。
アップグレード版の Daydream ゴーグル、これは Google フォンとのペアリングを通じて拡張現実や仮想現実のために使うことを意図して作られている。Daydream ゴーグルは ARCore として知られるソフトウェア (Apple の ARKit に相当するもの) と共に働き、さきほど述べた Augmented Reality Stickers を体験する良い手段となる。
Google Assistant (Google で Siri にあたるもの) をここで述べるに値するのは、これが Google プレスイベントのほとんどあらゆる部分に織り込まれていたからだ。Google は、Google Assistant を一種の秘密の味付けとして積極的に押し出し、Google の強みである機械学習と人工知能が近年劇的に進化したことにより、同社がライバル各社を引き離して際立つことができると考えている。この点は、Siri にうまく協力させることがなかなかできないでいる Apple ユーザーたちの心に響くかもしれない。
Google 対 Apple -- 当初、Google は単なるインターネット検索会社に過ぎなかった。その後、Google は Gmail や Google Maps などいろいろなインターネットサービスに進出し、さらにその後ソフトウェアに本腰を入れて Chrome ウェブブラウザや Android オペレーティングシステムなども出した。
けれども今や、Google はハードウェア会社でもある。スマートフォンや、ワイヤレス・イヤーバッドから、ノートブックとタブレットのクロスオーバーや、スマートスピーカーまで、最新の Google 製品は明らかに Apple に取って代わることを目指している。
いくら良いものであっても、これらの製品が多くの人々を Apple の拡張エコシステムの外へと誘い出すことはおそらくないだろうが、Android から iOS へと乗り換えようとする人々に待ったをかける働きはするかもしれない。
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文: TidBITS Staff: [email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
GraphicConverter 10.5.1 -- Lemkesoft が GraphicConverter 10.5.1 をリリースして、新たに Show Depth Data コンテクストメニューコマンドを (データが HEIC ファイル内にある場合に) 追加し、depth blur フィルターと depth black & white フィルターの双方、それから逆魚眼効果も追加した。このグラフィック変換および編集用ユーティリティはまた、起動時に環境設定をチェックして、無効なものがあれば再構築・復元のオプションを提供するようになった。(Lemkesoft からも Mac App Store からも新規購入 $39.95、無料アップデート、177 MB、リリースノート、10.9+)
GraphicConverter 10.5.1 へのコメントリンク:
SEE Finance 1.1.11 -- Scimonoce Software が SEE Finance 1.1.11 をリリースした。この個人財務アプリに機能の調整と修正を加えた、メンテナンス・リリースだ。今回のリリースでは OFX Direct Connect ダウンロードでの問題点を修正してその機関 URL の末尾にスラッシュ文字がなくても対処できるようにし、Split カテゴリーを QIF ファイルに書き出さないようにし、一部の地域で日付が生成できなくなった macOS 10.13 High Sierra でのバグを修正し、ドロップダウンウィンドウが 10.8 Mountain Lion やそれ以前で閉じなくなるというバージョン 1.1.10 で導入されてしまった問題を解消し、項目名に数字が交じっている場合にカテゴリーやレポート項目の名前順の並べ替えが正しく実行されなかったバグに対処している。(Scimonoce Software からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、34 MB、リリースノート、10.6+)
Merlin Project 4.3 -- ProjectWizards がバージョン 4.3 の Merlin Project をリリースして、このプロジェクト管理ソフトウェアを macOS 10.13 High Sierra フル対応とした。今回のアップデートではまた、日本語と簡体字中国語のローカライズ版を追加し、ユーザ定義の数字または持続時間フィールドが積算されなかった問題を解消し、サブ・プロジェクトを持つ書類を過去の状態に復元した後に正しく動作しなくなることがあった問題を修正し、CSV 書類内のカラムを Merlin Project のフィールドにマッピングする際のバグを解消している。
