彼女の iPhone の Settings > General > Language & Region > Region は、正しく United States に設定されていたが、試しにそれを Uruguay に変えて、それから United States に戻してみた。そうしたら、驚くなかれ、彼女の連絡先の電話番号のフォーマットは私のものと同じものに、括弧、空白、そしてダッシュが付いたものに一瞬にして変わった。更に重要なのは、彼女の Favorites にある番号をタップすれば、その人達に電話が掛けられた。これで一件落着、そして、私はホッと胸をなでおろした。家族の幸せを守ることは何よりも大事だからである。
AirPlay 2 対応のテレビでは、iOS デバイスのスクリーンをテレビと共有できることを意味し、映画や音楽のようなコンテンツを iOS または iTunes から Apple TV でと同じように直接テレビに向けて「発信」できることも意味する。
HomeKit の話はもう少し興味深い。対応するテレビが HomeKit デバイスになるので、Siri を使って、あるいは Apple の Home アプリを使ってテレビをオン・オフしたり、入力を切り替えたりできる。アクションを持つ HomeKit シーンを作成してそのテレビをコントロールすることもでき、例えば Movie Night シーンがコマンド一つで部屋の照明を暗くしテレビの電源を入れるといったことができる。(シーンを使ってどんなことができるかは 2016 年 11 月 3 日の記事“大草原の HomeKit のお伴: 中心となる概念”や私の本 Take Control of Apple Home Automation を参照。)
Sony:Sony の発表は Vizio に比べてもう少し限定的で、今のところ AirPlay 2 対応と HomeKit 対応を獲得する Sony TV モデルは Sony Z9G Series、A9G Series、X950G Series のみのようだ。
LG:LG の発表は最も曖昧で、2019 年のうちに同社の AI TV シリーズで AirPlay 2 と HomeKit が使えるようになるとだけ述べた。
不思議なのはなぜ Samsung だけが iTunes Movies アプリと TV Shows アプリを獲得し、なぜ Samsung だけが HomeKit 対応を提供しないかだ。そこのところは混乱してしまうが、これらの発表はその機能に対応するテレビを持っていたり購入を検討中だったりする Apple ユーザーにとっては素晴らしいニュースかもしれない。でも、そうでない人たちにとってこれは何を意味するのか? また、Apple はテレビに関してどのような将来構想を持っているのか?
テレビの未来を占う
長年 Apple TV のことを観察し続けてきた者として (私は文字通りそれを扱った本を書いた - Take Control of Apple TV だ)、私の直観的反応はこれらの発表が独立動作のハードウェア製品としての Apple TV の終わりを告げるものかもしれないということであった。今すぐそうなる訳ではないし、来年の末にそうなる訳でもないが、私は Apple がいずれ Apple TV を漸次廃止に向かわせるつもりだろうと考えている。
なぜか? それは、未来は独立のテレビ受像機にあるのではなくて、テレビに直接組み込みのスマート機能にあるからだ。私が Take Control of Apple TV を執筆していた時代、私はスマートテレビの使用体験を Apple TV よりずっと劣るものと見下していた。当時はそれが事実であった。けれどもそれから何年も経って、スマートテレビはインターフェイスもパフォーマンスも大幅に向上させ、便利さは誰にも負けなくなった。今や、まずテレビのスイッチを入れて、入力を切り替え、Siri Remote を手に持って、それから Netflix アプリを起動するという人がいるだろうか? そんな手間をかけずに、テレビのリモコンの Netflix ボタンを押すだけで済むではないか?
