Apple が iOS 14.4.1、iPadOS 14.4.1、macOS 11.2.3 Big Sur、watchOS 7.3.2 をリリースして、懸念すべき WebKit の脆弱性に対処した。週末の間に、Apple はひっそりと iMac Pro を生産終了とし、在庫を売り切ろうとしている。これは何らかの形で復活を果たすのか、それともこれは単に Apple が Mac Pro をデザインし直す間の当座しのぎに過ぎなかったのだろうか? Mac の Mail アプリで電子メールメッセージを読んでいてスクロールに不具合が起こった人のために、Adam Engst が考えられる理由の一つを説明する。Dustin Curtis の Apple ID がロックされてしまったミステリーが Apple コミュニティーで話題になっているが、実際に何が起こったのかを私たちなりに推測してみる。それからもう一つ、以前 MacBook にあった MagSafe は良かったとお思いの方のために、Adam が磁気接続の USB-C 充電アダプタを試してみて比較する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは iMovie 10.2.3、BusyCal 3.12.4、Audio Hijack 3.8.4 と Piezo 1.7.3、Final Cut Pro 10.5.2、Compressor 4.5.2、Motion 5.5.1、DEVONthink 3.6.3、Transmit 5.7.2、Zoom 5.5.5、それに Safari 14.0.3 だ。
iMac Pro には逆風として働くものが数点あった。最低でも $4999 という高額な値札と共に、iMac Pro は、プロのユーザーには鍵となる拡張性と修理性の欠如に悩まされていた。Apple のそれに対するサポートも貧弱であった。Linus Sebastian の従業員の一人が iMac Pro を壊した時、Apple はその修理を拒んだ。Linus は仕方なく独立の修理屋である Louis Rossman を雇ってその修理を手伝って貰った。
しかしながら、Apple の M1 プロセッサのリリースが iMac Pro に対する真の弔いの鐘となった。この M1 は Intel プロセッサに対して性能で圧倒的な飛躍をもたらし、単一コアベンチマークでは基本モデルの MacBook Pro ですらこの Mac Pro を打ち負かし、マルチコアテストでは価格で大差をつけている。そして、このチップは Apple がその低価格 Mac 用に電力効率を改善するために手を加えたものであり、最大の性能を求めて設計したものではない。
我々は、来年中には Apple がプロレベルのデスクトップ Mac 用に M1 よりも遙かに高速な後継者をリリースし始めると予測している。Apple シリコンを搭載した iMac Pro と言うのも考えられない訳ではないが、これ迄の Apple の熱意の無さを考えると、同社は iMac と Mac Pro により焦点を当てるだろうと思われる。
ここが難しいところだ。Mailchimp によれば HTML5 の埋め込みメディアタグをサポートしているメジャーな電子メールクライアントは Mail のみであるとのことだが、どうやらその Mail は IFRAME コンテンツを (少なくとも私たちが作った Google Form を含んだ IFRAME を) 正しく扱うことができず、円満にエラーを出すこともできず、結果としてただスクロールを止めてしまうらしい。そのことはバグであって、私は Apple に報告しておいた。ただ、今のこの時代に、電子メールの中に誤って IFRAME を含める人がどれだけ少ないかを考えれば、Apple が大して注意を向けてくれるとも思いにくい。
それでもなお、もしもあなたが Mail の中でメッセージがスクロールできないと気付いたなら、その原因はメッセージのソースに含まれた埋め込み IFRAME かもしれない。回避策としてはそのメッセージに返信して引用されたテキストを読めばよいし、そのメッセージの送信者にこの記事へのリンクを添えて問題を知らせてあげれば、あなたにテクノロジー上の箔が付くことだろう。
最近、Apple の世界では、デザイナー Dustin Curtis と彼のロックされてしまった Apple ID について多くの論議があった。それは長いそして屈曲した話だが、我々のように Apple エコシステムに多額の投資をしてきた者達にとっては他人事ではないものである。手短に言えば、Dustin の Apple ID がロックされたままになってしまい、アプリをダウンロードしたりアップデートしたり出来なくなり、更に Apple Music すらも使えなくなってしまった。彼の iCloud カレンダーは同期しなくなり、そして Handoff すら働くなってしまった。しかしながら、iMessage と Photos は働き続けた。
