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#1506: 新型の MacBook Air と iPad Pro と Mac mini、ハリウッドの COVID-19 への対応、Apple TV スクリーンセーバを Mac でも

SARS-CoV 2 ウイルスに対処しようとして世界の多くの部分が停止に追い込まれてしまったが、Apple はコツコツと努力を続けている。先週、Apple は新しいシザースイッチ Magic Keyboard を搭載して価格を下げた MacBook Air と、トラックパッド付きで近日登場予定の Magic Keyboard と組み合わせて使える新型 iPad Pro、それに標準ストレージ容量を従来の倍にした Mac mini を登場させた。感染症の流行により映画館が閉館するに伴い、ハリウッドは各家庭に向けて直接映画をリリースする計画を加速させている。それからもう一つ、外の世界がどんなだったかを思い出したい人たちのために、Josh Centers が Aerial をレビューする。これは Apple TV にたっぷりあるスクリーンセーバを Mac でも使えるようにするものだ。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Agenda 9.3、Luminar 4.2、TextExpander 6.5.4、それに Alfred 4.0.9 だ。

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

新型 MacBook Air、Magic Keyboard を搭載し、値下げ

Apple に焦点を当てる報道者の一人として、私は Apple の製品リリースの多くからある程度の心理的距離を保たねばならない。誰かが私に Mac Pro をプレゼントしてくれたら、私はそれが好きになるであろうか? 勿論そうだと思うが、あの様な隙間商品のマシンにそれ程の大枚を払う気はサラサラない。しかしながら、時折 Apple は、私が必要とするものそのものをリリースするが、MacBook Air に対する最新のアップデートはまさにそれである。(Apple よ、もしお前が 27-inch iMac に対する大幅なアップデート、懐に優しい 5K か 6K Retina ディスプレイ、そして SE フォームファクターの iPhone を実現してくれたら、今すぐにでも私の Apple Card 番号を与えるのだが。)

外観の更新は期待しない方が良い - この新しい MacBook Air は、置き換え製品となる 2019 年モデルと殆ど同じである。この新モデルの一番の特長は Apple のシザー機構 Magic Keyboard だが、同社はまた最大2倍となる性能、より豊富なストレージ選択肢、そして 6K 迄の外部ディスプレイに対するサポートを約束している。そして、値段は $999 から始まり、従前のモデルよりも $200 安くなっている。では、仕様を見てみよう

やったー、Butterfly Keyboard は死んだ

前記した様に、新型 MacBook Air は Apple の新しい Magic Keyboard を採用している。これは、長年 Mac ラップトップに時代遅れのそして時と共に悪臭の増す 厄介ものとして付き纏ってきた批判の多かったバタフライキーボードを置き換えている。このシザースイッチ Magic Keyboard が最初に採用された昨年の 16-inch MacBook Pro のユーザーからの報告はほぼ一様に肯定的であった。私はキーボードにとても気を遣うし、そして Tonya の 13-inch MacBook Pro 上のバタフライキーボードを 2016 年以来使ってみて (そして、嫌いになって)、私は Apple がそれを置き換える迄どんな種類であろうと新しい MacBook を買わないと決めてきた。

16-inch MacBook Pro の場合と同様、MacBook Air の Magic Keyboard もタイピング感を良くするためキーの運びは 1 mm を確保し、そして矢印キーは逆 T 字の配列になっているので、見ることなしに使うことが出来る。上部には 12 のファンクションキーが並び、独立の Touch ID センサーと対をなしている。その通り、Touch Bar はない。これは私にとっては理想的である。何故ならば、私は見ること無しのアプリ間の切り替えにこのファンクションキーに深く依存しているからであり (Keyboard Maestro を使って)、そして Touch ID センサーはパスワードをタイプしなければならない数を減少させてくれるであろう。T2 セキュリティチップは標準である。

MacBook Air with Magic Keyboard

キーボードを除けば、新型 MacBook Air は従前のモデルと物理的にはほぼ同一である。13.3 Retina ディスプレイは同じ 2560-by-1600 のネイティブ解像度を提供し、更に画像をより自然に見せるための色と彩度を調整する True Tone 技術を得ている。Force Touch トラックパッドは同じ大きさで、そして一対の Thunderbolt 3 ポートと 3.5 mm ヘッドフォンジャックも同じである。ステレオスピーカーも残っているが、今や Apple はそれを "ワイドステレオ音" と呼んでおり、それが何であるかはともかく、そして Dolby Atmos 再生にも対応する。3つのマイクもまた標準であるが、FaceTime を使う時音声をよりよく捉えるため指向性ビーム形成が提供されていると Apple は言っている。FaceTime HD カメラは陳腐な 720p のままである。

