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#1473: MacBook Air と 13 インチ MacBook Pro のアップデート、Zoom の抜け道を修正、Apple のプライバシーへの取り組みを分析

Apple が MacBook Air を True Tone ディスプレイと値下げで更新し、入門レベルの 13 インチ MacBook Pro に Touch Bar を追加し、そして基本レベルの MacBook と Retina 非搭載の MacBook Air を引退させた。先週、ビデオ会議ソフトウェア Zoom にあったたちの悪い脆弱性が大騒ぎを引き起こした。順を追ってその成り行きをお伝えするとともに、どうすれば自分を守れるかを説明する。それから、Rich Mogull が寄稿記事で、今年の Worldwide Developers Conference (WWDC) を踏まえてプライバシーへの Apple の取り組みを検討する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、PDFpen と PDFpenPro 11.1、それに Logic Pro X 10.4.6 だ。

Julio Ojeda-Zapata  訳: 亀岡孝仁  

Apple、Air, Pro のラップトップを更新、MacBook を外す

Apple のラップトップ製品群は長いこと少々ゴチャゴチャしていた、とりわけ低価格帯は。手頃な価格のラップトップを求めていた人は、紛らわしい (そして時には相反する) 選択肢に直面してきた:12-inch の超軽量の MacBook? 低価格の MacBook Pro で Touch Bar の付いていないもの? 最近改定されたMacBook Air?

その選択は、今やずっと簡単になった。Apple は長い間無視されてきた MacBook を製品群から外した。このモデルは、非力で、そして、不便きわまりなく、一つの USB-C ポートしか持たないことで悪評が高かった。時を同じくして、Apple は MacBook ProMacBook Air にも手を入れたが、主に低価格帯の購入者を意識してのものである。

非公式には "MacBook Escape" として知られていた Pro モデル - その名の謂れは、高価格帯機では Touch Bar に置き換わった Function キーと Escape キーが物理的に残っていたことにある - は消え去った。代わりに、低価格帯 MacBook Pro にも Touch Bar が付き、他のアップグレードもなされた - 学生に対する割引もある。

昨年 10 月に全面改定された MacBook Air ("新型 MacBook Air は混乱含みのラップトップ機種たちの中で魅力を放つ" 30 October 2018 参照)、もディスプレイの進化があり少々の改善となっているが、低価格帯のものは値下げされ、更に大学生向けにはもう一段の値引きが適用される。

MacBook Pro

Apple は高価格帯 MacBook Pro モデルを 5 月に更新したが ("Apple、MacBook Pro を 8 コア・プロセッサとキーボード修正 (?) で更新" 21 May 2019 参照)、低価格帯のものは悲しくも放って置かれたままであった。今、そのモデルにも少々の愛情が注がれた。

最新の低価格帯 MacBook Pro には、1.4 GHz quad-core 8th-generation Core i5 プロセッサが付いており (Turbo Boost 付きだと最大 3.9 GHz)、Intel の Coffee Lake チップセットファミリーの一部である。これは、MacBook Escape の 2.3 GHz dual-core 7th-generation Core i5 からのアップデートである。更に $300 出せば、このマシンを 1.7 GHz Intel Core i5 (Turbo Boost 付きで最大 4.5 GHz) にアップグレード出来る。

この MacBook Pro には 8 GB 2133 MHz LPDDR3 のメモリが付いているが、16 GB に $200 でアップグレード出来る (そして、我々もそうすることを強くお勧めする)。

この新モデルには二つの在庫構成がある:一つは 128 GB の SSD ストレージで $1299、そしてもう一つは 256 GB で $1499 である。大学生は 128 GB モデルを $1199 で買える。128 GB モデルにはアップグレードがあり、256 GB のストレージには $200 で、512 GB には $400 で、1 TB には $600 で、そして 2 TB には $1000 で可能である。 256 GB モデルは 512 GB に $200 で、1 TB に $400 で、或いは 2 TB に $800 でアップグレード出来る。

MacBook Pro には 58.2-watt-hour lithium-polymer 電池が付いてきて、最大 10 時間の電池寿命を提供する。

この低価格帯 MacBook Pro の他の変更は、改良かどうかの判断は見る人の価値観による。誰もが Touch Bar を好きなわけではなく、多くの人がそれを有用なツールと見るよりも、邪魔ものと見ており ("Touch Bar の何がいけないのか" 4 August 2017 参照)、物理的なファンクションキーを持つ Pro モデルが存在することを歓迎してきた人達もいる。

MacBook Pro に対するその他の変更はそれ程論争の種にはならないであろう。Touch Bar の他に、MacBook Pro には Apple の T2 セキュリティチップと共に Touch ID が付いた - ログイン認証や対応するサイトでのオンライン購入に便利である。

もう一つの潜在的限界は変わっていない:低価格帯 MacBook Pro には2つの Thunderbolt 3 ポートしかない。これに比べて、高価格帯のモデルには4つのポートが付いている。

MacBook Pro には2色の選択肢がある:シルバーとスペースグレイである。

MacBook Air

MacBook Air ラインに対する Apple のアップデートはそれ程大きなものではない。

全ての MacBook Air モデルに共通する新しいものは True Tone として知られるディスプレイ技術である。これは画面の白バランスを周囲の照明を補うべく調整し、画像がより自然に見えるようにするものである。True Tone は、もう既に MacBook Pro モデルやより最新の iPhone と iPad にも使われている。

