#1547: NOVID は COVID-19 感染の早期警戒システム、iPhone 12 とペースメーカー、Hue Lightstrips、CES 2021 のテクノロジー続報

最近の研究で、iPhone 12 の磁石が Medtronic の埋め込み型除細動器の動作を停止させたことが報じられた。埋め込み型の医療機器は、除細動器やペースメーカーの様な、磁気作動型のスイッチを内蔵しているので、それは起こりうる。Apple はこの危険性は認識しているが、次の様に言っている：

iPhone 12 の全モデルには以前の iPhone モデルより多くの磁石が含まれていますが、以前の iPhone モデルよりも医療機器への磁気干渉リスクが高くなることは予測されていません。

Apple は今やより具体的な指針を提供し、次の様に言っている：

植え込み型のペースメーカーや除細動器などの医療機器に内蔵されているセンサーが、磁石や無線送信機が近付くと反応する場合があります。こうした機器への干渉の可能性を排除するため、iPhone や MagSafe アクセサリを機器には近付けず、安全確保のために必要とされる距離を確保してください (15 cm 以内、またはワイヤレス充電時は 30 cm 以内には近付けない)。具体的なガイドラインについては、かかりつけ医や医療機器メーカーにお問い合わせください。

iPhone 12 には、磁石が更に追加されている事以外何も特別な事はない。埋め込み型医療機器との間で有害な相互作用が報告されている例は他にもあり、JUUL 電子たばこ や Apple Watch そして Fitbit リストバンド.の例が報告されている。より一般的な話として、Medical Xpress の記事では、埋め込み医療機器は別の構成技術に移行するよう進言している。

さし当たっての結論は、埋め込み医療機器を使っている人は、家電製品を胸ポケットに入れる事を避け、そしてリストバンドに磁石が含まれる睡眠追跡機器を身に付けるのを避ける事である。

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HomeKit ホームオートメーションへの私の第一歩は Philips Hue 照明システムで、それ以来とても気に入っている ("スマート電球 Philips Hue を使ってみる" 1 August 2016 参照)。数年たった今でも、私の電球達は好調を維持し、そして私はコレクションを増やしてきた。

現在の家に引っ越しして以来、妻と私は我が家の台所の照明に悩まされてきた。台所には一つの照明器具しかなく、そしてそれは調理台からは数フィート離れている。調理台の電球につながっている電子レンジの回路が焼けた時は最悪であった。色々な策を試みたが、どれも上手くいかず、結果的には暗いままで調理していた。

しかし、最近私は Hue Lightstrip セットをセールの時に買った。一世代前の 2-meter と 1-meter の照明ストリップ (帯状の照明器具) のバンドルに対して $65 程を払った。最新世代のものは、1-meter のストリップしかついていないスターターキットでも $70 はする。しかしながら、バンドル、他の種類等々色々あるので、探し回ればもっと良い条件のものが見つけられるかもしれない。1-meter の延長で約 $20 する。Philips はまた、屋外バージョンも売っており、$90 から始まる。

それが我が家の台所にもたらした違いに私は度肝を抜かれた。照明ストリップに馴染みのない人のために言うと、それは平らのプラスチックの帯で LED が裏打ちされているもので、テープの様に取り付ける。それはキャビネット下照明には最適である。

私は最初 Hue Lightstrip は大して明るくないだろうと思っていた。でも私は間違っていた。大間違いであった。包装から出したままのコイルに巻いた状態で、電源につないだ時、それは夜間ではあったが、私は直ちに目を閉じたままにしなければならなかった。映画 National Lampoon's Christmas Vacation の中でのシーンを思い返してみて欲しい。この時 Clark はようやく照明を使えるようにし、原子力発電所では警報が鳴り響く、そして背景は Hallelujah Chorus が流れている。詩的誇張はさておいても、その明るさは 1600 ルーメンある。言い換えれば、昔の 100-watt 電球とほぼ同じ明るさである。真面目な話、皆さんも直接それを見るのは避けたくなるであろう。

つまり、私はこの Hue Lightstrip を大いにお勧めする。それは明るく、取り付けも簡単で、HomeKit との相性も良く、様々な色を表現出来、そしてセール品を探せればそう高価でもない。しかし、何を買うかを決め、そしてそれらを取り付けるのは、そう簡単ではない。そこで、少々の進言と取り付けの要点を提供したいと思う。

バージョンの違い

まず、Philips は、屋内バージョンと屋外バージョンの両方の Hue Lightstrip を売っている。ニーズに合った正しいものを選ぶように - 台所で使うのであれば、何も余分なお金を払って屋外バージョンを買う理由はない。加えて、屋外用のストリップはとても分厚い。

