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#1559: Apple イベントを推測、T-Mobile の Home Internet、TidBITS の 31 年、古くなった AirPods を交換、iPhone アプリをまとめて管理

先週、私たち TidBITS は 31 周年の記念日を迎えて、悲観的なムードに包まれていた 2020 年を過去のものとしもっと前向きな未来に目を向けようと心を新たにした。さて、その未来は Apple の最新のイベントが開催される今週に始まるのかもしれない。ここではどんなものが登場するかを予想してみたい。iPad か? AirTags か? 新しい Apple silicon Mac か? 明日になれば分かるだろう。iPhone のアプリを一度にまとめて Home 画面に追加したり削除したりするのにイライラしていませんか? Adam Engst が、App Library を使って複数のアプリを一度に画面に追加したり削除したりする新しい方法を紹介する。それから、Glenn Fleishman が T-Mobile の新しい 5G 中心のホームインターネットサービスについて詳しく述べるとともに、Jeff Carlson が交換サービス Podswap をレビューする。バッテリーが弱くなった古い AirPods を新品を買うよりも安い値段で交換してくれるというものだ。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Parallels Desktop 16.5、1Password 7.8.1、Agenda 13、Default Folder X 5.5.8、それに Alfred 4.3.3 だ。

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple のイベント、2021 年 4 月 20 日に開催予定

Apple が仮想イベントを 2021 年 4 月 20 日 10 AM PDT に開催すると発表した。add it to your calendar with a clickことができる。ジャーナリストたちに送られた電子メールの招待状によれば、Apple はこのイベントを Spring Loaded (ばね仕掛け/春物ぎっしり) と呼んでいる。ということは、皮肉な推測を言えば、Apple はついに改良型のネズミ捕りを作ったのだろうか。

勇猛果敢な Apple ファンたちは、発表の前からこのイベントを知っていた。Siri に向かって "Apple event" と言えば、この仮想アシスタントが元気良くイベントについて語ったからだ。もう一つ興味深いのは、開催の日付が 4/20 であることだ。どうぞご自由に冗談を考えて頂きたい

Siri's event leak

Apple は何を発表するだろうか? 思いつくアイデアがいくつかある:

もちろんいずれも憶測に過ぎないし、結果は数日以内に確実に分かることだ。Apple が何を隠し持っているかを私たちと一緒に目撃したい方は、私たちの SlackBITSグループの #events チャンネルにどうぞ参加して頂きたい。参加するには slackbits.herokuapp.com へ行き、あなたの電子メールアドレスを入力して、行動規範に同意して頂くだけでよい。すぐに招待状が電子メールで届くはずだ。

[訳者注: この記事の日本語への翻訳作業時点で、もうこのイベントは終了しています。この記事はもともとイベントの前に書かれたものなので、TidBITS スタッフによるその時点での推測を述べています。実際にイベントで発表された内容については TidBITS の来週号で詳しく紹介されますので、どうぞお楽しみに。]

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

TidBITS の 31 年、自分自身に正直に

今週、Tonya と私が TidBITS の出版を開始してから 31 年目の記念日がやってきた。そう、あれは 1990 年 4 月のことであった。去年の記念日はパンデミックの最も暗い時期の真っ只中で、私たちは皆、すべてがひっくり返った世界の中で心の平静を取り戻そうともがいていた。(2020 年 4 月 13 日の記事“パンデミックの時期に TidBITS が 30 周年を迎える”参照。)

パンデミックが及ぼした計り知れない人的、社会的、経済的な損害から目をそらすつもりはないが、あれから一年経って、ようやく前に進むべき道が見えてきたような気がする。世界各国の政府がこの一年間に続けてきた驚くべき科学的ならびにテクノロジー的なワクチン接種の進展を世界全体にあまねく広げてくれるまで、私たちが持ちこたえられることを心から願いたい。(Tonya と私は 5 月の最初の週にワクチン接種が完了する予定だし、Tristan は私たちから 2 週間遅れて2回目の接種を受けることになっている。)

