もっとうまく働いた機能としては、HomePod にウェブ検索を尋ねると、その結果が iPhone に送られて、最初から iPhone で尋ねた場合と全く同じやり方で表示された。いずれもっと多くの人たちが複数の HomePod を持つようになれば、家庭内のどの HomePod でも Siri を使ってアラーム、タイマー、メディアを停止することが可能となる。それから、Siri が家庭内の複数のユーザーの声を聞き分けてポッドキャストのリクエストを受けることができるようになったので、個人ごとにポッドキャストの購読と再生場所を Siri が追跡できる。
さらに別の改善点として、好きな曲やプレイリスト、または Apple Music のラジオステーションを HomePod のアラームに指定することがようやくできるようになった。今回のアップデートではまた、ステレオペアの HomePod で同期しない状態で再生することがあった問題が修正され、Siri を使って複数のスピーカーを操作する際の信頼性が向上し、全体的な Siri のパフォーマンスを最適化している。
歴史上最も甚大な被害をもたらしたハリケーンの一つが襲った後、医療専門家からなる私のチームは Puerto Rico の病院の隣にいた。工業用真空掃除機や排水ポンプを賢明に使ったことで、集中豪雨の後、前の晩には冠水していた事など分からない程であった。私は涼しい風をありがたく思っていたが、私の患者の血中酸素の測定値が安定して得られないことに苦闘していた。
恐らくこれが、私が Apple Watch Series 6 の新しい血中酸素センザーが、興味深くそして驚く程正確だと思った理由であろう。常時使用可能なパルスオキシメーターからのデータを記録する使用事例は、心拍数測定や心不整脈を見つけることに対するほど明白ではない。
酸素飽和について知っておくべきこと
びっくりする人もおられかも知れないが、酸素にはとても毒性がある。酸素は反応性が高く、体内に有りすぎると色々な種類の細胞の損傷の原因となり得る。一方で、それが無いと、我々は数分以内に死に至る。我々の身体は、大気から呼吸を通じて酸素を取り込み、血流を通して細胞にそれを運び、そしてそこでは細胞呼吸に使われる。酸素は、細胞呼吸で最後のそして大事な仕事をする。細胞が機能するためのエネルギーを供給するプロセスである。(バイオおたくのために付け加えると、酸素は、我々の細胞がエネルギーのために使う殆どの ATP を作り出す電子伝達網における優先電子受容体である)。
では Apple Watch 6 上の血中酸素センサーはどうであろうか? 腕の上で SpO2 を測るのは簡単ではない。と言うのも、調べているのは反射光だけだからである。光のビームは、指先や耳たぶ上のパルスオキシメーターでの様には腕を透過出来ない。反射光だけに頼るのと、装着位置、周囲の光、そして動きの差異との両方の理由から、問題はもっと難しくなる。私の冒頭の話が明らかにしている様に、SpO2 は、最新の医療グレードの指先センサーをもってしても測るのが難しい場合がある。
私は、Apple Watch Series 6 の血中酸素センサーを色々な状況下でここ数週間に亘って試験してきた。私は、私の結果を、普段の救急バッグに入れている二つの消費者グレードの指先センサーに対して比べてきた。妻と私の両方とも時計をアップグレードしたので、我々両者間での違いも測定出来る。そして、週末の旅のお陰で、私は Apple Watch が高地ではどの様に働くのかも評価出来た。我々は終日身に付け、測定した。運動中に、ハイキングの最中に、睡眠中に、そして屋内、屋外での色々な明るさの状況下で。
大抵の場合、Apple Watch Series 6 は、装着位置が良く、動きが無ければ、正確である。その計測値は私の指先センサーとぴったり同じか、或いは 1% ポイント以内の違いであった。Apple は、腕が水平な表面上にある時にだけ計測をするよう推奨しているが、バンドは心地よい締め付け状態にあり、腕は地面に水平に動かないよう保っておけば、まあまあの結果が得られる。
時計バンドをきつく締めるのは、緩めすぎるのと同じくらい悪い結果をもたらす傾向にある。もし周囲光が強い場合、Arizona の日光の下での様に、時計を嵌める位置にはより注意が必要であったが、良い計測値は得られる。ハイキングトレイルの途中で立ち止まって、指先センサーを装着して Apple Watch の計測値と比較している時に奇異の目を向けられることはあったが、私は趣味として Star Wars のストームトルーパーの格好をしているので、行き違う人からの二度びっくりの顔は余り気にならない。
