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#1568: 卓上用 M1 Mac、画像エディタ RAW Power 3、Ellume の家庭用 COVID-19 検査、Apple 製品とペースメーカー

健康はますますハイテクになりつつある。最近 Adam Engst は COVID-19 にかかったのではないかと心配になったが、iPhone を使って抗原検査をする Ellume COVID-19 Home Test のお陰で安心することができた。ペースメーカーその他の埋め込み型医療機器を使っている人たちのために、Apple は今回 Apple 製品からの磁気干渉に関係した指針を更新した。現在は 4 つの Mac モデルが同じ M1 プロセッサを共有しているが、あなたの机の上に最もふさわしいのはどれだろうか? Julio Ojeda-Zapata がいろいろな選択肢を調べて、あなたに最も適した Mac を選ぶための助言を述べる。Jeff Carlson は写真愛好家のための有能な RAW 画像エディタ RAW Power 3 を詳しく検討する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Lightroom Classic 10.3、Microsoft Office for Mac 16.50、Little Snitch 5.2.1、Timing 2021.4、BBEdit 13.5.7、Zoom 5.7、Tinderbox 9.0、ScreenFlow 10.0、SoundSource 5.3.4、PDFpen と PDFpenPro 13.1、それに Final Cut Pro 10.5.3, Compressor 4.5.3, Motion 5.5.2 だ。

Adam Engst Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple、埋め込み型医療機器との磁気干渉についての注意を更新

今年初めに、我々は iPhone 12 モデルの MagSafe 充電技術がペースメーカー、除細動器、等々の医療機器と干渉する可能性がある懸念について報じた ("iPhone 12 や他の磁石内蔵の家電製品を埋め込み型医療機器に近づけないように" 25 January 2021 参照)。当時、Apple はこう言っていた:

iPhone 12 の全モデルには以前の iPhone モデルより多くの磁石が含まれていますが、以前の iPhone モデルよりも医療機器への磁気干渉リスクが高くなることは予測されていません。

"iPhone の安全性に関する重要な情報" ページにある文言は変わっていないが、Apple はこの程、そのアドバイスを反復していた裏付け資料を改定した。"医療機器への磁気干渉の可能性について" の中で、Apple は引き続き磁気干渉の可能性を認め、懸念すべき程度に強い磁石を持つ Apple 製品のリストを提供している。そこには iPhone 12 と MagSafe アクセサリ、そして Pro Display XDR の様な予期しないであろう様なものも含まれる。このリストは長いものだが、覚えておくべき鍵となることは、近づけないよう気をつけることである。Apple が奨めるのは、これらの機器をその様な医療機器から少なくとも 6 インチ (15 cm)、ワイヤレス充電時には 12 インチ (30 cm) 以上の距離を保つことである。

何がこの変更をもたらしたのか? 批判回避が目的なのかもしれない。9to5Mac によると、American Heart Association は、埋め込み型心臓機器の近くに置かれた iPhone 12 Pro Max との間での干渉を示した最近の研究を報じたと言う。

安全第一で行こう。もし埋め込み医療機器を持っているのであれば、Apple の磁石利用製品とは十分な距離を取るように。同じ事が、他の磁石を有する製品にも言える - Apple はここで何も尋常でないことをしているわけではない。もっとも、同社は磁石を搭載することが好きである!

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Ellume COVID-19 Home Test はハイテック

振り返ってみると、私は終日思い当たる理由もなく寒気がしており、友人達との夕方の走りは苦闘であった。私は、自分の動きの悪さと筋肉痛は前日の速度練習のせいだと思っていたが、ゴールした直後に、全身のふしぶしが痛みだしそして震えが止まらなくなった。我々の伝統のピザとサイダーは到底無理で、我々は失礼を詫び、Tonya が私を家に連れて帰ってくれた。シャワーを浴びた後、私はベッドに直行したが、熱が出て、よく眠れなかった。朝までに熱は下がり、疲れ切ってはいたが気分は悪くなかった。

私は、新型コロナウィルスに対しては必要なワクチン接種を済ませており (Tompkins County の 64% の人達と同様)、また、最近屋内でワクチンを打っていない人と接触した事もない。何れにしろ、可能性を無視する事は不可能で - どれ程低いとしても - 私は COVID-19 のブレークスルー感染 (ワクチン接種済みの人が罹患すること) したのかもしれない。少し調べてみたら、COVID-19 に対する迅速抗原検査キットが幾つか出ている事が分かり、そして MIT Technology Review の比較検討記事から Ellume 検査キットが良さそうに見えた。それは米国では、凡そ $40 で CVS ドラッグストアか CVS.com からオンラインで買える。

Ellume COVID-19 Home Test Kit

さて、皆さんは TidBITS ならコンピュータウィルスや反マルウェアアプリを取り上げるものだとお思いであろうが、何故、コロナウィルスと COVID-19 検査なのか?  私が驚いたのは、Ellume 検査キットが如何にハイテクであるかと言う事であり、同社はまた、その技術を使って、結構複雑な過程をより単純にすることに成功している。更に、結果は直接私の iPhone に出てくる - 妊娠したかどうかを、いや、病気かどうかを見るために薄い色の線に目をこらす必要はない(競合する BinaxNOW Self Test は同じレベルのガイダンスを提供している様には見えず、また発色線の方式に依存している。)

Ellume COVID-19 Home Test animation of steps

それは強く心を捉える経験であった。アプリをダウンロードするのは最初少々不必要に感じたが、このキットに含まれる色々な構成要素を考えると、それが私を順序立てて案内してくれるやり方に感心させられた。事実、それはその全課程を説明するビデオをまず見る事を強制し、見ながら検査をやろうとすべきではないことを強調する。次に、手順毎の指示が来るが、とても簡潔明瞭で、追加のヒントや警告があちこちに散りばめられている。

簡単に言うと、液体を特製の容器に入れ、特製の鼻腔スワブを使い両側の鼻腔の内側を拭い (気持ちよくはないが苦痛ではない)、そしてそのスワブを容器にねじ込む。次に来るのが Analyzer で、端にあるボタンを押しながら Bluetooth を使って iPhone とペア付けする。次に、容器から5滴を - 容器内で既にスワブと混合されている - Analyzer の反対側にある穴に絞り出す。アプリを途切れることなく 15 分間働かせると、結果が出る。

ありがたいことに、私の検査結果は陰性で、二日後には私の調子は元に戻った。

Ellume 検査キットの長所:

短所もある:

Ellume COVID-19 Home Test email results

ブレークスルー感染は実際に起こっていることを思うと、とりわけ Delta 変異株で、家庭での迅速検査の役割は今後もあると思われる。ブレークスルー感染の危険性が高いという意味ではないが、過去 15 ヶ月の間 COVID-19 について心配ばかりしてきたので、似た様な症状を持つウィルス性の感染はどんなものでも直ちに懸念を生じさせるであろう。究極と言われる PCR 検査は、結果が出るまで1,2日かかる事を考えると (そして、その間自己隔離が必要とされる場合もある)、私は、ただ心の安心のために、Ellume 検査キットを手元に準備しておきたいと思う。

それに、もうアプリはインストール済みである。

もっと一般的な話をすれば、私は、家庭用検査キットに対する明るい未来を見ることが出来る。Ellume は COVID-19 Home Test と同じ様に見える使い捨てのインフルエンザ検査キットを開発している。インフルエンザは COVID-19 程感染力が強かったり、危険だったりしないが、このウィルスは - しばしば、日和見性の二次感染で -  致命的にもなり得る。そこまで行かないにしても、それは健康な人を数週間床につかせ、回復に数ヶ月を要することもある。この前、私がかかった時には、気分の悪さは2週間続き、咳と疲労感が取れるまでほぼ1ヶ月かかった。TidBITS 寄稿者の Glenn Fleishman は、あの厄介な 2017-2018 フルーシーズンの変異型にかかった後、回復するのに4ヶ月を要した。医者に診てもらう迄もなく、インフルエンザ感染を手早く見つけられるというのは、当面の計画作成や Tamiflu 処方箋をお願いするためには歓迎出来るであろう。

理想の話をすれば、その様な検査キットは使い捨てではないであろう。セキュリティ編集者の Rich Mogull は、救急医療士でもあるが、複数回使用の検査キットの問題点は汚染、前の検査からのと環境への露出からの両方、であると私に語ってくれた。それを防止するために、Ellume キットの全ての部品は個別にマイラー包装されていて、検査の準備が出来るまで開けないよう注意書きがされている。検査終了後は、このプラスチック部品はリサイクルするかゴミにするか以外に使い道はない。どちらが良いかの判断は難しい。と言うのも、プラスチック業界は数十年に亘りリサイクリングは経済的採算性があると言い続けてきたが、どう見ても真実とは思えないからである。ただ、不快な感じがするだけだが、他の現代的な製品よりはまだマシかなとは思う (私は、最近冷凍食品のプラスチック部品を初めて見た - 常軌を逸脱している)。

幾つかの病気を検出出来る家庭用検査機器の需要はあると私には思える。簡単に調べてみただけだが、その種のものは実際に存在するが、それらは大きさや値段から言っても、昔のマイクロコンピュータの様である。この "コンパクトな多様性解析免疫分析器r" ですら、重さは 88 ポンド (40 kg) あり、値段は中古でも凡そ $15,000 もする。

私は、この分野では専門家から最も遠い所にいると思うが、Ellume は感染病の検査が家庭でも出来る事を実証したし、私の生きている内に技術の世界がこれを可能にすることに賭けても良い。そして、たとえ間違っていたとしても、私は死んでおり気にもならないであろう。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   , 亀岡孝仁  

コンシューマ向けデスクトップ Mac 購入ガイド: あなたに向いているのは?

たいていの Mac ユーザーはラップトップ機を買っているようだが、Apple はデスクトップ Mac の方を好む人たちを見捨ててはいない。Apple が最近リリースした M1 ベース iMac は全く新しいデザインで生き生きとした色を取り揃えており、薄型の外形、先代の Intel モデルより優れたパフォーマンス、進化したウェブカメラの画質、その他を提供する。(2021 年 4 月 20 日の記事“Apple、新しい M1 ベース 24 インチ iMac を春色でリリース”参照。)

もしあなたも私と同じように、デスクトップ型の Mac の購入を検討しているなら、この M1 ベース iMac が魅力的かもしれない。私はここ数週間 Apple からレビュー用ユニットを借りて使っているが、これにぞっこん惚れ込んだ。ただ、後で述べるようにこれには一つ物理的な欠陥がある。

24-inch iMac color choices

けれども、そういう Mac のどれかに $1299 かそれ以上も支払う前に、デスクトップ Mac のあらゆる選択肢を考慮しておくべきだろう。私もそうした。この記事では予算の制約がある人のためのコンシューマレベルの選択肢のみに限定しているので、Mac ProPro Display XDR を付ければ最低でも $10,998 とかいう話はしないし、さらに言えば 5K Retina ディスプレイモデル 27 インチ iMac ($1799 以上) に触れることもしない。

けれども Mac mini は、昨年の秋に iMac やその他の新型 Apple silicon Mac に搭載されているのと同じ M1 チップを搭載して出た (2020 年 11 月 10 日の記事“Apple の M1 チップ駆動の新型 MacBook Air、MacBook Pro、Mac mini”参照) ものだが、検討すべき価値がある。この Mac mini の価格はディスプレイやキーボードやポインティングデバイスを含まずに $699 からだ。

それからまた M1 ベースの MacBook Air もあって、価格は $999 からだ。もちろんこれはラップトップ機だが、ディスプレイに繋いで、外付けの入力デバイスを取り付けて、少なくとも時々にはデスクトップモードでこれを使っている人たちは多い。M1 ベース 13 インチ MacBook Pro の価格は $1299 からだが、予算の制約がある人にはあまりお薦めできない。理由はあとで説明する。

読者の皆さんはこれらすべての Mac の選択肢について少なくとも表面的にはご存知だろうと思っているのだが、以下では皆さんがご存知でないかもしれない細かなことのニュアンスをお伝えできれば嬉しい。私自身はまだ何を買うべきか決断できていないので、この記事を書くことが自分のためにも役立つのではないかと思う。

モジュラー Mac

私が最も新しく購入した Mac はスペースグレイの Mac mini だ。これは 2018 年に発表され、第8世代の Intel i5 プロセッサ、8 GB のメモリ、256 GB のストレージを搭載して価格は $799 だ。ずっと調子良く使っていたが、去年私はこれを Apple の下取り提携会社 Phobio に $460 で売り渡した。

この Intel ベース Mac mini の代わりに M1 ベースのモデルを $699 で購入するつもりだった私だが、新型 iMac が出たので購入をちょっと保留にしている。でもやっぱり Mac mini で行くことになるかもしれない。Mac mini にはいくつか利点がある。好きなディスプレイを選べること、将来の取り替えが簡単なこと、旧型のポートにもアクセスできることだ。

M1-based Mac mini

好きなディスプレイを選べる。 Mac をスクリーンと分離することで、選択肢の世界が開ける。もしも予算の制約が厳しければ、$200 そこそこで十分な能力を持つディスプレイを付けて合計 $1000 以下の出費で済み、これなら入門レベルの iMac よりもかなり安い。その上、使えるディスプレイをあなたが既に持っているかもしれず、その場合には Mac そのもの以外に大きな費用はかからない。

私は自分が使っている中程度のディスプレイ、$699 の UltraFine 4K Display を気に入っている。これは LG 製だが Apple も関与しており、Apple のオンラインストアと物理的店舗との双方で販売されている。(2019 年 5 月 20 日の記事“Apple、LG の最新型 23.7 インチ UltraFine ディスプレイを披露”参照。) この 23.7 インチディスプレイは Thunderbolt 3 ポートで Mac に接続し、第二の Thunderbolt ポートと 3 基の USB-C ポートも備えていてハブとしても使える。

LG UltraFine 4K display

TidBITS 編集主任 Josh Centers は LG 製の 27UK850-W 27-inch という別のディスプレイを買った。(2020 年 12 月 18 日の記事“LG 27UK850-W: Mac 用の十分使える 27 インチディスプレイ”参照。) こちらは Thunderbolt 3 ではないが、USB-C ポートで Mac にリンクする。このディスプレイの価格は変動し、$600 を超えることもあるので、注目して値引き販売を待とう。Josh は $380 で手に入れた。

LG 27UK850-W display

Mac mini で 2 台のディスプレイを使いたい場合は話が少々複雑になる。Mac mini は 1 台の Thunderbolt ディスプレイにしか対応していないが、第二のディスプレイを HDMI ポート経由で接続することができる。そのためにはアダプタを使う必要があるかもしれない。

もちろん、外付け入力デバイスを追加する必要もある。Mac mini には付属していないからだ。選択肢はたくさんある。Apple の Magic Keyboard と Magic Trackpad を選べば間違いない。私も長年これらを使っている。けれども私は Magic Mouse が嫌いなので、Logitech の MX Master 3 を使っている。

Mac mini の素晴らしい点の一つは、例えば Apple Store の Genius Bar へ持って行かなければならなくなった場合に、持ち運びがこの上なく簡単なことだ。ディスプレイから取り外して、そのまま持って行ける。その点、iMac ではディスプレイが統合されているので、あらゆる種類の運搬が大仕事だ。

Mac mini は交換が簡単。 私はオール・イン・ワンの Mac を何十年も使ってきて、Mac Classic や Color Classic から各種の iMac までさまざま使ったが、初めて Mac mini に乗り換えた時には非常に違和感があった一方で 理にかなったことにも思えた。十分良いディスプレイを買ってくれば、少なくとも2世代か3世代の Mac を通じて同じディスプレイを使い続けられるだろう、と私は考えを巡らせた。Mac mini だけを交換すればよいということは、言わば脳移植のようなもので、お金の節約になる。

Mac mini には旧型のポートが付く。 M1 ベース Mac の多くはポートの選択肢に制約があって、ユーザーはやむなくドングルやドックに投資せざるを得なくなる。その点 Mac mini は例外で、2 基の USB-A ポート、1 基の HDMI ポート、1 基の Ethernet ポート、それに標準的な 2 基の Thunderbolt ポートが付く。

