Skip to content
Thoughtful, detailed coverage of everything Apple for 29 years
前週号 | 日本語版ホーム | 次週号

#1464: Apple の Q2 2019 業績発表、Google Home オーディオの修正、リマインダーの並べ替えはお粗末、IINA ビデオプレイヤー

Apple の Q2 2019 業績報告によれば iPhone 売上は引き続き下降しているが、それでも Apple はアナリストの予想を上回る結果を出し、115 億 6 千万ドルの純利益を報告した。Tim Cook とこの会社は、今後も Apple のサービス事業を成長させ続けて会社の成長を維持できるだろうか? Google Home スマートスピーカーを購入したけれども Bluetooth オーディオが切れてしまうトラブルに見舞われている人のために、Josh Centers が修正方法を説明する。それから、Josh は Mac 用ビデオプレイヤー IINA を検討する。これはエレガントなオープンソースのアプリで、Apple が次期バージョンの macOS で放棄する予定の古いビデオフォーマットにも対応している。最後に Adam Engst による新たな Bad Apple 記事がある。今回は Apple の Reminders (リマインダー) アプリが項目の並べ替えに関してはひどくお粗末であることについて検討する。来たるべき WWDC の嵐の前の静けさとしか考えようがないが、今週は注目すべき Mac アプリのリリースが一つもなかった。代わりになかなか面白い読み物を皆さんに紹介する ExtraBITS 記事がいくつかある。

Michael E. Cohen Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

iPhone 販売、沈んだまま:Apple の Q2 2019 業績

Q2 2019 業績を発表して、Apple は純利益 $11.56 billion (希薄化後一株当たり$2.46)、売上げ $58 billion を発表した。同社の売上げは前年同期比で 5% の減収で、純利益は 10% の減収となった ("Apple の Q2 2018 業績、iPhone X 懐疑派の誤りを証明" 1 May 2018 参照)。これらは不本意な数字ではあるが、売上げ $57.3 billion と一株当たり利益 $2.36 とするアナリスト予想を上回った。

内訳に入る前に、四半期業績の報告の仕方について 2019 年に Apple が大幅な変更加えたことを記しておきたい。Apple は最早販売台数は報告しないが、売上げについては部門別の内訳を示す。Other Products 部門は、"Wearables, Home, and Accessories" という名前に変わったが、この記事では、歴史的な傾向を見るために両方の名前を同じ意味に使うことにする。同社はまた、物理的な製品とサービスの両方に対する粗利益も報告している。そして、Q1 2019 と同様 ("Apple の Q1 2019 業績:iPhone は悪く、残りは良い" 29 January 2019 参照)、前年同期の売上げの数字は昨年我々が報告したものとは異なっている。その理由は Apple が今や無料サービスの費用を関連したハードウェア部門に対してではなく、Services 部門に償却費用として付加しているからである。

製品部門別の概要を前年同期と比べて示すと、iPhone 販売は下落 ($31 billion 対 $37.5 billion)、Mac 販売も同様 ($5.5 billion 対 $5.8 billion)、しかし iPad 売上げは上昇 ($4.9 billion 対 $4.0 billion)、そして以前は Other として知られていた部門も上昇した ($5.1 billion 対 $3.9 billion)。重要性が増している Services 部門も四半期売上げでの勝ちを記録した ($11.5 billion 対 $9.9 billion)。

一言で言えば、Apple の業績は好悪混在であった。

iPhone revenue took a nosedive in Q2, and nothing really made up for it

では、もう少し詳しくみてみよう。

前四半期と同様、iPhone の売上げは急落し、前年同期比で 17.3% の下落となった。Apple CEO Tim Cook は、この下落の大部分は 11 月と 12 月に起こったものだと言っており、Apple は iPhone の販売は今や上昇に転じていると期待している。いずれにしろ、iPhone のユーザー基盤は前よりも大きくなっているという事実は、Apple が自社製品を売ることの出来る iPhone のユーザーでない人は少なくなっていることを意味する。

iPhone に関する明るい側面の一つは、モデムチップについて Apple が Qualcomm と和解したことで、Cook は満足していると語っている ("Apple と Qualcomm、特許使用料訴訟で和解、ライセンス供与で合意" 17 April 2019 参照)。恐らく、これは Apple が将来の iPhone で 5G 対応に備えていることを指し示しているのであろうが、Cook は Apple の 5G 計画について話すのは断固拒否した。

