先週は Apple の世界にとって大きな一週間だった! 再設計した iPad Air と更新した iPad、それに血中酸素センサーを備えた Apple Watch Series 6 とより安価な Apple Watch SE を発表してから、Apple は iOS 14、iPadOS 14、watchOS 7、tvOS 14 を翌日にリリースすると発表して皆を驚かせた。さらに、Apple はあなたのフィットネス活動を助ける新しい Apple Fitness+ サービスと、複数のサービスをまとめてお得になるかもしれない Apple One サービスバンドルを発表した。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Safari 14、Typinator 8.5、ChronoSync 4.9.11 と ChronoAgent 1.9.8、Pixelmator Pro 1.8、それに Agenda 11 だ。
9月の "Time Flies" イベントで約束した様に、Apple は iOS 14, iPadOS 14, watchOS 7, そして tvOS 14 をリリースした。全てのアップデートでわくわくする新機能が追加されるが、ベータをすり抜けた大きなバグが無いことを確かめるため、インストールするのは1,2週間待ってからとするのが賢明である。また、多くの開発者が Apple の突然の発表にびっくりしたので、好みのアプリが新しいオペレーティングシステムに対応するには数日かかることだってあるかも知れない。
iOS 14
iOS 14 アップデートは App Library ("iOS 14 の App Library についてよくある質問" 9 September 2020 参照)、Home 画面ウィジェット、入信電話と Siri のための小型のインターフェース、等々を付け加えている - "iOS 14 と iPadOS 14 は Android と Newton を思わせる" (22 June 2020) 及び Apple の (殆ど) 完全なリリースノートを参照のこと。そして、勿論、全ての新しい機能の詳細についても Take Control of iOS 14 and iPadOS 14 で学べる。私は、この本の内容について現状でも満足だが、App Library についての読者からの質問や、最新の情報を取り入れた無料のアップデートを間もなく出すつもりである。
iOS 14 は、iPhone 6s、第一世代 iPhone SE、第七世代 iPod touch とそれ以降に対応する。
このアップデートの大きさは iPhone 11 Pro では 4.79 GB である。このアップデートのインストールは、iOS で Settings > General > Software Update に行くか、10.15 Catalina 以前の macOS バージョンが走る Mac 上の iTunes 経由、或いは 10.15 Catalina の Finder 経由で可能である。
iPadOS 14
iPadOS 14 には App Library も Home 画面ウィジェットもないが、Apple Pencil に対する新しい能力を提供する。例を挙げると、Scribble 手書き認識機能や数多くの再設計されたアプリである。"iOS 14 と iPadOS 14 は Android と Newton を思わせる" (22 June 2020), Apple の iPadOS 14 機能リスト、そして Take Control of iOS 14 and iPadOS 14 を参考にして欲しい。
iPadOS 14 は、第五世代 iPad, iPad mini 4, iPad Air 2, とそれ以降、更に全てのバージョンの iPad Pro 上で走る。
このアップデートの大きさは、10.5-inch iPad Pro では 3.58 GB、iPad Air 2 では 2.16 GB である。このアップデートは、iPadOS では Settings > General > Software Update に行くことで、10.15 Catalina 以前の macOS バージョンが走る Mac 上の iTunes 経由、或いは 10.15 Catalina の Finder 経由でインストール出来る。
watchOS 7
watchOS 7 には、睡眠追跡や手洗いタイマーの様な既に知られている機能が含まれるが ("watchOS 7、睡眠追跡、手洗い検出、等々を導入" 22 June 2020 参照)、Apple は "Time Flies" イベントで他の機能も発表した。そこには Apple Watch Series 4 とそれ以降のための新しい文字盤、文字盤共有、そして Family Setup 機能が含まれる。Family Setup は iPhone を持たない家族のために最近のセルラー対応の時計の設定をさせてくれる。
watchOS 7 は Apple Watch Series 3 及びそれ以降で使える。
