厖大なトラックの保存庫が Apple Music にあるのは多くの意味で嬉しいことだが、ともするとその結果として自分が全然聴いたこともないような曲を聴く羽目になることも多い。とりわけ、Siri に命じて一人のアーティストまたは一つの楽曲をもとにラジオ局を作らせたり ("Play Bruce Springsteen radio")、あるいは自分用のラジオ局を作らせたり ("Play music I like") した場合にそうなりがちだ。
もちろん、いつでも Siri に "What's playing?" と言えば楽曲とアーティストの名前を教えてもらえるのだが、もしも "DJ モード" というものができて、それを有効にすれば個々の曲を再生する前に自動的に Siri がその曲名とアーティスト名を告げてくれるようになったならばどうだろうか? 言わば、Siri がラジオ局の DJ になってくれる訳だ。聴く曲が分かっていればそのモードをオフにすればよいし、Siri に曲を選ばせたくなればそのモードをオンに戻せばよい。
私がライブトラックを聴いていてイライラする理由の一つは、作品数の多いアーティストの音楽を再生するように Siri に命じると、同じ曲を何度も聴かされることが多いからだ。オリジナルアルバムから一回、ライブ録音から数回、さらにはベストアルバムからまたまた数回、といった具合だ。
一つのセッションの中では、一つの曲は一度聴けば十分だ。もちろん曲は同じであっても内部的には別々の ID が付いているに違いないとは思うが、Apple Music はもっと賢くなって、名前をもとにして曲の重複を避けるようになるべきではないだろうか。
試しに、Siri に命じて Kansas の "Dust in the Wind" に似た曲を選ばせてみたら、この順番で曲が次々に再生された:
“Dust in the Wind” (Kansas)
“Dust in the Wind” (Kansas)
“Stairway to Heaven” (Led Zeppelin)
“Dust in the Wind” (Kansas)
“Carry on Wayward Son” (Kansas)
“Dust in the Wind” (Kansas)
“Point of Know Return” (Kansas)
“Play the Game Tonight” (Kansas)
“Point of Know Return” (Kansas)
全部で9曲のうち、Apple Music は "Dust in the Wind" を4回、"Point of Know Return" を2回再生し、Kansas 以外のアーティストの曲はたった1つだけだ。アルゴリズムとして出来が悪い!
Siri よ、フィードバックを取り入れて、お詫びを口にせよ
この "Dust in the Wind" の失敗例で、私は何度も繰り返して Siri に次のトラックへスキップせよと命じる羽目になり、思わず笑ってしまった。Apple Music のラジオ局が私が好きでない曲を再生するのは別に珍しいことではないが、その度に私は即座にその曲をスキップさせている。たいていの場合、私の声はイライラ感を伴った語調だ。あるいは、もっとひどい例として、時折 Siri は私の言ったことを誤解して、何か恐ろしく耳障りなものの再生を始めることもあるが、そうすると私はすぐさま大声で "Hey Siri, stop!" と叫ぶ。
人間ならば、相手にそんな反応をされれば素直に謝るだろう。だから Siri にも、一つのコマンドの後にそれを取り消すコマンドが興奮した語調で語られたら、同じように謝って欲しい。いったいなぜ Siri は間違いをしても謝らないのか?
その上、Apple Music に話を戻せば、Siri が間違いから学習するようになって、あなたがスキップを命じたものに似たトラックを、少なくともその同一のセッションの中では避けるようになったならば素敵ではないだろうか? もしも Siri が「すみません Adam、これからはもっとあなたの気に入る曲を再生するように努めます」と言ってくれたなら、私はとても幸せに感じると思う。
皆さんのお考えは?
