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#1530: COVID-19 接触通知、Big Sur と iOS 14 と Zoom の Take Control 本、新しい Mac への移行後にすべき作業

米国在住の読者の皆さん、共に Labor Day を祝いましょう! さて、Apple は先週 iOS 13.7 をリリースして Apple と Google が共同開発した COVID-19 接触追跡テクノロジーへの対応を組み込んだが、この機能を有効化できるのはあなたが住んでいる州または国が互換なアプリを出している場合のみであることに注意しよう。また、Apple は詳細不明のバグ修正を含んだ iPadOS 13.7 もリリースした。Apple の大規模アップグレードの季節が近づきつつあるが、Take Control シリーズの本を制作しているわが友人たちが macOS 11 Big Sur、iOS 14 と iPadOS 14、そして Zoom で役立つ新刊書を出した。今週号ではもう一つ、Adam が最近新しい Mac へ乗り換えた経験をもとに、見落としやすい落とし穴をリストにまとめ始めた。つまり、前の Mac から“何もかも”移行し終えたと思っても、まだ手直しの作業が必要になるところがいくつかあるということだ。今週注目すべき Mac アプリのリリースは LaunchBar 6.13、TechTool Pro 13、Bookends 13.4.5、それに Zoom 5.2.2 だ。

Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

iOS 13.7、Apple の COVID-19 Exposure Notifications を統合

Apple は新しい COVID-19 接触通知システムを組み入れ、明示していないバグ修正をした iOS 13.7 をリリースした。同社はまた、同じ様に明示していないバグ修正をした iPadOS 13.7 もリリースした。奇妙な点が一つある:Software Update で見られる現在のリリースノートはこれのためではなく、Apple が Web で掲載しているものとも合わない;無視するように。このアップデートは、iPhone 11 では 159.1 MB で、iPad Air では 353.3 MB だが、Settings > General > Software Update から、iTunes で、或いは macOS 10.15 Catalina かそれ以降が走る Mac 上の Finder でインストール出来る。

iOS 13.5 で、Apple は Exposure Notification API を導入した。これは Google との協業の元で開発されたものである ("Apple と Google、プライバシーを守った COVID-19 接触追跡&通知で協業" 10 April 2020, 及び "Apple、iOS 13.5 と iPadOS 13.5 を COVID-19 の世界に合わせる" 20 May 2020 参照)。この API は、国または国の公衆衛生機関によって、COVID-19 への暴露の可能性を通知するために使われることが出来るが、彼らはまずこの API を利用するアプリを開発し、そしてリリースしなければならない。各国政府のこれに向けた歩みはこれ迄の所遅々としているが、計画の第二段は変わらずに、両社ともこの Exposure Notification API を iOS と Android に組み込むことであった。Apple と Google は今や COVID-19 接触通知システムを iOS 13.7 及び Android の将来のアップデートに組み込んだ

この機能にアクセスするには、Settings > Exposure Notifications に行き、Turn On Exposure Notifications をタップする。iOS は次に、通知を有効化するために国と地域を選択するべく案内する。もしあなたの地域がこれらの接触通知に未だ対応していなければ、それは自動的に Availability Alerts 設定を有効にする。これは、この機能があなたの地域で使える様になったら通知を送ることを約束するものである。現時点で、米国内で対応している地域には、Maryland, Nevada, Virginia, そして Washington, DC が含まれる - もしこれらの場所の一つにお住まいであれば、経験はどんな感じか教えて欲しい。我々は他の国での状況がどんなものか知らない;自分の国の状況を知っている人は、コメントで知らせて欲しい。

The Exposure Notification settingSelecting an Exposure Notification region

この Exposure Notifications 機能が我々の地域でも使える様になったら、我々はそれをオンにする積もりであり、そして皆さんにもそうするようお勧めする。公共の場でマスクを付けるのがあなたへの、或いはあなたからの保護を保証しないのと同様に、 Exposure Notifications システムに参加することが、暴露の可能性を知ったり、或いはあなたが病気になった時他の人を保護する保証にはならないが、我々自身や他の人達を助けるために我々全員が出来るもう一つのことではあるのは間違いない。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Take Control、Big Sur, iOS 14, そして Zoom に取り組む

