TidBITS #1411/02-Apr-2018


新しい TidBITS、iOS 11.3 やその他 OS アップデート、9.7 インチ iPad、iWork が Apple Pencil に対応、Apple 教育戦略

格好良くなった新しい TidBITS 週刊号へようこそ! 私たちのインターネット基盤構造を完全に一新した今回の改革の、これも一つの側面だ。何が変わったかを Adam Engst が詳しく説明するが、今週号のそれ以外の部分には Apple からのニュースが盛り沢山だ。Apple は iOS 11.3、macOS 10.13.4、watchOS 4.3、tvOS 11.3 をリリースし、その上新しい HomePod のソフトウェアもバージョン 11.3 にアップデートした。また Chicago で開催された教育関連に特化したイベントの壇上で、Apple は Apple Pencil に対応した新しい 9.7 インチ iPad を発表し、その iPad 用の機能を備えて iWork をアップデートし、さらに教育に特化したいくつかの発表をした。今週注目すべきソフトウェアリリースは iTunes 12.7.4、セキュリティアップデート 2018-002 (Sierra および El Capitan)、Airfoil 5.7.1 と Piezo 1.5.8、KeyCue 8.7、Bookends 13.0.7、それに Moneydance 2017.7 だ。

記事:


文: Josh Centers  訳: Mark Nagata  29 March 2018

iOS 11.3、バッテリーの状態画面やその他多数の機能を追加

Apple が iOS 11.3 をリリースした。新しい“バッテリーの状態”機能や、約束されていた Business Chat サービスのベータ版 (米国のみ)、Apple Music 内の新しい“ミュージックビデオ”セクション、Safari のさまざまの新機能などを追加している。

特に旧型の iPhone を持っている人たちにとって最も注目すべきなのが、デバイス上のバッテリーの健康状態を表示したり管理したりできる機能だ。旧型の iPhone を突然のシャットダウンから保護するため同社が意図的にパフォーマンスを絞ったことを問題視した論争への反応として、Apple はこれらの変更を盛り込んだ。

バッテリー管理とパフォーマンス

その中心となるのが、iPhone 上に新たに設けられた (Settings > Battery > Battery Health で開く) Battery Health 画面だ。なぜなのかは分からないが、見たところごく単純なこの機能を Apple は「ベータ版」だと主張する。この Battery Health 画面には、その iPhone のバッテリー最大容量がパーセントで表示され、その iPhone がピークパフォーマンス性能で働けるか否かも表示される、また、バッテリーの交換が必要な場合は、この画面がそれを推奨する。ただし、この機能は iPhone 6 またはそれ以降でないと動作しない。

この iPhone X のバッテリーは良い状態だ - 当然のことだが

Apple は iPad についても、バッテリー管理でまるきり仲間外れにした訳ではない。iOS 11.3 では新たに iPad の充電管理機能も提供する。これは、電源に長時間接続されたままの場合でも iPad のバッテリーの状態を良好に維持できるようにする。

Business Chat

こちらもベータ版だが、約束されていた Business Chat 機能 (米国のみ) がある。いったいなぜ、どれもこれもベータ版なのだろうか。Apple は「うまく働かないかもしれないぞ」と予防線を張っているのか?

Business Chat 機能を使えば、このサービスに参加している会社と Messages を使って話をし、助けを得ることができる。ある会社が Business Chat にサインアップすると、Maps や Safari や Spotlight 検索結果の中でその会社に関係したところにその情報が示される。

発足当初から Apple と提携している会社には 1-800-FLOWERS、Ameritrade、(当然ながら) Apple、Discover、Hilton、Home Depot、Lowe's、Marriott、Newegg、Wells Fargo がある。

Apple Music 内のミュージックビデオ

Apple Music の中で、ビデオが (Video アプリのことではない、一般的な映像のことだ) これまでになく大きな役割を果たすようになる。これはおそらく、将来この形でもっと本格的にビデオを提供するための準備なのではなかろうか。ミュージックビデオは楽曲と並んで扱われ、ビデオのプレイヤーが曲のプレイヤーにかなりよく似た感じのものになり、ミュージックビデオのプレイリストを作成することもできる。

アニ文字

iPhone X を持っていて、他に何もすることがないのなら、Messages アプリに加わった四つの新しいアニ文字を眺めてみよう。ライオン、ドラゴン、どくろ、それに熊だ。個人的には、どのアニ文字も使えない。髭を生やしている私には、まるで何か発作を起こしているかのように見えるからだ。そもそもこんなものは、出世の妨げになるのではないか。

iOS 11.3.4 new animoji

ARKit

Apple は ARKit 1.5 を特に誇らしげに扱っていて、これが iOS 11.3 にも組み込まれた。この Apple の拡張現実フレームワークの今回の大きな改善点は、開発者が壁やドアなど垂直な仮想平面に仮想オブジェクトを配置できるようになったことだ。(仮想のラケットボールのゲームを想像してみよう。)

ARKit は今回から映画のポスター、絵画、図版などの画像イメージを検知できるようになり、以前より高解像度で現実世界を映し出せるようになった。これらの変更点は、より良い AR アプリを制作できるという意味で主として開発者の立場から興味深いものだが、おそらく Apple は、一般のユーザーに向けてこれらの変更点を説明することを通じて開発者たちにこれらの機能を利用するよう働きかけようとしているのだろう。

プライバシー

iOS 11.3 では、Apple があなたの個人情報を求めようとする際に、新しいApple privacy iconアイコンが表示される。

Safari

Apple はさまざまな新機能を Safari に盛り込んで強化した:

その他の改善点

iOS 11.3 はその他にも数多くの変更点を含んでいる大きなアップデートだが、それらの変更点の大多数はかなり細かなものだ。中でも興味深いものをいくつか挙げておこう:

すべての変更点のフルリストを見たい場合は、Apple の iOS 11.3 リリースノートをご覧頂きたい。

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Josh Centers   訳: 亀岡孝仁   30 March 2018

macOS 10.13.4 High Sierra、Business Chat と外部 GPU サポートを追加

Apple は macOS 10.13.4 High Sierra をリリースした。これは 2.36 GB アップデートで、Software Update 経由で、或いは独立の 2.49 GB コンボアップデータとしてインストール出来る。これはマイナーアップデートではあるが、幾つかの嬉しい微調整や追加が提供されている。何時ものことだが、このアップデートが予期しない問題の起因とならないことを確認するため、数日待ってからインストールすることをお勧めする。

macOS 10.13.4 release notes
macOS 10.13.4 のリリースノートには、数点のバグ修正と新機能が含まれている。

Business Chat[訳者注:現時点では、米国内のみ]

鍵となる新機能は Apple の新しい Business Chat サービスに対するサポートである。これは、macOS (そして iOS 11.3) の Messages アプリを使って、参加する企業と会話することを可能にする。もしある企業が Business Chat に参加していれば、Maps, Safari, そして Spotlight 検索で Messages ボタンが見える。

Apple が Business Chat の立ち上げ迄に集めた会社には、1-800-Flowers, Ameritrade, Discover, Hilton, Home Depot, Lowe's, Marriott, Newegg, そして Wells Fargo が含まれる。また Apple とも Business Chat 経由でチャット出来る。

高性能グラフィックスの改善

高度な画像要件を持つ Mac 職業人向けには大きなニュースがある:macOS 10.13.4 は今や外部グラフィックプロセッサをサポートする。対応するのは 2016 年かそれ以降の MacBook Pro, 2017 年かそれ以降の iMac, 或いは iMac Pro で、外部グラフィックプロセッサを接続することで、メディア作成、3D ゲーム、仮想現実、そしてその他の要件の高いアプリケーションでグラフィックス性能を高めることが出来る。このアップデートはまた、iMac Pro 上で走るアプリの中にグラフィックス破損が出るものがある問題に対処している。

Safari

Safari には macOS 10.13.4 で多くの注意が払われている:

