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#1444: Apple のホリデーフィルム、電子メールをスヌーズしない理由、ブラウザなしデバイスと Wi-Fi ホットスポット、Ergotron WorkFit-TX 立ち机変換装置

年に一度の会員期間更新の時期がやって来た。今後も毎週 TidBITS をお届けできるために、皆さんのサポートが必要です! 今はまたホリデーシーズンへと向かう時期でもあり、Apple はそれを記念して素敵なショートフィルムを公開した。それと同じくらい楽しいのが Command Control Power ポッドキャストのホストたちが Song A Day で有名なソングライター Jonathan Mann に作らせたテーマソング "Have you tried restarting?" だ。ホテルや病院などで Wi-Fi アクセスのため Captive Portal ページが必要な場合、Apple TV などブラウザを持たないデバイスでそれにどう対処すればよいのかを Josh Centers が説明する。立ち机を使おうかと思案中の人のために、Julio Ojeda-Zapata が (高価だが) 素晴らしい立ち机変換装置 Ergotron WorkFit-TX をレビューする。最後にもう一つ、ますます多くの電子メールアプリがメッセージを後日まで保留する「スヌーズ」機能を提供するようになってきていることにお気付きかもしれないが、Take Control of Your Productivity, の著者 Jeff Porten はその機能を好きになれず、もっと良い方法を提案する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、BBEdit 12.5.1、Mellel 4.1.4、CopyPaste Pro 3.5.9、VMware Fusion 11.0.2、それに ChronoSync 4.9 と ChronoAgent 1.9 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

2019 年も TidBITS に皆さんの援助を!

1992 年に、私たちは初めてインターネット上の広告プログラムを開始した。けれども記事 "TidBITS Sponsorship Program" (1992 年 7 月 20 日) が説明した通り、これはむしろ Public Broadcasting Service や National Public Radio のスポンサー制度に似たものであった。当時の私たちは予想もしなかったことだが、その 19 年後になって私たちは再び PBS や NPR からヒントを得て、読者からの直接のサポートをお願いするに至った。この点については記事“TidBITS 会員になって TidBITS をサポートしよう”(2011 年 12 月 12 日) をお読み頂きたい。

以来ずっと、この TidBITS 会員プログラムは私たちが TidBITS を毎週お届けするために必要な、スタッフ、サーバ、それに開発の努力を支える費用を支払えるための、不可欠の存在となっている。皆さんのサポートに感謝を申し上げたい! とりわけ、私たちの同僚のあまりにも多くがもっと実入りの良い企業での職に誘われていることを考えればなおさらだ。Apple のサポート書類はその動きの恩恵を受けてきたのだけれども、その反面今では独立の立場で声を挙げる人たちが少なくなってしまい、何かがうまく行かなくなった際に、あるいはサードパーティの製品に依存せざるを得ない解決法を模索しようとする際に、問題に直面した Apple ユーザーたちに援助の手を差し伸べることが以前より難しくなっているのが現状だ。

正直に告白しよう。この一年は困難だった。インターネットの基盤構造を改訂するために私たちが長い時間を掛け過ぎたため、また会員手続を eSellerate から Paid Memberships Pro と Stripe へと移行させたため、私たちは数百名もの会員を失った。さらにもっと悪いことに、会費支払いに関する詳細情報を旧システムから新システムへ転送することが不可能だったため、これまで会員資格が自動更新されていた方たちも、今年は皆さん各自に手動で更新して頂かなければならなくなった。

更新をお願いするリマインダーの電子メールが今週中に現会員の皆さんにあてて発送されるはずで、どうか皆さんに更新して頂きたいとお願いする次第だ。皆さんお一人お一人の力が、大きな力を生むことをお分かり頂きたい。私たちの新システムがどなたにも理解しやすく使いやすいものであると期待しているところだが、もし何かトラブルに遭遇されたなら、Lauri Reinhardt に電子メールを [email protected] あてに送って頂ければ彼女がお手伝いさせて頂く。

まだ TidBITS 会員プログラムに参加して下さっていない皆さん、どうか皆さんも他の 2400 人近くの読者の方々に加わり、会員になって頂けませんか? 私たちが実用的でタイムリーなコンテンツに重点を置いていて、他の多くのサイトが宣伝のためにしているような論争を劇的に演出した記事など書かないことを、皆さんはご存じでしょう。そんな私たちの仕事は、皆さんにとってどのくらいの価値があるでしょうか?

サポートのレベルは、いろいろの異なるものから選べる: $20, $50, $100, $1000, またはあなたのお好きな月額あるいは年額を設定して頂くこともできる。会員特典はどのレベルでも同じだが、ただし $1000 のレベルだけは例外で、これは終身会員資格であって、しかもあなたがここ Ithaca を訪れた際に、または私たちがあなたの町を訪れた際に、私と Tonya と一緒の素敵なディナーを一回ご馳走したい。本当の話だ。ほんの数ヵ月前にも、オーストラリア在住の TidBITS 会員が Ithaca に立ち寄ってくれた際に、私たちと一緒に食事と会話を楽しむことができた。

会員特典の話を続けると、私たちは会員の皆さんのために多数の特典を用意している:

デザインを一新した私たちの Membership Benefits ページを、ぜひとも一度スクロールしてご覧あれ。このページには、会員が割引を受けられるすべての Mac 用アプリの美しいアイコンが並んでいる。そこに並んだ重要なアプリには、1Password、Audio Hijack、Default Folder X、DEVONthink Pro、Keyboard Maestro、LaunchBar、Nisus Writer Pro、PDFpen、PopChar X、Scrivener、SpamSieve、他にもまだまだある。(あなたの会社の製品をここに含めたいとおっしゃる方は、どうぞ私にご連絡頂きたい。)

そういうわけで、もしもあなたにとって TidBITS が価値あるものならば、あるいはもしもあなたが私たちのスタッフメンバーの誰かに尋ねて個人的に助けを得たことがあるならば、どうかあなたも TidBITS 会員になって、私たちが今後も出版を続け、あなたが毎週読むのに慣れ親しんだ種類の記事をお届けできるための援助をして下さるようにお願いしたい。あなたには不滅の感謝の念をお送りしたいし、それよりもっと大切なこととして、あなたが読んだ記事のすべてがその一部をあなた自身の寛大さによって支えられているという実感を持って頂けるようになるだろう。どうかよろしくお願いします!

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple のホリデー・ショートフィルム "Share Your Gifts"

ホリデーシーズンが近づいたが、Apple が "Share Your Gifts" と題した素晴らしいショートフィルムを YouTube に公開した。自分の作品を世界に向けて公開するのを恐れていたクリエイティブな若い女性が、彼女の犬に助けられて自分の殻を破ることができるまでを描いた、とても素敵なストーリーだ。嬉しいことに、Apple が iPhone や iPad に重点を置き過ぎていることに少々飽き飽きしている人たちには心温まる情景だが、彼女は自分自身を表現するために MacBook を使っている。Apple がこのような形で Mac への関与を証明してくれるのを目にできるのはありがたい。

Apple が委託して 16 歳のソングライター Billie Eilish に作らせた歌 "come out and play" に乗せて、この短編映画は物理的に作ったミニチュアの家や町並みのセットとコンピュータ生成のキャラクターたちとを効果的に組み合わせている。Apple は「メイキング」ビデオも公開していて、それを観れば私たちも舞台裏を覗くことができ、そこで働くデザイナー、アニメーター、その他このプロジェクトに生命を吹き込んだ大勢の人たちの生の声を聞くことができる。私には想像するしかないが、はたしてどれほどの予算が投じられたのだろうか。

