AirPods はおそらく、私がここ近年で最も気に入っている Apple 製品だ。簡単に Apple デバイスと接続でき、充電の保持も良く、使っていてもバッテリーが長持ちし、音質もなかなか良く、ケースがかなり小さいのでいつもポケットに入れておける。それに、Bluetooth ワイヤレス標準を使っているので Apple 以外のデバイスでも使える。でも、Bluetooth オーディオに対応せず代わりに 3.5mm ヘッドフォンジャックを備えた機器に出くわすことは、今でもよくある。特に、飛行機の座席がそうだ!
この問題を解決するために TwelveSouth から出たのが、AirFly だ。これは AirPods のユーザーに直接狙いをつけた Bluetooth 送信器だが、Bluetooth ヘッドフォンならばどんなものでも使える。価格は $39.99 で、基本ユニットと、短い 3.5mm ケーブル、短い Micro-USB ケーブル、それとこれらすべてを入れておける小さなグレーの巾着袋が付く。AirFly 本体は高さ 1.8 インチ (46 mm)、横幅 1.3 インチ (33 mm)、厚さ .39 インチ (10 mm)、重量は .55 オンス (15.6 g) だ。言い替えれば、AirPods そのものとそれほど変わらないレベルの、大きさと重さだ。
AirFly の使い方はシンプルで、ボタンは一つしかない。ボタンを押してそのまま押さえ続け、ライトが点滅してペアリングモードに入るまで待つ。それから AirPods ケースの背面にあるボタンを押して押さえ続け、こちらもペアリングモードにする。いったん AirFly のライトが白く点灯した状態になれば、準備完了だ。AirFly を 3.5mm のオーディオ出力ジャックに接続すれば、そのオーディオがあなたの AirPods へ送信される。ペアリングが成立した後は、ボタンを押さえることで AirFly のオン・オフができる。(TwelveSouth が、使い方を実演したビデオを出している。)
この AirFly は、言われている通りにきちんと働く。私はいくつかのデバイスで使ってみたが、全般的に音質はなかなか良かった。TwelveSouth はバッテリー寿命 8 時間と宣伝しているが、まあだいたいそのくらい実際に使えたと思う。高温の自動車の車内でも、充電はちゃんと保持された。
しかしながら、いくつか難点もある。一つには、AirFly が AirPods の自動ペアリングの邪魔をすることがあるので、AirPods を iPhone やその他の Apple デバイスに繋ぎ直そうとする際にはまず AirFly をオフにしておかなければならない。ただ、これは短所というよりむしろ長所と言うべきで、もしもすべてがうまく行けば、単に AirFly をオンにするだけで AirPods が自動的にそちらに切り替わるはずだ。けれどもそれはすべてがうまく行けばという前提の下での話であって、実際には AirPods を AirFly にペアリングし直さなければならないことがよくある。
もう一つの難点は AirFly 自体のデザインに関することだ。どこに差し込んでも、AirFly 本体がそこからダラリとぶら下がる。飛行機の座席の機内エンターテインメントシステム (これが主たる使用事例だろう) で使う場合には大した問題とはならないけれども、Nintendo Switch でプレイしている場合にはこれがバンバンと手に当たるので邪魔なことこの上ない。TwelveSouth は、そのような場合にはマジックテープの留め具で AirFly を機器に固定するよう勧めている。でもそうすると手の近くに引っ掻きやすいものが常駐することになる。
(余談だが、私が AirFly を使って一番嬉しかったのは、妻と子供が一緒に寝ている寝室の中で、ドックさせた Nintendo Switch に AirPods を接続して使った夜だった。フルサウンドで Zelda をプレイしても、妻と子供を起こさずに済んだ。)
あともう一つ、AirFly で具合の悪いことが起こり得る点として、これが充電用に USB-C でなく Micro-USB ポートを使っていることがある。主たるターゲットが Apple ユーザー (MacBook Pro ラップトップなど USB-C で充電する他のデバイスを持っている可能性が高い) と Nintendo Switch プレイヤー (このコンソールは AirFly のホームページでも触れられており、これも USB-C で充電する) であることを考えれば、USB-C の方が適しているだろうにと思わざるを得ない。それに、USB-C 接続があれば、AirFly が他のもっと安価な (かつたぶんもっと機能の多い) 競合製品たち (例を挙げれば TaoTronics から出ている 2-in-1 送信器など) と一線を画す役に立つだろうにとも思う。普段から TwelveSouth が Apple に焦点を当てたアクセサリーを作る技に長けていることを思えば、ここで AirFly が汎用指向であることにちょっとがっかりしてしまう。
