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#1539: AirPods Pro サービスプログラム、Intercom 対応の拡大、多数の Apple OS アップデート、MagSafe の難点

明日に迫った大きな Mac イベントを控えた Apple は先週、仕事机をきれいに片付けるかのように Mac 以外のすべてのオペレーティングシステムのアップデートを出して、問題あるセキュリティ脆弱性をパッチし、新機能を追加した。iOS での Intercom 対応もその一つだ。Apple はまた macOS 10.15.7 Catalina といくつかの旧バージョンの iOS や watchOS にもアップデートをリリースして、実際に攻撃されつつあるというセキュリティ脆弱性に対処した。もしあなたの AirPods Pro でパチパチ音がしたり、音が欠落したりなどオーディオの問題が発生しているなら、Apple が無料で修理してくれるかもしれない。それからもう一つ、iPhone 12 に新しく搭載された MagSafe コネクタについて検討する。使いやすくなったことが、そのいろいろな難点や払うべき代償を上回る価値を持つのだろうか? 今週注目すべき Mac アプリのリリースは Little Snitch 5.0、Evernote 10.2.4、EagleFiler 1.9.1、Default Folder X 5.5、それに BusyCal 3.11 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、AirPods Pro の音の問題で修理サービスプログラムを開始

AirPods Pro without case

AirPods Pro でオーディオに問題があると気付かれたことがあるだろうか? その場合、新しいサービスプログラムの下で Apple に無料で修理してもらえるかもしれない。Apple によれば、2020 年 10 月より前に製造されたユニットで以下の症状 (いずれかまたは両方) が見られることがあるという:

Apple は AirPods Pro の実機検査をしてそれがプログラムの適用対象であるかどうかを調べ、もし対象であればイヤーバッド本体 (左右のいずれか、または両方) を必要に応じて交換する。交換の手続きのためには、Apple Support に連絡して Apple Repair Center で郵送サービスを手配してもらうか、Apple Retail Store 店頭での予約をするか、または Apple Authorized Service Provider に連絡するかしなければならない。

AirPods Pro ワイヤレス充電ケースは今回の問題とは無関係であり交換の対象とはならない。また、初代の AirPods も対象とはならない。

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Josh Centers Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、iOS 14.2、iPadOS 14.2、watchOS 7.1、HomePod Software 14.2、tvOS 14.2 をリリース

これは Apple の Mac 以外のオペレーティングシステムで今年最後の機能追加リリースと思われるが、Apple が iOS 14.2、iPadOS 14.2、watchOS 7.1、HomePod Software 14.2、それに tvOS 14.2 を公開した。新機能はいずれも画期的なものとは言えないが、多くは Apple エコシステム全体の中に存在していた統合に関する小さなギャップを埋めるものとなっている。

通常私たちはアップデートのインストールには慎重になるようお勧めしているけれども、今回の iOS、iPadOS、および watchOS のアップデートについては早めにインストールを計画するべきだ。なぜなら、これらは現在実際に攻撃が確認されている 3 件の深刻なセキュリティ脆弱性に対処するものだからだ。その一方で HomePod Software と tvOS のアップデートについては、しばらく待てば勝手に自分でインストールしてくれるはずだし、直ちに新機能が欲しい場合以外に手動でインストールしたいと思う理由はないだろう。

iOS 14.2

新型の iPhone 12 mini と iPhone 12 Pro Max、それに HomePod mini が出回る 2020 年 11 月 6 日を前にして今回リリースされた新しい iOS 14.2 には、更新された機能がいっぱい詰まっている。中でも最も注目すべきは約束されていた iPhone、iPad、Apple Watch、および CarPlay での Intercom (インターコム) 対応だ。HomePod Software 14.1 が初めて出た時点では、Intercom は HomePod 同士の間でしか働かなかった。(2020 年 10 月 20 日の記事“Apple、iOS 14.1、iPadOS 14.1、HomePod Software 14.1、tvOS 14.0.2 をリリース”参照。)

iOS 14.2 release notes

iPhone で Intercom を使うには、まずこの機能を Home アプリで有効化しなければならない。次に Home アプリを起動すると、設定を促してくるので (下のスクリーンショットの最初の 3 つを参照)、必要な Siri コマンドを確認し、使っているデバイスに Intercom 通知をいつ送るかを設定する。この設定を変更したければ (特定の HomePod を使わないようにしたい場合も) 左上隅の Home アイコンをタップしてメニューから Home Settings を選び、Intercom をタップすることでできる。(下の一番右のスクリーンショット参照。)

