iOS 13.2 の最大の看板機能は iPhone 11 に約束されていた Deep Fusion だ。これは異なる露光で撮影した複数の画像を機械学習を使って一つの画像に仕上げ、より高い画質とノイズの低減を実現しようというものだ。(2019 年 9 月 10 日の記事“Apple、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max を発表”参照。) それらの新しい iPhone モデルを使っている人は、Camera アプリの中からビデオの解像度を直接変更できるようになった。
また、iOS 13.2 と iPadOS 13.2 のいずれも、実装が遅れていた HomeKit 機能のいくつかが追加された。具体的には、HomeKit Secure Video で防犯カメラが撮影した映像を iCloud にセキュアに保存できるようになり、HomeKit 対応ルーターを利用して HomeKit アクセサリをネットワークの他の部分から隔離できるようになった。今年 Apple が初めてこの機能を発表した際に Apple は Eero、Linksys、Spectrum という具体的なルーターメーカーの名前を挙げていたが (2019 年 6 月 3 日の記事“Apple、iOS 13 を発表、そして iPadOS を分離”参照)、今回 Apple のリリースノートはそれらの会社名には触れていない。これからも状況を見守ろう!
さて、Siri のプライバシーの関係では、今回双方のアップデートに新しい設定項目が追加され、あなたの Siri クエリーと音声入力の録音音声を Apple が保存することを許可するか否かを選択できるようになり、また Siri および音声入力の履歴データを Apple のサーバから削除するオプションも提供された。この変更は Apple が品質管理のために請負業者を使って Siri 録音を聞かせていたことを巡る議論に応じて出されたものだ。(2019 年 8 月 29 日の記事“Apple, Siri プライバシー改革を発表”参照。)
ようやく、Apple は HomePod 用 iOS 13.2 もリリースした。あなたの HomePod も近いうちに自らアップデートするはずだが、そうでない場合のために Apple は手動でアップデートをインストールする方法の説明書も出している。それはそれとして、9to5Mac の記事によれば iOS 13.2 によって「文鎮化」してしまった HomePods があるとのことなので、まだ自動的にアップデートされていない場合は急いでアップデートしないようにしよう。(Adam Engst の HomePods は既にアップデートをダウンロード済みだが、彼はこの文鎮化の問題がはっきりするまでの間は Update All をタップしないと心に決めている。) [訳者注: HomePod 用の iOS 13.2 アップデートは現在 Apple が公開を停止しており、Apple は既にアップデートした人に対して HomePod をリセットしたり Home アプリから削除したりしないようにと呼びかけています。]
iOS 13.2 では HomePod を使っている多くの家族が待ち望んでいた機能が届けられる。つまり、家族の中の一人一人の声を聞き分ける機能だ。これまでは、一台の HomePod にはたった一つの Apple ID しか割り当てることができず、つまりは HomePod で Siri を使ってリマインダーをセットしたり、カレンダーのイベントを作成したり、その他 Enable Personal Requests スイッチに依存する機能を使うのはたった一人の人にしかできなかった。少なくとも理論的には、今回の新機能によって家族一人一人がそれぞれ別々の Apple Music 提案を受けられるようになるはずだ。
AirPods はここ数年では Apple の最大の人気商品の一つとなっていたので、Apple が第二世代 AirPods を出した時には格別の驚きはなかった ("第二世代 AirPods、"Hey Siri" とオプションでのワイヤレス充電を提供" 20 March 2019)。もっと驚きだったのは、今日の AirPods Pro のリリースである。これは Apple のワイヤレスイヤフォンに対する批判の幾つかに対応する機能を盛りこんで作られている。新しい能力には値上げが伴っており $249 となっている。これには Wireless Charging Case が含まれる。AirPods Pro はリリースされたばかりの iOS 13.2, iPadOS 13.2, そして今後予定されている watchOS 6.1, tvOS 13.2, そして macOS Catalina 10.15.1 を必要とする。
(警告 - AirPods Pro 製品ページ上のスクロールジャッキング [訳者注:Web 業界の言い回しで、ユーザーによるページを単に上下する動きを利用して、それ以外の効果を意図して埋めこむ] は、遅く、不器用で、そして煩わしい;もしスクロールするのに1日費やしても構わないと言うのでない限り、Apple のプレスリリースの記事を読んだ方が良い。)
最も目につくのは、Apple が AirPods Pro を心地よさと装着感の改善を意図して再設計したことである。初代の AirPods は有線の EarPods には不快感を感じた多くの人から称賛されたが、AirPods の装着に困難を感じている人もまだ沢山いる。AirPods Pro イヤフォンには3つのサイズのソフトで、柔軟な、シリコーン製のイヤーチップが付いてくる。Apple は、このイヤーチップには圧力を均一にし不快感を減ずる通気システムを使っていると言っている。外耳道を閉鎖することで、イヤーチップは外部雑音をより多く遮断する。
