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#1519: Apple が Intel とお別れ、macOS Big Sur がデザイン変更を導入、iOS 14 が Home 画面を改訂、watchOS 7 が睡眠と手洗いを追跡

今日の WWDC で、淡々とした語り口から始めつつ猛烈な加速で勢いをつけて、Apple はそのエコシステムを根底からひっくり返してみせた。まず発表されたのは Mac の Intel から離れての移行と、そして Mac OS X 以来最も徹底的なデザイン変更が施される macOS であった。iOS 14 で Apple は Home 画面を考え直し、Google の Android から借りてきたアイデアをたくさん取り入れた。iPadOS 14 はそれらの機能を取り込むとともに、Newton 以来世に出ていなかったレベルの手書き文字認識機能を追加した。一方、watchOS 7 は睡眠追跡と、共有可能な文字盤、手洗い支援機能を Apple Watch に導入した。今週注目すべき Mac アプリのリリースは DEVONthink 3.5.1、Lightroom Classic CC 9.3、Fantastical 3.1、Nisus Writer Pro 3.1、Microsoft Office for Mac 16.38、PDFpen と PDFpenPro 12.1、それに Carbon Copy Cloner 5.1.19 だ。

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Mac、Apple シリコンで ARM へ移行

WWDC 2020 キーノートで、Apple は Mac プロセッサ移行の噂にようやく終止符を打ち、Apple は将来の Mac 用に ARM ベースのチップを設計していると具体的に明言した。予想に違わず、Apple はこの動きをワット当たり最高の性能を手にし、Apple のカスタム技術をサポート、そして全ての Apple 製品に亘って共通のアーキテクチャーを持つためだと説明した。

Apple custom technologies enhanced by custom silicon

同社は独自のカスタムチップを初期の iPhone リリース以来設計してきており、2013 年には A シリーズを立ち上げ、iPhone 4 と初代の iPad に A4 を搭載した。第三世代 iPad のリリースと共に、Apple は最初の iPad 専用のチップ A5X を導入し、iPhone 5 の A5 チップと対とした。それ以来、Apple は A#X チップを高性能タスク用に設計された iPad モデルに搭載してきた。

AX chips that power the iPad

Apple が Mac の移行をその名前付けに盛り込んでいたと想像することも可能である。と言うのも、iPhone XS でデビューした A12 Bionic は 2018 年の iPad Pro モデル用に A12X となり、その後 2020 年に iPad Pro モデル用の A12Z Bionic で置き換えられたからである。Apple はその A12Z チップを Mac mini ベースの Developer Transition Kit (DTK) ハードウェアに使っている。これは開発者が彼らのアプリを開発し試験するのに使えるもので、明らかに macOS を走らせ要求の厳しいアプリを走らせるのに十分な性能を有していると思われる。

Specs of the Apple Developer Transition Kit

互換性

プロセッサ移行の主たるストレスは互換性を中心に発生する。開発者は2つの全く違ったアプリを書き、配布したくはないし、ユーザーは既存のアプリを可能な限り使い続けたい。驚くことではないが、Apple はこれらの心配を無用にしようと試みた。でも、悪魔は常に細部に住み着いており、開発者が DTK ハードウェアを掘り下げていく迄、分からないであろう。

第一に、Apple は自らの全ての macOS アプリを Apple シリコンにネイティブとなるよう書き直したとわざわざ断った。これにはプロ向けアプリ、Final Cut Pro や Logic Pro の様なものも含まれる。キーノートデモを通してのアプリの性能には全く問題はなかった。そして、同社はキーノートの最後の部分で、その前の部分も Apple シリコンを使った Mac 上で、恐らく A12Z-powered DTK ハードウェアであろう、走っていたと認めただけだった。

WWDC は、当然ながら、開発者カンファレンスであり、Apple は、その Xcode 開発環境には開発者が自らのアプリを Apple シリコン用に再コンパイルするのに必要となるであろう全てのものが入っていると言った。詳細はアプリにより異なるであろうが、Apple は、多くの開発者は彼らのアプリを数日で走らせられるであろうと言った。試験にはもっと長い時間が必要であろう。何故ならば、それは両方のプラットフォーム上でなされなければならないからである。以前のプロセッサ移行でもあったように、Apple は幾つかの鍵となる開発者に事前に種まきをしていた。そのお陰で、Microsoft Office アプリ (Word, Excel, そして PowerPoint) と Adobe Photoshop 及び Lightroom がネイティブで走るのを示すことが出来た。

Intel と Apple プロセッサ用に別々のアプリというのは理に適わないので、Apple は Universal 2 というものを出してきた。これは、一つのアプリ用のコードの両方のセットを一つのファイルに統合するというものである。Apple が Intel 移行の時に使った名前を再利用したのは少し驚きではあった。当時、"ユニバーサル" アプリは PowerPC と Intel コードの両方を含んでいた。Panorama X の開発者である Jim Rea が我々に語ってくれた所によると、ユニバーサルアプリにおいては大きさは問題にならないと言う。何故ならば、プラットフォーム間で異なるマシンコードは通常近代のアプリの全体の大きさに対しては小さな寄与しかしていない、とりわけ、画像、メニュー、ヘルプ書類、等々に比べれば、ということである。いずれにしろ、我々が想像するのは、Intel-based Mac と Apple シリコン使った Mac との間でブートドライブを途切れることなく切り替えることは出来ないであろう、或いは全く出来ないかも知れないということである。

Universal 2 and Rosetta 2 icons

では、既存のアプリはどうであろうか? Intel 移行時には、これらは Rosetta 翻訳環境でサポートされた。それは以前のアプリの PowerPC コードを Intel-based Mac 上で走るよう翻訳するものである。これは、2006 年前半の Mac OS X 10.4 Tiger に含まれて最初の Intel-based Mac と共に出荷され、そして 2011 年の半ばに出荷された 10.7 Lion 迄オペレーティングシステムの一部として、5年に亘って存在した。

Universal 2 と同じように、Rosetta 2 は、今年後半に macOS Big Sur と共に出荷され、既存の Intel ベースのアプリを Apple シリコンを持つ Mac 上で走らせられると Apple は言った。Rosetta 2 は既存のアプリをインストールする時に翻訳するので、起動する度に余分な負荷をかけるわけではない。アプリの中には just-in-time コードに依存しているものもあるが、それらに対しては、Rosetta 2 は動的な翻訳をその場でこなす。Apple は Rosetta 2 はユーザーには完全に透過的だと言っている - 皆さんはそれが走っていることに気づかないはずである。

我々はそれが本当であることを願う。翻訳環境には常に二つの二律背反がつきまとう:互換性と性能である。互換性に関しては、Apple は Rosetta は全ての既存のアプリをサポートすると示唆しているが、それはまず間違いなく macOS 10.15 Catalina で既に走っている 64-bit アプリに限られるであろう。より低位のソフトウェアは、カーネル拡張やドライバーの様な、サポートされる可能性が下がるが、それは DTK ハードウェアを手に入れた人達が報告し始めるまで分からないであろう。

Apple によれば、性能は "素晴らしい" と言う。Apple の経営陣がそれ以外のことを言うのは想像しがたいが、Autodesk の 3D モデリングアプリ Maya や Shadow of the Tomb Raider ゲームのデモは両方とも良く走っていた。もっとも、ストリーミングの限界を考慮すれば、本当にそうであったかは分からない。では、同じことが全てのアプリにも言えるであろうか? そして、その性能は同等の Intel-based Mac 上で走らせた場合と比べるとどうなのであろうか? その答えは、もう少し待たなければならない。

仮想化はどうであろうか? Apple の経営陣は、Apple シリコン搭載の Mac は仮想化もサポートすることにも忘れることなく言及し、ウィンドウに Linux が走る Parallels Desktop を示すことまでした。彼らは Linux については二度ほど言及したが、開発者とのからみで (結局の所、これは WWDC である)、Boot Camp や Microsoft Windows の仮想化については一言も触れなかった。世の中には ARM 用の Windows は存在するし、Parallels や VMware は間違いなくそれをサポートするであろうが、それには多くの制約が付いてくる

Parallels Desktop running Linux on Apple silicon

ちょっと待って、もう一つある。ええ、その通り、Steve Jobs の言い草を借りたつもりである。DTK ハードウェアの A12Z チップの素晴らしさは、それが現行の iPad Pro を走らせているチップそのものだと言うことである。つまり、全ての iPhone と iPad アプリは Apple シリコンを持つ Mac 上でネイティブに走ることが出来るはずである。このことはキーノートでも簡単に触れられたが、私はこれが大きなセールスポイントになり得ると思う。iOS 及び iPadOS アプリの多くは Mac 上では意味をなさないが、意味をなすものも沢山ある。Apple はそれらを独立したウィンドウとして、小さな Mac アプリの様に、示したが、私にはそれらを Mac のメニューバーに置かせてくれるユーティリティの存在が思い浮かべられる。クリック一発でアクセス出来るではないか、ふーむ...