Take Control の友人達は、macOS 11 Big Sur, iOS 14, そして iPadOS 14 のベータを探求し、記録していくことに精を出している。これらのオペレーティングシステムの公式版を Apple が出荷するのは 9 月下旬か 10 月になると思われるが、その準備は Take Control of Big SurTake Control of iOS 14 and iPadOS 14 を使って今日から始められる。

一方、我々の仲間の Glenn Fleishman は、Take Control of Zoom のアップデート版と新しい無料の本 Take Control of Zoom Essentials のために、人気の Zoom ビデオ会議ソフトウェアの絶え間ない変更に遅れずについて行っている。

Take Control of Big Sur

Take Control of Big Sur cover

macOS 11 Big Sur は、長年の中で最も大きな根本的変更を Mac のインターフェースにもたらし、そして、新しい版の macOS を取り上げる Take Control の手法にも大きな変更がなされた。Take Control の出版者 Joe Kissell は、これまでインストール編と使用編の2冊に分けていた話題の両方の内容を彼の 140-page の Take Control of Big Sur にまとめた。$14.99 で買える。

Big Sur にアップグレードする準備を確実なものにし、そしてそのアップグレード過程を順を追って説明することに加えて、Joe は、Big Sur の新しい Control Center と再構築された Notification Center の使い方、デザインが新しくなった Messages アプリの新機能の活用の仕方、Maps の Look Around や他の新機能をどの様に使うか、等々を教えてくれる。

Take Control of iOS 14 and iPadOS 14

Take Control of iOS 14 and iPadOS 14 cover

Take Control in iOS 8: A Take Control Crash Course で初めて iOS を取り上げることに挑戦した TidBITS 編集長 Josh Centers は、毎年新しくされるもの全てを記録し、そして基本事項の詳細を提供するのに、大雑把に言えば同じ草稿から作業を継続してきた。

Take Control of iOS 14 and iPadOS 14 に対して、彼は全面的に書き直すことにし、これらのオペレーティングシステムの新機能に焦点を当てた全く新しくなったコンテンツの 101 頁を作り出した。彼は、新しい App Library を使って Home 画面を整理する方法、有用なウィジェットを使って Home 画面を強化する方法、Messages での新しいグループ討議ツールの使い方、Maps で自転車ルートを探す方法、Translate アプリを使って別の言語で会話をする方法、新機能を使ってプライバシーを守る方法等を示す。

これらの機能は全て iOS と iPadOS で共通だが、iPadOS 14 固有のものでは、Apple Pencil を使ってテキストを何処でも書ける新しい Scribble 機能、そして Notes アプリで Apple Pencil をもっと活用する方法を採り上げている。

Take Control of iOS 14 and iPadOS 14 は $10.99 で入手可だが、Take Control of Big Sur と一緒に買えば、 両方をたったの $16.99 で手にすることが出来る。

Take Control of Zoom Essentials と Take Control of Zoom

Take Control of Zoom Essentials cover

多くの人が家に縛り付けられ、遠隔で働いたり授業を受けたりする中、Zoom の様なビデオ会議ツールの重要性はこれ迄になく増している。それが、Glenn Fleishman が 39-page の Take Control of Zoom Essentials を無料で提供する理由でもある。これは Zoom を直ぐに使い始められるようにすることに焦点を当てたもので、場所の設定方法、装置を選ぶ、そして会議に参加する方法が含まれる。更に、効果的な会議参加者であるための助言も提供しており、自分の画面の共有方法も含まれている。もし同じ昔からの質問に答えるのに辟易しているのであれば、あなたの常連の Zoom 仲間に一冊ダウンロードするよう言ってやろう。

Take Control of Zoom cover

もし Take Control of Zoom Essentials が Zoom 知識への食欲をそそるのであれば、Glenn の 196-page の Take Control of Zoom も $14.99 で手に入る。これは Zoom ビデオ会議の始めから終わり迄の総合的な説明を提供しており、会議をホストするやり方についての不可欠な情報も含まれる。

新しい 1.1 バージョンでは、Zoom 経由で Keynote や PowerPoint プレゼンテーションをすることに関する章、内蔵のウェブカムに代わる更なる選択肢、そして仮想カメラを説明する付録が追加されている。他の重要なアップデートは Zoom ソフトウェアの最近の変更を反映しており、会議ホストの三つの型の詳細な説明も含まれる (前にも三つあったとは知らなかった)。