でも、もしもあなたが AirPods のファンなら、旅行用鞄に AirFly のようなデバイスを入れておくのも悪くない。手軽に使えて、バッテリー寿命もかなり良く、きちんと動作するのだから。そう、まさに AirPods と同じように。
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中古車はその履歴 (車歴) を調べずに買うべきでは無い。車歴を調べれば、事故にあったことがあるか、或いは大きな損傷を受けたことがあるかが分かる。また、車歴報告から、その車がどれ程良く整備されてきたかの様な重要なヒント迄与えてくれることもしばしばある。私は以前隣人からトラックを安く買う時に、車歴を調べる手間を省いて、結果的に、それは再生のポンコツ車で 3000 マイル走っただけで死んでしまったという失敗をしたことがある。
CarFax は車歴報告では代表的な存在であり、通常多くのディーラーはそのコピーを無償でくれるが、自分で払わなければならない場合には、結構高額となる - 1件につき $39.99 もする! (3件分だと $79.99、5件だと $99.99 となる。) それは、大きな投資をする前の賢いお金の使い方だとは言えるが、本格的に時間を費やす前に、悪い車は間引いておきたいというためだけだと、大きな出費と言える。Experian の AutoCheck は CarFax よりは格段に安く、報告1件で $24.99 で、25 件の報告だと $49.99 で済むが、Edmunds は CarFax は余分に払うだけの価値があると報じている。
私は、最近 SUV を買い換えたが、その時無料の車歴ツールを幾つか見つけた。そしてそれらのおかげで、早い段階で傷物を排除出来、CarFax 料金を大幅に節約出来た。車の購入を手助けすると謳う怪しげな Web サイトは沢山あるが、まともで有用なものが3つある。
無料の車歴サービス
最初に、これらのサービスを使うには、その車の車体番号、vehicle identification number (VIN)、が必要である。不幸にして、これには統一された標準は存在しないが、米国では、それは 17 桁の番号で運転者側のフロントガラスに近いダッシュ上に見つけられる。自動車ディーラーはその車のオンライン掲示の中で VIN を提供しているはずである (そして、無料の CarFax 又は AutoCheck 報告も)。もし個人で売りに出している人が VIN を載せていなければ、その売り手に質問すべきである。
必要最小限のものから始めよう:National Insurance Crime Bureau の無料の VINCheck で、これはその車が盗まれたものか、或いは廃車登録されたものかを告げるだけである。後者の場合、それは以前に修理では治せない程の事故にあったことがあることを示唆している。単純に VIN を入力して、その簡単な報告を入手する。
より内容豊富な車の報告は iSeeCars から出ている。これは価格情報に焦点を当てている - VIN を入力すると、製造者、モデル名、そして製造年を返してくる。報告の一番上には、その車の推定市場価格とその種の車が売れるまでどれぐらいかかるかが示される。下方にスクロールしていくと、売りに出ている同様の車との比較、減価償却、そして一番良い買い時すらをも見ることが出来る。
これらの無料のサービスの中で私が一番好きなのは Vehicle History である。何故ならば、それが CarFax や AutoCheck に一番似ているからである。結果を受け取る迄に画面を何枚かクリックして行かなければならないが、結果はかなり詳細である。例えば、Vehicle History は、私が見ていたミニバンは小さな事故にあっていたことを教えてくれた。私は、この車を買うことにはならなかったが、この報告は値段を下げさせる手助けにはなった (残念ながら、手が届く所までは行かなかった)。
