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#1488: iOS 13.2 と iPadOS 13.2、AirPods Pro、期限切れの macOS インストーラ証明書、スクリーンをミラーするヒント、連携スケッチ機能と連係マークアップ機能

またまたアップデートする準備はいかが? iOS 13.2 と iPadOS 13.2 が、約束されていたいくつかの機能を Apple のデバイスに届ける。Deep Fusion、HomeKit の Secure Video、それに新しい Siri のプライバシーオプションだ。Apple は今回のリリースでようやく HomePod を iOS 13 にアップデートして、家族の中の個々人を区別できる機能を追加した。また、Apple は AirPods Pro を発表して私たちを驚かせた。新たに交換可能なイヤーチップと、アクティブなノイズキャンセリングを備えている。Adam Engst が、期限切れの証明書を持つ macOS インストーラを修正する方法と、複数モニタ構成で選んだスクリーンをミラーする方法を説明する。それからもう一つ、macOS 10.15 Catalina へのアップデートを済ませた方のために、その新しい連携スケッチ機能と連係マークアップ機能の使い方のガイドをお届けする。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Default Folder X 5.4.1、BusyCal 3.7.2 と BusyContacts 1.4.2、Firefox 70.0、Transmit 5.6.1、それに Bookends 13.2.7 だ。

Josh Centers Adam Engst  訳: Mark Nagata   

iOS 13.2 と iPadOS 13.2、Deep Fusion、HomeKit の拡張、HomePod 機能を提供

Apple が iOS 13.2 と iPadOS 13.2 をリリースして、約束されていたいくつかの機能を届けるとともに、多数のバグを修正した。iPhone X 上で 597.3 MB、10.5 インチ iPad Pro 上で 534.1 MB のこれらのアップデートは Settings > General > Software Update から、macOS 10.15 Catalina では Finder から、またはそれ以前では iTunes を通じて、インストールできる。

もしもあなたが既に iOS 13 や iPadOS 13 にアップデートしているなら、このアップデートも引き続きインストールすべきだ。まだ iOS 13 や iPadOS 13 にアップデートしていない人は、おそらくもう少しそのまま待つ方が良いだろう。ただ、Apple が最もひどいバグの大多数を見つけて修正し終える時点にそろそろ近づきつつあるとは言えるだろう。

iPadOS 13.2 release notes

iOS 13.2 の最大の看板機能は iPhone 11 に約束されていた Deep Fusion だ。これは異なる露光で撮影した複数の画像を機械学習を使って一つの画像に仕上げ、より高い画質とノイズの低減を実現しようというものだ。(2019 年 9 月 10 日の記事“Apple、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max を発表”参照。) それらの新しい iPhone モデルを使っている人は、Camera アプリの中からビデオの解像度を直接変更できるようになった。

また、iOS 13.2 と iPadOS 13.2 のいずれも、実装が遅れていた HomeKit 機能のいくつかが追加された。具体的には、HomeKit Secure Video で防犯カメラが撮影した映像を iCloud にセキュアに保存できるようになり、HomeKit 対応ルーターを利用して HomeKit アクセサリをネットワークの他の部分から隔離できるようになった。今年 Apple が初めてこの機能を発表した際に Apple は Eero、Linksys、Spectrum という具体的なルーターメーカーの名前を挙げていたが (2019 年 6 月 3 日の記事“Apple、iOS 13 を発表、そして iPadOS を分離”参照)、今回 Apple のリリースノートはそれらの会社名には触れていない。これからも状況を見守ろう!

さて、Siri のプライバシーの関係では、今回双方のアップデートに新しい設定項目が追加され、あなたの Siri クエリーと音声入力の録音音声を Apple が保存することを許可するか否かを選択できるようになり、また Siri および音声入力の履歴データを Apple のサーバから削除するオプションも提供された。この変更は Apple が品質管理のために請負業者を使って Siri 録音を聞かせていたことを巡る議論に応じて出されたものだ。(2019 年 8 月 29 日の記事“Apple, Siri プライバシー改革を発表”参照。)

新機能の締めくくりとして、iOS 13.2 では、Apple が発表したばかりの新製品 AirPods Pro (2019 年 10 月 28 日の記事“Apple、ノイズキャンセリングを搭載した AirPods Pro をリリース”参照) への対応が追加され、また AssistiveTouch を使って App Switcher を有効にする際のパフォーマンスが改善された。最後に、Apple はまたもや新たな絵文字を追加した。わーい。

今回のアップデートでは数多くのバグにも対処が施され、次のような点が修正された:

HomePod 用 iOS 13.2

ようやく、Apple は HomePod 用 iOS 13.2 もリリースした。あなたの HomePod も近いうちに自らアップデートするはずだが、そうでない場合のために Apple は手動でアップデートをインストールする方法の説明書も出している。それはそれとして、9to5Mac の記事によれば iOS 13.2 によって「文鎮化」してしまった HomePods があるとのことなので、まだ自動的にアップデートされていない場合は急いでアップデートしないようにしよう。(Adam Engst の HomePods は既にアップデートをダウンロード済みだが、彼はこの文鎮化の問題がはっきりするまでの間は Update All をタップしないと心に決めている。) [訳者注: HomePod 用の iOS 13.2 アップデートは現在 Apple が公開を停止しており、Apple は既にアップデートした人に対して HomePod をリセットしたり Home アプリから削除したりしないようにと呼びかけています。]

iOS 13.2 release notes for HomePod

iOS 13.2 では HomePod を使っている多くの家族が待ち望んでいた機能が届けられる。つまり、家族の中の一人一人の声を聞き分ける機能だ。これまでは、一台の HomePod にはたった一つの Apple ID しか割り当てることができず、つまりは HomePod で Siri を使ってリマインダーをセットしたり、カレンダーのイベントを作成したり、その他 Enable Personal Requests スイッチに依存する機能を使うのはたった一人の人にしかできなかった。少なくとも理論的には、今回の新機能によって家族一人一人がそれぞれ別々の Apple Music 提案を受けられるようになるはずだ。

HomePod に加わるその他の新機能を挙げておこう:

Michael Cohen の HomePod は問題なくアップデートできたが、彼によれば Ambient Sounds を再生させる最良の方法は "Hey Siri, play soundType sounds" と話すことだという。ここで soundType は "fireplace" "forest" "night" "ocean" "rain" "stream" "white noise" のいずれかだ。これ以外のタイプがあることにお気付きの方はどうぞコメントで知らせて頂きたい。

Ambient Sounds playback

これらのアップデートについて、Apple はまだリリースノートセキュリティノートもオンラインに出版していない。Apple のセキュリティアップデートページによれば Apple は tvOS 13.2 も出したようだが、そのリリースノートもまだ出ていない。それからまた、macOS 10.15.1 Catalina と watchOS 6.1 も近日中に出ると思われる。AirPods Pro を使うためにはそれらのアップデートが必須だからだ。[訳者注: この TidBITS 記事の出版後、翻訳作業中に Apple サポート記事「iOS 13 のアップデートについて」が iOS 13.2 の内容を含めて更新され、また macOS 10.15.1 Catalina と watchOS 6.1 がリリースされました。]

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Apple、ノイズキャンセリングを搭載した AirPods Pro をリリース

AirPods はここ数年では Apple の最大の人気商品の一つとなっていたので、Apple が第二世代 AirPods を出した時には格別の驚きはなかった ("第二世代 AirPods、"Hey Siri" とオプションでのワイヤレス充電を提供" 20 March 2019)。もっと驚きだったのは、今日の AirPods Pro のリリースである。これは Apple のワイヤレスイヤフォンに対する批判の幾つかに対応する機能を盛りこんで作られている。新しい能力には値上げが伴っており $249 となっている。これには Wireless Charging Case が含まれる。AirPods Pro はリリースされたばかりの iOS 13.2, iPadOS 13.2, そして今後予定されている watchOS 6.1, tvOS 13.2, そして macOS Catalina 10.15.1 を必要とする。

(警告 - AirPods Pro 製品ページ上のスクロールジャッキング [訳者注:Web 業界の言い回しで、ユーザーによるページを単に上下する動きを利用して、それ以外の効果を意図して埋めこむ] は、遅く、不器用で、そして煩わしい;もしスクロールするのに1日費やしても構わないと言うのでない限り、Apple のプレスリリースの記事を読んだ方が良い。)

AirPods Pro photo

最も目につくのは、Apple が AirPods Pro を心地よさと装着感の改善を意図して再設計したことである。初代の AirPods は有線の EarPods には不快感を感じた多くの人から称賛されたが、AirPods の装着に困難を感じている人もまだ沢山いる。AirPods Pro イヤフォンには3つのサイズのソフトで、柔軟な、シリコーン製のイヤーチップが付いてくる。Apple は、このイヤーチップには圧力を均一にし不快感を減ずる通気システムを使っていると言っている。外耳道を閉鎖することで、イヤーチップは外部雑音をより多く遮断する。