1月のどこかで: Dustin の Apple Card アカウントに紐付けられていた銀行の口座番号が変更され、オートペイが働かなくなる原因となった。
1月中旬: Dustin は M1-based MacBook Pro を彼の Apple Card を使って購入した。Apple は古い MacBook Pro に対して下取り返金を提供し、Dustin は下取りキットを受け取るので、2週間以内に送り返すよう言われた。
その下取りキットが到着することは無かった。
Apple はどうやらその Apple Card に課金しようとしたらしい。
2月中旬: Apple は Dustin にメールを送り、下取りについて尋ねた。Dustin はそのキットを受け取っていないと返事をしたが、それに対する Apple からの返信は無かった。
2月15日: Apple はもう一つメールを送り、新しい iPhone (これは間違いで、恐らく自動生成のメッセージだったのであろう) に対する支払い全額を回収出来てなかったこと、そして Dustin が Goldman Sachs にいる Apple Card 担当とこの件を解決するまで彼の iTunes と Mac App Store アカウントは停止されると伝えた。Dustin はこのメールを最初見落としてしまい、Apple が彼のアカウントをロックした後の検索でようやく見つけ出した。
2月下旬: Dustin は彼のアカウントがロックされていることを発見した。彼は直ちに Apple Support に電話したが、彼らはその件に関しては何も出来ないから上に上げるので、出来ればそちらから一日以内に電話をさせると言われた。
二日後、Dustin は再び Apple Support に電話した。その係員は Apple Card に関して何かを言ったが、Apple ID は別な部署であったため何の助けも出来なかった。その係員は担当部署にメールを送った - どうも彼らと連絡を取れる唯一の方法がメールだったらしい。
Dustin は、彼が以前見逃したメールを見つけ出し、そして彼の Apple Card 情報を正しいものにした。しかしながら、彼がそのメールに返信しようとしたら、自動化された "Address not found" のエラーが返ってきた。
Dustin は Apple Business Chat を使って Goldman Sachs サポートに接触した。その係員は Apple ID サポート部門にメールすると言った。
Apple ID サポート係員が Dustin に電話をかけてきて、彼のアカウントは 3-5 日で復旧されると伝えた。その通りになり、全ては通常に戻った。
9to5Mac に対する文書の中で、Apple はこの問題が Apple Card と関係していることを否定した:
我々は、この顧客が経験した如何なる混乱や不都合に対しても陳謝する。この件に関する問題は、App Store や iTunes 購入と iCloud を含めた定期購読サービスを停止させた当該顧客の Apple ID に関わっている。Apple は新しい MacBook Pro の購入に対する手続きを直ちに進めており、顧客には今手元にある機器を我々に返却するようお願いした。支払い方法に拘わらず、Apple が資金を回収出来なかった場合、それに紐付けられた Apple ID の効力は停止される。これは Apple Card とは全く無関係である。
私が言えることは、これは実際に Apple Card 固有の問題である。通常のクレジットカードであれば、Apple は下取り品が届かない万が一に備えてその代金を事前承認しているであろう。そして、そのカードに紐付いた銀行口座がたとえ変わったとしても、それは Apple の関わり知ることではない。Apple は追加の請求を付け加え、それはそのカードアカウントに行き、そしてそのカード発行者は Apple に支払いをする。その結果、Apple の観点からすれば、負債は存在しない。
誤解を恐れずに言うと、私は Apple が Dustin のアカウントを停止したことについては余り心配していないが、この問題に対処するのに掛かった時間に対してはとても心配している。もし Apple の顧客サポートへの電話で、この問題の本質が何処にあるのかその場ではっきりしていれば、二三回のクリックでこの問題は解決していたはずである。どう見ても、左手は右手が何をしているのか分かっていなかった様に見える。
我々に対しても、Dustin の話は、一つの会社と余りの多くの仕事をする危険性に目を向けさせてくれる。ハードウェアを Apple から買い、ソフトウェア購入は App Store を通して行い、そして Apple クラウドサービスの定期購読に依存し、それら全てに対する支払いを Apple クレジットカードで行うのは、巨大な便利さと引き換えにある程度のリスクに身をさらしていることでもある。それは必ずしも悪い戦略ではないが、19 世紀の実業家であり慈善家でもあった Andrew Carnegie は言っている、"全部の卵を一つの籠に入れ、そしてその籠を見守れ" と。
