TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1403/05-Feb-2018

売上げユニット数は横這いだったが、Apple は Q1 2018 業績報告でまたもや記録的な収益と利益を発表した。Apple はまた、セルラーサービスがあるのに「圏外」と表示される iPhone 7 モデルに対する修理プログラムを開始した。Adam Engst は Preview で一部の PDF のページが真っ黒な長方形になる問題を修正する方法を説明し、Josh Centers は iOS と iTunes から Apple TV を制御する新しい方法を紹介する。さらに、Adam は新しい Bad Apple シリーズ記事の第一回として、iCloud Photo Library の挙動が壊れていると Apple を叱責する。それから、Tonya Engst が著書 "Take Control of Mac Basics" を持っている人を対象にウェビナーを提供する。今週注目すべきソフトウェアリリースは Banktivity 6.3、SpamSieve 2.9.30、Keyboard Maestro 8.0.5 だ。

記事:

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Apple、iPhone 7 の「圏外」問題に対する修理プログラムを開始

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhone 7 の一部のユニットで、メインロジックボードのコンポーネントの故障により、セルラー通信のサービスエリア内でもステータスバーに「圏外」と表示されることがある、と Apple が公表した。同社は今回、この問題の影響を受けた iPhone を無償で修理するプログラムを開始した。

対象となるのは中国、香港、日本、マカオ、および米国で販売された iPhone で、下記のモデル番号のものだ。

本体の背面を見ればモデル番号が分かる。また Settings > General > About で Model フィールドをタップしてもモデル番号が表示される。

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もしもあなたの iPhone 7 のモデル番号が上記のいずれかに該当し、問題の症状が見られるなら、Apple サポートに連絡して手続きすれば無償修理を受けられる。既にこの問題を解決するため有償で修理を受けている場合は、2018 年 3 月末までに Apple から電子メールで連絡があって返金を受けられるはずだ。もしも何らかの理由でその電子メールが届かなければ、Apple サポートに問い合わせて返金を求めればよい。

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"Take Control of Mac Basics" 読者のための無料ウェビナー

  文: Tonya Engst: [email protected], @tonyaengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちは 2017 年 5 月に Take Control を Joe Kissell に売却したけれども、私自身はそれ以後もずっと、進行中だったいくつかのタイトルの編集を手伝ったり、自分の著書 "Take Control of Mac Basics" を執筆したり (これは私の "Read Me First: A Take Control Crash Course" を大幅に書き直したものだ) してきた。この新刊書は 33,500 語の文章と 84 個の図を含み、そのすべてが Mac を使おうとしてちょっとだけ苦労している人たちに安心感と自信をお届けしたいという目的のために作られている。

この本には読者の方々からとても嬉しい言葉が寄せられているが、セーターを編んだり、スキーを練習したりといったことと同じように、Mac の話題の中には文章や静止画像を通じて説明するよりも、実際に使っているところをお見せするデモンストレーションの方が、ずっと効果的に伝わることがいろいろある。

そのようなビジュアルな、インタラクティブな学習をしたいという人たちの助けになればと思い、私は今週、一時間のウェビナーを提供する。この電子ブックをお持ちの方が、ライブでウェビナーを視聴したり、あとで録画を視聴したりできる。アクセスするには電子ブック自体の中からクリックする必要がある。

今回のウェビナーでは二回のセッションをする。2 月 8 日の木曜日と、2 月 10 日の土曜日、いずれも 1 PM EST (PST では 10 AM、GMT では 6 PM、Every Time Zone を使えば皆さんの土地での時刻が分かる) に始まって、一時間続く。どちらのセッションでも同じ話題を扱う。ライブで視聴できない読者の方は、数日後にアクセスしてみて頂きたい。その頃までには、録画したセッションを Joe が用意しているはずだから。

次のような話題を議論する予定だ:

今挙げたようなことを扱おうとして困難を抱えている人、あなたたちのためにこのウェビナーはある。また、テクノロジーに明るい方々も、いつもあなたの助けを求めて来る人たちがこのウェビナーで得るところがあるだろうと思われれば、どうぞその人たちにウェビナーのことを教えてあげて頂きたい!