The 2019 MacBook Air

最近 MacBook Air を買った人も、アップグレードにあまり羨望を感じる必要はない。何故ならば、True Tone はあまり目立たない機能強化だからである。このラインの機器の内部は変わっておらず、全てのモデルでは Intel dual-core 8th-generation i5 チップが走っている。それでも、MacBook Air のアップグレードを保留して来た人達にとっては、今が決断の時かもしれない。何故ならば、次の Air 更新は少なくとも一年以上先になると思えるからである。

MacBook Air を購入する人は、値引きも得られる:入門レベルのモデルは 128 GB のストレージ付きで $1,199 から $1,099 へと下がっている。256 GB のストレージへアップグレードすると $1,299 となる。大学生は 128 GB モデルを $999 で手に出来る。

最大 13 時間の電池寿命を持つ 49.9-watt-hour lithium-polymer 電池がこの改訂されたノートブックに電力供給している。

MacBook Air には 8 GB 2133 MHz LPDDR3 メモリが搭載されているが、16 GB に $200 でアップグレード出来る (繰り返しになるが、強くお勧めする)。128 GB モデルは 256 GB のストレージに $200 で、512 GB に $400 で、或いは 1 TB に $600 でアップグレード出来る。256 GB モデルは 512 GB に $200 で、或いは 1 TB に $400 でアップグレード出来る。

Apple は MacBook Air を3色で提供している:ゴールド、シルバー、そしてスペースグレイである。

キーボードについて...

Apple の問題が多くて有名なバタフライキーボードに関して言えば、同社が 5 月にしたユーザー苦情に対応する最新の試み以降、何ら新しい手は打っていないように見受けられる。

キーボードは基本的には何も変わっていないことを示す明らかな証として、この新しいノートブックは - 2015 年にまで遡る既存の MacBook, MacBook Air, そして MacBook Pro モデルと共に - 重大な不具合に対処すべく意図された Apple キーボード修理プログラムの対象に入っている。

バタフライキーボードに安心感を持てない人は、もう少し待った方が良いかもしれない - 改良されたはさみ型キーボードがもう直ぐ出そうだという噂はあるが、現時点で確たる証は何もない。

Air 対 Pro

MacBook Air と Pro のどちらを選ぶか決めかねている人は以下の点を考慮すべきである:

さよなら、MacBook

では4才になった MacBook の終了から我々は何を思うべきか?

このラップトップ ("12 インチ MacBook: 特定のユーザーに向いた、別物の Mac" 29 April 2015 参照) は最初から様々な反響を呼んだ。その携帯し易さと美しい Retina 画面は、当時のかさ張る non-Retina MacBook Air に比べて歓迎された。しかし、Apple は一つの USB-C ポートしか提供しないというミニマリスト主義のやり過ぎで叩かれた。この結果、ユーザーは不様なドングルを買うことを余儀なくされた。更に、それは MacBook Air 後継機と看做されるものとしては高すぎた。

MacBook は年を経ても魅力を増すことはなかった。とりわけ、Apple が自ら進んで内部を時代に合わせる努力をしなかったことが大きい。その単一の USB-C ポートが Thunderbolt 3 接続性に適合しないことは重要な問題であり、そして USB-C のみのポート (MacBook や多くの機器上の) と Thunderbolt 3 ポート (他の最新の Mac や iPad Pro モデル上の) との間で混乱を生じさせた。いずれにしろ、MacBook には熱愛者もおり、彼らはそれがいかに小さく、そして軽いかを熱心に説いた。

しかし、昨年 MacBook Air の改良があって、この MacBook は生命維持装置につながれた様に見えた。今や、更新された Macbook Air と、新しい、遥かに魅力的な入門レベルの MacBook Pro の登場で、Macbook の生命維持装置は公式に電源が切られた。non-Retina MacBook Air も Apple の製品群から姿を消した。但し、教育機関向けは例外である。

良い知らせ:入門レベルの Apple ノートブックの買い物をする場合の紛らわしさは格段に減った。

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Zoom と RingCentral の抜け道でウェブカメラへの遠隔アクセスが可能に

最近、ソフトウェアエンジニア Jonathan Leitschuh が、企業で人気あるビデオ会議システム Zoomと、Zoom に新たな名前を付けたバージョン RingCentral それぞれの Mac クライアントに、重大なセキュリティ欠陥を発見した。Zoom は、ユーザーが Zoom リンクをクリックした際に、もしもそのクライアントがインストールされていればそのリンクが自動的に Zoom クライアントを開くようにしていた。判明したのは、その実装がセキュアなものでないことであった。なぜなら、ユーザーがリンクをクリックするだけで自動的にそのユーザーがビデオ会議に参加した状態となりビデオカメラが勝手に撮影を始める、そのようなリンクを攻撃者が作成することが可能だからだ。(注意しておくが、Mac に搭載された FaceTime カメラの緑色の LED インジケータをオフにすることはできないので、そのカメラのみを使っている場合には、緑色に点灯することでいつでもそれと分かる。)

さらに悪いことに、単に Zoom アプリを削除するだけではこの脆弱性は取り除かれない。なぜなら、Zoom は Mac 上に隠されたウェブサーバをインストールしていて、Zoom リンクをクリックすれば必要に応じて勝手にそのウェブサーバが Zoom クライアントを再インストールするからだ。

当初、Zoom は隠されたウェブサーバを使う同社のやり方を擁護する主張をしていたが、その後素早く態度を改め、バージョン 4.4.4 (53932.0709) をアップデートとしてリリースした。このバージョンは隠されたウェブサーバを削除するとともに、Zoom を完全にアンインストールするオプションも提供する。同社はユーザーのプライバシーを改善するためのさらなるアップデートを出すとも約束した。

