もしもあなたが最近の機種の MacBook Pro または MacBook Air で Big Sur を走らせていて、かつセルフパワー(電源付き)の USB-C ハブまたはドックを使っているなら、必ず今週号の macOS 11.2.2 の記事をお読み頂きたい。このアップデートで、非準拠の USB-C からそれらの Mac を保護する対策が施されているからだ。自宅で種から苗を育ててみたいとお思いの方のために、Josh Centers がスマート電源と簡単な HomeKit オートメーションを使って家庭菜園の第一歩を踏み出すヒントをお届けする。それから、Big Sur でのブート可能な複製を巡る問題点に直面しつつ、バックアップについて長年取り組んできた Adam Engst が、Mac のブート可能なバックアップを作ることはバックアップ戦術の重要な一部分であるという彼の従来の助言を見直す。ブート可能な複製の作成を Apple がますます困難なものにしつつある現在、しかもクラウドコンピューティングと複数デバイスの使用が一般的になりつつある今の状況の下で、はたしてブート可能な複製は以前ほどの必要性を持つのだろうか? 今週注目すべき Mac アプリのリリースは、CleanMyMac X 4.8、Fantastical 3.3.5、Little Snitch 5.1.1、Firefox 86、Downcast 2.9.61、それに GraphicConverter 11.4 だ。
これは尋常ではないアップデートである。Apple は macOS 11.2.2 Big Sur をリリースし、このアップデートは 2019 年及びそれ以降の MacBook Pro モデルと 2020 年及びそれ以降の MacBook Air モデルが "ある種のサードパーティの、非適合な、電源付きの USB-C ハブ及びドック" から損傷を受けるのを防ぐと言っている。Apple は他の変更点については、セキュリティ修正すらも、何も言及していない。2.17 GB のダウンロードである。
Apple は、修理プログラムについても何も言っておらず、被った如何なる損傷も同社の非ではないと感じている事を暗示している。もっとも、殆どの動かなくなった Mac は、製品保証か AppleCare の元で交換されているように見える。
Apple はまた、如何なる名前も挙げていないので、どの USB-C ハブ又はドックが危険性を持つのか知る由もない。一般的な忠告は、電源を持つアクセサリは良く知られた評判の良いメーカーのものに限ることである。勿論、それらの会社が適合する周辺機器を製造していると言う保証は何もないが、少なくとも、彼らの機器が適合しているかどうかは聞きやすいと思われる。
一方で、Reddit のスレッドでは特定の機器との間で問題に遭遇した人々からの報告を集めており、そこには Dodocool, HyperDrive, Satechi, そして ZMUIPNG からのものが含まれている。もし現在 USB-C ハブかドックを買おうとしているのであれば、まずは電源付きのものは避けるのが最も安全だと思われる。
我々の初期の見解は、Apple の技術者はこの問題を理解するのに十分なだけの損傷を受けた Mac を見ており - 恐らく過剰な或いは不安定な電力 - Mac が電源付きハブやドックとやり取りする方法を調整することでこの問題を防げる事を見いだしたのであろうということである。その結果が macOS 11.2.2 である。
もし Big Sur を最近の MacBook Pro や MacBook Air 上で走らせていて、電源付きの USB-C ハブやドックを持っているのでれば、直ちにそれを取り外し、そして再度それを使う前に、このアップデートをインストールすることを我々はお薦めする。もし、その様なハブやドックは持っていないか、或いは異なった種類の Mac を使用しているのであれば、このアップデートをインストールする理由は何もないように見受けられる。macOS 11.3 がもうすぐやってくるはずである。
