Skip to content
Thoughtful, detailed coverage of everything Apple for 29 years
前週号 | 日本語版ホーム | 次週号

#1467: macOS Catalina、iOS 13 と iPadOS、watchOS 6。Mac Pro と Pro Display XDR、iOS 12.3.1、MacBook Pro と iPod touch の更新、Flexgate 修理プログラム

さあシートベルトを締めて! 本日 WWDC 基調講演で、macOS 10.15 Catalina、iOS 13 と iPadOS、それに watchOS 6 がお披露目された。これらの OS アップデートが Apple ユーザーとしての皆さんの来年をどのように形作るか、読み進めて頂きたい。Apple はまた、たくましい新型 Mac Pro と、それと共に使う Pro Display XDR も公表した。いずれも今年中に出荷される。けれども Apple は先週、残業を重ね残り物を片付けるかのように、iOS 12.3.1 をリリースし、MacBook Pro と iPod touch を更新し、また 2016 年型 MacBook Pro モデルの "Flexgate" 問題に対処する修理プログラムを開始した。この二週間での注目すべき Mac アプリのリリースは、BusyCal 3.6.2 と BusyContacts 1.3.3、MacBook Pro (2018, 2019) 用 macOS Mojave 10.14.5 追加アップデート、Carbon Copy Cloner 5.1.9、ChronoSync 4.9.3、DEVONthink 3.0 Public Beta 2、SEE Finance 2.1.2、SpamSieve 2.9.36、RapidWeaver 8.2.1、Ulysses 16、GraphicConverter 10.7.1、TextExpander 6.5.1、SoundSource 4.1、1Password 7.3、それに AirPort Base Station ファームウェアアップデートだ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

iOS 12.3.1、VoLTE 通話と Messages のバグを修正

iPhone が昔ながらの電話の通話にも使えるのを忘れてしまうことが時々あったとしても、今や無理からぬことだと言えるかもしれない。でも、Apple は今もまだ電話の通話が iPhone にとって極めて重要なものだと考えているようだと私たちは推測する。だからこそ、Apple は先週遅くになって iOS 12.3.1 をリリースしたのだろう。このアップデートは 3 件のバグを修正するためだけのものだが、そのうち 1 件は iPhone が Voice over LTE つまり VoLTE で電話をかけたり受けたりできなくなることがあるというものであった。Apple は iPhone 6 以来ずっと VoLTE に対応しており、これは世界中であまりにも広く使われているので、この種のバグは非常に多くの人たちに影響があると考えられる。

残りの 2 件の修正は Messages での問題に対処する。一つ目のバグは Filter Unknown Senders 設定を Settings > Messages > Unknown & Spam で有効にしていても不明な差出人からのメッセージがチャットリストに表示される可能性があったというものだ。二つ目のバグは過去に一度も連絡したことのない相手からの Messages スレッドに Report Junk リンクが表示されず Messages の迷惑メッセージを報告しにくくなっていたというものだ。

iOS アップデートとしては珍しく、今回はセキュリティ修正が含まれていない。

Screenshot of iOS 12.3.1 update notes

この iOS 12.3.1 アップデートのサイズは iPhone X 上で 77.9 MB、10.5 インチ iPad Pro 上で 394.5 MB だ。今のところ何か問題が起こったという話は聞こえていないので、iPhone 上で iOS 12.3 を走らせている人には今すぐインストールして VoLTE の修正を利用することをお勧めしたい。iPad や iPod touch を使っている人は、日常的に Messages で不明な差出人からのテキストメッセージを受け取っているのでない限り、少し長く待ってもおそらく害はないだろう。

討論に参加

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple、MacBook Pro 修理プログラムを開始して "Flexgate" に対処

Apple は WWDC に向けた準備の中である意味「謝罪行脚」の最中だ。まずバタフライ・キーボードの修理プログラムを拡大し (2019 年 5 月 21 日の記事“Apple、MacBook Pro を 8 コア・プロセッサとキーボード修正 (?) で更新”参照)、さらに今回は 2016 年以降の 13 インチ MacBook Pro モデルにおけるバックライトの問題 (メディアが「フレックスゲート」と呼んだ問題) の修理プログラムを開始した。

Apple のサポート記事には、次のような症状が明記されている:

  • ディスプレイのバックライトが、画面の底部に沿って明るい縦方向の領域を継続的または断続的に表示する。
  • ディスプレイのバックライトがまったく機能しなくなる。

2016 モデル年のすべての 13 インチ MacBook Pro は、上記の症状の片方または両方がある場合に、Apple から無料で修理が受けられる。Touch-Bar を装備し 4 基の Thunderbolt 3 ポートを持つモデルも、Touch-Bar 非装備で 2 基の Thunderbolt 3 ポートを持つモデルも含まれる。

iFixit と、反抗的な Mac 修理工 Louis Rossman とによって文書化されたこの問題は、デザイン上の欠陥によって起こるものだ。欠陥はディスプレイに、正確に言えばディスプレイの「フレックス」(柔軟性) ケーブルが短くて壊れやすいことにある。問題をさらに深刻化させるのが、このケーブルがディスプレイそのものと一体化されていることで、必然的に修理は高価なものとなる。何より悪いことに、iFIxit も Rossman も、故障は避けられないと言っている。あなたがどんなに丁寧に MacBook Pro を扱ったとしても、このケーブルはいずれ必ず壊れる。2018 年のモデルで、Apple は黙ってこの問題に対処し、フレックスケーブルを長いものに取り替えた。

もしもあなたが 2016 年型の 13 インチ MacBook Pro を持っていて、それが上記のどちらかのディスプレイの症状を示しているならば、Apple Authorized Service Provider を探すか、Apple Retail Store で予約をするか、あるいは Apple Support に連絡して Apple Repair Center への配送修理の手配を依頼するかするとよい。

どんなデバイスでも、修理のために Apple に渡す前に、まずあなたのデータをバックアップしておくことを忘れないようにしよう。修理の際にはストレージの交換が伴うことがあるからだ。Mac については、ブート可能な複製と Time Machine バックアップの両方を作っておくことをお勧めする。

討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

新型 iPod touch、A10 チップと 256 GB 構成を獲得

Apple が、iOS デバイスたちの末っ子、iPod touch へのアップデートを発表した。従来モデルの A8 チップを A10 Fusion チップで置き換え、また新たに 256 GB 構成のモデルを $399 で追加した。Apple はこの A10 チップが全体的なパフォーマンスを最大2倍にし、グラフィックスのパフォーマンスが最大3倍になるとしており、それらを組み合わせて Group FaceTime 通話と拡張された AR 体験が可能となるという。この新モデルは現在オンラインで受注が始まっており、実店舗には来週登場する。

他に言うべきことはあまりない。私の見るところ、他のことは何も変わっていない。32 GB 構成と 128 GB 構成各モデルの価格はそれぞれ $199 と $299 で従来と同じだ。サイズも従来と同じ 4.86 × 2.31 × 0.24 インチ (123.4 × 58.6 × 6.1 mm)、対角 4 インチのスクリーン、8 メガピクセルの背面カメラ、1.2 メガピクセルの前面 FaceTime HD カメラを搭載する。接続性に関しても、従来と同じく 802.11a/b/g/n/ac Wi-Fi と Bluetooth 4.1 に対応し、3.5 mm ヘッドフォンジャックも付く。

苛立たしいことに、この iPod touch はもっとずっと興味深いデバイスになり得る可能性を秘めている。サイズがこれほどほっそりして 3.1 オンス (88 g) という軽さなら、現行のどの iPhone よりもはるかにポケットに入れやすく、価格も $200 から $400 と手頃だ。だから、2つの考えが頭に浮かぶ:

Apple は iPod touch について業績発表の中で触れたり、売上台数を口にしたりしたことは一度もないし、私はそういう議論を聞いた覚えもない。今や私たちは iOS デバイスについて語る際に大体において“iPhone と iPad”について話をするようになったので、少数の人々が使っているとしても iPod touch の名前を口にするだけでも気まずいし不必要だと思えるようになってしまった。

だから、iPod touch はある程度の売上があって Apple も時々これをアップデートしているのだろうが、多大な開発努力を注ぎこめるほどには売れていないと考えるのが妥当なところだろう。ひょっとして、ある程度のセルラー接続性を組み込むことで、iPod touch をもう少し利益の中心点に近づけることができるのではないだろうか。

討論に参加

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple、MacBook Pro を 8 コア・プロセッサとキーボード修正 (?) で更新

WWDC に向けて準備中の Apple が Touch Bar を搭載する MacBook Pro シリーズ機を第 8 世代および第 9 世代の Intel Core プロセッサで更新し、Apple によればクアッドコアモデルでは最大 2 倍、6 コアモデルでは最大 50% の高速化を果たしたという。また、今回初めて 8 コアの 15 インチ MacBook Pro を購入できるようになった。この CPU のアップグレードを別にすれば、技術仕様は昨年のモデルとそれほど変わっていない。

けれども誰もが心に浮かべる疑問は、はたして Apple はあのいまいましいキーボードを直してくれたのかどうか、という点にある。

あのキーボードについて...