その他の変更

iOS 11.3 の様に ("iOS 11.3、バッテリーの状態画面やその他多数の機能を追加" 30 March 2018 参照)、macOS 10.13.4 は、Apple 機能が個人情報を使いたいとする時、そのデータがどの様に使われそして保護されるかを説明するプライバシーアイコンとリンクを表示する。

macOS 10.13.4 は、Messages で Web リンクプレビューが現れないバグを修正している。

企業コンテンツとセキュリティアップデート

企業ユーザー向けに macOS 10.13.4 は:

最後に、macOS 10.13.4 には 34 のセキュリティアップデートが含まれる。

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Photo by Adam C. Engst

Adam Engst   訳: 亀岡孝仁   30 March 2018

Apple、watchOS 4.3, tvOS 11.3, HomePod 11.3 アップデートをリリース

iOS 11.3 に対する大幅なアップデートと共に ("iOS 11.3、バッテリーの状態画面やその他多数の機能を追加" 29 March 2018 参照)、Apple は watchOS 4.3, tvOS 11.2, そして HomePod 11.3 のより規模の小さいアップデートを出した。これら3つのうち、watchOS アップデートだけが、注目に値する機能を有している。

watchOS 4.3

当然の動きの様に見えるものの一つは、watchOS 4.3 は Apple Watch から HomePod 上での音量と再生を制御出来る様にする。理屈の上では、Siri コマンドと HomePod 自身の物理的な制御機能があれば、十分とも言えそうだが、追加の制御手段があるのは悪い話ではない。

watchOS 4.3: This update contains new features, improvements, and bug fixes.

watchOS 4.3 でのもう一つの変更は Nightstand モードで - これは、時計やナイトテーブルを軽く叩くと黒の背景上に緑の文字で現在時間を短期間表示する - それが今やどの向きでも働く。以前は、時計が充電器に横置きで、ボタンが上の位置で置かれた時にしか働かなかった。

watchOS 4.3 の最後の新機能に関して言えば、Siri 盤面は今や Activity リングの進行状況と、Apple Music ミックスに加わった新しい曲とを示す。

Apple は watchOS 4.3 では3つのバグが修正されていると言っている。一つは Apple Watch から iPhone 上の曲を制御出来ない問題であるが、これは我々の所では正常に働いている様に見えた。次のバグは、Activity 達成祝福があるユーザーには間違って与えられるというもので (恐ろしい!)、そして三つ目は Siri コマンドがある種のオーディオ機器には効かないというものである。最後に、watchOS 4.3 には 13 のセキュリティ修正が含まれている。

注意すべきは、Apple Watch は充電器上にあり、最低でも 50% の電池残量があり、そして iPhone の到達範囲にあり、かつ iPhone 自身は Wi-Fi 上になければならないことである。そして、思うよりもずっと長い時間も要する - 我々は夜中にアップデートすることをお勧めする。

tvOS 11.3

tvOS 11.3 に関して、Apple はわずかなことしかリリースノートでは言っておらず、しかも、三つのうち二つは地理的な機能の入手性に関するものである。Apple TV アプリは今や Brazil と Mexico で入手可で、そして Siri は今や Brazil でポルトガル語 も理解する。

唯一の実際の改善は第四世代 Apple TV のためで、これによりビデオをオリジナルのフレームレートで再生出来る様になる。これ迄は、この機能は Apple TV 4K だけに限られていた。Apple はこのことを別のサポートノートで取り上げており、次の様に言っている:

Apple TV (第四世代) は HD で最高の視聴体験を得られるよう意図されている。最新の tvOS を使えば、Apple TV (第四世代) の画面フォーマットを見ているコンテンツのフレームレートと合致するよう設定することが可能になる。

tvOS 11.3 にも 13 のセキュリティ修正が含まれる。

このアップデートは Apple TV 及び Apple TV 4K に Settings > System > Software Updates > Update Software 経由でインストール出来る。

HomePod 11.3

HomePod が出荷された時ファームウェアは 11.2.5 であったが、これは当時の iOS バージョンと一致していたので、最初のアップデートが iOS と歩調を合わせて 11.3 になったのも特に驚くことではないのかもしれない。驚きだったのは、そのアップデートが 2.36 GB ととてつもなく大きいことであった。一方で、そのリリースノートでは、"安定性と品質のための全般的な改善" が含まれるとしか言っていない。

理論上は、HomePod 11.3 ファームウェアを手動でインストールする必要はないはずであるが、どうしてもと言うのであれば、Apple はやり方を載せている。簡単に言えば、HomePod と同じ Apple ID にサインインした iOS 機器上で Home アプリを開く。Home タブが選択された時、左上隅にある Add and Edit Homes button 矢印ボタンをタップする。このボタンは通常場所に関係するものを示唆している - いいえ、なぜ Apple がこのボタンと結びつけたのかは我々にも分からない。それから Software Update をタップし Install へと移行する。

意外にも、そのアップデートの大きさにも拘らず、それは、Apple Watch とは異なり、結構素早くインストールされた。

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Photo by Julio Ojeda-Zapata

文: Adam Engst   訳: 亀岡孝仁   27 March 2018

Apple、Apple Pencil 対応の第六世代 9.7-inch iPad を発表

今日開かれた同社の教育に焦点を当てたイベントで、Apple の VP of Product Marketing Greg "Joz" Joswiak は、新しい 9.7-inch iPad を紹介した。これは、より高速の A10 Fusion チップを搭載し、$99 の Apple Pencil もサポートする。これは既に Apple から直接入手可となっている。

この第六世代 iPad は、これまでの第五世代 iPad と同じ物理的寸法と色 - シルバー、ゴールド、そしてスペースグレイ - を維持しているので、ケースや付属品との互換性の問題は無いはずである。これには 32 GB と 128 GB のモデルがあり、Wi-Fi だけのものと、Wi-Fi とセルラー能力を持ったものがある。値段も同じままで、32 GB は $329 からである。ストレージを 128 GB に増やすと $100 の増加となり、セルラーは $130 の追加となる。この第六世代 iPad に対する教育向け価格は $299 からで、Apple Pencil は学校に対しては $89 だと報じられている。

第六世代 iPad で一番目につく変更は、Apple Pencil に対するサポートで、このために iPad の Retina 画面内に高解像度のタッチセンサーが必要となっている。Apple はまた手のひら拒絶技術を組み込んでいるので、絵を描いたり、字を書いたりする時に iPad の画面に手を乗せても構わない。教育のために、Apple Pencil は色々な有用なやりとり方法を可能にさせてくれるであろうから、この新しいサポートはとても歓迎されるが、Apple はまた、これ迄は最低でも $649 はする iPad Pro と $99 の Apple Pencil はとても買えなかった生徒以外の人達にも船いっぱいの Apple Pencil を売ることになるのであろう。

Apple Pencil の所有者は、Apple が iWork に付け加えた新しい Apple Pencil 関連の能力を歓迎するであろう。Pages, Numbers, そして Keynote のユーザーは、今やこれらのアプリに直接描いたり書いたり出来。そして Smart Annotation 機能は、Apple Pencil で作られたコメントや校正記号をその下のテキストに固定してくれる。

Apple はまた、教育における AR - augmented reality (拡張現実) - の役割についても大騒ぎしており、第六世代 iPad はそのより強化された A10 Fusion チップと埋込の M10 プロセッサのお陰で (前モデルでは A9 と M9 コプロセッサ) 夢中になる体験を提供するに必要な力を備えていると言っている。

第六世代 iPad のカメラの基本仕様は変わっていない:8-megapixel の背面カメラは 1080p HD ビデオの録画が可能で、前面カメラは 1.2-megapixel の FaceTime HD カメラとなっている。しかしながら、この新しいモデルの追加の処理力は、Live Photos を撮ることを可能にし、そして、顔と人体両方の検出を提供するのに間違いなく一役買っている。そして、第六世代 iPad で新しくなったものは Retina Flash に対するサポートである。これは、自画撮りをする時に画面全体を巨大なフラッシュと化する。