繰り返して言うが、$15 の電子ブック "Take Control of Mac Basics" が、このウェビナーの入場券だ。この本を入手したら (終わり近くにある) 1 ページだけの章 "The Mac Basics Webinar" を開いて、そこにあるリンクをクリックすればウェビナーにアクセスできる。もちろん、この本のそれ以外の部分も、どうぞお読み頂きたい。たった一時間のウェビナーでは到底カバーし切れないほどたくさんの有益な助言が、この本には詰まっているのだから。

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Apple、Q1 2018 で最高益、しかし販売台数は頭打ち

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters, Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Q1 2018 の会計報告で、Apple は $20 billion を超える純利益 (希薄化後一株当たり $3.89) と $88.3 billion の売上げを発表した。同社の売上げは前年同期比で 13% 増で、純利益も好調に 16% 増となった。Apple CEO Tim Cook は、売上げも利益もこれ迄の最高となったと語ったが、今年の第一四半期は前年同期よりも1週間短かった ("Apple、Q1 2017 の記録的業績で外見上成長に復帰" 31 January 2017 参照)。しかしながら、製品別の販売実績は同じ様にバラ色とは言えない。

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iPhone の販売が Apple の最強の手であることに変わりはなく、売上げは前年比 13% 増となった。強いて言えば、2桁の売上げ増にも拘らず、販売台数では 1% 減となったのは懸念材料と言える。販売台数と売上げの間の相違は、iPhone X のより高額となった値段から来ていると言えそうである。iPhone X について、CEO Tim Cook は、 "11 月に売り出して以来毎週最もよく売れている iPhone となっている" と語った。そして、繰り返しになるが、iPhone の販売台数は、前年同期は 14 週分だったが、今年は 13 週の数字となっている。これが、販売台数での僅かな減少の一つの要因となっているのは間違いないであろう:四半期中の週当たりの iPhone 販売という見方をすれば、この四半期は前年同期よりも 6% 増となる。

iPad の販売も前年同期と同じ水準を保ち、販売台数で 1% 増となり、Cook は、これで iPad の売上げは3四半期連続で成長を記録したことを強調した。より高額の iPad Pro モデルが 2017 年第一四半期よりも 6% 高い iPad 売上げに寄与した。週当たりで言えば、iPad 販売は前年同期比で 8% 増加した。

Mac の四半期販売は、前年比で 5% 減となり、販売台数は 5 百万台を少し超えたところ、そして売上げは $6.89 billion となった。新型の iMac Pro を別とすれば、この四半期で市場に投入された新しい Macintosh は無かった。繰り返しになるが、1週短い四半期がこの減少の一因と言える:週当たりの Mac の販売は 2017 年第一四半期に比べて 6% 増となる。

Apple の Services 部門は印象的な成長を続けており、売上では前年比 18% の増加となった。538 百万の顧客がこの四半期に Apple の店舗を訪れており、この数字だけでも米国の人口 (現在約 327 百万人) よりも大きい。有料購読は、アプリとメディアの両方を含めて、この四半期末では 240 百万を超え、そして、Apple Pay を採用する商人は 50% 増えた。$8.4 billion という Apple の Services 部門の売上げは、iPad と Mac を超え、Apple の安定した成長点の一つとなった様に見える。言い換えれば、iCloud ストレージが無料になる日が近いなどと思うなかれということであろう。

しかし、この四半期の成長の王様は Other Products 部門であった。こちらは前年比 36% という驚愕の売上げ成長を見た - しかも、今月まで延期された Apple の HomePod スピーカーのリリースにも拘らずである。この調子でいくと、Other Products 部門は iPad 売上げを Q1 2019 に抜いてしまうことになる。AirPods, Apple TV, Apple Watch, Beats 製品, そして iPod touch は飛ぶように売れているに違いない。いや、iPod touch はそうでないかも。Wearable の販売、ここには AirPods, Apple Watch, そして Beats 製品が含まれる、は 70% 増加した。

HomePod と言えば、Cook はこの四半期投資家電話会議でこれについて問われた時、少々奇妙なことを口にした。彼は繰り返し HomePod を使って HomeKit 経由で暖炉を制御することに触れた。Tim が我々の知らないことを知っているのでない限り、それをやる主な方法は do-it-yourself ハックを通してである (もし暖炉がスマート壁スイッチにつながっていれば、そちら経由でもやれる)。彼はまた Uber を HomePod から呼ぶことにも触れたが、HomePod から呼び出すことは出来ない。加えて、9to5Mac の Benjamin Mayo が指摘したように、HomePod は SiriKit のライドシェア機能をサポートしていない;いずれにしろ、Uber は Siri サポート自体を見捨てた様に見える。Apple 自身の CEO が、自社のの主たる新製品で何が出来るのか理解していないのであろうか?

