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#1511: 死んだ SSD からの回復、Finder でウィンドウがタブになるのを予防、iOS Mail のセキュリティ脆弱性、安価な立ち机

Adam Engst は最近 iMac の SSD が突然死んでひどい目に遭った。今週の記事で、Adam はもう一度 iMac を機能させようと奮闘した経験から学んだ教訓を語る。それは、たとえ良いバックアップがあっても、口で言うほど簡単な作業ではなかった。Finder のウィンドウがどうしてもタブになってしまうけれども本当はフォルダごとに別のウィンドウに開いて欲しいと思っている人のために、Adam がその挙動を制御するための設定項目が 2 つの場所にあることを指摘する。iOS の Mail にいくつかの深刻なセキュリティ脆弱性があることが明らかになったが、Glenn Fleishman が普通の人たちはそれほど心配する必要がないと考えられる理由を説明する。それから、在宅の仕事をしていて立ち机が欲しいと思っている人のために、Julio Ojeda-Zapata が安価な選択肢を 2 つ紹介する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Transmit 5.6.4、Default Folder X 5.4.5、それに Fantastical 3.0.11 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

TipBITS: Finder のウィンドウがタブになってしまうのを解決

遡ること 2013 年に Apple が OS X 10.9 Mavericks で Finder のタブ付きウィンドウを導入したとき、私は自分の 13 インチ MacBook Air でその機能を有効化してどんな感じかを見てみることにした。これは、MacBook Air の小さなスクリーンに対処するための有用な方法かもしれないと思えた。私は普段から大きなスクリーンを 2 つ並べて使うのに慣れていたからだ。(現在の私は 27 インチの Retina iMac に 27 インチの Thunderbolt Display を繋いで並べて使っているが、その当時の私はたぶん Mac Pro に 2 台の 24 インチ Dell モニタを繋いで並べていた。)

けれども、私はウェブブラウザのタブは好きだけれども、Finder のタブ付きウィンドウにはイライラさせられるだけだ。(もちろんこれは私だけの感想であって、気に入っている人は、どうぞご健闘を。) 私はたいてい Finder では一つのウィンドウだけを使って満足できているが、何かをコピーしたり移動させたりする必要があれば、複数のウィンドウを開いて移動元と移動先が同時に見えるようにしておく方が良いと思う。フォルダを Command-ダブルクリックして新しい Finder ウィンドウを開こうとしたのに既存のウィンドウのタブとして開いてしまったら、私は静かに呪いの言葉を吐いて外へドラッグして新しいウィンドウにするのが常だった。

ここで皆さんはたぶん考えておられるだろう、「この人はそれを 7 年近くも我慢していたんだろうか?」と。恥ずかしいこと、それは分かっている。その理由は主として、私はこの MacBook Air をそれほど頻繁に使わないからだ。大体においてこれは旅行の際にだけ使っている。それにこれを使う状況では、Finder の中でファイルを処理したりして時間を過ごすことなどあまりない。こうして現実的に、タブ付きウィンドウにはイライラさせられるけれど、そういう状況に遭遇するのは年に数回止まりだった。

我が身を守ろうと、私はすぐに Finder > Preferences を開いて、タブ付きウィンドウの挙動を制御していると思える "Open folders in tabs instead of new windows" (フォルダを新規ウィンドウではなくタブで開く) チェックボックスのチェックを外した。ところが不思議なことに、挙動は何も変わらなかった。もしこれが自分がメインに使っている Mac だったとしたら、もっと早くこの疑問に取り組んでいただろうが、現状ではついに今までこの問題に取り組まずにきてしまった。

Tabs setting in Finder preferences

それが今までの話だ。ところが先週、私の 27 インチ iMac の内蔵 SSD が死んでしまった。(その苦難の物語は 2020 年 4 月 27 日の記事“iMac の死んだ SSD に対処しつつ学んだ 6 つの教訓”に記してある。) 外付け SSD の到着を待つ間、私は MacBook Air をTarget Disk Mode にしてその iMac を起動するために使い、大きなスクリーンで仕事ができるようにしていた。最初の一日のうちに Finder のタブ付きウィンドウのせいで私は気が狂わんばかりになったので、この機能を永遠に無効化する方法を見つけるために本腰を入れることにした。

見つかった解決法は驚くべきものだった。少なくとも私にはそう感じられた。どうやら、遥かな昔のどこかの時点で、当時はタブ付きウィンドウがピカピカの新機能に感じられた時代だったので、私は System Preferences > Dock の中で新規書類を開く際に新規ウィンドウでなくタブを優先する設定を選んでいたのだ。いったいなぜこの設定が Dock 環境設定枠に置いてあるのかは不明だし、いったいなぜ Finder の中のフォルダが書類と同等に扱われているのかの理由は私には想像もつかないが、まあとにかくこれが答だ。

Dock 環境設定枠の "Prefer tabs when opening new documents" (書類を開くときはタブで開く) ポップアップメニューは、私のシステムでは Always (常に) に設定されていた。これを In Full Screen Only (フルスクリーン時のみ) または Manually (手動) に変えることで、Finder のウィンドウがタブに開いてしまう問題が解消された。

Tabs setting in Dock preferences

そういうわけだ。私と同じ状況に陥った人たちがどれくらいおられるのかは知らないが、もしも Finder のタブ付きウィンドウに悩まされていた人がおられたら、上に述べた 2 か所の設定を調整することで再びタブでなくウィンドウで作業ができるようになるだろう。

