Apple のモバイルオペレーティングシステムのどれかをアップデートした後でバッテリーの減りが急に早くなるのはそう珍しいことではない。多くの場合、その種の問題はそのデバイスがキャッシュをクリアしたりインデックスの再構築を終えたりすれば自然に消える。時によっては、デバイスの再起動後に初めて問題が解決することもある。最も極端な状況においては、デバイスを消去してバックアップからリストアする (あるいは Apple Watch の場合にはペアリングを外してからペアリングし直す) ことで改善することもある。そんな状況に陥った場合には、まず数日間待ってバッテリー寿命が元通りになるか調べ、そうでなければ再起動、あるいはリセットの手順を試すのがよい。
しかしながら時には、アップデート自体がバッテリーの減りを早くする原因となっていることもある。watchOS 7 ではどうやらそれが起こったようで、Apple は「バッテリーの減りが早くなることがある」バグと、一部のユーザーが ECG (心電図) アプリが利用可能であるはずの地域にいるのにアクセスできなくなっていた問題を修正するために watchOS 7.0.2 をリリースした。watchOS 7.0.2 には CVE の公開エントリに関するセキュリティ修正が含まれておらず、他の Apple オペレーティングシステムへのアップデートも出ていない。[訳者注: 現在新たに watchOS 7.0.3 が Apple Watch Series 3 のみを対象にリリースされています。7.0.3 では Apple Watch Series 3 が予期せず再起動する問題を修正しているとのことです。]
watchOS 7.0.2 アップデートは Apple Watch Series 5 上で 81 MB で、インストールするには iPhone 上で Watch アプリを開き、My Watch > General > Software Update へ行けばよい。アップデートにそれほど時間はかからないが、それでも Apple Watch が充電器に接続された状態であり、かつ少なくとも 50% 充電されていることが必要だ。watchOS 7.0.2 は Apple Watch Series 3 またはそれ以降で使える。
HomePod には HomePod mini には無い機能が二つ程ある。一つは、"空間認識" と呼ばれるもので、HomePod が部屋の特性をそれとの関係で判断しオーディオをそれに合わせて調整するという能力である。また、HomePod には "Apple TV 4K でのホームシアター" 能力がある。Jim Dalrymple はこう説明している:
新機能がやってくる ... 対象は HomePod だけであるが、Apple TV 4K とペア付けされると印象的なホームシアター体験が追加される。5.1, 7.1 サウンド、そして Dolby Atmos を手にするには、一つ又は二つの HomePod スピーカーを Apple TV とペア付けしなければならない。この機能は HomePod の空間サウンドサポートが必要なので、HomePod mini は使えない。.
Apple は、両方の HomePod スピーカーと他の Apple 機器に対する新しい機能を発表した:Intercom である。この能力は、Amazon や Google スピーカーではずっと前から提供されていたものを真似たもので、複数の HomePod 機器を持つユーザーに家中に亘って通信させてくれる - 一つのスピーカーからもう一つのスピーカー、或いは一つのスピーカーから複数へと。Intercom は、例えば、夕食の準備が出来たよと家族に伝えるのには便利であろう。また、Intercom メッセージを、iPhone, iPad, Apple Watch, そして CarPlay 対応の車に対してすら、送らせてくれる。
オーディオサービス側では、そしてこれは HomePod mini だけに関わるものではないが、Apple は追加のサードパーティ音楽サービスへのサポートを間もなく提供する。そこには Pandora と Amazon Music は含まれるが - 間違いなく Spotify は含まれないであろう。(Spotify と Apple は未だ係争の最中にある。)
少々内容を広げると、HomePod ラインは未だにオーディオだけだが、Apple の競争相手は、少し前から画面とビデオ会議用のカメラを備えた "スマートディスプレイ" を世に出している。そして Siri もまた色々な点で Amazon Alexa や Google Assistant よりも遅れている。
HomePod ラインには、それを支持する密接な Apple 統合が控えている。例えば、Siri は HomeKit 対応のホームオートメーション機器とも働く。そして、より魅力的な $99 の値札のお陰で、HomePod mini はこれ迄 Apple エコシステムに投資してきた人達には歓迎されるであろう。たとえ、他社からの入門レベルのスマートスピーカーはもっと安いとしても。我々は、この HomePod mini の音質は、素晴らしいと言える初代のHomePod と比べてどうか、とても興味がある。