Mac 売上げは前年同期比で 4.6% 下落した。興味深いことに、Cook によれば、Apple は Mac 販売がこの四半期に "プロセッサの供給制約" がなければもっと伸びていたであろうと信じていると言う。このコメントからは、Intel 本社に対する喘ぎと歯ぎしりが聞こえそうだし、それに Apple は将来の Mac で Intel CPU を自社の ARM ベースのチップで置き換えるのではという噂に油を注ぐものとなっている。全体的には Mac 売上げの数字は下落したが、Apple は、日本と韓国では Mac 販売は2桁の成長を記録したことを指摘した。

iPad は素晴らしい四半期を記録し、売上げは前年比 21.6% の増収であった。これは iPad にとって近年では珍しい四半期売上げの上昇の一つというだけではなく、iPad にとっては 6 年間で最高の四半期売上げの上昇でもあった。

Wearables, Home, and Accessories 部門もまた好調な四半期を記録し、売上げは前年同期比で 30% 上昇した。Cook は、具体的に AirPods の販売を挙げ、 "グラフを飛び出す勢い" と表現し、更に需要を満たそうと全力を尽くしていることも付け加えた。

Apple は、将来に対する希望の多くの部分を Services 製品部門に賭けており、そして、だからこそ Services 売上げが前年比で 16.2% 伸び、そしてこの部門が今や Apple 売上げの 20% を占めていることを発表出来て嬉しく思っている。定期購読はこの製品部門の継続的な収入の信頼できる源であり、Apple が今や 390 百万の定期購読を持っているという発表はとりわけ歓迎される。他の Apple 定期購読サービスは、Apple News+ の様に始まったばかりか、或いは、Apple TV+ の様にこれから登場することを考えると、Apple の最終利益に対する Services の貢献度は更に大きくなると期待されている。

少なくとも Apple はその様に思っている。 Dialog Capital Markets からの質問者とのやり取りの中で、Cook は、Apple の新しい一連のサービスについて少々自己防衛的になったように見受けられ、Apple は意味のないサービスなど作り出さないと言った。"これらは趣味ではない" と、この CEO はかなりぶっきらぼうに言い放った。

これら全てを株主はどう解釈するであろうか? 疑いなく、二四半期連続の業績下落は多くの投資家に警戒心を抱かせるであろう。株主の苛立ちをなだめるために、Apple は株主に対する四半期配当を 5% 引き上げて、一株当たり $0.77 とした。配当は 16 May 2019 に 13 May 2019 の営業終了時点の登録株主に対して支払われる。これは、Apple のこれ迄の 7 年に満たない間の 7 回目の増配となる。Apple はまた、自社株買い戻しプログラムも $75 billion 増額している。

多くの観察者は、iPhone 市場は飽和してきたし、Apple の 10 年に及ぶ増収の記録も終わりを迎えると見てきた。そして、今やそれが現実となったが、だからと言って、その終焉が近いようには見えない。初期徴候から見えるのは、Apple の Services への軸足移動、そして Wearables, Home, and Accessories 部門の活況は、飽和した iPhone 市場のお陰だということである。詰まるところ、それは Apple が自らのサービス、定期購読、そして付属品を売ることの出来る市場そのものなのである。今や Apple は成功裏にその巨大なエコシステムを作り上げたので、同社が今後それを創造的なやり方で有効活用する時期が来たように見受けられる。