第六世代 iPad 仕様から明らかに抜けているのは Smart Connector で、これは Apple の Smart Keyboard を使うためには必要なものである。Apple はおそらくその様なサポートを加えることは 10.5-inch iPad Pro を共食いする恐れがあると感じたであろうし、それにそうすることで値上げも避けられない可能性もあったであろう。いずれにしろ、これは残念なことであり、この第六世代 iPad を採用する学校は、実際に書く必要の出る高学年の生徒のために、何らかの Bluetooth キーボード解を用意せざるを得ない事態に追い込まれる。それに、正直に言えば、教育の場面に使われる iPad はどんなものでも、しっかりしたケースが必要である。

もし第四世代 iPad かそれ以前のものを入れ替えようと待っていたのであれば、この第六世代 iPad は iPad ラインに対する文句なしのアップデートと映るかもしれない。しかしながら、iPad Air, iPad Air 2, 或いは以前の第五世代 iPad を持っている人達にとっては、この性能向上はそれだけでアップグレードを正当化するに十分とは行かないであろう。例外は、Apple Pencil を使いたいが、iPad Pro にまで一気に跳躍するのはとてもと思ってきた人達であろう。

この教育イベントの中で、Apple はまた Logitech からの教育市場限定の二つの製品も発表した。Logitech Crayon は $49 のスタイラスで、これは最初の MFI 認定の iPad 用スタイラスである。これは Bluetooth 経由でペア付けされる必要はないので、何時でもどんな iPad とも働くが (教室内を巡回する先生を思い浮かべられたし)、その選択のせいで圧力感知性は備えていない。Logitech の Rugged Combo 2 キーボードケースは Smart Connector の欠如に対する回答でもある。事実、それには独自の特製コネクタが付いてくるので、キーボードは取り外せる。

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文: Josh Centers 訳: 亀岡孝仁 27 March 2018

iWork アプリ Apple Pencil をサポート、Pages は Ebook 作成機能を入手

コンテンツ制作に Apple の iWork スイートに依存している人達には良い知らせがある:同社は再度これらアプリに注意を払い、Apple Pencil サポート、本の作成、その他の気の利いたものを付け加えた。macOS, iOS, そして iCloud 用のアップデートはいずれも入手可となっている。

(Michael Cohen と Sharon Zardetto にはお悔やみ申し上げる。彼ら勤勉な二人は “Take Control of Pages” と “Take Control of Numbers をアップデートしたばかりなのだ。お気の毒にも、また直ぐ机に向かわねばならないはめになりそうである。)

Take Control of Pages Take Control of Numbers

まず最初に、三つの iWork アプリ全てが - Pages, Numbers, そして Keynote - iPad 上での Apple Pencil サポートを手にした。これらの書類上に直接描き、素描し、そして書くことが出来、さらに Apple の新しい Smart Annotation 機能を使って注釈付けすることも出来る。この機能は現時点ではベータ版である。Apple 曰く:"スマート注釈を使用すると、コメントや校正がテキストに動的に付加されます。ユーザがフィードバックを取り入れて文書を変更しても、元のテキストに追加されたアノテーションは連動してテキストの同じ位置に残ります。"

長いこと無視されてきた iBooks Author はインクが切れかかっているかもしれないが、Apple は電子本作成を完全に諦めたわけでは無く、Pages for macOS, iOS, そして Pages for iCloud に電子本作成機能を更に付け加えた。("iBooks Author Conference の焦点は iBooks エコシステムの懸念" 24 October 2017 で、Apple は出版について断念したのではないかとの懸念に対する討論が見られる。) テンプレートを使って本の作成を始め、そしてそこに独自の挿絵や他のメディアを追加出来る。本の執筆段階で、他の人と協力しての作業も出来る。

Michael Cohen がかつて私に話してくれたことによると、Pages の能力は今でも iBooks Author に比べ遥かに劣るという。iBooks Author は App Store で今でも入手可である。事実、iMore の Serenity Caldwell によれば、Apple は、外見的には関心をなくしている様に見えるが、今でも積極的に iBooks Author の開発を続けていると言っているという。iBooks Author を超える Pages の長所を一つ我々は知っている:iBooks を執筆する時の共同作業である。

Apple はまた Pages for iOS にちょっと気の利いた小さなものも滑り込ませた。最も興味深いのは、新しい Presenter モードで、これは iPad や iPhone を、目立たずに読み上げられるテレプロンプターに変えさせてくれる。これは、ワードプロセッサには奇妙な機能だが、とても役立ちそうに聞こえる - 我々としては、この機能が次のバージョンの iBooks にも現れることを願いたい。

他に新しくなったものに、iWork アプリの中での実時間共同作業との Box 統合がある。これは、Box ファイル共有サービス上の iWork ファイルでの共同作業を可能にする。これ迄は、これらの機能は iCloud に保存された書類でしか使えなかった。

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Photo by Julio Ojeda-Zapata

Julio Ojeda-Zapata   訳: 清水 史彦   28 March 2018

Apple、教育戦略で Google に反撃

今や、教室では Google が支配的勢力になっているため、Apple が、2018 年3 月 27 日に、Chicago の Lane Tech College Preparatory School で、教育に焦点を当てた報道機関向けのイベントを開催したのは良いタイミングであった。

iPad は、当初、教室のコンピュータとしての有望性を示したが、その後、Web 中心の学校向けラップトップである Chromebook に大きく遅れを取った。Chromebook は、管理が簡単で、典型的には、iPad よりも安価である。

したがって、教育における iPad の存在感は衰えてしまった。幼稚園から高校 3 年生までを相手にする市場において、2017 年の第 3 四半期には、Chromebook がモバイル・コンピュータの出荷の約 60% を占めた2015 年の50%、2014 年の 38% からの増加である。これに対して、iOS デバイスは、2017 年の第 3 四半期で 14.3% であり、2015 年の 19%、2014 年の 26% からの低下であった。

Apple が教育において落ち込むに至ったのは、ハードウェアだけではない。Google は、例えば、同社の Web ベースの G Suite 生産性向上アプリや、教師や IT 管理者向けのクラウド・ベースのツールのようなオンライン・ツールで、学区から忠誠心を勝ち取っている。

Apple は対応が必要だった。そして、今週実行した。Apple Pencil をサポートする新型 iPad と ("Apple、Apple Pencil 対応の第六世代 9.7-inch iPad を発表" 2018 年 3 月 27 日参照) と、iPad 用の iWork アプリのアップデート・バージョン ("iWork アプリ Apple Pencil をサポート、Pages は Ebook 作成機能を入手" 2018 年 3 月 27 日参照) の発表に加えて、Appleは、教育者の心をつかむことを意図して、教育に焦点を絞った戦略を連発した。

電子ブック出版

2010 年に iPad が登場して以来、Apple は、タブレット・ベースのインタラクティブな教科書を重要視してきた。Apple は、2012 年に、電子教科書革命の口火を切ろうとさえした。その時、Apple は、別の教育関連の報道機関向けイベントで、iPad 教科書作成用の Mac ベースの iBooks Author アプリを発表したのだ ("Apple、学校に戻る: iBooks 2、iBooks Author と iTunes U" 2012 年 1 月 19 日参照)。

それから、奇妙なことに、Apple の教科書戦略は失速した。Score Publishing の Bradley Metrock のような出版業界のオブザーバーは、Apple が、いかにiBooks Author を定期的にアップデートせず、あるいはまた、デジタル教科書に対する情熱を公に示すことさえしなかったかについて嘆いてきた。("iBooks Author Conference の焦点は iBooks エコシステムの懸念" 2017 年10 月 24 日参照) その上、iPad 教科書が、うーむ、iPad 上で作成できないというのは、相変わらず奇妙に思われた。

今や、Apple は、教科書を再び喧伝している ... ちょっと捻りを入れて。iBooks Author アプリが引退する予定はない (少なくとも今のところは) が、Apple は、本の執筆と出版機能を Mac および iPad 用の Pages アプリ内に構築することによって、取り組みを並行して立ち上げている。このアプリは、ポピュラーな EPUB 電子ブック・フォーマットでのエクスポートが既に可能であったが、Apple は、本をデザインする機能を追加で加えている。

