TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1409/19-Mar-2018

TidBITS の新しい基盤構造をお披露目する日が間近に迫った。Adam Engst が切り替えのタイミングを予告し、新しくなることを少しだけ紹介する。今週は Apple 関係の発表が二つあった。Apple は教育関連イベントを 3 月 27 日に開催すると発表して人々を驚かせ、今年の Worldwide Developers Conference の 6 月初旬の開催日程を明かした。さて、もっと実用的な話題として、Adam が Twelve South の PencilSnap をレビューする。これを使えば Apple Pencil をいつでも手の届くところに置ける。また Julio Ojeda-Zapata は HomePod のスマート機能を詳細に調べ、それらを Amazon や Google の競合製品と比較する。今週注目するソフトウェアリリースは OmniFocus 2.12.1、Retrospect 15.0、 Microsoft Office 2016 16.11、それに Slack for Mac 3.1 だ。

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TidBITS のインフラの移行が近付く

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

私たちのインフラの全面的な見直しに関わる作業がほぼ完了したことをお伝えするのを、私たちは嬉しく思う。作業は私たちが望んだよりも長くかかったが、この手の取り組みは、常に、想定よりも長くかかるということを考えるなら、私たちが想定した時間の枠内であった。

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ともあれ、次世代の TidBITS が間近であり、私たちは暫定的に、3 月最終週の中頃に、新しいサーバへの移行を計画している。読者の中のひょうきんものが、何年のことかと尋ねる前に言っておくと、それは、2018 年 3 月だ。

私はこのことを、二つの理由で皆さんにお伝えする。第一に、私たちがサービス開始に近づき、そして実際に開始するにつれて、何かの拍子に無意味なメールを皆さんに送付することがあり得るということだ。私は、そうしたことが起こらないことを願うが、もしそうしたことが起きたなら、単に無視していただきたい。私たちに連絡する必要はない。なぜなら、私たちにはそうと分かるからだ。同様に、移行の一環として、私たちはドメインの補修を行う予定なので、皆さんが TidBITS のサービスにアクセスする際に、一時的にトラブルが起きる可能性が考えられる。こうした問題は、DNS キャッシュが更新されるにつれて、速やかに解決されるはずだ。

第二に、私たちは、TidBITS のアカウントを、私たちの新しい WordPressサーバに移行させようとしているが、私たちは、現行のパスワードをインポートすることができない。なぜなら、パスワードは暗号化されて、ハッシュ化されているからだ。つまり、皆さんは新しいパスワードが必要で、それで初めて、ログインして、コメントしたり、あるいは、皆さんのプロファイル、購読申込、そして、メンバーシップの管理をしたりすることが可能になる。全ての準備が整ったら、どうすればよいかについて、私たちは説明書を送付するつもりだ。そして、皆さんは、後日いつでも、標準的な「パスワードをお忘れですか?」の機能を単に使うだけで、新しいパスワードの設定が可能になる。

来週は、もっといろいろ説明します!

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Apple、教育イベントを 27 March 2018 に計画

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

どうも Apple は結局のところ、第一四半期の発表をする様に見える。同社は、Chicago の高校で 27 March 2018 に開かれるイベントへの招待状を発送した。このイベントに対するタグラインは "Let's take a field trip (見学に行こう)" で、招待状には "先生と生徒に対する新しい創造的アイディアを聞きに来て下さい" とある。

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この粋なペン画は、色々な噂を生み出す元となった。この発表はきっと Apple Pencil に関するものであろうとか、同社は低価格の 9.7-inch iPad を出すのではないかとかいったものである。我々も Smart Keyboard や Apple Pencil をサポートするその様な iPad を見たいと思う。そうすれば、iPad は書いたり描いたりする必要のある生徒たちにとってもっと強力なものとなり得るからである。(現時点では、iPad Pro モデルだけが Smart Keyboard と Apple Pencil に対応している。) 他の噂には、Apple はようやく年齢を感じさせる MacBook Air を置き換えるではないかと言うのもある。MacBook Air は $999 という値段故に、今でも学生に人気がある。

正直言って、我々はこれにあまり頭を使って推測しようとは思っていない。その答えが出るのはそんな先ではないからである。一つだけ我々から現実的な進言をするとすれば、これらの分野での新規購入はこの発表がある迄延期した方が良いであろうと言うことである。

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WWDC 2018、San Jose に戻り6月4日から8日まで開催

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は、2018 年の Worldwide Developers Conference (WWDC) の日程を発表した。開催期間は6月4日から8日迄である。会場は、再度 San Jose, California の McEnery Convention Center となる。

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近年と同様、Apple はチケットを無作為の抽選により配分し、申込みは WWDC Web でもう既に受け付けており、最終期限は 22 March 2018 の 10 AM PDT となる。チケットの値段は一人当たり $1599 で、これには毎日の昼食、飲み物、そしてスナックが含まれる。最大 350 名の学生に対する奨学制度もあり、選ばれた学生は無料で参加出来、かつこれには宿泊も含まれる。この奨学制度に申し込むには、学生は独自の Swift プレイグラウンドを提出しなければならない。これは、カンファレンスとしては変わった趣向だが、歓迎出来るものである。Apple はまた 8 歳以下の子供に対する育児所も無料で提供するが、受け入れ人数には限りがある。

昨年とは違い、Apple は隣接のイベントには何も触れていないが、AltConf は近隣の施設で今年も6月4日から7日迄開かれる。いつもの様に、チケットは無料だが、参加者には寄付が期待されており、$300 を寄付すれば、定員が埋まっても、席は確保される。

我々は Apple 関連のカンファレンスのリストにこれらの詳細も反映させた。もし他のイベントをお探しなら、"22 Conferences for Mac and iOS Professionals in 2018" (26 January 2018) を見て欲しい。

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Twelve South の PencilSnap で Apple Pencil を収納する

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

昨年私が、10.5 インチの iPad Pro を買った時、私は、Apple の 159 ドルのSmart Keyboard と 99 ドルの Apple Pencil と共にそれを手に入れた。Smart Keyboard は大当たりであった。Smart Keyboard の磁石によるSmart Connector が、iPad に対していかにしっかり密着するかについて、そして、そのキーの感触と応答について、私は感銘を受けてきた。