これは何も Apple だけが直面する問題ではなく、Garmin, Fitbit, 等々のフィットネス測定機に血中酸素センサーを組み込んでいる他の会社全てに当て嵌まる。彼らは、この情報をどの様に顧客に役立つものにするか? 自分の血中酸素を知って、どの様な健康とウェルネスの判断が出来るのか? 今どう使うべきかと将来何処に向かうのかに付いての私の考えを述べてみる。
現時点では、もし病気だったり、既知の呼吸器問題を持っているのであれば、Apple Watch Series 6 は、専用のパルスオキシメーターを引っ張り出すべきである事を示すには十分な精度を持っている様に見える。それは簡便さの問題である - 私は、殆ど常時時計を身に付けているが、私のパルスオキシメーターは鞄の中か戸棚の中にある。もし Apple Watch Series 6 の血中酸素センサーを沢山使って、そしてそれが自分にどの様に役立つかを理解しているのであれば、その数字に依存しても不安はないかも知れないが、私ならば慎重に、そして複数回の測定をするであろう。他のツールと同様、病気かも知れない時に依存する前に、それが良い状況下で自分のためにどの様に働くのかを知っておく必要がある。COVID-19 に罹患した人達と定期的に接する者として、必要とする時にこれ程簡便なものを持っているのは嬉しい事である。しかし、私が病気になったとした時に、如何なる確たる医学的判断をするためにもそれを使うことはしないであろう。
Apple Watch の心拍数センサーと ECG が心房細動を見つけ出す手助けとなるように、睡眠中に血液酸素化を測定することで睡眠時無呼吸が分かるかも知れない。私が思うに、これが Apple が目指している所であろう。何故ならば、この時計は既に夜間に背景での計測をしているからである。問題は、良い計測値は本当に良いのだが、悪い計測値と弱い計測値の間の区別が付かないことである。これは Apple が改善出来るものだと私には思える。例えば、連続で何回か測って、心拍数センサーとの相関を取れば、装着位置が正しいかどうかの推測は出来るのではなかろうか。
COVID-19 のお陰で、世界中がパルスオキシメトリや血中酸素濃度を以前よりも遙かに良く認識するようになった。血中酸素センサーを組み込んだ Apple Watch 6 をリリースした Apple のタイミングは、無意識であろうが完璧であった。しかし、Apple Watch Series 6 はその装着位置にちょっとした注意を払う限りは正確であるが、ウェルネスの改善に対して更なる価値を提供出来ることを示す必要がある。健康であれば、自分の血中酸素濃度を知っても何も分からない。それは重病を診断するためには大切なツールであるが、多くの場合、もしそれ程気分が悪いのであれば、あなたの時計が何と言っているかに拘わらず病院に駆けつけるべきである。これらの限界はあるが、時計ベースのパルスオキシメトリには睡眠時無呼吸を見つけ出す手助けとなる可能性があると思うし、そして、常時見られる測定値は、呼吸器系の病気があり更に深く調べて貰うタイミングを知りたければ、役に立つであろう。
C-Command Software が SpamSieve 2.9.40 をリリースして、macOS 11 Big Sur の Mail への対応を追加するとともに、このスパム電子メールフィルタリングユーティリティの正確度を向上させた。今回のアップデートではまた、Big Sur で SpamSieve の Apple Mail プラグインをインストールする際に Option キーを押さえ続けることでアクティブなプラグインファイルをすべて一掃できるようにし、Big Sur におけるウェブバグ保護を復活させて 10.15 Catalina でそれを無効化する必要があった問題を修正し、Apple Mail プラグインが重複してインストールされた場合にそれを示すようにし、macOS のプライバシーのパフォーマンスバグに対する回避策を追加し、SpamSieve が起動の度に不必要に Mail プラグインをアップデートしていた不具合に対処している。今回からは macOS 10.9 Mavericks かそれ以降を要するようになった。(新規購入 $30、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、17.7 MB、リリースノート、macOS 10.9+)
