iPhone XR、XS、または XS Max 用の Smart Battery Case でうまく充電できなくなったという人はおられないだろうか? Apple が新しい交換プログラムで、問題あるケースを無料で交換してくれるかもしれない。時間をちょっと巻き戻してクラシックな Mac OS のことを思い出してみると、当時はアプリのウィンドウを一つクリックすれば、そのアプリの他のウィンドウもすべて前面に出て来た。今日の macOS でもこれと同じウィンドウ管理挙動があればいいのにと思う人のために、新しい Front and Center ユーティリティの簡単なレビューをお届けしよう。でもちょっと待って、その当時のマシンは Mac でしたか、それとも Macintosh でしたか? Adam Engst が、消滅しつつある "Macintosh" という用語について検討し、未だに Apple がその単語を使っている稀な事例について紹介する。それからもう一つ、わが放浪の特派員 Jeff Porten が、ラスベガスで開催された CES 2020 で突出していた最新のテクノロジーのトレンドをお伝えする。今週注目すべき Mac アプリのリリースは BusyCal 3.8、Typinator 8.3、Firefox 72.0.1、それに BusyContacts 1.4.3 だ。
昨年 Apple の Smart Battery Cases をお買いになりましたか? Apple は、iPhone XS, iPhone XS Max, そして iPhone XR 用の一部の Smart Battery Case を交換すると発表した。問題は、ケース自身が充電されない、或いは iPhone がケースから充電されない可能性があることである。Apple は問題となるケースを January 2019 から October 2019 の間に製造した。同社はこれらの充電問題が安全問題に発展することはないと言っている - 影響のあるケースはただ単に正当に働かないだけである。
もしこれらの問題を持つケースを持っている場合、Apple はそれを無償で Apple Store か Apple Authorized Service Provider (最初に予約を取ること) 経由で交換する。Apple はケースが影響を受けるかどうか知るためのシリアル番号の範囲やその他の方法を提供していない;自分のケースが今は問題ないが将来も対象となるかについては Apple Support に連絡されたし - このプログラムはそのユニットの最初の小売販売日から2年間有効である。
古典的なバージョンの Mac OS では、一つのアプリケーションウィンドウをクリックすると、そのクリックでそのアプリケーションのウィンドウ全てが前面に呼び出された。Apple はその挙動を Mac OS X で放棄し、アプリの一つのウィンドウをクリックするとそのウィンドウだけを前面に持ってくるようにした。もしアプリの全てのウィンドウが前面に来るようにしたければ、そのアプリの Dock アイコンをクリックしなければならない。DragThing の様なユーティリティは、この古い振る舞いを復元出来たが、macOS 10.15 Catalina の到来と Apple の 32-bit アプリに対するサポートの終了で、これら全てが殺されてしまった。
Front and Center の Classic モードでは、これがデフォルトである、アプリの一つのウィンドウをクリックすれば、全てのそのアプリのウィンドウが前面に来る。このユーティリティはまた Modern モードも提供し、それはデフォルトの macOS の振る舞いを提供する。しかし、もしウィンドウをクリックする際に Shift キーを押し続ければ Classic 挙動が起動される。Front and Center にはオプションで Dock 上とメニューバー上のアイコンがあるが、これらはデフォルトではオンとなっている。
それだけである! Front and Center は極めて単純であり、それが望みのウィンドウ管理挙動を提供するのであれば、$2.99 の値段には十分に値する。
簡単なクイズを - 考えることなくパッと答えて欲しい:あなたは Macintosh ユーザーですか?