二つ折り Mac

私は Mac のラップトップ機を自分で買ったことはないが、レビュー用に Apple から送ってもらったどのラップトップ機にも私は LG UltraFine ディスプレイを差し込んで使った。ラップトップ機を開いたまま Twelve South の Curve スタンドに乗せて、そちらを第二ディスプレイとして使ったこともある。また、ラップトップ機を閉じたままにして“貝殻”モードで使ったこともある。

MacBook Air with a second display

そのように配置することで、とても大きな人間工学的利点が得られる。普段からラップトップ機を使っている人たちの多くはラップトップのスクリーンを覗き込む姿勢を続けることで首の凝りを経験している。そういう姿勢が健康に与える影響について考えたこともない人たちも多いようだが、これを機会にそのことを指摘できれば嬉しい。

MacBook をデスクトップ用ディスプレイに接続することの明らかな利点がもう一つある。それは、作業に使うスクリーンの面積が増えることだ。とりわけ、第二スクリーンとしてラップトップ機を置いて使う場合にそれが言える。

ラップトップ機とディスプレイを並べて使うことは、仕事場や自宅で作業空間を共有する場合にも役に立つ。例えばお母さんとお父さんと子供たちがそれぞれラップトップ機を持ちながら家の中を動き回るところを想像してみよう。たいていの場合はそれで何の問題も起こらないが、誰かがより良い人間工学やより大きなスクリーン面積を望めば、共用のディスプレイにケーブルを差し込むだけでよい。

Mac ラップトップ機と外付けディスプレイの組み合わせというのは、必ずしも費用が高くつくとは限らない。$999 の MacBook Air に、ちゃんとしたモニタを追加しても、出費は合わせて $1400 程度まで、つまり中程度の iMac の価格と同じくらいだ。

MacBook Air

外付けスクリーンが 2 台欲しい場合はどうするか? M1 ベースの MacBook Air は Intel ベースの前世代と違ってデュアルディスプレイのネイティブ対応を持たない。でも、回避策はある。Kensington などの会社が、 この問題を回避できるハードウェアとソフトウェアを出しているからだ。iPad を持っているなら、それを外付けスクリーンとして使う方法が Apple の Sidecar 機能を使うやり方 (2019 年 10 月 21 日の記事“Catalina の Sidecar 機能で iPad を Mac の第2モニタにする”参照) とLuna DisplayDuet Display などサードパーティを使うやり方 (2018 年 12 月 7 日の記事“Luna Display を使えば iPad が反応の良い Mac スクリーンに”と 2021 年 2 月 22 日の記事“Mountie を使って MacBook に iPad を第二ディスプレイとして取付ける”参照) の二通りある。

旧型のポートが必要な場合はどうするか? MacBook Air にはたった 2 基の Thunderbolt ポートと 1 基のオーディオジャックしか付いていないが、外付けディスプレイを通じて追加のポートを得ることができる (Josh が購入した LG モデルには 2 基の HDMI ポートと 2 基の USB-A ポート、それにヘッドフォンジャックと 1 基の USB-C ポートが付いている) し、Thunderbolt 3 ドック (私は Elgato のドックを気に入っていて、これには 2 基の Thunderbolt ポート、3 基の USB-A ポート、1 基の Gigabit Ethernet ポート、1 基の DisplayPort、加えてヘッドフォンポートとマイクロフォンポートが付く) を使うこともできる。

もう一つのラップトップ機の選択肢として 13 インチ MacBook Pro もあるが、Touch Bar 搭載モデルをお持ちでない限り (そのモデルを持っている人はあまり多くないようだ)、私はお薦めできない。スクリーンは MacBook Air に比べてほんの少し明るいだけだ。MacBook Air にはないファンを搭載しているお陰でほんの少しだけパフォーマンスが優れているに過ぎず、日常的な使用でその恩恵を得られることはまずない。なのに MacBook Air に比べてかさばるし、重い。そしてもちろん、値段も高い。

デザインが古臭いという理由で M1 ベースの MacBook Air や MacBook Pro を買う気になれないという人もいるかもしれない。(Intel ベースの前モデルと見た目にはほとんど同じだからだ。) けれどもデザインを一新したコンシューマ向け MacBook が出るまでにはまだしばらく時間がかかるかもしれない。噂によれば、フレッシュな見栄えを備えた Pro レベルのラップトップ機が先に、おそらく今年中に出るらしいとのことだし、コンシューマ向けのデザイン改訂は年末か、それとも 2022 年に入ってからではないだろうか。もしも私がコンシューマ向けラップトップ機を購入予定だったとしたら、私なら出るまで待つだろうが、誰もがそんな余裕を持てる訳でもないだろう。

美しい Mac

1990 年代、Apple の初代 iMac は、部分的には、殆どがベージュのパーソナルコンピュータ時代であったものを活性化する明るい色彩を導入したことでも有名であった。控えめなホワイト、シルバー、グレーの色調の iMac が何世代も続いた長い空白期間の後、色が 24-inch iMac と共に戻ってきた。

色は、私の借り物の iMac が好きな理由の一つである。背面はダークブルーで、正面のディスプレイの下の "あご" の部分はより薄いブルーの色調である。私は、パープルモデルにはもっと惹かれているが、それは Minnesota の Prince を思い起こさせてくれるからである。Apple はまた iMac をグリーン、イエロー、オレンジ、ピンク、そしてシルバーででも出している。(入門レベル構成では、ブルー、グリーン、ピンク、そしてシルバーしか選べないが、より高級な構成では全ての色が選べる。)

24-inch iMac in blue

その通り、色はクールだが、M1-based iMac を他の選択肢を超えて選ぶ実用的な理由もある。

便利さ。 必要なもの全てを一体型として手に出来、机空間の最大化とケーブルの乱雑さの最小化が可能となる。この概念は初代 iMac から変わっていないが、これらの新型モデルは、iPad をスタンドに据え付けたようにすら感じさせる程薄い本体で既成概念の枠を超えている (それは初代の iPhone よりも薄い)。この薄さが実現出来たのは一部には、M1 内部構造の省空間の特性、及びオプションで Ethernet ジャックが付けられる外部電源アダプタのお陰である。

重さは 10 ポンド (4.5 kg) 以下で、この iMac は簡単に持ち運べる。それは Mac mini や MacBook Air よりは扱いづらいかも知れないが、統合されたディスプレイを持つ如何なる Mac よりも動かしやすいのは間違いない。

より良いウェブカム。 iMac を Mac mini に切り替えて以来、私はビデオ会議に苦闘している。これは、パンデミックでその重要性が増す中では不幸なことであった。内蔵カメラを持たない私のディスプレイの上に外付けのウェブカムを取り付けるのは不格好だし、それに私はケーブルの乱雑さも嫌いである。もっと悪いことに、私が試した色々なサードパーティウェブカムは、私の照明が一様でないホームオフィスで安定した画像品質を保つのが難しく、ソフトウェアユーティリティを使って対処することが必要となったが、満足出来る結果は得られなかった。皆さんも、似た様な問題に直面したことがあるかも知れない;ウェブカムは扱いにくい獣となる場合もある。

以前より良くなったビデオ品質が、私が 24-inch iMac の購入を検討している大きな理由の一つである。私の借り物のマシン上で初めてビデオチャットをやった時の画像品質に私は驚嘆した。それは 1080p の解像度を持つ最初の iMac ウェブカムである。より大型のセンサーを持ち低照度下での性能が改善され、更に計算画像処理による画質改善もなされる。Apple はここで素晴らしい仕事をした。敢えてあら探しをすれば、Apple は何故フルの 4K に行かなかったのかと思ったりもするが、その解像度の違いが実際に分かるか私は自信がない。

外付けディスプレイサポート。 TidBITS 出版者 Adam Engst は、最近私に iMac を外付けモニターとペア付けしてデュアルディスプレイでコンピュータを使うこと薦めてきた。その様な設定は何も新しいものではないが (iMac はこの機能を何年も前からサポートしている)、私にとっては思いがけない体験であり、もう二度と単一画面に帰ることは出来ないと思う。