まだ Zoom アプリをアップデートしていないユーザーが危険に晒されないようにするため、Apple は隠されたウェブサーバを削除する macOS アップデートを秘かにリリースした。このアップデートはあなたの介入を一切必要とせずに自動的にインストールされる。それがインストールされているかどうかを見るには、/Applications/Utilities にある System Information (システム情報) を開き、サイドバーの Software (ソフトウェア) の下にある Installations (インストール) をクリックする。カラム見出し Install Date (インストール日) をクリックして最新のインストールが一番上に来るようにして、そのあたりに MRTConfigData という名前を探す。バージョンは 1.45 またはそれ以上のはずだ。(この情報を教えてくれた Howard Oakley に感謝したい。)

The MRTConfigData update in System Information

読者 Al Varnell から伝え聞いた話では Apple のアップデートは RingCentral のウェブサーバを削除しなかったとのことなので、そちらのクライアントを最新バージョンにアップデートすることによって削除する必要がある。

残念ながら、この隠されたウェブサーバは脆弱性のほんの一部に過ぎない。サーバをアンインストールした後でさえ、ユーザーが意図しないうちに勝手に Mac が Zoom 会議に参加してウェブカメラを有効にしてしまう可能性は残る。

あなたが影響を受けたかどうか見分ける方法

あなた自身でこの脆弱性のテストをする最も簡単な方法は、下に記したリンクのどちらかをクリックすることだ。これらは Leitschuh が概念実証のためにセットアップしたものだ。二番目のリンクは自動的にあなたのウェブカメラをオンにする。注意しておくが、もしもこの脆弱性が存在していれば、どちらのリンクをクリックしてもあなたは勝手にビデオ会議に参加させられる。すぐに何人かの知らない人たちのライブ映像が目の前に並ぶので、あなたと同じテストをしているその人たちと同じように、あなたも腰を抜かすほど驚くだろう。

https://jlleitschuh.org/zoom_vulnerability_poc/

https://jlleitschuh.org/zoom_vulnerability_poc/zoompwn_iframe.html

Zoom 脆弱性を修正する

Apple のアップデートは隠されたウェブサーバに対処するけれども、それをした後であってもあなたが騙されて Zoom リンクをクリックしてしまい、その結果としてあなたのウェブカメラが動き出す可能性はある。それを避けるためには次のようにすればよい。

まず第一に、あなたが持っているクライアントが最新版であることを確かめよう。Zoom アプリを開き、zoom.us > Check for Updates を選ぶ。もしもプロンプトが出れば、Update Now をクリックしてアップデートしておこう。

注意すべきは、バージョン 4.4.4 (53932.0709) がメニューバー上に Zoom アイコンを追加することだ。このアイコンを消したければ、Zoom アプリを開き、zoom.us > Preferences > General へ行って、"Add Zoom to macOS menu bar" のチェックを外せばよい。

あなたが明確に同意しない限り Zoom がウェブカメラをオンにしないようにするには、Zoom アプリを開いて zoom.us > Preferences (Command-,) を選び、Settings ウィンドウのサイドバーで Video をクリックし、"Turn off my video when joining a meeting" オプションにチェックを入れればよい。

The setting to turn off video when you join a meeting.

ブラウザとして Chrome または Firefox を使っている場合は、設定をチェックして変更することで Zoom リンクが自動的に開くのを止めることができる。やり方は GitHub の Karan Lyson によるものだ。これは、Zoom リンクをクリックした際に自動的に Zoom 会議を開く許可をあなたが Zoom に与えていたかもしれないからだ。(このことは Safari には影響しない。)

でも、そういった設定をいじり回すなんて嫌だという人は、Zoom を完全にアンインストールしてしまう方が簡単だろう。(そうする人を非難する気はさらさらない。) Zoom アプリを開いて、zoom.us > Uninstall Zoom を選べばよい。

Chrome の設定は、次のようにすれば修正できる:

  1. Chrome > Quit Google Chrome を選んで Chrome を終了する。
  2. Finder で、Option キーを押しながらメニューバーから Go (移動) を選び、メニューから Library (ライブラリ) を選ぶ。
  3. Application Support フォルダを開き、/Google/Chrome/Default にナビゲートする。
  4. Preferences ファイルをダブルクリックする。デフォルトでは TextEdit で開く。
  5. Command-F を押して Find を開き、"zoommtg":false"zoomrc":false を検索する。(単に "zoommtg" と "zoomrc" を検索すれば見つかる。)
  6. それらの文字列が存在していれば、その文字列とその直後に続くコンマを削除する。
  7. File > Save を選び、TextEdit を閉じ、それから Chrome を開き直す。

幸いにも、Firefox ではもう少し簡単な手順でできる:

  1. Firefox > Preferences を選ぶ。
  2. Find in Preferences フィールドでクリックする。
  3. zoommtgzoomrc を検索する。
  4. もしそれらの設定が存在していれば、それぞれ "Always ask" に変更する。

Zoom が Mac に忍び込ませたウェブサーバについては、Apple のアップデートと Zoom のアップデートがあるので、既に削除されているはずだ。私はテストのために Terminal で作っておいた隠れた ~/.zoom ファイルを削除してから Zoom を再インストールしてみたが、古いバージョンがウェブサーバを置くために使っていたディレクトリが再作成されないことを私のマシン上で確認した。(何の話か分からない方は、下にある「旧来の Terminal 手法」セクションをお読み頂きたい。) ただ、私の話をそのまま信用するのでなく、皆さんもどうぞご自分で確かめて頂きたい。Terminal を開いて、次のコマンドを入力してから Return を押す:

lsof -i :19421

このコマンドは、ポート 19421 を listen しているサービスを検索する。Zoom も RingCentral も、このポートを使う。アップデート後には、上記のコマンドは結果を返さずにコマンドラインに戻るはずだ。古いバージョンの Zoom では、下のスクリーンショットに示されているように ZoomOpene という項目が見えるはずだ。