Philips はこれ迄４世代に亘る Hue Lightstrip を作ってきており、リリース年はそれぞれ 2012, 2015, 2016, そして 2019 年となっている。私は第三世代の Hue Lightstrip を持っていて、第三世代と第四世代のものは見つけやすいが、第二世代のものは Internet のほこりまみれの片隅のセール品の中で見つけられるかも知れない。

Hue Lightstrip に関して最も目につく変更があったのは、第三と第四世代の間である。第四世代は：

• 新しいコネクタを採用しており、それ以前のバージョンとは互換性がない。延長部品やアダプタを買う時には、正しいバージョンのものを買うよう気をつけなければならない。
• ハブ無しで直接 Bluetooth 経由で制御可能である。私は、Bluetooth では悪い経験を余りに多くしているが、Hue ハブでは良い経験が多かったので、Hue ハブに投資をするよう強く推奨したい (スターターキットが最も経済的な入手方法である)。
• 二つの切断面をつなぐ公式のコネクタがある。世の中にはこれらの照明を切ったり、再接続したりするのを好む人達は存在し、Philips がその事実に対応しているのは良いことだとは思うが、そのための解は前から存在している。

切断、延長、再接続はどの様にやるのか？ 説明してみよう。

ストリップを切断、再接続、そして延長する

自分で Hue Lightstrip を買ってみる迄、私はこれらの照明ストリップにどの様に手を加えられるか見当もつかなかった。最新版以前のものは、次の様になっている：

• 本体のストリップは電源に組み付けられていて、外せない。
• 本体ストリップの反対側には雌コネクタが付いている。
• 追加の長さの照明は別に購入出来、本体ストリップに差し込める。
• 光らない延長部品も色々な長さのものが Philips やサードパーティから買える。
• 長さが余った照明ストリップの端は、印の付いた所で切断出来るが、その切断点は再接続出来ない。

第四世代は、上記リストの最初と最後の点が変わっている：今や、本体ストリップを電源から切り離せ、そして切断端も公式コネクタで再接続出来る。しかしながら、Litcessory は以前の世代に対しても切断端コネクタを提供しており Philips に一歩先んじているが、一つ注意点がある： Litcessory コネクタは、Philips が言う切断点とは少し違う場所で切断する必要がある。他の方法が全てダメな場合でも、半田ごてを扱えるのであれば、自分で再接続出来る。

取り付け作業の注意点

Hue Lightstrip の取り付けは簡単である：表面を綺麗にし、裏打ちを剥がし、そして望む場所に貼り付ける。しかし、物事が奇妙に見えないようにするためには、最初の少々の準備が肝要である。また、取り付け後に外すのは困難である；やり直しの必要が無い様に一発で決める必要がある。

私のキットには、2-meter Hue Lightstrip とボーナスの 1-meter Lightstrip が付いてきており、我が家のキャビネットの長さにほぼぴったりであった。更に幸運なことには、台所の問題のキャビネットの下の隅には電源コンセントが付いていた。

裏打ちを剥がす前に、妻と私は設置したいおおよその場所に照明を持ち上げ、照明をオンにして色々な場所でどの様な感じに見えるかをチェックした。我々は、離れている一対のキャビネットを照明したかったので、橋渡しの光らない延長部品が必要であった。私は、曲がらない延長部品の端を差し込めむために必要十分な隙間を、照明ストリップの端とキャビネットの間に残すように気をつけた。

私は、調理による水蒸気、油、等々の悪条件を考えると、Hue Lightstrip を電子レンジの下、調理台の上に走らせる事について心配した。しかしながら、我が家の電子レンジは電球にすら給電出来ない状態だったので、その周辺には照明が必要であった。理想的な環境ではなかったが、今の所順調に働いている。但し、この照明ストリップは電子レンジの底からは少し剥離した状態になっている。調理台上に取り付けるタイプの電子レンジの下に照明がある人は通常、照明ストリップの給電点を、キャビネット内、レンジの上と迂回し、そして反対側で外に出している。

電源ユニットの背面も粘着性があるので、私はキャビネットの下にそれを貼り付け、余分な電源コードは丸めてマスキングテープで仮止めして置いたのだが、今それは剥がれてきている。

最初の照明ストリップを取り付け終わった所で、私は二番目のものをどうつなぐか考えなければならなかった。Philips は短い延長ケーブルを同梱していたが、私はもっともっと長いものを必要としていた。幸いなことに、Litcessory は色々な長さの延長ケーブルを売っている。私は二番目のストリップの取り付け場所からの長さを測り、その延長ケーブルが届いた所で、キャビネットの下に貼り付けた (この延長ケーブルの背面も粘着性になっている)。

