SARS-CoV 2 ウイルスに対処しようとして世界の多くの部分が停止に追い込まれてしまったが、Apple はコツコツと努力を続けている。先週、Apple は新しいシザースイッチ Magic Keyboard を搭載して価格を下げた MacBook Air と、トラックパッド付きで近日登場予定の Magic Keyboard と組み合わせて使える新型 iPad Pro、それに標準ストレージ容量を従来の倍にした Mac mini を登場させた。感染症の流行により映画館が閉館するに伴い、ハリウッドは各家庭に向けて直接映画をリリースする計画を加速させている。それからもう一つ、外の世界がどんなだったかを思い出したい人たちのために、Josh Centers が Aerial をレビューする。これは Apple TV にたっぷりあるスクリーンセーバを Mac でも使えるようにするものだ。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Agenda 9.3、Luminar 4.2、TextExpander 6.5.4、それに Alfred 4.0.9 だ。
Apple に焦点を当てる報道者の一人として、私は Apple の製品リリースの多くからある程度の心理的距離を保たねばならない。誰かが私に Mac Pro をプレゼントしてくれたら、私はそれが好きになるであろうか? 勿論そうだと思うが、あの様な隙間商品のマシンにそれ程の大枚を払う気はサラサラない。しかしながら、時折 Apple は、私が必要とするものそのものをリリースするが、MacBook Air に対する最新のアップデートはまさにそれである。(Apple よ、もしお前が 27-inch iMac に対する大幅なアップデート、懐に優しい 5K か 6K Retina ディスプレイ、そして SE フォームファクターの iPhone を実現してくれたら、今すぐにでも私の Apple Card 番号を与えるのだが。)
外観の更新は期待しない方が良い - この新しい MacBook Air は、置き換え製品となる 2019 年モデルと殆ど同じである。この新モデルの一番の特長は Apple のシザー機構 Magic Keyboard だが、同社はまた最大2倍となる性能、より豊富なストレージ選択肢、そして 6K 迄の外部ディスプレイに対するサポートを約束している。そして、値段は $999 から始まり、従前のモデルよりも $200 安くなっている。では、仕様を見てみよう。
やったー、Butterfly Keyboard は死んだ
前記した様に、新型 MacBook Air は Apple の新しい Magic Keyboard を採用している。これは、長年 Mac ラップトップに時代遅れのそして時と共に悪臭の増す 厄介ものとして付き纏ってきた批判の多かったバタフライキーボードを置き換えている。このシザースイッチ Magic Keyboard が最初に採用された昨年の 16-inch MacBook Pro のユーザーからの報告はほぼ一様に肯定的であった。私はキーボードにとても気を遣うし、そして Tonya の 13-inch MacBook Pro 上のバタフライキーボードを 2016 年以来使ってみて (そして、嫌いになって)、私は Apple がそれを置き換える迄どんな種類であろうと新しい MacBook を買わないと決めてきた。
16-inch MacBook Pro の場合と同様、MacBook Air の Magic Keyboard もタイピング感を良くするためキーの運びは 1 mm を確保し、そして矢印キーは逆 T 字の配列になっているので、見ることなしに使うことが出来る。上部には 12 のファンクションキーが並び、独立の Touch ID センサーと対をなしている。その通り、Touch Bar はない。これは私にとっては理想的である。何故ならば、私は見ること無しのアプリ間の切り替えにこのファンクションキーに深く依存しているからであり (Keyboard Maestro を使って)、そして Touch ID センサーはパスワードをタイプしなければならない数を減少させてくれるであろう。T2 セキュリティチップは標準である。
キーボードを除けば、新型 MacBook Air は従前のモデルと物理的にはほぼ同一である。13.3 Retina ディスプレイは同じ 2560-by-1600 のネイティブ解像度を提供し、更に画像をより自然に見せるための色と彩度を調整する True Tone 技術を得ている。Force Touch トラックパッドは同じ大きさで、そして一対の Thunderbolt 3 ポートと 3.5 mm ヘッドフォンジャックも同じである。ステレオスピーカーも残っているが、今や Apple はそれを "ワイドステレオ音" と呼んでおり、それが何であるかはともかく、そして Dolby Atmos 再生にも対応する。3つのマイクもまた標準であるが、FaceTime を使う時音声をよりよく捉えるため指向性ビーム形成が提供されていると Apple は言っている。FaceTime HD カメラは陳腐な 720p のままである。
何故値下げ? 私の推測では、Apple は MacBook Air を低価格帯 MacBook Pro から差別化する必要があったということである - これ迄、それらはちょっとオーバーラップし過ぎていた。噂によれば、Apple は 13-inch MacBook Pro の代わりに14-inch MacBook Pro を間もなくリリースするのではと言う - この値下げで二つのモデルの境がよりはっきりするという可能性はある。
また、Apple が安価な iPad の成功、とりわけ教育市場での、を見て、Mac 製品群に対して MacBook Air で先例に倣うことにした可能性はある。Apple は利益率の高い会社ではあるが、個々の製品群に対して安価な入り口を設けるのは賢いビジネスのやり方である。とりわけ、かつては Apple に "最も人気のある Mac" と言わしめたモデルに対しては。
新型 MacBook Air には、シルバー、スペースグレイ、或はゴールドがあり、オンライン Apple Store は現在納期は2、3週間先と言っている。これには macOS 10.15 Catalina が付属しており、それより前のバージョンの macOS はまず間違いなく走らせられないであろう。
