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#1430: Pages のリンクされたテキストボックス、iMovie の出力解像度、Mailplane 4

Pages はゆっくりとだが確実に、Apple が数年前の書き換え時に失ってしまっていた機能の一つ一つを取り戻しつつある。回復された機能の一つがリンクされたテキストボックスで、Michael Cohen がこの新しい、以前より良くなったシステムがどのように動作するかを解説する。今週号ではまた iMovie にフル解像度のビデオを出力させるためのヒントをお届けし、それからリリースされたばかりの Mailplane 4 をレビューする。これは Gmail を Mac ネイティブなクライアントの中に組み込んだものだ。今週注目すべき Mac アプリのリリースは一つだけ、RapidWeaver 8.0 だ。

Michael E. Cohen  訳:亀岡孝仁  

Pages 7、リンクしたテキストボックスの使い方

テキストボックスは、有用な Pages 機能のリストで上位にランクされる。これを使えば、一塊りのテキストを書類の好きなところに置くことが出来る。テキストボックスは、サイドバー、説明文、コールアウト、作者注、或いは、書類の通常のテキストの流れの外側でページ上に置いておきたい他の類のテキスト用には理想的である。作成するのは容易で、ツールバー上の Text ボタンをクリックするか、或いは Insert > Text Box を選択すれば良い。

2013 年迄は、Pages の中のテキストボックスをリンクすることも出来た。どう言うことかというと、テキストボックスが表示し切れない程のテキストを一つのテキストボックスに入れた場合、そのボックスをもう一つのボックスにリンクすることが出来、そうすると最初のボックスに入り切れなかったテキストは次のボックスへと流れていく。この二番目のボックスは三番目のボックスにリンク出来、そして更に次へと進めた。この手法は、ニューズレターの様なものにはとても適していた。そこでは、個々の話題をそれぞれに割り当てられたリンクされたボックスに入れることが可能となる。

しかし 2013 年に、Apple が全く新しくゼロから書き直した Pages 5 を出した時、テキストボックスのリンク化は、Pages ユーザーが知るようになりそして愛した他の機能と共に消えてしまった ("iWork は何故変わらなければならなかったか (そして Aperture との関係) 9 July 2014 参照)。時と共に、Apple はこれらの機能の殆どを戻した - 徐々に徐々に、少しずつ - Pages へのアップデートと共に。Pages がテキストボックスをリンクする方法を再度提供するようになったのは、2017 年の半ばであった。そして、この機能が戻った時、その見かけも動作も古いものとは違っていた。そして、それは良いことであった。

昔のリンクしたテキストボックス

Pages 5 以前の時代のリンクしたテキストボックスを使ったことがなければ、興味がある人以外は、この部分を読み飛ばしてもよい。

テキストボックスのリンク化は次の様に働いた:ページ上に置く新しいテキストボックスには二つの小さなウィジェットがあった。一つはボックスの左上縁に、もう一つは右下縁にあった。テキストを一つのボックスから次へと流したい時には、最初のボックスの右下縁のウィジェットを (これを "出力ウィジェット" と呼ぶ) そして二つ目のボックスの左上角のウィジェットを (こちらは、"入力ウィジェット") クリックした。Pages はテキストボックス間のリンクを、入力と出力ウィジェット間を線で結ぶことで示したので、テキストの流れは容易に見て取れた。

これは、リンクが複数ページを跨ぐようになるまでは問題なかった。例を挙げると、ニューズレターで、一つの記事が page 1 上のボックスで始まって、page 6 のボックスに続くといった場合である。その長い青のリンク線を数多くのページを跨いで辿っていくのは負担であった。

How linked text boxes looked in Pages 4.

