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#1544: ホリデー休暇、iOS 12.5 と watchOS 6.3、App Store の争い、LG 27UK850-W モニタをレビュー

2020 年の終わりが近づいたので、この号が今年最後の TidBITS 電子メール号となる。次号の電子メール版 TidBITS は 2021 年 1 月 11 日発行の予定だ。それまでの間は Apple 世界をお伝えする最新記事を私たちのサイトに掲載してゆくので、どうぞそちらをチェックしていただきたい。先週 Apple は通常ならもうサポートされてないはずのオペレーティングシステムに iOS 12.5 と watchOS 6.3 アップデートを出して人々を驚かせた。COVID-19 接触通知を追加し、重要なセキュリティ修正を施すものだ。今週号では App Store を巡ってますますいちかばちかの性質を増しつつある争いについて報告する。それからもう一つ、Mac 用のモニタを購入しようと考えている人たちのために、Josh Centers が Mac 用の手頃な価格でなかなか良い 4K モニタ、LG 27UK850-W を詳しくレビューする。今週注目すべき Mac アプリのリリースのお知らせは Audio Hijack 3.8、Piezo 1.7、SoundSource 5.2、Safari 14.0.2、Firefox 84、TextExpander 6.8.1、BBEdit 13.5.3、Ulysses 21.3、Scrivener 3.2.2、DEVONagent 3.11.4、Airfoil 5.10、Fantastical 3.3.3、Alfred 4.3、GraphicConverter 11.3.3、Typinator 8.6、Evernote 10.5.7、それに macOS Server 5.11 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

TidBITS 2020 ホリデー休暇 - また 2021 年にお会いしましょう!

これが 2020 年最後の TidBITS 電子メール号となる。これから2週間の私たちはいつも通り業界の出来事に注意を払いつつ、皆さんの注目に値すると思われることがらを記事にしてゆくが、次号の電子メール版 TidBITS は 2021 年 1 月 11 日発行の予定だ。

そうして 2021 年がやって来るまで、ホリデーのお休みを頂きたい。例年のように遠くに住む家族のところまで旅行することはないけれども、私たちはたぶん息子の Tristan や私たちの両親と一緒に散歩するくらいは、天候さえ許せば、したいと思っている。でもそれならそれでよい。Tonya ほどに私が一緒に時を過ごしたいと思っている人は他にいないし、私たちはたくさんのご馳走や楽しみを計画している。世界的なパンデミックを予想した人は非常に少なかったけれども、これが私たちに配られた手札なので、その中からどんな良いことを引き出せるかは私たち次第だ。

TidBITS について言えば、2021 年にも毎週月曜日に、時を選ばず号を出し続けること以外に私たちは特段の計画を持っていない。もちろん号で扱う内容は毎週変わるけれども、これまで 30 年間定期的な出版を続けてきて、これほどの大変動の時の中でさえも変わらずしっかりしたものを皆さんにお届けできているのではないかと願っている。

それからまた、私たち TidBITS の活動を可能として下さっている多くの人々への、感謝の思いを新たにしている:

ありがとう、皆さん、そして、2021 年を通じて皆さんと皆さんの大切な人たちが、安全で、健康でいられますようにと願っています!

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

驚きの iOS 12.5 および watchOS 6.3 アップデートが接触通知とセキュリティ修正を追加

iPhone 6、Apple Watch Series 2、またはそれより古いデバイスで iOS 12 か watchOS 6 を走らせているユーザーたちへの一足早い“クリスマスの奇跡”として、Apple は2つのアップデート、iOS 12.5watchOS 6.3 をリリースし、1件のメジャーなセキュリティホールを修正するとともに、旧型の iPhone にも COVID-19 接触通知への対応を追加した。接触通知についての詳細と、対応アプリの一つについての説明は、2020 年 9 月 1 日の記事“iOS 13.7、Apple の COVID-19 Exposure Notifications を統合”と 2020 年 10 月 2 日の記事“ニューヨーク州の COVID Alert NY アプリを見てみる”を参照して頂きたい。

iOS 12.5watchOS 6.3 はいずれも、たった一つだけのセキュリティ脆弱性を修正する。Apple のリリースノートには、これらのアップデートをしなければ「未承認のコード実行が認証ポリシー違反につながる場合がある」と書かれている。これを読んだ限りでは、攻撃者があなたの iPhone や Apple Watch を基本的に掌握してしまうことがあり得るということのようだ。旧バージョンの iOS や watchOS に対して Apple がセキュリティアップデートを出すのが極めて稀であることを考えれば、一週間ほど待って問題の報告がコミュニティーから聞こえてこないことを確かめてからこれらのアップデートをインストールしておくことをお勧めしたい。

いつも通りに、iPhone をアップデートするには Settings > General > Software Update から、または macOS 10.14 Mojave かそれ以前では iTunes を使って、それより新しいバージョンでは Finder の中でできる。Apple Watch をアップデートするには iPhone 上の Watch アプリで My Watch > General > Software Update へ行けばよい。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

App Store 戦争:Facebook 対 Apple、出版者対 Apple、Apple 対 Brave

総合的に見ると、Apple は賞賛に値する年を終えようとしているが、App Store ビジネスにとっては苦難の年であった:

でも App Store にまつわる論争はまだまだ終わっていない。

Facebook 対 Apple

これら全てが進行する中で、一つの戦争が Apple と Facebook の間で起ころうとしている。争点は、公表されている一つのiOS 14 機能にまつわるもので、それはアプリ開発者がアプリ又はウェブサイト上でユーザーを追跡したり、機器の固有識別子にアクセスしたりする前に、明白なユーザーの同意を必要とすることに関するものである。この機能は元々、iOS 14 を使うサードパーティ開発者に対して義務とされていたが、Facebook 等からの反対に遭って Apple はその義務化を 2021 年迄延期していた。

Facebook の反応は、一言で言えば "パニック" であった。Facebook は、追跡の終焉は広告収入が半分になることを意味すると見積もっている。その第三四半期投資家電話会見で、同社はこの新機能を重大な "向かい風" だと称して投資家達を怯えさせた