ケースについて言えば、新型 MacBook Air は同じ幅 11.97 inches (30.41 cm) そして奥行き 8.36 inches (21.24 cm) であるが、くさび状の前面は厚さが 0.02 inches (0.5 mm) 厚くなっている。それはまた1オンス (どの仕様を信ずるかによるが、23-40 grams) 重くなっている。

ケース内部の変更により、Apple は MacBook Air の電池を小さくせざるを得なくなり、50.3 watt-hours から 49.9 watt-hours へと変更した。数字の上では大した違いではない様に見えるかもしれないが、Apple はその動作時間を "ワイヤレスウェブ" に対しては 12 から 11 時間に、そして "映画再生" に対しては 13 から 12 時間に短縮した。私はこの動作時間の推測そのものを全く作り事だと思っているが、たとえ作り事の推測でも下がるのは少々悲しい。

より高速の CPU、より多くのストレージ

その発表で、Apple は新型 MacBook Air は従前モデルよりも最大2倍速くなっていると言っている。その速度は 10th-generation Intel CPU のお陰であり、MacBook Air は quad-core プロセッサを初めて手にすることが出来た。基本の選択肢は 1.1 GHz dual-core Intel Core i3 であり、これはかなり遅いと思われるが、1.1 GHz quad-core Intel Core i5 にたったの $100 で、そして 1.2 GHz quad-core Intel Core i7 に $250 でアップグレード出来る。

Apple は MacBook Air を Intel UHD Graphics 617 から Intel Iris Plus Graphics へと変えたが、同社はこれでグラフィックス性能が最大 80% 速くなったと言っている。 8 GB の RAM が標準だが、16 GB に $200 でアップグレード出来る。最後に、Apple は基本のストレージ容量を、従前の貧弱な 128 GB から 256 GB に倍増させた。これは良いことであり、更に 512 GB ($200), 1 TB ($400), 或は 2 TB ($800) の選択も出来る。

勿論、金額が最優先なら、8 GB の RAM、そして基本の 256 GB のストレージでも使えなくはない。しかしながら、皆さんが私の様に MacBook Air を移動用マシンとして出来る限り長く使いたいと思われるのであれば、私は CPU と RAM の選択肢を最大限とし、ストレージは十分なものを買うことをお勧めしたい。この戦略は、私が 2012 MacBook Air を買った時にも良い結果をもたらしてくれ、このマシンはほぼ8年間使った後でも容認できる状態で機能している。

Apple は他にも数点の仕様改善を行っている。Intel Iris Plus Graphics プロセッサは今や、1台の 6K (6016-by-3384) 又は 5K (5120-by-2880) 外部ディスプレイ、或は1対の 4K (4096-by-2304) 外部ディスプレイを、全て 60 Hz、数百万色でサポートする。私の知る限り、これが基本的に意味するのは、MacBook Air は今や Apple の 6K Pro Display XDRLG UltraFine 5K Display を駆動出来るということである - 私は、この領域に属するこれら以外のディスプレイは知らない。

最後に、802.11ac Wi-Fi は標準のままだが、Bluetooth 5.0 が従前モデルの Bluetooth 4.2 を置き換えている。

値段と納期

より高速な CPU、増量されたストレージ、そして改良されたキーボードにもかかわらず、Apple は MacBook Air の価格を $200 値下げした。従って、入門レベルの構成は $999、或は教育割引を適用すれば $899 から始まる。

何故値下げ? 私の推測では、Apple は MacBook Air を低価格帯 MacBook Pro から差別化する必要があったということである - これ迄、それらはちょっとオーバーラップし過ぎていた。噂によれば、Apple は 13-inch MacBook Pro の代わりに14-inch MacBook Pro を間もなくリリースするのではと言う - この値下げで二つのモデルの境がよりはっきりするという可能性はある。

また、Apple が安価な iPad の成功、とりわけ教育市場での、を見て、Mac 製品群に対して MacBook Air で先例に倣うことにした可能性はある。Apple は利益率の高い会社ではあるが、個々の製品群に対して安価な入り口を設けるのは賢いビジネスのやり方である。とりわけ、かつては Apple に "最も人気のある Mac" と言わしめたモデルに対しては。