HomePod mini は 6 November 2020 から予約注文が出来、出荷は 16 November 2020 の週から始まる。
今日のユーザーにとって最も重要であると同時に最もインパクトの少ない変更点は、BBEdit が今回 Apple silicon でネイティブに動作するようになったことだ。Apple silicon を搭載した最初の Mac を Apple が出荷するまでの間は、今回のコード移行の恩恵を受けられるのは Apple の Developer Transition Kit、つまり A12Z Bionic チップを搭載した Mac mini を使っている開発者たちだけだ。その上、Apple silicon を搭載した将来の Mac で BBEdit がどのように違って動作するかはまだ誰にも分からない。私たちとしてはパフォーマンスの向上を期待したいが、今日の Intel ベースの Mac でも BBEdit は決してのろのろなんかしていないのだから。このユニバーサル形式の BBEdit 13.5 は Bare Bones Software から直接入手するバージョンに限られ、Mac App Store バージョンの BBEdit 13.5 は依然として Intel 専用だ。Apple が、まだユニバーサルアプリの受け入れを始めていないからだ。
熱心な BBEdit ユーザーにとってもっと興味深いのは、今回の最新の無料アップデートに Bare Bones Software が多くの改良を盛り込んでいることだ。最も注目すべきものだけを少しここに挙げておこう:
順序のランダム化と空白行無視: BBEdit の最も有用な機能の一つが、大きなテキストファイルで Text メニューのコマンドを使って行ごとの作業ができることだ。(私たちはこの機能をしょっちゅう使っている。) 今回、Sort Lines オプションに Randomize Order というチェックボックスが追加され、選択された行をランダムに並べ替えることができるようになった。例えば私たちの DealBITS 抽選で、応募者の長いリストにこの機能を使えば簡単に当選者を選べるだろう。また、Process Duplicate Lines コマンドに Ignore Empty Lines というオプションが新設されて、これを使えば空白行が削除されなくなる。状況によっては便利に使えるだろう。
挿入したファイルの後に改行を追加: 一連のファイルを一つのファイルに統合する作業を頻繁にする人は、開いて、コピーし、切り替え、ペーストし、切り替え、閉じるという作業を繰り返す必要がない。BBEdit で Edit > Insert > File Contents コマンドが複数ファイルの選択を許すので、まさにその目的で使えるからだ。今回、Open ダイアログで Options をクリックすれば新しい "Ensure line break after each inserted file" (挿入された個々のファイルごとに改行が入っているようにする) チェックボックスにアクセスでき、あとでいちいち手作業で挿入されたものの間に改行を挿入して互いにくっつかないように直す必要がなくなる。
New Text File コマンドとサイドバーのオプション: BBEdit のようなアプリでは、一般的にまず新規の書類ウィンドウを作って、そこにテキストを追加し、それから保存する。けれどもワークフローによっては、テキストを追加する前にあらかじめディスク上にファイルを作成したいこともある。BBEdit 13.5 の File > New > New Text File コマンドはまさにそれをする。ちょうど Unix の touch コマンドと同じ働きだ。また、編集ウィンドウやプロジェクトウィンドウのサイドバーの左下端にある + ボタンがポップアップメニューになって、新規の書類ウィンドウを作ったり、ディスク上に新規テキストファイルを作成したり、あるいは既存のファイルを開いたりできる。
BBEdit 13.5 のシステム要件は BBEdit 13 と変わらず、少なくとも macOS 10.14.2 Mojave 以上が必要、10.14.6 またはそれ以降を推奨となっている。10.15 Catalina でも問題なく動作するし、Apple silicon でネイティブということは 11.0 Big Sur でもきちんと動作すると考えてよいだろう。
これは、BBEdit 13 のすべてのユーザーに無料アップデートとして提供されるし、アップグレードしない理由は何もないと私は思う。Mac App Store から購読している人は、アップデートすればすぐに Apple silicon 対応以外のバージョン 13.5 の機能が自動的に手に入る。