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Glenn Fleishman  訳: 亀岡孝仁  

iOS Mail 脆弱性は深刻だが、一般ユーザーへの影響は軽微

セキュリティ会社 ZecOps は、その顧客の何人かが iOS の Mail に対するこれ迄には見つかっていなかった一対の弱点をつかれこのアプリがクラッシュする原因となったと 発表した。このことから、一連のゼロデイ攻撃の一部となりうるメカニズムが浮かび上がってきた。iOS 13 では、この脆弱性はメールメッセージを単に受け取ることだけで悪用され得る;iOS 12 では、この悪用を許すには、ユーザーは悪意のメールメッセージを見なければならない (しかし、添付書類を開いたり、リンクをタップしたりする必要はない)。ZecOps は、この脆弱性を見つけたのは試験をした時で、当時は iOS 6、そして、実際の攻撃は January 2018 に遡ると言った。

しかしながら、Apple も Mail のこの脆弱性は確認しているが、そのものだけで情報を盗んだり、機器を乗っ取ったりすることには使えない。如何なる実際の攻撃も、追加の未知で、公開されていない、高価値の攻撃を必要とする。ZecOps は、その顧客の機器がやられたのかどうか或いはどの様にを判断するのに必要な情報を明らかにしていない。我々の結論は、平均的な iPhone ユーザーに対するリスクは極めて小さい、とりわけ Apple が既に iOS の最新のベータバージョンで修正を試験中であることを念頭におけば。

この二つの脆弱性は本質的には単純である。Mail は、大量のメモリを使う時メッセージを正しく扱えない。非常に大きな添付物はこの問題を引き起こすことが出来るし、 Rich Text Format (RTF)、マルチパート添付、或いは iOS がメモリを多用するべく強制する何らかの未開示の方法を使った正当に構成されたメッセージでも可能である。ZecOps は、攻撃者はメッセージを実行した後でそれを削除出来るのではと思っている。

Apple は、現行の iOS 13.4.5 beta 及び iOS 13 の次の製品リリースでこの欠陥に対してパッチしたと言っている。これは iPadOS 13 にも影響する。間もなくリリースがあるであろう。(そして、それが何故 13.4.5 なのか、論理的には 13.4.2 だと思えるが、我々は知らない。)

大多数のユーザーはその行動に変更を加える必要はない。何故ならば、この弱点はデータ引き出しの様な悪意の行動を実行する他のコードと対をなさねばならないからである。Mail から抜け出し他の動きを行うペイロードが必要となることから、この攻撃は政府の当事者や大手の犯罪組織にとってのみ有用である。攻撃対象は極めて明確でないといけないであろう。ZecOps はこれ迄解明した色々な疑わしい攻撃目標のリストを出していて、その中には米国 Fortune 500 企業の一社で働く人々、一人のヨーロッパのジャーナリスト、一人の日本の携帯事業会社の経営者が含まれる。

ZecOps は、同社が実際に観察した攻撃に対して十分な情報を未だリリースしていないので、他のセキュリティ研究者が再現確認する所まで行っていない。同社は、この攻撃が実際にどの様に動作するかを示す概念実証をリリースしたいと思っていると言っている。

ZecOps demo attack
この攻撃が失敗した場合にどの様に見えるかの例

ZecOps は、この脆弱性を、これらの攻撃は差し迫った脅威となりうると判断し、企業に報告した後 90 日間置く典型的なウィンドウが経過する前に開示したと言っている。同社は、この攻撃が実際に使われたのを見ており、そして Apple が修正を盛り込んだ 13.4.5 beta をリリースしたことで、製品リリースでパッチされる前に、悪者がこの欠陥を攻撃するに必要十分な情報となり得ると言っている。

これらの弱点は単に iOS の殻をこじ開けるだけでも、他のコードが動作するのを許す結果となる。それ自体では、任意コードの実行は許さない。しかしながら、全てのオペレーティングシステムのゼロデイ攻撃は、犯罪者たち、各国政府のセキュリティ機関、そして攻撃を発見し販売する裏世界の個人たちの間で常に流通し続けている。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: 亀岡孝仁  

臨時の遠隔勤務者向け2つの手頃な立ち机

電動の立ち机は事務所ではますます一般化しつつある。何故ならば、コンピュータユーザーは、立ち位置と座位置をボタン一つで切り替えられるからである。

しかし、ホームオフィスにその様な嵩張る、そして高価な家具を持ち込む人は殆どいない。では、事務所で使っている立ち机が懐かしいとか今使っている心地良くない椅子から解放されたいと思っている人は、何をすべきであろうか?

家庭用の手の届く場所を取らない選択肢は存在する。私はこれ迄もこれら幾つかを TidBITS で取り上げてきた ("高価な立ち机の安価な代替品" 8 April 2016 参照)。今日、私は、事務所用の立ち机の利点を多くの部分再現するが、場所を取らず、かつ懐にも優しい2つの製品を紹介しようと思う。

Readydesk Allstand

予算も場所も限られると言う人向けには、机上設置型で、棚の高さ調整用の切り込みを持つ木製のミニ机を紹介したい。

数年前に、これらの一つを TidBITS のために前述のリンクで取り上げた。この Readydesk は、机やテーブルの上に座し、iMac やデスクトップディスプレイ用 (上段の棚) と入力機器用 (下段の棚) の一対の十分に広さのある棚を提供する。欠点もないわけではないが (例えば、これを使う時にはフランネルのシャツを着なければならないとか)、Readydesk の値段は $149 で、まあまあ妥当と言える。

Readydesk

Readydesk の Allstand は、より小型でより単純なバージョンで、一つの棚とより小さい占有面積を持ち、家の中での持ち運びもより楽である。値段も $49.99 で、更に懐に優しい。

Allstand

Allstand は、連結構造の部品で出来ており組み立ては簡単である。2つの L 字型の垂直部品は底部で横梁と連結する。この L 字部品には7組の切り込みがあり、棚を色々な高さや角度で固定出来る。小さな細長の部品が棚の上面の背面に嵌るように出来ており、後ろの止めとして働く。

Allstand notches

Allstand には2つの全く異なるモードがある:

これらのモードにより、色々な場面に対応出来る。例えば、ラップトップを使って作業したいとしよう。デスクモードでは、Allstand の棚は 13-inch MacBook Air や Pro 用には十分広いが、 16-inch MacBook Pro 用には十分な広さが無い。同様に、キーボードケース付きの iPad も大丈夫である (例えば Apple の最新の製品、"iPad Pro 用 Magic Keyboard が予定を早めて発売" 15 April 2020 参照)。どの機器を使うかに拘らず、独立のキーボード、マウス、或いはトラックパッド用に使える余分な空間はない。

5組の水平切り込みのお陰で、立ってでも座ってでも作業出来る。どれを選択するにしても、棚の位置をラップトップの画面が出来るだけ目の高さに来る高さに設定する。Allstand を置く平面の高さは、独立の入力機器を肘が丁度 90 度曲がりそして前腕がその平面と並行で使える高さが丁度良い。

Laptops on Allstands

iOS 機器を Allstand に載せて使うには別のやり方がある。棚の後方にある浅い溝を使えば iPad を縦位置に置ける。iPad mini や iPhone ならば、横位置でも置ける。iPadOS 13.4 で新しく取り入れられた入力機器に対するサポートを利用すれば ("iPad、全面的なトラックパッドとマウスサポートを得る" 28 March 2020 参照)、iPad (棚の上にある) を、Apple の Magic Trackpad 2 や Magic Keyboard 2 (机の上にある) から離すことが出来る。

勿論、Smart Keyboard 付きの iPad でもラップトップと同様棚に収まるであろうが、その様な設定はキーボードが画面に隣接していることから人間工学的には好ましくない状況となる - キーボードに楽に手を伸ばす事が出来る位置から画面を見下ろすのを避けるのは容易ではない。

iPhone and iPad in Allstands

Allstand のイーゼルモードは、2つの位置を追加する。棚を下部の角度のついた切り込みに差し込む事で、iPad 上で直接作業出来る - 例えば、Apple Pencil を使ってスケッチするとか - 或いは、目の前の机の上に置いたキーボードやトラックパッドを使って、間接的に。

Allstand easel mode

上部の角度のついた切り込みに棚を差し込むと、iPad (或いは、料理本の様な他のもの) 用の高くした書見台とすることが出来る。この方法では、入力機器を置くのに都合の良い場所が無いので、生産性を向上させることには直接結びつかないが、立ったままで iPad を指或いは音声コマンド経由で操作するのにはとても便利である。

Ergotron WorkFit-TS 小型机コンバーター

私は、これまで Vari (以前の VariDesk) や Ergotron と言った所からのしっかりした作りの机コンバーターについても書いてきた。このような装置はテーブルや机の上に置かれ、本格版の立ち机の機能を大体再現する。

私が TidBITS のために取り上げたコンバーターは ("Ergotron WorkFit-TX 座り/立ち机変換台、良く出来ているが高価 27 November 2018, 及び "Ergotron で Mac ユーザーも立ったまま仕事できる" 5 December 2014 参照)、きちんと働くが、嵩張るし、それに高価である。

Ergotron は最近、一般消費者を狙ったより安価なコンバーター製品群を試した - どうも、結果は芳しくなかった様で同社の Web サイトはこれらの製品を製造中止と表示している。結局、Ergotron の最善の消費者向けコンバーターは、その業務用の一つであることが分かった。WorkFit-TS Compact Desk Converter は鍵となる属性を他のコンバーターと共有している:

WorkFit-TS

幸にして、WorkFit-TS は余り場所を取らないし、値段も $299 で、ホームユーザーにも手が出る範囲にある。下部トレイは簡単に取り外せる。主平面には、iMac やデスクトップディスプレイと入力機器を共に置くのに十分な広さがあるし、或いはラップトップ台として使うことも可能である。

The WorkFit-TS with the device tray removed and a laptop sitting on top

WorkFit-TS は完璧では無い。入力機器トレイは窮屈で、かつ WorkFit-TX 上のトレイの様にその高さを変えることは出来ない。そして、他のコンバーターよりも小型ではあるが、その重量は 38.5 ポンド (17.5 kg) もあり、移動は容易ではない。

結論

この軽量で、小型の Allstand は、私が MacBook や iPad を使っての作業場所を家の周りで移動したい、或いは Minnesota の冬もようやく終わりに近づいてポーチで作業したいという時には便利である。

この間、私はより広さのある WorkFit-TS をホームオフィスに設置し、MacBook と iPad を並べての Sidecar 作業に使っている。私はまた、ラップトップをデスクトップディスプレイにつないでの実験もやった - 両方のための広さは十分である、勿論モニターは大型のものというわけにはいかないが。

自分と共に家の周りで移動出来るもの、或いはホームオフィスに設置するものを求めているのであれば、Allstand と WorkFit-TS は、臨時の在宅勤務者達に対して、破産に至らしめることなく、立ち机で働くことを現実のものとする。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

iMac の死んだ SSD に対処しつつ学んだ 6 つの教訓

そう、あれは水曜日の夜、私はその日の仕事を終わらせようと一生懸命作業していた。すると、Watchman Monitoring から電子メールが届いた。これは自分の Mac を継続的に追跡させるために多くのシステム管理者やコンサルタントが使っている重要なツールだが、その知らせには私の 2014 年型 27 インチ iMac の SSD にディスクエラーが発生していると書かれていた。

Watchman Monitoring disk IO error email

これは大変だと思って、私はやりかけの仕事だけ済ませてから、Command-R を押しながら再起動して macOS Recovery でブートし、Disk Utility を起動し、First Aid を走らせておいて、食事をしに席を外した。そしてそのまますっかり忘れてしまった。けれども次の朝になって iMac を見てみると、First Aid がエラー -69842 で止まってしまっていることに気付いた。もう一度試してみると (必要以上の時間が掛かったあげく) また同じエラーで止まってしまった。エラーの意味を調べようとしても何も分からなかったが、Apple のサポート記事によれば次にすべきことはたった一つ、再フォーマットとリストアしかない。そうこうしているうちに一度 iMac の起動に成功したが、動いていた短い時間だけでも Watchman Monitoring にさらにもっと不吉な警告を出させるに十分だった。

