Apple が、近日中に Apple Music をロスレスオーディオで聴くことができるようになり、多くの楽曲が空間オーディオと Dolby Atmos サラウンド音響を提供するようになると発表した。Catalina のセキュリティアップデートをインストールしようとして再起動ループに巻き込まれたユーザーがいるが、Adam Engst がディスク容量を空けることで問題を解決できると説明する。インターネットアクセスの費用に困っている人たちのために、FCC と New York 州がそれぞれ新しいプログラムによって困窮した家庭でもブロードバンドの費用が出せるように援助すると約束する。それからもう一つ、AirTag をどんな風に利用できるか、またどんな不正利用の恐れがあるかと考えあぐねている人のために、Glenn Fleishman がいろいろなシナリオを捻り出して微妙な点を具体例を通して描き出す。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、Microsoft Office for Mac 16.49、1Password 7.8.2、Cyberduck 7.9、URL Manager Pro 5.8.1、それに DEVONthink 3.7.2 だ。
9to5Mac によれば、これらのアップグレードは June 2021 に iOS 14.6, iPadOS 14.6, macOS 11.4, そして tvOS 14.6 と共に Apple Music に登場するという。最初2千万の曲が無損失で、そして Apple Lossless Audio Codec を使ったライブラリ全体が年内に提供される。Apple は Dolby Atmos と Spatial Audio をサポートするためにどれ位多くの曲がリミックスされるかの具体的な情報は与えなかったが、Apple Music は Dolby Atmos プレイリストを提供するので、サラウンド音響のコンテンツは簡単に探せるであろう。
Apple Music は Dolby Atmos オーディオを、全ての AirPod と H1 又は W1 チップを持つ Beats ヘッドフォン、そして最新の iPhone, iPad, そして Mac - 少なくとも MacBook Pro の内蔵スピーカーで自動的に再生する。Apple は他のモデルについては何も言っていない。Apple はまたその発表の中で HomePod について触れていないが、Apple Music ページは HomePod 及び対応するスピーカーを備えた Apple TV 4K に対するサポートを明言している。このリストにないのは HomePod mini である。Dolby Atmos はまたサードパーティのヘッドフォンやスピーカーでも働くが、それは手動で有効化しなければならない。
Apple によると、Apple Music 無損失オーディオは "CD 品質" の 44.1 kHz/16 bit で始まり最高では 192 kHz/24 bit に達する。最高品質の設定を楽しむためには、digital-to-analog converter (DAC) が必要となる。品質が高くなればなるほど、音楽をストリームし保存するためにはより多くの帯域幅が必要になるので、セルラー、Wi-Fi、そしてダウンロードされた音楽に対してはそれぞれ異なる設定となり得る。
競合するサービスは既にその熱を感じている。Amazon は、無損失ストリーミングは Amazon Music 上で無料のアップグレードだと発表した。最も脅威を感じているサービスは恐らく Tidal であろう。それは、オーディオ品質をその際だった特長だとしてきた。Tidal はTidal Masters, を展開し始めた。それは超超一流の高品質オーディオを売りものにしているが、はたして、それは定期購読者を Apple Music から切り離しておけるだけの力を持つであろうか?
古い 2012 MacBook Air を私は最近使っていなかったので、System Preferences がアップデートを知らせるバッジを表示しても余り驚かなかった。それは、Security Update 2021-002 for macOS 10.15 Catalina と Safari 14.1 をインストールしたがっていたので、私は Update Now ボタンをタップし、そしてアップデートを完了するために再起動が必要だと伝えるダイアログを受け取った。いいとも、私は Restart をクリックした。
MacBook Air は即座に再起動し、そして私は再度ログインしたが、何もインストールされていないことに気付いた。私はもう一度試した、そしてもう一度、Mac はそのアップデートをインストールすること無く再起動するだけであった。私は異なる管理者アカウントに切り替えたが、問題が消えることは無く、また、問題に何らかの光を当ててくれるエラーダイアログも一切現れなかった。
US Federal Communications Commission (米国連邦通信委員会) は新しい Emergency Broadband Benefit Program を立ち上げ、COVID-19 パンデミックの最中に Internet サービスに対する支払いに困っている家庭を手助けする。2020 年に Congress は $3.2 billion の Emergency Broadband Connectivity Fund を設立した;この EBB Program は原資が枯渇する迄続けられる。
