音楽家たちが Apple Music や Spotify にストリーミングされる音楽から人並みの暮らしのできる収入が得られるのが望ましいと思う気持ちから、Glenn Fleishman が最近米国で制定された法律 Music Modernization Act を解説する。音楽ストリーミングに関係するすべての人々のために手続きを改善することを目指した、超党派の法案だ。本格的なワードプロセッシングにおける生産性の方に興味があるという人には、Joe Kissell が最近リリースされたばかりの Nisus Writer Pro 3.0 をレビューする。彼によれば「生計を立てるために単語を躍動させている」すべての人に必携のワードプロセッサだ。それから、何らかの非営利団体に関係している人のために、Jeff Porten が TechSoup を使ってハードウェアやソフトウェアの購入の際に非営利団体が費用を節約できる方法を紹介する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、Carbon Copy Cloner 5.1.6、Retrospect 15.6、OmniFocus 3.1.2、Twitterrific 5.3.7、それに PopChar X 8.5 だ。
記事:
米国著作権法にある隙間のせいで、音楽ストリーミング革命の最中に印税を取り損ねている音楽家達がおり、そして自分が受け取れるお金があることも知らないでいた人達もいる。最近法制化された Music Modernization Act (MMA) は、1870 年代の音声記録の夜明けに迄遡る慣習法、州法、そして連邦法の寄せ集めを合理化しようとするものである。
この MMA は、三つの異なる音楽権法制を合わせたもので、より公平でより首尾一貫した事業運営の新しい方法を確立する。とりわけ、Pandora の様な Internet ラジオ会社や Apple Music や Spotify の様なストリーミングサービスはその焦点にある。
驚くべきことに、MMA はどの利害関係者にも受け入れられている。それは一部には、著作権の期間を修正した土壇場での変更のお陰とも言える。音楽家、独立系、大手レーベルを問わず、デジタル音楽サービス、そして公有財産の擁護者 - 何らかの条項に反対してきた米議会の議員達ですら - 誰もがこの法律について、自分が望むものと完全に一致している訳ではないが、概ね好感を持っている。
Spotify の法律顧問である Horacio Gutierrez は、その声明の中で、同社は "百万のアーティスト" が音楽を作りそして実演することで良い暮らしをして欲しいと言った。"Music Modernization Act は、時代遅れの許可システムを現代化し我々の生きるデジタル世界に相応しいものとし、この夢を実現出来るようにするための大きな一歩である。" (Apple は、Apple Music に関するコメントを求める我々の要求には答えなかった。)
MMA の前には、曲の作成者と実演家によって保持された音楽の権利は渾然としていた。実演家にとって、印税を手に入られるかどうかは何時その曲が最初に録音されたか (そして、時にはどの州で) に依存していた。制作者、ミクサー、そして技師は、曲やアルバムを作成する過程で深く関わることが多いが、印税を受け取れるのは、それが特定の場所で演奏されたり販売されたりした場合に限られていた。
ストリーミングサービスは、一つの曲に対して一回毎に複雑極まりない過程を経て権利申請をしなければならず、それは US Copyright Office をも圧倒した。そして、今でも彼らは、一つの曲の作家や他の権利者を探し出して支払いをしなければ、巨額の補償を求める訴訟に直面する危険性に直面している。一方で、多くのアーティストが支払いを受けていないのも事実である。
それは関係者全員に時間とお金を費やさせる巨大な混乱であった。とりわけ、制作者と実演家を不当に扱った。
Spotify や Apple Music の様なサービスは、新しい法の下では権利に対する支払いは増えると思われる - 曲当たりとより多くのアーティストの両方に対して - それにより購読価格は上昇する可能性はある。しかしながら、これらの高くなる費用は、削減される経費と、訴訟というリスクそのものの消滅で相殺されるべきものである。
他の好ましい効果? より多くの音楽がストリーミングサービスに登場するようになるかもしれない。アーティストがより良い支払いを受けられるにつれて、或いは少なくとも支払って貰えるようになるにつれて!