AirPods Pro はまた、Ear Tip Fit Test も提供している。これは恐らく iOS 13.2 か iPadOS 13.2 からアクセスするもので、何らかの方法で閉鎖度の質を試験し、あなたに最適のイヤーチップを見つけてくれる。この試験のアルゴリズムは、それぞれの耳での音のレベルを測り、それをスピーカードライバーから出ているものと比較し、そして別のイヤーチップが必要なのか、或いは閉鎖度を調整すべきかを提示してくる。

イヤーチップはある程度の受動的な雑音消去を提供するであろうが、本当の所は新しい Active Noise Cancellation モードから来る。それは一対のマイクと - 一つは外部に向いて外の環境をサンプルし、もう一つは内側を向いている - 背景雑音を消去するために1秒間に 200 回の割合で音信号を当て嵌める先進的なアルゴリズムとを使う。しょっちゅう飛行機を利用する人にとっては、この能動的な雑音消去だけでも AirPods Pro は投資に見合うと言えるかもしれない。ひょっとすると、出張の多いビジネスマンがこの "Pro" の名前を支える聴衆なのかもしれない。

しかしながら、雑音消去には問題もある - 受動的か能動的かに拘らず - それは、音楽、ポッドキャスト、或いはオーディオブックに聞き入る時、外部環境から完全には断絶されないでいたい場合もあることである。ランニングをする人は、車、自転車、そして他の走者の音を聞く事が出来る必要がある - ある時、単一トラックのトレールレースで、私は一人のイヤフォンを付けた女性を本当に驚かせてしまったことがある。その時彼女は私の警告の叫びを聞く事が出来ず、私はあまりに近く擦れる様に彼女を追い越してしまったのである。(幸にして、彼女は私のその後の呪いの言葉も聞けなかった。) そして、バス、電車、或いは飛行機で通う人は誰でも、大事なアナウンスを聞ける必要がある。

これを可能にするため、Apple は Transparency モードを作り出した。これは、雑音消去レベルを調整して、自分自身の声が自然に聞こえるようにするものである。きっと、これは周りの大事な音を聞こえる様にするための代わりなのであろう。Active Noise Cancellation と Transparency モード間の切り替えには、AirPods の軸上にある新しい "力センサー" を使う - これは Apple の感圧ボタンに対する新しい用語なのであろうか? 代わりに、Apple Watch 上の Control Center 又は AirPlay アイコンの音量スライダーはどちらもモードを調整させてくれる。AirPods Pro 力センサーはまた、再生、一時停止、或いはトラックをスキップする、そして電話に出る、或いは切るの操作もさせてくれる - それ以上のことには、Siri を使える。

Active Noise Cancellation モードは電池をより多く消費し、標準で 5 時間の聴取時間は 4.5 時間に下がる。しかし、AirPods Pro は話し時間を 3.5 時間に伸ばしており、以前の第二世代 AirPods の話し時間よりも 30 分多くなっている。これ迄の AirPods モデルと同様、Wireless Charging Case は更なる充電容量を提供し、最大 24 時間の聴取時間か、又は 18 時間の話し時間が得られる。

Apple は AirPods Pro の没入感のある音質の多くを、沢山の息を飲む形容詞を使って表現している。AirPods Pro は、恐らく AirPods よりもよく聞こえると思われるが、その様な装飾過剰な表現が本当かどうかは、時間が経ってオーディオマニアからの評価が出る迄待たなければならない:

AirPods Proはアダプティブイコライゼーションで上質なサウンドクオリティーを提供します。アダプティブイコライゼーションは音楽の低音域部分と中音域部分をリスナーの耳の形に合わせて自動的に調整し、豊かな没入感のあるリスニング体験を実現します。専用のハイダイナミックレンジアンプは、ピュアで信じられないほどクリアなサウンドを生み出すだけでなく、バッテリー駆動時間を伸ばし、音質を最適化、さらに周囲のノイズを除去するよう設計された専用の高偏位ドライバ、歪みの少ないスピーカードライバを稼働させます。このドライバは20Hzまでのリッチな低音正確な中高音域オーディオを安定して提供します。

AirPods Pro expanded

AirPods Pro は Wireless Charging Case 付きで $249 で現在予約注文受付中で、出荷は 30 October 2019 に始まる。第二世代 AirPods も引き続き販売され、有線充電ケース付きだと $159 で、Wireless Charging Case 付きだと $199 となる。Wireless Charging Case だけの販売も継続され価格は $79 のまま据え置かれた。

Apple が需要に見合うだけの量の AirPods Pro を製造できるかどうかは見てみないと分からない。初代の AirPods では、需要に追いつく迄かなりの時間を要した経験がある。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