Apple はバタフライ型スイッチのキーボードの問題に今回ようやく MacBook Pro の改訂の中で公式に対処したことになる。Apple がキーボードのこのデザインを初めて導入したのは 2015 年であったが、それ以来このキーボードは絶え間なくオーナーたちを悩ましてきた。キーが戻らなくなったり、勝手に複数回繰り返したり、あるいはぱったりと動作を止めてしまったりすることもあった。苦情の声はみるみる増えて、私が知っている人でこのキーボードを持っている人のほとんど全員が何らかの問題を経験していた。(2018 年 5 月 16 日の記事“MacBook のバタフライ型キーボードで Apple に対する集団訴訟”参照。) Joanna Stern が Wall Street Journal ビデオの中で決定的な証拠を示して以後、この問題は主要メディアの注目を集めるようになった。

キーの感触やレイアウトが気に入らない人にとってはどうにもならないことだが、Apple は今回バタフライ型のメカニズムの中で 詳細不明ながら素材の変更をしている。同社によれば、少なくともこれで信頼性は高まるという。昨年、Apple はこのキーボードにシリコン製の薄膜を追加し、公式には騒音を減らすためとしたが、非公式には埃やゴミがバタフライ型メカニズムの中に入らないようにするためと述べた。(2018 年 7 月 12 日の記事“Apple、MacBook Pro を高速 CPU, RAM 上限拡大, True Tone Display, T2 チップで更新”参照。) この薄膜が役に立ったケースもあったのだろうが、すべての問題が消え去った訳でないことは確かだ。(Reddit ユーザーの cil3x は、MacBook Pro を分解して本当の問題点は埃にあるのではないことを証明してみせた。)

これから新型 MacBook Pro を買おうという人には良い知らせと言えるだろうが、既存のオーナーにも同様に良い知らせがある。Apple は Keyboard Service Program を (2015 年まで遡って) すべての既存のバタフライ型キーボードモデルに保証があるか否かにかかわらず拡張しようとしている。(2019 年 6 月 25 日の記事“Apple、バタフライスイッチキーボード用サービスプログラムを発表”参照。)

それに加えて、Apple は修理手続きに改善を加えて、所要日数を短くしようとしている。Apple が TechCrunch の Matthew Panzarino に語ったところによれば、機能に異常のある第 3 世代バタフライ型キーボード (昨年の MacBook Air および MacBook Pro モデルに搭載して出荷されたもの) を持ち込めば、新しい第 4 世代モデルのキーボードに交換してもらえるという。

新しい CPU

部屋の中の象 (いや蝶 - バタフライか?) のごとくに誰もが大きな声では口に出さない大問題を別にすれば、今回の新型 MacBook Pro での大ニュースは新しい Intel CPU だ。中でも 8 コアのプロセッサは、15 インチのモデルに劇的な改善を約束する。

15 インチ MacBook Pro モデルには全く新しい第 9 世代の Intel Core CPU が搭載される。ベースモデルの方は $2399 からで、2.3 GHz の 6 コア Intel Core i7 プロセッサを搭載し、$300 を追加すれば 2.4 GHz の 8 コア Intel Core i9 プロセッサにアップグレードできる。$2799 の上級モデルからならば CPU アップグレードはたった $200 だ。

13 インチ MacBook Pro にも CPU の改善が加えられたが、こちらは 15 インチモデルほど大幅でなく、昨年のモデルと同じ第 8 世代 Intel Core チップだ。Touch Bar 搭載の 13 インチ MacBook Pro は従来と同じく $1799 からで、今回は 2.4 GHz のクアッドコア Intel Core i5 プロセッサ (従来は 2.3 GHz クアッドコア i5) になる。$300 を追加すれば 2.8 GHz クアッドコア Intel Core i7 にアップグレードできる。

RAM とストレージ

RAM 構成は昨年と変わっていない。13 インチモデルはデフォルトが 8 GB の 2133 MHz LPDDR3 メモリで、$200 を追加すれば 16 GB にアップグレードできる。15 インチモデルはデフォルトが 16 GB の 2400 MHz DDR4 で、$400 の追加で 32 GB にできる。

ストレージのオプションも昨年と同じだ。ベースとなる $1799 の 13 インチモデルと $2399 の 15 インチモデルはいずれも 256 GB の SSD ストレージを持ち、$200 の追加で 512 GB に、$600 の追加で 1 TB に、$1200 の追加ならば 2 TB にアップグレードできる。さらに、15 モデルでは 4 TB の SSD ストレージに変えることもできるが、その料金は何と $3000 もする。

上級モデルとなる $1999 の 13 インチモデルと $2799 の 15 インチモデルは 512 GB の SSD ストレージを持ち、$400 で 1 TB に、$1000 で 2 TB にアップグレードできる。15 インチ MacBook Pro では 4 TB にもアップグレードでき、その料金は「たったの」$2800 だ。

グラフィックス

13 インチ MacBook Pro は昨年と同じ Intel Iris Plus Graphics 655 を搭載する。15 インチモデルは節電用統合型グラフィックスと高速用単体グラフィックスの間で自動切替をするが、これもベースモデルでは昨年と変わらず、ただ Apple は新たにハイエンドのオプションを二つ追加した。

$2399 の 15 インチモデルには単体グラフィックスとして 4 GB の GDDR5 メモリの付いた Radeon Pro 555X が含まれ、$100 を追加すれば 4 GB の GDDR5 メモリの付いた Radeon Pro 560X にアップグレードできる。上級モデルの $2399 の 15 インチモデルには Radeon Pro 560X が含まれ、$250 の追加で 4 GB の HBM2 メモリの付いた Radeon Pro Vega 16 に、または $350 の追加で同量のメモリの付いた Radeon Pro Vega 20 にアップグレードできる。

入手可能性

13 インチモデルと 15 インチモデルのいずれも、シルバーとスペースグレイから選ぶことができ、現在 Apple のオンラインストアから、Apple リテール店から、または独立の Apple 認定再販業者から入手できる。

ほとんどいつでも言えることだが、これらの更新はすべて歓迎すべきものばかりだ。だから、もしもあなたが MacBook Pro の購入を検討していたなら、今こそその好機だろう。最近二週間以内に従来のモデルを購入したばかりの人は、それを返品した上で新しいモデルを同じ価格で入手できることを覚えておこう。購入してから二週間を少しだけ過ぎてしまった人も、ひょっとすると Apple Store の担当者に直接交渉すれば何とかなるかも知れないが、その点は保証の限りでない。

さて、ここでの大きな問題は、はたして Apple が今度こそ本当にバタフライ型キーボードの欠陥を修正したのか否かだ。さきほども述べたように、もしもあなたがキーの押し込みの深さや、キーとキーの間隔、あるいや矢印キーの配置などに不満を抱えているのなら、その答は絶対的なノーだ。どうやら Apple には現在の工業デザインを変更するつもりはないようだからだ。けれども信頼性の問題の修正では、はたしてこれが四度目の正直になったのだろうか? その答を知るためには、早期に購入した人たちが実際に使ってみて、問題が起こり始めるかどうかを報告してくれるまで待つしかない。

討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

macOS Catalina で、Mac はもう孤島じゃない

現実を認めよう。Mac のユーザーたちは、iOS デバイスの海の中で漂っている。iPhone や iPad が波のごとくに次々と打ち寄せ、時々は iPod touch も流れ着く。だから、来たるべき macOS 10.15 Catalina が Mac と iOS をかつてないほど近づけるための変更に力を注いでいるとしても、全く驚くには当たらないはずだ。[訳者注: Catalina という名前は、キャサリン、カトリーヌ、エカテリーナと語源を同じくするヨーロッパで一般的な女性の名前であると同時に、アメリカ西海岸に住む人たちにはロサンゼルス沖にあるリゾート地として有名な Santa Catalina 島を連想させます。]

だからと言って、Apple が Mac を iOS で置き換えようとしているとか、Mac を特別なものとしているその比類なき機能を取り去ろうとしているとか言っている訳ではない。Mac と macOS は今後も Apple のハードウェアとソフトウェアのプラットフォームの中で第一級の、力強いメンバーであることに変わりはない。ただ、今後私たちは、少なくとも Apple の手からは、iOS の同胞たちから Mac をより遠く引き離すような新しいテクノロジーが現われることを期待できないだろう。オペレーティングシステムに関して言う限り、一人は皆のために、皆は Apple のために、と言って間違いないだろう。