Apple の新しいオペレーティングシステムでもたらされる変更全てに関わるもの、初めて出版される本などの理由で、Take Control にとっては忙しい時期である。Joe Kissell が我々に話してくれた所によると、彼は今後数ヶ月の間に、新しいもの、そしてアップデートされたものを二十冊程度リリースしたいと思っているという。そこには、永遠の人気本である Take Control of Backing Up Your Mac, Take Control of Apple Watch, Take Control of Shortcuts, そして Take Control of Your Online Privacy 等が含まれる。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

新しい Mac への移行: 移行後にどんなことをすべきか?

数週間前に、私はそれまで使っていた 2014 年型 Retina ディスプレイモデル 27 インチ iMac を Apple の同モデルの新しい 2020 年バージョンにアップグレードした。(2020 年 8 月 4 日の記事“27 インチ iMac に大きなアップデート、他の iMac にも多少の変化あり”参照。) この新しいマシンは素晴らしいが、こちらの方がずっと逞しい CPU を備えているにもかかわらず、前のマシンと比べて体感的にパフォーマンスの違いが感じられないことは認めなければならないだろう。ただ、気付いたことがある。それは、これまで見られたさまざまのおかしな挙動がすべて消え去ったことだ。大騒ぎをせずにマシンを再起動できるのが、どんなに嬉しいことか。(2020 年 4 月 27 日の記事“iMac の死んだ SSD に対処しつつ学んだ 6 つの教訓”参照。)

この新しい iMac をセットアップする作業の最中、古い iMac を起動するのに使っていた Samsung T5 SSD から私の全データを移行させることは何の問題もなくできたのだが、それより後にどれだけたくさんの追加作業が必要になるかに気付いて私は少し驚いた。Setup Assistant を使った移行に際しての約束は、すべてを設定し直したりする手間も要らずすぐ仕事に戻れるという話だったのだから。

考え方としては素敵な約束だが、現実には、Setup Assistant ではあなたの作業を肩代わりできない、おそらくそれが不可能な分野が数多くある。それらはすべて、その Mac に内在する固有情報がどう変わったかに関係することであって、たとえマシンの名前とすべてのドライブが前と同じであってもどうにもならないことだ。

だから、新しい Mac を購入しようとしているあなたのために、移行後にもまだ残っていてあなたがしなければならない作業のいくつかを、ここにまとめておきたいと思う。とうてい包括的なリストと言えないことは十分承知しているので、あなたが新しい Mac へ移行した際に遭遇した他のことがあればどうぞ記事へのコメントでお知らせ願いたい。

Time Machine

古い Time Machine バックアップを新しい Mac で使いたいならば、もちろんそれをしていけない本来的な理由は何もないが、その際に macOS からバックアップ履歴を引き継ぐかどうかを尋ねるプロンプトが出ることを知っておこう。そうしても何の問題もないのだが、Time Machine が新しい Mac からもっとずっと多くのファイルをバックアップすることになり、結果としてドライブが一杯になることもあり得る。その場合、Time Machine バックアップを再スタートする (つまりそのドライブを Time Machine から除外し、Disk Utility を使って消去してから、Time Machine で選び直す) ことになり、唯一の難点として変更を受けたファイルの古いバージョンへのアクセスが失われてしまうだろう。

古い Mac で設定してあった除外項目がそのまま適用されることも知っておくべきだ。除外されたドライブをいったん削除してから追加し直す手間がかかるのだろうかと心配する声を聞いたことがあるけれども、私はその種の問題には出会わなかった。Time Machine の除外設定は System Preferences > Time Machine > Options にあるので確認しておこう。

SuperDuper と Carbon Copy Cloner

新しい Mac の起動ドライブの名前を古いものと同じ名前にしておきさえすれば SuperDuper や Carbon Copy Cloner がそのまま設定を引き継いでくれるだろうと思うかもしれない。でも残念ながら、名前は無関係だ。この点については Carbon Copy Cloner の開発者 Mike Bombich が親切にも TidBITS Talk で説明をしてくれた