討論に参加

Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

iPhone ユーザーが Google Home のオーディオ切断問題を解決する方法

2017 年に、私は幾つかの Google Home スマートスピーカーを家庭用に購入した。そしてそれは Bluetooth スピーカーとして問題なく働いた、数ヶ月前までは。理由は分からないが、オーディオを再生していると我々の iPhone は再生を始めて数分後にスピーカーとの接続を切断し始めたのである。Google 検索をしてみたら、この問題は珍しいことではないことが分かった。

Google のサポートフォーラムからは大したことは分からなかったし、我々のイライラはつのるばかりであった。考えてもみてほしい、例えばオーディオ本の再生を始めてシャワーを浴び始めたら、iPhone からのオーディオが Google Home スピーカーを通しての再生を止めてしまい、iPhone スピーカーからかすかに聞こえるだけという状況を。選択肢は二つ:シャワーから出て、水滴を滴らせたままそれに対応しようとするか、或いは、そのまま再生させておいて、後で元のところからもう一度再生させようとするかである。どちらの場合でも、イライラの極みであろう。

ありがたいことに、私は Reddit スレッドで GoNmanne11 というユーザーからのヒントを見つけた。そのやり方は、Google Home アプリの Paired Bluetooth Devices リストから全てを削除して、それから再度 Google Home スピーカーをペア付けするというものであった。この記事には、詳細なやり方は出ていないので、その手順を示すと:

  1. iPhone 上で Google Home アプリを開く。
  2. Home タブ (最初のタブ) にいる間に、問題のある機器のアイコンに到達するまで下方にスクロールする。その機器アイコンをタップする。
  3. 歯車アイコンをタップ。Google Home スピーカー設定を探し出す
    Finding Google Home speaker settings
  4. 下方にスクロールして Paired Bluetooth Devices に到達、それをタップ
  5. ペア付けされた iPhone の隣にある X をタップして、それから Unpair をタップ。 (ここにいる間に、右下隅にある Enable Pairing Mode も目に留めておく。何故ならば、後でそれをタップするために戻ってくるからである。) Google Home アプリでペア付けを解除する。
    Unpairing speakers in the Google Home app.
  6. Settings アプリに切り替え、そして Bluetooth をタップ。
  7. 対象としている機器に付属している i アイコンをタップ。
  8. Forget This Device をタップ、そして、促されたら Forget Device をタップ。iOS 設定で Bluetooth 機器を忘れる。.
    Forgetting a Bluetooth device in iOS settings.
  9. Google Home アプリに戻って、Enable Pairing Mode をタップ。
  10. Settings アプリに再度切り替えて、スピーカーが Other Devices の下に現れたらそれをタップ。Google Home スピーカーを再ペア付けする。
    Repairing a Google Home speaker

残念ながら、この修正はずっと続かないかもしれない。数ヶ月間、問題なく働いた後、我々の浴室のスピーカーは、私の妻の iPhone からオーディオを再生している時に再度接続が切れ始めた。上記の手順をもう一度踏むことで、この不具合は直ったが、我々としては Google がこの問題の根底にあるバグを修正してくれることを望みたい。

討論に参加

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

IINA ビデオプレイヤーで Apple の旧メディアフォーマット放棄に備えよう

TidBITS 監視リストですべてのリンクをフォローしている人でもない限り、Apple が Final Cut Pro 10.4.6 のリリースノート (2019 年 3 月 22 日の記事“Final Cut Pro X 10.4.6, Compressor 4.4.4, Motion 5.4.3”参照) に書き込んだ、次のような不吉なメッセージを見過ごしてしまったかもしれない:

Mojave より後のバージョンの macOS と互換性がない可能性があるメディアファイルを検出し、互換性のあるフォーマットに変換

その通り、Apple は次期メジャーリリースの macOS において、一部のメディア・フォーマットへの対応を廃止しようとしている。古い QuickTime 7 フレームワークに 64-bit 親和性がないからだ。従来サードパーティのソフトウェアが QuickTime 7 フレームワークに依存して対応していたフォーマットの中から、比較的よくあるものの例をいくつか挙げておこう:

ありがたいことに、今では業界全体で H.264 と H.265 がほぼ定着している。けれども、もしもあなたがビデオのコード変換を扱うのに慣れているなら (または、正直になろうではないか、怪しげなところからビデオをダウンロードしているなら)、きっと戸惑いを覚えていることだろう。たとえそうでなくても、よく分からないフォーマットの古いビデオをあなたが持っていることは十分にあり得るだろう。例えば、その昔の折り畳み式携帯電話で撮影した写真などだ。

オープンソースのビデオプレイヤーはたくさんある。最も有名なのはVLC だが、それより良くて、かつ Mac 専用なのが、IINAだ。これは無料で、オープンソースで、Mac 用に作られ (その上 Swift で書かれている!)、2018 年の末にバージョン 1.0 に達した。(現在私はバージョン 1.03 をレビュー中だ。) 好きになれないところがあるだろうか?

MPlayer、mpv、FFmpeg を基礎とする

2000 年代には、MPlayer (Windows 用のメディアプレイヤーや、1990 年代末頃のゲーミングサービスと混同してはならない - その通り、私は三つとも使ったことがある) がオープンソースの世界では事実上ビデオ再生の代表格であった。そのプロジェクトは後に大体において放棄され、mpv に取って代わられた。mpv は Unix コマンドラインのビデオプレイヤーで、比類ないパフォーマンスと拡張性を提供した。

それが IINA とどう関係するのか? 実は、mpv こそ IINA を駆動するエンジンなのだ。Terminal の達人を自認する人なら、数多くある方法のどれを使ってでも簡単に mpv を Mac にインストールできるだろう。私が気に入っている方法は Homebrew だ。そのためには Terminal から mpv を走らせなければならず、それによりいくつかの利点が得られるが、でも大多数の人にとってはグラフィカルなインターフェイスの便利さを上回るほどではないだろう。ありがたいことに、IINA のインストールは別に何も特別なことを必要とせずともできる。ただ単にディスクイメージを開いて、アプリを Applications フォルダの中へドラッグするだけでよい。

この mpv は無料のソフトウェアプロジェクト FFmpeg に基づいているので、FFmpeg が処理できるすべてのファイルフォーマットやコーデックに対応する。そこには想像できる限りのあらゆるものが含まれており、Apple が捨て去ろうとしているものも含まれる。

鋭い目の読者は、VLC もまた FFmpeg に基づいていることにお気付きだろう。それならば、なぜわざわざ乗り換えるのか? そもそもどちらも無料なので、どちらかを選べという話でもないが、動かしていてそれぞれがどんな風に見えるかは言っておきたい。写真の左側が IINA、右側が VLC だ。

IINA vs VLC

VLC は Mac、Windows、Linux、さらには OS/2 にさえクロス・プラットフォームのインターフェイスを提供しなければならないが、IINA は Mac 専用に作られているので、そのやり方に直ちに馴染むことができるだろう。例えば、Apple の Picture-in-Picture アイコンがすぐに分かるだろうし、また歯車アイコンをクリックすれば重要な表示設定のすべてが一つの場所にまとめて表示される。

IINA video settings

お気に入りの IINA 機能

もしも私が IINA と VLC の機能を比較したなら、VLC の方が勝つだろう。こちらは長年にわたって開発が続けられており、その一方で IINA はバージョン 1.0 になったばかりだ。けれども IINA は重要な機能のすべてを提供しているのに加えて、さらに追加の機能も提供する。その上、もっと重要なのは、Mac ユーザーならば迷うことなくそれらの機能のすべてを見つけられるという点だ。VLC を見て圧倒された気持ちになった人も、IINA を走らせれば新鮮な空気を吸った気になれるだろう。

でも、私は決して IINA の機能が不足しているという印象を与えたくはない。あなたが必要とする機能なら、きっと間違いなくすべて提供しているだろう。中でも私が気に入っている機能を三つだけ紹介しておきたい。