Watchman Monitoring SMART error email

これらのことを目にしても、私はそれほど心配はしていなかった。その前夜にブート可能な複製を作ってあったし、その日の仕事が終わるまで Time Machine バックアップが働いていたことを知っていたからだ。それも、外付けハードディスクだけでなく Backblaze のインターネットバックアップもある。その上、リストアの作業に時間が掛かったとしても、その間は 2012 年型 13 インチ MacBook Air で仕事ができる。ただ、私が SSD を再フォーマットするのは今回が初めてで、再フォーマットの際にハードディスクと同様に悪いセクターをマップアウトしてくれるのかどうかさえ私は知らなかったのだが、とにかくやってみる価値はあると思った。

けれども、起動ボリュームを消去している最中に Disk Utility がエラーで止まってしまうに至って、私は本気で心配になり始めた。(この iMac は macOS 10.14 Mojave で動作し、10.15 Catalina の二分岐ドライブ構造はなかった。)

Error when trying to erase the dying SSD's main volume

しかしながら、Disk Utility の View ポップアップメニューを Show All Devices に設定してから実際のドライブを消去してみると、今度はうまく行った。まだ macOS Recovery にいるままの状態で、Disk Utility を終了して、Time Machine バックアップからのリストアを開始した。長い時間が掛かると分かっていたが、当初は 4 時間と表示されていた予定時間がどんどん伸び続けて 10 時間ほどになった。夕食の後に見てみると 61.6% が済んだと表示されていたが、これは遅過ぎる。それから数時間後にもう一度見ると、表示はまだ 61.6% のままだった。これはダメだ。

それから強制的に Mac を再起動すると、今度は macOS Recovery でさえ起動できず、Internet Recovery がロードされた。それはつまり、この SSD が死んだことを示す最初の兆候だった。そして実際、もう一度 Disk Utility で構成を調べるともはや SSD は表示されもせず、その後二度と表示されなかった。そう、これは既に『元オウム』だ

私はある意味こだわり過ぎのところがあるので、作ってあったブート可能な複製 (ありがたいことにこれは起動した) で起動してから、もう一つ別のハードディスクに作ってあったブート可能な複製をアップデートするようセットした。そうして私はベッドに入った。重大な問題への対処は睡眠中にするのが一番だ。

次の朝、私は短期的、中期的、長期的な選択肢をいろいろと検討してみた。

“仕事を済ませるため”の短期的解決策

もちろん MacBook Air で仕事をすることは可能だけれども、解像度 1440×900 ピクセルの 13 インチスクリーンでは窮屈だ。とりわけ、私は 27 インチ iMac の隣に 27 インチ Thunderbolt Display を並べて使うことに慣れているのだから、私のいつものデスクトップは 5120×1440 だ。その上、ラップトップ機での作業は短時間なら構わないが、ラップトップの人間工学は最悪で、いつもの仕事時間をぶっ続けでラップトップで仕事すれば私の体がもたない。

最も手近な解決策は iMac をブート可能な複製で走らせて使うことだったが、これには問題があると分かった。2014 年型 iMac は USB 3.0 と Thunderbolt 2 に対応しており、Thunderbolt Display がこれに FireWire 800 ポートを追加していた。それぞれの理論的速度は (毎秒ギガビットをストレージ機器で一般的な毎秒メガバイトに換算すると) 次のようになる:

私のバックアップドライブは 2.5 インチ Seagate 2 TB FireCuda Gaming ドライブを OWC Mercury Elite Pro ミニ外付け筐体に収納したものだ。このドライブは建前上 128 MB のキャッシュメモリを持つことになっている。ただ、これはたったの 5400 rpm であって、バックアップを作成する際にはこの速度でも別に気になる問題は生じなかったけれども、起動ドライブとして使おうとすれば信じられないほど苦痛だ。USB 3.0 は理論的には 625 MBps の能力があるかもしれないが、実際にこのドライブを Blackmagic Speed Test でテストしてみると、読み取りと書き込みの双方とも速度は平均的に 20 から 25 MBps というところだった。あ痛っ! その時点での私には FireWire に切り替えることまで頭が回らなかったが、面白いことに FireWire の方が若干成績が良くて同じドライブで 25 から 30 MBps という結果が出た。こうして得た教訓がこうだ:

教訓 #1: ブート可能な複製は起動ドライブとして使える程度に高速でなければならない、そうでないと Time Machine のような読み出し専用バックアップに成り下がる。

比較のために、Tonya の同じ 2014 年型 27 インチ iMac の内蔵 SSD を調べてみると、読み出し速度が 750 MBps ほど、書き込み速度が 500 MBps ほどであった。これに比べて 20 倍から 30 倍も遅いとなれば、このハードディスクが使い物にならないことがお分かり頂けるだろう。

Performance of the hard disk via USB 3.0 versus the iMac's internal SSD

私が結局採用することにした方法が、パフォーマンスの問題を解決してくれた。MacBook Air を起動時に T キーを押すことで Target Disk Mode に起動して、Thunderbolt 2 を使ってそれを iMac に繋ぎ、そこから iMac を起動したのだ。起動は遅いけれどもそれは我慢できる。いったん iMac が走り出せば、いつもと違いが感じられないほどのパフォーマンスが得られた。ただし忘れてならないのは、ドライブにストレスをかけるようなことはできるだけ避けるべきだということだ。Blackmagic Speed Test によれば、読み出しと書き込みの速度は 120 MBps ほどで、ハードディスクよりも 5 倍か 6 倍程度速いだけだ。面白いことに、これらの数字は Thunderbolt 2 を使わずに MacBook Air の SSD をそれ自体で計測した場合よりもかなり低い。つまり、Thunderbolt 2 は MacBook Air の内部バスに比べてかなり低速に違いない。