Apple の期限が迫るにつれて、Facebook は激しさを増している。同社は New York Times, Wall Street Journal, そして Washington Post の 16 December 2020 版に広告を載せて、同社は "小規模ビジネスのためにあらゆる所で Apple に対峙する" と宣言した。(この広告の著名度を考慮して言うと - その見出しはアポストロフィーであるべき所に間違ってプライム記号を使っている。)

Facebook は、ユーザーに Facebook が彼らの行動を追跡出来るか否かの選択肢を与えることで、Apple は Facebook が提供する個人化された広告に依存する小規模ビジネスに痛手を与えると主張している。もしユーザーがその様な選択肢を与えられたとしたら、恐らく、彼らは群れをなして Facebook の気味の悪い追跡から身を引くであろう。COVID-19 パンデミックと地域ロックダウンが小規模ビジネスを叩きのめしている年に、それは時宜を得たメッセージと言える、たとえ利己的なものだとしても。Electronic Frontier Foundation はそれを "馬鹿げている" と称し、Apple の肩を持った

このソーシャルメディア会社は広告を打つだけには留まらなかった。Facebook はまた、Epic Games の Apple に対する法廷闘争に合流し、この Fortnite の開発者に対して支援書類や他の援助を提供すると発表した。勿論、Facebook 自身も、US Federal Trade Commission と殆ど全部の米国州と準州に対する法廷闘争を抱えている ("アメリカ合衆国、対 Facebook" 10 December 2020 参照)。加えて、今年これ迄に CEO Mark Zuckerberg も、議会におけるつらい仮想証言席に Tim Cook と共に座らされている。

Cook はツイートで Facebook にこう応えている:

ユーザーは彼らについて集められるデータとそれがどの様に使われるかについて選択肢を持つべきだと我々は信じている。Facebook はこれ迄と同様アプリとウェブサイト上で引き続きユーザーを追跡することが出来る。iOS 14 の App Tracking Transparency は、彼らがまず最初にあなたの許可を求める事を必要とするだけである。pic.twitter.com/UnnAONZ61I

- Tim Cook (@tim_cook) December 17, 2020

Facebook から1ページを取り、牢破りアプリストアの Cydia もまた、独自の訴訟を Apple に対して起こした。その主張は同様でそして Epic Games 訴訟と同様の救済策を求めている。(つまり、Apple は独占状態を利用したいじめっ子であり、iPhone 上では代替のアプリストアが許されるべきである。) Cydia には独自の主張がある:その App Store は実際に Apple より約一年先立っている。直ぐに閉ざされるセキュリティ脆弱性を攻撃する牢破りの上に成り立つアプリストアというのは想像するのも難しいが、法廷では多くの注目を集めている。これは、Cydia が Apple には攻撃出来る隙があると思っている兆候でもある。

出版者対 Apple

September 2020 に、Epic Games と Spotify は他の企業と共に、Apple と Google に彼らのソフトウェア分配規則を変えるよう圧力をかけるべく、Coalition for App Fairness を創設した。その核となる苦情は、Apple と Google はサードパーティ開発者に対して不公平に競争している (例えば、Apple Music)、Apple と Google のアプリストアの手数料は高すぎる、そして Apple は競合するアプリストアを許さないというものである。

この連合に新しく入ったのは Digital Content Next と言う多くの大手の米国出版社を代表する事業者団体である。そこに含まれるのは:

Digital Content Next は今年に入って、通常の 30% の App Store 手数料を減じた Apple が Amazon と結んだ取引について Apple を非難した。これにより Amazon はビデオをその Prime Video を通じて直接売ることが出来る ("Amazon の iOS 用と Apple TV 用 Prime Video アプリで購入が可能に" 3 April 2020 参照)。

出版者達は他の理由でも Apple に対して不満を持っていて、Apple の前述したプライバシープロンプトもその一つである。英国の Daily Mail を所有する DMG Media は、この新しいプライバシー機能故に自らの iOS アプリを引き上げるかもしれない事をほのめかした

Apple 対 Brave

皆さんは、これら全ての圧力と規制当局からの厳しい目からすると Apple はサードパーティ開発者に対する態度を和らげるのではとお思いになるかもしれないが、同社は、むしろ、強化している。Apple の怒りの最新の対象は iOS バージョンの Brave Web ブラウザである。(それは、ここ TidBITS でもお気に入りの一つで、我々は Google Chrome よりもそちらをお薦めしている。)

Brave は、広告に対して独自のそして幾分論議を呼ぶ扱いをしている。そのブラウザはデフォルトで広告を阻止するが、Brave のプライバシーを尊重する広告を意図的に見る選択肢も用意している。その対価は Basic Attention Token (BAT) と呼ばれる暗号通貨である。手にした BAT は自分のために貯めることも出来るが、自ら選ぶコンテンツ制作者にチップとして与えることも出来る。

Apple は Brave 内のこの機能をしばらく許していたが、突然違反だと声を上げた。その主張は、Brave は Apple に分け前を与えずに他人に金銭を授与し、そして直取引を行い、これらは規則に反していると言うものである。後者の規則は、開発者が好意的な App Store レビューの様なものに対して報酬を提供することを阻止する事を意図している。

そして、Brave for iOS のバージョン 1.22 をもって、このブラウザは広告を見ることに対してユーザーに BAT で報いる事を止めた。同社はユーザーに広告を許可する事を今でも勧めており、その収益は出版者を支援するために使われる事を約束している。Brave は、そのデスクトップブラウザの将来のアップデートでは、iOS ユーザーが貯めた BAT を引き出せるようにすると言っている。

これは、残念ながら Apple の App Store 規則が革新を制限しているもう一つの不幸な例である。

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

LG 27UK850-W: Mac 用の十分使える 27 インチディスプレイ

Apple の繭の中の一貫性に慣れた人にとって、PC 用モニタの市場は奇妙で恐ろしい場所だ。Apple には 27 インチ Thunderbolt Display のような高品質のスクリーンを製造してきた長い歴史があるにもかかわらず、今では正気とは思えない $5000 という値札が付いた Pro XDR Display 以外のモニタをもはや製造していない。その代わりに、Apple は $700 の 24 インチ LG UltraFine 4K Display と$1300 の 27 インチ LG UltraFine 5K Display を宣伝して、これらを、そしてこれらのみを、オンラインの Apple ストアで販売している。悲しいかな、これら2つのモニタも高価格であり、私に言わせればピクセル密度の点以外では面白味がない。