本日の Worldwide Developer Conference (WWDC) 基調講演の中で、Apple の Craig Federighi が大きな変更点について足早に語ったが、その多くは個々のアプリに関するものであった。驚くには当たらないが、それらの変更点は大体において iOS 版における類似の変更点を反映した、あるいはそれらとマッチしたものとなったが、Mac 特有の拡張もあった。

鐘は鳴る、iTunes は死んだ

Federighi はまず、Apple が iTunes に組み込もうと考えた機能としてちょっと信じられないような反復言葉を積み重ねた。カレンダー! メール! さらにはドック! そうしておいて彼が言ったのは、iTunes は死んだよ、Jim 君、という言葉だった。(ここで Wizard of Oz の音楽でも流れるところだ。) いや、正確に言えば Mac 上では死んだ。iTunes は、まるでゾンビのように、Windows 上では生き続ける。

Craig Federighi jokingly announcing mail in iTunes

その代わりに、iOS とマッチさせるために, Apple は iTunes の機能を3つの新しいアプリに分割した。Music, Apple Podcasts, Apple TV だ。(実際、Federighi は Music を "Apple Music" と呼んだが、Apple の Catalina プレビューページには単なる "Music" という名前で載っている。そうあって欲しいものだ。そうでないと、Apple Music の中で Apple Music を購読するとか言う羽目になって具合が悪い。)

Apple Podcasts in Catalina

この足早のプレゼンテーションから判断できる限りで言えば、これら3つのアプリは iOS でそれぞれ対応するものとよく似ている。ただし、Federighi は十分な性能を持つ Mac 上では Mac 上の Apple TV アプリが HDR10 と Dolby Vision と Atmos の 4K HDR ビデオに対応すると述べた。新しい機能が一つある。Music アプリのプレイヤーは、曲を再生すると同時にリアルタイムで歌詞を表示できる。この機能は iOS 版と tvOS 版にも拡張される。

では、iTunes の同期機能はどうなるのか? macOS Catalina は、その機能を Finder の中に組み込む。iOS デバイスを Mac に取り付ければ、Finder ウィンドウのサイドバー上にそれが現われる。それを選択すれば、iTunes の標準的な同期設定画面に似たものがウィンドウの中に現われる。iOS アプリの同期や設定はできないが、Mac 上からデバイスのバックアップ、アップデート、リストアができる。

Managing an iPhone in the FInder

iTunes とは関係ないが「あともう一つアプリを」と言いつつ紹介されたのが (そしてこれも iOS 上のものを反映しているが) 新しい Find My アプリで、Find My iPhone と Find My Friends の機能を組み合わせて、デバイスと人々両方の位置を表示する。位置情報に基づく通知は、今回から曜日ごと別々にスケジュールを組めるようになり、より役立つ場所の名称を提供するようになる。最も興味深いのが、どこにあるか分からなくなった Mac が現在スリープ中であっても、Bluetooth 経由で (完全に暗号化され匿名化された手法を使って) 近くにある Apple デバイスから場所が分かることだ。

アプリの拡張

Catalina は Apple 製の組み込みアプリの多くに (重大なものも、そうでないものもあるが) 拡張をもたらす。ここでも、大体においてそれらの変更点は同じように iOS 版にも存在する。

Photos

Apple は引き続き Photos に手を加えているが、今回は機械学習の基盤を大幅に活用した新しいブラウズ体験を試みている。プレビュー画像が大きくなって写真を見分けやすくなり、新しい Day、Month、Year の各表示が他の似たような写真を排除し重要な写真のみに焦点を当てることでその時間枠にあなたがしたことを集約して示す。

The new Photos layout

Live Photos とビデオはあなたが画面をスクロールするにつれて自動的に再生を始めるようになり、見分けやすくなるとともに、ライブラリに生き生きとした感じをもたらす。また、Mac 上で Memory ムービーを観つつ、その継続時間、ムード、タイトルを編集でき、iCloud Photos を使用していればその編集結果が他のデバイスにも同期される。

Reminders

私たちは Reminders アプリを度々批判してきたが (2018 年 4 月 6 日の記事“Bad Apple #3: Reminders は Siri の言うことを聞かない”と 2019 年 5 月 3 日の記事“Bad Apple #4: リマインダーの並べ替えはお粗末”参照)、Apple がそれらの個別の点に対処したかどうかは今後を待たなければならないとして、Apple はこのアプリに大幅な更新を加えた。主要な変更点を挙げておこう:

The Reminders app in Catalina.

Notes

Apple の Notes アプリは、メモをサムネイルとして表示する新しいギャラリー表示を装備し、特に主としてグラフィック的なメモでこれは便利だ。またチェックリストのオプションも新設され、チェックリストの項目を手軽に並べ替えたり、個々の項目のチェックを外したりせずにチェックリスト全体を再利用することもできる。

Notes アプリの共有機能も改善され、閲覧専用のオプションを使って項目を共有すれば変更を加えられない状態で他の人たちがあなたの予定を見ることができる。また、たくさんの共有をする人のために、個々のメモでなくフォルダをまとめて共有することもできるようになり、フォルダでフルのアクセス権を認めることも、閲覧専用にすることもできる。

Safari

Safari にあまり大きな変更はないが、Catalina ではスタートページが更新されて、Picture in Picture 機能を有効にしやすくしたり、弱いパスワードについて警告したり、開いたタブのうちからタイプしているサイトの URL にマッチするものを示してくれたりする。

Mail

Safari と同様、Mail の変更点も比較的マイナーだ。指定した送信者からのメッセージをすべてブロックしてゴミ箱に移動できるようになる。あるいは、それがやり過ぎだと思えば、活発過ぎるスレッドをミュートさせることもできる。それからまた、メーリングリストからのメッセージには Unsubscribe リンクが見出しの上に表示される。

Screen Time

Apple が Catalina で iOS から macOS へ持ち込もうとしているもう一つのテクノロジーが、Screen Time だ。これは、あなたの使用状況を追跡して報告し、使い方の上限も設定できる。macOS のペアレンタルコントロール機能は長年放置されたままだったので、これは歓迎すべきことだ。Mac 上の Screen Time は iOS のものと同じ Downtime と App Limits の機能を提供し、iCloud を使っている場合には、あなたのすべてのデバイスを通じて同じ設定を同期する。どうやら新しいと思われる機能として "combined limits" という考え方がある。これはアプリのカテゴリー、特定のアプリ、ウェブサイトを一つに組み合わせて、それに対して上限を設定しようというものだ。

Screen Time in Catalina.

子供の親たちは、連絡先を管理してコミュニケーションに上限を設定できる Screen Time の新機能を歓迎するだろう。また、Family Sharing がオンの場合は、どのデバイスからでも子供たちのすべてのデバイス用に Screen Time を設定し管理できる。

今やっている最中のことを済ませるためにあと 60 秒の猶予を与える "One more minute" オプションが新設されたが、これは Screen Time で上限を利用しているすべての人に歓迎されることだろう。

Sidecar

新しい Sidecar 機能で、Apple は Mac と iPad を文字通りに近付けようとしている。AirDisplay、DisplayLink、Duet Display、Luna Display のようなものたちと同様に、Sidecar は iPad を Mac 用の補助ディスプレイ兼グラフィックタブレットとして使えるようにする。(他のスクリーン共有アプリ開発者の皆さんにお悔やみ申し上げたい。皆さんは今や「シャーロック化」の憂き目にあった訳だ。)

Sidecar はワイヤレスにも、あるいはワイヤード接続を通しても働き、私たちの予想では後者の方が良いパフォーマンスを提供できるだろう。デスクトップを拡げてより多くのスクリーン面積を確保するために使うことも、あるいはメインのスクリーンをミラーして他の人たちがあなたの作業を見られるようにすることもできる。

iPad で Apple Pencil を使っている場合には、タブレット機能に対応した Mac アプリで Apple Pencil を使うことができる。それ以外のアプリでも、Apple によれば PDF に書き込みをしたり押し広げたり、書類をマークアップしたりといった作業が Apple Pencil ででき、これを Continuity Markup 機能と呼ぶとのことだ。また、Continuity Sketch 機能を使えば、Apple Pencil で絵を描いて、それを Mac のどんな書類の中にでも挿入できるという。