Apple Watch Series 4 では 987 MB のこのアップデートをインストールするには、iPhone 上で Watch アプリを開き、My Watch > General > Software Update に行く。気をつけるべきは、ダウンロードに時間が掛かるだけではなく、iPhone はそのアップデートを Bluetooth 経由で Apple Watch に転送しなければならないことで、1,2時間かかる事もある。そして、このアップデートをインストールするためには、Apple Watch は少なくとも 50% の電池残量があり、充電器に接続されていなければならない。我々はこの作業を夜にやることをお勧めする。
tvOS 14
最後に、そして正直に言えば、最小だが (Apple は新機能を掲載した独立した頁は出さず、Apple TV 4K 頁に付け加え、そして Apple TV User Guide に追加しただけである)、tvOS 14 には幾つかの歓迎出来る機能がある。そこには Control Center の Home ショートカット、Apple TV 以外のアプリで働くピクチャー・イン・ピクチャー選択肢、AirPod オーディオ共有、YouTube に対する 4K ビデオサポート (少なくとも理論的には、YouTube が協力するとして)、等々が含まれる ("次期 tvOS 14 と HomeKit に来るべきもの" 25 June 2020 参照)。私は更新版の <Take Control of Apple TV を間もなく、そして Take Control of Apple Home Automation に対するアップデートを年内に出したいと思っている。
tvOS 14 は Apple TV HD 及び Apple TV 4K をサポートする。
このアップデートをインストールするには、Settings > System > Software Update に行くか、或いは、ただ放っておいて将来どこかの時点で自分でインストールするのを待つ。
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ここ数年間、iPad シリーズは人々の当惑を招いてきた。最上位はベゼルの狭い iPad Pro モデルで、USB-C を備え、ラップトップ機の代わりとして使われることを意図している。(2020 年 3 月 18 日の記事“世界が覆る: Apple の新型 iPad Pro がトラックパッドに対応”参照。) 基本モデルの iPad は $329 というお買い得価格で最底位に位置するが、第1世代 Apple Pencil やその他のアクセサリーへの対応を最近になって獲得した。両者の中間には iPad Air があって、旧来のデザインを持ち、第1世代 Apple Pencil にしか対応せず、それでも価格はかなり高かったので、少々謎めいた存在であった。それからもちろん、無視されがちかもしれないが人気はある iPad mini もあって、Apple は去年ようやくこれを更新した。(2019 年 3 月 18 日の記事“Apple、新型 iPad mini と iPad Air を静かにリリース”参照。)
そして今回、Apple は改訂した第4世代 iPad Air を出して 11 インチ iPad Pro により近いものとしたので、製品シリーズ全体が以前より納得できるものとなった。大きなスクリーンが欲しくて Home ボタンなんか要らないという人には、新型 iPad Air または iPad Pro が必要を満たしてくれるだろう。また、机から転がり落ちたりしない第2世代 Apple Pencil を使いたい人にとってもこの二つのモデルが候補となる。重要なのは、多くの人たちにとって、今回の新型 iPad Air が iPad Pro にある好ましいものすべてを $200 安い価格で提供してくれるということだ。
また、Apple は基本モデルの iPad も新しいプロセッサで更新した。特に取り上げて書くほどのことはないけれども、それでもこれは依然として手頃な価格の有能な iPad であって、きちんと仕事をしてくれる。
新型 iPad Air を実際に入手できるのは 10 月のどこかの時点と予想される。Apple は第8世代 iPad については現在注文受付中で 2020 年 9 月 18 日に店頭に出ると述べた。いずれのモデルも iPadOS 14 を搭載して出荷される。
第4世代 iPad Air
四角の隅まで広がったデザインなど、iPad Air で新しくなったことの多くは iPad Pro の世界で従来から既に存在しているものだ。ただ、今回 Apple デバイスとしては完全に初めての機能の一つとして、トップボタンに内蔵されたサファイアクリスタルの Touch ID センサーがある。Apple はもともと Touch ID を Home ボタンに埋め込んでいて、その後の iPhone や iPad では少数の廉価版モデルを除いて Face ID に切り替えた。けれどもこの COVID-19 の時代になって日常的にフェースマスクを着ける人が多くなり、Face ID はあっという間に大きな難点と化してしまった。トップボタンに Touch ID を追加する (下の分解図を参照) というのはなかなか興味深いやり方だし、iPhone 12 に備えて Apple が何をしているかを推察する手掛かりになるかもしれない。