そして、これは我々にだけ効くものかも知れないが、Tonya と私は - 過去 16 年間ほぼ毎晩 - 眠りにつくのを助けるため 15 分間ノンフィクションのオーディオ本か iTunes U の講義に耳を傾けてきた ("iPod で不眠に打ち勝つ" 28 February 2005 参照)。これは、ともすると今進行中の大きなプロジェクト、明日の出来事、我が家の事情にどう向き合うか等々に関して頭がぐるぐる回り始めることから解放されるのにとても役立っている。私はこのやり方をいくらお薦めしてもし足りることはない。始めてみるのに適した本をお探しなら、Bill Bryson の A Short History of Nearly Everything をお薦めする。これは引き込まれるし面白さも十分だがハラハラドキドキする程ではない。今日では、我々は全てのオーディオ本を Libby 経由で New York Public Library から借りている ("図書館まで行かずとも、自宅で電子ブックその他を借りよう" 14 September 2020 参照)。
しばらく前から、iOS には Bedtime 機能が Clock アプリに組み込まれていた。それは、就寝したい時間と起床したい時間を設定させてくれ、そして夜間にベッドの中で iPhone を使うとその時間を差し引いて、或いは Wake アラームをスヌーズすると時間を付け加えて睡眠時間を追跡した。Bedtime は今や過去のものとなり、Apple は新しい睡眠追跡能力を Health アプリに移動させた。Apple Watch 固有の設定も Watch アプリにある。
睡眠追跡を最初に設定する作業は他の多くの Apple 機能よりも手が掛かる。9つの画面からなるアシスタントが睡眠スケジュールを設定する手順を順を追って案内してくれる。そこには就寝前のリラックス時間や Apple Watch との接続も含まれる。幸いにして、それは大部分自明であり説明は要しない。
また Watch > My Watch > Sleep に行き、少々の追加の設定もしておきたい。もし睡眠追跡のために Apple Watch を身に付けたまま寝るつもりなら、これらの設定のどれをもオフにする理由は私には見当たらない。とりわけ、Apple Watch が都合の悪い時に電池切れとならないためにも、充電通知は大事である。
就寝時間になると、iPhone はリラックスのために設定した時間に教えてくれる、少なくとも理論上は。私の体験からすると、これがきちんと働いているかについて確信は持てない。でも、今考えてみると、私のリラックス時間の通知は、私の Do Not Disturb スケジュールに入った後に設定されていたかも知れない。私の知る限りでは、リラックス終了や実際に就寝する時間を教えてくれるようアラームをを自動的に設定する方法はないが、スケジュールで起床時間に設定した時間に目覚ましが鳴るように設定するするのは簡単である。
リラックスが終了すると、iPhone 画面はグレイの睡眠画面を表示する (下記、左)。もし iPhone を使いたければ、まず Dismiss をタップ、それから何時もの様にロック解錠する。もし邪魔されないよう Do Not Disturb スケジュールを使っているのであれば、それは標準の Lock 画面から引き継ぐ (下記、右)。お分かりの様に、私がチェックしたのは真夜中であった。
Apple Watch もまた、睡眠スケジュールの間はその通常の表示モードを変える。注目すべき点は、この代替のインターフェースと睡眠追跡データ収集は、寝る前に充電器から外して Apple Watch を腕に嵌めた時に、ロック解除をするのをたとえ忘れたとしても働くことである。(時計を身に付けるのを完全に忘れた場合、Health は "就寝" 時間は iPhone を使うのを止めた時間に始まり、そして睡眠スケジュールの起床時間に終了したと記録する様に思える。正確ではないかも知れないが、少なくとも、正しい方向には向いていると言えよう。)
デフォルトで、Apple Watch の画面は完全にオフとなり、電池寿命に驚くべき効果を発揮し、そして不要な光が睡眠を妨げるのを阻止する。夜中にトイレに行くため目覚めても、画面が光ってしまうのを心配する必要は無い。時間を見るには、画面をしっかりタッチする。かすかなタップは必ずしも働かない。これは意図しない時に働くのは避ける意味からも納得がいく。それ以外のことはロック解錠しない限り何も出来ない。解錠するには Digital Crown を回すことが必要である。朝になって睡眠スケジュールが終了すると、Apple Watch は、おはようと挨拶し、日時を表示し、そして電池残量と天気予報を提供する。よく出来ている。
それで、後は眠るだけ、何時もの様に。私は Nylon Sport Loop バンドを Apple Watch 用に使っているが、これは全体の殆どが柔らかで、唯一堅いプラスチックで出来ているのはバンドの端だけである。私はこれを付けてでも快適に寝られると感じたが、もっと堅いバンド、とりわけ金属製のものは問題かも知れない。