設定はいたって簡単である;iMac とディスプレイの間を Thunderbolt 3 ケーブルでつなぐだけである。私の LG UltraFine と借り物の 24-inch iMac は完璧に働いた。M1-based iMac だと、外付けディスプレイは1台に限られるが、より以前の iMac だと、最大2台までネイティブにサポートする。(現実的には、3台のディスプレイだと、端と端の間が結構離れるので作業はやりづらくなるのかも知れない。)

従って、もう既に好みの外付けディスプレイをお持ちなら、iMac を買ってそのモニターの隣に並べるだけで、デュアルディスプレイの作業環境が整う。

24-inch iMac の従来ポートの不足は、MacBook Air の場合と同様に問題である。入門レベルの iMac には2つの Thunderbolt ポートしか付いておらず (ヘッドフォンジャックはある)、より高級な構成だと更に2つの USB-C ポートが付く。Ethernet ポートは外部電源アダプタに付いているが、より高級な構成に対してのみである;入門レベル iMac の電源アダプタに対しては、余分にお金を払わない限りこのポートは付いていない。Apple が Ethernet ポートや他の従来ポートを外した理由は見え見えである:iMac は薄すぎてそれらを収納出来ないのである。

繰り返しになるが、外付けディスプレイは iMac にはない従来ポートを付け加えられるので、2台目のディスプレイを考えるもう一つの理由ともなる。さもなくば、Thunderbolt 3 ドックを買うこと。

Touch ID サポート。 最近の Apple ラップトップ上に見られる Touch ID センサーは、Mac のロック解除 (そしてロック) にそしてパスワードの自動記入に便利である;Apple Pay 取引;そして Apple の iTunes, App Store, そして Books 店頭での購入に。更に、ユーザー切り替えを手早くやるのにも便利である。

しかしながら、Touch ID はこれ迄デスクトップ Mac ユーザに対しては選択肢でなかった。今や、Apple は Touch ID をデスクトップに対して Touch ID Magic Keyboard の形で提供している。でも、裏がある:それは M1-based 24-inch iMac の購入が前提である。Apple はそれをより高級な構成に対してはバンドルしているが、入門レベルではオプションである。しかし、それはどんな M1-based Mac でも使え、いずれは単独でも買えるようになるべきである。

Touch ID Magic Keyboard は、iMac と色合わせされており、タッチセンサーは右上隅に配置され、期待通りに働いた。

Touch ID on 24-inch iMac

Mac を自動的にロック解除することに興味があるのであれば、覚えておくべきことが一つある - Apple Watch でも同じ事が出来るので、Touch ID は必要ないかもしれない。

音質。 24-inch iMac に組み込まれているスピーカーは iMac としてはこれ迄で一番のもので、とてもよく聞こえる。外部スピーカーを買う手間は省ける。M1-based Mac mini, MacBook Air, そして 13-inch MacBook Pro からの音はこれ程には良くないので、HomePod mini や他の外部スピーカーが欲しくなるかもしれない。

24-inch iMac に関しては、一つの問題の可能性がある。私が初めて iMac を梱包から出して、私の立ち机の上に置いた時、それが少し傾いているように見えて戸惑ってしまった。私は、それは我が家の床のゆがみやオフィスの壁の不整のせいにした。前にもそれで気分が悪くなったことがある。私は数枚のメモ紙を iMac スタンドの片方の下に挟み、それ以上考え込まないようにした。

結果的に、私のものは文書にも十分記録されている物理的欠陥を持っているものであることが分かった: スクリーンがベースに組み立てられる時少し傾いて取り付けられというのである。私が見た報告では、その傾きの度合いは、1 mm から数 mm の間にばらついていると言う。私のものの場合、それは 1 mm ズレており、私の気を変にさせるには十分であった - もう見てしまったので、見なかった事には出来ない。何れにしろ、私の iMac は他の全ての面で欠陥なく機能しているので、購入を控えるように言う積もりはない。しかし、購入品を包装から出したら、まず iMac を定規で測り、もし水平でなかったら、交換か返金を強く主張すべきである。(Apple には 14 日間の無条件返金制度がある。)

これが、極度に注意深い Apple ユーザーが真新しいハードウェアデザインにお金を使う前に少し待つ理由でもある。Apple の全体的な実績は良いが、この様な不備は出てくる。従って、注文する前に他の人が何らかの問題を報告しているかを見るために少し待つのは価値があることである。Apple がこの問題を認識し、そしてそれに対処するための修理プログラムを始めるかを我々は見定めなければならない。

どの Mac?

M1-based 24-inch iMac の登場で、デスクトップ Mac を物色するのはより興味のわく - そして難しい - ものになった。しかし、Apple は決定要素の一つを簡単にした:全ての Mac は同じ M1 プロセッサを使っているので、性能面ではどれも似た様なものとなっている。従って、Mac の選択は他の要素に基づくことになる。

私は、モバイルコンピューティングには iPad を使うのを好んでいて、ラップトップは求めていないので、Mac mini と 24-inch iMac の間で揺れ動いている。難しい判断である。Mac mini 方式は、より経済的だが、2台目のディスプレイのために更にお金を出さない限り単一ディスプレイとなってしまう。iMac の方はもっとお金がかかるが、二つのディスプレイ、それに真新しいデザインと Touch ID を手に出来る。しかし、もし iMac を買うなら、画面は水平でなければならない。

続きをお楽しみに - 私が何にしたかは下記のコメントでお知らせする。

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Jeff Carlson  訳: Mark Nagata   

RAW および ProRAW 写真を RAW Power 3 を使って編集

全自動デジタルカメラからもっと高機能なものへ飛び移る決断をした時、私は新たな選択に直面した。画像の撮影を RAW か JPEG か、どちらのフォーマットでするかという選択だ。それ以前には、私のカメラはいずれも JPEG で撮影していた。これは素晴らしい見栄えだけれども、実は大幅に圧縮された写真だ。RAW の方が良いという助言の声は聞こえていた。その理由は、このフォーマットがセンサーが捉えた生のデータをそのまま封入していて、カメラ内での処理を一切施していないものだからだ。その上、プロたちはこちらを使っているのだし (もちろん私はできるだけプロ風の人でいたい)、私も思い切って高いところから深い写真の世界へと飛び込みたい気分だった。(明確化のために言っておくと、RAW は頭字語ではない。これは普通の形容詞 raw であって、ただ JPEG、TIFF、PNG その他、頭字語で作られた他のフォーマットの名前と並べられるようにわざと大文字にしてあるだけだ。)

RAW 写真は、JPEG 写真に比べて良いものになり得る。場合によっては劇的に良くなる。ただしそのためには多少の作業が必要で、どうすれば良くできるかのノウハウを知っている必要がある。ここで紹介する RAW Power は Gentlemen Coders が出している macOS、iOS および iPadOS 用のアプリで、RAW が写真編集に持ち込んだオプションを十分に使いこなせる機能を備えている。加えてこのアプリは iPhone 12 Pro と iPhone 12 Pro Max の ProRAW フォーマットをも正しく処理することができる数少ないツールの一つであり、Apple の Photos アプリさえも凌ぐものだと言える。

最初に免責事項を述べておこう: RAW Power の開発者 Nik Bhatt は、私の PhotoActive ポッドキャストのゲストとなってくれたことがあるし、初期にはスポンサーでもあった。彼は TidBITS に記事“Mac 用と iOS 用 Photos における非破壊編集の裏と表”(2019 年 6 月 14 日) を書いたこともある。

JPEG、HEIF、そして RAW 入門

RAW Power について語るためには、RAW フォーマットについて、それが一般的な全自動デジタルカメラの撮影する画像の大多数とどのように違うかについて、最初に手早く説明しておかなければならない。JPEG (Joint Photographic Experts Group の省略形で、この組織がこの方式を作った) は、小さなサイズで良い画像を作るために設計されたファイルフォーマットおよび圧縮スキームだ。カメラのメモリカードがメガバイト (MB) 単位で測られていた時代、今のようなマルチ・ギガバイト (GB) のカードなど存在しなかった時代には、ファイルサイズが小さいことが特に重要な点であった。