法と慣例のまだら模様
書籍、フィルム、そしてテレビの様な視覚媒体に対する著作権は単純ではないが、多くは少なくとも明快である。多かれ少なかれ、書いたり、描いたり、或いは、画像 (静止画又は動画) としてアナログでもデジタルの形でも捕えたものは何でも、作成した瞬間に著作権を得る。対象となるのは、すべての本、映画、新聞の号、建築図面、写真、そしてアートワークであり - そして楽曲も含まれ、それには四重奏、ジャズバンド、或いはフルオーケストラ向けの編曲も含まれる。
その作品は公開するために作られたのか、そして会社のために作られたのかによって異なるが、著作権は、作成時点から 95 年から 120 年の間、又は最後の貢献者が死んでから 70 年間継続する。
しかし、録音の扱いは常に異なっていた。それは、本や定期刊行物と比べれば比較的新しいもので、Thomas Edison が最初に好きな時に再生出来る録音をしたのは 1877 年であった。これは奇妙な著作権状況を作り出すこととなった。そこでは、作品が録音された、或いは売られた州の法律が所有権を規定した。もし州が具体的な法を有していなければ、権利は慣習法の適用を受けた - 刑事又は民事訴訟の判例 - ここに一貫性は全く期待出来ない。
やがて、議会はオーディオ著作権を "連邦化" した 。それは phonogram right (レコード原盤権) として知られる。そこでは、15 February 1972 以降に録音された作品は全て明確な所有権と著作権期間を持つはずであった。しかし、一方で議会は馬鹿げた期間満了日を設けた。新たに作成された作品は、他の種類の出版に似た規則を持つのに対して、15 February 1972 以前に作られた録音物の著作権は 2067 年迄期限満了とならないというのである! (州法によっては異なるものもあったが、概して言えば、それが期日であった。)
この連邦化の作業は多くのものを積み残した。それは未だ存在しない再生技術の可能性を考慮していなかった。ストリーミングは特に問題をはらんでいた。何故ならば、それは音楽を保存するために転送しているのではないというのがその原理そのものだからである。
一つの法で全てを律する
MMA は、全てを同じ著作権制度に持ち込むことでこれらの問題の多くを解決する。同時に、それは新たな独立機関を設立し、ストリーミングの様な特定の種類の再生に対する課金額を定めそして徴収する役目を与える。全容は以下の様なものとなる。
著作権は変わる
MMA は 15 February 1972 以前の録音全てを連邦管理下に置く。結果として、それらはこの日及びそれ以降になされた録音と同じ phonogram rights によって規制される。その結果、ストリーミングサービスはこれらの録音の実演家及びその他の権利保有者に支払いをしなければならなくなる。
この法制化に対して遅れてなされた変更の一つが、ようやく録音を出版作品と同様の終了規則の下に置いた。もっとも、それは複雑ではある。1923 年以前になされた録音の全てに対する phonogram rights は 1 January 2022 をもって期限切れとなる。これで、埋蔵室にしまい込まれたままになっていた音楽 も新しい聞き手と新しい研究に解放されるであろう。
1923 年から 1972 年の間に作られた全ての作品は、それが出版された時に応じて 95 年から 110 年の期間が与えられる。複雑ではあるが、1923 年からの録音は 1 January 2024 に、そしてそれ以降少しのギャップはあるが、毎年年毎の期限切れを迎え、そして公有財産の仲間入りをする。
この法律はまた、1972 年以前の作品に対する免責も与え、非商業的利用を許す。この時代の音楽を使いたいと思うが、商業的利用 (例えば、CD やダウンロードの形での販売活動) の中では見つけられない場合、Copyright Office に通知を提出出来る。90 日の間に権利保有者からの応答が何もなければ、それはいわゆる "fair use (公正使用)" と呼ばれるものの中に該当するとするしっかりした確証付きでその録音を利用出来る。音楽歴史家の中には、これが恩典となる人もいるであろう。たとえその音楽を含む製品を販売することは出来なくとも。
創作権に対する一元化組織
MMA は、Mechanical Licensing Collective と呼ばれる新しい非営利組織を作り出す。このグループは、ストリーミングサービスやデジタル音楽企業が、送出する作品に含まれる楽曲に誰が利害関係を持つかを調べる必要性を一掃する。("mechanical (機械的)" 権利とは作品を使用するコピーを作ることを指している。それはレコード盤をプレスする様な - 機械的なプロセス - ことを指している。もっとも今日では、このプロセスは音楽を Internet 経由で情報ビットとして送出することに関わることが多い。)
Mechanical Licensing Collective は、既に "compulsory licenses (強制実施権)"、又はある曲が最初に公にリリースされた演奏の後で、誰にでも録音をしそしてリリースすることを許す権利、を扱うグループと似たものになるであろう。(これが何故 "カバー" 曲が溢れているかの理由である:オリジナル曲の作者はこれを阻止する如何なる権利も持たないし、そしてその費用は定額で定められている。)
現在、ストリーミングサービスやダウンロードサービスは、ストリームする曲毎に通知を Copyright Office に提出しなければならず、その手間は信じられない程である。 Mechanical Licensing Collective は、代わりに、全てをひっくるめた定額料金を課し、そして "包括的な" 許可を与える。この変更からだけでも、膨大な量の重複したそして不必要な手間が省かれる。
Mechanical Licensing Collective はまた、曲に関わる所有権に対する公に検索可能なデータベースも提供することになっている。この種のものは現在存在しない。この組織は印税を対象となる人に支払い、そして、未だリストされていない作曲家等が権利を申し立てるすべを提供する。
MMA は、既に整備済みの音楽の他の側面についての権利は扱わない。それ等には、音楽録音物 (アナログ、デジタルに拘らず) の販売に対して徴収される料金、そして、ライブ会場、映画、或はテレビでの実演権等が含まれる。これ等の権利は今後も既存の組織によって管理される。
小さなこと