もし皆さんが、私の様に、MacBook Air に対するこのアップデートを待っていたのであれば、今すぐ注文しない唯一の理由は、あの噂の 14-inch MacBook Pro であろう。もし Apple が 14-inch モデルに新しいキーボード、ファンクションキー、そして Touch Bar ではなく Touch ID を搭載し、そして遥かに優れた性能を余り値上げせずに出すとしたら、私も本気で検討するであろう。でも、Apple が MacBook Pro を Touch Bar 無しの構成で提供する可能性は単なる夢に過ぎないかも? 恐らく。
Apple の Craig Federighi がトラックパッド対応を実演しているビデオが The Verge の記事に載っているが、皆さんが実際にこの Magic Keyboard を使ってみられるようになるまでにはもう少し待たなければならない。新型 iPad Pro は今週出荷されるけれども、この Magic Keyboard は 5 月にならないと出荷されないからだ。価格は 11 インチ iPad Pro 用が $299、12.9 インチモデル用が $349 というべらぼうな値段だ。この Magic Keyboard は第1世代および第2世代の 11 インチ iPad Pro と、また第3世代および第4世代の 12.9 インチ iPad Pro と互換だ。
トラックパッドなんか要らない、あるいはそんな大枚をはたきたくないという人のために、Apple は新型の iPad Pro でも従来のモデルでも使える新しい Smart Keyboard Folio を発売したと言っている。また、新型 iPad Pro はやはり第2世代の Apple Pencil とも互換だ。
LiDAR
トラックパッドが本当に実現したことと同じくらいに衝撃的なのが、今回の新型 iPad Pro に LiDAR スキャナが装備されたことだ。LiDAR (Light Detection and Ranging、光検出と測距) は自動運転機能を持つ自動車にもよく使われるもので、近くにある物体からの距離を素早く正確に測定できる。これで、またまた噂が立ちそうだ!
Apple は、最大 5 メートルまでの範囲内にある物体までの距離を測定できる iPad の LiDAR Scanner を拡張現実 (AR) アプリケーションのための拡張機能として宣伝している。これを使って AR オブジェクトの即時配置 (表面の周囲でカメラをぐるりと動かす必要がない)、モーションキャプチャの改良、より良いピープルオクルージョンなどが約束されるという。そのデモンストレーションとして Apple は Measure アプリを拡張し、人の身長を計算できるようにしたり、Ruler View でより細かい測定値を表示したりする。
そもそもなぜ Apple は iPhone でなく iPad の方に先に LiDAR を装備したのだろうか? 思い付く理由が二つある。第一に、このテクノロジーは高価であると同時に供給が限られていると思われるので、生産台数の少ない iPad Pro に先に導入することで Apple の側に生産態勢を整えコストを下げる時間的余裕が生まれる。第二に、LiDAR Scanner のハードウェア・コンポーネントが大きなサイズを要するために iPad にしか搭載できないのかもしれない。それでも、遅かれ早かれこのテクノロジーが iPhone にもやって来るのは間違いないだろうと思う。
この事態は、多くの映画館にとって事業の終焉を意味するかもしれない。でも、もともと映画館はもう何年も前から苦境に陥っていた。今や多くの家庭に巨大な高精細テレビと、高品質のサウンドシステム、それに高速のインターネットが普及している。Apple TV と、65 インチのテレビと、サラウンド音響を備えたサウンドバーがあれば、総額 $700 以下の投資で劇場体験が自宅で楽しめる。(改訂したばかりの私の本 Take Control of Apple TV が参考になるだろう。)
今年の夏シーズンに映画の大ヒットを期待してはいけない。封切り間近だった映画もほとんどすべてが延期になっている。最新の James Bond アクション映画 No Time to Die は少なくとも 11 月まで公開が延期されたし、Disney の Mulan and New Mutants は無期限延期、Universal の F9 (邦題「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」) も延期された。それに、たとえこれらの映画がリリースできたとしても、映画館は閉館している。そこで、それぞれの映画会社は知恵を絞り始めた。
Disney は当初、Star Wars: The Last Skywalker のデジタルリリースを数日前倒しするという反応をした。また、Disney は Frozen 2 (邦題「アナと雪の女王2」) を予定より 3 か月も早く Disney+ ストリーミングサービスに入れた。今後危機が進むに連れて、この種の動きはもっと見られるようになるだろう。
Universal はさらにもっと大胆な行動を起こそうとしている。Trolls World Tour、The Hunt、The Invisible Man、Emma といった映画の封切り公開を中止したり短縮したりして、デジタル配信に回したのだ。2020 年 3 月 20 日現在、今挙げた映画はすべて Apple TV、iTunes、その他あらゆるお決まりの場所から入手が可能となっている。$20 程度の料金で 48 時間のレンタル借り出しができ、ストリーミングの料金としては少し高い気がするが、家族で映画館へ行くのに比べればはるかに安く済む。
Apple TV の最良の機能の一つに Aerial スクリーンセーバがある。これは決して誇張でなくて、Apple は Aerial の新しいシーンを tvOS に追加する度にいつも大きく宣伝しているし、メジャーな tvOS アップデートの目玉機能として宣伝することもよくある。テレビ画面でこれらのスクリーンセーバを気に入ったことがあるなら、あなたの Mac にもそれを持ち込むことができる。無料でオープンソースのアプリ、Aerial を使えばよい。
ここで見ておくべき主要な設定項目は Video Format ポップアップメニューだ。私の Mac でのデフォルトは 1080p HEVC で、こうしておけば 4K 解像度ほどシャープな画質ではないけれどもそれほど多くのバンド幅を使わない。このメニューには多くの選択肢があり得るので、それぞれの意味を説明しておこう: