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#1549: Apple Watch の呼吸通知、BlastDoor が iMessage を堅牢化、ステレオに AirPlay を追加、より良いプレゼンテーションを Zoom で

Apple Watch が深呼吸せよと促してくるのをうるさいと思う人のために、Josh Centers が手軽にその種の通知を調節したり除去したりできる方法を説明する。iMessage におけるちょっと心配な脆弱性が 2020 年に実際に攻撃を受けたが、Glenn Fleishman がその攻撃を阻止するために Apple が実装した防護策を説明する。昔ながらのステレオシステムに音楽ストリーミングの世界を持ち込めたらと思っている人のために、Dave Kitabjian が寄稿記事で古い Apple TV を使ってステレオに AirPlay 入力を追加する方法を解説する。それからもう一つ、オンラインで授業をしたりプレゼンテーションをしたりする人のために、Glenn が Zoom を使って遠隔からもっと効果的なプレゼンテーションをしたりアプリの実演をしたりするためのヒントを提供する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Carbon Copy Cloner 5.1.25、BusyCal 3.12.3、Pixelmator Pro 2.0.5、Zoom 5.5.1、PopChar X 9.1、Mailplane 4.3.1、Gemini 2.8.2、それに Homebrew 3.0 だ。

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple Watch の呼吸通知を使いこなす方法

私は呼吸が大好きで、毎日呼吸しているし、これは誰もが養うべき素晴らしい習慣だ。いや、もちろん冗談だが、でも意識して呼吸を制御するのが良いことである証拠はたくさんある。ストレスと不安を減らし、集中力を高め、睡眠の質を良くする役に立つ。だからこそ、watchOS 3 で Apple は Breathe (呼吸) アプリを導入したのだ。このアプリは定期的に深呼吸を勧める通知を出し、深呼吸のしかたをガイドする。(2016 年 9 月 13 日の記事“watchOS 3 のための三つのヒント”参照。)

Apple の意図は良かったのだが、この通知はうっとうしい。いつも最悪のタイミングで出る気がするし、たいていは忙しくてストレスが高まった状態のときに出て、通知のせいでますますストレスが増す。何人かの人たちはこの通知があまり体を動かしていないのに心拍数が高い場合に出るのだと理論立てた推測を述べていた。悪くない推測だと思うが、Apple は何も言ってくれない。

ありがたいことに、この通知をオフにすることができる:

  1. iPhone で Watch アプリを開く。
  2. まだ開いていなければ、My Watch タブをタップする。
  3. Breathe (呼吸) をタップする。
  4. Notifications Off (通知オフ) をタップすれば通知が無効化される。
Breathe settings
左: Watch アプリの Breathe 設定を見つける。中: Breathe 通知をオフにする。右: Send to Notification Center を選ぶとさらなる設定項目が開く。

完全にリマインダーをなくしたくはないと思えば、煩わしさの度合いを減らすこともできる。まず、Breathe (呼吸) 設定画面で Allow Notifications (通知を許可) を選ぶ代わりに、Send to Notification Center (通知センターに送信) を選ぶ。これで、Apple Watch がサウンドを鳴らしたり通知であなたを驚かしたりすることがなくなる。その代わり他の通知と同様に Notification Center からの通知として静かに文字盤に表示されるので、通知をチェックしたい気になったタイミングで見られるようになる。自分の都合の良いときにリマインダーとして十分な役割を果たせるだろう。

もう一つ、リマインダーを出す回数を変更することもできる。毎日二回ずつでは多過ぎて、毎日一回ずつなら無難かもしれない。また、Weekly Summary (週ごとの概要) をオフにすれば、呼吸の習慣について報告してくる週に一度の通知がなくなる。最後に、Mute for Today (今日は通知を停止) をオンにすれば、その日のうちだけは Apple Watch があり得ないタイミングでリラックスせよとうるさく言ってくる心配がないと知って安心していられる。

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Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

BlastDoor が iMessage のマルウェア攻撃に対する防御を強化

もう何年もの間、セキュリティ研究者たちは iMessage の時代遅れの内部構造について警告を発し続けてきた。iMessage は終端間暗号化を使った Apple の独自仕様のメッセージ処理システムで、iOS、iPadOS、および macOS で使われている。けれども今回、一人の研究者から良い知らせが届いた。Apple はひっそりと iOS/iPadOS 14 と macOS 11 Big Sur においてメッセージ処理の重要なコンポーネントのいくつかをアップデートし、攻撃が成功する可能性を劇的に減らしたというのだ。

先週、Google Project Zero の研究者 Samuel Groß が長文で専門的なブログ記事を公開して、彼が発見したことを説明した。Groß という名前に聞き覚えがある人がいるかもしれないが、おそらくそれは彼の名前が Apple のセキュリティアップデートの際に彼が働く Google のチーム名と共にバグの発見者として頻繁に記されているからだろう。こと細かな内容を知りたい方は彼のブログ記事を読まれるとよい。ここでは、エンドユーザーが知っておくべきことだけを簡単にまとめておきたい。

How BlastDoor works
Project Zero の説明図の意味がすぐには掴めなくても、どうぞ読み続けて頂きたい。

伝えられるところによれば、iMessage はこれまでいわゆる“ゼロデイ”と呼ばれる攻撃を実際に何度も受けてきたという。この用語は、メーカーがまだ気付いていない段階でシステム、アプリ、またはサービスにアクセスを得ようとする攻撃を受ける可能性がある欠陥のことを意味する。活動家たちによる研究者団体 Citizen Lab が 2020 年 12 月 20 日に発表した報告書によれば、その種の攻撃の一つが 2020 年に頻繁に実行されたという。どうやら iOS 14 はその攻撃を抑止できるらしい。

Google の Groß は Big Sur の中の iMessage コードを逆コンパイルして分析し、Apple が従来の単純化されたメッセージ処理を新しいものに入れ替えていたことを発見した。従来の処理には数多くの弱点が含まれていた。この新しいコードには一連のコンポーネントが含まれていて、例えてみればそれらはスキャナと逆アセンブル装置のセットのようなものであり、爆弾がそこを通過してセキュアな場所に辿り着くのを阻止する働きをする。Groß によれば Apple は社内でこれを BlastDoor (爆風保護ドア) と呼んでいるという。彼が判断できる範囲内で言えば、このテクノロジーは iOS と iPadOS にも備わっているらしい。(iOS と iPadOS は macOS よりもロックされている範囲が多いので、確実な判断をするのは困難だ。)