作品に寄与する制作者、サウンドミクサー、そして技師は、現在それが衛星ラジオ或はオンラインラジオ (ここではユーザーはどの曲を演奏するか選択しない) で流された時に、他のメディアでの場合と同様、印税を手にする。
最後に、Copyright Ruling Board は、Internet ラジオの印税を設定することが主業務の目立たないグループだが、サービスが放送するのにどれだけ支払うかを今や曲の人気を考慮に入れて決めることが出来る。
有料の意義
作品の創作者が一番上に来ることはまずない様に見える時代にあって、その理由が個人による何気ない違法コピーのせいか、或は大企業による集団的行動のせいかは別にして、Music Modernization Act は驚くほど包括的な勝利である。
多くの音楽家にとっては、文字通り数ドル増えるだけかもしれないが、中には、意味をなす程度の収入増につながる人も出るであろう。これはとりわけ年を経たアーティストで、その作品には未だ人気があるのに、全く印税の恩恵にはあずかってこなかった人には当てはまるであろう。
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Nisus Software が Nisus Writer Pro 3.0 をリリースした。同社のこのハイエンドのワードプロセッサに、数年間かけた開発と、一年以上にわたるベータテストを経て、メジャーな改訂が施された。今回の新バージョンには 300 件以上の変更点があって、前回のバージョンよりもさらに一段とパワフルなツールへと姿を変えているが、その一方で同社は価格を $79 から $65 へと値下げしている 。旧バージョンからのアップグレード料金は $45、アカデミック価格は $55 だ。
今回のアップグレードは非常に大きいもので、私はこの上なく幸せに感じている。既に Nisus Writer Pro を使っている人は直ちにこの新バージョンを購入すべきだ。なぜなら、仕事が楽にできるようになり、問題が解決し、時間と労力が節約できることで、支払った価格を大きく上回るものが得られるからだ。また、Nisus Writer Pro を買いたい気持ちはあったけれどもこれまでのバージョンが十分良いものかどうか確信がなかったという人も、今や疑いの気持ちを振り捨てることができる。
もちろん、ワードプロセッサを使う必要があまりなくて TextEdit や Google Docs で十分に事が足りるという人はいるだろうし、Pages や Microsoft Word で何も困っていないし使い勝手も悪くないと思う人もいるだろう。そういう人たちには、何も見るべきものがないかもしれない。私としてもそういう人たちにまでもっと良いツールがあると無理強いするつもりはない。けれども、もしあなたが生計を立てるために単語を躍動させているのならば、あなたは入手できる限り最高のワードプロセッサを持つことに価値を見出すだろうし、そこにあるべきものこそ Nisus Writer Pro だ。
手早く昔を振り返る
私は 2011 年に Nisus Writer Pro 2.0 のレビュー記事をここ TidBITS に書いた。(2011 年 6 月 8 日の記事“Nisus Writer Pro 2.0 レビュー ”参照。) その記事の中で私は Nisus Writer の歴史について少しばかり書き、私自身がこのアプリや Nisus Software に関わってきた様子を 25 年以上も遡りつつ、物語った。私は 1995 年に 600 ページから成る大部の著書 The Nisus Way を書いて、その当時のバージョンのこのソフトウェアを説明していた。そうして 2011 年時点での私の印象は、バージョン 2.0 が大幅な前進であり、長い長い年月待たされたがようやく macOS (当時は Mac OS X と呼ばれていた) 版のこのアプリがそれ以前の Classic 版アプリを本当の意味で引き継ぐ価値のある後継アプリとなった、毎日使っていてワクワクする気持ちにさせてくれるものとなった、というものであった。
その後間もなく、Take Control Books が Pages から Nisus Writer Pro へと切り替わり、このシリーズ書籍のすべての執筆、編集、制作の作業を Nisus Writer Pro でするようになった。私たちが作る本は長く複雑な書類であって、厄介なフォーマッティングもたくさんあり、変更追跡、コメント付け、自動番号付け、ブックマーク、動的な相互参照などの機能を多用していた。これらすべての機能を Nisus Writer Pro がようやくこなせるようになったという事実だけでも私たちには大きなことであった。ともあれ私たちが切り替えた決定的動機は、Pages では得られない (あるいはその前に使っていた Word でも得られない) 基本的な機能の数々が Nisus Writer Pro では使えたからだ。
Nisus Writer Pro 2.1 が 2015 年に登場して、多数の新機能を追加するとともに、バージョン 2.0 のレビュー記事で私が提起したいくつかの問題点にも対処が施された。(例えば Edit > Repeat コマンドが追加され、マクロ言語にも重要な改善が施された。) これはなかなか良い改訂版ではあったけれども、私が切望していたいくつかの重要な機能はまだ実現されておらず、腹立たしいバグもいくつかあった。私はその後も Nisus Software との関係を続け、バグを報告したり、私の欲しいものリストを伝えたりした。それらの点の大多数に、またもっと他の多くの点にも、彼らはゆっくりとだが確実に対処を続けてくれた。私は 2017 年 10 月以後ずっと Nisus Writer Pro 3 のベータ版を使っているが、既にしっかりした信頼できるツールであるものの上にあまりにも驚くべき進歩が加わっているので、私にはもはや前のバージョンに戻るなど想像もできない。
ピカピカの新しいものたち
Nisus Writer Pro 3.0 のリリースノート には、数多くの新機能、機能拡張、バグ修正がこと細かに列挙されている。けれどもリリースノートにありがちなこととして、説明はそっけなく簡潔で、その変更がどう役に立つのかが伝わらないきらいがある。そこで以下に、私が特に注目すべきと思う点をほんの少数だけ選んで説明を加えてみたい:
分割ビュー: ウィンドウを水平方向または垂直方向に分割して、一つの書類の中の複数個所を同時に見ることができるようになった。(実際、一つのウィンドウを何個にでも分割することが可能で、他のワードプロセッサでそこまでできるものを私は見たことがない。) 私は 2011 年のレビュー記事でこの機能がどれほど必要かを力説した。私は一つの原稿の中の複数の個所を比較しなければならないことがたびたびあり、そのためにいちいちスクロールして行きつ戻りつするのは面倒の度を超えているからだ。この変更一つだけでも、執筆や編集をする際に厖大な時間と苛立ちを省いてくれる。