しかしながら、Vehicle History の報告と CarFax からのものと較べてみたら、Vehicle History の報告には多くの抜け落ちがあることに気づいた。例を挙げると、上記の報告には買い手の履歴が含まれていないが、私はこの情報は重要だと思っている。Vehicle History の報告は、明らかな不良車を間引きするのには有用だが、これらの初期テストを通った車には CarFax を使うことをお勧めする。
オンラインでの中古車ショッピング
もし皆さんが、或いは皆さんの知人が中古車を買う必要があるのであれば、以下の手順でのオンラインでの絞り込み作業をお勧めする:
- 欲しいと思う車種に属する幾つかのモデルを選ぶ。私は、家族を乗せるために信頼できる車が欲しかったので、検索で絞り込みを繰り返しながら数種類のモデルに到達した:Honda Odyssey 及び Toyota Sienna ミニバン、そして Honda Pilot と Toyota Highlander SUV である。こだわりが強いこと自体は悪いことでは無いが、柔軟性が高い程、より良い物を見つけられる可能性は高くなる。
- 車を Craigslist, Facebook Marketplace, そして Cars.com で探す。我々は我々の車を Facebook グループで見つけた - 多くの地域で、地元の売買グループが Facebook 上にあり、素晴らしい情報源となる可能性がある。
- 候補となる車を幾つか集める。規律あるやり方は、表計算や DEVONthink の様なアプリを使うことであろうが、私の場合は、正直言うと、ブラウザウィンドウに沢山のタブを詰め込むことであった。
- 写真や記述をよく見て、基準以下に見えるものを落としていく。一度に沢山のものを見ると、その地域での市場価格はどんなものか大体見当がつくものだが、確信が持てない場合は、何時でも Kelley Blue Book で調べることが出来る。
- 候補車のリストをある程度絞り込めたら、今度は車歴を見てみる番である。私の場合は、通常 Vehicle History から始め、問題がなければ、それが盗難車でないことを確かめるため VINCheck を見て、それから iSeeCars に行って、その価格付けがどうかを見てみる。
- 最後は、CarFax の出番である。
CarFax 報告に何時お金を使うべきかは、微妙な問題である。もし車がディーラーから売られていて、CarFax や AutoCheck 報告が無料で彼らの Web サイトで提供されているのであれば、私なら他のものと一緒にそれも見てみるであろう。個人の売り手はその様な特典を提供していない場合が多いので、テスト運転をしてみる前か後で車歴報告にお金を払うかどうか決めなければならない。私はテスト運転をしてみるまで待ちたいと思う。何故ならば、私は何れにしてもそれを熟考してみる時間を持ちたいし、それに、自分の目で見て見たときに、Internet 検索では所詮発見できない欠陥、例えば、傷のある内装、悪臭、そしてサビの様な、を発見することがままあるからである。
この過程で、私は一つの報告が他の報告には示されていない何かを暴いていることを経験しているので、最終決定をする前にこれらの全てを調べておくのは価値があると思う。
車歴報告で何に注目すべきか
私は整備士でもなければ、TV 上でその役をしてもいないし、これに関する明確で手短な決まり事もないが、私がこれらの報告では何時も気をつけている事柄が幾つかある:
- 言うもでもないが、事故。事故は、必ずしも致命的な問題ではないが、間違いなく一つの交渉材料ではある。
- 廃車、或いは再生車登録 (再生車登録とは、車が全損しその後修理されたことを意味する)。私はどちらも避けるが、廃車登録の車に信頼を置く人達もいる。
- 以前の所有者の数。2人以上の所有者がある車は避けるよう言う人もいるが、私は、代わりに、所有期間に目を向けたいと思う。例えば、ある車の所有者は4人だったとし、そして最後の二人はそれぞれに1年以下しか所有していなかったとすると、その車には何か重大な欠陥がある印だと見て取れる。
- 国を横断しての移動。北部では、古い車はサビの問題を持つ傾向があり、もっと暑い南部では、ゴムガスケットやシールがへたってしまっているかもしれない。どちらも問題だとは必ずしも言えないが、もしその車が国の違った地域から移動してきていたのであれば、どちらも調べてみる必要がある。
Tred は他にも注意すべき点を挙げているが、どんな車歴報告でも過度に依存すべきではない。何故ならば、経験のある整備士なら見つけられる問題全てを明かしているわけではないからである。
車探しを現実社会で仕上げる