新型 iPad Air には 10.9 インチのフル・ラミネート加工の Liquid Retina ディスプレイが備わり、解像度は 2360×1640 だ。これに対して従来モデルの 10.5 インチスクリーンの解像度は 2224×1668 だった。ピクセル密度は従来と変わらずインチあたり 264 ピクセルで、ディスプレイに関する他のスペック、例えば P3 広色域ディスプレイ、True Tone 対応、フルラミネーション、反射防止コーティングなども変わっていない。
新型 iPad Air のサイズは高さ 9.74 インチ (247.6 mm)、幅 7 インチ (178.5 mm)、厚さ 0.24 インチ (6.1 mm) だ。従来モデルに比べてほんの数ミリメートルずつ高さが短く、幅は広くなっている。Wi-Fi モデルの重量はちょうど 1 ポンド (458 グラム)、セルラーモデルは 1.01 ポンド (460 グラム) で、それぞれ従来モデルより数グラムずつ重い。11 インチ iPad Pro と比べればほぼ同等だ。
この iPad Air のプロセッサは Apple の新しい 6 コア A14 Bionic チップで、これまで iPad の各モデルが iPhone の残り物のチップを使ったりあるいは A12X のように従来のもののアップデート版を使ったりしていたことを考えれば興味深い。おそらくこの A14 Bionic は Apple の次期モデルの iPhone に搭載されることだろう。Apple は従来モデルの iPad Air に比べて全体的なパフォーマンスが 40% 高速化し、電力効率も向上していると主張する。また、4 コアのグラフィックスプロセッサを含んでいて Apple によればグラフィックス性能が 30% 向上しているという。この A14 Bionic は 16 コアの Neural Engine を搭載し、人工知能の処理も向上している。
背面カメラは 12 メガピクセル広角レンズ、f/1.8 絞り値で、4K ビデオを毎秒 60 フレームで撮影できる。フロントカメラは 7 メガピクセルのレンズ、f/2.0 絞り値で 1080p ビデオを毎秒最大 60 フレームで撮影できる。
この第4世代 iPad Air は 28.6 ワット時のバッテリーを搭載し、最大 10 時間のウェブサーフィンとビデオ視聴が可能だ。iPad Pro モデルと同様、この新型 iPad Air も Lightning でなく USB-C を搭載し、これを充電と周辺機器の両方に使う。
従来モデルと同様、新型 iPad Air も (横長に置いた状態の) 左右にある2スピーカーでステレオサウンドを生成する。また、従来と同じくデュアル・マイクロフォンを搭載してノイズキャンセリング機能と明瞭な通話音声を提供する。
この第4世代 iPad Air にはスペースグレイ、シルバー、ローズゴールド、グリーン、スカイブルーの5色がある。価格は 64 GB Wi-Fi モデルの $599 からだ。256 GB Wi-Fi モデルは $749 となる。セルラーモデルはストレージ容量 64 GB が $729、256 GB が $879 だ。USB-C 充電ケーブル 1 本と 20 ワット USB-C 電源アダプタが付属する。iPad Air 用の AppleCare+ は $69 払えば 2 年間有効で、月額 $3.49 払えば無期限有効となる。
第8世代 iPad
Apple は基本モデルの iPad もアップデートしたが、変更点は昨年のモデルに搭載されていた 4 コア A10 Fusion プロセッサを 6 コア A12 Bionic に入れ替えたことのみだ。それ以外の点では第7世代モデルと全く同一で、同じ 10.2 インチ Retina ディスプレイと Smart Connector を持つ。新型モデルは従来と変わらず第1世代 Apple Pencil と Smart Keyboard にしか対応しないので、第2世代 Apple Pencil や Magic Keyboard は使えない。
この第8世代 iPad の価格は 32 GB Wi-Fi モデルの $329 からで、かなり広く定義された個人用の教育向け価格が $309、教育機関向け価格が $299 となる。128 GB Wi-Fi モデルは $429 で、セルラー機能を付ければ価格が $130 増える。スペースグレイ、シルバー、ゴールドの3色がある。
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Apple は次期 iPhone の発表を数週間遅らせるとあらかじめ公表していたので (2020 年 7 月 30 日の記事“世界が燃えさかる中 Apple Q3 2020 業績は最高を記録、次期 iPhone は粋な遅刻”参照)、"Time Flies" と銘打たれた同社の製品発表イベントでいつもならば脇役に追いやられることの多い他の2つの製品に重点が置かれても、それほど驚きはなかった。
新型 iPad の発表 (2020 年 9 月 15 日の記事“Apple、iPad Air を再設計、基本モデル iPad を更新”で Josh Centers が分析している) に加えて、Apple は2つの Apple Watch モデルを発表した。血中酸素センサーなど新しい高度な機能を備えた主力商品の Apple Watch Series 6 と、Series 6 の新機能のいくつかを含んだ低価格の Apple Watch SE だ。