Apple はテレビに賭けていたけれども、普段から嘲笑されることの多いアナリスト Gene Munster の言ったことは正しかった。彼は、スマートテレビ受像機にこそ賭けるべきだと主張したのだ。Apple はそれでも自社製造のテレビを出荷するかもしれないし、確かにその市場の余地はあると私は思うが、Apple は今もまだ気が進まないようだ。おそらくそれは、テレビが低マージンのビジネスであることがよく知られているからでもあるのだろう。Vizio の CTO Bill Baxter は、この業界が 6% のマージンを得ていると発言したことがある。その一方で Apple の全体的な総マージンは 38% ほどだ。
Apple がテレビのハードウェア方面で先細りとなれば (Apple TV は市場の 15% しか占めておらず、Amazon にも Roku にも後れをとっている)、Apple にとっての最良の機会はサービス分野にあるのだろう。けれども Apple はその分野でも隅に引きこもっている。なぜなら Movies Anywhere のお陰でメジャーな映画会社からの iTunes 購入を Amazon、Google、その他のプラットフォーム上のアカウントへ同期できるようになって、Apple が持っていた囲い込みの利点が減ってしまったからだ。(2017 年 10 月 14 日の記事“Movies Anywhere、あなたの映画をプラットフォームの壁から開放”参照。)
Apple から何らかの種類のテレビサービスが出るのではないかという噂は盛んに飛び交っているけれども、実際にどのようなコンテンツが扱われるのか、料金はどの程度になるのか、どのプラットフォームで利用できるのかといったことはすべて未だにミステリーのままだ。Planet of the Apps の冗談はさて置き、Apple はいくつかの (混乱してしまうとしても) 印象的な取引を実現してみせた。最近 Tim Cook は 2019 年にはさらなるサービスを登場させると約束したが、具体的には述べなかったけれどもテレビのサービスはすぐにでも登場しそうに思える。
競合するテレビのプラットフォームに対応を提供するという今回の拡張は、Apple が単なる Apple デバイスを超えたより広い市場への自らのサービスの拡張を狙っていることを示唆する。ひょっとするとそれは Apple が Netflix や Hulu と直接相対する計画を持っていることを意味するのかもしれないし、今年のうちに Mouse のストリーミングサービスがスタートすれば Disney とも勝負することを意味するかもしれない。
もっと実際的なレベルで話をすれば、今回 AirPlay と HomeKit 統合がスマートテレビに組み込まれたことで、Google Home と Chromecast が互いにやり取りする関係に非常に近いものが生まれるのではないかと私は思う。今は Google に命じてテレビを消したり、Netflix や Google Play のタイトルを再生させたりできているが、Apple による新しい統合でもそれと似たことができるようになると思われる。Google の音声駆動機能の中でもこれは最も有用なものの一つだが、いずれ Apple が似たようなことをするのはまず間違いないと思う。
あなたの Apple TV の将来について、今はまだ心配する時ではない。現時点では、これはまだ iTunes パズルの中の必要なコンポーネントとして重要な役割を果たしているし、新型のスマートテレビの上でも現行モデルと同じようにうまく働くだろう。それに、Apple TV ならば、あなたのデータが誰かに収集され共有される懸念はない。実はそれこそが、スマートテレビよりスマート機能のないテレビの方が価格が高い理由なのだ。
USB 3.0 を管理する業界団体は、USB-C に対する認証プログラムを立ち上げた。これは、この小型で表裏のないコネクターに対応するコンピュータやモバイル機器に、不適切なケーブルや悪意を持つ機器が接続されるのを防止しようとする動きの一つである。この団体の幹部には、Apple, Intel, そして Microsoft が含まれ、この標準が広く採用される可能性を高めている。
悪意の USB ハックも見受けられ、そして、USB "スタック"、つまりホストハードウェア上の USB を管理する低レベルのソフトウェアの中の欠陥が、データを盗み出したり、コンピュータ、電話、或いはタブレットに侵入したり出来る弱点をさらけ出している。単に USB ケーブルを差し込んだり、或いは USB 充電器につないだりすることで、ケーブルや充電器に仕込まれた悪意の機器がデータをハイジャックしたり、機器を乗っ取ったりすることを可能にしてしまうことがあり得る。
提案されている解決策は、暗号化を使うシステムで、"USB Type-C Authentication Program" と呼ばれている。これは、ホストハードウェアの - スマートフォン、タブレット、或いはコンピュータ - 製造者に、接続された機器が USB 標準全体を管理する組織である USB Implementers Forum (USB-IF) によって合法的に認定されライセンスされていることを確認するハンドシェークプロセスを使用することを許す。もし違っていれば、ホスト機器はそのポートを完全に遮断してしまうか、或いは接続されたケーブルや周辺機器が使える機能を制限することが出来る。