Picture-in-Picture

IINA は Mac 用に作られているので、macOS の Picture-in-Picture (ピクチャ・イン・ピクチャ) 機能にネイティブに対応する。これは 10.12 Sierra で導入された機能だが、Picture-in-Picture アイコンをクリックするだけでビデオがミニサイズのウィンドウの中に収まり、そのウィンドウがスクリーン四隅のどれかのところに固定され、最前面に留まる。Video > Float on Top を選んでビデオを最前面に保つことも可能だが、システムの Picture-in-Picture 機能は作業をしながらビデオを観るのに便利に使える。

YouTube プレイヤー

IINA のもう一つの素敵な機能は、YouTube のビデオを再生できることだ。YouTube の URL をコピーしておいて、File > Open URL in New Window を選んでその URL をペーストする。(VLC もこれはできる。)

YouTube ビデオをブラウザでなく IINA で再生する利点は何なのか? まず何よりも、手軽にピクチャ・イン・ピクチャを使ってビデオを視聴できる。それに、ブラウザのウィンドウの中で YouTube ビデオをリサイズするのは難しいが、IINA では簡単にウィンドウをリサイズできる。その上もちろん、IINA はメディアキーを使って YouTube ビデオをコントロールできるようにする。

もちろん、それらのことすべてをブラウザの中でする方法もあるが、IINA はオール・イン・ワンの解決策だ。

Music Mode

今日では誰もが音楽をストリーミングしているようだが、私たちの多くは今も何ギガバイトもの MP3 や AAC のオーディオファイルを持っている。残念ながら、Mac 用のシンプルな音楽プレイヤーはそう多くない。大体において iTunes がすべてを締め出してしまったからだ。iTunes 自体は長年にわたってひどい状態のままなのだが。

ビデオプレイヤーの大多数はオーディオの再生もできるのだが、たいていは使い勝手が悪い。そこで IINA の開発者たちは巧みな技を駆使して Music Mode を実装した。これは Video > Music Mode を選べば呼び出されるが、音楽ファイル、または音楽ファイルを含むフォルダを開いた際にも自動的に稼働する。

Music Mode は何が違うのか? 表示ウィンドウが収縮して、アルバムアートと再生コントロールのみを示すようになる。オプションとして、アート部分を隠してプレイリストを示すようにすることもできる。iTunes の膨れ上がり具合に飽き飽きしている人にとっては、素敵な軽量の音楽プレイヤーだ。

IINA's Music Mode

以上、ここで挙げたのは私が IINA で気に入っていることのほんの一部だ。

いずれにせよ、よく分からないフォーマットのビデオに遭遇した場合に備えて VLC と IINA の双方とも持っておくことをお勧めしたい。とりわけ、Apple が多くのフォーマットへの対応を廃止しようとしているのだから。

討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Bad Apple #4: リマインダーの並べ替えはお粗末

私は Bad Apple コラム記事を続けるのをすっかりおろそかにしてしまっていた。Bad Apple とは、Apple 体験の中で議論の余地なく間違っていて、しかも明白な解決策がある、そのような問題点を記録しておこうという趣旨のシリーズ記事だ。今回ここにもう一つ新たな Bad Apple 記事を書こうと思ったのは、Apple の Reminders (リマインダー) アプリがここのところいつも私の神経を逆撫でする、その理由の一つを見つけられたからだ。このバカな奴は、未だにリストの項目を並べ替えることが、どうしてもできないのだ。Bad Apple!