コメントの改良: Nisus Writer Pro は今回から、コメントをスレッド化して「積み重ねた」状態で表示する。Word がする方法に似ている。これにより、著者と編集者が交わす会話を辿るのが、従来のコメントインターフェイスに比べてずっと楽になった。
インターフェイスの改善: フォーマッティングのコントロールは従来ウィンドウの横に付属するドロワに置かれていたが、今回からサイドバー上に置くか、またはフローティングパレットとして好きな場所に置くか、いずれかを選ぶようになった。配置が以前よりも道理にかなっていて、便利な新しいコントロールも多数あり、以前よりもカスタマイズが可能になった。とりわけ素敵だと思うのは新しい Formatting Examiner パレットで、従来はあちこち手で突つき回らなければ見つからなかった隠れたフォーマッティングやスタイルの情報がここにまとめて表示される。さらに、ツールバー上のアイコンも新しくなって、ようやく Retina 対応となった。Word と同様にしてマージンの中の線をクリック一つで選択できるようになったが、これには慣れが必要だろう。ただ実際は、クリックしてから ほんの僅か ドラッグする必要があることが多い。そうそう、プレインテキストの URL を Command-クリックすればデフォルトのブラウザの中で開くようになった。これは BBEdit でするのと同じだ。
設定のクラウド同期: Nisus Writer Pro は今回から、ほとんどの設定を (マクロ、スタイルライブラリ、キーボードショートカット、その他のカスタマイズを) iCloud または Dropbox を使って複数の Mac の間で同期できる。複数の Mac で Nisus Writer Pro を使っている場合、この機能は労力を省くとともに作業の一貫性を保証してくれる。
検索機能の改善: このアプリは従来から業界最高水準の検索・置換機能を備えてきたが、これがさらに進化した。現在開いている書類すべてを検索できるようになり、検索結果を別途フローティングウィンドウ上に表示することもできる。
同期スクロール: Classic 版にあったこの素晴らしい機能がようやく復活した。同期スクロールを使えば、二つのウィンドウを固定しておいて、片方をスクロールすれば、もう片方も自動的に同じ速度でスクロールするようにできる。よく似た二つの書類を目で見て比較するのが楽にできる。(従来のバージョンでもマクロを使えば二つの書類の間で変更追跡を使い相違点をハイライト表示させられるが、そのやり方ではマクロ動作そのものの帰結としてフォーマッティングや改ページが崩れてしまう。)
段落の前で強制改ページ: これも私が 2011 年のレビュー記事でリクエストした機能だが、この新しい段落レベルのスタイル・アトリビュートは、そのスタイルを持つ段落の直前に強制的に改ページを挿入する。たとえば章の見出しなどに使えば便利だ。これも、本を制作する際には多くの苦痛と手作業を省いてくれる。
新しいマクロコマンド: マクロ言語にも多数の新しいコマンドや拡張されたコマンドがある。そのうちいくつかのもので真価を感じることができるのは私のようなマクロオタクだけかもしれないが。私が最も気に入っているものの一つは新設された Image.sourcePixelSize プロパティだ。これで、画像の寸法を (バイト単位やポイント単位でなく) ピクセル単位でプログラム的に得ることができる。
バグ修正: 修正点は非常に多数あるが、そのうちかなりのものがこれまで Take Control の原稿で厄介事を起こしていた。クラッシュやハングの大多数が取り除かれ、ブックマーク、相互参照、目次などの奇妙な挙動がなくなり、段落の縁取り、濃淡付け、余白取りなどでの問題点が解消し、マクロは Nisus Writer Pro が前面にいなくても誤動作しなくなり、自動ハイフン付けの不安定な挙動が減り、その他にもいろいろある。その上、全体的なパフォーマンスもずっと、ずっと高速になった。
最初に述べたように、これはただほんの少数の例を挙げてみただけのことだ。しかもここには、私がこの製品を使っていて自分自身のために重要と感じたものしか含めていない。他にももっともっと、あらゆるタイプのユーザーを満足させられる改善点が何百とある。
でもまだ私にはもっと欲しいものがある
今回のリリースで私はこの上なく幸せだと言いたいところだが、その言い方は完全に正しいとは言えない。私はまだ もう少し上の 幸せを目指せる。
私がずっと前から Word で気に入っていて Nisus Writer Pro には欠落している機能が一つある。それは、複数のページを横に並べて表示することだ。Word では、ウィンドウを私の 27 インチディスプレイ一杯に広げて、View Ribbon 上の Multiple Pages ボタンをクリックすれば、最大 8 ページを同時に見ることができ、拡大率も (まあこれが限界かもしれないが) 文字が読める程度だ。もちろん、分割ビュー (Split View) 機能を使った上で少々手を加えて調整すれば部分的に同じことを達成できるけれども、Word であんなに楽々とできるのに比べればシンプルさもエレガントさも格段の違いだ。
ページ表示の話のついでに言えば、パフォーマンスが大幅に改善されたとはいえ、長めの原稿のレイアウトを再計算する際に Nisus Writer Pro ではまだまだ長い時間がかかり (その証拠に "Typesetting Text" ダイアログが頻繁に出る) それは私がレイアウトに影響する作業を何もしていなくても変わらない。とりわけ、分割ビューの使用中には頻繁に気になる。Nisus Software の担当者に尋ねてみたところ、これは Apple の Cocoa テキストエンジンを使っている結果なのでやむを得ないことだという。(これに対して Pages が使っている WebKit や、Word が使っているカスタムテキストエンジンは、どうやら Apple の CoreText フレームワークに依存して動作しているらしい。) この問題に対処しようとすれば根本的なアーキテクチャの変更が必要となると思われるし、現実問題として努力に見合うだけの結果が得られるかどうかも分からない。