しかし、リンク機能そのものは十分良く作動したので、Pages 5 でそれが消えた時に、Pages のユーザーの世界には驚愕が広がった。

今のリンクしたテキストボックス

今日の Pages では、一つのスレッドの中で二つ以上のテキストボックスをリンク出来、そして一つの書類の中で、リンクされたテキストボックスの複数のスレッドを持つことが出来る。例えば、ニューズレターで、スレッドをそれぞれの記事に対応させ、page 1 では複数の記事で始まり、個々には異なった内部のページに続くといったことも可能になる。

バージョン 5 以前の Pages とは違い、これらのスレッドは、ボックス間をつなぐ青い線では示されない。代わりに、個々のテキストボックスは上部にスレッド制御ウィジェットを持ち、これをクリックすることでそのボックスが如何に他のボックスに対してリンクするかを制御出来る。(Pages for Mac, iOS, そして iCloud 全てが、リンク付きテキストボックスをサポートするが、私はテキストボックスリンクを Pages for Mac で説明する。他のバージョンでも似た様なものである。)

リンクされていないボックスでは、このスレッド制御はただの空の丸で、そのテキストボックスが選択された時に現れる;リンクされたボックスでは、スレッド制御は色がついて番号を持っている。この番号は、リンクされたボックスのスレッドでのそのボックスの位置を示す。

How text box linking looks in Pages 5.

スレッドにボックスを追加するのは簡単である:そのページ上にもう一つのテキストボックスを置いて、そのスレッド制御を開く。Pages はその他らしいボックスを一番最近に操作されたスレッドに割り当て、必要に応じて溢れたテキストをそこに流し込む。

このスレッド化されたテキストは、Pages 書類に埋め込まれた書類だと思えば良い - つまり、テキストの一部を選ぶか、或いはテキストボックス内に挿入点を置いた所で、 Edit > Select All とすると、そのスレッド内の全てのテキストを選択する。Shift-クリックと言うのもある:スレッド内の一つのボックスの中のテキストを選択し、次に同じスレッド内の他のボックスの中のテキストを Shift-クリックすると、最初のクリックと次のクリックの間にあるテキスト群を選択する。

リンクを再編する

テキストボックスがスレッドの中の何処にいくかは、そのボックスの書類内での位置による。一般的に、新しく加えられたボックスをスレッドにリンクする時、そしてそのボックスが、スレッド内の以前の最後のボックスと同じページにある場合には (或いは、それ以降のどのページでも)、Pages は新しいボックスをスレッドの最後に置く。

しかし、新しいボックスをスレッドの始まりが現れるよりも前のページ上に置き、そしてその新しいボックスをそのスレッドにリンクさせたらどうなるであろうか? 賢いことに、その新しいボックスはそのスレッドの始まりのボックスとなり、そして Pages はスレッド内のボックスに番号をふるので、テキストは自然に流し込まれる。

言い換えれば、デフォルトで、ボックスを作成する場所がスレッドの中での順番を決めることになり、順番が固定されたリンクとは異なる。

このビデオは、スレッド化されたテキストボックスの使い方を説明している。

スレッド制御を使う

しかしながら、スレッドの順番を望むものにするために、ボックスを何処に置くかで悩む必要はない。スレッド内でボックスを何処に位置させる、スレッドから削除する、或いは、新しいスレッドを始めるのは、スレッド制御をクリックすることで制御出来る:ポップアップメニューには色々な選択肢が提供される。

私は、Apple がユーザーインターフェースを作る時に、正しい場所に行った時にだけ制御子を見せるそのやり方には辟易しているが、これの場合は私にも合っている。テキストボックスを選択するや否や、スレッド制御が現れる;制御ウィジェットの上に行くや否や、ポップアップメニュー > 標識が表示される;そして、ウィジェットをクリックすると、そのボックスが他のボックスとどの様にリンクしているかについての制御と情報の両方が得られる。

Changing text box layout order.

このメニューを使って次のことが出来る:

スレッドを飾る

Pages で、新しいテキストボックスは、デフォルトでは、飾り気のないものである:それは、無色で、無臭で、境界もなく、そして中にあるテキストはその書類のデフォルト本文テキストスタイルを踏襲している。これら全てを変更出来る:

ボーナス機能が一つある:テキストボックスの外観を、境界線と塗りつぶしの色の様な、変えた時、Format > Advanced > Set as Default Text Box Appearance を選択出来る。これで既存のテキストボックスは何も影響を受けないが、その書類内で作成する新たなテキストボックスはこの新しい外観を受け継ぐ。