Output of lsof -i :19421

また、Terminal で ls ~/.zoom と入力することもできる。バージョン 4.4.4 (53932.0709) にアップデートした後は "No such file or directory" という答が返ってくるはずだ。

旧来の Terminal 手法

Apple のアップデートと Zoom の 4.4.4 (53932.0709) アップデートが出るより前には、隠されたウェブサーバを無効化するために Terminal の技を使わざるを得なかった。今はもう Zoom の修正のためにそんな技を使う必要はないけれども、歴史上の記録のためにも、またもしも他のアプリがこれに似た離れ業をやってのけた場合に知っておくべき便利なテクニックであることでもあり、ここにそのやり方を書き留めておきたいと思う。

まず始めに、Terminal を開いて kill -9 PID と入力する。ただしこの PID (プロセス識別子) とはあなたが lsof -i :19421 を走らせて返ってきた PID 番号のことだ。私の場合、スクリーンショットに示されているように PID は 24272 だったので、私は kill -9 24272 というコマンドを走らせた。プロセスを kill した後は、もう一度 lsof -i :19421を走らせてコマンドが働いたことを確認しておくとよい。もしもうまく行っていれば、Terminal は通常のコマンドプロンプトだけを返すはずだ。

次に、ウェブサーバがあるべき場所に新規ファイルを作成して、そのアクセス権を Zoom がファイルを上書きできないものにしておく:

rm -rf ~/.zoomus; touch ~/.zoomus && chmod 000 ~/.zoomus;

もしも RingCentral を使ったことがあるならば、ウェブサーバを無効化するために別のコマンドを使わなければならない。さきほど説明した通り、まず kill -9 PID を使ってポート 19421 上のプロセス ( lsof -i :19421 で見つかるもの) を kill しておいてから、次のコマンドを走らせる:

rm -rf ~/.ringcentralopener; touch ~/.ringcentralopener &&chmod 000 ~/.ringcentralopener;

注意しておくが、これらの手順はあなたの Mac 上にあるすべてのユーザーアカウントごとに別々に実行しておかなければならない。

興味深いことに、ウェブサーバを削除しても Zoom や RingCentral の機能性が損なわれることは一切ない。

問題のある判断

ありがたいことに、Zoom は (まあ、ある意味で) その問題点に対処した。ただ、それは強い圧力に晒された後で初めて起こったことであった。

TidBITS のセキュリティ担当編集者 Rich Mogull はこの脆弱性について次のように評した:「Zoom が Safari のネイティブなセキュリティを回避しようとしたことは、完全に無責任な行動だ。このウェブサーバの“機能”は、単にほんの少しだけの便利さを付け加える目的のために、とてつもないセキュリティの犠牲を生むものだ。これは言語道断の、意図的なセキュリティとプライバシーの侵害であって、Zoom 社内でのセキュリティの優先順位付けと脅威のモデリングについて深刻な懸念をもたらす。」私たちも Rich と同意見だ。Steve Troughton-Smith が指摘したように、Zoom のようなタチの悪い連中がいることが、macOS をますますロックダウンしようとする Apple の継続的な取り組みを正当化する根拠となっているのだ。

Zoom を使わなければならない人も、今は安心してよい。既知の問題点には対処が施されたからだ。けれども安心できないのは、見えないところにセキュリティやプライバシーの他の問題が隠れていて、そういうものがこれから発見されるかもしれないからだ。そして Zoom 社が既に信じられないほど誤った判断を示していることを考えれば、皆さんが絶対に必要とするのでない限り、そのクライアントをアンインストールすることをお勧めしたい。

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Rich Mogull  訳: Mark Nagata   

Apple、プライバシーの力技を発揮

Apple のイベントは一貫したパターンに従っていて、それぞれの回の発表内容の詳細を別にすれば変わることはまずない。この一貫性が、独自の言語となる。何度も Apple のイベントに出席していれば、Apple が伝えたいと思っているけれども直接的に表現したくはない、意図的な含意を汲み取れるようになってくる。それは、スライドやデモやビデオで表現された言葉に付随して伝えられる、身振りや表情から伝わるものだ。

5 年前に WWDC キーノートの会場を歩いて出ながら、そういう含意が Apple の進む方向の重大な転換を大声で叫び示していることを、私はひしひしと感じていた。それは、プライバシーが会社の基本原則としてくっきりと姿を現わしつつあるということであった。私の解釈による Apple のプライバシー原則を、私は Macworld 記事に書き綴った。その何年も前からプライバシーは Apple で重要性を増しつつあったけれども、5 年前のこの WWDC キーノートこそが、プライバシーが単に重要であるというだけでなく基盤となるテクノロジーの中に組み込まれつつあることを、Apple が明確に述べた初めての場であった。

今年の WWDC キーノートにも私は参加して、その同じ含意を聞き取り、Apple がそのプライバシー戦略をかつてどのメジャーなテクノロジー会社も踏み込んだことのなかったレベルにまで引き上げようとしていることを悟った。つまり、自社の製品でプライバシーを改善するに留まらず、Apple は市場における自らの強みを利用して、Apple エコシステムに絡み付くつるを伝うことで、プライバシーを他所にも拡げようとし始めているのだと。