Nisus Writer Pro は電子ブックの EPUB ファイルを作成できるけれども、そのフォーマッティングはひどいものだ。私が出版したいと思えるレベルの品質には遠く及ばない。Nisus Software から聞いたところでは書類を EPUB に書き出す際に Apple のフレームワークに依存しているので、細かい所を彼らがコントロールすること自体がもともとできないのだという。とても残念なことで、Pages がとてもうまく EPUB を作成することを考えれば腑に落ちないところもある。私はこの問題を回避するために、作成した本を複雑なマクロを使って Markdown に変換してから、ローカルなツールチェーンを使って Markdown を EPUB に変換している。でもやはり、こんな余計な手間をかけなければならないのは奇妙であり煩わしい。
それからまた、私は Nisus Writer Pro にライブのシンタックスカラーリング機能があればよいのにと長年願い続けている。これも、私が未だに BBEdit を使って Markdown、HTML、XML、CSS、PHP、Perl その他のファイルを編集している理由の一つだ。
最後に、厄介なバグもいくつかまだ残っている。その一つは私が 2011 年にバージョン 2.0 のレビュー記事でも触れたことだが、ブックマークされた文字列の最初の文字を変更すると最後の文字を変更した場合とは違った挙動を示すことで、そのブックマークを書類の中の他の個所から相互参照した際の挙動が予測不可能 (ほとんど常に誤った挙動) となる。また、画像に付けたキャプションのテキスト全体を選択してそこに新たな文字をタイプすると相互参照が崩れてしまうが、キャプションの最初の文字だけ残して他を選択した場合には問題ない。それから、何らかの種類の見出し部分を含む一連のテキストを選択してからそれを削除し、その後でその削除を取り消し (undo) すると、見出し部分のスタイルが変わってしまっていて、何回 undo を繰り返しても元に戻らないことがよくある。(苛立たしいことに、この挙動を私は何度も目にしているというのに、同じ書類で二回連続再現させることに一度も成功していないので、これは追跡がとても難しいバグだ。)
結びに細かい情報を
Nisus Writer Pro 3.0 は Nisus Software から直接にも Mac App Store からも入手可能で、ダウンロードサイズは 334 MB だ。これとは別に Nisus Writer Express も入手可能で、こちらは機能をずっと減らした (それに応じて価格も $20 と安い) バージョンのアプリだ。Nisus Writer Express の現行バージョン 3.5.10 は、まだ古い方の Nisus Writer のコードベースを使っているので Nisus Writer Pro 3.0 で登場したインターフェイスの改善や新機能は含んでいない。
結びにもう一言。皆さんから質問が届く前にお答えしておくと、いえ、残念ながら私が Nisus Writer を扱った新しい本を書く可能性はゼロに近い。数ヵ月前に顧客の皆さんにお尋ねした Take Control Customer Survey の調査結果によれば、Nisus Writer Pro に関する本への関心はサードパーティのアプリの上位 10 位以内にも入らなかった。そのことに加えて他のさまざまのデータを考慮しても、私としては努力を他のところに注ぐ方が良いという判断をせざるを得ない。もちろん、バージョン 3 のお陰で Nisus Writer Pro に対する世の中の関心がうなぎ上りに跳ね上がれば (もちろん私はそうなるべきだと思っているが!) 私もその判断を考え直すかもしれない。
討論に参加
私は最近、教育科学関係の非営利団体 の舵取りをするようになった。良い専門技術者なら誰でもそうだが、私が直感的にまず取り組んだのは管理とコミュニケーションの基盤構造を自動化し能率化するためのツールを探すことであった。メジャーなテクノロジー会社ならばどんなところでも、時には声高に、時には相手を選んで、良き仕事をしている人たちのためにサービスを無料で、または割引価格で提供していますよと宣伝するものだが、実際にそのようなリソース(提供物)を見つけ出してアクセスするとなれば話は簡単ではない。それでも、例えばあなたの非営利団体が Microsoft Office を 95% 引きの価格で入手できるとなれば、それだけの価値はあるだろう。
ありがたいことに、この種のことのクリアリングハウス(情報交換所)として働いてくれる団体、TechSoup が存在する。TechSoup では素晴らしくお得な買い物ができて、広範囲にわたるリソースのカタログを提供しているが、ここをうまく使いこなすのはなかなか難しいこともある。まずは TechSoup がどのように機能するのかを紹介しよう。
TechSoup for the Soul (教会以外のグループにもこころの TechSoup を)
TechSoup が存在するのは、リソースと各団体とを結び付ける際に双方の側で問題が起こるからだ。例えばあなたが Adobe で、あなたのソフトウェアを良き仕事をしている人たちに寄贈したいと思ったとしよう。だからといってあなたはただ門戸を広げて誰でも入れるようにする訳には行かない。もしもあなたが Parent-Teacher Association (PTA, 父母と教師の会) でボランティア活動をしている人すべてに Creative Cloud を割引価格で提供するようにしたならば、あっという間にあなたの顧客全員がただ一年に一度クッキーを焼くだけで毎年 $400 ずつ節約するようになってしまうだろう。
その代わりに、Adobe のような会社 (現在 80 社以上ある) が対象を選ぶ手続きを TechSoup に外部委託して、TechSoup がそれを受けて Internal Revenue Service (IRS, 米国国税庁) に審査を依頼する。もしもあなたの団体が IRS から 501(c)(3) 規定に基づく団体[訳者注: 最も一般的なタイプの免税非営利団体]と認められれば、あなたは (TechSoup のサインインページに書かれている表現に従えば)“おそらく”適格で、本当に適格か否かをチェックするための フォームも提供される。宗教団体は 501(c)(3) 団体に分類される可能性が高い) 。また、Institute of Museum and Library Services (博物館・図書館サービス機構) のデータベース に登録されている図書館はすべて、501(c)(3) 分類とは関係なく適格とされる。ただし、税法上別の分類に属する非営利団体、例えば 501(c)(4) 分類に属する政治活動を行なう非営利団体は対象から除外される。米国以外の団体も大丈夫、TechSoup は全世界規模で活動している 。