BlastDoor が登場するより以前には、到着したメッセージはたった一つの巨大なプロセスの中を通り抜け、そのプロセスがメッセージに関するあらゆる作業、つまりアドレス指定、整合性、添付ファイル、受領通知、その他を処理していた。攻撃者が悪意を持って作成したメッセージまたは添付ファイルによってそのメッセージ・ハンドラーがクラッシュすれば、オペレーティングシステムが悪用される道が開いてしまう可能性があった。

例えとして、iMessage がオフィスビルで、自動化されているが監視されていない小包配達デスクによって保護されていると想像してみよう。そのデスクには受取人の名前を入力すべきキーボードと、小包を投入するポストが設けてある。そこで攻撃者がセンサーの窓にチューインガムを貼り付けるといったようなことをすると、システムが混乱に陥り、結果として攻撃者がハッチを開けてビルに侵入できるようになるかもしれず、もしそうなれば多くのドアが内側から開けられてしまう。

また、iMessage には別の種類の攻撃への脆弱性もあった。攻撃者は、いくつかの異なる挙動を次々に繰り出して、メッセージが正しく届いたか否かを調べようとする。もしも届いていなければ、そのことが重大な情報を明かすことになる。さらに攻撃者はメッセージ・ハンドラーをいつまでもクラッシュしたままの状態に保とうと試みる。もちろんそのデバイスの所有者がいつかは気付くことになるのだが。

BlastDoor は、メッセージを処理するプロセスの各段階をコンパートメント化する。つまりサンドボックス化する。サンドボックス化は、Apple や他の多くの会社が基本的なセキュリティのために次第に採用の度を増しつつある有名なシステム設計テクニックだ。

さきほどの例え話の小包配達デスクに当てはめてみよう。サンドボックス化された配達システムにおいては、送り主はまず封印されたコンパートメントに入って、実際に小包を持ってきたことを証明しなければならない。もしそのテストをパスしなければ、そのコンパートメントが送り主を外へ押し戻す。もしパスすれば、送り主はその小包をまた新たなコンパートメントに押し込むのだが、送り主が手を放すまではコンパートメントの蓋が閉まらない。蓋が閉まった時点で、今度はロボットが小包をX線検査して、そっと包装を解いて、といった具合に進む。

設計上、サンドボックス化されたコンポーネントやアプリはファイルにも、入力/出力デバイスにも、その他自らのごく狭い活動領域の外にある一切のものにアクセスすることができない。たとえ悪意あるコードによって一つのコンポーネントがクラッシュしたとしても、そのサンドボックスはダメになるけれども、他の何かに影響を与える可能性は非常に低く、攻撃者がその結果を利用して何かの情報を引き出せる可能性も低い。もちろん完全なサンドボックスなど存在しないし、攻撃者は内部で走っているコードのみならずサンドボックス自体をも壊そうとするだろう。けれどもアクションを抽象化し隔離することによって攻撃の困難さは格段に上がる。

さらに、BlastDoor やその他の新しいメッセージング処理要素は次のような改善点も含んでいる:

最後にもう一つ、Samuel Groß は Apple が特定の形で任意のコードを実行しようとする攻撃を防止するため新たな予防策を実装した (けれどもまだ運用を開始していない) とも述べた。彼の推測によれば Apple はこの変更によってパフォーマンスがどの程度の影響を受けるかを評価している最中なのではないかとのことで、将来その運用を開始して攻撃が成功する可能性をさらに減らすことを目標としているのだろうという。

そうは言っても、どんなに保護対策を構築しようとも、悪漢たちは臆することなくそれを破ろうと試み続けることだろう。十分に強力な爆弾があれば、あるいは十分に集中的な爆弾が作られれば、どんな爆風保護ドアにも穴が開いてしまう。でもここで一つ言えるのは、力ずくで入り込むためにかかる費用が増すという点だ。もしもその爆弾を作るために国家予算規模の資金が必要となれば、少なくともケチな犯罪者たちから攻撃されることはないだろうという確信が生まれる。加えて iMessage の新しいクラッシュ報告機能があるので、Apple は新たな攻撃に対する探知と防御の可能性を高めたと言える。

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Dave Kitabjian  訳: 亀岡孝仁  

古い Apple TV を使って手持ちのステレオに AirPlay する

iPhone や Mac のスピーカーは、ステレオシステムと比べれば貧弱に聞こえるであろう。でも、どうすればこれらの機器からの音楽をステレオスピーカーから流せるのであろうか? AirPlay は、オーディオを Apple の機器からスピーカーへ Wi-Fi 経由でストリームさせてくれる Apple のとても優れた技術である。しかし、それが動作するためには、ストリーミングする先のステレオシステムは AirPlay をサポートする必要がある。

その様なシステムへ音楽ストリーミングのサポートを追加する一つの方法は、AirPlay 対応のアンプへとアップグレードすることである - 例えばこの Denon DRA-800H の様なものへ。もし新たに購入するのであれば、それが AirPlay 2 に対応していることを確認すべきである。しかし、それは Apple 機器から手持ちの最も音の良いスピーカーへ無線で音楽を再生するには高価な解である。

もっと安価な解は、Apple の今や時代遅れとなった AirPort Express ベースステーションを使うことであろう。この方法では、Wi-Fi 経由で Apple 機器を標準のヘッドフォンジャックを使ってスピーカーへと接続する。第二世代 AirPort Express 802.11n でバージョン 7.8 ファームウェアを搭載したものならば AirPlay 2 もサポートするが、最近の Mac, iPhone, そして iPad ならば、AirPlay に先だったオーディオだけの AirTunes しかサポートしないより旧式の AirPort Express モデルにもストリーミング出来る。見つけられたら、それは必要十分な仕事をしてくれる - 必要になるのは、設定するための macOS 或いは iOS 用の AirPort Utility である。事実、私は AirPort Express を長いこと使っていたが、数ヶ月前にそれは死んでしまい、新たな解を求めて苦闘する結果となった。それを他のもので置き換える事も考えられたが、私は第二世代 Apple TV がまだ残っていることを思い出し、これなら代役が務まるのではと思った。少々の努力の後、それは見事に働き始めた。