それは主として AI ができる内容に限界があることが理由だが、それはまた私たちが安心して AI に任せたいと思う範囲に制約があることにもよる。現実の人の電話予約代行をする Duplex システムを Google が発表した際に、プログラム的に「うーん」とか「ええと」とかいう言葉まで差し挟むことで電話を受けた人が本物の人間からの電話と区別がつかないようにすると聞いて、ギクリとした人たちは多かった。Domino's がピッツァ宅配で自律走行車を使う実験をした際に、注文したピッツァを受け取るために家を出て表の歩道まで行かなければならないのを嫌がった顧客が多いことが判明した。
さて、飽き飽きする二次元の現実を超えたところを見れば、拡張現実 (AR) と仮想現実 (VR) のテクノロジーが引き続き向上しつつあるけれども、広く採用されるための決定的理由がまだ見つかっていない。VR は、互いに競合する標準やデバイスによってひどく細分化されてしまった。それに、高価な Windows コンピュータを持っていなければ市場に参加することすらできない。それだけの馬力を得るためには VR をあなたの家の中の専用の部屋に置く必要があり、ケーブルが届く程度に近いところにコンピュータを置く必要がある一方で、仮想現実を彷徨いつつ歩き回っても足を骨折せずに済む程度に広い物理的空間も必要だ。
今年は全身の触覚を利用するスーツを実演している会社があったが、CTA による説明「Red Dead Redemption 2 を着たあなたの腹に誰かがパンチをお見舞いすれば、あなたはそれを感じる」を聞いても、私はあまりワクワクしなかった。そりゃ素敵だね。サインアップはしておこうか。それよりもっと有望だったのは、人々がさまざまなことを体験できる VR テーマパークへの期待だ。そしてもちろん、それが最初に登場するのは日本に違いない。
一方、実際にあなたの視野にあるものの上にヘッドアップディスプレイで直接情報を映し出す拡張現実 (AR) の方はもっと役立つことが明白で、頭全体を覆ってまるで Darth Vader のように見えた不格好なヘッドギアの代わりに、今年はむしろサングラスに近いような AR ヘッドセットが数多く展示されていた。また、体に取り付けずに独立して使う AR、例えば小売店の店頭に AR ミラーの姿見を設置して実際に試着せずとも服を選べるようなものもあった。
個人使用の AR として私が一番期待するものは去年と変わっていない。いずれ、Apple は $1000 の AR 眼鏡を販売することだろう。それは、あなたのポケットの中にある $1000 の iPhone で駆動される。両方が必要な理由は、画期的な見た目と、CPU の馬力と、必要なバッテリーを兼ね備えたヘッドセットなどあり得ないからだ。そう、それは Apple が切り開いた新たなカテゴリーのデバイスとして、博物館の棚に PowerBook、iPod、iPhone、iPad と並んで展示されるものとなるだろう。
たとえそれが Apple でなかったとしても、誰かは必ず出してくるだろう。なぜなら AR こそ将来の私たちが世界とやり取りする方法であることが、あまりにも明らかだからだ。博物館に足を踏み入れれば、あなたが見たものの上にその歴史的データが映し出される。目の前にあるレストランを見るだけで、そのメニューをチェックできる。あるいは「X 線透視機能」を使って通りの向こうの方にあるレストランと見比べられる。どんなスポーツスタジアムにもこの種のデバイスを扱う売店があって、飛ぶような売れ行きを誇ることだろう。
私の印象では、地上を走る自律自動車にも同程度に混乱を招く可能性があると思う。誰も自動車を運転しなくなれば、自動車を所有する人の数が減り、都会で自動車を所有する人の数が大幅に減れば、現在アスファルトに覆われた信じられないほど貴重な不動産が、突如として他の目的に使えるようになる。この私の予想が正しいかどうかの前兆は、2019 年のうちに San Francisco、San Jose、Washington, DC の3都市で自律運転のタクシーが実際に街を走るようになれば見えてくるだろう。
医療テクノロジーと、強靭なインフラ
このプレゼンテーションの結びに二つの魅力的なカテゴリーについて触れられたが、いずれも詳しいことは語られなかった。まず、この週にはたくさんの医療関係のテクノロジーが発表され、それらは Apple Watch が心臓の状態を識別できることに関するものか、現状では医師の訪問を要する在宅医療が医師の訪問なしにできるようになることに関するものかのいずれかであった。CTA は今回初めて、医師たちがライセンスを更新するために毎年受講できる継続的な医学教育コースをスタートさせた。
数字を見るだけで CES がどれほど大規模なものかが分かる。これは Las Vegasで最大の毎年恒例のショウであり、今年は 180,000 人以上の人たちが訪れると思われる。私は 4500 の展示者たちと 6500 人の同僚たちとともにこの会場にいる。同僚の記者たちは皆、コンベンションセンター内の Starbucks で私の前に並んでいる。