それが利他主義なのか、Apple 重役たちの個人的原則なのか、それとも抜け目ないビジネス戦略なのかは分からないが、Apple の動機が何であるかに拘わらず、プライバシーに関する Apple の姿勢は独特なものであり、コンシューマ向けテクノロジーの歴史の中で重要な意味を持つ。今や本当の問題は、技術的なレベルで Apple が成功できるか否かということではなくて、プライバシーを押し進めようとする Apple の力が、政府、規制機関、裁判所、そして競合企業から今後押し寄せる猛攻に耐えられるか否かという点にある。

Apple の重役たちは、プライバシーは人権であると信じていると語る。しかしながら、振り返れば人類の歴史は、その種の権利に対する善意の擁護者たちの亡骸で満ち満ちている。

Sign in with Apple (アップルでサインイン)

戦略の転換について議論する際に、それが Apple であろうと他のどのテクノロジー会社であろうと、たいていの場合その変化はもっと何年も前から始まっていることであり、私たちが考えるよりずっと多くの段階を踏んで進んでいることが多いと考えておくべきだ。Apple の場合、HomeKit や HealthKit への参加を希望する開発者に対して Apple が初めてプライバシー保護を要件として打ち出した WWDC 2014 の、その少なくとも 2 年前から同社のプライバシー拡張への努力は始まっていた。

今年の WWDC 2019 において打ち出された最も明白なプライバシーに関する動きは、"Sign in with Apple" (アップルでサインイン) だ。これは、消費者と開発者双方に恩恵をもたらす。WWDC の別のセッションで明確化されたのは、開発者に対して Apple がアメとムチの手法を使っていることだ。つまり、開発者は Google や Facebook が提供する競合機能を含んだサービスを使おうとする際にこのサービスを使うことが要件となる代わりに、内蔵された不正検出機能を使えるようになる。すべての Apple ID は既に Apple により検査され二要素認証でセキュア化されており、Apple は開発者に対して接続が本物の人間からのものか否かを Apple の監視コードが判定した結果を、言わばサムズ・アップとサムズ・ダウンのデジタル版のような信号で知らせる。Apple は既に同様のメカニズムを iCloud での活動、iTunes、また App Store での購入などの場面で使っているので、この信号が信頼できるものである可能性が高い。

Apple はまた、Sign in with Apple が開発者自身にもプライバシーを拡張することを強調して、アプリの中で開発者がユーザーとどのようなやり取りをするかは Apple の関知するところではないと述べた。Apple は単に認証提供者の役目を果たすのみであり、ユーザーの活動についていかなるデータを遠隔収集することもない。だからと言って Google や Facebook が必ずしもそれぞれの認証サービスを乱用しているということではない。Google は疑惑を否定したし、疑わしい活動を探知する機能さえ提供している。対照的に、Facebook は二要素認証のために提供された電話番号を不正利用したことで有名だ。

Sign in with Apple が従来 Apple のエコシステムの内部にあったプライバシー要件と異なっているのは、この機能が Apple のプライバシーへのこだわりを壁に囲まれた庭の外部へと拡張することだ。従来の要件は、HomeKit のデータ利用制限から、App Store においてアプリがデータを収集し利用できる方法のルールを定めていることまで、大体において Apple のデバイスで走るアプリに適用されるものであった。Sign in with Apple においても技術的には同じことが言えるけれども、事実上はもっとずっと広い範囲にまで影響が及ぶ。

その理由は、開発者たちが iOS 用アプリに Sign in with Apple を追加する際に、自分の顧客が Apple デバイス以外のものを使うのであれば、他のプラットフォーム上のアプリにも Sign in with Apple を追加する必要が出てくる可能性が高いからだ。もしもそうしなければ混乱を招くユーザー体験を作り出してしまうことになるだろう。(言いにくいことだが、実際にはそういう状況が数多く生まれることだろうが。) ユーザーが自分の Apple ID でアプリ用のアカウントを作成した後には、別のログイン認証でそれと同じユーザーアカウントに対応するのは技術的にいろいろと複雑なところがある。だから開発者たちには、すべての異なるプラットフォームにわたって Sign in with Apple をサポートしたいと思う理由があり、結果としてこの機能に内在するプライバシーが Apple の通常の到達範囲を超えた場所にまで広がる。

Intelligent Ad Tracking Prevention (広告 ITP)

Apple がプライバシー戦略を拡張しようとする実例として、目立ったテクノロジーが他にも二つある。一つ目は、広告に対するインテリジェントトラッキング防止 (ITP) 機能への重要なアップデートだ。広告をクリックした際のプライバシー保護を施された属性は、醜悪な広告トラッキング市場の中で (少なくともいくらかの) プライバシーを提供する。二つ目のテクノロジーは HomeKit Secure Video で、こちらは独自にバックエンドのクラウドサービスを構築する手間を掛けずに競争力ある機能を持ちたいと考える監視カメラ製作会社に対してプライバシーの尊重を伴う新しい基盤を提供する。

まず、Intelligent Tracking Prevention (ITP) について見て行こう。これは Safari の機能で、いろいろなサービスがウェブサイトの垣根を超えてユーザーを追跡する能力を抑制する。その背後にある考え方とは、ユーザーは信用するサイトでクッキーを有効にして、かつその情報が他のサイトへブラウズした際に新たなトラッカーに監視されたりしないようにできるし、そうあるべきだというものだ。クロスサイトのトラッキングは蔓延しており、何十ものトラッカーをホストしているサイトが数多くある。その種のトラッキングは広告を支援するために作られ、たった一つのマーケティング上の尺度を提供する。それは、広告がユーザーに目的のサイトを訪問させ、何かを購入させたか否かだ。