モニタを購入するのは、まるで地雷原を進むようなものだ。27 インチやそれ以上のサイズのモニタでたった 1080p の解像度にしか対応せずピクセル密度がインチあたり 100 ピクセル程度のものは市場に数限りなく出回っているが、これでは使い慣れたどの Retina ディスプレイに比べても、ピクセル密度が半分ほどに過ぎない。たとえ十分鮮明なモニタを見つけたとしても、それを Mac に接続しようとするとトラブルに遭遇するかもしれない。多くのディスプレイは 1987 年に初めて登場した古くさい VGA ポートを未だに備えている。HDMI ポートしか持たない (それじゃテレビであってモニタじゃない) ものもあって、HDMI は厄介ごとだらけだ。1440p のモニタを買ってきても、奇妙な HDMI の制約のおかげで不鮮明な 1080p の解像度しか使えない。あるいはまた、USB-C 接続性を宣伝しているモニタを買ってきても、箱を開けてみればその USB-C ポートが電源とアクセサリー接続のためであってビデオには使えないことを知らされるのがオチだ。そう、一歩踏み外せば、ドッカーン、役立たずのモニタしか残らない。

私がモニタに望むのは、そして大多数の Mac ユーザーも同じ考えだと思うが、次のようなことだ:

私たち TidBITS スタッフと同じように Retina 5K ディスプレイを搭載した 27 インチ iMac を使っていれば、その素晴らしい画質に甘やかされてしまいがちだろう。でも残念ながら、Retina iMac を外付けディスプレイとして使う方法はない。Target Display Mode が働くのは、ごく少数の Retina 以前の時代の iMac のみだ。条件を満たすディスプレイで手頃な価格のものを見つけるのは難しい。とりわけ、5K モニタというものが結局軌道に乗らなかったのだから。(2018 年 11 月 16 日の記事“5K ディスプレイに何が起こったのか?”参照。)

最近の Black Friday セールで Amazon が LG のモニタを値下げしていたので、私は興味を惹かれた。なぜなら、Apple が iMac で使っているのは LG 製のパネルだからだ。私が新しいモニタを購入しようとしていたのは、これまで使っていた Dell 製のモニタが断続的にディスプレイを横切るシャドウを見せるようになってきたからだった。時にはモニタの設定をリセットすることで一時的にシャドウは消えたが、時にはそうならないこともあり、一日中それと戦っているのが嫌になったからだ。

LG の 27 インチスクリーンに集中して調べてみると、興味深いパターンが2つ見えてきた:

これらの冷徹な、厳然たる事実を出発点として、結局私は当初思っていたよりも少し高いお金を払って LG 27UK850-W を購入することに決めた。通常 $450 で販売されているが、セールによって $380 に値下げされていた。たとえ正規の価格を払ったとしても LG UltraFine 4K より $250 安いし LG UltraFine 5K よりは $850 も安い。

LG 27UK850-W

LG 27UK850-W の技術仕様

この LG 27UK850-W は 27 インチ IPS パネルを搭載していて解像度は 3840 × 2160、つまり私の計算によればピクセル密度はおよそ 163 ppi だ。これに比べて搭載の Retina 4K ディスプレイ搭載 21.5 インチ iMac は 219 ppi、Retina 5K ディスプレイ搭載 27 インチ iMac は 218 ppi だ。LG は 10-bit カラーと宣伝しているが、 仕様をよく読めば実際には 8-bit ディスプレイに A-FRC を付けて他のカラーを近似していることが分かる。このディスプレイはそれに対応する少数の Mac と、Apple TV 4K やさまざまのビデオゲームコンソールでは HDR10 対応を提供する。sRGB スペクトラムの 99% に対応する。

このスクリーンは最大 350 nit の輝度を提供できるが、Retina 5K iMac が放つ最大 500 nit に比べればぐっと落ちる。光に敏感な私の目にとっては大きな問題でないけれども、輝度をずっと上げて使うのが好きな人には決定的な問題かもしれない。

悲しいことに、P3 広色域や Apple の True Tone テクノロジーへの対応は提供されない。光沢のある iMac のスクリーンに比べてこのスクリーンはつや消しで、アンチグレアのコーティングが施されている。

LG はゲーマー用の機能をいくつか宣伝している。例えば AMD FreeSync 対応 (関係あるのは PC と Xbox のゲーマーのみ) があるが、いくらか遅い 5 ミリ秒の反応時間を持つので、本格的なゲーミングで使うにはお薦めしない。ただ、HDCP 2.2 対応があるので、ストリーミングメディアボックス、Blu-ray プレイヤー、ゲームコンソールといったものでは何の問題もなく使えるはずだ。

接続性について言えば、LG 27UK850-W は 1 基の USB-C ポートを備えていてデータ、ビデオ、60 ワット充電に使える。また DisplayPort ポート 1 基、HDMI ポート 2 基、USB-A ポート 2 基、ヘッドフォンジャック 1 基もある。白い USB-C、HDMI、および DisplayPort の各ケーブルが付属する。

最後にもう一つ、LG 27UK850-W は 2 基の 5 ワットスピーカーを内蔵する。

工業デザイン

LG 27UK850-W のデザインはかなり Apple 風だ。少なくとも、2005 年ごろの Apple の感じがする。モニタの背面は白いプラスチックのケースで覆われている。前面のベゼルは黒色だ。LG はこのディスプレイを「事実上縁なし」と宣伝していて、つまりはベゼルがあるということだが、上と左右の三辺では狭い。iMac に比べてベゼルの面積は少ないが、下辺のベゼルが厚いので一様でない感じが気になる。(iMac にも下顎はある。)

LG 27UK850-W rear

私が特に気に入ったのはカーブしたスタンドだ。たぶんアルミニウム製だと思う。モニタを安定させるために十分な重量を持つ。そのエルゴノミクスは Apple が Pro Display XDR 用に $1000 で販売しているスタンドほどに格好良くはないが、片手で十分楽に調整できる。UltraFine モニタについて聞いたことのある苦情とは違って、私が気付いた範囲内ではこのモニタは通常の使用では揺れたり不安定になったりしない。