皆さんは、米国で法制化された新しい税法に対する Apple の反応について興味を持たれているかもしれない。これは Apple に拍車をかけて、海外においてある $250 billion の現金の殆どを母国に持ち帰らせる結果となった (Apple が海外に現金を置いておくことに関する論争の背景については、"Apple、税慣行について召喚される" 24 May 2013 を参照されたし)。現時点では、CFO Luca Maestri はこの税法については我々と同じ程度にお手上げな様に見えるが、Apple のこの新たに手にした現金の使い道については、March 2018 の Q2 投資家電話会議でもっと発表することを約束した。

最後に、アナリストからは、顧客は Apple 機器を以前の様には頻繁に更新しなくなっているのではないかとの懸念が示された。Apple は最近の新しい電池交換プログラムがアップグレードに侵食していることを心配しているかどうか尋ねられた時、Cook は、Apple はそれを考えたこともないが、ただ "正しいことをやりたかった" だけだと答えた。これでは懐疑的にならざるを得ない - もし Apple が電池交換プログラムの販売への影響を少なくとも考慮したことがないとすれば、たとえほんの一瞬だとしても、それは株主に対して多少無責任に映る。

同社に対する種々の懸念はあるが、全ての主な Apple 製品のインストールベースは史上最高の 13 億の機器に達したという。これは、同社のサービスエコシステムの末長い健康にとっては良い兆候である。そして機器販売も、ロケットの様な軌道は達成出来ていないとしても、最悪でも、安定していると言える。顧客満足度が、最近の Apple のシステムバグや iPhone の電池問題といったつまづきがあったにも拘らず、例外的に高い ("グラフの外にはみ出すぐらい" と Cook は表現した) というのは事実であり、そして、それが下がり始めない限り、Apple の将来は引き続き明るいと言えるであろう。

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Preview でページが真っ黒な長方形になる PDF を修正する

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Sierra と High Sierra で PDFKit が直面したさまざまの問題を記事にしてきたお陰で (記事シリーズ "PDFKit Problems" 参照)、PDF でこんな種類のトラブルを経験したという知らせが、時々読者の皆さんから届くようになった。たいていの場合、問題はその PDF が壊れていることが原因で、Preview の代わりに Acrobat Reader を使えば問題なく開いて印刷もできたりする。けれども、時としてもっと深いところを探らなければならないこともある。

(日本語)ScanSnap ユーザーは Sierra アップグレードをせず待つべき | ScanSnap の Sierra との競合は簡単に回避出来る | macOS 10.12.1 Sierra、watchOS 3.1、tvOS 10.0.1 がバグを修正 | Sierra の PDF 問題、10.12.2 で悪化 | Apple、macOS Sierra 10.12.3, iOS 10.2.1, tvOS 10.1.1, watchOS 3.1.1 リリース | Apple、macOS 10.12.4, watchOS 3.2, そして tvOS 10.2 をリリース | PDF 問題は 10.12.4 でも続くが、影響を受けるのは主として開発者 | PDFKit、High Sierra で多少の改善をみる

TidBITS 読者の Chris Lee から私に届いた知らせには、macOS 10.13.2 High Sierra の下で最新版の Preview を使っていて、PDF のサムネイルはすべて正しくレンダリングされているのに、実際のページそのものがただの真っ黒な大きい長方形として表示されてしまうのだが、そんな話を聞いたことがないだろうか、と書かれていた。彼は PDF も送ってくれたが、私の Mac の Preview では何の問題もなく開いて表示された。macOS も Preview も、彼が使っているものと同じだというのに。これは変だ!