新型 MacBook Air には、シルバー、スペースグレイ、或はゴールドがあり、オンライン Apple Store は現在納期は2、3週間先と言っている。これには macOS 10.15 Catalina が付属しており、それより前のバージョンの macOS はまず間違いなく走らせられないであろう。

もし皆さんが、私の様に、MacBook Air に対するこのアップデートを待っていたのであれば、今すぐ注文しない唯一の理由は、あの噂の 14-inch MacBook Pro であろう。もし Apple が 14-inch モデルに新しいキーボード、ファンクションキー、そして Touch Bar ではなく Touch ID を搭載し、そして遥かに優れた性能を余り値上げせずに出すとしたら、私も本気で検討するであろう。でも、Apple が MacBook Pro を Touch Bar 無しの構成で提供する可能性は単なる夢に過ぎないかも? 恐らく。

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

世界が覆る: Apple の新型 iPad Pro がトラックパッドに対応

はたして現実が、極地の氷と共に解けつつあるのだろうか? 私にはまさにそんなような気がする。まるで、コロナウイルスに関係した社会的距離戦略だけでは奇妙さが足りないとでも言わんばかりに、Apple は新型の iPad Pro を発表して世界をひっくり返した。この新しい iPad Pro は新しい Magic Keyboard を取り付けて使うことができ、その Magic Keyboard には、何と、何と、よく聞いて頂きたい - トラックパッド が付いているのだ!

新型 iPad Pro のそれ以外の拡張点としては、AR 機能を高めるための LiDAR スキャナ、機能を強化したカメラとマイク、より高速になった A12Z Bionic プロセッサがある。物理的な寸法は 11 インチモデルと 12.9 インチモデルの双方とも従来の iPad Pro モデルと同一だが、重量のみが少しだけ変わり、カラーは従来と同じくシルバーとスペースグレイしかない。

2020 iPad Pro with Magic Keyboard

Magic Keyboard

トラックパッドで使える iPad についての噂はしばらく前から飛び交っていたが、これほど早く Apple が製品化を実現するとは誰も思わなかった。iOS 13 にはかなり未熟ながらトラックパッド対応が組み込まれていてアクセシビリティ機能の一つだとされていたが、Apple によれば 2020 年 3 月 24 日に出荷予定の iPadOS 13.4 でその機能を徹底的に見直し、Magic Keyboard にもその他のトラックパッドにも対応するという:

[訳者注: iPadOS 13.4 は日本時間の 2020 年 3 月 25 日にリリースされました。]

iPadOS 13.4 で iPad がトラックパッドに対応することで、お客様は全く新しい方法で iPad を使うことができるようになります。Apple は、macOS での体験をそのまま持ってくるのではなく、トラックパッドの対応は iPad のために一から作り直しました。ユーザーがトラックパッドの上で指を動かすと、ポインタが洗練された形で変形してユーザーインターフェイスの要素をハイライト表示します。トラックパッド上の Multi-Touch ジェスチャーは、手を全く持ち上げることなく、システム全体で素早く、簡単に操作することができます。

Apple の Craig Federighi がトラックパッド対応を実演しているビデオが The Verge の記事に載っているが、皆さんが実際にこの Magic Keyboard を使ってみられるようになるまでにはもう少し待たなければならない。新型 iPad Pro は今週出荷されるけれども、この Magic Keyboard は 5 月にならないと出荷されないからだ。価格は 11 インチ iPad Pro 用が $299、12.9 インチモデル用が $349 というべらぼうな値段だ。この Magic Keyboard は第1世代および第2世代の 11 インチ iPad Pro と、また第3世代および第4世代の 12.9 インチ iPad Pro と互換だ。

トラックパッドなんか要らない、あるいはそんな大枚をはたきたくないという人のために、Apple は新型の iPad Pro でも従来のモデルでも使える新しい Smart Keyboard Folio を発売したと言っている。また、新型 iPad Pro はやはり第2世代の Apple Pencil とも互換だ。

iPad keyboards

LiDAR

トラックパッドが本当に実現したことと同じくらいに衝撃的なのが、今回の新型 iPad Pro に LiDAR スキャナが装備されたことだ。LiDAR (Light Detection and Ranging、光検出と測距) は自動運転機能を持つ自動車にもよく使われるもので、近くにある物体からの距離を素早く正確に測定できる。これで、またまた噂が立ちそうだ!