と言うわけで、もし手持ちの古典的なステレオシステムを、余りお金をかけずに、近代的な音楽ストリーミングの世界に連れ出すことに興味を覚えるのであれば、使用済みの第二世代 AirPort Express を探す事も出来るし、或いは、私がやった様にして、古い Apple TV を生き返らせることも可能である。私がこれをやったのは、Apple TV が物置に残っており、それを AirPort Express に対する代替策とするのも面白いプロジェクトになると思ったからである。私は Apple TV リモートを無くしていた;どうやってその問題を回避するかは次のステップで説明する。

部品リスト

必要となる部品:

手順に沿った作業指示

必要なものはここ迄で、古い Apple TV を使った AirPlay 対応の古典ステレオシステムの設定手順は以下の様なものである。まず、Apple TV の設定手順をこなし、それからそれをステレオに TOSLINK D/A コンバーターを使って接続する。

  1. Apple TV を TV に近い所で電源につないで、両者を HDMI ケーブルを使って接続する。TV の入力を切り替えるのを忘れないこと。リモートをなくしてしまっても、Bluetooth キーボードがあれば、必要な設定は出来る。キーボードをペアリングモードにして、Settings > General > Bluetooth に行き、そのキーボードを選択する。リモートの代わりに Apple TV インターフェース内で動き回るのには矢印キーを使う;決定するのには Return を、戻るには Escape を押す。
  2. もし Apple TV が出荷時設定に戻されていたら、言語を選択するよう求める画面が出るであろう。その場合、画面上の指示に従う。さもなくば、通常のホーム画面が出るはずである。
    Old Apple TV Home screen
  3. 定型の設定手順が望ましいので、Settings > General > Reset に行き、Reset All Settings を選択する。
  4. Settings > General > Network に行き、Wi-Fi ネットワークを選択し、そしてパスワードを入力する (ここではキーボードが威力を発揮する)。
  5. Settings > General > Name で、スピーカーを置くであろう場所を示す名前を入力する。
    Old Apple TV settings
    "Piano Room" は、実際には我が家の使う目的を変えた居間のことである;どうか私が豪華マンションに住んでいるなどと思わないで!
  6. Settings > General > Time Zone で、標準時間帯を設定する。これがどう関係するのか私には良く分からないが、やっておいて悪いことでは無い。
  7. Settings > Screen Saver > Start After > Never と辿り、スクリーンセーバーを不能にする。再度、これがどう関係するのか良く分からないが、誰も見ることも無いであろうスクリーンセーバーを表示しようとして、CPU、メモリ、そして場合によってはネットワーク帯域を浪費すべき理由は何もない。
  8. オーディオ設定全てをデフォルト値のままにする。

ここ迄で、オーディオをストリームする準備は完了しているはずである! Apple TV がつながれた TV に iPhone から何らかのオーディオをストリームしてみることで AirPlay が働いていることを確認してみよう。Music アプリを開いて、曲を再生、AirPlay アイコンをタップ、そして新たに作成した AirPlay 先をタップする。#

Streaming audio from Music

何も働かなければ、先に進む前に一歩戻って原因究明をする。Apple TV を TV 画面から外してしまったら、原因究明は更に難しくなる。

これで、ゴールは目前である! 次は、Apple TV をステレオに接続する:

  1. HDMI ケーブルを Apple TV から外す;それを再び必要とする事は無い。Apple TV を電源から抜いて、AirPlay サポートでアップグレードしようしているスピーカーを駆動しているアンプに近い所に持って行く。Apple TV を電源につなぐ。
  2. D/A コンバータを電源につなぎ、そして TOSLINK ケーブルを使い Apple TV に接続する。TOSLINK ポートは (私の機器では SPDIF と表示されており、技術的に言うとその隣にある同軸ポートも指している)、D 型をしたポートで埃よけの蓋がついている。中を覗き込めば、赤い光が見える。光ファイバー技術である!
    Digital to analog converter
  3. RCA ケーブルを D/A コンバーターの赤と白 (L/R) ポートとステレオアンプにつなぐ。接続先は、CD, AUX, 或いは Tape 入力で良いはずである。Phono 入力は使わないこと! それはレコードプレーヤーのためだけに意図されたものである。
    Plugging in to the receiver
  4. アンプの入力源を RCA ケーブルを接続した先へと切り替える。

全てが終了した段階では、接続状態はこの写真の様なものとなるはずである。

Apple TV connected to the converter

最後に、Music アプリに戻り、ストリーミング試験を再度試す。場合によっては、AirPlay の行き先は再選定しなければならないかもしれない。(注意すべきは、スピーカーや自分の耳への損傷を防ぐために、常に音量を絞った状態で始める事である。) iPhone がステレオ経由で再生するのが聞こえてくるはずである! この AirPlay 目的地はその Wi-Fi ネットワーク上にある誰にでも、iPhone, iPad, そして Mac も含んで、見える。その Wi-Fi にアクセス出来るゲストもそれを使える。

技術的な注意点

より旧式なハードウェアについての話なので、更なる疑問を呼ぶかもしれない幾つかの技術的詳細について説明しておく。

おめでとう! 秘密のサンタ贈り物の値段で、今や家にある古いステレオを近代化し、そして家中の人が家で音楽を楽しめる素晴らしい新たな方法を手にしたのである! 皆さんがどの様にこれや他の創造的な AirPlay 関連のプロジェクトを成し遂げたかをコメント経由で知らせて欲しい!