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Adam Engst

Command Control Power ポッドキャストに Jonathan Mann の楽しいテーマソング

私が TidBITS Content Network の仕事をしていて一番気に入っているものの一つは多くの Apple コンサルタントや再販業者の人たちと話ができることで、彼らは驚くほどギーク風の話や技術的な試練の話を語りたくて仕方がないからだ。MacTech のようなカンファレンスではもちろんそういう話ができるのだが、それ以外の場で最近の私がその種の話をいつも聞いている情報源が、Command Control Power ポッドキャストだ。毎週公開されるこのポッドキャストのホストを務めているのは PsiMac の Joe Saponare、HCS Technology Group の Sam Valencia、MacWorks の Jerry Zigmont という3名のコンサルタントたちだ。

けれども私が最も新しいエピソードを再生してみると、かの驚異のソングライター、Jonathan Mann その人に彼らが委託してこのポッドキャストのテーマソングを書いてもらったと知って、私は腰を抜かすほど驚いた。このポッドキャストのモットーからヒントを得たその曲 "Have you tried restarting?" は、とても陽気で素晴らしい出来映えだ。ぜひ聴いてみて頂きたい。

(Jonathan Mann は 2009 年 1 月以来毎日1曲ずつオリジナルな歌を書いている人物だ。彼の作品で最も有名なのは "The iPhone Antenna Song" で、この曲は Steve Jobs が iPhone 4 の記者会見の前にその会場で流した。)

[訳者注: "The iPhone Antenna Song" については GIGAZINE の日本語記事“Appleのアンテナ問題でジョブズが踊った「iPhone アンテナの歌」の真実 - GIGAZINE”が Jonathan Mann 本人の話を伝えています。]

Command Control Power のホストたちは、私たちがシンジケート供給している TidBITS Content Network のヒント集や記事も使っており、最近のエピソードでも数回取り上げてくれた。2018 年 10 月 2 日のエピソード "Pontiac Data Loss" では、Mojave と iOS 12 にいつアップグレードすべきかについて私たちが述べたアドバイスをクライアントと共有することについて議論してくれた上に、彼らのスタッフに TCN の記事は必読だと薦めた話もしてくれた。一部をクリップとして付けておこう。

必読だという話は、2018 年 10 月 16 日のエピソード "Hey Siri, Will you dance with me?" の中にももう一度登場した。Apple のキーノートでの発表を扱った私たちのボーナス記事を読んで、Joe Saponare はこの記事を自分の従業員たちの必読記事だと判断し、最小公分母の知識として必ず読んでおくようにと言ったという。また、私たち TCN が技術的レベルの中庸を見出すことに成功していると Joe と Sam Valencia が話すのを聞いて、私は心から喜んだ。

 [TCN コンテンツは] 話題を簡略化し過ぎることもないが、一般的な読者の理解を超えるほどに微妙な言い方をすることもない。だからここで使われる言葉は、さまざまの異なる人々にも伝わる普遍言語だと言える。

ごく最近になって私たちは TCN 購読者向けにボーナス記事を出して、Apple による新型の MacBook Air と Mac mini と iPad Pro の発表について論じた。すると 2018 年 11 月 12 日のエピソード "MacMini Why For Art Thou?" で Command Control Power のホストたちは、現在起こっている状況の最新情報に通じていられると知ってもらうためにその種のニュースをクライアントと共有することの意義について話し合った。とりわけ Jerry Zigmont は、その種の Apple 発表に際して彼の電子メール・ニュースレターからのクリック数が最も多くなるとコメントした。

もしもあなたが Apple サポートの仕事で生計を立てているのなら、Command Control Power をあなたのポッドキャストのキューに加えておくことを強くお勧めする。それはまるで、個人や企業が Apple デバイスを最大限に活用できるよう援助する世界に深く没頭して働く男たちと、一緒に座って雑談しているようなものだ。そしてもちろん、もしもあなたがご自分が出版している電子メール・ニュースレターやブログの中に援助の役に立つコンテンツを取り入れたいと思っておられるなら、ぜひとも私たちの TidBITS Content Network を試してみて頂きたい。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

ブラウザ無しの機器で Wi-Fi ホットスポットの強制入口を通る方法

多くの Wi-Fi ホットスポットは - ホテルや病院で提供されている様な - あなたの機器に Internet へのアクセスを許す前に、"キャプティブポータル (強制入口の意)" と呼ばれるページを使っての認証を必要とする。これは、通常そのページ上の "同意する" ボタンをクリックするだけの話である。でも一つだけ問題がある:Apple TV や Nintendo Switch の様な機器は Web ブラウザを持っておらず、従ってこれらのページにアクセス出来ない (Switch はこの目的のために持っているらしいが、私が必要とする時に現れたことがない)。幸いにして、もし近くに MacBook があれば、この問題は簡単に解決出来る。

An example of a captive portal.

仕掛けは MacBook を、接続したいブラウザ無しの機器に - 例えば Apple TV - 変装させて、キャプティブポータルをクリックで通り抜け、そして MacBook を外して、その機器を接続するのである。これを Apple TV の MAC アドレスになりすましてやることも出来る。MAC アドレスとはネットワーク機器のハードウェア固有識別子である。全ての Ethernet ポートや Wi-Fi カードはそれぞれに MAC アドレスを持っている。以下の手順を踏む:

  1. なりすましたいブラウザ無しの機器の MAC アドレスを見つけ出す。Apple TV であれば、Settings > General > About に載っている。Wi-Fi を使っているのであれば、それは Wi-Fi Address と呼ばれていて、この様に見えるものである:00:14:22:01:23:45。
  2. ブラウザ無しの機器の電源を落とすか、或いは、少なくとも Wi-Fi にはつながっていないことを確認する - Apple TV でこれをやる一番簡単な方法は電源プラグを抜くことである。これらの Wi-Fi ホットスポットでは、一度に一つの固有 MAC アドレスしか許さないので、もしそれがつながっていると、以下の手順で MacBook を接続出来なくなる。
  3. メニューバーにある Wi-Fi アイコンを Option-クリックして、Wi-Fi インターフェース名と MAC アドレスを調べる。インターフェース名は en0 か en1 であるはずである。
    The alternative Wi-Fi menu bar dropdown shows your Wi-Fi interface name and MAC address.
  4. Wi-Fi メニューから Turn Wi-Fi Off を選択する。
  5. Terminal を開いてこのコマンドを入力する。en0 を自分のインターフェース名と、ブラウザ無しの機器の MAC アドレスである 00-14-22-01-23-45 で置き換える。sudo ifconfig en0 ether 00-14-22-01-23-45
    ええ、コロンをハイフンで置き換えなければならない。あなたの管理者パスワードを求められたら入力する。このコマンドは MacBook の Wi-Fi カードの MAC アドレスを変えるが、再起動する迄の間だけである!
  6. メニューバーの Wi-Fi アイコンを再度 Option-クリックして、MAC アドレスが変更されていることを確認する。
  7. Wi-Fi をオンに戻し、そのホットスポットの Wi-Fi ネットワークに接続し、Safari で何かの Web サイトを訪問しようとしてそこのキャプティブポータルを引っ張り出す。
  8. MacBook を認証するために、案内に従う。
  9. 一旦オンラインになったら、MacBook を再起動してその真の MAC アドレスに戻しておく。

ここまでくれば、Apple TV や他のブラウザ無しの機器を問題の Wi-Fi ネットワークに、電源を入れるか、Wi-Fi に接続することで直接つなげるはずである。

もしそのホットスポットが有料で、2台目に課金されるのを避けたければ、ブラウザ無しの機器も MacBook も、同じ MAC アドレスを保てば、同時に両方接続しない限り、両方とも使える。それには、上記の Step 9 で、MacBook を再起動する代わりに Wi-Fi をオフにして, ブラウザ無しの機器を接続し、そしてそれが済んだら、ブラウザ無しの機器をを切断し、そして MacBook の Wi-Fi をオンにする。

このやり方を使えば、出張中や長期の入院中に、暇つぶしに TV を見たり、ビデオゲームをしたい時にも、余計な心配をしないでやれる。私は最近この様な場面に遭遇した。それは我が家の二番目の息子の誕生の時であった - ようこそ Jeremiah Stone Centers! - 元々は出産のために、それから彼の新生児黄疸に対する治療のために二日間光線療法を受けるためであった (彼はもう大丈夫)。私の経験からすると、家族の一員として病院で過ごす殆どの時間は座っていることであるが、私はストレスで疲れきっておりとても生産的なことなど出来る状態ではなかった。Stone が光を浴びている間に、Nintendo Switch でゲームが出来るのは暇つぶしに大いに役立った。

Baby Stone under his bili light.