Apple の Product Marketing 担当副社長である Greg Joswiak は、Pages のアップデートは、新鮮なテンプレートと、自分で作ったイラストを加えたいと思っている人たちのために、Apple Pencil のサポートも加えて、教師の電子ブック作成の情熱を掻き立てることを意図していると述べた。Pagesには、本を作成する企画で、グループで作業したいと思っている教育者や生徒のために、リアルタイムのコラボレーション機能も取り入れられている。これは、iBooks Author が最初に発表された時に、TidBITS の記事でAdam Engst が言及したように、iBooks Author では不可能であった機能だ。

Pages に電子ブック出版機能が追加されたのは歓迎すべきことであるが、このアプリは、Mac アプリである iBooks Author の高度な執筆ならびに本作成機能の多くが、まさに欠けているため、iBooks Author を完全に置き換えるには程遠い。その上、Pages の本のプロジェクト・ファイルは、iBooks Author で開くこともできない。これに対して、iBooks Author は、Pages のファイルを iBooks Author プロジェクトに、章としてインポートすることができる。そして、Pages からエクスポートされた EPUB に基づいて、新しいプロジェクトを作成することもできる。

Apple Schoolwork

Apple は、教師が、授業計画を掌握するのを手助けするために、Schoolwork という名の全く新しい教育者向けアプリを発表した。

教師が、生徒のプリントを作ったり、子供たちの宿題を管理したり、生徒に文書や Web ベースの教材に注意を向けさせたり、生徒に社会見学について思い出させたりといったようなことを行うためのクラウド・ベースの作業空間として、このアプリは機能する。

Apple にとっては当然のことながら、これにはアプリとしての側面もある。教師は、生徒たちをさまざまな教育アプリに向けさせることができる。教師は、こうしたアプリ内の特定の活動に子供たちを取り組ませながら、子供たちの進歩をモニタリングする (全て Schoolwork 内で) ことさえ可能だ。

そうしたアプリと Schoolwork との統合は、自動的ではない。Apple は、さらにもう一つ、教育アプリを然るべく調整するための開発の枠組みである ClassKit も発表した。Classkit も、Schoolwork への対応が既に成されている多くの教育アプリに向けられていた。

Schoolwork は、Classroom と呼ばれる Google のサービスに対して、直接競合するものとして位置付けられている。Classroom によって、教育者は、カリキュラムを作成したり、生徒に宿題を配布したち、生徒や保護者とコミュニケーションを取ったり、教室のプログラムにアプリを取り入れたり、といったようなことを行うことができる。

Apple の Schoolwork がクラウド・ベースの性質を持っているということは、ここで重要なポイントだ。と言うのは、Google の Classroom は、Google が行なっているほぼ全てのサービスと同様に、Web ベースのサービスだからだ。

Schoolwork は、2018 年 6 月に登場する予定だ。

Apple School Manager

教室の iPad の一団を管理することは、従来より課題であった。こういう訳で、学区は、Minneapolis に拠点を持つ Jamf のような会社にしばしば頼っていた。Jamf は、Appleデバイスの大量導入を実施ならびに監督することに特化している。実際、Jamf は、macOS 10.13.4、iOS 11.3、そして、tvOS 11.3 の近々行われるリリースに対して、早期のサポートをちょうど発表したところだ。

ここは、Apple に打撃を与えるための穴を、Google が見つけた場所である。Chromebook の導入は、比較的容易に実行することができる。その上、教室でChromebook を共有して使用するのは容易だ。なぜなら、どの生徒も、任意のChromebook にログインし、作業を始めることができるからだ。そのための全てのものは、まさにそこにある。それに比べて、学校における iPad の各ユーザーの ID は、従来からある特定のマシンに紐づけられていて、このために、柔軟性が乏しくなっている。

今や、Apple School Manager と呼ばれる教室関連テクノロジーのアップデートによって、Apple は、iPad の導入が頭痛の種でなくなることを狙っている。

学校の IT 管理者は、今や、生徒のアカウントを集団で、はるかに容易に作成することができるようになる。実際、こうした管理者は、1500 人の生徒の Apple ID を 1 分もしないで作成することができると、Joswiak は自慢した。

さらに、Apple は、Shared iPad と呼ばれる機能で、iPad が教室内で概ね交換可能となるようにすることによって、Chromebook の機能を直接追いかけている。Joswiak は、Apple School Manager によって、今や、「生徒はどの iPad を取り上げてもよく、ログインするために自分の名前をタイプし、そして、iPad を自分専用にすることができる。自分自身のアプリと本が全て準備されているのだ。」と述べた。

Apple (オンライン・ストレージに関しては、従来より少々しみったれている)は、Apple School Manager で登録された生徒全員が、5 GB から増加して、今や、200 GB の iCloud ストレージを持つことになるという発表も行った。(将来のある時点で、一般の人たちも、同様にストレージのアップグレードが見込まれるのかどうかについては、何の言及もない。)

Apple Classroom

以前から存在する Apple のもう一つの学校システム (Classroom と呼ばれる)は、生徒が iPad をどのように使っているかを把握したいと思う教師にとって、恩恵であった。

「先生方は、これをとても気に入っている。」と、Joswiak は述べた。「なぜなら、先生方は、これを使って生徒を指導することができ、生徒を課題に集中させることができるからだ。」

例えば、教師は、自分たちの生徒の誰であれ、iPad で何をしているか覗き見したり、グループ・レッスンのガイダンスを提供したり、授業の資料を配布したり、生徒のパスワードをリセットしたり、そして、アプリ、本、あるいは、Web サイトを、多数のタブレットで同時に立ち上げたりすることができる。

今までは、教師は、これを iPad 上でやらなければならなかった。だが、今回のイベントで、Apple は、Apple のラップトップで教室を運営している莫大な数の教育者に応じて、Mac ベース版の Classroom を発表した。

Mac 用 Classroom は、2018 年 6 月に、ベータ版でリリースされる予定である。

その他の発表

Apple は、教室での iPad の使用に結び付く他の多くの教育関連の発表を行った。

これで十分か?

Google は、教育市場において、60% ものシェアを維持しているので、問題は、ここで概要を述べた Apple の教育に関する発表が、第 6 世代のiPad とその Apple Pencil のサポートも含めて、Google の優勢に対して切り込むのに十分かどうかということだ。

今日発表された全ては、その方向への良い動きだ。

Schoolwork は、その答えの中で、一つの大きなピースだ。と言うのは、これは、既存の多くの機能を、教師が実際に使える形で結びつけるからだ。Appleは、Google の Classroom に対する良い代替手段を必要としているのだ。

長いこと悩んでいた IT 管理者も、より堅牢な iPad 導入ツールの形で、良いものを手にしている。これは、重要だ。なぜなら、Chromebooks は、相対的に、集団で管理するのが容易だったからだ。

また、肝心なのは、Apple Teacher プログラムのようなものだ。なぜなら、学区がテクノロジーの大規模な導入を考える際に、唯一の観点は、あらゆるレベルの教師が利用できるトレーニングがあるかどうかだからだ。

だが、私たちは教育者ではなく、関係のある親として、幼稚園から高校3 年生までの技術プログラムを見てきたに過ぎない。なので、私たちは、この問題を教育界で働いている方々に投げかけたいと思う。Apple の発表は、潮流を Google から反転させるのに十分であろうか?