世界中にパンデミックが広がっている時だからこそ、自分が何をしているのか、何のためにそれをしているのかについて考えさせられる。私が TidBITS を始めたのは、Mac と Mac アプリを使うこと、明らかではないやり方を見つけてテクノロジーを活用すること、そうして自らが学んだものを知識や能力を広げたいと思っている人たちと共有することに、私が純粋な喜びを感じているからだ。Apple のエコシステムは当時に比べれば大幅に進化したが、もしも私が Apple 関係のハードウェア、ソフトウェア、サービスを探求することに積極的な喜びを感じていなかったならば、とっくに他のことをするようになっていただろう。TidBITS は当時も今も、私たちの生活をより良いものにするためにテクノロジーを使うことを中心に据えている。必要に応じて批判をすることはあるけれども、私たちはいつも建設的な批判であるようにと心掛けている。

しかしながら、過去一年間は一般的に言って前向きな気持ちを保つのが難しかった。テクノロジー世界からのニュースも心を前に向けてくれなかった。Apple は場当たり的な App Store ポリシーを弄し、Facebook は世界中で選挙操作にアルゴリズム的に参加し、デジタル広告会社は私たちのオンラインやオフラインでのあらゆる活動を追跡した。巨大テクノロジー会社がさまざまの方法を駆使して社会を裏切っているというニュースに加えて、徐々に忍び寄るセキュリティ攻撃の魔の手やそれに対抗する修正について記事を書くのは少々嫌な気にさせられる。少なくとも、そのような記事を書くことによって良いコンピューティング習慣を広める役に立てればと願うばかりだ。

いったいなぜこんな告白調の文章を書いているのかって? 私の気持ちは単に、毎週何を記事に書いて皆さんのために出版するかを決断する際に、私はその記事が、役に立つか、重要であるか、または楽しいかを絶えず評価した上で判断しているのだということを、改めてここに念押ししておきたいというのが目的だ。個々の記事がそのどの分類に属するにせよ、常に思慮に富んで、詳細で、よく練り上げられた記事にしたいと私は望んでいる。私たちも完璧ではないけれども、それに向けて懸命に努力している。記事を書いてくれる著者たちはよく、TidBITS では他のほとんどあらゆる出版社に比べてより多くの、そして詳細な編集の手が入ると私に言ってくる。私たちの時間の費やし方として最も利益を生むものとは言えないかもしれないが、それはすべて皆さんのために出版するものが私たちの能力の許す限り最善のものであるようにするためだ。

将来に向けて考えると、私は決して巨大テクノロジー会社の悪行をごまかし隠したいとは思わないけれども、そういう話題は他のところで十分に報道されている。そういうものの代わりに、私は TidBITS がもっと肯定的なものに焦点を当てるようにして行きたいと思っている。私たちの生活をより良いものにするためにテクノロジーを使う方法、私たちがお互いにコミュニケーションし相互に関わるやり方を改善する方法、世間一般をより良くする方法を、考えたい。後ろ向きなことを鳴り物入りで騒ぎ立てる声を増幅しても、世界をより良くするためにはほとんど役に立たない。皆さんにも、この目標に向けた助力の一環として TidBITS Talk に建設的な声をお寄せいただきたい。私はいつも、この TidBITS Talk で交わされる議論の中に他の人を助ける人の気持ちに具現化された寛容さを感じて、嬉しい気持ちになっている。助けられるからというだけの理由で、助けておられるのだ。どうぞ皆さん、ご自由に質問を問い、質問に答えて頂きたい。

私が著者たちに対して負っている責任の中で、私たちが記事を委託し続けられるのは TidBITS 会員の皆さんからの自発的な寄付のお陰以外の何物でもないことを言っておかない訳には行かない。現代の出版業界のトレンドでは、購読のみで運営される電子メールのニュースレターや、有料購読者のみがアクセスできるウェブサイトが主流となっている。でも、私たちはやりくりして行ける限り、支払いのできない人たちにも援助の手を差し伸べ続けたい。TidBITS 会員プログラムに参加して下さった方には、90 以上の Mac プログラムの割引価格も提供される。最近になって私たちがそれに加えたアプリとしては AcornRetrobatchTextSniperHazeOverTiming などがあるし、私たちのスポンサーである SmileRogue Amoeba が出している数々のアプリもお見逃しなく! 私たちが 2020 年を健全な財政状態で乗り切ることができたのは、現行の会員の皆さんによる援助のお陰だ。心からの感謝を申し上げたい。