このパネルとスタンドはあらかじめ組み立てられた状態では配送されないが、ディスプレイの面を下にしてテーブルの上に置き、スタンドをカチッと嵌め込むだけなので簡単に自分で組み立てられる。また、ケーブルを束ねてスタンドのアームに留めておくためのプラスチックのリングも付いている。

高さの調節が 4.3 インチ (110 mm) の範囲でできるのに加えて、このディスプレイは傾きを -5 度から 20 度までの範囲で調節でき、90 度回転させることもできる。ただ、縦長の向きで使うためにこのモニタを購入することはお勧めしない。そんなことをすればスクリーンがあまりにも縦に長く見えて、まるで映画 2001: A Space Odyssey の中でモノリスを見つめているような気分にさせられるだろう。それに、縦長の状態ではケーブルが強く引っ張られてしまう傾向があって、もしその必要があるのならばケーブルに十分たるみがあることを確認してからにすべきだ。別のスタンドやモニターアームを使いたい人のために、このパネルには VESA マウントも備わっている。

LG 27UK850-W portrait
理論的にはこうすることもできるが、私にはそこまで勇気が出ない。

背面でケーブルが接続される具合を私は気に入っている。私の古い Dell モニタでは変な具合にケーブルを上向きに差し込まなければならなかったが、この LG 27UK850-W ではケーブルを背面からまっすぐ差し込むようになっていてずっと楽だ。

LG 27UK850-W plugs

LG 27UK850-W の内蔵設定コントロールシステムについてはやや首を傾げざるを得ない。パネル裏側の底面のところに小さなジョイスティックがある。そこをサッと上下方向にフリックすれば、ディスプレイ情報が表示される。左右方向にフリックすれば、スピーカーの音量を調節できる。ジョイスティックをクリックすることで、メニューにアクセスしたりスクリーン上の項目を選択したりできる。

LG 27UK850-W menu

メニューは4つのオプションを提供する。上が Power Off、右が Settings、下が Game、左が Input だ。少し練習した結果、それらのオプションを素早くナビゲートできるようになったけれども、学習曲線はあった。また、メニューをカスタマイズできればいいのにとも思う。Game オプションはたぶんビデオゲームに適しているのだろう、ものすごく明るい画面の設定に切り替えるのだが、そのオプションをもう一度選択しても元の輝度には戻らず、元に戻すには Settings メニューの奥深くを辿らなければならない。それから、入力を素早く切り替えられるボタンが別途設けられていたらいいのにと思うし、欲を言えば内蔵スピーカーなんか使わないという人たちのために音量を調節するフリックを別の機能に割り当てられるようにしてくれればいいのにとも思う。

私はスクリーンとベゼルの間に隙間があるところがもっと嫌だと思う。これは未だに多くのモニタで言える点だ。クリーナースプレーをスクリーンに吹き付けてはいけない。それをすると、滴が垂れてスクリーンとベゼルの間に入り込み、電子回路をショートさせてしまう。この隙間から湿気や埃が入り込むのを防ぐ手立てが何もないからだ。その点、iMac の薄板加工の、隙間のないディスプレイは素晴らしい。モニタのメーカー各社は少なくともここにガスケットをかませることくらいはできるだろうにと思うのだが、どうやらほとんどの PC 周辺機器メーカーにとってコスト削減こそが何よりも優先らしい。

LG 27UK850-W について一つ面白い事実がある。ほとんどのモニタが標準的な3極の電源ケーブルを使っているのに対して、これにはパワーブリックが付属していてそこに DC バレルプラグを差し込むようになっている。オンラインのレビュー記事でこの点を批判しているものを見たことがあるが、私はこの方が好きだ。なぜなら、もしも電源回路が壊れれば、モニタのケースを開いて交換しなければならなくなるからだ。それに、モニタを持ち運ぶ際に大きくて不恰好な電源ケーブルを抱えて運ばなくて済む。あの3極の電源ケーブルは、差し込んだり抜いたりするのも一苦労だ。

接続性

接続性は画質と同じくらいに重要だ。必要なポートを取り揃えているモニタを見つけ出すだけでもなかなか困難な仕事だ。それに、ほとんど間違いなく必要以上に多くの HDMI ポートが付いている。私の好みは、USB-C ポート 2 基、DisplayPort ポート 2 基、それに HDMI ポート 1 基だけという構成だ。上にも書いたように、この LG 27UK850-W は USB-C ポート 1 基、DisplayPort ポート 1 基、HDMI ポート 2 基、USB-A ポート 2 基、それにヘッドフォンジャック 1 基を搭載している。

USB-C ポートは、少なくとも私の 2019 年型 iMac と 2016 年型 MacBook Pro では言われている通りに機能する。付属のケーブルでこれらのマシンに接続すれば、ほとんど即座に画面が表示された。LG 27UK850-W の素敵な機能の一つとして、新たなデバイスを検知すれば入力を切り替えるかどうかのプロンプトを出して尋ねてくれる。ジョイスティックをクリックするだけで入力が切り替わる。MacBook Pro を USB-C でモニタに接続すると、モニタはラップトップ機を充電し続けてくれた。

DisplayPort も本来あるべき通りに働く。4K 60 Hz ビデオ出力がフルに得られ、オーディオのパススルーも働く。

HDMI は、例によって、厄介だ。Apple TV 4K を LG 27UK850-W に接続することは問題なくでき、直ちに 4K と HDR がフルに得られた。それから私は iMac を HDMI 経由でモニタに繋ごうと思った。モニタの DisplayPort を ThinkPad のために、USB-C ポートを MacBook Pro のために、それぞれ空けておこうと思ったからだ。ところが iMac には HDMI 出力ができず、私が持っている USB-C ハブはどれも 4K 出力に対応していない。結局私は Anker 製の安価な USB-C to HDMI アダプタを購入する羽目になり、これはフルに 4K 60 Hz 出力ができた。

一つ些細な頭痛の種がある。Mac からモニタのスピーカー音量を調節することができないのだ。モニタ自体の音量コントロールを使わざるを得ない。どうやらこれは macOS の制約によるもののようで、私の ThinkPad 上の Ubuntu Linux からは問題なくできる。Mac mini を使っていたならばこれは大問題だったろうが、iMac のスピーカーは LG 27UK850-W のスピーカーよりあまりにも優れているので、私はそちらを使っている。