JPEG はデータを捨てることによってサイズの削減を得る。これは ロッシー (非可逆) 圧縮 という名前で知られている。そのアルゴリズムは普通の人の目では違いに気付かないほどよく似かよった色の領域を特定して、その領域をより少ない色を使って混ぜ込む。画像データはカメラ内で処理されるので、写真は圧縮後のものしか保存されない。たいていの場合このアルゴリズムがうまく働くので、私たちは圧縮されていることやビット深度が少なくなったことに気付かない。だからこそ、長年にわたって JPEG はデジタル写真の支配的な位置にあり続けたのだ。

iOS 11 以来、iPhone は HEIF (High Efficiency Image Format) と呼ばれる新しいフォーマットで写真を撮影するようになった。これもまた、ロッシー (非可逆) 圧縮を使う。ここでは簡単のために JPEG と HEIF を同じ仲間にまとめておくことにしよう。いずれも、画像はカメラ内で処理され圧縮される。HEIF 画像は画像編集ソフトウェアの世界の中で JPEG ほどには互換性を持たない。だからこそ、iPhone の Camera アプリには画像を JPEG で保存するオプション (Settings > Camera > Formats > Most Compatible) があるのだ。そうは言っても、私自身はその設定を High Efficiency にしたままにしているが、日々の編集作業で互換性の問題に遭遇したことはない。それは一つには、iOS が通常、書き出しの際に HEIF 画像を JPEG に変換しているからだろう。

対照的に、RAW ファイルは画像センサーが記録したデータのみを含む。RAW 写真は画像ですらなく、センサー上の個々のピクセルが捉えた光のレベルを表わす1と0の羅列に過ぎない。RAW ファイルのサイズは JPEG よりずっと大きい。私の Fujifilm X-T3 カメラが撮影した写真は一枚 56 MB 程度だが、同じ画像を JPEG で保存すると 12 MB ほどになる。(中判カメラの Fujifilm GFX 100S が撮影した 102-million ピクセルの RAW 画像は一枚 200 MB ほどにもなる!)

中間的な可能性もある。Apple ProRAW は RAW 画像のダイナミックレンジを Apple が HEIF や JPEG 画像の処理の際に適用する計算写真学と組み合わせる。これもサイズは大きめで、一枚 25 MB 程度だ。

iPhone や iPad で RAW 画像を撮影することも可能だが、そのためにはサードパーティのアプリ、例えば HalideAdobe LightroomManual などが必要だ。iOS 14.3 以降では、iPhone 12 Pro と iPhone 12 Pro Max の Camera アプリがオプションとして Apple ProRAW フォーマットでの撮影も提供する。

RAW 画像が JPEG 画像よりも優れているのは、まさにそのサイズの違いの中にある。つまり、それを編集しようとする際にずっと多くのデータを相手にすることができる。

そして実際、RAW 画像では編集作業が 必須 だ。

RAW 画像の編集

JPEG 写真を編集する際には、ピクセルの輝度と色を処理する。単純化し過ぎるのをお許し頂きたいが、暗い画像で露出を上げると、黒のピクセルがグレーにシフトし、ダークブルーのピクセルがライトブルーになり、という感じになる。編集ソフトウェアはそのツールを使ってこれらのピクセルの見栄えを (私の例えよりは賢いアルゴリズムで) 変更する。

対照的に RAW ファイルには、厳密に言って、ピクセルなど含まれていない。その画像が処理された段階でピクセルにどんな色が対応するかについての情報が含まれているだけだ。フィルムに撮影した写真が化学薬品に通して現像することで初めてどの領域が光に晒されたかを目に見えるようにするのと同じことで、RAW ファイルの中の画像はソフトウェアがそのデータを読み取ってからその情報に基づいて個々のピクセルの色を割り当てる“現像”の作業をしなければ目に見えるようにならない。

それは一見表面的な違いに聞こえるかもしれない。JPEG と RAW のファイルはどちらも私たちには画像として見えるのであって、RAW ファイルをネイティブな形で私たちが目にすることはないからだ。例えば私たちがそれを Photos アプリで開くと、私たちの目には色のついたピクセルが見えるが、それは単に Photos が RAW データを解釈して画像を作成し、私たちに見せてくれるだけだ。

そういうことがいったいなぜ重要なのか? RAW ファイルには、ただ単に「このピクセルは黒でこちらのピクセルは青だ」ということ以上の、もっと多くの情報が含まれている。カメラのメーカーが新しいモデルのカメラを作る際には、そのカメラやセンサーの特性を利用する、あるいは特性を補うためにその生のフォーマットに調整を加える。例えば、高い ISO 設定でノイズが増してしまうセンサーを使っているならば、その RAW ファイルには編集アプリがその種のノイズを最小化または除去できるようにするためのデータが含まれる。

そういう訳で、RAW での撮影には処理すべき画像データがより多く含まれているだけでなく、その画像が JPEG で保存された場合よりも優れた調整を施すことを狙った情報も含まれている。

さらにまた、それらの RAW 画像の編集が可能になることにさえ、時間差が関係してくることがある。メーカー各社はそれぞれ全体的には自社独自のフォーマットを使っていて、Canon は CR2、Fujifilm は RAF、Nikon は NEF といった具合だが、個々のカメラモデルが生成するファイルはそれぞれのモデル独自のものだ。例えばあなたが Fujifilm X-E3 カメラを持っていて、Fujifilm X-E4 に買い替えたとすると、現在 X-E3 の RAW ファイルを編集できている Photos アプリが X-E4 のファイルを編集できなくなってしまう。それは、Apple がまだそのモデルへの対応をオペレーティングシステムに追加していないからだ。

とりわけ厄介なのは、メーカー各社が RAW ファイルの仕様を公開しないという事実だ。ソフトウェアの開発者は、個々のモデルのフォーマットをリバース・エンジニア (解析) することによって対応しなければならない。この状況への対応として、Adobe が DNG RAW フォーマットを作成した。これは、よりオープンなフォーマットだが、どのカメラ会社にも採用されていない。しかしながら、Apple の RAW および ProRAW フォーマットは写真を DNG ファイルとして保存する。

RAW Power での編集作業

画像編集アプリの大多数は RAW 写真を扱うことができるが、概してそれらは一般的なアプローチを用いる。例えば、明暗と色調の調整は RAW の拡張されたダイナミックレンジを利用するけれども、そのためのコントロールはあらゆる画像で共通の Exposure や Sharpening と同じものを使っている。

その点、RAW Power は RAW をデコードする処理の一環として、特定の RAW 設定にターゲットを絞った追加のコントロールを含めることで画像編集にニュアンスを加える。RAW 画像を編集する際に、一連の RAW Processing コントロールが表示される。例えば、もし画像が露出オーバーならば、Boost スライダーを下げることで露出を下げて細部を取り戻すことができる。下の図では、建物の壁が日光に当たってまだらになった部分に質感と変化が追加され、空の雲がより鮮明になっている。

RAW Power's RAW Processing controls
Boost スライダーを下げる前 (左) と後 (右)

別の例として、多量のデジタルノイズを含んだ写真を見てみよう。この旧式のトラックの写真は暗い納屋の中で撮影したので、それを補うため私は ISO を 12,800 に上げ、結果としてノイズが出た。(ISO を高く設定すればセンサーの光感度が上がるので、誤った色を記録するピクセルが出てくる。) 300% にズームすればノイズのためザラザラした写真に見えるのだが、ここで右にある RAW Processing コントロールを見てみよう。Luma Noise と Color Noise のスライダーは既にそれぞれの場所に設定されている。これは RAW Power がその RAW ファイルから読み取った情報に基づいたものだ。

RAW Power's noise control options 1

もしもこの 2 つのスライダーをどちらも 0.0 に下げれば、センサーが実際に記録したのが何であったかの感じが分かる。まるで虹色の点々の爆発だ!

RAW Power's noise control options 2

Color Noise のデフォルト設定がこの万華鏡のような色を除去しているのだが、私は Luma Noise のスライダーを上げることで色以外のノイズの多くを最小化することができた。

RAW Power's noise control options 3

ノイズ補正の副作用として、画像がソフトな、水彩画のような見栄えになる傾向がある。ここで覚えておくべきなのが、RAW Power の有用なツールチップに目を向けることだ。コントロールのどれかの上にポインタをかざせば、ツールチップが出る。Detail スライダーのツールチップを見ると「ノイズ補正によって失われた粒子感を復活させる」と書いてある。おや、これは私がツールの名前から受けた第一印象とは違っている。それでも Detail スライダーを少し上げてみると鮮明度が増した (ノイズもいくらか増した) が、これと Luma Noise を両方調節することで私はまずまずの妥協点を見つけ、写真がかなり自然に見えるようになった。確かにこの写真はかなり極端な例であって、ノイズの多い写真を旧式のカメラ (Canon EOS M) で撮ったものだ。最近のカメラならばもっとうまくノイズを処理できるだろうが、それでもこの種の調整によって恩恵を受けることはあるはずだ。

RAW Power's noise control options 4

それ以外の RAW Processing コントロールとしては鮮明化、コントラスト、それから画像ファイルの RAW 固有の情報に基づく 2 つの黒レベルがある。実用的には、それぞれ通常の Sharpen、Contrast、および Levels または Curves ツールとは独立に精緻な調整をこちらのコントロールを使って施すことができる。Gamut Map オプションは、過飽和のカラーがクリッピング (100% の飽和度に達して、例えば不自然に強烈な明るい赤が現われたりする現象) を生じるのを予防する。

Apple ProRAW と RAW Power

そこで登場するのが Apple の ProRAW フォーマットだ。ProRAW がユニークなのは、Apple の計算写真学を RAW 撮影に組み込んでいる点だ。iPhone を使って普通に写真を撮ると、数ミリ秒の間に数回の撮影をしてそれらを混ぜ合わせることで全体的に満足のいく仕上がりにしてくれる。露出オーバーになりがちな明るい部分は暗い部分とのバランスを取ることで細部を取り戻す。このことが、小型のセンサーが直面する困難を克服する役に立つ。

けれどもその場合、RAW ファイルと似た意味で実際にセンサーが記録したものを反映する単独の“ソース”画像はどこにもない。手元に残るのは、数枚の撮影 (誤解を恐れずに言えば、たいていはそのどれもあまり良い写真ではない) をもとに処理を施した継ぎはぎ細工の結果のみだ。

Apple ProRAW は、RAW 撮影のデジタルにネイティブな側面と、計算写真学とを巧みに組み合わせる。Apple の iOS および iPadOS デバイスは数年前から既に RAW 写真を撮影できていた (ただしそのためにはサードパーティのアプリが必要であった) が、その写真は Adobe の DNG ファイルフォーマットで保存されていた。ProRAW はそれを基盤として、DNG 仕様に ローカルトーンマッピング と呼ばれる新たな機能を追加する。ProRAW で撮影する際には、基盤としての RAW ファイルの持つ拡張されたダイナミックレンジや追加的な画像情報を得ることができ、その上で Camera アプリがその計算分析を使って画像の中のいくつかの領域に変更を加える。

(興味深いことに、Apple は RAW データにさらなる手を加えている。その処理は demosaicing と呼ばれるが、結果的にその基盤部分は大多数のカメラが保存している RAW 画像ほどには純粋なものでない。この点について Kirk McElhearn が記事“Apple’s New ProRAW Photo Format Is Neither Pro nor Raw”で詳しく解説している。)

例えば、下に示した写真は iPhone 12 Pro で、Camera アプリ (ProRAW が有効になっている) で RAW オプションを有効にして撮影したものだ。これはカメラにとって困難な撮影だ。なぜならレンズが太陽の方を向いていて、沈む直前であってもまだ明るいのに、手前の景色は比較的暗いからだ。iPhone は見事にこれを画像化して、空の色も、太陽の周りのオレンジ色や黄色も保持している。

Apple ProRAW image of a fence

でも、それらの詳細が実現されるのは ProRAW のローカルトーンマッピングのお陰だ。基盤となる生の画像データだけでは劇的に見栄えの違う写真になってしまう。まだ ProRAW にフル対応していないアプリで表示させるとこんな風になる。本当に、これは上と同じ写真なのだ。

Image of a fence that doesn't take advantage of Apple ProRAW

RAW Power は、ProRAW ファイルを適切に処理できる初めてのアプリの一つだが、それは Local Tone Map スライダーを追加したお陰だ。Apple の画像処理はできる限りあらゆるもののバランスを取ろうとするが、その結果として平べったい見栄えになってしまうことがあり、必ずしもそれは望ましいことではないかもしれない。Local Tone Map はその効果を低減する。下の画像では、近くにある木々がくっきりと写っているけれども、私としてはそちらにあまり注目が集まって欲しくない。フレームの中央に見える雪を頂いた山々はぼやけてしまって、私が撮影した時に見た感じとは違っている。

Overexposed image of mountains

そこで Local Tone Map スライダーを 1.0 から 0.3 へ下げることで、すぐ前にある部分が暗くなり、木々が構図の要素となって雪を頂いた山々が引き立つ。

RAW Power edited version of the mountain image

広範囲の RAW カメラ対応

RAW Power がどのように編集を施すのかと同じくらいに重要なのが、何に対して編集を施せるかだ。さきほども触れたようにカメラのメーカー各社は個々のカメラモデルごとに新たな RAW ファイルフォーマットを作っており、さらに状況を厄介にしているのが各社がそれらのフォーマットを自社独自仕様と見なして仕様を公開しないことだ。リリースされたばかりのカメラを購入したけれども大多数の写真エディタがその RAW ファイルを開くことさえできないという経験をしたことがあるかもしれないが、その理由がこれだ。エディタの開発者たちは、新しいフォーマットを正しく読み取るために必要な情報を手に入れられないでいるのだ。結果として新型カメラへの対応が実現するまでに何週間も、場合によっては何か月もかかることがあり、近年では Apple デバイス上で問題が悪化しつつあった。

Apple はシステムレベルで RAW デコードのためのデータを保持しており、新型カメラへの対応はどうやら Apple にとって優先度の高いことではないようだ。Fujifilm X-E4 カメラを 3 月に発売されてすぐに購入した人は、今もなお Photos が対応していないので待ち続けている。GoPro カメラには一度も対応したことがない。それに、Photos も RAW Power も (他の多くのアプリも) Apple の内蔵 RAW エンジンを利用しているので、まさにそこに障害がある。

けれども RAW Power 3.3 の Extended RAW 対応がその行き詰まりを打破して、さまざまの新しい Fujifilm、GoPro、Olympus、Pentax、Panasonic、Sony カメラへの対応を追加する。Fujifilm 版は (ファイルがディスク上に占める容量を減らすため) 圧縮された RAW 画像への対応も含んでいる。

Apple の Photos ライブラリとの統合

RAW Power は (Adobe Lightroom などのアプリがするようには) あなたの写真ライブラリを管理しようとはしない。その代わりに、あなたの既存の Photos ライブラリに連結する。あなたが iCloud Photos を使っていれば、iOS や iPadOS デバイスで走る RAW Power アプリでもライブラリ内の写真が使える。

Photos ライブラリにある画像を編集した後に、RAW Power は変更後の写真をライブラリに保存するかどうか、あなたの許可を求めてくる。編集後のバージョンが気に入らなければ Photos の中でいつでも元に戻れるのだが、ここではさらに良いことに、画像を RAW Power で再編集した場合、すべての編集が保存されるのでいつでも好きな所に戻れる。従来、Photos は編集後の最終バージョンしか保存しなかった。つまり、画像を再検討したければ一からやり直すしかなかった。(サードパーティ製アプリにもまだこのやり方で働くものがある。)

RAW Power in Photos

Photos は使っていないって? RAW Power は画像を直接に、macOS では Finder から、iOS/iPadOS では Files アプリから開くこともできる。iPhone や iPad 上の RAW Power は SD カードを取り付けてそこから直接画像を読み込むこともできるので、かつてのようなファイルをいったん Camera Roll に保存してからという行きつ戻りつの手間は必要ない。

でも、RAW Power が Photos ライブラリと統合されていることこそ、最も便利なやり方だ。また、Photos アプリは星によるランク付けでどの写真が他より良いかを見分ける役に立たせるやり方をずっと以前に放棄してしまった。その代わりとして、今は画像に Favorite フラグを割り当てることしかできない。星によるランク付けの柔軟性の方を好む人のために、RAW Power はまさにその機能を持っていて、それをデバイス間で同期することもできる。私は常日頃からこの機能を便利に使っていて、ライブラリやアルバムの中で例えば星が 2 つ以上付いている写真は RAW ファイルだと見分けられるようにしている。

RAW Power's star ratings

RAW Power にはさらなるパワーが

ここでは主として RAW Power の RAW 編集機能について語ってきたが、それはこのパッケージの中の一部分に過ぎない。他にも例えば水準や曲線を微調整したり、個々の色について HSL (色相、彩度、輝度) を操作したり、モノクロ変換、トリミング、その他のツールもある。また、プリセットの見栄えを適用するための一連の LUT (参照テーブル) もあり、 Lutify.me による映画シミュレーションや他にはない見栄えもある。他の LUT を読み込むこともできる。

開発者の Nik Bhatt は活発に機能を追加し続けている。最近出された 3.3 リリースではレンズによる歪みや口径食 (例えば広角レンズで頻繁に見られるもの) を補正する Lens Correction ツールを追加して、同じレンズを使って同程度の焦点距離で撮影した写真については半自動的に同じ調整を加えることもできるようにした。新しい Split Toning ツールはハイライト部分とシャドウ部分の色を調整することで創造的な効果を出せる。

また、RAW Power が同じ機能を macOS、iOS、および iPadOS 版のすべてにわたって反映させているという点も重要なことだ。Mac 上で編集作業を始めて、それを保存して Photos がその調整内容をすべてのデバイスに同期するようにし、後になってその画像を iPad や iPhone の上で取り出すのも簡単だ。

macOS 版の RAW Power は Intel ベースと M1 ベース双方の Mac で働くように最適化されており、Mac App Store から $39.99 で購入できる。いくつか制約の付いた無料の試用版もある。 iOS 版と iPadOS 版のアプリは無期限の試用モードで無料で入手でき、いくつかの機能が無効化されている。ロックを外す料金は $9.99 だ。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Lightroom Classic 10.3

Lightroom Classic 10.3

Adobe が Lightroom Classic 10.3 をリリースして、画像の解像度を引き上げる Super Resolution 機能を追加した。AI テクノロジーに駆動される Super Resolution は画像の幅と高さをそれぞれ 2 倍して全体でピクセル数を 4 倍にし、その際にシャープなエッジやカラーの正確度を維持する。このデスクトップ中心の写真カタログ・編集アプリケーションは今回また、M1 ベース Mac へのネイティブ対応を導入し、Nikon カメラに対応したライブビューでのテザー撮影を追加し、複数の画像のメタデータを選択して更新する機能を改良し、新しいプレミアムプリセットパックを追加している。(月額 $9.99/$19.99/$52.99 の Creative Cloud 購読、購読者には無料アップデート、リリースノート、macOS 10.14+)

Lightroom Classic 10.3 の使用体験を話し合おう

Microsoft Office for Mac 16.50

Microsoft Office for Mac 16.50

Microsoft が Office for Mac のバージョン 16.50 をリリースして、Microsoft Information Protection で暗号化された書類の共同編集と自動保存ができるようにした。共同編集ができる設定にしておくと、Word、Excel、PowerPoint のデスクトップアプリで秘密度ラベルを使用してラベル付けされ暗号化された書類を複数のユーザーが編集できる。また、PowerPoint ではアプリ内で利用可能な質の良い無料のビデオ映像のライブラリを利用できる。Microsoft は Outlook をアップデートして他のユーザーの勤務時間を表示できるようにし、ピン留めしたメッセージの機能を新設し、新しい WkWebview 閲覧ウィンドウでコンテキストアドインへの対応を追加した。(一回限りの購入は $149.99、年払い講読オプションは $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、macOS 10.14+)

Microsoft Office for Mac 16.50 の使用体験を話し合おう

Little Snitch 5.2.1

Little Snitch 5.2.1

Objective Development が Little Snitch 5.2 をリリースして、ルールウィンドウでの検索と並べ替えのパフォーマンスを上げるとともに、ランダム化されたファイルシステムパスから走る実行可能ファイルへの対応を追加した。また、このネットワークトラフィック管理ユーティリティは Automatic Profile Switching で使う Known Networks リストをアプリのメインウィンドウに統合し、Wireguard VPN の探知を改良し、Network Monitor で他のユーザーの接続を削除できるようにし、終了済みのプロセスの接続アラートがルール作成後にも消えなかったバグを修正し、Xcode デバッガの中で走る iOS プロセスの識別に対処し、Fusion Drive を持つ Mac で再起動後の起動の問題を修正した。このリリースの後間もなく、同社は Little Snitch をバージョン 5.2.1 にアップデートしてシミュレータ内で iOS アプリが走っている場合に Little Snitch Agent がクラッシュした問題を修正した。(新規購入 $45、アップグレード料金あり、31.9 MB、リリースノート、macOS 11+)

Little Snitch 5.2.1 の使用体験を話し合おう

Timing 2021.4

Timing 2021.4

Daniel Alm が Timing 2021.4 をリリースして、主としてタイムライン、通話追跡、パフォーマンスにおいて生活の質に関連した改良を施した。この時間と生産性追跡アプリはまた、常に「労働時間」をカバーするようになり、アイドル時間へのタスクの追加が手軽にできるようにし、タイムラインの選択域をタイムラインの高さ全体にわたってリサイズできるようにし、より多くのアプリ (Cisco WebEx、GoToMeeting、BlueJeans など) で通話追跡を追加し、通話探知の誤検出を減らし、タスクのタイトルを入力する際の提案の数を増やし、Chromium ベースのブラウザ (Brave を除く) で進行中のウェブアプリのウィンドウタイトルを追跡する機能にも対応し、Timing の動作中に Brave が作成した“アプリ”がクラッシュした Brave での問題を回避した。(購読年額 $42/$66/$96、無料アップデート、Setapp からも入手可、34.9 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Timing 2021.4 の使用体験を話し合おう

BBEdit 13.5.7

BBEdit 13.5.7

Bare Bones Software が BBEdit 13.5.7 を出した。この古参のテキストエディタに改良やバグ修正を施した、メンテナンス・リリースだ。今回のリリースではフォントメトリックとフローティングポイント計算との“奇妙な”交わりの結果印刷したテキストが正しくインデントされなかった問題を回避し、Print パネルで書類ごとの印刷設定を変更してもすぐには効果がなかったバグを修正し、未保存の書類で結果ウィンドウや Disk Browser ウィンドウを閉じると書類に施された変更を保存するプロンプトが誤って出ていた問題を解消し、マルチファイル検索ウィンドウを閉じようとすると起こることがあったクラッシュを修正し、特定の状況下で Esc キーを押してもシートが閉じなかった問題に対処した。(新規購入 $49.99、無料アップデート、18.7 MB、リリースノート、macOS 10.14.2+)

BBEdit 13.5.7 の使用体験を話し合おう

Zoom 5.7

Zoom 5.7

Zoom が会社名と同名のビデオ会議アプリをバージョン 5.7 にアップデートして、さまざまの新機能や改良を施した。今回のリリースでは連絡先カードで、またミーティングやウェビナーの表示名で性別を示す代名詞に対応し、ユーザーたちがそれぞれのアカウントで使えるようにアカウント管理者がカスタマイズした枠画像や前面ステッカーをアップロードできるようにし、すべての分科会の部屋でメインセッションからの画面共有ができるようにし、チャットサイドバーを改良し (スター付きのメッセージや連絡先への別途セクション割り当て、シングルユーザー・マルチユーザーのチャット、名前付きチャンネルなど)、またミーティングに参加する際に仮想背景が僅かに遅れた問題を解消した。(無料、25.3 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Zoom 5.7 の使用体験を話し合おう

Tinderbox 9.0

Tinderbox 9.0

Eastgate Systems がノート取りアシスタント Tinderbox をバージョン 9.0 にアップグレードした。開発者によれば、Tinderbox では過去最大の大幅な変更が加えられたという。M1 ベース Mac への対応が追加された今回のリリースでは、新しいコマンドバーを使って過去に使ったことのある Tinderbox 書類ならどれでも手軽に開いたり、好きなインスペクタ枠を開いたり、Tinderbox アトリビュートを定義したりできる。今回のアップデートではまた、その AI を新しい Taggers で改良してエージェントが常にすべてを整理しておけるようにし、Tinderbox 表示タブをギャラリーに保存できるようにし、Tinderbox アクションがフォームや電子メールから情報を抽出できるようにし、Markdown での執筆やプレビューの機能を内蔵した。