Apple は、最大 5 メートルまでの範囲内にある物体までの距離を測定できる iPad の LiDAR Scanner を拡張現実 (AR) アプリケーションのための拡張機能として宣伝している。これを使って AR オブジェクトの即時配置 (表面の周囲でカメラをぐるりと動かす必要がない)、モーションキャプチャの改良、より良いピープルオクルージョンなどが約束されるという。そのデモンストレーションとして Apple は Measure アプリを拡張し、人の身長を計算できるようにしたり、Ruler View でより細かい測定値を表示したりする。

The improved Measure app

そもそもなぜ Apple は iPhone でなく iPad の方に先に LiDAR を装備したのだろうか? 思い付く理由が二つある。第一に、このテクノロジーは高価であると同時に供給が限られていると思われるので、生産台数の少ない iPad Pro に先に導入することで Apple の側に生産態勢を整えコストを下げる時間的余裕が生まれる。第二に、LiDAR Scanner のハードウェア・コンポーネントが大きなサイズを要するために iPad にしか搭載できないのかもしれない。それでも、遅かれ早かれこのテクノロジーが iPhone にもやって来るのは間違いないだろうと思う。

Pro カメラとオーディオ

2020 iPad Pro Cameras

iPhone 11 と同様に、この iPad Pro はデュアルカメラセンサーを搭載する。12 メガピクセルの広角カメラと、10 メガピクセルの超広角カメラだ。これで最大 2 倍のズームアウト撮影ができる。広角レンズの絞り値は f/1.8 で、超広角レンズの方は絞り値が f/2.4、125 度の視野角がある。

また、Apple は iPad Pro のオーディオもアップグレードした。今回の新モデルは 5 つの“スタジオ品質”マイクロフォンを装備して極めてクリーンなオーディオ録音を約束する。

パフォーマンス

この新型 iPad Pro は新しいプロセッサ、Apple の A12Z Bionic チップで動作する。私はこれまでこの末尾に Z が付いた名称を見たことがなかった。なぜ Apple が iPhone 11 シリーズの A13 Bionic を使わずにこの A12 の変種を使うことにしたのかははっきりしない。

A12Z は 8 コア CPU と Neural Engine を組み合わせ、新しい熱設計によってより多くのパフォーマンスをチップから絞り出せるはずだ。Apple によれば、バッテリー寿命は iPad の標準となっている最大 10 時間だという。

価格

Magic Keyboard の価格に目まいがする人にとってちょっと安心できる知らせだが、iPad Pro 自体の価格はこれまでと変わっていない。11 インチモデルは $799 から、12.9 インチモデルは $999 からだ。いずれも 128 GB のフラッシュストレージが付き、これは従来のモデルの 64 GB より増量されている。またストレージ容量をもっと増やすことも可能で、256 GB ($100 追加)、512 GB ($300 追加)、1 TB ($500 追加) の選択肢がある。これとは別に $150 を追加すれば Wi-Fi 接続に加えてセルラー接続も可能となる。フル構成の iPad Pro は MacBook Air や MacBook Pro を優に超える価格になるが、スペックを見ればそれも頷ける。

Apple リテール店が無期限で閉鎖されていることを考えれば、オンラインで注文するのが最善の策だろう。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Apple、Mac mini ストレージ構成を倍増

新型 MacBook Air についてのプレスリリースの補足として、Apple は標準構成の Mac mini のストレージ容量を倍増したと言及した。これはこの超小型のデスクトップが一年以上前にプロも狙うとされて以来初めてのアップデートである ("再生! Apple、プロ狙いの Mac mini を発表" 30 October 2018 参照)。

$799 の基本レベル構成は今や 128 GB から 256 GB となり、$1099 構成は 256 GB から上がって 512 GB となっている。1 TB と 2 TB 構成は今でも入手可で、他の変更は一切ない。

Apple が Mac mini の価値をこの様な形で増加させるのを見るのは嬉しいが、我々としては、同社が $499 の構成を再び提供し、この頭無しの Mac を小オフィスや家庭サーバーとして抗し難いものとするのを望みたい。

Mac mini top down

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

ハリウッドはコロナウイルスの時代にどう適応するのか

SARS-CoV-2 のパンデミックが、全世界を隠遁者の惑星へと変えてしまった。人々は (少なくとも良心的な人たちは) 自宅の中で自らを隔離し、人の集まりを避けている。多くのところで、州政府や地方自治体が必須でない会合やビジネスを禁じるに至っている。