もっと心配なのは、MacBook Pro や MacBook Air で以前のバージョンの macOS を走らせており、そして電源付きの USB-C ハブやドックを使っている場合である。恐らく、Apple はこの問題に対処するために 10.15 Catalina や 10.14 Mojave に対して追加アップデートをリリースするであろう。もしそうならなければ、この問題が Big Sur だけの問題なのか、或いは Apple はこれらの古いオペレーティングシステムに対するコードベースには手を付けないと決めたのかを知る機会は失われてしまうであろう。何れにしても、電源付きの USB-C ハブやドックを最近の MacBook Pro や MacBook Air と共に使っているのであれば、それは取り外し、そして製造元に連絡してそれはこの問題を引き起こす原因となり得るかを調べる事を我々はお薦めする。
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私が Take Control of Apple Home Automation を紹介する時は何時も、ホームオートメーションを始める最善の方法は簡単なスマートコンセントから始めることだとお伝えしている。私はこれ迄 Eve Energy と Wemo Mini を使って来ており、Adam Engst は Meross Smart Wi-Fi Plug Mini のファンである ("HomeKit で豊かなホリデーを (Home トラブルシューティングのヒント付き)" 15 January 2021 参照)。それらは安価であり、そして殆どどんなことにも使える。最近、私は Eve Energy を私の園芸を改善するのに使った。
私の園芸技術は、良く言ってもそこそこであるが、毎年少しずつ改善している。自分で認めたくはない程失敗した後で、2020 年にピーマンとトマトを屋内で苗にし、春に屋外に移植、そして夏中収穫を楽しむことに成功した。今年、私はほんの少々経験を積み増して、園芸シーズンに向かおうとしている。
苗にするには、幾つか気をつけなければならないことがある。一つは、必要十分な光が得られないことである。昨年私は、苗を一晩中明かりをつけた浴室に置いて数本はどうにか助けることが出来たが、ひょろひょろのものが沢山残った。苗木は、光が十分に無いとひょろひょろと伸びてしまい、屋外に移植すると損傷を受けやすくなり、そして、たとえ生き残ったとしても、強い植物へと生長するのが難しくなる、
今年、私はもう少し賢くやろうと思っている。私は古いひよこ保温電灯を引っ張り出し、それに明るいが効率の良い LED 電球を付け、そしてそれを育苗箱の数インチ上の棚に取り付けた。LED 電球の良い所は、植物に熱を与えすぎること無く近くに置けることである。
苗が必要とするもう一つのものは休息である。殆どの園芸家は一日に 16 時間が丁度良い量だと言っている。しかし、私が朝にグローライトを点けて、夜に消すのを毎日忘れないという保証は何もない。幸いなことに、使っていない Eve Energy スマートコンセントが一つ引き出しの中にあったので、私はグローライトを自動化することにした。
安いタイマーでも良いのでは? 確かにそうだが、我が家には余分の Eve Energy が一つ転がっていたし、それにスマートコンセントは最近ではとても安くなっていて (Meross モデルは、安いものでは $10 で買える)、その柔軟性は比べものにならない。HomeKit オートメーションは一日の中の時間だけではない多くのトリガーを可能にするし、種から芽を出させるのを終了したら、Eve Energy を他のことのために使える、ここ Tennessee で暑くなったら除湿機を自動的にオンにすることの様なことに ("大草原の HomeKit のお伴: Elgato の Eve Room" 19 June 2017 参照)。
この Eve Energy を HomeKit に追加した後、私は2つの自動化を設定した。最初は 7 AM にライトをオンにすることで、二つ目はそれを 10 PM にオフにすることである。
時間による自動化を Home アプリで設定する手順は以下の通りである:
- Automation タブをタップ。
- プラス + アイコンをタップ。
- A Time of Day Occurs をタップ。