最後にもう一言。このモニタには USB-A ポートが 2 基付いている。USB-C 経由で Mac に繋いでおけば、これらの USB-A ポートに繋いだどんなデバイスでも Mac が使うことができる。もしも Mac に USB-C ポートがなければ、 USB-C to USB-A ケーブルを使ってこの内蔵ハブを利用できる。ただしここには奇妙な点が一つあって、USB-C ポートに直接繋いだ状態では、これらの USB-A ポートの速度が USB 2.0 速度に限定される。ところが USB-C to USB-A ケーブルを使うと、USB-A ポートが USB 3.0 のフル速度を利用できるようになる。

私の推測では、USB-C でビデオのために使われる余分のバンド幅のために USB-A の制限速度が抑えられているのではないかと思う。これもまた、USB-C がどうしようもない混乱を招いている実例の一つだろう。モニタに内蔵された USB ハブを私が使うことは滅多にないけれども、それを使う人にはその利用をキーボードやマウスなど単純なものにとどめておくことをお勧めしたい。

画質

さて、LG 27UK850-W の 163 ppi というピクセル密度が Apple の iMac の 218/219 ppi に比べて大きく劣ることから、これが Apple の Retina ディスプレイに比べて画質がどうかというのは大いに気になるところだろう。LG 27UK850-W の画面も十分に鮮明だけれども、数日間使ってみて私はちょっと目が疲れる気がした。詳しく調べてみると、表示されたテキストが 27 インチ iMac に比べればほんの少しだけぼやけている。スムージングを無効にしてさえも、LG 27UK850-W の画面のテキストはぼやけている。

私が思うに、これは主として Apple が macOS を Retina ディスプレイ上で最高の見栄えになるように調整したことの副作用ではないだろうか。私の Linux マシンを 4K に切り替えると、LG 27UK850-W 上のテキストは iMac のスクリーンを上回るほどではないが同じ程度にくっきりしている。(このことを Linux のお薦めと受け取らないで頂きたい。そちらにはそちらなりの頭痛の種があって、例えば超高解像度ディスプレイでのスケーリングにうまく対応していないなどの問題がある。)

スケーリングの話のついでに、私がこのディスプレイに Mac を繋いでまずしなければならなかったのは、System Preferences > Displays を開くことであった。そして、LG モニタ上に開いたウィンドウの中で、Scaled を選んでから左から2番目のオプションを選んだ。これで、私の iMac のスクリーンと同じ解像度の 2560 × 1440 にスケーリングされるようになる。

LG 27UK850-W Mac settings

スケーリングによってテキストの鮮明度が変わるのではないかとお思いの方もおられるだろう。一番左のオプションを選べば、テキストが巨大になる。けれども私が見る限り、一番左と左から2番目でテキストの鮮明度は変わらなかった。右の方のオプションを選ぶほどにテキストは小さくなって、そうすればもっと鮮明になる気がするかもしれないが、実際にはその逆だ。文字が小さくなるだけでなくて、もっとぼやけるようになる。

LG 27UK850-W には Super Resolution+ という機能があって、画像に鮮明さのための余分のレイヤーが一段追加される。言い換えれば、エイリアシング、つまりいわゆる“ジャギー”が加わる。ソフトなテキストを見たり、スケールを上げたコンテンツを見たりする場合には役に立つことがあるし、Mac 上でテキストがスムーズに見えるやり方が好きでない人にはきっとこの機能が気に入ることだろう。

LG の画面が iMac の画面ほどには明るくないことははっきり分かる。両方でそれぞれ輝度を最高に設定してみると、LG の方がかなり暗い。そうは言っても、私は個人的に Apple のディスプレイは明る過ぎると思うので、私と同じように光に敏感な人は大した問題だと思わないだろう。

色については、キャリブレーションを施した後には十分良いものに見える。私は LG 27UK650-W の RTINGS 設定を使って、同社の ICC カラープロファイルをインストールしたが、これで iMac のディスプレイにかなり近い色が出た。両方を左右に並べて見比べれば LG の方が iMac に比べて少し鈍い印象があるけれども、私はそれほどグラフィックスの仕事をする訳ではないので気にならない。

LG はモニタとハードウェアキャリブレータとのインターフェイスとなるソフトウェアを提供しているけれども、報道によればこれは macOS 10.15 Catalina では働かないらしい。一部のプロフェッショナルにとってそれは決定的な障害かもしれないが、LG 27UK850-W には多数の良いキャリブレーションがあるので一応安心できる。単なる3色調整以外にも、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄の6色調整もできる。私はこちらを必要と思ったことはない。

LG 27UK850-W はいくつかのプリセットを内蔵しているが、あまり役立つと思えるものはない。Night Shift と似た挙動をするリーダーモードがあって、スクリーン全体を黄色にかすませて青い光を抑えるのだが、Night Shift に比べてかなり奇妙に見える。よくある写真モードとシネマモードもあるが、これらもやはり、私の目には奇妙に映る。HDR effect モードというのもあってすべてが HDR であるように見えるとのことだが、奇妙ではありながら少し興味深い。それからまた3つの特殊なゲーミングモードもある。そのうち2つは一人称視点ゲーム用で、もう1つはリアルタイムの戦略ゲーム用だが、この後者を私は初めて見た。これらのモードについて私はコメントできないが、過去にはゲーミング用のプリセットをありがたいと思ったこともある。ディスプレイの反応時間を拡張する特殊なトリックを組み込めることがあるからだ。

HDR の話が出たが、私はそれと互換な Mac を持っていないけれども、Apple TV 4K は持っていて、LG 27UK850-W は 8-bit パネルではあっても HDR が素晴らしく際立つ。Apple TV 4K は即座に 4K と HDR の双方を有効化して、何の問題もなく彩度の設定を上げることができた。Mad Max: Fury RoadThe Fifth Element など、HDR を利用した映画をいくつか試してみたが、いずれも見栄えが素晴らしく、HDR 互換な iPhone や iPad で目にするのと同等の豊かなフルカラーを堪能できた。ただ、LG 27UK850-W が対応しているのは HDR 10 のみであって Dolby Vision には対応していない。