スケジュール

Apple シリコン搭載の Mac を買いそしてアプリがどの様に走るか見られるのは何時になるのであろうか? Apple は最初のその様な Mac は 2020 年の末までには出荷されると言ったが、どの製品群になるのかについての詳細は明らかにしなかった。

それは低価格帯ラップトップであろうとの推測はあるが、キーノートを通しての A12Z-based DTK ハードウェア上での (そして 6K Pro Display XDR 上での) デモを見ていると、多くはプロ指向のものであった。従って、Apple が DTK Mac mini を公式の Apple シリコン搭載の Mac mini として出すことも考えられる。Apple はそれに伴い新しい名前を考えつくかも? 12 月中旬には、答えが見えるかも知れない。もし Apple のこれ迄の "年末までに" の約束が今回も守られればの話だが。

Apple によれば、移行全部を終えるには2年かかるという。我々の解釈は、"その時点で、現行のラインナップにある全ての Mac は Apple シリコンに基づいている" と言うことである。キーノートの中で、Apple 経営陣は、同社は Intel-based Mac 用の macOS を "この先何年も" サポートし新しいバージョンをリリースしていくことを敢えて強調していた。加えて、Apple には "開発中の新型 Intel-based Mac がある" と言う。従って、この先 3-5 年間のあなたのニーズを満たしそうな Intel-based Mac が今あるのであれば、Intel-based Mac を今買うのを避けるべき理由は何も見当たらない。

このスケジュールは、PowerPC から Intel への切り替えよりも少し長い。Steve Jobs はそれを 2005 年の WWDC で発表し ("Apple が Intel プロセッサに移行" 6 June 2005 参照) そして Intel プロセッサ搭載の新型 iMac と MacBook Pro を翌年の Macworld Expo で披露した ("Intel ベースの iMac と MacBook Pro、予想より早く出荷" 16 January 2006 参照)。もし私の記憶が正しければ、Apple のラインナップにある全ての新型 Mac は 2006 年末までには Intel プロセッサを使っていた。

Mac Pro と iMac Pro が Apple シリコンへと移行するのにはもっと時間がかかるかも知れない。何故ならば、それらの販売量は少なく、Apple にとっては主力製品の移行の方がより重要だからである。

良い動きか?

これは Apple 側から言えば良い動きか? 間違いなく。それは、Apple がキーノートで示唆したようには継ぎ目のない移行にはならないであろうし、Apple がやること全てに文句のある人は嬉しくないであろうが、彼らは決して満足しない人達である。

しかし、技術が留まることは決してないし、David Shayer が最近 "ARM-Based Mac の正当性" (9 June 2020) で書いた様に、Mac を Apple シリコンに移行させることは、同社により高い利益とそのサプライチェーンに対するより大きな統制力を与える。同時に、我々ユーザーにもより高い性能と、全ての iPhone と IPad アプリのお陰で遙かに多くの能力をもつ Mac を与えてくれるであろう。

討論に参加

Michael E. Cohen Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Apple、macOS を Big Sur... そして 11 へ

Apple の Software Engineering 担当の上席副社長としても知られ、他の人には "Hair Force One" として知られる Craig Federighi が、今年の Worldwide Developer Conference キーノートの後半に、次期バージョンの macOS, macOS 11.0 Big Sur と呼ばれる, に盛り込まれる変更の要旨を駆け足で披露した。

見た目と音

長年の Mac ユーザーに最も目につく変化は、Big Sur の改訂された Finder インターフェースであろう。無くなったのは一定の濃さと触感で存在してきたグレイのメタル窓枠だが、別の言い方をすれば Mac が最初にカラーになって以来の変化とも言える。新しい Finder は、iOS/iPadOS の Files アプリからデザインを借り、タイトルバーとツールバーの両方を無地の白色背景 (或いは、ダーク背景の選択肢もある) に表示する。他のウィンドウ機能は違った視覚兆候に依存する。例を挙げると、Finder ウィンドウサイドバーで、これはこれ迄になく透けている。

サイドバー全般が、全ての Apple のアプリでデザイン変更を受けているが、その目的は、乱雑さを減じそして機能性を向上させることである。Finder ウィンドウはまた、簡素な枠づくりのお陰で、より緩やかに湾曲しており、乱雑さが減っている様に見える。同様に、Apple は Big Sur の Dock にも手を加え、より透けるようにし、画面の底から少し上げて浮かして iPadOS の様にしている。この画面の縁からの分離が、Dock を左や右に配置することを好む人達にも当て嵌まるのかは、分からない。

Big Sur

Apple はまた Dock 内の (そして Finder ウィンドウでも) アイコンのデザインも見直した。 陰影や色使いが微妙に強化され、3次元性への回帰となった。多くのアイコンはこの3次元性を偉大な Anti-Skeuomorphism Revolution (反スキューモフィズム革命) の中で失っていた。それが起こったのは、iOS では version 7 で、直ぐ後に Mac にも移行した

シート (ウィンドウの上端から降りてきて何かをするよう警告するもの) は今や、画面の残りの部分が薄暗くなるのと同時に現れ、注意を注ぐことが求められていることに気づく手助けをする。それらはアプリウィンドウの中でもより目を引くようになっている。

これらの視覚的変更と一緒に、インターフェースの統一性を保つことに対する一大努力が注がれ、ボタンに対するシンボルは、例えば Share や Undo ボタンの様な、全てが一つの統一されたシンボル集から書き起こされた。その狙いは、ユーザーにこの形は何を意味するものか推測を強要するような奇妙な非標準のボタンを開発者が作り出さなくとも済むようにすることである。

Big Sur は、あなたの目だけではなく耳も喜ばせたいと思っている:Apple はそのシステムサウンドもアップデートしたと言っている:聞いたことがあるように聞こえるかも知れないが (以前の音のスニペットに基づいている) 完全に新しく生成されたものである。

Center の強化

macOS には前から画面の右側の裏に隠れていてユーザーが全く予期しない時に飛び出てくる隠れたインターフェース項目がある:Notification Center である。そこには、最近受け取った通知が並び、そして有用なウィジェットもサポートする。例えば、カレンダーや天気ウィジェットで、これらはこれからの予定や雷雨を知らせてくれる。

どれぐらいの Mac ユーザーが Notification Center に大きく頼っているかは我々には分からないが (我々の多くはそうではない)、Big Sur は Notification Center の能力を多くの点で強化して、iOS が提供するものに近づいたと Apple は言っている。

まず、Big Sur の通知は双方向のやり取り能力が増え、幾つかの通知では直接行動が取れる。例えば、通知を長押しすると更なる情報がもたらされたり、Mail 通知では、返信作業を始められる。大分前からそう出来るようになっていたものもあるが、この改善が人を引きつけるかどうかは見てみたいと思う。次に、iOS でと同様、通知は今やスレッドやアプリでグループ化されるので、Slack によって乗っ取られてしまった Notification Center の混乱に多少の秩序をもたらしてくれるだろう。もし望むなら、この機能をオフにすることも出来る。

Notification Center で使えるウィジェットも大幅に増えた。Apple は App Store にサードパーティ開発者が自らの Notification Center ウィジェットを並べられる専用の区域を設置した。そして、iOS 14 でと同様、これらのウィジェットには色々な大きさが用意されているので、自分のニーズや Mac の画面サイズに合わせてNotification Center をより良く整理出来る。

Notifications in Big Sur

Notification Center と共に、Apple は Control Center も iOS から持ち込んだ。これは多くのメニューバー項目を一カ所にまとめられるので、System Preferences を開かずにそれらにアクセス出来る。iOS でと同様に、欲しい制御子だけで Control Center をカスタマイズし、追加の選択肢に対しては制御子を掘り下げるということも出来る。より手早くアクセスするため、最もよく使うメニュー項目をメニューバーの上部にピン止めすることも出来る。

Big Sur の変更はどれぐらい大きいのか?