Performance of MacBook Air SSD native and via Thunderbolt 2

このやり方で一応仕事はできるようになったけれども、問題は他にもいくつかあった。一番厄介な問題は、iCloud や他にもかなり多くのアプリがその認証情報を Mac 内部のハードウェアに結び付けているので、独立動作の MacBook Air を iMac の起動ドライブに切り替えることにより iCloud やその他のアプリが私がマシンを切り替えようとする度に認証を求めてくることだった。理由は結局分からなかったが、Brave の中の機能拡張でさえ、同じストレージデバイスの中にあるはずなのに私が Mac の頭脳を切り替える度に消滅してしまった。その上、この MacBook Air はしばらく前からスリープするとカーネルパニックに陥る傾向があり、以前の私は Catalina のインストールがまずかったからだろうと思っていたのだが、今の私はハードウェアが故障しつつあるのだと考えている。たぶん熱を感知するトリガーが悪いのだろう。カーネルパニックはリッドを閉じたときにしか起こらないから。だから、ここでの教訓は:

教訓 #2: Target Disk Mode が有用なのは時折のトラブルシューティングか緊急の用途に限るのであって、毎日の仕事には使えない。

(MacBook Air を新しいモデルで置き換えることもちょっと考えた。いずれはそうしようと思っていたのだし、新しいモデルで iMac を起動すれば問題も少ないだろうと考えた。けれども Target Disk Mode にはやはり具合が悪いところがあってその方法には気が進まなかった。さらに悪いことに、テストを Tonya の 2016 年型 MacBook Pro でしてみると、結果は失敗に終わった。Target Disk Mode にはできるのだが、iMac から USB 上でそれが見えないのだ。Thunderbolt を試せばうまく行ったかもしれないが、私は Thunderbolt 2 to Thunderbolt 3 アダプタを持っていなかった。)

いずれにせよ、Target Disk Mode の MacBook Air から起動できるということは、私の大スクリーンの上で実質的に仕事ができるという意味でもあり、ブート可能な複製のみにあるファイルやアプリにさえアクセスできることを意味していた。(私の iMac の SSD は 500 GB で、MacBook Air の SSD はたったの 250 GB なのだ、両者は重要な点で似た構成ではあるものの、同一ではない。)

“いつまでもこのままじゃいけない”中期的解決策

MacBook Air を接続したり接続を切ったりする度に二重人格の問題に直面することと、構成に多少不十分なところがあること、それにカーネルパニックの問題もあって、私は数週間か数か月以内にはもっとちゃんとした解決をしないといけないと思った。

ここでもまた、最も手近な解決策があった。それは、iMac の内蔵 SSD を新しいものと交換するという方法だが、ここでもやはり私はその方法を採らなかった。これは最も安価で最もクリーンな解決方法だが、その一方で動作停止期間が最も長く、リスクも最も大きい。たぶん私は 27 インチ iMac のスクリーンを切り剥がすことはできるだろう... その通り、スクリーンを支えている接着剤を切り裂く必要がある。そうしておいて SSD を交換し、スクリーンを取り付け直すのだが、その際には常に致命的な (そう、iMac にとって致命的な) ミスを犯す可能性が付きまとう。さらに悪いことに、この話題を (いつも非常に有益な) TidBITS Talk で議論してもらったところ、古くからの友人の Ron Risley が OWC の Hard Drive Upgrade Kit を使って 27 インチ Retina Mac のドライブを交換したところ 再接着したスクリーンが外れて落ちてしまったという体験談を語ってくれた。

(それでもまだ、私はこの方法を採用するかもしれない。ほんの数か月前に TidBITS が Josh Centers のために購入したマシンの代わりに受け取ったもう一台の 2014 年型 27 インチ iMac が私の手元にあるからだ。Josh はそのしばらく前からこのマシンで、とりわけその Fusion Drive で、トラブルを抱えていた。だから、こちらの iMac の中を開いて、Fusion Drive を SSD で交換して問題が解消されるかを試してみたいと思っている。もしもそれがうまく行けば、私の iMac でのやり方も分かるだろうし、それもうまく行けば補修済みの iMac が 2 台も手に入ることになる!)

修理をしてくれる店が近所にあってまだ営業しており、たぶんこの修理仕事もしてくれることだろう。それでもやはり、その店に行ったことはないし、ニューヨーク州に出ている在宅命令の下で外出するのは気が進まないし、数日の動作停止期間は覚悟しなければならないし、修理担当者がヘマをするリスクもあるしで、私はこのやり方も採用しないことにした。(Apple にこの iMac を送って修理してもらうという選択肢はない。Apple リテール店は閉店しているし、いずれにしても車で一時間以内に行けるところはない。Ithaca 市内に Apple Authorized Service Provider は一軒あるけれども、ここは重要ビジネスのみを相手に修理をしていて、そもそも私は彼らの過去の仕事に良い印象を持っていない。)

それにまた、二番目に手近な解決策も除外せざるを得なかった。これについてはすぐあとで議論しよう。私はその代わりに、iMac を起動するための外付け SSD を買うことにした。MacBook Air を Thunderbolt 2 経由で Target Disk Mode で使ったパフォーマンスは満足できるものだったが、それでも USB 3.0 が達成できるはずのものには及んでいなかったので、外付け SSD ならばそれと同等またはそれ以上の働きをするだろうと考えたのだ。また、1 TB モデルを買えばこれまでプレッシャーを感じていた空き容量の心配もなくなり、その上これまでハードディスクに避難させていた私の Photos ライブラリを SSD に戻すこともできるだろうと思った。

そこで考えるべきは、どれだけの予算をかけるかという問題だ。

教訓 #3: Mac を可能な限り長く使い続けようとすると、新しい周辺機器を買う際に接続性やパフォーマンスの問題が起こり得る。あらかじめ計画してアダプタを取り揃えておこう。