標準的な Multi-Touch のジェスチャーが、Mac のアプリからテキストを表示している iPad スクリーンの上で使え、iPadOS で新たに加わったテキスト編集のジェスチャーも使える。それからまた、Touch Bar に対応したアプリは iPad 画面の一番下のところに Touch Bar のコントロールを表示するので、Touch Bar を持たない Mac でも Touch Bar が使えるようになる。

Sidecar を使いたいと思っている人は、例えば Mountie のようなものを入手しておくとよいだろう。(2019 年 2 月 22 日の記事“Mountie を使って MacBook に iPad を第二ディスプレイとして取付ける”参照。)

Project Catalyst

Mojave で、Apple は私たちに Mac 版の Home、News、Stocks、Voice Memos の各アプリを提供してくれた。それは、iOS アプリを macOS に変換する作業を容易にしたコードネーム "Marzipan" というテクノロジーのお陰であった。これは Apple の基本計画の第一段階に過ぎず、Catalina で計画は第二段階に入る。ここに至ってこのテクノロジーの本当の名前が明かされた。Project Catalyst だ。[訳者注: catalyst は「触媒」という意味です。]今年になって、開発者たちは iOS アプリの Mac 版を作成するため、この Catalyst テクノロジーへのアクセスを得つつある。

基調講演の壇上には何人かの著名なサードパーティの開発者たちの言葉が引用され、一つのコードベースを同じ開発チームで維持することで、いかに素早く簡単に iPad アプリの Mac 版を作ることができたかをそれぞれに述べた。まあ、基調講演とはそんなものだろう。

けれども、まだ分かっていないのは、Apple がこの Catalyst テクノロジーを十分に拡張して、それで作成した Mac アプリが人を満足させられるものになる段階に至っているか否かだ。現状の Home、News、Stocks、Voice Memos は確かに動作はするけれども、これらは今のところまだ質の悪い Mac アプリだ。

大体においてそれが実際に問題となるのは生産性アプリ、きちんとした Mac アプリに見え、動き、語り、鳴くと私たちが期待する、そういうものについての話だ。他方、ゲームやウェブアプリなどについては、わざわざデバイスを取り替えたりブラウザのタブを開いて走らせたりする必要のない、Mac 上ネイティブなアプリが存在するだけでありがたいので、それほど問題にならない。

セキュリティと安全

Apple は自らのプラットフォームのセキュリティを改善し続けており、Catalina はその分野でもいくつかの拡張を受けた:

私が最も興味深いと思う機能は、Catalina では Mac のログインパスワードを求めるどんなダイアログが開いても Apple Watch のサイドボタンをダブルクリックして承認を得られるようになることだ。ようやく実現する!

音声コントロールによるアクセシビリティの改善

記事“Nuance が Mac 音声認識を断念。Apple はその空白を埋められるか?”(2019 年 1 月 23 日) の中で、私は Nuance 社が Dragon Professional Individual for Mac を廃止した後に Mac ユーザーたちが直面する問題について書き、TidBITS 読者の Todd Scheresky が Apple に対して、カスタム語の追加、話者依存の連続音声認識、カーソル位置決めとマウスボタンイベントのサポートを実現するよう求めていると書いた。

幸いにも Apple は耳を傾けていたと見えて、Catalina にはアクセシビリティの改善がたくさん盛り込まれる。Scheresky が求めていたこともすべて含まれる。新しい Voice Control 機能は、Mac も、どの iOS デバイスも、フル制御ができる。音声だけを使って、ナビゲーションコマンドと、アクセシビリティラベルの名前、コントロールを示す数字、グリッドを通じてアプリをナビゲートできる。

タイプする量を減らしたい人なら誰でも、Voice Control の拡張されたディクテーション (音声入力) を歓迎するだろうし、そこにはテキスト編集コマンドも豊かに組み込まれていて、単語を修正したり、語句を名前で置き換えたり、テキストを選択したり、テキストの中でナビゲートしたりできる。さらに嬉しいことに、音声コマンドを使って Mac をコントロールしたい場合には、テキスト入力とコマンドの間をシームレスに移行してくれる。

率直に言って、Voice Control こそが Catalina と iOS 13 で最も重要な改善点の一つかもしれない。

けれども Catalina でのアクセシビリティの改善はそれだけではない。他のものをいくつか紹介しておこう:

その他の機能

誰もが期待する通りに、Apple は他にもたくさんの細かな機能を Catalina に組み込むことを予定している。中でも最も重要なものをいくつか挙げよう:

詳細

開発者用 macOS Catalina は WWDC の最中に入手可能となる。Tim Cook によれば公開ベータ版が 2019 年 7 月に登場し、最終リリースは「この秋」の予定だという。おそらくそれは今年の 9 月を意味しているのだろう。

Catalina のハードウェア要件は Mojave と同じで、MacBook Air、MacBook Pro、Mac mini、2012 年以降の iMac モデルと 2013 年以降の Mac Pro モデル、そしてすべてのモデルの MacBook と iMac Pro で動作する。

討論に参加

Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple、iOS 13 を発表、そして iPadOS を分離

予想通り、Apple は iOS 13 (Cupertino では迷信など気にしない) を本日の WWDC キーノートで発表したが、驚きは iPadOS の発表であった (まだバージョン番号はない)。iPadOS は、その新しい名前から想定される様な革新的な再思考ではないが、それは iPhone と iPad がこれ迄辿って来た道がどの様に違って来たかを反映している。

この二つは将来更に大きく離れて行くかもしれないが、現時点では、iPadOS は基本的には iOS 13 の一つの上位集合であり、30% 速い Face ID 認識、50% 小さなアプリダウンロードと 60% 小さなアップデート、そして最大2倍速いアプリの起動と言った iOS 13 の利点は全て享受出来る。しかしながら、iOS 12 とは違い、iOS 13 は基本的には性能アップデートではない。

年内に予定されている新しい良さそうなものを幾つか挙げてみる。

ダークモード

macOS 10.14 Mojave から1ページ貰って、iOS 13 は、生産性を阻害するかもしれないが、Dark Mode を手にする - "The Dark Side of Dark Mode" (31 May 2019) 参照。Dark Mode は iOS 13 の看板機能ではあるが、説明することは余りない:それはアプリを暗くする、少なくとも Apple の内蔵のものは。サードパーティ開発者達は、彼らのアプリにこれに対するサポートを加えることにこの夏を使うであろう。これをオンにするのはControl Center から手動で、或いは夜には自動的にオンになるよう設定出来る。

Dark Mode は Mac ではより論議に対象となるのかもしれないが、iOS では、暗い部屋で iOS 機器を使う人達からは歓迎されるであろう。また、iPhone X の様な OLED-based iPhone では、電池寿命を延ばす利点もあるかもしれない。

リマインダー

Reminders アプリは、常にどうしようもなく弱体であったので、Apple がこのアプリを抜本的に見直しているというのは嬉しい話である。Apple は余り詳しく説明しなかったが、スクリーンショットは見たところ素敵だ。Dark Mode でも読めると仮定しての話ではあるが。

Reminders in iOS 13

Apple が約束していることの一つは、この新しい Reminders アプリは、Calendar や Messages の様な他のシステムアプリとの統合を良くすることである。例えば、Reminder の中の連絡先にタグを付けておくと、その人と iMessage 会話をしている時に、そのリマインダーのことを教えてくれると言う具合である。

キーボードの上にある新しい QuickType ツールバーは、時間、日付、場所、そして写真やスキャンした書類までをもリマインダーに追加させてくれる。そして、機械学習はリストを理知的に整理する手助けをしてくれると言うが、我々は単純なソートをさせて貰えば十分だと思っている ("Bad Apple #4: リマインダーの並べ替えはお粗末" 3 May 2019 参照)。

マップ

Apple はその Maps アプリとその下にあるデータベースを、Google Maps に追いつこうとして基礎から再構築している。同社は、米国中を走り回る車を送り出しており4百万マイル以上走って、2019 年末迄には、そして他の幾つかの国については 2020 年内には完了したいと願っている。新しい地図は現在のものよりも更に詳細であり、その結果がもっと信頼性のあるナビゲーションにつながることを願いたい。

Before and after Apple's new Maps effort

Apple の地図再構築努力の一つは、Look Around と呼ばれる "新" 機能で、地図上の場所のストリートレベルの写真を提供する - ただ Street View と呼ばないだけである。Apple が提供するのであるから、Look Around は Google の Street View よりも滑らかに動作するのであろう。

Look Around in Maps

Maps はアプリレベルでの改善も提供する。Search バーをタップすると、Favorites が出て来て、探しやすくなる。また、お気に入りを集めてコレクションにすることも出来、更にこれを友人と共有することも出来る。Apple はまた、目的地に向かっている途中で更新された ETA (到着予定時間) を共有させてくれる新機能についても触れた。