Intercom setup

いったんすべてが設定されれば、Siri に "tell" または "Intercom" と告げ、その後にあなたのメッセージを続ければよい。Siri に対して相手方の HomePod または他のデバイスを言い添えれば、そのデバイスのみにメッセージが届く。そうでなければ "home" の中のすべてのデバイスで放送される。また、Home アプリの右上隅に新設された Announce アイコンをタップすることもできる。するとメッセージを録音するよう促される。終わったら Done をタップする。

Using Intercom on an iPhone

iOS 14.2 のその他の機能には、次のようなものがある:

今回の iOS 14.2 アップデートで修正された問題点も数多く、次のようなものがあった:

iOS 14.2 および iPadOS 14.2 アップデートにはセキュリティ修正を詳述した 24 件の CVE 公開エントリがあり、そのうち 3 件は現在実際に攻撃が確認されている。

iPhone 11 Pro 上で 1.4 GB というサイズのこの iOS アップデートのダウンロードは Settings > General > Software Update で、macOS 10.15 Catalina では Finder を通じて、それ以前のバージョンの macOS では iTunes を使ってもできる。

iPadOS 14.2

いつもと同様、iPadOS 14.2 には iOS 14.2 の変更点の一部が含まれるが、例外として最近リリースされた第4世代 iPad Air のみを対象としたカメラ関係の改善点が 2 件ある。

iPadOS 14.2

これらの改善点には「ふうん、そりゃ素敵だね」と言うしかないが、実際に使っている際には見分けがつかない程度のものではないかと思う。ただ、写真とビデオがほんのちょっとだけ良くなるということだろう。

watchOS 7.1

watchOS 7.1 の変更点リストは短いが、特にありがたいバグ修正が 2 件ある。機能面でそれ以外にすべての人が利用できるものはただ一つ、ヘッドフォンの音量が聴覚に影響を及ぼす場合に通知するオプションだ。お母さんに「音楽を小さくしなさい!」と叱られるのでないのが悲しいところだ。これに加えて、韓国とロシアの Apple Watch ユーザーが ECG (心電図) アプリ対応と不規則な心拍の通知対応の恩恵を受けられるようになる。

watchOS 7.1 release notes

より興味深いのが Apple が修正したと言っている 2 件のバグだ。まず、一部のユーザーが Apple Watch を使って Mac のロックを解除できなかった問題が解決される。Mac のロックが自動的に外れることに慣れてしまった人にとっては特に大きなことだろう。もう一つは、一部の Apple Watch Series 6 ユーザーが手首を上げても画面が暗いままであった問題に対処している。

watchOS 7.1 は Apple Watch Series 4 の上で 371 MB のダウンロードだ。watchOS 7.1 アップデートをインストールするには iPhone で Watch アプリを開き、My Watch > General > Software Update へ行けばよい。いつも通りに、Apple Watch が充電器に接続された状態であり、少なくとも 50% 充電されていることが必要だ。

tvOS 14.2

珍しいことに、リリースノートに特記する価値のある新機能が今回は tvOS のアップデートに含まれている。tvOS 14.2 には 2 件の新機能がある。HomePod ホームシアターと、Apple One サービスバンドル (2020 年 9 月 15 日の記事“Apple 定期購読、Apple Fitness+, Apple One バンドルで拡大”参照) への対応だ。

Apple TV 4K がホームシアターシステムの重要な部分を構成しているという人ならば、HomePod ホームシアター対応が加わったお陰で 1 台か 2 台の HomePod を Apple TV 4K に接続することでステレオ、サラウンドサウンド、Dolby Atmos オーディオが得られるようになる。そのために必要なのは、アップデートされた HomePod (または 2 台の HomePod のステレオペア) を iOS 14.2 または iPadOS 14.2 の Home アプリを使って Apple TV と同じ HomeKit ルームに置くことだけだ。(この機能は Apple TV HD や他の AirPlay-2 対応スピーカーには対応していない。)