長期的解決策

ついさっき二番目に手近な解決策に触れたのを覚えておられるだろうか? それは、思い切って新しい 27 インチ iMac を Apple Card で購入し、そちらへ移行することだった。いずれにしても iMac を買い換えることは以前から検討していたし、今回のハードウェア故障が良い口実になるという誘惑は強かったのだが、困ったことに Apple はもう一年間以上も iMac を更新しておらず、それはつまり今は最良の買い時ではないということを意味していた。

それでもなお、今年のうちのどこかの時点で、たぶん私は iMac を買い換えるだろう。5K Retina スクリーンを大いに気に入っているので新しい 27 インチ iMac を買うかもしれないし、または Mac mini に加えて新世代の湾曲 49 インチスクリーンで 5120×1440 ピクセル程度のものを DellPhilipsSamsung といったところから購入して付けるのも良いかもしれない。この、いわゆる QHD (Quad HD) モニタは理想的と言えるほどには高画質でなく、ピクセル密度は iMac の 5K ディスプレイや LG UltraFine 5K Display などの 218 ppi に比べて劣る 109 ppi しかないが、LG スクリーンと同等の価格ではるかに大きなスクリーン面積が得られる。これは今後が楽しみだ!

リストア作業は必ずしも理想通りに簡単ではない

Samsung T5 外付け SSD が到着すると、私はこれでうまく行きそうだと思ったのだが、障壁はまだ残っていた。データを Samsung T5 へリストアする道を辿り始めたところ、自分がハードウェアとソフトウェアを最新のものに保っていなかった結果として引き起こされた、奇妙に絡み合った一連のジレンマのただ中に放り込まれていることに気付かされた。私の MacBook Air はそのリリース以来 Catalina で走っているけれども、iMac の方はまだ Mojave のままでアップグレードしていなかった。

なぜそれが問題かというと、私は Samsung T5 を ExFAT から APFS へ再フォーマットしてあったが、それは SSD 上で Mojave を走らせるのには適している。インストールの手順の中で macOS インストーラが Recovery パーティションを作成することを私は承知していたけれども、SuperDuper でリストアする場合にはどうなのだろうか? HFS+ ドライブを APFS ドライブへ移動させる際に Recovery パーティションを作成すべきだということを SuperDuper が知る手段がないのではないかと私は心配だった。

(それは私の推測に過ぎなかった。360 GB ものデータを動かすのだから、推測が誤っていてまた新たにもう一日コピーに費やす羽目には陥りたくない。けれども、その後 Shirt Pocket の Dave Nanian に尋ねてみたところ、彼は 2017 年のブログ記事を示して私の疑問を解消してくれた。SuperDuper は、ソース側のドライブが HFS+ であっても APFS であっても、またバックアップドライブが HFS+ であっても APFS であっても、Recovery パーティションをバックアップする。APFS へリストアする際にも SuperDuper はきちんとすべきことをして、Recovery パーティションを作成し、リストアする。HFS+ ドライブへリストアする際は、SuperDuper はもし存在すれば既存のその Recovery パーティションへリストアするし、もし存在していなければあなたが自分で macOS を再インストールして Apple のインストーラに Recovery パーティションを適切に作成させなければならない。私の場合は Samsung T5 を APFS にフォーマットしていたので、何も問題ないとのことだった。人生これ勉強だ!)

作業をした時点では SuperDuper が問題なく働くことをまだ知らなかったので、私は macOS を再インストールする必要があると判断した。いずれにせよたいていはそれが良い考えだ。当初私は Mojave を再インストールしようと試みたが (この iMac にはそれが走っていたのだから)、でもそれには問題があることが分かった。私は Mojave インストーラのコピーを保存して持っていたのだが、MacBook Air を Target Disk Mode にして起動してみると、Catalina で動作していたため、Mojave が古過ぎるとしてそのインストールをさせてくれなかった。そこで私はブート可能な複製ハードディスク上にあったバージョンの Mojave で起動し直してみたが、今度は Mojave インストーラが破損しているという表示が出た。(それが真実だと信じる理由は何もなかったが、私には反論する術がなかった。これはおそらく期限切れの証明書の問題に関係していたのだと思う。2019 年 10 月 28 日の記事“保存してある macOS インストーラを期限切れ証明書への対処で再ダウンロード”参照。) こうして私はローカルなインストーラをあきらめた。

Errors when trying to reinstall Mojave

教訓 #4: 保存してあるインストーラは定期的にチェックしよう。必ず働くと思い込んではいけない。

こうして私は macOS Recovery に立ち戻った。けれども、内蔵 SSD の Recovery パーティションはもう使えなかったので、Command-R を押しながら起動すると Internet Recovery に入ることになり、入るだけでも最大 10 分から 20 分もかかる。ようやく待ち時間が終わって Reinstall macOS オプションを選ぶと、10.10 Yosemite が呈示された。この iMac の出荷時に搭載されていたのがこのバージョンの macOS だったからだ。時間がかかるという理由だけでも、私には Yosemite をインストールしてからそれをアップグレードするのは嫌だったし、いずれにしても Mojave へアップグレードする方法があるのかどうかそれほど確信がなかった。Software Update が私に Catalina を与えようと試みるからだ。

結局のところ、私は Command-Option-R を使って Internet Recovery に入り、私の iMac で使える最新のバージョンの macOS を入手することにした。つまりそれは Catalina だ。もともと私は 10.15.4 が出て以来そろそろ Catalina にアップグレードしようと思っていたところだったので、こうやってアップグレードを強制されてもそれほど嫌ではなかった。できればアップグレードの作業と Samsung T5 への切替を別々にして変化項目の個数を抑えたかったのだが、この状況ではそんな贅沢は言えなかった。