Mad Max HDR
"Mad Max: Fury Road" のこのスチール写真から LG 27UK850-W の HDR モードでの豊かな色が分かる。

当初、私はこのディスプレイで映画を観るとちょっとソフトに見えると思ったが、いくつかの映画をサンプリングした結果、ソフトなのはカメラであったと気付いた。Mad Max: Fury Road ではソフトなエッジであったが、The Fifth Element では Bruce Willis の顔のすぐ横のところにフィルム粒子の細かな粒々まで見えた。驚くほど鮮明だが、ちょっと鬱陶しい。

Fifth Element grain

視野角度は良い。仕事部屋の中であちこち動き回っても、画面が変に見えることはなかった。安物の LCD スクリーンにありがちなゴースト現象その他の問題は起こらなかった。

ディスプレイの画質について一つケチをつけるとすれば、私が買ったユニットには最初から一つだけ死んだピクセルがあった。それに気付くまでに二日ほどかかったので、モニタを交換するほどのことではない。

音質

内蔵の 5 ワットスピーカーは私の ThinkPad のものよりはるかに優れているが、私の iMac のスピーカーほど良いものではない。LCD スクリーンに内蔵されたものとしては、中程度と言ってよいだろう。けれども、HDMI あるいは DisplayPort でデバイスを接続しただけでデスクに別途スピーカーなど用意せずとも直ちにオーディオが使えるという便利さはありがたい。お陰で Apple TV のテストがとても楽だ。

このスピーカーには MaxxAudio と呼ばれる機能があって、Mac の Boom アプリと同様の働きをし (2014 年 4 月 18 日の記事“FunBITS: Mac 用 Boom で音量アップ”参照)、人工的に音量とサウンドレベルを上げる。私の感覚ではベースが強調されて非常に“ブーム感”の強いオーディオになる。映画ではうまく働くと思うが、YouTube ビデオでは変な感じに聞こえる。

Apple TV 4K で映画をサンプリングしながら、ヘッドフォンポートをテストしてみた。モニタに付いたヘッドフォンジャックが音質をダメにしてしまうことは時々あるが、私の Sony MDR-V6 ヘッドフォンから聞こえたオーディオがとても素晴らしかったので私は感心した。ヘッドフォンを直接コンピュータに接続する方がずっと好きではあるけれども、Apple TV 4K ではその選択肢がない。モニタを個人用の映画鑑賞マシンとして使いたいのならば、LG 27UK850-W は非常に良い選択肢だ。ただし、ヘッドフォンを接続すると MaxxAudio が無効になることに注意したい。

最終意見

この LG 27UK850-W は、あなたの Mac と組み合わせて使うのに良いモニタだろうか? 良い点と悪い点を挙げてみよう。

良い点:

悪い点:

でも、いつも通りにテクノロジー系レビューの最後の仕上げとして、今述べた良い点と悪い点のリストに加えて二・三の厳しい現実を付け加えておこう:

この LG 27UK850-W はその価格にしては良いモニタだと言えるが、現在市場にあるモニタの中で私が望む程度に良いものは一つもない。願わくは、Apple が Thunderbolt Display を現代化したものを世に出して欲しいものだ!

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Audio Hijack 3.8, Piezo 1.7, and SoundSource 5.2

Audio Hijack 3.8, Piezo 1.7, and SoundSource 5.2

Rogue Amoeba が Audio Hijack 3.8Piezo 1.7SoundSource 5.2 に macOS 11 Big Sur とのフル互換性と、M1 ベースの Mac への初期的対応を追加した。Audio Capture Engine is がバージョン 11.6 にアップデートされ、また3つのアプリのいずれも 10.14 Mojave やそれ以後でユーザーが指定したシステムワイドの Accent カラーを尊重するようになるとともに、Big Sur の新しい Multicolor オプションに対応した。

Audio Hijack と Piezo は WhatsApp Desktop アプリで音声通話やビデオ通話をベータテストしているユーザーが会話の半分だけをキャプチャできるようにした。SoundSource は M1 ベースの Mac でエミュレートされた (つまりネイティブでない) プラグインをロードするようになり、TC Clarity-M、Flux SoundGrabber、Waves Loudness Meter のようなプラグインで計測への対応を改良し、10.15 Catalina の Finder で QuickLook オーディオを適切にキャプチャするようになり、また補助スクリーン上でアイコンを正しく表示するようになった。(Audio Hijack は新規購入 $49、27.5 MB、リリースノート。Piezo は新規購入 $19、16.1 MB、リリースノート。SoundSource は $39、23 MB、リリースノート。いずれも無料アップデートで macOS 10.13+ を要する)

Audio Hijack 3.8, Piezo 1.7, SoundSource 5.2 の使用体験を話し合おう

Safari 14.0.2

Safari 14.0.2

Apple が macOS 10.15 Catalina 用と 10.14 Mojave 用に Safari 14.0.2 をリリースして、たった1個だけのセキュリティ脆弱性をパッチした。このウェブブラウザはメモリ管理を強化して悪意を持って作成されたウェブコンテンツに任意のコードを実行されることを防いだ。Safari 14.0.2 は System Preferences > Software Update 経由でのみ入手できる。(無料、リリースノート、macOS 10.15 および 10.14)

Safari 14.0.2 の使用体験を話し合おう

Firefox 84

Firefox 84

Mozilla が Firefox 84 をリリースして、M1 ベースの Mac に対するネイティブ対応を導入し、バージョン 83 でのネイティブでないビルドに比べて劇的にパフォーマンスを向上させた。(M1 ベースの Mac 上ではアップデート後に必ず終了・再起動をしよう。) 今回のアップデートではまた、Mozilla の GPU ベースの 2D レンダリングエンジン WebRender を macOS 11 Big Sur でも使えるようにするとともに、今回がこのウェブブラウザが Adobe Flash に対応する最後のバージョンとなる。(無料、126 MB、 リリースノート、macOS 10.12+)