それは多くの企業にとって悪い知らせだが、中でも大きな痛手を受けたのが映画館だ。各地の映画館は、このような状況になるよりも前から既にハリウッドからのメジャーリリースが遅延することを心配していた。Regal (全米最大の映画館チェーン) が真っ先に全国で映画館を閉館しAMC Theaters がその後間もなくそれに続いた。AMC Theaters は 6 週間から 12 週間の閉館だと述べたが、Regal は時間枠を何も呈示しなかった。正直言って、日付を示してもそれは推測によるものでしかなく、どのような時間枠であっても守られると信じる理由はない。

この事態は、多くの映画館にとって事業の終焉を意味するかもしれない。でも、もともと映画館はもう何年も前から苦境に陥っていた。今や多くの家庭に巨大な高精細テレビと、高品質のサウンドシステム、それに高速のインターネットが普及している。Apple TV と、65 インチのテレビと、サラウンド音響を備えたサウンドバーがあれば、総額 $700 以下の投資で劇場体験が自宅で楽しめる。(改訂したばかりの私の本 Take Control of Apple TV が参考になるだろう。)

そこで、ハリウッドがこの新しい現実に適応しようとしているいくつかの方策を見てみよう。

ブロックバスターが選んだ道は... Blockbuster 店

[訳者注: blockbuster という単語はもともと映画や商品の大ヒットという意味でしたが、Blockbuster という名前の会社がビデオ・DVD レンタルチェーン店を全米に、また世界各地に、日本にも展開し、2000 年代前半にピークを迎えましたが、インターネット動画サービスの興隆に押されて店舗型レンタル事業が悪化し、2010 年に倒産しました。]

今年の夏シーズンに映画の大ヒットを期待してはいけない。封切り間近だった映画もほとんどすべてが延期になっている。最新の James Bond アクション映画 No Time to Die は少なくとも 11 月まで公開が延期されたし、Disney の Mulan and New Mutants は無期限延期、Universal の F9 (邦題「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」) も延期された。それに、たとえこれらの映画がリリースできたとしても、映画館は閉館している。そこで、それぞれの映画会社は知恵を絞り始めた。

Disney は当初Star Wars: The Last Skywalker のデジタルリリースを数日前倒しするという反応をした。また、Disney は Frozen 2 (邦題「アナと雪の女王2」) を予定より 3 か月も早く Disney+ ストリーミングサービスに入れた。今後危機が進むに連れて、この種の動きはもっと見られるようになるだろう。

Universal はさらにもっと大胆な行動を起こそうとしている。Trolls World TourThe HuntThe Invisible ManEmma といった映画の封切り公開を中止したり短縮したりして、デジタル配信に回したのだ。2020 年 3 月 20 日現在、今挙げた映画はすべて Apple TV、iTunes、その他あらゆるお決まりの場所から入手が可能となっている。$20 程度の料金で 48 時間のレンタル借り出しができ、ストリーミングの料金としては少し高い気がするが、家族で映画館へ行くのに比べればはるかに安く済む。

大手の映画会社各社はこの種のプレミアム・ビデオ・オン・デマンドの提供を長年にわたって考慮し続けてきたが、そのような計画が実現されたことはこれまでなかった。過去に提案されていた価格は $30 から $50 くらいであったので、今回の Universal の価格設定は予想されていたものよりかなり安い。独立系の映画会社はもう何年も前から $10 程度の料金で iTunes 上での映画のレンタルを提供してきたけれども、これを実現したハリウッドの大手映画会社は Universal が初めてであり、他の大手映画会社にとっての先例ともなった。

そして、Disney がそれに倣うのにそれほど時間はかからなかった。Disney は新作の Pixar 映画 Onward (邦題「2分の1の魔法」) のデジタル配信を Disney+ を通じて 2020 年 4 月 3 日にリリースすると発表した。

Movies Anywhere を通じた映画の貸し借り

そのスタートがパンデミックを引き金としたものなのか、それともこれが単なる幸運な偶然なのかは分からないが、Movies Anywhere サービスが Screen Pass という名前で、映画貸し出しサービスを現在テスト中だ。Movies Anywhere はもともと Disney が主導して始めたサービスで、これを使えば大手映画会社のほとんどから映画の購入を同期できる。(2017 年 10 月 14 日の記事“Movies Anywhere、あなたの映画をプラットフォームの壁から開放”と 2018 年 8 月 31 日の記事“Movies Anywhere を使ってバーゲンを探そう”参照。) ただし Lionsgate、MGM、Paramount はまだ参加していない。

Movies Anywhere

新しい Screen Pass 機能は現在まだベータ版段階だが、次のようにして使う。あなたのライブラリにある映画を毎月最大 3 本まで、他の人と共有できるのだ。受け取った人は共有した映画を最長 14 日間借りていられるが、いったん再生を始めればその後 72 時間以内に観終えなければならない。他の似たようなサービスとは違って、あなた自身もその映画を観ることができるし、同じ映画をさらに他の友人に貸すこともできる。ただしもちろん月間 3 本までという範囲内での話だ。

Movies Anywhere によれば、このサービスを今年中に一般向けに開放する予定だという。ハリウッドが世界との関わりを維持しつつ COVID-19 危機を乗り越えて生き残る道を模索する中で、私はこのサービスも遅かれ早かれきっと展開するだろうと思う。

COVID-19 のパンデミックは既に多くの意味で世界を変えてしまった。国境は閉鎖され、多くの人々が自宅で仕事をし、親たちは自宅で子供たちを教育せざるを得なくなり、そして映画業界全体が様相を一変している。それでも、少なくとも現実逃避の娯楽をストリーミングで入手する道は際限なく残されている。たとえ、新作映画は当分出てこないとしても。そしてそれは、今回のパンデミックと、カリフォルニア州全域に出された屋内退避 (外出禁止) 命令によってハリウッドの映画制作が実質的に停止していることを考えれば、正常なことだ。実際、今後相当長期間にわたって、新作の映画やテレビ番組は作られないかもしれない。

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Aerial、Apple TV のスクリーンセーバを Mac にもたらす

Apple TV の最良の機能の一つに Aerial スクリーンセーバがある。これは決して誇張でなくて、Apple は Aerial の新しいシーンを tvOS に追加する度にいつも大きく宣伝しているし、メジャーな tvOS アップデートの目玉機能として宣伝することもよくある。テレビ画面でこれらのスクリーンセーバを気に入ったことがあるなら、あなたの Mac にもそれを持ち込むことができる。無料でオープンソースのアプリ、Aerial を使えばよい。

開発者チームがどんな手を使ったのか知らないが (Aerial は現在 Guillaume Louel が維持している)、Aerial はこれまで 5 年間、Apple から何の干渉も受けずにきている。まあとにかくそれは良いことだ!

Aerial のインストール

インストールの詳しい説明は Aerial の GitHub ページにあるが、簡単に要約すれば次の通りだ:

  1. 最新の Aerial.saver.zip をダウンロードする。
  2. もしブラウザが自動的にしていなければ、その Aerial.saver.zip の zip 圧縮を展開する。
  3. もしも System Preferences が開いていれば、それを終了しておく。
  4. Aerial.saver をダブルクリックする。
  5. あなただけのために Aerial をインストールするか、そのコンピュータ上のすべてのユーザにインストールするかを選ぶ。後者の場合、インストールの際にもアップデートの際にも毎回管理者パスワードが必要となるので、通常はそこまでする価値はないだろう。

インストールが済むと、自動的に System Preferences > Desktop & Screen Saver > Screen Saver が開く。必要ならば左側のスクローリングリストで Aerial を選ぶ。オプションの設定をするには Screen Saver Options ボタンをクリックする。

The Screen Saver Options button

Aerial には膨大な数のオプションがある。以下で、最も重要なものだけを見て行こう。

ビデオ画質とバンド幅使用の設定

Apple の Aerial スクリーンセーバのビデオは美しいが、サイズが大きい。デフォルトの設定では、Aerial はスクリーンセーバがロードする際に毎回 Apple から新しいものを取り込んでキャッシュする。バンド幅の上限がある場合には、たぶんその設定を別のものにしておく方が良いだろう。

Aerial の Videos 設定を調整しておくことで、見栄えを良くしたり、バンド幅使用を抑制したり、CPU パフォーマンスを最適化したりできる。ただ、設定項目があまりにも多くて個別的なものばかりなので、たちまち圧倒されてしまうかもしれない。

Aerial's video format setting

ここで見ておくべき主要な設定項目は Video Format ポップアップメニューだ。私の Mac でのデフォルトは 1080p HEVC で、こうしておけば 4K 解像度ほどシャープな画質ではないけれどもそれほど多くのバンド幅を使わない。このメニューには多くの選択肢があり得るので、それぞれの意味を説明しておこう:

最も賢明なやり方は、メニューの右側に見える疑問符のボタンをクリックすることだ。そうすると、あなたの Mac が H.264 と HEVC のハードウェア・デコーディングに対応しているかを含め、すべての利用可能なフォーマットについての情報が表示される。それを見て、適切な項目をポップアップメニューから選べばよい。

ラップトップ機を使っている場合には When On Battery ポップアップメニューにも注意を払おう。デフォルトは Keep Enabled だが、バッテリーの節約を図るために Always Disable に切り替えることもできる。この設定では、MacBook が充電器に繋がれている間は Aerial スクリーンセーバを表示するが、バッテリーで駆動されている間はただの黒い画面になる。また、バッテリー残量が 20% を切った場合にのみ Aerial を無効にする設定もあるが、これが一番バランスの取れた選択肢なのかもしれない。電源に繋いでいないラップトップ機をスクリーンが開いたまま数分間以上放置すれば、貴重なバッテリー寿命を無駄に浪費してしまうからだ。

バンド幅を節約するためのもう一つの方法として、使いたいビデオのみをキャッシュしておくこともできる。左側にあるリストからビデオを一つ選んで、プレビューを見る。それが気に入ったら、+ 印のボタンをクリックしてダウンロードする。左側にあるチェックボックスで、それぞれのビデオをローテーションに含めるか否かを選べる。好きになれないビデオがある場合に便利だ。

Buttons used in caching Aerial videos

お勧めしたいことが一つある。歯車アイコンをクリックして Check Only Cached を選んでおけば、ダウンロード済みのビデオのみが再生されるようになる。ビデオをローカルなストレージから削除したい場合は、その項目を Control-クリックして Move To Trash を選ぶ。

デフォルトで、Aerial スクリーンセーバはビデオをランダムに再生し、それぞれをキャッシュ保存する。時が経てば、保存量がかなり多くなるだろう。ここでは何ギガバイトものサイズの話をしているのだ。Aerial のローカルなストレージを管理するには Cache 画面に行く。ここで、自動キャッシュをオフにしたり、すべてのビデオをダウンロードしたり、ビデオを Finder で表示して簡単に削除できるようにしたりできる。

Aerial cache settings

Aerial スクリーンセーバをプレビューするには、System Preferences > Desktop & Screen Saver > Screen Saver に戻り、マウスポインタをプレビューサムネイルの上にかざし、そうすると見えるようになる Preview ボタンをクリックする。

Aerial preview

スクリーン上に示す情報の変更

Aerial スクリーンセーバは Apple のビデオを再生しながらその上に追加の情報を表示することもできる。デフォルトでは、現在時刻とビデオの場所を表示する。何を表示するかは Info 画面で設定できる。

Aerial info settings

Aerial はあなたの設定に応じて 5 つのオンスクリーン・ウィジェットを表示できる。カスタマイズしたメッセージ、現在時刻 (Clock)、ビデオの場所、バッテリーレベル、それにカウントダウンだ。最後のカウントダウンのオプションはあまり他では見ないが、役に立つかもしれない。例えばミーティングの予定や誕生日など、指定した時刻または日付に向けてカウントダウン表示をする。

個々のウィジェットでそれぞれオプションの設定ができる。すべてに共通した項目が 2 つあって、そのウィジェットの有効/無効を切り替える Enable チェックボックスと、サムネイル画像の上にラジオボタンでウィジェットの表示位置を決められる位置設定だ。これを指定しておけばウィジェットは指定された固定位置にピン留めされる。また、Random オプションを選択しておけばスクリーンの四隅のどこかにランダムに表示される。

その他の設定

Aerial の Options 画面にある設定項目のうちで特に重要だと思われるものがあと 2 つある。

まず、2 台のモニタを使っている場合には、Displays 画面にあるオプションを使ってビデオをどちらか片方のモニタで、または両方のモニタで再生するように指定できる。さらに興味深いことに、Aerial はビデオを両方のモニタに跨って再生させることもできるし (ただしそうするとビデオが不鮮明になることもある)、両方のモニタで再生をクローン (重複) させることもできるし、双方でミラー (反射) させることもできる。あるいはそれぞれのモニタで別々のビデオを再生することもできる。