効果的なトラッキング防止機能は、オンラインの広告主にとって、また収入を広告に依存するサイトにとって、存在そのものがリスクではあるが、Apple による (また他のブラウザメーカー各社による) 監視の目がますます厳しくなりつつある現状は、ほぼ間違いなく広告主たちによる過度に押し付けがましいトラッキングの結果だと言える。Intelligent Tracking Prevention (およびそれにブラウザの他のプライバシーやセキュリティの機能を組み合わせたもの) がムチだとすれば、プライバシーを保った状態での広告クリック属性は Apple のアメだ。クリックをモニターする Apple の方法は、ユーザーのプライバシーを侵すことなく広告主が成果率を追跡できるようにする。

このようなプライバシーを保った状態での広告クリック属性は Safari に搭載予定の機能であり (さらには新しいウェブ標準として提案されており)、ブラウザが広告クリックを 7 日間のみ記憶できるようにする。その期間内に購入がなされれば、広告の成果の可能性としてマークされる。ユーザーの特定を防ぐためにある程度ランダムに選ばれた時間の遅延を経てから、実際のユーザーをリンクして辿ることができない一連の ID のセットを使ってその成果が遅延性の一時的ポストとして検索ないし広告のプロバイダに報告される。

地上で二番目に人気のあるウェブブラウザの中で (Safari の市場シェアはおよそ 15% で、Google Chrome の 63% に続く) プライバシー保護を含んだこの広告テクノロジーを構築し、さらにそれをオープンな標準とすることにより、またその一方で多大な力を尽くして侵略的なトラッキングを防止することにより、Apple はここでも市場における自らの地位を活用してプライバシーを壁の向こう側にまで広げようとしている。このテクノロジーについて最も興味深いのは、さきほどの Sign in with Apple 機能とは違って、Google や Facebook など広告に駆動される Apple の競争相手たちのビジネスモデルを一切邪魔することなくユーザーのプライバシーを改善できることだ。それらの競争相手たちもまた、Apple のテクノロジーを使って広告の成果を追跡できるし、Apple 自身もユーザーが管理する広告識別子に応じてターゲットを絞った広告を使うことができる。

HomeKit Secure Video

さきほど書いたように、HomeKit Secure Video もまた、Apple がプライバシーの推進を拡張するためのテクノロジーだ。macOS 10.15 Catalina、iOS 13、それに iPadOS で登場予定のこの機能は、HomeKit の監視カメラにプライバシー保護のアップデートを提供する。実際に犯罪を予防するためにはそれほど役立たないとは知りつつも、私自身この種のカメラのヘビーユーザーだ。ほとんどすべての家庭用監視カメラは、私が使っている Arlo カメラも含め、録画したビデオを直接クラウドベースのストレージに保存する。(2018 年 9 月 3 日の記事“HomeKit 互換の防犯カメラ Arlo Baby はベビーがいなくても役に立つ”参照。) よくある犯罪番組でも見られるように監視カメラで撮影したものを悪漢が持ち去ってしまうリスクを避けるためにも、クラウドに保存するのは一般的に言って望ましい機能だ。また、監視カメラを製造している会社はクラウド上の処理を通じて人物や動物や自動車を識別したり、その他の便利な機能を提供したりする。多くの顧客たちと同様に、私もそういう会社が自分のビデオにアクセスできるという事実が気に入らない。そのことも理由の一つとなって、私は自宅に家族の誰かがいる間は家の中のカメラをすべて停止している。

HomeKit Secure Video 機能は、この機能に対応するカメラで撮影した映像を、それが保存される iCloud へ、暗号化した状態で送信する。しかも 10 日分の映像を無料で、iCloud のストレージ容量上限にカウントせずに保存する。もしもあなたがネットワーク上に Apple TV または iPad を持っていれば、機械学習の解析や画像認識の作業をクラウド上でなくあなたのそのデバイス上で走らせる。Apple はなかなか面白い分野に足を踏み入れようとしている。つまり、Apple は自らカメラを販売している訳ではないので、この種のことで収益をあげられるとは思えないし、顧客がスマートフォンやタブレットを購入する際に監視カメラに対応しているかどうかが動機付けとして働くとも思えない。これではまるで、Apple の重役の誰かが個人的に既存の監視カメラにプライバシー保護がないことにゾッとした気持ちになって、「直してやろうじゃないか」と腰を上げたかのように思える。

HomeKit Secure Video は、消費者のプライバシーを保護しつつ、監視カメラの市場をより広い競争相手たちに開放する。それは単なる製品でなくてプラットフォームであり、製造業者たちが独自にバックエンドのクラウドサービスや機械学習の機能を構築する必要を取り除くものとなる。このプラットフォームを利用する会社は、製品を市場に出す際の摩擦を減らすことができ、それでいてユーザーにより良いプライバシーを提供できるようになる。

Apple はプライバシーの文化を作り出したが、はたして生き残れるのか?