カメラと写真

我々の多くは古い写真を見ない。何故ならば、それは手のつけようもない大仕事だからである。Apple はこれ迄もこの問題に Memories で対処しようとして来たが、これは Apple が願う程には役に立っていないと我々は思っている。今回、Apple は Google Photos から1ページを拝借し、単に一連の写真をあなたの膝の上に放り投げるのではなく、Photos は、日、月、そして年に基づいてコレクションに知的に整理する。機械学習もまた、重複、乱雑なものを取り除く手助けをし、そして最善のショットをハイライトする。

Photos in iOS 13

写真編集も再設計され、全ての効果、新しいものもたくさん含まれる、に対して tap-and-drag のアクセスが使えるようになった。そして - ついに!- 写真編集のオプション全てがビデオにも使えるようになった。そこには、切り取りや回転も含まれるので、たまたま間違った向きで撮ってしまったビデオも、Mac 上の iMovie に移すことなしに、修正出来る。

最後に、Camera アプリは幾つかの Portrait Mode 強化機能を提供している。そこには、新しい High-Key Mono 効果やポートレート照明を調整する方法が含まれる。

プライバシー機能

キーノートでの大きな発表の一つは、新しい Sign In with Apple 機能である。これは Facebook や Google からのシングルサインオンと競合することとなる。考え方は簡単である:その機器に関連した Apple ID を使ってアプリにログインすることが出来る。しかし Facebook や Google とは異なり、Apple はあなたが明示的に許可しない限りあなたの個人情報を共有しない。事実、Apple はそのアプリのためだけに、一時的な、匿名のメールアドレスを作らせてくれる。唯一疑問なのは、開発者がそれを使う選択をしてくれるか (或いは Apple が選ばせてくれるかどうか) である。また、Sign In with Apple が Web サイトにも使えるのかどうかは良くわからなかった。これが出来れば、大歓迎である。

Email addresses generated by Sign In with Apple

iOS 13 はまた、場所追跡についても改善がなされている。アプリに自分の位置を一度しか見られないようにすることが出来、場所を追跡しているアプリについて通知を受けられ、そして Apple は Wi-Fi や Bluetooth データへのアクセスを制限するので、開発者はこれらの技術を使ってあなたの場所を推測出来ない。

その他の機能

iOS 13 にはその他の諸機能が幾つもある。例を挙げると

Miscellaneous iOS 13 features

iPadOS

では iPadOS とは何か? 基本的には iOS 13 であり、体験を最適化するべく特別な iPad ならではの改良を加え、iPad は単なる "大きな iPhone" ではないものとしたものである。iPadOS が iOS 13 と違う点の幾つかを挙げてみると:

対象機器と入手可能時期

不幸にして、iOS 13 と iPadOS は iOS 12 をサポートする機器全てで走るわけではない。iPhone で言えば、iPhone 5s, iPhone 6, そして iPhone 6 Plus は対象から外され、iPhone 6s, iPhone 6s Plus, そして iPhone SE がサポートされる一番古いモデルとなる。そして、 iPod touch で iOS 13 が走るのは、最近リリースされた第七世代モデルだけとなる。

iPad に関しては、初代の iPad Air, iPad mini 2, そして iPad mini 3 は見捨てられ、以下のモデルだけが iPadOS を走らせられる:

Apple は、ベータ版の iOS 13 及び iPadOS は開発者に直ちに入手可となると言っており、そして公開ベータは7月になると我々は予測している。最終リリースは、通常の9月の新型 iPhone の発表と一緒になると思われる。

討論に参加

Julio Ojeda-Zapata  訳: 亀岡孝仁  

watchOS 6、App Store を加え、健康管理を拡大

発表されたばかりの watchOS 6 で、Apple は、この機器を最も良く売れる技術ウェアラブルとなる手助けとなってきた一対の Apple Watch トレンドを再び利用した。

それらの一つは自立である;Apple Watch は今やこれ迄以上に iPhone から独立したものとなり、独自の App Store と、自力で動くアプリの初々しいライブラリの両方を手にした。

もう一つのトレンドであり、そして恐らく Apple Watch の最大の使命でもあるのは、健康管理である。この観点からすると、それはより多様な才能を持つようになり、ユーザーの聴覚を保護し、そして女性が月経と妊娠周期を追跡する等々の能力を付け加えた。

他のものを挙げれば、watchOS 6 はユーザーに、ボイスメモ録音、オーディオ本の再生、レストランでのチップ計算、Web 検索、等々の能力も提供する。

健康とフィットネス機能

ファッション市場に入り込もうとする初期の間違った試みの後、Apple Watch は次第に健康とフィットネスの機器としての道を確立して行った。watchOS 6 で、Apple は幾つかのソフトウェア機能を加え、健康でいるとの意味合いから Apple Watch が監視するものの範囲を広げた。

App Store と自立のアプリ

Apple のハードウェアウラットフォームの中で、自力で動くアプリのライブラリを持つ独自のアプリ店が無いのは Apple Watch だけである。watchOS 6 で、Apple は Apple Watch を他のプラットフォームと同列にする。

サードパーティアプリ開発者は、今や相方となる iPhone アプリを必要としない Apple Watch だけのアプリを作成出来る。これらのアプリは、iPhone やその Watch アプリとは別に運用される新しい watchOS App Store 経由で時計に直接ダウンロード出来る。(我々としては、直接ダウンロードが必須でないことを願いたい。Apple Watch の小さな画面を使うのはやはり大抵の場合ぎこちないものだから。)

App Store でアプリを探すのは、音声入力か指書き入力経由で可能であり、そして、検索結果として現れるアプリは、iPhone や Mac で見られるものと似た様な製品ページを持つであろう - ずっと、ずっと簡素なものになるであろうが。

Apple はまた、少数の補完的な新しい、或いは改善されたアプリも発表した。それには以下のものが含まれる:

盤面、チャイム、そしてコンプリケーション

多くの Apple Watch ユーザーは長いこと Apple は何故時計盤面をサードパーティに開放しないのかと不思議に思って来た。これは Google の Wear OS が昔から許して来たことである。しかし現時点では、新しい watchOS 盤面は Apple の領域のままである。新しいオプションもある、例えば:

新しいコンプリケーション(組合せ表示)も沢山ある。今や Apple Watch ユーザーはデシベルレベル、電波強度、降水確率、等々を見ることが出来る。ボイスメモ録音で始まるコンプリケーションもあるし、ユーザーに今読んでいるオーヂオ本に戻らせてくれるものもある。

新しい盤面と共に、watchOS 6 では Taptic Chimes が導入されている。これは毎正時に時計を振動させ、オプションで、鳥の歌の様な音も出せる。また、盤面上に二本の指を置くと Apple Watch は時刻を読み上げる。

Siri はより賢くなり、能力も増えた

Siri は、賢さや能力で Amazon の Alexa や Google Assistant に後れを取っていると不当な非難を浴びている。watchOS 6 で、Apple は新しい能力をほんの少々追加し、そのギャップを少し縮めた。それらは:

何時もの様に、新しい時計バンド

何時ものことだが、Apple は新しいバンドも出して来た。人気の Sports Band や Sports Loop に、Dragon Fruit, Cornflower, そして Canary Yellow といった目立つ色を付け加えた。これらは現在入手可となっている。

New Apple Watch bands

最後に、LGBTQ 運動に対する Apple の変わらぬ支持を具現化し、新しい Pride Edition Sports Loop も提供している。売上げの一部は、Encircle, Gender Spectrum, GLSEN, ILGA, PFLAG, the National Center for Transgender Equality そして The Trevor Project の様な擁護団体に寄付される。このバンドとマッチした盤面はアニメ化されている。

watchOS 5 と同様、watchOS 6 は Apple Watch Series 1 から Series 4 で動作する (初代 Apple Watch は含まれない)、しかし、より旧型のモデルでは全ての機能が働く訳ではない。

討論に参加

Michael E. Cohen  訳: Mark Nagata   

新型 Mac Pro と Pro Display XDR、強力なパワーを高い価格で提供

私たちは昨年知ったことだが、Apple は大失敗に終わった円筒形の Mac Pro から離れて、実際のプロのユーザーたちの意見を取り入れつつ、プロフェッショナルユーザー向けの Mac とはどんなものであるべきかを根本から考え直した。(2018 年 4 月 6 日の記事“新型 Mac Pro は 2019 年に登場予定、モジュラー化されるかも”参照。) そして、その努力の結果を、Apple は WWDC 2019 の場で新型 Mac Pro としてお披露目した。これは、その昔の「チーズおろし器」Mac Pro と似ている。つまり、もしも地球外生物がチーズをおろしていたと仮定しての話だが。