Reminders アプリが誕生したのは iOS 5 と OS X 10.8 Mountain Lion においてであった。この時に、Apple は iCal アプリを分割して Calendar アプリと Reminders アプリを作った。当時の Reminders アプリはごくシンプルなものであったが、何年間も数多くの iOS と macOS のアップデートを経ても、その状態はそのまま続いた。残念ながら、Reminders の中で項目の並べ替えをすることに関して「シンプル」とは「恥ずかしくなるほど非力」を意味するようだ。

iOS の Reminders では手動の並べ替えのみ

iOS 版の Reminders では、8 回のメジャーなアップデートを経た今でもまだ、Reminders のリストを手動以外の方法で並べ替えることができない。その上、この機能でさえ Reminders を説明した Apple のサポート記事の中で一言も触れられていない。Bad Apple!

その欠落をここで補っておこう。リストを表示した状態で、Edit をタップすると、個々のリマインダーのハンドルをドラッグして並び順を変えることができるようになる。

Screenshot of sorting in Reminders in iOS

別に並べ替えという概念が iOS に馴染まないなどという訳ではない。現に Settings アプリの中で Contacts も Notes も並べ替えのオプションを提供しているし、Music アプリの Library ではアルバム、プレイリスト、曲それぞれのリストの中で並べ替えができる。

私に思い付ける唯一の言い訳があるとすれば、Apple には並べ替えが有用になるほど数多くの項目を Reminders に溜め込んで使う人がいるとは思えなかったのではないかということくらいだろう。確かに一理はある。Reminders のリストに 10 個程度以上の項目を入れないのならば、たぶん全部が一つの画面に収まってスクロールの必要もないだろうから。

macOS の Reminders ではリストの並べ替えが一種類

macOS 10.14 Mojave で Apple が iOS から macOS へ移植したいわゆる "Marzipan" アプリ (News、Home、Voice Memos、Stocks) よりももっと前から Reminders アプリは存在していたけれど、そのことがこれらのアプリがどれほど質の悪いものになるかの予兆となっていたと、私たちは気付くべきであった。

Mac 版の Reminders は iOS 版よりも機能が多いが (と言っても桁違いの差がある訳ではない)、特にある種の並べ替え機能があることは注目すべきだ。メニューから View > Sort By (表示順序) を選べば、5 つの選択肢が示される: Manual、Due Date、Priority、Creation Date、Title (手動、期限、優先順位、作成日、タイトル) の 5 つだ。素晴らしいじゃないか?

Screenshot of Sort By menu in Mac Reminders

ちょっと待った。Mac ユーザーとしての私は、当然 Reminders の中の個々のリストがそれぞれ独自の並び順を持てるものだと思った。タスクを優先度で分けている to-do リストは Priority (優先順位) で並べたいし、記事のアイデアのリストは Title (タイトル) 順にしたい。進行状況を記録するリストでは、特定のタスクの集まりをまとめて使いたいので Manual (手動) が役に立つだろう。もちろん、締切日が何より重要なタスクリストは Due Date (期限) で並べたいし、今すぐには思い付けないが Creation Date (作成日) 順もきっと何か良い使い道があるだろう。

なのに、ダメだ。Reminders アプリはどのリストにもすべて同時に適用されるたった一つの並び順しか選ばせてくれない。これこそが、私をびっくりさせ、私の神経を逆撫でした問題だ。私はあるリストにいて、並び順がおかしいのに気付き、並び順を変えた。その後しばらくして、私は別のリストにいて、また並び順がおかしいのに気付いた。私はさまざまのタイプのリストを使っているので、一つのリストで並び順を変えれば、勝手に他のリストがぐちゃぐちゃになってしまうのだ。Bad Apple!

少なくとも Apple は、Mac 版 Reminders の説明書類の中で並べ替えが可能だとは書いている。並べ替えがすべてのリストに適用される点には触れていないが、リマインダーやリスト自体と違いリマインダーの並べ替えは他の Mac や iOS デバイスで使っている Reminders に反映されないとは注意している。

Reminders に代わるもの

私が Reminders を好きな点がたった一つだけある。Siri との統合だ。(ただしその機能が働く場合に限る - 2018 年 4 月 6 日の記事“Bad Apple #3: Reminders は Siri の言うことを聞かない”参照。) 一日中、私の頭にはするべきことが次々と浮かぶが、Siri を使って自分用のリマインダーを作れれば、てきぱきと処理できる。