一方で、Apple Pencil は、ほとんど使用しないままになっている。その理由の一部は、私が絵心のある人間ではないことにある。なので、Apple Pencilの私の主な使い途は、Notes で、略図を描いたり、手書きで文字を書いたりすることだ。そして、そうしたことですら、日常的な活動ではない。とは言え、Apple Pencil がどこに行ったか把握するのも困難だ。それは大抵、私の机の上で行方不明になっているか、あるいは、私が iPad Pro を持ち運ぶのに使う小さなカバンの中に、ポツンと転がっているかだ。言い換えれば、Apple Pencil は、滅多にすぐ手の届くところになく、そして私は、先端のチップを割ったりしないか、Apple Pencil を損傷したりしないか、あるいはまた、カバンから落ちたことに気付かなかったりしないかと心配している。

Apple は、2 つの製品、すなわち、29 ドルの Apple Pencil Case と129 ドルの 10.5 インチ iPad Pro 用 Leather Sleeve を作ることで、Apple Pencil は保護が必要な物だということを暗黙に認めている。どちらも革製で、おそらく、よくできているのであろう。だが、これらの製品は、ポイントを外していると思われる。Apple Pencil Case は、純粋に保護のためであり、いかなる方法においても iPad Pro に密着することはない。そして、Leather Sleeve、これには、Apple Pencil のためのスロットがあるものの、これは単なるスリーブだ。iPad Pro を使うには、スリーブからiPad Pro を取り出さなければならない。かくして、Apple Pencil とiPad Pro は別々になる。そして、Leather Sleeve には、競争力のある価格設定が成されているのかもしれないが、仮に Apple Pencil の収納が主な目的なのであれば、129 ドルは、支払うには高い金額だ。

もっと安価で、機能豊富な解決策として、アクセサリ製造の Twelve Southは、PencilSnap を発表している。Apple Pencil Case のように、PencilSnapは Apple Pencil 向けのほっそりした革製ケースだ。だがこの製品は一歩先を行っており、PencilSnap を磁力のあるあらゆる表面、例えば、Apple のSmart Cover や Smart Keyboard (あるいは、Twelve South 自身のSurfacePad ケース) に密着させて保持する磁石を隠し持っている。そうしたケースがない場合は、PencilSnap は、Apple Pencil Case とちょうど同じように振る舞うことになる。つまり、保護はするが、密着はしないということだ。

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Smart Keyboard を装着した iPad Pro では、PencilSnap は、iPad の長辺(2 ヶ所) か、または、ヒンジから反対側までの 1/3 あたりのスポットのどちらかに密着する。(他のケースやカバーには、異なる密着スポットがあるかもしれない。)

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単に所定の位置に保持しておくだけなら、3 つのスポットのどれも有効に機能する。なので、あなたが Apple Pencil を使っていて、それをPencilSnap に滑り込ませて、移動する必要があるのなら、PencilSnap が密着するところであればどこでも、ポンと置くだけで良い。とは言え、Smart Keyboard の開く部分のエッジが、もっとも分かりやすいと思われるし、かつ、そこがもっとも強力に密着する。そこはまた、iPad Pro を開いて Smart Keyboard を折り畳みながら、取り外すのが容易な場所でもある。

だが、もしあなたが、Smart Keyboard だけが必要で、PencilSnap は密着したままにしておきたいのであれば、その場所は上手く機能しない。と言うのは、PencilSnap が Smart Keyboard の下に入ってしまい、Smart Keyboard が使えなくなるからだ。

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同様に厄介なのは、Smart Keyboard のヒンジに隣接するエッジだ。と言うのは、そこに密着させると、PencilSnap は、iPad Pro と Smart Keyboardのスタンドが斜めになった部分との間に押し込められてしまうからだ。

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PencilSnap を装着しておくのに最良の場所は、代わりに、中間の場所、すなわち、ヒンジから反対側までの 1/3 あたりだ。PencilSnap がそこにあれば、PencilSnap を取り外したり、あるいは、iPad Pro の座りの良さを損なったりすることなく、iPad Pro を開いたり閉じたりすることができる。

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Apple Pencil が PencilSnap から滑り出るようなことは心配しなくてよい。ことによれば、そのうち、PencilSnap は緩むかもしれないが、箱から出したばかりの新品の場合、PencilSnap は、Apple のスタイラスをぴったり保持してくれる。実際、それはとてもぴったりしているので、Apple Pencilを押し入れたり、引き出したりする際には、Lightning コネクタを覆っているキャップの直ぐ下で、Apple Pencil を持つ必要があることが分かった。と言うのは、キャップを持って押し込んだり、引っ張ったりすると、力がかかり過ぎるように思われたからだ。

ここには不思議なものは何もない。単に、良い工業デザインと細部まで行き届いた配慮があるだけだ。PencilSnap は 29 ドルで、黒、または、明るい茶色の革のどちらかで提供される。もしあなたが、Apple Pencil を紛失したり、損傷させたりすることを心配しているのであれば、Twelve Southの PencilSnap は、あなたの 99 ドルのスタイラスの保護と、iPad Pro と一緒にそれを保持する手助けの両方をしてくれるであろう。

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音楽の向こう側: HomePod を Amazon Echo や Google Home と比較

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

HomePod が(米国で)発売された。音楽ファンは大喜びだ。いや、まあ、主として Apple Music のファンは、と言うべきだろう。このスマートスピーカーは、そもそも Apple Music のファンを念頭に置いて作られたものなのだから。(2018 年 2 月 12 日の記事“HomePod の第一印象: 音楽を (Apple Music を) 奏でよ”参照。) Siri の助けを得て、HomePod は、単に音楽を再生する以外にもかなりいろいろなことができるが、そこには大いに改善の余地がある。

私は数週間を費やして、コミュニケーション、個人的管理、情報検索など音楽以外の幅広い種類の作業について HomePod と Siri の力量を試してみた。

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状況をはっきりさせるため、私は HomePod の比較対象としてライバルの Echo Dot (Amazon の入門レベルの Echo、Alexa アシスタントを使う) と、Google Home Mini (Google の入門レベルのスマートスピーカー、Google Assistant を使う) を選び、それぞれの作業についてこれら三つを比べた。