AirPods Pro はまた、Ear Tip Fit Test も提供している。これは恐らく iOS 13.2 か iPadOS 13.2 からアクセスするもので、何らかの方法で閉鎖度の質を試験し、あなたに最適のイヤーチップを見つけてくれる。この試験のアルゴリズムは、それぞれの耳での音のレベルを測り、それをスピーカードライバーから出ているものと比較し、そして別のイヤーチップが必要なのか、或いは閉鎖度を調整すべきかを提示してくる。
イヤーチップはある程度の受動的な雑音消去を提供するであろうが、本当の所は新しい Active Noise Cancellation モードから来る。それは一対のマイクと - 一つは外部に向いて外の環境をサンプルし、もう一つは内側を向いている - 背景雑音を消去するために1秒間に 200 回の割合で音信号を当て嵌める先進的なアルゴリズムとを使う。しょっちゅう飛行機を利用する人にとっては、この能動的な雑音消去だけでも AirPods Pro は投資に見合うと言えるかもしれない。ひょっとすると、出張の多いビジネスマンがこの "Pro" の名前を支える聴衆なのかもしれない。
これを可能にするため、Apple は Transparency モードを作り出した。これは、雑音消去レベルを調整して、自分自身の声が自然に聞こえるようにするものである。きっと、これは周りの大事な音を聞こえる様にするための代わりなのであろう。Active Noise Cancellation と Transparency モード間の切り替えには、AirPods の軸上にある新しい "力センサー" を使う - これは Apple の感圧ボタンに対する新しい用語なのであろうか? 代わりに、Apple Watch 上の Control Center 又は AirPlay アイコンの音量スライダーはどちらもモードを調整させてくれる。AirPods Pro 力センサーはまた、再生、一時停止、或いはトラックをスキップする、そして電話に出る、或いは切るの操作もさせてくれる - それ以上のことには、Siri を使える。
Active Noise Cancellation モードは電池をより多く消費し、標準で 5 時間の聴取時間は 4.5 時間に下がる。しかし、AirPods Pro は話し時間を 3.5 時間に伸ばしており、以前の第二世代 AirPods の話し時間よりも 30 分多くなっている。これ迄の AirPods モデルと同様、Wireless Charging Case は更なる充電容量を提供し、最大 24 時間の聴取時間か、又は 18 時間の話し時間が得られる。
Apple は AirPods Pro の没入感のある音質の多くを、沢山の息を飲む形容詞を使って表現している。AirPods Pro は、恐らく AirPods よりもよく聞こえると思われるが、その様な装飾過剰な表現が本当かどうかは、時間が経ってオーディオマニアからの評価が出る迄待たなければならない:
Apple はソフトウェアアップデートで使うインストーラにデジタルな署名を入れることで、それが改ざんされていないことを保証する。それは理に適っているが、気を付けなければならない点が一つだけある。それらのインストーラに署名するために Apple が使っている証明書には有効期限があるという事実だ。Rich Trouton が Der Flounder ブログの中で、それらの証明書が期限切れになれば何が起こるのかを説明している。Apple が、それぞれのインストーラに新しい証明書を付けて発行し直すのだ。そして、今回それがまた起こった。Apple が最近出したインストーラのうちの、全部ではないにしても多くのものが 2019 年 10 月 24 日を有効期限としていて、先週その日が来た。
大多数の Mac ユーザーにとって、この騒動は大体において無関係だ。もしもあなたが古いバージョンの macOS のインストーラを必要としたならば、その時点でそれをダウンロードすることで、ちゃんと動作するものが手に入るからだ。でも、このことで大きな影響を受けるのが、Apple コンサルタントや IT 管理者の人たちだ。彼らは、顧客の Mac を必要とされるどのバージョンの macOS でも再構築できるようにと、一連の macOS インストーラを取り揃えて含んだトラブルシューティング用ツールキットを構築して持っているからだ。
Finder からは、それらのインストーラが認証できず、ダウンロード中に破損した、または改ざんされた可能性があるというメッセージが出るかもしれない。
Apple は、それより前のバージョンはダウンロードで入手できないと言っている。そして私の知る限り、それは事実のようだ。過去の例を見れば、そういうものは App Store アプリの中の、購入済みアイテムのリストに現われていたけれども、現在私が自分のものを確認したところ上記以外のオペレーティングシステムで私のリストにあるのは開発者用ベータ版の Sierra と GM 候補版の El Capitan だけであった。(両者とも動作するかどうか怪しいものだと思う。)
Terminal の話のついでに書き添えれば、Armin Briegel が Scripting OS X ブログの中で、Catalina では softwareupdate コマンドに新しいオプションが追加されて、特定のバージョンの macOS のフル・インストーラをダウンロードできるようになったと紹介している。見たところ、ダウンロード可能な対象バージョンは 10.14 Mojave と 10.13 High Sierra に属するものに限られていて、それより古いものは対象外のようだ。