プロフェッショナル向けフル版の Merlin Project の価格は $289 (バージョン 3 からのアップグレードは無料、バージョン 2 からは $159) だ。時々しか使わないブロジェクトには高過ぎると思えば、Merlin Project Express を試してみるとよい。こちらは家庭向けおよびセミプロのユーザー向けで、今回はフル版と同じ変更を受けている。Mac App Store から、または Setapp 購読サービス経由で購読料金を払って利用できる。いずれも一ヵ月間有効の無料試用版がある。(新規購入 $289、無料アップデート、25.3 MB、リリースノート、10.10.5+)
Fantastical 2.4.3 -- Flexibits が Fantastical 2.4.3 をリリースして、同社が新たに出したコンタクト・マネージャの Cardhop アプリへの対応を追加した。(2017 年 10 月 18 日の記事“Cardhop、連絡先を中心に据える”参照。) Cardhop がインストールされていれば、Fantastical のカレンダーの中で招待状、誕生日、記念日などから一人の人の連絡先情報を見ている際にその連絡先が Cardhop の中で表示される。また Fantastical は Day および List 表示で複数個の日を印刷する際に空白の日をスキップするオプションを追加し、項目の追加のために AppleScript を使うとクラッシュする可能性があったのを修正している。(Flexibits からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、14.4 MB、リリースノート、10.11+)
Delicious Library 3.7 -- Delicious Monster が Delicious Library 3.7 をリリースした。このメディアカタログ用アプリへの必須のアップデートで、検索、項目探索、世界中の Amazon ストアからの推薦情報などを復活させているが、ただ一つ注意点がある。Amazon Japan が Delicious Monster との提携関係を終えたので、Delicious Library は今回 Amazon Japan からの項目情報をロードできなくなった。変更にはすべてのアクセス鍵の変更が必須なので、必ずバージョン 3.7 にアップデートしなければならない。古いバージョンの Delicious Library は今後一切 Amazon の製品データベースにアクセスできないからだ。(Delicious Monster からも Mac App Store からも新規購入 $39、無料アップデート、88.3 MB、リリースノート、10.10+)
Delicious Library 3.7 へのコメントリンク:
EagleFiler 1.8.1 -- C-Command Software が EagleFiler 1.8.1 をリリースして、HEIC 画像へのサポートを追加しバグを修正した。この書類整理およびアーカイブ作成用アプリは今回から、Sketch ファイルを単なるファイルアイコンのみとしてでなく Sketch の Quick Look プラグインを使って表示するようになり、Return で区切られたタグ名を Tags フィールドにペーストする機能を追加し、Core Animation でクラッシュを起こすことがあった macOS 10.13 High Sierra のバグを回避し、大きな PDF ファイルが High Sierra で正しく表示されなかった問題を解消し、ライブラリウィンドウを開く際の内部的エラーを解決している。(C-Command Software からも Mac App Store からも新規購入 $40、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、19.7 MB、リリースノート、10.6.8+)
BBEdit 12.0.1 -- Bare Bones Software が BBEdit 12.0.1 をリリースした。最近リリースしたバージョン 12 (2017 年 10 月 14 日の記事“現代化された BBEdit 12、カラム状データその他を操作”参照) に対する、初めてのメンテナンス・アップデートだ。この古参のテキストエディタは今回、macOS 10.13 High Sierra で起こったクラッシュの「原因と思われるもの」に対処し、ファイルの場所が Git または Subversion のワーキングコピー内部にあるか否かの判定の際の安定性を改善し、Zip アーカイブ内部の項目がマルチファイル検索や Text Factory 処理の最中に正しくフィルター分けされなかったバグを修正し、High Sierra で時折 "preference changed" 通知が出る問題に予防策を施している。バグ修正の完全なリストはリリースノートを参照のこと。
BBEdit 11 からは $29.99 でアップグレードでき、それより古いバージョンからのアップグレード料金は $39.99 だ。(2017 年 3 月 1 日以後に購入した人は無料でアップグレードできる。) Mac App Store から購入した場合にも同じアップグレード価格が適用される。($49.99、アップグレード $29.99 または $39.99、バージョン 12 からは無料アップデート、13.5 MB、リリースノート、10.11.6+)