長年に亘って、Apple は macOS のリリースに対して "チクタク" 手法を取ってきた。Leopard と Snow Leopard, Lion と Mountain Lion, Yosemite と El Capitan, Sierra と High Sierra の様に。しかしながら、その流れは Mojave と Catalina で途絶えた。そして、Big Sur も、以前のバージョンの単なる改良以上の独立したリリースという流れを引き継いでいる様に見える。

一番明らかなのは、Apple が漸進的なリリースを暗示する Catalina に関連した名前を選ばなかったことである - Big Sur は California の Central Coast の山間地帯である。Avalon ももはやこれまで、これは Catalina Island の都市の名前で、我々が投票したい Catalina に関連した名前であった。

Big Sur のアプリや関連したエコシステムにおけるユーザーに向けた変更の大部分はそれ程大きくないが、開発会議における巨大な出し物を考えれば驚くには当たらない - Apple シリコンへの切り替えである (Adam Engst の記事 "Mac、Apple シリコンで ARM へ移行" 22 June 2020 参照) Apple は Big Sur のアプリの全てを Apple シリコンのために再コンパイルしなければならなかった。同社はそれは簡単だと暗示していたが、それでも macOS と共に出荷されるアプリ全てを考えれば、それは大変な作業量である。

そして、勿論のことだが、最も重要な変更は Big Sur の内部にある:Apple のカスタムチップ上で走るのに必要なコード、既存のアプリをサポートするのに必要な新しい Rosetta 2 翻訳環境、そして Intel ベースのアプリ用のコードと Apple シリコン用に書かれたアプリを一つのパッケージに纏める Universal 2 方式である。

Big Sur が今年後半に出荷される時、それがきちんと働くことは必須であり、とりわけ、Apple シリコンを搭載する最初の Mac 上で、それが何であれ、きちんと動くことが重要である。Catalina はこれ迄も問題の多いリリースであり、我々が次の macOS 開発の年に向かっている時にあっても、Catalina へのアップグレードを引き続き心配する人達の声が絶えない。Catalina を完全に飛び越し、Big Sur に期待をかける人は沢山いるであろうから、我々としては、Catalina の時よりも Apple が Big Sur の試験と磨きをかけることにしっかりした結果を残すことを期待したい。

討論に参加

Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

Big Sur、多くの Apple アプリと基本的機能に変更を加える

Big Sur (2020 年 6 月 22 日の記事“Apple、macOS を Big Sur... そして 11 へ”参照) で macOS は全体的に異なるルック&フィールを持つことになるが、Apple は自社製の重要なアプリを忘れた訳ではない。Maps と Messages は長年の懸案であった徹底的な見直しを受けるし、Safari はプライバシー報告機能を備えるとともによりロックダウンされた拡張機能を持ち、Photos やその他のアプリもマイナーな調整を受ける。それ以外にも多くの変更点があって、例えば Home アプリの顔認識機能が Photos アプリと家庭用監視カメラを結び付ける。

Mail も Big Sur で何らかの変更を受けるだろうとは思う。これは iPadOS のプレビューで Mail に示された情報からの推測だ。でも Apple は今回のキーノートで macOS の Mail は実演しなかったし、当初の機能リストに載せることもしなかった。

Messages

多くの意味で、Messages アプリは遥か昔の原点からそれほど大きくは変わってこなかった。Apple はいくつかの要素に調整を加えたり新機能をいくつか付け加えたりしてきたが、基本的に Messages で左側に会話のリストが表示され個々のメッセージが右側に来るという点は変わらなかった。

けれども Big Sur で、Messages はテキストメッセージング中心の考え方を離れて、スレッド化されたグループメッセージングのソフトウェアに似たものへと重点を移し替えた。結果的に、見た目がぐっと Slack に似たものになった。グループチャットの中で誰かを @mention してハイライト表示させたり、自分が誰かに @mention されたら通知を受けられるよう設定したりできる。返信もグループの中でスレッド化できる。また、グループが独自にアバターを得ることもでき、そのアバターは写真でも、ミー文字でも、絵文字でもよく、アバターはグループの全員で共有される。

時系列に並んだたった一つの会話リストが左側に出る代わりに、重要な会話を一番上のところにピン留めしておける。全部で 9 個までが iOS、iPadOS、macOS を横断して同期される。ピン留めされた会話で何かアクションが起これば、そのインジケータ (Tapback リアクションアイコンも含む) がピンの上に表示される。グループチャットの中では、あなたが最後にチェックした時以後のメッセージにその会話のリスト項目に属する他のメンバーに対応したアイコンが輪状に示される。

Messages in Big Sur

検索は長らく Messages の不毛の地であった。今回 Apple は、テキスト (語句を含む)、リンク、写真を見つけるようにして、よりまともな、使える結果を出すようになった。

Messages にこれまで欠けていた機能が一つ追加された。あなたの iMessage 電子メールか電話番号を連絡先リストに入れていない人にも、あなたの名前と写真を共有できるようになったのだ。たとえあなたからの連絡を期待していても、従来あなたからの初めての iMessage を受け取った人は不可解な気持ちにさせられたものだった。けれども今回、その情報をどのように共有するかについてさまざまの選択肢が提供される。無効にすることも、すべての人と共有することも、自分の連絡先に登録してある人たちだけと (その人の連絡先にあなたが載っていないという名目で) 共有することもできる。また、会話を始めたいと思う人に、あるいは会話で返信をもらってから、特定の人にその情報を push して送ることもできる。

Messages はソーシャルな、あるいは家族間の目的で頻繁に使われるので、Apple は楽しさの度合いを増そうと努め、人気ある他のメッセージングアプリの機能に匹敵するものとなろうとした。一種の“激しさ”コントロールで、送るメッセージをどの程度「大声で、または優しく」伝えたいかを表現し、受け取った人の目にもその感情が生まれるようにする。ティーンエイジャーたちは親に向かってメッセージを“投げつける”ことができて、私としてはとてもありがたい機能だと思う。(どうぞ皮肉として受け取って頂きたい。) また、Apple はソーシャルメディア上でトレンドとなっている人気の画像を追加できるようにしている。Twitter や Giphy を使っている人にはお馴染みだろう。ミー文字にはこれまでより多くのニュアンスが込められ、かつてなかったほどあなたによく似たミー文字をデザインすることができ、ステッカーを共有して使うこともできる。火には火をもって戦うということか。やれやれ。

最後にもう一言。macOS 全般で、とりわけ Messages で、これまで長い間メディアピッカーは機能が劣っていた。Apple はこれを拡張して、最近の写真やアルバムを手軽に選んでメッセージの中で共有できるようにした。

Maps

Apple は Maps アプリと地図データの改良を主として iOS と iPadOS に集中させてきた。モバイルデバイスで使うことを考えればそれは妥当な判断ではあったが、結果として macOS 用の Maps が取り残されてしまった。Big Sur では Maps がモバイル版とかなり同等のところまで押し出され、すべてのオペレーティングシステムで備わる新しい機能の追加もある。

これにより、調査やプレビューの目的で大きなスクリーンの利点を存分に利用できるようになる。外出する際には、作成しておいた道順を詳細情報をモバイルデバイスへ移したり、あるいは iCloud 経由で同期させたりすればよい。