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比較は、有用性のみを基準とするようにした。これらのスマートスピーカーがどのように私の生活をより便利に、情報に通じたものにしてくれたか、どのように私を手伝ったり何かを教えてくれたりしたか、という基準だ。それぞれのスピーカーに付随する音楽サービスは無視することにした。また、ホームオートメーションの中で働く役割も考慮の対象から外した。それについてはまた別の記事で扱うべきと思うからだ。あともう一つ、サウンド音質についても比較はしなかった。なぜなら、値段の安い Echo Dot と Google Home Mini は高価な HomePod とはもともとオーディオについては別の分類に属するからだ。(その点 Google Home Max ならば比較対象になるだろう。2017 年 10 月 18 日の記事“新たな Google 機器が再び Apple 製品に狙いを定める”参照。)

私がスピーカーに求める情報と支援の内容には、ニュース、天気情報、私の予定、ポッドキャストやオーディオブックなど音楽以外の娯楽、電話をかけたりテキストメッセージを送ったりするオプション、そしてメモやリマインダーを作成する機能がある。また、複数種類の情報をどのようにうまく一つの分かりやすい報告にまとめてくれるかも重要だ。それから、家庭内で複数のユーザーをどのようにサポートできるかという点もある。

比較して調べるのはなかなか楽しい難問だったが、結果として分かったのは、このスピーカー競争は現時点でははっきりと Amazon の Echo シリーズが先頭を切っているけれども、Apple の HomePod も、遅れて参入したにもかかわらず、まだまだ勝つ見込みがあるということだった。

以下では、それぞれの内容分類ごとに、三社それぞれを 3 点満点で採点してみた。点数は必ずしも 3-2-1 に分かれるとは限らない。場合によって一つの会社のスピーカーが全く点数を与えるに値しないこともあるし、第二位だけれども 1 点しか付けられないこともある。これらの点数付けが Apple ユーザーの観点からのものであることをお断りしておく。Android ユーザーならばもう少し良い点を Amazon や Google のデバイスに与えたかもしれないと思われるところがいくつかある。

複数ユーザーへの対応 -- スマートスピーカーならば、家庭内で複数のユーザーを正しく認識してそれぞれの人に応じたデータとアカウントを使ってデバイスとやり取りできる程度には賢い(スマートな)ものであるべきだ。

この意味で、HomePod は完全に失格だ。HomePod はいかなる意味でも複数個のアカウントをサポートしておらず、違うユーザーを音声で聞き分けることもできない。このことは、主たるユーザーにとっても問題だ。権限のないユーザーがスピーカーの Siri から個人情報を抜き出すこともあり得るからだ。また、主たるユーザーでない人にとっても問題だ。そういう人は、Apple Music にある自分のプレイリストにアクセスしたり、自分のリストにリマインダーを追加したりといったことができないからだ。

Amazon Echo と Google Home については、状況はもっと良い。いずれも、異なる人の音声を聞き分けるトレーニングをさせられるし、複数のユーザーそれぞれに対するサービスを使い分けられるからだ。

Amazon はこの目的のために Voice Profiles というものを使う。これらのプロフィールはセットアップし、トレーニングし、削除もできる。これで、個々のユーザーはそれぞれ自分のメッセージ、音楽設定、Flash Briefing、買い物アップデート、その他にアクセスできる。

けれどもハードウェア面での対応はまだ完成していない。現行世代の Amazon デバイスの中で EchoEcho DotEcho PlusEcho Show にはこの機能があるが、Echo Spot にはない。

同じように、Google には Voice Match テクノロジーがあり、同社のスマートスピーカーの共有使用ができる。最大 6 名までの人々が一台の Google Home デバイス上で Voice Match を利用でき、個々の人がその人専用の情報にアクセスできる。例えば通勤時間、日々の状況説明、お気に入りの音楽サービス、好みのビデオサービス、といったものだ。

Google Home デバイスが Voice Match を利用する際に何ら制限事項はないようだ。この点、Google の方が Amazon よりも一歩優位に立っている。

ランキング: Google (3 点)、Amazon (2 点)、Apple (0 点)

ニュースを知らせてくれ -- HomePod は、音楽を届けるという主要な役割に加えて、ニュースを読むこともできる。Amazon も Google もこの機能を大々的に打ち出していることを考えれば、特に驚くべきことでもない。

HomePod のレビュー用ユニットが届くよりも前から、私は Alexa か Google Assistant に頼んで自宅の仕事部屋にある Echo Dot か Google Home Mini から毎朝のニュースを聴く習慣ができていた。

けれども最近は、仕事を始める前に HomePod に頼んで朝のニュースを聴くようになった。これには満足できる面とフラストレーションが溜まる面の双方がある。HomePod はある程度うまく働くが、まだまだ改善の余地がある。

HomePod で Siri に "give me the news" と声を掛けると、ニュース提携をしているところのうちどれか一つのニュース概要を自動的に読み上げてくれる。米国では、公式のニュース源は Bloomberg、CNBC、CNN、ESPN、Fox News、National Public Radio、NBC、Washington Post だ。

もしも HomePod があなたの好みでないところからのニュースを読み上げたなら、Siri に "switch to (ニュースプロバイダ名)" と言えばよい。するとその後はそこがデフォルトのニュースプロバイダとなる。

Siri の play-me-the-news コマンドは一度にたった一つのニュース源からのニュースしか読まないが、Alexa ユーザーは Flash Briefing をセットアップしておけば一連のニュース源を特定の順序に並べることができる。その選択肢も膨大だ。Alexa アプリで検索してみたところ、何百もの選択肢があった。

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また、Flash Briefing コンテンツのいくつかは今やビデオの形式にもなっている。Amazon の最新型の Echo スピーカー二つ、Echo ShowEcho Spot がディスプレイを内蔵しているからだ。

同じように Google も、同社のスマートスピーカーが提供できるサービスからのニュースを読み上げられる。Google Home アプリを使ったセットアップは簡単だ。Google がたくさんのカテゴリーに分けて提供する何十ものニュース源から好きなものを選び、好きな順序に並べる。すると、Google Assistant に "give me the news" と頼めば、一番上からその順番で再生される。

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Siri に頼んで何個かのニュース源から一度に読ませたくても、そう簡単には行かない。Apple の Podcasts アプリを使って、それらのニュース放送を寄せ集めて一つにする作業を手でしなければならないからだ。具体的には、短時間のニュース関係ポッドキャストを何個か含んだ「ステーション」を作成して、それをまとめて一つのニュース放送として扱うことになる。