C-Command Software の Michael Tsai が書類整理およびアーカイブ作成用アプリ EagleFiler をバージョン 1.9 にアップデートして、macOS 11 Big Sur への対応を追加するとともにユーザーインターフェイスを拡張した。EagleFiler は Big Sur の新しいインラインタイトルバースタイルを使い、ツールバーのデフォルトをアイコンのみのモードにするとともに新しい大アイコンスタイルにも対応した。今回のアップデートではまた、テキストとアイコンにシステムのサイズを用い、フォルダとメールボックスのラベルを色付きの円で示し、Big Sur の Mail でも Microsoft Edge でもキャプチャキーが働くようにし、Open Source URL コマンドで Mail にある元のメッセージを開けるようにし、Discourse フォーラム、Stack Overflow、Twitter、その他ポップアップを含むさまざまのウェブサイトからのウェブページの読み込みを改良している。EagleFiler は今回から macOS 10.12 Sierra かそれ以降を要するようになった。(C-Command Software からも Mac App Store からも新規購入 $40、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、28.5 MB、リリースノート、macOS 10.12+)
米国司法省は、司法長官 William Barr の権限下で Google に対する反トラスト訴訟を提訴し、例えば Apple に対価を支払って Safari でデフォルトの検索エンジンにしてもらうなど、反競争的な行動を取ったと訴えた。司法省は Google が自らの資金と影響力を使って競争相手を遮断したと非難する。訴状によれば Google は米国においてインターネット検索エンジンのおよそ 80% を支配しているという。
この訴訟が広く超党派の支持を得ていることは注目に値する。この国の党派分裂の両極端にいるとさえ言えるテキサス州上院議員 Ted Cruz と マサチューセッツ州上院議員 Elizabeth Warren が二人ともこの訴訟を支持している。しかしながら、早い決着を期待することはできない。反トラスト訴訟は何年間も続くことがあり、とりわけ上訴によっていくつもの裁判所を経ることになればなおさらだ。
Charles Schulz, の漫画 Peanuts が登場するテレビのホリデースペシャル、例えば It’s the Great Pumpkin, Charlie Brown といった番組は、アメリカンフットボール、落ち葉掻き、七面鳥のディナーといったものと並んで、アメリカ人にとって秋の伝統と言える。もう何十年もの間、Peanuts はテレビで放映されてきた。当初は CBS で、最近 20 年間は ABC が放映してきた。そして今、Vulture の記事によれば、Apple がこれを Apple TV+ 独占番組とする契約を獲得したばかりでなく、Earth Day、Mother's Day、New Year's Eve の3つの祝日に合わせて新しいスペシャル番組として提供するという。
嬉しいことに、Apple は期間限定でこれらのスペシャル番組を誰もが無料で視聴できるようにするらしい。It's the Great Pumpkin, Charlie Brown の無料ストリーミングはは 10 月 30 日から 11 月 1 日まで、A Charlie Brown Thanksgiving は 11 月 25 日から 11 月 27 日まで、A Charlie Brown Christmas は 12 月 11 日 から 12 月 13 日までとのことだ。これらの時間枠の中ではスペシャル番組の視聴に Apple TV+ アカウントは必要でなく、これは Apple の側での素敵な好意と言えるが、ブロードバンドを持たない何百万もの家庭にとってはテレビからストリーミングへの移動は悲しいニュースだ。[訳者注: この話はまだ Apple からの発表がなく、Vulture 記事のみが情報源です。噂によれば無料視聴の対象となるのは米国とカナダのみらしいです。]