変更点の多くは、旅に出かける前にその道順や行先の地域について計画を立て、ビジュアル化できるようにするためのものだ。電気自動車を運転して行く人は、充電ステーションの場所を考慮して道順を決め、充電にかかる時間を計算できる。iPhone と電気自動車が統合されるので、macOS 用の Maps は現在の充電状態とその車が使っている充電装置のタイプに基づいてより正確な情報を提供できる。何万ドルもの大金をはたいてそのために新しい自動車を買う価値があるものかどうか私たちは知らないが、このことは新たな自動車統合機能が登場する度に皆が頭を悩ませる問題なのだろう。

自転車に乗る人は、今回第一級市民への昇格ができる。道路の混み具合や標高など、自転車乗りに必要な詳細情報が提供されるからだ。予定の道順を iPhone に転送して、自転車に乗りながらナビゲーションを受けることもできる。

Maps in Big Sur

将来、私たちが再び楽しみのために旅行できるようになれば、旅行会社と提携して作成される新しい Apple Guides がショッピング、レストラン、文化、娯楽などいろいろな提案をしてくれる。また、自分でプランを作成してそれを知人たちと共有することもできる。私の経験では、旅行の準備で一番楽しい方法は地上からの眺めを見ることだ。いくつかの都市で、Apple は現在、都市の街路上からインタラクティブな 3D 360 度の画像をパンして見回すことができるようにしている。

新しい Maps には屋内用の機能も組み込まれるので、例えば商店街のモールで (そのモールが存在している限り) 道案内が得られ、行きたい店を見つけたりもできる。Apple は問題点も際立たせているので、例えば空港でレストランがセキュリティチェックの内側にあるか外側にあるかも分かる。

ますます多くの都市で渋滞緩和のために乗り入れ制限などが見られるようになって、特定の時間帯にどの種類の自動車が乗り入れできないかが決まっていたり、その区域に乗り入れる際に税金を徴収されたりすることがある。新しい Maps はそういう情報も提供して、可能な限りそれを避ける道順を選べるようにする。中国では、乗り入れ制限のある区域にアクセスできるかをチェックするために自動車のナンバープレートの数字を Maps に入力できる。(Apple はナンバープレートのデータがセキュアに保存され Maps アプリの内部のみで使われると述べた。)

macOS 用の Maps はまた、到着予定時刻を共有する iOS 13 の機能も獲得する。あなたが何時ごろ到着するかを他の人たちに知らせ、あなたの許可があればあなたの旅程の更新情報を他の人たちが受け取れるようにすることもできる。たとえ iPhone か iPad からテザリングしたとしても、乗り換え時に稼働中のラップトップ機を持ち運ぶことなどまずあり得ないので、この追加機能を使えば共有を Mac から始めておいてあとはモバイルデバイスから位置情報の更新をすることができる。

Safari

Safari は近年、他のどの macOS 用の Apple 製アプリに比べても断然多くのアップデートを受けてきた。主として内部的な改善を継続的に受けて、とりわけ望ましくない追跡や広告テクノロジーの標的となることを避けるようにしてきた。Big Sur ではむしろプライバシーに関してより深く切り込もうとするが、新しい種類の機能拡張への対応を追加し (と言うよりもその復活を歓迎し)、また数多くの地味なインターフェイス変更も組み込んでいる。

Safari における Apple のプライバシー機能は、広範囲に及ぶものだが大体において隠されている。私の著書 Connect and Secure Your iPhone and iPad の多くの部分がそれらの機能のすべてを切り分けてどのように働くかを説明している。実際にそれらの機能が活動しているところを見る方法はほとんどないからだ。Big Sur で、Apple はプライバシー報告機能を追加したので、あなたに代わって Safari がどんなアクションを実行したのかを理解できる。

全体的な Privacy Report は、Safari が Intelligent Tracking Prevention を使ってブロックしたトラッカーの過去 30 日分を表示する。ここでは、別のウェブサイトに跨ってあなたを追跡しようとするトラッカーがブロックされる。また、あなたが訪れた個々のサイトの概要も見られる。それを使って、そのサイトがどのような行為をしているかが理解でき、それについて苦情を申し立てることも可能となる。Apple は、Privacy Report をスタートページに設定して新規ウィンドウや新規タブを開く度に見られるようにできるとも述べている。

Safari Privacy Report

Safari は今回、パスワード漏洩に関するまだ開示されていない追跡データベースを統合しており、パスワードが Safari に保存されたアカウントが公に知られたデータ漏洩に結び付いていれば警告を出す。近年何十億件ものアカウント記録が暴露され、私たちがしないようにとお勧めしていても、アカウントを横断してパスワードの再利用をしている人も多い。Safari は、漏洩で見つかったパスワードを更新するためのツールも含んでいる。(Apple は 1Password と同じくオーストラリアのセキュリティ研究者が運営している取り組み Have I Been Pwned による膨大なデータベースを利用しているのかもしれない。) 新しい Safari はまた、保存されたパスワードを Chrome から読み込むこともでき、ブックマークやブラウズ履歴を読み込むこともできる。

Big Sur で、Apple は Safari へのサードパーティ製機能拡張に対する方針をもう一度変更した。2014 年に始まった同社の最初の公式システムは JavaScript とウェブテクノロジーに依存していて、Objective C で Mac アプリを開発している人たちよりも広範囲な層のプログラマーたちからアクセス可能なものであった。けれどもセキュリティやその他の理由で Apple は 2017 年にこのやり方に制限を加え始め、2019 年 9 月にリリースされた古い macOS リリース用の Safari 13 で、またその次の月に出荷された 10.14 Mojave の一部として、Safari 機能拡張を完全に取り除いてしまった。

Big Sur で、ウェブ機能拡張が復活する。そして、どうやら以前より良いものになるようだ。Apple によれば、他の3つのメジャーなブラウザ、つまり Chrome、Firefox、Edge で使われている共通の仕様を採用していて、それらのブラウザ用の機能拡張を開発した人たちが簡単にそれを macOS 用 Safari に持ち込むことができる変換ツールを提供する予定だという。(Safari 14 は Mojave でも、またそれより古い互換な macOS リリースでもこれらの機能拡張に対応するという。)

Apple は Safari 用のネイティブな機能拡張も引き続きサポートし、Mac App Store に別途セクションを設けてそれらにスポットライトを当てる。現状では、機能拡張は他のソフトウェアと混ざって置かれており、見つけるのが困難だ。これらのネイティブな機能拡張はウェブ機能拡張に比べてより高度な機能にアクセスでき、App Store にある他のあらゆるものと同様に Apple による審査プロセスを経なければ提供されず、暗号化署名が入れられており、Apple のみによって供給される。

機能拡張がデフォルトで至る所で働くようにする代わりに、Big Sur の Safari は機能拡張をサイトごとのコントロール下に置く。サイトごとに機能拡張の動作に許可を与えて、ポップアップウィンドウ、ダウンロード、位置情報獲得などを制御する。これにはあなたがその機能拡張にどのようなアクセスを認めるかを説明するポップアップウィンドウも含まれていて、現在は Safari のサイト環境設定のみで選択できるようになっている。機能拡張への許可、例えば位置情報の許可は、一日限り、または永遠に認めることもできる。環境設定を通じてアクセスを無効にすることもできる。(具体的にどのように設定するかはまだわからないが、特定の機能拡張をすべてのサイトで承認するようマークすることも可能なようだ。)

私のように普段 Safari のウィンドウはたった一つにしてその中に何十ものタブを開いて使っている人のために、Big Sur では Safari タブの上にポインタをかざせば隠れたページのプレビューが手早く見られるようになる。また、Safari はタブの表示をより効率的にし、一つのウィンドウの中で以前より多くを一度に見られる。Apple は Big Sur の発表で、タブの中のファビコンの見栄えを大いに宣伝した。つまり、Location フィールドの中に各ウェブサイトが小さなロゴとして表示する、ごく小さなアイコンだ。けれどもこれは Mojave にもあった機能で、ただデフォルトでオフになっていた。私の知る限り、今回は単純にオンになるようだ。