保存してある macOS インストーラを期限切れ証明書への対処で再ダウンロード

Apple はソフトウェアアップデートで使うインストーラにデジタルな署名を入れることで、それが改ざんされていないことを保証する。それは理に適っているが、気を付けなければならない点が一つだけある。それらのインストーラに署名するために Apple が使っている証明書には有効期限があるという事実だ。Rich Trouton が Der Flounder ブログの中で、それらの証明書が期限切れになれば何が起こるのかを説明している。Apple が、それぞれのインストーラに新しい証明書を付けて発行し直すのだ。そして、今回それがまた起こった。Apple が最近出したインストーラのうちの、全部ではないにしても多くのものが 2019 年 10 月 24 日を有効期限としていて、先週その日が来た。

大多数の Mac ユーザーにとって、この騒動は大体において無関係だ。もしもあなたが古いバージョンの macOS のインストーラを必要としたならば、その時点でそれをダウンロードすることで、ちゃんと動作するものが手に入るからだ。でも、このことで大きな影響を受けるのが、Apple コンサルタントや IT 管理者の人たちだ。彼らは、顧客の Mac を必要とされるどのバージョンの macOS でも再構築できるようにと、一連の macOS インストーラを取り揃えて含んだトラブルシューティング用ツールキットを構築して持っているからだ。

A collection of old macOS installers

Finder からは、それらのインストーラが認証できず、ダウンロード中に破損した、または改ざんされた可能性があるというメッセージが出るかもしれない。

Screenshot of an installer with an expired certificate

新しいインストーラを入手する

今回、Apple は多数の古いインストーラに署名を入れ直して再リリースし、それらに 2029 年 4 月 14 日という新しい有効期限を与えた。つまり、今からおよそ 10 年後だ。もしもあなたがご自分のアーカイブを新しいインストーラで再構築したいならば、以下のそれぞれのページにあるリンクを使って新しいインストーラをダウンロードできる:

Apple は、それより前のバージョンはダウンロードで入手できないと言っている。そして私の知る限り、それは事実のようだ。過去の例を見れば、そういうものは App Store アプリの中の、購入済みアイテムのリストに現われていたけれども、現在私が自分のものを確認したところ上記以外のオペレーティングシステムで私のリストにあるのは開発者用ベータ版の Sierra と GM 候補版の El Capitan だけであった。(両者とも動作するかどうか怪しいものだと思う。)

しかしながら、10.9 Mavericks、10.8 Mountain Lion、それと 10.7 Lion のインストーラをお持ちの方には、TidBITS Talk 読者の gastropod が証明書の期限切れを回避する方法を提案してくれた。インストールする前に、Mac の時計を証明書がまだ有効であった日付に設定し、インストーラを実行して、それからインストール後に日付を元に戻すというのだ。Terminal から日付の変更をするには (おそらくそれが唯一のアクセス可能な方法だろう)、次の手順を踏めば日付が 2016 年 2 月 1 日に設定される:

  1. インストーラの中で Utilities > Terminal を選ぶ。
  2. sudo date 0201010116 と入力し、Return を押し、パスワードを入力する。
  3. Terminal を終了して、インストールを続ける。

Catalina でコマンドラインツール softwareupdate が拡張された

Terminal の話のついでに書き添えれば、Armin Briegel が Scripting OS X ブログの中で、Catalina では softwareupdate コマンドに新しいオプションが追加されて、特定のバージョンの macOS のフル・インストーラをダウンロードできるようになったと紹介している。見たところ、ダウンロード可能な対象バージョンは 10.14 Mojave と 10.13 High Sierra に属するものに限られていて、それより古いものは対象外のようだ。

次のコマンドは最新の Install macOS アプリケーションをあなたの Applications フォルダの中へダウンロードする。

softwareupdate --fetch-full-installer

また、次のコマンドは 10.13.6 を指定してダウンロードする。

softwareupdate --fetch-full-installer --full-installer-version 10.13.6

In the Year 2525 (西暦2525年)

手持ちの macOS インストーラのコレクションを再構築する必要が生じたのは今回が初めてではない (2016 年 3 月 2 日の記事“以前ダウンロードしておいた OS X インストーラーが動かない”参照) し、今回が最後でもない。すべてを今からダウンロードし直さなければならないのは大体において単に厄介だというだけのことだが、長期的に考えれば状況はもっと深刻だ。シリコンバレーは常に未来に目を向けたがるが、その未来を調べる学者や研究者たちは過去を振り返りたいと望むこともある。証明書の期限が切れれば、歴史的、あるいは参照の目的で古い Mac を蘇らせることが困難ないしは不可能にさえなりかねない。Apple が永遠に存在することはありそうもないが、はたして Apple の最後の従業員は、 9999 年 12 月 31 日という(処理可能な)最後の日付を期限とする証明書で古いインストーラを署名し直してくれるだろうか? そして、もしそうだとして、西暦 10,000 年になれば何が起こるのか