最後に個人的、ならびに数秘術的なコメントを述べておきたい。Tonya と私が TidBITS をスタートさせたのは二人とも 22 歳の時であった。私たちが 31 歳の年に息子の Tristan が生まれた。(1999 年 1 月 18 日の記事“Tristan Mackay Engst をよろしく”参照。) 彼は今 22 歳で、その同じ年に TidBITS が 31 歳になった。私たちがしたのと同じように、今年の 5 月に Cornell 大学を卒業した後の彼は Pacific Northwest (大西洋岸北西地区) に向かう。Tonya が 1991 年に Microsoft に就職したのとは違って、また私たち夫婦がシアトルに住んだのとも違って、Tristan はコンピュータによる画像認識に重点を置いた機械学習での博士号を目指して、バンクーバーにある Simon Fraser 大学の、若くてエネルギーに溢れたキャンパスで勉強を始めようとしている。そう、時は巡り、人生は巡る。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

iPhone の Home 画面のアプリを iOS 14 の App Library で一挙に管理

去年、iOS 14 の App Library を扱った初めての記事として、私は記事“手軽に iOS アプリを並べ替えるための5つのヒント”(2020 年 9 月 22 日) に iPhone の Home 画面をクリーンアップするための (私にとって新しかった) 方法をいくつか書いた。その後、私は複数個のアプリを Home 画面にまとめて追加したり削除したりする新たなテクニックを見つけた。この方法ならアプリを一つ一つ操作するよりずっと簡単だ。そのためには、まずアプリを積み重ねて一つのスタックを作るテクニックを使い、その後で App Library の隠し機能を使う。

複数個のアプリを Home 画面に追加する

例えばこれから旅行に出かけるとしよう。まあ、今の世の中では想像しにくいのは分かっているが、そこはご容赦願いたい。そして、さまざまの旅行関係のアプリを Home 画面に入れておきたいと思ったとしよう。次の手順で、多数のアプリを一度に追加できる:

  1. App Library が見えるまで左ヘスワイプする。
  2. 一つのフォルダに並んだ四つの小さなアイコンのところをタップして、そのカテゴリーに属するアプリを表示させる。
  3. 一番上の空いている領域をタップして押さえ続け、ジグル (揺れる) モードに入る。
  4. 一つのアプリを右手の親指でドラッグし始める。iOS 14 は、即座にそれを (必要ならば新規に画面を作成して) 最後の Home 画面に送る。
  5. 右手の親指でそのアプリを押さえ続けながら、左手の指を使って Home 画面を左ヘスワイプして App Library に戻る。
  6. そのまま左手を使ってもう一度さっきのフォルダに戻り、まだ右手の親指で押さえ続けているスタックの上に、好きなだけアプリをタップして追加する。
  7. 望みのアプリがすべてスタックに積み重なったら、左手を使って右へスワイプして Home 画面に戻る。
  8. 右手の親指を離せば、スタックにあったアプリがその画面にドロップされる。ほら出来た!
  9. 最後に Done をタップしてジグル (揺れる) モードを脱する。

私が実際に操作しているところを短いビデオにしておいた。

複数個のアプリを Home 画面から削除する

同じようなテクニックを使って、一連のアプリを Home 画面から削除することもできる。旅行から帰宅して、もはや旅行関係のアプリで画面スペースを浪費する意味がなくなったと想像しよう。次の手順で、アプリを一度に削除できる:

  1. Home 画面の空いている領域をタップして押さえ続け、ジグル (揺れる) モードに入る。
  2. 一つのアプリを右手の親指でドラッグし始める。右下隅へ動かしておくと楽だろう。
  3. そのまま左手の指を使って、Home 画面上にある削除したいアプリをタップしてスタックに加える。必要なら左右にスワイプして Home 画面を移動できる。
  4. そのまま左手を使って、左ヘスワイプして App Library へ行く。
  5. ここで右手の親指を離せば、スタックにあったアプリがドロップされて、Home 画面から消える。iOS 14 が自動的に、それらのアプリをもともとあった App Library の中のそれぞれのフォルダに戻したのだと思えばよい。
  6. 最後に Done をタップしてジグル (揺れる) モードを脱する。

こちらも、手順を示した短いビデオを作っておいた。

これらの技でコロナウイルスを退治できる訳でも世界平和を促進できる訳でもないが、iPhone の Home 画面の管理が素早く手軽にできるようになるだろう。

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Jeff Carlson  訳: Mark Nagata   

古くなった AirPods を Podswap でリフレッシュ

私と AirPods との蜜月時代が終わったのは、まだ映画を途中までしか観ていないのに一時停止してこのワイヤレスイヤーバッドを充電し直さなければならなくなったのに気付いた時であった。公平のために言えば、その蜜月は三年間続いたのだから、丸三年間ほとんど毎日使い続けた後で極小型の充電式バッテリーがあまり長く充電状態を保てなくなっても文句は言えないだろう。

それ以外の点でこの AirPods は何の問題もなく働いていたが、バッテリーの持ちは 30 分かそれ以下になっていて、もはやあまり使う意味がなかった。

この AirPods は私の“死んだテック製品の引き出し”の中で古い iSight カメラと一緒に眠る運命だろうと思っていたのだが、たまたま私は Podswap のことを知った。これは女性たちが運営する事業で、古い AirPods に新しいバッテリーを入れて一新し、新品よりも安い値段で販売している。私は既に新品の AirPods がセール販売されるのを待っているところだったので、その代わりに Podswap を試してみることに決めた。

これは次のような仕組みだ。あなたは $59.99 を払って、あなたが持っているものと同一モデルの Apple 純正 AirPods の、再生品を注文する。扱われるのはイヤーバッドそのもののみで、充電ケースは対象外なので、ケースは持っていなければならない。この会社はまだ AirPods Pro の交換は扱っていないが、将来は扱えるよう検討中だという。片方の AirPod がなくなっている場合には、$89.99 を払えば残っている片方だけを送って交換品のペアを受け取れる。もしもあなたの AirPods にバッテリー以外の問題、例えば水没ダメージやオーディオの雑音などがある場合には、バッテリーの交換だけでは直らないので、Podswap が $4.99 の送料でリサイクルしてくれる。

AirPods

私は 2021 年 3 月 19 日にペアの交換を注文した。驚いたことに 3 月 22 日の日中にもう交換品が届いた。廃棄物削減のためのサービスと謳っている会社にしてはえらく大きな箱に入っていると思ったが、その同じ箱に私のを入れて送り返すのだし、極小の小包よりもこのサイズの方が出荷しやすいのだろうという気もする。

Podswap box

AirPods 自体は2つのエアーパッキン (プチプチ) 袋に入れられ、プラスチック製の密封された筒に入っていて、Podswap の追跡用バーコードが付いていた。

AirPods in tubes

新しい AirPods はほとんど充電されていなかったので、私は自分の充電ケースに入れて一晩充電しておいた。Podswap から届いた発送通知メールによれば「バッテリーのフルパフォーマンスに達するにはケースの中で 3 回か 4 回充電サイクルを経る必要があるかもしれません」とのことだった。

充電が済んでから、私は自分の iPhone とペアリングして 3 時間ほど音楽やポッドキャストを聴いたが、本当に AirPods が新品の時と同じ感じで、その後もまだバッテリー寿命が 70% 残っていた。

交換品が届いてから 5 日以内に、届いたものと同じ箱に、同封の送料支払い済み返信用ラベルを貼り、自分の AirPods のペアを入れて送り返さなければならない。もしもその 5 日間を超過すれば、$49.99 の料金がかかる。

誤解のないように言い添えれば、Podswap はあなたのその AirPods を修理して送り返してくれる訳ではない。そんなことをすれば日数もかかり、追加の追跡作業も必要になってしまう。そうではなくて、あなたが受け取るのは誰か他の人が使っていた古いイヤーバッドに新しいバッテリーを組み込んだものだ。 この記事に関する記事を書くために、iFixit は特別のリクエストとして同じセットを送り返して欲しい、それによってこの会社が公表通りに実際にバッテリーを交換しているのであってただユニットを交換しているだけでないことを確かめたいと依頼した。Podswap は iFixit のために例外措置をした。(そしてその通り、このバッテリー交換作業は“特殊な設備と精密なロボット工学”が“ある程度自動化された処理”をすることによってなされているという。)

Podswap は、あなたが受け取る交換品には小さな引っ掻き傷または損傷があるかもしれないと明言している。ただ、この会社はそれと同時にすべてのペアが“超音波微小除去による埃や有機物片の吸引と、医療グレードの溶液処理、および工業グレードの低温殺菌処理”を受けているとも述べている。言い換えれば、知らない人の耳垢を共有したりする心配はないということだ。

全体的に見て、私は Podswap を使ってみて大いに喜んでいるし、私の初めての投資に新しい命が与えられたことを嬉しいと思っている。たとえ、2組の物理的ユニットがそこに関係しているとしても。私の耳には違いが感じられないだろうし、次に観る映画を途中で中断する必要がないのが何よりありがたい。

[訳者注: 現在のところ、Podswap は米国在住の人からのみ注文を受け付けているようです。]

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Glenn Fleishman  訳: 亀岡孝仁  

T-Mobile、無制限の 5G 家庭用広帯域サービスを提供

米国の3千万世帯が、手頃な価格の家庭向けの高速ブロードバンドに対するもう一つの選択肢を手にした。T-Mobile Home Internet はその数の世帯をカバーし、その内1千万は地方にある。同社は、殆どの地域に対して 5G ネットワーク経由で平均 100 Mbps を約束している。如何なる世帯に対しても、T-Mobile の 4G LTE タワーにしか届かない世帯も含めて、平均で 50 Mbps を下回らないとしている。

T-Mobile Home Internet は無制限の使用に対して月額 $60 で、長期契約の条件は付いていない。また、必要なハードウェアに対しての別個の課金もないが、自分でインストールすることが求められる。税やその他の費用を含む月極め料金の電話プランを持つ T-Mobile のセルラー顧客に対しては、このブロードバンドサービスは月額 $60 だけの追加で済む。潜在的な顧客もまた、この特典を手にするために該当するプランに切り替える事も出来る。しかしながら、T-Mobile セルラーサービスプランは必須では無く、これらのプラン無しだと、価格は、地方税や追加料金によって、20%-30% 高額となる。また、自動請求支払いを設定しないと、月額 $5 が余分に課金される。

T-Mobile は、このサービスの 4G だけのバージョンを昨年月額 $50 で提供し始めたが、この試験サービスのカバーエリアは November 2020 迄に2千万世帯に達していた。T-Mobile は、カバーエリア地図を公開していないし、将来の拡張計画の詳細も明かしていない。自分の地区でこのサービスに申し込めるかどうかは、利用可能性チェッカーを使って調べられる。(現時点で、4G だけのサービスの加入者全員が 5G にアップグレード出来るわけではないと T-Mobile は FAQ で言っているので、ご注意を。)

このサービスを使うために、先進的な 4G/5G ゲートウェイ が送られてくる。それはブロードバンドモデムとして働き、そしてスマートフォンアプリ経由で管理出来る。この機器は既存のネットワークに差し込むことが出来るが - 一般的なモデムと同様 - その Wi-Fi 6 ルーター経由で独立して使用することも出来る。

このゲートウェイは、機器を分離するために4つの仮想 Wi-Fi ネットワークを設定させてくれ、ゲストネットワークのための選択肢もある。それは、家から仕事をする人で、会社のデータを家庭用のトラフィックから分離しておきたい人にはセキュリティ上有用であろう。それには2つの LAN Ethernet ポートがあり、そしてその Wi-Fi アクセスポイントは3つの別個の無線を持っていて - 2.4 GHz 接続が1つと低バンドと高バンド用の別個の 5 GHz 無線 - 最大 64 個の機器が接続出来る (バンドについて更に知りたければ、"iPhone が 5G に対応、でも実際に使ってみたらどうなのか" 19 November 2020 参照)。セキュリティのためには、それは WPA/WPA2 (後方互換性のため)、 そして最新の Wi-Fi セキュリティ標準である WPA3 迄サポートする。

T-Mobile Home Internet には、今の所、正確な意味においてのビジネス版は無いが、T-Mobile は家から仕事をするという現実は容認しており、家の住所にある個人事業体もこのサービスに申し込めるとはっきり書いている。自分の名前と家でサービスに対して支払いをしている企業の遠隔勤務者もふるい落とされることはない。

T-Mobile Home Internet は、考え方としては、T-Mobile が遡ること 2007 年に率先してやった HotSpot@Home セルエクステンダーと似ている。HotSpot@Home はちっぽけなセル受信機を既存の有線ブロードバンド接続につなぎ、より高品位な屋内音声通話を提供しようとするものであった (そして、やがて顧客には固定電話を必要ないと思わせることを願って)。今や、その真逆である:T-Mobile Home Internet は、Wi-Fi 経由で機器に帰路としてのセルラーデータホットスポットに接続させてくれる。

驚くことではないが、T-Mobile には自ら "無制限" と呼ぶものに対する制限があるが、その内容ははっきり定義されておりそして理に適っているように見え、そして同社の全ての無制限サービスに適用される。基本的には T-Mobile Home Internet を、"利用可能なネットワーク容量の法外な量を自動的に消費する" 様なサーバーに類した目的或いはアプリのためには使えない。そこには、私の解釈では、例えば個人用にアーカイブするために巨大なビデオファイルを連続的にダウンロードするソフトウェアの様なものが含まれる。"無人での" 使用もまた許されていないので、オンラインのバックアップサービスに毎月ギガバイトのデータをアップロードするのも違法となるのであろうか?

T-Mobile は、かつて、欠けた部分を補うために互換性のある AT&T GSM ネットワークに依存した限定的なカバーエリア地図で知られていた。過去数年間、T-Mobile は値段を下げ、そしてそのセルプランにサービスを加えて来た。それが業界全体での値下げにつながった。そのカバーエリアをその野望と同じ程度にまで大きくするために、同社はまたその 3G と 4G ネットワークを積極的に構築し、そして 5G の下の階層を全国規模でサービス展開するのでも先陣を切った。T-Mobile によると、3億人に近い人が基本 5G でカバー出来ており、そのエリアに住む 1.25 億人は "Ultra Capacity" 5G でカバーされていると言う。後者は、平均速度 300 Mbps、ピーク値では 1 Gbps に達するとしている。

"5G とは何か、なぜこれがモバイルコミュニケーションの (現在でなく) 未来なのか" (11 November 2020) で記したように、5G ネットワークの謳い文句の一つは、高速のデータを提供するのに遙かに効率的で - そして、それ故にコスト効率が良い - 地方でも 5G 経由で提供される Internet サービスの恩恵を受けられることである。私は郊外及び都会での 5G Internet サービスについてはもっと悲観的であった:

私はシアトルにいて無制限のギガビット・インターネットに月額 $85 を払っている。米国においてワイヤレスプロバイダがたとえ 100 Mbps でもそれより安い価格で住居地向けのビデオやその他のためのサービスを提供できるとは想像しにくい。.

どうも T-Mobile も同じ様に考えていたように見える;$60 と言う積極的な価格設定と潜在顧客の3分の1という初期展開における相当重きを置いた地方でのカバー範囲からもそれが見て取れる。同社は、セルラー電話サービスを T-Mobile に乗り換えるという顧客からも更なる粗利益とより高い利益率を得ようと計画している様にも見える。

T-Mobile Home Internet は、ゲームを根本から変えるものではないかもしれないが、少なくともゲームを拡大させるものではある。提供するのは下りの速度がせいぜい 100 Mbps かそこら、そして上りは 5 Mbps に過ぎないという様な ISP が一つしかないという様な地域に住む人は沢山いる。郊外や都市によっては、その "高速" ブロードバンド会社は地元のケーブルプロバイダーであることがしばしばあり、彼らはバンドル外の Internet に割高な料金を課し、顧客を利益率の高い音声、ケーブル TV、プレミアムチャネル、そして Internet サービスのパッケージに囲い込もうとする。地方では、旧式な或いは低速の DSL を提供する有線電話会社、衛星 Internet 会社、或いは既存のセルラープランに人々は依存している.かもしれない。地方でも都会でも、Internet に対する最善の選択肢は、T-Mobile Home Internet よりも、より低速だったり、より高価だったり、或いはより多くの制約 (装置代や年契約の様な) があったりするかも知れない。

T-Mobile は一匹狼の様に見えるのを好むが、同社は通常言ったことはやる。この新しいサービスは、ブロードバンド革命の中にあって価格が高すぎて手が出なかったり、取り残されたりしている何百万という人々に対する素晴らしい選択肢となり得る。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Parallels Desktop 16.5

Parallels Desktop 16.5

Parallels が Parallels Desktop for Mac 仮想化ソフトウェアのバージョン 16.5 をリリースして、Apple の M1 チップを備えた Mac にネイティブでフル対応した。また、M1 ベース Mac 上で今回のリリースは Shared Network を使用するように構成されている場合に仮想マシンがインターネットに接続されない問題を解消し、マウスポインターが非常に重くなる問題に対処し、カーネルを 5.11.0 に更新した後に Ubuntu 21.04 仮想マシンが起動しないバグを修正した。Intel ベース Mac では、Parallels Desktop 16.5 は Linux カーネルバージョン 5.11 への対応を追加し、Boot Camp ベースの仮想マシンの起動に失敗する問題を解消し、Bridged Networking モードで動作している仮想マシンが誤って識別される問題に対処し、Internet Information Services アプリを使用するとエラーが表示されるバグを修正した。無料の 14 日間有効フル機能の試用版もある。(Standard Edition の年額講読 $79.99、Pro Edition は年額講読 $99.99、リリースノート、macOS 10.13.6+)

Parallels Desktop 16.5 の使用体験を話し合おう

1Password 7.8.1

1Password 7.8.1

AgileBits が 1Password 7.8.1 を出した。このパスワードマネージャにバグ修正や改善を施した、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートでは、秘密鍵を 1Password.com で再生成する際に再認証に失敗する問題を解消し、情報をコピーする際にデバイスを Universal Clipboard にオプトインできるようにし、Quick Look プラグインとその Spotlight 統合が壊れたバグを修正し、分離させたウィンドウからの項目リンクに関するバグを修正し、項目についての同期でコングリクトが起こったデータが自動記入されないようにし、電話番号フィールドのデフォルトのフィールドラベルが表示されなかったバグを修正した。(AgileBits または Mac App Store から独立動作のアプリ購入の場合 $64.99、講読の場合は月額 $2.99 または $4.99 (新規にアカウントをセットアップする TidBITS 会員は 6 か月間無料)、無料アップデート、71.5 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

1Password 7.8.1 の使用体験を話し合おう

Agenda 13

Agenda 13

Momenta が日付に集中したノート取りアプリ Agenda のバージョン 13 をリリースして、キーボードナビゲーションの追加とフィルタリング対応でメニューやカレンダーのナビゲーションを高速化した。今回のアップデートではまた、ノートの 複製・統合・分割 (また選択したテキストの新規ノートへの移動・コピー) が手軽にできるようにし、添付ファイル付きのノートでのパフォーマンスを改善し、日付フィルターを拡張してすべてのプロジェクトに適用するオプションを追加し、検索フィールドの隣にある点をタップすることで Done のマーク付き・マーク無しのノートのフィルタリングができるようにし、ピン留めしたノートや脚注を並べ替えできるようにし、移動された後のノートが食い違った状態に陥ることがあったバグを修正し、不正な日付フォーマットが日付や時刻の挿入を妨げていた問題を解消している。(無料、プレミアム機能のアプリ内購入 $24.99、無料アップデート、65.7 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Agenda 13 の使用体験を話し合おう

Default Folder X 5.5.8

Default Folder X 5.5.8

St. Clair Software が Default Folder X 5.5.8 をリリースして、バグ修正や改良を Open/Save ダイアログを拡張するこのユーティリティに施した。今回のリリースでは Path Finder のウィンドウでクリックすると Finder クリック機能が誤ったフォルダに切り替えていたバグを修正し、Path Finder および ForkLift のウィンドウの追跡を改良し、Favorites メニューがデフォルトフォルダの管理のために項目を正しく有効化・無効化できていなかったエラーを修正し、保存されたファイルのファイル名拡張子のチェックが必要となった場合にデフォルトフォルダが働かなかった問題を解消し、Default Folder X > Preferences > Options の Exclusion リストにアプリをドラッグできるようにした。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には新規購入 $10、アップグレード $5 の値引、Setapp からも入手可、15.5 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Default Folder X 5.5.8 の使用体験を話し合おう

Alfred 4.3.3

Alfred 4.3.3

Running with Crayons が Alfred 4.3.3 をリリースして、この Mac ベースのキーボード駆動ランチャーの Alfred Remote iOS アプリに改良を加えた。Alfred Remote は Mac 上の Alfred をコントロールし、頻繁に使うアクションを iOS デバイス上の便利なアイコンとして手元に置けるようにする。バージョン 1.5 の Alfred Remote は新しいグリッドオプションを追加し、ボタンラベルを隠せるようにし、ワークフローを削除する際にインストール済みの Alfred Remote ページが正しく削除されるようにした。Alfred 4.3.3 ではまた、macOS 11 Big Sur で電卓の浮動小数点の精度の問題を修正し、Alfred の File System Navigation から Return to open folders in Finder を使う際に Alfred が正しく隠されるようにし、Alfred の Preferences 全体にわたって画像の保存を修正した。(基本的機能は無料、Powerpack は 23 ポンド、4.7 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

Alfred 4.3.3 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Apple Fitness+、高齢者や妊娠中の女性のためのワークアウトを追加