今回はそれに加えて二種類の新しいクールなウォッチバンドと、iPhone を持っていない子供たちや高齢者に Apple Watch を渡すことのできる Family Setup システムも発表された。
Apple Watch Series 6 の基本
Apple Watch Series 6 の内部には新しいデュアルコア S6 プロセッサが備わり、アプリの起動が 20% 高速になりつつ従来と同じ 18 時間のバッテリーの保ちを確保している。Apple によればこの S6 は iPhone 11 の A13 Bionic に基づいたプロセッサだという。加えて、Apple Watch Series 6 には新しい Ultra Wideband アンテナが備わり、例えば腕時計を自動車のキーとして使うといった新しい用途を意識した短距離ワイヤレス接続に対応できる。
もう一つ Apple Watch Series 6 で新しいのは進化した Always-On (常時表示) Retina ディスプレイで、日光の下で手首を下げている状態で 2.5 倍明るくなっている。手首を下げたままの状態で、スクリーンのスリープを解除せずに Notification Center や Control Center にアクセスしたり、コンプリケーションをタップしたり、文字盤を入れ替えたりできる。
また、この Series 6 は常時計測の高度計も備えていて、電力効率が向上した新しい気圧高度計と近くの GPS および Wi-Fi ネットワークから取り込んだ情報と合わせていつでもその場で高度を知らせてくれる。およそ 30 cm 刻みで正確な高度を出すことができ、文字盤のコンプリケーションとして、あるいはワークアウトの指標として表示させることができる。
仕上げのカラーについては、アルミニウム製の Apple Watch Series 6 製品に既存のシルバー、スペースグレイ、ゴールドに加えて新しいブルー仕上げが登場した。さらに、よく目立つ (PRODUCT)RED ウォッチに同色のレッドバンドを合わせることもできるようになった。ステンレススチール製には従来のシルバーと“アップデートされた”クラシックなイエローゴールドカラーに加えて、新たにグラファイトカラー (Apple は“輝きを放つ鏡面加工仕上げの豊かなグレイブラックの色合い”と形容している) が登場した。チタニウム製もスペースブラックを含む2色が揃った。
Apple Watch Series 6 の価格は $399 から、セルラーモデルは $499 からとなっている。
血中酸素の追跡
パルスオキシメトリというのは、肺から身体中へ赤血球によって運ばれる酸素の割合を測定するための専門用語だが、COVID-19 パンデミックのせいで最近になってよく見る言葉になった。血中の酸素が少ないのは COVID-19 で起こり得る症状の一つであって、指を挟んで使う安価なセンサーがよく使われるようになった。
だから、Apple が Apple Watch Series 6 に血中酸素センサーとそれに対応するアプリを追加したことは時宜を得た機能強化と言える。けれども、従来からある医療機器に比べてこれがどの程度正確で感度の高いものであるかは、多くの人たちが実際に手にするまで分からない。
Apple によれば、ウォッチ背面クリスタルに組み込まれたセンサーが緑、赤、赤外線の LED クラスター 4 つと 4 つのフォトダイオードで構成され、正確さの向上とともに、皮膚の自然な変化への補正ができるという。血管から反射される光を読み取ることによって血液の色を計算して結果を得るのだ。
ウォッチの Blood Oxygen アプリは先進的なアルゴリズムを用いて血液の酸素飽和度を 70% から 100% まで検出できる。読み取りはいつでも開始することができるが、センサーが働いている 15 秒間はじっとしていなければならない。例えば睡眠中など動いていない間にバックグラウンドで測定することもできる。これらのデータはすべて Health アプリに追加され、継時的に血中酸素の傾向を追跡することができる。
Apple は Blood Oxygen センサーに関係するいくつかの医学研究プロジェクトも発表した。Apple は次のようなところと共同研究をする:
* Brotman Baty Institute for Precision Medicine と Washington 大学医学研究科の研究者たちによる Seattle Flu Study が、Heart Rate や Blood Oxygen など Apple Watch アプリから得た信号がインフルエンザや COVID-19 など呼吸状態の症状を示す初期徴候として利用できるかどうかを調べる
* California 大学 Irvine 校および Anthem が、血中酸素その他の生理学的信号の長期にわたる測定が喘息の管理と制御にどのように役立つかを調べる
* Ted Rogers Centre for Heart Research および Peter Munk Cardiac Centre at the University Health Network が、血中酸素測定やその他の Apple Watch による計測が心臓病の管理にどのように役立つかについての理解を目指している