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Julio Ojeda-Zapata  訳: 亀岡孝仁  

Ergotron WorkFit-TX 座り/立ち机変換台、良く出来ているが高価

立ち机は大はやりであるが、ボタン一つで着席から立ち作業の高さへと電動で動く高級モデルは誰にでも手が出るものではない。我々の多くは、伝統的な固定型の机から逃れられない。

ここで重宝するのは、机変換台である。これらの台は通常の机の上に収まり、どの様に作業したいかに応じで上げ下げ出来る。これらの台にはまた、モニター用のプラットフォームとキーボードとマウス用の別の平面も付いている。素晴らしい! これで完全に機能的な立ち机が自分の物となる。しかも、多くの場合より懐に優しい金額で。

私は、前にも机変換台について書いたことがあるが ("高価な立ち机の安価な代替品" 8 April 2016 参照)、この話題をもう一度取り上げる積りはなかった。しかし、新しい Ergotron 製品が私の目を引いた。その理由は、他の変換台に見られた問題を解決するからである。この種の台で完成の域に達するのは至難の技である。その理由の一つはユーザーの好みや必要性が異なることにあるが、WorkFit-TX Standing Desk Converter は、私が見た他のどれよりも完成の域に近い。しかし、これは安くはない。

では、WorkFit-TX の機能と、他の物からどの様に抜きんでいるのかを見てみよう。

上へ、上へ、でも離れたまま

他のデスクトップ変換台と同様、WorkFit-TX は台を上げ下げするのにレバーシステムに依存している。WorkFit-TX の嵩と重さを考えると、これは結構運動の足しになるかもしれない。

The keyboard and mouse tray.

大事なことだが、WorkFit-TX は垂直に上下する。他の台の中には、上昇する際に弧を描いてユーザー側にせり出してくるものがあり、これだと貴重な作業空間に食い込んでくる。

この事実だけで WorkFit-TX を Ergotron ハードウェア製品群の中から選び出したわけではないが、と言うのも同社は同じ様に動作する他の台も売っているので、競合製品の弧を描く動作を考えると指摘しておく価値はあると思う。

奥行きはとてつもなく深い

通常、モニターは台全体と共に上下するテーブル状のプラットフォームの上に置く。 WorkFit-TX の棚は2台のディスプレイを置けるだけの広さを持ち、そしてまた一対のディスプレイを取り付けられる金具もオプションで装着出来る。ここに関しては、特別新しいことは何もない。

しかし WorkFit-TX プラットフォームはまた奥行きも深い。多くの人にとって、とりわけ我々の様に年をとってきた人間にとっては、この奥行きは極めて大事である。何故ならば、画面が近すぎると読みづらいからである。私には、近すぎる配置は光学的に受け入れ難いと感じられ、それが Ergotron や競合社からの他の変換台を使わない理由でもある。

A guy working on the WorkFit-TX.

しかし、WorkFit-TX だと、私の iMac との距離をその日の気分や目の状態に合わせて変えられる。これはとても良い。

Ergotron によると、モニタープラットフォームの深い奥行きには他の用途も考慮されていると言う。ユーザーは、スマートフォンやタブレットを置く、仕事の書類を広げる、好きなものを飾る、周辺機器を配置する等々のための余分な場所を求めたという。広さはそれらのためには十分である。しかしながら、WorkFit-TX には、スマートフォンやタブレットを見やすい角度に固定するためのスロットやスタンドが欠けている。他の Ergotron 変換台にはこの気の利いた機能が付いたものがあるのに。

低姿勢を保つ

WorkFit-TX のプラットフォームは、立ち位置での作業用に伸ばした時、必要以上に嵩張って見えるかもしれない。しかし、設計の改善の中で、Ergotron は、畳んだ位置でのプラットフォームの輪郭を小さくする方法を見つけ出た。文字通り目の前から消えてしまったりはしないが、机上にのさばった感じを与えたり、作業キュービクルに付きものの閉所恐怖症を助長したりもしない。

The WorkFit-TX lowered.

意見歓迎

立ち机や机変換台を利用する時、キーボードとマウス (或いはトラックパッド) を置く場所が必要となる。立ち机の中には、全てを置くための一つの大きな平面だけを提供するものもある:モニター、キーボード、マウス、等々である。

それは人間工学的に言えば余り良いとは言えない。と言うのも、タイプする時には腕は約 90 度曲がっていて、画面は顔の正面にあるべきだからである。多くの人の体型を考えれば、キーボードと画面はしっかり分離されていなければならない。(この分離の不在がラップトップの明白な人間工学的な問題の一つであり、iPad Pro と Smart Keyboard の組み合わせでは更に顕著となる。)

デスクトップ変換台を使う場合、より一般的なやり方は、モニターのプラットフォームよりも低い位置に入力機器用のトレイを別に用意することである。通常、そのトレイはその高さで固定されている。しかし WorkFit-TX の場合、そのキーボードトレイは独自のレバーシステムを使って調整出来、最大 3.5 インチ (9 cm) 迄デスクトップよりも下げられる。多くの固定机は、心地良くそして健康的なタイピングのためには高すぎるので、これは重要である。

また、このトレイは傾けられる。プラットフォームの下にある脚を外に開いて手前側の端を少し上向きに傾けられる。これを奇妙だと感じる人もいるかもしれないが、腕を真っ直ぐに、或いは少し下向きに保っておかなければならない人達にとって、これは神の恵みである。(多くのキーボードで見られる奥の方が少し高くなっている構造は、タイプ時に手首を上向きに曲げておくのが困難な人達に心地悪い思いをさせる可能性がある。)

The tiltable tray.

WorkFit-TX のキーボードトレイは 28 インチ (71 cm) の幅があり、キーボードを置いた上に、更にマウスを心地よく操作するに十分なだけの空き領域を残してくれるが、他の多くの変換台ではそうはいかない。そうではあるが、より小さなキーボードを、Apple の Magic Keyboard の様な、使えば更に事態は良くなり、マウス操作に使える空間は更に増える。

同じ様に大事なことだが、WorkFit-TX の機器トレイは厚くそして頑丈である - ペラペラで曲がりやすい他のものとは違って - そして、それは本体にしっかり固定されているので、グラグラしたりしない。

このトレイには私の気になる設計上の要素がある:奥側の先端に出っ張りがあり、私の Magic Mouse はしょっちゅうそこに当たってしまう。その出っ張りは Phillips ねじ回しを使って取り外せることを知って私は安堵した。

悪い知らせ

WorkFit-TX は思慮深く設計されているとは言え、万人向きとは言えない。その奥行きの深いモニタープラットフォームは、多くの点で利点だが、多くの事務所のキュービクルで見られる奥行きの浅い机にはこの変換台は窮屈かもしれない。奥行きは 27 インチ (69 cm) で、幅は 32 インチ (81 cm) であり、その重量は何と 58.5 ポンド (26.6 kg) もある。総じて、このWorkFit-TX はちょっとしたけだものであり、それゆえに好きでない人もいるかもしれない。