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TextExpander 6.8.1

TextExpander 6.8.1

Smile が TextExpander 6.8 をリリースして、ユーザーインターフェイスを macOS 11 Big Sur 用に更新するとともに、M1 ベースの Mac に対するネイティブな互換性を追加した。このスニペットエディタは TextExpander メニューバー項目に Quick Actions を導入し、省略語展開が無効化されていればインライン検索ができるようにし、提案の表示を改良し、スニペットエディタ内のフォントなし展開の表示を拡張した。このリリースの後間もなく、Smile はバージョン 6.8.1 をリリースして展開の挿入速度を向上させ、起動時に起こることがあったクラッシュを修正し、ステータスアイコンをダブルクリックした場合の奇妙な挙動を解消した。(購読料金年額 $40、42.6 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

TextExpander 6.8.1 の使用体験を話し合おう

BBEdit 13.5.3

BBEdit 13.5.3

Bare Bones Software が BBEdit 13.5.3 をリリースした。今回から、クラッシュや強制終了の後に書類を開き直すか否かを尋ねるようになった。(たとえ開き直さない方を選んだとしても、BBEdit は未保存あるいは untitled の書類の自動復元用スナップショットを修復する。) この古参のテキストエディタはまた、shell ワークシートで Save As を使おうとした際に起こることがあったクラッシュを解消し、FTP/SFTP Server で Save {As, A Copy} を使う際のパフォーマンスを高め、macOS 11 Big Sur で走る際の Setup ウィンドウの見栄えを修正し、Documents フォルダの中に BBEdit の幽霊フォルダを作っていた Big Sur のバグを回避している。(新規購入 $49.99、無料アップデート、18.7 MB、リリースノート、macOS 10.14.2+)

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Ulysses 21.3

Ulysses 21.3

Ulysses が会社名と同名の執筆アプリ Ulysses のバージョン 21.2 をリリースして、多数の改良やバグ修正を施した。今回のアップデートではメインウィンドウの最小幅を狭め、再起動時にエディタのフォーカスを復元するようにし、Quick Open での選択の挙動を改善し、目標表示でのテキストカウントが切れていたのを修正し、Evernote ファイルを読み込む際の変更日と作成日の問題を解消し、M1 ベースの Mac で Markup 環境設定を開く際のクラッシュに対処した。このリリースの後間もなく Ulysses はバージョン 21.3 にアップデートして M1 ベースの Mac で PDF 書き出しをする際のテキスト整列の問題を修正するとともに、書き出したファイルを繰り返し保存する際に正しいファイル名を提案するようにした。(Mac App Store から購読年額 $49.99、Setapp の一部としても利用可、無料アップデート、30.6 MB、リリースノート、macOS 10.14.4+)

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Scrivener 3.2.2

Scrivener 3.2.2

Literature & Latte が Scrivener 3.2 をリリースした。この長文用執筆ツールに改良やバグ修正を加えたメンテナンス・リリースだ。今回のアップデートでは特定のテキストスケールでタイプした際にクラッシュやハングを起こすことがあったバグを修正し、画像を含む RTF 書き出しの速度を向上させ、コメントや箇条書きリストの中のレベルを超えたリンクが無効な DOCX ファイルを作成していた問題を解消し、ページ表示でテキストを削除または移動した際にクラッシュを起こすことがあった macOS の“たちの悪い”バグを回避し、RTF ファイルを読み込む際にスタイルが維持されなかったバグを修正した。(新規購入 $49、無料アップデート、85.3 MB、 リリースノート、macOS 10.12+)

Scrivener 3.2.2 の使用体験を話し合おう

DEVONagent 3.11.4

DEVONagent 3.11.4

DEVONtechnologies が同社のリサーチ用ソフトウェア DEVONagent の三つの版すべて (Lite、Express および Pro) をバージョン 3.11.4 にアップデートして、M1 ベースの Mac への対応を追加するとともに、macOS 11 Big Sur 用に見栄え上の変更を加えた。DEVONagent Pro は Brave ウェブブラウザからブックマークを読み込む機能に対応し、検索が返す結果の個数の上限を 1,000 個から 10,000 個に増やし、アクティブでないタブでウェブ表示の更新を止めてパフォーマンスを高めるとともにバッテリーの負担を減らし、M1 ベースの Mac で走る Big Sur で印刷しようとした場合に起こったクラッシュを解消し、また HTML 構文解析ツールを改良して動的に画像をロードするウェブサイトでのスキャナ互換性など各種プロセスを拡張した。(いずれもアップデートは無料。DEVONagent Lite は無料。DEVONagent Express は新規購入 $4.95。DEVONagent Pro は新規購入 $49.95、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、リリースノートは Help メニューにあり。macOS 10.10+)

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Airfoil 5.10

Airfoil 5.10

Rogue Amoeba が Airfoil 5.10 をリリースして macOS 11 Big Sur とのフル互換性と、M1 ベースの Mac への初期的対応を追加した。今回のアップデートではまた、バージョン 11.6 の Audio Capture Engine を組み込んで M1 ベースの Mac との互換性を図り、オーディオを Apple の HomePod mini へストリーミングする機能にフル対応し、Algoriddim の新しい djay Pro AI のトラックタイトルに対応し、macOS 10.14 Mojave やそれ以後でユーザーが指定したシステムワイドの Accent カラーを尊重し、Airfoil 環境設定のタブアイコンを更新して Big Sur の新しいサイズ要求に合うようにし、Bonjour デバッガが Dark モードで適切な見栄えになるようにした。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、31.5 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

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Fantastical 3.3.3

Fantastical 3.3.3

Flexibits が Fantastical 3.3.3 をリリースした。このカレンダーアプリのメンテナンス・リリースで、ビデオ会議にどのブラウザを使うかを選ぶオプションが追加された。今回のアップデートではまた、タイムゾーンメニューを再調整してタイムゾーンごとに UTC オフセットを表示するようにし、Reclaim からイベントを統合する機能への対応を追加し、Office 365 アカウントを追加する際に Microsoft Teams 統合を無効化するオプションを追加し、Up Next ウィジェットが誕生日や記念日を一日中のイベントとして定義するようにし、タスクの優先度をウィジェットに表示するようにし、別デバイスの Interesting Calendars を変更する際に起こったクラッシュを解消している。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.99、無料アップデート、41.3 MB、リリースノート、macOS 10.13.2+)