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Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

Zoom でプレゼンテーションやアプリの実演をする方法

Zoom でプレゼンテーションをしていると、それがプレゼンテーション用ソフトウェアを使っていようと、画像のスライドショーを表示させていようと、実演用に画面を共有していようと、あるいはライブのビデオフィードを使っていようと、まるでシェークスピアを暗唱しつつ猫をジャグリングしているかのような気持ちにさせられることがある。最も人気あるビデオ会議用ソフトウェアの一つである Zoom は、毎日何億人もの人たちが使っている。けれども Zoom は柔軟性があるゆえに常時変わり続けるツールであって、例えば画面を共有したりプレゼンテーションをしたりといったよくある作業を実行しようとする際にも、そのやり方を見極め、かつ 最新の変更に通じていられるのが難しいこともある。

著書 Take Control of Zoom のために調査をし執筆をしながら、私はプレゼンテーションや画面共有のセッションを準備し発表するために役立つと思われるいくつかのシナリオや戦略を明らかにすることができた。以下では、フラストレーションを避けつつ望みの結果を得られる最良の方法をいくつか紹介してみたい。

何を表示しようとしているか

まず始めに、あなたが何をプレゼンテーションしたいと思っているかを具体的に明らかにし、そのためにどんな選択肢が利用できるかを見極めよう:

ここで嬉しいニュースがある。(ノートも補助資料も他のビデオも不要で) スライドだけを使えば十分な場合、かつ Zoom が参加者を表示するフローティングウィンドウだけで十分満足できる場合には、最大限の柔軟性が既に確保されている。特別な回避策や特別モードなど何も必要とせず Zoom と他のもう一つのアプリを使うことができ、あなたのコンピュータの画面は 1 つでも 2 つでも問題ない。それでもなお、プレゼンテーションや実演をする際にはスムーズな流れとシンプルさを得るために以下に述べる助言を参考にして頂けると思う。とりわけ PowerPoint や Keynote を使う場合にはそれが言える。

けれども、もしもノートを使ったり、他のスライドを見る必要があったり、アプリを切り替えて使ったり、別のビデオ映像を取り入れたりする必要がある場合には、以下をぜひお読みいただきたい! いろいろなシナリオを紹介して行くけれども、特にフルスクリーンモードを使うものについては、読んで頂くことでフラストレーションを減らし、望んだ結果を達成できるお役に立つだろう。

参加者の人数が多い場合には、ミーティングのために助手が得られるならば、ぜひそうしよう! 参加者たちからのフィードバックに目を配ったり、チャットを監視したり、舞台裏のフィードバックを提供したりといったことを誰かに担当してもらえればずいぶん役に立つだろう。

さて、まずはフルスクリーンモードに取り組んでみよう。macOS と Windows の双方でフルスクリーンモードが未だに何となく追加的な機能のままである結果として、ワークフローの中にいくつか障害の種が潜んでいる。そうした障害を避けつつプレゼンテーションを始められるように、助言を述べておこう。

フルスクリーンのアプリで作業

1 モニタと 2 モニタ双方の構成に対応できるよう Zoom が努力を重ねているにもかかわらず、Zoom と macOS (や Windows) のフルスクリーンモードとは必ずしもいつも相性が良いとは限らない。注意すべき基本的な問題点が 3 つある:

フルスクリーンのアプリを使う際には、もしもそのアプリの中に居続けることができるならば問題ない。そのアプリが勝手にフルスクリーンモードを脱してしまわないかと心配する必要がないからだ。Zoom は 1 モニタと 2 モニタ双方のシステムで、他の参加者たちのビデオを表示するストリップをオーバーレイして示す。このことについて次に述べよう。

PowerPoint on two screens
2 スクリーンのシステムで PowerPoint をプレゼンテーションモードにすると、PowerPoint の中にいる限り、あなたが必要とするものはすべて利用できる。

しかしながら、ノートを見たり他のプレゼンテーションツールにアクセスしたり、あるいはより複雑なビデオ入力を組み込んだりしたい場合には、複数のデバイスを使ったり、あるいは他の人の手助けを得たりしなければならないかもしれない。

2 スクリーン上の PowerPoint や Keynote でフルスクリーンを使う

PowerPoint と Keynote はいずれも、コンピュータとプロジェクタを意図してデザインされた 2 ディスプレイ構成を提供する。片方のスクリーンがインタラクティブなスライドショーを処理し、もう片方がプレゼンテーションのツール、例えばタイマーと次のスライドのプレビュー、加えてそのスライドのためのノートなどを提供する。

PowerPoint on two screens
PowerPoint の 2 ディスプレイ・プレゼンテーションモードは片方のディスプレイ (上) にフルスクリーンのスライドを表示し、もう片方のディスプレイ (下) に役に立つツールを提供するが、これらのツールはこのモードの中にしか表示されない。

PowerPoint でスライドショーを呼び出すには、Start from Beginning をクリックするか、または PowerPoint のツールバーにある start オプションのどれかを選ぶ。Keynote では、Play をクリックするか、または Play > Play Slideshow を選ぶ。どちらのアプリでも、マウスを動かしてコントロールを表示させるか、あるいはキーボードショートカットを使っていろいろなアクションを呼び出す。

Zoom の中で、スライドショーを始めた後直ちに PowerPoint プレゼンテーションを共有することができる。Zoom に戻って、フルスクリーンのスライドショーウィンドウを選択し、それからプレゼンテーションアプリに戻ればよい。これでプレゼンテーションができる。

Keynote では少しだけ複雑になる。先に Keynote スライドショーを開始してから Zoom の中でそれを共有しようとしても、Zoom は Keynote のウィンドウを“見る”ことができない。これは、Apple が Keynote のプレゼンテーションモードを標準のウィンドウでもなくフルスクリーンモードでもないものとして作ったからだ。その代わりに、次の手順を踏む:

  1. Keynote でスライドショーを開始する準備ができており、望みのスライドが用意できていることを確認する。
  2. Zoom に切り替える。このとき、Keynote アプリを隠してはいけない。それをすると、Zoom が利用可能なアプリウィンドウの候補の中に Keynote を含めなくなるかもしれないからだ。
  3. Zoom の中で、Share Screen をクリックして、Basic タブで Keynote のスライド画面を選択し、それから Share をクリックする。これで Keynote ウィンドウ全体が共有されるのだが、それは無防備な一時的状態だ。
  4. Zoom は自動的に Keynote を前面アプリとして切り替える。そこで Keynote の中で、Play をクリックするか、または Play > Play Slideshow を選ぶ。すると Keynote は通常通りにデュアルスクリーンのプレゼンテーションモードに入る。

Zoom に戻りたい場合や、プレゼンテーションの最中の他のアプリを見せたい場合には、H を押す。スライドを次に進める用意ができたら、macOS のアプリケーション切替 (Command-Tab) を使って Keynote に戻る。とても“簡単”だ。