Hue Lightstrip を使う

Hue Lightstrips は他のスマート電球と同様に働く。私はそれらを Home アプリで Cabinet と名付けたので、Siri に "キャビネットを点けて" と言うことが出来る。また、色の変化もサポートするので、オレンジ、青、緑、等々何色にでも変えることは出来る。妻は色の付いた光は頭痛を引き起こすと言うので、私はその機能を使ったことはない。しかしながら、緑色の光はとてもよく見えたことだけは記しておきたい。昔の Hue 電球は、弱い、黄色がかった緑の光を放っていたが、この Hue Lightstrip は本当の緑の光を放つ。

重要なのは、この Hue Lightstrip が我が家の台所にもたらした大幅な改善である。作業空間が明るくなっただけでなく、より明るくなったことで台所全体がより広々と見える。料理するのがやりやすくなっただけでなく、より楽しくなった。この様な一つの簡単な変更がどれ程の改善につながるのかを事前に知っていれば、私は何年も前にこれをやっていたと思う。

もし家の中に照明が足りない事で悩まされている所があるのであれば、とりわけキャビネットの下など、Hue Lightstrips を試されたい。第四世代はハブを必要としないので、全体システムに投資することなく試すことが出来る。しかし、気に入ったら、電球と Hue ハブが入ったスターターキットを手に入れる事をお勧めする。

私の HomeKit アクセサリ全ての中で、Hue 電球は最も信頼性に富んでいる。そしてそれは専用のハブを持っていて、自社サーバーと通信してクラウドサービスにつなぐ必要が無いからだと思われる。Hue は少々の投資は必要とするが、それだけの価値はある。

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COVID-19 のパンデミックは、私たち皆を素人の統計学者にした。検査が何回実施されたのか、この地方の感染率はどうか、入院率は増加したのか減少したのか、重症率や死亡率はどのくらいか、といった具合だ。

私たちがこれらの数字を飽くことなく取り込もうとするのは、すべてただ一つの疑問への答を数値化しようとする試みだ。すなわち 私が感染するリスクはどの程度か？ という疑問だ。当然ながら、他にもそれに続いて起こる懸念、例えば重症化の可能性とか、それが私たちの生活にどんな影響を及ぼすかとか、他の人たちにどんなリスクを与えるのかとかいったこともあるけれども、それらは皆もともと感染のリスクから始まる。

一見したところでは、Apple/Google の接触通知テクノロジーがそのために役立つと思えるかもしれない。(2020 年 4 月 10 日の記事“Apple と Google、プライバシーを守った COVID-19 接触追跡＆通知で協業”参照。) けれどもそれは違う。そのテクノロジーは、個々人のリスクを算定する助けにはならない。これはただ、後に COVID-19 検査で陽性になったと報告した人の近くにあなたがいた場合に通知してくれるだけのものだからだ。本質的に、その情報が伝わる速度はウイルスより遅い。つまり、あなたが感染について知るのはもはや何をしても手遅れの状態になった後のことだ。通知が届かないとしてもそれだけでは何も意味しない。それは、あなたが出会った人が感染していなかったということかもしれないが、その人が感染を知らなかっただけかもしれないし、陽性だと知っても報告しないことにしたかもしれないし、あるいはその人が接触通知を使っていなかったのかもしれないし、さらにはスマートフォンを持っていなかったということもあり得る。

その上、私たちの多くはウイルスに曝されたと知れば他の人たちを守るために自らを隔離しようと思っているけれども、隔離する余裕がないという理由で曝されたかどうかを知りたくないと思っている人たちも多い。Apple/Google テクノロジーがたとえプライバシーの面で成功していたとしても、それによる利益は主として社会全体のためであって、個々人のためのものではない。高潔なことには違いないが、直接利己的な魅力に結び付くものではない。

NOVID 早期警戒システム

NOVID は、Carnegie Mellon 大学の数学者 Po-Shen Loh (彼は非常に優秀な数学オリンピック米国チームの指導もしている) が開発した新しいアプリで、モバイルフォンの近接認識を通じて接触を匿名追跡する際に、個々人への恩恵を重視して働く。もしも、Apple/Google テクノロジーのように第 1 段階の関係、すなわち直接の接触に止まるのでなく、アプリがさらにその先の接触まで手を広げて、あなたの友人の友人が感染したらそれと分かるようになったら、さらにその友人の友人のことまで分かったらどうだろうか？ 感染があなたの近くにあるのか、それともずっと遠くにあるのかによって、あなたは自分の挙動を変えるだろうか？