Apple が Fitness+ サービスに高齢者や妊娠中の女性が手軽に運動できるための新しいワークアウトを追加すると発表した。また、Apple は高強度インターバルトレーニングや筋力トレーニング、およびヨガにさらなる初心者向けワークアウトを追加する予定だ。(現在の Apple Fitness+ のワークアウトがあまりにもハード過ぎるという声は私たちにも聞こえているので、今回の変更点は歓迎できると思う。) さらに、Apple はヨガと "mindful cooldown" の新しいトレーナーとして Jonelle Lewis を加え、Earth Day 用の Time to Walk 特別エピソードに Jane Fonda を登場させる。これらの新しいプログラムはすべて 2021 年 4 月 19 日から利用できる。

皆さんは Apple Fitness+ を試してみただろうか? 試してみて行き詰ってしまわなかっただろうか? もしそうなら、今回の新しいものがこのサービスへの興味をかき立てるだろうか?

[訳者注: Apple Fitness+ はオーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、英国および米国のみで利用できるサービスです。]

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Mac の死亡時チャイムにご用心

[警告: リンク先の記事の中にあるサウンドを聴いて不安になる、あるいはトラウマになると感じる人もいるかもしれない。サウンドを聴く前に、どうか心の準備をして頂きたい。たとえ Mac がこれらのサウンドを発しても、実際にそのハードウェアにダメージが起こった訳ではない。心臓がドキドキしたり胃がキリキリ痛んだりしても、それはあくまでも予期されたことだから。]

これまで TidBITS 記事で事前警告音について書いたことはなかったし、ましてや ExtraBIT で誰か他の人のそういう記事を紹介することもなかったけれど、512 Pixels に掲載された Stephen Hackett の Mac Chimes of Death という記事には紹介すべき価値がある。ここにはさまざまのクラシック Mac モデルが起動不可能な状態に陥った際に発した事前警告音のサウンドクリップが集められている。最初のサウンドを再生しても私は何とも思わなかったけれども、全部を聴くうちに、とりわけ Power Mac 6100 の発した自動車事故の音を聴いてからは、心臓が激しく鼓動するのを感じた。そうは言っても、おどろおどろしい Performa の死亡時チャイムを私はかなり気に入った。一度も聴いたことがなかったサウンドだ。これらのサウンドクリップを聴けばちょっと懐かしい思い出に浸れるかもしれないが、フラッシュバックには気を付けよう。

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Adobe 共同創立者 Charles Geschke が 81 歳で逝去

Adobe の共同創立者であり、デスクトップ出版革命の先駆者でもあった Dr. Charles Geschke が、2021 年 4 月 16 日に 81 歳で亡くなった。1980 年代初頭、Geschke は後に Adobe を共同創立した Dr. John Warnock と一緒に Xerox PARC で働いており、この二人は Interpress を開発した。これはページレイアウトを記述する言語で、同一の忠実度を持って作成・表示・印刷できるものであった。Xerox は、この上なく大きな機会を認識し商品化する能力に欠けるという同社の一貫した性質そのままに、このアイデアをやり過ごした。Geschke と Warnock は会社を去って二人で Adobe を創立し、PostScript を開発した。もちろん、Xerox PARC の方も数多くのグラフィカルなコンピューティング概念を開発し、それらがその後 Macintosh に着想を与えるに至った。

PostScript こそが、デスクトップ出版を可能とする鍵であった。Steve Jobs は Adobe から PostScript のライセンスを受けてレーザープリンタで利用し、初代の Apple LaserWriter がその種の PostScript プリンタとして出荷された第一号となった。Adobe はその後もグラフィカルなクリエイティブソフトウェアのほとんどあらゆる分野でアプリを生み出したり買収したりして、この会社を画像編集・グラフィックデザイン・出版・イラストレーション・アニメーション・ビデオその他数多くのものの大きな力とした。

Geschke は 1982 年に会社を創立してから 2000 年に社長の職を辞するまで、Adobe の日々の業務に精力的に取り組んだ。彼は Warnock と共に 1997 年から 2017 年まで理事会共同議長を務め、2020 年 4 月まで取締役を務めた。彼と Warnock はデザインとクリエイティビティのこの上なく大きな変化を世界に向けて解き放ったが、Geschke は大成功を収めたテクノロジー起業家たちが往々にして浴びるスポットライトからは遠ざかった生活を送った。

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