結論

リンクされたテキストボックスの消滅から、スレッドされたテキストボックスとして再生する迄、4年間という長い期間を要した。Apple はこの能力を戻すのに故意にモタモタしていた様に見えるかもしれないが、現在の形のテキストボックスのスレッド化は、元々のリンクされたテキストボックス機能の、見事な、使い易い、そして強力な後継者となった。2013 年の Pages 5 の導入で、このアプリは修復不可能な程 "機能低下された" と感じたユーザーは、2018 年になって Pages 7 がどれ程賢くなったか再見直しすべきかもしれない。

この記事の一部は、バージョン 2.2 の Take Control of Pages, Second Edition のものとは少し異なった形となっているが、許可を得て再利用されたものである。

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

TipBITS: iMovie にフル解像度のビデオを出力させる

私たちはこの TidBITS の記事にもっとスクリーンキャストを組み込もうと試みている。時には短いビデオ一つを使った方が、多数のスクリーンショットの写真よりもうまく意味が伝わることもあるものだからだ。そのためのツールといえば ScreenFlow が定評のあるところだが、QuickTime Player もスクリーン上のアクションを録画できるし、iMovie はなかなか良いビデオエディタだ。その上この後者二つはすべての Mac に無料で付いているので、私たちはまずこの二つを使って始めてみることにした。

けれども最近になって私が遭遇したのは、とてつもなく腹立たしい問題だった。元のスクリーン録画の段階で私が何をしても、iMovie の中で File > Share > File を使ってビデオファイルを保存しようとすると、720p より上の解像度を選択できないのだ。多くのテキストを表示したハウ・ツーもののビデオの場合、720p の解像度ではやはり最善とは言えない。その種のビデオはいずれにしてもフルスクリーンにズームして観るものなので、これでは困る。それに、これはものの道理ではないか。私の 27 インチ iMac の 5K Retina ディスプレイで QuickTime Player が録画した高解像度 4096×2304 のビデオなのだから、最終的に書き出すのはやはり 4K 版のファイルであって欲しい。皆さんの目にもその方が断然美しく映るだろう!

iMovie refusing to output a high-resolution video at anything over 720p.

問題は、iMovie がプロジェクトの解像度を手で設定させてくれない (そのためには $300 払って Final Cut Pro X を購入しなければならないらしい) ところにある。実は、Mac 上では、iMovie はあなたが最初に挿入したクリップを基準にしてそのプロジェクトの解像度を固定してしまうのだ。

この問題は多くの人たちを困惑させてきたようで、新規のプロジェクトを作ったらまずタイムラインの冒頭に高解像度の写真を放り込んでおけばそのプロジェクトが高解像度に設定されると示唆する YouTube ビデオが数限りなく出回っている。でも私がそれをやってみても、うまく行かなかった。けれども私は別のやり方を試みて、iMovie に 4K ファイルを書き出させる方法を見つけた。

まず第一に、iPhone を使って、1080p または 4K のビデオを録画する。つまり、そのデバイス上で可能な最高の解像度にするのだ。解像度は Settings > Camera > Record Video で設定できる。

解像度が正しい限り、そのビデオの長さも題材も何でもよいので、自分の足を数秒間撮影するか何かして、小さなファイルを得る。種となるこのビデオを、好きな方法で Mac へ転送する。試しに iCloud Photo Library 経由で Mac へ送ってみると、iMovie の Photos Library に入っていた。

それから iMovie の中で、Create New をクリックして新規のプロジェクトを作る。録画しておいた種クリップを、この新しいプロジェクトのタイムライン上へドラッグする。その後で、編集したいスクリーンキャストのクリップをドラッグする。

既に 720p になってしまっているプロジェクトで作業をしている場合には、それを開いて、タイムラインの中でクリックし、Command-A を押して、それから Command-C を押すことで、すべてのクリップを選択してコピーする。そうしておいて新しいプロジェクトに戻ってから、タイムライン上の種クリップの後にペーストすればよい。

ウィンドウの右側にある Settings をクリックすれば、解像度が iPhone で録画した通りの 1080p または 4K になっていることが分かるだろう。File > Share > File を選べば、Resolution ポップアップメニューにその解像度が選択肢としてあるのが見えるだろう。こうしてプロジェクトの解像度が望み通りになっていると分かれば、種クリップを削除して、あとは普通にプロジェクトの作業を続ければよい。

All it took to output this video as 4K was starting with a 4K video clip.