車歴を調べた後は、テスト運転、そして、理想的には整備士の意見の番である。自動車の Web サイトは、常に整備士による検査にお金を使うよう言っている。それは勿論良い意見ではあるが、何時も可能なわけではない。何人もの人が競合するような良い出物の場合は、とりわけそうである。私は昔、自動車の Web サイトのために記事を書いていたことがあり、その様なプレッシャーの大きな状況下では身を引くよう勧めていたであろうが、もし私が自分の進言に従っていたら、我々の最新の車は買えていなかったことになる。
何れにしても、皆さんが出来る最も賢い動きは、前もって整備士と良い関係を構築しておくことで、そうすれば車を買う前に、彼らの意見を求めたり、或いは直接検査をして貰ったり出来る。私は、幸運にも、3人知っており、我々が最終的に買った車を見ている時にも、彼ら全員が他の誰かが買ってしまう前に買いに行くべきだと言ってくれた。結果的には、これはとても良い進言で、我々がそのディーラーに着いた時には、他の家族がその車を我々を飛び越えて買おうとしていたからである。
最後に、最も大事な段階はその車をテスト運転することである。私もこれについてはもっと沢山語れるが、他の人達がもう既にやっているので、ここは彼らに任せたいと思う (Scotty Kilmer は何時見ても面白い)。私から言いたいのは:その車の全ての装備をテストすること、高速道路の速度で走ってみること、走行の前後で車の底部を見て液漏ればないか調べること (勿論、エアコンからの凝縮水は車の下に排水される - これは液漏れではない)、そして深刻なサビを調べることである。通常、熟練した整備士でなくとも、その車が欠陥車かどうかは分かるものである。
しかし、どんな中古車にもそれなりの妥協を要する点があることを自覚し、何を我慢しても良いかについては自分に正直である必要がある。そして、エントロピーは現実であることもお忘れなく。常に何らかの問題は存在する - 我々の車は、新しい室内灯、エアコンフィルター、床マット、そしてヘッドレストを幾つか必要とした - しかし、この先にもまず間違いなく出費を要することは起きる。
この手順のお陰で、我々は山程の頭痛の種を避け、そして、所有履歴は1人で、完全なサービス履歴を持ち、妥当な値付けがされた Honda Pilot を手にすることが出来た。私は、小さな問題全てを直し、それ以降数千マイルに及ぶドライブを故障無しで楽しめている。
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Apple が 2017 年に macOS 10.13 High Sierra をリリースした際、その最も注目すべき機能の一つは、ほとんど目に見えなかった。ソリッドステートドライブ (SSD) を有する (だが、Fusion ドライブではない) Mac でこのアップデートをインストールした際に、基本となるファイルシステムが、Mac OS Extended (HFS+ としても知られている) から APFS(Apple File System) へと自動的に切り替わったのだ。
ファイルシステムは、基盤レベルの技術であり、この技術によって、データがどこに格納されるかが規定される。つまり、単に、ファイルやフォルダが、オペレーティングシステムの中でどのように表されるかという観点だけではなく、SSD チップのセルの中で、あるいは、機械的なハードディスクドライブにおいて、回転するプラッタ (円盤状の記録媒体) の磁気表面において、個々のビットが、物理的にどこに格納されるのかも規定されるのだ。
APFS への移行が失敗していたかもしれない道筋はいくらでもあるが、多くの人たちにとって、移行はシームレスであった。たとえ、他の多くの macOS のアップグレードと比較して、多少時間がかかったとしても。あなたは、自分のMac が、今では APFS を動作させているとは、気付いてすらいなかったかもしれない。これを調べるには、Disk Utility を開いて、サイドバーで自分の起動ディスクをクリックし、ディスク名の下を見ること。
High Sierra によって、私の 2016 年の MacBook Pro は、私がアップグレードを行った際にファイルシステムが変更された。そして、変なことは何も起きなかったので、APFS は、Apple が効率的に管理したもう一つの技術改変であるとして、私の念頭から消えた。だが、リリースしたばかりの私の本である Take Control of Your Digital Storage を執筆する過程で、私は、Apple が労を惜しまなかった理由を学んだ。APFS は、自動的に生じるいくつかの注目すべき利点と、あなたが直接行うことができるいくつかの有用なことを提供するのだ。
APFS は私に何をしてくれるのか?