私が知りたいと思っているのは、皆さんがどのコンピュータを使っているかではなく、"Macintosh" という言葉に対する皆さんの反応である。目をパチクリしなかったとすれば、あなたはきっと Mac を 20 年以上も使って来たであろうが、それが変に聞こえたり、或いは全く馴染みがなかったりすれば、あなたの Mac 経験はそれよりも短いであろう。然もなくば、あなたはブランド名の変更によく対応したのであろう。
長い間 Macintosh は Apple の旗艦製品で、1984 年の初代 Macintosh から始まり 1999 年の Power Macintosh G3 (Blue and White) まで続いた。MacTracker を探索して言えることは、この Power Macintosh G3 が Apple の最後の Macintosh だと言うことである - これ以降、iMac, iBook, そして Power Mac G4 と続いた。(Apple が何時 "Macintosh PowerBook G3" を縮めてただの "PowerBook G3" としたのかは定かでない。) 2000 年あたりに Apple はそのコンピュータを総称的に "Macs" と呼び始めた。
数週間前、私は Apple が "Macintosh" と言う言葉をその企業通信からほぼ完全に消し去ってしまったのではないかという考えに取り憑かれた。勿論、それは驚くべき話ではないが、同社がどこかで見過ごしているものもあるのではないかと興味を抱いた。そこで、私は Apple サイトだけに焦点を当てた複雑な Google 検索を組んでみた。これで discussions.apple.com の様なサードパーティコンテンツをホストするものは排除出来る。それはまた、古い製品の技術仕様を指し示すページ、廃版となった製品を並べたページ、そして何らかの理由で apple.com URL が存在する HyperCard 上の Wikipedia ページに対する疑似リンクも排除する。
その検索の結果は、今日の Apple による "Macintosh" と言う言葉の使用が一つ残っていることについての私の最初の思いつきが正しかったことを証明した:新しい Mac 上の内部ドライブのデフォルトの "Macintosh HD" という名前である。
Finder > About Finder と行くと、"The Macintosh Desktop Experience"と言う表現を含むダイアログに行き着く。
iMac 用の箱の裏に、そして他のモデルでも恐らくそうだと思われるが、Apple は仕様や細かい説明の下に少々奇妙な具合に "Macintosh Think different" という言葉を入れている。それは Think Different 広告キャンペーンに対する同意ではあるが、私は Apple がそれを言葉にしているのを見て驚いた。
全ての Apple プレスリリースには、"Apple は 1984 年に Macintosh を登場させ、パーソナルテクノロジーに革命を起こしました" で始まる会社の説明文が含まれている。歴史的記述としてはこの表現は極めて妥当だと思われるが、目を引くものであることには変わりない。
あなたのドライブは Macintosh HD と名付けられていますか?
多くの Mac ユーザーはその名前を直ちに個人化するが、あまり経験豊かでない Mac ユーザーの中にはそれが変更出来ることを認識していない人もいる。(もしやったことがなければ、その名前を選択するために一度クリックし、次にもう一度クリックすると、それはファイルやフォルダの様に編集可能となる。)
勿論、二股のシステムアプローチをとる macOS 10.15 Catalina では、実際には二つのボリュームが存在する:Macintosh HD と Macintosh HD - Data で、後者が皆さんのファイルを保存する場所である。奇妙なことに、我々の友人 Jeff Carlson は、新しい Mac 上でその内部ドライブの名前を Finder で変更しても、Disk Utility ではそのドライブの APFS データ部分は変わらずに Macintosh HD - Data と呼ばれると報告している。彼は Disk Utility 内で問題なくその名前を同じものに変更出来たし (繰り返すと、名前をクリックし新しい名前をタイプする)、それに関わる問題もその後経験していない。
最初のセッションは、CES を運営する Consumer Technology Association による Trends to Watch プレゼンテーションで、これはたいていいつも興味深い。講演者は CTA の VP of Research の Steve Koenig と、Director of Research の Lesley Rohrbaugh だ。(彼らの肩書を見ると、互いに腕相撲でもして何を研究 (research) するかを誰が決めるか競い合っている気がしてならない。)
この Trends 講演が興味深いのはただ単にどんなデータが披露されるかだけでなく、ユニコーンに跨って虹の架け橋を渡る8歳児を上回る楽天主義を講演のどの部分がほとばしらせているかが窺い知れるからだ。CES の主催者たちや出展者たちが全然理解できていないように思えるのは、真の意味で革命的な製品には刺激的な広告など不要だという事実だ。つまり、CES の会場で刺激的な広告を見掛けたなら、それは誰かが何かを覆い隠そうとしている兆候だ。私はこの講演を聴きながら示された情報を楽しく受け取ったのだが、過去 30 年間にわたって何度か CES に来た後で自分が何に対して懐疑的な気持ちを持つに至ったかを、はっきりと見せられたような気もした。
それは常にバンド幅の話だ