自力で解決法を見つけ出した後になって、私はたまたま Apple の公式回答に行き当たった、そこには、最初のクリップの解像度が書き出しの解像度を決定すると書いてあった。でも一つだけ、とても変なことがある。今は既に iMovie にスクリーン録画を 4K で書き出させた後だが、私が新規の iMovie プロジェクトを作って、そこに唯一のクリップとしてスクリーン録画を追加すると、当初は何度やっても 720p でしか書き出せなかったのに、今は iMovie が 4K で書き出させてくれるのだ。もはや、種クリップは必要ない。皆さんのところでどうなるかは分からないが、この技を一度使っておけば iMovie にスクリーン録画は 4K で書き出すものだと分からせることができるのかもしれない。

恩知らずだと思われるような言い方はしたくない。iMovie は、その価格を考えればとても素晴らしいツールだからだ。でも、やはりこんな裏技が必要な状況はなくして欲しいものだ。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   

Mailplane が Chrome 化して機能を追加

電子メールアプリ Mailplane は、Gmail のウェブベースのインターフェイスは好きだけれどもネイティブなメールクライアントの提供するデスクトップ機能もあって欲しいと思う Mac ユーザーたちに長年愛用されてきた。Mailplane は、Gmail 用の「サイト特定ブラウザ」(2015 年 3 月 6 日の記事“Google Chrome でサイト特定ブラウザを作ろう”参照) であるが、Safari や Chrome のような標準的ブラウザより多くの Gmail 専用機能を提供する。最近リリースされたばかりの Mailplane 4 では、これらの大枠をそのまま保ちつつも、いくつかの重要な改善を披露している。

Mailplane 4 には使い勝手の面でさまざまのアップグレードが施され、以前にも増して深く macOS の内部と連携し合うようになって、Apple の Mail のようなネイティブなアプリと肩を並べられるための裏付けがますます強化された。それと同時に、Mailplane 4 はウェブ機能も拡張して、例えば主流の Gmail と並べて Google が出しているもう一つのウェブメールサービス Inbox にもより良く対応するようになった。

けれどもパワーユーザーの人たちにとって一番重要な変更点は、サポート対象の Gmail 専用 Chrome 拡張を使って MailPlane をターボチャージできるようになったことだろう。これは、MailPlane が従来 Safari の WebKit レンダリングエンジンの上に構築されていたのに代わって、今回から Google の Blink エンジンで駆動されるようになったからだ。

Mailplane の基本

サイト特定ブラウザであるので、Mailplane を使う Gmail ユーザーはすっきりしたウィンドウの中で電子メールを扱うことができる。汎用のブラウザインターフェイス要素もないし、無関係なウェブページにタブに視野を邪魔されることもない。Mailplane 独自のツールバーを持つが、ツールバーを隠すこともできる。Mailplane は Gmail の少しだけ先へ行っており、Google の代替電子メールサービス Inbox や、Google Calendar、Google Contacts へのアクセスを提供して、それぞれが独自のタブを持つようにしている。

The Mailplane 4 window.

さらに重要なこととして、Mailplane は多くの意味でネイティブな Mac アプリだ。何年も前に Adam Engst が記事に書いたように、このアプリの開発者たちは「真に驚嘆すべき才能を発揮し、基本的にウェブブラウザに過ぎなかったものを真の意味の Macintosh アプリケーションへと転化させてくれた。」(2011 年 3 月 16 日の記事“禅と Gmail 技術、第四部: Mailplane”参照。)

Mailplane に長年備わっている Mac 特定機能としては、Keychain 対応、デフォルトの電子メールアプリとして使えること、Share メニュー拡張、通知サウンド、添付ファイルの Quick Look プレビュー、その他がある。

使い勝手の改善

私はもう一ヵ月ほどの間 Mailplane 4 をテストしてきて、しっかりしたアップグレードになっているという感触を得た。使い勝手の改善点は非常にたくさんあるので、要点だけざっと概観してみよう。

タブシステム

タブ機能が、従来よりも柔軟かつユーザー・フレンドリーになった。新規のタブを作るために + ボタンをクリックすると、Load Tab ページが開くようになった。設定済みのアカウントごとに、このページには Gmail、Inbox、Calendar、Contacts それぞれのボタンが表示される。このページでは個々のアカウントがユーザーによるカスタマイズ可能なカラーで色分けされる。また、これは従来のバージョンではできなかったことだが、同じアカウントの Gmail、Inbox、Calendar、Contacts 表示を別々のタブに開くこともできるようになった。

Mailplane's Load tab screen.