Tab previews in Safari

また、Safari はパフォーマンスも改善しており、Apple によれば頻繁に訪れるサイトで Chrome に比べて 50% 高速でページをロードするという。また別の個所で、Apple は Safari が「Mac 用に最適化」されておりクロス・プラットフォームの環境に向けて開発されたものではないとも述べ、結果として Chrome や Firefox に比べてビデオについては大幅に、一般的なウェブブラウジングについては若干、消費電力が減ると語った。

ベータ版のリリース時点で興味深い新機能として興味深かったのが、Safari 内部でページを翻訳する機能だ。サードパーティのサイトを訪れたり、テキストをコピーしてからペーストしたりする必要がなくなる。基盤の HTML コードの中でそのページがあなたのオペレーティングシステムで設定された言語とは違う言語で書かれていることが示されている場合、翻訳アイコンが表示される。クリックすれば、そのページが英語、スペイン語、中国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、ブラジルポルトガル語のいずれかに翻訳される。

その他のアプリへの種々雑多な改良

Apple は他のアプリも忘れていた訳ではない。もちろん、Big Sur がいずれリリースされる頃までには、アプリとその変更点のリストもずっと大きなものになることだろうが。

その他 Big Sur での変更点寄せ集め

最後に、Big Sur で導入される多種多様な拡張のいくつかをまとめておこう。

Apple によれば Big Sur は“今秋”出荷されるという。2020 年 7 月に公開ベータ版が出る。通常通りに 9 月か 10 月の出荷が予想されるところだが、Catalina で見られたような品質管理の問題を (2019 年 10 月 21 日の記事“iOS 13 と Catalina がバグだらけな6つの理由”参照) Apple が解消済みであることを心から願いたいものだ。

討論に参加

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

iOS 14 と iPadOS 14 は Android と Newton を思わせる

世界中で起きていることを考えれば Apple もきっと動きを緩めて iOS 14 と iPadOS 14 にあまり大きな変更を加えるのは差し控えるかもしれないと想像していた方がおられたとしたら、その予想は外れた。iOS 14 は、2007 年に iPhone がスタートして以来最も大きなパラダイム・シフトを打ち出してみせるものとなる。

Home 画面

噂されていた Home 画面の見直しがやっと実現するが、大きく変わった点はおそらく Android ユーザーにお馴染みのものだろう。Apple の Craig Federighi は私たちの多くが長年我慢してきた現実の多くを認めた。つまり、アプリの並んだ最初の画面では指がすべてを覚えているかもしれないけれども、それ以外のページはごちゃごちゃでどうにもならないことだ。

この問題を解決するために Android は当初から Apps ドロワを設けて、それをすべてのアプリの中心的拠点とした。そこから、よく使うアプリを Home 画面に置くことができる。Apple はこれと非常によく似たものを実装しようとしているが、iOS 14 のやり方はもっとずっと魅力的で、App Library という形をとる。

App Library

この App Library は最後の Home 画面として呈示され、一つのスクリーン上にあなたのすべてのアプリを表示する。それらは Suggestions、Recently Added、いくつかのカテゴリーなどのタイルに分けて示される。個々のタイルの中ではアプリがアルファベット順にリストされる。それらのアプリを手軽に Home 画面に追加したり、要らなくなれば Home 画面から取り除いたりできる。私の予想では、きっと多くの人たちが自分のお気に入りのアプリを置いておく Home 画面を一つか二つ作り、それ以外のものはすべてその次の App Library に入れておくようにするのではないかと思う。これはまさに Home 画面で長年の懸案であった改善がやっと実現した訳で、Google にも物事を正しくやり遂げられることはあると認めたと解釈してよいだろう。

Editing pages in App Library

Android との類似点はそれだけではない。真の意味の Home 画面ウィジェットが iOS 14 で到来し、それをアプリのアイコンの代わりに使うことができる。ウィジェットは引き続きデフォルトで Today 表示 (Home 画面から右へスワイプ) に存在するけれども、それをさまざまのサイズや形で Home 画面に追加できるようになる。Apple が盛り込んだユニークな点は画面の一番上にある Smart Stack で、ここでスワイプして複数のウィジェットをコンテクストに基づいて巡ることができる。

iOS 14 widgets

Siri と翻訳

Siri は動作のしかたがかなり大きく変わる。ここでもまた、変更点のいくつかで Apple は Google からアイデアを借りた。変更点の多くは内部的に起こる。例えば、報道によれば Siri は一年前に比べて 20 倍も多くの事実を知っているのだという。

けれどもフロントエンドでは、iOS 14 の Siri はこれまでほどあなたの邪魔をしなくなる。いちいち "Hey Siri" と言わずとも Siri に直接話しかけられるようになるが、Siri はもはや全画面を占領したりしない。Voice Control 機能と同様、デバイスに話しかけるだけで画面上にある要素とやり取りできる。

The new minimalist Siri

音声ディクテーションも大幅に改良され、音声をクラウドへ送らずデバイス自体の上でこの機能を実行する。そのため、反応性もプライバシーも改善されるはずだ。また、11 種類の言語に対応したオフライン翻訳機能も備わる。

新しい Siri 翻訳機能とは別に、ビジュアルなインターフェイスを提供する Translate アプリも新たに内蔵される。(最初にそれをしたのは Android に違いないが、Google Translate はもう何年も前から iOS 上で利用できている。)

Messages

Messages にも注目すべき変更がもたらされる。Notes アプリの中でノートをピン留めできるのと同じように、会話リストの中で会話をピン留めできるようになる。

また、グループ会話のやり方にも大きな変更がある。グループメッセージにカスタムアイコンを作成できる。Slack やその他のスレッド化されたチャットアプリと同様に、特定のメッセージにインラインで返信できるようになるので、一つのグループ会話の中で複数個のスレッドを持てる。

参加者を名前で示すこともできるので、今誰に返信しているかが分かる。これらの機能によって、新たな混乱を増すことなくグループメッセージが明快化されることを願いたい。

Maps と CarPlay

もしいつかまた外へ出て旅することができるようになったら、iOS 14 のワクワクするような新機能がきっと役に立つだろう。Maps にはトラベルガイドや旅行記事が内蔵される。

Travel guides in Maps

でも最も印象的な改善点は、大都市での自転車用の道案内だ。当初は New York、Los Angeles、San Francisco で実現される。標高差、道路の混み具合、さらには階段の存在まで考慮される。また、Maps には電気自動車用の特別な道案内機能も加わり、現在の充電状態を考慮しつつ充電のために止まれるように道順を調整できる。残念ながら、これは自動車自体に組み込まれる必要がある。

Apple の車内用 CarPlay システムも大幅なアップデートを受けて、駐車場ガイド、EV 充電ステーションへの道案内、さらには手早く食べ物の注文までできる。けれども最大の変更点は、自動車のキーを iPhone に置き換えさせようとする Apple の取り組みだ。iMessage でキーを共有したり、遠隔でキーを無効化したり、さらにはティーンたちのために運転できる地域を制限したりさえできる。ただ残念ながら、この機能も自動車自体に組み込まれる必要があって、最初に実現するのは来年に発売される BMW の 5-Series だ。(どうすれば Adam を説得して BMW 5-Series の購入をビジネスの必要経費だと認めてもらえるだろうか?)