NOVID がするのはまさにそのことだ。このアプリは、感染の認知に対して「六次の隔たり」の概念を適用する。(忘れないで頂きたいが、ここで言う「友人」とは「NOVID アプリを走らせていて、互いに接触した人々」を意味するに過ぎないという点だ。そこに登場する人をあなたが実際に知っている必要はない。) 実際 NOVID はさらにその先まで進んで、あなたの個人的接触ネットワークを 12 段階のレベルまで追跡する。

その拡大されたネットワークの中にいる誰かが COVID-19 検査で陽性になったことを報告すれば、NOVID は Apple/Google テクノロジーと全く同様に 1 段階の隔たりにあなたがいれば警告することができる。けれどももっと興味深いのは、その情報がネットワーク全体の状況を説明するために用いられることだ。ネットワークの各段階にいる人々の人数は指数関数的に増加するので、ネットワークの各段階にいる感染者数も同じように増加する。12 段階目や 11 段階目にそれぞれ 10 人以上の感染者がいても、9 段階目には 4 人、8 段階目と 7 段階目にはそれぞれ 2 人、6 段階目には 1 人、5 段階目から 1 段階目までには誰もいないということがあるかもしれない。図に書けばこんな具合だろうか。

すると、NOVID はあなたがネットワークの中でどの程度感染に近いかを示す。第 6 段階目に至るまでは感染者がいないという事実は、あなたが現在のままの行動をしていても感染に曝される可能性が低いことを示す。けれども、感染が第 3 段階か第 4 段階に出現するようになれば、少しは追加の予防措置をしたいと思うだろう。基本的に、NOVID は COVID-19 感染の早期警戒システムだ。

このことがコミュニティーにおける感染レベルの状況を知るためにどんな役割を果たすかについても、少し考えておく価値はあるだろう。もしもあなたの地域の感染レベルが低ければ、NOVID の早期警戒システムの主たる使い道は大多数の人々が自分たちがまだあまり心配する必要がないことを知るために役立つという点にある。けれども、その状況の下でもしもあなたがごく稀な事例からほんの 1 段階か 2 段階かしか離れていない位置にいるなら、おそらくあなたはしっかりした予防措置を考えたくなるだろう。一方、地域の感染レベルが高ければ、NOVID は追加の予防措置が必要であると確認する手段ともなるだろうし、あなた個人のネットワークが比較的影響を受けていない状態ならばそのことを知る手段となれるだろう。

近接とプライバシー

技術的には、NOVID は Apple/Google テクノロジーとは少し違ったやり方で機能する。Apple/Google テクノロジーは Bluetooth のみに依存して働く。これに対して NOVID は Wi-Fi、Bluetooth、それからオプションとして超音波を使って得られるデータを組み合わせる。Wi-Fi は、一般的な接続を判断するためにしか使えないので、NOVID はたとえ Wi-Fi テストでのみ探知された相手については接触通知の警告を出さない。NOVID は接触通知を出すためには主として Bluetooth 近接の情報を使う。それが最も利用しやすいからだ。けれどもさらにもっと精度を高めるために、NOVID は超音波を使ってインチ単位で近接探知をすることができる。これは、音波が一定の速度で空間を進み、壁や床をうまく通り抜けられないからだ。残念ながら、NOVID は iOS デバイスでは Android デバイスほどうまく超音波を利用できないので、iPhone ユーザーにとっての有効性は低い。

超音波がオンになっている場合、NOVID が Bluetooth 経由で別のスマートフォンが NOVID を走らせていることを探知すれば、双方のスマートフォンが数秒間かけて高周波数 (人間の耳に聞こえる 18.5-19.5 kHz よりはるかに高い周波数) の音波を交換する。そのため、NOVID はマイクロフォンを使う許可を必要とし、また NOVID は Georgia Tech の CIPHER Lab が公表した独立レビュー記事が NOVID がいかなる音声も録音、保存、送信しないと確認したという事実を宣伝している。そしてもちろん、環境設定でこの機能をオフにすることはいつでもできる。

NOVID は Apple/Google テクノロジーがするのとほぼ同じやり方で匿名性を保つ。つまり、ランダムに生成された識別子と、タイムスタンプ、距離の測定結果、Bluetooth 信号強度、それに陽性の検査結果のみを収集する。バックエンド上でそれらのデータのどれの中にもあなたに結び付けられるものは何もない。NOVID と Apple/Google テクノロジーの大きな違いは、NOVID が丸々 12 段階のネットワークを構築するために、これら多くの匿名のユーザーたちが互いにどのように結び付いているかについての情報を保持しなければならない点だ。