- もし選択されていなければ Time of Day をタップ。
- 望みの時間を入力。デフォルトは現在時間。
- 自動化がトリガーする日を選ぶ。私は毎日を選んだ。
- Next をタップ。
- シーン又はトリガーしたいアクセサリを選ぶ。
- Next をタップ。
最後の画面で、自分のオートメーションを確認し、何をするかをテストして確かめられる。
これで私のグローライトは朝には点いて、夜には自動的に消される。簡単ではあるが、効率的である! 私の苗は幸せで、水をやる以外の手間は必要としない。
これをやってみて、水やりも自動化出来るのではと思った。実際に、やる手段はある:Eve Aqua 水コントローラーである! 事実、小さいながら、ēdn SmallGarden を使えば、園芸そのものを HomeKit をタップすることでやれる。
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そろそろ macOS 11 Big Sur にアップグレードすべき時だろうか? この問題については近いうちに記事を書きたいと思っている。けれども、アップグレードをお勧めすることを私たちに躊躇させている全般的な懸念が一つある。それが、起動ボリュームのブート可能な複製 (クローンと呼ばれることもある) の作成の複雑さだ。一見単純に見えるこの作業、つまり一つのドライブにあるすべてのデータを読んでそれを別のドライブに書き込むというだけのことが、いったいなぜそんなに困難を伴うのかを理解するため、まずは少し背景を説明する必要がある。それをしてから、現代的なバックアップ戦略の中におけるブート可能な複製の役割について見直してみたい。
なぜブート可能な複製を作るのが困難になったのか
10.15 Catalina で、Apple は APFS ボリュームグループを導入した。これは、別々のボリュームをまとめて、それをもって起動可能な一つの macOS を作るためのものだ。System ボリュームが macOS が動作するために必要なすべてのファイルを保持し、Data ボリュームはあなたのデータをすべて含む。2 個のボリュームは Finder の中でも、またファイルを選択したりナビゲートしたりする他のどの場所でも、一つのものとして見える。またこの System は読み出し専用なので悪意あるソフトウェアがオペレーティングシステムに変更を加えることができず、その一方であなたのファイルを含む Data ボリュームの方は読み/書きが可能なので、アプリをインストールしたり書類を作成したり編集したりができる。
アーキテクチャ上のこのような変更により、ブート可能な複製を作成するバックアップアプリは大変な苦労をする羽目に追い込まれた。なぜなら、単に読んで書き込むだけの仕事ではなくなってしまったからだ。ブート可能な複製は、まず System と Data という 2 つのボリュームを持たなければならず、しかもそれらを正しく組み合わせて一つの APFS ボリュームグループにしなければならない。時間はかかったけれども、主要なアプリたちはいずれも、そのやり方を見つけ出した。記事“Carbon Copy Cloner 5.1.10”(2019 年 8 月 26 日)、“ChronoSync 4.9.5 と ChronoAgent 1.9.3”(2019 年 10 月 11 日)、それに“SuperDuper 3.3”(2019 年 11 月 30 日) をご覧頂きたい。
しかしながら Big Sur において Apple はさらにもう一歩を進めて、システムのコンテンツを保存する際に強力な暗号化の保護を追加した。その保存先は Signed System Volume と呼ばれる。(実際、Big Sur は Mac を起動する際にこの System ボリュームから直接ファイルを読み込むことすらしない。まず、変更不可能な APFS スナップショット、つまり特定の時刻におけるそのボリュームの参照内容を取り込んだもの、を作成するという追加の手順を挟み込んで、その後でそのスナップショットから起動する。こうして、Big Sur は実際には、暗号学的に署名された読み出し専用ボリュームの、暗号学的に署名された変更不可能な参照内容から起動するのだ。)