Apple Watch SE
Apple Watch Series 6 と合わせて低価格版も出るのではないかという噂は正しかった。ただし今回新しく出た Apple Watch SE は最低価格板ではない。なぜなら、Apple は従来からある Apple Watch Series 3 も入門レベルの (かつますます古びてゆく) モデルとして販売を続けるからだ。
この Apple Watch SE は基本的に Apple Watch Series 5 から ECG を取り除いて商標変更したものだと思えばよいが、他にいくつかの歓迎すべき改善点もある。Apple Watch SE には Series 6 と同じ加速度センサー、ジャイロスコープ、常時計測の高度計が付く。Series 6 と同じ Retina ディスプレイを装備するが、Always-On (常時表示) 機能はない。その他の機能としては転倒検出、騒音のモニタリング、緊急 SOS、最新のスピーカーおよびマイクロフォン配置、触覚的な反応を返す Digital Crown などがある。
アルミニウム製の Apple Watch SE のケース仕上げはシルバー、スペースグレイ、ゴールドから選ぶことができ、すべての Apple Watch バンド (下で説明する新しいバンドも含む) と互換だ。
Apple Watch SE の価格は $279 から、セルラーモデルは $329 からだ。比較のために言えば、販売が継続される Apple Watch Series 3 の価格は $199 からでセルラーモデルの選択肢はない。
新しい Watch バンド
Apple は、バンドの収集家たち (誰のことを言っているかお分かりですよね) を喜ばせようといつも躍起になっていて、いくつかの新しいスタイルのバンドをデビューさせた。Hermès や Nike Sport のバンドシリーズにマイナーな変種を追加したことに加えて、Apple はこれまでなかった機能を備えた2つのバンドスタイルを発表した。
- Solo Loop と Braided Solo Loop: これらは伸縮性のある連続したバンドで、留め具もバックルも重なった部分もない。Apple は紫外線処理を施したソフトなシリコーンゴム製の Solo Loop を“滑らかでシルクのような仕上げ”と形容している。6 つの色から選べる。一方、Braided Solo Loop の方は極細のシリコーン糸に 16,000 本を超える再生素材のポリエステルフィラメント糸を織り込むことで伸縮性を実現している。5 つの色から選べて、$50 の価格増となる。バンドの長さは 9 つのカスタムサイズが用意されていてぴったりフィットするものが選べる。Apple は印刷可能なサイズガイドを出している。
a printable sizing guide.
- Leather Link: こちらのバンドは手首に巻き付けてから反対側のところで柔軟性のある成形磁石で留めるようになっている。
Family Setup
Apple Watch が初めて登場した時からずっと、Apple Watch は iPhone とペアリングされて動作してきた。けれども今回、Apple は Family Setup (ファミリー共有設定) という新機能でその方式を変更しようとしている。これは主として小さい子供たちの親や、高齢者の世話をする人たちのためを意図している。
Family Setup の背後にある考え方は、iPhone を持っていない子供や高齢者にも自分のウォッチが持てるようにしたいということだ。その人たちのウォッチをすべて一台の iPhone にリンクさせて、家族の中で管理を担当する人がその iPhone の操作を担当するのだ。
その担当者は他のユーザー全員の位置情報を追跡したり、それぞれが誰とコミュニケーションできるかを決定したり、制限付きの Schooltime モードを割り当てて子供たちが学業に専念できるようにしたりといったことができる。
その他の注目すべき機能も挙げておこう:
- Apple Watch 上で Apple Pay で支払えるお金を親が子供に送ることができる。支払いが実行されれば親に通知が届き、主たる iPhone の Wallet アプリで取引内容を見ることができる。
- Apple Watch 上の Find People を使った位置情報の通知が以前よりカスタマイズ可能になり、保護者が子供の居場所についての最新情報を好きな時に、あるいは定期的に受け取ることができる。
- アクティビティリングが子供用に最適化されて、消費カロリーの代わりに Move 分数を追跡したり、Exercise と Stand のリングにそれぞれカスタマイズした目標を設定したりできる。Outdoor Walk、Outdoor Run、Outdoor Cycle のワークアウトにも子供用の調整が施されて、Move 分数、エクササイズ、距離その他の測定基準による評価ができる。コーチングの通知も読解レベルに合わせた調整が施され、絵文字を使って楽しく読めるようになった。
ウォッチのみのユーザーは別途のセルラープランを通じて自分だけの電話番号を持つことができ、自分独自の Apple ID とそれによって得られるすべての機能を制御できる。