EBB Program は、参加するプロバイダーからの広帯域サービスに対して最大月額 $50 (原住民居住地に住む人に対しては月額 $75) の割引を資格のある世帯に提供する。更に、もし該当すれば、ラップトップ、デスクトップ、或いはタブレットに対して最大 $100 の1回限りの割引もより少数の参加プロバイダーから得られるが、$10 から $50 の自己負担も求められる。我々にはどの機器が対象となるのかは分からないが、Apple の最も安い製品は $329 の iPad であることを考えると、プロバイダーが Apple からの製品を提供するとは考えにくい。
EBB Program はその $3.2 billion の原資が底をついたら終了してしまうが、New York 州は、より強力な法をもって更に先を行く。その法は、New York 州で業務を展開する Internet サービス提供業者は資格を有する低所得世帯に対して月額 $15 で基礎的な広帯域サービス - 少なくとも 25 Mbps - を提供する事を課している。より速い速度が行き渡っている New York City の様な地域では、200 Mbps を超える高速広帯域サービスに対しては月額 $20 を上限としている。(現在の平均的な値段は月額 $50 である。)
New York の世帯で、以下の要件に該当するか、或いは無料又は割引学校給食を受けている者はこのプログラムの対象となる。要件には、補助的栄養支援プログラム給付金、Medicaid 給付金、高齢者或いは障害者家賃値上げ免除、或いは公益事業体からの支援給付金が含まれる。
更に、Schmidt Futures と Ford Foundation からの基金からは、2021-2022 学年度に州内の学生 50,000 人に対して無料の Internet アクセスが提供される。
Apple の AirTag は、相互交流のために設計されたデバイスを常々作っているこの会社にしては奇妙な製品だ。見た目はただのボタンで、Apple のクラウドソース化された Find My ネットワークの中で受動的に追跡されることを目的に設計されている。Find My ネットワークにオプトインしたあらゆる iPhone、iPad、および Mac が、この気まぐれなハードウェアに関する位置情報をプライバシー保護を施した上で提供する。
けれども Apple は、AirTag を所有する人と AirTag が近くにあるのを見つけた人との双方のプライバシーを中心に設計しており、ストーカー対策も組み込んでいる。その選択の結果として正当な使用と不当な使用の双方とも阻まれることはあり得る。私は Take Control of iOS & iPadOS Privacy and Security の最新版の中で技術的詳細を解説し、Find My ネットワークについての章を大幅に書き換えて、AirTag のペアリングと使用について、また他の Apple ハードウェアについても、詳しく記しておいた。
Bill にはいつも鍵が見つからない。場所を決めていつも同じところに置くか、あるいは玄関ドアの内側にフックを取り付けて掛けておくかすべきだとは分かっている。でも実際にはコートのポケットに入れっぱなしにしたり、テーブルの上に放り出してその上に郵便物をポンと置いたり、あるいは知らないうちにどこかあり得ないような場所、例えばパンの保存庫 (?!) に置いてしまったりするのが常だ。
今朝も、朝食を済ませた後で探し回っても見つからなかった。でも今日の Bill は AirTag を鍵束に取り付けてあり、iPhone 11 Pro を持っていた。彼は Find My アプリを起動し、鍵束の AirTag を選択して、Find Nearby をタップした。すると Find My アプリは彼の AirTag が発する超広帯域の電波に聞き耳を立てた。いったんロックオンすると、Bill は iPhone 11 Pro を持って家中を歩き回った。まるで、水を求めてダウジングするかのように、その間、Find My アプリは彼を正しい方向へと導き、順調に近付いていると緑色に光った。
もしも Bill がもっと AirTag から遠い場所にいれば、あるいは間に壁や本や洗濯物など障害物が多過ぎれば、Find My はよりパワフルだけれども無指向性の Bluetooth 信号を使い、もう少し大まかな道案内をしてくれる。そうして近くに来れば、もう一度 Find Nearby をタップすることで超広帯域の電波が今度は彼の iPhone に届くかどうか試してみることができる。
Nic は Find My を起動してみたが、ラップトップバッグの AirTag の最近の位置情報は表示されなかった。そこで Lost Mode のところの Enable をタップして、自分の電話番号を入力した。眠れない夜を通して、もうコンピュータは戻って来ないんじゃないかという思いに苛まれた。でも朝になって電話で起こされ、良い知らせが届いた。図書館のスタッフが朝早く図書館を開けようとしてバッグに気付いたのだ。このスタッフは Android フォンしか持っていなかったので、AirTag は Find My で位置情報をアップデートできなかった。