この変更によって安全性はさらに高まるが、そのことは同時に、どんなバックアップアプリもブート可能な複製を作れないことを意味する。なぜなら、バックアップした System ボリュームに署名を入れることが彼らにはできないからだ。理論的には Apple の asr
(Apple Software Restore) ツールがこれを可能にするはずだが、Big Sur がリリースされる直前までそれは全く動かず、まだまだ問題を含んでおり、今になってさえ M1 ベース Mac のブート可能な複製を作ることができないでいる。良い面を言えば Apple は asr
を修正する予定だと述べてはいるものの、それがいつになるのか、どの程度うまく働くかについては誰にも分からない。
ブート可能な複製を作成する主要な 3 つのアプリたちはいずれも、それぞれに回避策を思い付いた。Carbon Copy Cloner は、先にデータのみのバックアップを作成してからその後で Big Sur をインストールすることを推奨する。他方、ChronoSync はまず空のドライブに Big Sur をインストールしてからその後にそれを使ってデータのみのバックアップを作成するように勧める。現在のバージョンの SuperDuper は Big Sur で他の種類の問題を抱えているので、SuperDuper としての回避策を実行するにはまず SuperDuper 3.2.5 にダウングレードして、それを使ってデータのみのバックアップを作成し、それから (もしそこからブートする必要があれば) その上に Big Sur をインストールすることになる。残念ながらいったんその方法を選べば、もはやそのバックアップに何かをコピーしようとすると System ボリュームを削除する以外になく、現実的には SuperDuper 3.2.5 のデータのみバックアップで我慢するしかない。
ここに M1 ベース Mac が加わると事態はさらに混乱の度を増す。現時点では、Howard Oakley の報告によればネイティブな Thunderbolt 3 ドライブにのみブート可能な複製を作成できる。USB では信頼性を持ってその目的に使うことができない。また、そうやって作ったブート可能ドライブで Intel ベース Mac を起動することは、たとえ別途に APFS コンテナをセットアップしたとしても不可能だ。その反対もやはり成立していて、Intel ベース Mac を起動できる外付けドライブは、必ずしも M1 ベース Mac を起動できるとは限らない。だから、たとえブート可能なドライブをうまく作れたとしても、使っている Mac のすべてが同じ種類のチップを使っているのでなければ役に立たない。
そもそもブート可能な複製は必要か?
時として、世界がシフトして過去のやり方がうまく行かなくなった場合には、そもそもの原則を再検討してみる価値があることもある。私たちがバックアップ戦略の一部としてブート可能な複製を推奨してきたのはなぜだったのかと思い返すと、そこには 3 つの理由があった:
- 素早い復帰: ブート可能な最新の複製を持っているべき最も大きな理由は、たとえ内蔵ドライブが故障しても、可能な限り最も素早く仕事に復帰できるからだ。単純にその Mac を Option キーを押しながら起動して、ブート可能な複製を選択するだけで、仕事を続けることができる。もしもその Mac が完全に死んでしまったとしても、手持ちの別の Mac または借り物の Mac、あるいはいったん購入して 14 日以内に返品する代替用の Mac でそのクローンを使うことができる。.
- 補助的バックアップ: 良いバックアップ戦略には複数個のバックアップ先が用意されていて、できるならば複数通りの異なるソフトウェアを使って作成したバックアップであることが望ましい。例えば Time Machine を主たるバックアップと考えるならば、別のアプリを使ってブート可能な複製を別のドライブの上に作っておけば、Time Machine でプログラミング上のエラーが起こる事態からも、またドライブが物理的あるいは論理的に壊れる事態からも、保護される。卵を全部 (またはバックアップを全部) 同じバスケットに入れておいてはいけないということだ。.