スライドショーを PowerPoint や Keynote のウィンドウの中に表示

モニタが 1 つであっても複数個であっても、プレゼンテーションをするならばフルスクリーンモードに縛られていると思うかもしれない。けれども、PowerPoint も Keynote も、いずれもディスプレイ全体を占有しない通常のアプリウィンドウを利用する方法を提供しているので、それを Zoom で共有することができる。

Presenting in a window
ウィンドウの中に表示するオプションを使えば、PowerPoint や Keynote と、Zoom と、ノートその他も好きなように配置することができる。
Powerpoint show settings
PowerPoint のスライドショーをウィンドウの中にフロート表示

PowerPoint では、Slide Show > Set Up Show を選ぶ。(別方法として、PowerPoint ウィンドウの上端にある Slide Show をクリックして Slide Show 表示に移行すればさらなるオプション、例えば Set Up Slide Show ボタンなどにアクセスできるようになる。) "Browsed by an individual (window)" を選んで、OK をクリックする。これで、スライドショーを開始するとスライドはリサイズ可能なフローティングウィンドウの中に表示される。

2020 年の中頃、Apple は Keynote 10.1 をリリースして、Play Slideshow in Window オプションを新たに追加した。この表示を呼び出すには、Play > Play Slideshow in Window を選ぶ。(これを頻繁に使いたいと思えば、Keynote の中でツールバーを Control-クリックして、Customize Toolbar を選び、Play in Window をツールバーの上へドラッグして、Done をクリックする。)

いずれのアプリも、この状態にしておけば Zoom の画面共有を使ってそのプレゼンテーションウィンドウを選択して共有できる。このやり方ではそのウィンドウのインターフェイス要素、例えばタイトルバーなどが Zoom の中で見えている。

スクリーンの一部分を使ってプレゼンテーション

専用のプレゼンテーションモードを持たないアプリについては、スクリーンの一部分を選択できる Zoom のオプションを使えば、アプリのウィンドウの中で皆に見てもらいたい部分だけを選択して残りのインターフェイスやタイトルバーその他の部分を切り取ることができる。

その種のアプリでは、まずそのアプリのウィンドウをあなたが使っている他のどのアプリとも重ならないように注意深く位置取りする。ただし Zoom は自動的に自らを隠すので考慮しなくてよい。(Zoom アプリ自体をミーティングで共有したい場合にはこの動作を無効にできる。Zoom Screen Sharing の中の Show a Zoom Window を使う。)

それから Zoom に移り、Share Screen ボタンをクリックし、Advanced タブをクリックして、Portion of Screen を選ぶ。そこで Share をクリックすれば、緑色の長方形枠が表示されてこれを自由に位置取りしたりリサイズしたりでき、その内側に見えるすべてが共有されるので、あなたが共有したいアプリのウィンドウの一部分だけを共有できるようになる。

このやり方は Preview を利用するための良い方法となる。Preview は PDF や画像を表示できるからだ。PDF を共有する際、私は注意深く Preview の表示のサイズを決めるため、たいてい View > Single Page を選んでからウィンドウ左上の緑色のズームボタンを Option-クリックしてページをディスプレイのサイズに合わせる。それから Zoom の部分表示の長方形枠をページの可視部分に合わせてドラッグしている。

Keynote でモバイル Keynote コントローラを使ってプレゼンテーション

Keynote に Play Slideshow in Window 機能が加わったことにより、(多少複雑ではあるが) 興味深い手順を踏むことでプレゼンター用のすべてのツールと標準的な macOS ウィンドウの両方を手にすることができる。macOS 用の Keynote と、Keynote の iOS/iPadOS 用アプリによるリモートコントロールの両方を使うのだ。

次のようにすればよい:

  1. iPhone または iPad と、Mac との両方に Keynote をインストールする。Apple の説明書に従って、モバイルアプリの Keynote Remote オプションと Mac とをペアリングする。
  2. macOS 用 Keynote で、Zoom の中でプレゼンテーションに使いたいスライドの組を開いて、Play > Play Slideshow in Window を選ぶ。そのウィンドウを好きな位置に置く。
  3. Zoom で、Share Screen を選んで、その Keynote ウィンドウを選ぶ。
  4. iOS/iPadOS 上で Keynote を起動し、Keynote Remote アイコンをタップする。(複数個のコンピュータがペアリングされている場合には、Devices をタップし、正しい Mac をタップして、Done をタップする。) 大きな Play アイコンが見えるはずだ。
  5. Play をタップする。
  6. Keynote Remote 表示の中で、右上にあるスライドを並べた形のアイコンをタップして、Current and Notes、Next and Notes、または Notes Only をタップすればノートを iPhone や iPad の上で見ることができる。(テキストのサイズを変えたりカラーを反転させたりして読みやすくすることもできる。)
Mobile Keynote Controller
Keynote Remote オプションで、ノートを見たり次のスライドを見たりできる。

これで、モバイルデバイス上の Keynote アプリを使ってスライドを前後に進めたり、スライドを選んだりその他のオプションが使える。そしてその間ずっと macOS の中では、macOS 用 Keynote のプレゼンテーションを一切妨げることなく Zoom やその他のアプリにアクセスすることができる。

Controlling Keynote with the Keynote app
ラップトップ機の Keynote (左) を、Keynote iOS アプリを使ってスライドのノートも読みつつコントロール (右) できる。

異なるディスプレイやデバイスを使ってプレゼンテーション

Zoom は 1 台のコンピュータ上の複数個のスクリーンや、1 つのミーティングに接続した複数台のデバイスを同時に使いこなすための、数多くの異なる方法を提供している。そのお陰で、さまざまなアプリを使ってプレゼンテーションしたり、ビデオフィードを使って現実世界での実演を見せたりといったことが、必要に応じてどんな組み合わせでもできるようになる。いろいろな個数のディスプレイやデバイスについて、それぞれどんなことができるかをいくつかのプレゼンテーションのスタイルに分けて紹介してみよう。

モニタ 1 台でプレゼンテーション

最も単純な例として、1 つだけのスクリーンを持つ 1 台のコンピュータで Zoom ミーティングに参加する場合を考えよう。共有するものはそれ独自のウィンドウまたはウィンドウの一部分として示され、Zoom は Active Speaker フルスクリーンモードの内容をフローティングウィンドウを使って下図のように示す。

Presenting with a single monitor
Zoom はプレゼンテーションの最中も、設定可能なビデオのストリップをオーバーレイして示す。

スクリーンが 1 個なので、他の参加者たちのフローティング表示は他のすべてのものの前面に来る。つまり、フルスクリーンのプレゼンテーションの手前に来る。Zoom の共有バーで Chat やその他の機能にアクセスできるが、アプリによってはポインタを見えなくするものもあって、その場合には実質的に何もクリックできない状態になってしまう!