少々奇妙なことに、501(c)(3) 団体と認められていない学校は、TechSoup を利用できない。公立学校や政府機関は、501(c)(3) 認定を受けられない。私立学校についてはその学校のビジネス構造によるが、たぶんその時の税務審査官の気分によって左右されるのかもしれない。いずれにしても、あなたが学校を運営していてその税法上の分類を決定する力を持っていない限り、学校が資格を得たいと思ってもあなたにできることは何もない。ただし別途教育プログラムを運営してそれに対する 501(c)(3) 申請をすることは可能かもしれないし、また近所のコミュニティー組織が 501(c)(3) 資格を持っていればその傘下に入ることができるかもしれない。けれどもそのような非営利団体も、すべて TechSoup に申請して資格を認められなければならず、501(c)(3) 団体が自動的に会員になれるのではないことを忘れてはならない。
非営利団体を設立するのはとてつもなく困難という訳ではないが 、誰もが気軽にできる訳でもない。私自身はこれまでいくつか法人化をしないままの「非営利団体風」の組織に関係したことがある。複雑なのはただ単に申請の手順のみではなくて、後日資格が取り消されないようにするためにコンプライアンスの継続的な手続きに対処し続けなければならないところにある。その上、もしも資格が取り消されれば、営利活動をしつつ非営利団体の恩恵を受けていたということになって、法律的な刑罰や追徴税が課されるおそれもある。非営利団体の運営は、ボランティアのうち二人が弁護士と会計士でありさえすればぐっと楽なものになる。
歴史的には、非営利団体となる主たる動機は会員たちが寄付した金額をそれぞれの所得税から控除できたからだ。けれども 2018 年の税制改正 により、そのようにして個人的利益を受けられるためには (非営利団体への寄付をすべて合わせて) 従来よりも多額の寄付をしなければならなくなった。
とは言うものの、もしも私がまだ法人化していない非営利団体を運営していたならば、TechSoup は 501(c)(3) の資格を得たいと思う大きな要因となるだろう。必要としているものにマッチしさえすれば、TechSoup が提供できる利益はかなり大きなものだ。
スープに加わるには
TechSoup への申請は無料ででき、会員となるのも無料だ。何かを入手したいと言わない限り、あなたがお金を支払う必要は一切ない。TechSoup はこれに関してちょっと奇妙な (むしろ誤解を招きやすい) 用語を使っている。つまり、「donation (寄付)」と言わず「fee (手数料)」という言葉を使う。「Mac 用の Microsoft Office を無料で入手なさりたいですか? それでは $29 の手数料をお支払いください」という感じだ。
でも、TechSoup から届く電子メールに書かれている $588 という市場価格に比べれば、素敵な 95% 割引だ。これは、誰でも安く手に入れられる Home and Student 版ではなくて、正式版の製品だ。「fee (手数料)」の金額はあなたが申し込んだ製品の価格との間におおよその相関関係があるので、これは実質的に言って大幅な割引価格で TechSoup から購入することに相当する。その割引率は製品によって異なり、ソフトウェアやサービスでは割引率が大きく、ハードウェアの割引率はそれほどでもない。
セットアップには次の三段階が必要となる:
TechSoup の会員として、あなたの個人アカウントにサインアップする。
あなたの団体を TechSoup に登録し、検証をリクエストする。(あなたの団体が 501(c)(3) 団体でも図書館でもなければ、ここを通過できない。)
あなたの個人アカウントをその団体の認定済み代理人としてセットアップする。一人の会員が複数の団体の代理人となることも可能で、一つの団体が複数の代理人を持つこともできる。
もしもあなたが一人のボランティアとして既存の非営利団体をセットアップしたければ、その団体にいる誰かにあなたの地位を証明する書類を書いてもらう必要がある。私の場合、他のいろいろな書類とともに、IRS が発行した私たちの団体の資格を証明する書式も同封する必要があった。501(c)(3) の税申告は公開されているので、その証明は既にオンラインで入手できるものであったのだが。これらの書類を使って、TechSoup はその団体の資格を確認するとともに、あなたがその団体の代理人となれるという暗黙の証明もできる。団体内部で支持されている人でなければ書式を得られないからだ。
審査には一週間ほどかかったが、私の場合団体自体は既にサインアップ済みで、私は団体の資格を証明する必要がなく、私自身の資格を証明するだけでよかった。TechSoup によれば団体の資格審査は 最大 7 営業日かかり 、それに加えて代理人の認定に必要な日数が別途かかるという。
しかしながら、たとえあなたの団体の資格が認められてあなたが代理人の資格を得たとしても、それだけで必ずしも TechSoup の製品カタログ に載っているものすべてが入手できるようになる訳ではない。なぜなら、TechSoup に製品を寄贈した各社がそれぞれに製品ごとに追加のルールを設定できるからで、また個々のリクエストごとに人間の手で審査が行なわれるからだ。予算規模の大きな団体は寄贈を拒否されるかもしれないし、リクエストできるライセンス、シート、ハードウェアユニットの個数に上限が設けられる可能性もある。
寄贈されたものを受け取った後も、あなたができることに関する約款や条件が適用される。その団体の外部へ所有権を委譲することは許されないので、例えば団体が Office のコピー 100 個を購入してそれを最大の寄贈者に譲ることはできない。ただし、多くのボランティアがそれぞれの仕事の一部として団体のために働いているので、ここにはグレーゾーンがある。個々の非営利団体がどのようにして「資格のあるボランティア」を判断するかは実際大きな抜け穴であって、あまりにも大きな穴なのでその中を Salvation Army の大隊が行進して通れるくらいだ。TechSoup は寄贈のリクエストを監視しており、違反行為を見つければ措置を講じることがあって、措置としては関連するポリシーを穏やかに伝えることから、会員資格の剥奪までさまざまなものがあり得る。
取り扱っているものは