- 移行の速さ: これについてはデータで示すことはできないが、もしも私が Apple の Setup Assistant か Migration Assistant を使って新しいドライブか新しい Mac へ移行しなければならないとしたら、私なら Time Machine よりもブート可能な複製の方を使いたいと思う。Time Machine を使うと、すべてのファイルについてどれが最新バージョンなのかをいちいち判定して作業する必要があるが、ブート可能な複製ならばすべてのファイルについてそれぞれ一つずつのクローンが決まっているからだ。
よく考えてみれば、今挙げた 3 つの理由のうち複製がブート可能であることを必要とするのは最初の理由のみだ。残りの 2 つの理由については、別のソフトウェアを使ってデータのみのバックアップを別のドライブに作っておいても何の問題もない。
前回私自身がブート可能な複製から起動する必要に直面した事態は、もう最悪だった。(2020 年 4 月 27 日の記事“iMac の死んだ SSD に対処しつつ学んだ 6 つの教訓”参照。) 私は 2014 年型 27 インチ iMac に USB 3.0 で接続した 5400 rpm のハードドライブにバックアップしていたのだが、それを起動ドライブとして使う作業は「信じられないほど苦痛」であった。それ以来、私はブート可能な複製を Samsung T5 外付け SSD に作るようにした。その方が桁違いにパフォーマンスが良いからだ。
ここでの問題はパフォーマンスだけではない。内蔵の SSD が死んだので、私は問題のトラブルシューティングのために長い時間を費やし、その後になってからブート可能な複製がものの役に立たないことを知るに至った。これはきっとよくあることだろうと思う。内蔵ドライブが死んだのかどうかはすぐには分からないことで、ブート可能な複製に依存し始める前に何とか修正しようといろいろ試みるのが普通だろう。素早い復帰だって? とんでもない。自分が結局トラブルシューティングに費やしてしまった時間があったなら、最初から内蔵 SSD を再フォーマットしてバックアップからリストアしていた方がずっと早かっただろう。実際、私はその道も歩み始めたし、その結果再フォーマットも必要でなかったと知って、さらなる時間の無駄であったことが分かった。
結局のところ、私は別のデバイスに乗り換えることで日々の仕事に戻った。私の 2012 年型 MacBook Air と、10.5 インチ iPad Pro、それに iPhone 11 Pro だ。今や私の仕事の大部分はクラウド上にあって、電子メール、Slack、Google Docs、WordPress などを使っているので、高速であるしモニタ 2 台を備えている iMac でするほどの生産性は出せなかったけれども、何とか仕事に支障を出さずに済んだ。その後私は 2012 年型 MacBook Air を M1 ベース MacBook Air に取り替えたが、これがストレージ容量も大きくパフォーマンスも大幅に進化したものなので、今ならばこれを予備の Mac として使っても問題点はさらに少なくなるだろうと思う。
こういったことすべての結果として、ブート可能な複製の「ブート可能」という側面は、多くの人たちにとってもはやかつてほどには重要でなくなったのではないかと思われる。包括的なバックアップ戦略にはブート可能な複製を含めるべきだというアドバイスを私が言い始めた頃とは、状況が変わった。今では、日々の仕事を続けるために複数個のデバイスを取り揃えている状況の方がむしろ一般的になっているし、日々の仕事のより多くの部分がクラウドあるいは遠隔のサーバの上で実行されるようになっているからだ。
現代的なバックアップ戦略の構成要素
そこで、今日のテクノロジーの世界の現実に照らし合わせて、包括的なバックアップ戦略に何を含めるべきかという私の考え方を、ここで新たに再検討させて頂きたい。重要度の順番に列挙して行こう:
- バージョン管理されたバックアップ: すべての人が、Time Machine の作成したバージョン管理付きバックアップを持っているべきだ。バージョン管理付きバックアップは、データが壊れた場合に、あるいはユーザーの不注意な誤りから、過去のバージョンのファイル、あるいは削除する前のフォルダ内容を復元させることができるので、不可欠なものだ。他のバックアップアプリ、例えば ChronoSync や Retrospect もバージョン管理されたバックアップを作成することができるけれども、Time Machine のバックアップは Apple がそれを macOS の移行にも統合させているのでとりわけ役に立つ。Time Machine が完璧だなどと言うつもりはさらさらないけれども、これは macOS の一部分であり、macOS に施される技術的ならびにセキュリティ上の変更に対しても内部的なアクセスができており、全般的に満足できるレベルで動作する。