Prompt to set up the HomePod as the Apple TV default audio

それをするには、Home アプリを開き、Apple TV 4K と HomePod 双方の設定に入り、ルームの設定が同一であることを確認しておく。たとえ物理的に同じ部屋の中にあっても、同一のルーム設定がされていなければ機能しない。私たちが HomePod を Apple TV 4K と同じ HomeKit ルームに追加するやいなや、この HomePod をデフォルトのオーディオ出力として使いますかという質問が表示された。この設定はあとでいつでも Settings > Video and Audio > Default Audio Output で変更できる。

また、Dolby Atmos が機能するためにも Apple TV と HomePod の両方が同一の HomeKit ルームに設定されていなければならないようだ。私たちのテストでは、これを設定した後にオーディオの音質がはっきりと良くなった。

tvOS 14.2 アップデートをインストールするには Settings > System > Software Update へ行く。あるいは HomePod ホームシアターにも Apple One にも興味がないならば、ただ放っておいて勝手にインストールさせてもよい。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、攻撃確認された脆弱性のため多数のオペレーティングシステムをアップデート

Mac 以外のオペレーティングシステムで機能追加とバグ修正のアップデートを出すとともに (2020 年 11 月 5 日の記事“Apple、iOS 14.2、iPadOS 14.2、watchOS 7.1、HomePod Software 14.2、tvOS 14.2 をリリース”参照)、Apple は macOS Catalina 10.15.7 追加アップデート (およびまだインストールしていなかった人のためには macOS Catalina 10.15.7 Update の再リリース) と、iOS 12.4.9 (iPhone 5s、iPhone 6 と 6 Plus、iPad Air、iPad mini 2 と 3、および第6世代 iPod touch 用)、watchOS 5.3.9 (Apple Watch Series 1 とそれ以降用)、それから watchOS 6.2.9 (Apple Watch Series 1 と Series 2 用) をリリースした。

これらのアップデートはすべて同じ 3 件の深刻なセキュリティ脆弱性に対処するもので、任意のコードが実行されたり、カーネルメモリが漏洩したりする可能性があった。それだけでも良くないことだが、大問題なのは Apple によればこれらの脆弱性を悪用したエクスプロイト (攻撃) が確認されている旨の報告を受けているのだという。言い換えれば、悪漢たちが既にこれらのバグを利用して Apple デバイスを攻撃しているのだ。

Security fixes in macOS Catalina 10.15.7 Supplemental Update

iOS 14.2、iPadOS 14.2、および watchOS 7.1 のアップデートも、やはりこれと同じ脆弱性を閉じている。tvOS 14.2 にもセキュリティ修正が含まれているが、どうやら上記のバグには影響されていないようだ。言うまでもなく、あなたがどのバージョンのオペレーティングシステムを使っているとしても、これらの脆弱性に対処するためのアップデートがもし出ていれば、できるだけ早くインストールすることをお勧めしたい。

macOS Catalina 10.15.7 追加アップデートをインストールした後の macOS は、ビルド番号 19H15 となっているはずだ。そのことは、Apple メニューから About This Mac を選んで、バージョン番号の部分をクリックすれば分かる。

Finding the build number for the macOS Catalina 10.15.7 Supplemental Update

iOS 13 と iPadOS 13 がこれらの脆弱性のためのアップデートを受けなかったことに注意したい。これはおそらく、Apple がそれらのユーザーたちが iOS 14.2 や iPadOS 14.2 にアップグレードすることを期待しているからなのではなかろうか。また、10.14 Mojave やそれ以前のバージョンの macOS にアップデートが出ていないということは、古いバージョンがこれらの脆弱性に影響されないからなのではないかと思われる。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

MagSafe はクールだが、一新するだけの価値はあるか?

多くの人が、iPhone 12 での最も興味のある新技術は新しい MagSafe 充電そして付属品取り付けシステムだと感じているが、初期の体験から幾つかの問題点が見つかっている。それらの問題に入る前に、MagSafe とは何ぞやから見てみよう。

MagSafe accessories

どの様に (新しい) MagSafe は働くのか

多くの TidBITS 読者は、Apple の最初の MagSafe システムを思い返して懐かしく思うであろう。これは磁石を使って給電コネクターを Apple のノートブックコンピュータに接続するものであった。それは他のどの様な接続方法よりも簡単で、コードを強く引いたり、引っかけたりしても、コンピュータをテーブルから引きずり落とす結果となることなく、無害に外れた。この初代の MagSafe は卓越したものであったが、その後 Apple は充電のために、そして他の利点全てのために、USB-C コネクタータイプに切り替えたが、これはユーザー体験の観点からは、大きな後退であった。