その種のダイジェスト風ニュース・ポッドキャストの実例としては、NPR Up FirstNPR News Now、Washington Post の The Daily 202's Big IdeaBBC Global News Podcast、それからテクノロジー系ニュースの熱狂的ファン向けには APM Marketplace Tech、Relay FM の Subnet、Tom Merritt の Daily Tech News Show などがある。

Podcasts でステーションを作成し、それに Siri が理解できる名前を付け、それを他のニュース・ポッドキャストと一緒にしておく、そうして HomePod に向かって Siri に "play (ステーション名)" と呼び掛ければ、すぐに反応してポッドキャストのエピソードを順々に読んでくれるだろう。

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けれどもまだフラストレーションが残る。私のステーションの中のさまざまのニュース源を私の好みの順序で再生されるように並べ替えることができないので、再生がどれから始まるかを予想することも不可能だ。Podcasts アプリの方には便利な設定があって、未再生のコンテンツを優先するかどうかのトグルと、新しいものから古いものへ順番にコンテンツを再生するオプションがある。いずれも、定期的に更新されるニュース源では意味あることだと思うのだが。

HomePod でニュースを聴ける方法がもう一つある。これをライブ・ストリーミング機器として使う、つまり基本的にこれを非常に高価なラジオだと思うわけだ。"NPR live" と声を掛ければ、Siri は iTunes Radio を使って NPR live のストリーミングを再生する。同様のライブ放送の選択肢には BBC、Bloomberg Radio、CBS News Radio、CBS Sports Radio、ESPN (英語かスペイン語)、NBC Sports Radio、Public Radio International もある。ただし、地上波ラジオ局にリクエストを送っても時としてライフストリーミングの代わりに録音済みのコンテンツ (ポッドキャストのエピソードやニュース概要など) が送られてくることがある。

Apple は HomePod 上で Siri のリクエストに応えてどのようにニュースを届けるかについて相当の考慮を巡らしたはずだ。けれどもそれはまだ新人の努力の域を出ておらず、これからまだまだ洗練の度を上げることで Amazon Echo や Google Home デバイスのニュース配送機能に追い付くようにしなければならない。Amazon が Google よりもほんの少しだけ優位に立っている理由は、利用できるコンテンツが多いことと、一部のコンテンツが (Amazon のみ) ビデオのフォーマットになっていることだ。

ランキング: Amazon (3 点)、Google (2 点)、Apple (1 点)

ポッドキャストを再生してくれ -- HomePod と Apple の iOS 用 Podcasts アプリは協力して働くようにデザインされており、ポッドキャストのファンにとってそれはとてもありがたいことだ。

例えば、あなたがいつも TidBITS ポッドキャスト を聴いていたとしよう。このポッドキャストでは、TidBITS 記事を著者たちが朗読しているのが聴ける。再生するのは簡単だ。ただ単に HomePod の Siri に向かって "play the TidBITS podcast" と言えば、最新のエピソードの再生が始まる。

ポッドキャストの講読も同じくらい簡単で、Siri に向かって "subscribe to the TidBITS podcast" と言うだけだ。これで、TidBITS ポッドキャストが Podcast アプリのライブラリに追加され、その後いつでも聴けるようになる。

それ以後は、HomePod 上と iOS デバイス上でエピソードの再生は同期されるはずだ。つまり、一つのデバイス上で一時停止すれば、別のデバイス上でその続きを聴けるはずだ。でも実際には、この機能が時によってうまく行ったり行かなかったりすることがあるのに私は気付いた。いずれ時が経てば Apple が改善してくれることとは思うが。

HomePod は、OvercastPocket Casts などサードパーティの iPhone 用ポッドキャストアプリには対応していないので、そういうクライアントを使っている人は HomePod との緊密な統合を諦めざるを得ない。もちろん、それらのアプリから AirPlay 経由で HomePod へポッドキャストをストリーミングすることはいつでもできる。

では、競合相手はどうだろうか? Echo デバイスでは、Alexa が TuneIn サービスからポッドキャストを取り寄せることができる。アシスタントに向かって "play (ポッドキャスト名)" と言えば、その番組の最新のエピソードが始まる。一時停止すれば、あとで開くとその個所から始まる。また、"play previous episode" と言えばポッドキャストのカタログを遡れる。

講読オプションはないようだが、サードパーティの "skill" で運試しすることはできる。これは追加機能を提供するための Alexa アドオンだ。AnyPod skill などいくつかのものが講読機能を追加する。

Google Home デバイス上でも、番組の名前をリクエストすることでポッドキャストの最初のエピソードが始まる。(ただしポッドキャストの出典源はよく分からない。) しかしここでも、講読オプションは見当たらない。

このカテゴリーでは明らかに Apple の勝利だ。HomePod が iOS デバイス上の Podcasts アプリと統合されていることで、ユーザーが手軽にポッドキャストを講読でき、再生が Apple デバイス間で同期される。この二つの機能こそ、完備したポッドキャスト体験の鍵となるものだからだ。あとは、残る荒削りな部分に Apple が手を入れてくれればよいだけだ。

ランキング: Apple (3 点)、Amazon (1 点)、Google (1 点)

本を読んでくれ -- iTunes Store を通じてオーディオブックを購入したことのある人は、当然 HomePod でそれを再生できると思うことだろう。けれどもそうではない。少なくとも Siri に頼んでも無駄で、"Sorry, I can't play audiobooks" と HomePod の Siri は言う。Apple に問い合わせても「HomePod は現在オーディオブックに対応しておりません」という返事のみだ。マジか?