Fantastical 3.3.3 の使用体験を話し合おう

Alfred 4.3

Alfred 4.3

Running with Crayons が Alfred 4.3 をリリースした。今回からユニバーサルビルドとなって Intel ベースと M1 ベース双方の Mac でネイティブに動作する。また、このキーボード駆動のランチャーは今回2つの新しいデフォルトテーマを導入し、Snippet を追加したり削除したりする際に Snippet カウントが Collection で正しく更新されるようにし、macOS スクロールバーが常時見える設定の下で Conditional Utility のスクロール挙動を改善し、Alfred ウィンドウの背後にネイティブな macOS Visual Effect 表示を選択できる機能を追加し、並べ替えポップアップメニュー上の言葉を言い換える事で並べ替えの向きが分かりやすいようにした。(基本的機能は無料、Powerpack は 23 ポンド、3.1 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

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GraphicConverter 11.3.3

GraphicConverter 11.3.3

Lemkesoft が GraphicConverter 11.3.3 をリリースして、Apple ProRAW、Photoshop PSB、および Canon CR3 ファイルの読み込みへの対応を追加した。このグラフィックスプログラム Swiss Army ナイフはまた、顕著性フィルターを追加し、ブラウザマップに写真の方向と高度の表示オプションを提供し (Exif または XMP データに保存されている場合)、キーワードパレットで矢印の処理を改善し、メニューバーのスライドショーコマンドの位置を Preferences で調整できるようにし、macOS 11 Big Sur の下でのウィンドウタイトル表示を改善し、Big Sur での Xe8472 フィルターの問題を修正し、Pages、Numbers、Keynote のファイルを開く際にクラッシュする可能性があった問題を解消した。(Lemkesoft からも Mac App Store からも新規購入 $39.95、無料アップデート、234 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

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Typinator 8.6

Typinator 8.6

Ergonis が Typinator 8.6 をリリースして、macOS 11 Big Sur におけるユーザーインターフェイスと互換性の改善を施した。このテキスト展開ユーティリティは今回、PopChar 文字の Quick Search がマッチしなかった場合にセットの中から類似の結果を表示するのを止めて "no match" と表示するようにし、内蔵バージョンの Product Names セットをアップデートし、Big Sur の Messages の中で展開に余分な空白文字が含まれてしまうことがあった問題に対処し、また T メニューバーアイコンの見やすさを (とりわけ Big Sur で明るいメニューバーの中で Typinator アイコンが表示された場合に) 改善している。(新規購入 24.99 ユーロ、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、アップグレード 50 パーセント割引、無料アップデート、7.2 MB、リリースノート、macOS 10.8+)

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Evernote 10.5.7

Evernote 10.5.7

Evernote が社名と同じ名前の Mac 用情報管理アプリのバージョン 10.5.6 をリリースして、ノートの読み込み、サイドバー、添付ファイルのパフォーマンスを改善した。今回のアップデートではタグの作成にキーボードショートカットを追加し、タグを編集ポップアップメニューでタグの作成ができるようにし、矢印キーを使ったノートリストのナビゲーションをよりシームレスなものにし (Enter を押せばノートに入る)、ノートのマージに新しいオプション (区切り線でノートの内容を区切る、元のノートの題名を保持する) を追加した。このリリースの後間もなく、Evernote はバージョン 10.5.7 を出して、詳細は不明だがバージョン 10.5.6 で導入されてしまったいくつかのバグに対処した。(Evernote からMac App Store からも無料、148 MB、macOS 10.10+)

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macOS Server 5.11

macOS Server 5.11

Apple が macOS Server 5.11 をリリースして、Profile Manager に新たな制限、ペイロード、コマンドを追加するとともに、今回から macOS 11 Big Sur を要するようにした。macOS の下で、今回のアップデートは管理対象アプリをインストールし、ローカルユーザーのショートネームを管理し、関連ドメインからの直接ダウンロードを有効化し、Auto Advance を構成し、Setup Assistant の Accessibility パネルをスキップしてデバイスのセキュリティ情報に Server Activation Lock Bypass Code を表示するようにした。iOS の下では、削除不可の管理対象アプリをインストールでき、Exchange ActiveSync で以前のパスワードを上書きでき、eSIM Identifier EID をデバイス情報に含め、ロック画面での Notification プレビューができるようにした。(新規購入 $19.99、無料アップデート、66.1 MB、リリースノート、macOS 11+)

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ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Apple、デバイスとデータアクセスへの安全ガイドを公表

私たちが使っている Apple デバイスは、とりわけ iPhone は、私たちのデジタル生活への鍵となっている。だからこそ、Apple はあらゆる苦労を推しまずデバイスとデータをプライベートに保つための機能を提供している。けれども私たちは皆、人々と何かを共有するためにある程度のレベルのアクセスを許しており、それは良いことだ。なぜなら、個人間の人間関係にはある程度の信頼が必要となるからだ。残念なことに、同居人たちが引っ越したり、親戚が依存症に屈したり、ロマンスが冷めたり、結婚生活が終わったりはよくあることで、時にはそれが険悪な状態に陥ることもある。もちろん皆さんにはそのようなことが起こらないことを願ってはいるけれども、もしも起こってしまったならば、ご自分が他の人と何を共有していたのかを再確認しておくべきだ。位置情報の共有をオフに切り替えるのを忘れていたせいで復讐心に燃えた昔の恋人にストーカー行為をされたくはないだろう。

Apple は今回、"Device and Data Access when Personal Safety Is At Risk" を公表した。Apple のデバイスやサービスを使う際にデータを共有する数多くの方法を網羅した明確で実用的な PDF ガイドで、何が保存されているか。誰と共有しているかをどうすれば知ることができるか、共有をオフにするにはどうするかを解説している。Apple は、共有をオフにした際に共有相手の人たちがその通知を受けるか否か、受けるならばいつなのかまで記している。特にありがたいのは最後にまとめられた3つのチェックリストだ。それぞれ、あなたのデバイスやアカウントに誰かがアクセスできるか否かを知りたい場合、過去にアクセスを許していた相手とのデータ共有を止めたい場合、自分の位置情報を誰にも知られたくない場合について、それをするための具体的な手順を記している。おすすめだ!

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