検索

Gmail のネイティブな検索機能は素晴らしいもので、Mailplane 4 はその基盤の上に構築されている。特に注目すべきは、複数個の Gmail および Inbox アカウントを同時に検索できることだ。このアプリの独立動作の検索ウィンドウを開いて、検索文字列をタイプし、Return を押す。すると、個々の検索結果に封筒アイコン (閉じた封筒は Gmail、開いた封筒は Inbox) が付き、そのメッセージが属するアカウントに応じた色分けもされる。検索文字列にマッチした部分が強調表示されるので読みやすい。

Mailplane's search window.

ナビゲーション

Mailplane 4 は独立の Navigate ウィンドウを提供し、ここで Gmail のラベルを検索できるようにする。ラベルとはすべてのメッセージに割り当てられるタグであって、全アカウントにわたってフォルダの代用として使われる。検索フィールドにタイプし始めれば、Mailplane はその文字列を名前に含むラベルを表示する。欲しいラベルが見つかったら、それをクリックすればそのラベルを持つ電子メールメッセージがすべて呼び出される。

この機能は必要不可欠と言うほどでもないだろうが、私のようにネストされた構造の中に多数のラベルを持っている者にとっては、伝統的な方法によるナビゲーションでは具合が悪いことが多いので、とてもありがたいものだと言える。

Mailplane's Navigate window.

リストをフィルター分けする前に、この Navigate ウィンドウには最近使ったラベルが表示されるので、わざわざ検索する必要がなくなることもある。けれども私の場合、実際どのラベルを私が最近使ったかは表示されなかった。

通知

Mailplane はずっと以前から Mac ネイティブな通知機能を備えていたが、Mailplane 4 になって通知に対するアクションが追加された。例えば、通知ウィンドウの中にある Reply ボタンをクリックすれば、手早い返事のフィールドが開くので、その場で返信を送ることができる。また、通知の中の Archive ボタンをクリックするだけでメッセージをアーカイブ保存できる。一つのアカウントについてはその中のすべての到着メッセージについて同じ一つのボタン (Reply または Archive) しか持つことができないが、必ずしもすべてのアカウントが同じ設定である必要はない。

Interactive notifications from Mailplane.

目に見えてはいないが、この機能を拡張するオタク向けの方法がある。手早い返事の末尾に "/a" とタイプすれば全員に返信され、"/e" とタイプすればメッセージがアーカイブ保存され、"/d" とタイプすれば返信が下書きとして保存される。

注記

送信するメッセージに添付する画像に、注記を書き込むコントロールが組み込まれた。矢印、テキスト、図形を書き込める。この機能は、元の Gmail も Inbox も提供していない。また、機密情報を隠すために便利なテキストぼかしオプションもある。これらの機能を使うには、電子メールの下書きの中で添付画像をクリックしてから、表示される Annotate ボタンをクリックする。

Mailplane's annotation controls.

Open In

添付画像を Desktop やその他の Mac フォルダの中へダウンロードする代わりに、あらかじめ指定しておいたデフォルトアプリに開かせることもできる。例えば Word 書類が Pages で開くように、あるいは画像が Photos で開くように、設定できる。添付ファイルの上にマウスをかざした際に現われる三つのボタンのうち真ん中のボタンをクリックすればこれができる。

How Mailplane handles attachments.

さらに嬉しいことに、三つのボタンのうち右側の ... ボタンをクリックすると Show All Options ウィンドウが開き、いくつもの有用なアクションから選べるようになる。

Attachment actions in Mailplane 4.