これは CCC のバグでも macOS のバグでもありません。あなたがデータを新しい Mac へ移行させた場合にソースのボリュームがないと CCC が言うのは正常であり、正しいことです。CCC はここで何の想定もしていません。古い Mac の "Macintosh HD" ボリュームは新しい Mac にはなく、新しい Mac はそちら独自の "Macintosh HD" ボリュームを持っています。CCC はボリュームの名前のみを使って識別しているのではなくて、ボリュームの普遍的に固有の識別子を使っているのです。

この事実の実際的結論とは、ソースのボリュームを選択し直しておかなければならない、そうしないととスケジュールされたバックアップが正しく働き始めないということだ。どちらのアプリでもそれは簡単にできる。ただ一つの注意点として、直ちにそれをやっておくことによって、ブート可能バックアップの内容が最新になるようにしよう。

Backblaze

バックアップ状態の再接続が必要となるバックアップシステムは Time Machine だけではない。マシンの追加に別途料金を支払わない限り、Backblaze は同時に 1 台のコンピュータしかサポートしないので、新しいマシンに切り替えたことを告げる必要がある。それをすることによって、既にバックアップ済みのファイルが再アップロードされる事態も防げる。

古い Mac のバックアップ状態を Backblaze に引き継がせる手順はかなり面倒だが、Backblaze は明確な説明を提供している。要約しておこう:

  1. 新しい Mac の上で、既存の Backblaze ソフトウェアをアンインストールする。
  2. 新しい Backblaze ソフトウェアをダウンロードして、試用版としてインストールする。これによりライセンス供与の問題が回避される。
  3. 再起動して、すべての Backblaze ファイルのロックが外れているようにする。
  4. System Preferences > Backblaze を開き、Inherit Backup State をクリックする。
  5. プロンプトが出れば、あなたの Backblaze アカウントにサインインする。
  6. 前回のバックアップを選んで、これを引き継ぐ。

Backblaze の環境設定が開いているついでに、Select Hard Drives to Backup リストの中で適切なハードドライブが選択されていることを確認しておこう。

iCloud

iCloud で何が起こったのか私にはさっぱり思い出せないが、この新しい Mac で私の Apple ID パスワードをいったい何回入力したことか、もはやとうてい数え切れない。新しいドライブから起動する度に、iCloud は何らかのセキュリティの問題があると文句を言い始め、サインインし直すよう求めてくる。時には、サインインした後に引き続いてアカウントのログインパスワードを求められることもあるし、私の他の Apple デバイスのどれかのパスコードを求められることさえある。一年ほど前に、Glenn Fleishman がこれに関係したことを記事“なぜ Apple は新規ログインでパスコードやパスワードを要求するか (なぜそれが安全か)”(2019 年 9 月 26 日) で解説している。

皆さんのところで何が起こるかを私が予測することはできないが、macOS があなたの Apple ID やパスワードを何度も繰り返し要求しても不安を感じるには及ばない。きっとそのうちすべてが収まるだろうから。

プライバシーの許諾

ご存知の通り、macOS 10.15 Catalina ではアプリがあなたのデータ (Desktop および Documents フォルダ、さらには Calendar や Contacts のデータなど)、いくつかのハードウェア・サブシステム (特にカメラやマイクロフォンなど)、またはさまざまの機能 (オートメーション、スクリーン録画、位置情報認知など) にアクセスする際に、アプリが許諾を求めなければならない状況が増えた。

新しい iMac で System Preferences > Security & Privacy > Privacy を見ると、Setup Assistant が数多くのアプリからのリクエストと私の同意をここに持ち込んでいることが見て取れる。私がここ何か月も開いていないアプリもたくさん並んでおり、そのいくつかには私の許諾が与えられ、いくつかは拒否となっている。当然のことだが。

しかしながら、いくつかのアプリでは古い Mac 上で何かに許諾をリクエストしてあるのにそれが新しい Mac には移行されていなかったという事例に出くわした。例えば Input Monitoring カテゴリーに、古い Mac の上ではビデオ制作アプリ OBS にアクセスを許諾したという記録があった。ところが新しい Mac では OBS がそのカテゴリーに登場さえしておらず、私が初めてアプリを起動するとアクセスの許可を求めてきた。