磁石を使っている事を除けば、新しい MagSafe は全く異なるものである。昔の MagSafe は磁性の取り付け部と補強をもつ有線の接続であったが、新しい MagSafe は完全に "無線" である。それは、Qi "無線充電" 標準に基づいている。(私は "無線" と引用符付きで表現しているが、それは有線部分もあるからである;意味する所は、充電器と iPhone の間には線が関与していないというだけの話である。)

Qi 充電に付きまとう問題は、それが充電パッド上の所定の位置に機器を正確に置かなければならないことで、少しでもズレると充電されないこともある。Apple は、初期にはこの問題に応えるものとして AirPower 充電マットを出そうとした。それは、 iPhone, Apple Watch, 或いは AirPods ケースをマット上の何処に置いても大丈夫というものであった。しかしながら、AirPower は開発中止となってしまった。過熱問題が理由だと報じられている ("Apple、AirPower を中止、熱を処理出来ない" 29 March 2019 参照)。

MagSafe は Apple の次善の策であった。位置を気にしないマットを開発する代わりに、MagSafe は磁石を使うので、iPhone は毎回充電器の正確な場所にくっつき、そしてそこに保持される。

この磁性アタッチメント機構は、他の興味深い可能性も生み出した。例えば、磁性アタッチメントの付属品である。Apple は iPhone 12 の背面に取り付く革の財布を売っており、そして付属品メーカーはカーマウントの様なものを作り出している。

しかしながら、この磁性アタッチメントには問題が無いわけではない。

MagSafe の磁石:過剰であり、十分でない

新しい MagSafe と古いものの間には、鍵となる違いがある。Mac 上の MagSafe は、ケーブルを引っ張ったら、コンピュータから簡単にそして安全に外れるよう設計されていたが、新しい MagSafe はぴったりくっついたままでいるよう設計されている。Daring Fireball の Gruber は彼のレビューで次の様に説明している

それは iPhone にくっつくので、充電中の iPhone を持ち上げれば、MagSafe パックはくっついたまま一緒に付いてくる。それは磁性の充電パッドと言うよりは、Lightning ケーブルの磁石版だと思った方が良い。

これは必ずしも悪いことではない。例えば、MagSafe パックをくっつけたままでも iPhone を使える。そして、付属品の取り付けには強力な接続は不可避である。しかし、それは MagSafe の初期の目的から言えば、興味を引く方向転換である。

不幸にして、MagSafe は、猫がケーブルに戯れ付いたりしたら、iPhone ごとテーブルから引きずり落とす程強いが、付属品を常にしっかりと保持する程には強くないかも知れない。Wall Street Journal の Joanna Stern は、ポケットに入れたら iPhone 財布が iPhone から外れていた経験を持つ。

その理由から、Gruber は MagSafe カーマウントに懐疑的である:

沢山の人が、カーマウントについて思いを巡らせている:その磁石だけで iPhone をきちんと保持出来るのだろうか? MagSafe 充電パックから類推すれば、私はノーと言いたい。少なくとも、フィラデルフィアの道路並みの穴ぼこには無理であろう。しかし、カーマウントはより強力な磁石を使うことが出来るし、そうなるであろう。私の推測では、カーマウントは MagSafe と何らかのクリップやカップとの組合せになると思われる。

と言うことで、MagSafe 接続は、何かが充電ケーブルを引っかけたりしたら、iPhone を床に引き落とす程強いが、付属品を理想的な強さで保持するには十分ではないかもしれない。では、充電速度は有線接続と比べてどうであろうか?

MagSafe 充電:Lightning より遅い

iPhone 12 が MagSafe Charger から引き出せるのは最大で 15 ワットである (そして、 iPhone 12 mini は 12 ワットしか引き出せないと報じられている)。それでも、それは従来の Apple 機器での最大 7.5 ワットという Qi 充電よりも2倍速いが、iPhone 11 Pro に同梱されている電源アダプターの 18 ワットよりも少ない。無線充電の効率の悪さを考慮すれば、充電速度はかなり落ちると思うべきである。

Tom's Guide は、Apple の新しい 20-watt 充電器を使ったテストを行った。Lightning 接続では空の iPhone 12 を 30 分後に 57% まで充電したが、同じ 30 分で MagSafe では空の iPhone 12 を 32% 迄しか充電出来なかった。