Clip Into

同様に、電子メールの会話を丸ごと書き出すこともできる。そこには添付ファイルも、インライン画像も含まれる。すべてを PDF ファイルとして書き出し、DEVONthink Pro や Evernote といったアプリに持ち込むことができる。また、電子メールの会話の内容に応じて OmniFocus、Todoist、Things などにタスクを作成させることもできる。

従来の Mailplane 3 では Evernote のクリッピング作成ができ、その目的に使うツールバー上のボタンもあった。けれども Mailplane 4 にはそのようなボタンはなく、他のアプリ用に使える類似のボタンもない。これは少々奇妙だが、Mailplane 4 では添付ファイルのアクションの中に Import into Evernote ボタンが提供されている (このことはすぐ上で述べた)。

Clipping email in Mailplane.

ブックマーク

このシンプルな機能は、あとで参照できるようにどんな電子メールメッセージでもブックマークでき、ブックマークのテキストを書き換えることもできる。これは決して新しい機能ではないが、Mailplane 4 はメニューバー上のメニューを使ってこの機能を以前より分かりやすくしている。従来はあまりにも奥深いところに隠れていて、ほとんど役に立たなかった。

Mailplane のブックマークは Gmail でメッセージにスターを付けることの代わりとなり、すべてのブックマークが Bookmarks メニューに集められるためアカウントに関係しないブックマークとなる。ただし、非常に数多くのブックマークを作れば少々扱いにくくなるかもしれない。

Bookmarks in Mailplane.

Inbox 対応

Mailplane はずっと以前から Gmail に加えて Inbox へのアクセスも統合してきたが、最近になるまでこの二つのサービスの扱いは同等ではなかった。例えば、通常のブラウザの中で Gmail や Inbox を開けば、どちらの場合も添付する画像を元のままで添付するかサイズを最適化してから添付するかをユーザーが選べるが、最近になるまで Mailplane ではこの機能が Gmail のみで提供されていた。けれども今回、平等が達成された。あともう一つ、Auto-BCC 機能にも双方が対応した。

Adding attachments to a message in Mailplane.

その他

もう少し細かな機能にも、新しく登場したものがたくさんある:

新しい Chrome 仕上げ

Mailplane はそのスタート以来ずっと、Safari が使う WebKit レンダリングエンジンの上に構築されてきた。けれども Mailplane の開発者たちは今回そのやり方を捨て、その代わりに Google の Blink レンダリングエンジンの上に Mailplane を構築し直した。つまり基本的に、これは Google Chrome ブラウザのサイト特定版となったわけだ。

開発者たちが私に語ってくれたところによれば、この方針変更のお陰でいくつかの問題が解決したという。まず第一に、Google ベースのサービスを Google 自体のブラウザの中に採用すれば、最大限の互換性が得られるのは当然だろう。

もっと重要なこととして、Chrome を基盤とすることにより、ずっと以前からブラウザの機能を拡張するために使われてきた Chrome 拡張に対応することが開発者にとって容易になる。WebKit を基盤としていた頃にも、Mailplane はささやかながら 5 個の拡張から成るライブラリを提供していた。その中にはメッセージをいつ送信するかをコントロールする Boomerang や、ユーザーのプロファイルを右側のサイドバーに表示する Clearbit Connect もあった。けれどもそれらの機能をアプリの中に組み込むには多大な労力が必要であった。

Chrome extensions that work with Mailplane 4.

けれども Chrome への移行のお陰で、その余分のコーディング作業が大部分不要となった。Chrome 拡張には何の変更も施す必要がなくなった。ただしフルに互換性をもって使えるためには、Mailplane の側で多少の作業が必要となるのだが。

一つにはその理由により、Mailplane の開発者たちはまだ既存の多種多様な Gmail 関係の Chrome 拡張のすべてに対応できる形で水門を一挙に開いてはいない。現在のところ、この電子メールアプリはたった 12 個の Chrome 拡張にしか対応していない。その中には Boomerang や Grammarly に加えて、従来の Clearbit Connect の代わりとして使える FullContact もある。