Family Setup はセルラーモデルの Apple Watch Series 4 またはそれ以降でのみ動作するが、当初は米国と他の 11 の国でしか使えない。
新しい文字盤
例によって、Apple はこれまでなかった機能を提供する新しい Apple Watch 文字盤を発表した。
- Stripes 文字盤は色と配置をカスタマイズできる縞模様を表示して、自分のプライドを示したり、好きなスポーツチームを応援したり、あるいはその日の服装に合わせたりできる。
- Memoji 文字盤はあなたのウォッチにあなたの好きなミー文字を表示する。あなたがタッチするとミー文字がそれに反応する。
- Typograph 文字盤は 3 つのカスタム書体と 4 つの異なる活字で数字を表示する。
- GMT 文字盤は複数個のタイムゾーンを表示し、あなたが現在いる場所を考慮に入れる。
- Count Up 文字盤は指定されたどの時点からでも経過時間を表示する。
- Chronograph Pro 文字盤は、例えば設定した距離にかかった時間をもとに速度を測るタキメーターなど、複数の時間尺度が特徴だ。
- Artistic 文字盤はアーティスト Geoff McFetridge の協力を得て作られ、何百万通りもの組み合わせで様式化された人間の頭を表示して、あなたが手首を持ち上げれば動き出す。
GMT、Chronograph Pro、Count Up、Memoji、Stripes、Typograph の各文字盤は Apple Watch Series 4、Series 5、Series 6、および Apple Watch SE のみで使える。
Apple はまた、サーファー、写真家、医療専門家といった人たちに向けて特化した文字盤を作るための新しい開発者向けツールが watchOS 7 にあることを強調した。イベントを一緒に視聴していた私たちの SlackBITS グループの中で一番興味を集めたのは写真家にとっての“ゴールデンアワー”の情報を提供するコンプリケーションであった。どうやら TidBITS 関係者にはあまり大勢のサーファーはいないようだ。
驚きは少ない
今回の Apple Watch に関する発表は、業界に行き交っていた推測を追い掛けてきた人にとっては期待外れに思えたかもしれない。なぜなら、Apple Watch Series 6 と Apple Watch SE を含めてほとんど全部が予想されていたものだったからだ。サプライズと言えたのはマイナーなものばかりで、その中で特記すべきは Family Setup 機能くらいであった。
例のごとくに Apple は Apple Watch の最先端をさらに一歩進めて、如才なくホットな機能を一つ明かしてみせた。それが Blood Oxygen アプリとセンサーで、COVID-19 の状況ともちょうどうまく合っていた。
ますます古びてゆく Apple Watch Series 3 を Apple が維持したのは少々奇妙に思えるが、これが Apple Watch エコシステムへの最安価な入り口となっていることは間違いない。でもいったいなぜ Series 3 なのだろう? Family Setup は Series 4 かそれ以降でしか動作しないというのに。(一つには今はもうセルラー対応の Series 3 を購入できないからなのかもしれない。) 子供たちや高齢者に持たせたいと思う家族は、その代わりに Apple Watch SE を選ばざるを得ない。
それでもなお、Apple Watch Series 3 は $199 という価格でラインアップのしんがりを務め、Apple Watch SE は新しい機能の多くを $279 からという価格で提供し、Apple Watch Series 6 は $399 からだ。これならば機能の増加に見合う、理にかなった価格配分と言えるのだろう。そして、もっとお金を注ぎ込みたい人は、Series 6 のステンレススチール製、さらにはチタニウム製のモデルを、それでもまだお金が余っていれば Hermès モデルを選べばよい。
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新しい Apple Watch と iPad モデルの発表の間に挟まれたのが、"何かお役に立てることはありませんか?" の売り込みであった。App Store や Apple Music の様な Services は、同社の売上げに占める割合がどんどん増しているが、Apple は二つの新しい動きでその流れを増強する:Apple Fitness+ と Apple One サービスバンドルである。
Apple Fitness+
過去数年の間に、Apple は、多くの人にとって Apple Watch の吸引力はフィットネス (運動等による身体の健康) を中心に存在することを認識した。その結果、watchOS 7 と共に、Activity アプリは Apple の全製品に渡って Fitness と改名された。
この動きは名前の変更に留まらない - Apple は Apple Fitness+ を付け加えた。これは、Apple Watch Series 3 かそれ以降からの計測値と iPhone, iPad, 或いは Apple TV から見られるスタジオ型の運動とを組み合わせた "運動体験" である。Apple によれば、この教室を提供するために世界的なトレーナーを雇い、そして運動はトレーナー達によって選別された動機付け音楽に対して組み立てられていると言う。(そして Apple Music を定期購読していれば、そのプレイリストを保存出来る。)