アプリをほんのちょっぴり

App Clips もまた、Android から借りてきた機能だ。あちらでは App Slices と呼ばれている。App Clips ではアプリをダウンロードせずにその機能のほんの一端を利用できる。Safari の中のウェブページや、iMessage や、Maps の中の場所や、さらには NFC タグや QR コードからも App Clip を起動できる。例えばあの打ち捨てられたかのようなキックスクーターを借り出すためだけにフルのアプリをインストールする必要がなくなる。個々の App Clip はサイズが 10 MB 以下と決まっており、もう要らなくなれば自動的に削除される。

App Clips

iPadOS 14: Newton の遺恨と Mac に向かう動き

iPadOS 14 には iOS 14 の機能がすべて組み込まれるとともに、むしろ Mac 風の新しい見栄えと Apple Pencil 体験の重要なアップグレードが加わり、その体験は Newton ファンたちが何十年も待ち焦がれていたものかもしれない。

iPad アプリの新しい顔

いくつかの iPad アプリにデザイン変更が施されて、見栄えが Mac 版に近付く。例えば Photos は横置きにするとサイドバーを表示する。

iPadOS 14 には iOS 14 の新しいウィジェットが採用され、Apple は Today View ウィジェットのデザインを改めた。もはや長方形が退屈に並ぶだけのものではなく、iPadOS のウィジェットは一つのカラムに二つが共存したりもできる。まるで小さな Apple Watche が並んでいるかのようだ。(Apple Watch が新しいウィジェットのデザインに着想を与えたのだろう。)

それから、Spotlight 検索が一から書き直されて、もはや全画面を占領することがなくなった。Mac 上の Spotlight と同様に、検索を呼び出すと現在前面にあるアプリの一番上のところにシンプルなグレイのバーで呈示される。

Apple Pencil の強化

Apple Pencil のファンは、大いに楽しみにしてよいだろう。iPadOS 14 の看板機能として Scribble がある。これは、新しい手書き入力機能に Apple が付けたマーケティング用の名前だ。どんなテキストフィールドの上でも Apple Pencil を使って手書きでき、Scribble があなたの手書きをテキストに変換して入力してくれる。また、単語の上に線を引いてそれを消したり、丸を書いてそれを選択したりできる。

Notes のお絵描き・手書き機能も大きく改良されつつある。Notes が自動的に手書き文字を探知して、それを絵と区別し、タイプした文字と全く同様に文字を選択したり操作したりできるようにする。文章を手書きしてそれをコピーし、タイプした文字としてペーストできる。もう何年も前から Preview がしてきたように、図形の概形を描けば、Notes がそれを理解してあなたが描こうとしている図形を推測し、その図形の完璧な形を挿入する。それからまた、Notes は手書きの文章にもデータ検出機能を持つので、例えば "December 15, 2020" と手書きしてその上でタップすればカレンダー項目が作成される。

Sketching in iOS 14 Notes

その他いろいろ

Picture in Picture

iPad (と Android) はもう何年も前から Picture in Picture 機能を持っていたが、今回これがもっと小さな画面にもやって来る。iPadOS でするのと同じようにスクリーン上でビデオをあちこち動かすことができ、オーディオだけを聴きたい場合にはビデオをスクリーンの外へ避けておくことさえできる。果たして YouTube がそのアプリの中でこの機能に対応してくれるかどうか、見守りたい。現在 iPad 上では対応していないのだが。

プライバシー

App Store アプリは標準化されたプライバシーカードを持つようになり、Apple はこれを食品の栄養成分表示に例えている。ここに、そのアプリがどの程度あなたのプライバシーに影響を与えるかが明確に説明される。アプリがマイクロフォンまたはカメラを使用中には新設された録音・録画インジケータが画面の一番上に表示される。アプリで共有される位置情報を正確な位置でなくおおよその位置のみにするというオプションも新設され、開発者たちにはユーザーが既存のオンラインアカウントを Sign In With Apple にアップグレードできるようにする手段が与えられる。

AirPods

AirPods Pro が iOS 14 で大幅なアップグレードを受け、空間オーディオが実質的にサラウンド音響をシミュレーションし、それをあなたがいる位置に応じて調整する。AirPods があなたの多くのデバイスの間を、あなたが現在どのデバイスを使っているかに応じて自動的に切り替えるようになる。また、バッテリー残量が少なくなるとスクリーン上に通知が出る。

Weather

Apple は Dark Sky 買収の成果を最大限に活用して、内蔵の Weather アプリに気象警報を組み込むとともに、米国内にいる人には毎分ごとの天気予報を提供する。

電話

電話がかかってきてもスクリーン全体が占有されることはなくなり、その代わりに通知バナーが表示される。このことは FaceTime 通話やサードパーティの VoIP アプリについても言える。

Phone ringing in iOS 14

まだまだ他にも

それ以外のことについても、iOS 14 ではいろいろと細かな調整が加わることが期待できる:

Apple は iOS 14iPadOS 14 それぞれに新機能のフルリストを公開している。

あともう一つだけ...

その通り、「あともう一つ」はいつもある。これは iPhone ユーザーたちが懇願し続けてきたのに Apple が演壇の背景スライドの中の膨大な項目の一つとしてしか扱ってこなかったことだ。でも iOS 14 でようやく、デフォルトのウェブブラウザと電子メールクライアントを設定できるようになる。待ちかねたよ!

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Julio Ojeda-Zapata  訳: 亀岡孝仁  

watchOS 7、睡眠追跡、手洗い検出、等々を導入

WWDC キーノートの中で、Apple は watchOS 7 に対して数多い重要な (革新的ではないとしても) アップデートを披露した。これには、前から予期されていたアップグレード (睡眠追跡、より良い盤面カスタマイズ)、他の有用な機能 (自転車行き先案内、Siri 言語翻訳) そして2つの驚き ("ダンス" 運動と、このコロナウィルスの時代にぴったりの手洗い検出) が含まれる。

驚くには当たらないが、watchOS 7 の焦点はフィットネスとウェルネスに当てられている。これは Apple Watch に対して前から Apple が強調してきたものである。いみじくも、Apple はキーノートでのこの watchOS の部分を同社のしゃれたフィットネスセンターで撮影している。

盤面のカスタマイズと共有

Apple Watch のファンは長い間、盤面のカスタマイズはやれることが限られており、そしてサードパーティに真っさらの状態からデザインすることを許していないことに文句を言ってきた。watchOS 7 でもサードパーティの盤面は許されていないが、盤面に対する種々の制限はかなり緩められた。

例えば、一つの盤面に一つの時計アプリからの一つ以上のコンプリケーション (組合せ表示) が表示出来る。Apple が示した例を挙げると:Glow Baby 盤面は、新米の両親が、哺乳瓶からの授乳、母乳授乳、搾乳統計、昼寝時間を追跡するのを手助けする複数のコンプリケーションを表示出来る。一方 Dawn Patrol は、サーファーに、サーフ場からの潮流、風速、水温データを与えることが出来る。

また、今やカスタマイズしたものを通常の方法で共有することも出来る。お薦めの盤面を受け取った人が必要なアプリ全部を持っていない場合は、それらをダウンロードするよう促される。

Sharing watch faces

Apple はその盤面ビルダーを合理化し、それをより魅力的なものとし、独自の新しい盤面も幾つか披露した。例を挙げると、Photo 盤面には今や色フィルターが含まれる; X-Large 盤面には、一つの目立つコンプリケーションを追加する選択肢が付いた;そして、Chronograph Pro 盤面には、一定の距離を移動する時間に基づいた速度を測るタキメーターが付いている。

Chronograph Pro

新しい Apple 固有のコンプリケーションには、Camera Remote, Sleep, そして Shortcuts がある。

睡眠追跡

長年、睡眠追跡は、サードパーティ睡眠追跡アプリは色々出ているし、そして watchOS 6 では出るだろうと (間違って) 予測されたこともあり、当たり前のことの様に見えてきた。Apple は、これは最も要望の多い機能だと言っている。そして、それは遂に現実のものとなった。

睡眠追跡は Apple Watch の加速度計経由の "微小な動き" の検出により、呼吸の解析を可能にすることで行われる。その結果、Apple Watch は、毎晩あなたが何時にそしてどれぐらい眠るかを知ることになる。朝には、その前の晩の眠っていた期間と覚醒していた期間を含めて可視化してくれる。更に、週間の眠りの傾向を示すチャートも示される。

Sleep tracking

Apple Watch は良き眠りにつく準備も手伝う。カスタム化できる Wind Down メニューには、これは iPhone 上で作成する、くつろぎの Home アプリの場面、心癒やす音風景、そして Do Not Disturb をオンにしながらの好みの瞑想アプリへの没入が含まれる。うとうとし始めると、Apple Watch は Sleep Mode に入り、画面を暗くし、タップすろと時間だけを薄暗く表示する。