また、値段は $499 であり、会社が負担してくれるのでなければ、なかなか手が出ない。もっと手の出る選択肢に関しては、変換台に関する私の以前の記事を見て欲しい。また、WorkFit-Z Mini もある:これはこの記事で取り上げた問題の幾つかを抱えてはいるが、たったの $199 の値段ゆえ、一考の価値はある。

もし、現在の机を入れ替えるのも選択肢なのであれば、およそ WorkFit-TX の値段か、少々高い値段で、きちんとした立ち机で、ボタン一つで上下出来る様なものを見つけられる。私の昼の仕事の職場では、立ち机を使っているが、こちらの方がどんな変換台よりもずっと良い。

しかし、まずまず余裕のある大きさの固定机を持っており、お金にも多少の余裕がある人に対しては、 WorkFit-TX は私が見た最善の座り/立ち変換台と言える。

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Jeff Porten  訳: Mark Nagata   

スヌーズすべからず: より良い方法で電子メールを処理する

現代のアプリの多くは、あなたが仕事を続けられるように、あなたが一時間前に取り掛かったことをちゃんとしていられるようにという意図の下でデザインされた機能を提供する。そのような機能の一つの例が、電子メールのスヌーズ機能だ。最近 Gmail が、先にこの機能を提供していた Google の Inbox アプリが消え去ったのを受けて新たにこの機能を組み込み、ニュースの話題となった。けれども他にも数多くのサードパーティの電子メールアプリがずっと以前からこれに似たスヌーズ機能を提供してきている。

私の著書 Take Control of Your Productivity の執筆のための調査の一環として、私は数多くのこの種の手法を比較検討して、実際に役に立つのはどれなのかを見極めようとした。けれども残念ながらこの電子メールのスヌーズ機能は、一見生産的だと思えても、実際にはしばしば生産性に害を及ぼしてしまう、そんな種類のアイデアの部類に属するものであることが分かった。

スヌーズ (Snooze) すれば、コントロールを失う (Lose)

電子メールのスヌーズ機能をよく知らない人のために説明しておくと(ただしこの説明がその機能を試してみようという動機付けにならないことを願いたいが)この機能によって何通のメッセージがあなたの受信箱の中であなたを待っているかをコントロールする方法が出現する。メッセージを読んでいる最中にボタンを一つ押すだけで、そのメッセージはあなたが指定した時刻まで消えたように見える。Gmail では、時刻指定のデフォルトはその日の 6:00 PM、翌朝の 8:00 AM、次の週、または次の週末となっている。

多くの人たちは Inbox Zero を目指してスヌーズ機能を使っている。つまり、その日の終わりに受信箱が空になることを目指すのだ。Inbox Zero においては、処理済みのメッセージは受信箱から取り除く。あるいは、少なくともすべてのメッセージを選り分けて(例えば優先度や、事後処理の種類、内容の分野などで分類して他のフォルダに入れたりして)それぞれに応じた考慮や計画を立てておくようにする。Inbox Zero が強力なテクニックになり得るのは、受信箱が空になることで、これですべてが処理できた、明日になってどんなことが出現してもよいように準備万端だ、という心理的な安心感が得られるからだ。

でも、受信箱を空にしたいだけならば Select All をしてから Delete キーを押してもできる。空の受信箱が Inbox Zero の要点なのではない。重要なのは、その状態に到達するまでにあなたがどんな作業をしたかだ。一つのプロジェクトに関する七通の電子メールメッセージをあなたが読むのは、受信箱から七通のメッセージを取り去ることが目的なのではなくて、それらのメッセージに含まれた問題点に対処するために具体的な計画を立て、そのプロジェクトのために必要な時間を再検討することが目的だ。(何千通にも及ぶメッセージに対し Select All で Delete するやり方を論理的極端まで押し進めた状態を「電子メールの破産」と呼ぶことがある。綺麗さっぱり満足な気持ちになるかもしれないが、消してしまったメッセージの中に将来この上なく重要となるメッセージが紛れていなかったかどうかを知ることは不可能だ。そのような行為は到底お勧めできない。)

スヌーズ機能は、見掛け上あなたの受信箱を空にするための、応急処置とでも言うべきものだ。メッセージを一通スヌーズすると、それは目の前から取り去られる。そのアプリがメッセージをスヌーズする方法にもよるが、いったんスヌーズしたメッセージを見ることができることもあるし、それができないこともある。Gmail の場合はサイドバー上に Snoozed というラベルを表示して、スヌーズされたメッセージをそこに集める。さまざまなアプリがそれぞれに異なる方法でスヌーズされたメッセージを隠しているので、もしもあなたが複数個のデバイスで複数個の電子メールアプリを使っていれば、どれかのアプリでは見られるのに他のアプリでは見られないということもあり得る。いずれにしても、スヌーズタイマーが所定の時刻になれば、そのメッセージは再び受信箱に現われる。

Snoozed email in Gmail.

上のスクリーンショットに示された Snoozed のメッセージについて、意味論的に考えてみよう。なぜなら、その意味は場合によって異なることがあるからだ。ここに示された Amazon.com からの販売促進メッセージの場合は「今は読むべきでないけれど、あとで仕事が終わってから読もう」という意図でスヌーズしたのかもしれない。これはメッセージを一時的に保留するための真っ当な理由であって、スヌーズボタン一つで処理できることは他の手動のやり方で処理するよりも素早いだろう。このようなメッセージをその理由でスヌーズすることに、私は何の異存もない。

けれども、もしもあなたが例えば「今はこのメッセージを処理する時間がないから後に回そう」という理由でスヌーズしたのだとしたら、暗黙のうちにあなたは「後になれば時間ができる」と言っていることになる。つまりあなたは、「将来の自分」にはメッセージや差し迫った事柄が今より少ないという前提に頼り切っているのだ。でも、そのスヌーズの期限が来た時には、そのメッセージはそれまでに届いた他の多くの新着メッセージに紛れてしまうだろう。それがどの程度重要なメッセージだったかも、どれだけの数のメッセージをスヌーズしていたかも、ましてや今後あなたがさらにどれだけの新たなメッセージをスヌーズすることになるのかも、あなたには全く分からなくなってしまうだろう。「将来のあなた」は、これらのことすべてを痛いほど知らされることになるはずだ。将来特定の時刻に間違いなく自分の手が空くというはっきりした理由があるのでない限り、仕事を将来へ放り出すというのはあなた自身に対する非人間的な仕打ち以外の何物でもない。(それに、余暇の時間に「仕事の遅れを取り戻す」ことを習慣にしているのがあなたの「はっきりした理由」であるのならば、それはそれで非人間的なことだと私は言いたい。)

もっと悪いことに、このやり方はスヌーズされた電子メールをすべて十把一絡げで扱うので、何でもかんでも全部一緒に後回しにされて、時間が来ればどっとあなたの前に姿を現わすことになる。それで役に立つ状況など、ごく限られたものに過ぎない。例えば、あなたがサンタクロースだと証明したい場合は良いのかもしれない。何通のメッセージがスヌーズされて待っているかを知るにはスヌーズ中のもののリストを見る必要があるが、そもそもそれらのメッセージを忘れられることが目的でそうしているのだから、そんなリストを見ようとする人は少ないだろう。結局のところ、あなたの電子メールクライアントがそれらのメッセージを一度にドンとあなたの目の前に示してみせれば、あなたはまたもう一度スヌーズ機能を使ってそれらを隠し、さらにもっと将来の自分に負担を先送りすることになるのではなかろうか。

あなた自身にとってもう少し優しいスヌーズ方法としては、特定の時刻までではなく個々のメッセージごとに指定した時間間隔だけ先送りするというやり方がある。この方法ならばスヌーズされたメッセージごとに時刻が異なるので、そのタイマーが切れた時点であなたが電子メールで作業をしていても、一度にどっと受信箱が膨れ上がるのではなく受信箱は少しずつ大きくなるだろう。

でも、それよりもっと良い方法もある。

人間的な電子メール処理

電子メールについて理解しておくべき核心的な点は、何が到着するかについて基本的にあなたのコントロールが全く及ばないということだ。あなたの電子メールアドレスを知っている人ならば誰でも、いつでもあなたの受信箱にメッセージを追加するという選択ができる。この理由から、私は電子メール受信箱をタスクリストとして使うことはすべきでないと強く申し上げたい。あなたがする選択は、他の人たちがあなたにして欲しいと思うこととははっきり分けておくべきだ。そうしないと、きっとあなたのタスクリストもあなたのコントロールの及ばないものになってしまうだろう。受信箱にはあなたにとってタスクでも何でもないものも多数届くので、そんなものも含めてタスクリストにしていればたちまち正気の範囲を逸脱してしまう。受信箱にある厖大な数のものの中にどれだけの作業が控えているのかを知る方法はなく、宣伝だらけのもみ殻の中から自分の仕事に役立つ穀物を選り分ける簡単な方法はない。

もう一つの重要な問題点は、一通の電子メールを目にした際にそれについて考える時間はゼロでなく、それを考えるためにいくらかの認知的作業が必要になることだ。電子メール一通をスヌーズすれば、将来のあなたがそれについて知っているのはそれを先送りにしたという事実のみだ。そのメッセージをなぜ先送りにしたかの理由を知るために、最初にそのメッセージを前にして考えたのと同じだけの考える時間が必要となる。それは1分以下の時間かもしれないが、毎日何百通ものメッセージで同じことをしていれば、さらに個々のメッセージをスヌーズするごとに毎回それが積み重なれば、時間の無駄は相当なものになる。それよりももっと人間的な、しかももっと生産的な方法とは、その状況に関する情報も保った状態で先送りをして、あとで見直した際に一から考え直すのでなく先送りした時点の状態から始められるようにしておくことだ。

状況の情報を保った状態で先送りするための手段は、あなたにとって意味のあるグループ分けをすることだ。例えば、Urgent (緊急) という名前の電子メールフォルダを作ってみよう。私は Apple の Mail 用に作られた SmallCubed の MailTags を使っているが、普通のフォルダや、あるいは Gmail のラベルを使っても同等なことができる。ただし、フラグを使うのは良くない。なぜなら、緑のフラグが何を意味し、赤のフラグが何を意味するのかを、覚えておかなければならないからだ。あなたが追加しようとしているコンテクストの情報は、あなたの側で考えを巡らす必要なしに、瞬間的に見分けられるものであることが望ましい。(私が MailTags をお薦めするのは、複数通りのやり方で電子メールを処理できることと、Gmail のラベルにも統合されていることが理由だ。でも残念ながら、現在のところそのライセンスの扱いが流動的だ。詳しくはこの記事の最後のところをご覧頂きたい。)

それでは、私自身が電子メールを処理している手順を以下に段階を追って紹介していこう。でも、どうかこれを推奨手順として受け取るのではなく、むしろいろいろなテクニックを網羅したメニューとして理解して頂きたい。手順のいくつかはあなたにとって有用かもしれないし、その他の手順はあなたにとって意味を成さないかもしれない。あなたの仕事の流れに相応しい、私のものとは違ったもっと別の手順があるかもしれない。重要なのは、電子メールを手早く見て処理するための最良の手順を、経験を繰り返すことによって少しずつ練り上げることだ。私がする通りにする必要は何もない。

Step 1: 興味ないものを捨てる

そのメッセージが特にあなたの気持ちを引き付けず、ただ機械的に見えなくするためだけにスヌーズボタンを押そうという気になったならば、ちょっと立ち止まって、今すぐ完全に削除してしまった方が良くはないか、考えてみよう。今それがあなたにとって重要でないのなら、あとでもっと重要になるかもしれないなどと思ってあなたの将来の時間を軽視しようなどと思わない方が良い。

Step 2: 最も重要なものに対処し、残りは後回しにする

電子メールアプリは青い点を使ってそれが「未読メッセージ」であることを示すが、私の目にはその意味合いが少し違って見えている。Mail アプリが示す青い点や、Gmail が示すボールド体の件名テキストは、まだ見ていない新着メッセージを意味する。私は受信箱を開くと、ただ単にリストをざっと眺めて件名と差出人を一覧し、すぐに読みたいものがあるかどうかだけを見る。そう思ったメッセージだけを私は開いてしっかり読み、何らかの方法でそれに対処する。

その後で、このやり方は直観に反するように思えるかもしれないが、私は残りのメッセージすべてを(まだ一つも開いてさえいないにもかかわらす)既読とマークする。そうすると、私の受信箱に残っているものはすべて、まだ読んでおらず、かつ緊急でないものだけだ。そのこと以上、それより詳しい識別表示を私は必要としない。青い点やボールド体の件名は、新着メッセージであって私が次に一覧すべきものを示している。以上のこと以外に私が受信箱で何かするとすれば、それはすべて私が時間の余裕のある際にすることだけだ。このような一覧の手順を経ることで、まだ読んでいないものの中に私の一日を台無しにする地雷が含まれていないと確信することができる。

Step 3: 受信箱に残ったものを優先度に応じて選り分ける

あとになって電子メールに割ける時間ができた時には、私の受信箱に残っているものすべてに対して何らかの処理をする必要がある。参照の価値があるけれども事後処理の必要のないメッセージについては、即座にファイル処理する。例としては、来たるべき旅行のための確認メッセージで、そこに記載されたコードがあとで必要になるようなものがこれに該当する。これらのメッセージは Reference とマークして、受信箱の外に保存しておく。

(ここで「マーク」すると言っているのは、どんな方法であれあなたが整理に使っている方法に従うという意味だ。フォルダを使って整理しているのならば、メッセージを適切なフォルダの中へドラッグする。タグやラベルを使って整理している場合は、そのタグやラベルを付けてアーカイブ保存し、受信箱の中に残らないようにしておく。)

Reference (参照) というマークの目的は、あとで必要になると分かっているものを素早く見つけられるようにしておくためだ。アーカイブ全体を検索するよりも、このマークを使う方が早いことが多い。定期的に Reference のメールを見直しておきたい。なぜなら、参照する意味がなくなったものは、もはやそこに残しておく理由がないからだ。定期的に Reference フォルダの掃除をしてそのサイズを小さく保っておくことで、このテクニックがうまく働く。

あとで見たいと思うけれどもそれがいつになるかはっきりしないメッセージについては、そのままアーカイブ保存する。あとで必要になれば検索ですぐに見つかるだろうと、検索機能を信頼しているからだ。ただし、その信頼は楽天的に過ぎるかもしれない。Spotlight や Gmail 検索で見つからない場合、必要なメッセージを見つけ出すには時間も労力も相当にかかることがあり得るからだ。だから、このアドバイスに従うのはあなたに検索スキルが十分あって素早くメッセージを見つけ出せる自信がある場合に限るべきだろう。(スケジュールをまだ決めておらずまだスタートしていないプロジェクトのためにあとで必要になると分かっているメッセージには、件名の中に見える単語のいくつかを、そのプロジェクト用のアウトラインかメモの中に書き留めておくとよい。そうすれば必要となった際にすぐに検索で見つけられるだろう。)

たいていの場合、大掛かりなフォルダ階層を作ってその中にすべての電子メールをトピックごとに分けてアーカイブ保存しておくというよくあるやり方は、あまりにも時間が掛かるのに、あとになってそれほど価値を発揮しないものだ。件名と差出人、それに日付を使って賢く検索すれば、たいていは欲しい情報が見つかる。日付による検索と並べ替えは、多くの人たちが思うよりもずっと大きな力を発揮する。なぜなら、人の脳は自然と時系列順にものごとを覚えているからだ。それほど遠くない当たりをつけるだけで、十分必要に足りるだけのコンテクストが得られ、あとは少しスクロールしてみるだけで探しているメッセージが見つかるものだ。

私の側からの何らかの事後処理が必要なメッセージ(であって直ちに対処することはできないもの)については、優先度を分けて分類をする。現在、私は Urgent (緊急)、High (優先)、Later (後日) の三種類のマークに分類しているが、Urgent (緊急) は必ずしも「非常に優先度が高い」とは考えないように注意している。Urgent (緊急) に分類するのは数時間以内に読む必要があると判断したもののみにしていて、それを読んだ後で、必要に応じてそれに関する仕事をその日を通して続ける。High (優先) に分類するメッセージは、かなり重要だけれども必ずしもその日のうちに片付ける必要はないもののことが多い。

以前の私はもっと細かく分けて優先度を分類していたけれども、結局のところ優先度の高/中/低は実質的に「たぶん見る/ひょっとすると見る/一度も見ない」という意味になってしまうことを悟って、私はそのやり方を捨てた。その当時私が「低」に分類していたメッセージを、今では Step 1 に従って即座に削除している。そのうち見る時間ができるなんて、幻想に過ぎないのではないか? 他方、現在 High (優先) や Later (後日) とマークしているものについては、そこに何か重要なものがあって私がそれを間に合うように開けなかったような場合には、もっと良い分類方法を作ったり、あるいはこれらのメッセージを処理するためのもっと良い手順をあみ出したりする必要があるだろう。(だからこそ私はフィードバックのループを重視している。私が今のやり方を続けていて困難を感じるところこそ、私自身のやり方を改善すべき方向を示唆する生のデータとなるからだ。)

Step 3.5: 思慮分別をもって個々のメッセージを分類する

時には、このような広い意味の優先度のラベルだけでなく、もっと具体的な分類を使うべき場合もある。私が現在使っているその種のマークは一つだけで、個人的な会話に使う Needs-Reply (要返信) タグ、これは適切なタイミングで返信が必要だけれども特に緊急でも高優先度でもないような場合に使う。どれだけの数が溜まっているかにも、あるいはその時の気分にもよるが、このカテゴリーの優先度は Later より低くすることも、High と Later の間にすることも、時によっては High より高くすることさえある。Urgent や High の優先度とは別の分類にすることで、時に応じて私の好きなような位置に置ける柔軟性が生まれる。ただし、その種の具体的な分類項目をあまり多く作り過ぎてはいけない。この種のものが十個以上もあれば、ワークフローの管理にチェックリストを作る必要が生まれ、結局はたいていの人が我慢できるレベルを超えた複雑さに陥ってしまうだろう。

もしもあなたがその時にどの仕事に取り組んでいるかに応じて時刻に基づく電子メールの仕分けをしたいならば、それはまさに異なる種類の仕事ごとに違う電子メールアドレスを使い分けることを考慮すべき好機だ。すべての電子メールが同じ場所に現われるのなら、仕分けする際に手作業で別々の電子メールの流れを切り分けなければならない。その点、別々の電子メールアドレスを使い分けることによって、切り分けが自動的に済むようになる。ただしそのためには個々の目的に応じて正しくアドレスを使い分ける必要がある。私の仕事について言えば、私はいろいろな種類の仕事をしていて文字通り 12 個の電子メールアカウントを使い分けている。その結果として、このテクニックの実践の有用性にもかなり無理が生じているのかもしれない。一つの仕事の分野に集中できるのは良いことだが、複数個のデバイスを通してそれを管理するのはなかなか辛い。皆さんへのお勧めとして、特定の分野のために別途電子メールアカウントを作るのは一つかせいぜい二つまでに留めておくのがよいと思う。例えばボランティアの仕事のために専用のアドレスを作ったり、あるいは誰でも持っている家庭用のアドレスとは別に家族や特定の重要な人たちとの間だけで使うアドレスを作ったりしてみて、あなたの環境でうまく行くかどうか見てみることをお勧めする。(電子メールのルールを利用してメッセージを差出人やキーワードを基準に自動分類することもできるが、今の世の中では誰もが複数通りの場所で電子メールをチェックしているので、私の経験ではその種のワークフローは使いこなすのが困難になることが多く、複数個のアドレスを使い分ける方が優れていると思う。もちろん人によって状況は異なるだろうが。)

Step 4: 少数のメッセージのみ後処理のため脇に置く

そして最後に、ようやく私たちはスヌーズ機能に相当するものへと辿り着く。メッセージの中には、即座に処理できないような性質のものや、あとになってもっと情報が判明してからでないとうまく処理できないようなものがある。そのようなメッセージについては、スヌーズ処理をするのが最も相応しい。単に「今は時間がないから」という理由でスヌーズするのではないからだ。

私は、MailTags の手法を使って日付と時刻を指定したリマインダーを出すようにするスヌーズが好みだ。なぜなら、指定した時刻が来れば、その日を指定して処理するようになっているという事実自体が、既にそのコンテクストの一部を示しているからだ。私の場合、それはすなわち Urgent (緊急) の分類を意味する。結局のところ、私自身に理由があってその日に出るように指定していたものだからだ。

Step 5: 分類を済ませたメッセージに対処する

もちろん、これまで述べてきたことすべての目的は、最初の段階で手早くメッセージに対処でき、しかもあとになって効率的にそれらに取り組めるようにすることだ。そこで、その「あとになって」すべきことを考えよう。優先度やその他の分類で仕分けしてあるので、今あなたが使える時間に応じて取り組むべきメッセージの順番が分かる。だから、あなたはその順番に従って最も重要なものから一つずつ、時間の許す限りメッセージに取り組めばよい。たいていの場合、それはまず Urgent とマークされたメッセージから初めて、次に High または Needs-Reply とマークされたものに移り、時間が余れば Later とマークされたものを開く、という風になる。

手順のこの段階で具体的にどのように取り組むかはあなた次第だ。たった一つの必要条件は、少なくとも Urgent (緊急) とマークされたものはすべて処理できるだけの時間をあらかじめ確保しておくことだ。それが済んだ後で、時間の許す限りその他の分類に手を付けて行けばよい。私の場合はもう少し構造化を加えるのが好みで、自分のタスクリストに一日二回ずつ「Urgent の電子メールに対応せよ」という項目を作っておき、その他 High、Later、Needs-Reply についてもそれぞれもう少し低い頻度でタスクを作るようにしている。

また、その時にどのメールボックスを使うかを変えることで戦略やその結果を調整することもできる。私の場合、Later (後日) に分類されたメッセージが長期間放置されるのを防ぐため、優先度が Later のものを扱えというタスクも作っているが、逆説的なようだがその結果として High (優先) 分類のものがまだ残っているのに Later のメッセージを先に処理してしまうこともあり得る。そのため、私は「Later (後日) およびそれより高い優先度のメッセージたち」を含むスマートメールボックスを作っておいて、その時々でどちらに注目したいかに応じて普通のメールボックスとこのスマートメールボックスを使い分けるようにしている。