更に悪いことに、その様な高速の充電速度は Apple の公式の 20-watt 充電器を用いた場合にのみ見られる。YouTuber Aaron Zollo は、15-watt 充電は Apple 充電器の場合しか得られないことを見つけた。それは充電器のワット数の問題ではない:Apple の MagSafe Charger を同社の 96-watt MacBook Pro 電源アダプターと組み合わせても、たったの 10 ワットしか iPhone 12 には供給されないし、Aukey 65-watt 電源アダプターは最大でたったの 9 ワットである。

いいえ、それは何も Apple が自らの電源アダプターをもっと売りたいという陰謀ではない。問題は、MagSafe Charger が満杯の 15-watt を供給するためには、電源アダプターは USB Power Delivery 3.0 標準をサポートしなければならないことである。もしサードパーティの電源アダプターを探すのであれば、それは 9 V で 2.22 A を出力出来なければならない。しかしながら、現在市場に出回っている電源アダプターでこの標準をサポートしているものは殆どない。

Zollo はまた MagSafe が温度によって充電を制限することも見つけた。iPhone の温度が上がると、電力を 10 ワットに下げる。彼はまた、この制限を避けるにはケースから外して充電することを勧めている。Apple の MagSafe 説明にはこうある

ほかのワイヤレス充電器を使う場合と同様、iPhone の充電中は iPhone や MagSafe 充電器が若干熱を帯びることがあります。バッテリーの寿命を延ばすために、バッテリーが熱くなりすぎると、ソフトウェアが 80 パーセント以上の充電を制限することがあります。iPhone や MagSafe 充電器は長時間使用後熱を帯びることがあり、充電時間がより長くなることがあります。iPhone は温度が下がったら充電を再開します。iPhone と充電器をより涼しい場所に置いてみて下さい。

この非効率性により、充電速度は遅くなり、そして使用電力に膨大な無駄が生じる。Eric Ravenscraft は試験をしてみて、Qi 無線充電は、ケーブルでの充電に比べて平均で 47% 多くの電力を消費する事を見つけた。MagSafe が、通常の Qi 充電とどの様に対比するかは時間を待たねば分からないし、MagSafe の方が少しは効率的あろうと想定は出来るが、多くの電力が空中に無駄に放出されることに変わりはない。一台の電話では大したことではないが、何百万台の iPhone ではどうであろうか? "もし世界中の人が無線充電に切り替えれば、世界の電力網に目に見える影響が出るであろう" と Ravenscraft は言っている。Apple が環境にあの様な重きを置く一方で、より効率の悪い充電に移行しようとするのは奇妙に思える ("Apple の 2020 Environmental Progress Report を読む 24 August 2020 参照)。

WMagSafe を試してみたい? Apple Card の準備を

残念ながら、MagSafe に関係するものは殆ど何も箱に入ってこない。Apple は、環境の観点から、電源アダプターを (そして有線のイヤバッズも) iPhone の箱から削除していると言った。今では、誰でも電源アダプターを少なくとも一つは持っているとの想定の下でであり、そして、それは本当かも知れないが (そして、我々は沢山持っている)、不幸なことに、Apple が箱に同梱しているケーブルは Lightning-to-USB-C である。殆どの iPhone ユーザーの所では、恐らく USB-C 電源アダプターがそこら辺に転がっていると言うことはないであろう。

Apple の MagSafe Charger は、別に $39 の負担となり、そして上で記したように、それを最大限使うためには更に $19 出して 20-watt 電源アダプターを買う必要があり、合計は $58 に上昇する。

Apple はまた MagSafe Duo Charger も売り出す予定で、これは iPhone 12 と Apple Watch の両方を同時に充電出来るが、値段は $129 へと跳ね上がる。

しかし Apple Card には注意を!