さらにもっと多くの拡張も登場予定だが、それには時間がかかるかもしれない。

長距離飛行

私はもう十年近くにもわたって Mailplane を自分のデフォルトの Mac 用電子メールクライアントとして使ってきた。私は Gmail のウェブベースのインターフェイスの方が、Apple の Mail などのデスクトップの電子メールクライアントよりも好みだからだ。Google の Inbox もだんだん好きになりつつある。

もちろん Chrome の中で Gmail か Inbox を使っても十分役に立つけれども、私はその上に Mac のセンスを与えてくれる Mailplane の追加機能を大いに気に入っている。これはまさにウィン・ウィンの状況なので、長年の間に Mac ベースの他の電子メールクライアントにも手を出してみたけれども、結局私はこのアプリをずっと使い続けている。Mailplane が元の Gmail のウェブベースの機能をさらに拡張しているところも素晴らしい。

Mailplane は決して、あらゆる人に向いている訳でもないし、あらゆる Gmail ユーザーに適しているものでさえもない。Gmail や Inbox の標準的なウェブインターフェイスそのものが嫌いだという人たちもいるだろうし、いったん Gmail の設定を正しく持ち込みさえすればネイティブな電子メールクライアントで作業する方が良いという人たちもいるだろう。でも、あなたが Mac ユーザーなら、そして Gmail または Inbox をウェブブラウザで使ったことがあるのなら、一度は Mailplane を試してみることをお勧めしたい。二週間は無料で試用できる。

また、このアプリは会社や、非営利団体、政府機関、教育機関などで Google のサービスを (例えば Gmail と Google Calendar を) 利用していて、しかも Apple の Mail やその他のデスクトップアプリケーションの使用を認めずウェブベースのアクセスのみに制限しているようなところでも理想的に使えるだろう。例えば、私の本業はまさにそれに該当しているのだが、Mailplane は何の問題もなく使えている。

私は Mailplane 4 を使っていて、いくつかマイナーな問題点に出会うこともあった。このアプリは時々、ユーザーが設定したウィンドウの縦横サイズを忘れてしまう。また、一部の Google 機能、例えばメッセージリストの密度設定が、Chrome やその他のブラウザの中で使う場合にはきちんと機能するのに、私が Mailplane で使うと一貫しない挙動をすることがあった。

けれども全体的に見て、Mailplane 4 はしっかりしたアップグレードだと思う。以前と全く変わらず Mailplane はウェブとデスクトップ双方の世界の良いところ取りをしつつ、ブラウザの中で使う際にもネイティブな電子メールクライアントを使う際にも完全には満たされない必要を、十分に満たしてくれている。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata

RapidWeaver 8.0

RapidWeaver 8.0

Realmac Software が RapidWeaver 8.0 をリリースした。このウェブデザインおよび出版用ソフトウェアの、メジャーなアップグレードだ。ユーザーインターフェイスが洗練されてクリーンになり、アプリのアイコンも新しくなったほか、RapidWeaver 8.0 にはあなたのサイトがさまざまのデバイス上でどのように見えるかが分かる反応性の良い Device Preview 機能が加わり、反応性の良い新しい五つのテーマと、Unsplash に貯えられた無料の写真を検索する機能に対応して更新された Resources Manager、それから HTML とリッチテキストとライブ検索に対応してデザインし直された Snippets Window を装備している。

今回のリリースではまた、.htaccess ファイル編集機能に (さらに変更追跡と前バージョンへの復旧機能にも) 対応し、各プロジェクトごとにユーザーインターフェイスの状態復旧を提供し、変更されたファイルの出版に際する処理を改善し、カスタマイズされたブログ日付を正しく表示するようにし、アドオンフォルダの書き出しと圧縮を提供してバックアップが容易にできるようにしている。また、RapidWeaver 8.0 は GDPR (EU一般データ保護規則) 完全準拠だ。

RapidWeaver の価格は新規ライセンスが $89、バージョン 7 からのアップグレードが $69 だ。2018 年 8 月 28 日までは新規ライセンスが $79、アップグレードが $59 の初期特別価格が適用される。(新規購入 $89、アップグレード $69、76.7 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