教訓 #5: macOS のアップグレードはしばらくの間は先送りにできるが、いずれ何かの理由でアップグレードせざるを得なくなる。いつまでも避けられると豪語せず、いずれは心構えを整えておく方が良い。

(こうやって物語を語り直していても伝わらないのではないかと思ってしまうのは、すべての手順がどんなにイライラさせられるものかということだ。何しろ MacBook Air を起動するだけでもケーブルを挿し直したり認証をリセットしたりしなければならないし、ブート可能な複製のハードディスクから起動するには 6 分近くもかかるし、Internet Recovery からの起動には 10 分から 20 分もかかる。どこに macOS を再インストールすべきかを見極める段階に至るまでだけでも、私には数時間もかけて iMac を繰り返し繰り返し再起動する必要があった。)

最後には、あるべき姿で Catalina のインストールができた。それから私は Setup Assistant を使ってブート可能な複製のハードディスクの内容をリストアすることができた。何時間もかかったが、実のところずっと見ていた訳ではないので、実際に何時間だったかのは知らない。私には答が見つからなかったけれどもぜひとも調べてみたいものだと思っている問題は、ブート可能な複製からリストアするのと、Time Machine からリストアするのとでは、どちらがどの程度速いのかという疑問だ。

Slow performance when restoring data

インストールが済んだ後で、最初の数回の起動は結構厄介だった。私は起動時にかなり多数のアプリを自動的に起動するように設定しているからだ。そうこうするうちに私は Keychain Access に入り、私の "adam" キーチェーンを選択して、File > Make Keychain "adam" Default を選んだところ、次から次へと私のキーチェーンパスワードを求めるダイアログが押し寄せた。けれどもその嵐が過ぎた後は、何とかすべてのアプリにログインすることができ、物事が正常に動き出した。

教訓 #6: macOS を再インストールしてバックアップからのリストアを済ませても、Mac が完全に機能する状態に戻る訳ではない。リストア後もさらなる作業が必要になることを覚悟しよう。

Performance of Samsung T5 SSD via USB 3.0

Samsung T5 を起動ドライブにしてからまだほんの数日しか経っていないが、今のところすべてのことが正常に働いているように見えるとはいうものの、完全に元通りになった訳ではない。システムの起動とシステムの終了に以前よりずっと長い時間がかかるようになった (システムの起動に 2 分か 3 分かかる) し、macOS Recovery への起動さえ普通より遅く、およそ 8 分もかかる。とりわけ奇妙なのは、Samsung T5 が USB 3.0 上でのパフォーマンスは素晴らしく、Thunderbolt 2 経由の MacBook Air さえ凌ぐほどであることだ。読み出しと書き込みの双方とも 400 MBps を超える速度が出る。今のところ私に思い付くのは、Mac は起動時と終了時に依然として内蔵 SSD からのエラーを探して受信しているからではないかという説明だ。そのため、それらのエラーがタイムアウトを迎えるまで待つために時間がかかっているのではないだろうか。

さらにもっと奇妙なのは、私には未だに理由が理解できないでいるのだが、再起動したりログインしたりすると、2 分間以上にわたって Wi-Fi が使えない状態が続くことだ。実際本当の意味で使えない。メニューバー上の Wi-Fi アイコンをクリックしてもメニューが出ず、System Preferences > Networking の左側のサイドバーにいかなるネットワーキングサービスも表示されない状態が続く。起動してから 2 分か 3 分経つと、突然 Wi-Fi が目を覚ましてすべてが正常に戻る。この現象は Target Disk Mode の MacBook Air から起動していた際にも何度か起こったし、何が原因かを見つけ出すためにあらゆる変数を検討するための時間を私はまだ確保できていない。とにかく何かが異常だ。

Weird Wi-Fi problem
ご覧の通り Wi-Fi アイコンがグレイアウトしネットワークアダプタが一つも使えない (左図) が、その 23 秒後に生き返って Network 環境設定枠は完全に元の状態 (右図) に戻る。

何人かの人たちから外付け SSD で起動すると仮想メモリに悩まされる という話を聞いていたのだが、幸いにもどうやら私は仮想メモリの問題点には遭遇せずにいるようだ。問題を経験した人たちの話では macOS が仮想メモリのスワップファイルを作成できなくなることがあるようで、どうやらその原因は APFS スワップボリュームをマウントできなくなるかららしいとのことだ。この問題には複雑なスクリプティングを使った回避策が見つかっているが、もしも私がその問題に遭遇したなら、私はまずドライブを再フォーマットして macOS を最初からインストールし直す道を選ぶだろうと思う。この種のことについては macOS インストーラが物事を最も正しく構成できるだろうと思うからだ。

思うに、この長話はまだ完結を迎えてはいないのだろう。かくのごときテクノロジー苦境の学び舎にてさらなる教訓をまた知ったなら、必ずやまた皆さんにお伝えしたいと思う。それはそうとして、私の思考の道筋を辿ることで、皆さんが将来のトラブルシューティングと回復の取り組みに備えるためのヒントとなれたならば嬉しい。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Transmit 5.6.4

Transmit 5.6.4

Panic が Transmit 5.6.4 をリリースして、ダウンロードの最中に Google Docs ファイルを自動的に変換する機能への対応を追加した。このファイル転送アプリはまた、カラム表示で名前の編集中にコンテクストメニューを出した場合に起こったクラッシュを解消し、Backblaze B2 で 10 GB 以上の転送をする際の信頼性を高め、Amazon S3 で既存のファイルを置き換える際に一部のカスタムヘッダが適用されなかった問題を解決し、転送の切断後に再開した場合に Transmit がファイルサイズを 0 KB と表示することがあったバグを修正し、Cover Flow を Gallery View に改名し、macOS 10.15 Catalina の一部のマシン上で Gallery View のアイコンのレンダリングに問題があったのを修正した。(新規購入 $45、無料アップデート、34.8 MB、 リリースノート

