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#1553: Apple のセキュリティアップデート、iMac Pro が生産終了、Mail のバグでスクロールが止まる、ロックされた Apple ID、磁気接続の USB-C 充電アダプタ

Apple が iOS 14.4.1、iPadOS 14.4.1、macOS 11.2.3 Big Sur、watchOS 7.3.2 をリリースして、懸念すべき WebKit の脆弱性に対処した。週末の間に、Apple はひっそりと iMac Pro を生産終了とし、在庫を売り切ろうとしている。これは何らかの形で復活を果たすのか、それともこれは単に Apple が Mac Pro をデザインし直す間の当座しのぎに過ぎなかったのだろうか? Mac の Mail アプリで電子メールメッセージを読んでいてスクロールに不具合が起こった人のために、Adam Engst が考えられる理由の一つを説明する。Dustin Curtis の Apple ID がロックされてしまったミステリーが Apple コミュニティーで話題になっているが、実際に何が起こったのかを私たちなりに推測してみる。それからもう一つ、以前 MacBook にあった MagSafe は良かったとお思いの方のために、Adam が磁気接続の USB-C 充電アダプタを試してみて比較する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは iMovie 10.2.3、BusyCal 3.12.4、Audio Hijack 3.8.4 と Piezo 1.7.3、Final Cut Pro 10.5.2、Compressor 4.5.2、Motion 5.5.1、DEVONthink 3.6.3、Transmit 5.7.2、Zoom 5.5.5、それに Safari 14.0.3 だ。

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

iOS 14.4.1、iPadOS 14.4.1、macOS 11.2.3 Big Sur、watchOS 7.3.2 が WebKit のセキュリティ脆弱性に対処

Apple が現行のオペレーティングシステムの大多数に対してアップデートをリリースした。iOS 14.4.1 と iPadOS 14.4.1macOS Big Sur 11.2.3、それに watchOS 7.3.2 だ。これらは、攻撃者にウェブページから任意のコードを実行される可能性があった WebKit のセキュリティの問題 1 件に対処するためのものだ。これとは別に、Apple は 10.15 Catalina 用と 10.14 Mojave 用に Safari 14.0.3 を新しいビルド (2021 年 3 月 8 日版) に取り替えている。

macOS 11.2.3 release notes

上でリンクしたセキュリティノートに書かれた言葉づかいはいつもと変わらないが、Apple がこの修正のためにすべてのオペレーティングシステムをアップデートし、さらには Catalina と Mojave にも関連する個所に同じ修正を施したところを見れば、おそらくこの脆弱性は深刻なものではないかと考えられる。

影響:悪意を持って作成された Web コンテンツを処理すると、任意のコードを実行される可能性がある。説明:検証を強化して、メモリ破損の問題に対処しました。

既に Apple のオペレーティングシステムの最新バージョンを走らせている人には、早めにインストールすることをお勧めする。対象の範囲が狭く、脆弱性の深刻度が高いと思われるからだ。

これらのアップデートをインストールするには次のようにする:

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple、iMac Pro を生産終了に

週末にかけて、MacRumors は Apple が静かに "在庫のある限り" と言うタグラインを iMac Pro 製品ページに追加したことを報じた。それ以降 Apple は MacRumors に対して iMac Pro を段階的に廃止しようとしていることを認めた

"While supplies last" notice on the iMac Pro listing

Apple は初め iMac Pro を 2013 Mac Pro と 2019 Mac Pro の間のギャップを埋める当座しのぎとして 2017 年に出した ("Apple、iMac Pro をリリース" 15 December 2017 参照)。しかしながら、2020 年に核となるモデルが 8-core プロセッサから 10-core プロセッサに置き換えられたこと以外に、iMac Pro は3年以上の間如何なるアップデートもなされないまま Apple から放置されていた。

iMac Pro には逆風として働くものが数点あった。最低でも $4999 という高額な値札と共に、iMac Pro は、プロのユーザーには鍵となる拡張性と修理性の欠如に悩まされていた。Apple のそれに対するサポートも貧弱であった。Linus Sebastian の従業員の一人が iMac Pro を壊した時、Apple はその修理を拒んだ。Linus は仕方なく独立の修理屋である Louis Rossman を雇ってその修理を手伝って貰った

Apple が December 2019 に再設計された Mac Pro を iMac Pro より $1000 しか高くない値段で売り出した時、プロ達が iMac Pro を選択する理由は殆ど何も残っていなかった ("2019 Mac Pro と Pro Display XDR:大枚を要する超高性能機" 10 December 2019 参照)。Mac Pro は遙かに強力なマシンでありかつプロが望む拡張性と修理性を備えていた。もっとも Apple のサポートは余り改善していなかったが ("Apple の Mac Pro サポート態勢が欠落しているとの報道" 14 March 2020 参照)。

しかしながら、Apple の M1 プロセッサのリリースが iMac Pro に対する真の弔いの鐘となった。この M1 は Intel プロセッサに対して性能で圧倒的な飛躍をもたらし、単一コアベンチマークでは基本モデルの MacBook Pro ですらこの Mac Pro を打ち負かし、マルチコアテストでは価格で大差をつけている。そして、このチップは Apple がその低価格 Mac 用に電力効率を改善するために手を加えたものであり、最大の性能を求めて設計したものではない。

我々は、来年中には Apple がプロレベルのデスクトップ Mac 用に M1 よりも遙かに高速な後継者をリリースし始めると予測している。Apple シリコンを搭載した iMac Pro と言うのも考えられない訳ではないが、これ迄の Apple の熱意の無さを考えると、同社は iMac と Mac Pro により焦点を当てるだろうと思われる。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Mail でメッセージをスクロールできない場合、その一つの理由

J.C. Stauttener から届いた報告はちょっと変わっていた。彼は何年も前から毎週、オランダ語翻訳版の TidBITS を電子メールで受け取ってきたのだが、ここ何か月かの間、届いた電子メールを開いてもスクロールして号の内容を読むことができないという事態が何度か起こったのだという。彼が発見した回避策はまずそのメッセージに返信することで、そうすると何の問題もなく返信ウィンドウの中で(引用された形ではあるが)スクロールして読むことができる。彼によれば問題は macOS 10.15 Catalina で起こり始めたけれども、macOS 11 Big Sur をクリーンインストールしても問題は解決されなかったという。ただ、他のメッセージには何も問題が起こらなかった。問題があったのはオランダ語版の TidBITS だけであった。

率直に言って、私は混乱してしまった。基本のトラブルシューティング方法、例えば独立のウィンドウの代わりにプレビューパネルを試すとか、別のアカウントや別の Mac で試すとかいったことを提案してみたが、何の効果もなかった。J.C. と私は何度かやり取りしたし、称賛すべき TidBITS オランダ語翻訳チームも問題を調べていた。そして、それほど時間が経たないうちに、チームの一人が原因を見つけてくれた。

私たちは時々、TidBITS ウェブサイトの(電子メール版でなくウェブ版の)記事に YouTube ビデオや Google Forms ベースのアンケートを埋め込んでいる。より優れたユーザー体験が提供できるからだ。YouTube や Google Forms のリンクをクリックしてそちらに移動しなければならない代わりに、記事の中でインラインでビデオを観たりアンケートに記入したりできるからだ。しかしながら、電子メールマーケティング会社 Mailchimp が、ビデオやその他のコンテンツを IFRAME タグを使って電子メールメッセージに埋め込むやり方は望ましくないという勧告を公表している。なぜなら、電子メールクライアントの大多数がそのために必要な HTML タグに対応していないか、あるいはセキュリティ上の理由で明確に IFRAME タグをブロックしているからだ。(IFRAME には害を及ぼす可能性を持つスクリプトが含まれていることが多い。) そういう事情によって、TidBITS (英語版) 駆動用に私たちがカスタマイズした WordPress ベースのシステムが、電子メール版の TidBITS の号や記事を発送する前に埋め込まれたビデオや IFRAME を自動的に削除している。もちろん、そのバックアップとしてクリック可能なテキストのリンクは電子メールにも含まれている。

私はこの技術的な問題点について翻訳版チームに伝えていなかった。翻訳版チームはそれぞれ独自の方法で、記事を翻訳し、それをまとめて号にして、電子メール版とウェブ版としてそれぞれ公開してきた。翻訳は個々の記事のウェブ版に基づいてなされるので、そこにあった埋め込みビデオや IFRAME も含まれていたのだった。さて、日本語版翻訳チームは独立にこの問題を発見して、既に日本語版の電子メール号から IFRAME を取り除いていた。けれどもオランダ語版翻訳チームはこの懸念に気付かずそのままにしていた。私たちは IFRAME をそれほど頻繁に使う訳ではないのだが、Jeff Porten の CES 2021 記事シリーズには読者アンケートを含めたので、今年に入って問題が何度も表面化した訳だ。

(日本語)CES 2021: ショウ前日の仮想イベントに登場したゲームキューブ、テレプレゼンスロボット、消毒時計 | CES 2021:注目すべき技術動向CES 2021: 家族用ファイヤウォール、空飛ぶ自動車、気味悪いペットロボット | CES 2021: マルチポート iPad ケース、MacBook Pro 用 SSD、ビデオ会議用カメラ、自分で運転する飛行機 | CES 2021: 4K の額縁、さらなる iPad ドック、犬の気持ちが分かる首輪、スマート眼鏡いろいろ

ここが難しいところだ。Mailchimp によれば HTML5 の埋め込みメディアタグをサポートしているメジャーな電子メールクライアントは Mail のみであるとのことだが、どうやらその Mail は IFRAME コンテンツを (少なくとも私たちが作った Google Form を含んだ IFRAME を) 正しく扱うことができず、円満にエラーを出すこともできず、結果としてただスクロールを止めてしまうらしい。そのことはバグであって、私は Apple に報告しておいた。ただ、今のこの時代に、電子メールの中に誤って IFRAME を含める人がどれだけ少ないかを考えれば、Apple が大して注意を向けてくれるとも思いにくい。

それでもなお、もしもあなたが Mail の中でメッセージがスクロールできないと気付いたなら、その原因はメッセージのソースに含まれた埋め込み IFRAME かもしれない。回避策としてはそのメッセージに返信して引用されたテキストを読めばよいし、そのメッセージの送信者にこの記事へのリンクを添えて問題を知らせてあげれば、あなたにテクノロジー上の箔が付くことだろう。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Dustin Curtis のロックされた Apple ID の謎

最近、Apple の世界では、デザイナー Dustin Curtis と彼のロックされてしまった Apple ID について多くの論議があった。それは長いそして屈曲した話だが、我々のように Apple エコシステムに多額の投資をしてきた者達にとっては他人事ではないものである。手短に言えば、Dustin の Apple ID がロックされたままになってしまい、アプリをダウンロードしたりアップデートしたり出来なくなり、更に Apple Music すらも使えなくなってしまった。彼の iCloud カレンダーは同期しなくなり、そして Handoff すら働くなってしまった。しかしながら、iMessage と Photos は働き続けた。

それはどの様に起こったのか

最終的には、Apple は Dustin のアカウントを復活させたが、懸念が消え去ったわけではない。この話を順を追って再構築してみよう:

  1. 1月のどこかで: Dustin の Apple Card アカウントに紐付けられていた銀行の口座番号が変更され、オートペイが働かなくなる原因となった。
  2. 1月中旬: Dustin は M1-based MacBook Pro を彼の Apple Card を使って購入した。Apple は古い MacBook Pro に対して下取り返金を提供し、Dustin は下取りキットを受け取るので、2週間以内に送り返すよう言われた。
  3. その下取りキットが到着することは無かった。
  4. Apple はどうやらその Apple Card に課金しようとしたらしい。
  5. 2月中旬: Apple は Dustin にメールを送り、下取りについて尋ねた。Dustin はそのキットを受け取っていないと返事をしたが、それに対する Apple からの返信は無かった。
  6. 2月15日: Apple はもう一つメールを送り、新しい iPhone (これは間違いで、恐らく自動生成のメッセージだったのであろう) に対する支払い全額を回収出来てなかったこと、そして Dustin が Goldman Sachs にいる Apple Card 担当とこの件を解決するまで彼の iTunes と Mac App Store アカウントは停止されると伝えた。Dustin はこのメールを最初見落としてしまい、Apple が彼のアカウントをロックした後の検索でようやく見つけ出した。
  7. 2月下旬: Dustin は彼のアカウントがロックされていることを発見した。彼は直ちに Apple Support に電話したが、彼らはその件に関しては何も出来ないから上に上げるので、出来ればそちらから一日以内に電話をさせると言われた。
  8. 二日後、Dustin は再び Apple Support に電話した。その係員は Apple Card に関して何かを言ったが、Apple ID は別な部署であったため何の助けも出来なかった。その係員は担当部署にメールを送った - どうも彼らと連絡を取れる唯一の方法がメールだったらしい。
  9. Dustin は、彼が以前見逃したメールを見つけ出し、そして彼の Apple Card 情報を正しいものにした。しかしながら、彼がそのメールに返信しようとしたら、自動化された "Address not found" のエラーが返ってきた。
  10. Dustin は Apple Business Chat を使って Goldman Sachs サポートに接触した。その係員は Apple ID サポート部門にメールすると言った。
  11. Apple ID サポート係員が Dustin に電話をかけてきて、彼のアカウントは 3-5 日で復旧されると伝えた。その通りになり、全ては通常に戻った。

9to5Mac に対する文書の中で、Apple はこの問題が Apple Card と関係していることを否定した:

我々は、この顧客が経験した如何なる混乱や不都合に対しても陳謝する。この件に関する問題は、App Store や iTunes 購入と iCloud を含めた定期購読サービスを停止させた当該顧客の Apple ID に関わっている。Apple は新しい MacBook Pro の購入に対する手続きを直ちに進めており、顧客には今手元にある機器を我々に返却するようお願いした。支払い方法に拘わらず、Apple が資金を回収出来なかった場合、それに紐付けられた Apple ID の効力は停止される。これは Apple Card とは全く無関係である。

しかしながら、開発者でありブロガーでもある Michael Tsai は、この Apple の説明に疑問を投げかけている

私が言えることは、これは実際に Apple Card 固有の問題である。通常のクレジットカードであれば、Apple は下取り品が届かない万が一に備えてその代金を事前承認しているであろう。そして、そのカードに紐付いた銀行口座がたとえ変わったとしても、それは Apple の関わり知ることではない。Apple は追加の請求を付け加え、それはそのカードアカウントに行き、そしてそのカード発行者は Apple に支払いをする。その結果、Apple の観点からすれば、負債は存在しない。

コメントの多くは、この問題の責任は Dustin 側にあるとしている。それは部分的には本当だとしても、Apple 側での問題も浮き上がらせている。

The Loop の Dave Mark は言う

誤解を恐れずに言うと、私は Apple が Dustin のアカウントを停止したことについては余り心配していないが、この問題に対処するのに掛かった時間に対してはとても心配している。もし Apple の顧客サポートへの電話で、この問題の本質が何処にあるのかその場ではっきりしていれば、二三回のクリックでこの問題は解決していたはずである。どう見ても、左手は右手が何をしているのか分かっていなかった様に見える。

少なくとも、Apple も多くの大企業に起こっていることの犠牲になった様に見える:全組織が、お互いに話をしない、より広範な会社の規則を知らない、そして、自分達の影響が直接及ぶ範囲の外で問題を解決出来ない等である。

我々に対しても、Dustin の話は、一つの会社と余りの多くの仕事をする危険性に目を向けさせてくれる。ハードウェアを Apple から買い、ソフトウェア購入は App Store を通して行い、そして Apple クラウドサービスの定期購読に依存し、それら全てに対する支払いを Apple クレジットカードで行うのは、巨大な便利さと引き換えにある程度のリスクに身をさらしていることでもある。それは必ずしも悪い戦略ではないが、19 世紀の実業家であり慈善家でもあった Andrew Carnegie は言っている、"全部の卵を一つの籠に入れ、そしてその籠を見守れ" と。

本件に関して言えば、籠を見守るとは、銀行口座を変更することが及ぼす効果に注意を払い、分かっている期限に対するカレンダーイベントを作成 (下取りキットの到着と2週間の返却期限の様な)、そして大事なメッセージを見逃す機会を減らすメール戦略を作成すること等を意味するであろう。

また、同じことが自分に起きたらどの様に対処するかを考えておくのも意味があるであろう。殆どの Apple サービスは必須ではない - Apple TV+ や Apple Fitness+ が無くともしばらくは大丈夫であろう - しかし iCloud Mail や iCloud Drive はどうですか? iCloud Calendar 同期が失われたら問題ですか? 一部のサービスの連続性を確実にすることは現代バックアップ戦略の一面でもある ("現代のバックアップ戦略におけるブート可能な複製の役割" 23 February 2021 参照)。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

USB-C 用の安価な MagSafe 風アダプタは使う価値ありか?

私の M1 ベースの MacBook Air のパフォーマンスについては大いに驚いているけれども、MagSafe がないのはとても残念だと思う。ここで言う MagSafe とは、Apple が 2006 年に初代の MacBook Pro で導入した、最初の MagSafe 充電プラグ・テクノロジーのことだ。天ぷら鍋や、日本製のカウンタートップ調理器具で使われていた磁気接続の電源コネクタに着想を得て生まれた MagSafe のお陰で、電源コードの取り付け・取り外しがこの上なく簡単にできるようになった。

いとも簡単に離脱する磁気接続の最大の長所は、うっかり電源コードにつまずいて電源プラグにダメージを与えたり、MacBook を引きずり下ろして床に叩きつけたりといったことがなくなる点だ。私自身が MagSafe のお陰でそのような災難から救われたことがある訳ではないけれども、私は長年にわたって数台の MacBook でありがたいと思いながら使い続けてきた。電源プラグを MagSafe に押し込んで、頼りになるカチッという音とともに嵌る、その感触には何とも言えず満足感に包まれるものがある。同じくらいに嬉しいのは、机から MacBook を取り上げる時にはほんの少しクイッとするだけでコードから外れることだ。

MagSafe について私が聞いたことがある最も大きな不満は、MagSafe 2 になって Apple が磁石を弱くしたことだった。外れてしまったコネクタを MacBook に押し込もうとする動作と、スクリーンを閉じる動作が運悪く重なってしまい、スクリーンを壊してしまったという話を何人かから聞いた。Andy Ihnatko も私に、例えば散らかったホテルのベッドの上など柔らかな面の上で仕事をしていると MagSafe が勝手に外れてしまうと不満げに言っていた。まあとにかく、MagSafe が多くの人たちから正当な理由で人気を得ていたとは言えるだろう。

電源とコミュニケーションの両方をジャック 1 つでこなしたいと Apple が望んだ時点が、MagSafe の終わりの始まりであった。USB-C はスリムで向きを問わず、全体的にうまくデザインされたコネクタでその望みの機能を提供する。ただ一つの問題は、USB-C が磁力を持たないという点だ。

幸いにも、Bloomberg の Mark Gurman が記事に書いた噂によれば、Apple は Apple silicon に基づく次期ハイエンドモデルをリリースする際に MacBook Pro シリーズには MagSafe 風の充電ドックを計画しているのだという。でも、たとえそうだとしても、現行モデルの M1 ベースの MacBook Air や MacBook Pro を持っている私たちにとっては何も嬉しくない。

磁気接続充電ナビン登場

快適な充電という目的のみのために新しい MacBook Pro を買う気にはならない私のような人たちのための解決策が、実は存在する。TidBITS Talk での議論の中で Marc Zeedar がある製品を推薦し、そのお陰で私はこの製品カテゴリーに目を向けることができた。

磁気接続の充電ナビン (nubbin) は、さまざまの中国のメーカーが出しているものが Amazon で入手できるけれども、2つの部品から成っている。[訳者注: nubbin は「小さな突起」というような意味です。]ごく小さな USB-C nubbin がラップトップ機の側面からほんの少しだけ飛び出していて、もう一つの部品であるL字型をした磁気接続のコネクタが、片側は既存の USB-C 充電ケーブルに繋がれ、もう片側がその nubbin にくっ付く。

A magnetic nubbin charger, plugged in

販売されているこの種のコネクタには2つのタイプがある。電源と 10 Gbps データ転送の両方に対応するものと、充電を主たる用途と考えて USB 2.0 レベルのデータ転送のみに対応するものだ。私が思うに、磁気接続に頼ってデータ転送をするのは賢いやり方ではないだろう。うっかり接続を切ってしまう危険があまりにも大き過ぎるからだ。また、データを重視する磁気接続ナビンは、より多くのピンを必要とするのでサイズもかなり大きくなり、ポート 2 基を塞ぎかねない。だから、私はお薦めできない。

けれども、$20 程度を出せば、最大 100 ワットの充電ができる電源重視の磁気接続ナビンの 2 個パックが買える。Marc Zeedar が薦めていたのは Anmone 製のものだが、私は結局それとほとんど同じに見える Fonken 製のものを買った。こちらは、ブラックだけでなくブラックとホワイトの 2 個セットだったからだ。(色違いのセットならば Tonya の 2016 年型 MacBook Pro と私の M1 ベース MacBook Air との区別がつきやすいと思った。)

実際に使ってみると、磁気接続ナビンは私が説明した通りにとてもシンプルだ。私の M1 ベース MacBook Air の USB-C ポートの片方にナビンを差し込んでおいて、L字型の磁気接続コネクタを USB-C 充電ケーブルに取り付ける。コネクタをナビンにくっ付ければ、充電接続ができる。小さな青色の LED の光が正しく接続できていることを示し、MacBook Air は幸せそうにゴーンという音をたてて充電が始まったと告げる。電源からの取り外しも、かつての MagSafe と同じくらいに簡単で、ただ電源コネクタを手で押さえながら MacBook Air を持ち上げるだけでよい。実際に私が使っているところをビデオ映像にしたのでどうぞご覧頂きたい。

ナビン (Nubbin) のあら探し (Niggles)

正直に言えば、磁気接続ナビンの使用感は Apple の MagSafe ほどに良いものではない。磁力が十分に強くないのか、それとも磁気接続ナビンの“出べそ”風のデザインの結果として接続を外す方向に力がかかりやすいのか、どちらかだろう。かつての MagSafe は“引っ込んだへそ”であったので、その分接続がしっかりしていた。それからもう一つの問題は、標準の Apple USB-C 充電ケーブルが、かつての MagSafe 充電ケーブルに比べて太くて柔軟性がない点だ。そのため、磁気接続コネクタを正しい向きでナビンにくっ付けるのが少々難しいことがあるし、動かしただけで外れてしまう可能性も高い。

Magnetic nubbin sticking out from the MacBook Air

私はL字型のデザインもあまり好きでない。Apple はこの形について行きつ戻りつして、ラップトップ機の側面と垂直にケーブルが出るT字型のデザインと、ラップトップ機の側面と平行にケーブルが取り回されるL字型のデザインの両方を作った。私はその頃にもT字型の方が好きだった。その方が私には自然に感じられる。

もう一つ、このナビンのちょっとした欠点は、ナビンがあまりにも小さいので、ポートを別の目的に使うためにナビンを USB-C ポートから取り外そうとすると少々やりにくいことだ。それほど難しくはないけれども、特に爪を切ったばかりだったりするとちょっとイライラしてしまう。それからまた、ある程度の率で壊れてしまっても驚くには当たらないと思う。1 個 $10 という値段では、ハイエンドの製造工程を経ているとは思えない。

最後にもう一言、L字型のアダプタの片側にしか LED が付いていないのは困るという意見も聞いたことがある。LED が下を向いた状態では、接続しているかどうかが見て取れないからだ。その論点は分かるけれども、私に言わせればこれはバグというよりむしろ仕様だと見るべきではないか。なぜなら、例えば旅行中のホテルの部屋の中など、時として私は明る過ぎる LED を注意深く靴下で覆ったりしていることもあるからだ。

それはそうなのだが、数週間使ってみて、Tonya も私もそれぞれのラップトップ機をこの磁気接続充電ナビンで充電することにかなり満足している。もしあなたもかつての MagSafe を恋しく思っているなら、これを試してみる価値は十分あると思う。何しろとても安価なのだから。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

iMovie 10.2.3

iMovie 10.2.3

Apple が iMovie 10.2.3 を出した。iOS 用 iMovie からプロジェクトを読み込むことに関係したいくつかのバグを修正する、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートで Slide および Chromatic タイトルスタイルを使用した際にフォントが変わってしまわないようにし、1行の長いタイトルが2行にならないようにし、クリップからフィルタが削除されないようにし、読み込みの信頼性を高めている。iMovie 10.2.3 ではまた、All Events 表示でイベント名を変更するとそのイベント名が別のイベントの名前として間違って表示されることがあった問題を修正した。それからこれは配布の際の見落としと思われるが、iMovie は不必要なプロビジョニング・プロファイルを誤ってインストールする。このプロファイルを発見してくれた Jennifer Bettiol と、削除しても構わないと説明してくれた Howard Oakley に感謝したい。(Mac App Store から無料、2.2 GB, macOS 10.15.6+)

iMovie 10.2.3 の使用体験を話し合おう

BusyCal 3.12.4

BusyCal 3.12.4

BusyMac が BusyCal 3.12.4 をリリースして、このカレンダーアプリに改良とバグ修正を施した。今回のアップデートでは WebDAV フィードから本物でない、あるいは欠落したカレンダー名を無視するようにし、電子メール添付ファイルからミーティング招待を読み込む際に同期後に重複が起こる可能性を警告するようにし、Google アカウント (現在はフローティング・タイムゾーンをサポートしていない) でタイムゾーンを選ぶメニューオプションを削除し、Google アカウント用に BusyCal の中で作成したイベントやアラームでサウンドによる警告を受けられるように回避策を施し、Exchange 上の繰り返すミーティングを取り消してもすぐには Info パネルに変更が反映されなかったバグを修正し、全日のイベント (バナー) が重なって表示されることがあった問題を解消した。(BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、Setapp Mac アプリ購読サービスからも利用可能、無料アップデート、32.3 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

BusyCal 3.12.4 の使用体験を話し合おう

Audio Hijack 3.8.4 and Piezo 1.7.3

Audio Hijack 3.8.4 と Piezo 1.7.3

Rogue Amoeba が Audio Hijack 3.8.4Piezo 1.7.3 をリリースして、内蔵の Audio Capture Engine をバージョン 11.7 に更新するとともに、サンプルレート・コンバータをアップグレードし、ドリフト補正を改良した。いずれのオーディオ録音アプリも今回から Xcode の Simulator からオーディオをキャプチャできるようになり、Installer と Quick Tour でアクセシビリティの改善を施した。Audio Hijack はまた VoiceOver 対応を改善して、無効化されたブロックや、個々のブロックのポップオーバー内部の On/Off のより良い読み出しを提供した。TidBITS 会員は Audio Hijack と Piezo を 20% 割引で購入できる。(Audio Hijack は新規購入 $49、28.7 MB、リリースノート。Piezo は新規購入 $19、17 MB、リリースノート。いずれも無料アップデートで macOS 10.13+ を要する)

Audio Hijack 3.8.4 と Piezo 1.7.3 の使用体験を話し合おう

Final Cut Pro 10.5.2, Compressor 4.5.2, and Motion 5.5.1

Final Cut Pro 10.5.2, Compressor 4.5.2, Motion 5.5.1

Apple が Final Cut Pro 10.5Compressor 4.5Motion 5.5 をリリースして、これらのプロフェッショナル向けビデオ編集アプリに少数の改良とバグ修正を施した。Final Cut Pro は M1 ベースと Intel ベース双方の Mac でネイティブな RED RAW デコーディングと再生を可能にする新しい Universal RED プラグインへの対応を追加し、また M1 ベース Mac で壊れた H.264 ビデオファイルを再生したり AirPlay を使ったりする際の安定性を改善した。さらに、インスペクタの値フィールドをダブルクリックするとテキストが消えてしまったバグを修正し、ライブラリ内に保存されたカスタマイズ済み Motion タイトルが Titles ブラウザに表示されなかった問題を解消している。

Compressor は Timecode Generator エフェクトを使用中のプレビュー画像が誤っていた問題に対処し、バッチ領域のキャプションに新しいアイコンを追加した。Motion はアニメーション化されたカラー曲線のリセットを取り消した際に起こったクラッシュを修正し、キーフレーム付きの Color Wheels をリセットした後にキャンバスが黒くなったバグを修正した。(いずれも無料アップデート。Final Cut Pro 新規購入 $299.99、2.9 GB、リリースノート、10.15.6+。Compressor 新規購入 $49.99、314.5 MB、リリースノート、10.15.6+。Motion 新規購入 $49.99、2.4 GB、リリースノート、macOS 10.15.6+)

Final Cut Pro 10.5.2, Compressor 4.5.2, Motion 5.5.1 の使用体験を話し合おう

DEVONthink 3.6.3

DEVONthink 3.6.3

DEVONtechnologies が DEVONthink 3.6.3 をリリースして、iCloud 同期で帯域制限に関係した問題に対処し、添付ファイル付きのノートを Evernote から読み込む速度を向上させた。この書類および情報管理アプリは今回から Edit メニューとコンテクストメニューの Insert > Checkbox が Markdown 書類を編集している際にも使えるようにし、索引付けられたグループを別の索引付けられたグループへ移動させる際にグループ内のファイル名が変わってしまわないようにし、Document > Links インスペクタの VoiceOver 対応を改良し、長いファイル名を改名した場合に macOS 11 Big Sur では項目リストの中で名前が正しく表示されなかったバグを修正し、Big Sur でフォーマット付きのノートのフォーカスが失われたバグを解消した。(DEVONthink 新規購入 $99、DEVONthink Pro 新規購入 $199、DEVONthink Server 新規購入 $499、TidBITS 会員にはそれぞれ 15 パーセント割引、無料アップデート、115 MB、macOS 10.11.5+)

DEVONthink 3.6.3 の使用体験を話し合おう

Transmit 5.7.2

Transmit 5.7.2

Panic が Transmit 5.7.2 をリリースして、Dropbox Business Team Spaces への対応を追加した。このファイル転送アプリはまた、サーバとそのパスワードをパスワード保護の付いた暗号化ファイルへ書き出すオプションを装備し、接続タイムアウトのデフォルト値を不活動時間 2 分間に拡大し、最初の接続がログイン後に不意に閉じてしまった問題を解消し、Command-G の動作を更新して Find フィールドにフォーカスがある間は次の一致部分に進むようにし、サーバ活動ウィンドウの内容が適切にリサイズされないことがあったバグを修正し、情報サイドバーで起こることがあったクラッシュを解消した。(新規購入 $45、無料アップデート、43.1 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Transmit 5.7.2 の使用体験を話し合おう

Zoom 5.5.5

Zoom 5.5.5

Zoom が会社名と同名のビデオ会議アプリをバージョン 5.5.4 にアップデートして、ビデオ映像のない参加者が隠されている場合にもギャラリー表示のカスタマイズ (サムネイルをドラッグして好きなように再配置) ができるようにした。ビデオ映像のない参加者がビデオをオンに切り替えれば、その人の映像はギャラリー表示の最後のページの右下隅に表示される。今回のアップデートではまた、あなたがどんなコンテンツを画面共有しているか、他の参加者たちがいつそのコンテンツを見られるか (ただしこの機能は参加者の 80% 以上がバージョン 5.5.4 を使っていることを要する) を明確に表示するようにし、仮想背景のスライドが正しく録画されなかった問題を解消し、チャットのスクリーンショットがチャットの送信前に消えてしまったバグを修正した。このリリースの後間もなく Zoom はバージョン 5.5.5 にアップデートして、macOS 11.1 Big Sur とそれ以降で起こった UDP 有線接続における共有の問題を解消した。(無料、23.3 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Zoom 5.5.5 の使用体験を話し合おう

Safari 14.0.3

Safari 14.0.3

2021 年 2 月 1 日に、Apple は macOS 10.15 Catalina と 10.14 Mojave 用に Safari 14.0.3 をリリースして、WebKit における 3 件のセキュリティ脆弱性を修正した。その後 Apple は Safari 14.0.3 をさらにアップデートして、もう 1 件別の WebKit 脆弱性に対処し、悪意あるウェブコンテンツに任意のコードを実行されないようにしたが、その際 Safari のバージョン番号は変えずにビルド番号のみを変更した。Catalina での新しいビルド番号 (Safari > About Safari を見れば分かる) は 15610.4.3.1.7 で、Mojave での新しいビルド番号は 14610.4.3.1.7 だ。Safari 14.0.3 は System Preferences > Software Update のみから入手できる。目的を絞ったアップデートなので、早めにインストールするのが良いだろう。(無料、リリースノート、macOS 10.15 および 10.14)

Safari 14.0.3 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

音量を 11 にするな: Apple Hearing Study から得られた知見

緊密に統合された Apple ハードウェアとソフトウェア、膨大なユーザー基盤、それに Apple の Research アプリの組み合わせが、かつては実現不可能であった種類の大規模な調査を可能にしている。現在進行中の調査としては、Apple Women’s Health StudyApple Heart and Movement Study、そしてここで取り上げる Apple Hearing Study がある。これは Michigan 大学と協力して実施されている調査で、長期間にわたる音への曝露が聴覚とストレスのレベル、また心臓の健康状態にどのような影響を与えるかの理解を深めることを目標としている。Apple は現在この聴覚調査のデータの共有を推し進めることで人々が自らの聴覚の健康をより良く理解する手助けをしようとしている。

Headphone safety settings

聴覚の健康は大きな問題だ。World Health Organization (WHO, 世界保健機関) は 2050 年までに世界中で 7 億人以上の人々が深刻な聴覚障害を持つだろうと予測している。Apple と Michigan 大学も、WHO の Make Listening Safe イニシアチブとの間でデータを共有している。

Apple はそのユーザーの多くが聴覚障害のリスクに直面しているという調査結果を得た。参加者の 25% が1日当たりの環境音曝露で WHO の推奨基準を超えていた。参加者のおよそ 10% が1週間の平均ヘッドフォン曝露で WHO の推奨基準を超えた。20% が何らかの聴覚障害を抱え、10% が騒音曝露が原因と思われる聴覚障害で、参加者の 25% が週に数回以上耳鳴りを経験していると回答したが、それは聴力が損なわれる前兆かもしれない。

つまるところは、音量を下げて、Settings > Sounds & Haptics > Headphone Safety に提供されているオプションを利用しなさいということだ!

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Brave、独自の検索エンジンに着手

Brave Software は Chromium ベースの、プライバシーに重点を置いたウェブブラウザを開発している会社だが、今回オープンソースの検索エンジン Tailcat を買収し、これを用いて自社独自の検索エンジン開発に着手すると発表した。現在、検索エンジンの主な選択肢としては“800 ポンドのゴリラ”のような存在である Google と、大きく引き離された2位の Microsoft Bing、それから Bing に駆動されたものだがその後に続く Yahoo、DuckDuckGo、そして大きく水をあけられて Ecosia という状況だ。Brave Search はプライバシーに重点を置くことを約束しており、ユーザーを追跡も分析もせず、有料で広告なしのオプションと、無料で広告付きのオプションとを提供する。Brave によればその広告は通常のウェブ広告のような追跡機能を伴わないという。Brave Search にはもう一つ独特な側面があって、オープンでありコミュニティーの手による監修が施されたランキングモデルを使用することにより、多様性を確保しつつアルゴリズムによるバイアスや検閲を阻止するという。Brave Search のテストに参加したい人は、順番待ちリストにサインアップできる

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NFT: これはお金の浪費か、それともアートの未来か?

NFT という言葉が最近ニュースを飛び交っているが、いったいこれは何だろうか? NFT は non-fungible token (非代替性トークン) の略語だが、それでもまだよく分からないかもしれない。代替的 (fungible) な品物は互いに平等で、同じ価値を持つ。例えば大量に市場に出回る印刷された本や、同じ等級の豚の三枚肉は代替的だ。NFT はブロックチェーン台帳を利用する。Bitcoin を駆動している台帳と同じようなものだ。これがデジタルアート、例えば画像や、短いビデオ、楽曲などにデジタル署名を付与する。この署名によってそれぞれが固有のものとなり、個々に所有権が発生することになって、変更不可の形での移転または再販が公開かつ暗号化された検証を伴ってなされる。The Verge が、これを理解する助けになるようにと、なかなか楽しい記事を出している

NFT のあまり直感的でない側面の一つは、これがデジタル著作権管理の形では働かず、複製や販売に伴う著作権やその他の権利が何も伴わないことだ。例えばこの Gucci Ghost のアニメーションに $16,000 (あるいはそれ以上!) も支払う人がいるというのはいったいなぜか? 普通に Control-クリックすればあなたの Mac にも保存できるというのに!ここで捉えられている価値は、つまりバイヤーたちが大金を積んで支払おうとしている理由は、このやり方を支持する人たちが“オリジナル”だと認めるもの、つまりそのアート作品の唯一無二のコピー、を所有していることを自慢できる権利にある。

NFT を GameStop の株価騒ぎと同列に捉えてちょっとしたインターネットの狂気だとこき下ろすのは簡単だ。けれどもこれはアーティストたちに現実の利益をもたらす。なぜなら、アーティストたちは NFT が転売された際にアーティストが取り分を得るように設定することができるからだ。売り買いされるのはアート作品なので、その価値が増すことはよくある。とりわけ、時間とともにそのアーティストが以前よりもよく知られるようになればなおさらだ。そのような場合、アーティストがその評価に見合うものを得られないのは不公正だというのは長年言われ続けてきたことだ。そして最後には、インターネットのせいでアーティストたちが自らのアートで生計を立てることがますます困難になりつつある。NFT は、解決困難なその問題に対する答となるかもしれない。

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