RapidWeaver 8.0 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata

Apple Is Pushing Developers Toward Subscriptions

Apple、開発者たちを購読制へ追い込もうとする

私たちは長らく、Apple の App Store がアプリの価格を (多くの場合その知覚価値をも) ほとんどゼロまで下げてしまい、小規模の開発者が作った高品質のアプリが成功することさえも困難にしてしまったと嘆いてきた。今考えてみると、当時の Apple はそんなことが起こるとはまったく予想していなかったように見える。Steve Jobs は 2008 年のインタビューの中で、Apple としては価格を下げて売り上げを伸ばそうとする開発者たちに対して助言はできないと述べている。そのようなことをすれば多くの開発者たちがビジネスモデルを維持できず、その結果として既に成功している開発者たちでさえ既存の顧客のためでなく新規の顧客の獲得に力を注がざるを得なくなる。そうしてついに、2016 年になって、Apple は開発者たちが講読を販売できるようにし、2017 年には New York City で開発者たちとの秘密のミーティングを開いてこの新しいアプローチを彼らに勧めた。Business Insider の記事で Kif Leswing が、いかにして Apple が講読制を広める必要を自覚したかについて、また大小各規模の開発者たちのために環境を整えたことについて、他方では購読への消費者の反応が分かれていることに対する開発者たちの懸念についても物語る。

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Where Do iPhone Repair Parts Come From?

iPhone の修理用パーツはどこから来るのか?

Apple 以外の修理業者に iPhone を修理してもらったことのある人は、その業者が修理用部品をどこから入手しているのだろうかと疑問に思ったことはないだろうか? MacRumors の記事で Juli Clover が、 iPhone 修理のエコシステムに深く潜入する。彼女はパーツがどこから来ているのかを見出し、品質にどの程度の違いがあるかを調べ、また Apple Authorized Service Provider と独立の業者双方の立場に立ってこの業界の現状を概観する。この記事は、私たちの多くが当たり前と思っている世界の舞台裏を覗かせてくれる、素晴らしい読み物だ。

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Apple’s Arizona Sapphire Plant Becomes a Datacenter

Apple、アリゾナのサファイア工場をデータセンターに変える

もうかなり以前に、Apple は GT Advanced Technologies と共同でアリゾナ州に工場を建設した。(2013 年 11 月 5 日の記事“Apple、アリゾナ州に新工場を開設”参照。) この工場は工業用サファイアを製造することが目的で、Apple はそれを Touch ID のセンサーや、一部の iPhone カメラのレンズや、一部の Apple Watch のディスプレイに使った。けれども GT Advanced Technologies との提携関係は解消され、醜い法廷闘争や破産などを経て、Apple はこの工場をデータセンターとして利用することになった。当初の工場と同じく、ここは今後も主として再生可能エネルギーで操業する。(2014 年 2 月 19 日の記事“Apple の新工場は再生可能エネルギーで操業”参照。) AZ Central の記事が、この秘密主義の工場の内部写真とともに状況を語る。

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Twitter Cripples Third-Party Clients…Again

Twitter、サードパーティのクライアントの手足を縛る... またもや

Twitter は、一時は後押ししていたにもかかわらず、今はもう何年も続けてサードパーティのクライアントを相手に喧嘩を吹っかけている。開発者たちやユーザーたちからの抗議にもかかわらず (2018 年 5 月 21 日の記事“Twitter アプリ開発各社、一致協力して API の変更と闘う”参照)、Twitter は今回またサードパーティのクライアントに対する制限を強行した。クライアントによる tweet のライブストリームや push 通知の送信が、できなくなるのだ。もしもあなたがこれらの機能を望むのならば、今後は Twitter の公式アプリを使わざるを得ない。こうして外部の開発者たちを切り捨てているにもかかわらず、Twitter は自らのクライアントを維持することも満足にできておらず、数ヵ月前に自らの公式の Mac 用アプリを廃止するに至った。(2018 年 3 月 2 日の記事“消滅した Twitter の Mac 用アプリに代わる三つの代替製品”参照。) Twitter の Rob Johnson は社内用電子メールを Twitter 上に公開し、またその他のコメントも添えてユーザーたちをなだめようとしたが、Michael Tsai がそれに対する反応をサンプリングした結果によれば、Johnson の説明は全く効き目がなかったようだ。

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