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文: Adam Engst   訳: Mark Nagata   02 April 2018

TidBITS の 2018 年版基盤構造について皆さんが知っているべきこと

ついに公開できた! 何年間も計画を練り、何ヵ月間もかかって私たちチームの開発担当者 Eli Van Zoeren と共に開発作業を続けてきた成果を、ようやく皆さんにお披露目できて嬉しい。これが私たちの新しいインターネット基盤だ。もしもあなたがこの記事を電子メールで読んでおられるなら、どうかまずはぜひ、私たちの新しい TidBITS ウェブサイトを訪ねて、あちこちクリックして、いろいろなページを皆さんの目で見て確かめて頂きたい。過去 28 年分のすべての TidBITS 記事と皆さんが書き込まれたすべてのコメントが、そこにある。

この記事では、この新しいシステムのさまざまな側面について、少し詳しく説明させて頂きたいと思う。今から 10 年近く前に Glenn Fleishman が TidBITS のために手作りしてくれた従来のシステムとは、あまりにも異なる点が多いからだ。そう、私たちの自家製システムはそれほど長く働き続けてくれたのだ。

もちろん、大多数のことは以前より良くなっている。でも、いくつかの機能は、あまりにも分かりにくい、ほとんど使われていない、あるいは実装し直すのがあまりにも困難などの理由で、別れを告げざるを得なかった。また、今はまだ棚上げになっているものもいくつかある。例えば、iOS 用の TidBITS News アプリは現時点では動作しない。WordPress が出力する RSS フィードが従来とは大きく異なるフォーマットのものだからだ。私たちが何とかフィードを作り直して動作するようにするか、あるいは Matt Neuburg に頼んで新しいフィードに対応するアプリを作り直してもらうか、どちらかにしたいと思っている。

ログインする

まず第一に、これまで電子メールで TidBITS を受け取ってこられた方々には、既に電子メールをお送りして、私たちのサイトで新しいパスワードを設定してログインすることをお勧めしてある。記事“TidBITS の次世代インフラでアカウントはどのように機能するのか”(2018 年 3 月 25 日) にも書いたように、パスワードはハッカーからの攻撃に耐えられるよう暗号化してあるので、移行させるのが不可能だからだ。

その電子メールメッセージを受け取って、パスワードを変更するためにいくつかクリックしていくと、システムはあなたの電子メールアドレス (複数個のアドレスをお持ちの方の場合には TidBITS を受け取りたいアドレス) を尋ね、それからパスワードをリセットするためのリンクをそのアドレスに宛てた電子メールでお送りする。あなたがそのリンクをロードすると、私たちのサイトは強力なパスワードを一つあなたのために提案する。あなたはそれをそのまま使ってもよいし、新たなパスワードを生成してもよい。いずれにしても、パスワードは 1PasswordLastPass のようなパスワードマネージャに保存しておくことを強くお勧めする。パスワードを設定したら、ログインして頂きたい。

そんな電子メールメッセージなど受け取っていないという方、あるいは手動でパスワードをリセットしたい方は、サイトの右上隅にある Log In をクリックしてから、Forgot Password をクリックし、電子メールアドレスを入力すれば上記と同様にパスワードを受け取る手順を辿ることができる。

さて、いったんログインすれば、手動でログアウトするまではずっとログインしたままの状態になるはずだ。

TidBITS 会員

今回の移行が可能になったのも、TidBITS 会員の皆さんが財政的に支えてくださっているお陰だ。現代的なウェブデザイン開発には費用がかかるもので、私たちのサイトを作るのにかかったコストは、小型の自動車を1台買える程度のものだと思ってもらえばよいだろう。今回の移行に備えて私たちは何年も前から節約に努めてきたし、これからもサーバの費用を払い、著者たちに支払いをし、従業員たちの家の食卓に食べ物があるようにして行くために、引き続き私たちは皆さんの支援を必要としている。

このことをここで強調したのは、移行に伴って私たちにとって恐ろしい変化を受け入れねばならなかったからだ。それは、支払処理のため従来利用していた eSellerate での会員資格自動更新の設定を、いったんキャンセルしなければならないと分かったからだ。eSellerate はもう何年も前からメンテナンス・モードにあったので、それに代わる新しいシステムに切り替えるべきだと私たちは感じていた。新しい支払処理システムになって、すべての会員が最初の期限日に際し手動で会員更新の手続きをする必要がある。ただ、その時点で自動更新を希望すれば、もう一度自動更新のサインアップをして頂くことはできる。

新しいシステムでは WordPress の Paid Memberships Pro プラグインが管理を担い、実際の支払処理には Stripe を使う。皆さんにとって支払いの手順が従来よりも手早く簡単にできるのではないかと期待している。会員が TidBITS アカウントにログインすれば (この場合にも、パスワードの暗号化は片道通行なので、新しいパスワードのリクエストを出して頂かねばならない)、ご自分の会員期限日を見ることができ、更新や会員レベルの変更手続きも簡単にできる。更新時期が近づけば、Paid Memberships Pro からあなた宛てにお知らせの電子メールが届く。

従来と同様に、会員特典を享受するにはログインした状態にあることが必要だ。例えば Mac 用アプリを割引価格で購入できたり、サイトを有料バナー広告なしで見られたりといったことだ。フルテキストの RSS フィードを得るには、ログインしてからページの一番上にある Account リンクをクリックする。アカウントページの一番下に、あなたのためにパーソナライズされたフルテキスト RSS フィードのリンクがある。

ウェブサイトのデザイン

時とともに、ウェブデザインは驚くほどに大きな変化を遂げる。私たちが従来のサイトをデザインした時には、素晴らしく格好良くて現代的に感じられたものだ。けれども今や私の印象では、暗くて、小さくて、ごちゃごちゃしているとしか言いようがない。こんなに古いデザインがあまりにも長く留まり過ぎたので、40歳台半ばに達した私が老眼を自覚し始めた頃には、ウェブブラウザで文字サイズを一段階大きくしなければ全然読めないようになってしまった。

ご覧の通り、今回私たちは以前よりずっとクリーンなレイアウトを目指した。ページの白い部分を多くして、読みやすさを高めた。ナビゲーション要素や、コンソール風のグラフィカルな飾り付けを大幅に減らして、最も重要なもの、すなわちコンテンツそのものに焦点を当てるように努めた。

ホームページの一番上にある、新しいロゴの文字に皆さんもお気付きだろうと思う。Denver に本拠を置くデザイン会社 FUNISOK の才気溢れる Geoff Allen の手でデザインされたこのロゴは、Avant Garde フォントをもとにして作られているが、Geoff は文字一つ一つに手を加えてくれていて、例えば最初の T の文字の水平線は次の文字 i の点の部分に食い込むようになっていて、この点の部分は Apple ロゴの葉っぱの部分を思い起こすよう意図して図案化されている。それぞれの文字の縁には鋭い部分と丸くなった部分とがあり、それらがうまく相互作用して流れるような印象を与える。そして BITS の部分は深く豊かな紫色を使って Tid の部分と区別し、それでいて葉っぱの部分の色が両者を結び付ける働きをする。あともう一つ、新しい四角いファビコンにお気付きになっただろうか。ここにも、黒い T と紫の B が結び付いている。

このサイトでは、見出しの文字にも本文のテキストにも Proxima Nova フォントを使う。Proxima Nova は最近非常に人気のあるフォントのようだが、私が最近気に入っている Avenir Next フォントを検討する過程の中で私たちはこれに行き着いた。(Avenir Next は簡単にはライセンスを得られなかった。) サンセリフの Proxima Nova に加えて何かセリフ付きフォントも組み合わせようといろいろ試してみたが、私たちの気に入る結果は得られなかった。残念ながら、電子メールにおける制約の結果として、電子メール版の週刊号や、会員の皆さんに (記事が出版され次第すぐに) お送りする個々の記事の電子メール配布では、Proxima Nova フォントを使うことができない。

ナビゲーション

ページの一番上のところに、最も重要なリンクやいくつかのコントロールがまとめられている。左上隅に検索フィールドがあり、右上隅にはログイン用のリンク、また既にログイン済みの状態では Account リンクも表示されて、そこからあなたの会員情報や、電子メールアドレス、その他のことをチェックしたり変更したりできる。

私たちの従来のサイトではサイドバーを使ったナビゲーションのために大きな面積を取られていたけれども、ウェブの使用統計を調べてみるとサイドバーのカテゴリー部分を使ってナビゲーションしていた人はほとんどいなかった。そこで、カテゴリー分けの部分はページの一番上のメニューの中に片付けることにした。ページの一番上に、四つのメニューが並んでいる:

ページの一番下のところには、管理に関係するいろいろなページへのリンクが集めてある。大して興味深いものではないが、その種の情報を求めている人はどうぞここをご覧頂きたい。

見出しページ

私たちのサイトにはページの主要なタイプが二つある。見出しページと、記事ページだ。見出しページとしては、ホームページ、カテゴリーページ、週刊号ページ、シリーズ記事ページ、それに検索結果ページがある。これらのページはいずれも、記事のリストを表示する。記事は日付の順に並べられ、それぞれの記事項目ごとに短い要約が付く。一つの見出し項目をクリックすれば、その記事そのもののページが開く。

見出しページにある個々の項目には、いくつかのメタデータも表示される。その記事の著者名、日付、寄せられたコメントの数、さらにその記事のオーディオ版が存在する場合には Listen リンクも付く。著者名をクリックすると、その著者が書いた記事のリストが開く。また、コメント数のところをクリックすると、その記事のページの一番下のところが開いてコメントが読める。

一番上の近くにリストされた記事のいくつかの隣に、紫色の星印があることに気付かれるだろう。これは、その記事が "sticky" の状態であること、つまり日付順を無視してサイトの一番上近くに置かれるようになっていることを示す。内容が重要な記事については、それより後にあまり重要でない内容の記事がいくら出ても、それらより目立つ場所に置いておきたいからだ。

TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

ホームページ上の二ヵ所に、つまり 3 番目の記事の下と、12 番目の記事の下に、それぞれアプリのアイコンが 6 個並んでいるのが見えるだろう。そのアイコンのどれかをクリックすれば、そのアプリの最近のアップデートを紹介する Watchlist (TidBITS 監視リスト) 記事が開く。

前回の読者アンケートで Watchlist 記事に非常に人気があることが分かって、私たちはびっくりした。けれども Watchlist 記事は毎週かなりの数のアプリを紹介しているので、普通の記事と同等に扱っては記事リストの混雑が増すだけだろうと考え、このようにアプリのアイコンを使って表示することにした。アイコンが並ぶことでページ全体のビジュアルのアクセントにもなるし、率直に言ってしまえば、私たちが気に入って使っている Mac 用アプリが多くの人たちの目に触れられる役にも立つだろうと思う。

広告やその他もろもろ

このサイトでも、引き続き広告は使う。ただし、広告が表示されるのは二つの場所のみだ。多くの見出しページの中で、記事項目数個おきに広告が表示され、個々の記事ページの一番終わりのところにも広告が表示される。けれども、私たちは自分たちの手で広告に多少の楽しみを加えようと決めた。従来のサイトでは、Google AdSense を通して表示される広告の内容があまりにもランダムなことに嫌気が差していたからだ。

まず第一に、すべての広告は私たちのサイトでローカルにホストされ提供される。つまり、広告にはいかなる種類のトラッカーも付随していない。私たちはインターネット上に蔓延する広告追跡に対して怒りを感じている。不必要にプライバシーを侵害するのみならず、結局のところ良い広告を提供する役に立っていないからだ。(私たちのサイトで使用するオフサイトの JavaScript はたった一つ、サイト統計のために私たちが使う Google Analytics のみだ。)

第二に、どの広告が表示されるかに関して私たちの手による制御がより多く及ぶようにしている。私たちのスポンサー企業 (Smile と Backblaze) のバナー広告があり、MacTech Pro イベントや ACEs Conference も TidBITS がメディアスポンサーを務めている (特に Apple プロフェッショナルの皆さんには素晴らしく役に立つイベントなのでお薦めしたい) のでバナー広告がある。それから、私たちの友人である Take Control 著者たちを援助する意味でも (また Joe Kissell の手に引き継がれた Take Control が成功するのを見たいという気持ちからも)、Take Control の近刊書のバナー広告を出すようにしている。

けれどももっと興味深い試みとして、過去に書かれた素晴らしい TidBITS 記事を、それがアーカイブの奥深く埋もれてしまわないように願ってバナー広告で宣伝してみた。さらにもっと面白いことを探ろうと、Steve Jobs の名言を示したバナーも作ってある。今は忙しくてそこまで手が回らないが、いずれはそういった種類の広告以外のバナーもいろいろ作ってみたいと思う。

もう一つの目標は、インタラクティブなクイズを記したバナーを、Hype という HTML5 エディタ (これは Setapp 講読サービスを通じて利用できる) を使ってたくさん作ることだ。私たちはここ数年間の MacTech Conference の会場で Mac トリビア (雑学クイズ) ゲームの催しを主催してきたので、その種のクイズの蓄えを大量に持っている。皆さんにもきっと Mac の知識を楽しくテストする機会となれるだろう。

長々と説明してきたのは、一つには普段見過ごしがちなバナー広告に、少しは注意を向けて頂きたいと思ったからだ。ただし従来と同じく、TidBITS 会員の皆さんは Smile と Backblaze の有料広告を目にすることはない。

記事ページ

記事ページのスクリーンショットをここに入れる必要はないだろう。なぜなら、皆さんはきっと今この場で記事ページを読んでおられるからだ。ただ、記事ページにあるいくつかの要素について、ここで説明を加えておきたい。

ExtraBITS

長年、私たちは ExtraBITS と呼ぶものを書いてきた。これは、インターネット上のどこか他所にある記事について、要約や解釈を一つの段落にまとめて書いたものだ。従来のシステムでは特殊なデータフォーマットを使っていて、舞台裏で働く私たちにとって扱いにくい存在だった。文章にフォーマット付けができなかったし、リンクを付けることさえできなかったからだ。

新しいシステムでも、ExtraBITS というコンセプトを引き続き使うことを決めた。ただし、フォーマットをより柔軟なものにした。これからの ExtraBITS は他の短い記事と何ら変わるところはなく、文章のフォーマット付けやリンク付けも自由にできるが、ただ末尾に Read Original Article (元記事を読む) というリンクが付いているところだけが違う。電子メール号では、従来通り ExtraBITS を号の末尾にまとめて掲載する。

だから、ExtraBITS 項目と通常の短い TidBITS 記事との違いは、ExtraBITS 項目が他所にある記事を元にした文章であり、読者がその元記事を読んで下さることを前提とした紹介文であるという点だ。対照的に、通常の TidBITS 記事は長いものも短いものもすべて独立した記事であって、全体像を見るために何か他のものを読む必要があるということはない。

記事へのコメントと TidBITS Talk

記事に対する読者からのコメントは、従来とは大きく違ったやり方で処理される。従来のやり方は、軽量、手軽、階層的という特長があったが、その反面機能性がほとんどなくて、文章のフォーマット付けはできず、前のメッセージを引用することはほぼ不可能、画像の挿入はできず、リンクの挿入さえ往々にして問題を起こすというありさまだった。

そこで私たちは大幅に考え方を変えて、Discourse というオープンソースの討論システムを利用することにした。BoingBoing から Keyboard Maestro まで、数多くのサイトが Discourse を利用している。Stack Overflow ファミリーのサイトの背後にいる開発者が作成した Discourse は、驚くべき広範な機能を備えているが、パワフルな反面複雑過ぎるところもあるので、私たちとしてもこれをどのように設定すればユーザーの役に立つか検討している最中だ。

記事に対するコメントは、従来と同じくその記事のページの末尾に表示されるので手早く読める。ただし、議論に参加したいと思えば、何度かクリックしたあげくに Discourse サーバに移ることになる。技術的な理由から、このサーバは私たちのシステムとは全く違ったホストで動作する。ここでは、およそ考え得る限りありとあらゆるコメント機能が実現されている。このシステムを初めて訪れた人のために、その機能をガイド付きで説明するインタラクティブなツアーまで用意されている。