最後にもう一言付け加えると、これまで私がテストした限りでは、NOVID のバッテリー使用度は最小限であった。一日あたりほんの数パーセントだ。Settings > Battery リストに表示される Apple 自身の Exposure Notifications 項目よりも少ない。

多くの人が一人に知らせる

感染がどれほど近くまで迫っているかを知ることができる以外にも、感染が迫りつつあったり遠ざかりつつあったりする場合には NOVID のネットワークを使うやり方のお陰で何が起こっているかを知るためのずっと多くの情報が得られる。例えば、NOVID はあなたが一日あたり他の何人の NOVID ユーザーに会ったかを報告し、そのグラフをタップすればどの近接探知方法が使われたかが表示される。例えば、あなたが 3 人の他のユーザーに会ったけれども接続はほんの短時間の Bluetooth のやり取りであったと分かったとしよう。その場合、遭遇のいずれかが長時間の超音波の (近距離) のやり取りであった場合に比べて安心できると言えるだろう。また、Bluetooth や Wi-Fi のやり取りを長時間にわたってする家族については安心して除外できる。さらには、近くに他の NOVID ユーザーがいる場合に近接警告を出すようにすることもできる。

また、NOVID Radar 表示というのもある。ここでは、12 段階の接続ごとにそれぞれ何個の接続があったか、または陽性が報告された件数が何件であったかを一覧できる。(幸いにも、See Demo ボタンがあって、まだ接続が何もないうちからどんな具合の表示になるかを見ることができる。)

それから、Community Dashboard を見ればあなたが住む地域についての実態が分かる。サインアップを済ませれば、ZIP コードの最初の 3 桁に対応する地域の「コミュニティー」に参加できる。また、例えば Santa Fe のような都市や、Georgia Tech のような組織では NOVID を採用して積極的に利用を奨励している。そうなると、NOVID はあなたのコミュニティーに何人の人たちがいるか、陽性が報告されたのは何件か、平均的なユーザーのネットワークについての詳細、送信された暴露通知の件数、また iOS 版と Android 版の内訳などの情報を表示する。もちろんこれらのデータのいずれも不可欠とは言えないけれども、見ていて楽しいし、自分のコミュニティーの中での NOVID 採用状況の感じを掴むことができる。

NOVID アプリのもう一つのトップレベル画面には、暴露情報の詳細が表示され (加えて検査で陽性となった場合の報告と、公式の接触追跡警告を受けた場合の報告ができる)、NOVID について詳しく説明する FAQ があり、いくつか環境設定の調整もできる。中でも最も注目すべきは iPhone での Background Mode の必要で、これを設定しておくことで NOVID のアプリが開いていない間も追跡を継続できるようになる。(この点は、iOS や Android に内蔵されている Apple/Google テクノロジーの方が優れている。) また、よく目立つ Share ボタンもあってこれをタップすればあらかじめ用意されているメッセージを送信して友人たちを NOVID に招待することができる。

さあ、ネットワークを築こう

当然のことだが、現時点で NOVID が直面している問題は、採用度だ。現在 100,000 人以上のユーザーがいるが、これをお読みの方々の多くはそれぞれのコミュニティーの中で最初の NOVID ユーザーかもしれない。乗り越えられないほど大きな障害に見えるかもしれないが、Po-Shen Loh が私と話していた際にいくらか愉快そうに説明してくれたように、NOVID はソーシャルな接続を通じてコロナウイルスと同等の指数関数的速度で広がることができる。

このアプリの Share ボタンで送信される文章は、すべての人が 2 人ずつの他の人を招待するようにと促す。もしも NOVID をダウンロードした人全員がその通りにしたならば、たった 33 世代の招待によって地球に住む人のすべてが招待を受けたことになるだろう。( Wheat and Chessboard Problem のページを参照。) 馬鹿馬鹿しいのは分かっている。現実の世界においては誰も招待しようとしない人たちが多いだろう。でも、何万人もの TidBITS 読者たちの力があれば、インストールの行き詰まりを打ち破ることができるのではないだろうか。Po-Shen Loh によれば、もちろん多ければ多いほど良いには違いないけれども、NOVID としてはコミュニティーの中の 20% ほどの採用率で十分で、それでデータの有用性が確保できるという。

だから、ちょっとやってみようではないか！ もしも大勢の TidBITS 読者たちが NOVID をインストールしたなら、そして、その一人一人が少なくとも 2 人の他の人を招待したなら (たとえそれが家族にインストールしてもらっただけだとしても)、NOVID が軌道に乗るために必要な草の根の取り組みを提供できるかもしれないではないか。