TechSoup にサインアップする理由で断然突出しているのは Google の G Suite と Microsoft Office 365 (ダウンロード可能なアプリを含んでいないバージョン) への無料アクセスだ。この両者とも、私の団体程度の規模のところが講読すれば毎年何千ドルもかかる。そもそもの始めに私が TechSoup に興味を持ったのは G Suite に興味があったからで、Google が非営利団体向けに特別提供をしているのはこれだけだからだ。両者とも、TechSoup が認可した後で、それぞれの会社が追加の審査をする。この審査がとても込み入っているので、私は Mac 用 Office のアプリも Office 365 も、購入は済ませたがまだアクティベートしていない。(つまり、そもそも私は G Suite が欲しかったのでそちらを使っているが、Microsoft のアプリにはそれほど差し迫った必要がないのでまだそのための時間を取れないでいる。)
その他にもかなりの割引をしているソフトウェアやサービスがあるが、Mac 用 Office の 95% 割引や、G Suite の 100% 割引に比べれば、それほどでもない。Adobe Creative Cloud は標準小売価格が月額 $52.99 のところを月額 $19.99 で使える。($52.99 というのは最初の一年間の価格でその後はもう少し高くなるが、それでも「少なくとも」40% 割引には違いない。) FileMaker は 5 ユーザーのサーバ・パッケージを年額 $540 で提供していて計算上は小売価格のおよそ 80% 割引だが、1 ユーザー用に購入することはできない。
私が知る限りハードウェアで突出しているのはただ一つ、Mobile Beacon デバイスとその無制限データプランだ。これは非営利団体向けにモバイルインターネットアクセスを提供するために作られたものだ。1990 年代のポケットベル程度の大きさの小型デバイスが、モバイル Wi-Fi ホットスポットを提供する。全部で $120 を支払えば、Sprint ネットワーク上で無制限データが一年間提供される。ここでの「無制限」は一般的な意味よりも寛大で、月間 23 GB を超えれば接続にスロットルがかかるが、それはネットワークが混雑している場合に限られる。ただ、私はまだその上限に達するテストができていない。私に言えるのは、私自身の Project Fi 携帯電話が Sprint を使う際の速度と比較して、Mobile Beacon の方が少し遅いがとてつもなく遅いほどではないということだ。私は月額およそ $10 を払っていて通常の携帯電話料金より毎月 $40 から $60 程度安く済んでいるので、多少遅くても十分満足できる。これとは別に Mobile Beacon に直接注文することもでき、その場合も非営利団体の証明は必要だが、必ずしも 501(c)(3) である必要はない。特に注目すべきは、学校が Mobile Beacon を利用して自宅でインターネットアクセスを得られない生徒たちに提供できることだ。
それ以外に TechSoup が提供するハードウェアで興味を引かれるものはあまりない。整備済み製品のセクションもあるが、ほとんどが Windows ハードウェアだ。ここに mid-2011 iMac と early-2015 MacBook Air があるのを見つけたが、どちらも他でもっと安く買えた。ここにある Windows ハードウェアがお買い得なのかどうか、私には分からない。いくつか抽出して比べてみたが、Amazon 価格より高いものもあるかと思えば、あまりにも安くて違うモデルと比較しているんじゃないかと思えるものも一つか二つあった。他の会社の製品では (Apple は含まない) よくある「$10 の手数料を払えばわが社のウェブサイトで 30% 割引の購入ができる」という提供をしているものもあった。例えばオフィスに設備を整えたり、あるいは Cisco スイッチのような中程度のプロ向けハードウェアを揃えたりしたい場合には、この提供を利用すれば大きな節約になるかもしれない。
私の場合は G Suite が魅力的だったが、団体によっては別のソフトウェアパッケージが同じくらい魅力的であるかもしれない。例えば、現在私たちは経理関係の基盤構造を置いている場所で使うために TechSoup から製品を入手できないかどうか検討しているところだ。
TechSoup はまた、そのカタログとは別にさまざまのサービスも提供している。年額 $79 を払って Boost プログラムにサインアップすれば、いくつかのものの fee (手数料) が安くなる。TechSoup は IT 相談員とヘルプデスクも備えていて、必要に応じてこれにサインアップすることも、また年額講読をすることもできる。あなたの団体の IT 部門の必要をすべて置き換えるのは無理だろうが、経験のある人がおらずどんな質問をすれば良いのかさえ分からないような場合には、このサービスを使えば一歩前進できるだろう。
最後にもう一つ、あらゆる会社がここにある訳ではない。私の団体は無料のサービスを Salesforce から受けていて、私たちが非営利団体でなかったとすれば同じサービスを受けるのに五桁 (数万ドル) 以上かかるだろうと思われる。でも、同種のソフトウェアを 20 年間使ってきた私の目にも、Salesforce がこんなサービスをしているのは全く理解できない。けれども私の会計士が調べてくれたところでは、Salesforce が無料でサービスを提供している理由の一つは、講読中の非営利団体のうち一定程度の割合が有料トレーニングやコンサルティングのサービスを利用してくれるだろうと期待しているからなのだという。裏を返せば、何か欲しいものがあるなら、その会社が独自に非営利団体向けのプログラムを持っていないかと尋ねてみても損はないということだ。ただし、もしそうだとしても、手を出す前に何か隠された罠はないかどうか調べておくのを忘れないようにしよう。
G Suite と、Office 365 と、Mobile Beacon だけでも、私は TechSoup をお薦めできる。でも、私がお薦めする最大の理由は、ボランティアとしての私の仕事におけるテクノロジーの必要を満たすためのワンストップ・ショップとして、TechSoup が私に計画そのもののみに集中させてくれ、ものを探し回って費やす時間を不要にしてくれるからだ。そして、この種のことでは、ものを探し回る手間と時間こそ、真の制限要因だ。もしもあなたが非営利団体に関係していて、その団体がテクノロジー基盤構造を充実させたいけれども予算が足りないのならば、一度 TechSoup を試してみよう。