Discourse でもコメントを投稿するにはログインが必要だが、WordPress からのシングルサインオン機能に対応しているので、あなたがメインの TidBITS サイトにログインしていれば、Discourse はあなたをログイン済みと見なすか、または Log In ボタンを一回クリックするだけでログインできる状態にしてくれる。Discourse について、ここでこれ以上説明するのは止めておこう。私も、まだ Discourse の動作の仕組みを学んでいる最中だからだ。

私たちの従来のシステムと Discourse との間には一つ大きな違いがある。それは、Discourse がスレッドを使わないことだ。これは意図的にそうしているのであって、そこには深い哲学的な理由がある。私たちの従来のシステムはスレッドを使っていて、コメントを古い記事に結び付けた形で Discourse に読み込ませる実験が失敗に終わったので、仕方なく既存のコメントをすべて標準的な WordPress コメントとして読み込んでおいた。ここはネスト化が可能だからだ。少数だが、WordPress の中の古いコメントと Discourse に寄せられた新しいコメントが共存している記事がある。その結果として多少の混乱が生じることもあるが、今後新しい記事が登場するにつれて問題は消えるだろう。

最後にもう一つ、TidBITS Talk は 20 年の歴史を持つ討論用のメーリングリストだ。これも、今回 Discourse に移行する。Discourse では、討論をカテゴリーに分けておいて (TidBITS Talk もそのカテゴリーの一つとなる) 一つのカテゴリーをメーリングリストとして設定することができるので、ウェブ上にある Discourse のインターフェイスを利用したくない人も、電子メールだけを使って討論に参加できるようになる。TidBITS Talk 自体が Discourse の中でどう扱われるかはまだ時間がなくて詰めることができていないが、旧来の Mailman によるメーリングリストも今後数週間は稼動を続ける予定だ。

電子メール週刊号のデザインと変更点

もう一つの大きな変更点は、TidBITS の電子メール号を出版する方法に関することだ。従来のシステムは MySQL と sendmail を組み合わせた自家製のものであって、なかなかうまく働いたけれども、時折起こる配送可能性の問題を解決するために手こずらされることが多かった。そこで今回は、SendGrid サービスを利用することで、その作業の肩の荷を下ろすことにした。結果として、過活動のスパムフィルターに TidBITS の電子メール号が迷惑メールと判定されることも減ると期待している。

従来、私たちは四つの異なる版の TidBITS を電子メールで配布してきた。フルテキスト版と要約発表のみの短縮版とを、それぞれプレーンテキストフォーマットと HTML フォーマットで作ってきたからだ。正直言って結構面倒だったし、それに多くの読者からプレーンテキスト版はハード改行の入ったテキストなので iPhone で読むととても見にくいという苦情が頻繁に寄せらた。その上、HTML 版の方も極めて単純なコードしか使っていなかったので、現代的な電子メールクライアントで読むと必ずしもうまく表示されるとは限らなかった。

要約発表のみの短縮版の TidBITS を講読してこられた方にはあらかじめお詫びしたいが、私たちは今回すべてを単純化することに決め、電子メールで提供するのはたった一種類、フルテキスト HTML フォーマットの TidBITS のみにすることにした。その根拠は、電子メールで TidBITS を読みたいなら、全部を読んで頂きたいからだ。もともと従来のシステムでもフルテキスト版を講読される方々が圧倒的大多数だった。電子メール版を単にウェブサイトを読むためのリマインダーとしてのみ使っているという方は、電子メール号が届く度に冒頭にあるロゴ文字をクリックして下さればウェブサイトが開くし、下の方にある個々の記事の見出しをクリックしてもそのウェブサイトに移れる。

電子メール号の冒頭近くには、従来通りその号の目次があって、少なくとも理論的にはそこをクリックすればその記事のところまで自動的にスクロールするはずだ。ただし、電子メールクライアントによってはこの機能に対応していないものもあるので、ひょっとするとあなたのところでは働かないかもしれない。

電子メール号のフォーマットをこんな状況に合わせてもっとこうすれば良いという提案をお持ちならば、ぜひお聞かせ願いたい。

iPhone や iPad で読む

現在のところ、私たちのサイトのウェブトラフィックの 20% 以上がモバイルデバイスからのものだ。従来のサイトが iPhone で非常に見にくかったことを考えれば、これは驚くべき数字と言えるかもしれない。その上、モバイルデバイス上で見栄えの良くないサイトを検索結果から除外するために Google が積極的に働いているのだから。そういうわけで、今回のデザイン再設計の重要な目標の一つが、小さな画面でもスムーズにフォーマットを変えることのできる反応性の良いサイトを作ることであった。

今回の新しいサイトはこの条件を十分に満たしていると断言できることが、私はとても嬉しい。そのための開発作業は思った以上にテクニックを要するものだった。ページ要素のいくつかはスケール可能で、他のいくつかはそうでないからだ。例えば、Watchlist 項目を 6 個横一列に並べようと思っても iPhone 上では 2 個ずつ 3 列に並んでしまう。ここのところは、もう少し縮小することでせめて 3 個ずつ 2 列にしたいと思っている。

反応性の良いサイトにするための最大の難所はバナー広告であることが分かった。大きな画面上では 728×90 の leaderboard サイズを使っているのだが、縦置きの iPhone の画面では縮小されてとんでもなく読みにくいものになってしまう。私たちが見つけた解決策は、728×90 のバナーそれぞれに 320×100 (これもまた標準的な広告サイズだ) の代替バナーを作って、縦置きの iPhone 画面でも同様にインパクトのある見栄えを提供できるようにすることだった。CSS のメディアクエリーが、スクリーン横幅が 600 ピクセル以下である場合には自動的に大きなバナーの代わりに小さい方のバナーを出すようにする。

この交換は動的に起こるので、iPhone を縦置きにして TidBITS のホームページを開き、小さい方のバナーが出るのを見てから、iPhone を横置きに置き直すと、たちまち大きい方のバナーに入れ替わる。見ていてちょっと素敵だ。

iPhone を縦置きにするとページ最上部のメニューを置く余地がないので、その場合にはロゴの右側に ... ボタンを表示して、そこからメニューが出るようにした。驚くほどうまく働く。私としては iOS 用の TidBITS News アプリがもう一度働くようになって欲しいと願ってはいるけれども、iPhone 上の Safari でも私たちのサイトがあまりにも良くなったので、美的理由のみから独立のアプリを必要とする理由は減ったのではないかという気もする。

オランダ語と日本語の翻訳版

毎週の TidBITS の号をオランダ語日本語に翻訳している献身的なボランティアの人たちがいることに、ほとんどの皆さんは気付いてさえいないだろう。この二つの翻訳版は、従来とあまり変わらないはずだ。それぞれのウェブサイトは私たちの新しいサーバ上で運営されるが、それぞれ従来と同じく静的な HTML ファイルのままだ。

オランダ語版と日本語版それぞれのメーリングリストは、従来の Mailman から SendGrid へ移行する。おおむねシームレスに移行できるとは思っているが、この記事の執筆時点ではまだ実地に動き出していない。

建設的なご意見を歓迎します!

Eli と私はもう何ヵ月間もサイトの再設計のためにどっぷり嵌まり込んで働き続けてきたので、今回達成できた結果を見て私はとても幸せな気持ちでいる。そうは言っても、現時点でのサイトの姿が固定された最終形だとはこれっぽっちも思っていないし、読者の皆さんからの声を聞きつつ、また私たちが採用した新しいテクノロジーにもっと馴染めるようになりつつ、相応しい調整をこれからも加えて行きたい。

だから、どうぞ皆さんにも、建設的なコメントや提案を寄せて頂きたい。いつでも、私あてに電子メールを送ったり、Discourse の Site Feedback カテゴリーにコメントを投稿したり、あるいは SlackBITS#site-feedback チャンネルに投稿したりして頂ければと思う。TwitterFacebook も使うことは可能だが、正直言って、私としては、トラブルを抱えたビジネス実践に関する話題を独自仕様のサービスの上で議論するのはあまり気が進まない。

長年にわたって私たちを支えて下さるすべての皆さんに、あらためて感謝の気持ちを捧げたい。サイト設計が一段落した今は、最良のコンテンツを皆さんにお届けするためにもっと多くの時間を集中させられるのが楽しみだ!