フルスクリーンを必須としないアプリでは、ウィンドウを配置し直して、プレゼンテーションの最中にもスクリーンの一部にデジタルノートを表示できる。

もちろん、自分で iPad やその他のデバイスを手元に置いてノートを表示させたり、さらには (いや、わかってるよ!) ノートを紙に印刷してプレゼンテーションしながら猛烈な勢いで紙を次から次へとめくったりすることも可能だ。

モニタ 2 台でプレゼンテーション

モニタは 1 台でもよいが、2 台あればなおさらよい。まあ、ある意味では。その場合は、何に重点を置きたいかによってタスクごとにどちらのスクリーンを使うか決めて、振り分けて置くことをお勧めしたい。

2 台またはそれ以上のモニタを持つコンピュータでは、Zoom が 1 台のモニタだけを使うように設定することもできるし、Zoom のウィンドウを 2 台のモニタに振り分けて使うこともできる。Settings > General で "Use dual monitors" を選択したり選択を外したりして試してみよう。(どちらが“メイン”のスクリーンであるかを決めるのはオペレーティングシステムであって Zoom ではない。)

モニタ 1 台を使うモードでは、Zoom のウィンドウをどのディスプレイでもそのディスプレイ上のどこにでも好きなように選んで置くことができる。メインのモニタの上でスライドやノート、その他の資料を使う場合には、補助的モニタの方に Zoom のウィンドウを置くことをお勧めする。

モニタ 2 台を使うモードでは、Zoom がリサイズ可能なウィンドウを別途追加して、通常の会話の最中には、最新のアクティブな話し手を補助的スクリーンの上に表示する。画面を共有している最中には、その補助的ウィンドウが Active Speaker のフル表示に切り替わり、一番上に他のすべての話し手のサムネイルが並ぶ。

このような設定は便利かもしれないが、気を散らす原因となるかもしれない。あなたのウェブカメラの映像がが主画面の一番上に表示されていて、あなたが話しながら補助画面を見つめていれば、他の人たちにはあなたがよそ見をしながら話しているように見えてしまうだろう。(ウィンドウを配置し直して、あなたがカメラに向かって話せるように工夫しよう。) けれども、プレゼンテーションのために画面を共有している間は、誰もあなたの顔のビデオ映像など見ていないだろう。

二人でプレゼンテーション

さきほど触れたように、スライドやノート、その他のアプリや細々としたことの整理のために、あるいは聴衆に目を配ってもらうために、助手がいると非常に役に立つことが多い。場合によっては、スライドによるプレゼンテーションを丸ごと別の人に任せて、あなたが話をしている間にその人がスライドをコントロールするようにしてもよいだろう。

その人はフルスクリーンモードでスライドを操作しながら、あなたの口頭の指示に従ってスライドを進め、その間あなたはミーティングの参加者たちに目をやりつつ話を進めることができる。ある意味これは伝統的なスタイルと言えるだろう。大学の教室で講師が教壇の上を行きつ戻りつしながら話を進め、時折「次!」と声をかけるようなものだ。また、スライドを担当する助手との間で直接チャットのセッションを開いておいて、N とタイプするなど何らかの合図を決めておき、聴衆に合図が聞こえないように工夫することもできる。

複数個のデバイスでプレゼンテーション

一見したところ、複数個のデバイスを使ってプレゼンテーションをするなど馬鹿げている気がするかもしれない。けれども、これまで述べてきた点のいくつかでバランスを取ろうとする場合には、複数個のデバイスを使うことを私は強くお勧めしたい。つまり:

デバイスを複数個使うことで、十分なスクリーンの広さを確保でき、オペレーティングシステムあるいはフルスクリーンの制約を気にすることなしに、必要となるさまざまの要素を使いこなすことができる。とりわけ、参加者たちの Gallery 表示を使いたい場合にそれが言える。この表示は画面共有をしている間は使えないからだ。私はこのセットアップを何度も使ったことがあるが、複雑なことになる可能性はあっても、実際問題としては案外簡単にできる。

そのような状況の一つの例が、デスクトップコンピュータのシステムの隣にラップトップ機 1 台と iPad 1 台を並べて使うやり方だ。これら 3 台のデバイスすべてで Zoom に接続する。スライドをデスクトップ機に置き、スライドショーモードに切り替え、Zoom セッションでそのスライドを共有する。ラップトップ機では、Zoom を Gallery モードにして参加者たちを表示させる。iPad にはノートを表示させて手近な場所に置く。

Presenting on two computers while displaying notes on an iPad
1 つのデバイスでプレゼンテーション、2 つ目で Zoom を表示、3 つ目でノートを読む。

広い場所を使っていてそこにいくつか物理的な品物がある場合には、複数個のデバイスを使うことが大きな意味を持つ。書画カメラ、またはスマートフォンかウェブカメラを同等の位置に固定したものを使って、台に置いたものあるいは 3D オブジェクトを撮影すれば、プレゼンテーションの補助資料として素晴らしく役立つことだろう。Zoom では画面共有を使って別のビデオ映像を取り込めるので、参加者たちに何を見せるかについてより良いコントロールが可能となるし、表示したものにその場で手書きの注釈を付けることもできる。

Zoom は iPhone や iPad を USB 接続または AirPlay ストリーミングで共有することも可能だが、私の経験ではそれよりもむしろそのデバイスでモバイル Zoom アプリにログインしておいて、参加者たちにそちらに切り替えて見てもらうか、またはホストからのコントロールでそちらに切り替えるようにする方が具合が良いと思う。

補助的デバイスの使用は、あなたが動き回る必要があってそれぞれの新しい場所でカメラをセットアップしたくない場合には、どんな状況でも役に立つ。

Presenting from different angles
異なるデバイスを組み合わせることで、複数の物理的な場所で、あるいはいろいろなアングルから、プレゼンテーションを実行できる。

活版印刷をテーマにした仮想ワークショップに私は参加したことがあるが、その際に講師は 3 つの Zoom アプリを同時に動作させていた:

講師はずっとラップトップ機を持ち運んで常にマイク入力を確保し、ビデオ入力への切替のためにも使った。2 台のモバイルデバイスのオーディオは入出力ともミュートのままであった。(Zoom のモバイルアプリには一番上のところに小さなスピーカーアイコンがあって、これを使って出力をミュートできる。iPhone の音量を Control Center で下げてあったとしても、やはり Zoom アプリの中でスピーカーアイコンを使ってミュートしておくことが必要だ!)