初めに、Apple が MacOS Extended から APFS への移行を行った理由から始めよう。機械的なハードディスクドライブは、依然として広く使われており、ギガバイトあたりで最も安い価格を提供するものの、今後は、ソリッドステート・ストレージ・メディアだ。(実際、APFS は、iOSデバイス、Apple Watch、そして、Apple TV で使用されているファイルシステムだ。これらは全て、ソリッドステート・メモリにデータを格納する。) SSD では、ずっと高速な性能が提供される。なぜならば、SSD は、macOS によるデータの照会と、機械的なディスクのアームが、データを読み出すためにプラッタ上の正しい位置に移動することとの間の遅延に悩まされることがないからだ。また、SSD には、可動部品もない。なので、機械的な故障が起こる可能性は極めて低い。
しかしながら、APFS が登場する前に使用されていたファイルシステムであるMac OS Extended は、SSD で動作する場合、APFS の場合ほど効率的ではない。Mac OS Extended は、ずっと前に、磁気ディスクを念頭において設計されたのだ。磁気ディスクにおいては、ファイルは、ディスク表面にわたって、できるだけ、一連なりで書き込まれることが望ましい。だが、実際には、大部分のファイルは、多くの細かい断片に分割されている。これが、私たちが、かつて、ディスクを「デフラグメントすること」によって、性能を最適化していた理由だ。デフラグメントは、今日では、滅多にない状況を除いて、概して不要となっている作業だ。
SSD では、セルがお互いにどのような位置関係になっていようとお構いなく、データがセルに書き込まれる。だが、一つ、問題がある。データがセルに書き込めるのは、有限の回数にすぎないのだ。そこで、APFS は、SSD の劣化を管理するために、効率的にデータをシャッフルする。また、SSD でファイルを複製する場合、APFS は、元のファイルの格納されたデータを用いて、全く新しいファイルを書き込むのではなく、差分だけを書き込む。皆さんが目にすることができる性能について言えば、そうしたファイル、または、フォルダ、あるいは、何百ものファイルの複製は、ほぼ一瞬のうちになされる。なぜなら、APFS は、元のデータへのメタデータ・リンクを生成するからだ。
なので、水面下で、APFS はデータをより効率的に扱っている。とは言うものの、Apple は引き続き APFS に取り組んでおり、このため、APFS は、バックアップやディスク・ユーティリティのソフトウェアの開発業者にとって、動く標的になっているし、ファイルシステムの互換性に制限を与えている。APFS は、今のところ、SSD でしか動作しない。だが、Apple は、機械的なハードディスクと Fusion ドライブの全面的なサポートが、macOS 10.14 Mojave で登場する予定だと言っている。ハードディスクドライブを APFS としてフォーマットすることは可能だが、Mac OS Extendedでフォーマットされたものと比較して、おそらく余分な負荷を体験することになるだろう。Apple が、Mojave で、これに対してどのように対処するかを見るのは興味深いことであろう。
APFS は、Time Machine ドライブでもサポートされていない。たとえ、起動ディスクが SSD であったとしても、Time Machine ドライブは、当面、Mac OS Extended フォーマットにとどまる必要がある。
APFS で何ができるか?
ここまで書いてきたことは、全て舞台裏の話だが、皆さんは、APFS によって、何が可能となるのであろうか? その最も強力なユーザー向けの機能の一つは、APFS が、皆さんのドライブ上に、複数の容量可変のボリュームを作ることを可能にするやり方だ。例えば、業務用のファイルと家庭用のファイルといったデータを分けるため、あるいは、取り扱いに注意を要するデータは保管用に暗号化し、他のファイルは暗号化しないでおくために、ドライブを複数の仮想ボリュームに分割したくなることが時々ある。
Mac OS Extended と APFS のそれぞれが、このタスクをどのように扱うかを説明するために、ドライブがロケットを組み立てる工場だと想像していただきたい。比喩として、代わりにオフィスビルを使うこともできないわけではないが、皆さんは、むしろ、宇宙船を思い浮かべたくないであろうか?