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私はいくつか案を出してみたが、状況は変わらなかった。けれどもいろいろ調べた結果、Chris は解決法が見つかったと報告してくれた。彼は Apple Support Communities のスレッドでその解決法を見つけたのだった。そこでの議論には、やはり Preview と High Sierra で、Image Capture でスキャンして作ってあった PDF で問題が起こるのに、他の Mac 上では何の問題もないと書かれていた。

解決法は単純と言えるかもしれないが、一目瞭然などとは到底言えないようなものだった。その報告は oakcan というユーザーから届いていた。彼も同じ問題に遭遇していたが、ディスプレイをキャリブレーションすると直ったというのだ。Chris も早速ディスプレイを再キャリブレーションしてみると、問題は消え失せた。

それをするには System Preferences > Displays > Color を開き、Calibrate (補正) ボタンをクリックする。すると Apple の内蔵 Display Calibrator アプリが開いて、アシスタントの手引きで段階を踏んであなたのディスプレイをキャリブレーションできるようにする。具体的な手順はディスプレイによって異なる。

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いったいどんな依存関係の結果によってディスプレイのカラープロファイルが PDF ページのレンダリングを吹っ飛ばす一方でサムネイルには影響を与えないのか、想像するのも難しいが、とにかくそういうわけだ。もしも High Sierra の Preview で PDF ページが真っ黒な長方形と化してしまったら、試しにディスプレイをキャリブレーションしてみよう。

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iOS 11.2.5 や iTunes 12.7.3 で Apple TV を制御する新しい方法

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

AirPlay 2 はまだ登場していないが、iOS 11.2.5 と iTunes 12.7.3 の登場により、Apple はそれらの中に tvOS 用の新しい遠隔制御機能をこっそりと滑り込ませた。おそらく登場予定の HomePod を遠隔制御することもできるだろう。皆さんも、今回の新機能に気付いてこれは何だろうと訝しく思っているのではないだろうか!

iOS の Control Center で、メディアプラターを押せば再生コントロールが現われる。第四世代 Apple TV または Apple TV 4K があれば、通常の再生コントロールの下に、新しい "Apple TV" 枠が見えるだろう。複数の Apple TV があれば、それぞれに一つずつ枠が現われる。(残念ながらこの新機能は第二世代や第三世代の Apple TV では働かない。) 私たちの想像では HomePod にも枠が割り振られるのだろうと思う。

これらの枠は、現在それぞれのデバイスで何かが再生中か否かに関係なく常に見えている。何も再生されていない場合は単に Not Playing と表示される。再生中のものについては、そのデバイスの枠の中に再生中のメディアについての情報が表示され、その枠をタップすればそのデバイス用のメディアコントロールが見えるようになる。

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Mac 上の iTunes では、AirPlay ボタンをクリックすれば Switch To 見出しの下に Apple TV のリストが示される。

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その一つをクリックすれば、iTunes のメディアコントロールがその Apple TV の再生をコントロールするものに切り替わる。

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Twitter で Christian Raddatz が指摘したところによれば、いったん iOS または iTunes で Apple TV を制御するように切り替えれば、iOS の Music アプリまたは iTunes にロードされた音楽はすべて、直接 Apple TV で再生され始めるという。iOS デバイスまたは Mac でプレイリストの再生を始めれば、それも Apple TV の上で再生される。この技は iOS 上で Apple の Podcasts アプリでも使えるが、例えば Overcast のようなサードパーティのアプリでは使えない。また、使えるのはオーディオのみであって、ビデオでは使えない。

いずれのプラットフォームでも、元の状態に切り替えるには、上記と同じ手順を踏んで、その際に Apple TV の代わりにそのデバイス自体を選べばよい。

それだけだ! 別に驚天動地の新機能というわけではないが、Apple TV ユーザーにとっては便利な機能だ。これについても、他の新機能についても、間もなくアップデートをリリース予定の私の著書 "Take Control of Apple TV" (現在アップデートの編集段階にある) で扱うつもりだ。

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Bad Apple #1: iCloud Photo Library の再アップロード

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

つい先頃、Tonya は、Facebook 上で、みんなが自分の Mac について、どんな問題を抱えているか尋ねた。彼女は、自分が書いた "Take Control of Mac Basics" という本の読者のために、まもなく開催しようとしてるウェビナーについて通知するため、多様なユーザーから質問が集まることを願っていた。(""Take Control of Mac Basics" 読者のための無料ウェビナー"2018 年 2 月 5 日参照) さまざまな友人や家族が、怒ったり、余計な口出しをしたり、互いに問題を解決しようと試みたりしたので、会話を確かなものにしようとしたものの、あらぬ方向に渦を巻いて飛び散ってしまった。これは、興味をそそるものだった。なぜなら、こうした人たちの多くは、長年の Macユーザーであったが、ここに至るまで、インターフェースの変更によって、不意打ちを食らい、そして、かくして、それ以来、自分の Mac のせいで苛立っていたからだ。