私が iTunes で購入したオーディオブックはすべて私の iPhone や iPad から AirPlay 経由で HomePod へ送って再生できるので、これは必ずしも完全なる交渉決裂という訳でもない。それでも、$350 もするスマートスピーカーなのだから、簡単にできることはちゃんとして欲しいものだ。

では、競合相手はどうか? Amazon は、オーディオブックサービスの Audibleも、Kindle 電子ブックストアも所有しているので、有利な立場にいる。それはつまり、多くの場合、ユーザーは本のオーディオ版とテキスト版との間で切り替えができ、その際にどこまで読んだかの情報も失われないということだ。ただしそのためにはオーディオ版とテキスト版の双方を購入している必要があるが。Echo デバイスはこの WhisperSync 機能に対応する。この機能を使うには、以前コンピュータ、スマートフォンまたは Kindle でテキスト形式で読んでいた本を呼び出せば、読んでいた個所からオーディオ版の再生が始まる。

同様に、これまでその本のオーディオ版だけを聴いていた場合は、進行中の本の名前を Alexa に言えばよい。あるいは単に "play an audiobook" と言ってもよい。私がそれを試すと、Alexa は私が一年ほど前に読んでいたSF小説の、当時私が読んでいた個所をぴったり再現した。私自身はすっかり忘れていたのに、Alexa はちゃんと覚えていてくれたのだ。

本を入手する場所として長年定評を得てきた Google の Play Store だが、最近になってここにオーディオブックが追加された。つまり、いったんそのオンラインストアでオーディオブックを購入すれば、Google Home デバイスがそれを再生できるということだ。その上、Google のオーディオブックは全体的に、Apple や Amazon が販売しているものに比べて価格が安い傾向にある。

デバイス間のオーディオ同期もうまく働いている。私がデスクトップ上のブラウザで "The Art of War" (孫子) の再生を一時停止して、それから Google Home Mini に向かって "play an audiobook" と言うと、孫子は正確に先ほどの個所から話を続けた。

では、どれが一番良いか? HomePod 上で Siri を使ったオーディオブックの再生ができないのは心底がっかりで、Apple には早く何とかして欲しい。そこのところを Amazon と Google はなかなかうまくこなしているが、Amazon の方が WhisperSync 同期機能と Audible 統合のお陰で一歩リードしているというところだろうか。

ランキング: Amazon (3 点)、Google (2 点)、Apple (0 点)

電話をかけてくれ -- HomePod は優秀なスピーカーフォンだが、一つ注意点がある。例えば Siri に "call my wife" と言ってこちらから電話をかけたり (電話に出たり) することが、iPhone ではできるのに、HomePod ではできない。

けれどもいったん iPhone 上で通話を開始すれば、(通話画面の Audio ボタンで) 通話を HomePod に切り替えられる。その際、HomePod の上面の光が緑色に変わって通話中であることを示す。

HomePod では複数の通話を処理することさえできる。デバイスの上面に触って押さえ続ければ、現在の通話を終えてかかってきた電話に出たり、かかってきた電話に出て現在の通話を保留にしたり、双方の通話間で切り替えたりできる。

では、競合相手はどうか? Amazon は、Echo と Echo の間で、あるいは Echo とスマートフォンの間でそのスマートフォンに Alexa アプリがインストールされていれば、いつでも通話ができるという点で HomePod の一歩先を行く。iPad やその他のタブレットに Alexa アプリがある場合にも、つい最近この機能が使えるようになった

Echo は普通の電話番号にも電話をかけられる。連絡先に登録された人を名前で呼び出すことも、モバイルまたは固定電話の電話番号を音声でダイヤルすることもできる。例外は、緊急電話の 911 と、国際通話、それに premium-rate 番号だ。これらの番号に電話するには、$34.99 を払って Echo Connect というアドオン機器を購入しなければならない。

Echo シリーズにはもう一つ、はっきりした差別化要因がある。Amazon のこのスピーカーのうち二つのモデル、Echo ShowEcho Spot はディスプレイを内蔵しているので、ビデオメッセージングが可能で、きちんと実装されている。

一方 Google Home デバイスもまた、連絡先の相手へはハンズフリーで音声通話ができる点で、またモバイルにも固定電話にも音声ダイヤルで電話がかけられる点で、Echo デバイスとほぼ同等だ。この Google のスピーカーは、あといくつかさらに付加機能を持つ。ハードウェアを追加する必要なしに国際通話や premium-rate 番号への通話もできるが、ただしそのためにはそのユーザーが Google Voice の voice-over-IP サービスまたは Google の Project Fi セルラーサービスで有料通話機能をセットアップしておく必要がある。

HomePod は高品質のスピーカーフォンかもしれないが、電話をかけたり電話に出たりできないというのはあまりにも大きな欠点だ。Apple はできる限り早くこの機能を有効にすべきだと思う。現時点では、Google Home 機器が Google Voice や Project Fi との統合のお陰でオーディオの利点を発揮している。ただ、一部の Echo デバイスにあるようなビデオ対応はない。

ランキング: Google (3 点)、Amazon (3 点)、Apple (1 点)

メッセージを送ってくれ -- HomePod は Messages アプリを使ったメッセージの送信・受信もできる。

iPhone や iPad で Siri を使って Messages アプリを操作している人たちにはお馴染みのことなので、ここで使い方を説明するのはやめておこう。とにかく、HomePod を使って連絡先に登録済みの人 (複数人でも可) 宛てのメッセージを送信したり、(誰からのものでも、または特定の人からのもののみでも) 新着メッセージを読み上げさせたり、といったことができる。

HomePod で Messages を有効にするためには、Personal Requests と呼ばれる機能をあらかじめ有効にしておかなければならない。これはリマインダーやメモについても同じことだ。

HomePod はサードパーティのメッセージングアプリ、具体的には Skype for iPhoneWhatsApp MessengerWeChatViber Messenger などにも対応している。そのどれかを初めて使う際に、iPhone のスクリーンをタップして認証することを求められる。

HomePod でサードパーティのメッセージングアプリを私が試してみたところ、結果はうまく行ったり行かなかったりだった。公式にサポートされているサービスのうち、私は主として Skype を使った。でも、私が Siri に妻へ Skype メッセージを送るように頼んでも、HomePod の返事は「できればそうしたいのですが、まだ私に Skype が設定されていません」というものだった。

最近私は WeChat を気楽に使うようになった。外国でこのメッセージングアプリを使っている親戚たちがいるからで、どうやらその国では WeChat が非常に人気が高いらしい。HomePod で試してみたところ、WeChat 統合はずっとうまく行っていることが分かった。いったん私の iPhone で認証をすれば、私からメッセージを送信できるようになった。まあ、一応はできる、と言うべきか。