Sleep 概要は、どれぐらいの時間ベッドの中にいたかとどれぐらいの時間眠っていたかを示し、起き上がるに十分な程睡眠が中断された時間に印を付ける (下記の水色のバーを横切る白い線)。デフォルトでは、週ビューが表示され、スワイプすれば時間軸上で戻れる。ある日のバーをタップすれば、正確な時間が表示される。M ボタンをタップすると、より広い範囲を示す月のビューに切り替えられる。ここで見られる様に、ここ数日ほど、我々は少し早く就寝し、起床することにしていた。Show More Sleep Data をタップすれば、基本的には同じ情報が異なった表示方法で提供される。
更なるデータを見るには、スクロールダウンしてスケジュールの箱を通り越し Highlights にまで行き、それから Show All をタップする。そこでは、その晩の心拍数や睡眠パターンの簡単な分析が見られる。
"Hi, Speed" イベントの発表で、Apple は業界ウォッチャーたちが予期した通りに、一つ、いや二つ、いや三つ、いやいや四つの iPhone 12 モデルをお披露目した。予想されていた iPhone 12、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max に加えて、Apple は小型の iPhone 12 mini も発表したが、これは Apple が必ずしもすべての人が大きな手や大きなポケットを持っている訳ではないという事実をようやく認めたということだろう。
Apple があらかじめ録画していたこのイベントにはヒーローショットの写真や技術仕様の情報がぎっしり詰まっていたが、すべてが短いカットで切り替わったのでメモを取ることさえほとんど不可能だった。今ではすべての詳細が出されているが、編集長の Josh Centers と私とで話し合った結果、私たちが Apple よりうまく情報を伝えることなどできそうにないだろうという結論に至った。そこでこの記事では、お決まりのやり方で紹介するのではなく少し違った角度から取り組むことにした。
おそらく iPhone 12 ラインアップの最も重大な特徴は、Goldilocks (童話「三匹の熊」に登場する少女) テストに合格していることだろう。つまり、ようやく三つの異なるサイズのうちから選べるようになったということだ。iPhone 12 Pro Max がパパ熊で 6.7 インチスクリーンを持つ。これは 6.5 インチスクリーンの iPhone 11 Pro Max よりもほんの少しだけ大きい。ママ熊のところに位置する iPhone 12 と iPhone 12 Pro は全く同じ大きさの双子で、昨年の iPhone 11 と同じ大きさの 6.1 インチスクリーンを持つが、ケースの長さは少し短い。けれども金メダルに値するのは新しい子熊モデルの iPhone 12 mini で、真の意味で小さい最後の iPhone としてたった 4 インチのスクリーンを備えていた第1世代 iPhone SE に比べてたった 8 mm だけ長く 6 mm だけ幅広の筐体に、5.4 インチのスクリーンを詰め込んでいる。
これらの iPhone 12 モデルで Apple は、やはり第1世代 iPhone SE を最後に見られていなかった四角っぽい工業デザインを復活させた。この工業デザインは持ちやすく滑りにくいと広く認められているので、これはそれ自体非常に大きなことだ。あの時代には私は iPhone ケースなど使わなかった。このデザインのお陰で iPhone を落としてしまう可能性が非常に低かったからだ。今回の新型 iPhone はたとえ落としたとしても Apple が Corning 社と共同開発した Ceramic Shield ガラスのお陰でスクリーンが無傷で済む可能性が4倍高くなった。
素材の共通性はそこまでだ。iPhone 12 と iPhone 12 mini はガラスの背面とアルミニウムを持ったデザインを使っており、カラーはブラック、ホワイト、グリーン、ブルー、それに Product(RED) の 5 色だ。一方 iPhone 12 Pro と iPhone 12 Pro Max はテクスチャードマットガラスの背面とステンレススチールを持ったデザインを使っており、カラーはシルバー、グラファイト、ゴールド、それに素敵な新色パシフィックブルーだ。
最後にもう一つ、すべての iPhone 12 モデルがスクリーン上に切り込みがあって認証に Face ID を使っていることは言っておくべきだろう。スクリーンに切り込みがあること自体は大きな問題ではない (すぐに慣れるだろう) が、マスクを着けている場合に Face ID はあまり嬉しくない。最近発表された第5世代 iPad Air でトップボタンに Touch ID センサーを組み込んだと同じような方式を Apple が iPhone 12 にも採用してくれるだろうと私たちは期待していた (2020 年 9 月 15 日の記事“Apple、iPad Air を再設計、基本モデル iPad を更新”参照) のだが、残念だ。それは技術的に無理だったのかもしれないし、私たちが当面の間マスクを着けることが明らかになって以後に内部構造を改変するだけの時間が Apple になかったということなのかもしれない。
5G: バンド幅の大変革か、それとも周波数帯のインチキ話か?