運動の型には、自転車、トレッドミル、ボート漕ぎ、HIIT、強度、ヨガ、ダンス、体幹、そして精神統一クールダウンがある。もし、これ迄にどんな種類の運動教室にも参加したことがなければ、Absolute Beginner プログラムというのも用意されており、初心者が動きや稽古の基本を学ぶ手助けをしてくれる。自転車、トレッドミル、そしてボート漕ぎを除けば、多くの運動は一切の器具無しで出来るし、ダンベル一式があればとても役に立つものもある。Apple GymKit に対応するトレッドミルは、計測値を同期するためにユーザーに Apple Watch を接続するよう促してくる。
計測値と言えば、これらは只のこのパンデミックの間に余りに多くの人が慣れっこになった変わりばえのしない仮想の運動ではない。Apple Fitness+ は色々な Apple 機器に亘って働くので、iPhone, iPad, 或いは Apple TV 上で一つの運動を始めると、それに対応する正しい運動の型が Apple Watch (Series 3 かそれ以降) 上で自動的に開始する。運動している間に、心拍数と運動時間が画面上に表示され、そしてトレーナーが参加者に心拍数をチェックしてとかカウントダウンタイマーをスタートとか言うと、それらは強調される。また、Burn Bar と言うのもあり、ユーザーに現在の運動の努力をもう既にその運動を終えた人々に対して比べさせてくれる。Apple Watch の馴染みのリングも画面上に現れ、フィードバックと動機付けを提供してくれる。
Apple は、トレーナー達が毎週、色々な範囲に亘る長さ、種類、そして音楽分野を持つ新しい運動を出すことを約束している。選択肢は、最新のヒット、チルバイブス、ピュアダンス、ヒップホップ/R&B、ラテングルーブス、ロック、アップビート賛歌、そしてトップカントリーに及ぶ - ジャズやクラシックの選択肢がある様には見えない。私の好みからすると、音楽は選択可能であって欲しい。何故ならば、私は運動教室で聞く音楽が好みに合わないことが多いからである。
私は走者ではあるが、運動の世界にも少々の知識はあり、一見しただけだが、Apple はApple Fitness+ では良い仕事しているように見える。機器間に亘る統合、そして運動を始め、進捗を追う簡単さは歓迎であり、そして、パンデミックや森林火災に基づく大気環境問題により家に閉じこもっている時間の多い今日この頃では、このタイミングも絶妙と言える。
より広範囲な懸念としては、Apple が、このパンデミックの間に教室をオンラインでやることを強制されている個人トレーナーや小さなジムから仕事を奪ってしまうであろうことが挙げられる。大きな会社でも Apple の制作する価値に対抗出来る所は少ないであろうし、もっと小さな企業にはまず勝ち目はない。その様な状況は、不幸ながら避けがたく、事前に録画した訓練を使って生計を立てている人達は、Apple Fitness+ では絶対にやらないであろう双方向性や個人的なつながりを強調することでうまくやっていけるのではなかろうか。
Apple によると 2020 年末の前になると言われている立ち上げ時には、Apple Fitness+ は Australia, Canada, New Zealand, UK, そして US でしか提供されない。私の推測では、これは主として言語の問題で、英語を話すトレーナーのためだと思われるが、そのコンテンツを他の多くの言語で提供する最善の方法を Apple は考えているのは間違いないであろう。
Apple Fitness+ は月額 $9.99 か、年額 $79.99 の費用が掛かる。誰でも1ヶ月は無料で試せる。新しい Apple Watch を買えば、3ヶ月無料の試行期間が得られる;buy it from Best Buy、6ヶ月無料となる。Family Sharing を使えば、一つの定期購読を最大で5人迄の家族と共有出来る。CVS Health は Apple Fitness+ への特別なアクセスをその加入者、顧客、そして従業員に提供する - 詳細は未だ検討下にある。
Apple One
簡単なクイズ:今 Apple は幾つの定期購読サービスを提供しているか? そして、それぞれに毎月いくら掛かるか? 答えは、6か7である:
- Apple Music: $9.99 個人、$14.99 家族、$4.99 学生
- Apple TV+: $4.99 (しかし Apple 機器を買えば1年間無料)
- Apple Arcade: $4.99
- Apple News+: $9.99
- Apple Fitness+: $9.99
- iCloud storage: $0.99 (50 GB), $2.99 (200 GB), $9.99 (2 TB)
(我々は、ほぼ死に体状態の年額 $25.99 の iTunes Match は外した。Apple は今でもサポートしているが、Apple Music に吸収されたと言っている。)