もしもあなたが Apple Music 購読者なら、あなたは Apple Music を気に入っているだろうか? もしもあなたが別のストリーミングサービスをお使いなら、それはどれか? あるいは、トラックをリッピングして iTunes でお聴きだろうか? 一問だけの読者アンケートを実施中なので、どうぞ投票をして、さらにもっと踏み込んだ回答をコメントにも書き込んで頂きたい。
質問に答える、電話をかける、そして (ひょっとすると) 冗談を言う等が、Siri について考えた時に思いつくことかもしれないが、この Apple のデジタル助手はもっともっと多くの隠し技を持っている。
あなたが特に決まった領域に属さない様なことをする時に、Siri が手助け出来る一番クールなものを、文章を外国語に翻訳することから、自分のスマートホームを制御することまで挙げてみる。(Mac, iPhone, HomePod, AirPods, そして Apple TV を始めとする自分の持っている全ての機器上でどうやって Siri を呼び出すかについて確かでなければ、この Apple サポートページを参照されたい。)
でも Siri に関して言えば、これらのことは水面から顔を出している氷山のほんの一角に過ぎない。Siri が出来ることの全ては私の本 Take Control of Siri で詳細に学べる。値段は $14.99 に過ぎず、更に HomeKit にも気を惹かれているのであれば、Josh Centers によるアップデートされたばかりの Take Control of Apple Home Automation とバンドルすることで、両方を $20 で買える。こちらの本も単独の定価は $14.99 である
1. あなたの Apple 機器を探す
iCloud.com にログインし、気まぐれな Apple 機器を探して地図に目をこらすのは結構大変であり、通常は、漏れ聞こえてくる呼び出し音を求めて家の周りを歩き回ることになる。(私の場合、その呼び出し音は冷凍庫から聞こえてきたことがある。私の iPhone は、アルミフォイルで丁寧に包まれ鎮座ましましていた。小さい子供は何をするか分からない)。
好きな人も嫌いな人もいるだろうが、目覚ましは時間通りに起きて出かける手助けをしてくれる。iPhone, iPad, Apple Watch, 或いは HomePod で Siri を使って目覚ましをかけよう。Siri を起動して、"明日の 6 PM に起こして" 或いは "目覚ましを 5 AM に設定して" と言う。その時間になると、たとえ iPhone が Do Not Disturb に、或いは Ring スイッチが無音に設定されていても、目覚ましは音を鳴らす。
iOS 機器では、目覚ましは削除しない限り Clock アプリの中に留まるので、再度利用するのには便利である。それに名前をつけておくと、後で Siri を使って、オンオフするのは簡単である。例えば、別の日に "School Day 目覚ましを 6:45 AM に設定" と言っておけば、"School Day 目覚ましをオン" とか "School Day 目覚ましを止める" とか言える。同様に、夏が来たら、ただ単に "School Day 目覚ましを削除" と言えば良い。いろいろ溜まったアラーム全部を削除するには、"全部のアラームを削除" と言う。
6. 文章を翻訳する
iPhone, iPad, 或いは HomePod 上の Siri に、どんな英語の言い回しでも (深呼吸) Arabic, Brazilian Portuguese, French, German, Italian, Japanese, Mandarin Chinese, Russian, 或いは Spanish に翻訳するよう頼める。iOS 機器は、これらの翻訳を音声でも、文字でもどちらででも出来る。Siri は未だあなたに話し返されたものを英語に戻すことは出来ないが、旅に出ていて朝食を注文したり、トイレを探したい時にはとても役に立つ。その上、それは我々を Star Trek の未来に一歩近づけてくれる。(誰か万能翻訳機を持っていないか?) 訳したい言葉の前に "How do I say" 或いは "Translate" を付ける。例えば、"Translate where is the nearest bathroom in French" (一番近いトイレは何処ですかをフランス語に翻訳して)。
便利だと思うか、気持ち悪いと思うかは人によると思うが、iOS 機器や Mac 上の Siri で、Apple の Find My Friends を使ってあなたの愛する人を見つけ出すことが出来る。Siri を呼び出して、頼む:"私の友人達は何処?" "一番近い友人を探して"、"Graham は何処?" 或いは "Dave が仕事場に着いたら教えて" と。 あなたに許可を与えている人なら誰でも見つけ出すことが出来る - 例えば、あなたの Family Sharing グループに属する人 (設定の詳細については、Apple のサポート記事"「友達を探す」を設定して使用する" と "家族と位置情報を共有する"を参照されたい。
9. 写真 (或いは自撮り) を撮る
iPhone を手にしてスナップショットを撮るのはそんなに難しい話ではないが、Siri はそれを少々だがより簡単にそしてより早くすることが出来る - シャッターチャンスを逃してしまいかねない数ステップを省略出来る。iPhone 又は iPad で、Siri を呼び出し、以下をやってみる:"自撮り"、"写真を撮る"、"四角い写真を撮る"、"パノラマを撮る"、"ビデオを撮る"、"スローモーションビデオを撮る" 或いは "コマ撮りビデオを撮る" とかである。(Siri は Portrait モードは呼び出せない。) Siri は Camera アプリを開き、希望の設定にする。準備をして写真を撮る。その通り、写真は自分で撮らなければならない - Siri はあなたに代わってシャッターボタンを押すことは出来ない。