この経験に基づいて、私たちは、Bad Apple という名の TidBITS の新しいコラムを始めるつもりだ。あなたの好みがいかなるものであろうとも、この名前は、一つの腐ったリンゴが樽全体をダメにしてしまう、あるいは、止むに止まれず「悪い犬め!」と言ってしまう、という文脈で読んでほしい。Bad Apple で、私たちは、Apple が過ちをおかしたある特有の事に関するある特定の側面に突っ込むつもりだ。これから登場するコラムのために、あなたの提案をどうか私に送っていただきたい。私は、ユーザーインターフェースやユーザー体験における過ちであって、確実に記述できて再現性のあるものを探している。偶発的なバグや、iTunes に関する一般的な不満といったようなものではない。いつものように、私たちのゴールは、建設的な批判を提供することだ。私たちは、弱音を吐くことに興味はない。私たちは、Apple がこうした問題に取り組むところを見たいのだ。

私たちの Bad Apple の初版のために、私は、iCloud Photo Library に関する「予想された振る舞い」を紹介したい。そして Apple は、この振る舞いを変更すべきである。以下、その話を示す。

macOS 10.13.3 High Sierra を走らせている自分の 27 インチの iMac 上で、私は、いくつかの奇妙な問題に遭遇していた。Messages はメッセージを送受信していなかった。Wi-Fi の呼び出しは機能していなかった。そして、10.13.3 にアップグレードした後、私は、自分の Apple Watch の自動ロック解除を有効化できなくなった。これらの問題を解決するために、私は、iCloudをオフにし、そして、オンに戻した。iCloud のお気に入りペインが、不吉なエラーを投げてよこしたにもかかわらず、実際のところ、問題は姿を消した。

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だが、iCloud をオフにして、オンに戻すことには、厄介な副作用がある。つまり、iCloud Photo Library が、あなたの写真を全て、再アップロードする必要があるのだ。iCloud は、ライブラリのコンテンツと、iCloud における同期の「真実」とを比較するため、実際にこれを行う。君の言う通りだ。ただし、このプロセスが、何日もかかる可能性があるということ以外は(Photo ライブラリのサイズや、インターネット接続の速度にもよるが)。Bad Apple! Dropbox や Google Drive については、こんな類の貧弱なパフォーマンスを私たちが目にすることはない。そして、この振る舞いは不必要であるばかりか、みんなを iCloud Photo Library から遠ざける方向に駆り立てるものでもある。

Photos ライブラリ全体が iCloud に再アップロードされることを引き起こす可能性のある行為は、少なからずあることが判明している。この問題は、私が既に知っていたものの中の一つである。("iCloud Photo Library アップロードに更に問題が" 2015 年 6 月 19 日参照)

こうした行為によって、実際に全てが再アップロードされるかどうかについて、私に確信はない。と言うのは、再アップロードは、iCloud Photo Library に私が最初にアップロードした時よりも、速く進むからだ。こうした仮説を検証するのはほとんど不可能だ。そして、Apple でさえ、「再アップロード」という用語を使っている。だが、再アップロードは、遡ること 2015 年に、私が最初にアップロードを行った時ほどには、私の Mac やインターネットの性能に悪影響を与えてもいない。("iCloud Photo Library のアップロードを絞る方法" 2015 年 5 月 20 日参照) 結局、上り 6 Mbps の接続で 113 GB を「再アップロード」するのにかかったのは、18 時間未満 (おそらく、もっと短い。と言うのは、私が眠っている間に終わってしまったからだ) であった。この量の生データであれば、全速力でアップロードしたとしても、45 時間程度はかかったはずなのだが。