それから 15 分間あちこち調べて回った結果、私に言えるのは新しい Mac に移行した後もプライバシーの許諾を求めてくるアプリがいくつかあるかもしれないということだけだ。なぜそうなるのかの理由もパターンも私には分からないし、そもそも現状の macOS ではあまりにも多くの許諾リクエストのダイアログが開くので (macOS 11 Big Sur になればもっと増えるはずだ)、ダイアログが多少増えてもたぶん気付きもしないだろう。

Messages とテキストメッセージの転送

古い Mac から新しい Mac への移行に際して転送されない設定の中でおそらく最も意外なのは Messages の中のテキストメッセージの転送設定だろう。私あての SMS テキストメッセージが新しい iMac 上の Messages に転送されて来ないことに気付くまでに数週間もかかった。それほど多くのテキストメッセージを受け取る訳でもないし、受け取る少数のものもたいてい iPhone で処理してしまうからだ。でも、ある日 iPhone に届いたものに iMac から返事を書きたいと思ったのだが、どうすればそれを Mac 上の Messages の中に表示させられるのか、その方法を見つけ出すまでに数分間もかかってしまった。

それを見つける鍵は、テキストメッセージの転送が iPhone からコントロールされているのであって Mac 上の Messages アプリでコントロールするものではないという点だ。Settings > Messages > Text Message Forwarding へ行き、新しい Mac へ転送するスイッチを切り替えればよい。オフがデフォルトで、オンにしてみると下のスクリーンショットの左側のようになった。

あともう一つ、Wi-Fi Calling を通じて他のデバイス上で通話を送受信できる機能も同じ分類に属するかもしれない。ここで“かもしれない”と言ったのは、どのデバイスで通話を許すかを Settings > Phone > Calls on Other Devices で選ぶようになっているのだが、上のスクリーンショットの右側に見えるように新しい iMac も含めてすべてが最初から選択されていたからだ。(リストの中で重複して登場するデバイスがある理由について私にできる限りの推測を言えば、これは複数の Mac アカウントが同一の iCloud アカウントにログインしている状態を反映しているのではないかと思う。)

私はいつも iPhone と Apple Watch を携帯しているので、Mac 上の FaceTime ではたいてい Wi-Fi Calling をオフのままにしている。電話がかかってきた際にこれ以上多くのデバイスが同時に鳴り始めるのも望まない。そもそも今どきかかってくる電話の大多数はスパム通話なのだから。

クラウドベースのファイル同期サービス

私が思うに、Dropbox、Google Drive その他のクラウドベースのファイル同期サービスはすべて、新しい Mac へ移行した後でもう一度ログインする必要がある。変更がすべて同期されるべきデバイスのコレクションに新しい Mac を追加する必要があるので、これは完全に筋が通っている。

Dropbox については、ログインのリクエストは簡単で一目瞭然だが、一つだけ落とし穴があるかもしれない。無料版の Dropbox アカウントの場合、たった 3 台までのデバイスにしか接続できないからだ。(2019 年 3 月 14 日の記事“Dropbox、無料のアカウントを3台までに制限”参照。) Dropbox がその制限を導入したよりも前からアカウントにそれより多くのデバイスがリンクされていた場合には、それらのデバイスをリンクさせ続けることはできるけれども、新たなデバイスを追加することはできない。だから、新しい Mac を入手したら、他の複数個のデバイスを削除した後でないと新しい Mac をその Dropbox アカウントに接続できないかもしれない。ここで再び“かもしれない”と言ったのは、私の古い iMac と新しい iMac の両方ともが現に私の Dropbox アカウントに接続されているように見えていて、接続されたデバイスが 4 個となり、これは可能でないはずの状態だからだ。私の iPhone は確かに接続が不可能だと思っているようで、下のスクリーンショットのような画面を表示する。

Google Drive は、Backup and Sync from Google という変な名前のアプリでローカルに管理されていて、少し違った状況にある。私の経験では、Google Drive アカウントの中ですべてのもののローカル版としてどの Finder フォルダが指定されているかについてこのアプリは混乱に陥る傾向があるようだ。なので、ログインし直す必要があることに加えて、そのフォルダももう一度選択し直す必要があるかもしれないし、またファイル同士で何らかの同期の不一致が起こることも考えられなくはない。

クラウドアプリの購読

他にも意外な問題点はある?