ステンレス・スチール製の枠に囲まれ、ハイテクで、極めて多くの穴の空いた着脱式のアルミ製カバーで覆われたこの新しい Mac は、最大限の拡張性とカスタマイズの選択肢を望む本格的な、しかもたっぷり資金のあるユーザーたちのためにデザインされている。この Mac Pro のカバーを外すと、ユーザーは Mac のどちら側にもアクセスでき、その豊富な拡張能力を利用できる。

The Mac Pro from the side, with the case off

拡張性

そう、何と素晴らしい拡張性を持つことか! この新型 Mac Pro は 8 基の PCI 拡張スロットを誇る。4 基のダブル幅スロット、3 基のシングル幅スロット、加えて 1 基のハーフ幅スロットが Apple I/O カード用にあらかじめ設定されて付く。

これらのダブル幅拡張スロットに装着するコンポーネントが足りなくて困るなどということはない。Apple は数種類の Radeon Pro 装備の MPX (Mac Pro Expansion) モジュールを出してこの Mac の 64 PCI Express レーンを利用できるようにしており、その中には GPU 集約度の低いアプリケーション用のシングル GPU Radeon Pro 830X から、数テラバイトのメモリバンド幅と 28 テラフロップスを超える単精度数値演算コプロセッシングが可能な Radeon Pro Vega Duo II Duo まである。さらに興味深いことに、そして間違いなくそれは価格にも反映されるだろうが、これらの MPX モジュールは 2 個ずつ組にして装着することもでき、Mac に集約度の高いグラフィックス処理を可能にするとともに、データをいわゆる "Infinity Fabric Link"、つまりモジュールたちの GPU 間でデータ転送速度を 5 倍にするテクノロジーを通じて送れるようにする。組にしたハイエンド GPU は組み合わさって 128 GB の HBM2 メモリも提供する。

新型 Mac Pro のシングル幅スロットについても、おそらく装着されずに済むことはないだろう。このスロットは、例えば Apple の新しい Afterburner ハードウェアアクセラレータカードのようなカードをサポートするよう設計されている。この重宝なちょっとしたアドオンは、ビデオのプロフェッショナルたちに 8K ProRes RAW のストリームを最大 3 個同時に、あるいは 4K ProRes RAW データのストリームを最大 12 個同時に再生する能力を与える。

メモリ、CPU、ポート

メモリの話をすれば、この Mac Pro には標準で 32 GB の RAM (4 基の 8 GB DIMM) が付くが、24 コアまたはそれ以上のハイエンドの Mac Pro は何と最大 1.5 TB の RAM を 12 基の 128 GB DIMM という形でサポートできる。

今私が「24 コアまたはそれ以上」と言ったのにお気付きだろうか? その通り、これは冗談ではない。この Mac Pro はさまざまの CPU の選択肢を提供し、ローエンドの 3.5 GHz Intel Xeon W 8 コアのプロセッサでは一度に 16 個のスレッドを処理できるが、最高度のハイ・パフォーマンスを求めるなら 28 コアの 2.5 GHz Intel Xeon W を選択すれば一度に最大 64 個のスレッドを処理できる。

それからまたポートもある。ベースモデルには 4 基の Thunderbolt 3 ポート、2 基の USB-A ポートと、2 基の 10 Gb Ethernet ポートが付く。でも、それは手始めに過ぎない。なぜなら、追加した個々の MPX モジュールが、利用できるポートの数を増やしてくれるからだ。

電源と冷却

これだけ数々の驚嘆すべき高速なテクノロジーに電源を供給するため、この Mac Pro には 1.4 キロワットの電源が供給される。そのうち 300 ワットは CPU と Mac Pro のメモリを駆動し、残りがその PCI モジュールに供給される。例えば、この Mac Pro は一つの MPX モジュールに 500 ワットも供給できる。

そして、それだけ多くの電力は大量の熱も発生するので、それらすべてを冷却するため、この Mac Pro には片側に 3 台の羽根ファンがあって CPU と GPU を冷却し、その反対側では一台の送風機が RAM、ストレージデバイス、電源装置全体を通して空気を吸い込む。

こうして空気を吸い込み吐き出ししても、Apple によれば、通常の作業負荷の下ではほとんど無音と言えるほどに静かだという。ちなみに、チーズおろし風の通気口がこんなに驚くほど異様に見えるのはすべて冷却のためだ。Apple によれば、この格子模様は自然の分子結晶構造に基づくもので、互いに組み合った半球たちの網目を用いてより多くの表面積を提供し気流を強めているという。

Pro Display XDR

では、あなたがこの新型 Mac Pro を一台買おうと考えているとしよう。そうすると、それにどんなモニタを接続することになるのだろうか?

Apple はその答も出している。新しい 32 インチ Pro Display XDR ("Extreme Dynamic Range") が、リアルタイムの自動制御画像処理を採用し、きめ細かく調整された LED ディスプレイが可能にするコントラスト比 1,000,000 対 1 を提供できる。このモニタは nit 値 1000 のフルスクリーンで持続的に高輝度を出すことができ、最高の状態では nit 値 1600 にも達する。このディスプレイは 10-bit カラーで P3 ワイドの色域を誇り、十億色以上を正確に表示する能力を持つ。

The Pro Display XDR

でも、いったいなぜこのディスプレイ 1 台で満足するのか? (まあ、自宅を三度目の抵当に入れる必要があるのを別にすればと言えるかもしれないが。) あなたの Mac Pro を十分な MPX モジュールで飾り立てれば、最大 4 台の Apple の新しいワイドアングル 6K ディスプレイを同時駆動できる。Mac Pro を 4 台のディスプレイでフル装備すれば、シネラマなんか何でもない。

価格と入手可能性

Mac Pro のさまざまの構成ごとに価格がどうなるのか、まだはっきりしない。今の時点で Apple が発表しているのは、ベースモデルの Mac Pro が今年のうちにリリースされれば、あなたの財布から $5,999 持って行くことだけだ。

それから Pro Display XDR もまた、予算を気にする人が手を出せるものではない。価格は $4,999 からで、それに取り付ける Pro Stand もまた (それ自体ハイテクの驚嘆すべき製品だが) 別売で $999 する。幸いにも、取り付けしやすい Pro Display XDR 向け VESA マウントならばたったの $199 だ。

そういう訳で、Apple がモニタ市場に帰還してくれたのは素晴らしいことだけれども、Mac mini や MacBook Pro に Pro Display XDR を追加しようとする人たちが次々と現われるとは思えない。以前から超高価な参照用モニタを考えていた人でもない限り、とにかくこれでは高価過ぎる。

コンパクトさのために能力を犠牲にしていた従来世代の Mac Pro モデルと違って、この新しい Mac Pro は幅広いプロフェッショナルユーザーたちの必要に合わせて構成でき、また再度の構成し直しもできるように作られている。確かに価格は「その他の私たち」にとっては高いけれども、非常な高速度でデータを噛み砕き行き来させることのできる Mac を必要とする人たちのために、今回 Apple はようやく相応しい Mac Pro を作ることができたのかもしれない。

(そうそう、重さが 40 ポンド (18 kg) 近くもあるこの Mac Pro にキャスター (車輪) が付くことを、お伝えしただろうか? そんなこと言ってないって? まあ、いずれにしても、キャスターはオプションだ。)

討論に参加

TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

BusyCal 3.6.2 and BusyContacts 1.3.3

BusyCal 3.6.2 と BusyContacts 1.3.3

BusyMac が BusyCal 3.6.2BusyContacts 1.3.3 をリリースした。BusyCal アップデートは、更新されたイベントの free/busy 状態を期待する CalDAV サーバへの対応を改善し、イベントの中での Google Hangouts リンクの探知を改良し、2 年以内に期限が来るタスクを表示する表示オプションを追加し、WebDAV カレンダー同期を高速化し、Exchange 上の共有カレンダーの探知を改善し、検索結果で終日イベントの日付やフローティングイベントの正しい日付と時刻が表示されなかったバグを修正し、あなたが所有する複数の Mac の間でアピアランス環境設定が正しく同期されるようにしている。

BusyContacts 1.3.3 は、CommuniGate Pro CardDAV サーバへの対応を追加し、Push 同期が有効となったアカウントでの Sync at Launch を改良し、カードの編集中にアドレスのフォーマットを変更しても途中まで入力されたアドレスはそのまま保たれるようにし、カスタム Exchange アカウントでの接続性を改善し、誕生日の日付でスマートリストのフィルタリングルールに起こった問題を解消している。(BusyCal は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、21.2 MB、リリースノート、macOS 10.11+。BusyContacts は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、11.4 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