まず困ったことに、メッセージを送ろうとする度に毎回 iPhone 上で WeChat を認証しなければならなかった。(一回認証を済ませればそれで十分なはずだと思うのだが。) それから、奇妙なことに、どうやらメッセージは HomePod 自体からでなく iPhone から送信されているようだった。HomePod は単にそのタスクを iPhone へ手渡しているだけで、WeChat のメッセージ作成フィールドが iPhone の画面に出現する。まあそれでも悪くはないが、WeChat 統合は HomePod の機能として宣伝されているというのに。

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では、競合相手はどうか? Amazon の Echo デバイスは最近になって SMS メッセージを送信する機能を装備した。ただし注意点として、ユーザーが Android フォンを持っている必要がある。そのハンドセット上の Alexa アプリの中に、対となる Echo デバイス上で SMS 音声送信を有効にするためのオプションがある。iOS 版の Alexa アプリにそのようなオプションはない。

けれども、音声通話やビデオ通話と同様、Amazon は Echo から Echo へのメッセージングを Alexa 経由でできるようにしている。ここでも、このシステム内メッセージングは iPhone や iPad を含むスマートフォンやタブレットの上でも Alexa アプリがインストールしてありさえすれば使える。

Google Home デバイスは公式にはテキストメッセージングに対応していない。その回避策はいくつかあるようだが、それらの方法はいずれも Android フォンを必要とする。iPhone ユーザーにとっては交渉決裂要因だ。

ランキング: Apple (3 点)、Amazon (1 点)、Google (0 点)

カレンダーに追加してくれ -- 現在のところ、HomePod に Calendar 対応は全くない。だから、あなたの日々の予定を知らせることもできないし、音声を使って Calendar イベントを作成することもできない。ブブーッ!

では、競合相手はどうか? Echo ユーザーはカレンダーを Alexa に接続することができ、Alexa は iCloud カレンダーに対応している。設定は iPhone 上の Alexa アプリでするが、その前にまず二要素認証をセットアップしておく必要がある。Google アカウントに付随したカレンダー (有料の G Suite ビジネスアカウントも可) にも対応している。

Google Home はもちろん Google カレンダーに対応している。ただし残念ながら、対象となるのは汎用のアカウントのみで、個人用に特化したドメイン名を持つ有料の G Suite アカウントでは使えない。私の場合、その種の G Suite アカウントの中ですべての活動をしており、長年にわたってそこのドメイン名を使っているので、この制約は大いに不満だ。

このカテゴリーでは Amazon の圧勝だ。最もしっかりしたカレンダー対応を実現していて Apple や Google のカレンダーも使える。Apple は大差の敗者で、Google も驚くほど大きな制約のある Google Calendar 対応のせいであまり先行しているとは言えない。

ランキング: Amazon (3 点)、Google (1 点)、Apple (0 点)

リマインダー、やることリスト、タイマー -- Apple の Reminders アプリは可愛らしいほどに最小主義のアプリだが、今は HomePod を使って項目を追加できるようになった。

メッセージの場合と同様、まずあらかじめ HomePod の Personal Requests 機能を有効にしておかなければならない。

それが済めば、HomePod 上で音声を使ってリマインダーややることリストを作成するのは簡単で、iPhone で Siri を使ってするのとあまり変わらない。リストにリマインダーを追加したり、完了した項目にチェック済みの印を付けたり、指定した場所に到着またはそこから出発した際にリマインダーを出すよう設定したり、時刻を指定してリマインダーを出すよう頼んだり、繰り返すリマインダーを作成したりもできる。

HomePod はアラームやタイマーをセットすることもできるが、そうやってセットしたものはいかなる意味でも iPhone 上の Clock アプリとの同期対象にはならないようだ。

では、競合相手はどうか? Amazon の Echo デバイスは HomePod とほぼ同様のやり方でリマインダーを扱う。Alexa で作成したリマインダーには時刻要素を含めることもできる。繰り返すリマインダーも使える。位置情報によるリマインダーには対応していない。アラームをセットしたり、買い物リストを作ったり、やることリストの項目を作成したりもできる。

Echo は複数の、重なり合うタイマーにも対応しているが、Siri は一度に一つのタイマーしか扱えない。

iPhone や iPad の上の Alexa アプリを使ってリマインダーを扱うこともできる。Amazon はこのアプリでアラームとタイマーを一緒にまとめている。同じアプリの中の別の場所には買い物リストややることリストを扱うところもある。

それに加えて Amazon は Any.do、AnyList、Cozi Lists、Picnic、Todoist などサードパーティのリストアプリもサポートしている。その種のアプリのどれでもデフォルトに設定してそこで Alexa のリストを管理するようにもできる。

Google Home デバイスも同様のやり方でリマインダーを扱う。例えば、時刻に基づいて繰り返すリマインダーを作成したり、すべてのリマインダーをおさらいするよう頼んだり、さらには個々のリマインダーを削除したり、何個もまとめて削除したりすることもできる。位置情報によるリマインダーには対応していない。

iPhone で (さらに今は iPad でも) リマインダーを受け取れるようにするには、Google Assistant アプリをダウンロードして通知をオンにする。Google は Google Assistant で作成したリマインダーを Google Calendar. の内部に保存する。

Alexa アプリと同様に、Google Home アプリにも別途買い物リスト機能がある。また、サードパーティの Out of Milk サービスに対応するようセットアップすることもできる。

Google Home も、Echo シリーズと同様、複数の、重なり合うタイマーに対応する。

どうやら最もフル機能のリマインダー対応をしているのは Apple のようだ。位置情報ベースのリマインダーも扱えて、現在競合相手たちにその機能はない。また、Apple のシンプルな Reminders アプリはごちゃごちゃした Alexa アプリよりも素敵だ。Alexa アプリは数多くの他の任務も抱えていて、使いにくいことこの上ない。(iTunes を思い出すのは私だけだろうか。)

けれども Amazon は、デフォルトのリスト作成機能に加えて、サードパーティのリストアプリへの良い対応もある。その上、ちょっとした手作業を厭わない人ならば、自動化サービス IFTTT (If This, Then That) を使って Alexa や Google のリマインダーを Apple のリマインダーに結び付けることもできる。

ランキング: Apple (3 点)、Amazon (3 点)、Google (2 点)