これ以外のアプリやサービスで、特定の Mac に結び付けられている結果として新しい Mac への移行後に何らかの設定を切り替えたり、アカウントにログインしたり、許されたデバイスのセットをやり繰りしたりといった作業をしなければ動作しないというものはまだまだたくさんあるに違いない。そのようなものにもし遭遇されたなら、それを読んだ人たちが Mac の移行に際してどんなことが事後に必要となる可能性があるかをあらかじめ知っておけるためにも、どうぞコメントに書き込んで知らせて頂きたい。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

LaunchBar 6.13

LaunchBar 6.13

Objective Development が LaunchBar 6.13 をリリースして、macOS 11 Big Sur への対応を追加した。特に、新たに磨きをかけられたデフォルトテーマが Big Sur の新しい見栄えにうまく調和する。このキーボードベースのランチャーは今回、Music Library の索引付けを実装し直し、併せて 10.15 Catalina の Music アプリとの互換性も追加し、曲やアルバムをアルバムアートと共に表示するようにした。このアップデートではまた、検索テンプレートの管理を改善し、サブ検索の結果のブラウズを改良し、画像変換アクション (回転、フリップ、リサイズ、圧縮、その他) を更新し、索引ウィンドウのサイドバーを再編成し、ファイルを改名する際のファイル名拡張子の小文字への変換を改良し、メニューキーボードショートカットをタイプする際に時々起こったクラッシュを修正している。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、17.1 MB、リリースノート、macOS 10.14.4+)

LaunchBar 6.13 の使用体験を話し合おう

TechTool Pro 13

TechTool Pro 13

Micromat が TechTool Pro 13 をリリースした。このハードドライブおよびシステムの修復・メンテナンス用ツールへのメジャーなアップデートだ。今回のアップデートでは APFS ボリュームでのデータ回復オプションを追加して、より長持ちする APFS スナップショットを作って誤って削除されてしまったファイルを復旧できるようにした。また、TechTool Pro 13 では Drive Speed ツールが登場してドライブが実際にどのように働いているかが見えるようになり、多くのテストやツールを拡張して新しいテクノロジー (例えば Battery Check テスト) を使えるようにし、また最小システム要件を macOS 10.11 El Capitan へと上げている。TechTool Pro 13 の価格は $129.99 で、TechTool Pro 12 のライセンスを持つユーザーは $29.99 でアップグレードできる。Micromat は TechTool Pro 11 から ($49.99) と TechTool Pro 10 以前から ($59.99) のアップグレード価格も提供している。(新規購入 $129、各種アップグレード価格あり、 macOS 10.11+)

TechTool Pro 13 の使用体験を話し合おう

Bookends 13.4.5

Bookends 13.4.5

Sonny Software が Bookends 13.4.5 をリリースした。この文献参照管理ツールへのメンテナンス・アップデートで、少数の改善とバグ修正が施されている。今回のリリースでは PDF 内部でのすべての検索をハイライト表示して Preview におけるものと同様の見栄えとなるようにし、Select Hits Group にキーボードショートカット Command-Shift-H を追加し、PDF ツールバーで PDF プロキシアイコンを Option-ドラッグすれば PDF のエイリアスが作られるようにし、グループ内で複数個の引用の間を分離するセミコロンの前に空白を入れるオプションを追加し、PDF のページ番号とハイライト表示されたテキストが一緒に走ってしまったバグを修正し、何も参照されていない状態でノートストリームの下の Add Note ポップアップメニューが有効になっていた問題を解消し、また Wi-Fi 同期を改善した。(新規購入 $59.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、71.9 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Bookends 13.4.5 の使用体験を話し合おう