人々に NOVID に慣れ親しんでもらうことで、別の長期的な利点も生まれるかもしれない。将来のパンデミックの脅威についてはさて置いて、この COVID-19 のワクチンを今後もインフルエンザの予防注射と同じように毎年打たなければならないのかどうか、私たちにはまだ分かっていない。でも、もしもそうなったならば、拡大されたネットワークの中に COVID-19 の感染が広がりつつあることを目で見て感じることができれば、できるだけ早く今年のワクチンを打たなけりゃという動機付けになるのではなかろうか。

理論の上では、NOVID はどんな感染症についてもその蔓延を監視するツールとして利用できる可能性もあるだろう。2019 年に、私の親戚たちの半数を襲った悪性のインフルエンザのせいで私はクリスマスを棒に振ってしまったが、その病気が Santa Fe で流行していることをあらかじめ知っていたなら良かったのにと思う。きっと、もし知っていたらあの驚くべき、けれども間違いなくウイルスだらけの Meow Wolf 没入型アートインスタレーション (現在はもちろん閉館中だが、ビデオをぜひご覧あれ) を訪れたりはしなかっただろう。考えてもみよう、もしもよくある普通の風邪が自分の第 1 段階か第 2 段階の隔たりの中で急増していたなら、きっと大規模な集まりには出ないようにしよう、あるいは少なくともマスクを着用しようと思うのではないか？

さしあたり、私はここ Tompkins County で一日あたり 30 件から 50 件程度起こる感染が私自身のどの程度近くにあるものなのかの感覚を掴めるだけで、良しとしたいと思っている。最後に一つ言い添えると、作ったその本人から NOVID についてもっと説明を聞きたいと思う人のために、Po-Shen Loh が解説のビデオを公表している。語られる内容は、数日前に彼と私が交わした会話と同じようなことだ。

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例年 CES では、メインのフロアとは別に開催される副次的な催しを訪れる度に皆さんにその内容をお伝えしている。なぜなら、そちらの出展者たちは他の出展者たちよりも優遇されているからだ。そのような小規模の催しはメディア用に招待者のみが入れるようになっていて、酒や食事が供される。残念ながら今年は例年のように無料の Heineken を楽しんだり Wynn ホテルの素晴らしいデザートを味わったりすることはできなかった。それでも、週を通して開催された Showstoppers に出展された製品を今年もぜひご紹介したい。どの製品も、他とは一味違う特別のものを持っていたからだ。

Circle 家族用インターネット監視

2020 年を通じて、学齢期の子どもを持つ親たちはいつもより長い時間目を配らなければならず、子どもたちはいつもよりずっと長い時間いろいろなスクリーンを見つめて過ごさなければならなかった。子どもたちがインターネットを利用する際にそれを監視して内容にフィルターをかけるためにどんなテクノロジーの支援を使っているか、私は友人たちにたくさん質問して調べたが、Circle という名前が多くの親たちの口をついて出た、 Circle Home Plus は基本的にインターネットのファイヤウォールで、ある種の発見的方法に基づいてサイトやアクティビティをブロックするが、そのインターフェイスや諸機能は家族の指針を守らせようとする親たちに向けて作られている。

Circle の最新の機能は一年前に CES に登場した予知的な "Focus Time" で、その時間帯には親たちが特定のいくつかのアプリを無制限に使えるようにし、それ以外のアプリはすべてブロックするという設定ができる。授業時間に理想的だが、そこに加わった新たな特徴のお陰で Circle Home Plus をここで紹介する価値が生まれる。Circle が呈示した統計情報によれば、全体的にスクリーンの使用時間が伸びている。小学生で 56.5%、ティーンたちで 50.4%、大人で 39.5% の伸びだ。その時間がどのように使われるかにもっと制御の手を伸ばしたければ、Circle Home Plus が役に立つかもしれない。ハードウェアを含んだバンドル購読として販売されており、3 か月で $69、年間で $129、無期限で $299 だ。購読の延長は月間 $9.99 または年間 $99.99 でできる。

DeepScore AI 信頼性探知器

未来のテクノロジーとして期待するどんなものに比べてもこれは Brave New World に属すると感じられるかもしれないが、他に選択肢はないのかもしれない。DeepScore AI が他の会社に販売しているテクノロジーは、その会社の潜在顧客とのビデオ面談をすることでその相手が質問に対して嘘を答える可能性を判定できるようにするというものだ。噂によれば DeepScore AI は顔の動きや声の調子に対して感情とストレスの分析を施すことでそれを達成しているという。同社によれば正確度は 88.9% だとのことで、高いと聞こえるかもしれないが、考えてみれば 9 回に 1 回は誤った結果が出るというのは心配だ。Deepscore はアメリカの製品にはまだ使用されていないようで、最初に日本の金融市場に狙いを定めているらしい。人間の未来にはこの種のものが待ち構えているのかもしれないが、Orwell 風に「正直な人は幸せです」といったキャッチフレーズを掲げる会社に私は懸念を感じてしまう。同社のウェブサイトに無料のデモがあるので試してみることもでき、もし試された方がおられればぜひコメントで知らせて頂きたい。なぜって、私自身はこのような会社に自分のデータを与えることに嫌悪感を感じてしまうからだ。