Transmit 5.6.4 の使用体験を話し合おう

Default Folder X 5.4.5

Default Folder X 5.4.5

St. Clair Software が Default Folder X 5.4.5 をリリースして、スクリーン共有セッションで走る際のパフォーマンスを改善するとともに、Option キーを押しているとメニューやサブメニューの項目の並び順を逆にする機能を追加した。この Open/Save ダイアログを拡張するユーティリティはまた、サブメニューで項目の並び順がランダムになることがあったバグを修正し、ARCHICAD が Default Folder X のせいで過度の CPU 使用をすることがあった問題を修正し、macOS 10.15 Catalina の下で起動ディスクの名前とコンピュータ名が同じ場合に Default Folder X が混乱してしまった問題を解消し、ファイルダイアログの中で Escape キーが働かないことがあったバグを修正した。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、8.4 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)

Default Folder X 5.4.5 の使用体験を話し合おう

Fantastical 3.0.11

Fantastical 3.0.11

Flexibits が Fantastical 3.0.11 をリリースして、タスクアプリ Todoist への対応を改善し、また数多くのバグを修正した。このカレンダーアプリはまた、Todoist タスクのタイトルの中に別途リンクを付けた URL を表示するようになり、他の人に割り当てられた Todoist タスクを隠すオプションを追加し、タスクが重複してイベントとして作成された場合のデフォルトの警告を追加し、長いノートを持つ Zoom ミーティングの付いたイベントを移動させる際の問題点を解消し、Day 表示や Week 表示を使う際に Fantastical が過剰にメモリを消費していたバグを修正し、Exchange 上に all-day タスクを同期する際の問題点を修正している。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.99、無料アップデート、21.9 MB、リリースノート、macOS 10.13.2+)

Fantastical 3.0.11 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

文の終わりに何個のスペースを入れるか? Microsoft が介入する

ピリオドの後に何個のスペース文字を入れるべきか? (1 個!) これは大昔から熱く交わされている論争で、1 個という人たちもいれば (私たちも!) 、いや 2 個だという人も、ずっと遡れば 3 個という人さえいる。文の終わりに入れるスペース文字の個数にどんな意味があるかについて人々の意見は一致しておらず、どうやらこれはタイピングの流儀が年月を経て少しずつ変わった結果によることのようだ。けれども少なくとも最近十年間においては、ピリオドの後には 1 個のスペースというのが主流になったようだ。(いいぞ!) そして今、Microsoft がこの論争に介入して、将来のバージョンの Microsoft Word ではピリオドの後の 2 個連続のスペース文字をエラーとマークする。(ようやく!) Microsoft はしばらく前から既にこの機能をテストしており、寄せられたフィードバックの圧倒的大多数は肯定的なものだったという。でも、もしもあなたが 2 個のスペースを好む側の人なら、提案を無効にすることもできる。いずれの側の人にも、コメントをぜひお読みいただきたい。(双方の側の) さまざまな背景情報や意見がたくさん寄せられている。

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“安っぽい”方法が Apple II のカラーに至る

Pong ゲームの生みの親であり Steve Jobs にテクノロジー上の大きなチャンスを与えたことで有名な Al Alcorn の興味深いインタービュー記事が IEEE Spectrum に掲載され、彼が Pong にカラーを追加した挿話が語られた。Alcorn は大学の学費を稼ぐためテレビの修理業者として働いていた。テレビの修理をしながら、彼はカラーバー生成器が“安っぽい”方法でカラーを生成していることに気付いた。フェーズを合成して適切な方法でカラーを生成する代わりに、NTSC にある奇妙な点を利用するクリスタルを使っていたのだ。Alcorn はその後 Pong でハードウェアのコストを下げるためにこの方法を適用した。ゲームの“コード”がすべてハードウェア上にある時代だったからだ。スクリーン上の個々の要素にカラー付けすることはできなかったのでこれは原始的なシステムに過ぎず、個々の項目のカラーはそのスクリーン上の位置によって決まっていた。後になって Alcorn はこのテクニックを Steve Wozniak に示し、当時 Wozniak は Atari の夜勤で Jobs とよく一緒にいたが、Wozniak はこれを Apple II に適用して、その後のことは皆さんご存知の通りだ。

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Bloomberg、Apple が 2021 年に Mac を ARM に移行させると伝える

噂は何年も前から飛び交っていたが、今回 Bloomberg の記事が 2021 年のどこかの時点で Apple が Mac を Intel CPU から自社独自の ARM ベースのプロセッサへと移行させる予定だと伝えた。Bloomberg の予想では、Apple のチップが iMac や Mac Pro など大きなコンピュータを駆動できるだけの準備ができるまでの間はまず先に新型のラップトップ機に搭載するところから始まるだろうとのことだ。Apple のプロセッサの製造は、iPhone 用と iPad 用に Apple のプロセッサを製造している Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. が担うことになり、8 コアを備えて、そのうち 4 つはコードネーム Firestorm のハイパフォーマンスのコア、残りの 4 つはコードネーム Icestorm の省電力コアだという。

Apple は 15 年前に Mac を Intel プロセッサへ移行させた。その理由は、Motorola の PowerPC アーキテクチャが競争力を失いつつあったからだ。そして今日、Intel の発展力も同じように停滞しつつあり、Apple としては自社独自のチップ設計を使うことでリリース予定にも供給チェーンにもより多くの制御の手を及ぼせるようになるだろう。プロセッサのアーキテクチャを変更するのは決して小さなことではないが、Apple は過去に 2 回の経験がある。最初は 1990 年代中頃の Motorola 68000 から PowerPC チップへの移行 (1995 年 11 月 20 日の記事“PowerPC プラットフォームのスペックが発表された”参照)、2 回目は 2005 年の PowerPC から Intel プロセッサへの移行 (2005 年 6 月 6 日の記事“Apple が Intel プロセッサに移行”参照) だ。

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