Apple Watch があれば、これはさらに面白くなる。iPhone を背面カメラを被写体に向けて設定し、離れる。時計上の Siri を起動して、"写真を撮る" と言う (Siri の他の Camera コマンドでも良い)。Bluetooth の範囲内にいる限り、iPhone のカメラは起動される。
Siri は基本的なことを超えて、手でやるには大変そうな、或いは不可能と思えそうな検索すらも出来る。Siri に、Photos Advanced Computer Vision 機能を活用する質問をし、あなたの画像を光の速度でくまなく探させる。例えば、"コリーのいる写真を見せて" と言えば、Photos が開いて、それがマッチすると考える一連の画像を示す。
珍しいそして素晴らしい対象物も見つけ出せる。例えば、木 ("オークの写真を見せて")、植物 ("バラの写真を見せて")、ランドマーク ("浜辺の写真を見せて")、そして子供たち ("赤ちゃんの写真も見せて") - Apple によれば、4432 の対象物があるという。あなたの写真の中に合うものが見つからない場合、Siri は、代わりに Web での画像検索を行う。
Mac 上では、あなたの Siri への頼みは、Photos ウィンドウの上部に大きな書体で現れる。iOS 機器上では、あなたの Siri への頼みは、あなたを Photos 検索画面へと誘い、そして言ったことは検索フィールドに置かれる。
11. 送金する、或いは送金を依頼する
Apple Pay, PayPal, 或いは Venmo を iPhone で使っているのであれば、Siri を使って送金するのは早くて簡単である。(Apple Pay は Apple Watch 上の Siri でも働く。) iPhone を解錠して次の様なことを言う:"$5 を Mary にコーヒー代として Venmo を使って送る" とか "$25 を Kabir を夕食代として Apple Pay"。必要に応じて、送金先を名前で確認し、そして "Yes" と言って送金を承認する。
また、友人からの Apple Pay を使った支払いを iPhone や Apple Watch 上の Siri から依頼出来る。こんな感じである:"Eowyn に $17 を T シャツ代として頼んで"。Apple Pay の設定と使い方についての更なる詳細については、この Apple サポート頁を参照されたい。
12. ヘッドラインを聞く
米国では、iOS 機器や HomePod で、最新ニュースを遅れずに手にするのは簡単な (時として、気が滅入る) 話しである。ただ Siri にそのニュースについて聞けば良い。Apple の Podcasts アプリがインストールされている限り、Siri は Bloomberg, CNBC, CNN, ESPN, Fox News, NPR, そして Washington Post からのニュースダイジェストや要約を再生出来る。そのメディア出版社の最新番組から情報を取り寄せる。
Siri を呼び出して "ニュースヘッドラインを再生" とか "NPR からのニュースを再生" と言って、NPR News Now ポッドキャストからの最新版を聞く。何か別のものの方が良ければ、"Fox News に切り替えて" とか "Washington Post に切り替えて" と言う。或いは、次回に (上記のリストから) 名前を言って好みの情報源を頼む。
それぞれの必要のために、これまでに数限りない製品が登場してきた。それらの製品の中で最良のものたちを詳しく調査し、それらをどのように組み合わて全体的なバックアップ戦略を構築するべきかを解説しているのが、Joe Kissell の Take Control of Backing Up Your Mac だ。その付録には、本編で取り上げなかった他の多くのアプリについても比較した表が載っている。
そういう訳で、CloudBerry Lab が TidBITS に話を持ちかけて CloudBerry Backup for macOS をレビューしてくれないかと言って来た時、私たちはその魅力的な機能一覧を見て大いに乗り気になった。これは、バージョン化されたバックアップとオフサイトのバックアップの両方の必要を満たす、魅力的な解決法になるのではないかと思ったからだ。でも残念ながら、その夢の実現までにはもう少し待たなければならないようだ。
魅力的な機能一覧
CloudBerry Backup for macOS は無料で利用できる。この製品を評価するには、なかなか良いやり方だ。でも、たった $29.99 を払うだけで Pro 版が得られて、暗号化、圧縮、電子メールサポート、200 GB 以上の保存など、重要な機能が使えるようになる。(ここで述べた価格にはストレージ料金が含まれておらず、ストレージはあなたが自分でどこかで見つけなければならない。) 私はテスト用に Pro 版を使った。
個々のプラン特定の設定だけでなく、それとは別にグローバルな設定もできて、symlink の処理の方法、バンド幅のスロットル、バックアップがアクティブな間は Mac をスリープさせずにおくか否か、などを指定できる。さらに、内部的なアプリケーション設定を使ってスレッド数、チャンクのサイズ、メモリ占有量などもコントロールできる。
これもまた、疑わしいほど素早く作業を完了したし、ファイルサイズの統計情報も、前と同様に極めて普通でない数字を示していた。コマンドラインで変更を加えた後であっても、私は統計数字の真実性に信用が置けないことを承知していたが、どこが悪いのかを示す証拠となるものが欲しかった。私はその昔の 2009 年に Time Machine を試した際にも同様の懸念を感じたことがあって、その折にソースと保存先のファイルの違いを調べる Unix シェルスクリプトを書いていた。私は Time Machine が作業を怠っていたファイルの明々白々なるリストを Apple に送って報告し、テストの結果をオンラインに共有したものだった。そこで私は今回も、同様のバックアップ整合性検査のスクリプトを CloudBerry のために書くことに決めた。
sh-3.2# ls -l 'audrey/Pictures/iPhoto Library.migratedphotolibrary/Thumbnails/2015/03/20/20150320-180831/1ZghV9P+TAWtlZPsw6uUNQ/IMG_8764.jpg'
-rw-r--r--@ 1 audrey staff 47053 Mar 20 2015 audrey/Pictures/iPhoto Library.migratedphotolibrary/Thumbnails/2015/03/20/20150320-180831/1ZghV9P+TAWtlZPsw6uUNQ/IMG_8764.jpg
彼らはその伝票を一人のエンジニアへと昇格させ、そのエンジニアは会社の顧問会議のメンバーの一人にも CC で送った。そして彼らは私にさらなるトラブルシューティングの手順を踏むことを依頼し、この特定のファイルのみに注意を集中させた。最終的に彼らから届いた返事は、「この問題が Mojave のデータ保護メカニズムによって引き起こされていることに、私たちはかなりの確信があります」というものだった。
私は High Sierra を使っているのであって Mojave ではない、と私は指摘した。すると彼らは High Sierra ユーザーからも同種の問題の報告が届いていて、Apple が Mojave のセキュリティメカニズムの一部を High Sierra に逆移植しているからではないかと考えている (もしそうなら私たちも初めてその種の話を聞いたことになるが) と返答してきた。また、彼らは CloudBerry のエンジニアリングチームが修正のために取り組んでいるけれども、それより前に修正の必要なアップデートの未処理分が控えているとも言い添えた。
私はこの問題の緊急性を訴えた。私自身のためではなくて、彼らの会社の Mac 顧客たちのためだ。CloudBerry Lab が本当にこの問題の重大さを認識しているのかどうか知りたいと思って、私は自分が書いたメッセージの末尾に次のように付け加えた:
私だって、TidBITS コミュニティーに向けて、またもう一つ新たな素晴らしいバックアップ用アプリが登場したぞと告げる一人になりたいと心から思っていた。でも、私がそう思ったのは読者の皆さんがご自分のデータを保護するための手助けになりたいと思っているからなので、現時点で私にできる最良の助言は、CloudBerry Backup for macOS を使わないようにとお勧めすることだけだ。
今は亡き、人々の哀悼を集めた Dantz Development の言葉を引用しておこう。「前進するためには、まず一歩後退 (バックアップ) しなければならない。」皆さん、安全を第一に!
[Dave Kitabjian はもうかれこれ 30 年間にわたってソフトウェアを書き、インターネットと通信のサービスをデザインしてきた。1984 年以来の Mac オーナーで、自宅では 5 台の Mac を使いつつ、仕事場では Linux と Windows の開発をしている。時々は O'Reilly Media からテクノロジー系執筆の仕事を引き受け、キーボード、ベース、ギターを弾きこなして即興のジャズ演奏を楽しむこともある。]
あなたや世界中のあらゆる人たちについてのデータを収集して分析し、そこへのアクセスを販売することで Facebook や Google がそれぞれのビジネスモデルを成り立たせていることを、皆さんもおそらくご存じだろう。少なくとも、たぶん皆さんも何らかの形で Facebook や Google との関係をお持ちだろう。でも、皆さんがお気付きでないかもしれないのは、あなたとは全く関係のないところであなたについてのデータを売買している会社がどれほど多く存在しているかということだ。それらの会社にとって、もはやあなたはマシンに注ぎ込む情報ビット以外の何物でもない。
Fast Company の記事で、Steven Melendez と Alex Pasternack が影のようなこれらの会社を 121 社リストし、彼らが何をしているのか、あなたが (少なくとも理論的には) どうやって彼らのデータベースからあなた自身を抽出できるかを説明する。これは、データブローカーが州に登録することを義務付けたバーモント州の新しい法律を利用して取材した結果だ。アメリカ人の圧倒的大多数が自分の個人情報が収集され利用されることについて自分で手を下すことなどできなくなったと考えていることを踏まえれば、これは良い知らせと言えるだろう。ただ、抽出のために必要な手続はあまりにも厖大で、大多数の人は実行する気にならないだろう。(リンク先の Pew Research Center のデータは 2014 年後半のもので、今では自分のデータをやり取りする会社に対してさらにもっと多くの人たちが悲観的な意見を持っているのではないかと思われる。)