Photos が、全ての写真を iCloud Photo Library に再アップロードしたがるというのは、とてもひどい話だ。だが、ここに、この記事の引き金となったシナリオがあるのだ。私が、iCloud Photo Library を再びオンにしようとした時、私は、十分な空き容量がないと言われた。つまり、私の 200 GB のiCloud ストレージ・プランには、56 GB の空き容量しかなく、にもかかわらず、私の Photos ライブラリには、113 GB の写真があったのだ。これは全て正しい。私の iCloud アカウントがこれほど満杯である理由は、iCloud がそうした写真の一枚一枚全てを既に保有していたからだという事実を除いては。私がこの事実を理解していることを認めるために、Continue をクリックする度に、Photos は iCloud Photo Library を再度オフにした。

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二つの回避策が、直ちに姿を現した。

私は、この問題について、強情を張ることに決めた。既に私の写真を全て保持していることを iCloud Photo Library がなぜ理解しないのか、私が理解できそうな理由はなかった。そこで、私は Apple にコンタクトした。その体験は、もう一つ別の記事になること請け合いだが、手短に言うと、Steve (Photos のサポートをしているエキスパート) と、90 分間トラブルシューティングを行った後、ついに、さらに高いレベルのサポートと相談するため、彼はその場を離れた。数分後、彼は戻って来た。そして、容易には信じられないが、私が見ていたものは「予想された振る舞い」であって、一時的に 2 TB のプランにアップグレードすべきだと、彼は私に言った。彼が言うには、2 週間以内にダウングレードすれば、課金されることはないとのことだった。

私たちは、しばらく話をしながら、私は、Safe Mode で起動するといったようなことをした。そして、Steve に、どのくらいの期間、Photos のサポートを行ってきたのか尋ねた。「7 年です。」と彼は言った。それで、まとめると、推奨される解決策が、不必要なストレージ・プランを申し込んで、後日それを解約することだ、といった状況が、広範囲にわたる通常のいろいろな行為によって生み出される可能性があるということ?Photos のインターフェースは、こうしたことが必要だというヒントは何も与えてくれないし、長年、Photos のサポート・グループで働いてきたサポートのエキスパートが、私がショックを受けたのと同様に、ショックを受けたということ? Bad Apple!

この回避策に関する最後の一つの考えは、巨大な Photos ライブラリを有する写真マニアのためのものだ。もし、あなたのライブラリが、1 TB よりも大きいならどうする? 2 TB を超えるレベルの iCloud ストレージはないのだ。したがって、あなたは、新しい Photos ライブラリを作成し、それをあなたの System Photo ライブラリに設定することによって、この問題を回避することを強いられるであろう。

後日、Steve は、この状況を説明するいくつかページのリンクを私に送ってくれた。奇妙なことに、これらは、Apple の公式なサポート・ページではなく、代わりに、ユーザーネーム Leonie による Apple Support Communities内のユーザー・ティップス (ユーザーによる有益な情報) だった。それらは良い説明だったが、私は、Apple が、公式文書を提供する代わりに、「予想された振る舞い」を記述する仕事を、ユーザー・ティップに追いやっていることに対して、もう一つ別の "Bad Apple!" 賞を贈るつもりだ。

私が自分の iCloud ストレージのアカウントを 2 TB にアップグレードするステップを踏み終わった後で、これまで見たことのない興味深いダイアログが私に示された。そのダイアログは、私の iCloud の状況を要約し、私にiCloud からデータを消去させようとしているように思われた。それは極度にゾッとするものであったので、私はすぐに Done をクリックして、先に進んだ。

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Photos は直ちに私の写真とビデオの再アップロードを始めた。そして、私は、Photos がいろいろな場所で報告する数字のどれも、他の数字とは一致していないように思われる事実を無視しようと思う。いや、待て、私は無視するつもりはない。Bad Apple! いったいなぜ、Photos は、ある場所で私のライブラリが 113.03 GB だと言い、そして、別の場所では 94.6 GB だと言うのか? そして、私は、30,875 枚の写真、30,879 枚の写真、あるいは、もっと多くの枚数の写真を持っているのか? その枚数は、Photos の画面の一番下にある iCloud 進行カウンターが、33,726 個のアイテムをアップロードしなければならないと報告してきたものだ。たとえ、写真とビデオの数を合計したとしても、31,471 を超える数には決してならない。Apple よ、お願いだから、これは基本的な算数なんだ。そして、こうした乖離は、ユーザーの信頼を損ねることになる。つじつまが合っているようにしてほしい!