Apple が最近財政的に苦しいことを考えれば (前四半期の純利益がたったの $11.56 billion - 2019 年 4 月 30 日の記事“iPhone 販売、沈んだまま:Apple の Q2 2019 業績”参照)、この会社が必要なリソースを欠いているのではないかと心配せざるを得ない。あるいは、Cupertino High School から高校生を見つけてきて Reminders にリストごとの並べ替え機能を追加させてやろうとする気力さえも欠けているのかもしれない。その種の並び順を iCloud を通じて同期させるのは間違いなくもっと難しい仕事だろうが、ひょっとすると既に Apple は大学生をインターン実習生として雇って、CloudKit を掻き分け捌いてそういう機能を追加する仕事をさせているのかもしれない。Apple 社内のプロフェッショナルのプログラマーたちは 8 年間も解決法を見つけられなかったのだが、思うに子供たちならばきっと週末のうちにやり遂げるだろう。これは単なる並べ替えであって、ロケット工学じゃないんだから。

Apple がちゃんとしてくれるまでの間、私は他のアプリで Reminders のデータベースを利用するものを探すつもりだ。そうすれば、今後も Siri を使って手軽にリマインダーを作成しつつ、実際の Reminders アプリに苦しめられずに済むからだ。BusyCalFantastical はどちらも Reminders のコンテンツにアクセスして表示でき、どの Reminders リストを表示するかを選ぶことができ、賢い並べ替え (日付のある項目は日付順で、日付のない項目はタイトル順での並べ替え) をしようとする。その上、Fantastical ではメニューバーから開くウィンドウにリマインダーを表示することもでき、そのウィンドウをメニューバーから剥がし取ってスクリーン上のどこにでも置くことができる。ただ、両者とも本当の意味でリマインダーを中心に据えたアプリではないので、それぞれのやり方が私に合うかどうかは試してみなければ分からない。

独立動作のアプリについて言えば、Mac と iOS の双方で走り、かつ Reminders のデータベースに接続できるものを私は 3 つ見つけた。2DoGoodTask、それに Memento だ。2Do は iOS 版は無料だがさまざまのアプリ内購入があり、その Mac 版は $49.99 だ。GoodTask は iOS 版が無料、Mac 版が $19.99 だ。そして Memento は iOS 版が $3.99 だが、Mac 版は今のところまだ 0.1 beta 版のみだ。3 つとも、私はまだ試していない。

何か他のタスク管理アプリで、Reminders と同期するか、あるいは独立動作の Siri 対応を持つかするものを、ご存知の方はおられないだろうか?

討論に参加

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Aperture Won’t Run after macOS 10.14 Mojave

Aperture は macOS 10.14 Mojave の後にはもう走らない

Apple が、廃止されてから何年も経ったプロフェッショナル級写真アプリ Aperture が macOS 10.14 Mojave より後の次期メジャーリリースの macOS ではもはや動作しないと発表し、その理由を「技術的な理由による」と述べた。Apple は macOS 10.15 で 32-bit の Mac アプリへの対応を廃止しようとしているが (2018 年 6 月 12 日の記事“macOS 10.14 Mojave は 32-bit アプリに対応する最後の macOS となる”参照)、そのこととは関係がない。Aperture はバージョン 3.0 (2010 年 2 月 9 日の記事“Apple、 Aperture 3 をリリース”参照) 以来ずっと 64-bit アプリであったからだ。それでも、Aperture がついに終焉を迎えたことは驚くには当たらない。Apple がこのアプリの販売を中止したのはもう四年以上前 (2015 年 2 月 16 日の記事“Aperture が Mac App Store を去る”参照) のことだからだ。まだ写真コレクションを Aperture から移行させていない人のために、Apple は Aperture ライブラリを Photos または Adobe Lightroom Classic へ移す方法のガイドを提供している。移行の際には必ずあらかじめ Aperture ライブラリのバックアップを取っておこう。念のためだ!