BusyCal 3.6.2 と BusyContacts 1.3.3 の使用体験を話し合おう

macOS Mojave 10.14.5 Supplemental Update for MacBook Pro (2018, 2019)

MacBook Pro (2018, 2019) 用 macOS Mojave 10.14.5 追加アップデート

Apple が T2 Security Chip と Touch Bar を搭載した 2018 年と 2019 年の 15 インチ MacBook Pro を対象に macOS Mojave 10.14.5 追加アップデート 2 をリリースした。(T2 チップについて詳しくはこの Apple Support ページを参照。) このアップデートのリリースノートに書かれている唯一の情報はこれが T2 Security Chip に関係したファームウェアの問題に対処しているということだけだ。この追加アップデートは Software Update から、または Apple の Support Downloads サイトから直接ダウンロードでも入手できる。(無料、952.9 MB, macOS 10.14.5+)

MacBook Pro (2018, 2019) 用 macOS Mojave 10.14.5 追加アップデートの使用体験を話し合おう

Carbon Copy Cloner 5.1.9

Carbon Copy Cloner 5.1.9

Bombich Software が Carbon Copy Cloner 5.1.9 をリリースして、このドライブクローン作成およびバックアップ用ユーティリティが誤って Google Drive ボリュームがマウントされていない、または存在していないと判定してしまうことがあったバグを修正した。今回のアップデートではまた、APFS フォーマットの Fusion ボリュームでディスク read/write 率の計算を改善し、OneDrive プレースホルダーファイルにアクセスしようとする際に起こったアクセス権エラーの解析を調整し、タスク履歴の並び順を環境設定として保持するようにした。ディスクイメージをバックアップする際に「クリーンアップ」段階が長く止まっているという報告が出る問題に対処するため、このアップでは Carbon Copy Cloner が作成した APFS フォーマットのディスクイメージに対してデフォルトでスナップショットを無効にするようにしている。(新規購入 $39.99、無料アップデート、15.7 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Carbon Copy Cloner 5.1.9 の使用体験を話し合おう

ChronoSync 4.9.3

ChronoSync 4.9.3

Econ Technologies が ChronoSync 4.9.3 をリリースして、この同期およびバックアップ用アプリに多数の改善やバグ修正を施した。ChronoSync は今回から、一時ファイルの名前を決定するアルゴリズムを変更して自然なファイル名との衝突の可能性を減らし、Backblaze B2 クラウドストレージで作業する際のメモリ管理を改善し、相対エイリアスのオブジェクトをすべて検証してオリジナルと照合することでミスマッチを判定できるようにし、あらかじめ定義された AWS S3 エンドポイントの文字列が英語以外のシステムで翻訳されてしまったバグを修正し、比較ヘルパーのアプリケーションを起動する際に APFS スナップショットボリュームにあるファイルと非互換になっていた問題を解消し、また APFS スナップショット上のエイリアスを還元する際のバグを修正している。(新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、66.8 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

ChronoSync 4.9.3 の使用体験を話し合おう

DEVONthink 3.0 Public Beta 2

DEVONthink 3.0 Public Beta 2

DEVONtechnologies が DEVONthink 3 の二番目の公開ベータ版をリリースして、驚くほど多くの改善やバグ修正を施した。(詳細は PDF 版と EPUB 版の 説明書にのみ書かれている。) このリリースでは Navigate サイドバーと List 表示のユーザーインターフェイスを更新して旧来の3パネル表示を一部復活させ、タイプと同時進行のライブ検索の有効・無効を切り替えるオプションを追加し、Tags フィルター枠をクラウドとリスト表示で切り替えられるようにし、ウェブサーバの反応性を高め、PDF で注釈なしのコピーを作成できるようにし、ウィンドウの高さの最小値を減らして小さなスクリーンでも使いやすいようにし、新規または更新されたプレースホルダー、スマートルールアクション、および AppleScript コマンドを含む自動化を改良した。

DEVONthink 3.0 の公開ベータ版は無料で利用できるが、公開ベータテスト期間が終わった後は有効なライセンス鍵がなければ使えなくなる。また電子メールのアーカイブへのアクセスや、試用上限を超えるテキスト認識機能は、ライセンス鍵がなければ使えない。(DEVONthink 新規購入 $99、DEVONthink Pro 新規購入 $199、DEVONthink Server 新規購入 $499、TidBITS 会員にはそれぞれ 15 パーセント割引、アップグレード価格あり、88.0 MB、macOS 10.11+)

DEVONthink 3.0 Public Beta 2 の使用体験を話し合おう

SEE Finance 2.1.2

SEE Finance 2.1.2

Scimonoce Software が SEE Finance 2.1 をリリースして、改善やバグ修正をたっぷり加えた。この個人財務アプリは新しい調整モードと、その支払先との取引のうち最後に編集したものから詳細情報を自動記入する Memorized Transactions 機能、Portfolio でのアカウント現金残高リスト、それから報告や予算を複製するオプションを追加している。今回のリリースではまた、手動でアカウントを作成するだけで新規ファイルを作成するとそのファイルが自動保存されなくなった問題を修正し、Dark モード用にセクション見出しの文字色を調整し、支払先やカテゴリーを合併するために使う合併ウィンドウを他のウィンドウに似た見栄えに変更し、重複取引監視機能に調整を加えて小切手番号が一致する取引を優先して扱うようにした。そのリリースの後間もなく、Scimonoce Software はバージョン 2.1.1 と 2.1.2 を出して、バージョン 2.1 で導入されたバグに対処した。(新規購入 $39.99、無料アップデート、28.7 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

SEE Finance 2.1.2 の使用体験を話し合おう

SpamSieve 2.9.36

SpamSieve 2.9.36

C-Command Software が SpamSieve 2.9.36 をリリースして、Office 365 が走っている場合に Outlook のルールを使ってメッセージをフォルダに分けられるようにし、スパムと色付けされた Apple Mail のメッセージの一部が Dark モードで白く表示されたままになっていた問題に対処した。このスパムフィルタリングユーティリティは SpamSieve に Full Disk Access が認められていない場合に Apple Mail プラグインをアンインストールする際のエラーメッセージを改良し、Apple Mail にメールボックスのリストを問い合わせると起動時にハングすることがあった問題を回避し、このアプリの全体的な正確度を向上させている。(新規購入 $30、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.3 MB、リリースノート、macOS 10.7+)

SpamSieve 2.9.36 の使用体験を話し合おう

RapidWeaver 8.2.1

RapidWeaver 8.2.1

Realmac Software が RapidWeaver 8.2 をリリースして、RAM ディスクに出版する際の書き出しの速度を向上させ、スタイル付きテキスト領域におけるリストの挙動を改善した。このウェブデザインおよび出版用ソフトウェアは欠落したリソースを探す (そしてできれば発見する) 方法の改良を一段と進め、出版の設定から不要な SFTP 公開鍵フィールドを削除し、このアプリがプレビューを正しく更新できなかったバグを修正し、出版の際に RapidWeaver がハングしたかのように見えた問題を解消し、遠隔ドライブからファイルにアクセスする際のパフォーマンスを改善し、Photo Album ページタイプでの多様な問題点を解消している。数日後に素早く出された 8.2.1 リリースで、ソーシャルタグで不正なアドレスが使われていた問題の修正など数件の調整や強化が施された。(新規購入 $89、無料アップデート、78.9 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

RapidWeaver 8.2.1 の使用体験を話し合おう

Ulysses 16

Ulysses 16

Ulysses が会社名と同名の Mac および iOS 用の執筆アプリをバージョン 16 にアップデートし、出版およびブログ用プラットフォーム Ghost へ直接出版する機能に対応させた。Ghost へ出版する前にブログ記事をプレビューしてから、コンテンツを Ghost.io へ、あるいは自分でホストするブログへ投稿でき、特集画像、キーワード、抜粋、投稿 URL などのメタデータも含められる。Ulysses 16 ではまた、従来より多くのプログラミング言語 (Mathematica、Vimscript、Smalltalk、GraphQL、Handlebars) でシンタックスハイライトが使えるようにし、一つのシートに多数の画像がある場合のパフォーマンスを改善し、ドラッグしたシートを圧縮フォーマットで書き出すようにして共有の際のさまざまな問題に対処し、グループの目標が削除できなくなったバグを修正している。iOS 版では iPad 用にフル機能の分割表示を追加し、横長に置いて二つのエディタを同時に開けるようにした。(購読年額 $39.99、無料アップデート、23.5 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