起きる時間になると、Apple Watch は無音の触覚アラームか優しい音を起動し、電池残量を含む目覚まし画面を表示する (多くの場合、直ぐに充電することが必要になるから)。もし寝る前に Apple Watch にその晩のために十分な電池残量がなければ、寝る前にさっと充電する時間を持つよう促してくる。

Apple Watch wake-up screen

プライバシー保護のため、睡眠データは機器上でも、iCloud 同期を使った iCloud内でも暗号化されており、常にユーザーの管理下にあると Apple は言っている。ベッドの下のお化けに何をしているか知られたくありませんよね。

フィットネスと健康

Workout アプリは最も人気の Apple Watch アプリであり、Apple は引き続きそれに対する注力を惜しんでいない。今年も例外ではなく、4つの新しいワークアウトモードが導入された:Core Training, Dance, Functional Strength Training, そして Cooldown である。

恐らくこれらの中で最も興味を引きそうな Dance は、ユーザーが Bollywood, カーディオダンス (エアロビックス)、ヒップホップ、或いは Latin セッションを踊っている間に、時計は心拍数センサー、加速度計、そしてジャイロスコープを使って、色々なダンスの形に固有な腕と下半身の動きを検出し記録する。さあ、みんな、マンボだよ!

Apple lady dancing

Apple はまた Activity アプリにも少し手を加えた (アクティビティを3つの同心円で示すもの)。これは今や Fitness と呼ばれる。それはすっきりしたフィットネスデータダッシュボードとして働く。一つのタブには、アクティビティ、運動、賞、そしてアクティビティの動向が示される。他のタブには、アクティビティ共有や競争を含む集団活動が示される。

Health アプリも少し愛情が注がれたが、その多くは医療専門家向けのものである。新しい Mobility Metrics には、低域心肺フィットネス、歩行速度、階段降下速度、階段昇降速度、6分間歩行距離、両脚支持時間、歩幅、そして非対称性が含まれる。これらの数字は通常実験室環境でしか測られないが、Apple Watch と iPhone で計測出来そして医療アプリの開発にも使える。おっと、COVID-19 感染の検出にも使える血中酸素濃度の検出の話はなかったが、これは FDA 承認を待っている段階だと報じられている ("Apple Watch などウェアラブル機を COVID-19 感染検知に使える見込みあり " 3 June 2020 参照)。

手洗い自動検出

我々は、大分前から、最低でも 20 秒かけてのしっかりした手洗いで、病気の原因となる細菌やウィルスを除去出来ることは知っていた。そして、これは COVID-19 パンデミックの中にあってはとりわけ重要になっている - そして Apple Watch はその手助けが出来る。

Apple が "ウェアラブルとしては初めての革新" と表現したものからすると、watchOS 7 は Apple Watch の運動センサー、マイクロフォン、そして内蔵の機械学習を一緒にして、手洗いをするという兆候を検出する。20 秒のカウントダウンタイマーが始まり、触感と音で知らせる、もしユーザーが止めるのが早すぎれば、Apple Watch は続けるよう促してくる。

Handwashing with Apple Watch

また、家に着いたら手を洗うよう促すよう watchOS 7 を設定することも出来る。

iPhone 側では、Health アプリが手洗いの回数と時間を示す。また、手洗いが健康全般に如何に大事かに関する情報も提供する。手洗いを検出するのに使われる音は、自動的には録音されないし、Health アプリや Apple Watch によっても保存されないので、あなたの手洗い中の鼻歌を誰かが聴いてしまうのを心配する必要はない。

聞く

聞くことは、iPhone 及び Apple Watch ユーザーにとってのもう一つの鍵となる指標である。watchOS 6 で、周囲の音響レベルとその暴露時間を検出する Noiseアプリが導入され、傷つきやすい耳の構造を保護する手助けとなった。

watchOS 7 は、この流れの上に "ヘッドフォンオーディオ通知" と呼ばれる機能を付け加えた。それは、ヘッドフォンを通して音楽やポッドキャストをどれぐらいの音量で聞いているかを、そして危険領域のレベルになった時にも教えてくれる。週間の安全許容聴取量の 100% に達すると、Apple Watch は警告してくる。

この機能は iPhone や iPod touch でも使える。Health アプリを見れば、毎週どれぐらいの時間高デシベルの音量に晒されたかが分かる。繰り返しになるが、Apple は、Apple Watch や Health アプリによって録音されるものは何もないことを明確にしている。

自転車行き先案内

他の Apple 機器上での Maps アプリのアップグレードの派生として、watchOS 7 は自転車乗りを計画し実行するのを大きな、見やすいプロンプトでさせてくれる。自転車を降りて押すべき時、時間節約のための階段は何処にあるか、丘を回り込む道は何処か、自転車店は何処にあるか、そして目的地に最も早く到達する、或いは最短の道順はどれかを教えてくれる。

自転車狂の一人として、私はこの機能にとても期待している。自転車に乗っていて Apple Watch を使うのが難しい部分は、画面を見てそれとやり取りをすることであり、これらの問題に Apple がどう対処しているのかにとても興味がある。私が自転車行き先案内を Minneapolis-St. Paul で使えるようになる迄しばらくかかるかも知れない。と言うのも、私の住んでいる地区はこの能力を最初に手にする候補リストには載っていないからである。

Siri 改善

Star Trek の Universal Communicator の名声は未だ構想科学小説の中でしかないが、watchOS 7 の到来で、Apple Watch は更に一歩近づく。今や、腕を上げて、例えば、"How do you say hello in Japanese?" と尋ねることで、Siri からの話し言葉での翻訳が得られる。この助手は、タップしての翻訳を、そしてまたテキストとして提供する。

Siri はまた、入信メッセージを読み上げることも出来る。

価値のあるアップグレードか?

Apple が最初の幾つかのバージョンの watchOS での成長期の困難を乗り越えた後、同社は Apple Watch のセンサーと身体に近いことで可能となった能力に磨きをかけることに集中してきた。watchOS 7 はその方向を継続し、そして、決して革新的ではないが、一連の機能を加えて、Apple Watch を一段と歓迎出来る生活アクセサリとしている。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

DEVONthink 3.5.1

DEVONthink 3.5.1

DEVONtechnologies が DEVONthink 3.5.1 をリリースした。数多くの細かな拡張や修正を施した、メンテナンス・リリースだ。この書類および情報管理アプリは Navigate サイドバーの非統合データベース表示 (バージョン 3.5 で導入されたもの、2020 年 5 月 18 日の記事“DEVONthink 3.5”参照) を改良し、Reading List の項目を手でドラッグ&ドロップして並べ替えられるようにし、カスタム注釈テンプレートでプレースホルダーを使う機能への対応を追加し、Dark モードでシートの中のリンクの見栄えを改善し、Sorter でタブの見栄えをより首尾一貫したものにし、Spotlight 索引と Finder タグの更新のペースを早め、マウントされていないボリューム上にあるファイルの未処理の索引付けの扱いを改善し、Pro 版で OCR のパフォーマンスを上げて書類をより早くロードするようにしている。DEVONtechnologies サイトでさらなる詳細を読むことができ、フルリリースノートはアプリの Help メニューから読める。(DEVONthink 新規購入 $99、DEVONthink Pro 新規購入 $199、DEVONthink Server 新規購入 $499、TidBITS 会員にはそれぞれ 15 パーセント割引、無料アップデート、97.6 MB、macOS 10.11.5+)

DEVONthink 3.5.1 の使用体験を話し合おう

Lightroom Classic CC 9.3

Lightroom Classic CC 9.3

Adobe が Lightroom Classic CC 9.3 をリリースして、Library モジュールでカタログのグリッドをスクロールしたり、多数のコレクションを検索・フィルター分けしたり、Develop モジュールで編集スライダーを動かしたりする際のパフォーマンスを上げた。このデスクトップ中心の写真カタログ・編集アプリケーションは Sync、Tone Curve, および Color ツールに新しいルック&フィールを与え、ローカル調整ツールを使って特定の領域の色合いを制御できるようにし、画像の ISO 設定に基づいて画像を読み込む設定項目を新設し、また新たに Batch Export ダイアログを導入して保存先とファイル命名オプションにより多くのコントロールができるようにした。(月額 $9.99/$19.99/$52.99 の Creative Cloud 購読、無料アップデート、リリースノート、macOS 10.13+)