磁石にクレジットカード。我々は、何もチョコレートとピーナッツバターの話をしているわけではない。Apple の説明にはこう書いてある:

クレジットカード、セキュリティバッジ、パスポート、キーフォブを iPhone と MagSafe 充電器の間に挟まないようにしてください。それらのアイテムの磁気ストライプや RFID チップの破損につながる可能性があります。こうした破損しやすいアイテムを収納できるケースをお使いの場合は、それらのアイテムを充電前に取り出すか、デバイスの背面と充電器の間に挟まらないようにしてください。

そうではあるが、iPhone Leather Wallet に対する製品ページでは、"このレザーウォレットは遮蔽されており、クレジットカードを入れても安心です。" と言っている。

Apple はここでは恐らく過度に注意深くあろうとしているだけであろうから、裸のクレジットカードを iPhone と MagSafe Charger の間に意図的に挟まない限り、磁気ストライプが消えることはないと思われる。しかし、注意するに越したことはない。

最後に、iPhone 財布を買う前に、MagSafe Charger は押し跡を残す事を知ってお くべきである。Apple は次の様に説明している:

iPhone をレザーケースに入れたまま MagSafe 充電器で充電した場合、ケースに型押ししたような円形の跡が残ることがあります。これは異常ではありませんが、気になる場合は、レザー以外のケースをお使いになることをお勧めします。

個人的には、この円形の押し跡は革ケースに MagSafe Charger を使う事に対する自然な結果だと受け止めるであろうが、それは、散財をする前に知っておくべきことであろう。

Impression in MagSafe case

MagSafe の得失にはそれだけの価値があるか?

MagSafe がクールな技術であることは否定しがたいが、完璧からは程遠い、充電速度は Lightning ケーブルより遅いし、それに面倒さは余り変わらない。付属品を取り付けられるが、恐らく強度が足りない場合も想定される。それに、これらの付属品は安くはない。

多くの人が、将来 MagSafe が Lightning ポートに置き換わるのではと推測している。Lightning にもそれなりの問題があるが、Apple が実証済みのケーブル技術を諦める前に、 MagSafe が無駄にする電力を減らし、そして付属品に対しては必要十分な磁力強度を提供する事を実現させて欲しい。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Little Snitch 5.0

Little Snitch 5.0

Objective Development が Little Snitch 5.0 をリリースした。このネットワークトラフィック管理ユーティリティにデザインの一新、トラフィック統計情報の改善、新しいコマンドラインのインターフェイス、macOS 11 Big Sur との互換性をもたらした、メジャーなアップグレードだ。バージョン 5 では Apple が Big Sur で導入した新しいネットワークフィルターのテクノロジーとの統合に重点が置かれており、その基盤となるフィルターエンジンが再構築されて macOS ではもはやサポートされなくなったカーネル拡張に基づく従来のやり方に代わるものとなる。Little Snitch 5 は Big Sur を必要とし、Intel ベースおよび Apple silicon ベース双方の Mac で動作する。

Little Snitch の新しいコマンドラインのインターフェイスでは、環境設定の編集、設定の読み込みと書き出し、デバッグ、ログ記録、トラフィック履歴へのアクセスができる。今回の新バージョンではまた、ルールの中にポート番号のリストを指定でき、バックアップ用の書き出しフォーマットを“人間が読める”正規化された JSON で用意し、ネットワーク統計情報を Network Monitor とは独立に記録する (従って Network Monitor を終了させてもそのまま統計情報の記録を続けられる) ようになった。Little Snitch 4 のライセンスがあれば値引き価格でバージョン 5 にアップグレードでき、そのためにはこの Objective Development 注文ページに行けばよい。(新規購入 $45、アップグレード料金あり、42.2 MB、リリースノート、macOS 11+)

Little Snitch 5.0 の使用体験を話し合おう

Evernote 10.2.4

Evernote 10.2.4

10 月の初めに Evernote は社名と同じ名前の Mac 用情報管理アプリのバージョン 10 をリリースして、アピアランスのコントロール強化、検索の改良、ユーザーインターフェイスの再デザインなどを盛り込んだ。Evernote 10 では意味を持つ見出しや表を使ってノートに構造を与える機能が追加され、タイプしている最中にもリアルタイムで検索提案が出るようになり、タグ、添付物、PDF、URL その他で検索にフィルターをかけられるようになり、また異なるプラットフォームやデバイスを横断してのデータ同期が改良された。

Evernote は 10 月末にバージョン 10.2.4 にアップデートされて、コンパニオンアプリ Evernote Helper を (メニューバー上の Evernote アイコンから) 使って手早くノートを書いたりスクリーンショットをクリップしたりできる機能を追加し、キーボードショートカット F2 がノートのタイトルの編集を始めるようにし、ノートの合併のためにドラッグ&ドロップを使う機能を改善し、Evernote が再起動された際に同じノートやウィンドウが選択された状態で開くようにし、ENEX 以外のファイルを読み込んだ際に新規ノートブックが作成されないようにした。

