たった 2 分間なので、これは超高速、狂乱的、1 つ、いや 2 つ、いや 3 つのデモを次々と見せて、その中で一人の男が新しい Apple Arcade ゲームをプレイしつつ別の男の声がいかに素晴らしいかを語る。その点は過去のどの Apple イベントのゲームデモとも変わらない。(ただし 3 つ目のデモでは誰かがゲームをプレイしつつ女の声がゲームの素晴らしさを語る。) いや、あれは私たちの SlackBITS での議論が Apple 重役たちの衣装の選択について議論していた時のことかもしれない。
この超絶カットビデオの最良の瞬間は 1:25 の時点に訪れる。第 7 世代 iPad がベストセラーの PC ラップトップの 2 倍高速だという Apple のマーケティングの言葉をナレーターが力説した次の瞬間、全画面が一瞬だけ真っ青なスクリーンに変わる。ビデオを一時停止してよく見ると、これは Windows のいわゆる Blue Screen of Death を皮肉ったものだ。青い画面の上にはまずエラーコードがイベントの日付を示し、その後に次のような文章が続く:
これは単なる思い付きです。でも、ここに何らかのイースターエッグのメッセージを書いて、筋金入りの Apple ファンたちがビデオを止めて見てくれたら素敵だろうと思ったのです。
さて、iPhone 11 Pro はどこが「プロ」のデバイスなのだろうか? まず、これはアルミニウム製でなくステンレススチール製のフレームを持ち、より控え目なカラーの選択肢、ゴールド、ミッドナイトグリーン、シルバー、スペースグレイが用意されている。
でも本当の意味で「プロ」の名前に値するのは、iPhone 11 Pro の背面に搭載された第3のカメラだ。iPhone 11 で提供される Wide (広角)、Ultra Wide (超広角)、それに Night (ナイト) モードに加えて、iPhone 11 Pro は Telephoto (望遠) モードも提供する。Apple はこれらの新しいカメラによって可能となったなかなか素晴らしい写真やビデオを示してみせたし、いったん iPhone Pro が世に出れば独立のレビュー記事も出るだろうと私たちは楽しみにしている。
カメラの進化に加えて、iPhone 11 Pro はそれに相応できる極上のディスプレイも備える。OLED 駆動の Super Retina XDR ディスプレイで、Apple はこれが同社から $5000 で登場予定の Mac Pro ディスプレイのミニサイズ版だと宣伝している。iPhone 11 Pro は 5.8 インチスクリーンで解像度 2436×1125 ピクセル、458 ppi で、iPhone 11 Pro Max の方は 6.5 インチスクリーン、2688×1242 ピクセル、458 ppi だ。いずれのスクリーンも、最大輝度 1200 ニト、コントラスト比 2,000,000:1 を提供する。
Apple が実演してみせた中でおそらく最も印象的だったカメラ機能は、登場予定のバージョンの FiLMiC Pro だ。これは、iPhone 11 Pro に搭載された複数のカメラで同時にそれぞれ毎秒 60 フレームの 4K ビデオを録画できる。実際にそれをするつもりの人は、大枚をはたいてストレージ量 512 GB のモデルを選ぶべきなのだろう。
Apple はこれらの Pro モデルが去年の XS シリーズに比べてバッテリー駆動時間が大幅に長くなると宣伝している。iPhone XS より最大 4 時間長くなり、iPhone XS Max に比べて最大 5 時間長くなるという。
iPhone 11 Pro の価格は次の通り:
64 GB: $999
256 GB: $1149
512 GB: $1349
そして iPhone 11 Pro Max の価格は次の通り:
64 GB: $1099
256 GB: $1249
512 GB: $1449
どの iPhone を選ぶか?