メモを作成してくれ -- HomePod がメッセージ用に Messages アプリと、リマインダーとやることリスト用に Reminders アプリと連携するのと同じ様に、メモを Apple の Notes アプリに追加することは可能である。しかし、これを iPhone の Siri を使ってやり遂げるのは結構大変である。

メッセージやリマインダーと同様、まず最初に Personal Requests を有効にする必要がある。

そこから先は、件名あり、又は件名なし (こちらの場合はメモの最初の一部分を件名とする) のメモを作成、或いは、以前作成した件名ありのメモに追加することが出来る。

メッセージやリマインダーと同様、HomePod はサードパーティアプリもサポートする - 少なくともこの分野には一つあり、それは Evernote である。私の長年使ってきている Evernote アカウントを Siri にリンクするのは、基本的には難しくはなかった。また Siri コマンドを使って Evernote にメモを作成するのも同様であった。

では競合他社の場合はどうであろうか? Amazon も Google のどちらも彼らの音声アシスタントにきちんとしたメモサポートは与えていないが、回避策はある。

Alexa スキルの膨大なライブラリを探して行けば、きっと何か有用なものに辿り着くであろう。例えば、メモを Alexa 経由で Evernote に追加する EverPad スキルの様なものがある。同様に、IFTTT 自動化サービスはメモ関連のアクション用のアプレットを提供しており、そこには Google Assistant に語りかけることによりメモを作成する Evernote アクションの様なものもある。

しかし、ネイティブな Amazon や Google サポートの欠如は失望に値する。例を挙げれば、私は Google の素晴らしい Keep メモアプリに対する Google Home サポートを期待したい。

ランキング: Apple (3 点)、Amazon (1 点)、Google (1 点)

私の一日について教えて -- スマートスピーカーは、もし色々な情報ナゲットを取り込み - ニュース報道、天気予報、交通情報、来るべきカレンダーイベント、等々 - そして、それらを一つの音声コマンドで起動出来る個人向けの情報に統合出来れば、真に輝くであろう。

HomePod もこれを、前述した短いポッドキャストの集合体の形で、どうにか実現出来ると言える。しかし、これを設定するのは時間と忍耐を必要とし、その結果は時として予測不能である。ここでは Amazon と Google は Apple の遥か先を行っている。

Amazon の Flash Briefings には天気予報を含ませられる。Amazon はこの目的に役立つべく Today's Forecast 項目を含ませている。

更に、Flash Briefing アドオンは無数にある。これらはニュースや天気を超えた沢山のことをカバーしており、例を挙げれば、今日の単語、今日の謎々、"お笑い一瞬" や "女性のための日日信仰" 等がある。

Flash Briefing に加えて、Echo 機器は "Alexa, さあ、今日一日の始まりだ" 機能も持っていて (Amazon はこれを "ルーチン" と呼んでいる)、これを使えば、幾つもの要素 - Flash Briefing の他に交通や天気情報も含まれる - を一つに結合されたものに統合出来る。

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同様に、Google は Good Morning 機能を提供していて - こちらもこれを "ルーチン" と呼んでいる - これは極めて複雑でかつカスタム化自由度が高い。Google Home アプリの一連のチェックボックス経由で、ユーザーは Google Assistant に、天気、カレンダーイベント、次の乗り換え、等々についての情報を提供するよう設定出来る。

Google Home ルーチンはまた、オプションとして、ニュース、ユーザー選択の音楽、ラジオのライブストリーム、ポッドキャスト、或いはオーディオブックを再生することも出来る。

上記の全ては、一つの要求 "私の一日について教えて" (或いは "おはよう" とか "起きたよ") で Google スピーカーから流れ出すように出来る。

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ここは接戦である。Amazon と Google は、私の一日についてそれぞれが提供するもので抜きん出ている。Amazon のものは、構造的には多少自由度が狭いが、巨大な情報量の可能性を秘める Flash Briefing を要素の一つとして数えるなら、コンテンツとしては遥かに多くのものを提供する。

ランキング: Amazon (3 点), Google (3 点), Apple (1 点)

総合勝者を決める -- では、最終的に、これら3社のスマートスピーカーの順番はどうなるであろうか?

結果を合計してみよう:

Amazon が 23 点で総合勝者である。驚きの要素は殆どない。元々、スマートスピーカーを引っさげて一番先にゲートを出たのは Amazon であり、この分野では一番豊富な経験を持つ。Amazon はまた、Echo 機器を幅広く取り揃えており、これが同社に Google や Apple よりも多くの能力を与えている。

Google は 18 点で2位である。繰り返しになるが、Apple よりも先に出ており、当然であろう。Amazon と同様、初代の Google Home には姉妹品が加わり、価格でもオーディオ品質でも多様性が増えた。

Apple は 15 点で3位となる。しかしながら、これは当てにならない。と言うのも、HomePod は二つの分野を完全に抹殺しているからで - オーディオブックとカレンダー - ここは Apple がやろうと思えば機能を追加出来ている所である。複数ユーザーのサポートの追加は、ここは HomePod が0点を取った所の一つ、かなり困難であろう。

Siri は、例えば、iOS や macOS では結構多くのカレンダー関連のコマンドを理解するので、HomePod でも可能なのでは? そして、オーディオブックのサポートの欠如は何故か? もし Apple がこれらの機能を盛り込み、そして HomePod が 1 点しか取れていない所、例えば音声呼び出しの様な、を強化するとすれば、競争の真っ只中に位置しているであろう。これは、真っ向から勝負している分野の4つでは HomePod が 3 点を挙げていることからも裏付けられる。

今や、スマートスピーカーが市場に出てからある程度時間経っているとはいえ、戦いは色々な意味で始まったばかりである。参加者全てが、現時点では明白な強さと弱さを兼ね備えている。

別の言い方をすれば、HomePod は市場への参入が遅く、そして総合的には遅れを取っているが、数多くの明るい材料があり、そして Apple は、何を追加し改善するかについて明快な進軍命令を出している。2018 年末迄には、適切な変更と約束のステレオとマルチルームオーディオ機能を搭載して、Apple は HomePod を頂上にまで押し上げられるかもしれない。

そうではあるが、これは戦いであり、Amazon も Google も黙って座ってはいない。従って、Apple も、既存の分野で追いつくだけ以上のことをやる必要がある。Apple よ、その革新エンジンを全開にする時である!