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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート
訳: Mark Nagata
Bombich Software が Carbon Copy Cloner 5.1.6 をリリースして、Microsoft OneDrive、Google Drive File Stream、Dropbox、および iCloud Drive の上にあるプレースホルダファイル の処理を改善した。これらが "online only" とマークされている場合、そのファイルをバックアップすることはできない。このドライブクローン作成およびバックアップ用ユーティリティはまた、起動ディスクに保存するスナップショットの個数を減らし、Task Filter ウィンドウの中で Final Cut Pro の .fcpbundle ファイルを通常のフォルダとして扱うようにし、前回のタスクを削除した後で新しいタスクを作る際にその名付けの方法を改善した。(新規購入 $39.99、無料アップデート、16.3 MB、リリースノート 、macOS 10.10+)
Carbon Copy Cloner 5.1.6 の使用体験を話し合おう
Retrospect Inc. が Retrospect 15.6 をリリースして、macOS 10.14 Mojave への対応を改善した。Retrospect 15.6 から新しい Retrospect Management Console を統合するようになり、最大 100 個のインスタンスの Retrospect を一つのインターフェイスから監視し、管理できる。今回のアップデートではまた、IceWarp 用の電子メール保護を追加し、Microsoft Windows 10 October 2018 Update 用のシステム認証を提供し、アプリがライセンスや講読を処理する方法を改善している。Retrospect は TidBITS 読者を対象にすべての Retrospect 製品を 25% 割引で提供している。Retrospect オンラインストア で購入する際にクーポンコード TIDBITS25 を使えば適用される。(新規購入は Solo が $49、Desktop が $119、無料アップデート、バージョン 13 や 14 からのアップグレード価格もあり、191 MB、リリースノート 、macOS 10.6.8+)
Retrospect 15.6 の使用体験を話し合おう
Omni Group が OmniFocus 3.1.2 をリリースして、ノート機能にいくつかの拡張を施した。Format メニューに Simplify Style 項目が加わり、スタイルを完全にクリアすることなくノートをクリーンアップして、その際に添付ファイル、リンク、ボールド、イタリック、取消線、アンダーラインは保持しつつ、フォントサイズやフォントカラーなど他のスタイルフォーマット付けのみ削除するようにした。このタスク管理アプリはまた、他のアプリケーションからのリッチテキストのペーストを改良して意図しない黒いテキストが作られるのを防ぎ、前面のカラーが暗過ぎたり明る過ぎたりした場合にノートをより適切なカラーで表示するようにした。今回のアップデートではまたいくつかのクラッシュを除去するとともに、OmniFocus Dark テーマの下での Focus ツールバーボタンの見栄えを改善している。(Omni Group ウェブサイトでの新規購入は Standard 版が $39.99、Pro 版が $79.99、Mac App Store では Standard 版が $39.99、アプリ内購入で Pro 版にアップグレード可、以前のバージョンからのアップグレード価格あり、45.4 MB、リリースノート 、macOS 10.13+)
OmniFocus 3.1.2 の使用体験を話し合おう
The Iconfactory が Mac 用 Twitterrific (2018 年 3 月 2 日の記事“消滅した Twitter の Mac 用アプリに代わる三つの代替製品 ”でレビューしている) のバージョン 5.3.7 を出して、macOS 10.14 Mojave 上で Light と Dark のモードに応じて自動的に切り替わる新しいテーマ設定を組み込んだ。この Twitter クライアントは新しい共有拡張を追加して他のアプリからリンクや写真を tweet できるようにし、アクセス可能な ALT 画像説明も付けられるようにした。(System Preferences > Extensions > Share Menu にある。) 今回のアップデートではまた、ポップオーバーを別ウィンドウとして開く上級設定を追加し、tweet を書いている最中にアクティブなアカウントを切り替えても添付ファイルが削除されないようにし、Tweets タブと People タブを切り替える際に検索クエリーが保持されるようにしている。(Mac App Store から 新規購入 $7.99、無料アップデート、11.1 MB、macOS 10.11.6+)
Twitterrific 5.3.7 の使用体験を話し合おう
Ergonis Software が PopChar X 8.5 をリリースして、macOS 10.14 Mojave の Dark モードへの対応を改良した。この文字発見ユーティリティは今回から文字表の表示を従来通りの白い背景に黒い文字か、またはダークな見栄えにマッチする暗い背景に明るい文字か、いずれかを選べるようになった。また、Dark モードでのハイライト色を微調整するとともに、Mojave の下で PopChar が信頼性をもって呼び出されないことがあった問題を回避している。
より一般的な機能について言えば、PopChar X 8.5 ではお気に入りの文字をハイライト表示するオプションを Preferences に追加し、スキントーンと text/emoji のポップアップメニュー上で選択された項目を正しいアクセントカラーでハイライト表示するようにし、ウィンドウをリサイズする際のちらつきをなくし、リサイズの助けになるビジュアルなフィードバックを提供し、メニュー上でレイアウトをアルファベット順に並べるようにした。(新規購入 29.99 ユーロ、TidBITS 会員 には 25 パーセント割引、バージョン 8.0 からは無料アップデート、4.6 MB、リリースノート 、macOS 10.6+)
PopChar X 8.5 の使用体験を話し合おう