- インターネット上またはオフサイトのバックアップ: もしもあなたの機器が全部ごっそりと盗まれたり、火災や洪水で被害を受けたりすれば、ローカルなバックアップはもはや何の役にも立たない。歴史的には、持ち回りで複数個のオフサイトバックアップを維持する方法が勧められてきたけれども、今の世界においては例えば Backblaze のようなインターネット・バックアップサービスの方がずっと手軽だ。
- バックアップ用の Mac またはその他のデバイス: Mac を Apple 以外の者がを修理することが非常に難しくなっている現在、何日も続く中断期間が受け入れ難いのならば、もしも Mac が故障したならばどのデバイスを使って仕事を続けられるか、どうやって自分のデータをそのデバイスに持ち込むかを考えておくべきだろう。それは、主に旅行先で使っているラップトップ機でもよいし、昔使っていたデスクトップ Mac でもよいし、さらには iPad でもよいだろう。ただ、必要になる時に備えてそのバックアップ用デバイスをテスト運転しておくのを忘れないようにしよう。
- 重要なデータへのクラウドベースのアクセス: これは必須ではない。データをクラウドに保存することができない、あるいはそんなことはしたくないという人たちは大勢いる。けれども多くの人たちにとって、それは自分の重要なデータにどのデバイスからでも、どんな場所からもアクセスできる手軽な方法となり得る。例えば、月額 $9.99 で 2 TB の iCloud Drive ストレージが使えて、Apple の Desktop & Documents Folders 同期機能を使えばとりわけ簡単に別の Mac を使って仕事に戻れる。Dropbox、Google One、あるいはMicrosoft OneDrive でも、同じくらいの費用を払って 2 TB のストレージが得られる。
- 毎晩作る複製 (データのみでもブート可能でも): たとえ複製をブート可能にすることが簡単にはできなくても、それでも複製はバックアップ戦略の中で価値ある一部分だ。これは、Time Machine がバグで働かなくなった場合にも動く別のソフトウェアで働くことによって、別のドライブにバックアップを置くことによって、またデータの復元のために Finder 以外に何ら特別なソフトウェアを必要としないことによって、多様性を増すことができる。そしてもちろん、予備の Mac を使わなければならない場合にも、ファイルで仕事を続けるには複製が必要かもしれない。
ここに挙げた 5 つのそれぞれにあなたなりの答を確保することで、最大限の保護と最速の復元が提供されるだろう。でも、多くの人たちにとって、5 つ全部を揃えるのはやり過ぎかもしれない。
私の意見を述べれば、すべての Mac ユーザーが Time Machine バックアップを作っておくべきで、そこに何らかの方法でインターネット上のバックアップまたはクラウドベースのデータストレージを組み合わせることもお勧めしたい。もしもあなたの家が焼け落ちてしまっても、写真のコレクションがすべて失われる訳ではないと知っていれば安心できるのではないだろうか。iCloud Photos は Backblaze のようなフル機能のバックアップではないが、両者のどちらかを使ってさえいれば、万一の場合にもあなたのかけがえのない写真やビデオは生き残れる。
厳しい締め切りに間に合うかどうかが生計を左右するという人ならば、即座に使える比較的パワフルなバックアップ用 Mac を持っている必要があるかもしれない。けれども多くの人たちにとっては古い Mac とかパワーの劣るラップトップ機でも十分だろう。仕事のために Mac が必須ではないという人なら iPhone か iPad だけでも、駄目になった Mac を修理したり交換したりするまでの間のコミュニケーションの必要を満たす当座の代用品として使えるだろう。また、新しい Mac を Apple から買って 14 日以内に返品することができるのも覚えておくべきだ。これは、修理を待つ間も仕事を続けるための手段として Apple Store の従業員がよく勧める方法だ。
それからまた、大量のデータをクラウド上に置いている人、あるいは自分のデータにそれほど大きな価値はないと思っている人ならば、Time Machine を唯一のバックアップ手段としておくリスクも受け入れられるかもしれない。
そうは言っても、私自身は複製を毎晩作成するやり方を今後も続けようと思っている。こうしておけばトラブルシューティングと復元のために大いに役立つからだ。でも私は、もう以前ほどにはブート可能な複製の必要度を強調することができない。
皆さんはどう思われるだろうか。内蔵ドライブが故障して素早く仕事に戻らなければならなくなった際にブート可能な複製が役に立ったという状況を、皆さんはどの程度体験しておられるだろうか? Big Sur でのブート可能な複製について心を悩ませておられるだろうか? ご自分の Mac が全く機能しなくなった場合、皆さんならどう対処されるだろうか?
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