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2018 年 3 月 19 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

OmniFocus 2.12.1 -- このタスク管理アプリをバージョン 2.12 に最近アップデートしてからすぐに、Omni Group は OmniFocus 2.12.1 をリリースしてデータベース移行に関する重大な問題に対処した。Mac 用の OmniFocus 2.12 (と iOS 用の OmniFocus 2.22 や 2.22.1) では、新しいデータベースフォーマットへの移行が必要となった。あなたがその移行をして、かつそれ以前に別の暗号化パスフレーズを設定していた場合には、その別のパスフレーズがまだ設定されているかどうか確認して頂きたい。前回のバージョンにはキーチェーンの管理にバグがあって、暗号化パスフレーズを同期バスワードにリンク付けし直してしまった可能性があるからだ。

OmniFocus 2.12.1 ではそれ以外に、繰り返す項目の完了日をアウトラインに入力した場合にその次回のインスタンスが作成されなかったバグを修正し、Complete ツールバーボタンでプロジェクトを完了させた場合のハングに対処し、Quick Entry で項目を完了させた場合に起こったクラッシュを解消している。(Omni Group ウェブサイトでの新規購入は Standard 版が $39.99、Pro 版が $79.99、Mac App Store では Standard 版が $39.99、アプリ内購入で Pro 版にアップグレード可、31.9 MB、リリースノート、10.12+)

OmniFocus 2.12.1 へのコメントリンク:

Retrospect 15.0 -- Retrospect Inc. が Retrospect 15 をリリースした。このバックアップソフトウェアのメジャーな新リリースで、電子メール保護と BackupBot 人工知能機能を新たに導入している。Retrospect 15 では IMAP 電子メールアカウントをローカルまたはクラウドの保存先にバックアップでき、失った電子メールメッセージやアカウントを取り戻せ、ユーザーが一つのサービスから別のサービスへ手軽に移行するための援助ができる。

BackupBot を使えば、Retrospect は利用可能なすべてのバックアップ対象から指定された保存先へバックアップする戦略をクリック一つで丸ごと自動作成できる。バックアップの時間帯を最適化するようスケジュールを組み、線形回帰アルゴリズムを使って将来のストレージ要求度を予測する。Retrospect 15 はまた、Data Hooks (拡張可能なダッシュボードプラグインでバックアップのあらゆる処理に関するデータを表示するもの) と、遠隔地にいる従業員のためのバックアップ機能も導入する。

Retrospect 15 の価格は、サーバでないコンピュータ一台とその外部ハードディスクを保護できる Retrospect Solo が $49、サーバでない Mac 一台とその他に Windows、Mac、Linux コンピュータ 5 台までを扱う Retrospect Desktop が $119 だ。Retrospect 15 へのアップグレードはバージョン 13 または 14 からは割引価格が適用される。ウィザードにあなたのライセンスを入力すればアップグレード価格が分かる。現在有効な Annual Support and Maintenance 契約がある場合は無料でアップグレードできる。(新規購入は Solo が $49、Desktop が $119、アップグレード価格も各種あり、189 MB、リリースノート、10.6.8+)

Retrospect 15.0 へのコメントリンク:

Microsoft Office 2016 16.11 -- Microsoft が Office 2016 アプリケーションスイートのバージョン 16.11 をリリースして、電子メールアプリ Outlook に改善を加えた。今回のアップデートではメッセージとカレンダーイベントにテーブルを挿入できるようになり、タイムゾーンにまたがってイベントのスケジュールを組めるようになり、モニタに第二のタイムゾーンを追加できるようになった。また、Daylight Saving Time に関するバグを修正し、サイドバー、メッセージリスト、およびリーディング枠でフォントサイズを大きくしたり小さくしたりできるようになった。

Word では Focus Mode に改善を加え、設定した表示倍率で表示するとともにスクロール中もページ番号を表示するようになった。PowerPoint は埋め込みフォント機能を装備したのでプレゼンテーションがすべてのコンピュータで同じように見えるようになった。Excel は攻撃者が一部のセキュリティ制限を回避できていた脆弱性に対処した。(一回限りの購入ならば $149.99、年払い講読オプションは $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、10.10+)

Microsoft Office 2016 16.11 へのコメントリンク:

Slack for Mac 3.1 -- Slack が Mac 用デスクトップクライアントのバージョン 3.1 をリリースして、このグループメッセージングシステムおよび生産性ツールに改善とバグ修正を加えた。(2017 年 12 月 9 日の記事“Slack for Mac 3.0”参照。) 今回のリリースではダウンロードの終了を知らせる通知を追加し、日本語版 Slack のフォントを読み易いものにし、コンピュータの起動時に「余計なロード中画面のアクションを減らしファンファーレも控える」ようにし、未読メッセージを示すバッジが既読になっても残ってしまわないようにし、非常に多くのテキスト置換をするとアプリのパフォーマンスが落ちるバグを修正している。Slack は今回、ダウンロードしたファイルの保存先として Downloads フォルダ以外を指定できなくなっているが、ダウンロード用フォルダを別途設定できるオプションは将来のアップデートにて復活するはずだ。(Slack からも Mac App Store からも無料、71.3 MB、リリースノート、10.9+)

Slack for Mac 3.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2018 年 3 月 19 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は ExtraBIT がたった一つ、Broadcom による Qualcomm の買収を米国が阻止したのが良いことである理由をアナリストの Ben Thompson が解説する。

Broadcom の Qualcomm 買収を阻止したのが良いことである理由 -- Trump 大統領は、シンガポールに本拠を置く Broadcom によるアメリカの半導体メーカー Qualcomm の買収を国家安全保障および保護貿易主義の理由から拒絶した。Broadcom が本拠を米国に移すと約束したにもかかわらず買収は認められなかった。アナリストの Ben Thompson が、これが正しい措置であった理由を解説する。要約すれば、Broadcom は買収提案に際し、Qualcomm の過去の特許を獲得することのみに集中し、Qualcomm のリソースを活用して新たなテクノロジーを生み出すことはしないと確約したのだった。そのことが結果として、将来のモバイル開発 (6G およびその後) において中国の会社との競争力を失わせることになりかねず、テクノロジー世界で米国を不利な状況に陥らせる可能性を持つからだ。

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日本語版最終更新: 2018年 03月 24日 土曜日 , S. HOSOKAWA