DEVONthink/DEVONnote 2.9.16 -- DEVONtechnologies が DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) と DEVONnote をバージョン 2.9.16 にアップデートして DEVONthink 内蔵の同期機能を拡張し、一つの同期場所から同時に複数個のデータベースを読み込むことができるようにした。保留中の項目が次に利用可能な場所から自動的にダウンロードされるようになり、記録の統合の効率性が増し、WebDAV サーバ、Box.com、Dropbox への同期接続の挙動が向上している。
四つのアプリのいずれも macOS 10.13 High Sierra 互換性を改善し、High Sierra の走る Touch Bar 搭載モデルの MacBook Pro でグループセレクタが閉じなかったバグを修正し、検索結果が三枠表示と分割表示に現われなかった問題を解消している。
三つの版の DEVONthink では、PDF 注釈に関係する多数の問題点を修正し、大サイズのファイルの索引付けと読み込みを改良し、Finder タグの処理を改善し、Log パネルに非常に多数の項目があるとファイルの読み込みや索引付けの速度低下が起こった問題を是正し、また 10.11 El Capitan の下でデータベースを閉じることに関係したクラッシュを解消している。最後にもう一つ、DEVONthink Pro Office では読み込みと OCR の機能を改良している。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office 新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional 新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal 新規購入 $49.95、リリースノート。DEVONnote 新規購入 $24.95、リリースノート。TidBITS 会員には DEVONnote もいずれの版の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.9+)
DEVONthink/DEVONnote 2.9.16 へのコメントリンク:
文: TidBITS Staff: [email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
今週の ExtraBITS では、Apple CEO の Tim Cook が Mac mini は Apple の未来にとって重要だと述べ (私たちとしては本物のアップデートが出てから彼の言葉を信じたい!)、Touch Bar 搭載の MacBook Pro を売却する前には特定の Terminal コマンドを走らせることを Apple が勧め、iPod を生み出した男が現在何をしているかが伝えられる。
Tim Cook、Mac mini が「重要」と語る -- Apple が最後に Mac mini をアップデートしてからもう三年が経つし、その最後の改訂版はいろいろな意味でその前のものに比べてダウングレードと言わざるを得ないものであった。このような心もとない過去にもかかわらず、Apple CEO の Tim Cook は MacRumors 読者への電子メールの中で Apple が Mac mini を「将来の製品ラインアップの重要な部分」とすることを計画中だと述べた。Apple がこれほど長期間にわたって Mac mini を無視し続けてきたことを考えれば私たちとしては Cook の主張を諺に言う眉に唾を付けて受け取らざるを得ないが、それでも Apple がミニチュアサイズの Mac というアイデアに新たな一捻りを加えてくれるとすればそれは素晴らしいことだ。
Touch Bar 搭載 MacBook Pro 売却の前にはこの Terminal コマンドを -- Touch Bar 搭載の MacBook Pro (Touch ID センサーを装備しているもの) を売却あるいは譲渡する前に、その Mac を macOS Recovery でブートしてから xartutil --erase-all という Terminal コマンドを走らせるようにと Apple が推奨する。そのコマンドが実際に何をするのか私たちには定かでないし、それ以上詳しい説明を Apple は提供していないが、私たちの推測ではおそらく指紋データが保存されている Secure Enclave をクリアするためと思われる。いずれにしても、Apple の推奨に従うのが賢明というものだろう。
iPod 創作者の現在の動向 -- Tony Fadell は Apple で iPod をデザインし、その後スマートサーモスタット Nest を作ったが、後日これが Google に買収された。そして現在、新しいベンチャー事業 Future Shape を始めた Fadell は、テクノロジーの中心拠点としての Silicon Valley という概念を追い求め、フランスのパリにあるいくつかの新興企業に資金を供給している。Fadell は長年にわたり尊大で自説を曲げない (Steve Jobs を思わせる態度) とかなりの批判を浴びてきたが、同時に彼は最も成功を収めた Apple 出身者の一人であり、これからも注目に値するだろう。
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