Apple はすべてのモデルが 5G ワイヤレステクノロジーに対応していることを大々的に宣伝して、Verizon Communications 社 CEO の Hans Vestberg を壇上に招いてそれがどんなに素晴らしいかを語らせることさえした。確かにスペックは素晴らしく、理想的な条件の下では毎秒最大 4 ギガビットのダウンロード速度を持つというが、ただし Apple は一般的な条件下でならば毎秒 1 ギガビットほどであろうと認めている。アップロード速度は毎秒最大 200 メガビットになり得る。Verizon は“5G がたった今本物になった”と主張するが、その理由の一部は同社の 5G Ultra Wideband サービスとそのミリ波スペクトラムの使用のお陰だ。加えて、同社は 5G Nationwide Network (これはおそらくミリ波スペクトラムを使用しない) をオンにしようとしていると述べ、それにより国内の 1800 の市や町で 2 億人の人たちに行き渡ると主張した。
iPhone 12 のカメラがどれほど驚くべきものかを Apple が説明するのを聞きながら、私たちが何となくボーッとしていたことは認めなければならない。あまりにも多くの数字が、あまりにも素早く語られたからだ! でも実際的な結論を言えば、iPhone 12 と iPhone 12 mini はデュアル 12 メガピクセルのカメラシステムで、超広角と広角のカメラを備え、いずれも 2x 光学ズームアウトができる。光学式手ぶれ補正 (広角) と、Night モードと Deep Fusion への対応 (超広角、広角) を持つ。後者の二つは基本的に、特に低光量の状況でより良い写真を提供するための計算写真学機能を意味する Apple のマーケティング用語だ。Night モードと Deep Fusion は今回から前面カメラでも使えるようになった。ビデオ撮影については、1080p と 4K の撮影を毎秒最大 60 フレームででき、Dolby Vision 対応の HDR ビデオ撮影を最大 30 fps でできるようになった。ここでも、それは特に困難な照明条件下でビデオ画質が向上するというだけの意味だ。
iPhone 12 Pro モデルのカメラについては、私たちは少々怖気付いた気持ちでいる。昨年の iPhone 11 Pro と同様、トリプル 12 メガピクセルのカメラシステムで超広角、広角、望遠のカメラを備えている。iPhone 12 モデルができることすべてが揃っているのに加えて、Pro モデルのカメラはより良い光学ズームを誇る。iPhone 12 Pro は 0.5x から 2x まで 4x のズームレンジを持ち、iPhone 12 Pro Max は 0.5x から 2.5x まで 5x のズームレンジだ。
新設された LiDAR Scanner が iPhone 12 Pro モデルに低光量の下でもより高速のオートフォーカスと、Night モードのポートレート写真、それに進化した AR 体験を実現する。また、Apple の計算写真学の利点と raw 画像フォーマットの柔軟性を組み合わせたものをプロの写真家に提供する新しい Apple ProRAW フォーマットにも対応する。ビデオ撮影については Pro モデルが Dolby Vision 対応の HDR ビデオ撮影を 60 fps に引き上げる。iPhone 12 Pro Max においては、Apple が「センサーシフト光学式手ぶれ補正」と呼ぶものを写真とビデオの双方に備える。どうやらこれは iPhone 12 Pro の通常の光学式手ぶれ補正より良いものらしい。
最後に、ここでもう一つ大きな事実を言っておきたい。すべての iPhone 12 モデルは Apple の新しい A14 Bionic チップを使っており、これは Apple が先月第4世代 iPad Air に搭載すると発表したものだ。(2020 年 9 月 15 日の記事“Apple、iPad Air を再設計、基本モデル iPad を更新”参照。) Apple はその多くの機能をこと細かに宣伝しているけれども、現実世界において A14 の主たる用途は最新の iPhone が撮影した画像の背後にある計算写真学機能を駆動することにあるのだろう。もちろん、手の込んだゲーミングにも役立つのだろうが、それはもしも小さなスクリーンで物理的コントローラを使わずにプレイするゲームに興味が湧けばの話だし、Dolby Vision 対応の素敵な HDR ビデオを編集する作業だって同じことだ。