Tinderbox 9 は過去一年以内に Tinderbox を購入またはアップグレードした人には無料のアップデートとなり、過去のどのバージョンからもアップグレード価格が $98 だ。新規のフルライセンスは $249 で購入できるが、 Summerfest セール期間に限り Tinderbox の価格は 25% 割引の $186 (アップグレード価格は $93) となっている。また、年額 $83 (Summerfest 期間中は $78) の購読による購入もできる。(新規購入 $249、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、47.4 MB、リリースノート、 macOS 10.13+)

Tinderbox 9.0 の使用体験を話し合おう

ScreenFlow 10.0

ScreenFlow 10.0

Telestream が ScreenFlow 10 をリリースした。このスクリーンキャスト録画およびビデオ編集アプリへのメジャーなアップグレードで、複数台のカメラ、マイクロフォン、およびスクリーン (iPhone や iPad のスクリーンも含む) から同時に録画できるようになった。バージョン 10 ではまた、プロジェクトに追加可能な無料でカスタマイズ可能のタイトルの統合ライブラリを導入し、カメラ録画システムを改良して録画および編集の際のファイルサイズと CPU 使用量を減らし、破壊性のアーカイブ保存オプションを追加して書類を保存する際に未使用の編集部分を削除することでディスク容量を再利用できるようにし、再設計した Video Filters インターフェイスを導入してカラー効果ライブラリを内蔵し、CLUT ファイルの読み込みに対応し、新しい自動 Background Removal フィルターを追加した。

今回のアップデートではまた、macOS 11 Big Sur でのユーザーインターフェイスを更新し、YouTube に章マーカーを出版する機能を追加し、タイムラインのアイコンキャッシュを改良してメモリと CPU の使用量を減らし、Sidecar デバイスからスクリーンを録画できる機能への対応を追加し、テキストボックスや注釈、背景コンテンツなどの間でのカラーマッチングの正確度を改善し、タイムライン再生を中断した際に起こることのあった安定性の問題を解決し、読み込みの際に AAC および MP3 ファイルが途中で切れてしまったバグを修正している。

ScreenFlow 10 は 10.15 Catalina またはそれ以降を要し、価格は単独の新規ライセンスが $149 ($20 の値上げ) だが、バンドル購入として Stock Media Library 購読 (500,000 以上あるメディアに無制限のアクセスができる) を年額 $209 で、またはプレミアムサポートの付いた Stock Media Library 購読を年額 $239 で利用することもできる。従来のバージョンを持っている人のアップグレード価格はバージョン 4 から $79、バージョン 5 から $69、バージョン 6 から $59、バージョン 7 から $49、バージョン 8 から $39 だ。Screenflow 10 は現時点では Mac App Store から購入することはできない。(新規購入 $149、アップグレード価格あり、85.4 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

ScreenFlow 10.0 の使用体験を話し合おう

SoundSource 5.3.4

SoundSource 5.3.4

Rogue Amoeba が SoundSource 5.3.4 をリリースして、Audio Capture Engine をバージョン 11.7.1 にアップデートすることによりいくつかの稀な問題を修正した。このオーディオコントロール・ユーティリティはまた、低品質の USB デバイスのせいで稀に起こった問題によりデバイスの変更ができなくなることがないようにし、機器セットに属する機器の使用が期待通りにできるようにし、Magic Boost で反応時間の遅延を修正し、音量コントロールでキーボードショートカットを使って 1/4 刻みの調整をする際の問題を修正した。Rogue Amoeba はまた、SoundSource マニュアルをアプリに統合するのをやめてオンラインで提供するようにし、SoundSource は今回から隠し設定項目の Check for Test Releases を表に出してプレリリース版の通知を受け取れるようにした。(新規購入 $39、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、26 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

SoundSource 5.3.4 の使用体験を話し合おう

PDFpen and PDFpenPro 13.1

PDFpen と PDFpenPro 13.1

Smile が PDFpenPDFpenPro のバージョン 13.1 をリリースして、大きな PDF 書類でスクロール挙動と描画を高速化した。最近アップグレードされたこれらの PDF 編集アプリには今回、サイドバーのデフォルトモードとして Attachments や Form Fields (PDFpen の表示をカスタマイズするより多くのオプションを提供) を含め、OCR エンジンをアップデートして M1 ベース Mac に対応させ、Microsoft PowerPoint および PDF Archive (PDF/A-1b) フォーマットへのオフライン書き出し機能を追加した。PDF/A-1b フォーマットは機密の企業・顧客情報や訴訟関係書類などで一段高いセキュリティを提供できる。(新規購入 $79.95/$129.95、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、標準版は Setapp で利用可、212/259 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

PDFpen と PDFpenPro 13.1 の使用体験を話し合おう

Final Cut Pro 10.5.3, Compressor 4.5.3, and Motion 5.5.2

Final Cut Pro 10.5.3, Compressor 4.5.3, Motion 5.5.22

Apple が Final Cut Pro 10.5.3Compressor 4.5.3Motion 5.5.2 をリリースして、これらのプロフェッショナル向けビデオ編集アプリに改良とバグ修正を施した。Final Cut Pro は新しい列エディタでカスタムの列表示を作成・編集できるようになり、Finder からクリップをコピーしてタイムラインにペーストする機能を復活させ、オーディオキーフレームの調整の際の問題を解消し、Color Mask での問題を修正し、外付けハードドライブが接続されている状態でアプリを Final Cut Pro に切り替える際の信頼性を向上させた。

Compressor はソースクリップやオーディオファイルの開始タイムコードの変更ができるようにし、カラーパレットとディザリングアルゴリズムを選択して PNG や GIF のファイルサイズを縮小する機能を追加し、ソースメタデータのパススルーを無効にしてオーディオファイルや MOV、MP4、M4V、MXF のビデオフォーマットを出力できるようにし、AVCHD ディスクイメージをファイルシステムに書き込む機能を追加し、iTunes Store や IMF Packages タイプの新規バッチを作成するキーボードショートカットを導入した。

Motion へのアップデートは M1 ベース Mac で 3D オブジェクトが間違った輝度でレンダリングされた問題を修正し、HDR プロジェクトで絵文字が間違ってレンダリングされたバグに対処し、またいくつかのクラッシュ (プロジェクトの書き出し後に閉じた場合や、オンスクリーンコントロールを使ってグラデーションの不透明度を調整した場合など) を解消した。(いずれも無料アップデート。Final Cut Pro 新規購入 $299.99、3.1 GB、リリースノート、10.15.6+。Compressor新規購入 $49.99、319.2 MB、リリースノート、10.15.6+。Motion 新規購入 $49.99、2.3 GB、リリースノート、macOS 10.15.6+)

Final Cut Pro 10.5.3, Compressor 4.5.3, Motion 5.5.2 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Ben Thompson、米国の大手テクノロジー企業規制法案を分析

ニュースでお読みになったかもしれないが、米国下院の立法府議員たちが大手テクノロジー企業の力を抑制することを意図した一連の法律案を提起した。対象となる企業名を具体的に挙げれば Amazon、Apple、Facebook、Google、それからまた Microsoft も影響を受ける可能性がある。これはまだ始まりに過ぎないし、これらの法案が実際に法律として成立するという保証もない。しかしながら、議会の反トラスト小委員会議長の David Cicilline は抜け目ないやり方でこれらの法案を導入した。すべての法案は民主党が提出し共和党が共同提出したものであり、交渉の過程で相手方の立場を尊重して一部を断念してもよい形となっている。Stratechery の記事で、Ben Thompson がこれらの法案について思慮に富んだ概観を述べており、どの会社が最も大きな影響を受けるかについても論じているが、中でも Apple はリストの上位にある。まだ何かをすべき段階には至っていないけれども、偏見のない心で状況を注視しておくべきだろう。たとえあなたが規制に反対する意見を持っていても、臆面もなく論議の的になる行為を続けてこのような監視の対象となる立場に自らを追い込んだのは他でもないこれらの会社なのだ。

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