ここまでで述べてきたものは、Apple が自らの直接のエコシステムの境界を超えてプライバシーを拡張しようとする実例をいくつか紹介したに過ぎないけれども、WWDC ではまだまだ他にもさまざまのプライバシー関係の発表があった。

Apple は今後もそのすべてのプラットフォームを横断して既存のプライバシー機能を拡張し続ける。そこには新しいオフラインデバイス追跡ツール Find My もある。(2019 年 6 月 21 日の記事“Apple の新サービス Find My がオフラインのハードウェアを見つける方法”参照。) Wi-Fi や Bluetooth のデータを乱用してその場で位置情報追跡をするアプリが現に存在しているので、今日の Apple は iOS において、核心的機能として必要とされる場合を除きその種のデータへのアプリからのアクセスをブロックするようになった。今やユーザーはトラッカーを追跡することもでき、承認を受けたアプリが自分の位置情報にアクセスした際にそれと知ることさえできるようになった。

それからまた、登場予定の Apple クレジットカードもある。これは、プライバシーを尊重する支払いシステムの選択肢として最も目標に近いものとなるだろう。音声認識機能でさえ、プライバシーに磨きがかけられた。間もなく開発者たちは自分のアプリの中で音声認識機能がそのデバイス上のみで走り、クラウドに曝されることがないように指定することが可能になる。実際、Apple は WWDC で、開発者たちが Apple の考え方を採用して自らのアプリ内でプライバシーを改善する実例のために丸々一つのセッションを割り当てた。

John Guber の番組 The Talk Show Live で、Craig Federighi はプライバシーに焦点を当てる Apple の姿勢はずっと初期の時代、つまり「パーソナル」なコンピュータを作るために Apple が設立された時にその端を発していたと語った。それはそうなのかもしれないし、そうでないかもしれないが、Apple が本物のプライバシーの文化を (あるいは実際に技術的な保護を) 構築したのは間違いなく iPhone の時代が始まって以後のことだ。Microsoft が 2002 年にその非常に成功した Trustworthy Computing Initiative (信頼できるコンピューティング) を開始してそれまでの同社の不十分なセキュリティ実績を覆した時、その基礎となった原則の一つは "Secure by Design" というものであった。今回 Apple の開発者向けの Platform State of the Union セッションの最中、プライバシーが中心的な話題となったのは Apple が "Privacy by Design" を語ったからであった。

Apple も他のテクノロジー会社も、セキュアでプライベートなデバイスを作ろうとして抵抗に遭った経験を既にしている。いくつかの国では、例えばオーストラリアでは、端末相互間の暗号化を破ってデバイスにバックドアを要件とする法律を通そうとしている。米国の法執行機関の当局者たちはは何年も前から、そのようなことをすればデバイスのセキュリティを保証できなくなることを知りつつそれと同様のアクセスを認める法律を推し進めるための下準備を続けてきた。(2014 年 12 月 10 日の記事“Apple と Google、公民権論争の口火を切る”参照。) 中国では、Apple やその他中国以外のクラウドプロバイダに対してデータセンターを中国の会社に明け渡すことを義務化して、情報を政府に供給できるようにしている。Apple の競合各社もただ手をこまねいている訳ではない。Google の Sundar Pichai は New York Times に意見記事を書いて、Google のセキュリティをプライバシーと同等化し、Apple のバージョンのプライバシーを贅沢品に過ぎないと評して論議を呼んだ。確かに Google のセキュリティは業界随一だが、そのセキュリティを Apple が提供する種類のプライバシーと同等化するのはどう見ても不誠実だ。

個人のプライバシーに対抗して立つグローバルな力は、あまりにも多勢だ。広告会社やマーケティング企業は、あなたのブラウズ履歴と購入履歴を追跡したがる。政府は何を犠牲にしても犯罪を解決しテロを予防しようとする。電気通信プロバイダが私たちのインターネットトラフィックや位置情報を監視したがるのは、とにかくそれが可能だからだ。金融サービス業界は、私たちのデータに何かの価値があるだろうと確信している。さらには食料品店でさえ、私たちの購入品のすべてと私たちの電話番号を関連付けさせることと引き換えに少額の値引きをする誘惑に勝てないでいる。その一方で、理論的に言って、私たちがこれらのトラッキングを制御できる方法はほとんどない。事実上、私たちは基本的にそのほとんどに対して何の手も下せない。ましてや、その情報がどのように使われているかを知る手段などさらにもっと少ない。プライバシーを前進させようとする Apple の努力に対して、これらさまざまの組織の多くが強く押し返してくるのは容易に予想できることだし、その延長として、自分自身のプライバシーを大切にしそれを自分で制御したいと思う私たちの誰に対してもその圧力が及ぶのは十分にあり得ることだ。

プライバシーを基本的人権と呼ぶのは、どのような会社であれ個人であれ、自ら取り得る最大限の強い姿勢だ。プライバシーを自らのエコシステムの中に組み入れるのは Apple にとって一つの重大事であったが、Apple がそのプライバシーを自らのエコシステムの外へと拡張するに至って、今や私たちはそれらのプライバシー保護が自分にとって意味あることなのか、支持するに足る価値のあるものかどうか、自分自身のために判断しなければならない。私は自分の立ち位置を知っているが、それと同時にプライバシーが高度に個人的な概念であって世界の人たちの大多数が同じ考え方であるなどとは仮定できないことも知っているし、Apple の努力が今後 10 年間の挑戦を生き延びられるという前提に立てないことも私は知っている。

そう、すべては今や私たちの手の中にあるのだ。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

PDFpen and PDFpenPro 11.1

PDFpen and PDFpenPro 11.1

Smile は、最近アップグレードした PDF 編集アプリ PDFpenPDFpenPro (2019 年 5 月 19 日の記事“新しい PDFpen 11、Split View と Font Bar を導入”参照) にバージョン 11.1 をリリースし、書類の中のカラムや表のデータ認識を改良するとともに、表の中のカラムやセルからデータを選択したりコピーしたりする際の正確度を上げた。今回のアップデートではまた、テキストの向きが異なるページが混在する書類をスキャンした際に自動的にページを回転して向きを修正するオプション (Preferences or Edit > Rotate & Deskew Page) を追加した。