Kotozna ホテル室内翻訳

私が一番最近に外国へ旅行したのは 1987 年だったと思うが、Google Translate を大いに使って会話を何とかしのいだ。けれども Google Translate は当時も今も使い勝手が悪い。相手も自分も同じスマートフォンを覗き込まなければならず、私が出会った人たちのほとんどがその人なりに英語を使う方を好んだ。でもそれでは、道案内にしてもビジネス上のやり取りにしても、いまひとつの結果しか得られなかった。だから、私は多くのホテルに Kotozna の室内翻訳サービスを利用してもらいたいと思っている。ホテルの客に QR コードが提供され、それでアプリをダウンロードするかウェブサイトを開くかする。すると 109 か国の言語のどれでも使ってホテルのスタッフとの話ができるようになる。もちろんホテルのスタッフは自分の国の言葉で話す。これはホテルに狙いを絞ったサービスなので、ホテルの経営者が自由に書類やその地域の値引き情報を取り揃えて、よくある質問の形で情報を提供することもできる。これは日本の会社だが、文化的な問題を解消するためにも日本での利用価値は高いと思う。私の経験では、日本人のスタッフはそういう意識が高くてほんの些細な問題でもやたらと謝罪するので、アメリカ人の私の感覚ではそんなに恐縮されるのはこちらがかえって困惑するという感じになる。(一度など、日本の警察官が鉄道の駅のレイアウトの複雑さについて私に個人的に謝罪してきたことさえある。) 価格と入手可能性ははっきりしないが、Kotozna によれば主たるターゲットは中規模のホテルで海外からの客に魅力を感じさせるほど素敵ではあるが多言語を駆使できるスタッフを雇う余裕はないところなのだという。

SkyDrive 空飛ぶ自動車

型通りに未来的なテクノロジーとして、空飛ぶ自動車を超えるものがあるだろうか？ 空飛ぶ自動車が CES に登場したのは今回が初めてではないが (最近のものとしては 2020 年 1 月 16 日の記事“CES 2020： 空飛ぶ車、スマート枕、仮想の犬囲い ”に載った Aeronext がある)、新たな競争相手のアイデアが空中に浮かぶのを見るのはいつでも歓迎だ。SkyDrive が発表したものの中で最も興味深かったのはそのスケジュールだ。2020 年にテスト飛行を (それほど大掛かりなものではなかったが) 成功させ、2023 年に同社の言葉によれば「試行的社会実験」として販売を開始し、2026 年に大量生産を開始し、2028 年には一般に受け入れられるようになる予定だという。Skydrive が予定しているのは二人乗りで最大搭載重量 400 kg (880 ポンド) のモデルで、飛行速度は 100 km/h (およそ 60 mph)、高度は 500 m (およそ 1600 フィート) だ。パイロットの免許は一切不要で、すべてが自動化されている。バッテリーの持続時間が 20-30 分程度なので、一回の充電で飛行距離は 20-30 マイルといったところだ。そして、SkyDrive も認めていることだが数多くある障壁の一つが、より長い航続距離を得るための充電ステーションの構築だ。前回の Aeronext と同様、SkyDrive に試乗したければ日本に行くしかないかもしれない。日本にあるこの会社は、現在まず日本での規制に対する前進を試みているところだからだ。

DFree 膀胱センサー

ほとんどの人は生まれつきの膀胱監視システムを持っていて、排尿の必要を自覚できるようになっている。けれどもさまざまの病気が原因で、一時的あるいは永続的に尿意を感じられなくなることがある。Triple W の DFree 膀胱センサーは、生理学へのテクノロジー的支援を必要とする人たちのためにそれを提供する。紙マッチ大のセンサーを医療用粘着テープで腰のすぐ下のところに取り付けて、そこから有線の接続がもう少し大きな処理デバイスに繋がり、こちらをポケットに入れておくもののようだ。センサーが発する超音波がその人の膀胱の内容と容量を測定し、処理デバイスがその情報でその人のスマートフォンを更新する。尿意を感じるべき時になれば、スマートフォンから通知が出る。このアプリは過去にトイレへ行った時刻を追跡していて、そのデータを用いてスケジュールを作成し、突然の中断の事態をなくすことを目指す。現在米国のみで $399.99 で販売されている。