元記事を読む | 討論に参加

How Rogue YouTube Employees Killed Internet Explorer 6

いたずら者の YouTube 従業員たちが Internet Explorer 6 を葬った話

2000 年代初頭に、Internet Explorer 6 はウェブプロフェッショナルたちの悩みの種であった。ウェブの標準を無視していたからだ。馬鹿げたほど多数のセキュリティホールで一杯であったが、Microsoft は何百万台もの Windows マシンにこれをデフォルトでインストールしていたにもかかわらず、基本的にこれを長年放置して朽ちるに任せていた。いったいどうやってウェブは IE6 から次へ移ることができたのだろうかと、皆さんは不思議に思ったことがないだろうか? そのヒントが、この古い TidBITS 記事の中にある。2010 年 2 月 22 日の記事“YouTube、2010 年 3 月 13 日で古いブラウザのフルサポートを中止”の中で、Glenn Fleishman は次のように書いた:

正直言って、私たちはこれらの古いブラウザに対して Google がとった態度に諸手を挙げて賛成したい。特に Internet Explorer 6 については大賛成だ。TidBITS ウェブサイトがこれまで Internet Explorer 6 でうまくレンダリングされたことは一度もない。その理由は、このブラウザに基本的なウェブ規格のサポートがあまりにも欠け過ぎているからだ。私たちには、この非常に古い、しかも Apple プラットフォーム用でもないブラウザのために、膨大な時間と労力を割く余裕がなかった。

当時の私たちはその半分も知らなかったが、本当の話は Google が力技を発揮するなどということよりずっと興味深いものであった。YouTube の初期の従業員であった Chris Zacharias がとても愉快なブログ記事を書いて、その中で彼といたずら者の開発者チームの面々が、Internet Explorer 6 対応は段階的に廃止予定、と記したバナーをこっそりと YouTube に忍び込ませたことについて語った。そのバナーが上層部が認めたものではないことに気付かなかった Google Docs チームが間もなく後に続き、他にもいくつかの Google サイトが加わるに至って、その種の Internet Explorer 6 バナーは至る所で見られるようになった。一月もしないうちに Internet Explorer 6 のトラフィックは 10% 以上も減り、Internet Explorer 6 がいずれ消え去ることはもはや既定の事実となった。

大規模な、官僚的な団体の中で、時としてこんな風に物事が達成されることもあるという実例として、これはとても素敵な話だ。Steve Jobs もこう言ったことがある。「海軍に入隊するよりも、海賊でいる方が良いさ。」

元記事を読む | 討論に参加

The Productivity Pit: It’s the People, Not the Tools

生産性の落とし穴: 問題は人々にあり、ツールにはない

Recode と Vox が協力して書き上げた記事が、例えば Slack、Microsoft の Teams、Facebook の Workplace などリアルタイムの仕事場コミュニケーションシステムが、電子メールだけに頼っている現状に比べて私たちをもっと生産的にすると約束しつつも、実際には多くの場合それを実現できないでいることについて論じる。理論そのものは健全であって、コミュニケーションの障壁を取り除くことで人々がより効率的に共同作業を進められることを目指している。けれどもこれらのシステムは、あまりにも多くのおしゃべりを促してしまうことがある。平均的に言って、大企業の従業員は毎週 200 通以上のメッセージを送信し、毎日 2 時間以上をチャットに費やしている。仕事に集中するために通知の設定を調整したり、Do noto disturb (おやすみモード) の時間を設定したりするのは重要なことだが、最終的な解決策はソーシャルなものであるべきで、テクノロジー的に解決できることではない。頭に浮かんだことを何でもかんでも人と共有したりせず、必要な事柄のみを明瞭かつ簡潔なコミュニケーションで伝えることを、人々が学ぶことが肝要だ。

元記事を読む | 討論に参加