メインのショウの前の二日間はメディア向けの期間であったが、その初日の小規模のイベントにメディア関係者たちが招待された。実はその種のショウは三つあり、そのうち二つは CES と直接関係したものではなかった。私は例年それらのショウをメインのフロアと切り分けて別の記事でお伝えしている。これらのショウでは素敵な食事とオープンなバーがジャーナリストたちに提供され(メインのフロアで得られるものとは大違いだ)、見られるブースの数も少ないので、ここで出展している会社はその製品がより良いものかどうかは別にして報道関係者からより多くの注目を得るものだということを知っておいて頂きたい。いつもと同じく、その会社が私に何か値段の張るものを私に提供してくれた場合には絵文字 🎁 を付けて示しておいた。
Nahimic Mac サウンド増強器
CES の会場で Mac 専用のソフトウェアを見ることは稀なので、Nahimic アプリ 🎁 が Mac のサウンド品質を向上させると聞いて、私は二重の意味で興味を持った。私の聴力は並以下 (2011 年 2 月 8 日の記事“iOS 補聴器... 或いは、スーパーマンの耳の買い方”参照) だからだ。私が試したことのある他の同種のソフトウェアでは波形や周波数のスライダーを調整する必要があったけれども、Nahimic のインターフェイスはごく単純な文章で書かれていて、選びたいものをクリックするだけでサウンド環境がセットアップできる。私のMacBook Pro の内蔵スピーカーでは音量が増大すると具合が良いし、そうしておくと音声の明瞭さが聞いていてはっきり違ってくる。でも私はこれをほんの数分間テストしただけなので、いろいろなヘッドセットで試してみたいものだと思っている。既に出荷中で、料金は年額 $34.99 で、15 日間無料の試用版を App Store から入手できる。
Nuheara サウンド増強イヤーバッド
もしもあなたの耳がソフトウェアで得られるよりもっと力強い音を必要としているなら、かつ多少の出費は厭わないというなら、Nuheara のイヤーバッド 🎁 が良いかもしれない。これは AirPods とよく似たワイヤレスのイヤーバッドだが、デジタル信号処理機能を内蔵していてあなたが自己管理できる聴力検査の結果に応じて可聴周波を増幅する。大体において私が2年前の記事に書いたEven のワイヤード・ヘッドフォンと似ている。(2017 年 1 月 10 日の記事“CES 2017: CES 展示会場でのガジェット探し (1 日目と 2 日目)”参照。)Nuheara のイヤーバッドはデバイスから来る Bluetooth オーディオでも、また周囲音に対しても使える。今回の会場で初登場したのは次世代の IQbuds Max イヤーバッドで、これは去年の IQbuds Boost モデルを改良してアクティブな雑音消去機能を装備し、あなたがカスタマイズした可聴周波の必要に合わせて動作できるようにしている。同社はまた IQstream TV も販売しており、こちらは別売のハードウェアデバイスで、自動的に IQbuds に接続して追加の処理を施し、見えるものと聞こえるものの間に時差が生じないようにする。いずれも 2019 年後半にリリース予定で、価格は未発表だ。ただ、Max イヤーバッドが現在 $499 で売られている Boost イヤーバッドよりも高価になるのは間違いないだろう。
POW Audio Mo Bluetooth スピーカー
POW Audio の Mo Bluetooth スピーカー 🎁 は私が以前 CES で見たことがある巧妙な機能をいくつか組み合わせるものだが、価格がずっと魅力的になっている。手の平サイズのこのスピーカーは拡張可能なコンパートメントを備えている。広げれば、スピーカー内の残響音により音質が良くなる。下の写真のように押さえて平らにすれば、ポケットにも入る。オプションのスマートフォンケースと磁力マウントが付属するので、スマートフォンの背面に取り付けて持ち運べる。(当然のことだが、そうすると iPhone の厚みは Jony Ive が頭を抱えるほど分厚くなってしまう。) 予約注文が来週開始され、価格は $99、出荷は 2019 年 2 月だ。二台買えば、双方を接続してステレオサウンドが楽しめる。
Ars Technica の記事で、Steve Brykman が Apple TV は大好きだけれどもそのリモコンは大嫌いだと述べる。それに同感という方は、Apple TV Remote を徹底的にけなした (彼自身暴言と認めている) 悪口雑言を痛快に思われるかもしれない。機能性より形式を強調しているところが最も彼の怒りに触れるようだ。でも、彼の言うことは全くその通りで (2016 年 4 月 14 日の記事“Siri Remote を使いこなす”参照)、そもそも Apple がこれほどお粗末な工業デザインを当初出荷したことも、Apple TV 4K に至ってもまだ (単に Menu ボタンのまわりに白い輪を付けたのみで) それを修正できていないことも、驚きだという以外にない。