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート


Agen Schmitz 訳: Mark Nagata 2 April 2018

iTunes 12.7.4

Apple が iTunes 12.7.4 をリリースして、Apple Music 用の新しいミュージックビデオ機能を開始した。Apple Music を講読している人は Browse コマンドで新しいミュージックビデオを発見でき、また Apple Music のビデオ用プレイリストを使ってビデオを次々に再生できる。iTunes についていつも言っていることだが、もしもこのアプリのインターフェイスや挙動で何か他の変化に気付かれたら、コメントに書き込んで教えて下さるとありがたい。(無料、直接ダウンロードでも Software Update 経由でも 272 MB、リリースノート、10.10.5+)


Agen Schmitz 訳: Mark Nagata 2 April 2018

セキュリティアップデート 2018-002 (Sierra および El Capitan)

Apple が macOS 10.12 Sierra10.11 El Capitan 用のセキュリティアップデートをリリースして、同社が 10.13.4 High Sierra で対処したと同じセキュリティ脆弱性 (2018 年 3 月 30 日の記事“macOS 10.13.4 High Sierra、Business Chat と外部 GPU サポートを追加”参照) をパッチした。これら二つの旧版オペレーティングシステムではまた、ディスクイメージをマウントするとアプリケーションが起動する場合があった論理の問題に対処し、アプリケーションに昇格した権限を取得させてしまうことがあった iCloud Drive の競合状態を解消し、アプリケーションにシステム権限を取得され任意のコードを実行される可能性があったメモリ破壊の問題点を修正している。(無料、10.12.6 Sierra 用は 779.6 MB、10.11.6 El Capitan 用は 869.6 MB、セキュリティコンテンツリリースノート)


Agen Schmitz 訳: Mark Nagata 31 March 2018

KeyCue 8.7

Ergonis がキーボード参照シートのユーティリティ KeyCue のバージョン 8.7 をリリースした。 今年リリースされる予定の KeyCue 9 に先立つ、最後の定期メンテナンス・リリースだ。今回のリリースでは yKey (従来の名前は iKey) のマクロショートカットを表示できるようになり、メニューのスキャン処理の最中に以前より高速のアニメーションを出すようになり、macOS 10.13 High Sierra のアップデートの際の見栄え上の問題 (ダウンロード進行状況ウィンドウがスクリーン上に長く残ってしまう) を修正し、Photos アプリでメニューのバックグラウンドスキャンに起こった問題を解消している。(新規購入 19.99 ユーロ、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、3.9 MB、リリースノート、10.6+)


Agen Schmitz 訳: Mark Nagata 31 March 2018

EagleFiler 1.8.3

C-Command Software が EagleFiler 1.8.3 をリリースした。この書類整理およびアーカイブ作成用アプリへの、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートではオープンソースのフィードリーダー Evergreen (作者は NetNewsWire で有名な Brent Simmons) で Capture キーが動作するようにし、Opera 51.0 のベータ版でもキャプチャできるようにし、遠隔画像付き HTML 電子メールメッセージを表示する際の反応性を良くし、添付ファイルの付いた Mail メッセージを読み込んだ際にあらかじめ展開された Zip ファイルとして保存するようにし、また数多くの細かなバグを修正している。(C-Command Software からも Mac App Store からも新規購入 $40、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、20.0 MB、リリースノート、10.6.8+)


Agen Schmitz 訳: Mark Nagata 31 March 2018

Moneydance 2017.7

The Infinite Kind が Moneydance 2017.7 をリリースして、この個人用財務マネージャに多数の改善やバグ修正を施した。今回のアップデートでは同期の際に Moneydance が前回のローカルな保存以後に起こった変更を再ダウンロードしてしまったバグを修正し、証券価格を読み込む際に QIF ファイル読み込みツールが証券の相対的基準通貨を使うようにし、自動アップデートの後に取引の証券価格を正しく換算するようにし、Fidelity Investments や Country Bank for Savings との接続の問題を解消し、また概要画面でサブアカウントを折り畳んだり広げたりした際の見栄え上の不具合を正している。(The Infinite Kind から新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 40 パーセント割引、無料アップデート、103 MB、リリースノート、10.7+)


Agen Schmitz 訳: Mark Nagata 31 March 2018

Airfoil 5.7.1 と Piezo 1.5.8

Rogue Amoeba が Airfoil 5.7.1Piezo 1.5.7 をリリースして、両者の中に同社がアップデートして Audio Capture Engine (ACE) というブランド名に変えたオーディオキャプチャ用コンポーネント (従来 Instant On と呼んでいたもの) を装備した。ACE はバージョン 9.0 にアップデートされていくつかの細かな修正や改善を含んでおり、Rogue Amoeba はこのコンポーネントを他の Mac アプリにもライセンス供与できるようにした。

Piezo 1.5.7 はこれ以外に、メッセージングアプリ Line での VoIP キャプチャにフル対応し、またすべてのバージョンの GoToMeeting (LogMeIn による新バージョンも含む) での VoIP 対応を更新している。このバージョン 1.5.7 をリリースしてから間もなく、Rogue Amoeba はバージョン 1.5.8 を出して Piezo が ACE をインストールできなかった深刻なバグを修正した。TidBITS 会員は Airfoil も Piezo も (また Fission や Audio Hijack など他の Rogue Amoeba アプリも) 20 パーセント割引で購入できる。(Airfoil は $29、13.6 MB、リリースノート。Piezo は $19、8.0 MB、リリースノート。いずれも無料アップデート、10.10+)


Agen Schmitz 訳: Mark Nagata 31 March 2018

Bookends 13.0.7

Sonny Software が Bookends 13.0.7 をリリースして、この文献参照管理ツールに Recently Viewed グループ機能を追加した。これは永続的グループであってあなたが閲覧した文献を降順に表示するが、アプリの環境設定を使ってあなたが参照先や PDF タブをクリックしてからそれがこのグループに追加されるまでの猶予時間幅を指定しておくこともできる。

今回のアップデートではまた、PubMed からいくらかのスタイル情報を伴ってメタデータを読み込めるようになり、PubMed 検索に変更を施して 500 件以上の参照項目を一度の検索で取り込めるようにし、ScienceDirect からの PDF 自動ダウンロード機能を更新して Elsevier が施した変更に対処し、Wi-Fi 同期を改良 (不明な添付ファイルを同期の度にチェックしないように) し、最終変更日付を決定する際に Cloud Sync タイムゾーンを標準化するようにし、また多数のバグを修正している。(新規購入 $59.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、46.9 MB、リリースノート、10.9+)


ExtraBITS


Adam Engst 訳: Mark Nagata 1 April 2018

Google、URL 短縮ツール goo.gl を撤収へ

Google が、同社が 2009 年から提供してきた Google URL Shortener について「対応を段階的に終了する」と発表した。ユーザーも開発者も、これを使って URL を goo.gl ドメイン内の短縮 URL に変換し、変換された URL を追跡することができていた。とりたてて特別なところのないツールではあったが、Google のいくつかのサービスに統合されていることで使いやすい面も過去にはあった。例えば、Google Maps の中の特定の地点へのリンクを短縮して誰かに送る際に使えた。

2018 年 4 月 13 日以後は、新規のユーザーが Google URL Shortener を使って短縮 URL を作成することができなくなる。過去に Google URL Shortener を使ったことのある人は 2019 年 3 月 30 日までに限り、つまりあと一年間ほど使い続けられる。それ以後は、既存の短縮 URL は引き続きリダイレクトされるけれども、Google analytics の解析を見たり、その他いかなる管理なども一切出来なくなる。

人気のある他の URL 短縮サービスとしては BitlyTinyURLis.gd などがある。他に特にお気に入りの URL 短縮サービスがあれば、どうぞコメントに書き込んで頂きたい。

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日本語版最終更新: 2018年 04月 07日 土曜日 , S. HOSOKAWA