もし全てのサービスを一緒にすれば (Apple Music の家族プランと最高レベルの iCloud ストレージを含んで)、月額 $54.94 になる。それ程の額を払っている人は殆どいないであろうが、Apple は Apple エコシステムへの忠誠心をより高くして欲しいと願って、サービスの一部をバンドル化した。
名前は Apple One となっているが、実際には3つの割引サービスバンドルがある:
- Apple One Individual: 月額 $14.95 で、Apple Music, Apple TV+, Apple Arcade, そして 50 GB の iCloud ストレージが得られる。Apple One 以前では、合計で $20.96 掛かったので、月額 $6.01 の節約となる。
- Apple One Family: 月額 $19.95 で最大6人迄の家族に対して、Apple Music, Apple TV+, Apple Arcade, そして 200 GB の iCloud ストレージが得られる。Apple One 以前では、$27.96 掛かっていたので、月額 $8.01 の節約となる。
- Apple One Premier: 月額 $29.95 で、全てが手に入る:Apple Music, Apple TV+, Apple Arcade, Apple News+, Apple Fitness+, そして 2 TB の iCloud ストレージで、全てを6人の家族間で共有出来る。Apple One 以前の価格は $54.94 であったので、月額 $24.95 の節約となる。
これらの割引は本物である。唯一の問題は、このバンドルが自分のニーズと合わないかも知れないことである。例えば、Tonya, Tristan, そして私は、現在 Apple Music 家族プランと 200 GB の iCloud ストレージを共有している。また、我々は新しい Apple 機器を買ったので無料の Apple TV+ も得ているが、その中でこれ迄見たのは2つの番組だけで、どちらも続きは見ていない。従って、我々は今現在 $17.94 を払っているが、Apple One Family プランにすれば、更に毎月 $2.01 を余分に支払うことになり、追加で受けられるサービスは一つに過ぎない - Apple Arcade - これはもう既に試していて、要らないと決めていたものである。そして Apple One Premier プランにすれば、月額 $12.05 を更に支払うことになり、これは 200 GB 以上の iCloud ストレージが必要となり (近い将来にはそうなりそうもない)、そして Apple Fitness+ に定期購読したいと思う場合 (考えにくい) のみ意味をなす - 我々は既に Apple News+ は評価済みで、必要性は認めなかった。
我々の問題は、自由時間の欠如である。もしもっと時間があれば、Apple News+ から配信される雑誌を読んだり、Apple Arcade ゲームで遊んだりすることに興味が向くかも知れない。しかし、現時点では、我々の毎日は朝から夜までぎっしり詰まっており、単純に更なるサービスに費やす時間は全くない。ひょっとすると、我々は尋常でないのかも知れないが、そうは思わない - 時間不足は我々が知る人達の間では共通した苦情である。
Apple は、Apple One Individual と Family プランは "この秋から" 100 を超える国や地域で提供されると言っている。しかしながら、Premier プランは、Australia (ここでは秋ではないが), Canada, UK, そして US だけで提供され、これらの地域では Apple News+ は現在提供されているが、Apple Fitness+ は今年後半に追加される。残念ながら、New Zealand の人達には、Apple Fitness+ は提供されるが Apple News+ は提供されない。
最後に、Apple が Apple Fitness+ に年払いの選択肢を提供しているのは興味深い。何故ならば、同社が過去にそれをやったのは個人の (Family プランではない) Apple Music 定期購読だけだったからである。こちらは年額 $99 であった。私はその理由を考えてみたが、ジムの会員権は伝統的に年単位で売られてきたからなのかもしれない。と言うのも、ジムは多くの人が実際にはそれ程頻繁に来るわけではない事を知っており、会員権を過剰に売ることが出来るからである。もっと前向きの言い方をすれば、ジムや Apple は、人々は年会費を前払いすれば、一つの運動プログラムを続けてくれる可能性が高くなると考えているのかも知れない。いずれにしろ、それは Apple が全てのサービスに、Apple One バンドルを含めて、提供するのを望みたい選択肢の一つではある。その理由は、大したことではないが、我々の様に毎月出費を追跡する人間にとって、毎月の会計処理の仕事が一つ減るからである。
皆さんはどうですか? 一度 Apple Fitness+ 試行を試して見る気はありますか? Apple One バンドルの中に意味がある節約となると思われるものが有りますか? コメントで知らせて欲しい。
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