[訳者注:In the Year 2525 (邦題「西暦2525年」) はポップ・フォークデュオ Zager & Evans が 1969 年に出した大ヒット曲で、日本ではトワ・エ・モワがアルバム「あなたと私とトワ・エ・モワ」の中でカバーしています。70年代の社会背景をもとに将来の人類の危機を歌っています。上記の YouTube 映像をぜひご覧ください。]

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

TipBITS: 複数モニタ構成で選んだスクリーンをミラーする方法

私は先週の MacTech Conference から戻ったばかりだが、今回のカンファレンスではかの比類なき Sal Soghoian が講演して、その中で彼は macOS の奥深くに隠された飛び切りクールなテクノロジーを明かしてくれた。Sal の講演については、セットアップを説明したビデオを彼が作り終えたら私もぜひ記事を書きたいと思っている。

けれども今は、私がこれまで聞いたことがなかった技を一つだけ、ここで紹介したいと思う。1 台の Mac に 3 台 (またはそれ以上) のスクリーンが取り付けられている場合に、そのうち 2 台 (またはそれ以上) だけでミラーリングするという技だ。もちろんこれは誰もが必要とするものではないが、もしもそのような状況になった場合には、知っていると大変に嬉しいだろう。この技は少なくとも macOS 10.14 Mojave と 10.15 Catalina で働くけれども、もう少し前のシステムで働いても不思議ではないと思う。

Sal の実演には、彼の MacBook Pro と、Luna Display に接続された iPad、それに 2 台の映写機が登場した。片方の映写機はカメラを通して iPad のスクリーンを表示していたので、聴衆は Sal がタップしたりスワイプしたりする様子を見ることができた。そして、もう片方の映写機は MacBook Pro に接続されていた。そういうわけで、Settings > Displays > Arrangement には 3 つのスクリーンが表示された。MacBook Pro と、Luna Display に接続された iPad と、MacBook Pro に接続された映写機だ。

Displays preference pane showing three screen

問題は、演壇上にいる Sal からは MacBook Pro と iPad の画面しか見えないことだった。映写機の映像に何が映っても、彼は遠くにじっと目を凝らして映写スクリーンを眺めなければならなかった。それはかなり難しかったが、彼はプレゼンテーションの最後まで何とかやり遂げた。

講演の終了後に、講演前のセットアップ時には部屋にいなかった Ed Marczak (彼は講演者であり MacTech Conference のアドバイザーでもあった) が、これを使えば Sal ももう少し楽だったのにと言いながら、あまり知られていない技を紹介してくれた。実は、1 台の Mac に 3 台 (またはそれ以上) のスクリーンが取り付けられている場合に、Settings > Displays > Arrangement でスクリーンのどれかを Option-クリックして他のどれかのスクリーンの上にドラッグすれば、その 2 台をミラーリングできるというのだ。やってみると、実際期待通りのことが起こる。その Mac はまるで 3 つでなく 2 つしかスクリーンを持たないかのように挙動し、ミラーリングの状態にある 2 台のスクリーンは全く同じ画面で、3 台目のスクリーンだけが違う画面となる。

Displays preference pane showing three screens, two mirrored

自宅に戻ってから、私は Retina ディスプレイ付き 27 インチ iMac と、標準型 27 インチ Thunderbolt Display、それに Target Display Mode で接続した古い 21 インチ iMac を使って実験してみて、期待通りの結果を得た。Settings > Display > Arrangement で古い iMac のモニタを Option-ドラッグして Thunderbolt Display のアイコンの上に持ってくるだけで、魔法のようにうまく行った。

(えっ、何だって? Target Display Mode なんて知らなかったって? これはとても巧みだけれども短命に終わったテクノロジーで、Retina ディスプレイを搭載しない 2009 年型から mid-2014 年型までの iMac を MiniDisplayPort または Thunderbolt 経由で別の Mac に接続し、その iMac をその Mac の外部ディスプレイとして使うというものだ。接続した後で、ターゲットの iMac がログイン画面にある状態で Command-F2 を押すというのが秘訣だ。実際になかなかうまく働くけれども、日常的に 21.5 インチ iMac を MacBook Air の補助的画面として使おうとすれば、結構面倒に感じるかもしれない。一般的に言って、Target Display Mode は素晴らしいハックだけれども、それに依存して使うことはお勧めしない。)