あなたの成果を吟味しよう

以上、述べてきた手順の目標は、自分がその時に使える時間に応じて電子メールをうまく処理できるようにすることだ。逆に、電子メールに自分の時間を勝手に消費されるようにはしたくないというのが動機だ。自分が電子メールに取り組むやり方を変更する唯一の状況は、フィードバックのループに応じてやり方を改善する場合のみだ。(例えば私の場合「優先度が High (優先) のメッセージにもっと時間を振り分ける必要がある」というような判断に基づくものだ。) そういう場合を別にすれば、このシステムは自分の割ける時間が電子メールの流入量に追い付かない場合には素直に性能を下げるようになる。けれども、新規のメッセージをざっと一覧する時間さえなくて赤ランプの警告が点滅するような状態に陥りでもしない限り、致命的に緊急なものを見逃すことは起こらない。時折時間を見つけて優先度の高いメッセージを仕分けできる限り、それでも残っているものはおとなしくあなたを待ち続けるだろう。結果として、あなたの電子メールはすべて目を通すだけの時間をあなたが割くことを「欲して」いるだろうけれども、手順の最初の2つを済ませるための時間以上を「強要」することはないはずだ。

いくつかの手順の自動処理ができるアプリケーションを使うことで、必要な時間をさらに減らすこともできる。メッセージの処理のために何百項目ものルールをメールに適用することはお勧めしないが、特定の重要人物から届いたメッセージをすべて自動的に高い優先度にマークするくらいのことをしても何ら問題はないだろう。ただし、あなたが知らないうちに新規のメッセージがどこかあなたの目に触れない場所に自動的に仕舞われるようなことは、絶対に避けなければならない。先ほどの私の Gmail スクリーンショットでお気付きかもしれないが、私はあの時点でまだ一覧していない未読のメッセージが 1490 通もあった。これは、私の最も重要性の低いアカウントに届いた、大量のバルクメールを示している。私はこのアカウントを一番最後に一覧し、時間のない時にはこのアカウントを真っ先に無視する。この中にはほとんど地雷が含まれていないからだ。

私も Inbox Zero (その日の終わりに受信箱が空になること) を実践したいものだとは思っているが、私の場合それはうまく行かない。この記事に記した手順は、実質的に "Inbox Recent" と言える。つまり、(一覧はしたが) まだ読んでいないメッセージにはできるだけ追い付くように努めるけれども、追い付けなければそのいくつかは受信箱に残る。新着のメッセージは積み上がったものの真ん中あたりに押し込まれる。実質的に、受信箱には最新のメッセージと、少し前のメッセージ (まだ時間に余裕のあった日々に選り分けられたもの) と、それから処理の手の全く及ばなかった大量のメッセージ、といった構成になる。私はすべての新規メッセージを素早く処理できさえすれば自分が最低限追い付けていると考えるし、さらに時間を見つけて溜まったものをいくらか処理できれば「本気で意気揚々」だ。でも、最後まで「完了」できる必要など何もないし、選択の余地のない状況で溜まったものが増え続けても別に懸念すべきこととは思えない。

(もしもあなたがそう望めば、「電子メールに追い付く」こととは別のプロジェクトとしてもっと古いメッセージに取り組むこともできる。けれどもそのような状況では、メッセージを日付順に並べることはまず最良の方法とは言えない。そうではなくて、例えば 60 日以上古いメッセージのスマートメールボックスを作って、それを差出人の順に並べてみるとよい。そうすることで、大量のメッセージを一度に削除したりアーカイブしたりでき、その後で残ったものを手早く一覧して中に含まれる問題が解決済みかどうかを調べたり、もう古くなって問題ではなくなったかを確かめたりすることもできる。)

理想的な世界においては、Inbox Zero を実践できるだけの時間もあるだろうし、私の電子メールはいつも完璧に仕分けされていることだろう。けれども現実世界の中で、ここで述べた手順は決して完璧な電子メール管理を目指すものではなくて、ストレスを減らし満足を得られることを目指して最適化すべきものだ。そして私は、皆さんにも同じ姿勢で臨まれることをお勧めしたい。この点であなたが見つけたスヌーズ機能の使用法が私のやり方よりも適しているとお思いならば、ご遠慮なくどうぞお好きなように。生産性に関する一番のルールは、自分自身に適したやり方を見つけることだからだ。でも多くの人たちにとって、たいていの場合、単純にスヌーズをすればただ不可避の結果を遅らせるだけのことで、その不可避の結果とは雪崩のごとくに押し寄せる仕事の山、しかもそれは最悪のタイミングで殺到するに違いないのだから。

私が使っているソフトウェアについて少し触れておこう。MailTags は Mail アプリにおけるメッセージの処理を能率化するために SmallCubed が出している四つの Mail プラグインのうちの一つで、他の電子メールアプリともうまく働けるように考え抜かれた手法を使っている。けれども残念ながら、私がこの記事を書いている現時点で、SmallCubed は MailTags の個別ライセンスをストアから撤去して、その代わりに四つのプラグインをより緊密な方法で統合させたオール・イン・ワンのパッケージである MailSuite を推奨している。しかもこれはまだベータ版の段階で、Mojave に適合するための改訂をまだ受けていない。High Sierra やそれ以前を使っているユーザーはこのベータ版をダウンロードするか、または古い個別プラグインをダウンロードすることもでき、新しい MailSuite ライセンスは古いプラグインにも有効だ。MailSuite ライセンスの価格は $60 で、古いプラグインから新バージョンにアップグレードする場合の価格は $30 だ。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

BBEdit 12.5.1

BBEdit 12.5.1

Bare Bones Software が BBEdit 12.5.1 をリリースした。この古参のテキストエディタに細かな調整を施した、メンテナンス・リリースだ。Dropbox を使って BBEdit サポートフォルダを共有している人たちのため、今回からこのテキストエディタは既存のインストールとの互換性を確保するために残されていた古い Dropbox/Application Support/BBEdit/ フォルダをチェックするよりも前にまず Dropbox/Apps/BBEdit/ をアプリケーションサポートフォルダとして調べるようになった。今回のアップデートではまた、テキスト書類の中へテキストを挿入する目的で Tab キーを押す際に Auto-Expand Tab の意味を Shift キーを使って切り替えるようにし、FTP/SFTP ブラウザウィンドウの最小横幅をさらに小さくし、フォルダに基づいて動作するメニュー (例えば Scripts や Clippings など) が正しく表示されるようにし、かなり多くのクラッシュを解消している。(新規購入 $49.99、無料アップデート、13.0 MB、リリースノート、macOS 10.12.6+)

BBEdit 12.5.1 の使用体験を話し合おう

Mellel 4.1.4

Mellel 4.1.4

Mellel が Mellel 4.1.4 をリリースして、長文の執筆のために作られたこのワードプロセッサにバグ修正をたっぷり施した。今回のリリースでは、タブの後でカーソルキーをを使ってカーソルを動かそうとしても Mellel が反応しなかった退行の問題を修正し、挿入ポイントが点滅しなかったり完全には消えなかったりした問題を解消し、空白のハイパーリンクを含んだ DOCX 書類を開けなくなったバグを修正し、複雑な Find Expressions がアプリを切り替えると失われてしまったバグを修正している。(Mellel からも Mac App Store からも新規購入 $49、無料アップデート、84.9 MB、リリースノート、macOS 10.6+)

Mellel 4.1.4 の使用体験を話し合おう

CopyPaste Pro 3.5.9

CopyPaste Pro 3.5.9

Plum Amazing が CopyPaste Pro 3.5.8 をリリースして、起動時のスプラッシュ画面がハングした問題を修正し、古いコードをコンパイルする際の問題を解消した。この複数クリップボード用ユーティリティはまた、システム環境設定の Security & Privacy 枠の Accessibility パネルに追加できるようになり、ここでアクセスを許す設定にしておく必要がある。そのアップデートの後間もなく、同社はバージョン 3.5.9 をリリースして CopyPaste Pro が macOS 10.14 Mojave で正しく動作するようにし、また一部のダイアログが Dark モードで正しく表示されるように修正を施した。(新規購入 $30、無料アップデート、3.0 MB、リリースノート、macOS 10.6+)