Chai の MacBook Air も、スケッチブックも、その他いろいろなものがバッグに入っていたし、非常用の $20 紙幣も、AirTag も入っていた。ただ彼女は iPhone だけは手洗い所へ持って行っていた。そこで Find My アプリを開いて、AirTag に "lost" のマークを付け、アップデートを待った。数分後に反応があった。警察に電話しようとも思ったのだが、すぐには来てくれないだろうからあまり役に立たないと思い直して、バッグを自分で探そうと決めた。ただ、あまり近付き過ぎて自分の身を危険に晒さないように気を付けようとも思った。
地図に示された場所に近付くと、彼女は Find Nearby をタップして、位置情報を入手し始めた。えっ、こんな裏通りの奥にあるはずないんじゃ? 確かに、ここは危険な場所に見える。でももう少し近付いてみると、自分のバッグが地面に落ちているのが見え、周りには誰もいなかった。素早く開けて確かめると、MacBook Air と非常用の現金はなくなっていたが、スケッチブックやその他のものはすべてそのままあった。彼女は Find My を使って信号を送り、盗人がもう一度インターネットに接続した場合に備えて自分の MacBook Air を消去した。それから保険会社に電話した。
残念でした、Charlie
Charlie はもっと運が悪かった。AirTag を入れておいた彼のバックパックは、空いていた窓を見つけて壁をよじ登り彼の家に侵入した泥棒に持ち去られていた。彼は Find My の中でほんのしばらくの間だけその位置を見ることができたが、その後消えてしまった。結局バックパックは見つからなかったし、追跡のアップデートももう二度となかったので、彼はきっと賢い泥棒がバックパックの中を探して、AirTag のバッテリーを取り外したか叩き壊してしまったのだろうと思った。
「あのビープ音はどこで鳴ってるのかな」と Yuen は思った。彼は自分のものでそんな音を出すものには思い至らなかった。探し回ったあげく、バックパックのポケットのジッパーを一つ一つ開けてポケットの底を調べてみた。すると、思い当たらないものを一つ見つけた。小さな袋で、きつく締め上げられている。開いてみると、中から Apple ロゴの付いた小さな丸いボタンが出てきた。
Google で調べてみて、Yuen はこれが AirTag だと知った。そこで彼は自分の Android フォンでこれをスキャンしてみた。タップしてこれに付随したウェブページを開くと、何のためのものかが分かり、たちまち血の凍る思いがした。これは、嫉妬に狂った元ボーイフレンドが仕込んだものだったのか? 相手を制御したがる性格のあの人物と別れたのは、まさにこの種の理由だったのではないか? Yuen は Apple が示したリンクに法執行機関への連絡方法が示されているのに気付いた。
この記事に書いたことは、これから AirTags が利用されたり不正利用されたりするであろうさまざまの事例の、ほんの上っ面をなでたに過ぎない。私には、このシステムの一部の機能については今後 Apple がさらなる磨きをかける必要があるように感じられる。AirTag が音を立てるまでにどのくらいの時間間隔を置くか、一緒に移動中の AirTag についての警告をどの程度素早く出すか、それと、たった一つの設定項目によってすべての警告が無効化されてしまうという事実、これらのことはすべて、さらなる熟考を要する。
自分が追跡されていることを知る前の時間間隔のいくつかは、あまりにも大き過ぎて Apple が阻止したいと思っている不正行為を可能にしてしまっている。The Washington Post の Geoffrey Fowler は許可を得て追跡の実験をしてみた結果、数々の抜け穴や例外があることを見つけ、頭の切れるストーカーや悪用者がそこを突くことはあり得ると指摘した。
Microsoft が Office for Mac のバージョン 16.49 をリリースして、Microsoft 365 デザインとの一貫性を維持しつつ macOS 11 Big Sur の感触も取り込んで見栄えを一新した。Outlook は今回から委任シナリオを設定して共有メールボックスを開くことができるようになり、スペルと文法のチェックや文章の修正候補を追加し、新しいディクテーションツールバー、音声コマンド、および自動句読点機能を導入し、電子メールメッセージのコピーを送信したり Teams チャットを開始したりできるようになった。Teams は AI ベースのノイズ抑制機能で 4 つのレベルのノイズ抑制を提供し (ただし M1 ベース Mac では使えない)、チャットで特定のメッセージに返信できるようになった。(一回限りの購入は $149.99、年払い講読オプションは $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、macOS 10.14+)
封筒の中に AirTag を放り込んで友人に郵送したらどうなるかと考えてみたことはないだろうか。Take Control 著者であり時々 TidBITS にも寄稿してくれる Kirk McElhearn が実際に Stratford-upon-Avon から London へ郵送して試してみた。彼は自分の Mac 上でスクリプトを設定して Find My アプリのスクリーンショットを 2 分ごとに撮り、AirTag が旅する様子を記録した。驚いたことに、AirTag はリアルタイムの追跡のために設計されている訳ではないにもかかわらず、Kirk はまるでスパイ映画の中のように刻々と状況を追跡できた。これはまさに Apple の Find My ネットワークの規模を証しするものだ。