さっきも書いたように、これは普通でない状況下でのみ使える技だが、Sal が MacTech のプレゼンテーションで使った Rube Goldbergian 風のセットアップからも分かるように、そのような状況は時々起こるものだ。

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Catalina の連携スケッチ機能と連係マークアップ機能の使い方

iOS 13 と iPadOS 13 と macOS 10.15 Catalina での大きな変更に対処するために私の本 Take Control of Notes の改訂版を素早く出してしまった後で、急いでいたあまりにいくつか書き漏らしていたことがあったと私は気付いた。macOS 10.15 Catalina で Continuity (連係) 機能に追加された、あまり報道されていない 2 つのこともそうだった。もうすぐ Take Control of Notes の無料アップデートを出すつもりだが、それはそれとしてここではその 2 つの新しい Continuity 機能をどうやって利用するかについて説明しておきたい。なお、これらの機能は Notes だけに限られたものではない。

Continuity (連係) とは Apple の包括的用語であって、あなたの複数の Apple デバイス間で間髪入れず統合させたり切り替えて使ったりできるようにするための、幅広いテクノロジーの総称だ。その中には AirDrop、Apple Pay、Auto Unlock、Handoff、Instant Hotspot、それに Sidecar (2019 年 10 月 21 日の記事“Catalina の Sidecar 機能で iPad を Mac の第2モニタにする”参照) といった機能が含まれる。Catalina で、この Continuity ファミリーに新たに 2 つのものが加わった。それが Continuity Sketch (連携スケッチ) と Continuity Markup (連係マークアップ) だ。いずれも、iOS 13 の走るデバイスの上でスケッチを描いたりファイルにマークアップを入れたりすれば、そのデータが Catalina の走る Mac の上へ同期されて戻るというものだ。

連携スケッチ

macOS 10.14 Mojave で導入された Continuity Camera (連係カメラ) 機能 (2019 年 9 月 27 日の記事“Mojave の Continuity Camera で、写真を撮り、書類をスキャンする方法”参照) に馴染みのある方には想像がつくだろうが、Continuity Sketch (連携スケッチ) もこれと似た働きをする。ただ iOS デバイスを使って写真を撮ったり書類をスキャンしたりする代わりに、iOS デバイスをあなたの Mac のためのスケッチ帳として使うわけだ。

Continuity Camera に対応しているのと同じアプリが、Continuity Sketch にも対応する。例えば Finder、Mail、Messages、Notes、Pages、TextEdit などがそうだ。具体的に、Continuity Sketch 機能は次のようにして使う:

  1. メニューバーの File をクリックするか、あるいは Control-クリックする。Mail ではメッセージ作成ウィンドウの中で Control-クリックする。Messages ではメッセージフィールドの中で Control-クリックする。Finder ではデスクトップの空白の領域のどこかで Control-クリックする。
  2. Import from iPhone or iPad > Add Sketch (iPhone または iPad から読み込む > スケッチを追加) を選ぶ。複数個のデバイスが使える場合には、そのサブメニューに複数個の項目が表示される。
    Continuity Sketch in the contextual menu
  3. するとあなたの iPhone または iPad が目覚めて、スケッチ用のキャンバスを開く。そこに、オンスクリーンのツール (あとで説明する) を使ってスケッチを描画する。
    Continuity Sketch
  4. 描き終われば、Done (完了) をタップする。するとそのスケッチが Mac に送られ、さきほどあなたがこの機能を呼び出したアプリの中へ挿入される。
    Continuity Sketch in Mail

連係マークアップ

Continuity Markup (連係マークアップ) は Continuity Sketch と同じツールを提供するけれども、働き方は異なる。まず、これは Mac 上の Quick Look からしかアクセスできない。また、iOS デバイス上で Done をタップするまで何も現われない Continuity Sketch と違って、Continuity Markup では iOS デバイス上で書き込んだものが Mac の画面上にリアルタイムで現われる。Continuity Markup 機能は、次のようにして使う:

  1. Continuity Markup 機能を呼び出すには、まず画像または PDF 書類を Finder で選択してからスペースバーを押すことにより Quick Look で開く。
  2. Quick Look ツールバーの Markup ボタンをクリックする。
    The Markup button in Quick Look
  3. マークアップツールバーで、一番右にあるアイコン (iPad と Apple Pencil のように見えるアイコン) をクリックして、ポップアップメニューからデバイスを選ぶ。
    Mac markup tools
  4. するとその選ばれたデバイスが目覚めて、その書類または画像をマークアップモードで開く。そこにオンスクリーンのツールを使ってマークアップを施す。
    Continuity Markup
  5. マークアップの作業が終わったら、Done (完了) をタップして iOS デバイス上で閉じる。
  6. Mac に戻り、Quick Look の中で Done をクリックして変更を保存する。変更を保存したくない場合は Revert をクリックすればすべてが元に戻る。

マークアップのツール

さきほど述べたように、Continuity Sketch と Continuity Markup は iOS 側では同じツールのセットを共有する。これらのツールはスクリーンの一番下でパレットの中に現われるが、iPad ではそのパレットをスクリーンの四隅のどれにでもドラッグできる。そしてもちろん、あなたの iPad が対応してさえいれば、Apple Pencil を使って描くこともできる。

Markup tools

左から右へ順番に、個々のツールを説明しよう:

これらのツールについては私の本 Take Control of iOS 13 and iPadOS 13Take Control of Notes に、それから私が Adam Engst との共著で書いた Take Control of Preview にも、もっとずっと詳しく解説してある。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Default Folder X 5.4.1

Default Folder X 5.4.1

St. Clair Software が Default Folder X 5.4.1 をリリースして、macOS 10.15 Catalina の下で Default Folder X の最近使ったフォルダのリストが空の場合にそのリストにフォルダが正しく書き込まれなかった問題を修正した。この Open/Save ダイアログを拡張するユーティリティはまた、Utility メニューのフォルダに関する操作が無効になったバグを修正し、ファイルダイアログのメニューショートカットコマンドが正しく働くようにし、時折起こったクラッシュを取り除いた。今回のリリースではまた、特定の状況下で Default Folder X を Screen Recording 許可リストに加えることができなくなった Catalina の問題を回避している。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、9.6 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Default Folder X 5.4.1 の使用体験を話し合おう

BusyCal 3.7.2 and BusyContacts 1.4.2

BusyCal 3.7.2 と BusyContacts 1.4.2

BusyMac が BusyCal 3.7.2BusyContacts 1.4.2 をリリースしてさまざまの拡張、バグ修正、安定性の向上をこれらの個人情報管理アプリに盛り込んだ。BusyCal は Inbox の中に代理人のミーティング招待を表示する上級設定を追加し、アピアランスのオプション "Group entries by Calendar" を新設の "before sorting by time" オプションと組み合わせられるようにし、Exchange アカウント上のイベントに施された変更に対するコンフリクト解消を改善し、Todo を Control-クリックするとそれが編集モードになってしまっていた問題を解消し、また電子メールにミーティングを .ics ファイルとして添付できなくなった macOS 10.15 Catalina の問題を回避している。

BusyContacts は今回から並べ替えリストでカラムの見出しを 3 回クリックするとそのカラムが削除されるようになり、ズームインした写真のサイズを再起動後に復元するようになり、新規に作成した Google 連絡先で同期後に時々選択が失われることがあったバグを修正し、Birthday および Anniversary の各フィールドに日付をペーストした際の日付フォーマット認識を改良している。(BusyCal は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、27.7 MB、リリースノート、macOS 10.11+。BusyContacts は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、12.9 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

BusyCal 3.7.2 と BusyContacts 1.4.2 の使用体験を話し合おう

Firefox 70.0

Firefox 70.0

Mozilla が Firefox 70 をリリースして、このウェブブラウザの Enhanced Tracking Protection (ETP、強化型トラッキング防止) 機能にソーシャルメディアトラッキング保護と Privacy Protections レポート機能を加えて強化した。2019 年 6 月に Mozilla が導入した ETP 機能は、既知のサードパーティのトラッキング・クッキーと暗号通貨マイニングをブロックし、デフォルトでは Standard 設定でオンになっている。(Strict 設定にすれば、それに加えてフィンガープリント採取もブロックされる。あなたのコンピュータ構成のスナップショットを取り込まれる恐れがあるからだ。)

Firefox 70 はユーザーを Facebook、Twitter、LinkedIn のソーシャルメディアトラッカーから保護する。そのいずれも、広告のターゲット機能強化のためにあなたのブラウズ履歴のデータを収集するからだ。ただし、あなたがそれらのソーシャルメディアサイトを訪問すれば依然としてあなたのデータが収集されることは覚えておこう。新設された Privacy Protections レポートはブロックされた数多くのクロスサイトトラッキングおよびソーシャルメディアトラッカーを表示する。アドレスバーの盾アイコンをクリックすればレポートが表示される。