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Photos が再アップロードを終えた時、私は、自分の iCloud ストレージ・プランを、元の 200 GB まで、直ちにダウングレードした。これを行うため、私は、System Preferences > iCloud を開き、Manage ボタンをクリックし、Change Storage Plan をクリックし、Downgrade Options をクリックし、200 GB プランを選択し、そして、Done をクリックした。私は、2 TB プランに加入していた 24 時間のために、追加料金がかからないであろうことを願っていたが、1 ヶ月間はそうなるかどうか分からないだろうと思っていた。

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実際には、数日後、私は、2 TB のストレージ・プランとして、7.87 ドルのインボイスを受け取った。確かに、大した金額ではないが、ひどい設計と「予想された振る舞い」によって引き起こされた問題を解決するために、Apple が顧客に課金するのは、単に誤りだ。

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そこで私は、自分の案件の番号で、Apple から受領したメールを探し出して、それをクリックしてこの案件を再度開いて、チャットを試みることにした。と言うのは、私は、長話をしたくなかったからだ。チャットに出てきた女性はいい人だったが、彼女は、この問題を、電話を通じて、iCloud サポートに上げなければならなかった。と言うのは、彼女には返金ができなかったからだ。しばらく保留状態で待った後、私は、別の女性に状況を説明し、再び保留状態で待たねばならなかった。最終的に、この問題は、シニア・アドバイザーの Shea Marie に、再び上げられることとなった。この問題がそんなに大変だなんて、いったい誰が分かるであろうか?

そこで、私は、もう一度自分のストーリーを語り、2 TB のアカウントに対する課金は返金される必要があることを説明し、そして、Shea Marie に対して、それが本当に 7.87 ドルであって、6.99 ドル + 税金ではないことを明らかにした。返金するためには、彼女は、私の iCloud ストレージを完全にキャンセルしなければならなかった。そうすると、私は、iCloudから、私の無料の 5 GB のストレージは一杯だという通知と警告のメールを受け取ることになる。それから、私は、自分のスタート地点である 200 GBのプランに、再度、「アップグレード」しなければならなかった。

唯一の問題は、前回、私は 56 GB の空き容量があったが、こうしたこと全ての後では、私の空き容量は 85 GB だったということであった。これは、間違っているように思われた。Shea Marie は、問題は、Tonya と Tristanが使っている家族共有ストレージであって、それはすぐにキャッチアップして、元の容量になると考えた。直ちにそうはならなかったが、電話の後、私が、 System Preferences > Manage Family > My Apps & Services > iCloud Storage に行ったところ、ストレージを適切に共有するには、Start Sharing を再度クリックする必要があることが明らかになった。

さらにもう 1 時間のサポートの後、私は、iCloud をオフにして、再度オンにする前の状況に戻っていた。これは必要なことだったが、これによって、Apple との 2.5 時間の作業と、18 時間の再アップロードが必要になろうとは思いもよらなかった。そして、少なくとも、私には、TidBITS の何名かの読者のように、データの上限や、バイト単位の課金はないのだ。

今後の Bad Apple コラムについて、明確にご理解いただけたであろうか?例えば、iOS の設定アプリで、Apple のアプリ用のオプションは、なぜアルファベット順に整列していないのか? あるものは、意味のあるグルーピングがなされているが、他はランダムなだけだ。私は、じきにこれに突っ込むつもりだが、もし、同様の観察結果や不満があれば、それを私に、[email protected] 宛に送っていただきたい。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2018 年 2 月 5 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Banktivity 6.3 -- IGG Software が Banktivity 6.3 をリリースして、アカウントの取引を一覧する際の Uncategorized フィルターを追加し、取引タイプ切替の際に取引の証券価値を保持するようにし、予算に書き出しオプションを追加した。この個人財務アプリはまた、手で入力された証券価格が正しく同期されなかった問題を解消し、このアプリのマッチング・アルゴリズムが予期されたより長い時間を要する原因となったバグ一件を修正し、予算を編集する際に起きることがあったクラッシュを防止している。(IGG Software からも Mac App Store からも新規購入 $64.99、IGG Software からの場合 TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、29.3 MB、リリースノート、10.12+)

Banktivity 6.3 へのコメントリンク:

SpamSieve 2.9.30 -- C-Command Software の Michael Tsai が SpamSieve 2.9.30 をリリースした。今回から 64-bit 専用アプリとなり、OS X 10.7 Lion かそれ以降を要するようになった。このスパムフィルタリングユーティリティはまた、Apple Mail-Remote Training スクリプトを改良して TrainGood および TrainSpam メールボックスを自動作成するようにし、Outlook-Filter Mailboxes スクリプトを更新して Outlook のバグを回避し、SpamSieve がメッセージヘッダから誤ったメールアドレスを抽出してしまうことがあったバグを修正し、macOS 10.12 Sierra やそれ以降で診断レポートに「偽の」エラーが報告される問題を解消し、SpamSieve の全般的なフィルタリングの正確度を改善している。(新規購入 $30、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、13.7 MB、リリースノート、10.7+)

SpamSieve 2.9.30 へのコメントリンク:

Keyboard Maestro 8.0.5 -- Stairways Software の Peter Lewis が Keyboard Maestro 8.0.5 をリリースした。この自動化およびクリップボード用ユーティリティに修正や改善を施した、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートでは Browser Form Action にフレーム対応を追加し、Clipboard History Switcher の Favorites ボタンを Option-クリックして "Favorites Only" をオン/オフできるようにし、特定のデータをコピーすると Clipboard History が表示されなくなった問題を解消し、For Each アクションでの未使用変数の警告を改良し、最新版の Microsoft Word でクリップボードの復旧ができなかったバグを修正している。(新規購入 $36、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、22.3 MB、リリースノート、10.10+)

Keyboard Maestro 8.0.5 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2018 年 2 月 5 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Steve Jobs から Tim Cook になって Apple 内部がどう変わったかを Apple の元従業員が語り、9to5Mac の Michael Steeber が Mac OS X 10.6 Snow Leopard に依然として人気があることについて論じ、フィットネスのネットワーク Strava が誤って軍事機密を漏洩させた。

Apple 元従業員、Jobs と Cook で何が変わったかを語る -- 復活を果たした Menu Bar ポッドキャストは Apple とそれに関係する話題を扱っているが、ここに立ち寄った Apple の元従業員 Bob Burrough が、初代モデルの iPhone 開発で働いた体験を語る。最初の量産モデルを中国国外へ持ち出したこともあるそうだ。Burrough はまた、Steve Jobs から Tim Cook への移り変わりについて、それに伴って会社の文化がどう変わったかについても述べた。Burrough によれば Jobs の下で従業員たちは自分の専門分野であろうとなかろうとどこでも気付き次第声を挙げて欠点を指摘することが認められていたが、Cook の下で Apple 従業員たちは自分の持ち場から離れないように言われるという。

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Snow Leopard の伝説 -- 長年来の Mac ユーザーの多くの目から見れば、Mac OS X 10.6 Snow Leopard こそが Apple のデスクトップ用ソフトウェアの頂点であり、その後のアップデートはすべて何らかの意味で後退していると言える。9to5Mac の Michael Steeber が、この現象とその起源について検討する。Steeber はタイミングや価格に関する問題点も述べるが、それと合わせて Apple が 10.7 Lion で iOS の要素を OS X に追加し始める前の最後のバージョンが Snow Leopard だとも言えるだろう。その上、Snow Leopard は Rosetta に対応していた最後のバージョンの OS X であり、従って PowerPC アプリケーションは以後のバージョンでは走らない。そういうことをすべて勘案しても、Snow Leopard にはもう何年間もセキュリティアップデートが施されていないことを忘れてはならない。

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Strava フィットネスネットワーク、秘密軍事基地を漏洩 -- 予期せぬ結果と言って済ませられることだろうか? フィットネスアプリ Strava は自らを「アスリートのためのソーシャルネットワーク」と位置付けて、ユーザーたちが自分のワークアウトを地図に組み込めるようにしている。ところがこれが甚だしいセキュリティ漏洩に結び付きかねないというのだ。国外に駐留する米国の軍隊は Strava を使ってワークアウトを共有しているが、同社がリリースしたヒートマップを見れば、軍事基地の場所や移動ルートが一目瞭然だという。中にはよく知られた軍事基地もあれば、そうでないものもある。同社はこのアプリにプライバシー設定があると指摘することで対応したが、どうやらこれは軍の側に問題があり、もっと賢いポリシーを使って解決すべきことのようだ。

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日本語版最終更新: 2018年 02月 10日 土曜日 , S. HOSOKAWA