CopyPaste Pro 3.5.9 の使用体験を話し合おう

VMware Fusion 11.0.2

VMware Fusion 11.0.2

VMware が仮想化パッケージ VMware Fusion の標準版と Professional 版の双方にバージョン 11.0.2 をリリースして、Windows 10 v1809、Windows Server 2019、Windows Server v1809 への対応を追加した。今回のアップデートではまた、整数オーバーフローの脆弱性 (CVE-2018-6983) が仮想ネットワークデバイスにあってゲストがホスト上でコードを実行できてしまった問題に対処し、ネストされた仮想マシンに関係するクラッシュ一件も解消している。(新規購入 $79.99/$159.99、アップグレード $49/$119、495 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

VMware Fusion 11.0.2 の使用体験を話し合おう

ChronoSync 4.9 and ChronoAgent 1.9

ChronoSync 4.9 と ChronoAgent 1.9

Econ Technologies が ChronoSync 4.9 をリリースして、APFS フォーマットのドライブへの対応を最適化してファイルのスキャンとコピーを高速化した。この同期およびバックアップ用アプリは Full Disk Access Assistant を追加してインストールの際に自動的に走るようにし、macOS の Security & Privacy Preferences でアクセス権を許可する手順をガイドして導くようにした。また macOS 10.14 Mojave の Dark モードにも対応し、新しい "Freeze file system" オプションを使って同期の前にあらかじめスナップショットを作成できるようにし、ChronoSync Organizer ウィンドウを一新してより良い並べ替えと整理のオプションを提供し、Amazon S3 および Backblaze B2 のデータ転送速度を向上させ、ChronoSync にシステムデータへのアクセスを許すための Touch ID Support 機能を追加した。Econ Technologies はまた ChronoAgent ユーティリティもバージョン 1.9 にアップデートして、APFS 最適化、Full Disk Access Assistant、Dark モード対応の向上、それに "Freeze file system" オプションを追加した。(ChronoSync は新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、66.7 MB、リリースノート、macOS 10.11+。ChronoAgent は新規購入 $14.99、25.4 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

ChronoSync 4.9 と ChronoAgent 1.9 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

SubEthaEdit Is Back and Free to All

SubEthaEdit が復活、誰でも無料で使える

SubEthaEdit はその登場時点で既に驚嘆すべき存在であった。なぜなら、同じネットワーク上にある複数の Mac を使っている複数の人たちが同一のテキスト書類を同時に編集できたからだ。私たちは 2004 年に SubEthaEdit を使い始めたが、それ以後 6 年間にわたってさまざまの TidBITS 記事の中でもこれに触れてきた。2010 年以後、私たちは共同の編集作業をウェブ中心のものに移行させたので、SubEthaEdit とは何となく疎遠になってしまった。ところが今回、SubEthaEdit が復活を果たした。初期から開発に携わってきた Dominik Wagner が、SubEthaEdit 5 をリリースしたのだ。これは SubEthaEdit ウェブサイトからも Mac App Store からも無料で入手できるばかりでなく、今回から新たに MIT ライセンスの下でオープンソースとなって、15 年間にわたって遡るソースコード履歴と共に公開された。Wagner は、Apple で働いた期間を終えて再び独立の開発者となり、今後は SubEthaEdit を巡る「長期的に成長するエコシステム」を築きつつ、教育やその他の分野における共同作業の活用事例のため「入門の障壁を下げる」ことを目指して行きたいと語った。

(日本語)SubEthaEdit が復活、誰でも無料で使える | Google Wave に(手を振って)さようなら | Typinator 3.7 | EtherPad が Google 買収後オープンソースとなる | TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、17-Aug-09 | Apple、iPhone 3.0 ソフトウェアをプレビュー | TidBITS Talk/02-Mar-09 のホットな話題 | EtherPad はウェブへの同時書き込みをもたらす | Port Map のポート転送で NAT を通り抜ける | TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、17-Mar-08 | Leopard の iChat スクリーン共有で手早い共同作業は完璧 | 初めての Macworld Expo | Sparkle がアプリケーションのアップデート体験を改善 | Coda、ウェブデザイナーに新しき調べを奏でる | 共同編集プログラムについてさらに考える | 新システムで最初の号をお送りします | あなたの毎日の生活を Take Control

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Jason Snell Compares Mimeo and Motif Photos Project Extensions

Jason Snell、Photos プロジェクト拡張の Mimeo と Motif を比較

私たちの友人 Jason Snell が最近 Photos に関する Take Control ブックの最新版を完成させ、タイトルを Take Control of Photos に変更した。執筆の過程で彼は、かなりの時間を費やして Photos プロジェクト拡張の素晴らしき新世界を探訪した。Photos の前身である iPhoto が生み出した画期的なものの一つに、物理的なフォトブックやカードやカレンダーを構築して注文する手法があって、Apple はその印刷工程をさまざまの会社に外部委託した。しかしながら現在 Apple はそのビジネスから手を引いており、印刷プロジェクトは新規参入の良い入り口となっている。既に数多くのカスタム印刷の会社がこの目的で Photos 拡張を出しているが、Jason は Mimeo と Motif が最良の選択肢だという結論に達した。(私たちがちょっとだけテストしてみた結果も彼の結果に沿っていた。他のプリント拡張の中にはとてつもなく酷いものも多く、あり得ないようなインターフェイスや頻繁なクラッシュも目立った。) ホリデー用のプレゼントにフォトブックやカレンダーを作ろうかと考えている人は、ぜひ Jason の記事を一読してみられるとよい。Photos についてさらなる助言が欲しければ、彼の本も参考になるだろう。

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David Barnard Explains How to Game the App Store

David Barnard、App Store を食い物にする方法を解説

フラストレーションに苦しむ iOS 開発者の David Barnard は、開設時以来ずっと App Store に頼って生計を立ててきた。そんな彼は、多くの詐欺アプリが Apple の審査を素通りしていることにうんざりしている。そこで彼はブログ記事の中で、あなたも簡単に App Store を食い物にできると説明する。アプリのテンプレートがあるので、あなたは大してコードを書く必要もない。出来たアプリに人を欺くような名前を付けて、回避しにくい講読を組み込んだり、ユーザーの位置情報を売ったり、金を出してレビューを書かせたり、そういったことであなたもすぐに参戦できる。もちろんそのようなアプリは Apple のポリシーの多くに違反しているけれども、現実に App Store はその種のアプリで満ち満ちているのだ! 願わくは、Barnard のブログ記事がきっかけとなって Apple がこの問題に何か手を打ってくれるようになって欲しいものだ。

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Apple Music Is Coming to Amazon Alexa

Apple Music が Amazon Alexa に登場

驚きの発表だった。Amazon が、2018 年 12 月 17 日の週に Apple Music を同社の Alexa プラットフォームと Echo デバイスに登場させると発表した。Apple の HomePod よりも (ずっと安価な) Amazon の Echo デバイスの方が好きな Apple Music 購読者にとって、これは素晴らしいニュースだ。ひょっとするとこれは、最近になって Amazon Prime Video を Apple TV にもたらし Apple 製品を Amazon の販売リストに戻した Apple と Amazon の融和関係の一つの結果なのかもしれない。(2018 年 11 月 12 日の記事“Amazon、認定を受けていない Apple リファービッシュ品を締め出し”参照。) それにまた、この発表を受けて HomePod の売上げは減るのではないかと私たちは思うし、Apple は人々に HomePod を買わせるための差別化要因として Apple Music を使うことよりも、むしろ Apple Music を他のプラットフォームへと拡張させることに意欲を感じているのだろうかと思案せざるを得ない。

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