Lightroom Classic CC 9.3 の使用体験を話し合おう

Fantastical 3.1

Fantastical 3.1

Flexibits が Fantastical 3.1 をリリースした。在宅勤務用にビデオ会議の自動探知と計時付きカレンダーセットを組み込んだ、大きなアップデートだ。今回のリリースではさまざまのサービス (Zoom、Webex、Microsoft Teams、GoToMeeting など) に対応したビデオ会議リンク探知機能を追加して、ビデオ会議イベントの時刻が近付けばリストと Day および Week 表示、メニューバーのイベントリストにも自動的に Join ボタンが表示されるようにした。新しい計時付きカレンダーセットはクリック、タップ、またはキー組み合わせだけで複数のカレンダーとタスクリストを切り替えられ、あらかじめ指定された日時に自動的に有効化することもできる。

今回のリリースではまた、Reminders のパフォーマンス改善 (およびタスクでの all-day の切り替えに伴う問題の修正)、Google Tasks で期限日が一日ずれたバグの解消、Dark および Light モードのアピアランス設定への改良、同じ日のうちにすべてのイベントを削除した場合に起こり得たクラッシュへの対処、all-day イベントを複製した際に all-day タスクの作成ができなくなったバグの修正が施されている。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.99、無料アップデート、22.3 MB、リリースノート、macOS 10.13.2+)

Fantastical 3.1 の使用体験を話し合おう

Nisus Writer Pro 3.1

Nisus Writer Pro 3.1

Nisus Software が Nisus Writer Pro 3.1 をリリースした。この機能豊かなワードプロセッサへの大きなアップデートで、macOS 10.15 Catalina との互換性を改善し、いくつかの拡張を加え、英語以外のローカライズ版を復活させている。今回のリリースでは Page View で特定のファイルで作業している際に Catalina で起こったハングに対処し、Learn/Forget Words スペリングコマンドが働かなくなったバグを修正し、書類の中で壊れた相互参照を表示する内蔵メニューコマンドを追加し、Document Merge が PDF ファイルを書き出して Apple の Mail でメッセージを作成できるようにし、Page View でぎくしゃくしていたタイプライター・スクロールを滑らかにし、Microsoft Word との間で RTF ファイルをやり取りする際の互換性を高め、またデンマーク語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポーランド語、ポルトガル語のローカライズ版を復活させた。(Nisus Software からも Mac App Store からも新規購入 $65、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、244 MB、 リリースノート、macOS 10.11+)

Nisus Writer Pro 3.1 の使用体験を話し合おう

Microsoft Office for Mac 16.38

Microsoft Office for Mac 16.38

Microsoft が Office for Mac の月例アップデートを出して、新しい Data from Picture 機能を Excel に追加 (Office 365 購読が必要) した。Data from Picture 機能を使えば、撮影したスクリーンショットから、またはコンピュータや iPhone にある画像ファイルから、編集可能な表データを抽出できる。バージョン 16.38 ではまた、Outlook で口述による電子メールの作成ができるようになり、PowerPoint ではプレゼンテーションがスライドショーのモードにあっても変更の同期ができるようになった。(一回限りの購入ならば $149.99、年払い講読オプションは $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、macOS 10.10+)

Microsoft Office for Mac 16.38 の使用体験を話し合おう

PDFpen and PDFpenPro 12.1

PDFpen と PDFpenPro 12.1

Smile が PDFpenPDFpenPro のバージョン 12.1 をリリースして、ページ番号を異なる番号フォーマットの混合 (例えば i, ii, iii; a, b, c; or 1, 2, 3) で表示する機能への対応を追加した。いずれの版でもローマ数字・アラビア数字のページ番号で書類を検索できる。(ただし著者がそのページ番号フォーマットを指定したページラベルを含めていることが必要。) PDFpenPro 12.1 ではまだページラベルを持たない書類にもページラベルを追加できるようになり、変更を受けた書類でページラベルに変更を加えることもできるようになった。詳細は発表されていないがこれらの 編集アプリにはさまざまの修正や改良も施されている。(新規購入 $74.95/$124.95、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、アップグレード $35、バージョン 12 からは無料アップデート、86/133 MB、macOS 10.13+)

PDFpen と PDFpenPro 12.1 の使用体験を話し合おう

Carbon Copy Cloner 5.1.19

Carbon Copy Cloner 5.1.19

Bombich Software が Carbon Copy Cloner 5.1.19 (CCC) をリリースして、Apple の APFS 複製ユーティリティにおけるいくつかの故障条件に対処した。macOS 10.15.5 Catalina で Apple が導入したバグの結果として、一時的に CCC はこのユーティリティを使っている。このドライブクローン作成およびバックアップ用ユーティリティはまた、新規バックアップタスクのタスク構成ワークフローを改良し、この機能に関係した説明書をいくつか追加した。今回のリリースではまた、デフォルトで 1Password を除外しないようにし、放棄された System ボリュームがコピー元またはコピー先に指定された際に先を見越して対処できるようにし、APFS の当初複製の後処理段階でコピー先ボリュームの root から Backblaze .bzvol フォルダを削除するようにした。(新規購入 $39.99、無料アップデート、14.6 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)

Carbon Copy Cloner 5.1.19 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

  

訳: Mark Nagata   

この夏 Apple Camp at Home で子供たちを楽しませよう

少なくとも北半球に住む子供たちには、もうじき夏休みがやって来る。自分が家で仕事をしている間、子供たちに何かをさせておきたいとお思いの方々のために、Apple はこの夏の間 8 歳から 12 歳までの子供向けに Apple Camp at Home を無料で提供する。それぞれのセッションは 30 分から 60 分程度で、Cisco Webex を通じてホストされ、キャンプに参加した子供たちは Pages のアクティビティブックに従ってアート、コーディング、デザイン、ビデオなどを学ぶ。Apple はまだ開催期日や時間を発表していないが、 Apple Camp at Home ページにメールアドレスを登録しておけば申し込み開始時に通知を受け取ることができる。

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調査によればバックアップの頻度は増えたが、結果はまだまだがっかりだ

過去 12 年間にわたって、Backblaze は市場調査会社 Harris に委託して人々にシンプルな質問「あなたはどの程度頻繁にコンピュータの全データバックアップをしていますか」を尋ねてきた。良い知らせとしては、バックアップはしないと答えた人の割合が過去最低となった。悪い知らせとしては、そういう人たちがまだ 19% もいる。つまりほぼ 5 人に 1 人がバックアップを一切持っていないということだ。バックアップはするが一年に一回以下だという人たちも 39% いて、何もないよりはましだけれども大して良い知らせではない。毎日バックアップする人は調査対象のたった 10% で、毎週という人が 12%、毎月という人が 20% であった。Backblaze が発表した数字はプラットフォームごとに分類されていないが、私としては Mac ユーザーはもっと多くの人たちがもっと頻繁にバックアップしていると願いたいところだ。macOS には Time Machine が内蔵されているのだから。忘れないで頂きたいが、データ喪失の話となれば、それが起こるかどうかは問題でなくて、いつ起こるかが問題なのだ。

Backblaze backup frequency chart

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Apple Watch が水を吐き出すスローモーションビデオ

YouTube に Slow Mo Guys が投稿したのは、Apple Watch がスピーカーとマイクロフォン用の穴から水を吐き出すところを撮影した楽しいビデオだ。Phantom Flex 4K ビデオカメラを使って毎秒 1000 および 2000 フレームで撮影された。非常に大きく拡大されている魅力的な映像で、スピーカーとマイクロフォンを備えつつ Apple Watch の耐水機能を実現した Apple の巧みなテクニックが見て取れる。プレゼンターが Apple Watch を着けたまま水に飛び込むところも特に楽しい。

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