今年の講演タイトルは "Into the Data Age" (データの時代へ) であった。まるで、私たちが常に何か新しい時代へと突入し始めているかのようだ。その好例として、Koenig は講演の初めにこの十年間は Internet of Things (略して "IoT"、モノのインターネット) の時代であったが今や "IoT" は Intelligence of Things (モノの知能) つまり単にインターネットに接続されたデバイスでなくて人工知能も埋め込んでいるデバイスの時代だと述べた。でも、考えてみればそのような主張は大幅に時期尚早だ。私たちがこれまで聞かされ続けてきた IoT は、私たちが着るものすべて、冷蔵庫の中の食べ物すべて、いたる所にスマートチップが埋め込まれ、それらが互いに話をする、そんな世界だと言われていたのだから。それはまた、新しい 5G セルラーの大きなセールスポイントともなるはずであった。5G ならば、基地局からの電波が届く範囲内にある何万個何十万個もの小型デバイスを処理できるように作られているのだから。でも、そもそもの出発点の段階で Internet of Things が約束していた事柄でさえ、まだまだこれから何年も経たなければ実現しない。なのに、Koenig がそれを褒めそやすのでなく葬り去るような口ぶりをするのは、あるいは少なくとも、共通の略語を持つ別の用語で置き換えようとするのは、とても奇妙に聞こえた。でも、これまで単なる頭の悪いセンサーとしてしか計画されていなかった IoT デバイスの多くが今ではスマートチップを埋め込むようになってきているのも、また事実だ。
AI はまた、今回の講演者たちが一足飛びに現実の体験を飛び越えてしまった分野でもあった。彼らは過去十年間が接続性を巡る時期で、これからの十年間に AI が中心に躍り出ると語った。でも私は、これからはもっと接続性に焦点が当てられて欲しいものだと思いつつ、自分の部屋の中でインターネット接続の速度テストをしてみようとメモ書きした。ホテルの部屋に戻ると、テストをすることができなかった。なぜなら、世界最高レベルのテクノロジーカンファレンスの会場となっている数十億ドル規模のこのホテルに、オープンな Wi-Fi もなかったし、私が持っていたホットスポットは一切バンド幅を得られず、つまり私はオフラインだったからだ。
9to5Mac の Benjamin Mayo が、Apple の十年間 (2010 年の初めから 2019 年末まで) の歴史を文章にしてそれを1つのページにまとめ上げるという英雄的な奮闘を成し遂げた。彼の語りは 2010 年の iPad 導入から始まり、Flash をめぐる Apple の Adobe との闘い、それから Antennagate 問題と続き、最後は Apple のサービス部門への転換、iPhone 11 のリリース、そして 16 インチ MacBook Pro と 2019 年型 Mac Pro の投入で結んでいる。
それは Apple にとって忙しい十年間であった。創設者であり CEO であった Steve Jobs の死を見届け、iPad、MacBook Air、Apple Watch、Apple Pencil、そして HomePod を登場させた。この期間を経て、Apple はただ世界最大の会社であるというだけでなく、初めて 1 兆ドルの時価総額に到達した会社ともなった。
今年の CES では消費者のプライバシーが大きな話題となったが、Apple が数年ぶりにこのショウに参加したこともそれに寄与するところがあったのだろう。Apple の Senior Director of Global Privacy である Jane Horvath がプライバシーについてのパネルディスカッションに参加していた。Tim Cook も CEO としての仕事の多くの部分をプライバシーへの強い姿勢に向けている。しかし、Washington Post の Geoffrey Fowler はその場にいて、直接 Apple に向かってもっと良くせよと要求した。
去年、Apple は CES 会場の外に巨大な広告板を設置して "What happens on your iPhone stays on your iPhone." (あなたの iPhone で起こることはあなたの iPhone の中のみに留まります) と訴えた。Fowler は Horvath に対して、その主張を実現するために Apple はどんなことをしているのかと問い掛けた。それに対する Horvath の回答は「業務プロセスも含めて、私たちは止むことなく革新を続けています」という、曖昧で、満足できないものであった。
思い出して頂きたいが、Fowler は Washington Post の記事で、自らの iPhone が一週間に 5400 のトラッカーに対して情報を送信していると暴露した調査記事を書いている。(2019 年 6 月 1 日の記事“iOS アプリのトラッカーがあなたを追跡中”参照。) そしてもちろん、New York Times が位置情報のプライバシーに関する懸念を記事にしてきた。(2019 年 12 月 19 日の記事“New York Times、我々の全ての動きがどれ程完全に追跡されるかを暴露”参照。)
Fowler は、Apple が自らのサービスについては情報を暗号化することに注意深くしている一方で、サードパーティのアプリを取り締まることについてはほとんど何もしていないと指摘する。Apple は App Store を通して配布されるアプリについては個々に認可の手続きをしているのだから、そういうものについては間違いなくもっと踏み込んだことができるはずだ。とりわけ、すべてのリソースが Apple の思いのままになるのだから。
もちろん、Fowler は Apple に対して的を射た批判を展開する一方で、他の会社はもっと大きな過ちをしているとも指摘する。彼は次のように述べた:
Facebook のプライバシー責任者 Erin Egan も CES のパネルディスカッションに参加しており、「Facebook 上では、今では人々のプライバシーが保護されています」と澄ました顔で言い放った。