電源とコミュニケーションの両方をジャック 1 つでこなしたいと Apple が望んだ時点が、MagSafe の終わりの始まりであった。USB-C はスリムで向きを問わず、全体的にうまくデザインされたコネクタでその望みの機能を提供する。ただ一つの問題は、USB-C が磁力を持たないという点だ。
幸いにも、Bloomberg の Mark Gurman が記事に書いた噂によれば、Apple は Apple silicon に基づく次期ハイエンドモデルをリリースする際に MacBook Pro シリーズには MagSafe 風の充電ドックを計画しているのだという。でも、たとえそうだとしても、現行モデルの M1 ベースの MacBook Air や MacBook Pro を持っている私たちにとっては何も嬉しくない。
磁気接続充電ナビン登場
快適な充電という目的のみのために新しい MacBook Pro を買う気にはならない私のような人たちのための解決策が、実は存在する。TidBITS Talk での議論の中で Marc Zeedar がある製品を推薦し、そのお陰で私はこの製品カテゴリーに目を向けることができた。
実際に使ってみると、磁気接続ナビンは私が説明した通りにとてもシンプルだ。私の M1 ベース MacBook Air の USB-C ポートの片方にナビンを差し込んでおいて、L字型の磁気接続コネクタを USB-C 充電ケーブルに取り付ける。コネクタをナビンにくっ付ければ、充電接続ができる。小さな青色の LED の光が正しく接続できていることを示し、MacBook Air は幸せそうにゴーンという音をたてて充電が始まったと告げる。電源からの取り外しも、かつての MagSafe と同じくらいに簡単で、ただ電源コネクタを手で押さえながら MacBook Air を持ち上げるだけでよい。実際に私が使っているところをビデオ映像にしたのでどうぞご覧頂きたい。
ナビン (Nubbin) のあら探し (Niggles)
正直に言えば、磁気接続ナビンの使用感は Apple の MagSafe ほどに良いものではない。磁力が十分に強くないのか、それとも磁気接続ナビンの“出べそ”風のデザインの結果として接続を外す方向に力がかかりやすいのか、どちらかだろう。かつての MagSafe は“引っ込んだへそ”であったので、その分接続がしっかりしていた。それからもう一つの問題は、標準の Apple USB-C 充電ケーブルが、かつての MagSafe 充電ケーブルに比べて太くて柔軟性がない点だ。そのため、磁気接続コネクタを正しい向きでナビンにくっ付けるのが少々難しいことがあるし、動かしただけで外れてしまう可能性も高い。
最後にもう一言、L字型のアダプタの片側にしか LED が付いていないのは困るという意見も聞いたことがある。LED が下を向いた状態では、接続しているかどうかが見て取れないからだ。その論点は分かるけれども、私に言わせればこれはバグというよりむしろ仕様だと見るべきではないか。なぜなら、例えば旅行中のホテルの部屋の中など、時として私は明る過ぎる LED を注意深く靴下で覆ったりしていることもあるからだ。
Apple が Final Cut Pro 10.5、Compressor 4.5、Motion 5.5 をリリースして、これらのプロフェッショナル向けビデオ編集アプリに少数の改良とバグ修正を施した。Final Cut Pro は M1 ベースと Intel ベース双方の Mac でネイティブな RED RAW デコーディングと再生を可能にする新しい Universal RED プラグインへの対応を追加し、また M1 ベース Mac で壊れた H.264 ビデオファイルを再生したり AirPlay を使ったりする際の安定性を改善した。さらに、インスペクタの値フィールドをダブルクリックするとテキストが消えてしまったバグを修正し、ライブラリ内に保存されたカスタマイズ済み Motion タイトルが Titles ブラウザに表示されなかった問題を解消している。
聴覚の健康は大きな問題だ。World Health Organization (WHO, 世界保健機関) は 2050 年までに世界中で 7 億人以上の人々が深刻な聴覚障害を持つだろうと予測している。Apple と Michigan 大学も、WHO の Make Listening Safe イニシアチブとの間でデータを共有している。
Apple はそのユーザーの多くが聴覚障害のリスクに直面しているという調査結果を得た。参加者の 25% が1日当たりの環境音曝露で WHO の推奨基準を超えていた。参加者のおよそ 10% が1週間の平均ヘッドフォン曝露で WHO の推奨基準を超えた。20% が何らかの聴覚障害を抱え、10% が騒音曝露が原因と思われる聴覚障害で、参加者の 25% が週に数回以上耳鳴りを経験していると回答したが、それは聴力が損なわれる前兆かもしれない。