そういう訳ですべてを大局的に見てみれば、この iPhone 12 Pro モデルのカメラシステムはほぼ間違いなく史上最高の iPhone カメラだろう。もしもあなたがプロであるか、またはプロ級の写真やビデオを iPhone で撮影したいのならば、直ちに購入するとよい。けれどももしあなたがプロではなくて、価格のことも考慮しつつモデルの選択をしなければならないのならば、問題は難しくなる。iPhone 12 のカメラを iPhone 12 Pro や Pro Max のカメラと比較するとどうなのか? また、iPhone 11 Pro のカメラとの比較はどうか? 私たちはプロの写真家ではないので、その種の評価に手を出すつもりはない。でもきっと近いうちに、いろいろな写真サイトや写真に関係した Mac サイト、例えば John Gruber の Daring Fireball といったところが、画像を2つ並べて比較したりしてくれるに違いない。
マグネットとバッテリー、おやおや!
Apple が MagSafe という名前を復活させたことにより、iPhone 12 ではマグネット機能が重要な意味を持つ。以前の MagSafe とは Apple ラップトップ機で使われた磁力で取り付け力を加えれば外れる充電ケーブルを意味していたが、その後 USB-C と Thunderbolt 3 にその地位を奪われた。(ここでしばし、ラップトップ機の MagSafe がなくなったことを悼んで黙祷したい。)
ワイヤードの充電については、すべての iPhone 12 モデルが Lightning ポートを持ち高速充電に対応しているので、20 ワットかそれ以上の充電器を使えば 50% 充電を 30 分間でできる。ただし、20 ワット充電器が付属していると期待してはいけない。今回の新型 iPhones には Lightning to USB-C ケーブルが付属するが、充電器やイヤーバッドが付属していた時代とはもうおさらばだ。Apple Park の屋上で話をしながら (ちょっとだけ高所での恐怖をにじませつつ) Apple の Environment, Policy, and Social Initiatives 担当副社長 Lisa Jackson はこれが世界から電子機器の廃棄を減らし出荷をより効率的にしようとする環境保護のための変更であるとして長々と語った。それは疑いもなく真実であり良いことには違いないが、それと同時に Apple にとっては顧客に転嫁すべき費用を大きく節約できることになる。Apple にとってはウィン-ウィンだが、それ以外の私たちにとってはそうでもない。
最後にもう一つ、すべての iPhone 12 モデルが現実世界の使用で悪くないバッテリー寿命を実現してくれることは期待できるけれども、iPhone 12 mini のバッテリー寿命が最も短く、iPhone 12 Pro Max が最も長いことは言っておかなければならない。Apple の出している数字は相対的なものでしかなくて、iPhone 12 Pro Max が最大 20 時間のビデオ再生ができ、iPhone 12 Pro と iPhone 12 ではたった 17 時間、iPhone 12 mini がたった 15 時間と言われても何の役にも立たない。ただし、全部で 15.5 時間のテレビ映画 Berlin Alexanderplatz を熱中して一気に見ることがよくある人がおられれば、何の役にも立たないなどと勝手に決めつけたことをお詫びしなければならないが。
価格と入手可能性
さて、ここでは数字が重要になる。ドルとセントで示された金額は誰もがそのまま理解できるからだ。第2世代 iPhone SE と、iPhone XR と、iPhone 11 が現在も販売が続けられていて価格的には安価なので、比較のためにそれらも表に加えておいた。