Stern Led Zeppelin ピンボール機

Stern Pinball は毎年私の目に留まる。私はピンボールが大好きだからだ。でも別に上手いわけではないが。このアーケードゲームは最近エミュレートされた形で復活を果たしているが、昔ながらの形で新しいゲーム機を未だに作っているメジャーなメーカーはもう Stern だけだ。今年のモデルは Led Zeppelin で、The Song Remains the Same をバックに魅力的な宣伝を打ち出している。残念ながら（皆さんお分かりの理由で）今年は実際に手を触れてゲームの感覚をお伝えすることはできないけれど、それに価格が $6199 からというものなのでレビュー用ユニットを送ってもらえるとも思えないが、私は Stern の過去のゲーム機では Whole Lotta Love をもってどんな Good Times Bad Times にも楽しんできた。［訳者注： 最後の２つは Led Zeppelin の楽曲です。］

Qoobos と Moflin は日本製のペットロボット

文明の終焉が向かうのは (アメリカ疾病予防管理センター CDC が描き出した) ゾンビに支配された世界か、はたまた (xkcd と "What If" で有名な漫画家 Randall Munroe が研究した) ロボットに支配された世界か、というのは答の出ない問題だが、日本の二つの会社がロボットに支配された世界のさらにもっと恐ろしげな形態を示唆してみせた。すなわち、もしもロボットがミュータント猫のようなものだったらどうなるかというのだ。何しろ、最高に可愛い子猫だって殺人マシンとなることができるのだから。

Yukai Engineering (ユカイ工学) の Petit Qoobo は、以前からあった Qoobo ロボットの小型版だ。双方ともフリスビーのような感じの楕円形で、猫ちゃんの餌をたらふく食べて丸々太った結果のように見える。猫を思わせる毛並みに覆われていて、頭や足はない。サイズ以外で両者の違いは、Qoobo にはフルサイズの尻尾があるのに Petit Qoobo の尻尾は短くちょこんとついているだけだ。まあ、それが個性なのだろう。

その一方で、Vanguard Industries の Moflin はバナナナメクジ (北米原産の大型のナメクジ) に猫の着ぐるみを着せたような感じだ。どちらも、感情を表現する。Qoobo は尻尾を振り、Moflin の頭部はロボットの首に取り付けられている。どちらも音を出し、言ってみれば GarageBand のループに“猫や人間、幼児、可愛い”というキーワードで登録されてもおかしくないようなサウンドだ。Moflin の方が Qoobo よりも高度な AI を備えている。Qoobo ロボットは出荷時に「大きな音はちょっぴり苦手だよ」と明記されているのに、Moflin は Tamagotchi (たまごっち) 風の能力を備えていてどのように扱われるかに基づいて自らの個性を発達させることができる。つまり、Moflin があなたのスマートホームを念動でコントロールし始めたなら、誰が悪いのかはあなた自身がご存知ということだ。一方 Qoobo と Petit Qoobo は鼓動音を発する。どちらのロボットの方がゾッとするほど怖いかはあなたが判断すべきことだ。

お察しの通り、これらの製品はどちらもまさに私にとっての「不気味の谷」のど真ん中に位置しており、そこからよじ登って脱出できるとは私には考えられない。ただ、孤立した生活をしている高齢者たちにロボットが良いというはっきりした証拠がいくつかあるので、皆さんのお知り合いでこれを欲しいと思う人がいるというのは考えられないことではない。現在入手可能なのは初代の Qoobo のみだが、米国では入手できない。チェコのウェブサイトがヨーロッパを対象に 2999 コルナ (およそ US$140) で販売しており、私から見れば Brexit を支持すべき最大の理由とも言える。Petit Qoobos は日本で $110 ほどの価格で販売されているが、まだ他の国へは進出していない。Vanguard Industries の Kickstarter プロジェクトはもはや受付をしていないが、Moflin の価格は 41,800 円 (およそ US$400) で出荷予定は 2021 年 6 月となっている。そのページに、メーリングリストにサインアップするための日本語ページへのリンクがある。

CES 2021 機器アンケート #2

前回のアンケートの結果によれば、TidBITS 読者の皆さんはやはり Mac 関係の製品を使う志向が強いようだ。そこで、この記事のアンケートでは少し質問の仕方を変えて、皆さんが実際に使いたいと思うかどうかは別にして (だって、そうでしょう？)、皆さんの興味を引く製品を私たちが選ぶことができているかどうかを知らせて頂きたいと思う。この記事で取り上げた製品のうちで、こんな短い紹介であっても楽しく読めたと思われるものを 教えて頂きたい。

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