Zoom 5.2.2

Zoom 5.2.2

Zoom が会社名と同名のビデオ会議アプリをバージョン 5.2.2 にアップデートして、高忠実度オーディオモードとカスタムギャラリービューの並べ替えを追加した。Advanced Audio 環境設定で高忠実度オーディオモードに設定すると、エコーキャンセルと後処理が無効になるとともに、オーディオコーデックの品質が 48 kHz、96 Kbps モノラル/192 Kbps ステレオに上がる。ただしそのためにはプロ級のオーディオインターフェイス、マイクロフォン、ヘッドフォンが必須だ。今回のリリースではまた、ホストとコホストがギャラリービューで人々を並べ替えられる (また参加者が独自でカスタマイズすることもできる) ようになり、カスタム言語への対応を追加し (あらかじめウェブポータルで設定しておく必要があり、またバージョン 5.2.1 かそれ以降が必要)、ホストが許可した最大 9 名の参加者にユーザーがピン留めしたりスポットライトを当てたりする機能への対応を追加し、ウェビナーの参加者がオーディオの Phone Call および Call Me オプションにアクセスできるようにしている。Zoom は無料でダウンロードでき、ミーティング一回ごとに最大 40 分間、最大 100 名の参加者で使えるが、ミーティングの時間無制限、参加者数最大 500 名の有料レベルもある。(無料、21.5 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Zoom 5.2.2 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Apple の新しい広告がプライバシーにスポットライトを当てる

Apple が最新の広告でプライバシーへの強い姿勢を打ち出している。広告の中ではごく普通の人たちが、いつもオンラインでしているのと同じように自分自身についての事実を物質的世界に向けて発信する。例えばバスの中で男性が自分は離婚弁護士を探しているんだと大声で話し、レストランの中で女性がウェイトレスに自分は妊婦用ビタミン剤を買って妊娠検査を 4 回も受けたと説明しているところが示される。とても奇妙ではあるが、Facebook、Google、あるいは数多くある秘密主義の広告追跡会社が吸い上げたデータが現実世界に暴露されてしまえばどれほど受け入れ難いことになるかをまざまざと描いている。

Daring Fireball の John Gruber が、彼の記事の中で Apple の論点をさらに拡張する:

人々は、やられっぱなしでいる追跡に対して何の権利も、何ら持ち合わせていない。私たちは社会全体として、暗黙のうちにそれを受け入れてしまった。なぜなら実際それに気付かなかったからだ。ユーザーとしてのあなたはそれが起こっているところを見る手段を何も持たない。プライバシーへの現実世界での侵害に対して、私たちの脳はそれを探知し、本能的に怒りと警告をもってそれを拒絶することに自然と慣れている。オンラインのマーケティング担当者がしているような種類のやり方で、現実世界のマーケティング担当者が私たちを追跡することなど決してあり得ない。

Apple がこの広告を公開したのは、iOS 14 の新機能を巡る論議が高まっている最中であった。ユーザーを追跡する前にアプリがユーザーに許可を求めなければならなくなる機能で、これは Facebook その他に大きな動揺を引き起こした。Apple は最近になって開発者たちにもっと調整期間を与えるためにこの機能の実装を延期すると述べたが、私たちとしては Apple が広告主からの圧力に屈して機能を丸ごと削除したりしないようにと願いたい。

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NSA の電話通信記録大量収集が違法と裁定される

Edward Snowden の内部告発によって公に暴露されてから 7 年近くも経った今、National Security Agency (NSA、国家安全保障局) による電話通信記録の大量収集が Ninth Circuit Court of Appeals (第 9 巡回区控訴裁判所) により違法であると判断された。このプログラムは 9/11 テロ事件をきっかけとして何億件もの電話通信記録に関するメタデータ (電話の会話内容は含まれていない) を収集していた。この収集プログラム自体は報道によれば去年廃止されたとのことだが、この収集の根拠となった米国愛国者法第 215 条は今もまだ闇に覆われた法律の恐ろしい領域の中にある。2013 年 12 月から 2015 年 6 月にかけて書いた私たちの“スパイ活動の情報に遅れずついて行こう”シリーズ記事が、この第 215 条プログラムや、その他多くのことに触れている。

(日本語)スパイ活動の情報に遅れずついて行こう
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 2: 修正条項第 4 条の逆襲
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 3: 新たな希望
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 4: 状況が変になるとき
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 5: 総まとめの総まとめ
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 6: 椅子取りゲーム
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 7: スパイが多過ぎる
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 8: スパイ活動はさらに激しく
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 9: PRISM の中身はガラクタ
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう X 10.0
スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 11: 11 時のニュース

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