今年の新しい iPhone を買おうと思っている人にとって、選択はかなり単純だ。たいていの人は iPhone 11 で十分に満足だろう。価格が妥当で、iPhone 11 Pro の機能のほとんどを備えているからだ。けれどももしあなたが本格的な写真家やビデオ作家なら、考えるまでもなく iPhone 11 Pro を選ぶべきだろう。これこそ真の意味で「プロ」の名に値する。その上、もしもあなたのポケットが (財政的な意味でも物理的な意味でも) 十分に深いのなら、iPhone 11 Pro Max を選べば、同等レベルの写真パワーをさらに一段と大きなスクリーンを使って駆使できる。
今何時かを見るだけのために腕を上げたり、Apple Watch の画面をタップしたりしなければならないのに飽き飽きしていますか? 新しい Apple Watch Series 5 だと、それはもう必要なくなる。同社の新しい "革新的な" Always-On Retina ディスプレイのお陰である。(勿論、"常時表示" は他の殆どの時計では当たり前の機能であった。)
他の新機能には、内蔵のコンパスと国際緊急通話が含まれ、そして Apple はセラミックのケースを再登場させ、新しいチタニウムのケースを加えた。これらの新しい機能とケース素材を別にすれば、Apple Watch Series 5 は Series 4 の機能群を元にして作られており、そこには ECG 計測や転倒検知も含まれる。
ディスプレイ技術と電力管理における Apple の進化により、Apple Watch Series 5 は通常の使用下で 18 時間の電池寿命を維持出来るという。
コンパス
Apple Watch Series 5 には内蔵のコンパスがあり、watchOS 6 Maps アプリはあなたがどちらを向いているかを示せるようになり、ナビを使って歩き始めるのがやり易くなる。新しい Compass アプリは方向だけでなく、傾斜、緯度、経度、そして現在の標高も教えてくれる。Workout アプリには今や標高情報も含まれる。そして、もし本格的な場所オタクであれば、幾つかの盤面に三つの新しいコンプリケーションを加えることが出来る。
国際緊急通話
Apple Watch Series 5 に対する三つ目のそして最後の目を引く追加機能は - 少なくとも、セルラーモデルでは - 国際緊急通話である。時計を何処で買ったか、どのセルラープランが有効になっているかにも関係なく、Apple Watch Series 5 は、他の国で旅行中にも緊急通話をサポートする。
サイドボタンを数秒間長押しすれば Emergency SOS 機能が呼び出される。Apple Watch Series 4 で導入された転倒検知機能は踏襲されているので、激しく転倒し約1分間動けない状態になると、それは緊急サービスに通話する試みをする。
Apple Watch Studio ページでは、ケースとバンドの全ての組み合わせが可能であると主張しており、そして Apple は Apple Store でも同じことを対面で可能にすると言っている。しかしながら、これ迄 Apple Watch Studio には無いバンド色も販売されたこともあったので、文字通り全てだとは思わない方が良い。
Apple Watch Series 5 は現在予約注文を受け付け中で、出荷は 20 September 2019 からであるが、Apple Watch Nike Series 5 は例外で、こちらは 4 October 2019 に出荷となる。
Apple は Apple Watch Series 4 を商品系列から外したが、Apple Watch Series 3 は引き続き販売する - アルミニウムケースのみ - 入門レベルの低価格を提供するために。38mm ケースで GPS のみは $199 からで、42mm ケースだと $30 の追加となる。GPS+Cellular モデルは更に $100 の追加となる。Series 3 には Series 5 にある転倒検知と ECG 機能が無い。従って、これらの機能に $200 余分に払って最新モデルとする価値があるかどうかはあなたの判断次第だ。
しかし、Apple 機器が必要になるわけではない:Samsung のより新しいスマート TV モデル上の Apple TV アプリは Apple TV+ コンテンツを再生出来るであろうし、Amazon, Roku, そして Sony からのより多くのサードパーティ機器もこのアプリを、従ってこのサービスもいずれ近いうちに提供するようになるであろう。手持ちのものは Windows ラップトップだけと言う場合でも、心配する必要はない:Apple TV+ は Web ブラウザで tv.apple.com からもストリーム出来る。
定期購読を申し込む前に何か見てみたいというのであれば、Apple は 7 日間の無料お試しを提供すると言っている。それに、もし新しい Apple 製品が欲しいのであれば、Mac, iPad, iPhone, iPod touch, 或いは Apple TV を買えば、1年間の無料購読が付いてくる。一つの購読を最大6人までの家族で共有出来るので、子供に大学への進学記念に新しい MacBook Air を買ってやれば、あなたは1年間無料の娯楽を楽しめる。
Apple Arcade の場合と同様、この $4.99 の価格帯は妥当に思える。と言うのも、Apple は、Netflix, Amazon Prime, そして Disney+ 程見られるものの数が多くないからである。もしもっと高かったら、人々は Apple TV+ を他のストリーミング購読に付け加えるには高すぎると思うであろう。また、新しい Apple ハードウェアを買うことで得られる1年間の無料バンドルは賢いやり方である。何故ならば、それは Apple 顧客に Apple TV+ を試してみる機会を与え、そしてひょっとすると1年後には定期購読に切り替えてくれるかもしれないからである。
次の手
Apple は、将来の稼ぎのかなりの部分を購読サービスに賭けている。それは複雑な市場であり、そして Apple はその様な高度に競争的で予測出来ない環境において利益を取り込むにはかなり注意深く手を打たなければならない。
一見して、値段とコンテンツの内容は、娯楽業界への Apple の進出には正しい選択の様に見えるが、ショービジネスについてただ一つ確かなのはその不確実性なので、この話がどの様な終末を迎えるかを知るためには、ただ事態を静観し続けるしかない。