速度の遅い、または料金の高価なネットワークで Mac のデータ使用量をコントロールするためのユーティリティ TripMode のメーカー Alix の共同創設者 David Dudok de Wit が Medium に記事を投稿して、Apple が macOS 11 Big Sur で施すある変更と、その重大な帰結の概要を述べた。(Hacker News でも膨大な議論が進行中だ。) Big Sur において、Apple は 50 以上の Apple 製アプリを除外リストに入れて、それらのアプリがアプリケーションレベルのファイヤウォールによる監視と制御を迂回できるようにする。このリストは 10.15 Catalina で初めて登場したが、ネットワークカーネル拡張を持つアプリ、例えば TripMode や Little Snitch その他には適用されなかった。Big Sur ではその点が変わり、それらのアプリは異なる API を利用することを強制されて、結果として Apple の除外リストが適用されるようになる。Catalina でも Big Sur でも、リストは次の場所にある:
コード署名に不幸な取り違えが起こったことで、macOS 10.14 Mojave や 10.15 Catalina のユーザーのところで多くの HP プリンタが印刷できなくなってしまった。HP が一部の古いプリンタドライバのためのセキュリティ証明書を意図せず無効にしてしまったため、macOS がそのドライバはマルウェアであるという警告を出して印刷を止めるようになったからだ。これは Apple の責任だと非難する人もいたが、HP の広報担当者が The Register に対して実際 HP が証明書を無効化したと述べた。HP は Apple と共同で証明書を元に戻すべく作業中だが、当面の対策として、HP は HP ドライバをアンインストールしてその代わりにネイティブな AirPrint ドライバを使う方法を勧めている。ある TidBITS 読者は System Preferences > Printers & Scanners からドライバを削除して HP のサポートサイトから新しいドライバを再インストールすることで問題が解消されたと言っている。
Steve Jobs は史上最高の事業再生、つまり業績不振の Apple を世界最大かつ最もパワフルな、市場を支配する製品を作る会社へと転換させた功績を認められている。いったいどうやって彼はそれができたのだろうか? 彼が最初にしたのは、Apple の general manager を全員解雇して、会社の編成を作り直すことであった。
Harvard Business Review の記事で、Apple VP であり Apple University の学長である Joel Podolny と、Apple University とカリフォルニア大学 Berkeley 校の双方の教授である Morten Hansen とが、Jobs が Apple への復帰に際してどのように会社を再編成したか、そして Apple がそれ以来どのようにその編成の上に築かれてきたかについて、詳細な分析記事を書いた。Jobs が Apple に復帰した時点で、Apple は従来型の会社と同じように製品を中心として組織されていた。一つの部門が Macintosh に専念し、もう一つの部門が Newton に専念し、という具合であった。Jobs は、このやり方が Apple の革新能力を阻害すると判断した。彼は会社を職能別構造へと切り替えた。ハードウェアとソフトウェアそれぞれに部門を作り、個々の製品マネージャーが短期的な市場圧力から隔離されるようにした。また、仕事が不必要に重複しないための対策もなされて、600 人から成るカメラ・ハードウェアのグループが提供するテクノロジーが複数の製品ラインに行き渡るようにした。
このやり方が実現されるため、二つの鍵があった。一つは Jobs がマネージャーに汎用の経営能力を求めるのでなく製品の専門家がマネージャーを務める点を強調したことであった。(マネージャーが担当する製品について深く知っているべきという考え方は、今もまだ実業界では主流でない。) もう一つは、研究開発担当の上席重役がその部門の製品のみにでなく会社全体の成績に基づいてボーナスを受けるやり方だ。このことにより、Apple では iPhone のみに集中するのでなく Apple TV や HomePod のようなあまり人気のない製品にも努力を試みることが可能となった。