Firefox 70 Privacy Protection report

また、Mozilla は Firefox の Lockwise パスワードマネージャも改善して、パスワード生成ツールを拡張するとともに、侵害されたアカウントの情報を更新した。(これらの新機能や改善された機能についての詳細は Mozilla ブログ記事を参照のこと。)

プライバシー保護の改善に加えて、Firefox はアプリのアイコンのデザインを作り直し、内蔵の Firefox ページがあなたのシステム Dark モードの設定に従うようにし、Chrome からパスワードを読み込めるようにし、リンクなどの下線付きおよび上線付きテキストの読みやすさを改善している。(無料、69.1 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Firefox 70.0 の使用体験を話し合おう

Transmit 5.6.1

Transmit 5.6.1

Panic が Transmit 5.6.1 をリリースして、Amazon からの要求に応じて Amazon Drive への対応を削除した。このことは Transmit が引き続き Amazon AWS S3 にフル対応していることには一切関係しない。このファイル転送アプリはまた、現在開いているフォルダのパスを手軽にクリップボードに取り込めるようにし、ルール記述ポップアップが正しく表示されるようにし、known_hosts に非常に大きな鍵を書き込めなかった問題を解消し、リモート Quick Look が macOS 10.15 Catalina でも正しく働くようにし、フィルター付き検索結果からファイルを削除すると起こったハングを解消し、places バーにリモートフォルダを追加してからその子項目の一つをコピーするとフォルダ全体が転送されてしまった問題を解決している。(新規購入 $45、無料アップデート、63.3 MB、 リリースノート、macOS 10.11+)

Transmit 5.6.1 の使用体験を話し合おう

Bookends 13.2.7

Bookends 13.2.7

Sonny Software が Bookends 13.2.7 をリリースして、この文献参照管理ツールを macOS 10.15 Catalina の下で走らせた場合の書類を開いたりスキャンしたりする際の問題点を修正した。今回のアップデートでは PDF をデフォルトでないアプリで開く機能が正しく働くようにし、開いた Pages 書類のスキャンが Bookends に Full Disk Access が与えられていなくても働くようにし、添付の際にある種の PDF で DOI を検索してもクラッシュしないようにしている。Bookends 13.2.7 は拡張子 .tex の付いたファイルで BibTeX スキャンを実行できるようになり、Make Quoted PDF Highlight From Selection コマンドのキーボードショートカットを Control-Shift-Command-Q に変更し、Copy Formatted を実行する際に末尾の return を削除するようにし、ウェブページで無効な DOI を識別する機能を改良し、ファイルの自動改名で拡張子が繰り返されるバグを修正し、またもはやマウントされていないサーバにアクセスしようとして長い遅延を起こしていた問題を解消している。(新規購入 $59.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、51.2 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Bookends 13.2.7 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

銃撃を恐れ、学校が子供たちを監視する

2018 年 2 月にフロリダ州 Parkland の高校で起こった銃撃事件を受けて、学校における監視が一大ビジネスとなった。さまざまの方法で生徒たちを電子的に監視するために、全国の学区が合計で毎年 8 百万ドル以上を費やしている。The Guardian の記事で、Lois Beckett が今やこれらのシステムがどこまで広がるに至ったかを伝える。学校が生徒に提供したラップトップ機や、学校が管理する生徒間コミュニケーションシステムに、生徒たちがタイプするすべてのものを監視することができる。もしも生徒の誰かが何か懸念すべきことを言ったり検索したりすれば、数分以内に学校の管理者がそれに反応できるし、実際反応してきた。生徒を教室から出したり、夜中に生徒の自宅へ警察官を行かせたりということもある。

この記事は悪い状態、とりわけ自殺や他の生徒への危険に繋がる可能性のある状況がこれらの監視システムのお陰で回避された事例を主として述べているけれども、それと同時にこの記事は現在いる生徒たちのプライバシーや、将来全般に関するいくつかの深刻な疑問をも提起する。学校監視会社の一つである Gaggle の代表者は、自社の監視システムが生徒たちに将来の労働要員となるための準備をさせるものであって、将来の彼らは労働環境の下で厳しく監視されるようになるだろうと述べている。

今や学校は難しい状況下にある。連邦法は学校が生徒のオンライン活動を「監視」しなければならないと定めるが、その「監視」が実際に何を意味するかが明確に定められたことは一度もない。学校が生徒たちのために安全な環境を提供しなければならないのは言うまでもないが、それがどの程度まで踏み込んだものであるべきかは依然として議論を要する問題だ。

Gaggle marketing

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