Ulysses 16 の使用体験を話し合おう

GraphicConverter 10.7.1

GraphicConverter 10.7.1

Lemkesoft が GraphicConverter 10.7.1 をリリースして、このグラフィック変換および編集用ユーティリティでバグを修正しいくつかの新機能を追加した。今回のアップデートでは2件の新しいバッチアクション (Copy Original と Set Variable) を追加し、再生中のムービーのフレームをデスクトップに保存するキーボードショートカット (Command-Control-Option-Space) を追加し、HEIC バッチ書き出しでマルチコア処理を可能にし、PICT から JPEG への Convert ならびに Modify Convert コマンドを追加してネイティブな埋め込み JPEG を抽出できるようにし、XMP メタデータの参照のみのカラープロファイルの探知を改良し、また Faces データベースを編集中に外部の PDF ライブラリで PDF を開いた際のクラッシュを解消している。(Lemkesoft からも Mac App Store からも新規購入 $39.95、無料アップデート、194 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

GraphicConverter 10.7.1 の使用体験を話し合おう

TextExpander 6.5.1

TextExpander 6.5.1

Smile が TextExpander 6.5.1 をリリースし、スニペットエディタに変更を加えてバグ修正と使い勝手の改善を施した。今回のリリースでは、ポップアップ fill-in でドラッグ&ドロップを使って項目を並べ替られるようにし、fill-in 内部でマクロを削除できなくなったバグを修正し、表の境界への対応を追加し、スニペットを繰り返し複製した際に起こったクラッシュを解消し、Unicode 日付マクロへの対応を追加し、fill-in ポップアップで Dark モード対応を改善し、Missive と FileMaker Pro のリッチテキスト展開での問題を解消している。(購読料金年額 $40、20.9 MB、 リリースノート、macOS 10.12+)

TextExpander 6.5.1 の使用体験を話し合おう

SoundSource 4.1

SoundSource 4.1

Rogue Amoeba が SoundSource 4.1 をリリースした。同社が最近更新したばかりのこのサウンドユーティリティ (2019 年 3 月 29 日の記事“SoundSource 4.0.1”参照) への、メンテナンス・アップデートだ。このリリースではいくつかの拡張が施され、macOS 10.14 Mojave の Dark モードへの対応、Undo へのフル対応、Finder から、および macOS の Text to Speech 機能からのオーディオ調整への改善などが加わった。また SoundSource 4.1 では重大なバグへの対処が施され、SoundSource にハングやクラッシュを引き起こしたいくつかのバグや、サンプルレートを立て続けに変更すると SoundSource のバックエンドがロックアップしたバグや、Bluetooth デバイスへのオーディオのリダイレクトが不安定になったバグも解消された。

その他の変更点としては、Audio Capture Engine バックエンドのバージョン 10.1 へのアップデート、バックグラウンドにある間は SoundSource のメインウィンドウを暗くして見やすさを向上させたこと、ポートを通した USB オーディオデバイス追跡の改善などがある。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、アップグレード $19、無料アップデート、13.7 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

SoundSource 4.1 の使用体験を話し合おう

1Password 7.3

1Password 7.3

AgileBits が 1Password 7.3 をリリースして、150 件以上のバグ修正と改善を施した。とりわけ、1Password mini をデザインし直して、より手軽に情報にアクセスできるようにした。あなたが 1Password mini を開くと、機械学習によって駆動された 1Password がウェブページを解析して、そのページに入力が可能な項目のみを表示する。このパスワードマネージャはまた、一つのアカウントに属するすべてのヴォールトを選択する機能を追加し、項目の詳細情報から二要素認証のコードをドラッグ&ドロップできるようにし、コンテクストメニューを使って一度に複数個の項目をゴミ箱から元に戻せるようにし、iCloud や Dropbox からセットアップする際のパフォーマンスを改善し、パスワード生成器からパスワードをコピーする際にパスワードが自動保存されずにできてしまったバグを修正し、再利用されたパスワードの探知を改良し、許可なく項目が複製されていた問題を解消している。(AgileBits または Mac App Store から独立動作のアプリ購入の場合 $64.99、講読の場合は月額 $2.99 または $4.99 (TidBITS 会員は 6 ヵ月間無料)、無料アップデート、50.4 MB、リリースノート、macOS 10.12.6+)

1Password 7.3 の使用体験を話し合おう

AirPort Base Station Firmware Update 7.9.1

AirPort Base Station ファームウェアアップデート 7.9.1

Apple が 802.11ac Wi-Fi を使う AirPort Extreme および Time Capsule ベースステーション用に ファームウェアアップデートをリリースして、セキュリティの改善を目指した。このリリースでは 3 件のサービス運用妨害の脆弱性と、攻撃者がメモリを漏洩させる可能性がある境界を越えた読み取りの問題、それにベースステーションを工場出荷時の設定にリセットしてもすべてのユーザー情報が削除されない場合があったバグに対処が施された。AirPort ベースステーションのアップデートは、Mac 上の AirPort Utility を使って、または iOS デバイス上で Apple の AirPort Utility アプリがインストールされた状態でしなければならない。何人かの TidBITS 読者から、あらかじめベースステーションを power-cycle (電源オフの後オン) してからでないとうまくアップデートできなかったという報告が届いていることを書き添えておこう。(無料、リリースノート)

AirPort Base Station ファームウェアアップデート 7.9.1 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

No App Camp for Girls in 2019

App Camp for Girls、2019 年には開催せず

サマーキャンプ App Camp for Girls はより多くの若い女の子たちにコンピュータ・プログラミングに親しんでもらうことを目指して 2013 年に始められた。(2013 年 6 月 5 日の記事“非営利の App Camp for Girls 資金調達活動を立上げ”参照。) 数年前に成長がピークに達した後 (2014 年 4 月 11 日の記事“App Camp for Girls が Macworld/iWorld を揺すぶる”参照)、App Camp の理事会は今年の夏にはキャンプを開催しないと発表した。理由は申し込み者の人数があまりにも少なかったからだ。ある意味、App Camp for Girls は自らの成功の犠牲になったとも言える。今や、子供たちにコード書きを教えるサマーキャンプやその他のプログラムが、数え切れないほど乱立しているからだ。例えば Apple の Everyone Can Code 構想もその一つだ。

元記事を読む | 討論に参加

Apple Makes the Case for the App Store

Apple、App Store について主張を述べる

競合社からの批判 (2019 年 3 月 13 日の記事“Spotify、欧州委員会に対し Apple に公平な挙動 (Play Fair) をさせよと依頼”参照) と政治家による注目 (2019 年 3 月 12 日の記事“上院議員 Elizabeth Warren、テクノロジー巨大会社に独占禁止法の注文を付ける”参照) に呼応して、Apple は App Store の PR ページを作り、同社がいかにしてユーザーを保護し、開発者に働き掛け、競争を促進しているかについて語った。Michael Tsai がこれに対する懐疑的反応を見事にまとめ上げて、App Review が詐欺アプリを見過ごしていることを指摘し、開発者たちが毎年 $99 も払わなければならないことに注意を向け、Apple 製のアプリが競合社のアプリに比べて持っている特典について議論した。(具体的には、デフォルトのアプリであること、30% の料金を払っていないこと、プライベートな API を利用できること、Apple 自身の方針に従わずに済むことなどだ。) そこで持ち上がる疑問は、Apple は独占禁止法の訴訟を避けるためならば (2019 年 5 月 13 日に記事“最高裁、Apple 独占禁止法訴訟の継続を裁定”参照) App Store の方針の一部を変更するだろうかという点だ。皆さんは、より大局的な状況の中で App Store がどのように収まるとお考えだろうか?

元記事を読む | 討論に参加

iOS App Trackers Are Watching You

iOS アプリのトラッカーがあなたを追跡中

Washington Post の記事で Geoffrey Fowler が述べるところによれば、あなたについての情報をデータ追跡会社に送信している iOS アプリがあるという。Fowler は Apple の「あなたの iPhone 上で起こることは、その iPhone 上のみに留まります」という主張への反論として、一週間のテストの結果 5400 個以上のトラッカー (その中には Washington Post 自身が運営するものもある) を識別した。Apple はアプリが明確に呈示したプライバシー方針を持ち、ユーザーに対してデータ収集の許可を求めることを要求していると主張するが、実際にはそうなっていないようだ。たぶん、同社自慢の App Review が、プライバシーを侵害するその種の挙動をチェックすることになっているのだろうが。それはそれとして、皆さんがプライバシー漏洩の可能性を減らそうと思えば、Background App Refresh 設定 (Settings > General にある) をオフにし、Limit Ad Tracking 設定 (Settings > Privacy > Advertising にある) をオンにすることができる。困ったことに、この設定はデフォルトでオンではなく、iOS 12 の Settings アプリにはその設定そのものが見当たらなかった。

元記事を読む | 討論に参加