Mac OS Extended としてフォーマットされたドライブで、この工場は、巨大なオープン・スペースだ。このスペースで、ロケットが組み立てられ、部品が積み上げられることが可能だ。工場の床は、ドライブ上の空きスペースである。
(工場の床で何かが上手く行かなくならない限り、誰も注意を払わない緊急用機材の隠し部屋に通じる秘密のドアもある。この部屋は、macOS Recovery、すなわち、不可視の起動パーティションを表す。そして、これは、メインのmacOS のインストールを補修する必要がある時に、オペレーティングシステムのスケール・ダウンしたバージョンを走らせる。)
ところで、このドライブを 2 つのボリュームに分割したいとしよう。すなわち、私たちの例えでは、工場を 2 つのセクションに分割して 2 台のロケットを同時に組み立てたいということだ。Mac OS Extended の下では、セクションの間に恒久的な壁を建て、2 つに分かれた部屋を作るであろう。(隠れた macOS Recovery の部屋も、引き続きそこにある。皆さん、安全第一だ。)
まもなく、あなたのロケット事業は急速に成長しつつあり、あなたは、火星への宇宙船を搭載するもっと大型のロケットを組み立てる必要があることに気づく。問題は、この新しいロケットは、2 つの部屋のどちらにも納まりそうにないということだ。なので、更地にするために、あなたは、工場から全ての物を取り出し (全てのデータをバックアップし、ボリュームを消去する)、壁を取り壊し (ドライブを再フォーマットする)、大型ロケット用に十分なスペースを割り当てる新品の壁を建て、小さい方のもう一つの部屋は、初めのロケットの設計と部品用に残し (ドライブに再度パーティションを作成する)、そして、全てを戻さなければならない (バックアップからデータをリストアする)。
(技術的には、もう一つの選択肢がある。部屋 (パーティション) の一つが空である場合、Mac OS Extended では、エンジニアが壁を動かすこと可能であり、非破壊的にパーティションのサイズを変えることができる。だが、各部屋に機材 (データ) がある時は、壁を最初に取り壊さなければならない。)
そうではなく、一部屋のレイアウトに戻すことにした場合は、両方の部屋から全てを取り出し、最初からもう一度やり直す必要がある (全てのデータをバックアップし、ドライブ全体を消去し、データをリストアする)。
では、APFS で強化されたロケット工場を見てみよう。
ドライブをフォーマットする、あるいは、ドライブにパーティションを切る際に、スペースがどのようにして割り当てられるかについて言うなら、APFSは、ボリュームを入れるコンテナを作る。このコンテナは、必要に応じて、サイズを動的に調整することができる。
私たちのロケット工場のアナロジーでは、APFS は、大きな空きビルとしてスタートする。だが、機器がまだ一台もインストールされていない時でさえ、明るい黄色と黒の縞模様のテープの境界線が床に貼られていて、アクティブな作業エリアを示す。これがコンテナで、これは工場のエリアのほぼ全域を包含する。この大きな領域は、単一のボリュームでもある。
(ドライブが起動ディスクである場合、他に 2つの小さな領域がテープで区切られている。一つは macOS Recovery の部屋で、もう一つは仮想メモリ用だ。仮想メモリは、基本的に機材、すなわちデータを、アクセスが容易になるように短期間格納する小さなスポットだ。)
このスキームでは、ボリューム内のあらゆるスペースが、Mac OS Extended の工場とちょうど同じように使用可能だ。だが、この工場のマネジャーは、もっと効率的なワークフローを目的として、道具や機材を互いの近くに配置することにずっと長けている。
生産が増大し、工場のフロアを 2 つのセクションに分割する必要性が出てきた場合、APFS 工場では、物理的な壁は構築しない。代わりに、マネジャーは単にテープを動かして、今では 2 つの作業エリアがあることを示すだけだ。すなわち、新たなボリュームを追加して、元のボリュームを縮小するわけだ。第 2 の作業エリアになるエリア内の機材は、必要に応じて移動する。つまり、ボリュームを作成するために、取り除かれる (消去される) わけではない。(コンテナを作成する際に、コンテナに最小サイズと最大サイズの制限を設けることもできる。) Finder では、2 つのボリュームを目にすることになる。
注文が入って、もっと大型のロケットの生産が始まる時に、さらにスペースが必要なボリュームは、必要に応じて自動的に拡張される。すなわち、テープで区切ったエリアの線を引き直し、第 2 のボリュームから動的にスペースを得る。いかなる壁も取り壊す必要がない。つまり、いかなるボリュームも、消去し、その後、リストアする必要はない。
(APFS ドライブにパーティションを切ることも可能であることに注意していただきたい。パーティションは、あなたに、動かすことができない複数のコンテナを与える。だが、その場合、それらは、Mac OS Extended のパーティションと同じ制限を有することになる。なので、それほど利点はない。)
APFS スナップショット
APFS のもう一つの重要な利点は、これがスナップショットをサポートしていることだ。スナップショットは、ある時点におけるドライブの状態の記録である。あなたがシステム・アップデートを適用すると、macOS は、自動的に新たなスナップショットを作成する。なので、何かがおかしくなったら、Mac をアップデート前の状態に正確に戻すことができる。また、スナップショットは、1 時間毎にも作成される。これらのスナップショットによって、消去したファイルを取り戻したり、ファイルの以前のバージョンに戻ったりすることも可能だ。