Apple の 9 月 10 日のイベントの壇上で、Apple リテール主任 Deirdre O'Brien は Apple の新しい Trade In (下取り) プログラムに言及したが、詳細についてはあまり語らなかった。私は当惑さえ感じた。Apple はもう何年も前から Trade Up with Installments という名前で下取りプログラムを提供しているからだ。TidBITS で記事にしたかどうか覚えていないが、以前 2016 年に、iPhone SE と合わせて発表されたはずだ。私が言える限り、今回の新しい Trade In プログラムは、名前が違うことを除けば、古いプログラムと同じもののようだ。
Apple はまた、iPhone Upgrade Programn 以外でスマートフォンの代金を分割払いできるようにもしている。ただ、こちらの Apple iPhone Payments プログラムもやはり新しいものではなく、より積極的に広告されているだけのことだ。(Mashable が 2017 年にこのことについて議論している。)
ただし、ここで注意点が2つある。まず、確実に下取り料金を得るためには古い iPhone を Apple へ送っておかなければならない。これが簡単にできるように、Apple は料金支払い済みの箱を含んだ下取りキットを送ってくれる。キットが届いたら、14 日以内に古い iPhone を Apple へ返送しなければならない。Apple は届いた iPhone を検査して、もしもそれが満足すべき状態にあるならば、あなたの支払い方法に、またはあなたの毎月の請求書に、下取り価格を反映してくれる。その際、その古い iPhone の価格をあなたが既に完全に支払い済みか、あるいはあなたが Apple iPhone Payments プログラムを選んでいたかも勘案される。
下取り価格がフルに適用されない可能性があることも注意しておこう。だからこそ Apple は「最大」いくら、という表現を使っているのだ。もしも Apple がその iPhone の状態に対するあなたの評価が楽天的過ぎると考えれば、約束された下取り価格が減額されるかもしれない。ただ、iPhone Upgrade Program での私の経験から言えば、Apple も過度にうるさいことは言わないようだ。
キャリアの支払いプランを選んでも、Apple の支払いプランを選んでも、いずれも無利子ローンだ。月ごとの支払い額が高いので Apple が iPhone Upgrade Program に利息を課していると誤解している人たちもいるようだが、それは AppleCare+ が組み入れているからに過ぎない。もちろん先に一括払いをしても問題ないけれども、毎月の支払いに気を配らなければならないことを除いては、分割払いを選んでも何の損もない。
最後の公開ベータ版以降の変更点としては、macOS 10.15 Catalina の中で Annotations パネルを使わずに PDF ノートの注釈を表示したり編集したりする機能への対応、ブラウザ拡張 Clip to DEVONthink の HTML 構文解析の改良、同期の際の iCloud アップロード進行状況表示、エイリアスのデータを可能な限り解決することによる索引データ処理の向上などがある。このアプリはまた、Annotations & Reminders インスペクタで施した Finder コメントへの編集が必ずしも保存されていなかった問題を解決し、10.14 Mojave での PDF 書類の検索が付加記号に対応していなかったバグを修正し、Google Chrome その他いくつかのコピー元からリンクをペーストする際の問題を修正している。
DEVONthink 3.0 には三つの版があり、標準版の DEVONthink 3 は従来の DEVONthink 2 Personal 版および Pro 版を置き換えるものであり、DEVONthink 3 Pro 版および Server 版は従来の DEVONthink 2 Pro Office 版を置き換える。三つの版のいずれも、今回から macOS 10.11.5 El Capitan かそれ以降を必要とする。
標準版の DEVONthink 3 の価格は $99 で、DEVONthink Pro 3 は $149、DEVONthink Server 3 は $499 だ。従来のライセンスを DEVONtechnologies から直接、またはサードパーティの宣伝販売を通じて購入した人にはアップグレード価格がある。(DEVONthink 新規購入 $99、DEVONthink Pro 新規購入 $199、DEVONthink Server 新規購入 $499、TidBITS 会員にはそれぞれ 15 パーセント割引、アップグレード価格あり、93.3 MB、macOS 10.11.5+)
今回の iPad Pro の値下げは、最近の Apple が価格を下方修正しつつあることの最新の実例に過ぎない。注目すべきは、基本モデルの iPhone 11 が去年の「お手頃」モデル iPhone XR に比べて $50 安くなったことだが (2019 年 9 月 10 日の記事“Apple、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max を発表”参照)、Stratechery の Ben Thompson が指摘したように、Apple は iPhone XR の一年遅れ価格を通例の $100 ではなく $150 下げ、iPhone 8 の二年遅れ価格も予想された $100 ではなく $150 下げた。その上、高価格帯の Apple Watch バンドのいくつかも $50 値下げした。(2019 年 9 月 10 日の記事“Apple Watch Series 5、常時表示のディスプレイを採用”参照。)
多くの TidBITS 読者が、近年 Apple の価格が全体的に上昇傾向にあるという苦情を口にしてきた。iPhone の売り上げが下降気味である中で成長を維持しようと苦闘している Apple にとって、今回の値下げは価格を下げれば売り上げが上向くかどうかを確かめる Apple 流のテストなのかもしれない。あるいはまた、それは深読みのし過ぎであって、Apple は単に部品や原料のコスト低下を消費者に還元しているだけなのかもしれない。