Aerial settings for multiple displays

それから、Time 画面に、表示するビデオを時刻に応じて変えるための数限りない調整オプションがある。具体的な緯度と経度を設定することさえできるが、たいていの人にとってこれはやり過ぎというものだろう。私としては Night Shift を使って昼と夜を識別するデフォルトの選択肢をお勧めしておきたい。あるいは、もしあなたが Dark モードを使っているならば (ただしその場合は記事“Dark Mode の暗い側面”(2019 年 5 月 31 日) をお読み頂きたいが)、現在 Light モードと Dark モードのどちらにいるかに応じてビデオを切り替えるというオプションもあるし、それとは別に Dark Mode が有効である間は常に夜景のみを表示するという独立のチェックボックスもある。

Aerial time settings

他の Options 画面も、どうぞご自由に探索してみて頂きたい。ただし警告しておきたいのだが、Aerial の設定に没頭し過ぎてはならない。結局のところ、これは単なるスクリーンセーバに過ぎないのだから。たとえ、それがとんでもなく美しいものであったとしても。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Agenda 9.3

Agenda 9.3

Momenta が日付に集中したノート取りアプリ Agenda のバージョン 9.3 をリリースして、数多くの改善やバグ修正を加えた。今回のアップデートではウィンドウ右上隅のコミュニティーボタンの隣に同期インジケータを追加し、新たにリンクされたイベントへのスクロールを改良し、リッチテキストで書き出したノートが現在の並び順に書き出されるようにし、イベント追加の際に 24 時間表示の時刻の処理を改良し、他のプロジェクトの中へドラッグした際に重複したノートが作られたバグを修正し、キーボードショートカットを使って予定表にノートを入れた際に起こったクラッシュを解消し、リマインダーを編集または削除した際に Related パネルがより素早く更新されるようにした。(無料、プレミアム機能のアプリ内購入 $24.99、無料アップデート、46.8 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Agenda 9.3 の使用体験を話し合おう

Luminar 4.2

Luminar 4.2

Skylum が Luminar 4.2 をリリースして、この AI 駆動の写真編集アプリに新規のツールや拡張されたツールをもたらした。Creative タブにある新しい AI Augmented Sky ツールは、あなたの画像、あるいは Luminar が公開しているコレクションから取り寄せた画像やオブジェクトを使って、写真の中の空の部分にオブジェクトをシームレスに一体化させることができる。

AI Augmented Sky tool
AI Augmented Sky ツールを使って夜空にオーロラの極光が追加される

今回のアップデートでは顔認証を向上させるとともに、ポートレート写真で頬や額のテカりを抑えて明度にムラのない写真を作る Shine Removal Technology を追加している。Luminar 4.2 ではまた、AI Portrait Enhancer の顔をスリムにする機能を改良し、縦長の画像が横方向に拡大されてしまうことがあった問題を解消し、AI Portrait Enhancer の Dark Circles Removal テクノロジーの精度を上げ、カタログファイルをバックアップする際に時々起こったクラッシュを解消し、Split Toning ツールのスライダーが動かなくなったバグを修正し、Light ツールと Curves の安定性を向上させている。(新規購入 $89、アップグレード $74、18.8 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Luminar 4.2 の使用体験を話し合おう

TextExpander 6.5.4

TextExpander 6.5.4

Smile が TextExpander 6.5.4 をリリースして、Google Docs からスニペットエディタにテキスト解析して読み込んだテキストが不必要にボールド体になってしまう現象を解決した。(この機能を使っている人たちには嬉しい修正だ。) 今回のリリースではまた、スニペットエディタのローカライズ版を復活させ、大文字小文字の区別を切り替えた際に即座に展開が更新されるようにし、グループ接頭辞が使われた際の Adapt Snippet to Case of Abbreviation の挙動を修正している。(購読料金年額 $40、20.9 MB、 リリースノート、macOS 10.12+)

TextExpander 6.5.4 の使用体験を話し合おう

Alfred 4.0.9

Alfred 4.0.9

Running with Crayons が Alfred 4.0.9 をリリースして、このキーボード駆動のランチャーに macOS 10.15 Catalina に関係する改善を加えた。今回のアップデートでは、第2ディスプレイを接続した際に Catalina のスクリーン座標のバグのせいで Alfred のウィンドウが一時的に画面上に見える表示域の外に出てしまった問題に回避策の試みを施し、Alfred のテーマエディタの中に表示する際に Desktop の背景を正しく位置取りするようにし、Workflow テンプレートのサブメニュー項目で iTunes を Music に更新した。Alfred 4.0.9 はまた、無効化された Workflow のみを表示する Workflow リストフィルターを追加するとともに、Snippet Manager におけるイベントスレッド処理の問題点を修正している。(基本的機能は無料、Powerpack は 23 ポンド、3.1 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

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