お馴染みだと思われるであろうか? 自動的にアップデート前のバックアップを取ること以外は、これは、Time Machine が行なっているやり方だ。実際、スナップショットにアクセスするためには、Time Machine のインターフェースを用いる (たとえ、Time Machine の設定をまだ行なっていないとしても)。だが、2 つの別々の事が、舞台裏では起きている。
Time Machine ドライブが接続されると、macOS は、APFS スナップショットではなく、Time Machine バックアップを、そのドライブに定期的に作成する。Time Machine ドライブは、Mac OS Extended としてフォーマットされていなければならないので、macOS は、前回のバックアップから変更があったファイルを全てこのドライブにコピーする。
Time Machine ドライブが接続されていない場合、例えば、MacBook Pro を持って旅行中だとして、macOS は、1 時間毎に APFS スナップショットを作成し、それを起動ディスク、または、Mac に直に接続されている APFSフォーマットの SSD に格納する。このスナップショットは、それほど余分なスペースを取らない。なぜなら、スナップショットは、全ファイルの状態と格納場所を記述するメタデータと、これに加えて、削除された、あるいは、置き換えられたデータしか持っていないからだ。スナップショットも24 時間後には無効になり、自動的に消去される。
High Sierra よりも前のバージョンの macOS を走らせている Mac や、依然として Mac OS Extended としてフォーマットされているハードディスクドライブか、または、Fusion ドライブを有する Mac では、Time Machineドライブが接続されていない時、Time Machine は似たようなローカルの"モバイル Time Machine" スナップショットを生成する。だが、ドライブがAPFS としてフォーマットされていないので、そうしたローカルのスナップショットは、APFS のスナップショットと同じではない。
APFS としてフォーマットされたドライブでは、Terminal アプリを開いて、以下のようにタイプすることによって、スナップショットがいくつ存在しているか、見ることができる。
tmutil listlocalsnapshots /
また、以下のようにタイプすることによって、任意の時刻でスナップショットを作ることもできる。
tmutil snapshot
消去されたファイルをリストアする、あるいは、ファイルの以前のバージョンに戻る必要がある場合は、そうするために、Time Machine のインターフェースを使用する。Dock で Time Machine のアイコンをクリックするか、あるいは、Time Machine のメニューバー・アイコンから、Enter Time Machine を選択し、それから、あなたが欲しいと思うファイルのバージョンにたどり着くために、右側にあるタイムラインを使用する。
起動ディスク全体を以前の状態に戻す必要がある場合は、再起動してmacOS Recovery に入り (macOS Utilities の画面を目にするまで、起動時にCommand-R を押し続けること)、Restore from Time Machine を選択する。ローカル・スナップショットの一つを選ぶ選択肢が与えられるであろう。
(macOS Recovery について言うなら、Disk Utility を開いて、起動ディスクで First Aid を走らせると、これも、全てのスナップショットをチェックする。なので、数多くのスナップショットを持っている場合は、First Aid が完了するのに、かなりの時間待つものと覚悟してほしい。)
皆さんは、決して、スナップショットを利用する必要はないかもしれない。だが、macOS が、ファイル・システムのレベルで、内蔵されたデータ保護機構を整えていることを知っておくのは気が休まる。
自分のデジタル・ストレージを管理する
APFS は、私たちの現代のストレージが描き出す状況の一部に過ぎない。Take Control of Your Digital Storage において、私は、容量追加をじっくり考える際に私たちを悩ませる、頭文字を並べた他の略語についても説明してある。例えば、NAS (Network-Attached Storage) を買う時、HDD (hard disk drive) と SSD (solid-state drive) との違いを理解する時、そして、RAID (Redundant Array of Indepedent Disks) について説明する時に、何を探せばよいかということだ。そして、RAID に関連して、たぶん私がもっとも気に入っている略語 JBOD (just a bunch of disks)についても説明してある。皆さんは、パーティションやボリュームを作成すること、Disk Utility や First Aid を使うこと、ドライブやデータを暗号化すること、その他諸々についても、もっと多くを学ぶことになるであろう。
この本は、Take Control の本屋で、ただ今、12.99 ドルで手に入れることができる。
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