いずれの版の PDFpen も、Smile ウェブサイト (TidBITS 会員は新規ライセンスが 25% 割引となる) からも Mac App Store からも入手可能だ。PDFpen の価格は新規ライセンスが $74.95、従来のバージョンからアップグレードする場合は $30 だ。PDFpenPro の価格は新規で $124.95、アップグレードは $30 だ。PDFpen から PDFpenPro へのアップグレード料金は $50 だ。また、Smile はこれらのアプリとそのさまざまの機能を詳しく紹介する Michael Cohen のガイド本Take Control of PDFpen無料ダウンロードも提供している。(新規購入 $74.95/$124.95、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、アップグレード $30、76.6/124.5 MB、macOS 10.12+)

PDFpen and PDFpenPro 11.1 の使用体験を話し合おう

Logic Pro X 10.4.6

Logic Pro X 10.4.6

Apple が Logic Pro X 10.4.6 をリリースした。このプロフェッショナル向けオーディオアプリのメンテナンス・リリースで、安定性と信頼性の改善に焦点を置いている。今回のアップデートではメモリロードが大きい場合にチャンネルストリップが消えてしまうことがあった問題を修正し、数多くのハングやクラッシュを解消し、VoiceOver の使用に関するいくつかの改善を施し、ループを Loop Browser からトラックへコピー&ペーストする機能を復活させ、Tuning Table が期待通りに動作するようにし、またプラグインの動的ロードにいくつかの改良を施している。(Mac App Store から新規購入 $199.99、無料アップデート、1.5 GB、リリースノート、macOS 10.13.6+)

Logic Pro X 10.4.6 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Bill Gates Says Steve Jobs Was a “Wizard”

Bill Gates。Steve Jobs は“魔法使い”であったと語る

CNN の Fareed Zakaria とのインタビューで、Microsoft 共同創立者の Bill Gates がかつてのライバル Steve Jobs に思いを寄せ、彼が従業員から最大限のものを引き出し顧客をあっと言わせたことを“魔法使い”という言葉にたとえた。「私自身は言ってみれば小物の魔法使いで、彼が魔法をかけると人々が魅了される様子は見えるけれど、小物の魔法使いたる私が魔法にかかることはなかったのです」と Gates は言い、悪名高い Jobs の“現実歪曲空間”にも触れた。Gates はさらに続けて、テクノロジー業界の多くの人たちが Jobs の最悪の資質のみを模倣する一方で、才能を見つけ出し意欲を起こさせる能力で彼に匹敵する人は一人もいないと語った。38 分間にわたるこのインタビューの全部 を Apple Podcasts で聴くことができる。

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Apple Slashes Mac SSD Prices

Apple、Mac 用 SSD を値下げ

新型 MacBook Air と MacBook Pro の更新に合わせて、Apple はすべての Mac 機種用の SSD を値下げした。中には半額になったものもある。MacRumors の記事によれば、iMac、MacBook Pro、Mac mini 用の 1 TB SSD の価格が従来より $200 下がり、MacBook Pro と Mac mini 用の 2 TB SSD は $400 下がり、MacBook Pro 用の 4 TB SSD は何と $1400 も下がったという。iMac Pro では、2 TB SSD が $200、4 TB SSD のモデルでは $1200 安くなる。2013 年型 Mac Pro でさえ内蔵 SSD の価格が下がり、1 TB SSD モデルが $200 値下げとなった。しかしながら Apple のストレージ価格は依然として桁違いに高い。オープン市場ではブランド名のある 1 TB SSD がたった $100 ほどで手に入るからだ。でも、Apple のストレージ割増分が以前ほど高くなくなったとは言える。

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Apple Disables the Apple Watch Walkie Talkie App Due to Eavesdropping Vulnerability

Apple、盗聴の脆弱性のため Apple Watch の Walkie Talkie アプリを無効化

TechCrunch の記事によれば、Apple が Apple Watch に内蔵の Walkie Talkie (トランシーバー) アプリを一時的に無効化し、その理由は詳細は不明ながらある脆弱性によって「別の顧客の iPhone を同意なく聴取できる」からだという。アプリ自体は Apple Watch 上に残っているが、それを使って他のユーザーと連絡することはできない。おそらく、ソフトウェアアップデートによって間もなく再有効化されることだろう。Apple によれば、この脆弱性が実際に悪用された例は知られていないという。

興味深いことに、Apple は声明の中で、同社がこの脆弱性を知ったのは「脆弱性をご報告ください」ページを通じてであったと付け加えた。このページは、あの Thompson 一家が Group FaceTime の盗聴バグを Apple に報告しようとしてお役所仕事の壁に行き当たった事件 (2019 年 2 月 1 日の記事“Apple、Group FaceTime のバグを修正、バグ報告処理の改善を約束”参照) を受けて開設されたものだ。どうやら Apple はバグ報告処理を改善するという自らの約束をきちんと果たしたようだ。

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Most “Free” VPN Apps Secretly Owned by China

無料”の VPN アプリの大多数は中国が密かに所有する

仮想プライベートネットワーク (VPN) アプリは世界で最も検索されているアプリとも言えるが、Top10VPN.com の調査によればその種のアプリの多くは中国に結び付きのある謎めいた所有者を持っているのだという。加えて、この調査の結果それらの多くはプライバシー方針が良くないものであったりそもそも存在しなかったりという状態で、正当なウェブサイトすら持たないものもあり、ユーザーの活動を第三者と共有していることもあるという。あなたがご自分のプライバシーを守るために VPN を選んで使っているのならば、どれを選ぶかに注意するとともに、信用できるプロバイダを見つけるために自分の手で調べてみるようにしよう。何しろ VPN サービスは、あなたのインターネット活動のすべてを監視することが可能なのだから。

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