一方、iPhone 12 mini と iPhone 12 Pro Max の予約注文は 2020 年 11 月 6 日 5 AM Pacific に始まり、出荷が開始され店舗内で入手可能になるのは 2020 年 11 月 13 日からだ。
アップグレードの決断
Apple のイベントでの発表で聞いたことと既に公表された仕様とから判断する限りでは、iPhone 12 Pro と iPhone 12 Pro Max が史上最速で最も機能の高い iPhone であることに間違いはないと思う。そう判断できるのは何も驚くようなことではない。Apple が過去に発表した最上位機種の iPhone モデルはすべてそうだったのだから。だから、最高のものを手に入れたいのなら、この二機種のどちらかを選ぶとよい。両者の選択は、物理的なサイズと、光学ズーム、バッテリー寿命、それに価格をもとにすればよい。
小さいサイズの iPhone が重要であるという人には、iPhone 12 mini 以外に選択肢はないだろう。手もポケットも小さい人にとって、これは第1世代の iPhone SE 以後ぽっかりと空いていた穴をようやく埋められるものとして登場したものだから。ありがとう、Apple!
それ以外の旧型 iPhone を使っている人に対するアップグレードの助言はずっと困難なものとなる。例えば、iPhone 11 や iPhone 11 Pro を持っている人はどうすべきだろうか? 新型モデルの方が機能が高いことに疑問の余地はないが、はたしてそれは価格に見合うものだろうか? Josh も私も、今のところは自分が使っている iPhone 11 Pro からアップグレードするつもりはない。なぜなら、お金に見合うだけのものはないように見えるからだ。iPhone XR や iPhone XS を持っている人にも同じことが言えるかもしれないが、iPhone X ならかなり古いのでアップグレードが魅力的かもしれない。
iPhone 8 や第2世代 iPhone SE には iPhone 12 モデルに匹敵するようなプロセッサのパワーもカメラ機能もない。でも、これらのモデルには一つだけ、人々にアップグレードをためらわせる重要な利点がある。Touch ID だ。私が見聞きした限りでは SARS-CoV-2 コロナウイルスのワクチンが普及するのは早くても 2021 年中頃のようなので、Touch ID を備えた iPhone を持っている人は、公共の場でマスクを着けることが必要でなくなるまでの間は使い続けたいと思うかもしれない。
Microsoft が共同作業用ワークスペースおよびグループチャットアプリ Teams
をバージョン 1.3 にアップデートして、ミーティングの詳細情報をミーティングを開かずにカレンダーから見られる機能を追加した。このリリースではまたミーティング中のキャプション (US English のみの機能) を生成する際に話し手の名前を表示するライブキャプションを追加し、ミーティングの最中に出席者が勝手にミュートを外すことがないように主催者が出席者のマイクを無効化できるようにし、新しいキーボードショートカットを二つ、新規に会話を始める Option-Shift-C とスレッドに返信する Option-Shift-R を追加した。
Panic が Coda 2.7.6 をリリースして、このウェブサイト開発ツールにいくつかの改善とバグ修正を加えた。今回のアップデートでは無視すべきファイルのデフォルトリストに .nova を追加し、Dark モードを使う際の Text Encoding と Line Ending のラベルや Source Control 変更テキスト部分のコントラストを改良し、同じサイトから二つのウィンドウを開く際に接続の上級設定が適用されなかった問題を解消し、ファイルを Coda から Mail へドラッグした場合に元のファイルを移動させないようにし、ドラッグしてテキストクリッピングを作成できなかった問題を解消し、また macOS 11 Big Sur に備えてさまざまなデザイン上の調整を施した。(新規購入 $99、無料アップデート、68.6 MB、リリースノート、macOS 10.13+)