自分の仕事部屋のセットアップのために、私は $25 以下で買えるモバイル・スイングアームを壁に設置した。ここに iPhone を取り付ければ 2D レーザーカッターをオーバーヘッド撮影でき、プロジェクトを実演してみせたり、またレーザーカッターの平らな面の上に発泡スチロール板を乗せて書類スタンドとして使ったりもしている。

iPhone document stand
レーザーカッターを書類スタンドとしても使う私の仕事部屋のセットアップ。iPhone の背面カメラを使っているのでスイングアームと iPhone を正確に位置取りできる。

Glenn の著書 Take Control of Zoom は 11 月にアップデートされ、Zoom の最近の変更点や改善点をすべて網羅している。彼が無料で出している Take Control of Zoom Essentials は Zoom をフラストレーションなく手軽に使い始め使いこなすためのコツに重点を置いており、こちらも 2020 年末にアップデートされた。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Carbon Copy Cloner 5.1.25

Carbon Copy Cloner 5.1.25

Bombich Software が Carbon Copy Cloner 5.1.25 (CCC) をリリースして、macOS 11 Big Sur または macOS 10.15 Catalina の保存先ボリュームをマウントし直した後に "On Reconnect" タスクが動作しなかった問題を修正した。また、このドライブクローン作成およびバックアップ用ユーティリティは今回、少数の VoiceOver 関係の調整を加え、Preferences ウィンドウの位置が定まらなかった問題を修正し、Big Sur ボリュームのクローンを現在の起動ディスクの APFS コンテナの中にある別ボリューム上に作成すると失敗することが多かったためその選択肢をなくし、アップデート通知ウィンドウの Dark Mode での見栄えを改善した。(新規購入 $39.99、無料アップデート、19.4 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Carbon Copy Cloner 5.1.25 の使用体験を話し合おう

BusyCal 3.12.3

BusyCal 3.12.3

BusyMac が BusyCal 3.11 をリリースして、Go To Date ウィンドウに自然言語入力 (例えば "three days" や "next month" のように入力できる機能) への対応を追加した。このカレンダーユーティリティはまた、Reminders への外部からの変更の探知を改良してより素早い同期を実現し、Zoom ミーティングで一部のアカウントについてアカウント設定から取り寄せた個人用ミーティング ID が使われなかった問題を解消し、ミーティングの主催者が受け取るミーティングアップデートが空白になっていたバグを修正した。(BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、Setapp Mac アプリ購読サービスからも利用可能、無料アップデート、31.9 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

BusyCal 3.12.3 の使用体験を話し合おう

Pixelmator Pro 2.0.5

Pixelmator Pro 2.0.5

The Pixelmator Team が Pixelmator Pro 2.0.5 をリリースした。この画像編集アプリに改良やバグ修正を加えた、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートでは Sharpen 調整の最大彩度を増やし、起動速度を 20% 程度向上させ、カラープロファイルの指定されていない PNG をより速く書き出せるようにし、長いシャッター速度時間が Color Adjustments ツールで正しく表示されなかったバグを修正し、ML Super Resolution が適用されている状態で書類を切り替えるとアプリが反応しなくなることがあった問題を解消し、Images Automator アクションの Increase Resolution が真っ白な画像を出力していた問題に対処している。(Pixelmator からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、無料アップデート、225 MB、リリースノート、macOS 10.14.4+)

Pixelmator Pro 2.0.5 の使用体験を話し合おう

Zoom 5.5.1

Zoom 5.5.1

Zoom が会社名と同名のビデオ会議アプリをバージョン 5.5 にアップデートして、ミーティングのホストが共有コンテンツとしてビデオファイルを再生できるようにするとともに、全ユーザーに対して背景をぼかすオプションを追加した。今回のリリースではまた、ウェビナー参加者の表示コントロールを View Options ボタンへ移し、macOS ユーザーがカメラのビデオフィードを 90 度回転できるようにし、ミーティングをスケジュールする際に特定の国や地域にいる参加者をブロックしたり許容したりできるようにし、同期されたサードパーティのサービス (Outlook、Exchange、Google) からの連絡先情報をサブフォルダに整理して表示できるようにした。そのリリースの後間もなく、Zoom はバージョン 5.5.1 を出してマイナーなバグをいくつか修正した。(無料、23.3 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Zoom 5.5.1 の使用体験を話し合おう

PopChar X 9.1

PopChar X 9.1

Ergonis Software が PopChar X 9.1 をリリースして、Fonts タブの新機能としてメインウィンドウの中でフォントを選択したりマークしたり、あるいはフォントリストをクリップボードにコピーしたりできるようにした。この文字発見およびフォント探査ユーティリティはまた、メニューバーアイコンから開いた際にシートウィンドウ (About や Preferences など) がメインウィンドウより先に開いてしまった見栄え上の問題を回避し、メニューバー上の P アイコンが Command-クリック後のクリックを無視してしまったバグを修正し、診断レポートを改良して P アイコンの位置に関する情報も表示するようにし、PopChar ウィンドウの下端にあるキーボードアイコンが macOS 11 Big Sur で上下逆に表示されていた問題を解消した。(新規購入 29.99 ユーロ、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、5.3 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)