Evernote は現在もまだ無料の Basic プランを提供しており、これは同期をデバイス 2 台まで、データのアップロードを毎月 60 MB までに制限している。Premium プランは月額 $7.99 で利用でき、デバイスの台数無制限で同期できるとともに月ごとのデータアップロード量上限を 10 GB とし、PDF の注釈を可能にし、デスクトップとモバイル双方のデバイスでオフラインのアクセスを提供する。資格を認められた学生は Evernote Premium を一年間 50% 割引で利用できる。(Evernote からMac App Store からも無料、139 MB、macOS 10.10+)[訳者注: 現在 Evernote はバージョン 10.3.6 にアップデートされています。]

Evernote 10.2.4 の使用体験を話し合おう

EagleFiler 1.9.1

EagleFiler 1.9.1

C-Command Software の Michael Tsai が EagleFiler 1.9.1 を出した。macOS 11 Big Sur 用の改良を施した最近のアップデート (2020 年 10 月 26 日の記事“EagleFiler 1.9”参照) に続く、メンテナンス・リリースだ。この書類整理およびアーカイブ作成用アプリは今回、記録がエイリアスファイルである場合にもその内容を表示し、Evernote からの読み込みの際に (Evernote 10 が AppleScript に対応しなくなったため) 別方法を提案し、複数個の Evernote ノートブックからキャプチャしたノートをそれぞれのノートブックの名前を付けたフォルダに分けて置き、読み込みの際にメッセージをフルにダウンロードする Download Apple Mail Messages スクリプトを追加し、ENEX ファイルを読み込む際にクラッシュを起こすことがあった Big Sur のバグを回避し、Big Sur で Share ボタンが見えている場合に選択された記録を多数開くことになるという誤った警告を出していたバグを修正し、また Apple Mail から多数のメッセージをキャプチャする際にタイムアウトが起こっていた問題を解消した。(C-Command Software からも Mac App Store からも新規購入 $40、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、29.9 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

EagleFiler 1.9.1 の使用体験を話し合おう

Default Folder X 5.5

Default Folder X 5.5

St. Clair Software が Default Folder X 5.5 をリリースして、macOS 11 Big Sur 対応を追加するとともに、Open/Save ダイアログを拡張するこのユーティリティが Intel Mac と Apple silicon Mac の双方でネイティブに動作するようにした。今回のアップデートではクラウド (iCloud、Dropbox、Google Drive、OneDrive、and Box Sync) から同期された共有フォルダの変更を追跡するようにしたので、同期フォルダの中の変更が Default Folder X の Recent Files および Recent Folders メニューに直ちに反映されるようになった。また、Default Folder X 5.5 は Big Sur のグラフィカルな変更に合うように見栄えを更新し、環境設定のよく使うフォルダとデフォルトのフォルダのリストにツールチップを追加してフォルダのフルパスが見られるようにし、Default Folder X のメニューで多数の項目を含むサブフォルダの並び順が正しくなかった問題を修正し、ファイルダイアログの管理で時折起こったバグによりフォルダの切り替えに失敗することがあった問題を修正し、アプリが起動時にハングすることがあった macOS のバグ 2 件に回避策を施した。Default Folder X は月額 $9.99 の Setapp Mac アプリ購読サービスの一部としても入手できる。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、15.6 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)

Default Folder X 5.5 の使用体験を話し合おう

BusyCal 3.11

BusyCal 3.11

BusyMac が BusyCal 3.11 をリリースして、クリック一つで Zoom ミーティングをイベントに追加できる機能を導入した。このカレンダーユーティリティはまた、Google Tasks への対応 (アカウントの再認証が必要) を追加し、ミーティングに出席者を追加する際に自動的に連絡先ディレクトリを検索して Google/GSuite ユーザーを探すようになり、To Do リストに期限日を表示するようにし、開始時刻や終了時刻を 30 分間バッチ加算 (または減算) するキーボードショートカットを導入し、アラームを止めずに BusyCal Alarm ウィンドウを閉じられるようにし、ノートの中の Zoom リンクの探知を改良し、また Open XChange アカウントから送られたミーティング招待への対応を改良している。(BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、月額 $9.99 の Setapp Mac アプリ購読サービスから利用可能、無料アップデート、24.4 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

BusyCal 3.11 の使用体験を話し合おう