PopChar X 9.1 の使用体験を話し合おう

Mailplane 4.3.1

Mailplane 4.3.1

Uncomplex が Mailplane 4.3.1 をリリースした。この Gmail 専用電子メールクライアントのメンテナンス・リリースで、新しい Google Calendar オフラインモードへの対応を追加したので、過去 4 週間以内、および無制限の未来のイベントを一覧できる (編集はできない) ようになった。今回のアップデートではまた、Save Clip > DEVONthink を改良してメッセージに加えて添付ファイルも読み込めるようにし、macOS 11 Big Sur でのチェックボックスの Dark Mode でのスタイルを調整し、パスワード入力機能を改良し、Command-Option-矢印キーでタブを左右に切り替えられるようにし、Mailplane コンテンツがスクリーンの解像度を変更した後にぼやけていたバグを修正した。(新規購入 $29.95、無料アップデート、78.2 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Mailplane 4.3.1 の使用体験を話し合おう

Gemini 2.8.2

Gemini 2.8.2

MacPaw が Gemini 2.8 をリリースして新しい Duplicates Monitor 機能を追加し、指定されたフォルダまたはディスクを監視してそこに重複ファイルが現われた際に通知するようにした。Mac の手動再スキャンを繰り返し強要される代わりに、Gemini がメニューバーから通知を出すので、即座に重複分を削除できる。このリリースの後間もなく、MacPaw は Gemini をバージョン 2.8.2 にアップデートして詳細不明のバグを修正した。(MacPaw からも Mac App Store からも新規購入 $19.95、Setapp からも利用可能、47.8 MB、macOS 10.10+)

Gemini 2.8.2 の使用体験を話し合おう

Homebrew 3.0

Homebrew 3.0

Homebrew がそのコマンドライン・パッケージマネージャのバージョン 3.0 をリリースした。以前に Josh Centers がいくつかの TidBITS 記事でこのツールを推薦したことがある。(例えば 2019 年 7 月 18 日の記事“macOS で YouTube ビデオをダウンロード”参照。) 今回のアップデートでは M1 ベースの Mac 上での /opt/homebrew インストールに公式に対応し、コマンド使用法のテキストを自動的に生成するようにし、新しい HOMEBREW_BOOTSNAP 環境変数を追加して Bootsnap gem の利用により brew コールの繰り返しを高速化できるようにし (ただし M1 ベースの Mac では使えない)、brew completionsの新しいコマンドを追加してサードパーティのタップにより提供される補完にオプトインできるようにし、brew update が毎回走ってしまうことがあったバグを修正した。(無料、リリースノート、macOS 10.14+)

Homebrew 3.0 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Jeff Bezos、Amazon の CEO を退任して取締役会長へ

従業員たちにあてた電子メールの中で、Amazon の創設者であり CEO の Jeff Bezos は Q3 2021 に CEO を退任して Executive Chair of the Amazon Board に就任すると発表した。Amazon Web Services (AWS) の責任者 Andy Jassy が後任として CEO となる。

この会社の創業間もない当時、私たちはシアトルに住んでいたので、インターネット経由で Amazon に注文をしても近所で買い物をするのと変わらないという冗談をよく言っていたものだ。それから 26 年間かけて、Bezos は Amazon をテクノロジー界の巨人に育て上げ、Apple、Facebook、Google、Microsoft と同等のものと見られる存在にした。Amazon を「真っ先に頼れる小売店」と呼ぶ人もいるが、そのことは COVID-19 への懸念のせいで店を訪れてショッピングすることの魅力が削がれている現在、ますます明確な意味を帯びつつある。でも事実を見れば、確かに Amazon は相当量の批判を浴びている (またその批判は当たっている) けれども、それと同時に Amazon は顧客のニーズに応えるために非常に良い仕事をしているとも言える。今や AWS はそれ自体がテクノロジーの巨大な力となってインターネット上の大きな部分を駆動し、Q4 2020 だけでも 36 億ドルの利益と 127 億ドルの収益をあげている。

一番の問題は、はたして Andy Jassy が Jeff Bezos が去った後にも Amazon をさらなる高みへと導くことができるかどうかだ。ちょうど、Tim Cook が Apple で取り組んだのと同じ状況だ。また、Bezos はどうするのだろうか? Bill Gates は Microsoft を去ってから Gates Foundationを創設し、これまで 21 年間にわたって 460 億ドル以上の寄贈とともに世界に向けて計り知れない奉仕をしてきた。Bezos もたくさんの仕事を抱えており、20 億ドルの Bezos Day 1 Fund は低収入のコミュニティーにおけるホームレス支援と幼稚園教育を中心とした慈善活動をし、100 億ドルの Bezos Earth Fund は気候変動と戦う科学者や活動家に資金を提供し、他にも航空宇宙企業 Blue Origin や新聞社 The Washington Post がある。もはや Amazon の CEO ではないかもしれないが、私たちは今後も Jeff Bezos のニュースをいろいろと聞くことになるだろう。

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出版社と共謀して電子ブック価格を操作したと Amazon を訴える集団訴訟

2013 年を思い出そう。当時、米国司法省と 33 の州が Apple と大手の出版社 5 社を相手の反トラスト訴訟に勝った。その当時の Apple ファンから多く聞こえていた不満の声は「じゃあ Amazon はどうなんだ」というものであった。これについては 2013 年 7 月 10 日の記事“Apple の電子ブック価格操作訴訟を解説”に詳しく記してあり、この訴訟が Amazon のことではなくて Apple のことであると指摘するとともに、Amazon が果たしている役割についても説明しつつ、このオンラインの書籍販売業者もまた独自に反トラスト訴訟に直面するかもしれないと述べた。

歴史は繰り返すというが、次は Amazon が苦境に立つ番かもしれない。2011 年にシアトルに本拠を置く法律事務所 Hagens Berman が Apple と大手の出版社 5 社に対する集団訴訟を起こし、結局それが司法省による電子ブック価格操作訴訟へと変貌した。Publishers Weekly の記事が、その Hagens Berman が今度は Amazon に対する集団訴訟を起こしたと伝えている。この訴訟は出版業界の Big Five、すなわち Hachette、HarperCollins、Macmillan、Penguin Random House、および Simon & Schuster を被告としてでなく“共謀者”として電子ブックの価格を恣意的に高く保とうとしたと訴える。この訴訟が今後もっと大きな反トラスト訴訟に変貌するか否かは全く分からないが、いわゆる Big Tech に関する今日の懸念を考えればそれも考えられないことではない。

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